(前提技術)
以下、本発明の前提とするぱちんこ遊技機(以下「前提技術」)について図面を用いて説明する。前提技術に係るぱちんこ遊技機の代表例として、ぱちんこ遊技機を図1および図3に示すとともに、このぱちんこ遊技機に設けられる遊技盤を図4に示しており、まず、これらの図を参照して、ぱちんこ遊技機の機械構成について説明する。なお、以降の説明においては、便宜上、図2の各矢印で示す方向をそれぞれ、前後方向、左右方向、上下方向と称して説明する。
[ぱちんこ遊技機の機械構成]
始めに、ぱちんこ遊技機Pの正面側の基本構造を説明する。ぱちんこ遊技機Pは、図1および図2に示すように、外郭方形に構成され、遊技施設において固定される外枠P1の開口前面に、外枠P1の開口に合わせたサイズで方形に構成された前枠P2が互いの正面左側縁部に配設された上下のヒンジ機構(上ヒンジ部10、下ヒンジ部20)により横開き開閉および着脱が可能に取り付けられる。
前枠P2には、遊技盤P5とガラス枠P3とが着脱可能にセットされている。ガラス枠P3は方形状であり、前枠P2の前面側に上下のヒンジ機構(上ヒンジ部10、下ヒンジ部20)を利用して横開き開閉および着脱可能に組み付けられて保持される。遊技盤P5は、前枠P2の前面側に着脱可能にセットされ、閉鎖保持されるガラス枠P3のガラスP301を通して遊技盤P5の正面側に設けられた遊技領域P501を遊技者が視認可能に構成されている。また前枠P2およびガラス枠P3は、ぱちんこ遊技機Pの正面右側縁部に設けられた施錠部P30の鍵穴に鍵を挿入し、左右方向のいずれかに回転させることで、回転方向に応じて、外枠P1と前枠P2の施錠が解除または前枠P2とガラス枠P3の施錠が解除される。具体例としては、施錠部P30の鍵穴に鍵を挿入して右方向に回転させると外枠P1と前枠P2の施錠が解除され、施錠部P30の鍵穴に鍵を挿入して左方向に回転させると前枠P2とガラス枠P3の施錠が解除されるようになっている。
ガラス枠P3の下部には、遊技球を貯留する上下の球皿P340(上球皿P341及び下球皿P342)が設けられる。またガラス枠P3には、遊技の展開状況に応じて発光する演出ランプP350や、遊技の展開状況に応じて効果音などの音を出力可能なスピーカP370が設けられている。ガラス枠P3の下部中央には、所定の演出操作を行うための演出操作ユニットP380が取り付けられ、前提技術として示す本ぱちんこ遊技機が有する演出操作ユニットP380は、押下入力式のボタンP381と傾倒操作式のレバーP382とを備えており、ボタンP381は常時遊技者操作を可能とする一方、レバーP382はガラス枠に備えられた可動物(枠可動役物P360)の1つであり、操作手段自体が上方に突出した状態(入力許可状態)に変位した場合に操作入力を可能とする(1の演出操作手段にて、複数の操作が可能となっている)。
前枠P2の右下部には、遊技球の発射操作および発射強度の調整を行うハンドルP204が設けられている。前枠P2の下部には、さらに発射装置ユニットP240を備え、図示を省略するが、上球皿P341に貯留された遊技球を1球ずつ送り出す球送り機構P241、この球送り機構から送り出された遊技球を遊技領域P501へ向けて打ち出す発射機構(ロータリーソレノイドで駆動される打球槌)を有する発射装置P242、球送り機構P241や発射装置P242の作動を同期的に制御する発射制御基板P243などが設けられている。
遊技盤P5(遊技盤ユニット)は、図4に示すように、透明な合成樹脂や木材を用いて矩形の平板状に形成された基材をベースとして構成されている。なお、図1は遊技盤P5を含むぱちんこ遊技機Pを前面側から見た正面図であり、図4は遊技盤ユニットP5の斜視図を示す。図4は遊技盤ユニットに備えられた演出役物P560(「可動演出装置」「演出可動体」「演出可動役物」等とも呼ぶ)が動作している状態を図示している。遊技盤P5の前面には、左下部から右上部にかけて配設された円弧状の外レールP502と、遊技盤の下部中央付近から外レールP502の内側における左下部から左上部にかけて配設された円弧状の内レールP503と、右上部の外レールP502の端部から該盤面の下部までの間に配設されて左向きに開く湾曲形状に形成されたレール飾りP504とを備えており、外レールP502と内レールP503とレール飾りP504とで囲まれた内側に略円形の遊技領域P501が区画形成されている。この遊技領域P501は、略中央に配設される後述のセンター役物P540を基準として、センター役物P540の左側の領域である左側領域P501L(左打ち領域)と、センター役物の右側の領域である右側領域P501R(右打ち領域)とを有している。また、外レールと内レールとにより、発射装置ユニットP240により打ち出された遊技球を遊技領域P501へ案内するための案内通路が形成される。
遊技領域P501には、図示しない多数本の遊技釘P510や風車P511とともに、第1始動入賞口P711(第1始動口)、第2始動入賞口P721(第2始動口)、一般入賞口P731、普図作動口P741(普図作動ゲート装置)、大入賞口P751(アタッカー)、等の各種入球装置(賞球が発生する場合は「入賞装置」と称する)が配設されている。なお、大入賞口は1つとしてもよいし、複数有するよう構成してもよい。また、本明細書において、入球装置の構成上、遊技球が入球装置に入球した後に排出されるもの、入球装置に入球した後にさらに遊技領域P501を流下するもの(ゲートタイプ)に対し、遊技球が内部の検出スイッチで検出されることを「入球」「入賞(特に賞球が発生するもの)」と称し、ゲートタイプの入球口のように下流の遊技領域に流下するものついては、特に「通過」と区別して記載する場合を有する。また、入球装置を入球口、入賞装置を入賞口と称することがある。
また、遊技領域P501の右下には、第1特別図柄表示装置P51、第2特別図柄表示装置P52、普通図柄表示装置P53など、後述の主制御基板にて点灯制御される主制御表示装置P50が集約的に配設されている。遊技領域P501の略中央にはセンター役物P540が配設されており、このセンター役物P540の開口を通して演出表示装置P80の画面が視認可能に設けられている。このセンター役物P540の上部等には、遊技の展開状況に応じた演出動作を行う演出役物P560(可動役物装置)が設けられている。遊技領域P501の下端部には、各種入球装置の入賞口に入球せずに流下した遊技球が通過可能なアウト口P790が設けられている。各種入賞装置の入賞口に入球した遊技球又はアウト口P790に流入した遊技球は、遊技盤P5に前後貫通して形成された貫通孔(図示せず)を通じて遊技盤P5の後面側へ流下し、前枠P2下部の回収流路(遊技済み球通路)に収集され、発射した遊技球の総数を検出するための前枠下部に備えられたアウト球センサP792(発射球数センサ)を通過したのち遊技機外へ排出される。
第1始動入賞装置P710は、第1特別図柄遊技に対応する始動入賞装置として設けられている。この第1始動入賞装置P710には、遊技球が入球可能な第1始動入賞口P711が設けられている。第1始動入賞口P711への遊技球の入球は、第1特別図柄に係る抽選に使用される乱数の取得契機となっており、第1始動入賞口P711への遊技球の入球に基づいて入球直後のタイミングまたは保留期間を経過した後に第1特別図柄に係る抽選が実行される。
第2始動入賞装置P720は、第2特別図柄遊技に対応する始動入賞装置として設けられている。この第2始動入賞装置P720には、遊技球が入球可能な第2始動入賞口P721および後述する普通図柄抽選に当選した場合に第2始動入賞口P721への入球を容易となる状態に切り替える可動体である普通電動役物P770が設けられている。第2始動入賞口P721への遊技球の入球は、第2特別図柄に係る抽選に使用される乱数の契機となっており、第2始動入賞口P721への遊技球の入球に基づいて入球直後のタイミングまたは保留期間を経過した後に第2特別図柄に係る抽選が実行される。第2始動入賞装置P721は、普通電動役物P770の作用により遊技球が第2始動入賞口P721へ入球可能又は入球容易な開状態と、遊技球が第2始動入賞口P721へ入球不能又は入球困難な閉状態とに変化する。つまり、第2始動入賞装置P720は、開状態に変位しなければ遊技球が第2始動入賞口へ入球し難い構造となっており、後述の所定の契機(普通図柄抽選に当選する契機)で開状態となると遊技球の入球容易性が高くなる。なお、普通電動役物P770の構造は様々な態様が知られており、可動体P771が開くことによる入球容易性の変化がなされる構造ではない場合があるため、「開状態」「閉状態」をそれぞれ「入球容易状態(入球容易態様)」「入球困難状態(入球困難態様)」と表記する場合を有する。
一般入賞装置P730は、左打ち領域P501Lに配置された左側一般入賞装置P730Lと、右打ち領域P501Rに配置された右側一般入賞装置P730Rとを有している。本前提技術におけるぱちんこ遊技機Pにおいては、左側一般入賞装置P730Lとして、3つの一般入賞口P731La~P731Lcが1のユニットとして構成されている一方、右側一般入賞装置P730Rは後述する大入賞装置P750の一部として構成されている。一般入賞口P731への遊技球の入球は、他の入賞装置と同じく賞球払出の契機となる。なお、前提とするぱちんこ遊技機の一般入賞口P731の個数や位置はあくまで一例であり、右打ち領域P501Rにのみ配置されるよう構成する等としてもよい。
普図作動ゲート装置P740(普図作動口)は、普通図柄遊技に対応する始動入球口として設けられている。この普図作動ゲート装置P740には、遊技球が通過可能な作動ゲートP741が設けられており、入球した遊技球は遊技盤の遊技領域の下流をさらに流下可能に構成されている。作動ゲートP741への遊技球の通過は、第2始動入賞装置P720を開状態とするか否か、すなわち普通電動役物P770を作動させるか否かを決定するための普通図柄抽選の契機となる。なお、変形例として普通図柄抽選の契機となる機能を前述した一般入賞口P731に備えるように構成することも可能であり、この場合には、普通図柄抽選を実行する機能に加えて、賞球を発生させる機能を1の入賞装置として設けることも可能である(普図作動入賞口)。
大入賞装置P750は、第1特別図柄抽選又は第2特別図柄抽選の抽選結果が大当りや小当りとなった場合に開閉動作する大入賞口P751(特別電動役物P755)を有して構成されており、「アタッカー(装置)」などと呼称する場合を有する。大入賞装置P750は、遊技球が大入賞口P751へ入球可能又は入球容易な開状態(例として特別電動役物が作動P755した状態)と、遊技球が大入賞口P751へ入球不能又は入球困難な閉状態(例として特別電動役物P755が非作動の状態)とに変化する。大当り遊技においては、大入賞口P751の開閉動作を伴う複数回のラウンド遊技(単位遊技)が行われる。なお、特別電動役物P755が作動した状態であっても、一連の作動パターン(「開放パターン」とも呼ぶ)により、大入賞口P751を構成する可動体P756が入球困難な閉態様となる場合を有する。
また、大入賞装置P750には、遊技機の仕様(スペック)によっては、遊技球が通過可能な特定領域P760(「Vゾーン」、「V領域」と呼ばれ、機能によっては「確率変動機能作動領域」、「継続領域」などと呼ぶ)が設けられる場合を有する。この「特定領域」に関する機能として、(ア)大当り遊技中の特定領域に対する通過を契機として大当り遊技の後に確率変動機能(後述)を作動させること、(イ)小当り遊技中の特定領域の通過を契機として役物連続作動装置(特別電動役物を連続的に作動させるためのフラグ)を作動させ、大当り遊技を実行する権利を付与すること、(ウ)大当り遊技中の特定のラウンドにおいて特定領域を通過したか否かに基づいて、後続のラウンドの実行を確定的としたり、実行しないものとしたりすること、などが例として挙げられる。なお、「特定領域」に対し、通過の容易性を変化させるための構造体である開閉部材P761(弁部材)が設けられてもよく、開閉部材P761の作用により流下経路を振り分けられることで、特定領域P760又はそれ以外の非特定領域を通過するように構成してもよい。また、大当り遊技中や小当り遊技中において、特定領域P761の遊技球の通過が有効となる期間と無効となる期間とを有してもよい。
なお、前提とするぱちんこ遊技機Pにおいて、大入賞装置P750は、遊技領域P501における右側領域P501R(右打ち領域)に設けられている。そのため、大当り遊技又は小当り遊技では、遊技領域P501に向けて遊技球を発射する際に、右側領域P501Rを狙って打つ、いわゆる右打ちを行うことで大入賞口P751への入球が容易となっている。
続いて、前提とするぱちんこ遊技機Pの背面側の基本構造を説明する。前枠の背面側には、中央に遊技盤ユニットP5を取り付けるために前後連通する窓口を有した裏セットユニットP4が取り付けられている。裏セットユニットP4には、遊技施設側から供給される多数個の遊技球を貯留する貯留タンクP401、貯留タンクP401からの遊技球を流下させる樋部材P402、樋部材により導かれた遊技球を払い出す賞球払出ユニットP410、賞球払出ユニットP410から払い出された遊技球を上球皿P341又は下球皿P342へ流下させる裏側通路部材P403などが設けられている。また、貯留タンクP401から球皿P340までの遊技球流下経路上には、球抜き機構(球抜き操作レバーP405、操作レバーに連動して遊技球を流路上から排除する流路を形成する弁部材P406)が設けられている。
遊技盤P5の背面側には、ぱちんこ遊技機Pの遊技進行を統括的に制御する主制御基板P40や、主制御基板P40の制御に伴う遊技進行に合わせた演出全般の制御を行う演出制御基板P41、遊技展開に応じた画像表示の制御を行う画像制御基板P42などが取り付けられている。なお、本前提技術のぱちんこ遊技機Pでは、演出制御基板P41および画像制御基板P42は、演出表示装置P80(液晶表示装置)と一体化されたアッセンブリ状態で演出表示ユニットを構成している。これに対して、裏セットユニットP4の背面側には、遊技球の払い出しに関する制御を行う払出制御基板P43や、遊技施設側から受電して各種制御基板や電気・電子部品に電力を供給する電源基板P44(図示せず)などが取り付けられている。なお、これらの制御基板は、不正改造防止のため、カシメ構造及び封印シール構造を有する透明樹脂製の基板ケースに収容されたアッセンブリ状態で遊技盤P5の背面又は裏セットユニットP4の背面の所定位置にそれぞれ配設される。これらの制御基板とぱちんこ遊技機各部の電気・電子部品とがハーネス(コネクタケーブル)を介して相互に接続されて、ぱちんこ遊技機Pにおける遊技の進行や、演出の実行が可能に構成されている。
[機能ブロック]
図5は、前提とするぱちんこ遊技機の機能ブロックを示す。
ぱちんこ遊技機は、遊技機外部から供給される交流電源に基づいて遊技機内で使用する電源を生成する電源基板P44と、遊技の基本動作や遊技の進行を制御する主制御基板P40(主制御CPU)と、賞球の払出しや遊技球の発射を制御する枠制御装置としての払出制御基板P43(払出制御CPU)と、演出的な動作や処理を制御する演出制御基板P41とに機能を分担させた形態で構成される。なお、図中に示す矢印は機能別に、上方の送受信の関係を実線矢印で示し、電気的接続の関係を破線矢印にて示している。
電源基板P44は、基板上に設けられた電源スイッチP47を操作することによって、後述する主制御基板P40、演出制御基板P41、払出制御基板P43、並びにそれらに電気的に接続する各種遊技用装置に対し、動作に必要となる電力を生成して供給する。詳細は後述するが、電源スイッチP47の電源投入操作は、遊技機の設定に係る情報の処理の開始契機となるスイッチ操作であるため、電源スイッチは不正な操作を防止するため開閉カバーに覆われた状態で保護されている。
主制御基板P40は、第1始動入賞口P711(特図1始動口スイッチP712)、第2始動入賞口P721(特図2始動口スイッチP722)、大入賞口P751(大入賞口スイッチP752)、普図作動口P741(普図作動口スイッチP742)や、その他の検出スイッチである一般入賞口P731(左側一般入賞口,右側一般入賞口)、アウト口P790などの各種の遊技進行に係る検出スイッチや、設定キースイッチP49、振動検知センサP72、磁石センサP73などの各種遊技の管理や不正監視に用いられるスイッチやセンサと接続される。主制御基板は、これらのスイッチから各種の遊技状態の発生に係る情報の入力を得て、遊技進行に係る制御内容の決定をするとともに、ソレノイド等で構成され、大当りや小当りの際に大入賞口P751を拡開させるために駆動される特別電動役物駆動手段P70や、普通図柄抽選に当選した場合に普通電動役物P770を入球容易状態とするために駆動される普通電動役物駆動手段P71といった遊技用装置に対して、駆動態様に係る情報の出力を行う。
主制御基板P40に接続するセンサ等は、主制御基板上の入力ポートと呼ばれる端子に接続して、センサ検出に基づく各種遊技状態の発生の有無を主制御基板P40に情報として通知し、特別電動役物駆動手段P70や、普通電動役物駆動手段P71、その他、発射装置P242に対する発射許可信号などを出力ポートと呼ばれる端子から出力された情報を受け取ってそれぞれの装置、デバイスを制御する。
また、主制御基板P40は、第1特別図柄や第2特別図柄の変動表示を行う特別図柄表示装置P51、P52や大当りや小当りの種類(ラウンド数)を報知するラウンド表示灯P54、遊技状態を報知する状態表示灯P55などの各種表示を行う主制御表示装置P50や、遊技機の性能(例えば通常遊技中におけるベース値、すなわち発射総数に対する賞球数の割合)を表示する性能表示装置P59などと接続する。なお、「ベース値」に関して、始動入賞口P711等の入賞を除外して計上するデータなど、他の計上方法も多種存在するが、本件発明にて必要な場合に別途説明を行い、前提とするぱちんこ遊技機の説明では詳細は割愛する。
主制御基板P40は、上記の他に外部情報出力端子P77や試験端子P78等により遊技機外部の装置と電気的に接続可能に構成されており、各々との間で各種制御信号を送受信する。また、主制御基板P40は、遊技機内の他の制御基板である演出制御基板P41、払出制御基板P43とも電気的に接続している。
払出制御基板P43は、主制御基板P40から送信される賞球払出や主制御基板の制御状態を示す信号等に基づいて、払出装置P410による賞球の払出を制御するほか、遊技者によるハンドルP204の操作を受けて発射装置ユニットP240による遊技球の発射に係る制御を行う。払出装置P410は、一例として払出モータP411と球計数センサP412有するものであり、払出モータP411の回転により、遊技球を1球ずつ払出可能に構成される。発射装置(発射装置ユニット)P240は、球皿P340(上球皿P341)に滞留している遊技球を1球ずつ球送りユニットP241によって発射可能位置へ移動させた後、打球槌を遊技球にぶつけることで遊技球を発射させるよう構成されている。なお、払出制御基板P43には、主として遊技機の初期化や、遊技中に発生したエラーの解除に用いられるラムクリアスイッチP48が配設されており、払出制御基板P43と主制御基板P40の接続に使用されるハーネスやコネクタを介して、ラムクリアスイッチP48の操作情報が主制御基板に入力されるようになっている。
演出制御基板P41は、演出表示装置P80、演出可動役物P560の駆動源や位置検出センサ(例えば、駆動モータや、初期位置検出センサ、演出位置検出センサ)、スピーカP83(上スピーカP370、下スピーカ141)、演出操作ユニットP380(例えば演出操作手段P81である演出ボタンP381、演出レバーP382、十字キーP383など)、演出ランプP82(「装飾ランプ」「盤ランプ(P550)」「枠ランプ(P350)」とも称する)と電気的に接続されており、各々との間で各種制御信号を送受信する。また、演出制御基板P42と、演出表示装置P80の接続は、演出表示装置P80(例えば液晶表示装置などの画像を表示する装置)の表示制御を行う画像制御基板P42(VDP)などを介して接続するものであってもよい。また、本前提とするぱちんこ遊技機では、スピーカP83を演出制御基板P41にて制御するように構成するものであるが、音声制御用のIC等を備えた音声制御基板を別途設けてスピーカP83を制御するように構成してもよい。
主制御基板P40と演出制御基板P41の間におけるデータの送受信は主制御基板P40から演出制御基板P41への一方向となるよう一方向でのデータ送受信にて行われる。主制御基板P40から演出制御基板P41へのデータ送信の一方向性が保たれるため、演出制御基板P41に含まれる構成から主制御基板P40に含まれる構成へはデータを送信することができず、データ送信の要求もできない。したがって、演出制御基板P41は、主制御基板P40で生成された情報が送信されない限りその情報を参照することはできない。なお、本前提とするぱちんこ遊技機Pにおいては、主制御基板P40と払出制御基板P43の間は、双方向でデータ送受信がなされる。ただし、主制御基板P40と演出制御基板P41の間と同様、主制御基板P40から払出制御基板P43への一方向でのデータ送受信とする構成にしてもよい。
[基本遊技進行]
次に、以上のように構成される前提技術としてのぱちんこ遊技機Pにおける、基本的な遊技進行および遊技方法に関して遊技状態別に説明する。「遊技状態」としては大別して「通常遊技状態」と、通常遊技状態と比して遊技球を獲得することが容易な「特別遊技状態」とがある。「通常遊技状態」は、「特別遊技状態」への移行権利の獲得を目指す状態であり、通常遊技状態の中でも、特別遊技状態への移行権利の獲得に関して遊技者にとって有利度合いが異なる遊技状態が複数設けられており、複数の通常遊技状態の中でも、遊技者にとって比較的特別遊技状態への移行権利が獲得容易な状態(通常遊技状態(低確率/低ベース状態)よりも遊技者にとって有利な状態)に関して「特定遊技状態」と表現する。「特別遊技状態」は、いわゆる「大当り遊技」と「小当り遊技」が該当し、主制御基板P40によって特別電動役物駆動手段P70が駆動され大入賞口P751が開口した状態となり遊技球の獲得が容易となる状態のことを意味している。
[通常遊技状態(低確率/低ベース状態)]
まず、通常遊技状態における遊技方法および遊技の進行に関する説明を行う。なお、ここで記載する通常遊技状態は特定遊技状態を除く「通常遊技状態(低確率/低ベース状態)」(図6参照)に関する説明であり、一般的に遊技者が遊技を開始する状況における遊技状態について説明するものであり、特定遊技状態における遊技方法、遊技の進行、および「低(高)確率」、「低(高)ベース」の用語の意味に関しては後述する。
通常遊技状態(低確率/低ベース状態)における、遊技の方法として、まず、遊技者はハンドルP204を操作して遊技盤P5に設けられた遊技領域P501に向けて遊技球を発射する。前提とするぱちんこ遊技機Pにおいては、通常遊技状態(低確率/低ベース状態)において、遊技者はハンドルP204の操作量を遊技球が遊技領域の左側領域P501L(左打ち領域)に向かって発射されるように操作して遊技を行う。
遊技者によって遊技領域の左側領域P501Lに遊技球が発射されると、発射された遊技球は、遊技領域P501を流下し、図示しない遊技釘P510(「障害釘」、「釘」とも呼ぶ)や、風車P511によって流下方向を変位させながら、「ヘソ」などと呼ばれる遊技盤の遊技領域P501における略中央下位置に配置された第1始動入賞口P711、あるいは左側一般入賞装置の一般入賞口P731Lに入球(入賞)するか、いずれの入賞口にも入球せず、遊技済み遊技球としてアウト口P790へ入球する。第1始動入賞口P711あるいは、一般入賞口P731へ入球すると、主制御基板P40は、払出制御基板P43に対し入賞口毎に定められた賞球数の賞球をさせるための情報(制御コマンド)を出力し、遊技者は賞球払出により新たな遊技球を獲得する。
ここで第1始動入賞口P711の内部には特図1始動口スイッチP712が配置されており、遊技者が遊技領域における左側領域P501Lに遊技球を発射して生じ得る遊技状態(遊技結果)として、第1始動入賞口P711への入球がなされた場合において、主制御基板P40に特図1始動口スイッチP712の遊技球検出情報が入力される。
主制御基板P40は、特図1始動口スイッチP712の遊技球検出情報の入力を受けると、予め定められた賞球数の遊技球の払い出しを行うほか、第1特別図柄の制御に係る抽選を行うための乱数値を取得する。乱数値の取得は、遊技球の検出に基づいて、電気回路上で乱数生成回路の生成する乱数値を取得するもの(ハードラッチ)や、主制御基板P40の制御装置がソフト上の処理にて遊技球の検出情報を確認した際に乱数値を先の乱数生成回路から取得する処理を実行したり、ソフト的に更新されている乱数値を取得したりするもの(ソフトラッチ)などの手法があり、取得する乱数値に応じて使い分けてもよいし、組み合わせて使用することも可能である。なお、一般入賞口に入球した場合には、特別図柄に係る乱数は取得されず、賞球の払い出しのみが行われる。
第1特別図柄の制御に係る抽選は、「特別図柄抽選」であり、「特別図柄抽選」には、「当否抽選」、「当り図柄抽選」、「変動パターン抽選」が含まれる。「当否抽選」は、取得した乱数値を用いた抽選結果が「大当り」であるか「はずれ」であるかを決定する処理である(遊技機の仕様によっては抽選結果に「小当り」を含む)。「当り図柄抽選」(単に「図柄抽選」と呼ぶ場合もある)は、主制御表示装置P50における特別図柄表示装置P51(P52)において当否抽選結果を示す停止表示図柄の表示パターンを決定する処理であり、1の抽選結果(大当り、小当り)に対し、複数の停止表示図柄から1の図柄を決定可能であり、ここで決定された停止表示図柄に応じて、「大当り」、「小当り」における特別遊技の実行態様を異ならしめることを可能としている。「変動パターン抽選」は、特別図柄表示装置P51(P52)において当否抽選の結果を示す停止表示図柄をどのタイミングで表示させるかを決定する処理であり、特別図柄表示装置P51(P52)において特別図柄抽選が実行されたことを示す変動表示がなされる時間(「変動表示時間」、「変動パターン」と呼ぶ)を決定するものである。「当否抽選」、「当り図柄抽選」、「変動パターン抽選」に使用される乱数値は異なるものを使用するのが一般的であり、それぞれ「当否抽選乱数」、「図柄乱数」、「変動パターン乱数」と呼ばれる。なお、特図2始動口スイッチP722の遊技球を検出することに基づいて行われる第2特別図柄の制御に係る抽選もまた、同様の「特別図柄抽選」である。また、「特別図柄抽選」に関する説明は後述する。
通常遊技状態(低確率/低ベース状態)における遊技方法の説明に戻って説明すると、通常遊技状態(低確率/低ベース状態)においては、遊技者は遊技領域の左側領域P501Lに遊技球を発射し、第1始動入賞口P711へ遊技球を入球させ、第1特別図柄に係る抽選(特別図柄抽選)を実行させ、特別図柄表示装置において「大当り」(「小当り」)を示す特別図柄の停止表示図柄が表示されることにより、特別遊技の実行権利の獲得を目指す遊技が行われる。
なお、遊技者が特別図柄抽選を受ける過程において、変動パターン抽選により決定された時間に応じて特別図柄の変動表示がなされる点について上述しているが、前提とするぱちんこ遊技機Pにおいては、この特別図柄の変動表示期間において、新たに始動入賞口(第1始動入賞口P711、第2始動入賞口P721)に入球があった場合には、予め定められた回数の特別図柄抽選の実行権利に対応する乱数値を一時的に記憶する保留機能を備えている。前提とするぱちんこ遊技機Pでは、第1始動入賞口P711の入賞に基づく特別図柄抽選に対応する保留機能として、最大4回の特別図柄抽選を保留することを可能としている。なお、保留機能は特別図柄毎に設定可能であり、本前提技術のぱちんこ遊技機Pでは、第1特別図柄の保留とは別に、第2特別図柄に対する特別図柄抽選の保留機能も、最大4回の特別図柄抽選に使用する乱数値を保留しておくことを可能としている。
このように、通常遊技状態(低確率/低ベース状態)においては、遊技者は、遊技領域の左側領域P501Lに遊技球を発射して、第1特別図柄に係る特別図柄抽選を実行させる。そして、特別図柄抽選において、「大当り」や「小当り」などの特別遊技状態となる抽選結果に当選し、特別遊技状態への移行の権利を獲得したことが特別図柄表示装置に表示されると、ぱちんこ遊技機Pの遊技状態は特別遊技状態へ移行する。
[特別遊技状態]
続いて、特別遊技状態における遊技方法および遊技の進行に関する説明を行う。特別遊技状態には「大当り(遊技)」と、「小当り(遊技)」とが存在するが、ともに特別電動役物P755が作動して、すなわち主制御基板P40から特別電動役物駆動手段P70に対して駆動信号が出力されて大入賞口P751が入球容易状態となる状態であり、その相違点として、「大当り」が複数回の特別電動役物P755を連続して作動させる役物連続作動装置の作動に基づくものであるのに対し、「小当り」が1回の特別電動役物の作動により終了する点が大きな相違点である。その他の相違点としては、役物連続作動装置の作動に基づく特別電動役物の作動(大当り)では、特別電動役物P755の作動に関し、より遊技者に有利な作動態様とすることを可能とする点にあり、具体的には、役物連続作動装置の作動状態(大当り)における大入賞口P751の総開放時間は、30秒まで許容される一方、小当りにおける大入賞口P751の総開放時間は1.8秒までに制限される点がある。以下の特別遊技状態における遊技方法および遊技の進行に関する説明では、大当りを例に説明を行う。
前提技術のぱちんこ遊技機Pにおける特別遊技の遊技進行は、時系列に沿って、「特別遊技開始デモ」(大当りの場合は「大当り開始デモ」、「役連作動開始デモ」などと称し、小当りの場合は「小当り開始デモ」)と呼ばれる遊技者に各種特別遊技を獲得した旨を報知するための演出期間と、「ラウンド(遊技)」(「単位遊技」とも称する)と呼ばれる1回の特別電動役物P755の作動期間と、「特別遊技終了デモ」(大当りの場合は「大当り終了デモ」、「役連作動終了デモ」などと称し、小当りの場合は「小当り終了デモ」)と呼ばれる主に特別遊技中における遊技結果(獲得遊技球数など)および移行先の通常遊技状態(特定遊技状態を含む)の種類に係る報知を行うための期間とによって構成される。
次に上述した各特別遊技の期間における遊技の方法について説明を行う。まず、「特別遊技開始デモ」期間において、前提技術のぱちんこ遊技機Pでは、大入賞口P751が遊技領域の右側領域P501R(右打ち領域)に配置されており、通常遊技状態(低確率/低ベース状態)と同様の左側領域P501Lに遊技球を発射しても大入賞口P751の入球がほとんど期待できないため、特別遊技において大入賞口P751が入球容易状態となるラウンド遊技が開始する前に、遊技者に対して遊技領域の右側領域P501R(右打ち領域)に遊技球を発射することを促す右打ち報知演出を演出表示装置P80やスピーカ(下スピーカP141、上スピーカP370)、演出ランプP82を用いて実行する。遊技者は、右打ち報知演出に従って、ハンドルP204の操作量を増やし遊技球の発射強度を高めるよう調整し、遊技球を遊技領域の右側領域P501R(右打ち領域)に流下するよう発射位置を変更する(右打ちを実行する)。
「ラウンド(遊技)」期間になると、前提技術のぱちんこ遊技機Pでは、主制御基板P40から特別電動役物駆動手段P70に対して出力される駆動信号により大入賞口P751が入球容易状態または入球困難状態となり、特別遊技の実行期間に合わせて大当り(小当り)を獲得したことを祝福するような演出や、特別遊技が終了した後に移行する通常遊技状態が遊技者にとってより有利な特定遊技状態となるかを示唆する演出などの演出を実行する。遊技者は、大入賞口P751に遊技球を入球させて多数の遊技球を得るべく、遊技領域の右側領域P501R(右打ち領域)に遊技球を発射する。
1回の「ラウンド(遊技)」期間は、大当り(小当り)の種類に基づいて定められた大入賞口の開放パターン(特別電動役物の作動態様)が完遂する(開放時間が経過する)か、予め定められた「規定個数」(「カウント」「C」などと表現する場合を有する)の遊技球が入球することによって終了する。そして、実行中の特別遊技状態の種類(大当り、小当りの種類)に応じて、実行すべきラウンド遊技が全て終了したとき「特別遊技終了デモ」の状態へ移行する。
続いて「特別遊技終了デモ」期間となると、前提技術のぱちんこ遊技機Pでは、今回の特別遊技状態の期間において獲得した遊技球数や、後述する特定遊技期間と連続して行われた複数回の特別遊技状態において獲得した(通常遊技状態(低確率/低ベース状態)に移行せずに獲得した)累計の獲得遊技球数を報知する演出を行ったり、特別遊技状態の後に移行する通常遊技状態の種類の報知および移行先の遊技状態における遊技方法に係る報知(前述した右打ち報知演出など)の演出が実行される。遊技者は、実行されている演出より、移行先の通常遊技状態の種類に応じた遊技に備えて、ハンドルの操作を行う。
前提とする多くのぱちんこ遊技機Pにおいては、一部の例外を除いて、特別遊技状態としての大当り遊技が実行されると、通常遊技状態として「特定遊技状態」と呼ばれる遊技者にとって特別遊技状態への移行権利が獲得しやすい状態へ移行し、特定遊技状態と特別遊技状態とを連続して繰り返す、いわゆる「連荘」を楽しむ遊技性となっている。
[特定遊技状態]
続いて、「特定遊技状態」に関する説明を行う。図6に示すように特定遊技状態には、大きく分けて3つの特定遊技状態が存在する。そして、それらの種類を分ける要素として「確率状態」と「ベース状態」とがあり、それらの組み合わせによって特定遊技状態を構成する。
(確率状態)
「確率状態」は、特別図柄抽選における当否抽選において、抽選結果が「大当り」となる確率を変動させる機能である「確率変動機能」(「確変」とも言う)の作動状態に基づき、確率変動機能が作動し、作動していない場合よりも高い確率で特別図柄抽選における当否抽選が「大当り」となる場合について「高確率(状態)」(「確変状態」、「確率変動状態」と表現する場合もある)と表現し、確率変動機能が作動していない状態について「低確率(状態)」と表現する。「高確率(状態)」は、1回の特別図柄抽選に対し大当りとなる確率が高いという点で、通常遊技状態(低確率/低ベース状態)より有利な遊技状態となっている。
(ベース状態)
「ベース状態」は、「ベース」すなわち「所定個数の遊技球を発射した場合に賞球として得られる遊技球の割合(の期待値)」に関する状態であり、一般的には、普通電動役物P770の作動が通常遊技状態(低確率/低ベース状態)よりも容易(有利)となっている状態を「高ベース(状態)」(「電チューサポート(電サポ)状態」とも言う)と呼ぶ。なお、遊技機仕様によっては、「電チューサポート機能」が作動した状態でなくとも、推奨される遊技球の発射位置が切り替わることにより、「所定個数の遊技球を発射した場合に賞球として得られる遊技球の割合」が高まるのであれば「高ベース状態」と表現する場合も有する。「高ベース(状態)」は、特別遊技状態を獲得するまでの期間において、遊技球が賞球として払い出される数が多くなる(払い出されやすくなる)ことにより、遊技球の消費を抑えながら特別遊技状態の獲得を狙うことができる点で遊技者にとって有利となる遊技状態である。
