JP7040900B2 - 運行データ管理システム - Google Patents

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Description

本発明は、運行データ管理システムに関する。
例えば、トラック、バス、タクシー車両のような業務用車両の運行業務を実施する企業においては、従来より乗務員の労務管理、安全運転管理、運行業務の改善などに役立つ情報を自動的に収集し分析することが行われている。具体的には、各車両の運行中に、例えばデジタルタコグラフなどの車載器、すなわち運行記録計が様々な運行データを自動的に収集し記録する。あるいは、ドライブレコーダ、タクシーメータのような車載器が運行データを収集し記録する。
各車両の車載器が記録した運行データは、企業内の事務所等に設置された管理用のコンピュータ(事務所PC)に転送され、事務所PCによって分析される。記録した運行データを事務所PCに転送する操作については、運行データを保持するメモリカードを乗務員が手作業で物理的に持ち運ぶことにより実施する場合もあるし、車両上の車載器と車外装置との間の無線通信により行う場合もある。
例えば、特許文献1に示されている通信システムの場合には、タクシー車両の入庫時に、この車両と路側器との間で近距離の無線通信を行い、車載器が記録し保持している運行データを路側器を経由して事務所PCに転送している。
また、特許文献2に示されている走行データ転送システムにおいては、車載器のメモリカードに記録されている走行データを、無線LANを用いて事務所側のPCに転送することを示している。
特開2009-80750号公報 特開2013-117778号公報
特許文献1に示された通信システムのように、車両の入庫時に、この車両と路側器との間で近距離の無線通信を行い運行データを転送する場合には、以下に示すような課題がある。
(1)転送する運行データの情報量が多い場合には、データの転送に長い時間がかかる。しかも、その間は無線通信ができるように車両を特定の場所で停車しておく必要があり、入庫手続きの所要時間が長くなってしまう。なお、近距離以外の無線通信を利用する場合には、無線通信による情報の漏洩などの問題を回避するために、無線通信に伴うコストが上昇するのは避けられない。
(2)必要以上の容量の記憶装置を車載器に搭載することはコストの点で不利になる。したがって、記録したデータが不要になった場合には、不要な運行データを削除することにより車載器が新たに記録可能な記憶領域を確保する必要がある。しかし、例えば無線通信による運行データの転送が終了した時点で送信済みの車載器上の運行データを消去すると、次のような問題が発生する。運行データを受け取った事務所PCが、この運行データの分析等の処理を行う際に、何らかのトラブルが発生すると、必要な運行データが消えてしまう場合がある。その時に、車載器上の運行データが消去済みであると、必要な運行データを再び取得することはできない。デジタルタコグラフのような運行記録計のデータについては、法令で保管が義務付けられているので、運行データが消えることのないよう確実に保管することが重要である。
本発明は、上記の状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、記録した運行データを適切なタイミングで削除し、新たに利用可能な記憶領域を確保することが可能な運行データ管理システムを提供することにある。
前述した目的を達成するために、本発明に係る運行データ管理システムは、下記(1)~()を特徴としている。
(1) 車両の運行状態を表す運行データを記録し、記録した前記運行データを無線で送信する車載器と、
前記車載器から前記運行データを取得して前記車両の運行を管理する管理装置と、
前記運行データを少なくとも一時的に記憶可能なファイル格納装置と、
を備え、
前記車載器は、前記運行データを前記ファイル格納装置に対して送信し、
前記管理装置は、前記ファイル格納装置から取得した前記運行データの処理に成功した場合には、前記車載器に記録されている前記運行データの削除を要求する削除要求データを前記ファイル格納装置に送信し、
前記車載器は、前記ファイル格納装置に前記削除要求データが記憶されるまで、前記ファイル格納装置に対して送信した前記運行データを保持し続け、前記ファイル格納装置に前記削除要求データが記憶されている場合には、前記運行データを削除
前記管理装置は、前記ファイル格納装置から取得した前記運行データの処理に失敗した場合には、前記運行データの再送を要求する再送要求データを前記ファイル格納装置に送信し、
前記車載器は、前記ファイル格納装置に前記再送要求データが記憶されている場合には、前記ファイル格納装置に前記運行データを再送する、
ことを特徴とする運行データ管理システム。
) 前記ファイル格納装置は、前記運行データの記憶用に割り当てられた運行データ記憶領域と、前記削除要求データ及び前記再送要求データの記憶用に割り当てられた要求データ記憶領域と、を有する、
ことを特徴とする上記()に記載の運行データ管理システム。
) 前記ファイル格納装置は、送信元クライアントからサーバに向けてデータファイルをアップロードする機能と、前記サーバから前記データファイルを受信先クライアントに向けてダウンロードする機能と、を有するファイル転送プロトコルを搭載したファイル転送サーバである、
ことを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の運行データ管理システム。
) 前記ファイル格納装置は、前記運行データの一時記憶用に割り当てられた運行データ記憶領域と、前記管理装置が受け取った前記運行データに対する解析結果の成否を表すデータを記憶可能な状態データ記憶領域と、を有し、
前記車載器は、前記状態データ記憶領域に、前記解析結果の成功を表すデータが保持さていることを検知した場合に、所定領域にバックアップとして保持されている前記運行データの削除を実行する、
ことを特徴とする上記(1)に記載の運行データ管理システム。
) 前記管理装置は、前記ファイル格納装置から取得した前記運行データを解析処理して、その解析結果の成否を表すデータを、前記状態データ記憶領域に送信し、
前記車載器は、前記状態データ記憶領域に、前記解析結果の失敗を表すデータが存在する場合には、前記バックアップとして保持されている該当する前記運行データを前記管理装置に対して再送する、
ことを特徴とする上記()に記載の運行データ管理システム。
