JP7039005B2 - 植物由来のアルカン合成酵素遺伝子を導入した細胞を用いるアルカンの製造方法 - Google Patents

植物由来のアルカン合成酵素遺伝子を導入した細胞を用いるアルカンの製造方法 Download PDF

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本発明は、アルカン(alkane)の合成能を有する形質転換体、及び該形質転換体を利用したアルカンの製造方法に関する。
アルカンは、石油に含まれており分留によって精製され、様々な用途に利用される。軽油は、灯油と重油の中間の沸点範囲を持つ石油留分であり、沸点範囲が約170~360℃の留分である。軽油は、主としてディーゼルエンジンの燃料として使用され、炭素数10~20程度(主成分は15~19)のアルカンである。アルカンは燃料としても材料としても有用な物質であるが、その生産は専ら石油に依存しているため、生物を利用して生産する方法が求められている。
しかしながら、一部のシアノバクテリアでアルカン合成能力を持つものが見つかっているものの、バイオ燃料生産で中心的な役割を果たす酵母や緑藻などの下等真核生物が容易に合成できるのは主に脂肪酸、油脂、テルペノイドなどであり、アルカン合成能力を持つものがほとんどいないため、アルカンの生物生産の技術開発は進んでいない。
多くの被子植物は高いアルカン生産能を持ち、細胞内で合成したアルカンを体表面に分泌して、乾燥、紫外線、冠水などの物理ストレスや病原菌などの生物ストレスから体を守るために利用している。また、葯のタペート細胞では、合成して一時的に細胞内に蓄積したアルカンを細胞死によって放出し、花粉表面に沈着させて花粉稔着物質(ポレンコート)を作る。シロイヌナズナからアルカン合成酵素遺伝子CER1及びCER3が同定されており、CER3はアシルCoAをアルデヒドに還元する酵素、CER1はアルデヒドを脱カルボニル化して元のアシル基よりも炭素鎖長が1個少ない炭化水素を生成する酵素であることが明らかになっている(例えば、非特許文献1)。
そこで、シロイヌナズナからアルカン合成酵素の遺伝子を取り出し、酵母に遺伝子導入してアルカンを生合成する実験が試みられている(例えば、非特許文献2)。しかし、CER1及びCER3の2つのアルカン合成酵素遺伝子を通常の酵母に遺伝子導入してもアルカンが生産されることはない。炭素鎖長28以上の超長鎖脂肪酸を合成できるように改変した酵母にCER1とCER3を遺伝子導入してはじめてアルカンの生産が見られるが、その炭素鎖長はC27~C31であり、燃料として使用するには長すぎるものである。
その他には、特許文献1~3において微生物を使用したアルカンの製造方法が開示されているが、特許文献1でのみCER1を使用したことが報告されている。
特許第5723977号公報 特許第6189793号公報 国際公開第2013/129393号
Bourdenx et al., Plant Physiology, 156, 29-45 (2011) Bernard et al., Plant Cell, 24, 3106-3118 (2012)
本発明は、軽油に含まれる鎖長のアルカンの合成能を有する形質転換体、及び該形質転換体を利用したアルカンの製造方法を提供することを目的とする。
植物のアルカン合成酵素の中で唯一研究が進んでいるのはシロイヌナズナのCER1 (以下、AtCER1)とCER3 (以下、AtCER3)であり、この二つの酵素がペアで働いた時に基質として用いるのは主に炭素鎖長28以上の超長鎖アシルCoAである。しかし、酵母、藻類、植物培養細胞などはこのような超長鎖アシルCoAを合成する能力が著しく低いため、これらの細胞にAtCER1とAtCER3をペアで導入してもアルカンを生合成することはできない。また、仮にできたとしてもC27以上のアルカンでは鎖長が長すぎて軽油として用いることはできない。
本発明者らは、軽油の主成分と鎖長範囲が重なるC15からC23のアルカンを多く合成することができる被子植物としてスイレンを見出し、スイレンのアルカン合成酵素NyCER1A、NyCER3A及びNyCER3Bの遺伝子をクローニングした。NyCEA3AとNyCER3BはAtCER3の相同遺伝子であり、NyCER1AはAtCER1の相同遺伝子である。そして、それぞれ脂肪酸を還元してアルデヒドにする酵素、及びアルデヒドのカルボニル基を除去してアルカンを合成する酵素である。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、NyCER1AとNyCER3A、又はNyCER1AとNyCER3Bをペアでタバコ培養細胞BY-2に遺伝子導入して発現させたところ、本来アルカンを全く合成しないBY-2細胞が軽油に含まれる鎖長のアルカンを合成することができるようになるという知見を得た。
本発明は、これら知見に基づき、更に検討を重ねて完成されたものであり、次の形質転換体及びアルカンの製造方法を提供するものである。
項1.以下の(a)又は(b)のタンパク質をコードする核酸、及びCER3をコードする核酸が導入された形質転換体であって、大腸菌、酵母、シアノバクテリア、細菌、真菌、藻類、コケ類、又は植物培養細胞を宿主とする、形質転換体:
(a) 配列番号1に記載されるアミノ酸配列からなるタンパク質
(b) 配列番号1に記載されるアミノ酸配列と60%以上の同一性を有し、且つアルデヒド化合物から炭素数が1つ少ない炭化水素を合成する活性を有するタンパク質。
項2.前記CER3が以下の(c)~(h)のいずれかのタンパク質である、項1に記載の形質転換体:
(c) 配列番号2に記載されるアミノ酸配列からなるタンパク質
(d) 配列番号2に記載されるアミノ酸配列と70%以上の同一性を有し、且つ脂肪酸又はアシルCoAを還元してアルデヒド化合物を合成する活性を有するタンパク質
(e) 配列番号3に記載されるアミノ酸配列からなるタンパク質
(f) 配列番号3に記載されるアミノ酸配列と70%以上の同一性を有し、且つ脂肪酸又はアシルCoAを還元してアルデヒド化合物を合成する活性を有するタンパク質
(g) 配列番号4に記載されるアミノ酸配列からなるタンパク質
(h) 配列番号4に記載されるアミノ酸配列と70%以上の同一性を有し、且つ脂肪酸又はアシルCoAを還元してアルデヒド化合物を合成する活性を有するタンパク質。
項3.項1又は2に記載の形質転換体を培養し、培養物からアルカンを回収する工程を含むアルカンの製造方法。
項4.前記アルカンの炭素数が15~19である、項3に記載の製造方法。
本発明の形質転換体は、長鎖脂肪酸を基質とするアルカン合成酵素の遺伝子が遺伝子導入されているため、本来アルカンを全く合成しないような宿主であっても、軽油に含まれる鎖長のアルカンを合成することができる。
また、本発明の方法によれば、形質転換体を培養することで、軽油に含まれる鎖長のアルカンを、石油に依存することなく生物を利用して生産することが可能となる。
タバコ培養細胞BY-2のカルスから抽出した脂質のGC-MSのトータルイオンクロマトグラムを示す図である。数字はアルカン(全て直鎖アルカン)の炭素鎖長を示し、アルファベットは遊離脂肪酸(P, C16:0; L, C18:2; O, C18:1; S, C18:0; A, C20:0)を示す。BY2: 非形質転換BY-2、+AtCER1+AtCER3: シロイヌナズナのAtCER1とAtCER3を遺伝子導入したBY-2、+NyCER1A+NyCER3A: スイレンのNyCER1AとNyCER3Aを遺伝子導入したBY-2、+NyCER1A+NyCER3B: スイレンのNyCER1AとNyCER3Bを遺伝子導入したBY-2、+NyCER1A+AtCER3: スイレンのNyCER1AとシロイヌナズナのAtCER3を遺伝子導入したBY-2 タバコ培養細胞BY-2のアルカンの生産量を示すグラフである。それぞれ3個の独立に形質転換されたカルスから脂質を抽出し、各鎖長のアルカンをGC-MSで定量した。細胞の湿重量(g)あたりのアルカンの蓄積量(μg)で表した。定量時の内部標準としてC15アルカンを使用した。+At1+At3: シロイヌナズナのAtCER1とAtCER3を遺伝子導入したBY-2、+Ny1A+Ny3A: スイレンのNyCER1AとNyCER3Aを遺伝子導入したBY-2、+Ny1A+Ny3B: スイレンのNyCER1AとNyCER3Bを遺伝子導入したBY-2 スイレンのNyCER1AとシロイヌナズナのAtCER3を遺伝子導入したタバコ培養細胞BY-2のアルカンの生産量を示すグラフである。実験法と図中の表記は図2と同様である。
以下、本発明について詳細に説明する。
なお、本明細書において「含む(comprise)」とは、「本質的にからなる(essentially consist of)」という意味と、「のみからなる(consist of)」という意味をも包含する。
本発明において「遺伝子」とは、特に言及しない限り、2本鎖DNA、1本鎖DNA(センス鎖又はアンチセンス鎖)、及びそれらの断片が含まれる。また、本発明において「遺伝子」とは、特に言及しない限り、調節領域、コード領域、エクソン、及びイントロンを区別することなく示すものとする。
また、本発明において、「核酸」、「ヌクレオチド」及び「ポリヌクレオチド」は同義であって、これらはDNA及びRNAの両方を含み、2本鎖であっても1本鎖であってもよい。
本明細書において、「長鎖脂肪酸」とは炭素数11~20の脂肪酸を意味し、「超長鎖脂肪酸」とは炭素数21以上の脂肪酸を意味する。
本明細書において、アルカン合成酵素、AtCER1、AtCER3、NyCER1A、NyCER3A及びNyCER3Bは特に明示が無い限りタンパク質を意味するものとするが、遺伝子として解釈することが適切な場合は遺伝子を意味するものとする。
本発明の形質転換体は、以下の(a)又は(b)のタンパク質をコードする核酸、及びCER3をコードする核酸が導入され、大腸菌、酵母、シアノバクテリア、細菌、真菌、藻類、コケ類又は植物培養細胞を宿主とすることを特徴とする。
(a) 配列番号1に記載されるアミノ酸配列からなるタンパク質
(b) 配列番号1に記載されるアミノ酸配列と60%以上の同一性を有し、且つアルデヒド化合物から炭素数が1つ少ない炭化水素を合成する活性を有するタンパク質。
配列番号1に記載されるアミノ酸配列からなるタンパク質は、スイレン(Nymphaea sp.)由来のアルカン合成酵素CER1 (NyCER1A)であり、該タンパク質は、例えば、配列番号5に記載される塩基配列からなる核酸にコードされる。