「電チューサポート機能」は、普通電動役物P770の作動が通常遊技状態(低確率/低ベース状態)よりも容易となっている状態であるが、主として3つの機能の組み合わせ(少なくとも1を備える)によって構成される。「電チューサポート機能」を構成する3つの機能とは、「普通図柄確変」、「普通図柄時短」、「(普通電動役物の)開放延長」の3つである。「普通図柄確変」は、「普通図柄抽選」において普通電動役物を作動させる結果となる確率が高い状態を指す。「普通図柄時短」は、主制御表示装置P50における普通図柄表示手段P53において、普通図柄抽選を実行してから普通図柄抽選の結果を表示するまでの時間が短縮される状態のことを指す。「普通電動役物の開放延長」は、普通図柄抽選で当選した当りの種類に対して、普通電動役物P770に係る入賞口に対し遊技球が入球しやすい態様にて普通電動役物を作動させるように変更することを指しており、一例として、普通電動役物を入球容易状態とする総時間を延長して長くすることが該当する。
「普通図柄抽選」は、上述した特別図柄抽選が特別電動役物P755の作動に関する抽選であるのに対し、普通図柄抽選は対象が普通電動役物P770の作動に関する抽選である点、および抽選の実行契機が普図作動ゲート装置P740に対する遊技球の入球である点で相違するが、当否、図柄、変動パターンを抽選により決定する点や保留機能を有する点でほぼ同じである。普通図柄抽選に関する当否、図柄、変動パターンの抽選について特に表現する場合には「普図当否抽選」、「普図図柄抽選」、「普図変動パターン抽選」というように「普図」(または「普通図柄」)を先頭につけて表現する。
「特定遊技状態」の種類を区別する要素として、「確率状態」、「ベース状態」とを説明したが、特定遊技状態を構成する要素として、他に「時短状態」(「変動時間短縮状態」、「変動時間短縮機能」が作動した状態、ともいう)がある。一般的に「時短状態」は特別図柄の1回当りの変動表示時間(変動パターン)が短縮されて、単位時間あたりの特別図柄抽選の実行回数が増加する状態のことを指し、遊技者にとってより単位時間あたりに多くの特別図柄抽選を受けられる点で有利な状態である。「時短状態」(変動時間短縮状態)は、上述した「高確率状態」や「電チューサポート状態」と同時に制御されていることが多く、それのみで特定遊技状態を構成することは少ない。
[特定遊技状態1:低確率/高ベース状態]
「特定遊技状態」に係る説明に戻り、最初に図6に示す特定遊技状態1(低確率/高ベース状態)における遊技の進行及び遊技方法に関する説明を行う。
特定遊技状態1(低確率/高ベース状態)への移行は、図6の(1)、(8)、(12)に示す遊技状態遷移により移行する。図6の(1)、(8)、(12)の遊技状態遷移条件としては、(ア)それぞれの状態で大当り遊技を獲得すること、(イ)所定遊技回数が経過すること(※(8)のみ)などがある。図示はしていないが、特定遊技状態1から大当り遊技を経由して再び特定遊技状態1へ移行する場合も有する。一方で特別遊技状態が終了する条件を満たした場合、図6の(2)、(7)、(11)のように遷移する。これら(2)、(7)、(11)の遊技状態遷移条件としては、(ウ)特定遊技状態1でそれぞれの遊技状態に移行することとなる種類の大当り遊技を獲得すること、(エ)所定遊技回数が経過すること(※(2)のみ)が挙げられる。なお、「遊技回数」とは、一例として「特別図柄抽選の実行回数」のことを指す。
特定遊技状態1(低確率/高ベース状態)へ移行すると、前提とするぱちんこ遊技機Pにおいては、前述した「電チューサポート機能」、「変動時間短縮機能」の双方が作動した状態となる。前提とするぱちんこ遊技機Pの遊技盤P5における各入賞装置の配置構成では、遊技領域の右側領域P501R(右打ち領域)に普図作動ゲート装置P740、および普通電動役物に係る第2始動入賞口P721が配置されており、遊技者は遊技領域の右側領域P501R(右打ち領域)に遊技球を発射する「右打ち」を行うことで容易に普通図柄抽選および特別図柄抽選を受けられる。また、前提とするぱちんこ遊技機Pは、特定遊技状態1(低確率/高ベース状態)において、前述した「時短状態」にも制御されようになっている。
より詳細に遊技の進行に関して説明すると、特定遊技状態1(低確率/高ベース状態)となった場合、遊技者は遊技領域の右側領域P501R(右打ち領域)に遊技球を発射し、普図作動ゲート装置P740への入球(通過)させることを第1の手順として行い、普図作動ゲート装置P740への入球(通過)により、主制御基板P40において普通図柄抽選を受ける。特定遊技状態1(低確率/高ベース状態)における普通図柄抽選は、普図確変機能の作動により高確率(約1/1)で当りとなるため、普図作動ゲート装置P740へ遊技球が1球入球(通過)すると、1回の普通電動役物P770の作動が発生する。普通電動役物P770が作動すると、前提とするぱちんこ遊技機Pでは第2特別図柄に係る特別図柄抽選の契機となる第2始動入賞口P721が入球容易状態となり、遊技者は続く第2の手順として第2始動入賞口P721へ向けて遊技球を発射する。第2始動入賞口P721へ遊技球が入球した場合、検出情報が主制御基板P40に入力され、第2特別図柄に係る特別図柄抽選が実行され、特別遊技(大当り、小当り)の実行権利の獲得に係る抽選が実行される。
特定遊技状態1(低確率/高ベース状態)は、当該状態に移行することとなった遊技状態遷移条件(例えば、大当りの実行であれば実行された大当りの種類、等)によって予め定められた遊技回数(特別図柄抽選を受けた回数)が経過するか、新たに大当り遊技を獲得することによって終了する(なお、大当り遊技後に再び本状態に移行する場合を有する)。小当り遊技の獲得の場合は、特定遊技状態が終了しないものとすることが多いが、遊技機の仕様によっては、小当り遊技の獲得(又は複数回の小当り遊技の獲得、特定の種類の小当り遊技の獲得)によって終了するように設計される場合もある。特定遊技状態1(低確率/高ベース状態)が遊技回数によって終了する場合は、通常遊技状態(低確率/低ベース状態)へ移行する。
[特定遊技状態2:高確率/高ベース状態]
次に図6に示す特定遊技状態2(高確率/高ベース状態)における遊技の進行及び遊技方法に関する説明を行う。
特定遊技状態2(高確率/高ベース状態)への移行は、図6の(3)、(7)、(9)に示す遊技状態遷移により移行する。図6の(3)、(7)、(9)の遊技状態遷移条件としては、(ア)それぞれの状態で大当り遊技を獲得することである。図示はしていないが、特定遊技状態2から大当り遊技を経由して再び特定遊技状態2へ移行する場合も有する。一方で特別遊技状態が終了する条件を満たした場合、図6の(4)、(8)、(10)のように遷移する。これら(4)、(8)、(10)の遊技状態遷移条件としては、(イ)特定遊技状態2でそれぞれの遊技状態に移行することとなる種類の大当り遊技を獲得すること、(ウ)所定遊技回数が経過することが挙げられる。
特定遊技状態2(高確率/高ベース状態)へ移行すると、前提とするぱちんこ遊技機Pにおいては、特定遊技状態1(低確率/高ベース状態)に対し、さらに「確率変動機能」が作動した「高確率(状態)」である点で相違する。特定遊技状態2における遊技の進行および遊技の方法としては、特定遊技状態1と同様であり、遊技者にとっては特別図柄抽選において大当りの当選確率が高い分より早期に大当りを獲得し得る点で相違する。
特定遊技状態2(高確率/高ベース状態)は、当該状態に移行することとなった遊技状態遷移条件(例えば、大当りの実行であれば実行された大当りの種類、等)によって予め定められた遊技回数(特別図柄抽選を受けた回数)が経過するか、新たに大当り遊技を獲得することによって終了する(なお、大当り遊技後に再び本状態に移行する場合を有する)。特定遊技状態2は小当り遊技の獲得の場合は終了しないものとするのが一般的である。特定遊技状態2(高確率/高ベース状態)が遊技回数によって終了する場合は、通常遊技状態(低確率/低ベース状態)や、特定遊技状態1(低確率/高ベース状態)、特定遊技状態3(高確率/低ベース状態)へ移行する。
[特定遊技状態3:高確率/低ベース状態]
続いて図6に示す特定遊技状態3(高確率/低ベース状態)における遊技の進行及び遊技方法に関する説明を行う。
特定遊技状態3(高確率/低ベース状態)への移行は、図6の(5)、(10)、(11)に示す遊技状態遷移により移行する。図6の(5)、(10)、(11)の遊技状態遷移条件としては、(ア)それぞれの状態で大当り遊技を獲得すること、(イ)所定遊技回数が経過すること(※(10)のみ)などがある。図示はしていないが、特定遊技状態3から大当り遊技を経由して再び特定遊技状態3へ移行する場合も有する。一方で特別遊技状態が終了する条件を満たした場合、図6の(6)、(9)、(12)のように遷移する。これら(6)、(9)、(12)の遊技状態遷移条件としては、(ウ)特定遊技状態3でそれぞれの遊技状態に移行することとなる種類の大当り遊技を獲得すること、(エ)所定遊技回数が経過すること(※(6)のみ)が挙げられる。
特定遊技状態3(高確率/低ベース状態)へ移行すると、前提とするぱちんこ遊技機Pにおいては、「確率変動機能」が作動した「高確率(状態)」となり、特定遊技状態1および特定遊技状態2とは異なり「電チューサポート機能」、「変動時間短縮機能」は作動していない状態となる。前提とするぱちんこ遊技機Pの遊技盤P5における各入賞装置の配置構成では、遊技領域の右側領域P501(右打ち領域)に普図作動ゲート装置P740、および普通電動役物に係る第2始動入賞口P721が配置されているが、特定遊技状態3(高確率/低ベース状態)において遊技者が遊技領域の右側領域P501R(右打ち領域)に遊技球を発射する「右打ち」を行ったとしても普通図柄抽選にて当りに当選する確率は低く、右打ちを行う優位性が存在しない。
そのため、遊技者は遊技領域の左側領域P501L(左打ち領域)に遊技球を発射する「左打ち」にて遊技を進めることとなり、高確率状態であるため特別図柄抽選にて大当りとなる確率が高いため早期に大当り遊技が獲得できること以外は、通常遊技状態(低確率/低ベース状態)と同様の遊技方法、遊技進行となる。
特定遊技状態3(高確率/低ベース状態)は、当該状態に移行することとなった遊技状態遷移条件(例えば、大当りの実行であれば実行された大当りの種類、等)によって予め定められた遊技回数(特別図柄抽選を受けた回数)が経過するか、新たに大当り遊技を獲得することによって終了する(なお、大当り遊技後に再び本状態に移行する場合を有する)。特定遊技状態3は小当り遊技の獲得の場合は終了しないものとするのが一般的である。特定遊技状態3(高確率/低ベース状態)が遊技回数によって終了する場合は、通常遊技状態(低確率/低ベース状態)へ移行する。
なお、特定遊技状態3(高確率/低ベース状態)は、前提とするぱちんこ遊技機Pとして記載した図6の盤面配置構成とは異なり、右側領域P501R(右打ち領域)に普通電動役物P770を有しないタイプの第3始動入賞口を配置し、「時短状態」を作動させることにより、短時間に多くの特別図柄抽選が受けられるように構成するなど、遊技盤上の入賞装置の配置構成及び時短状態の制御によっては「右打ち」が推奨される遊技状態となる場合も有する。
以上で説明したように、前提とするぱちんこ遊技機Pでは、複数の遊技状態によって遊技進行が行われるものであるが、前述した全ての遊技状態を必ずしも備える必要はない。そこで、複数の遊技状態の組み合わせ等によって構成される遊技機仕様のうち、前提とするぱちんこ遊技機Pで採用可能な遊技機仕様(「スペック」と称することがある)を以下に例示する。
代表的な遊技機仕様(「スペック」)に関し、特別図柄抽選の確率変動機能の作動に係る遊技機仕様の種類の一例としては、「(次回まで)確変」、「ST(回数切り確変)」、「V確変(「球確」、「アタックラウンドシステム」ともいう)」、「潜伏確変」を採用可能である。この確率変動機能の差による遊技機仕様の違いを、「本遊技機は『○○機(例:ST機)』である」などと表現することがある。また、確率変動機能を有しない遊技機において、小当り遊技中に大入賞口P751内部の特定領域P760を通過することにより、その後役物連続作動装置が作動する(すなわち大当り遊技に移行する)こととなる「小当りV」と呼ばれる遊技機仕様なども存在する。
[(次回まで)確変]
まず始めに「(次回まで)確変」について説明する。「次回まで確変」は、一般的には、ぱちんこ遊技機Pに備わった複数の特定遊技状態の中で、前述した特定遊技状態の内の最も有利とする遊技状態として、「特定遊技状態2(高確率/高ベース状態)が次回の大当り遊技の権利を獲得するまでの間継続することとなるぱちんこ遊技機」についての遊技機仕様を示す。換言すると、「次回まで確変」の遊技機は、次回の大当り遊技の権利を獲得するまでは特定遊技状態2(高確率/高ベース状態)が継続し、図柄変動回数などによっては終了しないよう構成されている。
なお、大当りの種類によっては、特定遊技状態1(低確率/高ベース状態)や特定遊技状態3(高確率/低ベース状態)に制御される場合を有していてもよい。また、「特定遊技状態3(高確率/低ベース状態)が次回の大当り遊技の権利を獲得するまでの間継続するぱちんこ遊技機」においても、確率変動機能が次回大当りまで継続するという意味で「次回まで確変」と呼称する場合もあるが、ベース状態が「低ベース状態」であり、電チューサポート機能に関して通常遊技状態(低確率/低ベース状態)と同様の遊技が求められる場合があるため、このように電チューサポート機能が作動していない次回まで確変であることから「潜伏確変」と切り分けて表現する。
[ST(回数切り確変)]
続いて「ST(回数切り確変)」について説明する。「ST」は、「Special Time」の略語であり、一般的には、「特定遊技状態2(高確率/高ベース状態)が予め定められた回数の特別図柄抽選を行う(予め定められた回数の図柄変動が実行される)か、大当り遊技の権利を獲得するまでの間継続することとなるぱちんこ遊技機」についての遊技機仕様を示す。
なお、大当りの種類によっては、特定遊技状態1(低確率/高ベース状態)や特定遊技状態3(高確率/低ベース状態)に制御される場合を有していてもよい。また、前述した「次回まで確変」と同様に、遊技状態が特定遊技状態3(高確率/低ベース状態)に予め定められた回数の特別図柄抽選を行うか、大当り遊技の権利を獲得するまで制御されることとなる場合について、「潜伏確変(潜伏ST)」と称する状態を有するように構成することも可能である。
また、「ST(回数切り確変)」であっても、遊技状態がSTに制御される期間を、特別図柄抽選の抽選が「10000回行われるまで」とする場合など、高確率状態で実質的に次回までの大当りが保証されているといえる遊技機仕様であれば「次回まで確変」と表現する場合もある。
ここまで述べたように、「次回まで確変」と「ST(回数切り確変)」は、特別図柄抽選の確率変動機能の終期が異なる点で、遊技機仕様としての「確変状態」を区別するものである。一方で以下に説明する「V確変(「球確」「アタックラウンドシステム」)」のように、特定遊技状態における特別図柄抽選の確率変動機能の作動の有無、すなわち確率変動機能の実行開始に関し、特殊な条件を必要することで遊技機仕様(「スペック」)を表現する場合もある。
[V確変]
続いて、「V確変」と呼ばれる遊技機仕様に関して説明する。「V確変」は、遊技状態が特定遊技状態へ移行する前の大当り遊技中において、大入賞口P751内に設けられた「特定領域P750」(「Vゾーン」、「V領域」などと称することがある)に対し、予め定められた条件下(特定の大当りラウンドの実行中など)で遊技球の通過(「V入賞」)が検出された場合に、大当り遊技後に確率変動機能の作動を伴う特定遊技状態(特定遊技状態1や特定遊技状態3)へ移行させる制御を行うぱちんこ遊技機の遊技機仕様を示す。「V確変」に使用する「特定領域」に関し、特に「確率変動機能作動領域」と称する場合もある。
前述したように「V確変」は、確率変動機能の作動有無が大当り遊技中の遊技結果に依存する(遊技球が特定領域P760を通過するか否かに依存する)ことを示す遊技機仕様であり、作動した確率変動機能が、先に説明した「次回まで確変」と同等制御にて終了するか、「ST」と同等の制御にて終了するかの際によって「V確変(V-ループ)」や「V-ST」と異なる遊技機仕様を示す表現が用いられる。
なお、遊技機仕様として「V確変」を採用するぱちんこ遊技機Pにおいては、大当り遊技中においてV入賞しなかった場合においては、大当り遊技後に確率変動機能が作動せず、通常遊技状態や特定遊技状態1(低確率/高ベース状態)に制御される。また、このようにV入賞した場合としなかった場合とで大当り遊技後に確率変動機能の作動する遊技状態となるか否かを切り替えるとともに、同時に電チューサポート機能の作動態様についても変更可能である。一例として「V確変(V-ループ)」機では、V入賞した場合、確率変動機能および電チューサポート機能が次回大当りを獲得するまで継続し、V入賞しなかった場合、確率変動機能は作動せず、電チューサポート機能も特別図柄抽選が100回行われるまでに制限されるようにすることが挙げられる。
[小当りV]
次に、確率変動機能を持たずに大当り獲得に関して遊技者に有利な遊技状態を提供しうる遊技機仕様として「小当りV」と呼ばれる遊技機仕様(スペック)に関して説明する。
「小当りV」は、特別図柄抽選の結果が小当りとなった際に実行される小当り遊技中(特別電動役物の作動中)に、大入賞口P751内部に設けられた「特定領域P760」(「Vゾーン」、「V領域」などと称することがある)を通過した場合に、小当り遊技に続いて役物連続作動装置を作動させる、すなわち大当り遊技を開始する遊技機仕様である。言い換えると、小当り中に特定領域P760を通過させることによって、特別図柄抽選の結果として大当りとなる結果を獲得することなく大当り遊技を獲得することができる遊技機仕様である。
「小当りV」は特別図柄抽選の結果として役物連続作動装置や特別電動役物を作動させる「1種(ぱちんこ)」の遊技性に、役物連続作動装置非作動中の特別電動役物作動中(大入賞口P751の開放中)において特定領域P760を通過した場合に役物連続作動装置を作動させる仕様であり、「1種小当りV」と表す場合もある一方、従来のぱちんこ遊技機におけるいわゆる「2種ぱちんこ」の遊技機仕様に近い遊技性を有していることから「1種2種混合機」などと表現される場合を有する。
一般的に「小当りV」を遊技機仕様として採用するぱちんこ遊技機においては、確変機能(確率変動機能)を有さず、電チューサポート機能の有無によって有利度合いを変更させる。すなわち、電チューサポート機能が作動した場合に入賞しやすくなる普通電動役物P770に係る入賞口を小当りに当選しやすい特別図柄(例えば1/2で小当りに当選する)の変動契機となる始動入賞口で構成することで、電チューサポート機能が作動している状況下では小当りに当選しやすく、小当り遊技中のV入賞で大当りを狙うことを可能とする。このようにすることで、確変機能のように大当りとなる乱数値範囲を増やすのではなく、小当りにより大当りの獲得可能性を増やす遊技性となっている。
[その他の遊技機仕様(スペック)]
以上に記載した、遊技機仕様は代表的なものであり、その他にも特徴的な遊技機仕様がいくつか知られているため、それらに関して以下に簡易的に説明を行う。
(リミッタ)
「リミッタ」は、確率変動機能や電チューサポート機能が作動する特定遊技状態が、大当り遊技の実行を挟んで繰り返し行われる状態(いわゆる「連荘」状態)が発生した場合であって、予め定められた繰り返し回数(連荘回数)に到達した場合に、本来確率変動機能や電チューサポート機能が作動するはずの大当り遊技が実行された場合であっても、確率変動機能あるいは電チューサポート機能の作動を制限する機能である。リミッタ機能として「確率変動機能」を連続回数に基づいて制限する機能を「確変リミッタ」と呼び、「電チューサポート機能」を連続回数に基づいて制限する機能を「時短リミッタ(電サポリミッタ)」と呼ぶ。そして、リミッタ機能を備える遊技機を「リミッタ機」と呼称する。
(転落)
「転落」は、特別図柄抽選の確率変動機能が作動している期間において、特別図柄抽選が行われる度に、確率変動機能を終了させるか否かを決定する「転落抽選」を実行する遊技機仕様を示す。確率変動機能とともに電チューサポート機能が作動している状況において、転落抽選に当選した場合は、確率変動機能の終了に合わせて電チューサポート機能の作動が終了する場合や、確率変動機能のみが終了し電チューサポート機能の作動は継続する場合とがある。
なお、上述した遊技機仕様は複数組み合わせることが可能であり、例えば、「ST」と「転落」を組み合わせた場合には、特定遊技状態2(高確率/高ベース状態)である場合に、(1)転落抽選に当選した、(2)予め定められた回数の特別図柄抽選を行った、(3)大当り遊技の権利を獲得した、のいずれかを充足した場合に、特定遊技状態2(高確率/高ベース状態)が終了する(他の遊技状態に移行する)こととなる。
次に、前提とするぱちんこ遊技機Pにおける遊技の進行を司る主制御基板P40の制御に関する説明を行う。なお、本実施形態に説明する前提とするぱちんこ遊技機Pにおいては、前述した遊技機仕様(スペック)として、「ST(回数切り確変)」を採用しているぱちんこ遊技機を前提として説明を行う。なお、実施形態の説明において、図中の処理ステップを示す「P-s〇〇」の表記は、本文中において「ステップ〇〇」と表記して説明を行う。
[主制御基板の電源投入処理(主制御基板メインループ処理)]
前提とするぱちんこ遊技機Pの主制御基板P40は、ぱちんこ遊技機Pの電源が投入されることにより、最初に電源投入処理(ステップ1000)を実行する。ここで、電源投入処理について図7に沿ってその詳細を説明する。
前提とするぱちんこ遊技機Pの主制御基板P40において電源投入処理が開始されると、主制御基板P40上に設けられた演算装置であるCPUの動作に係る初期設定が行われる(ステップ1002)。初期設定は、この後のCPUの動作に必要な設定を適宜行うものであり、その詳細は割愛する。
CPU初期設定が終了すると、続いて入力ポートの確認処理(ステップ1004)と電源断情報確認/チェックサム処理(ステップ1006)を実行し、これらの処理内容を受けて遊技停止状態設定処理(ステップ1008)に関する処理を行う。
より詳細に説明すると、入力ポート確認処理(ステップ1004)は、ぱちんこ遊技機Pの特別図柄抽選の有利度合い(特に役物連続作動装置の作動確率、すなわち大当り確率)を変更するための「設定値」を変更可能な「設定変更処理」を行う状態であるか否かのフラグ、「設定値」を確認するための「設定確認処理」を行う状態であるか否かのフラグについて、当該処理の後に行われる遊技停止状態設定処理で成立させるか否か(オンにするか否か)を決定するための情報を生成する処理である。前提とするぱちんこ遊技機Pでは、枠開放スイッチP131(前枠が外枠に対して開放していることを検出するスイッチ)の検出状況、ラムクリアスイッチP48が遊技者に操作されているかの検出状況、設定キースイッチP49が回転操作されているかの検出状況を示すデータを含むデータを1バイトデータとして生成する。
続く電源断情報確認/チェックサム処理(ステップ1006)では、前回電源を切ったとき、ぱちんこ遊技機Pが正常に電源断を行い、電源断が発生したときの遊技状態に係る制御データを正常に主制御基板P40のCPUの記憶領域に正常に退避、記憶しているかを確認する処理であり、正常なデータでない場合には、エラーとして後述する遊技停止状態設定処理(ステップ1008)にて遊技を停止するようにするフラグを立てる(オンにする)処理である。
「遊技停止状態設定処理」(ステップ1008)は、電源投入処理における処理が終了し、遊技を開始すべくメインループ処理に移行した後、実際に遊技者が遊技できる状況としないためのフラグを設定する処理であり、入力ポートの確認処理(ステップ1004)と電源断情報確認/チェックサム処理(ステップ1006)の処理結果に基づいて、「設定変更状態」、「設定確認状態」、「復帰不可能エラー状態」のいずれかの遊技進行不許可状態へ移行させるフラグを立てる処理である。「遊技停止状態設定処理」の詳細は図8に記載しており、図8の記載に基づいて説明を行う。
遊技停止状態設定処理では、まず枠開放中であるかを、入力ポートの確認処理(ステップ1004)で生成した1バイトデータを基に判断する(ステップ1100)。電源投入時にぱちんこ遊技機Pの前枠P2が外枠P1に対して開放した状態であれば(ステップ1100でYESとなる状況)、1バイトデータの特定のビットが「1」となっている状況であるため、続くステップ1102の処理を省略する。一方で、ぱちんこ遊技機の電源投入時に枠開放中でない場合は、設定変更処理を実行するための必須操作の一部が充足していないとし、入力ポートの確認処理(ステップ1004)で生成した1バイトデータから設定キースイッチの操作情報をオフデータにとなるように演算する。なお、不図示であるが、ステップ1102でYESとなる場合、NOとなる場合のいずれにおいても、1バイトデータ中から枠開放中のビットもオフデータとなるように演算される。
続くステップ1104では、入力ポートの確認処理(ステップ1004)で生成した1バイトデータが「設定変更操作あり」と判断可能な情報となっているか否かを判断する。前提とするぱちんこ遊技機Pでは「設定変更操作あり」と判断される状況は、(1)枠開放スイッチP131がオン(電源投入時に枠開放中)であり、(2)設定キースイッチP49がオンであり(回転操作されている)、(3)ラムクリアスイッチP48がオンである、の3つの状態を必要としている。前述したように1バイトデータの内、枠開放スイッチP131の情報はオフに設定されており、(2)(3)の双方を満たすか否かを本ステップにて判断している。例えば特定の2つのビットデータが「1」である場合に設定変更操作ありと判断する(なお、2つのスイッチがオンであることを示すアクティブデータが必ずしも「1」である必要はなく、いずれか1つのデータが「0」であってもよい)。そして、設定変更操作があったと判断した場合、すなわちステップ1104でYESと判断した場合には、遊技停止状態フラグとして「設定変更中」を示すデータを記憶し、遊技停止状態設定処理を終了する(ステップ1106、ステップ1118)。一方、ステップ1104でNOと判断した場合には続くステップ1108の処理へ移行する。なお、主制御基板P40のラム(RAM=Random Access Memory)に記憶されている設定値情報が異常データである場合(復帰不可能エラー状態からの復帰操作である場合)には、初期設定値として設定値「1」に対応するデータを、設定値を記憶する領域にセットする(ステップ1118)。
次にステップ1108において、遊技停止エラーの発生の判断を行う。遊技停止エラーは、例えばチェックサム異常(ラム異常)や、設定値異常など、遊技の進行を行うことができない状況に陥ったときに、ラムクリアおよび設定値の設定(変更)処理を要する場合のエラーのことを指す。ステップ1108の判断は、電源断情報確認/チェックサム処理(ステップ1006)の処理結果や、前回の電源断処理時に記憶しているエラー情報を基に遊技停止状態として設定すべきか否かを判断する。エラー状態とすべきと判断した場合(ステップ1108でYESと判断した場合)には、遊技停止状態フラグを「復帰不可能エラー状態」として遊技停止状態設定処理を終了し(ステップ1110、ステップ1118)、エラーが発生していないと判断した場合には続くステップ1112の処理へ移行する。
続くステップ1112においては、ラムクリアスイッチP48の操作の有無を判断する。遊技停止状態設定処理において、当該ステップまで進行する場合の状態として、
(ア)設定確認状態へ移行する操作が行われているとき、換言すると、「設定変更操作あり」の判断の内、(1)枠開放スイッチP131がオン(電源投入時に枠開放中)である、(2)設定キースイッチP49がオンである、を充足し、(3)ラムクリアスイッチP48がオンである、を充足していないとき、
(イ)データクリアのためのラムクリア操作が行われたとき、換言すると、(2)設定キースイッチP49がオンである、を充足しておらず、(3)ラムクリアスイッチP48がオンである、を充足しているとき、
(ウ)「設定変更操作」、「設定確認操作」、「ラムクリア操作」などの操作が何ら行われず電源を投入したとき、
のいずれかの状況である。そして、これらの状態において入力ポートの確認処理(ステップ1004)で生成した1バイトデータは、(ア)設定キースイッチP49のオンオフを示すビットデータが「1(オンデータ)」、(イ)ラムクリアスイッチP48の操作検出状態のオンオフを示すビットデータが「1(オンデータ)」、(ウ)1バイトデータが全てオフデータ(例えば全ビット「0」)のいずれかの状況である。
そして、ステップ1112においてラムクリアスイッチP48の操作があったか否かを判断し、ラムクリア操作があった場合(ステップ1112でYESと判断する場合)には、ぱちんこ遊技機は、ラムクリアをしたのち遊技可能状態へ移行させるため、遊技停止状態フラグをクリアする処理を行う(ステップ1114)。一方、ラムクリア操作がなされた状況以外では、現在の1バイトデータをそのまま設定することとなり、この時、遊技停止状態フラグは「設定確認状態」へ移行する操作がなされているときは(ステップ1112でNOと判断する場合)、設定キースイッチP49の操作状況を示すビットデータが「1」となっており、遊技停止状態フラグを示す1バイトデータに「設定確認中」を示すデータとして記憶される(ステップ1118)。また、ラムクリア操作も設定確認状態への移行操作もない場合には、入力ポートの確認処理(ステップ1004)で生成した1バイトデータは、もともと遊技停止状態フラグとして遊技停止なしを示すデータであり、遊技停止なし情報としてセットされる。
「遊技停止状態設定処理」(ステップ1008)にて設定された遊技停止状態フラグについて、何らかの停止状態を示す値が記憶されている場合は、電源投入処理(ステップ1000)における遊技許容状態であるメインループ(ステップ1028~ステップ1036)への移行後に実行される遊技進行制御の主体となる割込み処理(ステップ2000)において、停止状態を示す値が参照され、「基本遊技進行」として記載した遊技の進行ができない状態となるが、これらの制御については後述する割込み処理の説明において記載する。
図7の電源投入処理の説明に戻り、続く処理を説明する。遊技停止状態設定処理(ステップ1008)が終了すると、ラムクリア操作があったか否かを判断する(ステップ1010)。ラムクリア操作は、ぱちんこ遊技機Pの電源投入時にラムクリアスイッチP48が操作されることである。なお、設定キースイッチP49がオフの場合にもオンの場合にも本処理は実行される。ステップ1010においてラムクリア操作ありと判断した場合には、主制御基板P40のラムの記憶領域より、予め定められた部分の記憶領域を初期化する。
続くステップ1014からステップ1020の処理では、電源投入時に主制御基板P40から演出制御基板P41に対して遊技機の状態を認識させるための演出制御コマンド(演出コマンド)をセットする処理を行う。より詳細には、ステップ1014において、前回電源が切断したとき(電源断が発生したとき)において未送信となっていた演出制御コマンドを記憶領域からクリアする処理を行う。そして、ステップ1016において電源投入後に復帰した主制御基板P40の現在の遊技状態に関する情報を演出制御コマンドとして生成し、ステップ1018において遊技停止状態でないと判断した場合には、ステップ1020において、生成した復帰した遊技状態を示す演出制御コマンドを演出制御コマンドの送信データを記憶する領域にセットする。
電源投入時における演出制御コマンドのセットに係る処理が終了すると、大入賞口P751(特別電動役物P755)や普通電動役物P770を電源断発生前の状態に戻すべく、必要なデータ(駆動信号)を特別電動役物駆動手段P70および普通電動役物駆動手段P71に対して出力ポートから出力する。(ステップ1022)
そして、電源投入処理におけるステップ1022までの処理が終了すると、主制御基板P40のCPUに対して、割込み処理時間の発生間隔を設定する処理を行う(ステップ1024)。前提とするぱちんこ遊技機Pでは、後述する割込み処理(図9、ステップ2000)を実行する間隔を4ms(ミリ秒)としている。本処理が終了すると、遊技者が遊技可能な状態であるメインループと呼ばれる循環処理に移行し、電源断が発生するまでメインループ中の循環処理の実行を繰り返す。
(メインループ)
主制御基板のメインループの処理は、図7に示すように、まずステップ1026にて割込み処理の発生を禁止する処理を行い、メインループの処理が完了するまで(ステップ1036にて割込みを許可するまで)割込み処理の実行を制限する。
割込みが禁止されると、続くステップ1028では、ウォッチドッグタイマと呼ばれる主制御基板P40のCPUの暴走(処理がループしてしまったりして、進まなくなってしまう状況など)の発生を監視するための計時情報を記憶している領域をクリア(初期化)する。
そしてステップ1030では、電源断が発生しているか(例えば電源基板P44から電圧が低下したことに基づいて送られる電源断信号が主制御基板P40のCPUの入力ポートに入力されているか)を判断し、電源断が発生している状況であれば、現在の遊技状態を記憶し、電源断情報およびチェックサム情報を記憶して主制御基板P40のCPUとしての処理を停止する電源断処理(ステップ1032)を実行する。電源断が発生していない状況であれば続く処理へ移行する。
ステップ1034では、特別図柄抽選に使用する乱数や、普通図柄抽選に使用する乱数値を更新する処理を行う。なお、これらの乱数値の更新は後述する割込み処理において更新するものもあり、割込み処理においてのみ乱数が更新されることで乱数更新周期が一定になってしまうことを防止するための処理である。なお、割込み処理において、不定期に実行されるような処理があれば、それらの処理に合わせて乱数値を更新するなどの手法を採用することにより、乱数更新周期の一定化を防止することもできるため、メインループ内に乱数更新処理を設けることは必須ではない。
ステップ1036はメインループ中の最後の処理であり、割込みを許可する処理を行う。直後にメインループ中の最初の処理であるステップ1026の割込み禁止に戻ることになるが、割込み許可を行うステップ1036の処理が行われたときに、割込み実行周期(前回割込み処理の発生から4ms経過した状態)を示す入力が主制御基板P40のCPUにあれば、後述する割込み処理が実行されることとなる。
[割込み処理]
