(発明に至る経緯)
まず、本発明に至る経緯について、比較例に係る照明システム101を例に挙げて説明する。図1は、比較例に係る照明システム101を示す図である。
図1には、照明器具140と、照明器具140を制御する制御部110と、ユーザを検知する検知部120とを備える照明システム101が示されている。
比較例の照明システム101では、部屋内におけるユーザの在否を検知部120にて検知し、ユーザが居れば照明器具140を点灯させ、ユーザが居なければ照明器具140を消灯するなどの制御が行われる。そのためユーザは、照明器具140のスイッチを入切する必要はないが、部屋全体に光が照らされるために、例えば、ユーザが書類を読むなどの作業を行う際に、意識を集中させにくいという問題がある。
本実施の形態に係る照明システムでは、検知部にて検知したユーザの行動から、ユーザの次の行動を予測し、予測した行動に応じて照明器具の光の照射を制御する。これにより、ユーザの意識を変化させることができるシステム構成となっている。
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示す。以下の実施の形態で示される形状、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態等は、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、より好ましい形態を構成する任意の構成要素として説明する。また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。
(実施の形態1)
[1-1.照明システムの構成]
まず、実施の形態1に係る照明システム1について、図2~図3Bを参照しながら説明する。図2は、実施の形態1に係る照明システム1を示す図である。図3Aは、照明システム1を示すブロック構成図である。なお、図2以降の図において、ハッチングドットは、光が照射されている領域を示している。
照明システム1は、ユーザu1の行動を予測して照明器具40の光特性を制御するシステムであって、例えば、建物内の部屋などの内部空間にて使用される。照明システム1は、照明器具40と、制御部10と、検知部20とを備えている。照明器具40および検知部20のそれぞれは、制御部10に接続されている。
照明器具40は、光の照射領域50、明るさおよび色を変更することが可能な照明本体部分である。照明器具40は、例えば、RGB(赤緑青)の各色の発光素子を有するLED(Light Emitting Diode)投光器であり、各発光素子から出射された光が合成されることで形成される光を照射する。
照明器具40の光の明るさは、各発光素子の光出力が制御部10で制御されることによって変更される。照明器具40の光の色は、各発光素子の光出力の比が制御部10で制御されることによって変更される。また、照明器具40は、レンズ、ミラー、プリズムまたはマスクなどの光学部材を備えている。照明器具40では、光学部材の配置等が制御部10で制御されることによって、照射領域50の位置および形状が変更される。なお、照射領域50の形状とは、照射領域50の大きさまたは輪郭を含む意味である。
照明システム1は、この照明器具40の光を、第1領域A1に照射する第1照射モードM1、および、第1領域A1と少なくとも一部が異なる第2領域A2に照射する第2照射モードM2を有している。なお、少なくとも一部が異なるとは、同一ではないという意味であり、例えば、第2領域A2の全てが第1領域A1内に包含される場合も、一部が異なることになる。
第1領域A1は、例えば、照明器具40を用いて最も広い面積に照射することができる最大の照射領域50である。第2領域A2は、例えば、机の上に配置された書類61および書類61の周辺を照射するための照射領域50である。本実施の形態では、第2領域A2の面積は第1領域A1の面積よりも小さい。
照明システム1では、第1照射モードM1および第2照射モードM2のうちの少なくとも1つのモードが、検知部20による検知結果に基づいて選択される。
検知部20は、ユーザu1の行動を検知する検出器である。ユーザu1の行動とは、例えば、背のびをする、あくびをする、または、書類を見るなどのユーザu1の動き、あるいは、座席を移動するなどのユーザu1の位置の変化をいう。なお、ユーザu1の行動には、ユーザu1が発する音声も含まれる。音声については後述する変形例にて説明する。
検知部20は、例えば、赤外線センサまたは赤外線カメラである。赤外線センサは、人体が発する赤外線を検知することで、ユーザu1の動きを検知するセンサである。赤外線カメラは、赤外光によるテストパターンを投影し、人体にて反射したテストパターンを撮影することで、ユーザu1の動きを検知するカメラである。検知部20は、赤外線センサおよび赤外線カメラに限らず、人を検知できる人感センサであればよい。
制御部10は、演算を行うCPU(Central Processing Unit)と、RAM(Random Access Memory)およびROM(Read Only Memory)などによって構成される記憶部15とを備えている。記憶部15には、プログラム等が格納されている。また、記憶部15には、ユーザu1の動き、次の行動の予測、および、予測された行動によって選択される照射モードに関するテーブルが格納されている。制御部10は、検知部20による検知結果および記憶部15に格納された上記テーブルに基づいて、ユーザu1の次の行動を予測し、照明器具40の光特性を制御する。
ここで照明システム1におけるユーザu1の動き、次の行動および選択されるモードの関係について説明する。図3Bは、記憶部15に格納されている、ユーザu1の動きと照射モードとの関係を表すテーブルである。
例えば、検知部20にて「背のびをする」または「あくびをする」などの動きが検知された場合、図3Bに示すように、次の行動として「休憩する」という行動が予測される。そこで制御部10は、2つの照射モードのうち第1照射モードM1を選択し、ユーザu1に解放感を与えるように照射領域50を広くする。すなわち制御部10は、第1照射モードM1にて照明器具40に光を照射させることで、ユーザu1がリラックスできる環境をつくる。