NyCER1Aは、アルカン合成酵素の1種であり、アルデヒド化合物から炭素数が1つ少ない炭化水素を合成する活性(脱カルボニル化活性)を有している。ここで、アルデヒド化合物としては、(飽和)炭化水素、特に(飽和)脂肪族炭化水素の1つの水素原子がアルデヒド基で置換された化合物が望ましい。アルデヒド化合物の炭素数は、好ましくは16~20である。炭化水素としては、(飽和)脂肪族炭化水素が望ましい。
CER3は、脂肪酸又はアシルCoAを還元してアルデヒド化合物を合成する活性を有している酵素である。ここで、脂肪酸(アシルCoAを含む)としては、炭素数が16~20の(飽和)脂肪酸が望ましい。アルデヒド化合物としては、(飽和)炭化水素、特に(飽和)脂肪族炭化水素の1つの水素原子がアルデヒド基で置換された化合物が望ましい。
CER3としては、特に制限されず、例えば、シロイヌナズナ由来のAtCER3、スイレン由来のNyCER3A、NyCER3Bなどが挙げられる。
CER3としては、好ましくは、以下の(c)~(h)のいずれかのタンパク質である。
(c) 配列番号2に記載されるアミノ酸配列からなるタンパク質
(d) 配列番号2に記載されるアミノ酸配列と70%以上の同一性を有し、且つ脂肪酸又はアシルCoAを還元してアルデヒド化合物を合成する活性を有するタンパク質
(e) 配列番号3に記載されるアミノ酸配列からなるタンパク質
(f) 配列番号3に記載されるアミノ酸配列と70%以上の同一性を有し、且つ脂肪酸又はアシルCoAを還元してアルデヒド化合物を合成する活性を有するタンパク質
(g) 配列番号4に記載されるアミノ酸配列からなるタンパク質
(h) 配列番号4に記載されるアミノ酸配列と70%以上の同一性を有し、且つ脂肪酸又はアシルCoAを還元してアルデヒド化合物を合成する活性を有するタンパク質
配列番号2に記載されるアミノ酸配列からなるタンパク質は、スイレン(Nymphaea sp.)由来のアルカン合成酵素CER3A (NyCER3A)であり、該タンパク質は、例えば、配列番号6に記載される塩基配列からなる核酸にコードされる。
配列番号3に記載されるアミノ酸配列からなるタンパク質は、スイレン(Nymphaea sp.)由来のアルカン合成酵素CER3B (NyCER3B)であり、該タンパク質は、例えば、配列番号7に記載される塩基配列からなる核酸にコードされる。
配列番号4に記載されるアミノ酸配列からなるタンパク質は、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)由来のアルカン合成酵素CER3 (AtCER3)であり、該タンパク質は、例えば、配列番号8に記載される塩基配列からなる核酸にコードされる。
上記(b)における配列番号1に記載されるアミノ酸配列との同一性としては、好ましくは70%以上、より好ましくは75%以上、更に好ましくは80%以上、更により好ましくは85%以上、更により好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上、最も好ましくは97%以上である。
上記(d)、(f)及び(h)における配列番号2~4に記載されるアミノ酸配列との同一性としては、好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上、更に好ましくは85%以上、更により好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上、最も好ましくは97%以上である。
アミノ酸配列の同一性(%)は、当該分野で慣用のプログラム(例えば、BLAST、FASTA等)を初期設定で用いて決定することができる。
上記核酸は、cDNAライブラリを鋳型としたPCR法、化学合成、生化学的切断/再結合などの常法で作製することができる。cDNAライブラリとしては、スイレン由来のもの、特にスイレンの雄蕊由来のものを好適に使用することができる。また、改変された核酸の作製も常法に従って行うことができる。
宿主細胞への上記核酸の導入は、当該核酸を含む発現ベクターを利用すること等の公知の方法により行うことができる。上記核酸の導入に用いる発現ベクターとしては、特に制限されず、公知の発現ベクターを広く使用することができる。上記核酸を導入する宿主の種類等を考慮し、適切な発現ベクターを適宜選択すればよい。発現ベクターは、上記核酸以外にも、プロモーター、エンハンサー、ターミネーター、ポリアデニル化シグナル、選択マーカー、複製起点などを含有し得る。発現ベクターは、自立的に複製するベクター、及び宿主細胞に導入された際に宿主細胞のゲノムに組み込まれ、組み込まれた染色体と共に複製されるもののいずれも使用することができる。
発現ベクターの構築、及び当該発現ベクターの細胞への導入法は周知であり、例えば、Sambrook and Russell, Molecular Cloning, A Laboratory Manual 3rd edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press (2001)等の記載を参考にして実施することができる。宿主への発現ベクターの導入法としては、例えば、コンピテントセル法、プロトプラスト法、スフェロプラスト法、エレクトロポーレーション法、リン酸カルシウム法、リポフェクション法、アグロバクテリウム法、ポリエチレングリコール法、リポソーム法、マイクロインジェクション法、酢酸リチウム法等が挙げられる。