続いて主制御基板P40のCPUで行われる割込み処理(「タイマ割込み処理」とも呼ぶ)について図9を参照しながら説明する。前提とするぱちんこ遊技機Pでは、割込み処理(ステップ2000)により遊技の進行に関する大部分が制御されており、遊技機仕様(スペック)によって変更可能に設けられたサブモジュールプログラムを、汎用的に一定の順序で読みだして制御するように構成されている。それらのサブモジュールに関する処理を以下に簡易的に説明する。
(ウォッチドッグタイマクリア)
割込み処理の最初には、ウォッチドッグタイマクリアの処理が設けられている。本処理は、前述した主制御基板P40のCPUが実行するメインループ処理(図7、ステップ1026~ステップ1036)におけるウォッチドッグタイマクリア処理と同じ処理である。(ステップ2002)
(入力ポート確認処理)
入力ポート確認処理は、主制御基板P40のCPUの入力ポートに入力される情報を確認することにより、以降の処理において判断に必要な情報としての入力情報があったか否かを識別可能とする情報を生成する処理である。(ステップ2004)
入力ポートに入力される情報としては、ラムクリアスイッチP48や設定キースイッチP49の操作状況を示す入力信号や、ハンドルP204の操作状況(タッチ有無)を示す入力信号等の人為的な操作に係る入力信号、特図1始動口スイッチP712や大入賞口スイッチP752等の遊技球の検出による遊技結果を示す入力信号、磁気センサP73やドア開放センサP131、振動検知センサP72など不正監視のために設けられたセンサの検出状況を示す入力信号などがある。
入力ポート確認処理では、これらの入力ポートの入力信号を10μs(マイクロ秒)で3回読み込み、全ての読み込みで同一データ(同一ビット)となったデータを今回割込みにおける入力データ(「レベルデータ」という)として主制御基板P40のラムに記憶する。なお、3回読み込んだデータのうち全ての読み込みで同一データとならなかった部分については、前回の割込み処理(4ms前の割込み処理)において確定したデータをレベルデータとして採用することとなり、すなわち今回割込みにおいて正常にデータが読み取れなかった場合は前回割込みで記憶したデータを更新しないこととなる。
そして今回割込みにおける入力データ(レベルデータ)が確定すると、前回割込みにおける入力データとの比較演算を行い、「立ち上がりデータ」(入力データがオフからオンに変わったビットを特定するデータ)を生成し、今回割込みでオン入力に切り替わったスイッチを特定するデータを記憶する。
(乱数更新処理)
乱数更新処理は、特別図柄抽選に係る当否乱数、図柄乱数、変動パターン乱数や、普通図柄抽選の普図当否乱数、普図図柄乱数、普図変動パターン乱数などの各種乱数の内、ソフト的に更新される乱数値であるいわゆるソフト乱数を更新する処理である(ステップ2006)。前提とするぱちんこ遊技機Pでは、特別図柄抽選や普通図柄抽選に使用する乱数は、乱数生成回路にて回路上の更新周期にて乱数を更新するものと、ソフト的な周期で更新されるものを有する仕様としており、それらを組み合わせることで、乱数取得時の各種乱数のランダム性を保つように構成している。
乱数更新処理においては、前述したようにソフト乱数を更新する処理を行うものであるが、更新の方法としては、
(ア)乱数をインクリメント(+1)あるいはデクリメント(-1)して更新し、乱数範囲の上限(又は下限)を超えた場合に下限値(または上限値)とするもの、
(イ)乱数に対して任意の素数を減算(または加算)し、乱数範囲を超える場合に乱数範囲+1(または乱数範囲-1)の値を加算(または減算)するもの、
(ウ)初期値として設定した乱数からインクリメント(またはデクリメント)を繰り返し、1周期の更新が終わった場合に、別途更新している「初期値乱数」を新たな初期値として設定し同様の更新を繰り返すもの(初期値更新型乱数ともいう)、
といった各種の更新方法が例示できる。なお、先に例示したものに限らず更新方法は乱数のランダム性が保てる手法であれば、どのような手法を採用してもよい。
(設定制御処理)
設定制御処理は、主制御基板P40のCPUにおける電源投入処理(図7参照)中で設定した遊技停止フラグが「設定変更中」、または「設定確認中」である場合の処理を行う。(ステップ2008)
設定制御処理では、最初に電源投入処理中にて遊技停止フラグとして格納したデータの設定キー操作中を示すビットデータがオンデータであるか否かを判定し、オンデータでない、すなわちぱちんこ遊技機の電源投入時に設定キーがオン操作されていなかった場合、本処理を抜けるように構成されている。
一方で、遊技停止フラグ中の設定キー操作中を示すビットデータがオンデータである場合には、「設定変更中」、「設定確認中」を終了させるか否かを判定するため、現在の割込み処理における設定キースイッチP49の入力情報(前述した入力ポート確認処理にて生成)を参照し、設定キースイッチP49がオフとなった場合に遊技停止フラグをクリアし、遊技可能な状態とした後、「設定変更状態」、「設定確認状態」のいずれからの復帰であるかに応じて、演出制御基板に演出を復帰(または開始)させるための演出制御コマンドを設定する。
また、電源投入処理(図7参照)において、遊技停止フラグが「設定変更中」である場合、設定キースイッチP49がオフとなるまでの期間において、本割込みタイミングにおける「設定変更スイッチ」の役割を果たすラムクリアスイッチP48(設定値を変更するために操作するスイッチ)の操作状況を確認する。遊技停止フラグが「設定変更中」の時、今回割込みにおいて、設定変更スイッチP48の操作にかかる立ち上がりデータが生成されている場合において、「設定値」を予め定められた変更順序の内の次の設定値となるようデータの変更を行う。例えば、設定が1から6まで順に切り替わるような設定値データを有するぱちんこ遊技機Pであれば、設定変更スイッチ(ラムクリアスイッチP48)の操作に基づく立ち上がりデータがあるたびに、本設定制御処理において設定値を「1」増加させる処理(操作前の設定値が6のときは、次の値として1に変更)を行う。
前提とするぱちんこ遊技機Pでは、設定変更状態や設定確認状態における処理を割込み処理中(図9参照)に設けることによって、設定キースイッチや設定変更スイッチの操作を割込み処理の周期で監視するとともに、後述するLED出力処理にて表示装置に対しての表示データの出力を可能とし、別途割込み処理の設定ができていない電源投入処理中(図7参照)において、周期的な監視のためのプログラムを設定することを省略可能としている。なお、電源投入処理中において、設定変更や設定確認に関するスイッチの監視や表示装置の制御、設定値の更新処理を行うように構成してもよい。
(遊技停止監視処理)
遊技停止監視処理は、主制御基板のCPUがぱちんこ遊技機の電源投入時に実行した電源投入処理(図7参照)中にて生成した遊技停止フラグのデータを読みだして遊技停止中であるか否かを確認する処理である。(ステップ2010)
遊技停止監視処理において、読みだされた遊技停止フラグのデータに何らかの遊技停止情報(遊技停止フラグ)が記憶されていた場合、例えば、遊技停止フラグのデータが0でなくいずれかのビットが「1」である場合は遊技停止状態(遊技停止が必要な状態)と判断し、遊技停止中として、割込み処理中の一部の処理(図9における「タイマ減算処理(ステップ2014)」から「特別電動役物制御処理(ステップ2028)」まで)を省略する。
前提とするぱちんこ遊技機Pでは、遊技停止が必要な状態として、すなわち遊技者が遊技をすることが不可能な状態として、「設定変更中」、「設定確認中」、「復帰不可能エラーの発生中」といった状態が例示できる。
(タイマ減算処理)
タイマ減算処理は、遊技の進行に関する時間の管理に使用されるタイマデータを更新する処理である(ステップ2014)。
タイマデータの更新処理の例として、特別図柄の変動表示が開始された場合に設定される変動表示時間の管理や、大当り遊技中の特別電動役物P755の作動時間(大入賞口P751の開放時間)などの遊技進行を契機としたタイマデータの更新処理や、球詰まりを検出する等のエラー判定のための計時処理、特別図柄表示装置P51、P52などの主制御表示装置P50におけるLEDの点灯パターンを切り替えるための切り替え時間を計時するための処理、外部情報出力端子P77等から外部機器(ホールコンピュータなど)に対する情報の出力を行う期間を計時する処理などが例示できる。
タイマ更新処理で更新されるタイマデータは、主制御基板P40の記憶領域(ラム記憶領域)に、「1バイトタイマ」、「2バイトタイマ」などのタイマデータの種類ごとに分けられて、連続した記憶領域にそれぞれ記憶されている。
タイマ更新処理では、それらの個別のタイマデータの種類を記憶した記憶領域に対し、「1バイトタイマ更新処理」、「2バイトタイマ更新処理」といった処理を行い、各種タイマの時間値を更新する処理を行う。タイマの更新処理は、記憶領域に記憶されているタイマデータをデクリメント(-1)する処理を行う。なお、記憶されているタイマデータが既に「0」である場合には、処理後においても「0」となるように処理される(負の値になった場合に「0」にすることや、「0」の場合にデクリメントをしない、など)。
なお、前提とするぱちんこ遊技機Pでは、1割込みの周期が4msであるため、1バイトタイマのデータである場合には、最大255回の更新(約1秒)で終了する管理対象のみが制御可能となるが、1秒以内でのみ管理される遊技情報がない場合(少ない場合)には、2バイトタイマデータのみで構成し、1バイトタイマ更新処理を有さないように構成することも可能である。また、2バイトタイマでも管理できないような時間値の管理が必要となる場合は、「3バイトタイマ」などより長時間を管理できるタイマデータを持つように構成してもよい。
(有効期間設定処理)
有効期間設定処理は、入球容易態様または入球困難態様に変化可能な入賞口(主として大入賞口P751や普通電動役物P770に係る入賞口が該当)に関し、入球容易態様に制御する期間および有効延長期間において有効期間を設定し、それ以外の期間(入賞口が入球困難態様であり有効延長期間以外のとき)について、無効期間を設定する処理である。(ステップ2016)
前提とするぱちんこ遊技機では、大入賞装置としての大入賞口P751と、普通電動役物P770が備えられている第2始動入賞装置P720である第2始動入賞口P721の入賞を有効期間として設定する処理となる。
なお、有効延長期間は大入賞口P751や普通電動役物P770が入球困難態様へ移行する直前のタイミングで入球した遊技球を有効入賞として扱うために、大入賞口P750(特別電動役物P755)や普通電動役物P770などの電動役物に対して開放制御を実行させる制御期間が経過した後においても有効期間として扱うため、電動役物の構造に応じて適宜設定される一定時間の制御期間である。
また、遊技機仕様によっては特定領域P760(V領域)を有する場合には、特定領域P760に関する遊技球の通過に対する有効延長期間も設定されることがあり、そのような場合には、本処理において特定領域の有効期間の設定も行われる。
(入賞監視処理)
入賞監視処理は、ぱちんこ遊技機における各種入賞口(大入賞口P751、始動口P711、P721、一般入賞口P731)に対する遊技球の入賞を基に、有効入賞であるか否かを判定し、賞球や始動口入球に対する特別図柄抽選の権利の発生(保留の発生)の処理が行われる契機となる情報を生成する処理である。(ステップ2018)
処理内容としては、入力ポート確認処理(ステップ2004)にて生成したデータを基に予め定められた順序で各種入賞口毎に(ア)入賞の有無を検出(イ)有効期間を有する入賞口の場合は有効期間中における入賞であるかの判断、各種入賞口に対する有効入賞が発生した場合には更に、(ウ)演出制御基板P41に送信する各種入賞口毎の入賞情報をしめす演出制御コマンドの設定、(エ)各種入賞口毎の入賞に基づく動作契機の発生回数を記憶するためのカウンタ値(「入賞カウンタ」と呼ぶ)を更新する(言い換えると、各種入賞口の検出に基づく動作の内で未処理の動作の回数を記憶するカウンタ値を更新する)処理を行う。
なお、入賞監視処理においては、各種入賞口に対する入賞の発生のみでなく、アウト球を計数するために設けられたアウト球検出スイッチP792、普通図柄抽選の契機となる作動口スイッチP742や、遊技機仕様によっては特定領域P760(V領域)に対する遊技球の入球および通過についても判定するようになっており、賞球の発生や特別図柄抽選の契機の発生以外にも遊技機の動作(例えば、演出制御基板P41に対して、作動口スイッチP742や特定領域P760を通過した旨の情報を送信する処理)に必要となる遊技球の検出の有無を本処理において行う。
(作動口監視処理)
作動口監視処理は、入力ポート確認処理(ステップ2004)にて生成したデータより、普図作動口スイッチP742の立ち上がりデータが生成されている場合に、普通図柄抽選に係る保留の発生に係る処理を行う。(ステップ2020)
より具体的には、普図作動口スイッチP742の検出があった場合に、普通図柄抽選に係る保留の数を確認して、保留数が上限に満たない場合は、新たな保留として乱数を記憶可能であるため、保留数を格納している記憶領域のデータをインクリメント(+1)して保留数情報を1個増やした後、普図当否乱数、普図図柄乱数、普図変動パターン乱数を乱数生成回路から取得、あるいは現在の対応するソフト乱数を取得して保留として記憶する。
(普通図柄制御処理)
普通図柄制御処理は、普通図柄抽選、普通図柄の変動表示、普通電動役物P770の作動に係る処理を行う(ステップ2022)。これらの処理は、普通図柄ステイタスと呼ばれる普通図柄、普通電動役物の制御状態を示すデータがいずれであるかに応じて、異なるサブモジュール処理に移行して、状態に応じた制御を行う。普通図柄のステイタスとしては、「0:普通図柄待機中」、「1:普通図柄変動中」、「2:普通図柄停止表示中」、「3:普通電動役物作動中」、「4:普通電動役物終了デモ中」があり、それぞれの状態に応じた処理を行う。
《普通図柄変動開始監視制御処理》
普通図柄変動開始監視制御処理は、普通図柄ステイタスが「0:普通図柄待機中」である場合に普通図柄制御処理より呼び出されるサブモジュール処理である。
普通図柄変動開始監視制御処理では、まず、普通図柄抽選に係る保留数が「0」であるか否かを確認する。「0」である場合には、普通図柄の変動権利は発生していないため、普通図柄制御処理を抜ける。一方、普通図柄抽選に係る保留数が「0」でない場合は、普通図柄の変動権利が発生している状態であり、普通図柄の変動開始条件を満たしていると判断して普通図柄の変動の開始に係る処理を実行する。
普通図柄の変動を開始すると判断すると、普通図柄抽選に係る保留数情報を記憶する領域より、保留数情報を-1した後、普図当否乱数、普図図柄乱数、普図変動パターン乱数をそれぞれ呼び出して普図当否抽選、普図図柄抽選、普図変動パターン抽選をそれぞれ行い、抽選結果を主制御基板の記憶領域に格納するとともに、今回使用した乱数情報をクリアし保留数情報の記憶領域を記憶した順番に処理されるようにシフトする処理を行うとともに、普通図柄ステイタスを「1:普通図柄変動中」に更新する。なお、普通図柄抽選に関しては、前述した「ベース状態」(普通図柄の確率変動機能、普通図柄の変動時間短縮機能)の作動状況に応じて異なる抽選テーブルが使用され、高ベース状態では当りとなりやすく、普通図柄の変動表示時間は短いものが決定されやすい傾向にある。
《普通図柄変動中処理》
普通図柄変動中処理は、普通図柄ステイタスが「1:普通図柄変動中」である場合に普通図柄制御処理より呼び出されるサブモジュール処理である。
普通図柄変動中処理では、普通図柄変動開始監視制御処理中にて決定した普通図柄の変動パターンに応じた普通図柄の変動表示時間が経過するまで、すなわち普通図柄の変動表示を管理するタイマ(普通図柄変動表示タイマ)がタイマ更新処理において0となるまで、普通図柄表示装置P53において、普通図柄の変動表示を実行させる処理である。
より具体的には、普通図柄変動表示タイマが0でない場合には、本処理が実行されるたびに最大値が「5」である普図表示切り替えカウンタを更新し、普図表示切り替えカウンタが「5」となるタイミングで、普通図柄表示装置P53を構成するLEDの発光パターンを指定するためのデータを格納する記憶領域に、次の発光パターンに関する情報を記憶する処理を行う。なお、普図表示切り替えカウンタは最大値である「5」となるタイミングで初期値である「0」にリセットされる。すなわち、普通図柄の変動表示は5回の割込み(4ms×5=20ms)間隔で普通図柄表示装置P53の点灯パターンが切り替えられることとなる。なお、切替間隔は適宜設定可能であり、例えば普図表示切り替えカウンタの最大値を25とすれば、25割込みに1回(100msに1回)の間隔で普通図柄表示装置P53の表示パターンが切り替えられる。
普通図柄の変動表示時間が終了する、すなわち普通図柄変動表示タイマが「0」となっている場合、本処理では普図図柄抽選で決定した普通図柄の停止表示図柄の表示パターンが主制御表示装置P50における普通図柄表示装置P53に停止表示されるよう、停止表示態様を示すLED点灯パターンを指定するためのデータを普通図柄表示装置P53のLED点灯パターンを記憶する記憶領域に格納する。そして、普通図柄の図柄固定時間(停止表示図柄を表示する時間)を普通図柄停止表示タイマに記憶するとともに、普通図柄ステイタスを「2:普通図柄停止表示中」に更新する。
《普通図柄停止表示中処理》
普通図柄停止表示中処理は、普通図柄ステイタスが「2:普通図柄停止表示中」である場合に普通図柄制御処理より呼び出されるサブモジュール処理である。
普通図柄停止表示中処理では、普通図柄変動中処理の終了時に図柄固定時間が設定された普通図柄停止表示タイマの値が「0」であるかの確認を行い、「0」となったタイミングにて、次の遊技動作に移るための設定を行う処理が行われる。
普通図柄停止表示タイマが「0」となったとき、今回の普通図柄抽選の結果が「当り」であった場合、当り図柄およびベース状態(普通電動役物の延長機能)の作動状態に応じて、普通電動役物P770の作動パターンを呼び出し、動作パターンを設定や、普通電動役物P770に係る入賞カウンタをクリアする等の設定をするとともに、普通図柄ステイタスを「3:普通電動役物作動中」に更新する。
一方、普通図柄停止表示タイマが「0」となったとき、今回の普通図柄抽選の結果が「はずれ」であった場合には、普通図柄ステイタスを「0:普通図柄待機中」に更新する処理を行う。
《普通電動役物作動中処理》
普通電動役物作動中処理は、普通図柄ステイタスが「3:普通電動役物作動中」である場合に普通図柄制御処理より呼び出されるサブモジュール処理である。
普通電動役物作動中処理では、普通図柄停止表示中処理において設定された普通電動役物P770の動作パターンに基づいて、普通電動役物の開放動作(入球容易態様への変化)および閉鎖動作(入球困難態様への変化)を制御するとともに、普通電動役物の作動終了条件の成立を監視する。普通電動役物P770の作動終了は、(ア)普通電動役物の終了条件として設定された規定数の普通電動役物入賞が発生した場合、(イ)予め設定された動作パターンの動作が終了した場合(普通電動役物の開放動作期間が終了した場合)である。
普通電動役物の作動終了条件が成立すると、普通電動役物の有効延長期間を記憶するタイマ領域に、予め普通電動役物P770の構造に対応して定められた一定時間の延長期間を計時する時間をセットする。そして、普通電動役物の作動終了デモに係る時間値を普通電動役物作動終了デモタイマにセットし、普通図柄ステイタスを「4:普通電動役物終了デモ中」に設定する。
《普通電動役物作動終了デモ処理》
普通電動役物作動終了デモ処理は、普通図柄ステイタスが「4:普通電動役物終了デモ中」である場合に普通図柄制御処理より呼び出されるサブモジュール処理である。
普通電動役物作動終了デモ処理では、普通電動役物作動中処理にて設定した普通電動役物作動終了デモタイマが「0」となるまで待機し、普通電動役物作動終了デモタイマが「0」となった場合に普通図柄ステイタスを「0:普通図柄待機中」に更新する処理を行う。
(始動口監視処理)
始動口監視処理は、入力ポート確認処理(ステップ2004)にて生成したデータより、特図1始動口スイッチP712および特図2始動口スイッチP722の立ち上がりデータが生成されている場合に、特別図柄抽選に係る保留の発生に係る処理を行う。(ステップ2024)
より具体的には、特図1始動口スイッチP712および特図2始動口スイッチP722の検出があった場合に、特別図柄抽選に係る保留の数を確認して、保留数が上限に満たない場合は、新たな保留として乱数を記憶可能であるため、保留数を格納している記憶領域のデータをインクリメント(+1)して保留数情報を1個増やした後、当否乱数、図柄乱数、変動パターン乱数を乱数生成回路から取得、あるいは現在の対応するソフト乱数を取得して保留として記憶する。
なお、前提とするぱちんこ遊技機Pでは、特別図柄として、第1特別図柄(特図1と称することがある)と第2特別図柄(特図2と称することがある)との2種類の特別図柄を設けているため、遊技盤P5に設けられた始動口のそれぞれに対し、対応する特別図柄の保留数および始動口スイッチのデータを呼び出して、始動口毎に保留数の加算、乱数の取得の処理が行われる。
また、処理対象とする始動口が、普通電動役物に係る始動口(電チュー)で構成される場合には、前述した有効期間設定処理にて普通電動役物P770に係る始動口入賞が有効期間内に行われたか否かを判断した上で有効期間である場合には前述した処理を行う。
なお、当否乱数、図柄乱数、変動パターン乱数を記憶する際、取得した乱数情報を事前に予告判定値テーブルを用いて、保留される各種乱数に基づく変動が実行される際の変動内容が事前に推測可能となる情報を生成し、演出制御基板P41に対して演出制御コマンドとして通知する(「事前判定コマンド」、「事前判定情報」、「先読み判定コマンド」と呼ぶ)。事前判定コマンドは、当否乱数、図柄乱数、変動パターン乱数それぞれに対して生成され、演出制御基板P41に送信されると、演出制御基板P41において、後述する「先読み演出」の実行に係る抽選に利用される。
(特別図柄制御処理)
特別図柄制御処理(ステップ2026)は、特別図柄ステイタス(「特図ステイタス」ともいう)と呼ばれる特別図柄を管理するための状態情報と、特別電動役物ステイタス(「特電遊技ステイタス」ともいう)と呼ばれる特別電動役物の作動状態を管理するための状態情報とによって、特別図柄の変動開始の管理(特別図柄変動開始監視制御処理)、特別図柄変動中処理、特別図柄停止図柄表示中処理のいずれかの処理を実行する。
特別図柄ステイタスには、「0:特別図柄変動待機中」、「1:特別図柄変動中」、「2:はずれ図柄停止表示中」、「3:大当り図柄停止表示中」、「4:小当り図柄停止表示中」の状態を有し、特別電動役物ステイタスには、「0:当り待ち中」、「1:特別電動役物作動中」、「2:大入賞口閉鎖中」、「3:大当り終了デモ中」、「4:小当り特電作動中」、「5:小当り閉鎖中」、「6:小当り終了デモ中」の状態を有する。なお、遊技機仕様によっては小当りを有しない場合もあり、その場合には小当りに関連したステイタスデータを持たない。そして、これらのステイタスに基づく制御は後述する。
特別図柄制御処理は、特別図柄を複数有する場合には、予め定められた順序(優先順位)に基づいて処理が行われる。予め定められた順序として、第2特別図柄を優先して制御する処理を行い、第1特別図柄および第2特別図柄の双方の保留が存在する状況下では、第2特別図柄の変動が先に開始される(第2特別図柄が優先して変動する)よう処理される遊技機仕様について、「第2特別図柄(特図2)優先消化制御」と呼び、前提とするぱちんこ遊技機Pの実施形態に係る説明では、このタイプのものに関する処理について例示して説明する。
特別図柄制御処理では、まず、第2特別図柄の制御を行う。第2特別図柄の制御を開始すると、まず第1特別図柄の特別図柄ステイタスと、特別電動役物ステイタスの情報を参照する。特別電動役物ステイタスが大当り遊技中または小当り遊技中を示すデータの場合(特別電動役物ステイタスが「0:当り待ち中」以外のとき)、第1特別図柄が変動中でありの第1特別図柄の特別図柄ステイタスが「0:特別図柄変動待機中」以外の場合には、処理を行うことなく処理を完了する。
第2特別図柄の制御を実行する状況である場合には、第2特別図柄に係る制御のタイマ値を更新する処理が実行される。タイマの更新は、タイマを記憶する記憶領域のデータをデクリメント(-1)する処理にて行われ、デクリメントした結果が負の値となる場合には「0」がセットされる。そして、タイマの更新が終了すると特別図柄2に対応する特別図柄ステイタスに基づいて、後述するサブモジュール処理が呼び出され実行される。なお、割込み処理中にもタイマ減算処理を有しているが、タイマ減算処理にて更新されるタイマに特別図柄制御処理にて更新されるタイマデータは含まれておらず、特別図柄制御処理において特別図柄に係る制御のためのタイマデータを管理している。
《特別図柄変動開始監視制御処理》
特別図柄変動開始監視制御処理は、特別図柄ステイタスが「0:特別図柄変動待機中」である場合に移行するサブモジュール処理である。
特別図柄変動開始監視制御処理では、対象として処理している特別図柄の保留があるか否かを確認し、保留が無ければ処理を終え、保留がある場合には続く処理が実行される。続く処理は、変動を開始する際に行われる特別図柄抽選である。特別図柄抽選は、まず設定値として格納しているデータを読みだして検査し、適切な設定値情報であるか否かを判定する。適切な設定値である場合には、遊技状態等を示す各フラグを記憶した領域のデータを参照して適宜抽選テーブルを選択し、当否抽選および図柄抽選、変動パターン抽選が実行され、抽選結果が記憶領域に格納されたのち、特別図柄ステイタスが「1:特別図柄変動中」に更新される。また、特別図柄抽選によって決定された内容は、演出制御基板P41に演出制御コマンド(当否コマンド、図柄コマンド、変動パターンコマンド)として送信され、特別図柄の変動表示に合わせて実行される変動演出の内容の決定処理(抽選処理)のための情報として利用される。なお、特別図柄抽選に関する詳細は後述する。
《特別図柄変動中処理》
特別図柄変動中処理は、特別図柄ステイタスが「1:特別図柄変動中」である場合に移行するサブモジュール処理である。
特別図柄変動中処理では、変動パターン抽選で決定した特別図柄の変動時間が経過するまで特別図柄の変動表示時間を管理するタイマを監視するとともに、残り変動時間が「0」になるまで、毎割込み更新される特別図柄表示切替タイマ(最大値「24」)により、25割込みごとに特別図柄の変動表示を示すために特別図柄表示装置(第2特別図柄表示装置P52(特図1の制御の時は第1特別図柄表示装置P51))の点灯表示パターンの切り替え処理を行う。
特別図柄の残り変動表示時間が「0」となると、ぱちんこ遊技機Pに接続する外部機器(データカウンタ―やホールコンピュータなど)に対して、特別図柄の変動表示が1回実行されたことを示す外部信号を出力するための情報の設定と、特別図柄の停止表示図柄を固定表示するための図柄固定時間を設定する処理と、当否抽選、図柄抽選の結果決定された停止表示図柄を示す停止表示図柄を特別図柄表示装置P52(P51)に表示させるための点灯パターンデータの設定とを行う。そして、当否抽選結果に応じて特別図柄ステイタスを「2:はずれ図柄停止表示中」、「3:大当り図柄停止表示中」、「4:小当り図柄停止表示中」のいずれかに設定する。
《特別図柄はずれ図柄停止表示中処理》
特別図柄はずれ図柄停止表示中処理は、特別図柄ステイタスが「2:はずれ図柄停止表示中」の場合に移行する処理である。
特別図柄はずれ図柄停止表示中処理では、特別図柄変動中処理において設定した図柄固定時間を管理するタイマの値が「0」となったかを確認し、「0」となった場合に処理対象となっている特別図柄の特別図柄ステイタスを「0:特別図柄変動待機中」に更新するとともに、特別図柄抽選に係る遊技状態(確率変動機能、電チューサポート機能、変動時間短縮機能)の残り遊技回数を更新するとともに終了条件成立に関する確認し、遊技状態移行条件の成立時には遊技状態の移行に係る制御(フラグオフなど)を行う。
《特別図柄大当り図柄停止表示中処理》
特別図柄大当り図柄停止表示中処理は、特別図柄ステイタスが「3:大当り図柄停止表示中」の場合に移行する処理である。
特別図柄大当り図柄停止表示中処理では、特別図柄変動中処理において設定した図柄固定時間を管理するタイマの値が「0」となったかを確認し、「0」となった場合に処理対象となっている特別図柄の特別図柄ステイタスを「0:特別図柄変動待機中」に更新するとともに、特別電動役物ステイタスを「2:大入賞口閉鎖中」に更新する。さらに、特別図柄抽選に係る遊技状態(確率変動機能、電チューサポート機能、変動時間短縮機能)を終了させるために、それぞれの残り回数情報格納領域および作動フラグ格納領域をクリアする処理を実行する。そして、大当り図柄に応じた大当り遊技を実行させるべく、大当り図柄情報より、前回大当り遊技中にデータとして使用していた各種記憶領域の情報を初期化し、大当り遊技中における特別電動役物P755の制御内容データのセットを行う。
特別図柄大当り図柄停止表示中処理では、さらに、演出制御基板P41に対して大当り遊技の演出(大当り開始デモ演出)を実行させるための演出制御コマンドを送信する処理を実行する。また、これらの処理に合わせて、主制御表示装置P50の構成要素の一つである右打ち表示灯P56(遊技領域の右側を狙って遊技球を発射させる右打ち遊技が推奨される遊技状態の時に点灯させるLED)を点灯させるための点灯パターンデータの設定も行われる。
《特別図柄小当り図柄停止表示中処理》
特別図柄小当り図柄停止表示中処理は、特別図柄ステイタスが「4:小当り図柄停止表示中」の場合に移行する処理である。
特別図柄小当り図柄停止表示中処理は、特別図柄大当り図柄停止表示中処理と同様、図柄固定時間の終了とともに、特別電動役物P755の作動に係るデータの設定、右打ち表示灯P56の点灯に係る設定処理を行う。また、本前提技術のぱちんこ遊技機Pでは、小当り遊技の実行時(小当り図柄の停止表示)では、大当り図柄が停止したときとは異なり、特別図柄抽選に係る遊技状態(高確率状態または高ベース状態)を終了させる処理を有さず、特別図柄はずれ図柄停止表示中処理の処理と同様に、それぞれの遊技状態に対して終了条件を満たしたか否かの判定結果を基に遊技状態を制御する。また、これらの処理に合わせて特別電動役物ステイタスを「5:小当り閉鎖中」に更新する。なお、遊技機仕様によっては、変形例として、小当り遊技の実行に際して、大当り図柄停止時と同様に遊技状態(高確率状態または高ベース状態)を強制的に終了させる処理を有する仕様として設計することも可能である。
以上のサブモジュール処理の内いずれかの処理が選択的に実施されると、第2特別図柄の処理に続いて第1特別図柄の処理が行われる。第1特別図柄の処理については第2特別図柄の処理と参照する情報が相違するのみ(例えば、変動開始可能かどうかについて、第1特別図柄の特別図柄ステイタスではなく第2特別図柄の特別図柄ステイタスを参照して判断するなど)でほぼ同じ処理が繰り返されるのみであるため説明を割愛する。
《入球順消化制御、並列制御》
また、前述した特別図柄制御処理の説明においては、「第2特別図柄優先消化制御」に係る処理に基づいて説明したが、本前提とするぱちんこ遊技機と異なる遊技機仕様を採用する場合にあっては、異なる処理にて特別図柄制御処理を進行することも可能である。以下にその代表的なものについて簡単に説明する。
「入球順消化制御」は、第1特別図柄および第2特別図柄のそれぞれに対応する保留情報が発生した順番に1つずつ処理される遊技機仕様である。一方の図柄の変動中に他方の変動表示が行われることは無く、ある遊技状態において第1特別図柄に対応する保留球と第2特別図柄に対応する保留球との双方の保留球の発生が見込まれる場合に採用されることが多い仕様である。
「並列制御(並列消化)」は、前述した「第2特別図柄優先消化制御」や「入球順消化」とは異なり、同時に第1特別図柄と第2特別図柄の双方の変動表示を同時に行うことができるタイプの遊技機仕様である。2つの図柄を同時に消化することができるため、単位時間当たりの特別図柄抽選回数を増加させることが可能となる。なお、1の特別図柄の停止表示に伴い特別電動役物P755が作動する場合(大当り、小当りが実行される場合)、他方の図柄は強制的にはずれとして図柄を停止したり、変動表示の残り時間の減算を一時中断するような仕様が適宜採用される。一例として、1の特別図柄が大当りとなった場合には、他方の特別図柄を強制的にはずれとして停止表示する仕様や、1の特別図柄が大当りや小当りとなった場合には、他方の特別図柄の変動表示を一時中断する仕様を採用可能である。
(特別電動役物制御処理)
特別電動役物制御処理は、特別電動役物ステイタス(特電遊技ステイタスと称することがある)のデータ内容(値)によって、特別電動役物P755の作動に係るサブモジュール処理を実行し、特別電動役物の作動を管理する処理である(ステップ2028)。言い換えると、大当り遊技や小当り遊技を実行するに際して、大当り遊技、小当り遊技状態における各状態の制御を行い、大入賞口P751の開閉に係る制御を行う処理である。
前述したように、特別電動役物ステイタスには、「0:当り待ち中」、「1:特別電動役物作動中」、「2:大入賞口閉鎖中」、「3:大当り終了デモ中」、「4:小当り特電作動中」、「5:小当り閉鎖中」、「6:小当り終了デモ中」の状態を有している。
これら特別電動役物ステイタスのうち、「0:当り待ち中」のステイタス状態である場合には、遊技者の遊技によって未だ大当り遊技または小当り遊技の実行権利の獲得がなされていない状況であるため、特別電動役物制御処理は処理を行うことなく終了する。
そして、特別電動役物ステイタスが、「0:当り待ち中」以外である場合には、ステイタスに応じて後述するそれぞれの処理のいずれかが実行されることとなる。
《特別電動役物作動中処理》
特別電動役物作動中処理は、特別電動役物ステイタスが「1:特別電動役物作動中」または「4:小当り特電作動中」である場合に実行される処理である。本処理は、特別遊技において、いわゆるラウンド遊技(単位遊技)が実行されている状態(大入賞口P751が開放制御され得る状態)の処理である。
特別電動役物作動中処理では、まずラウンド遊技(単位遊技)の終了条件を充足したか否かを判断する処理が行われる。ラウンド遊技の終了条件としては、(ア)作動した特別電動役物に応じた規定個数(「カウント」とも呼ぶ)の入賞数が行われたか、(イ)実行される特別電動役物の作動パターンとしてセットされた開放時間(開放パターン)が終了したか、のいずれかを満たす場合に終了したものとして判断する。これらの条件を満たさない場合は、以後の処理を行うことなく今回の割込み処理における特別電動役物制御処理を終了する。なお、特別電動役物P755の作動パターン(開放パターン)の中には、複数回大入賞口P751を開閉させるパターンを有しており、これらのパターンが実行される場合には、1回のラウンド遊技中で(イ)の判断に使用するタイマが複数回「0」となる一方で、1回のラウンド遊技中の次の作動データがあるか否かを確認した上で、条件(ウ)「今回の単位遊技における次作動パターンデータなし」と判断した場合に上記(イ)を満たしたものと判断することとなる。