また例えば、検知部20にて「書類に触れる」などの動きが検知された場合、図3Bに示すように、次の行動として書類61を使って「作業する」という行動が予測される。そこで制御部10は、2つの照射モードのうち第2照射モードM2を選択し、周囲の状況がユーザu1の視界に入りにくいように照射領域50を狭くする。すなわち制御部10は、第2照射モードM2にて照明器具40に光を照射させることで、ユーザu1が作業に集中できる環境をつくる。
このように制御部10は、検知部20にて検知したユーザu1の行動から、ユーザu1の次の行動を予測する。そして、予測した次の行動に応じて、第1照射モードM1および第2照射モードM2の少なくとも一方のモードを選択し、選択したモードに基づいて照明器具40に光を照射させる。これにより、ユーザu1の意識を緩和させたり集中させたりすることができ、ユーザu1の意識を変化させることができる。
なお上記では、照射領域50の大きさを変化させることで、ユーザu1の意識を変化させる例を示したが、ユーザu1の意識を変化させるための構成は、これに限られない。
例えば、第1照射モードM1における調光率を50%とし第2照射モードM2における調光率を80%とすることで、すなわち、第2照射モードM2の照射領域50を第1照射モードM1の照射領域50よりも明るくすることで、ユーザu1の意識を変えることができる。
また例えば、第1照射モードM1における色温度を3000Kとし第2照射モードM2における色温度を5000Kとすることで、すなわち、第2照射モードM2の照射領域50を第1照射モードM1の照射領域50よりも高い色温度とすることで、ユーザu1の意識を変えることができる。
[1-2.照明システムの動作]
次に、照明システム1の動作について図4A~図6を参照しながら説明する。図4Aは、照明システム1の動作を示す図である。図4Bは、照明システム1の次の動作を示す図である。図5Aは、照明システム1の動作を示すフローチャートである。
図4Aには、ユーザu1が椅子に座っている状態が示されている。検知部20は、ユーザu1が机の前に居ること検知するが、書類に触れるなどの動きを検知していないので、制御部10は、ユーザu1がリラックスできるように、第1照射モードM1にて光を照射する(S11)。
図4Bには、ユーザu1が机の上の書類61に触れた状態が示されている。ここで検知部20は、ユーザu1が「書類61に触れる」という動きを検知する(S12)。
制御部10は、検知部20にて検知したユーザu1の動きに基づいて、ユーザu1の次の行動を予測する(S13)。例えば制御部10は、ユーザu1が書類61に触れたという情報を検知部20から取得すると、記憶部15に格納されているテーブル(図3B参照)に基づいて、書類61を使って「作業する」という次の行動を予測する。
次に制御部10は、予測した行動に応じて、第1照射モードM1および第2照射モードM2のうちの一方のモードを選択する(S14)。例えばステップS13では「作業する」という行動を予測したので、制御部10は、ユーザu1が意識を集中しやすい第2照射モードM2を選択する。
制御部10は、選択した第2照射モードM2に基づいて、照明器具40に光を照射させる(S20)。その際、制御部10は、第1照射モードM1から第2照射モードM2に状態を変化させる。
図5Bは、照明システム1にて照射モードを変更する際のフローを示す図である。照明システム1は、第1照射モードM1と第2照射モードM2との間に、照射領域50を第1領域A1から第2領域A2に変化させる変化モードM12を有している。
図5Bに示すように、第1領域A1に光が照射された状態(S21)から照射モードを変更する際、制御部10は、変化モードM12にて照射領域50を第1領域A1から第2領域A2に向けて変化させ(S22)、第2照射モードM2にて第2領域A2に光を照射する(S23)。
本実施の形態では、図4Bに示すように、制御部10は、第1領域A1から第2領域A2に向かって、時間とともに照射領域50が小さくなるように変化させる。このように変化モードM12にて、照射領域50を徐々に小さくすることで、照射領域50が変化する様子をユーザu1に違和感なく示すことができ、また、ユーザu1の意識を視覚的に変えることができる。
なお、制御部10は、変化モードM12において、照射領域50の大きさだけでなく、照射領域50の輝度、色、形状および移動速度のうちの少なくとも1つが徐々に変化するように、照明器具40に光を照射させてもよい。
次に、照明システム1の次の動作として、第2照射モードM2から第1照射モードM1に戻す場合について説明する。図6は、照明システム1のさらに次の動作を示す図である。
まず、第2照射モードM2にて光が照射されている状態において、検知部20は、ユーザu1が「背のびする」という動きを検知する。制御部10は、検知部20にて検知したユーザu1の動きに基づいて、ユーザu1の次の行動を予測する。例えば制御部10は、ユーザu1が背のびをしたという情報を検知部20から取得すると、記憶部15に格納されているテーブル(図3B参照)に基づいて、作業を中断して「休憩する」という次の行動を予測する。
次に制御部10は、予測した行動に応じて、所定の照射モードを選択する。例えば上記では「休憩する」という行動を予測したので、制御部10は、ユーザu1がリラックスしやすい第1照射モードM1を選択する。
制御部10は、選択した第1照射モードM1に基づいて、照明器具40に光を照射させる。その際、制御部10は、第2照射モードM2から第1照射モードM1に状態を変化させる。
この例では図6に示すように、制御部10は、第2領域A2から第1領域A1に向かって、時間とともに照射領域50が大きくなるように変化させる。このように照射領域50を徐々に大きくすることで、照射領域50が変化する様子をユーザu1に違和感なく示すことができ、また、ユーザu1の意識を視覚的に変えることができる。
なお、制御部10は、第2照射モードM2から第1照射モードM1に戻す場合に、照射領域50の輝度、色、形状および移動速度のうちの少なくとも1つが徐々に変化するように、照明器具40に光を照射させてもよい。