上記核酸を導入する宿主としては、例えば、細菌(例えば、大腸菌(Escherichia coli)、バチルス(Bacillus)属、ストレプトマイセス(Streptmyces)属、シュードモナス(Pseudomonas)属、ロドコッカス(Rhodococcus)属、ストレプトコッカス(Streptococcus)属、スタフィロコッカス(Staphylococcus)属)、真菌(例えば、酵母(サッカロマイセス(Saccharomyces)属、シゾサッカロマイセス(Schizosaccharomyces)属、ピキア(Pichia)属など)、糸状菌(アスペルギルス(Aspergillus)属など))、藻類(例えば、微細藻類である、シアノバクテリア、紅色植物門、灰色植物門、緑藻植物門、車軸藻類、不等毛植物門、渦鞭毛植物門、クリプト植物門、ハプト植物門、ユーグレナ植物門、及びクロララクニオン植物門に属する生物)、コケ類(ゼニゴケ植物門、ツノゴケ植物門、及びマゴケ植物門に属する生物)、及び植物培養細胞(例えば、タバコ由来(BY-2細胞など)、シロイヌナズナ由来、イネ由来、ダイズ由来、トマト由来、ゴマ由来、及びニチニチソウ由来の細胞)などが挙げられる。
上記のバチルス属としてバチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis)、サッカロマイセス属としてサッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、シゾサッカロマイセス属としてシゾサッカロマイセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)、ピキア属としてピキア・パストリス(Pichia pastoris)、アスペルギルス属としてアスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)などが挙げられる。
上記核酸を導入する宿主としては、好ましくはタバコBY-2培養細胞である。後述する実施例で示すように、BY-2細胞を宿主として使用することでアルカンの高い生産量を得ることができる。
本発明で用いる宿主は、本来軽油に含まれる鎖長のアルカンを合成する能力がないにもかかわらず、長鎖脂肪酸(又は長鎖アシルCoA)に基質特異性を有するアルカン合成酵素(上記の(a)又は(b)とCER3)の遺伝子のみが遺伝子導入されるだけで当該アルカンを合成できるようになる。これは後述する実施例で示されている。いずれの生物も炭素数が16~20程度の長鎖脂肪酸又は長鎖アシルCoAを有しているため、これらを基質に用いるアルカン合成酵素の遺伝子導入を行えば、当該長鎖脂肪酸(又は長鎖アシルCoA)のアルデヒドへの還元と脱カルボニル化が行われて炭素数が15~19程度のアルカンが生産されるものと推測される。
しかし、AtCER1とAtCER3、又はその類似遺伝子の組み合わせで遺伝子導入を行った場合に当該アルカンが合成された例はこれまでなく、この2つの遺伝子を遺伝子導入するだけでは不十分であると考えられていた。本発明者らは、この原因は一般的なCER1が炭素数16~20のアルデヒドを利用できないことにあると考え、短い炭素数のアルデヒドを利用できるスイレンのNyCER1Aを見つけ出し、それをスイレンのNyCER3A (若しくはNyCER3B)又はシロイヌナズナのAtCER3とともに遺伝子導入する方法を考案してアルカンの合成に成功した。このようなことはこれまで成功例がなかっただけに、実際に2つの遺伝子の遺伝子導入だけでアルカン合成が確認できたのは大変意外なことであった。
本発明のアルカンの製造方法は、上記形質転換体を培養し、培養物からアルカンを回収する工程を含むことを特徴とする。
形質転換体の培養は、宿主に適した培地及び培養条件により行うことができる。培養は形質転換体の内外に生産されたアルカンの量を指標として、所望量のアルカンが得られるまで行えばよい。培養は液体培養又は固体培養のいずれでも行うことができる。以下、微生物の形質転換体を培養する場合の培地及び培養条件を示す。
本発明の製造方法に使用する培地としては、上記形質転換体が生育でき且つアルカンを産生できる培地であれば特に制限されず、炭素源、窒素源、無機塩などの栄養源を含有する合成培地又は天然培地を使用することができる。例えば、培地の炭素源としては、グルコース、スクロース、フラクトース、マルトース、デキストリン、デンプン、グリセリン、オリゴ糖、麦芽エキス、糖蜜、有機酸等が挙げられる。また、窒素源としては、各種ペプトン、コーンスティープリカー、酵母エキス、フスマエキス、大豆粉、肉エキス、カゼイン、アミノ酸、尿素等の有機窒素源、硝酸塩、アンモニウム塩等の無機窒素源等が挙げられる。無機塩類としては、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、鉄塩、その他の金属塩等が挙げられる。さらに、その他の栄養源としては、ビタミン類、アミノ酸類、核酸類等が挙げられる。