一方、ラウンド遊技の終了条件の上記(ア)、(イ)のいずれかを満たした場合には、続く処理として、大入賞口閉鎖時間を特別電動役物の閉鎖時間管理用タイマに記憶するとともに、特別電動役物ステイタスをインクリメントし「2:大入賞口閉鎖中」とする。そして演出制御基板P41に対し演出制御コマンドとしてラウンド遊技が終了したことを通知するためのコマンドデータをセットして終了する。
《大入賞口閉鎖中処理》
大入賞口閉鎖中処理は、特別電動役物ステイタスが「2:大入賞口閉鎖中」または「5:小当り閉鎖中」である場合に実行される処理である。本処理は、特別遊技において、いわゆるラウンド遊技とラウンド遊技との間である「ラウンド間」に制御されている状態の処理である他、大当り遊技や小当り遊技の開始時における初回ラウンドの開始前の状態である「大当り開始デモ(期間)」、「小当り開始デモ(期間)」に制御される状態のとき、あるいは最終ラウンドのラウンド遊技が終了した後に後述する当り終了デモ中処理が実行されることとなるまで待機する期間に制御されている状態のときに係る処理である。
大入賞口閉鎖中処理では、まず、特別電動役物作動中処理にて設定した大入賞口閉鎖時間が経過したか否かを判定し、閉鎖時間管理用タイマが「0」でない、すなわち閉鎖時間が経過していない場合は、今回割込みにおける特別電動役物制御処理を終了する。
大入賞口閉鎖時間が経過した場合、続いて先に作動が終了した特別電動役物P755の作動(ラウンド遊技)が、今回の当り遊技(大当り遊技、小当り遊技)における最終のラウンド遊技であったか否かを判断し、最終ラウンド遊技の終了時と、最終ラウンド以外のラウンド遊技終了時(または当り開始デモ時)とで異なる処理を実行する。なお、最終のラウンド遊技であったか否かを判断は、今回の当り遊技中に作動した特別電動役物P755の作動回数の累計データが、今回の当り遊技における特別電動役物P755の最大作動回数データを超えているか否かに基づいて判断するものであり、当り開始デモ時には特別電動役物P755の作動回数の累計データは「0」である。
大入賞口閉鎖中処理において、最終ラウンド遊技の終了時と判断した場合には、当りの種類(大当り、小当りを開始することとなった特別図柄の種類)に応じて当り終了デモの実行パターン(主として当り終了デモ時間データ)を読みだして設定する。そして、特別電動役物ステイタスをインクリメントし、「3:大当り終了デモ中」または「6:小当り終了デモ中」とし、演出制御基板P41に当り終了デモ演出を実行させるための演出コマンドをセットしてする。さらに、大入賞口P751の有効延長期間を設定するため有効延長期間として定められた時間値データを大入賞口P751の有効延長期間を管理するタイマに格納して終了する。
一方、大入賞口閉鎖中処理において、最終ラウンド遊技以外の終了時(または当り開始デモ時)と判断した場合には、演出制御基板P41に対する演出制御コマンドとして、次回のラウンド遊技が何ラウンド目であるかを識別可能とする情報(Nラウンド開始デモコマンド ※Nは整数)と、当り遊技中の推奨発射位置(前提とするぱちんこ遊技機では、遊技盤の右側領域P501R(右打ち領域))を指示するための情報(右打ちコマンド)を送信する。
そして、特別電動役物ステイタスをデクリメントして「1:特別電動役物作動中」または「4:小当り特電作動中」に更新し、ラウンド遊技中の大入賞口P751への遊技球の入賞数をカウントするためのデータ領域のデータを初期化する。そして、ラウンド遊技中の大入賞口P751の一回目の開放(またはラウンド遊技開始直後の閉鎖)に係る時間値を、ラウンド遊技における大入賞口P751(特別電動役物P755)の作動パターンデータをセットし、特別電動役物P755の累計作動回数に関する記憶領域のデータをインクリメントする。
(賞球制御処理)
賞球制御処理は、遊技盤P5に配置された入賞口に対する遊技球の入賞に対して、遊技者に賞球として遊技球を付与するための処理である。処理内容としては、次に示す3つのサブモジュール処理を実行する構成である。(ステップ2030)
《払出データ受信監視処理》
払出データ受信監視処理は、払出制御基板P43から主制御基板P40に対して送信される賞球払出の実行に係る制御コマンドの有無を確認し、送信されたコマンドを受信(記憶)する処理である。主制御基板P0は、払出制御基板P43から送信された情報を2つのレジスタ(記憶領域)に格納している。そして1のレジスタは、ステイタスレジスタと呼ばれ、払出制御基板P43から送信された情報があるか、および送信された情報が正常に送信されたものであるか否かを判断するための情報が格納されている。そして他方のレジスタは、データレジスタと呼ばれ、払出制御基板P43から送信された払出制御に関する制御内容の情報が格納されており、ステイタスレジスタが異常でなければデータレジスタのデータを払出制御情報として記憶領域に記憶する。
《払出コマンド要求処理》
払出コマンド要求処理では、入賞監視処理(ステップ2018)で記憶した、各種入賞口の入賞回数データを記憶する入賞口毎の入賞カウンタデータを確認し、未払出の入賞の有無を確認する。当該確認処理は入賞口毎に予め定められた順序で確認し、1の入賞口に対して入賞カウンタのデータが「0」でないと判断した場合に、該当する入賞口の賞球数に応じて、払出制御基板P43に対して遊技球の払出を実行させるための制御コマンドを送信する処理を行う。この処理によって、複数の入賞口に対する入賞カウンタデータが「0」でない場合であっても、1割込みで払出制御基板P43に対して送信される払出制御コマンドは1つに制限される。
《払出コマンド制御処理》
払出コマンド制御処理では、正常に払出数に関する情報を払出制御基板P43が受信したか否かのチェックが行われ、この処理にて正常にコマンドを受信するか、何らかの異常で通信エラーと判断されることとなる。払出コマンド制御処理にて、コマンドの受信状況が確定する(正常に受信完了したかエラーであるか判断される)までは、払出コマンド要求処理における次の払出制御コマンドの送信は、払出コマンド要求処理および払出コマンド制御処理内でそれぞれオンオフの設定がされるフラグデータにより一時中断される。
(異常検知処理)
異常検知処理は、前提とするぱちんこ遊技機Pにおいて不正検出のために設けられたセンサの情報より異常の発生有無を確認する処理である。(ステップ2032)
より具体的には、振動センサP72、磁気センサP73、電波検知センサP74、枠開放センサP131といったセンサの入力に関し、入力ポート確認処理(ステップ2004)にて生成した入力情報を基に異常の発生している状況であるか否かについて判断する処理である。また、各種センサ以外にも電気的な接続のためのハーネスが抜去されていたり、配線上の短絡(ショート)なども検出対象として有している。
そして、いずれかの判断情報に対し異常データが存在する場合には、対応するエラーフラグをオンとするようにして記憶した後、演出制御基板P41に対する演出制御コマンドとしてエラー情報を通知するコマンドをセットする。
(センサ検出判定処理)
センサ検出判定処理は、入力ポート確認処理(ステップ2004)にて生成したセンサやスイッチの検出データ(レベルデータ)より、センサやスイッチの検出が連続して行われた期間を判断し、処理を行うフラグを成立させる処理である。(ステップ2034)
センサ検出判定処理では、対象のセンサ、スイッチの検出データ情報のレベルデータがオンである場合に、対応するスイッチの連続オン入力期間をカウントするためのデータをインクリメントして更新し、各種処理の実行開始条件を満たしたか否かを判定し、条件が成立した場合に監視対象のスイッチに応じた処理が実行される。監視対象のスイッチがオンデータでなくなった場合、連続入力期間をカウントしているデータを初期化する(「0」に更新する)。
例えば、入賞口に設けられた入賞口検出スイッチにおいて連続的にスイッチがオン状態である旨を検出している場合は、球詰まりが発生していると判断して、エラー状態に制御し、演出制御コマンドとして演出制御基板P41に対しエラー報知を行わせるためのコマンド情報をセットする処理や、外部装置(ホールコンピュータ等)にエラーの発生を報知するための信号データの生成および出力要求を行う。
なお、本処理において検出対象とするスイッチは、ハンドルP204に設けられたタッチセンサスイッチや、不正検出のためのスイッチなどもあり、人為的操作によるものか電気的なノイズによるものかを判別するために一定期間のオンデータの入力が必要なセンサ等についても対象としている。
(遊技状態表示処理)
遊技状態表示処理は、主制御表示装置P50において遊技の進行に関する情報を表示するための点灯データを生成する処理である。なお、表示処理という名称であるものの、主制御表示装置P50に対する表示内容の出力は本処理ではなく後述するLED出力処理にて行っている。(ステップ2036)
前提とするぱちんこ遊技機Pでは、一例としてエラー状態であることを示すエラー表示灯(状態表示灯P55)、特別図柄抽選に係る保留数を表示する特別図柄保留表示灯(特図1保留表示灯P61、特図2保留表示灯P62)、普通図柄抽選に係る保留数を表示する普通図柄保留表示灯P63などの点灯データ(点灯パターン)を生成して、LED出力処理にて出力されるデータとして格納する。
なお、遊技状態表示処理において、点灯制御されるLED表示灯に関し、点滅表示が必要な場合には、対応するLEDに関する表示切り替えカウンタの更新およびカウンタ値と閾値との比較による点灯パターンの切り替え処理が行われる。例えば、前提とするぱちんこ遊技機Pでは、特別図柄抽選の保留数は、最大4つまで保留可能であるものの、2つのLED表示灯で特別図柄保留表示灯が構成(特図1保留表示灯P61、特図2保留表示灯P62のそれぞれに2つずつのLEDを備える)されるため、3以上の保留数がある場合には、少なくとも1のLEDに関して連続的な点灯表示ではなく、点滅表示を行う仕様となっている。
(出力ポート出力処理)
出力ポート出力処理は、主制御基板P40に接続した遊技盤P5上の動作デバイスである電動役物や、払出制御基板P43などに遊技動作に関する信号を送信する設定を行う処理である。(ステップ2038)
より具体的には、普通図柄制御処理中や特別電動役物制御処理中に、普通電動役物ないし特別電動役物の作動パターンが設定されると、出力ポート出力処理中の処理によって、普通電動役物駆動手段P71、特別電動役物駆動手段P72(前提とするぱちんこ遊技機では、ソレノイド)に対し、各電動役物を開放動作(あるいは閉動作)させるための信号データが出力される。
また、払出制御基板P43に対しては、遊技者のハンドル操作に基づく遊技球の発射を許可あるいは禁止するための制御信号(発射許可信号)を出力ポート出力処理にて生成して出力する。発射許可信号は、払出制御基板P43との通信状態や、遊技停止を要するエラーの発生状況に応じて出力内容が設定される。
(演出制御コマンド送信処理)
演出制御コマンド送信処理は、演出制御基板P41に対し演出制御コマンドを出力する処理であり、前提とするぱちんこ遊技機Pでは、演出制御コマンド送信処理においてのみ演出制御コマンドが演出制御基板P41に対して送信される仕様となっている(ステップ2040)。なお、送信する演出制御コマンドの設定に関しては、他の処理中において未送信演出制御コマンドとして所定の記憶領域に設定(セット)されるものとなっている。
前提とするぱちんこ遊技機Pでは、未送信の演出制御コマンドを記憶する領域として、リングバッファと呼ばれる記憶先を循環参照する記憶領域を用いている。リングバッファと呼ばれる記憶領域では、演出制御コマンドの書き込み(セット)と演出制御コマンドの読み込み(送信)とのそれぞれの処理によって更新される、「書き込みポインタ」、「読み込みポインタ」と呼ばれる次回の処理においてコマンドを書き込む記憶領域のアドレスおよびコマンドを読み込む記憶領域のアドレスを算出するための情報を用いて演出制御コマンドの書き込みおよび読み込みを実行する仕様となっている。
また、前提とするぱちんこ遊技機Pでは、演出制御コマンドの構成がコマンドの種類を示すMODEデータと、コマンドの内容を示すEVENTデータの2つのデータにより構成されている。
演出制御コマンド送信処理の具体的な処理内容の説明に戻り説明を行う。演出制御コマンド送信処理では、まず前述した書き込みポインタと読み込みポインタの情報が一致しているか否かを確認し、一致している場合は送信する演出制御コマンドはないと判断して処理を終了する。一方で、書き込みポインタと読み込みポインタのデータが一致しない場合、送信すべき演出制御コマンドが存在すると判断して次の処理へ移行する。
送信すべき演出制御コマンドがあると判断した場合、読み込みポインタのデータから算出される主制御基板P40の記憶領域のアドレスよりMODEデータおよびEVENTデータを呼び出し、それぞれ主制御基板P40のCPUにおけるレジスタに一時格納し、読み出し先のリングバッファにおける演出制御コマンドをクリアした後、読み出しポインタの値を次の処理時に使用する値に更新する。
演出制御コマンドとして、主制御基板P40のレジスタに格納されたMODEデータおよびEVENTデータは、順番に演出制御基板に送信P41されることとなる。まずMODEデータを、演出制御基板P41に対する演出制御コマンドを送信するための出力ポートである演出コマンド出力ポートにセットし、演出制御基板P41に読み取り動作を行わせるためのストローブ信号を出力する。主制御基板P40は、続いてEVENTデータを出力することとなるが、MODEデータを演出制御基板P41が受け取るまでに十分な期間を確保するため26μsの待機時間を挟む処理を行った後、MODEデータ送信時と同様に、EVENTデータの出力ポートへの設定およびストローブ信号の出力を行う。演出制御基板P41は、ストローブ信号を確認すると演出制御コマンド受信割込みを発生させ、主制御基板P40から送信される演出制御コマンドを受信する。
(外部情報出力処理)
外部情報出力処理は、前提とするぱちんこ遊技機Pに接続する外部機器(データカウンターやホールコンピュータ)に対し、外部情報出力端子77より遊技状況に関する情報や、エラー発生などセキュリティに関する情報を信号として出力する処理である(ステップ2042)。外部情報出力端子77より出力される信号は、主制御基板P40の出力ポートにセットされたデータに基づいて出力され、信号出力の契機が発生した場合に一定期間のオン電位であるパルス信号を送信するものや、信号出力が終了する条件を満たすまでオン電位を出力し続けるもの等がある。
外部情報出力処理では、まず、遊技状態に関する信号を生成する。遊技状態に関する信号として、特定遊技状態の種類を識別可能とするために、前提とするぱちんこ遊技機Pでは確率変動機能の作動状態(確率状態)、電チューサポート機能の作動状態(ベース状態)に対応する情報と、特別遊技中(大当りや小当り)であることを示す情報とを参照し、各遊技状態に制御されている場合には、対応するデータが送信されるよう、外部出力データを更新する。なお、ここで例示したものに限らず、遊技機の仕様によっては、変動時間短縮機能の有無を示す情報や、特定の種類の大当りの場合であることを示す情報を基に出力信号を生成する場合があってもよい。
また外部情報出力処理で出力される出力信号として、遊技状態に係る信号のみでなく、予め定めた遊技結果の発生に基づいた情報が出力される。例えば、特別図柄の変動表示が実行され、停止表示されるたびに送信される信号(「図柄固定信号」とも呼ぶ)や、始動口スイッチ(特図1始動口スイッチP712、特図2始動口スイッチ722)や大入賞口スイッチP752など各種入賞口に対する遊技球の入球の検出がなされる度、あるいは、各種入賞口に対する入球に基づく賞球の払い出しが所定個数(例えば10個)に到達する度に、外部出力データにデータがセットされ、外部機器に対して送信される信号などがある。これらの信号は主にパルス信号で構成され、1の信号を128msのオン電位が続くパルス信号で送信するものであるが、複数回の遊技結果が連続して発生した場合には、1回のパルス信号の出力が終わった後、一定期間のオフ電位出力を挟んだ後、再度パルス信号を出力する仕様となっている。
また、外部信号出力処理では、前述した異常検知処理(ステップ2032)で確認した結果としてのエラーフラグを記憶した記憶領域のデータと、セキュリティ報知の必要なエラーの発生有無を確認するための比較データとを演算、比較してセキュリティ信号を出力する必要があると判断した場合は、外部出力データのセキュリティ信号に対応するビットをオンとするよう、出力ポートにセットする出力データを更新する。
(LED出力処理)
LED出力処理は、主制御表示装置P50を構成する複数のLEDに対し、点灯パターンを示すデータを出力して、LEDを発光させ、遊技の進行状況、遊技状態を表示するための処理である。(ステップ2044)
主制御表示装置P50を構成するLEDは、第1特別図柄表示装置P51(LED8個)、第2特別図柄表示装置P52(LED8個)、第1特別図柄保留表示灯P61(LED2個)、第2特別図柄保留表示灯P62(LED2個)、普通図柄表示装置P53(LED2個)、普通図柄保留表示灯P63(LED2個)の他、ラウンド表示灯P54、状態表示灯P55、右打ち表示灯(合計8個のLED)の計32個のLED表示部を有する。
なお、状態表示灯P55とは、複数の遊技状態に関する表示灯を一括であらわしたものであり、詳細には確率変動機能の作動有無を示す特図確変表示灯や、普通図柄の確変機能の作動有無(電チューサポート機能の作動有無)を示す普図確変表示灯、エラー状態を示すエラー表示灯などの表示灯のことを指す。
LED出力処理では、主制御表示装置における表示部の点灯データを割込み処理毎に1バイト分ずつ出力ポートにセットして主制御表示装置P50を点灯するよう構成しており、割込み処理毎に更新されるデジットカウンタという値に基づいて、今回の割込みで点灯させる主制御表示装置P50のLEDを選択し、遊技状況に応じた点灯パターンデータを選択し、表示データとしてセットして各LEDを点灯制御するようになっている。
すなわち、前提とするぱちんこ遊技機Pでは主制御表示装置P50を32個のLEDに対し、少なくとも4回の割込み処理を使って順番に点灯データを出力するダイナミック点灯方式にて主制御表示装置P50を制御している。
また、LED出力処理では、上記の主制御表示装置P50として遊技者が視認すべきLED表示以外に、遊技停止フラグが設定変更状態、設定確認状態、復帰不可能エラー状態である場合にのみ点灯制御されるLED表示の点灯制御も行っている。
なお、前提とするぱちんこ遊技機Pにおいては、遊技停止フラグに何らかの遊技停止状態を示すフラグが格納されている場合、主制御表示装置P50に対する点灯パターンデータの設定は省略されるようになっており、設定変更中、設定確認中、復帰不可能エラー中は主制御表示装置を構成するLEDは全消灯状態となっている。変形例として、遊技停止フラグのセットの際に、各状態に対して設定される固定的な点灯パターンを用いて発光表示を行ってもよく、例えば設定変更中である期間に主制御表示装置P50を構成するLEDを全点灯させるように構成してもよい。
(領域外制御処理)
領域外制御処理は、ぱちんこ遊技機の試験に利用する信号の出力を行う試験信号出力処理(ぱちんこ遊技機の試験に利用する信号の出力を行うための処理)と、性能表示装置の表示に係る制御を行う処理によって構成される(ステップ2046)。「領域外」の意味として、ぱちんこ遊技機の規則に定めるプログラム記憶領域の容量の計算に含まれない記憶領域のプログラムによって実行される処理であることを示す。
試験信号出力処理では、ぱちんこ遊技機Pの試験端子P78から外部の試験用機器に対して出力するための遊技結果や遊技状態に係る情報を出力ポートにセットする処理が行われる。性能表示処理では、遊技状態の確認処理を行い、アウト球の計数、アウト球と賞球の数との比率(ベース)を計算して、表示データとして更新し、性能表示装置P59に対して表示出力を行う処理である。
[特別図柄抽選]
続いて、主制御基板P40のCPUにて実行される特別図柄抽選に関し、図10から図14を用いてその詳細を説明する。「特別図柄抽選」は、主として「当否抽選」、「当り図柄抽選」、「変動パターン抽選」にて構成される。
(当否抽選)
「当否抽選」は、実行される特別図柄抽選の結果に基づき特別電動役物P755を作動させる結果となるか否かを決定する抽選であり、より簡単に説明すれば、特別図柄の抽選結果として、「大当り」、「小当り」、「はずれ」のいずれであるかを決定する抽選である。なお、ぱちんこ遊技機Pの仕様によっては、当否抽選の抽選結果として「小当り」を有しないものも存在する。また、第1特別図柄と第2特別図柄とを有するよう構成した場合、一方の特別図柄に関する当否抽選の抽選結果として「小当り」を有しており、他方の当否抽選の抽選結果として「小当り」を有しないよう構成してもよい。
当否抽選は、始動口(第1始動入賞口P711、第2始動入賞口P721など)に遊技球が入球した際に取得され記憶される乱数のうち、「当否乱数」と呼ばれる乱数値を用いて抽選を行う。前提とするぱちんこ遊技機Pでは、当否乱数の取り得る乱数値の範囲(乱数値範囲)は、「0」から「65535」までの65536通りであり、いわゆる2バイト乱数で構成されている。当否抽選が行われる場合、この乱数値の値と、遊技状態や設定値に応じた当否抽選に使用する抽選テーブル(「当否抽選テーブル」と呼ぶ)との比較により、当否抽選の結果を決定する処理を行う。
図10には、当否抽選に使用する抽選テーブルをいくつか例示している。図10の(A)は設定値「1」かつ低確率状態における当否抽選テーブルを示し、図10(B)は設定値「1」かつ高確率状態における当否抽選テーブルを示す。図10の(C)、(D)は、それぞれ設定値「6」であるときの低確率状態、高確率状態における当否抽選テーブルを示している。
例えば、図10(A)の当否抽選テーブルを使用して当否抽選を実行する状況において、今回の特別図柄抽選における当否乱数が、第1特別図柄(特図1)に対応する乱数であり、乱数値が「1500」であったと仮定し、当否抽選の流れを説明する。
まず、最初の当否抽選結果として大当りの乱数値範囲(「0」から「327」)に属するか否かを判定する。具体的には、今回の当否乱数の乱数値「1500」から、判定対象の大当りの乱数値範囲「328」を減算する処理を行う。このとき、減算結果は「1172」であり、負の値とはならないため、今回の当否乱数は、大当りの乱数値範囲には属さないと判定する。
続く処理として、先の大当り判定の演算後の乱数値「1172」と、当否抽選テーブルの続く当否抽選結果の判定領域として、はずれの乱数値範囲(「328」から「65370」)の比較を行う。より具体的には、当否乱数の一次データ「1172」から、判定対象のはずれの乱数値範囲「65043」を減算する。このとき、演算結果は負の値となるため、当否抽選結果として、「はずれ」の結果に対応した情報が記憶される。
仮に、今回の当否乱数「1500」について、高確率状態において特別図柄抽選が行われた場合には、図10(B)に示す当否抽選テーブルにて抽選されることとなり、最初の大当りの乱数値範囲(「0」から「1639」)に属するか否かを判定する。このときは、当否乱数と乱数値範囲との比較演算(減算)の結果は、負の値となるため、当否抽選結果は「大当り」であると判定される。
前提とするぱちんこ遊技機Pでは、このように、乱数値として取得したデータと、抽選テーブルの抽選結果に応じた乱数値範囲を順次比較していく手法により、抽選結果を判定する手法を採用しており、後述する当り図柄抽選および変動パターン抽選についても同様の抽選方法を採用するものである。なお、抽選方法は、上記した例に限らず、大当りとなる乱数値と一致するか否かを取得した乱数値と直接判定するような手法を採用してもよく、抽選内容ごとに異なる抽選方式を採用するものであってもよい。
(当り図柄抽選)
「当り図柄抽選」は、前述した特別図柄抽選の当否抽選結果を受けて、その後の特別電動役物P755の作動に係る制御内容や、後述する変動パターン抽選の抽選テーブル(図12から図14参照)の切り替えに必要な抽選結果としての特別図柄の停止表示図柄を決定する処理である。
図11には、当否抽選結果が「大当り」である場合に、当り図柄抽選で使用される大当り図柄抽選テーブル(図11(A)参照)や、当否抽選結果が「小当り」である場合に、当り図柄抽選で使用される小当り図柄抽選テーブル(図11(B)参照)や、当否抽選結果が「はずれ」である場合に、当り図柄抽選で使用されるはずれ図柄抽選テーブル(図11(C)参照)が示されている。
当り図柄抽選に使用される、「図柄乱数」は、乱数値範囲を「1000」(「0」から「999」)として構成しており、2バイトデータで表現した場合に、上位1バイトが「0」から「3」、下位1バイトが「0」から「255」で表現されるデータである。
当り図柄抽選を具体例にて説明すると、例えば、当否抽選結果が大当りである場合において、図柄乱数が「400」(上位バイトが「1」、下位バイトが「144」)の時の第1特別図柄に対する当り図柄抽選の場合には、図11(A)に示す上位1バイト「1」の抽選テーブルを用い、下位バイト「128」から「191」に該当する「5R(5ラウンド)確変2」が抽選結果として得られることとなり、特別図柄の変動表示にあたって、停止表示図柄として「5R確変2」図柄が第1特別図柄表示装置P51(第2特別図柄抽選の場合は、第2特別図柄表示装置P52)に停止表示される。
そして、「5R確変2」図柄が第1特別図柄表示装置P51に停止表示された場合、「5R確変2」図柄に対応した大当り遊技が実行されることとなる。このとき、第1特別図柄表示装置に「5R確変2」が停止表示図柄として表示された場合と、「5R確変1」が停止表示図柄として表示された場合とで、5ラウンドの大当り遊技の各ラウンド遊技の内容(大入賞口P751の開放パターンや開放時間など)を停止表示図柄に基づいて異ならせてもよく、また大当り遊技後に移行する特定遊技状態における制御内容を異ならせるよう制御することも可能である。これらの大当り遊技、特定遊技状態における制御の割り当ては、ぱちんこ遊技機Pごとに仕様(スペック)に応じて遊技性を実現するために適宜定められるものであり、その詳細な説明は割愛する。
なお、前提とするぱちんこ遊技機Pでは、図11(A)に示した抽選によって、大当りの種類ごとにまとめた図柄を表示するように記載しているが、例えば先の例において、抽選結果「5R確変2」という、大当りの種類を決定した後、さらに該当する種別の大当りを実行することとなる停止表示図柄を複数のパターンから別の抽選を行って決定するように、大当りの種別の決定、停止表示図柄の決定と2段階で当り図柄抽選が実行されるものであってもよい。
また、前提とするぱちんこ遊技機Pでは、図11(A)に示すように、第1特別図柄と第2特別図柄のそれぞれに関する特別図柄抽選において、当り図柄抽選にて大当り図柄を決定する場合に、決定され得る当り図柄の種類が異なるように構成されている。より具体的には、前提とするぱちんこ遊技機Pでは、第2特別図柄の大当りでは、「10R確変5」ないし「10R確変8」が決定される可能性が増えており、第1特別図柄の当り図柄抽選よりも、ラウンド数の大きな大当りに当選しやすく、特定遊技状態として高確率/高ベース状態へ移行することとなる大当りに当選しやすい仕様となっていると言える。
図11(B)には、小当り図柄抽選テーブルが例示されている。小当り図柄抽選テーブルは、特別図柄抽選の当否抽選の結果が「小当り」である場合に、当り図柄抽選にて参照されるテーブルであり、抽選の手法は、前述した大当り図柄抽選テーブルの時と同様である。
図11(B)に図示した小当り図柄抽選テーブルでは、そのほとんどが「小当り1」図柄に当選するものとなっており、第2特別図柄の当否抽選結果として「小当り」となった場合の一部において「小当り2」が決定され得るようになっている。なお、小当り図柄に関しては1種類であってもよいし、3種類以上の図柄を決定可能に構成してもよい。
前提とするぱちんこ遊技機Pのように、小当り図柄を複数設けることの目的の一例としては、単純に小当り遊技中の大入賞口P751の開放態様を変更することで獲得可能な遊技球数を異ならせたり、例えば小当りVを遊技機仕様(スペック)として採用するぱちんこ遊技機Pにおいて、特定領域にV入賞しやすい小当り遊技とV入賞が困難となる小当り遊技とを切り分けるために小当り図柄を差別化したり、V入賞後の大当り遊技の実行後に移行する特定遊技の種類を切り分けるために小当り図柄を異ならせるなどの態様が実行されることを目的とすることが挙げられる。
図11(C)には、はずれ図柄抽選テーブルが例示されている。はずれ図柄抽選テーブルは、特別図柄抽選の当否抽選の結果が「はずれ」である場合に、当り図柄抽選にて参照されるテーブルであり、抽選の手法は、第1特別図柄に関して前述した大当り図柄抽選テーブルの時と同様であり、第2特別図柄に関しては異なる手法となっている。
より具体的には、図11(C)には、第1特別図柄に対するはずれ図柄抽選テーブルのみが表されており、前提とするぱちんこ遊技機Pでは、はずれ図柄抽選テーブルとして第1特別図柄である場合のみ抽選処理を行い、停止表示図柄として「はずれ1」または「はずれ2」のいずれかを停止表示図柄として決定する。
「はずれ2」図柄は、第1特別図柄のはずれ時において、およそ6.4%の確率で当選するはずれ図柄であり、「はずれ2」が当選している場合、変動パターン抽選において、リーチとなりやすい特殊な抽選テーブル(不図示)を参照して、変動パターン(変動時間)を決定しやすくするよう構成されている。そのため「はずれ2」に関し、「リーチはずれ図柄」などと称する場合もある。
また、前提とするぱちんこ遊技機Pでは、第2特別図柄のはずれ図柄抽選テーブルを有さず、いかなる図柄乱数である場合においても1のはずれ図柄が決定されるようになっており、図柄乱数とテーブルの比較処理自体を省略し、1のはずれ図柄を記憶するよう構成している。なお、必ず1の図柄に当選する抽選テーブルを用いてはずれ図柄に当選するように構成してもよい。
(変動パターン抽選)
「変動パターン抽選」は、特別図柄の抽選結果である停止表示図柄を停止表示するまでの変動表示時間を抽選により決定する処理である。前提とするぱちんこ遊技機Pでは、演出表示装置P80において大当りであるか否か、大当りである場合について大当りの種類は何かに関する演出報知を行うため必要な演出時間として特別図柄抽選において、特別図柄の変動表示時間を後述する変動パターンテーブルを使用して決定する処理を行っている。
図12には、主として通常遊技状態(低確率/低ベース中)、低ベース状態(非電チューサポート状態)、すなわち前提とするぱちんこ遊技機Pにおいて遊技盤の左側領域P501Lに遊技球を発射することが推奨される状態の「低ベース中変動パターン抽選テーブル」を表している。
図12に示される、「ID」は、変動パターン抽選を行った結果として記憶される情報を表しており、「変動パターン」は、同IDが当選した場合に演出表示装置P80にて表示される変動の演出の態様の代表例を示している。「変動時間」は、対象の変動パターン抽選の結果(変動パターンID)における特別図柄の変動表示時間値であり、特別図柄が変動表示してから停止表示されるまでの時間を表している。
図12における「保1変動」から「保4変動」は、特別図柄抽選の実行条件を満たした状況における保留数を示しており、当否抽選結果が「はずれ」であり、対象の特別図柄(ここでは第1特別図柄)の保留球がN個であったとき、「保N変動」の変動パターンテーブルを使用して変動パターン抽選が実行される。すなわち、低ベース状態における第1特別図柄の変動パターン抽選は、保留数に依存して使用する変動パターンテーブルを異ならせるように構成されている。なお、保留がない状態において、始動入賞口へ遊技球が入球した場合は、処理上一旦保留として格納されるため、「保1変動」の変動パターンテーブルを使用して変動パターン抽選が実行される。
一方図12中に示すように第2特別図柄に対応する変動パターン抽選は保留数に非依存であり、いかなる保留数である場合においても共通の抽選テーブルを使用するよう構成されている。なお、不図示ではあるが、図柄抽選の結果「はずれ2(リーチはずれ図柄)」が決定されている場合は、第1特別図柄の変動パターン抽選であっても、保留数に依存しない1の変動パターンテーブル(はずれ2用変動パターンテーブル)を使用して変動パターン抽選を行うよう構成されている。
図12における「10R確変」、「5R確変」、「10R通常」、「5R通常」は、低ベース状態における、大当り時の変動パターン抽選に使用する変動パターンテーブルを示すものであり、当否抽選結果が「大当り」となり、図柄抽選結果がいずれの図柄であるかに応じて適宜変動パターンテーブルを選択して抽選が行われることを表している。図12では、第2特別図柄は低ベース状態における遊技の主体でないために、大当り変動パターンテーブルを大当り図柄に依存しない形で決定するように表現しているが、第2特別図柄の大当りについても、大当りの種別に応じて複数パターン有していてもよい。
ここで、図12を用いて、低ベース状態における変動パターン抽選の具体例を説明する。具体例として、第1特別図柄の抽選であって、変動パターン乱数が「30000」、変動開始時の保留球数が3個である状況(変動開始後は保留数2個となる状況)であって当否抽選結果および当り図柄抽選が「はずれ1」となる状況について説明する。
まず、変動開始時の保留数が「3」であることから「保3変動」の変動パターンテーブルを使用する。抽選処理は前述した当否抽選における抽選処理と同様、変動パターン乱数と、各抽選結果の変動パターンIDに対応する乱数値範囲を比較演算(減算)し、同範囲に乱数が属するか否かを判定する。本処理を行うことによってID「2」の通常変動Bのタイミングで、変動パターン乱数と乱数値範囲との比較演算を繰り返した結果が負の値となり、同IDが変動パターン抽選として決定され、特別図柄の変動表示として7秒の変動表示が行われた後、第1特別図柄表示装置P51にはずれ図柄1が表示されることとなる。
続いて、図13を用いて高ベース状態における変動パターンテーブルについて説明する。高ベース状態における変動パターンテーブルの構成は、図12に示した低ベース状態における変動パターンテーブルと対象的な構成となっており、第2特別図柄に対して保留数依存となるはずれ時の変動パターンテーブル、大当り時の大当り図柄別テーブルを有するように構成されている。なお、図12と図13にて、多くの変動パターンが共通して決定され得るように構成されているが、これは説明を簡略化する目的でもあり、低ベース状態と高ベース状態とで決定される変動パターンの重複はごく少数であったり、全く重複しないように構成することも可能である。