また、第2照射モードM2から第1照射モードM1に戻す場合に、制御部10は、変化する様子をユーザu1に気づかれにくくするため、第2領域A2から第1領域A1に移動するまでの照射領域50の移動速度を1m/s以下としてもよい。照射領域50の移動速度は、一般的な人が歩く速度1.3m/sよりも小さな値であればよい。
[1-3.効果等]
本実施の形態に係る照明システム1は、照明器具40と、照明器具40を制御する制御部10と、照明器具40を使用するユーザu1の行動を検知する検知部20とを備える。照明システム1は、照明器具40の光を第1領域A1に照射する第1照射モードM1、および、第1領域A1と少なくとも一部が異なる第2領域A2に照射する第2照射モードM2を有している。制御部10は、検知部20にて検知した行動からユーザu1の次の行動を予測し、予測した次の行動に応じて、第1照射モードM1および第2照射モードM2の少なくとも一方のモードを選択し、選択したモードに基づいて照明器具40に光を照射させる。
この照明システム1によれば、例えばユーザu1の意識を緩和させたり集中させたりすることができ、ユーザu1の意識を変化させることができる。
また、検知部20は、ユーザu1の動きを検知し、制御部10は、検知部20にて検知した動きに基づいて、ユーザu1の次の行動を予測してもよい。
これによれば、ユーザu1の動きに対応して、ユーザu1の意識を変化させることができる。
また、照明システム1は、さらに、第1照射モードM1と第2照射モードM2との間にて、照明器具40の光の照射領域50を第1領域A1から第2領域A2に変化させる変化モードM12を有し、制御部10は、変化モードM12において、照射領域50の輝度、色、形状および移動速度のうちの少なくとも1つが変化するように、照明器具40に光を照射させてもよい。
これによれば、第1照射モードM1から第2照射モードM2に変化する状態をユーザu1に気づかせることができ、ユーザu1の意識を視覚的に変化させることができる。
また、制御部10は、照射領域50の輝度、色、形状および移動速度のうちの少なくとも1つを徐々に変化させてもよい。
このように、照射領域50の輝度、色、形状または移動速度を徐々に変化させることで、変化に対する違和感を抑えながらユーザu1の意識を変化させることができる。
また、第2領域A2は、第1領域A1よりも面積が小さくてもよい。
このように、第2領域A2を第1領域A1の面積よりも小さくすることで、ユーザu1の意識を明確に変化させることができる。
また、制御部10は、第2照射モードM2から第1照射モードM1に戻す場合に、第2領域A2から第1領域A1に移動するまでの照射領域50の移動速度を1m/s以下としてもよい。
このように、照射領域50の移動速度を1m/s以下とすることで、第2照射モードM2から第1照射モードM1に戻る変化に対する違和感を抑えることができる。
[1-4.実施の形態1の変形例1]
次に、実施の形態1の変形例1に係る照明システム1について、図7A~図9を参照しながら説明する。変形例1では、ユーザu1の位置の変化に伴って、照射モードを変化させる場合について説明する。
図7Aは、変形例1に係る照明システム1を示す図である。変形例1に係る照明システム1も、照明器具40と、制御部10と、検知部20とを備えている。
図7Aには、ユーザu1が、机の手前の第1領域A1にて一旦読書し、次に席を移動して机の奥側の第2領域A2にて仕事する様子が示されている。この照明システム1において、例えば、第1領域A1は読書ゾーンであり、第2領域A2は仕事ゾーンである。第2領域A2の面積は、第1領域A1の面積とほぼ同じである。
図7Bは、記憶部15に格納されている、ユーザu1の位置の変化と照射モードとの関係を示すテーブルである。制御部10は、検知部20による検知結果および記憶部15に格納された上記テーブルに基づいて、ユーザu1の次の行動を予測し、照明器具40の光特性を制御する。
例えば、検知部20にて「第1領域A1から第2領域A2に移動する」というユーザu1の位置の変化が検知された場合、図7Bに示すように、次の行動として「仕事する」という行動が予測される。そこで制御部10は、2つの照射モードのうち第2照射モードM2を選択し、第2領域A2に照射領域50を移動させる。
また、検知部20にて「第2領域A2から第1領域A1に移動する」というユーザu1の位置の変化が検知された場合、図7Bに示すように、次の行動として「読書する」という行動が予測される。そこで制御部10は、2つの照射モードのうち第1照射モードM1を選択し、第1領域A1に照射領域50を移動させる。
ここで、図7Aを参照して、変形例1の照明システム1の動作についてさらに説明する。
まず、第1領域A1に光が照射されている状態から、ユーザu1が席を立って第2領域A2に移動しようとすると、その移動の途中で検知部20は、ユーザu1が「第1領域A1から第2領域A2に位置を変える」という動きを検知する。
制御部10は、検知部20にて検知したユーザu1の動きに基づいて、ユーザu1の次の行動を予測する。例えば制御部10は、ユーザu1が第1領域A1から第2領域A2に向かって移動するという情報を検知部20から取得すると、記憶部15に格納されているテーブル(図7B参照)に基づいて、第2領域A2にて「作業する」という次の行動を予測する。
次に制御部10は、予測した行動に応じて所定の照射モードを選択する。例えば上記では第2領域A2にて「作業する」という行動を予測したので、制御部10は、第2領域A2に照射領域50を形成する第2照射モードM2を選択する。
そして制御部10は、選択した第2照射モードM2に基づいて、照明器具40に光を照射させる。その際、制御部10は、第1照射モードM1から第2照射モードM2に状態を変化させる。
この例では図7Aに示すように、制御部10は、第1領域A1から第2領域A2に向かって、時間とともに照射領域50を移動させる。このように照射領域50を徐々に移動させることで、照射領域50が移動する様子をユーザu1に違和感なく示すことができ、また、ユーザu1の意識を視覚的に変えることができる。