培養は、一般的な微生物の培養方法等に従って行うことができる。培養は、通気攪拌培養、振盪培養、固相培養等によって行うことができる。また、培養方式については、回分培養、流加培養及び連続培養の何れの方式によっても行うことができる。培養条件(温度、pH、培養時間等)は、培養する形質転換体の生育特性に応じて適宜設定することができ、培養温度としては、通常10~40℃、好ましくは25~37℃であり、pHとしては、通常pH4~8、好ましくはpH5~7である。培養時間としては、細菌や真菌等の場合は通常1~100時間、好ましくは5~50時間である。藻類、コケ類、植物培養細胞等の場合は通常1~60日、好ましくは5~20日である。
培養により得られた培養物(例えば、細胞、培養上清など)には、アルカンが蓄積されている。細胞内に蓄積したアルカンの細胞からの溶出は、常法に従って行うことができる。具体的には、細胞を超音波、高圧ホモジナイザー、フレンチプレス等の機械的破砕処理、シクロヘキサン、トルエン、酢酸エチル、クロロホルム等による処理、リゾチームによる溶菌処理などの方法が挙げられる。このようにして得られたアルカン溶出液及びアルカン含有培養上清は必要に応じて更に精製工程に供することもできる。
アルカンの精製は、常法に従い行うことができる。例えば、細胞破砕液若しくは培養上清にメタノール、クロロホルムなどの有機溶媒を添加し攪拌した後、水層と溶媒層に分離し、溶媒層からアルカンを抽出することができる。
本発明の製造方法により得られるアルカンの炭素数としては、常温で液体である炭素数が好ましく、好ましくは15~19である。この範囲であれば軽油に含まれるアルカンの炭素数に対応する。
本発明の方法によれば、形質転換体を培養することで、軽油に含まれる鎖長のアルカンを生物を利用して生産することが可能となる。軽油に含まれるアルカンの炭素数は少量の成分も含めると8~24である。後述する実施例において、BY-2細胞を使用して生産したアルカンの約8割がこの範囲に入り、軽油の主成分である炭素数15~19のアルカンも生産することが可能であった。
そのため、化石燃料である石油に依存することのない軽油の生産方法としての利用が期待される。
以下、本発明を更に詳しく説明するため実施例を挙げる。しかし、本発明はこれら実施例等になんら限定されるものではない。
1.cDNAクローニング
(1) 温帯性スイレンの一種(Nymphaea sp.)のつぼみの葯(約200 mg)を、液体窒素を入れた乳鉢中で破砕し、粉末状になったところにTRIzol試薬(サーモフィッシャーサイエンティフィック社) 1 mlを加え、凍結状態のまま更に粉砕した。次に、ホットスターラー上の乳鉢に70℃に温めたTRIzol試薬1 mlを入れておき、そこに前述の粉砕したサンプルをスパーテルですくって加え、直ちに溶かすとともに予熱しておいた乳棒でよくすりつぶした。その後、1.5 mlのサンプリングチューブ2本に分注し、それぞれにクロロホルムを200μl加えて15秒間上下反転させてしっかりと撹拌した後に12,000×g、4℃で15分間遠心した。遠心後のサンプルの上層を新しい1.5 mlのサンプリングチューブにそれぞれ移し、イソプロパノールを500μl加えてよく混合した後、12,000×g、4℃で10分間遠心した。上清を除去し、チューブの底に残ったRNAの沈澱に75%エタノールを1 ml加えて洗浄し、7,500×g、4℃で5分間遠心した。上清を取り除き、残った粗RNAの沈澱を微量遠心濃縮機で10分間遠心しながら減圧乾燥した。
引き続きRNeasy mini kit (キアゲン社)を用いてRNAを精製した。粗RNAをRNase free water 100μlとキット付属のRLT液350μlをあらかじめ混合した溶液で溶解し、更に58℃で10分間インキュベートした。氷上で室温まで冷ました後、100%エタノール250μlを加えてピペッティングによって混合し、RNeasyスピンカラムにアプライした。以降はキット付属の説明書の標準プロトコールに従って精製操作を行い、30μlのRNase free water でRNAを溶出した。
(2) 抽出したRNA 0.5μgを用い、TruSeq RNA Sample Preparation Kit (イルミナ株式会社)を用いてcDNAライブラリを調製した。このライブラリを高速シーケンサGenome Analyzer IIx (イルミナ株式会社)を用い、ペアエンド法で60サイクルのシーケンス反応を行って解析した。得られたデータから、AtCER1遺伝子及びAtCER3遺伝子と相同性のある全長cDNA配列をそれぞれ1個(NyCER1A)及び2個(NyCER3A、NyCER3B)同定した。この塩基配列をもとに、それぞれの遺伝子のコード領域全長を増幅できるように次のプライマーを作製した。
NyCER1A: EI-NyCER1 5'-CAATCGAATTCTAAGGACAGGAGTAGCAGATCAGAGAT-3'(配列番号9)
NyCER1-PstI 5'-ATGCTGCAGAACAGGCGCCTTAGGCTTATGGAAA-3'(配列番号10)
NyCER3A: EI-NyCER3-2 5'-CCGTCGAATTCTCTTTCTCTCTCTCTCTCCACAAAAAATG-3'(配列番号11)