上記(1)の構成の運行データ管理システムによれば、記録した運行データを適切なタイミングで削除し、新たに利用可能な記憶領域を確保することが可能になる。すなわち、車載器が記録した送信元の運行データは、これを利用する管理装置が削除要求データを送信しない限り保持される。したがって、例えば管理装置が受け取った運行データの処理に失敗した場合には、運行データを送信元から再び取得することが可能である。また、管理装置が受け取った運行データの処理に成功した場合には、削除要求データを送信することにより、不要な運行データを削除することが可能になり、新たに利用可能な記憶領域を確保できる。また、車載器と管理装置との間にファイル格納装置を配置することにより、データの転送元と転送先との間で双方向の通信を行う必要がなくなる。したがって、例えば連続的なデータ送信により無線通信の効率を上げることが可能になり、大容量のデータを扱う場合であっても短時間でデータ送信を完了できる。
更に、上記()の構成の運行データ管理システムによれば、例えば管理装置が既に受け取った運行データの処理に失敗したような場合であっても、管理装置が再送要求データを送信することにより、運行データを送信元から再び取得することが可能である。
上記()の構成の運行データ管理システムによれば、車載器から管理装置に向かう方向に転送されるデータの記憶領域と、管理装置から車載器に向かう方向に転送されるデータの記憶領域とを完全に分離することができる。そのため、同じ記憶領域に対して複数の装置が書き込みを行うことがなくなり、制御が容易になる。また、制御を簡略化することにより、実質的なデータ転送速度を上げることができる。
上記()の構成の運行データ管理システムによれば、アップロードのためのデータ通信と、ダウンロードのためのデータ通信とをそれぞれ個別に効率よく実施することができるので、比較的低速の無線通信回線を利用する場合であっても、大容量のデータを短時間で転送することが可能になる。
上記()の構成の運行データ管理システムによれば、ファイル格納装置上の状態データ記憶領域の内容に基づき、車載器は、バックアップとして保持している運行データの削除が可能な状態を認識して、バックアップのデータの削除を実行できる。
上記()の構成の運行データ管理システムによれば、管理装置が運行データの解析処理に失敗したような場合に、車載器は、バックアップとして保持されている運行データを再送して管理装置に再び渡すことができる。
本発明の運行データ管理システムによれば、記録した運行データを適切なタイミングで削除し、新たに利用可能な記憶領域を確保することが可能になる。また、車載器と管理装置との間にファイル格納装置を配置するので、データの転送元と転送先との間で双方向の通信を行う必要がなくなり、例えば連続的なデータ送信により無線通信の効率を上げることが可能であり、大容量のデータを扱う場合であっても短時間でデータ送信を完了できる。
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
図1は、本発明の実施形態における運行データ管理システム全体の構成例を示すブロック図である。 図2は、運行データ管理システムに含まれる車載器の構成例を示すブロック図である。 図3は、運行データ管理システムに含まれる事務所PCの構成例を示すブロック図である。 図4は、車載器における特徴的な動作例を示すフローチャートである。 図5は、事務所PCにおける特徴的な動作例を示すフローチャートである。 図6は、運行データ管理システムの特徴的な動作例を示すシーケンス図である。 図7は、本発明の第2実施形態における運行データ管理システム全体の構成例を示すブロック図である。 図8は、本発明の第2実施形態における共有フォルダの構成例を示す模式図である。 図9は、本発明の第2実施形態におけるFTPサーバの動作例を示すフローチャートである。 図10は、本発明の第2実施形態におけるFTPサーバの状態遷移の例を示す状態遷移図である。
本発明に関する具体的な実施形態について、各図を参照しながら以下に説明する。
(第1実施形態)
<システムの構成例>
本発明の実施形態における運行データ管理システム100全体の構成例を図1に示す。 図1に示した運行データ管理システム100は、例えばトラックのような業務用車両80の運行業務を実施する企業が、業務用車両80の運行中に収集された運行データを取得して分析し、乗務員の労務管理、安全運転管理、運行業務の改善などに役立てるために利用される。勿論、業務用車両80については、トラックに限らず、バス、タクシーなどでも構わないし、運行データの用途についても特別な制約はない。
図1に示すように、各々の業務用車両80に車載器10が搭載された状態で使用される。車載器10の代表例としては、デジタルタコグラフ、ドライブレコーダなどが想定される。したがって、車載器10は、業務用車両80の走行中に様々な運行データを自動的に収集しそのデータを車両上で記録(保存)することができる。運行データの代表例としては、車両の走行速度、エンジン回転速度、ブレーキの状態、変速機のシフト位置、車両の現在位置、車載カメラの映像、時刻などがある。
各々の車載器10が生成し記録された運行データは、企業の事務所60内に設置された事務所PC30に取り込まれて集中的に管理される。また、事務所PC30は、取り込んだ運行データを分析し、乗務員の労務管理、安全運転管理、運行業務の改善などに役立つ情報の抽出やデータの変換を実施する。
各業務用車両80上で収集され保存されている運行データを事務所PC30に転送するための手続きは、一般的には、業務用車両80が当日の運行業務を終了して所定の駐車場に入庫した時に実施される。つまり、1日の運行業務の間に収集された全ての運行データを、車載器10から事務所PC30に転送し、事務所PC30上で集中管理することになる。
図1に示した運行データ管理システム100は無線通信機能を備えている。したがって、車載器10から事務所PC30への運行データの転送は、無線通信を利用して行うことができる。
例えば、各業務用車両80が入庫する際に通過する出入り口のゲートなどの近傍に、無線LAN設備71が設置されている。また、各業務用車両80上の車載器10は、近距離無線通信を行うための無線通信機能を搭載している。無線LAN設備71は、有線ローカルネットワーク(LAN)70を経由して事務所60内の事務所PC30と接続されている。