なお、制御部10は、第1照射モードM1から第2照射モードM2に変化させる場合に、照射領域50の位置だけでなく、照射領域50の輝度、色、形状および移動速度のうちの少なくとも1つが徐々に変化するように、照明器具40に光を照射させてもよい。
また、第1照射モードM1と第2照射モードM2との変化は、逆方向であってもよい。例えば、制御部10は「第2領域A2から第1領域A1に位置を変える」というユーザu1の動きを検知部20から取得し、照射モードを第2照射モードM2から第1照射モードM1に変更させてもよい。
変形例1の照明システム1においても、制御部10は、検知部20にて検知した行動からユーザu1の次の行動を予測し、予測した次の行動に応じて、第1照射モードM1および第2照射モードM2の少なくとも一方のモードを選択し、選択したモードに基づいて照明器具40に光を照射させる。これにより、ユーザu1の意識を変化させることができる。
また、検知部20は、ユーザu1の位置の変化を検知し、制御部10は、検知部20にて検知した位置の変化に基づいて、ユーザu1の次の行動を予測してもよい。
これによれば、ユーザu1の位置の変化に対応して、ユーザu1の意識を変化させることができる。
なお、変形例1に係る照明システム1では、上記で示した変化の他に、輝度モードによる変化を併用することも可能である。変形例1の照明システム1は、第1輝度モードB1および第2輝度モードB2を有している。
図8は、変形例1に係る照明システム1の各輝度モードを示す図である。なお、図8では、輝度が低いほどハッチングドットが粗で表され、輝度が高いほどハッチングドットが密で表されている。
第1輝度モードB1は、図8の(a)に示すように、照射領域50の内側から外側に向かう方向に輝度が徐々に低くなるように照射領域50に光を照射するモードである。第1輝度モードB1における照射領域50は、照射領域50の中央での輝度が高いが外縁に近づくにしたがって輝度が徐々に低くなる、ぼんやりとした輪郭を有している。
第2輝度モードB2は、図8の(b)に示すように、照射領域50の内側から外側に向かう方向に第1輝度モードB1よりも輝度が急激に低くなるように照射領域50に光を照射するモードである。第2輝度モードB2における照射領域50は、照射領域50の中央から外縁に至るまでの輝度が高いが外縁の外側にて輝度が急に低くなる、くっきりとした輪郭を有している。
第1輝度モードB1および第2輝度モードB2は、例えば、照明器具40の各発光素子から出射される光の一部にマスクをかけたり、拡散フィルタを通したりすることで実現される。
制御部10は、例えば第1照射モードM1から第2照射モードM2に変化する過程において、照射領域50が第1輝度モードB1から第2輝度モードB2に徐々に変化するように照射する光を変化させる。これにより、ユーザu1の意識を集中させる方向に導くことができる。
また制御部10は、例えば第2照射モードM2から第1照射モードM1に変化する過程において、照射領域50が第2輝度モードB2から第1輝度モードB1に徐々に変化するように照射する光を変化させる。これにより、ユーザu1の意識を緩和する方向に導くことができる。
このように変形例1の照明システム1は、さらに、照射領域50の内側から外側に向かう方向に、輝度が低くなるように照射領域50に光を照射する第1輝度モードB1、および、第1輝度モードB1よりも輝度が急激に低くなるように照射領域50に光を照射する第2輝度モードB2を有している。制御部10は、第1輝度モードB1から第2輝度モードB2に徐々に変化するように、または、第2輝度モードB2から第1輝度モードB1に徐々に変化するように、照射領域50に照射する光を変化させてもよい。
このように、第1輝度モードB1および第2輝度モードB2とで照射領域50の輝度を異ならせることで、ユーザu1の意識を変えることができる。
また、変形例1に係る照明システム1では、上記で示した変化の他に、対象モードによる変化を併用することも可能である。変形例1の照明システム1は、第1対象モードC1および第2対象モードC2を有している。
図9は、変形例1に係る照明システム1の対象モードを示す図である。図9には、光を照射する照射対象物として、書類61が示されている。
第1対象モードC1は、図9の(a)に示すように、光を照射する対象である照射対象物と照射対象物の周辺とに光を照射するモードである。第2対象モードC2は、照射対象物のみに光を照射するモードである。第1対象モードC1および第2対象モードC2は、例えば、照明器具40の各発光素子から出射される光にマスクをかけたり、レンズを用いて集光したりすることで実現される。
制御部10は、例えば第1照射モードM1から第2照射モードM2に変化する過程において、第1対象モードC1から第2対象モードC2に徐々に変化するように、光を照射する対象を変化させる。これにより、ユーザu1の意識を集中する方向に導くことができる。
また制御部10は、例えば第2照射モードM2から第1照射モードM1に変化する過程において、第2対象モードC2から第1対象モードC1に徐々に変化するように、光を照射する対象を変化させる。これにより、ユーザu1の意識を緩和する方向に導くことができる。
このように変形例1の照明システム1は、さらに、光を照射する対象である照射対象物と照射対象物の周辺とに光を照射する第1対象モードC1、および、照射対象物のみに光を照射する第2対象モードC2を有している。制御部10は、第1対象モードC1から第2対象モードC2に徐々に変化するように、または、第2対象モードC2から第1対象モードC1に徐々に変化するように、光を照射する対象を変化させてもよい。
このように、第1対象モードC1および第2対象モードC2とで照射対象物を異ならせることで、ユーザu1の意識を変えることができる。
[1-5.実施の形態1の変形例2]
次に、実施の形態1の変形例2に係る照明システム1について、図10を参照しながら説明する。変形例2に係る照明システム1では、変化モードM12において、照射領域50の形状を変化させている。
図10は、変形例2に係る照明システム1を示す図である。