また、高ベース状態における変動パターンテーブルの特徴として、はずれ時の第2特別図柄の「保3変動」および「保4変動」の抽選結果として、前提とするぱちんこ遊技機Pの最短変動時間となる2秒変動(変動パターンID「12」)が決定可能に構成されている。
さらに高ベース状態における変動パターンの特徴点として、第1特別図柄の抽選については、必ず変動パターンID「4」の10秒変動が決定されるよう構成されている。第1特別図柄を10秒の変動で構成する理由として、図11に示した大当り図柄抽選テーブルにて、大当りした場合の遊技者利益が大きい(実行ラウンドが多いことによる獲得出玉期待値が高いこと、特定遊技状態として確率変動状態に移行する大当り図柄が多いこと)ことに起因しており、第2特別図柄に対応する変動表示を優先して数多く実施することで、遊技者により有利な大当りを獲得可能とすることを目的としている。また、第1特別図柄と第2特別図柄の大当り遊技の有利度合いに差がほとんどない場合であっても、第2特別図柄優先消化制御を採用していることに基づいて、第1特別図柄が変動表示されることを避け、有利な状態である特定遊技状態(高ベース状態)が終了するまで、通常遊技状態(低ベース状態)にて成立した保留を保持しやすく、高ベース状態において第2特別図柄の保留を発生するのに使用する遊技球の量に対し、低ベース状態で第1特別図柄の保留を生起させるために多量の遊技球を要することを避ける目的もある。
図14は、限定期間における特殊テーブルを示す図であり、特定の期間において参照される特殊な変動パターンテーブルを表している。図14には、前提とするぱちんこ遊技機Pに備えられる特殊な変動パターンテーブルの一例として、3つの期間の特殊な変動パターンテーブルを包括して記載している。
より具体的には、図14には、大当り後の1変動目から4変動目までの期間(大当り時に存在する4つの保留で大当りとなる、いわゆる「保留連」(保留内連荘)と呼ばれる期間)に参照する「保留内連荘テーブル」(ID「51」、「71」が対象)と、大当り後のn回目からm回目の変動において参照され、55秒となるリーチ変動が選択されやすい高頻度リーチテーブル(ID「52」、「53」、「54」、「72」が対象)と、高ベース状態の最後の変動表示にて参照され、主に後述する「リザルト演出」が実行されることとなる「リザルト変動テーブル」(ID「55」、「73」が対象)が、前提とするぱちんこ遊技機Pに備えられていることが示されている。
このように、限定的な期間に参照される特殊な変動パターンテーブルのことを、「特殊変動パターンテーブル」や「限定頻度(パターンテーブル)」などと称する。
前提とするぱちんこ遊技機Pでは、限定頻度パターンテーブルの参照期間を、大当り遊技(特別電動役物の作動、言い換えると役物連続作動装置の作動)の後の定められた期間において参照可能に構成している。これらの参照期間について、大当りの種類(大当り図柄)によって、参照有無を異ならせたりすることも可能であり、小当り遊技に基づく特別電動役物の作動後の特定の期間において、参照する期間を異ならせるように構成することも可能である。いかなる状況でどのような特殊変動パターンテーブルを参照するかは、ぱちんこ遊技機毎に適宜設定可能なものであり、例示したものに限らず、必要があればその詳細を別途の記載で説明することとする。
次に、前提とするぱちんこ遊技機Pにおける演出動作に係る制御を行う演出制御基板P41の制御に関する説明を行う。なお、演出制御基板P41の動作制御は、遊技機の型式試験上における制約は少なく、主制御基板P40の制御と比較して設計の自由度が高いものであるため、以下の説明で説明される処理のみに制限されるものでなく、処理が行われるタイミングについても適宜変更可能である。
[演出制御基板の電源投入処理~メインループ処理]
前提とするぱちんこ遊技機Pは、遊技機の電源が投入されると演出制御基板P41のCPUにおいて、電源投入処理(ステップ4000)が実行する。ここで、演出制御基板P41の電源投入処理に関し図15に沿ってその詳細を説明する。
前提とするぱちんこ遊技機Pの演出制御基板P41において電源投入処理(ステップ4000)が開始されると、演出制御基板P41上に設けられた演算装置であるCPUの動作に係る初期設定処理が行われる(ステップ4002)。初期設定処理は、この後のCPUの動作に必要な設定を適宜行うものであり、その詳細は割愛するが、前回の電源断が発生した状態で実行されていた演出に関し、主制御基板P40の電源投入処理(図7)と演出制御基板の電源投入処理(図15)の完了には時間差が生じるため、電源復帰後に電断前の演出に復帰してしまうと、主制御基板P40の動作とずれが発生する恐れがあることから、演出制御基板P41の電断復帰時の初期処理では、電断前に実行していた演出が実行されないよう演出情報などを初期化することが多い(「演出制御基板リセット」、「サブリセット」と呼ぶ)。
(演出制御基板のメインループ)
前提とするぱちんこ遊技機Pでは、初期設定処理の後にメインループ処理へ移行する。前提とするぱちんこ遊技機Pでは、演出表示装置P80(画像表示装置)に対して接続する画像制御基板P42において演出画像を描画する周期(フレーム)の時間が、1秒間に30回描画するよう1周期約33ms(30FPS)に設定されるため、そのおよそ半分の周期である16msの周期にてメインループ処理のループを1回行うように構成されている(ステップ4002からステップ4016)。
演出制御基板P41のメインループ処理では、まずCPUの暴走の検出を行うためのウォッチドッグタイマのクリア処理を行う(ステップ4004)。
続いて、演出制御乱数データを更新する処理(ステップ4006)を行い、演出抽選を実行する契機が発生した場合に使用する各種の演出制御乱数を更新する。
次に、入力ポート監視処理を実行する(ステップ4008)。前提とするぱちんこ遊技機Pでは、後述する演出制御基板P41の割込み処理中においても入力ポートの監視を実行する仕様となっているが、メインループ処理における入力ポートの監視処理は、16ms周期の監視となるため、システム上必要な監視対象であるスイッチなどの入力の監視にとどまり、演出可動役物P560の演出制御に必要なセンサ類などの入力の監視は省略される。なお、変形例として、演出上監視すべき対象であるセンサ類に関し、メインループ処理内の入力ポート監視処理にて確認を行ってもよい。
入力ポート監視処理で実行する内容は、主制御基板の入力ポート確認処理と同様、各種センサの入力データより、レベルデータを生成して記憶したり、立ち上がり(立ち下がり)データを記憶する処理が実行される。
続いて、演出制御基板P41は、演出装置制御処理(ステップ4010)を行い、演出表示装置P80(画像表示)以外の演出動作に関する制御を実行する。本処理において制御される演出装置として、ランプP82(「盤ランプ(P550)」「枠ランプ(P350)」)やスピーカP83(上スピーカP370、下スピーカ141)、演出可動役物P560などがあり、これらの演出装置に対して後述する演出制御処理(ステップ4012)などの処理によって実行が決定された演出内容に応じた演出動作命令を各演出装置に送信して演出動作を実行させる。
演出装置制御処理(ステップ4010)における各種演出装置に対する演出動作命令の出力は、演出表示装置P80(画像表示装置)にて表示される演出画像と同期して実行(開始)される必要があるため、演出表示装置P80の制御を行っている画像制御基板P42から演出制御基板P41に対して一定間隔で送信される信号や、強制的に同期を図る信号を受信したこと(前述した入力ポート監視処理での受信)を契機として、演出表示装置P80の演出切り替わりタイミングとの同期を図り、各種演出装置に対して演出動作命令の出力を行う。
なお、演出装置の内、演出可動役物P560の動作制御に関しては、演出可動役物P560の駆動手段に対して、より短い周期での制御が必要となることから、本処理において設定された演出動作命令にて実行されることとなる演出可動役物P560の動作パターンについて、後述する演出制御基板P41の割込み処理中(図16参照)においてもセンサの監視、動作切り替えが実行される。
次に、演出制御基板P41のメインループ処理で実行される演出制御処理(ステップ4012)に関して説明する。演出制御処理は、後述する演出制御コマンド解析処理で主制御基板P40から受信した演出制御コマンドを解析した結果に基づき成立したフラグや受信した演出制御コマンド自体の情報(特別図柄抽選の抽選結果IDなど)、入力ポート監視処理(ステップ4008)、割込み処理(図16)等の他の処理中に成立したフラグを基に、各種演出装置で実行する演出内容を抽選したり選択することで決定する処理である。
演出制御処理は、各フラグ情報やコマンド解析情報を基に実行すべき演出決定の処理を選択し、対応する演出決定のためのサブモジュール処理を呼び出して実行する。ここで決定される演出内容の例として、特別図柄抽選の実行結果に係るコマンド(当否コマンド、図柄コマンド、変動パターンコマンド)を基に1回の特別図柄の変動に対応する変動演出を決定する処理(予告やリーチの内容、停止する装飾図柄の決定などを行う処理)や、保留が発生した際に送信される保留数情報や事前判定情報を基に新たに発生した保留に対し先読み演出(「事前判定演出」とも呼ぶ)を実行するか否かを決定する先読み抽選処理や、特別遊技(大当りや小当り)の実行に際し演出制御コマンドとして送信された情報に基づき特別遊技中の演出内容を決定する特別遊技演出内容決定処理などがある。
また、演出制御処理は、主制御基板P40から送信された演出制御コマンドに対する処理のみでなく、演出制御基板P41でエラーを検出した場合のエラー表示内容の決定処理(主制御基板から送信されたエラー情報に基づくエラー表示内容の決定処理を含む)や、遊技者によって演出操作手段P81である演出ボタンP381、十字キーP383などの入力操作に基づいてスピーカP83から出力される音量の調整や、ランプP82の発光輝度を変更する光量調整、演出内容および演出内容決定傾向のカスタマイズといった演出内容の決定も実行する。
なお、演出制御処理で呼び出されるサブモジュール処理にて行われる各種の演出内容の決定処理については、遊技機毎に固有の仕様を用いられることが多いため、説明を割愛し、発明の対象となるぱちんこ遊技機Pにおいて特徴を有する処理を実行する場合には、発明の対象となるぱちんこ遊技機Pの実施例の説明にてその詳細を説明することとする。
演出制御基板のメインループ処理の説明に戻り、メインループ処理の最後の処理として演出制御コマンド解析処理(ステップ4014)を説明する。
演出制御コマンド解析処理は、主制御基板P40から送信された演出制御コマンドとして記憶されている情報を基に、前述した演出制御処理において演出内容の決定に使用するための演出制御コマンドに対応する情報の記憶や、フラグの設定を行う。本処理は、主制御基板P40から送信されたコマンドに応じて処理内容を決定する必要があり、演出制御コマンドであるMODEデータ、EVENTデータの内容より処理内容を決定して、演出制御コマンドに応じた処理が実行される。
なお演出制御コマンドは、主制御基板P40の割込み処理毎(4ms毎)に1のコマンド(MODEデータとEVENTデータ)が送信される可能性があるため、前提とするぱちんこ遊技機Pでは、演出制御基板P41のメインループ処理の周期(16ms)が経過するまでの間、処理可能な限り演出制御コマンドの解析を繰り返し実行する(ステップ4016)。
[演出制御基板の割込み処理]
次に、演出制御基板P41のCPUにおいて実行される割込み処理に関して説明する。演出制御基板P41における割込み処理は、主制御基板の割込み処理とは異なり、異なる実行契機で開始される複数の割込み処理を有している(図16(A)および(B)を参照)。なお、これらの複数の割込み処理には、優先度が設定されており、より上位の優先度の割込みが発生した場合には、割込み処理の実行中であっても上位の割込み処理を実行するように制御される。本説明においては、代表して演出制御タイマ割込み処理(図16(A))と、演出制御コマンド受信割込み(図16(B))とについて説明を行う。
(演出制御タイマ割込み処理)
演出制御タイマ割込み処理(図16(A))は、演出制御基板P41のCPUにおいて、1ms周期で実行される割込み処理である。
ポート入出力処理(ステップ5002)は、演出制御基板P41の入力ポートより、演出可動役物P560の位置検出のために設けられたセンサや、他のセンサ(演出操作手段P81の入力センサ)の入力からレベルデータ、立ち上がりデータを生成して記憶する処理や、出力ポートより、演出装置制御処理にて設定された動作パターンに従って演出可動役物P560の駆動手段(ソレノイドやステッピングモータなど)に対して駆動信号を出力する処理が実行される。また、出力ポートからデータ出力を行った際には、必要があれば出力回数をカウントするカウンタ(記憶領域)のデータを更新する。
タイマ更新処理(ステップ5004)は、演出動作の切り替えタイミングを計るタイマの減算や加算を行う処理である。各タイマに関し更新処理が終了すると、比較値との比較演算を行い、演出動作の切り替え条件が発生したか否かを判断し、演出制御処理(ステップ4012)において演出内容の決定に必要な情報やフラグを記憶領域に記憶する処理を行う。
センサ監視処理(ステップ5006)は、ポート入出力処理にて生成したセンサの検出データより、演出可動役物P560の演出動作切り替え条件が成立したか否かなど、演出動作の切り替えに係るセンサ検出情報の発生有無を判断し、動作パターンのテーブルを切り替える処理を行ったり、演出制御処理(ステップ4012)にて演出内容を決定するための条件フラグを立てる処理を行う。
演出ボタン監視処理(ステップ5008)は、演出操作手段P81である演出ボタンP381やレバーP382、十字キーP383などの入力に基づく演出の切り替え条件の成立有無を判断する処理である。演出ボタン監視処理では、ポート入出力処理(ステップ5002)において生成された各入力装置の入力状態を示すレベルデータや立ち上がりデータ(前回オフから今回オンへレベルデータが変化したことを示すデータ)より演出操作手段P81に対する操作有無、操作態様を判断する。
例えば、演出操作手段P81に対する入力情報として、立ち上がりデータが生成されている場合には演出操作手段P81に対する遊技者操作があったものとして、対応する演出の実行のためのフラグなどの情報を記憶する。なお、立ち上がりデータのみで入力を判断すると電気的なノイズにより誤検出して演出動作の切り替えが行われる可能性があるため、立ち上がりデータの発生後、複数回のレベルデータ(オンデータ)の入力が連続したことを契機として演出操作手段P81に対する遊技者操作(「単押し(単引き)操作」、「一撃操作」と表現する場合がある)と判断してもよい。
また、オン入力のレベルデータが連続して500回検出された場合、すなわち0.5秒に渡って演出操作手段P81が操作されたと判断した場合、「長押し(長引き)」操作と判断し、特殊な操作として扱うよう構成している。なお、「長押し(長引き)」操作の有無、継続の判断において立ち下がりデータ(前回オンから今回オフへレベルデータが変化したことを示すデータ)が電気的にノイズとして検出される場合があるが、この場合も前述した誤検出防止の対策と同様に立ち下がりデータの検出後、複数回のレベルデータ(オフデータ)の入力を検出したことに基づいて、「長押し(長引き)」操作の入力終了を判断するものとしてもよい。
そして、前提とするぱちんこ遊技機Pでは、実行中の演出内容によっては、演出ボタンP381に対する「長押し」操作の実行により、一定周期毎(例えば0.3秒毎)に1回の演出操作手段P81の「単押し(単引き)」入力操作があったと見做す処理を繰り返して行わせることを可能としており、このように「長押し(長引き)」操作などの特殊な操作を契機として、「単押し」操作が行われたと見做して繰り返し処理が実行されることを「オート連打」操作と呼ぶ。なお、「オート連打」操作は、例示した操作内容に限らず、複数の演出操作手段P81を同時操作するものや、演出ボタンとは異なるスイッチとして設けられたディップスイッチなどのオンオフ操作することで、演出ボタンP381の入力に基づき「オート連打」操作が実行されたと見做す手法を採用することも可能である。
なお、演出操作手段P81に対する入力は、演出の実行状況によって、有効操作として扱う期間(「操作有効期間」)と、無効操作として扱う期間(「操作無効期間」)とが存在する。
マルチタスク処理(ステップ5010)は、演出制御タイマ割込み処理が実行される毎に更新されるタスクカウンタ(値「0」~「15」の間で更新)の値に応じて、今回発生した演出制御タイマ割込み処理中で実行する処理内容を異ならせて行う処理である。タスクカウンタが16ms周期で循環するように構成されており、メインループ処理の1周期とほぼ同期して各カウンタ値における処理が実行されるように構成されている。各タスクにおける処理の一例としては、画像制御基板P42の動作が実行できるか否かを画像制御基板P42から送信される信号(ポート入出力処理にて入力情報を生成)を基に判断し、画像制御基板P42の動作状況を監視する処理が行われる。
画像制御コマンド送信処理(ステップ5012)は、画像制御基板P42のCPUに対して演出制御処理P41にて決定した演出内容に応じた画像表示を実行させるべく、画像制御コマンド(「サブ間コマンド」と呼ぶ場合もある)を画像制御基板P42のCPUに対して送信する処理である。なお、画像制御基板P42と演出制御基板P41は同一の基板で構成してもよいが、本明細書内では便宜的に画像制御基板P42として記載する。
前提とするぱちんこ遊技機Pでは、演出制御基板P41は、画像制御コマンドを表示内容の種類を示す第1コマンドと、表示内容のパターンを指定する第2コマンドとで構成し、画像制御基板P42に送信する構成となっている。
なお、前提とするぱちんこ遊技機Pでは、演出制御タイマ割込み処理にて画像制御コマンドを送信する構成となっているが、演出制御基板P41と画像制御基板P42との間におけるコマンドの送受信に関して、別途割込み処理を設けて送受信を行うように構成することも可能である。
(演出制御コマンド受信割込み)
演出制御コマンド受信割込み(図16(B))は、主制御基板P40の割込み処理(図9)中の演出制御コマンド送信処理(ステップ2040)においてストローブ信号が出力され、当該ストローブ信号を演出制御基板P41が受信した場合に発生させる割込み処理である。
演出制御基板P41は、演出制御コマンド受信割込みを開始すると、主制御基板P40の出力ポートより送信される演出制御コマンド(MODEデータまたはEVENTデータ)を読み取り、一時バッファデータを更新して記憶する(ステップ5502、ステップ5504)。
一時バッファデータの更新が終了すると、1の演出制御コマンド(MODEデータとEVENTデータの組み合わせ)の受信が完了したか否かを判断する(ステップ5506)。なお、主制御基板P40から送信される演出制御コマンドは、1バイトデータのうち、特定のビットが「1」「0」で構成されている。
前述したステップ5504の一時バッファデータ(2バイトデータ記憶領域)の更新に際しては、通常下位の1バイトの記憶領域に今回受信した演出制御コマンドの内容を記憶する処理を行う。このとき、更新前に現在の一時バッファデータの記憶領域の下位1バイトのうち特定のビットの部分がMODEデータであることを示す場合、一時バッファデータの記憶データを上位の1バイト記憶領域にシフトさせて記憶させた後、今回受信したEVENTデータを一時バッファデータの下位の1バイトの記憶領域に記憶する処理が行われる。
そしてステップ5506の演出制御コマンドの受信完了の判断においては、一時バッファデータの下位1バイトのうちの特定のビットがEVENTデータを示すデータであるか否かを判断し、EVENTデータであると判断した場合には、1の演出制御コマンドの受信が完了したもの(ステップ5506YES)として次の処理に進み、MODEデータであると判断した場合(ステップ5506NO)には、主制御基板P40からEVENTデータの送信に基づくストローブ信号を受信するまで、演出制御コマンド受信割込みを抜け、他の処理を行って待機する。
ステップ5506において、演出制御コマンドの受信が完了したと判断した場合、送られた演出制御コマンドが正常なものであったか否かを判断する(ステップ5508)。この処理は、例えば、主制御基板P40から送信され得る演出制御コマンドの一覧データの中に一致するデータが存在するか否かを基に判断される。そして、正常なコマンドであると判断された場合には、演出制御タイマ割込み処理中の演出制御コマンド解析処理にて解析されるように受信した演出制御コマンドを記憶するための記憶領域に記憶し、異常データの場合には一時バッファデータを破棄する。
[基本的な画像表示の演出例]
次に、図17から図20を用いて、前提とするぱちんこ遊技機Pにおける基本的な演出に関して説明を行う。図17は、通常遊技中(低確率/低ベース中)の図柄変動表示(装飾図柄の停止表示中)を表した図であり、図18は大当りとなる期待度が高いリーチ演出が行われている状況を表した図である。図19は、大当り遊技を実行している状態を表した図であり、図20は特定遊技状態中(高確率または低確率/高ベース)である電チューサポート機能の作動中の遊技演出を表した図である。
(通常遊技状態の演出表示例)
《装飾図柄》
図17は、通常遊技中(低確率/低ベース中)の図柄変動表示(装飾図柄の停止表示中)を表した図である。画面の略中央領域に3つの数字が遊技者に対して明瞭に確認できる態様にて表示されている。この3つの図柄は「装飾図柄(P801)」(「装図」とも呼ぶ)と呼ばれており、特別図柄抽選の結果に対応して表示される演出的な表示物であり、特別図柄の変動表示に合わせて変動表示される。なお、図17中では数字のみで表現しているが、各数字にキャラクタ画像などの装飾画像を伴って表示される場合もある。また、各数字に装飾画像を伴って表示するよう構成する場合には、遊技状態によって装飾画像や各数字の表示態様を相違させてもよい。そのように構成することによって、遊技者は現在の遊技状態を判別し易くなる。
装飾図柄P801は、特殊な演出を行っている場合を除いて特別図柄の変動表示1回(特別図柄抽選1回)に対して、1度の演出としての変動表示が行われる。なお、不図示であるが、装飾図柄P801の変動表示が行われる際には、装飾図柄が高速で変動表示(場合によっては透過表示や非表示となる)され、アニメーションや演出効果の画像による「予告」と呼ばれる演出により、大当り遊技の権利獲得の期待感を高める演出を行う。
図17に示す装飾図柄P801は、変動表示が開始されると上下方向(上から下方向)にスクロール表示された後、左図柄(P801a)、右図柄(P801c)、中図柄(P801b)の順に図柄列毎に、演出制御基板P41で決定された停止表示図柄が停止表示される。一般的には、3つの装飾図柄P801が同一の態様(ぞろ目)で停止表示された場合に、大当りであることを演出的に報知するものとなっている。また、1の図柄が変動表示を行う一方で他の図柄が表示されている状態、例えば、最後に停止する図柄(「最終停止図柄」とも呼ぶ)である中図柄P801bが停止する前に左図柄および右図柄が同一の図柄で表示(仮停止表示)されている状態のことを「リーチ」(「リーチ状態」「リーチ態様」)と呼ぶ。
装飾図柄P801の変動表示は、上下方向(上から下方向)にスクロール表示する態様で表示されることが多いが、変動表示の態様は上下方向に限らず、左右方向や奥行きを使って前後(斜め)方向にスクロール表示動作を行うものであってもよいし、スクロールせずにその場で回転動作を行うとともに順番に切り替え表示がされるものであってもよい。
また、装飾図柄P801は1回の特別図柄の変動表示中において、複数回の停止表示を行う場合を有している。この時、複数回の停止表示に際して、特別抽選の結果を示す停止表示は、特別図柄の停止表示図柄が特別図柄表示装置に停止表示されるタイミングと同時期に表示される停止表示であり、それ以外のタイミングにおける停止表示を「仮停止(表示)」という。なお、特別図柄の停止表示と同時期の停止表示ついては、「本停止」と表現する場合がある。
装飾図柄P801の仮停止が行われた際には、最終的な図柄の停止表示(本停止)と区別するため、装飾図柄P801を完全に固定せず、固定したと認められない程度に一時停止させたり、上下あるいは左右などの方向に動作したり、1の回転軸を中心に揺れ動作を行ったりするように構成される。このような状態のことを仮停止の他に「揺れ変動」などと表現する場合がある。
装飾図柄P801が仮停止表示された後は、再び変動表示を繰り返す場合があり、一般的に大当り図柄以外の図柄が仮停止した状態からの再変動を「擬似変動(擬似連)」演出と呼び、大当り図柄の停止後に停止表示される大当り図柄を変更する場合がある再変動を「昇格(変動)」演出と呼ぶ。なお、昇格演出を実行する場合には、停止した大当り図柄よりも不利な大当り図柄には変更しないよう構成したり、ハズレ図柄に変更しないよう構成してもよい。
また、装飾図柄P801の停止表示に際して、通常の変動表示中は表示されておらず、一部の演出を実行する場合にのみ表示される特殊な装飾図柄の一種があり、これを「特殊装図(P804)」(特殊図柄)と呼ぶ。特殊装図は、それぞれの図柄に意味があり、例えば特定の大当りが実行されることを示唆したり、前述した擬似変動演出を行うことを示唆したり、特定のリーチ演出(リーチ態様となった場合に表示される予告演出)が実行されることを示唆するものなどが挙げられる。特殊図柄を用いる場合には、最後に仮停止する装飾図柄(中図柄P801b)として特殊図柄を仮停止させてもよいし、左図柄P801a、中図柄P801b、右図柄P801cのすべてを代用する1つの装飾図柄として特殊図柄を仮停止させてもよい。
《簡易装図(ミニ装図)》
画面右上には、装飾図柄P801と同一の態様にて表示される3つの数字が表示されている。この図柄は「簡易装図(P802)」(「簡易図柄」)や「ミニ装図」とも呼ばれ、前述した「装飾図柄」同様特別図柄の変動表示に合わせて、特別図柄の抽選結果を示す表示物として表示される。
簡易装図P802(ミニ装図)は、「装飾図柄」と異なり、装飾図柄P801が停止表示されない特殊な演出が行われている場合であっても、特別抽選の結果を示す特別図柄が特別図柄表示装置P51、P52に表示されるのに合わせて、特別図柄抽選1回に対して必ず1回の停止表示を行う。
また、簡易装図P802の変動表示は、前述した装飾図柄P801がリーチ態様となった場合に、同一のリーチ態様を形成するように構成してもよいし、特別図柄抽選の結果を報知するという最低限の目的を達成するために、装飾図柄P801とは無関係に特別図柄の変動表示が停止表示状態となるまで一定の表示切り替えを行う、といった簡略的な変動表示とする方法を採用してもよい。
《保留表示領域》
図17の下部領域には、保留表示領域P810が設けられている。保留表示領域P810には、遊技者が獲得した特別図柄抽選の権利として、未行使の権利に対応する保留(乱数値)に対応した保留オブジェクトP811が表示される。図17の例では、特別図柄抽選の権利が3つ保留されている状態を示している。
図17の例では、特別図柄抽選の実行時期が早い保留(すなわち先に発生した保留)であるほど、画面下部の略中央方向に近い位置に表示されるようになっており、保留表示領域P810の最も右側に位置する保留オブジェクトの表示位置を「保1(表示領域)」と呼び、画面左側に向かうにつれて「保2(表示領域)」、「保3(表示領域)」、「保4(表示領域)」と呼ぶ。
また、保留表示領域P810の右側近傍には、保留表示領域P810の保留オブジェクトP811と略同一態様のオブジェクトが一段高い位置に保留オブジェクトP811より大サイズに表示されている。本表示領域は、現在の特別図柄変動表示の開始契機となった乱数値に対応した保留表示を保留表示領域から継続して表示するものであり、「当該変動オブジェクト表示領域(P812)」と称する。また、当該変動オブジェクト表示領域P812に表示されるオブジェクトを「当該変動オブジェクト(P813)」と呼ぶが、「当該保留表示」などと称する場合があり、保留表示領域P810の保留オブジェクトP811と差別化するために「当該」という頭文字をつけている。
なお、当該変動オブジェクト表示領域P812における当該変動オブジェクトP813の表示態様は、保留オブジェクトP811と完全に同一に構成する必要はなく、変動開始に伴いある保留表示が当該変動オブジェクト表示領域P812に移動表示する際に、形状が変化したり、消失(非表示)となったりする場合があってもよい。また、当該変動オブジェクトP813についても、後述する保留変化先読みにおける保留表示と同様に表示態様が変化し得るよう構成してもよい(例えば、変動表示の途中のタイミングでオブジェクトの形状や色が変化する)。
《簡易保留表示》
画面左側の高さ方向略中央位置には、2つの数字が縦方向に並んで表示されている。この2つの数字は、現在の第1特別図柄の保留数および第2特別図柄の保留数を表しており、「簡易保留表示(P814)」と呼ばれる。図17中の例では、第1特別図柄の保留数を上に表示される数値「3」で示しており、第2特別図柄の保留数を下に表示される数値「4」で示している。
(先読み演出)
《保留変化先読み》
また、図17においては、保留表示領域P810における保3表示領域の保留オブジェクトP811が、保2、保1の表示領域における保留オブジェクトP811とは異なる態様で表示されている。前提とするぱちんこ遊技機Pでは、保3の保留オブジェクトP811の表示態様の方が保2の保留オブジェクトP811の表示態様よりも大当りとなる可能性が高くなるよう構成されている。このように、特定の保留に対して、保留オブジェクトP811の表示態様を変化して表示させる演出のことを「保留変化(先読み)」と呼んでいる。
なお、図17に例示した態様のみに限らず、複数種類の変化態様を有し、そのそれぞれに対して大当りとなる可能性(期待度)が異なり得るように構成し、段階的に保留オブジェクトP811の表示態様を変化させていってもよい。
また、「保留変化(先読み)」に限らず、保留として記憶されている乱数値に対して演出の実行対象として決定した場合に、演出の実行対象となった保留に対応した変動表示が開始されるよりも前に、先んじて演出の実行対象となった保留の大当りとなる可能性が高いことを示唆する演出のことを「先読み演出」(「事前判定演出」と称する場合もある)と呼んでいる。
そして、「先読み演出」を実行する場合に、演出の実行対象となった保留として決定された保留のことを、「先読み対象保留」、「トリガ保留」、「犯人保留」などと称する場合があり、先読み対象保留に基づく特別図柄の変動表示のことを「先読み対象変動」、「トリガ変動」、「犯人変動」などと称する。
ここで、「先読み演出」として、前提とするぱちんこ遊技機Pで採用し得る代表的なものをいくつか例示する。
《チャンス目先読み》
「チャンス目先読み」は、先読み対象変動の変動が開始されるまでの装飾図柄P801の変動表示において、予め定められた法則に則った装飾図柄P801の停止表示図柄が停止表示(または仮停止表示)される演出である。チャンス目として予め定められる装飾図柄P801の停止表示態様の法則の一例としては、(ア)装飾図柄の数字部分の色合いが同一の図柄のみの組み合わせによってはずれ図柄が停止表示される場合、(イ)「1」「2」「3」や「5」「4」「3」など、装飾図柄の停止図柄が順番に並ぶ(順目、逆順目)など規則的な停止表示態様で表示される場合、(ウ)「7」などの特別な数字又は「先」などの数字とは異なる図柄が、中図柄の停止表示図柄として停止表示される場合、などが挙げられる。
《演出可動役物先読み》
「演出可動役物先読み」は、遊技盤P5または枠(ガラス枠P3)に設けられた演出可動役物P560または枠可動役物P360(前提とするぱちんこ遊技機P1のレバーP382など)を、先読み対象変動の変動表示が開始されるまでの変動、あるいは先読み対象変動まで跨いで、変動開始から演出動作パターンに従ってにぎやかし動作させる演出である。
《ゾーン移行先読み》
「ゾーン移行先読み」は、先読み対象変動が開始される前の特別図柄の変動表示において、特殊な演出モード(「ゾーン」と呼ばれる)へ移行させ、先読み対象変動となる変動表示までの間、特殊な演出モードに対応した予告演出を実行させるための予告抽選を実行することで、大当りの可能性が高いことを示唆する先読み演出である。例えば、「通常背景を表示→先読み時背景を表示→大当り」となったり、「通常背景を表示→先読み時背景を表示→はずれ図柄が停止して通常背景に戻る」となる。
(リーチ演出の実行時の表示例)
続いて、図18は大当りとなる期待度が高いリーチ演出が行われている状況を表した図である。「リーチ演出」は、前述したように、1の装飾図柄(中図柄P801b)以外の装飾図柄(左図柄P801a、右図柄P801c)が同一態様で表示されている状況であり、あと1つの図柄が同一態様で停止すれば大当りとなることが報知される状態における演出のことを言う。
前提とするぱちんこ遊技機Pでは、多くの場合、リーチ演出を経由して3つの装飾図柄P801が同一の停止表示態様となることで大当りを報知する仕様となっている。
図18の例では、装飾図柄の左図柄P801aと右図柄P801cが「5」で表示されており、変動中の中図柄列の図柄として「4」、「5」、「6」が表示されている状況であり、「4」図柄が激しく振動し、「5」に切り替われば大当りとなる状況を示している。
ここで、図18の例では、装飾図柄の左図柄と右図柄である「5」の表示が、図17の停止表示時の装飾図柄P801よりも小さく表示されており、変動表示中の中図柄列の装飾図柄P801bを停止表示時の装飾図柄P801よりも大きく表示し、強調表示している。この時の左図柄P801a、右図柄P801cに対応する小さく表示された装飾図柄を「退避図柄(P803)」や、「リーチ図柄」などと呼ぶ場合がある。リーチ演出では、図示した例以外にも、装飾図柄の変動表示に伴って表示される予告演出(リーチ演出)のアニメーションの結末がどのような結末になるかによって大当りとなるか否かを報知する場合もあり、すでに仮停止表示された左図柄P801a、右図柄P801cを退避図柄P803小さくして表示する(あるいは非表示とする)ことで、遊技者に注目させたい演出の視認性を高めるようにしている。
また、装飾図柄P801の表示数を3つとしない遊技機なども知られており、同時に複数列のリーチ態様を形成するマルチラインリーチなども存在するが、その詳細に係る説明は割愛する。
リーチ演出の例外として、3つの装飾図柄P801の全てが同一の態様で同期して変動表示される「全回転リーチ」と呼ばれるリーチ演出が存在する。リーチ演出の基準である「1の装飾図柄以外の装飾図柄が同一態様で表示されている状況であり、あと1つの図柄が同一態様で停止すれば大当りとなることが報知される状態」とは状況的に異なるが、全回転リーチもまたリーチ演出として当業者には認識されるものである。