また、本実施形態では、有線ローカルネットワーク70にFTP(File Transfer Protocol)サーバ20が接続されている。このFTPサーバ20は、車載器10と事務所PC30との間の運行データの転送を効率よく実施するために設けられている。
FTPサーバ20上の記憶装置21には、「車載器→PC」フォルダ21aとして割り当てられた記憶領域と、「PC→車載器」フォルダ21bとして割り当てられた記憶領域とが含まれている。「車載器→PC」フォルダ21aは、車載器10から事務所PC30に向かう方向に転送されるデータのみを一時的に保持するために利用される。また、「PC→車載器」フォルダ21bは、事務所PC30から車載器10に向かう方向に転送されるデータのみを一時的に保持するために利用される。
なお、図1に示した運行データ管理システム100においては無線LANのような近距離無線通信を利用して車載器10の運行データを事務所PC30に転送する場合を想定しているが、例えば携帯電話の通信回線のように、広域で通信可能な無線通信を利用することも可能である。但し、近距離無線通信を利用する場合にはごく限られた範囲内のみに電波が届くので、データの暗号化などのセキュリティ対策を実施しなくても情報の漏洩を防止でき、通信設備や通信のコストを低減できる。広域無線通信の場合には、セキュリティ対策が必要となる。
<車載器10の構成例>
運行データ管理システム100に含まれる車載器10の構成例を図2に示す。図2に示した車載器10は、制御部11、無線通信モジュール12、外部入力部13、電源部14、表示部15、ユーザ操作部16、記録媒体17、外部接続部18、および音声出力部19を備えている。
制御部11は、マイクロコンピュータにより構成されており、予め内部に組み込まれているプログラムを実行することにより、車載器10に必要とされる様々な機能を実現するための制御を行う。例えば、記録部11zの機能は、業務用車両80の運行業務中に、様々な運行データ、すなわち車両の走行速度、エンジン回転速度、ブレーキの状態、変速機のシフト位置、車両の現在位置、車載カメラの映像、時刻などの情報を自動的に取得して記録(保存)する。
また、記録した運行データを車両外部の装置に転送するための通信機能も制御部11に備わっている。また、データ転送の際に、FTP(File Transfer Protocol)通信を実現するFTPクライアントソフトウェアも制御部11に備わっている。
無線通信モジュール12は、無線LAN設備71との間で近距離無線通信によるデータの送信および受信を行うために必要なハードウェアおよび基本ソフトウェアを備えている。なお、図1に示した運行データ管理システム100の無線LANについては、一般的な無線LANシステムとの間で通信を行うことはないので、独自の通信プロトコルを用いて無線通信の制御を実施する。
外部入力部13は、車両上に備わっている各種センサ、スイッチなどが出力する電気信号を入力して制御部11の入力処理に適した信号に変換するためのインタフェースである。また、外部接続部18は車載器10に所定の端末を接続するために必要なインタフェースである。外部接続部18に接続した端末と、制御部11との間で相互に通信を行うことができる。
電源部14は、車両側から供給される電源電力(例えば直流12V)に基づいて、配下の制御部11等の電気回路が必要とする電源電力(例えば直流5V)を生成する。また、電源部14は電源投入時などの際にリセット信号を生成し、制御部11に供給する。
表示部15は、文字情報、数値、記号、図形、マークなどの可視情報を車両の運転者が視認しやすい位置(例えば車載器の全面パネル上)に必要に応じて表示できる。表示部15は、車載器の現在の動作状態、入力操作の案内、警告などを乗務員に通知するための表示として利用される。
ユーザ操作部16は、運転者が操作しやすい位置(例えば車載器の全面パネル上)に配置されている複数の操作可能なボタン等を備えている。ユーザ操作部16は、ボタン等に対するユーザの入力操作を検知して制御部11に通知することができる。
記録媒体17は、不揮発性メモリにより構成されるメモリカードのような記憶装置であって、記憶領域を備えている。この記録媒体17は、車載器10が生成した運行データなどの情報を蓄積し保存するために利用される。なお、記録媒体17の記憶容量は有限であるため、記録した運行データのうち古いものや不要なものを削除して新たに利用可能な記憶領域を確保する必要がある。本実施形態の車載器10には、不要になった運行データを適切なタイミングで記録媒体17上から削除するための機能が備わっている。
音声出力部19は、疑似音声信号を所定のスピーカから音響として出力することにより、乗務員に音声として聞こえる様々なメッセージを出力することができる。例えば、車載器の現在の動作状態、入力操作の案内、警告などを音声メッセージとして乗務員に通知する際に音声出力部19が利用される。
<事務所PC30の構成例>
運行データ管理システム100に含まれる事務所PC30の構成例を図3に示す。
図3に示した事務所PC30は、制御部31、通信インタフェース(I/F)32、操作部33、表示部34、およびデータベース35を備えている。
制御部31は、パーソナルコンピュータ(PC)の本体と、この動作に必要なソフトウェアとで構成されている。制御部31に備わっているソフトウェアには、基本ソフトウェア(オペレーティングシステム)と、運行データの管理に必要な専用のアプリケーションソフトウェアとが含まれる。
専用のアプリケーションソフトウェアは、車両毎、あるいは乗務員毎に運行データを管理するものであって、運行データを取り込んで分析する。また、分析した結果に基づき、乗務員の労務管理、安全運転管理、運行業務の改善などに役立つ情報の抽出、データの変換、データ表示などの処理を実行する。
通信インタフェース32は、有線ローカルネットワーク70と接続してIP(Internet Protocol)通信などのデータ通信を実現するために必要なハードウェアである。
操作部33は、例えば標準的なキーボード、マウス、タブレットのようにユーザが操作可能な入力装置により構成されている。
表示部34は、画面上にイメージや文字などの様々な可視情報をカラー表示可能な液晶ディスプレイである。表示部34の画面上には、制御部31の制御により様々な情報が表示される。
データベース35は、制御部31の内部の記憶装置、または制御部31に接続可能な外部記憶装置上に構築され、各車載器10から取得した運行データの分析結果を蓄積し管理することができる。
<FTPサーバ20の構成>