変形例2に係る照明システム1では、制御部10は、変化モードM12において、照射領域50の形状が変化するように、照明器具40に光を照射させている。具体的には、第1領域A1において楕円形だった照射領域50を徐々に変化させ、第2領域A2において矩形状にしている。なお、制御部10は、第1照射モードM1から第2照射モードM2に変化させる場合に、照射領域50の形状だけでなく、照射領域50の輝度、色および移動速度のうちの少なくとも1つが徐々に変化するように、照明器具40に光を照射させてもよい。
変形例2によれば、第1照射モードM1から第2照射モードM2に変化する状態をユーザu1に気づかせることができ、ユーザu1の意識を視覚的に変化させることができる。
[1-6.実施の形態1の変形例3]
次に、実施の形態1の変形例3に係る照明システム1について、図11Aおよび図11Bを参照しながら説明する。変形例3では、ユーザu1が発する音声を検知して、照射モードを変化させる例について説明する。
図11Aは、変形例3に係る照明システム1を示す図である。変形例3に係る照明システム1も、照明器具40と、制御部10と、検知部20とを備えている。変形例3の検知部20は、例えば、音を検知するマイクロフォンである。
図11Aには、ユーザu1が、机の手前の第1領域A1にて作業し、次に視点を変えて、壁のスクリーンに画像63を映す様子が示されている。この照明システム1において、例えば、第1領域A1は手元の作業ゾーンであり、第2領域A2は壁のスクリーンである。なお、変形例3の照明システム1は、スクリーンに画像63を映し出す場合に限られず、照明器具40を用いて掲示物を照らすだけでも良い。その場合、より安価な照明システム1を構成することができる。
図11Bは、記憶部15に格納されている、ユーザu1の音声と照射モードとの関係を示すテーブルである。制御部10は、検知部20による検知結果および記憶部15に格納された上記テーブルに基づいて、ユーザu1の次の行動を予測し、照明器具40の光特性を制御する。
例えば、ユーザu1が発する「個人」という音声が検知された場合、図11Bに示すように、次の行動として「各自、手元で作業する」という行動が予測される。そこで制御部10は、複数の照射モードのうち第1照射モードM1を選択し、照射領域50を第1領域A1に移動させる。また、ユーザu1が発する「発表」という音声が検知された場合、図11Bに示すように、次の行動として「スクリーンを見る」という行動が予測される。そこで制御部10は、複数の照射モードのうち第2照射モードM2を選択し、照射領域50を第2領域A2に移動させる。
ここで、図11Aを参照して、変形例3の照明システム1の動作についてさらに説明する。
まず、第1照射モードM1にて光が照射されている状態において、検知部20は、ユーザu1の「発表」という音声を検知する。制御部10は、検知部20にて検知したユーザu1の音声に基づいて、ユーザu1の次の行動を予測する。例えば制御部10は、「発表」という音声情報を検知部20から取得すると、記憶部15に格納されているテーブル(図11B参照)に基づいて、「スクリーンを見る」という次の行動を予測する。
次に制御部10は、予測した行動に応じて所定の照射モードを選択する。例えば上記では、第2領域A2にて「スクリーンを見る」という行動を予測したので、制御部10は、壁のスクリーンに照射領域50を形成する第2照射モードM2を選択する。
制御部10は、選択した第2照射モードM2に基づいて、照明器具40に光を照射させる。その際、制御部10は、第1照射モードM1から第2照射モードM2に状態を変化させる。
この例では図11Aに示すように、制御部10は、第1領域A1から第2領域A2に向かって、時間とともに照射領域50を移動させる。このように照射領域50を徐々に移動させることで、照射領域50が変化する様子をユーザu1に違和感なく示すことができ、ユーザu1の意識を視覚的に変えることができる。
なお、制御部10は、第1照射モードM1から第2照射モードM2に変化させる場合に、照射領域50の輝度、色、形状および移動速度のうちの少なくとも1つが徐々に変化するように、照明器具40に光を照射させてもよい。例えば、第1照射モードM1から動き始める際の移動速度を遅くし、第2照射モードM2に近づくにしたがって、移動速度を速くしてもよい。
また、第1照射モードM1と第2照射モードM2との変化は、逆方向であってもよい。例えば、制御部10は「個人」というユーザu1の音声を検知部20から取得し、照射モードを第2照射モードM2から第1照射モードM1に変更させてもよい。
変形例3の照明システム1においても、制御部10は、検知部20にて検知した行動からユーザu1の次の行動を予測し、予測した次の行動に応じて、第1照射モードM1および第2照射モードM2の少なくとも一方のモードを選択し、選択したモードに基づいて照明器具40に光を照射させる。これにより、ユーザu1の意識を変化させることができる。
また、検知部20は、ユーザu1の音声を検知し、制御部10は、検知部20にて検知した音声に基づいて、ユーザu1の次の行動を予測してもよい。
これによれば、ユーザu1の音声に対応して、ユーザu1の意識を変化させることができる。
[1-7.実施の形態1の変形例4]
次に、実施の形態1の変形例4に係る照明システム1について、図12を参照しながら説明する。変形例4に係る照明システム1では、照明器具40を使用するユーザが複数存在し、それに対応する複数の第2領域A2が設けられている。
図12は、変形例4に係る照明システム1を示す図である。変形例4に係る照明システム1も、照明器具40と、制御部10と、検知部20とを備えている。
変形例4の照明システム1は、照明器具40の光を、第1領域A1に照射する第1照射モードM1、および、2つの第2領域A2に照射する第2照射モードM2を有している。
第1領域A1は、例えば、照明器具40を用いて最も広い面積に照射することができる最大の照射領域50である。2つの第2領域A2のうちの一方は、ユーザu1が使う書類61および書類61の周辺を照射するための照射領域50である。2つの第2領域A2のうちの他方は、ユーザu2が使う書類62および書類62の周辺を照射するための照射領域50である。この2つの第2領域A2は、例えば、照明器具40の各発光素子から出射される光にマスクをかけたり、2つのレンズを用いて集光したりすることで実現される。