また図18において、画面右下領域には、「演出設定表示領域(P850)」が表示されており、図18の例では演出設定表示として音量設定表示P851が表示されている。
演出設定表示領域P850は、遊技機PのスピーカP83から出力される音量レベルを調整する音量設定機能や、遊技機Pの装飾ランプP82の発光輝度を調整する光量調整機能、さらには、演出モードと呼ばれる発生する予告演出の種類を変更したり、予告演出の発生頻度を変更したりする演出モード変更機能の設定状況および変更状況に係る表示を行う領域である。
演出設定表示領域P850は、常時表示されているものではなく、遊技者が前述した各種演出設定(音量調整機能、光量調整機能、演出モード変更機能)に係る操作を実行した場合において、一時的に表示されるものであり、例えば十字キーP383の左右方向の操作により図18に示す音量調整機能に係る演出設定表示(音量設定表示P851)を表示させることが可能である。図18の状況において、さらに遊技者により十字キーP383の右ボタンが操作された場合には、設定されている音量レベル(図中の黒塗り領域)が増加し、音量設定値が「3」から「4」へと変化するようになっている。
また、前提とするぱちんこ遊技機Pでは、光量調整を行う場合は、十字キーP383の上下方向の操作によって変更操作が行われるように構成され、演出モード変更機能は、演出ボタンの操作に応じて演出モードを予め定められた順序で切り替える例が挙げられる。なお、これらの演出設定に係る操作は、遊技中の演出の実行との関係上異なる操作態様を採用する場合もあり、例示した設定の変更方法以外にも適宜採用可能である。
また、演出設定表示領域P850の表示や、各種演出設定機能の利用に関し、遊技者の演出設定操作を有効とする期間、無効とする期間をそれぞれ設定することが可能であり、特に重要な演出が実行されるときには、演出設定表示領域P850を非表示とし、各種演出設定機能の利用を無効とするよう構成される。
(大当り遊技中の演出表示例)
続いて、図19に基づき、前提とするぱちんこ遊技機Pにおいて大当り遊技を実行している状態における演出の表示態様を説明する。
《大当りの種類を示す演出表示》
図19の画面左下および画面右上には、大当り遊技の実行契機となった装飾図柄P801の表示が行われている。画面左下は、前述したリーチ演出の実行中と同様、変動表示中の装飾図柄よりも小さい表示態様にて1の装飾図柄P801(「大当り装図(P805)」とも呼ぶ)を表示し、画面右上には、特別図柄の変動表示が終了した際に表示した簡易装図P802を引き続き表示している。
前提とするぱちんこ遊技機Pでは、大当りの発生契機となった(大当りの発生時に停止表示した)装飾図柄P801の種類によって、遊技者に実行される大当りの種類や大当り中に獲得できる遊技球数の期待度合や大当り終了後の遊技状態(通常遊技状態)を演出的に示唆している。そのためこのように大当りの実行契機となった装飾図柄(大当り装図P805、簡易図柄P802)を表示させておくことによって、大当り遊技中においても大当りの種類や、獲得が期待される遊技球数を示唆することを可能としている。
また、大当りの種類を示す表示として、図19では「ROUND6」(「ラウンド表示(P820)」と呼ぶ)という文字列の下に、五角形の盾を模したアイコン画像P821が表示されており、アイコンP821の中央に「MAX」という文字が記載されている。図中のアイコンP821では「MAX」の文字列が示唆する大当りであって、前提とするぱちんこ遊技機Pが有する最大ラウンドの大当り遊技が実行されることを示している。このアイコンP821は「大当りアイコン」や「連荘(表示)アイコン」と呼ばれ、特定遊技状態と大当り遊技が繰り返し実行される毎に、累積的に並んで表示が増加し、いわゆる「連荘」状態において何回、どのような種類の大当りを獲得したかを遊技者が理解できるように報知する演出表示である。
なお、図示はしていないが、前提とするぱちんこ遊技機Pでは、大当り開始デモ期間において実行される演出表示の「大当り開始デモ演出」において「〇〇ボーナス!」(最大ラウンド大当りを報知)や「△△チャンス」(最大ラウンドではない大当りを示唆)といった表示を行うことにより、大当りの種類を遊技者に報知する演出を実行する。
また、例えば実行されるラウンド数が少ない「△△チャンス」などの大当りであることが示唆された場合であっても、大当りラウンド中において「エクストラボーナス!+〇ラウンド」として、大当りの実行ラウンドが実は最大ラウンドの大当りであることを報知するといった「大当り昇格演出」を実行することも可能である。
なお、「大当り昇格演出」は、先に報知された大当りの種類よりも遊技者にとって有利となる特定遊技状態へ移行することとなる大当り遊技が実行されていることを示唆する場合にも使用されることがある。例えば、大当り遊技後に確率変動機能が作動しないことを示唆する大当り遊技(「非確変大当り」、「通常大当り」と呼ばれる)の演出から、大当り後に確率変動機能が作動することとなる大当り遊技(「確変大当り」、「特定大当り」と呼ばれる)の演出へと演出表示が切り替わる、というような演出表示が挙げられる。
《大当り遊技の進行状況を示す演出表示》
次に大当り遊技の実行に際して、大当り遊技の進行状況を示す演出表示に関する説明を行う。図19において、大当りの演出表示を示す演出として、画面左上の「ROUND_〇」の文字列表示で実行される「ラウンド表示(P820)」、画面右下において「TOTAL_〇〇pt」の文字列表示で実行される「獲得球数表示(P822)」、画面右側略中央の10個の円形画像オブジェクトで表示される「カウント表示(P825)」などが挙げられる。不図示ではあるが、大当り遊技中はこれらの表示に加えて「ラウンド演出」と呼ばれるアニメーションなどの画像表示が表示される。
《ラウンド表示》
「ラウンド表示(P820)」は、大当り遊技中において、実行中のラウンド遊技(単位遊技)が何ラウンド目かを示す表示である。ラウンド遊技が開始されるタイミングで「ROUND」の右側の数値が更新される。図19の例では、6ラウンド目のラウンド遊技が実行されている状況を示している。
なお、「ラウンド表示(p820)」は、必ずしも実際の大当り遊技中の実行ラウンド数に同期する必要はない。例えば、前述した「小当りV」のスペックでは、小当り遊技中を1ラウンド目としてカウントして、V入賞後に実行される大当り遊技の1ラウンド目を2ラウンド目として扱うようすることがある。また、他の例では、ラウンド遊技における大入賞口P751の開放パターンが、短時間の入球容易状態への移行で終了する場合には、「ラウンド表示」の値を更新せず、大入賞口の開放パターンが長時間の入球容易状態となる場合においてのみ、実質的に実行されたラウンド「実質ラウンド」として扱う場合などがあってもよい。
《獲得球数表示》
「獲得球数表示(P822)」は、実行中の1回の大当り遊技で累積獲得している遊技球数を表示する「大当り獲得球数表示(P823※不図示)」と、特定遊技を挟んで複数回の大当りにおいて累積的に獲得した遊技球数を表示する「累積獲得球数表示(824)」といった種類がある。図19においては、5桁の獲得球数表示である「累積獲得球数表示(P824)」が表示されている例を示している。なお、「大当り獲得球数表示(P823)」と「累積獲得球数表示(P824)」を並列的に同時表示してもよい。
前提とするぱちんこ遊技機Pでは、「獲得球数表示(P822)」について、大当り遊技中における大入賞口P751への入球に基づく累積の賞球払出数を表示するものとしている。しかし、獲得球数表示P822の賞球払出の累積対象として、遊技盤P5の右側領域P501Rに配置された一般入賞口P731や第2始動入賞口P721に対する入球に基づく払出に関して累積して加算してもよい。
また、他の変形例として、「獲得球数表示(P822)」の表示期間は、大当り遊技中だけでなく、特定遊技の実行中に表示してもよいし、「獲得球数表示(P822)」の累積賞球払出数の加算期間についても、大当り遊技中だけでなく、特定遊技中や、小当り遊技中に拡大するよう構成してもよい。
なお、前提とするぱちんこ遊技機Pでは、「獲得球数表示(P822)」の他に、累積した賞球払出数が「2500球」、「5000球」、「10000球」など、区切りとなる払出数を迎えた場合などの特殊な状況においてのみ、遊技者に「獲得球数表示」に加えて強調して報知する「区切り獲得球数表示」演出を実行可能としている(例えば、「GET10000!!」と表示する)。
《カウント表示》
「カウント表示(P825)」は、1回のラウンド遊技において大入賞口P751の閉鎖条件として設定される遊技球数まであと何球入球可能か、または今回のラウンド遊技において何球の遊技球が大入賞口P751に入球したかを表す表示である。前者は、図19において網掛け表示される円形オブジェクトで表示されており、後者は白抜きの円形オブジェクトとして画面右側略中央位置に2列のオブジェクト表示として表示されている。
図19の例では、6ラウンド目の遊技として、大入賞口へ5球入球済みであり(白抜きの円形オブジェクトで表示)、あと5球入球可能であること(網掛けの円形オブジェクトで表示)がカウント表示P825により示されている。カウント表示P825は新たなラウンドが開始されるたびに表示が初期態様にリセットされる。
大当り遊技のラウンド遊技の実行中には、遊技球の流下状況により、大入賞口P751の閉鎖条件を満たすこととなる遊技球に連続して大入賞口P751の閉鎖条件以上の遊技球数となる入賞が発生する場合があり、このような閉鎖条件以上の遊技球数の入賞が発生することを「オーバー入賞」と呼ぶ。
図示はしていないが、「オーバー入賞」が発生した場合に、カウント表示P825のオブジェクト表示等を使って特殊な演出を行ったり、演出ランプP82の特殊な発光やスピーカP83から特殊効果音を発したりして報知してもよい。また、前述した獲得球数表示P822については、「オーバー入賞」となる入賞に基づく賞球払出数を加算対象としてもよいし、加算対象外としてもよい。
《大当り遊技中のその他の演出表示》
次に、図19において演出表示が実行されている、他の演出表示について説明する。
まず、画面左側略中央位置に表示されている2つの数字は、前述した簡易保留表示P814である。
画面左下の装飾図柄(大当り装図P805)の右側に表示されている「Sound_2」という表示は、現在の大当り遊技中に再生している楽曲のタイトルを示す「選択楽曲表示(P854)」である。前提とするぱちんこ遊技機Pでは、大当り遊技中において、1ラウンド目や2ラウンド目の間に演出ボタンP381や十字キーP383を操作することによって、遊技者が任意に再生する楽曲を選択可能とする仕様を有している。選択楽曲表示P854に関し、楽曲が変更可能な状況である場合には、図20に示すように選択楽曲表示P854の近傍に「(上)(下)キーで変更できます」という画像表示を行う。
なお、このような大当り遊技中における演出の選択は、楽曲選択に限らず、ラウンド演出の変更や、大当り遊技後における特定遊技中の演出(演出モード)の選択なども可能とするが(総称して「演出カスタマイズ表示(P853)」と呼ぶ)、それらの詳細な説明は割愛する。
最後に、画面右上の簡易装図P802の下部に表示されている「右打ち」および右側矢印記号は、「打ち分け報知(P830)」(「推奨発射位置報知」などとも呼ばれる)に係る画像表示である。前提とするぱちんこ遊技機Pでは、大当り遊技中は、遊技領域の右側領域P501Rに遊技球を発射することが推奨される遊技状態であるため、「右打ち報知(P832)」(「右打ち」の文字列、および右側矢印記号の表示)が実行されている。
「打ち分け報知」は、大当り遊技中に限らず、特定遊技状態における遊技中や、通常遊技状態における遊技中においても表示される場合を有する。特に、遊技状態が切り替わるような状況(大当りの発生/終了や、特定遊技状態の発生/終了)においては、図19に示す打ち分け報知P830よりも、遊技者が認識しやすいよう大きなサイズの表示を画面中央部などに一時的に表示することで、次の遊技状態での推奨される発射位置を遊技者に報知する演出が実行される。
なお、「打ち分け報知(P830)」において、遊技状態が遷移するタイミングで一時的に大きなサイズで表示されるものを「第1打ち分け報知画像」(「右打ち大表示(P831)」、「左打ち大表示(P833)」)と表現し、大当り遊技中や特定遊技状態中において、遊技状態での推奨発射位置を、遊技状態が続く期間のほぼ全てにおいて表示する表示について「第2打ち分け報知画像」(「右打ち小表示(P832)」、「左打ち小表示(P834)」)と表現する場合がある。
また、「打ち分け報知(P830)」の他の種類の演出として、推奨される発射位置以外の位置に遊技球が発射されている状況を検出した場合、例えば、大当り中に遊技領域の左側領域P501Lに遊技球を発射した場合に、遊技領域の右側領域P501Rに遊技球を発射すべきことを遊技者に対して注意喚起する「左打ち警告報知」(「右打ち注意喚起報知(P835)」)として「右打ちしてください」などのメッセージ表示)を行う。なお、推奨発射位置と遊技者の実発射位置が逆の状況では、「右打ち警告報知」(「左打ち注意喚起報知(P936)」)が実行される。
(特定遊技状態中の演出表示例)
図20は、特定遊技状態中(高確率または低確率/高ベース)である電チューサポート機能の作動中の遊技演出を表した図である。図中には多岐にわたる演出表示がなされているが、前述の説明の中で説明を行ったものに関しての説明は割愛し、これまでに説明がされていない演出表示、および前述の説明と相違点を有する演出表示に関する説明を行う。
まず、これまでに説明がされていない演出表示として、特定遊技状態中の演出表示に関する説明として「演出モード表示(P840)」と「残り遊技回数表示(P841)」に関する説明を行う。
《演出モード表示》
「演出モード表示(P840)」は、現在の演出表示態様の状態を示す表示であり、演出モードと呼ばれる状態情報によって、該当するモードに応じた予告演出が抽選されていることを示す表示である。演出モード表示が相違する場合には、遊技者に視認される予告演出の種類が、一部共通とする予告演出はあるものの、見た目に与える印象が大きく異なるように作られることが一般的である。図20では、「RUSH_MODE」という表示がなされており、前提とするぱちんこ遊技機Pにおける遊技状態が、「ST(回数切り確変)」(高確率/高ベース状態)であることを示す表示を行っている。
なお、「演出モード表示(P840)」は、特定遊技状態における演出モードを報知する以外に、通常遊技状態(低確率/低ベース状態)において表示される場合があってもよいし、1の遊技状態において複数の演出モードを有する場合に、演出モードが切り替わる条件が成立するたびに表示を一時的、または演出モードが終了するまで継続して行うものであってもよい。
《残り遊技回数表示》
「残り遊技回数表示(P841)」は、特定遊技状態が終了するまでの特別図柄の変動表示の回数(特別図柄抽選の回数)や、現在の演出モードが終了するまでの特別図柄の変動表示の回数を表す表示である。図20では、画面中央上部に「残り_56」という表示が実行されており、「ST(回数切り確変)」の遊技状態が、あと56回の特別図柄抽選が実行されるまで行われることを遊技者に報知している。
次に、図20に示す特定遊技状態の演出表示例において、前述した他の遊技状態における演出表示例と相違する表示に関して説明を行う。
《装飾図柄(特定遊技状態)》
図20の画面中央には、装飾図柄P801の変動表示が表示されている。図20の通常遊技状態における演出表示例の装飾図柄P801に比して、図20の特定遊技状態における装飾図柄P801の演出表示例では、装飾図柄P801の表示が小さく表示されている。
前提とするぱちんこ遊技機Pでは、特定遊技状態の演出表示として、画面上部に演出モード表示P840や、残り遊技回数表示P841、さらには大当りアイコン表示P821を行っており、画面下部には選択楽曲表示P854および獲得球数表示P824を行っている。特定遊技状態では、通常遊技状態(低確率/低ベース状態)で表示されないこのような付加的な表示を行うため、通常遊技状態と同等のサイズで装飾図柄P801を表示してしまうと、停止表示の際に一部図柄の表示が各表示の一部と重なってしまい、停止表示図柄の視認性が低下するという問題が発生する恐れがあり、前提とするぱちんこ遊技機Pでは、このような問題が生じにくくなるよう装飾図柄P801の表示を小さく簡略化するものとしている。また、装飾図柄P801を簡略化して表示する例として、サイズを小さくするほか、図柄を示す数字に付帯して表示されるキャラクタ画像などの表示を行わない方法なども採用可能である。
《保留表示領域(特定遊技状態)》
前提とするぱちんこ遊技機Pでは、図20の画面左下に示すように、特定遊技状態の保留表示領域P810における保留オブジェクトP811の表示として、画面手前側から奥行き方向に向かって「保1」から「保4」の保留オブジェクトの表示領域が設けられている。なお、当該変動オブジェクト表示領域P812(及び当該変動オブジェクト表示P813)については「RUSH_MODE」の演出モード状態では表示が省略されている。
図20に示す変動表示が終了し、状態で新たな変動が開始すると、図20の最も下部に位置する保留オブジェクトP811の表示が消失し、奥に並ぶ保留オブジェクトP811の表示が手前に移動するとともに表示が大きくなるよう表示制御される。
また、図示はしないが特定遊技中において表示される演出として重要な演出である、「リザルト表示演出」に関して説明を行う。
《リザルト表示演出》
「リザルト表示演出」は、前提とするぱちんこ遊技機Pでは、主として特定遊技状態(高ベース状態)の最後の変動が実行される際、あるいは特定遊技状態中に生起した保留がなくなる際等、遊技者が「連荘」状態が終了したと認識するタイミングに行われる演出であり、いわゆる「連荘」状態において、何回の大当り遊技を獲得したかという情報や、合計で何発の遊技球を獲得したか(獲得球数表示に相当)を遊技者に報知する演出である。
[本実施例]
本実施例のぱちんこ遊技機Pは、上述の前提技術を基本構成とする他、種々の特徴的な構成を有する。以下、前提技術との相違点を中心に説明し、共通点の説明を省略する。本実施例のぱちんこ遊技機Pを構成する要素のうち、前提技術で説明した要素と同一または対応する要素には同一の符号を付して説明する。
[本実施例のぱちんこ遊技機の機械構成]
本実施例のぱちんこ遊技機Pの機械構成に関して、図21から図26を用いて説明する。図21は、本実施例のぱちんこ遊技機Pの正面視の外観を示す図である。図22~図26は、本実施例のぱちんこ遊技機Pのセンター飾りユニットP6(特に、演出役物P560としての上役物P650、横役物P670、下役物P680)の機械構成を示す図である。
図21は本実施例のぱちんこ遊技機Pを遊技者側から正面視した外観を示している。本実施例のぱちんこ遊技機Pと前提とするぱちんこ遊技機との相違点は、遊技盤P5における第1始動入賞装置P710や大入賞口P750などの各種入賞装置の配置構成や、センター飾りユニットP6に設けられた演出役物P560の構成であり、その他の遊技機の各種構成は前提とするぱちんこ遊技機と同様である。
以下、本実施例のぱちんこ遊技機Pの遊技領域P501の各種入賞装置の配置構成について説明する。
(本実施例のぱちんこ遊技機の遊技領域構成)
本実施例のぱちんこ遊技機Pは図21に示すように、遊技領域P501の略中央にセンター飾りユニットP6を配置しており、センター飾りユニットP6を挟んで左側領域P501L(左打ち領域)と右側領域P501R(右打ち領域)とに分けられている。
左側領域P501Lは、相対的に遊技球の発射強度が弱い場合に遊技球が流下しやすい遊技領域であり、図21に示すように遊技領域中央の下方に第1始動入賞ユニットP710(第1始動入賞口P711)が配置されるとともに、遊技領域左下側に左側一般入賞ユニットP730Lとして3つの一般入賞口P730が配置されている。
右側領域P501Rは、相対的に遊技球の発射強度が強い場合に遊技球が流下しやすい遊技領域であり、センター飾りユニットP6の右下部に普通電動役物P770に係る第2始動入賞ユニットP720A(第2始動入賞口P721A)と、遊技領域P501Rの右下位置に大入賞口ユニットP750を備える。大入賞口P750ユニットには、大入賞口P751および作動口P741が備えられる。
右側領域P501Rには、さらに大入賞口ユニットP750の左側に、普通電動役物P770を備えない第2始動入賞ユニットP720B(第2始動入賞口P721B)を備える。
ここで、本実施例のぱちんこ遊技機Pにおける第1始動入賞口P711は第1特別図柄(「特図1」と称する場合がある)に対応した始動入賞口であり、第2始動入賞口P721Aおよび第2始動入賞口P721Bは第2特別図柄(「特図2」と称する場合がある)に対応した始動入賞口である。
本実施例のぱちんこ遊技機Pにおいては、通常遊技状態かつ通常遊技(低確率/低ベース中)は、遊技者は左側領域P501L(左打ち領域)に向けて遊技球を発射し(左打ち)、第1始動入賞口P711に遊技球を入球させ、第1特別図柄に係る抽選を受けることによって特別遊技状態(大当り、小当り)への移行権利の獲得を狙うことが基本的な遊技性として設計されている。
一方、通常遊技状態かつ特定遊技(高確率状態または高ベース状態の少なくともいずれか一方の状態が作動中)または特別遊技状態(大当り遊技中、小当り遊技中)は、遊技者は右側領域P501R(右打ち領域)に向けて遊技球を発射し(右打ち)、第2始動入賞口P721Aまたは第2始動入賞口P721Bに遊技球を入球させ、第2特別図柄に係る抽選を受けることによって特別遊技状態(大当り、小当り)への移行権利の獲得を狙い、大当り遊技中や小当り遊技中は大入賞口P751へ遊技球を入球させて大量の賞球を獲得することを狙うことが基本的な遊技性として設計されている。
なお、本実施例のぱちんこ遊技機Pは、前述の遊技領域P501の各種入賞装置の配置構成や基本的な遊技性を備えるように構成したが、後述する演出や遊技制御等に影響がない、あるいは関連性が低い場合においては適宜変更可能である。
(本実施例のぱちんこ遊技機のセンター飾りユニットの構成)
次に、図22から図26を用いて、本実施例のぱちんこ遊技機Pのセンター飾りユニットP6に設けられた演出役物P560(「演出可動役物」や「可動役物」とも称する)について説明を行う。
本実施例のぱちんこ遊技機Pの演出役物P560は、図22に示すように、代表的な演出役物P560として、演出表示装置P80の前方に進出可能な演出可動役物(演出表示装置P80の表示領域の少なくとも一部の視認性を低下させるように露出、隠遮等を行う可動役物)が3つ備えられている。なお、本実施例にて図示して詳述はしないが、演出表示装置P80の表示領域の正面に進出することなく、あるいは演出表示装置P80の表示領域の視認性に影響がほとんどないように、位置がほとんど変化することなく動作する演出装置や、図27に示す遊技機枠(ガラス枠P3)に設けられた枠可動物P360としての演出操作手段P81(演出ボタンP381、レバーP382で構成される演出操作ユニットP380)も「演出役物P560(演出可動役物)」に含まれる。
本実施例のぱちんこ遊技機Pに演出役物P560として、演出表示装置P80の上側領域には上役物P650が配置され、演出表示装置P80の左右側には横役物P670L、横役物P670Rが配置され、演出表示装置P80の下方には下役物P680が配置されている。
《上役物》
本実施例のぱちんこ遊技機Pは、センター飾りユニットP6上部に上役物P650を備えており、通常待機している状態では、図22に示す通り、演出表示装置P80の表示領域の上側に退避した状態となっており、演出動作を行う場合には、図23や図26に示すように演出表示装置P80の表示領域の前方まで進出する。
上役物P650は、図22に示す初期状態(不図示の昇降初期位置センサP657の検出状態)から、不図示の昇降モータP653の作動により、不図示の昇降ベルトP654が回転し、図26に示す状態となるまで(不図示の昇降演出位置センサP658の検出状態まで)中央装飾部P651および回転装飾部P652が不図示の昇降ガイドに従って下降動作を行う。
さらに上役物P650は、図26の位置に下降した状態で、図23に示す演出状態となるまで不図示の回転モータP659の作用により回転装飾部P652が展開し、かつ、その状態から回転装飾部P652である5枚の花弁を模した装飾部が時計回りの回転動作を行う。回転装飾部P652の動作位置は不図示の回転位置センサP660(回転初期位置センサ)にて制御しており、回転装飾部P652を非展開状態とするためには、回転位置センサP660の検知後に一定量以上回転装飾部P652を時計回りに回転させた状態から反時計回りに回転動作させることで回転装飾部P652が収納されて非展開状態となる。
本実施例のぱちんこ遊技機Pにおいて上役物P650は、大当りの期待度が高まることを示唆する演出動作の際(例えばSPリーチや特定の高期待度リーチへの発展を報知する際)や、リーチ演出の結末を報知する演出(「当落分岐演出」と称する場合がある)際において大当りであることを確定的に報知するために動作させるように演出動作内容が設定されている。そのため、演出動作の頻度が他の演出役物P560と比して相対的にかなり低く設定されており、上役物P650の動作は遊技者に対して高い期待感を想起させたり、遊技者の大当りの獲得を祝福する意味が込められた動作である「キメ動作」(キメ演出)を行うものである。このように上役物P650は、遊技結果(当否)という最も遊技者の関心が高い事象に関して期待度を高める効果や当りそのものを報知する主要な役割を担うことから、「メイン演出役物」(あるいは「主演出役物」、「キメ役物」)などと称することがある。
なお、図23の動作状態においては、上役物P650は後述する横役物P670と同時に作動しており、上役物P650と横役物P670の双方は、互いに干渉しないように構成されている。一方で、上役物P650と横役物P670は、下役物P680と同時に動作した場合には、接触する(干渉する)虞があり、同時に演出位置へ動作を行うことは無いように構成されている。
また、本実施例のぱちんこ遊技機Pの上役物P650は、前述した回転装飾部P652の展開を伴う演出動作パターンである第1演出動作パターン(強パターン)の他、図26に示す位置に移動する段階で終了または図26に示す位置の近傍で上下に微動する動作を行い回転装飾部P652が展開されない動作で終了する第2演出動作パターン(弱パターン)とを実行可能である。このとき、第1演出動作パターン(強パターン)は、特定のリーチの発展を示唆したり、リーチ等の最終的な演出結果(または当否抽選の結果)を報知するために動作したりする一方で、第2演出動作パターン(弱パターン)は、特定のリーチやSPリーチの中でも期待度が低めに設定された演出への発展等を示唆するために用いられ、特殊な状況(後述する「Bリーチ(レバーチャンス)」)を除いて、演出結果の報知の際において第2演出動作パターンが用いられることは無い(なお、確率は第1演出動作パターンが実行された場合よりも低いが、第2演出動作パターンが実行された場合であっても、第1演出動作パターンで発展するような高期待度のリーチ演出に発展する可能性も存在する)。
上役物P650が動作する場合にあっては、図26に示すように、上役物動作エフェクトP870を演出表示装置P80の上役物P650周辺に位置する表示領域に表示することが可能であり、特に図23のように第1演出動作パターン(強パターン)によって、動作する場合には演出表示装置P80の表示領域の全領域に役物全画面エフェクトP873が表示されるように構成されている。
上役物動作エフェクトP870や役物全画面エフェクトP873は、上役物P650の動作を伴う特別図柄の変動表示の大当り期待度に応じて複数の表示態様(例えば、白色、緑色、赤色、金色、キリン柄(メーカー柄)、虹色)の表示が可能であり、上役物P650の演出動作が第1演出動作パターンを実行される場合においては、役物全画面エフェクトP873は赤色以上(赤色、金色、キリン柄、虹色)の表示態様で表示される。
また、上役物動作エフェクトP870や役物全画面エフェクトP873は、予告演出やリーチ演出、装飾図柄P801よりも優先的に表示され(上位の表示レイヤに表示され)、一方で、簡易装図P802や打ち分け報知画像(「右打ち小表示(P832)」、「左打ち小表示(P834)」)、簡易保留表示P814等の遊技の状況を示す情報の表示は視認できるように表示優先度が設定されている。
《横役物》
本実施例のぱちんこ遊技機Pは、センター飾りユニットP6の左右の側部に横役物P670を備えている。横役物P670は通常待機している状態(演出の非実行状態)においては、図22(及び図24)に示すように横上装飾部P671L,R、横中央装飾部P672L,R、横下装飾部P673L,Rが上下方向に拡開して待機した状態となっている。
横役物P670は、演出を実行する際、図24に示すようにセンター飾りユニットP6の両側部より横上装飾部P671L,R、横中央装飾部P672L,R、横下装飾部P673L,Rが互いの上下方向の相対的な位置関係を近接させながら進出するように構成されている。
なお、左側に配置される横役物P670Lと右側に配置される横役物P670Rとは、それぞれ個別の駆動源である不図示のステッピングモータ(駆動モータP674)によって駆動され、左側の駆動モータP674が駆動されると、不図示の駆動伝達機構(例えば、ラック&ピニオン機構やリンク機構など)の作用により演出表示装置P80の表示領域の中央に向けて横上装飾部P671L、横中央装飾部P672L、横下装飾部P673Lが動作するように構成されている(説明は割愛するが右側に配置される横役物P670Rも同様である)。
横役物P670Lおよび横役物P670Rの動作位置は、それぞれに対応して設けられた初期位置を検出するための収納位置センサP675L,R、およびそれぞれに対応して設けられた演出動作位置を検出するための遮蔽位置センサP676L,Rによって検出されるようになっている。
本実施例のぱちんこ遊技機Pにおいて横役物P670は、変動の開始時やリーチ演出に発展する前のリーチ前予告演出、先読み演出、リーチ演出中のリーチ後予告、装飾図柄(特殊装図を含む)が仮停止される前後のにぎやかしなどや、先読み演出としてチャンス目が最終的に停止表示されるタイミング等あらゆるタイミングにおいて動作演出を行うことが可能に構成されており、本実施例のぱちんこ遊技機Pにて代表的に説明する3つの演出役物P560の中で最も動作頻度が高い演出役物P560である。
このような横役物P670の動作は、基本的に予告演出(リーチ前予告、リーチ後予告)の一環として演出に組み込まれる場合もあれば、予告演出とは独立した先読み演出として予告演出と複合して実行され、予告演出が遊技者に対して好適な結末に至ったり、その後の演出内容が大当り期待度の高い演出内容に変化されることに対する期待感を高める効果を創出することを目的として設定されている。
このように横役物P670は前述した上役物P650のように、横役物P670の動作のみで直接的に大当りを報知したり、大当りの期待感がとても高いことを示唆することを目的として設定されておらず、演出表示装置P80や他の演出役物P560、スピーカP83等の他の演出装置と複合的に演出することで、演出全体としての華やかさや見栄えを高めるためのにぎやかし効果を目的として使用される副次的な演出役物となっている。そのため、横役物P670は「サブ演出役物」(あるいは「副演出役物」、「にぎやかし役物」等)と称する場合がある。
図24は、横役物P670が演出動作を行っているときの一例の状態を表す図である。図24では横役物P670の横上装飾部P671L,R、横中央装飾部P672L,R、横下装飾部P673L,Rが演出表示装置P80の表示領域を遮蔽する状態となっているときであって、ノーマルリーチの実行中に特殊な演出用の装飾図柄である特殊装図P804(「NEXT」と記載された図柄であり、停止表示すると「擬似連」演出が行われる)が仮停止するかどうかを遊技者に対して煽っている状況である。
図24では、既に停止表示状態(または仮停止表示状態)となっている左装飾図柄P801Lおよび右装飾図柄P801Rが、特殊装図として停止表示されそうになっている中装飾図柄P801Cよりも小さく表示され、中装飾図柄P801Cとして特殊装図が停止されるかどうかを横演出役物P670の動作および横役物動作エフェクトP871によって強調表示している(すでに第1、第2停止図柄として表示済みの左右の装飾図柄P801L,Rは、テンパイ図柄を認識させるため、又は視認性を低下させないために、横役物P670との干渉を避ける位置に小さく表示しているが、当該演出において当否を報知する目的でなければ左右の装飾図柄P801L,Rは非表示としてもよい)。
図24の例では、横役物P670が遮蔽位置に移動しているときに視認容易となっている演出表示装置P80の表示領域(横役物P670の背面に隠れていない表示領域)において、未停止の装飾図柄列(仮停止表示態様となっていない装飾図柄列)に、特殊装図P804を通常の装飾図柄P801よりも大きく表示し、その他停止表示態様(仮停止表示態様)にて表示済みの装飾図柄列(左列、右列)の装飾図柄P801を小さく表示している。このように表示することによって、最終停止図柄列として構成される中図柄に停止表示される図柄に、横役物P670の遮蔽によって視認される領域を制限することで遊技者の注目を集めさせることができる。
このように演出役物P560の動作によって演出表示装置P80の表示領域の少なくとも一部が遮蔽される状況下において、次に停止表示態様となる装飾図柄の表示に注目を集めさせるタイミングとしては、擬似連演出の時のみならず、リーチ演出の場合にも適用可能である。さらに、最終停止図柄列においてだけでなく、2番目に停止表示態様へと切り替わる第2停止図柄列の停止表示の際に演出役物P560の動作によって演出表示装置P80の表示領域の少なくとも一部を遮蔽し、既に停止表示済みの図柄列とリーチ態様を形成するかに対して注目を集めさせるように使うことも可能である。
また、横役物動作エフェクトP871は、上役物動作エフェクトP870と同様複数の演出パターン(例えば、表示色が白、青、緑、赤となる場合や、表示サイズが小、中、大となる場合、エフェクトの動作アニメーションが異なる場合など)を有しており、その表示態様によって、遊技者に有利な演出結果となる可能性(期待度)が異なるように構成されている。例えば図24の例では横役物動作エフェクトP871が白色の場合は中装飾図柄P801Cとして特殊装図P804(「NEXT」図柄)が停止表示されずに「4」等の図柄が表示されてそのまま「343」等のはずれ態様が報知される可能性が高く、横役物動作エフェクトP871が赤色の場合は必ず特殊装図P804が停止表示されて、擬似連(擬似変動)の再変動が行われるように構成される例が挙げられる。