詳細については図示しないが、FTPサーバ20はサーバとして動作可能なコンピュータおよび通信装置のハードウェアと、ソフトウェアとを備えている。FTPサーバ20は、FTPクライアントソフトウェアを搭載した各車載器10および事務所PC30の各々との間で、ファイル転送プロトコル(FTP)に従って、データファイルのアップロードおよびダウンロードを行う機能を有している。
本実施形態では、図1に示したようにFTPサーバ20上の記憶装置21に、「車載器→PC」フォルダ21aの記憶領域と、「PC→車載器」フォルダ21bの記憶領域とが互いに独立した状態で備わっている。「車載器→PC」フォルダ21aは、車載器10から事務所PC30に向かう方向に転送されるデータのみを一時的に保持するために利用される。また、「PC→車載器」フォルダ21bは、事務所PC30から車載器10に向かう方向に転送されるデータのみを一時的に保持するために利用される。
このFTPサーバ20を利用してデータを転送する場合には、アップロードおよびダウンロードの際に、双方向のデータ通信を行う必要がないため、連続的に効率よくデータを伝送することができる。したがって、一度に大容量の運行データを転送する場合であっても、アップロードおよびダウンロードを短時間で完了できる。
<車載器10の動作例>
車載器10における特徴的な動作例を図4に示す。図4に示す動作について以下に説明する。
車載器10は、業務用車両80が運行業務を行っている時に、記録部11zの制御により、例えば一定の周期で、或いは不定期に運行データを生成し、この運行データを記録媒体17上の空き領域に順次に書き込んで保存する(S11)。
業務用車両80における1日の運行業務が終了し、業務用車両80が入庫する際に、すなわち業務用車両80と無線LAN設備71との間で近距離無線通信が可能な状態において、例えば乗務員がユーザ操作部16上の特定のボタンを押下すると、この操作を制御部11はデータ転送開始条件成立とみなす。その場合は、図4のステップS12からS13に進む。
ステップS13では、制御部11は、当日の運行業務開始から運行業務終了までの間に記録された全ての運行データを記録媒体17から読み出す。そして、この大容量の運行データ全体を、ファイル転送プロトコル(FTP)のアップロード機能を用いて、FTPサーバ20上の「車載器→PC」フォルダ21aに送信(アップロード)する。
ステップS14では、制御部11は、FTPサーバ20上の「PC→車載器」フォルダ21bの内容を読み込む(ダウンロード)。そして、ステップS14で読み込んだ内容が「再送要求」のデータである場合はステップS15からS13に戻る。これにより、前に送信した運行データを再びS13で送信(アップロード)する。
また、ステップS14で読み込んだ内容が「データ削除要求」のデータである場合は、制御部11の処理はステップS16からS17に進む。そして、制御部11は「データ削除要求」を検出してから一定時間が経過するまでステップS17で待機した後、ステップS18に進む。
ステップS18では、制御部11は、車載器10の記録媒体17上に保存されている運行データのうち、送信済みの全ての運行データの削除(消去)を実行する。この削除により、記録媒体17上には新たにデータの書き込みが可能な空き領域が形成される。例えば、記録媒体17上の空き領域が少ない場合であっても、ステップS18を実行することにより空き領域を増やし、新たな運行データの保存に必要な十分な記憶領域を確保できる。
<事務所PC30の動作例>
事務所PC30における特徴的な動作例を図5に示す。この動作は、制御部31が所定のアプリケーションソフトウェアを実行している状態で行われる。図5に示した動作について以下に説明する。
例えば、事務所PC30を操作するユーザ(管理者)が事務所PC30に対してデータ転送開始のための所定の入力操作を行うと、事務所PC30がこの入力操作を検知して図5に示したステップS21からS22の処理に進む。
ステップS22では、事務所PC30は、FTPサーバ20の「車載器→PC」フォルダ21aにアクセスし、ダウンロードすべき運行データが存在しているか否かを識別する。運行データが存在する場合には、事務所PC30の処理はステップS23からS24に進む。存在しない場合はステップS22の処理を繰り返す。
ステップS24では、事務所PC30は、ファイル転送プロトコル(FTP)のダウンロード機能を用いて、FTPサーバ20上の「車載器→PC」フォルダ21aから該当する運行データ全てを一括して受信(ダウンロード)する。
なお、本実施形態では、事務所PC30がステップS24で運行データのダウンロードを完了した時点で、事務所PC30からの指示により、或いはFTPサーバ20における自動的な処理により、FTPサーバ20上の該当する運行データが削除される。これにより、FTPサーバ20上の記憶装置21における空き領域を増やし、新たな記憶領域を確保できる。
ステップS25では、事務所PC30が、ステップS24でダウンロードした運行データに対して所定の解析処理を実行する。例えば、この運行データに対応する乗務員や車両を特定したり、大容量の運行データの中から重要な情報のみを抽出したり、データフォーマットの変換などの処理を行うことが想定される。
ステップS25における解析処理が正常な状態で終了した場合には、事務所PC30の処理はステップS26からS27に進む。また、何らかのトラブルが発生して解析処理に失敗した場合には、ステップS26からS28に進む。
ステップS27では、事務所PC30は、ファイル転送プロトコル(FTP)のアップロード機能を用いて、FTPサーバ20上の「PC→車載器」フォルダ21bに、「データ削除要求」を指示するためのデータをアップロード(送信)する。
ステップS28では、事務所PC30は、ファイル転送プロトコル(FTP)のアップロード機能を用いて、FTPサーバ20上の「PC→車載器」フォルダ21bに、「再送要求」を指示するためのデータをアップロード(送信)する。
<システムの動作例>
運行データ管理システムの特徴的な動作シーケンスの例を図6に示す。
業務用車両80が入庫したときに、車載器10は、記録媒体17に保存されている当日の運行データ全てをFTPサーバ20にファイル転送プロトコル(FTP)で送信(アップロード)する(S31)。この場合の送信先はFTPサーバ20の「車載器→PC」フォルダ21aである。