NyCER3-2-PstI 5'-GGGCTGCAGCCCTGTTTTTCATTTGATTGCAACAGGAGC-3'(配列番号12)
NyCER3B: EI-NyCER3-1 5'-TGATCGAATTCTTATCTCTCTCTCTCTCTGAGCACAAG-3'(配列番号13)
NyCER3-1-PstI 5'-CGCCTGCAGTCTTTGAGAAGGACTACACACAACG-3'(配列番号14)
(3) (1)のRNAをRever Tra Ace qPCR Master Mix with gDNA Remover (東洋紡株式会社)を用いて逆転写し、cDNAを得た。このcDNAを鋳型に用い、(2)のプライマーの組み合わせでPCRを行なった。PCRの酵素はPRIMESTARTM HS DNA Polymerase (タカラバイオ株式会社)若しくはKOD-Plus-Neo (東洋紡株式会社)を用いた。それぞれについて、増幅された約1.8 kbのDNA断片を精製し、プラスミドベクターpUC119にクローニングした。得られたクローンをそれぞれpUC-NyCER1A、pUC-NyCER3A、及びpUC-NyCER3Bと名づけた。
(4) シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana; Col-0系統)の花序の先端にある蕾のクラスターを採取して液体窒素で凍結し、液体窒素で冷却した乳鉢中でRNeasy plant mini kit(キアゲン社)のRLT液450μLとともに粉砕した。以下、キット付属の説明書の標準プロトコールに従ってRNAを調製した。
(5) (4)のRNAから、以下に示す配列番号16及び18のプライマーとPrime Script RT Reagent Kit with gDNA Eraser(タカラバイオ株式会社)を用いてcDNAを調製した。それぞれのcDNAを鋳型に用い、配列番号15と16、及び配列番号17と18のプライマーの組み合わせでPCRを行った。増幅されたそれぞれのDNA断片をGateway BP反応(サーモフィッシャーサイエンティフィック社)でプラスミドベクターpDONR201にクローニングし、得られたクローンをpDONR-CER1、及びpDONR-CER3と名づけた。
AtCER1:
CER1c+1F+attB1
5'-GGGGacaagtttgtacaaaaaagcaggctgtataATGGCCACAAAACCAGGAGTCCTCA-3'(配列番号15)
CER1c+1890R+attB2
5'-GGGGaccactttgtacaagaaagctgggtgATGATGTGGAAGGAGGAGAGGCTGG-3'(配列番号16)
AtCER3:
CER3c+1F+attB1
5'-GGGGacaagtttgtacaaaaaagcaggcttaagaATGGTTGCTTTTTTATCAGCTTGGCCTTGGGAAAAC-3'(配列番号17)
CER3c+1896R+attB2
5'-GGGGaccactttgtacaagaaagctgggtgATTTGTGAGTGAAGAAACAGCACTAAGACCA-3'(配列番号18)
2.植物細胞形質転換用プラスミドの作製
2-1)リサイクリングドナークローンの作製
(6) (3)及び(5)のクローンを鋳型に、以下のプライマーとPRIMESTAR HS DNA Polymeraseを用いてPCRを行ってDNA断片を増幅し、精製した。
NyCER1A: NyCER1F-419 5'-ATTTGGAGAGAACACAAGGACAGGAGTAGCAGATCAGAG-3'(配列番号19)
NyCER1R-419 5'-GGGAAATTCGAGCTCGCGCCTTAGGCTTATGGAAATTACAT-3'(配列番号20)
NyCER3A: NyCER3AF-419 5'-ATTTGGAGAGAACACTTTCTCTCTCTCTCTCCACAAAAAATGG-3'(配列番号21)
NyCER3AR-419 5'-GGGAAATTCGAGCTCCATTTGATTGCAACAGGAGCCTAGGA-3'(配列番号22)
NyCER3B: NyCER3BF-419 5'-ATTTGGAGAGAACACTCTCTCTCTCTCTCTGAGCACAAG-3'(配列番号23)
NyCER3BR-419 5'-GGGAAATTCGAGCTCGAGAAGGACTACACACAACGTCAAGA-3'(配列番号24)
AtCER1: 35S-AtCER1 5'-ATTTGGAGAGAACACCAAACATATTACATTCGACGGTATAATGG-3'(配列番号25)
AtCER1R-419 5'-GGGAAATTCGAGCTCAATCTTCCAAGGTTGGAGTTTTAATGATGTGGAAGGAGGAGAGGCTGG-3'(配列番号26)
AtCER3: 35S-AtCER3 5'-ATTTGGAGAGAACACAAGAAGAAGAAGACCAAGCTAAAGAATG-3'(配列番号27)
AtCER3R-419 5'-GGGAAATTCGAGCTCAAACGTGTCTCTCTCTTCACTCAATTTGTGAGTGAAGAAACAGCACTAAGACCA-3'(配列番号28)