先に述べたように、横役物P670は、リーチ前の予告演出として変動開始直後のタイミングに動作を開始したり、変動終了時などのチャンス目等の停止など変動の終了のタイミングで動作を含み、比較的に頻繁に動作する演出役物P560であることより、図24に示すように、演出動作に際し、簡易装図P802や簡易保留表示P814との干渉が無い、あるいは少なくなるように構成されている(すなわち、簡易装図P804および簡易保留表示P814又は不図示の打ち分け報知P830等の遊技状態を示す表示の表示位置を横役物P670の動作範囲を基準に定めている)。なお、簡易装図P802や、簡易保留表示P814の表示位置は、上役物P650や後述する下役物P680等の他の役物の動作範囲も含めて決定してもよいが、本実施例のぱちんこ遊技機Pにおいては、変動開始の直後及び変動停止の直前に動作しやすい演出役物P560である横役物P670を基準に表示位置を決定している。仮に下役物P680も横役物P670と同様に変動開始、変動停止の前後のタイミングで動作しやすい場合には、横役物P670および下役物P680の動作範囲を基に簡易装図P804や簡易保留表示P814の表示位置を定めることが好ましい(キメ役物については、異常等が無ければ基本的にどのような状況であっても変動終了までに初期位置に復帰するように構成されているため、考慮しない)。
また、横役物動作エフェクトP871等の役物動作エフェクトは、図24に示すように、装飾図柄P801等の表示や予告演出よりも優先して表示(上位の表示レイヤに表示)される一方で、遊技者に演出内容を指示するために表示される演出ボタンP381等の演出操作手段P81の操作を促す操作促進画像(ボタン画像P881等)より表示優先度が低く、また、先の簡易装図P804や簡易保留表示P814又は不図示の打ち分け報知P830等の遊技状態を示す表示情報等、演出役物P560が動作している状況下でも遊技の状態を遊技者に認識させるための表示よりも表示優先度は低く設定されている。
《下役物》
本実施例のぱちんこ遊技機Pは、センター飾りユニットP6の下部に下役物P680を備えている。下役物P680は通常待機している状態(演出の非実行状態)においては、図22に示すように演出表示装置P80の表示領域から退避して待機した状態となっている。一方で、下役物P680が演出動作を実行している場合においては図25に示すように、演出表示装置P80の表示領域の下方領域の視認性を低下させる位置まで上昇し、下役物P680の中央装飾部P681および羽状装飾部P682が視認容易な状態となっている。
下役物P680の動作は不図示の駆動モータP684によって駆動され、駆動モータP684が回転すると、不図示のラック&ピニオン機構が作動し、中央装飾部P681が下降位置センサP686(初期位置)と上昇位置センサP687(演出位置)の検出範囲(演出動作範囲)内で昇降動作可能となっている。下役物P680の羽状装飾部P682は中央装飾部P681が昇降動作することに連動して不図示の連結ギアが回転し、中央装飾部P681が上昇する動作に合わせて、中央装飾部P681を中心として外側方向に下り傾斜した状態から上り傾斜した状態(図25に示す状態)へと切り替わる。
下役物P680の演出動作における動作範囲は、上役物P650および横役物P670のそれぞれの演出動作範囲と重なっており、上役物P650および横役物P670のいずれかの同時に動作してしまうと互いに干渉する虞があるため、本実施例のぱちんこ遊技機Pにおいては下役物P680の演出動作は単独で行うもののみが用意される。なお、演出役物P560は、互いの動作範囲内で干渉さえしなければ、図23の上役物P650と横役物P670のように同時に動作可能である。しかし、同時に動作する演出役物P560が多ければ多いほど、演出役物P560の動作に電力が割かれ、演出制御基板P41の演出制御CPUや演出ランプP82、スピーカP83など他の演出装置や制御装置の動作に影響が出る虞が高まるため、同時に駆動可能な演出役物P560の組み合わせ(複数の演出役物P560を駆動した場合の合計電流値)を制限するための電気的制限が設けられる場合がある。
続いて図25を用いて、下役物P680の演出動作例を説明する。下役物P680は、先に説明した横役物P670と同様の「サブ演出役物」であり、「メイン演出役物」である上役物P650よりも相対的に演出実行頻度が高く設定された演出役物P560である。
本実施例のぱちんこ遊技機Pにおいて下役物P680は、予告演出におけるキャラクタ出現時(図25参照)や、擬似連演出における装飾図柄P801の再変動開始直後など、予告演出の内容と関連性のある演出を実行することを目的とした演出動作が主に設定しており、横役物P670のように演出表示装置P80の表示内容と複合して行われる先読み演出のように演出表示装置P80の表示内容とは異なる内容を示唆する演出として用いられることはほとんどないように演出動作が設定されている(なお、下役物P680にも先読み演出として用いる演出動作パターンを設定してもよい)。このように設定された下役物P680は、横役物P670よりも、演出内容として後続につながる演出がある状況下での演出動作内容が多い演出役物であるため、横役物P670が動作した場合よりも遊技者が大当りを獲得することに関する期待感を得られやすい演出役物となっている。
図25の演出例においては、リーチ後予告演出(リーチ演出中の予告)として、キャラクタカットイン(演出表示装置P80の表示領域中央に帯状のキャラクタ画像が重ねて表示される演出)とともに下役物P680が動作している演出例が示されている。下役物動作エフェクトP872は、図25に示すようにリーチ後予告演出として背景のリーチ演出に重ねて表示されるキャラクタカットイン予告よりも優先的に表示(上位の表示レイヤに表示)されるようになっている。このとき下役物動作エフェクトP872には、実行中の変動の大当り期待度によって表示される頻度が異なる複数の演出パターン(例えば表示色が青色、緑色、赤色、金色、虹色となるパターンや、表示の大きさが小、中、大となるパターン、表示アニメーションの動きが異なるパターンなど)を有するように構成されている。また、このとき下役物動作エフェクトP872と表示されるキャラクタカットインのキャラクタはある程度対応付けられており、第1構図のキャラクタAと青色のエフェクト、第2構図のキャラクタAまたはキャラクタBと緑色エフェクト、第3構図のキャラクタAまたはキャラクタCの赤色エフェクトといったように組み合わせが定められている。
下役物P680と横役物P670とは、互いに副演出役物としての役割である一方で、横役物P670は、演出表示装置P80に表示される予告演出の演出内容と直接的に関連性が低い先読み演出としての演出役物動作(演出役物動作先読み)の実行にも使用され幅広く高頻度で使用される一方で、下役物P680は、予告演出と関連した演出役物動作を主の演出動作としており、横役物P670よりも演出動作としての利用箇所が少ない(演出動作の実行頻度が低い)一方で、実行中の特別図柄の変動表示の結果(期待度)の示唆に直接的に関わりやすい演出役物となっている。
(枠可動物:演出操作ユニットの動作説明)
図27は本実施例のぱちんこ遊技機Pに備えられた枠可動物の一つである演出操作ユニットP380の動作説明図である。
図27(a)は演出操作ユニットP380が演出動作をしていない初期位置の状態(初期状態)を示しており、図27(b)は演出操作ユニットP380が演出動作を行った後の演出状態を示している。演出操作ユニットP380は、演出ボタンP381およびレバーP382が一体に構成されており、初期状態においては、レバーP382の操作が不可能な状態であり、演出状態においては、レバーP382の操作が可能な状態となっている。
より具体的には、演出操作ユニットP380はレバー昇降モータP389の作動により、演出ボタンP381とレバーP382の指示軸に連結した不図示の円筒形溝カムが回転することで、演出ボタンP381およびレバーP382が、図27(a)に示されたレバー初期位置センサP386の検出位置から図27(b)に示されたレバー上昇位置センサP387に検出される位置まで上昇する。演出操作ユニットP380がレバー上昇位置センサP387の位置に移動すると、遊技者のレバーP382の傾倒操作によってレバー入力センサP388にレバーP382の入力操作を検出させることができる状態となる。
(役物動作エフェクトの他の例)
前述したように、上役物P650、横役物P670、下役物P680の動作に合わせて上役物動作エフェクトP870や横役物動作エフェクトP871、下役物動作エフェクトP872、役物全画面エフェクトP873(図23の演出の際に演出表示装置P80の表示領域全体に一様の効果画像(レインボーエフェクト等)を表示するエフェクト)などの効果画像を表示する旨を説明した。
なお、本実施例のぱちんこ遊技機Pにおいて演出役物P560の動作に対して演出表示装置P80の表示領域に表示される演出(「演出役物連動表示演出」と称する)はその他にも存在する。以下に他の演出役物連動表示演出の例を示す。
《擬似役物動作画像》
「擬似役物動作画像」は、実際の演出役物P560を模した画像(または多少の意匠変更を行った類似画像)を動作させることにより、演出役物P560の役物可動演出を引き立てたり、実際の役物可動演出に代替して表示したりする演出を実行可能とする表示演出である。
例えば、演出役物P560と類似する擬似役物動作画像を演出役物P560の動作に連動させて、演出役物P560の動作範囲の中で演出役物P560の移動方向前方または後方に擬似役物動作画像を表示することで、残像やブレとして遊技者に認識させ、演出役物P560の動作速度を錯覚させることにより印象付けを行うような場合が考えられる。
また、擬似役物動作画像を演出役物P560の動作が不可能な状況(例えば演出役物P560が脱調等で復帰ができず、動作を禁止させる状態である役物エラー状態となった場合など)において、演出役物P560の動作するタイミングで擬似役物動作画像を表示することで実際の演出役物P560が可動演出を行えない状況であっても、演出役物P560の動作を含む演出態様であったことを認識させるようにすることができる。
「擬似役物動作画像」は、演出表示装置P80の前方に位置する演出役物P560を代替し、演出を引き立てる効果を有する画像であるため、前述した上役物動作エフェクトP870や横役物動作エフェクトP871、下役物動作エフェクトP872、役物全画面エフェクトP873等の効果画像よりも表示優先度が高い画像となっている(なお、簡易装図P804や簡易保留表示P814、打ち分け報知P830よりは表示優先度低い)。
また、「擬似役物動作画像」は、演出役物P560を模した画像(または類似画像)であるが、表示色等は実際の演出役物P560の意匠と同じ色味で構成する必要はなく、グレースケールやセピア等の表示効果で見た目が変更された画像であってもよい。
《役物動作煽りエフェクト》
「役物動作煽りエフェクト」は、演出役物動作連動表示演出の一つであり、演出役物P560の動作を行う演出タイミング(実際に演出役物P560の動作を行わないガセパターンの場合を含む)の前に、演出役物P560の近傍にエフェクト画像を表示したり、演出役物P560の動作範囲内の近傍に擬似役物動作画像を動作表示させることにより、対象となる演出役物P560の動作が行われる可能性があることを遊技者に示唆する演出である。
「役物動作煽りエフェクト」は、特別遊技の獲得期待度につながる演出役物P560の動作が行われることを示唆する演出であり、表示パターンとして複数の表示パターンを有している。表示パターンとしては、表示色が白色、赤色、金色となったり、表示サイズが小、中、大と切り替える、から表示可能となったりすることによって、演出役物P560の動作が実行される可能性(期待度)を遊技者に示唆する。
(演出可動役物_初期化・復帰動作処理)
次に、図28~図30を用いて、本実施例のぱちんこ遊技機Pの「演出可動役物_初期化・復帰動作処理」について説明する。
本実施例のぱちんこ遊技機Pにおいて、演出可動役物_初期化・復帰動作処理は、演出役物P560の位置を初期位置に復帰させるための「初期位置復帰動作処理」と、演出役物P560が正常に動作を行えるかどうかを確認するための「初期動作確認処理」の2つの処理を含む処理で構成される(図28参照)。
演出可動役物_初期化・復帰動作処理は、遊技機の電源が立ち上げられたときや、演出役物P560において動作異常(エラーなど動作確認を行うことが必要と判断される事象)があった場合に実行される処理である。動作異常の判断は、演出制御基板(演出制御CPU)の処理である入力ポート監視処理(ステップ4008)の結果を基に、演出制御処理(ステップ4012)にて、演出可動役物_初期化・復帰動作処理のリクエスト(動作指示、動作制御)のためのフラグを成立させ、演出装置制御処理(ステップ4010)にて演出役物P560に対して初期化・復帰動作のリクエストを実行する。
本実施例のぱちんこ遊技機Pにおいて、演出可動役物_初期化・復帰動作処理のリクエストを行うこととなる状況は以下の4つの状況である。また、各状況下において演出可動役物_初期化・復帰動作処理で実行される処理も併せて記載する。
1.電源立ち上げ時の初期化動作
「初期位置復帰動作処理」および「初期動作確認処理」の双方のリクエストを実行する。
2.ステップ数オーバーエラー発生時
「初期位置復帰動作処理」および「初期動作確認処理」の双方のリクエストを実行する。
3.ポジションチェックエラー発生時
「初期位置復帰動作処理」のリクエストのみ実行する。
4.時間監視チェックエラー発生時
「初期位置復帰動作処理」のリクエストのみ実行する。
ここで、「ステップ数オーバーエラー」は、演出役物P560に対して動作リクエスト(演出動作や初期位置復帰動作)を行った場合に、設計上動作リクエストの実行後に判定閾値となるステップ数を駆動モータに出力した場合でも検出すべきセンサが検査されない場合に発生するエラーであり、「ポジションチェックエラー」は、変動開始(または変動終了)時、遊技状態の変化時など所定の遊技タイミングで、演出役物P560が存在すべき位置にいるかどうかを各種センサ(演出役物P560の初期位置センサ、演出位置センサ)を判定した結果、演出役物P560が想定した位置にない(検出すべきセンサが検出していない)場合に発生するエラーであり、「時間監視チェックエラー」は「ポジションチェックエラー」と同様の判定を一定時間(例えば5秒)おきに判定した結果発生し得るエラーである。
なお、「時間監視チェックエラー」は「ポジションチェックエラー」について、変動演出や先読み演出によって割り当てられた演出動作を実行中の演出役物P560については、エラーの監視対象から除外される。
また、演出可動役物_初期化・復帰動作処理のリクエストは、特別図柄の変動表示が行われている場合(例えば、変動演出として演出役物P560の動作が行われている場合)であっても実行可能である。そして、演出可動役物_初期化・復帰動作処理のリクエストが行われた場合、演出可動役物_初期化・復帰動作処理が完了するまでは、特別図柄の変動表示に合わせて行われる、変動演出の実行パターンに基づく演出役物P560(少なくとも演出可動役物_初期化・復帰動作処理の対象となる演出役物)の動作を禁止する。
《演出可動役物_初期化・復帰動作処理》
図28は、「演出可動役物_初期化・復帰動作処理」(ステップ5800)の処理フローを示す図である。「演出可動役物_初期化・復帰動作処理」は演出制御基板(演出制御CPU)の演出装置制御処理(ステップ4010)内の処理で行われる処理である。以下、図28を参照しながら処理の内容を説明する。
まず、「演出可動役物_初期化・復帰動作処理」は、演出役物P560の初期化・復帰動作に係るリクエストが実行されているかどうかを判定する(ステップ5802)。演出役物P560に対して初期化・復帰動作のリクエストがなされていない場合は(ステップ5802NO)、その後の処理を行うことなく処理を終了する。一方で演出役物P560に対する初期化・復帰動作のリクエストがあると判断した場合(ステップ5802YES)、サブモジュール処理である「初期位置復帰動作処理」(ステップ5804)に移行する。
「初期位置復帰動作処理」(ステップ5804)の詳細は図29を用いて後述する。「初期位置復帰動作処理」が終了すると、続いて現在の状況が設定変更中(または設定確認中)等の遊技停止状態であるかどうかを判定する(ステップ5806)。設定変更中(設定確認中)など遊技停止状態である場合、遊技停止状態の解除が行われるまで演出制御基板(演出制御CPU)は判定結果がNOとならずに「初期動作確認処理」を待機する状況となる。
設定確認中(設定変更中)など遊技停止状態である場合に、「初期位置復帰動作処理」(ステップ5804)の後に「初期動作確認処理」(ステップ5810)を待機する理由としては、電源投入時に移行する設定変更中(設定確認中)などの遊技停止状態において、演出表示装置P80に現在の設定の状況や設定変更が行われていることの示すセキュリティ報知、その他に遊技機の設定のための管理者メニュー画面などを表示可能としており、「初期位置復帰動作処理」(ステップ5804)によって、電断前に演出表示装置P80の表示領域の前方に位置していた演出役物P560を表示領域の前方から退避させた後であり、「初期動作確認処理」中に脱調等の役物動作異常によって演出表示装置P80の表示領域の視認性が阻害されない最適と考えられる状況であるためである。
「演出可動役物_初期化・復帰動作処理」において、設定確認中(設定変更中)等でないと判断した場合(ステップ5806NO)、つづいて電源立ち上げ時であるか、又はステップ数オーバーエラーであるかを判定する(ステップ5808)。当該判断は、先に説明したとおり、本実施例のぱちんこ遊技機Pでは、電源の投入時およびステップ数オーバーエラー発生時である場合に「初期動作確認処理」のリクエストを行う仕様となっているためである。言い換えると、ポジションチェックエラーや時間監視チェックエラーに基づくリクエストであった場合は「初期動作確認処理」の実行の必要が無いため、演出制御基板(演出制御CPU)はサブモジュール処理である「初期動作確認処理」(ステップ5810)への移行を行わない。
「初期動作確認処理」の詳細は後述する。「初期動作確認処理」が終了すると、初期化・復帰動作の実行に係るリクエストの情報をクリアし、「演出可動役物_初期化・復帰動作処理」を終了する。
《初期位置復帰動作処理》
次に、図29を用いて本実施例のぱちんこ遊技機Pの演出役物P560の動作制御に係る「初期位置復帰動作処理」(ステップ5804)に関して説明を行う。「初期位置復帰動作処理」は、初期位置(演出状況によっては初期位置センサではなく演出位置センサや中間位置センサが「初期位置」となる場合がある)に存在しないと判断された演出役物P560を初期位置に復帰させるための処理である。
「初期位置復帰動作処理」では、最初に全ての演出役物P560に対して、動作を停止するリクエスト(動作指示、動作制御)の出力を行う(ステップ5820)。当該処理は、電断前に出力されていた演出動作のリクエストや、ポジションチェックエラーないし時間監視チェックエラーにてエラー発生となった場合に動作中の他の演出役物P560の動作を停止させ、演出役物P560を初期位置に復帰させる際に他の演出役物との干渉が発生しないようにすることを目的とする処理である。
全ての演出役物P560に対する動作の停止リクエストが完了すると、続いて本実施例のぱちんこ遊技機Pは、下役物P680に対して初期位置(下降位置センサP686の検出位置)まで移動させる動作指示を行う。なお、下役物P680が既に初期位置に位置している場合(下降位置センサP686が検出済みのとき)は、当該処理を省略する。
下役物P680が初期位置に移動すると(または初期位置復帰動作が省略されると)、次に、上役物P650の初期位置復帰動作へ移行する。上役物P650の初期位置復帰動作では最初に、上役物P650に初期位置に係るセンサの昇降初期位置センサP657と回転位置センサP660が検出状態であるかを確認する(ステップP5824)。上役物P650は、前述したように回転装飾部P652が回転位置センサを検知するタイミングにおける回転方向によって回転装飾部P652が展開状態または収納状態であるかが切り替わるように構成されており、回転位置センサP660が検出状態であっても回転装飾部P652が展開されている虞があるため、即座に昇降初期位置センサP657の検出位置まで移動させることができない。そのため、初期位置に存在しない上役物P650を初期位置に復帰させる場合には、一旦演出位置に移動させた状態で回転装飾部P652を展開させ、確実に収納状態に変更した後、昇降初期位置センサP657に検出させる必要がある。
上役物P650はが初期位置に存在しないと判断した場合(ステップ5824NO)、上役物P650を昇降演出位置センサP658が検出状態となるまで移動させる(ステップ5826)。なお、既に上役物P650が昇降演出位置センサP658の位置にある場合は当該処理を省略する。
上役物P650の初期位置復帰動作において、上役物P658が昇降初期位置センサP658検出される位置(演出位置)に移動すると、続いて回転装飾部P652が展開状態となる方向に回転モータP659を駆動させる(ステップ5828)。回転量は回転位置センサP660の次回検出までに加えて、復帰動作(回転モータP659の逆回転)によって回転装飾体P652が回転位置センサP660の検出位置で収納状態となる位置まで回転させる。
上役物P650が、演出位置において展開した状態まで変化すると、「初期位置復帰動作処理」は、続いて上役物P650および横役物P670に対して、初期位置復帰動作を同時に指示する(ステップ5830)。言い換えると、上役物P650の回転装飾部P652を収納状態としたのち昇降初期位置センサP657に検出する位置まで移動させ、横役物P670を収納位置センサP675に検出される位置まで移動させる処理を行わせる(横役物P670は収納位置センサP675に検出される初期位置の場合処理を省略)。ステップ5830の処理のみ、複数の演出役物P560に対して同時に動作を実行する仕様となっているが、上役物P650および横役物P670は、図23から図22状態に復帰する動作パターンを有しており、演出上同時に動作しても電気的制限(合計電流値の制限)について何ら問題ない演出役物P560の動作の組み合わせである。
このように、本実施例のぱちんこ遊技機Pにおいては、「初期位置復帰動作処理」において、下役物P680、上役物P650、横役物P670を順番に行わせる。「初期位置復帰動作処理」の処理順番は、複数の演出役物P560に対して、予め定められた順番で実行すべきかどうか判断し、初期位置に復帰させる動作を行うように構成されている。順番に動作を行うとき、動作対象となっていない演出役物については動作のための電力の供給を行っていない。このように構成された初期位置復帰動作処理は、全ての演出役物P560に対して、同時に初期位置の復帰動作を開始させないことで、復帰動作中の干渉を防止するとともに、同時に駆動することによって大量の電力を使用してしまい、演出制御基板および他の演出装置の動作に悪影響を与えることを防止することができる。また、ステップ5830のように、互いに干渉しない演出役物P560であって、同時に駆動しても電気的制限に支障がない演出役物P560に対しては、同時に初期位置復帰動作を指示可能とすることで、演出役物P560全体の初期位置復帰動作が過剰に長くなることを防止することができる。
《初期動作確認処理》
続いて、「初期動作確認処理」(ステップ5810)について詳細な処理を説明する。「初期動作確認処理」は、遊技機に備わる全ての演出役物P560に対して順番に演出動作が実行可能であるかどうかを確認していく処理(例えば、全ての演出役物P560を初期位置から演出位置まで動作させることで正常に動作可能であることを確認する処理)である。
本実施例のぱちんこ遊技機Pにおいて「初期動作確認処理」を開始すると、最初に下役物P680の動作確認処理が行われる(ステップ5850)。下役物P680動作確認処理は、駆動モータP683を動作させ、下役物P650を下降位置センサP686に検出される状態から上昇位置センサP687に検出される位置まで動作させ、その後再度下降位置センサP686に検出される状態まで動作させる処理を行うように構成している。
下役物P680の確認動作が終了すると、続いて上役物P650の動作確認処理を実行する。上役物P650の動作確認処理は、昇降モータP653を動作させることによって、上役物P650の中央装飾部P681を昇降初期位置センサP657の検出位置から昇降演出位置センサP658に検出させる位置まで移動させる(ステップ5852)。そして上役物P650の中央装飾部P681が演出位置まで移動すると、続いて回転装飾部P652が展開状態に変形できるかどうかを確認するため、回転モータP659を動作させ、回転位置センサP660が次に検出され、復帰動作時に回転装飾部P652が収納できる追加駆動分だけ回転モータP659を動作させ、回転装飾部P652の変形動作の確認を行う(ステップ5854)。
上役物P650の演出位置における回転装飾部P652の演出動作の確認が終了すると、続いて、上役物P650を初期位置に復帰させる動作を行わせる指示を行うとともに、横役物P670に対して動作確認処理を行わせる指示を行う。横役物P670の動作確認処理は、駆動モータP674を動作させることにより、横役物P670の各装飾部(横上装飾部P671、横中央装飾部P672、横下装飾部673)を演出位置まで動作させる。すなわち収納位置センサP675に検出された状態から遮蔽位置センサP676が検出される状態まで駆動モータP674を動作させた後、再び収納位置センサP675に検出される状態となるまで駆動モータP674を逆回転動作させるように構成されている。
「初期動作確認処理」において、上役物P650と横役物P670は、同時に動作を実行する期間を有するものの、実際に演出動作を行うとき(図23参照)とは異なるタイミングでそれぞれ動作を行うように構成されている。より具体的には演出動作として上役物P650と横役物P670の動作を行うときには、同時に動作出力を行う動作出力の重複期間が初期動作確認処理にて同時に動作出力を行う場合の動作出力の重複期間よりも長いように構成されており、初期動作の場合は、なるべく同時に動作する期間を少なくすることで、各演出役物P560のそれぞれの動作が行われる期間が重複する期間が長くなることを避け、確認者が演出役物P560の動作を正確、かつ容易に視認可能となるように構成されている。
(演出役物の動作エラー時の対応)
本実施例のぱちんこ遊技機Pでは、演出役物P560について、動作不良が起きた場合(例えば、前述のステップ数オーバーエラーやポジションチェックエラーなどが発生した場合)、演出可動役物_初期化・復帰動作処理が実行されるが、演出可動役物_初期化・復帰動作処理が実行された場合であっても、演出役物P560について演出動作が実行できる状況が確保できない場合(例えば、初期位置復帰動作処理、初期動作確認処理を3回繰り返し実行しても初期位置に復帰しない、演出位置に移動できないなどの状況が発生した場合)、演出役物P560の故障を防止するため、該当する演出役物P560や、該当する演出役物P560と干渉する恐れのある演出役物P560の動作を禁止するように構成している。
なお、このようなエラーの発生に基づく、演出役物P560の可動演出動作が禁止された場合であっても、演出役物P560の発光部については発光演出を実行するように構成している。本実施例のぱちんこ遊技機Pでは、動作が禁止された場合に演出役物P560の発光部を点灯するための発光パターンを専用で設定しないため、通常の可動演出動作が実行されるときと同様に点灯制御される。
(本実施例のぱちんこ遊技機の遊技性)
次に図31から図33を用いて、本実施例のぱちんこ遊技機Pの遊技性の説明を行う。図31は通常遊技状態における通常遊技と特定遊技の遷移および演出状態を示す図である。図32は本実施例のぱちんこ遊技機Pにおける大当りの種類を示す図である。図33は本実施例のぱちんこ遊技機Pにおいて通常使用される変動パターンテーブルの一例を示す図である。
本実施例のぱちんこ遊技機Pは、並列制御を採用しており、第1特別図柄と第2特別図柄がそれぞれ独立して変動表示することが可能である遊技機である。
なお、以下に説明を行う遊技性は、遊技者が正常に遊技を行った場合の遊技性であり、イレギュラーな状況については説明を割愛する。
《通常遊技(低確率/低ベース)》
最初に本実施例のぱちんこ遊技機Pの遊技性の説明を行う。本実施例のぱちんこ遊技機Pは、初めに遊技者が遊技を開始する時点では図31の左側に示す通常遊技(低確率/低ベース)にて遊技が行われる。
通常遊技(低確率/低ベース)において、遊技者は第1始動入賞口P711へ向けて遊技球を発射し、第1特別図柄の特別図柄抽選によって大当りの獲得を目指す(図31(a)参照)。第1特別図柄の特別図柄抽選によって大当りを獲得した場合、大当り遊技後には、大当りを開始する際に第1特別図柄表示装置P51に停止表示された特別図柄(大当り図柄)によって実行される大当り遊技の種類(図32参照)によって「時短遊技(低確率/高ベース)」(図31(b)参照)または「確変遊技(高確率/高ベース)」(図31(d)参照)のいずれかの特定遊技に振り分けられる。
通常遊技は演出状態(演出モード)の種類として「Aステージ」~「Cステージ」といった「通常ステージ」(通常演出モード)を基本として遊技演出を行うようになっており、その他に「特殊ステージ」(特殊演出モード)として「Dステージ」、「Eステージ」、「役物完全告知モード」を備える。
「Dステージ」は、先読み演出専用の演出ステージ(演出モード)であり、専用の先読み演出抽選に当選した場合において、先読み対象の保留の変動表示が開始される前の変動表示中のどこかのタイミングで移行する演出ステージである。本実施例のぱちんこ遊技機Pでは、「Dステージ」に移行した場合は、先読み演出の対象となる保留が変動中の所定のタイミングまで演出表示装置P80に表示される演出内容が特殊なものになることに加え、横役物P670が初期位置の近傍で揺動を継続するように構成されており、横役物P670の動作の大きさや横役物動作エフェクトP871は期待度が高まるほど動作量が大きくなったり表示パターンが高期待度のものへと変化するようになっている。
「Eステージ」は擬似変動演出(擬似連)が実行された場合であって、三回目以降の再変動表示(再変動の回数によって「擬似X」と称し、この場合「擬似3」と称する)となった場合に移行する特殊演出ステージ(特殊演出モード)である。本実施例のぱちんこ遊技機Pでは、疑似3となった場合には、リーチ演出のなかでも高期待度リーチ(SPリーチ)へ移行することが確定的となり、いずれの高期待度リーチに移行するかを示唆表示するための専用の演出がリーチ演出の開始前に表示される。この「Eステージ」においては、ノーマルリーチに発展すると複数の高期待度リーチ演出を示唆するアイコンが表示され、表示されたアイコン画像の移動表示とともに、上役物P650、右側横役物P670R、下役物P680、左側横役物P670Lが順番に動作を行い最終的にいずれかの演出役物P560が演出位置まで動作するとともにアイコン画像が表示されることで発展先の高期待度リーチを示唆する(上役物P650の場合は、最も期待度の高い高期待度リーチへ発展することとなり、アイコン画像が視認可能となる前に回転装飾部P652を用いた可動役物演出と役物全画面エフェクトP873の連携演出を行う)。
「役物完全告知モード」は、本実施例のぱちんこ遊技機Pの非遊技中(遊技待機デモ表示中)に、遊技者が演出操作手段P81を操作することにより選択可能な特殊演出ステージ(特殊演出モード)である。本実施例のぱちんこ遊技機Pにおいて「役物完全告知モード」が選択されると、上役物P650と横役物P670とにより演出表示装置P80の前面に移行した状態(図23に示した状態)となり、上役物P650と横役物P670に備え付けられた発光部や横役物P670の動作を主体とした予告演出を実行する(部分的に視認可能な演出表示装置P80の表示領域にキャラクタ表示やボタン画像P881等を表示してもよい)。「役物完全告知モード」では、大当りとなる変動において、最終的に上役物P650の回転装飾部P652が回転する演出が実行されることで大当りとなることが報知あれ、その後上役物P650と横役物P670が初期位置に復帰するとともに視認可能となった演出表示装置P80の表示領域に獲得した大当り遊技の種類を報知する演出を行う(回転装飾部P652が回転動作する際の発光態様で獲得される大当りの種類が示唆されてもよい)。
「Dステージ」、「Eステージ」、「役物完全告知モード」は一例であり、変形例として特定遊技中に実行されるものであってもよい。また「役物完全告知モード」は予め演出役物P560(先の例では上役物P650と横役物P670)が動作しておくものでなくてもよく、例えば時短遊技中に毎変動ボタン画像P881が表示され、ボタン押下時に演出役物P560(上役物P650と横役物P670)が動作すれば大当り、という手法で役物の所定の動作が大当り確定となる演出ステージとなっていればよい。
また、本実施例のぱちんこ遊技機Pでは、通常遊技(低確率/低ベース)において、ラムクリア後または前回の大当り遊技後から起算して所定回数(例えば660回)の図柄変動が行われ、いずれも特別図柄抽選の結果が「はずれ」であった場合、大当り遊技を経由することなく特定遊技(低確率/高ベース)である「サポートモード」へ移行する。「サポートモード」は後述する特定遊技(低確率/高ベース)の一つの状態であり、500回の特別図柄抽選に対応する変動表示が行われるか、特別図柄抽選にて大当り遊技を獲得するか(特別図柄表示装置P51、P52に大当り図柄が停止表示される)のいずれかによって終了する。なお、「サポートモード」は、大当り経由で移行する場合は存在しない。
《特定遊技:時短遊技(低確率/高ベース)》
次に通常遊技状態のうち特定遊技の一つである時短遊技(低確率/高ベース)の説明を行う。図31に示す通り、特定遊技(低確率/高ベース)の状態には2つの種類が存在する。一つは「復活チャンス」であり、もう一つは前述した「サポートモード」である。「復活チャンス」と「サポートモード」は突入契機と終了条件が相違している。
「復活チャンス」と「サポートモード」は突入契機と終了条件は、「復活チャンス」が大当り遊技後(特に、後述する通常大当りの大当り遊技後)に移行し、100回の特別図柄抽選が行われるか、100回以内の特別図柄抽選にて大当りを獲得するまで継続する特定遊技状態である。他方、「サポートモード」は前述したように、ラムクリア後または前回の大当り遊技後から起算して所定回数(例えば660回)の図柄変動が行われ、いずれも特別図柄抽選の結果が「はずれ」であった場合に移行し、500回の特別図柄抽選が行われるか、500回以内の特別図柄抽選にて大当りを獲得するまで継続する特定遊技状態である。