一方、事務所PC30においては、車載器10からの運行データを受け取ることが可能であるか否かを確認するためにFTPサーバ20の「車載器→PC」フォルダ21aにアクセスする(S32)。そして、「車載器→PC」フォルダ21aに必要な運行データが存在する場合には、この運行データ全てをファイル転送プロトコル(FTP)を用いてダウンロードする。
事務所PC30は、FTPサーバ20からダウンロードした運行データに対して所定のデータ解析を実行し、解析に成功したか否かを識別する(S33)。例えば何らかのトラブルによって運行データのデータ解析に失敗した(NG)場合には、解析前の運行データの少なくとも一部分は事務所PC30上から消えているので、事務所PC30は同じ運行データ取得し直す必要がある。したがって、事務所PC30は該当する運行データの「再送要求」を指示するデータをFTPサーバ20の「PC→車載器」フォルダ21bにFTPで送信(アップロード)する(S34)。
車載器10は、アップロードした運行データの処理状況を確認するために、FTPサーバ20の「PC→車載器」フォルダ21bにアクセスし、そのデータの有無および内容を識別する(S35)。そして、「再送要求」を指示するデータが「PC→車載器」フォルダ21bに存在する場合には、車載器10は運行データの再送が必要とみなし、同時に送信済みの運行データの削除ができないことを認識する。
そして、車載器10は既に送信した運行データ全てを、再びFTPサーバ20にファイル転送プロトコル(FTP)で送信(アップロード)する(S36)。この場合の送信先はFTPサーバ20の「車載器→PC」フォルダ21aである。
事務所PC30は、車載器10からの運行データを受け取ることが可能であるか否かを確認するためにFTPサーバ20の「車載器→PC」フォルダ21aにアクセスする(S37)。そして、「車載器→PC」フォルダ21aに必要な運行データが存在する場合には、この運行データ全てをファイル転送プロトコル(FTP)を用いてダウンロードする。
事務所PC30は、FTPサーバ20からダウンロードした運行データに対して所定のデータ解析を実行し、解析に成功したか否かを識別する(S38)。運行データのデータ解析に成功した(OK)場合には、解析前の運行データは既に不要な状態である。したがって、事務所PC30は該当する運行データの「削除要求」を指示するデータをFTPサーバ20の「PC→車載器」フォルダ21bにFTPで送信(アップロード)する(S39)。
車載器10は、アップロードした運行データの処理状況を確認するために、FTPサーバ20の「PC→車載器」フォルダ21bにアクセスし、そのデータの有無および内容を識別する(S40)。そして、「削除要求」を指示するデータが「PC→車載器」フォルダ21bに存在する場合には、車載器10は既に送信した運行データが再び使用される可能性はない状態とみなす。その場合は、車載器10は一定時間が経過した後で、送信済みの運行データの記録媒体17上からの削除を実行する(S41)。これにより、記録媒体17上に新たに書き込み可能な記憶領域を確保できる。
(第2実施形態)
<運行データ管理システム100Bの構成例>
本発明の第2実施形態における運行データ管理システム100B全体の構成例を図7に示す。
第2実施形態は、前述の第1実施形態の変形例である。したがって、図7に示した運行データ管理システム100Bは、図1に示した運行データ管理システム100と同じように、車載器10B、FTPサーバ20B、事務所PC30Bで構成されている。また、FTPサーバ20B、事務所PC30Bは有線ローカルネットワーク70に接続されており、FTPサーバ20Bは、各車両の入庫時や出庫時に、無線LAN設備71を介して車載器10Bと無線接続することができる。
車載器10Bの基本的な構成は、図2に示した車載器10と同様である。また、事務所PC30Bの基本的な構成は、図3に示した事務所PC30と同様である。また、以下に説明する事項以外の基本的な構成および動作は、第1実施形態と同様である。
図7に示した運行データ管理システム100Bにおいて、FTPサーバ20B内の記憶装置上には、車載器10Bと、事務所PC30Bとの間で共有し、各々がアクセス可能な記憶領域として、共有フォルダ23が設けてある。
この共有フォルダ23の中には、運行データファイル23a、および解析完了通知ファイル23bを配置することができる。運行データファイル23aは、各車両の車載器10Bが送信した運行データの内容を保持し管理するためのデータの集合である。実際には、運行データファイル23aは、車両毎、運行データの番号毎(例えば運行業務の日付毎)に独立したファイルとして構成されている。
解析完了通知ファイル23bは、事務所PC30BがFTPサーバ20Bからダウンロードした各運行データファイル23aの内容について運行の解析処理(S25)を実施した結果の成功/失敗を表す通知(S27B,S28B)を反映した情報を保持する。実際の解析完了通知ファイル23bとしては、車両毎、運行データ毎に、解析OKのファイルと、解析NGのファイルとのいずれか一方が存在しうる。
<車載器10Bの機能>
図7に示したように、車載器10Bは、車両の入庫時の機能110として、各機能111、112、113、114を有している。例えば、各車両の入庫時に運転者(乗務員)が所定のボタン操作を行うことにより、入庫時の機能110を実行することができる。
機能111は、車載器10Bが収集し蓄積している運行データ(例えば、当日収集したデータ全体)を無線通信により送信しFTPサーバ20Bにアップロードするための動作であり、制御部11により実行される。
機能112は、既に送信済みの各運行データについて、各々に対応付けられた解析完了通知ファイル23bの存在の有無や種類を車載器10Bが確認するための動作である。機能113は、既に送信済みの各運行データについて、「解析OK」を表すFTPサーバ20B上の解析完了通知ファイル23bを認識した場合に、当該運行データのバックアップを、次回の運行時に削除可能にするための動作である。機能114は、既に送信済みの各運行データについて、「解析NG」を表すFTPサーバ20B上の解析完了通知ファイル23bを認識した場合に、前記バックアップを利用して当該運行データの再送信を行うための動作である。
なお、上記各機能112、113、114については、車載器10Bの代わりに、FTPサーバ20B上のコンピュータ(PC)が同等の機能をそれぞれ実行するように変更してもよい。