(7) プラスミドベクターpRED419Amp-P35S:GUS:Tnos (Kimura et al. Biosci. Biotechnol. Bkochem., 77, 430-434, 2013に記載のpRED419-P35S:GUSのカナマイシン耐性遺伝子をアンピシリン耐性遺伝子に置き換えたもの)を鋳型に、以下のプライマーとPRIMESTAR HS DNA Polymeraseを用いてGUS遺伝子以外の領域(ベクター部分)を増幅し、精製した。
pRED419-F 5'-GTGTTCTCTCCAAATGAAATGAACTTCC-3'(配列番号29)
pRED419-R 5'-GAGCTCGAATTTCCCCGATCGTTC-3'(配列番号30)
(8) (6)及び(7)のDNA断片をIn-Fusion HD Cloning Kit (クロンテック)で連結し、プラスミド化して、リサイクリングドナークローン(それぞれpRED-P35S:NyCER1A、pRED-P35S:NyCER3A、pRED-P35S:NyCER3B、pRED-P35S:AtCER1、及びpRED-P35S:AtCER3)を作製した。
2-2)遺伝子導入用クローンの作製
(9) Gateway Recycling Cloning System (Kimura et al. Biosci. Biotechnol. Biochem., 77, 430-434, 2013)に基づき、次の順に3段階のGateway LR反応(サーモフィッシャーサイエンティフィック社)を行い、遺伝子導入用のクローンを作製した。
A. pGWB501と(8)で得られたpRED-P35S:NyCER3A (又はpRED-P35S:NyCER3B)とのLR反応を行った。
B. pGWB501と(8)で得られたpRED-P35S:AtCER3とのLR反応を行った。
C. Aで得られたプラスミドとpCON-Cm rare2とのLR反応を行った。
D. Bで得られたプラスミドとpCON-Cm rare2とのLR反応を行った。
E. Cで得られたプラスミドと(8)で得られたpRED-P35S:NyCER1AとのLR反応を行った。得られた遺伝子導入用クローンをそれぞれpGWB-P35S:NyCER3A-P35S:NyCER1A及びpGWB-P35S:NyCER3B-P35S:NyCER1Aとした。
F. Dで得られたプラスミドと(8)で得られたpRED-P35S:NyCER1A (又はpRED-P35S:AtCER1)とのLR反応を行った。得られた遺伝子導入用クローンをそれぞれpGWB-P35S:AtCER3-P35S:NyCER1A 及び pGWB-P35S:AtCER3-P35S:AtCER1とした。
(10) (9)で作製した4個のプラスミドそれぞれの水溶液1μl (約100 ng)を、氷冷したアグロバクテリウム(Rhizobium radiobacter C58C1 (pMP90)株)のコンピテントセル50μlに加え、2 mm幅のエレクトロポーレーション用キュベット(ネッパジーン社)に入れた。このキュベットをエレクトロポレーター(エッペンドルフ社 Electroporator 2510)に入れ、2500 Vのパルスを1回かけた後、100 mg/Lスペクチノマイシンを含むLB培地に塗布した。30℃で2日間培養した後、形成されたコロニーを形質転換アグロバクテリウムとして得た。
3.タバコ培養細胞への遺伝子導入
(11) タバコ懸濁培養細胞BY-2をBY-2用液体培地(ムラシゲ・スクーグ混合塩、3% ショ糖、200 mg/L KH2PO4、100 mg/L ミオイノシトール、1 mg/L チアミン塩酸塩、0.2 mg/L 2,4-ジクロロフェノキシ酢酸;pH 5.8)に植え継ぎ、3日間振とう培養した。この液体培養4 mLを直径9 cmのシャーレに作製したBY-2用固形培地(前記の液体培地に4 g/Lゲランガム及び1 g/L MgSO4・7H2Oを加えたもの)に取り、(10)で作製したアグロバクテリウムの一夜培養液(LB培地) 100μLを加えて混合し、25℃、暗所で2日間静置培養した。
(12) BY-2用液体培地で数回洗浄した後、少量のBY-2用液体培地に懸濁した細胞を、50 mg/L ハイグロマイシンBを含むBY-2用固形培地に散布した。25℃、暗所で2~3週間培養した。
(13) ハイグロマイシンB耐性のカルスを新しいBY-2用固形培地(ハイグロマイシンBを含む)に移し、更に2~3週間培養した。
4.脂質の抽出と分析
(14) 固形培地上のBY-2細胞のカルスをスパーテルで10~30 mgかき取り、メタノール:クロロホルム(1:1)を加え、1分間撹拌し、1分間遠心した後、上層を回収した。さらに、窒素気流下で溶媒を揮発させ、乾固した。
(15) 乾固したサンプルにヘキサン10μlを加えて溶解した。そのうちの1μlをガスクロマトグラフ・質量分析装置(日本電子株式会社 JMS-K9)で分析した。分析の条件は次の通りである。
カラム;DB-1(アジレント・テクノロジー株式会社)(直径0.25 mm、長さ30 m、フィルム厚0.25μm)
キャリアーガス;Heガス(流量1.5 ml/min)
GC条件:初期値温度50℃ 保持時間1 min.