変形例4の照明システム1においても、制御部10は、検知部20にて検知した行動からユーザu1、u2の次の行動を予測し、予測した次の行動に応じて、第1照射モードM1および第2照射モードM2の少なくとも一方のモードを選択し、選択したモードに基づいて照明器具40に光を照射させる。これにより、複数のユーザu1、u2の意識を変化させることができる。
なお、第2照射モードM2において、ユーザu1の照射領域50の輝度を低くすることでユーザu1の意識を緩和させ、ユーザu2の照射領域50の輝度を高くすることでユーザu2の意識を集中させるように、照明器具40を制御してもよい。
[1-8.実施の形態1の変形例5]
次に、実施の形態1の変形例5に係る照明システム1について、図13を参照しながら説明する。変形例5に係る照明システム1は、第1照射モードM1から第2照射モードM2に変化する過程で、残像を残しながら照射領域50を移動させる例である。
図13は、変形例5に係る照明システム1を示す図である。変形例5に係る照明システム1も、照明器具40と、制御部10と、検知部20とを備えている。
図13には、ユーザu1が、机の上の第1領域A1にて読書し、次に席を横に移動して、第2領域A2にて続けて読書する様子が示されている。ユーザu1が移動する際、制御部10は、照射領域50の残像を残しながら、照射領域50を移動させる。この残像は、例えば図8の(a)に示すように、照射領域50の内側から外側に向かう方向に輝度が徐々に低くなるように照射領域50の像を形成し、形成した照射領域50の像を移動させることで実現することができる。この残像により、ユーザu1は照射領域50が移動していることを視覚的に意識することができる。
変形例5の照明システム1においても、制御部10は、検知部20にて検知した行動からユーザu1の次の行動を予測し、予測した次の行動に応じて、第1照射モードM1および第2照射モードM2の少なくとも一方のモードを選択し、選択したモードに基づいて照明器具40に光を照射させる。これにより、複数のユーザu1の意識を変化させることができる。
[1-9.実施の形態1の変形例6]
次に、実施の形態1の変形例6に係る照明システム1について、図14を参照しながら説明する。変形例6に係る照明システム1は、照射モードの継続時間が長いほど、変化モードM12における照射領域50の移動速度を速くする例である。
図14は、変形例6に係る照明システム1において、照射モードの継続時間と照射領域50の移動速度の関係を示す図である。継続時間とは、1つの照射モードが開始されてから終了するまでの時間の長さである。
図14に示すように、照射モードの継続時間と照射領域50の移動速度とは、式XIVで示すような正比例の関係にある。この式XIVは、照射モードの継続時間が長いほど、変化モードM12における照射領域50の移動速度を速くできることを示している。例えば、第1照射モードM1の継続時間が15分である場合は、継続時間が5分である場合に比べて照射領域50の移動速度を速くすることができる。これは、照射モードの継続時間が長いほど、その照射モードにおけるユーザu1の集中力が高まるため、変化モードM12において照射領域50の移動速度を速くしてもユーザu1に与える違和感が少なくなるからであると考えられる。
このように変形例6の照明システム1では、制御部10は、第1照射モードM1の継続時間が長いほど、変化モードM12における照射領域50の移動速度を速くする。
照射モードの継続時間が長い場合は、照射領域50の移動速度を速くしてもユーザu1に与える違和感が少ないので、違和感を抑制しながらユーザu1の意識を変化させることができる。
[1-10.実施の形態1の変形例7]
次に、実施の形態1の変形例7に係る照明システム1について、図15を参照しながら説明する。変形例7に係る照明システム1は、第1照射モードM1および第2照射モードM2の両方を併存させる例である。
図15は、変形例7に係る照明システム1を示す図である。変形例7に係る照明システム1も、照明器具40と、制御部10と、検知部20とを備えている。
変形例7の照明器具40は、例えば、液晶フィルタを介して光を出射する投光器である。なお、照明器具40は、スキャニング投光のように時分割して光を出射する投光器であってもよい。この照明器具40によれば、内部空間において第1照射モードM1および第2照射モードM2の両方のモードを実現することができる。
変形例7の照明システム1では、制御部10は、検知部20にて検知した行動からユーザu1の次の行動を予測し、予測した次の行動に応じて、第1照射モードM1および第2照射モードM2の両方のモードを選択し、選択した両方のモードに基づいて照明器具40に光を照射させる。これにより、周囲の明るさを維持した状態で、複数のユーザu1の意識を変化させることができる。
(実施の形態2)
[2-1.照明システムの構成および動作]
次に、実施の形態2に係る照明システム1Aについて、図16~図17Cを参照しながら説明する。実施の形態2では、照明器具40を使用するユーザが複数存在し、それに対応する複数の第1領域A1が設けられている。
図16は、実施の形態2に係る照明システム1Aを示す図である。図17A~図17Cは、照明システム1Aの動作を順に示す図である。
照明システム1Aは、2つの照明器具40と、制御部10と、検知部20とを備えている。2つの照明器具40および検知部20のそれぞれは、制御部10に接続されている。実施の形態2の検知部20は、例えば、音を検知するマイクロフォンである。
照明システム1Aは、2つの照明器具40のうちの一方を用いて一方の第1領域A1に光を照射し、また、2つの照明器具40のうちの他方を用いて他方の第1領域A1に光を照射する第1照射モードM1を有している。照明システム1Aは、2つの照明器具40の光を第2領域A2に集約する第2照射モードM2を有している(図17C参照)。