また、図7に示したように、車載器10Bは、車両の出庫時の機能120として、削除可能な運行データ(バックアップ)をクリアするための動作を実行する。例えば、各車両の出庫時に運転者(乗務員)が所定のボタン操作を行うことにより、出庫時の機能120を実行することができる。すなわち、車両の入庫時に前記機能113において、「解析OK」を確認済みの場合に、該当する不要な運行データを車載器10B上から自動的に削除する。
<FTPサーバ20B上の各ファイルの概要>
なお、上記機能111により車載器10Bが送信した運行データによって生成される運行データファイル23aは、FTPサーバ20Bから事務所PC30Bに送信(ダウンロード)された後、例えば一定時間が経過すると自動的に削除される。また、車載器がバックアップファイル(BU運行)を再送した場合には、そのファイル23a-2がFTPサーバ20B上に一時的に保持される。
<事務所PC30Bの機能>
一方、事務所PC30Bは、図7に示したように、一定の時間周期で定期的にFTPサーバ20Bの共有フォルダ23にアクセスし、共有フォルダ23の内容を確認する(S21B)。そして、必要な運行データファイル23aがFTPサーバ20Bの共有フォルダ23に存在する場合には、事務所PC30Bが該当する運行データファイル23aをダウンロードし、この運行データファイル23aの内容に対して運行の解析処理を実行する(S25)。この解析処理の結果は、事務所PC30Bの保存フォルダ36に格納される。また、解析処理(S25)の結果が成功か失敗かを表すデータを、事務所PC30BがFTPサーバ20Bに通知する。この通知の内容を反映して、該当する解析完了通知ファイル23bがFTPサーバ20B上の共有フォルダ23内に生成される。
<共有フォルダ23の構成例>
本発明の第2実施形態における共有フォルダ23の構成例を図8に示す。
図8に示した例では、FTPサーバ20B上の記憶領域の構成として、「root」の配下に「WIRELESS」が配置され、その配下に共有フォルダ23が配置されている。そして、この共有フォルダ23の中には、運行データを管理するための運行「UNKOU」フォルダ231、各種設定(configration)ファイルを管理するための設定「SETTEI」フォルダ232等が含まれている。したがって、これらの運行フォルダ231、設定フォルダ232も共有フォルダであり、これらの中に存在するフォルダも共有フォルダ、ファイルは共有ファイルである。
図8に示した例では、運行フォルダ231の中に、互いに独立した複数の運行フォルダ231-1、231-2が形成されている。また、各運行フォルダ231-1、231-2の中には、運行データファイル23aがそれぞれ配置されている。なお、各運行フォルダ231-1、231-2、およびこれらの中の運行データファイル23aは、車載器10Bからの指示により作成されるものである。したがって、各運行フォルダ231-1、231-2、およびこれらの中の運行データファイル23aは、車両毎にそれぞれ存在している。
各運行フォルダ231-1、231-2、および運行データファイル23aは、共有可能に構成されているので、FTPサーバ20Bおよび事務所PC30Bがこれらにアクセスしてデータを読み出すことが可能である。但し、データの書き込みや削除の権限は、送信元の車載器10Bにのみ与えられている。
設定フォルダ232の中には、車両毎にそれぞれ個別に用意された複数の設定フォルダ232-1、232-2、・・・と、全ての車両を共通に管理するための設定フォルダ(ALL)232-Aと、SETフォルダ232-Sとが含まれている。
例えば、車両コード「11111111」が割り当てられた車両を管理するための各種設定ファイルやデータは、設定フォルダ232-1の中に配置される。また、車両コード「22222222」が割り当てられた車両を管理するための各種設定ファイルやデータは、設定フォルダ232-2の中に配置される。そして、例えば車両コード「11111111」が割り当てられた車両上の車載器10Bから送信された運行データに対応付けられる前述の解析完了通知ファイル23bは、図8に示すように設定フォルダ232-1の中に配置される。
なお、図8に示した「root」、「WIRELESS」、運行フォルダ231、設定フォルダ232、設定フォルダ232-1、232-2、232-A、232-Sは、それぞれFTPサーバ20Bが作成したものである。また、解析完了通知ファイル23bもFTPサーバ20Bが作成する。
実際の解析完了通知ファイル23bの名称は、事務所PC30Bにおける該当する解析処理の結果が成功の場合は「OK_運行ファイル名」になり、解析処理の結果が失敗の場合は「NG_運行ファイル名」になる。したがって、この解析完了通知ファイル23bの名称の違いにより、該当する解析処理の結果が成功か否かを、運行データ毎に個別に区別できる。
図8に示した例では、各設定フォルダ232-1、232-2の中に、解析完了通知ファイル23bの他に、アプリケーション(APL)ダウンロード通知ファイル、設定ダウンロード通知ファイル、グループ設定管理ファイル、ダウンロード期間ファイル、ダウンロード開始ファイルがある。
<FTPサーバ20Bの動作例>
本発明の第2実施形態におけるFTPサーバ20Bの動作例を図9に示す。図9に示した動作について以下に説明する。
FTPサーバ20Bは、処理対象の車両毎に、運行フォルダ231内の各運行フォルダ231-1、231-2、・・・を順番に参照し、各運行データファイル23aの内容を処理PR1の各ステップS51~S54で順番に事務所PC30Bに送信する。また、所定時間以内に送信完了しない場合(S52,S54)には、無線LANのエラーとして処理する(S55)。
FTPサーバ20Bは、設定フォルダ232内で該当する車両コードの設定フォルダ(232-1、232-2等のいずれか)を探して、このフォルダ内にあるファイル一覧(ファイルリスト)を確認して(S56)、次の処理PR2に進む。
FTPサーバ20Bは、解析処理の結果が失敗であったことを表す「解析NG」の解析完了通知ファイル23bの有無を識別し(S57)、「解析NG」の解析完了通知ファイル23bが存在する場合には、該当する運行データファイル23aを事務所PC30Bに再送する(S58)。
すなわち、「解析NG」の解析完了通知ファイル23bが存在する場合には、車載器10Bが該当する運行データを再送し、バックアップファイル(BU運行)23a-2として管理されているので、このバックアップファイルの内容を事務所PC30Bに再送することができる。なお、この再送の処理については、FTPサーバ20Bが自律的に実行してもよいし、車載器10Bからの指示(機能114に相当)に従って再送を開始するように制御してもよい。