ステップ1 昇温速度50℃/min. 温度200℃ 保持時間0 min.
ステップ2 昇温速度5℃/min. 温度300℃ 保持時間0 min.
MS条件:電子イオン化 イオン化エネルギー 70 eV
測定範囲 m/z 50~500
測定結果を図1~3に示す。
図1から、本来アルカンを全く合成しないBY-2細胞がNyCER1AとNyCER3A又はNyCER3Bを遺伝子導入することでアルカンを合成するようになった。炭素鎖長はC19、C21、C23が中心で、やや長いながら軽油の範囲に入る鎖長であった。NyCER1AとAtCER3の組み合わせで遺伝子導入した場合も同様の結果となった。AtCER1とAtCER3を組み合わせてBY-2細胞で発現させてもアルカンは合成されなかった。
図2及び図3から、アルカンの生産量は、NyCER1A及びNyCER3Aが遺伝子導入されたBY-2細胞が最大で64.7μg/g、NyCER1A及びNyCER3Bが遺伝子導入されたBY-2細胞が最大で65.7μg/g、NyCER1A及びAtCER3が遺伝子導入されたBY-2細胞が最大で97.1μg/gであった(いずれも細胞の湿重量あたり)。このようにBY-2細胞において高い生産量が得られたため、BY-2でアルカンを実用生産できる可能性が示された。

Claims (4)

  1. 以下の(a)又は(b)のタンパク質をコードする核酸、及びCER3をコードする核酸が導入された形質転換体であって、大腸菌、酵母、シアノバクテリア、細菌、真菌、藻類、コケ類、又は植物培養細胞を宿主とする、形質転換体:
    (a) 配列番号1に記載されるアミノ酸配列からなるタンパク質
    (b) 配列番号1に記載されるアミノ酸配列と90%以上の同一性を有し、且つアルデヒド化合物から炭素数が1つ少ない炭化水素を合成する活性を有するタンパク質。
  2. 前記CER3が以下の(c)~(h)のいずれかのタンパク質である、請求項1に記載の形質転換体:
    (c) 配列番号2に記載されるアミノ酸配列からなるタンパク質
    (d) 配列番号2に記載されるアミノ酸配列と90%以上の同一性を有し、且つ脂肪酸又はアシルCoAを還元してアルデヒド化合物を合成する活性を有するタンパク質
    (e) 配列番号3に記載されるアミノ酸配列からなるタンパク質
    (f) 配列番号3に記載されるアミノ酸配列と90%以上の同一性を有し、且つ脂肪酸又はアシルCoAを還元してアルデヒド化合物を合成する活性を有するタンパク質
    (g) 配列番号4に記載されるアミノ酸配列からなるタンパク質
    (h) 配列番号4に記載されるアミノ酸配列と90%以上の同一性を有し、且つ脂肪酸又はアシルCoAを還元してアルデヒド化合物を合成する活性を有するタンパク質。
  3. 請求項1又は2に記載の形質転換体を培養し、培養物からアルカンを回収する工程を含むアルカンの製造方法。
  4. 前記アルカンの炭素数が15~19である、請求項3に記載の製造方法。
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Bernard A. et al. ,Reconstitution of plant alkane biosynthesis in yeast demonstrates that Arabidopsis ECERIFERUM1 and ECERIFERUM3 are core components of a very-long-chain alkane synthesis complex ,Plant Cell,2012年07月06日,24(7),pp.3106-18,DOI: 10.1105/tpc.112.099796
日本農芸化学会大会講演要旨集 ,2016年03月05日,Vol.2016 ,Page.3H043

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