一方の第1領域A1は、例えば、ユーザu1の書類62を照射する照射領域50であり、他方の第1領域A1は、ユーザu2の書類62を照射する照射領域50である。第2領域A2は、例えば、机の中央領域を照射するための照射領域50である。本実施の形態では、第2領域A2の面積は第1領域A1の面積よりも大きい。
ここで、図17A~図17Cを参照して、照明システム1Aの動作について説明する。
図17Aは、第1照射モードM1の場面を示す図であり、2つの照明器具40によって2つの第1領域A1にそれぞれ光が照射されている。この図には、ユーザu1、u2のそれぞれが、各第1領域A1にて作業している様子が示されている。
図17Bは、変化モードM12の場面を示す図である。ここで検知部20は、ユーザu1またはu2の「共有」という音声を検知する。制御部10は、検知部20にて検知したユーザの音声に基づいて、ユーザu1、u2の次の行動を予測する。例えば制御部10は、「共有」という音声情報を検知部20から取得すると、記憶部15に格納されているテーブル(図11B参照)に基づいて、「机の中央で作業する」という次の行動を予測する。
次に制御部10は、予測した行動に応じてた照射モードを選択する。例えば上記では、「机の中央で作業する」という行動を予測したので、制御部10は、机の中央に照射領域50を形成する第2照射モードM2を選択する。
制御部10は、選択した第2照射モードM2に基づいて、照明器具40に光を照射させる。その際、制御部10は、第1照射モードM1から第2照射モードM2に状態を変化させる。この例では図17Bに示すように、制御部10は、第1領域A1から第2領域A2に向かって、2つの照射領域50を移動させる。具体的には、制御部10は、第1照射モードM1の複数の照射領域50の平面上の位置座標が、
(X1,Y1)、(X2,Y2)、・・(Xn,Yn)(ただしnは2以上の整数)
で表される場合に、第2照射モードM2の1つの照射領域50が、
((X1+X2+・・・+Xn)/n,(Y1+Y2+・・・+Yn)/n)
で表される平面上の位置座標を含むように、変化モードM12において照射領域50を移動させる。そしてユーザu1、u2は、照射領域50の移動に追随するように各自の書類62を移動させる。
図17Cは、第2照射モードM2の場面を示す図であり、一方の第1領域A1と他方の第1領域A1の間に、第2領域A2が形成された様子が示されている。第2領域A2内には、ユーザu1、u2の各書類62が配置され、ユーザu1、u2が情報を共有できる状態となっている。
このように2つの照射領域50を中央に移動させることで、照射領域50が共有される様子をユーザu1、u2に示すことができ、ユーザu1、u2の意識を視覚的に変えることができる。
なお、第1照射モードM1と第2照射モードM2との変化は、逆方向であってもよい。例えば、制御部10は「個人」というユーザu1またはu2の音声を検知部20から取得し、照射モードを第2照射モードM2から第1照射モードM1に変更させてもよい。
実施の形態2に係る照明システム1Aは、第1照射モードM1として複数の照射領域50を有し、および、第2照射モードM2として1つの照射領域50を有している。制御部10は、変化モードM12において、第1照射モードM1の複数の照射領域50を第2照射モードM2の1つの照射領域50に移動させる。
この照明システム1Aによれば、各ユーザu1、u2の意識を共有化させたり、個別化させたりして、各ユーザu1、u2の意識を変化させることができる。
また、制御部10は、第1照射モードM1の複数の照射領域50の平面上の位置座標が、
(X1,Y1)、(X2,Y2)、・・(Xn,Yn)(ただしnは2以上の整数)
で表される場合に、第2照射モードM2の1つの照射領域50が、
((X1+X2+・・・+Xn)/n,(Y1+Y2+・・・+Yn)/n)
で表される平面上の位置座標を含むように、変化モードM12において照射領域50を移動させてもよい。
これによれば、各ユーザu1、u2の意識を共有化させる際に、共有化しやすい環境をつくることができる。
[2-2.実施の形態2の変形例]
次に、実施の形態2の変形例に係る照明システム1Aについて、図18A~図18Cを参照しながら説明する。実施の形態2の変形例1では、第2領域A2が机上の中央でない位置に形成されている。
図18A~図18Cは、実施の形態2の変形例の照明システム1Aの動作を順に示す図である。第2領域A2は、机の中央ではなく、ユーザu2の手前を照射する照射領域50となっている。本変形例では、ユーザu2の第2領域A2は、ユーザu1の第2領域A2よりも大きい。
ここで、図18A~図18Cを参照して、実施の形態2の変形例の照明システム1Aの動作について説明する。
図18Aは、第1照射モードM1の場面を示す図であり、2つの照明器具40のそれぞれによって一方の第1領域A1および他方の第1領域A1が照射されている。この図には、ユーザu1、u2のそれぞれが、各第1領域A1にて作業している様子が示されている。
図18Bは、変化モードM12の場面を示す図である。ここで検知部20は、例えば「ユーザu1の書類」という音声を検知する。制御部10は、検知部20にて検知した音声に基づいて、ユーザu1、u2の次の行動を予測する。例えば制御部10は、「ユーザu1の書類」という音声情報を検知部20から取得すると、「ユーザu1の前で作業する」という次の行動を予測する。
次に制御部10は、予測した行動に応じてた照射モードを選択する。例えば上記では、「ユーザu1の前で作業する」という行動を予測したので、制御部10は、ユーザu2の手前に照射領域50を形成する第2照射モードM2を選択する。
制御部10は、選択した第2照射モードM2に基づいて、照明器具40に光を照射させる。その際、制御部10は、第1照射モードM1から第2照射モードM2に状態を変化させる。この例では図17Bに示すように、制御部10は、ユーザu1の第1領域A1を縮小し、ユーザu2の第1領域A1を拡大して第2領域A2を形成する。
図17Cは、第2照射モードM2の場面を示す図であり、ユーザu2の手前に第2領域A2が形成された様子が示されている。第2領域A2内には、ユーザu2の書類62が配置され、ユーザu2の書類62が強調される状態となっている。