なお、各解析完了通知ファイル23bは、事務所PC30Bにおける解析処理の終了時に、事務所PC30Bからの通知の内容に基づいて、FTPサーバ20Bが作成するものである。
上記処理PR2の後で、FTPサーバ20Bは該当するファイル一覧について、ファイル名称の変更(リネーム)を実行する(S59)。具体的には、各解析完了通知ファイル23bの名称の頭に、処理を実行した時刻の情報を付加する。また、FTPサーバ20Bは「解析NG」の解析完了通知ファイル23bの場合には、再送処理の後でリネームを実行する。また、FTPサーバ20Bは「解析OK」の解析完了通知ファイル23bを確認した場合には、該当する運行データに関連付けられた「事務所保存完了」を表すフラグをセットする。
また、アプリケーションソフトウェアの新たなバージョンが存在している場合や、新たな設定ファイルが存在している場合には、それらのダウンロードを実行し(S60,S61)、それらのファイルのリネームを実行する(S62)。
<FTPサーバ20Bの状態遷移例>
本発明の第2実施形態におけるFTPサーバ20Bの状態遷移の例を図10に示す。
すなわち、FTPサーバ20Bが図9に示した動作を実行する場合に、図10に示したようにFTPサーバ20B上の状態が遷移する。
FTPサーバ20Bは、最初に設定フォルダ232内で該当する自車両のコードに対応付けられたフォルダ232-1等を確認する(S71)。次に、このフォルダ232-1等の中に存在している解析完了通知ファイル23bを確認する。そして、例えば3つの解析完了通知ファイル23bが存在する場合には、これらの各々について、「解析OK」、「解析NG」を区別する(S72)。
「解析NG」の解析完了通知ファイル23bが見つかった場合には、FTPサーバ20Bは運行フォルダ231内の該当する運行データファイル23aを、事務所PC30Bへ再送する(S73)。また、既に送信済みの運行データファイル23aを再送する場合には、ファイル名を変更してから再送する(S74)。
FTPサーバ20Bは、送信済みの運行データファイル23aについて解析完了通知ファイル23bを確認した後、この解析完了通知ファイル23bをリネーム処理する(S75)。そして、FTPサーバ20Bは「解析OK」の解析完了通知ファイル23bを確認した運行データに関連付けられた「事務所保存完了」を表すフラグをセットする(S76)。したがって、事務所PC30Bにおいて解析処理の失敗が発生し、保存フォルダ36上に処理の結果が記録されなかった場合でも、同じ車両が次回に入庫した際に、自動的に運行データの再送が実行され、事務所PC30B側のデータを復旧することができる。
<変形の可能性>
上述の運行データ管理システム100においては、FTPサーバ20の記憶装置21にアップロードされたデータがダウンロードされた時に、該当するデータが記憶装置21から自動的に削除される場合を想定している。したがって、事務所PC30が運行データの再送を必要とする時には、車載器10が再び運行データをFTPサーバ20にアップロードする必要がある。しかし、FTPサーバ20の記憶装置21からデータがダウンロードされた後でも、記憶装置21上のデータを削除せずそのまま保持することも可能である。その場合には、再送のために車載器10が運行データをFTPサーバ20に再びアップロードする必要はない。また、車載器10上の運行データを削除するタイミングを早めることも可能になる。但し、FTPサーバ20の記憶装置21には十分な記憶容量を予め確保しておく必要がある。
上述の運行データ管理システム100においては、車載器10と無線LAN設備71との間で近距離無線通信を行う場合を想定しているので、第三者へのデータ漏洩などに対するセキュリティ対策を施す必要はない。しかし、無線通信可能な範囲を広げる場合や、広域無線通信を利用してデータ転送を実施する場合にはセキュリティ対策が必要になる。その場合は、データの暗号化を含むプロトコルを用いてデータ転送することが望ましい。したがって、一般的なファイル転送プロトコル(FTP)の代わりに、FTPS (File Transfer Protocol over SSL/TLS) やSFTP(SSH File Transfer Protocol)を用いることが想定される。
<運行データ管理システム100の利点>
上述の運行データ管理システム100においては、車載器10上の大容量の運行データを事務所PC30に転送する際に、FTPサーバ20で中継し、ファイル転送プロトコル(FTP)によるアップロードおよびダウンロードの機能を利用するので、双方向の通信を行う必要がなく、効率よくデータを転送できる。すなわち、短時間でアップロードおよびダウンロードを完了できる。
また、事務所PC30がFTPサーバ20からダウンロードした運行データの解析に失敗した場合であっても、再送要求を実施することにより、同じ運行データを再びダウンロードすることが可能である。また、車載器10においては、事務所PC30が運行データの解析に成功した後、事務所PC30からの削除要求に従って運行データを削除するので、適切なタイミングでデータの削除を実行できる。すなわち、事務所PC30が再送を要求する可能性がある時には送信済みであっても運行データを保持し、事務所PC30が再送を要求する可能性がなくなった時に運行データを削除し、記録媒体17上に新たに書き込み可能な記憶領域を確保することができる。
ここで、上述した本発明に係る運行データ管理システムの実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]~[6]に簡潔に纏めて列記する。
[1] 車両の運行状態を表す運行データを記録し、記録した前記運行データを無線で送信する車載器(10)と、
前記車載器から前記運行データを取得して前記車両の運行を管理する管理装置(事務所PC30)と、
前記運行データを少なくとも一時的に記憶可能なファイル格納装置(FTPサーバ20)と、
を備え、
前記車載器は、前記運行データを前記ファイル格納装置に対して送信し、
前記管理装置は、前記ファイル格納装置から前記運行データの取得が完了した場合には、前記車載器に記録されている前記運行データの削除を要求する削除要求データを前記ファイル格納装置に送信し(S13,S31)、
前記車載器は、前記ファイル格納装置に前記削除要求データが記憶されている場合には、所定時間の経過後に、前記運行データを削除する(S16~S18,S40,S41)、
ことを特徴とする運行データ管理システム。
[2] 前記管理装置は、前記運行データを再取得する場合には、前記運行データの再送を要求する再送要求データを前記ファイル格納装置に送信し(S28,S34)、
前記車載器は、前記ファイル格納装置に前記再送要求データが記憶されている場合には、前記ファイル格納装置に前記運行データを再送する(S15-S13,S36)、
ことを特徴とする上記[1]に記載の運行データ管理システム。
[3] 前記ファイル格納装置は、前記運行データの記憶用に割り当てられた運行データ記憶領域(「車載器→PC」フォルダ21a)と、前記削除要求データ及び前記再送要求データの記憶用に割り当てられた要求データ記憶領域(「PC→車載器」フォルダ21b)と、を有する、
ことを特徴とする上記[2]に記載の運行データ管理システム。
[4] 前記ファイル格納装置は、送信元クライアントからサーバに向けてデータファイルをアップロードする機能と、前記サーバから前記データファイルを受信先クライアントに向けてダウンロードする機能と、を有するファイル転送プロトコル(FTP)を搭載したファイル転送サーバ(FTPサーバ20)である、
ことを特徴とする上記[1]乃至[3]のいずれかに記載の運行データ管理システム。
[5] 前記ファイル格納装置は、前記運行データの一時記憶用に割り当てられた運行データ記憶領域(運行フォルダ231)と、前記管理装置が受け取った前記運行データに対する解析結果の成否を表すデータを記憶可能な状態データ記憶領域(設定フォルダ232)と、を有し、
前記車載器は、前記状態データ記憶領域に、前記解析結果の成功を表すデータが保持されていることを検知した場合に、所定領域にバックアップとして保持されている前記運行データの削除を実行する(機能113,120)、
ことを特徴とする上記[1]に記載の運行データ管理システム。
[6] 前記管理装置は、前記ファイル格納装置から取得した前記運行データを解析処理して、その解析結果の成否を表すデータを、前記状態データ記憶領域に送信し(S27B,S28B)、
前記車載器は、前記状態データ記憶領域に、前記解析結果の失敗を表すデータが存在する場合には、前記バックアップとして保持されている該当する前記運行データを前記管理装置に対して再送する(機能114,S58)、
ことを特徴とする上記[5]に記載の運行データ管理システム。
10,10B 車載器
11 制御部
12 無線通信モジュール
13 外部入力部
14 電源部
15 表示部
16 ユーザ操作部
17 記録媒体
18 外部接続部
19 音声出力部
20,20B FTPサーバ
21 記憶装置
21a 「車載器→PC」フォルダ
21b 「PC→車載器」フォルダ
23 共有フォルダ
23a 運行データファイル
23а-2 バックアップファイル
23b 解析完了通知ファイル
231 運行フォルダ
232 設定フォルダ
30,30B 事務所PC
31 制御部
32 通信インタフェース
33 操作部
34 表示部
35 データベース
36 保存フォルダ
60 事務所
70 有線ローカルネットワーク
71 無線LAN設備
80 業務用車両
100,100B 運行データ管理システム
110 入庫時の機能
120 出庫時の機能

Claims (5)

  1. 車両の運行状態を表す運行データを記録し、記録した前記運行データを無線で送信する車載器と、
    前記車載器から前記運行データを取得して前記車両の運行を管理する管理装置と、
    前記運行データを少なくとも一時的に記憶可能なファイル格納装置と、
    を備え、
    前記車載器は、前記運行データを前記ファイル格納装置に対して送信し、
    前記管理装置は、前記ファイル格納装置から取得した前記運行データの処理に成功した場合には、前記車載器に記録されている前記運行データの削除を要求する削除要求データを前記ファイル格納装置に送信し、
    前記車載器は、前記ファイル格納装置に前記削除要求データが記憶されるまで、前記ファイル格納装置に対して送信した前記運行データを保持し続け、前記ファイル格納装置に前記削除要求データが記憶されている場合には、前記運行データを削除
    前記管理装置は、前記ファイル格納装置から取得した前記運行データの処理に失敗した場合には、前記運行データの再送を要求する再送要求データを前記ファイル格納装置に送信し、
    前記車載器は、前記ファイル格納装置に前記再送要求データが記憶されている場合には、前記ファイル格納装置に前記運行データを再送する、
    ことを特徴とする運行データ管理システム。
  2. 前記ファイル格納装置は、前記運行データの記憶用に割り当てられた運行データ記憶領域と、前記削除要求データ及び前記再送要求データの記憶用に割り当てられた要求データ記憶領域と、を有する、
    ことを特徴とする請求項に記載の運行データ管理システム。
  3. 前記ファイル格納装置は、送信元クライアントからサーバに向けてデータファイルをアップロードする機能と、前記サーバから前記データファイルを受信先クライアントに向けてダウンロードする機能と、を有するファイル転送プロトコルを搭載したファイル転送サーバである、
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の運行データ管理システム。
  4. 前記ファイル格納装置は、前記運行データの一時記憶用に割り当てられた運行データ記憶領域と、前記管理装置が受け取った前記運行データに対する解析結果の成否を表すデータを記憶可能な状態データ記憶領域と、を有し、
    前記車載器は、前記状態データ記憶領域に、前記解析結果の成功を表すデータが保持されていることを検知した場合に、所定領域にバックアップとして保持されている前記運行データの削除を実行する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の運行データ管理システム。
  5. 前記管理装置は、前記ファイル格納装置から取得した前記運行データを解析処理して、その解析結果の成否を表すデータを、前記状態データ記憶領域に送信し、
    前記車載器は、前記状態データ記憶領域に、前記解析結果の失敗を表すデータが存在する場合には、前記バックアップとして保持されている該当する前記運行データを前記管理装置に対して再送する、
    ことを特徴とする請求項に記載の運行データ管理システム。
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