このように2つの照射領域50を1か所に移動させることで、一方の照射領域50が強調される様子をユーザu1、u2に示すことができ、ユーザu1、u2の意識を視覚的に変えることができる。
なお、第1照射モードM1と第2照射モードM2との変化は、逆方向であってもよい。例えば、制御部10は「個人」というユーザu1またはu2の音声を検知部20から取得し、照射モードを第2照射モードM2から第1照射モードM1に変更させてもよい。
(実施の形態3)
次に、実施の形態3に係る照明システム1Bについて、図19~図21を参照しながら説明する。照明器具40を使用するユーザが複数存在し、それに対応する複数の第1領域A1が設けられている。
図19は、実施の形態3に係る照明システム1Bを示す図である。図20は、照明システム1Bの動作を示す図である。図21は、照明システム1Bの動作の他の例を示す図である。
照明システム1Bは、照明器具40と、制御部10と、検知部20とを備えている。照明器具40および検知部20のそれぞれは、制御部10に接続されている。実施の形態3の検知部20は、例えば、音を検知するマイクロフォンである。
照明システム1Bは、照明器具40の光を3つの第1領域A1に照射する第1照射モードM1を有している。また、照明システム1Bは、3つの第1領域A1に照射される光を第2領域A2に集約する第2照射モードM2を有している(図20参照)。
ここで、図19および図20を参照して、照明システム1Bの動作について説明する。
図19は、第1照射モードM1の場面を示す図であり、照明器具40によって3つの第1領域A1が形成されている。この図には、各ユーザu1、u2、u3が、各第1領域A1にて作業している様子が示されている。
図20は、変化モードM12の場面を示す図である。ここで検知部20は、ユーザu1、u2またはu3の「共有」という音声を検知する。制御部10は、検知部20にて検知したユーザの音声に基づいて、ユーザu1~u3の次の行動を予測する。例えば制御部10は、「共有」という音声情報を検知部20から取得すると、記憶部15に格納されているテーブルに基づいて、「机の中央で作業する」という次の行動を予測する。
次に制御部10は、予測した行動に応じてた照射モードを選択する。例えば上記では、「机の中央で作業する」という行動を予測したので、制御部10は、机の中央に照射領域50を形成する第2照射モードM2を選択する。
制御部10は、選択した第2照射モードM2に基づいて、照明器具40に光を照射させる。その際、制御部10は、第1照射モードM1から第2照射モードM2に状態を変化させる。この例では図20に示すように、制御部10は、第1領域A1から第2領域A2に向かって、3つの照射領域50を移動させる。
このように3つの照射領域50を1か所に移動させることで、照射領域50が共有される様子をユーザu1~u3に示すことができ、ユーザu1~u3の意識を視覚的に変えることができる。
ここで、図19および図21を参照して、照明システム1Bの動作の他の例について説明する。なお、図21では、4人目のユーザu4が示されている。
まず、第1照射モードM1にて光が照射されている状態において、検知部20は、ユーザu4の「発表」という音声を検知する。制御部10は、検知部20にて検知したユーザu4の音声に基づいて、ユーザu1~u4の次の行動を予測する。例えば制御部10は、「発表」という音声情報を検知部20から取得すると、記憶部15に格納されているテーブルに基づいて、「スクリーンを見る」という次の行動を予測する。
次に制御部10は、予測した行動に応じて、所定の照射モードを選択する。例えば上記では、第2領域A2にて「スクリーンを見る」という行動を予測したので、制御部10は、壁のスクリーンに照射領域50を形成する第2照射モードM2を選択する。
制御部10は、選択した第2照射モードM2に基づいて、照明器具40に光を照射させる。その際、制御部10は、第1照射モードM1から第2照射モードM2に状態を変化させる。この例では図21に示すように、制御部10は、第1領域A1から第2領域A2に向かって、時間とともに照射領域50の形状を変化させながら移動させ、スクリーンに画像63を映し出している。このように照射領域50を徐々に移動させることで、照射領域50が変化する様子をユーザu1~u4に違和感なく示すことができ、ユーザu1~u4の意識を視覚的に変えることができる。
また、この例では、図19を第1照射モードM1を示す場面とし、図21を第2照射モードM2を示す場面としたが、それに限られない。例えば、図20を第1照射モードM1とし、図21を第2照射モードM2としてもよい。すなわち、第1照射モードM1にて机の中央に1つの照射領域50に照射し、第2照射モードM2にて照射領域50を壁のスクリーンに映し出してもよい。
(その他の実施の形態)
以上、実施の形態に係る照明システム1~1Bについて説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。
例えば、上記実施の形態では、制御部10は、1つの照明器具40を制御したが、これに限らない。例えば、制御部10は、複数の照明器具40を制御してもよい。
例えば、上記実施の形態では、制御部10は、1つの検知部20の検知結果に応じて、照明器具40を制御したが、これに限らない。例えば、制御部10は、複数の検知部20の検知結果に応じて、複数の照明器具40を制御してもよい。
例えば、照明器具40は、例えば、青色LEDおよび黄色蛍光体で構成された色温度の異なる光源を複数備えていてもよい。また、照明器具40は、近紫外LEDおよびRGB蛍光体で構成された光源を複数備えていてもよい。
例えば、実施の形態1では、照明器具40と、制御部10と、検知部20とを備える照明システム1を示したが、それに限られず、照明器具40と、制御部10と、検知部20とを1つの筐体内に入れ、照明システム1を1つの装置として形成してもよい。
その他、実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素および機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。