特定遊技(低確率/高ベース)の通常遊技状態では、遊技者は右側遊技領域P501Rに遊技球を発射し、作動口P741に遊技球を通過させて第2始動入賞ユニットP720の普通電動役物P770を作動させ、第2始動入賞ユニットP720の開閉部材P771を入賞容易状態とし、第2始動入賞口P721に遊技球を入賞させ、第2特別図柄の特別図柄抽選を受けて遊技を行う(このように右側遊技領域P501Rに遊技球を発射して行う遊技を「右打ち遊技」と称する)。
第2特別図柄の特別図柄抽選にて大当りを獲得すると(図31(c)参照)、大当り遊技を開始することとなった大当り図柄(第2特別図柄表示装置P52に停止表示された特別図柄)の種類によって、大当り遊技後に、再び「サポートモード」へ移行するか(通常大当りのとき、図31(b)参照)、後述する確変遊技の「Xラッシュ」(高確率/高ベース)または「XラッシュSUPER」(高確率/低ベース)に移行する(確変大当りのとき、図31(d)参照)。
《特定遊技:確変遊技(高確率/高ベースまたは高確率/低ベース)》
続いて、本実施例のぱちんこ遊技機Pの特定遊技のうち確変遊技の通常遊技状態の遊技について説明を行う。図31に示すように、確変遊技には、「Xラッシュ」(高確率/低ベース)と「XラッシュSUPER」(高確率/低ベース)の2種類が存在する。
確変遊技である「Xラッシュ」、「XラッシュSUPER」は、特定の大当り遊技後(確変大当りの大当り遊技後)に移行し、次回の大当り遊技が開始されるときまで継続する。なお、変形例として「Xラッシュ」(高確率/高ベース)中に、所定回数(例えば50回)の特別図柄抽選を行った場合、電チューサポート機能が終了し「XラッシュSUPER」(高確率/低ベース)に移行可能に構成してもよい。
「Xラッシュ」および「XラッシュSUPER」の遊技手法は、前述した時短遊技と同様の右打ち遊技にて行う。右打ち遊技で大当りを獲得すると(図31(e)参照)、大当り遊技を開始することとなった大当り図柄(第2特別図柄表示装置P52に停止表示された特別図柄)の種類によって、大当り遊技後に、「サポートモード」へ移行するか(通常大当りのとき、図31(b)参照)、再び確変遊技の「Xラッシュ」(高確率/高ベース)または「XラッシュSUPER」(高確率/低ベース)に移行する(確変大当りのとき、図31(d)参照)。
本実施例のぱちんこ遊技機Pでは、電チューサポート機能が作動していない状況下においても普通図柄抽選の当り確率が高く設定されており(例えば普通図柄抽選の低確率状態時:299/300、高確率状態時:300/300)、通常遊技(低確率/低ベース)や「XラッシュSUPER」(高確率/低ベース)においても第2始動入賞ユニットP720に備わる普通電動役物P770の作動が頻繁に行われるようになっている。
電チューサポート機能が作動している状態においては、普通電動役物P770の作動に関し、開放延長機能が作動し、右打ち遊技を行っていると、普通電動役物P770が作動している状況がほとんどを占めるように構成されており(例えば、6秒普通電動役物P770が作動した後、次の普通図柄抽選により、約1秒後に普通電動役物P770が再度作動するように構成されており)、高ベース状態(電チューサポート機能が作動している状態)で右打ち遊技を行っている場合、第2始動入賞口P721によりも下流(大入賞口ユニットP750)の方には遊技球があまり流下しないように構成されている。
一方で、電チューサポート機能が作動していない状況(通常遊技や「XラッシュSUPER」)では、第2始動入賞口P721にへ入賞するとともに、普通電動役物P770が作動していないときに遊技球が第2始動入賞口P721よりも下流の大入賞口ユニットP750に向けて遊技球が流下可能となっており、第2特別図柄の特別図柄抽選により小当りが当選した場合に、小当り遊技中の大入賞口P751への入賞に基づいて遊技球を増やすことが可能に構成される。
なお、「XラッシュSUPER」中は、特別図柄の確率変動と変動時間短縮機能が作動しているため、第2特別図柄の特別図柄抽選の変動時間が短縮変動(1~2秒程度)となりやすいように構成されている一方、通常遊技では特別図柄の変動時間短縮機能が作動していないため、第2特別図柄の特別図柄抽選は長時間変動(例えば3分など)となるように構成され、右打ち遊技を継続しても遊技球が減少するように構成されている。この「XラッシュSUPER」のような、右打ち遊技にて短時間に小当り遊技が頻発し、小当り遊技によって遊技球の増加が狙える遊技状態を総称して「小当りラッシュ」と称することがある。
(本実施例のぱちんこ遊技機Pの特別遊技の種類)
続いて、図32を参照して、本実施例のぱちんこ遊技機Pの特別遊技の種類について説明を行う。
本実施例のぱちんこ遊技機Pの大当り確率は、図32の下部に示す通り、低確率中の大当り確率は1/200となっており、一方高確率中の大当り確率は1/40に設定されている(第1特別図柄、第2特別図柄共通)。また、小当り確率は、第1特別図柄の特別図柄抽選では1/500、第2特別図柄の特別図柄抽選においては1/2となっている。
図32に示す本実施例の特別遊技の種類の説明として、「特別遊技の種類」には、本実施例のぱちんこ遊技機Pにて実行され得る大当り遊技、小当り遊技の種類の名称が示されている。「特別遊技後の状態」は、該当する特別遊技(大当り遊技、小当り遊技)が実行された後に移行する通常遊技状態が特定遊技、通常遊技のどの状態であるかについて示している。「比率」は、第1特別図柄または第2特別図柄の特別図柄抽選にて大当り、小当りとなった場合にいずれの種類の大当り遊技(小当り遊技)が選択されるかについての比率を示している。
「特別遊技の種類」に記載される、「特図1_」、「特図2_」の表記は、第1特別図柄(特図1)と第2特別図柄(特図2)のいずれの特別図柄抽選の抽選結果であるかを示しており、「○R」は、該当する大当り遊技のラウンド数を示している。「確変大当り」、「通常大当り」は、大当り遊技後に確変遊技(「Xラッシュ」、「XラッシュSUPER」)に移行するか(確変大当り後)、時短遊技(「復活チャンス」)に移行するか(通常大当り後)を示している。「小当り」は、小当り遊技を示しているが、第2特別図柄の抽選結果として、「小当り_1」、「小当り_2」とあるように、異なる小当り遊技の実行態様を有する構成されている(例えば「小当り_1」が、0.6秒の1回開放、「小当り_2」が0.6秒の2回開放)。
「特別遊技後の状態」に記載される内容は、図31に記載した特定遊技の状態に移行するかを示している。なお、「小当り」の後の「特別遊技開始前の状態に依存」とは、特別遊技の開始前と同一の遊技状態に移行することを示している(なお、特定遊技の終了条件を満たす変動表示で「小当り」となった場合には、特定遊技ではなく通常遊技に移行する)。
(本実施例のぱちんこ遊技機Pの変動パターンテーブル)
図33は、本実施例のぱちんこ遊技機Pの特別図柄の変動表示に係る変動パターン(変動時間)の種類の代表例を示す図である。図33の縦軸は変動パターンの種類を示しており、図33の横軸は変動パターン抽選(特別図柄抽選)を実行する際の状況において使用する変動パターンテーブルの種類を示す図である。図33に示す変動パターンは代表例であり、本実施例のぱちんこ遊技機Pは、その他の変動パターンの種類も選択され得るようになっている。
図中の記号「○」、「△」、「□」は、変動パターンテーブルを用いて対象の変動パターンを選択するおよその頻度を示しており、「○」は高頻度(全体の1/3~1/10程度)で選択されることを示し、「△」は低頻度(全体の1/20~1/50程度)で選択されることを示し、「□」はごく低頻度(1/70~1/200程度)で選択されることを示している。
図33に示す、変動パターンテーブルの種類は、通常遊技中は第1特別図柄(特図1)を主体とする遊技性であることから、第1特別図柄の変動パターン抽選についての振り分けを例示している(「はずれ(特図1)通常遊技中」テーブル)。通常遊技の第1特別図柄抽選における変動パターン抽選は、第1特別図柄の保留数に依存して変動パターンテーブルを切り替えて行う。なお、第2特別図柄(特図2)の抽選を行った場合の結果を例示はしていないが、通常遊技における第2特別図柄の特別図柄抽選における変動パターンテーブルは、特図2専用の変動パターンテーブルを用いて抽選を行うようになっている。
「はずれ(特図1)通常遊技中」テーブルの右側には、時短中のはずれ変動パターンを例示している。時短中のはずれ変動パターンテーブルは、本実施例のぱちんこ遊技機Pが第2特別図柄(特図2)の遊技を主体としていることより、第2特別図柄(特図2)の変動パターン抽選にて選択される変動パターンを例示している。第1特別図柄(特図1)の時短中の変動パターン抽選については、専用の時短中特図1用の変動パターン抽選テーブルを使用して決定されるようになっている。
さらに変動パターンテーブルとして示される「大当り」、「小当り」の変動パターンテーブルにおいては、大当り遊技の種類や、小当り当選時の特別図柄の種類によって異なる変動パターンが選択され得ることが示されている。
ここで、SPリーチ(Aリーチ)には「SPリーチ(Aリーチ)」と「SPリーチ(Aリーチ)_役」の2種類が例示されているが、「_役」は対象の変動パターンが選択された場合、リーチの最後に遊技者に大当りであるか否かを報知する当落分岐演出において、演出役物P560が必ず動作(キメ役物である上役物P650の第1演出動作パターン)することを示している。本実施例のぱちんこ遊技機では、最も遊技者に有利となる10R確変大当りとなるSPリーチ(Aリーチ)の変動表示においては、上役物P650の動作を実行する演出パターンが実行されるものの、その他の大当りの場合は上役物P650の動作を伴わない(または予告抽選により決定するため実行頻度が極端に低い、また、当落分岐演出以外のタイミング、例えばSPリーチへの発展演出時では動作可能とされる)演出パターンが実行されるように構成されている。なお、「_役」が付いていない変動パターンにおいても、変動表示中の他のタイミングで上役物P650が動作したり、横役物P670や下役物P680の動作を伴う予告を実施したりすることが可能である。
また、図示していないが、例えば小当り遊技「XラッシュSUPER」の実行中に、第2特別図柄(特図2)の抽選結果が「小当り_1」、「小当り_2」のいずれが当選するかによって小当り遊技に合わせて下役物P680(や横役物P670)の動作パターンまたは下役物動作エフェクトP872の種類が異なることで当選した特別遊技(小当り遊技)の種類を報知または示唆可能とするように構成してもよい。
(本実施例のぱちんこ遊技機の演出役物を用いた効果的な演出の実行例)
続いて、本実施例のぱちんこ遊技機Pにおいて実行される変動演出において、演出役物P560を用いて、遊技者に興趣性の高い演出効果を与える可動役物演出を実行するための効果的な演出役物P560の使用例について、図34から図36を基に、AリーチおよびBリーチの際の変動演出の流れ(タイムチャート)に沿って説明を行う。
図34から図36のそれぞれの図中に示す内容は以下の通りである。
「(a)演出期間」は、演出内容で変動演出の演出期間を大まかに切り分けたものである。「リーチ前(擬似1)」は、変動開始直後から1回目の変動表示が終了する、あるいはリーチ演出に発展するまでの期間を示し、「リーチ前(擬似2~)」は、擬似連演出が行われた場合の特別図柄の1回の変動中における演出的な2回目以降の装飾図柄P801の変動表示期間であり、リーチ演出発展までの期間に対応している(擬似3以降は同様のため当該期間に含まれる)。なお、本実施例のぱちんこ遊技機Pでは、擬似連演出が実行された場合は、必ずノーマルリーチが実行されるように構成しているが、擬似2の場合は、装飾図柄P801の2回目の変動表示にてリーチ演出が行われることなくはずれ態様を表示して終了してもよい。
「(a)演出期間」のうち、「ノーマルリーチ」で示される期間は、低期待度のリーチ演出が行われる期間を示しており、当該ノーマルリーチの結果により当否抽選の結果を報知するか、あるいは後続のSPリーチへの発展が報知される演出期間である。「SPリーチ」に示す期間は、前述のノーマルリーチよりも大当りとなる期待度が高いリーチ演出期間であり、リーチ演出の結果として必ず当否抽選の結果が報知される演出期間である(なお、一旦はずれが報知された後、報知内容を覆して当りを報知する「復活演出」、「逆転演出」と呼ばれる演出期間も本実施例ではこの期間に含んでいる)。
「(b)演出内容例」は、前述の「(a)演出期間」において対応する演出期間に実行される演出の内容の例を示すものである。なお、例示しているものは代表的なものにすぎず、その他の予告演出等も当然に実行可能に構成されている。
「(c)役物動作例」は、「(b)演出内容例」に示すような演出に連動して、本実施例のぱちんこ遊技機Pに備えられた演出役物P560(上役物P650、横役物P670、下役物P680を例に説明)がどのような演出動作を行うかについて示している。
「(d)役物ランプ例」は、本実施例のぱちんこ遊技機Pに備わる演出役物P560(上役物P650、横役物P670、下役物P680を例に説明)における発光部が、可動役物演出(「(c)演出動作例」に例示)や、予告演出および先読み演出等(「(b)演出内容例」に例示)が実行される際にどのような発光演出を実行するかについての例を示している。
「(e)他ランプ/音_特徴」には、演出役物P560に備わる発光部以外の演出ランプP82(枠ランプP350、盤ランプP550や演出操作手段P81のランプ)がどのような発光演出を行うかの例や、スピーカP83から出力される音演出の例を示しており、演出内容に連動して演出を行う前提として、特筆して説明すべき内容について図示している。
「(f)ボタン有効期間」は、各演出期間(「(a)演出期間」参照)において、演出操作手段P81(演出ボタンP381、レバーP382等)を用いた演出(「ボタン演出」と称する)が発生するかどうかについて示すものである。なお、ボタン演出の有無は実行される予告演出やリーチ演出(リーチ中予告演出等)などに依存するため、実行されるタイミングや、実行有無は図に示す例に限定はされない。
「(f)ボタン有効期間」において、黒塗りで示す領域は、遊技者が演出を進行させるために操作が必要とされる演出操作手段P81の操作が有効となる期間を示しており、当該期間には演出操作手段P81を模した画像(ボタン画像P881、レバー画像P882などの操作促進画像)を表示し、遊技者に対して必要な演出操作手段P81に対する入力操作を促す演出期間である。一方、図中に斜線で塗られた期間は、演出に対して定められた所定の演出操作手段P81の入力操作が有効となる一方で、ボタン画像P881等の操作促進画像を表示せずボタン演出期間であることを明示しない演出期間(「裏ボタン演出」と称する)であることを示している。そして、図中のチェック柄に塗られた領域は、ボタン演出のうち、特に当否抽選の結果を報知する演出タイミングである当落分岐演出のタイミングを示している。なお、裏ボタン演出期間において、演出表示装置P80の表示領域にボタン画像P881等の操作促進画像の表示を行わない一方で、演出操作手段P81に設けられた発光部は入力操作が有効である旨の発光態様となり、操作が有効であることを示してもよい。
「裏ボタン演出」とは、リーチ前(擬似1)やリーチ前(擬似2~)、ノーマルリーチの期間において実行される場合には、SPリーチ等の後続の高期待度演出への発展可能性を示唆したり、大当り期待度を示唆するように構成され、SPリーチ中に行われる場合には、大当り期待度を報知する演出として実行されるボタン演出の一つである。
《SPリーチ(Aリーチ):はずれ、小当り》
最初に、図33で示した変動パターン「SPリーチ(Aリーチ)」が、当否抽選結果が「はずれ」または「小当り」である場合に実行されるときの演出例を、図34を基に説明する。なお、本説明にて行われる変動パターン「SPリーチ(Aリーチ)」は、1つの変動パターン名称で説明を行うが、変動演出として、「擬似連演出」を行い複数回の変動表示を行うか否かや、ノーマルリーチを経由するかどうか、など、最終的に演出としてAリーチが実行されるものであれば、多様な変動パターン(変動時間)について適用可能である。なお、図33に示すようにAリーチは、大当りの場合でも選択される変動パターンで実行可能な変動演出であるが、遊技者に最も有利な種類の大当りである10R確変(特図1_10R確変大当り、特図2_10R確変大当り)の場合には、必ず当落分岐演出にて上役物P650が第1演出動作パターンで動作する「SPリーチ(Aリーチ)_役」の変動パターンに伴いAリーチが実行される。
以下の説明では、擬似連演出とノーマルリーチを経由してSPリーチ(Aリーチ)へ発展する変動演出の流れに基づいて説明を行う。なお、図34中は、先述した多様な分岐パターンも含めた例示を行っている。
「SPリーチ(Aリーチ)」に対応する特別図柄の変動表示が開始されると、演出表示装置P80の表示領域には変動演出として「リーチ前(擬似1)」に対応する変動演出が表示され、実行される演出内容の例として、1人のキャラクタや複数のキャラクタ同士がセリフを発するセリフ予告や、多様な画像が段階的に変化(形が変わる、大きさが変わる、色が変わる、徐々に移動する等)するステップアップ予告など、変動演出の開始時に予告抽選により抽選決定された予告演出が実行される。なお、変動演出の開始の際に演出内容として抽選決定される演出内容の他に、当該変動表示よりも前の変動表示中の変動演出として実行されていた先読み演出に対応する先読み引継演出(先読み演出と同様の演出であり、先読み対象となった当該変動表示まで割り当てられた先読み演出の1演出パターン)が実行される。本実施例では、このような先読み引継演出についても「先読み演出」として説明を行う(取り立てて先読み対象となる変動表示のみの先読み演出について説明を行う場合については「先読み引継演出」や「当該先読み」などと称して説明を行う場合がある)。
「リーチ前(擬似1)」の演出期間における演出役物P560に係る演出動作例は、次の通りである(図34中「(c)演出動作例」、「(d)役物ランプ例」を参照)。
上役物P650:動作しない。上役物P650の発光部は予告演出等に合わせて演出を行う。(図34中は変動演出の別例としての擬似1⇒SPリーチ(Aリーチ)の場合を示している)
横役物P670:予告演出(セリフ予告やステップアップ予告など)の演出パターンにて横役物P670の動作が割り当てられる場合、連動して動作を行う。横役物P670の発光部は予告演出に連動した発光を行うが、先読み演出等で横役物P670を用いて大当り期待度やリーチへの発展期待度の示唆を行っている場合には、予告演出に連動して動作を実行する期間を除いて、先読み演出に応じた可動役物演出および発光演出を他の予告に優先して実行する。
下役物P680:予告演出(擬似連発生報知やノーマルリーチ発展報知など)の演出パターンにて下役物P680の動作が割り当てられる場合、連動して動作を行う。下役物P680の発光部は予告演出に連動した発光を行うが、先読み演出等で下役物P680を用いて大当り期待度やリーチへの発展期待度の示唆を行っている場合には、予告演出に連動して動作を実行する期間を除いて、先読み演出に応じた可動役物演出および発光演出を他の予告に優先して実行する。
「リーチ前(擬似1)」の期間における、演出役物P560以外の発光部(演出ランプP82)およびスピーカP83は、基本的には変動演出として予告演出の抽選決定で決定された、予告演出の実行パターンに応じた発光演出および音演出を実行する。なお、先読み演出等で予告演出と同時に先読み演出(先読み引継演出)が実行されている場合、役物動作エフェクト(横役物動作エフェクトP871、下役物動作エフェクトP872など)に連動して横役物P670や下役物P680の発光部とともに、演出役物P560を用いた先読み演出を効果的に見せるために、先読み演出に対応する発光表示や音演出を予告演出よりも優先して実行(あるいは同時に実行)してもよい。
また、「リーチ前(擬似1)」期間において、変動演出の開始時に変動演出の内容を決定する予告抽選の抽選結果としてボタン演出の実行が決定された場合は、対応するタイミングでボタン有効期間が発生する。図34の例では、1回のボタン有効期間が例示されている。なお、実行する予告演出の内容によっては複数回ボタン演出が実行されるものでもよいし、「リーチ前(擬似1)」の期間に複合して行われる複数の予告演出に対して、それぞれボタン有効期間が定められることにより複数のボタン有効期間が存在する場合も有する。(図34に例示はしていないが、ボタン有効期間が裏ボタン演出として実行される予告を含んでいてもよい)
続いて「SPリーチ(Aリーチ)」の変動演出期間中の「リーチ前(擬似2~)」の演出期間について演出内容の例について説明を行う。
「SPリーチ(Aリーチ)」に関する変動表示が行われ、「リーチ前(疑似2~)」の演出に差し掛かると、予告演出の内容として、「リーチ前(擬似1)」で実行可能な予告演出を「リーチ前(疑似2~)」の期間においても実行可能である。なお、本実施例のぱちんこ遊技機Pにおいては、図31に示すように擬似3以降になった場合、「Eステージ」へと演出モードが変化するため発生する予告演出の傾向(内容、種類)が変更されるようになっているが、このようなステージ変更を伴わない場合には擬似3においても同様の予告演出が実行可能である。また、「リーチ前(疑似2~)」の演出期間では、擬似連(再変動表示)が実行されたことを報知するための「擬似連演出」(例えば、演出表示装置P80の表示や横役物P670を用いた予告演出と複合する表示、可動役物演出等)、一部の先読み引継演出(例えば、保留変化先読みやゾーン移行先読み等)を継続する。
「リーチ前(擬似2~)」の演出期間における演出役物P560に係る演出動作例は、次の通りである(図34中「(c)演出動作例」、「(d)役物ランプ例」を参照)。
上役物P650:動作しない。上役物P650の発光部は予告演出等に合わせて演出を行う。(図34中は変動演出の別例としての擬似2⇒SPリーチ(Aリーチ)の場合を示している)
横役物P670:予告演出(セリフ予告やステップアップ予告など)の演出パターンにて横役物P670の動作が割り当てられる場合、連動して動作を行う。横役物P670の発光部は予告演出に連動した発光を行うが、擬似連演出等で横役物P670を用いて演出動作を行う場合は、当該擬似連演出の実行期間(例えば、再変動開始直後の2~3秒程度)においては擬似連演出の演出動作、発光演出を優先して実行する。擬似連演出の実行例としては、例えば、横役物P670を再変動開始直後に2~3秒程度揺動させ緑(擬似2変動を報知)や赤(擬似3変動を報知)の横役物P670の発光部による発光演出、あるいは横役物動作エフェクトP871の表示など、が挙げられる。
下役物P680:予告演出(擬似連発生報知やノーマルリーチ発展報知など)の演出パターンにて下役物P680の動作が割り当てられる場合、連動して動作を行う。下役物P680の発光部は予告演出に連動した発光を行うが、先読み演出等で下役物P680を用いて大当り期待度やリーチへの発展期待度の示唆を行っている場合には、予告演出に連動して動作を実行する期間を除いて、先読み演出に応じた可動役物演出および発光演出を他の予告に優先して実行する。
「リーチ前(擬似2~)」の期間における、演出役物P560以外の発光部およびスピーカP83は、基本的には変動演出として予告演出の抽選決定で決定された、予告演出の実行パターンに応じた発光演出および音演出を実行する。なお、再変動の開始時等には前述したように横役物P670を用いて再変動が行われた旨の報知である擬似連演出を実行するため、当該期間においては他の演出役物P560やその他演出ランプP82においても擬似連演出に対応する演出表示を実行するように構成してもよい。また、保留変化先読みやゾーン移行先読みに伴い、演出役物P560以外の発光部およびスピーカP83にて先読み演出に対応する演出を実行している場合は、引き続き先読み演出に対応する発光演出および音演出を継続することが可能である。
「リーチ前(疑似2~)」の期間におけるボタン有効期間の発生は、「リーチ前(擬似1)」の時と同様、変動演出の開始時の予告抽選の抽選結果によって、1回ないし複数回のボタン有効期間が発生し得る(図34中では1回の場合を例示)。
次に「SPリーチ(Aリーチ)」が実行される変動表示において、「ノーマルリーチ」が実行される演出期間の演出実行態様する例の説明を行う。本例では、SPリーチ(Aリーチ)への発展が実行される変動表示であるため、ノーマルリーチ中の演出表示装置P80の表示内容として、SPリーチ(Aリーチ)に対応するアイコン画像(特殊装図P804)等の表示がノーマルリーチの結果として最終的に表示されるようになっている。
「ノーマルリーチ」の演出期間における演出役物P560に係る演出動作例は、次の通りである(図34中「(c)演出動作例」、「(d)役物ランプ例」を参照)。
上役物P650:SPリーチ(Aリーチ)への発展が示唆されるアイコン画像が表示されるタイミング、あるいは表示された後のタイミングで第2演出動作パターン(弱パターン)の可動役物演出を実行するとともに、上役物動作エフェクトP870(赤)が演出表示装置P80の表示領域に表示される。
横役物P670:ノーマルリーチのリーチ演出として表示される演出内容に合わせて演出動作を行う。なお、対応する演出動作が設定されていない場合には動作しない。
下役物P680:ノーマルリーチのリーチ演出として表示される演出内容に合わせて演出動作を行う。なお、対応する演出動作が設定されていない場合には動作しない。また、裏ボタン演出の実行時に、遊技者の演出操作手段P81への入力操作に基づいて裏ボタン演出が進行すると、裏ボタン演出に対応する演出動作を実行する場合がある。なお、リーチ演出の役物動作と裏ボタン演出の可動役物演出との実行タイミングが重なった場合、裏ボタン演出が優先されて実行される。
本実施例のぱちんこ遊技機Pにおいて、ノーマルリーチ中の裏ボタン演出は、ノーマルリーチ中の所定のボタン有効期間(裏ボタン有効期間)に遊技者が演出操作手段P81(演出ボタンP381)を連続操作(複数回操作や長押し操作)することによって、操作回数や操作条件を満たすごとに、下役物P680の発光部が白⇒青⇒緑(⇒赤⇒金)とステップアップするとともに下役物P680が微小量上昇して初期位置に戻るように演出動作として振動演出を行う「裏ボタンステップ演出」を実行する(発光部のステップアップは、大当り期待度や、SPリーチの発展期待度、SPリーチの種類によって最終的な到達段階が異なるが、必ず緑までは到達するように構成されている)。
「リーチ前(擬似2~)」の期間における、演出役物P560以外の発光部およびスピーカP83は、リーチ演出の内容に連動した演出を実行する。なお、リーチ演出中に裏ボタン演出の実行が予定されている場合、枠ランプ350(演出操作ユニットP380)の演出ランプを演出操作手段P81が有効である旨を示す態様で発光させる。遊技者が裏ボタン演出の実行時に演出操作手段P81の操作を行った場合、下役物P680に備えられた発光部で裏ボタンステップアップ演出の発光演出を実行するものとしているが、演出効果を高めるために周囲に設けられた盤ランプ550を同時に発光させるように構成してもよい。
本実施例のぱちんこ遊技機Pにおいて、裏ボタンステップアップに基づいてステップアップ演出を実行した場合、ノーマルリーチ中の裏ボタンステップアップ演出の終了後においても最終的に到達した発光色での発光表示を、その後の演出タイミングまで継続表示可能としている。より具体的には、ノーマルリーチ中の裏ボタンステップアップ演出では、当該変動における大当り期待度を示唆するように構成されており、SPリーチ(Aリーチや後述するBリーチなど)の予告演出(カットイン予告)や当落分岐演出のタイミングまで、大当り期待度として裏ボタンステップアップの最終発光態様を継続表示可能である。このようにすることで遊技者として、SPリーチの実行に際し、結果が大当りとなるかの1つの参考情報として裏ボタンステップアップの表示態様を確認することができ、SPリーチ演出の興趣性の向上につながる。また、変形例として、裏ボタンステップアップの最終的な発光態様から、SPリーチ中のチャンスアップ演出に連動して、より上位の大当り期待度に対応した発光色に下役物P680の発光部の発光態様を変更可能に構成してもよい。
「ノーマルリーチ」の期間におけるボタン有効期間の発生は、前述のように裏ボタンステップアップ演出に対応する期間や、その後のノーマルリーチの結果報知(大当り報知またはSPリーチへの発展報知)するタイミングに設定可能である。なお、前述したように下役物P680は、横役物P670や上役物P650と干渉する役物であることから、裏ボタンステップアップ演出の下役物P680の動作範囲を微小量とすることで他の演出役物P560との干渉を避けるように構成しているが、他の手法として、裏ボタンステップ演出期間においては、下役物P680のみ動作可能とし、横役物P670や上役物P650には演出動作を割り当てないように演出内容を構成してもよい。
最後に「SPリーチ(Aリーチ)」の演出期間のうち、「SPリーチ」の演出期間に実行される演出内容についての説明を行う。「SPリーチ(Aリーチ)」において、SPリーチ中には、リーチ演出の背景演出の一部が通常パターン(Aリーチの演出パターンの中で最も期待度が低いパターン)と異なるように構成することで大当り期待度が高いことを示唆するチャンスアップ予告や、リーチ演出の背景演出に重ねてキャラクタやセリフが重ねて表示されるカットイン予告、当否抽選の結果が大当りであるか否かを報知する当落分岐演出のタイミングで行うボタン演出、など様々な演出を複合的に実行可能な期間である。
「SPリーチ」の演出期間における演出役物P560に係る演出動作例は、次の通りである(図34中「(c)演出動作例」、「(d)役物ランプ例」を参照)。
上役物P650:動作しない(当否抽選結果がはずれ、小当りのため)。なお、当否抽選結果が10R確変大当り以外の大当りである場合において、抽選を行った結果としてボタン演出の実行が決定された場合には、上役物P650を第1演出動作パターンで動作を行うように構成してもよい。
横役物P670:予告演出(SPリーチ中のチャンスアップ予告)の演出パターンにて横役物P670の動作が割り当てられる場合、連動して動作を行う。横役物P670の発光部は予告演出に連動して発光(赤発光、なお変形例として周囲の盤ランプ550が赤系統の発光を行う演出の場合には白発光)を行う。横役物P670を動作させる際、チャンスアップ予告に注意が向くように、SPリーチ中の背景演出の一部にて通常パターンと異なるチャンスアップ予告が表示されている箇所に近い横役物P670L,Rの一方を動作するように構成してもよい。
下役物P680:予告演出(SPリーチ中のカットイン予告)の演出パターンにて下役物P680の動作が割り当てられる場合、連動して動作を行う。下役物P680の発光部は予告演出に連動した発光を行う(例えば、緑カットインなら下役物P680の発光部が緑色に発光し、緑色の下役物動作エフェクトP872の演出表示を行い、赤カットインなら下役物P680の発光部が赤色に発光し、赤色の下役物動作エフェクトP872の演出表示を行う)。なお、事前にノーマルリーチ中などにおいて、裏ボタンステップ演出が実行された場合には、下役物P680の発光部は、当落分岐演出のタイミングまで裏ボタンステップ演出の最終発光態様の表示を継続して優先的に発光表示するように構成している。変形例として、例えば裏ボタンステップ演出にて、下役物P680の発光部が、緑色を最終発光態様として発光しているときに赤色のカットイン予告が発生した場合には、より期待度が高いことを示唆する赤色の表示を予告演出の実行に合わせて表示を行い、その後当落分岐演出まで緑色の裏ボタンステップ演出に対応した発光態様に戻すことなく、赤色の発光態様を継続するように構成してもよい。
「SPリーチ」の期間におけるボタン有効期間の発生は、カットイン予告の発生時やその他の予告演出(チャンスアップ予告等)の発生時にボタン演出を実行する場合に行うように構成できる。また、カットイン予告やその他のSPリーチ中の予告演出について、裏ボタン演出として構成してもよい。なお本例(図34の「(f)ボタン有効期間」参照)は、はずれ、小当りの場合のSPリーチ(Aリーチ)であり、当落分岐演出としてボタン演出が決定されないように構成されている。
《SPリーチ(Aリーチ)_役:大当り》
続いて図35を用いて、図33に示す変動パターンのうち、「SPリーチ(Aリーチ)_役」が決定された場合の変動演出の内容について説明を行う。変動パターン「SPリーチ(Aリーチ)_役」は、10R確変(特図1_10R確変大当り、特図2_10R確変大当り)の場合に決定され得る変動パターンであり、変動演出の内容としては図34に示した「SPリーチ(Aリーチ)」の時とほぼ同等であるため特徴的な相違点についてのみ説明を行う。
図35の演出内容の例と、図34の例とでは、「SPリーチ」の開始までに実行し得る演出内容は同一である。図35の例では、最も大きな相違点として、「SPリーチ(Aリーチ)」の演出期間において、ボタン演出(当落分岐ボタン演出)が必ず実行される(すなわち、変動演出の開始時の予告抽選で必ず当落分岐ボタン演出が当選する)点と、当落分岐ボタン演出の有効期間の開始前後において特殊期間が設定されている点、さらに大当りを報知するため上役物P650が当落分岐演出にて動作する(演出操作手段P81の操作に基づいて動作する)点で図34の演出例とが異なる。
本実施例のぱちんこ遊技機Pにおいて、変動パターン「SPリーチ(Aリーチ)_役」は、10R確変(特図1_10R確変大当り、特図2_10R確変大当り)の場合に決定され得る変動パターンであることより、遊技者に対して大当りの獲得を盛大に祝福するため、当該変動パターンの決定時に行われる変動演出では、上役物P650(キメ役物)が必ず動作するように構成され、さらに演出効果を高めるため、上役物P650の動作開始をボタン演出(当落分岐ボタン演出)の演出操作手段P81に対する操作タイミングとするように構成している。なお、その他の種類の大当りの場合には、変動パターン「SPリーチ(Aリーチ)」が選択され得る結果の一つであるため、Aリーチを実行する場合でも抽選に当選しない限り当落分岐ボタン演出は発生しないように構成している。
当落分岐演出における上役物P650の動作は、第1演出動作パターンで実行され、上役物P650に設けられた発光部が虹色で発光するとともに、演出表示装置P80の表示領域に上役物動作エフェクトP870が虹色で表示される。なお、図34の例で、他の種類の大当りで上役物P650が動作するパターンについても触れたが、他の種類の大当りである場合には、10R確変大当りを獲得したときとの差別化を図るため、演出内容として、第1演出動作パターンでなく、第2演出動作パターンにて上役物P650を動作するように構成してもよく、また、上役物P650の発光部や上役物動作エフェクトP870を他の態様(虹色以外の態様)で発光・表示するように構成してもよい。
当落分岐ボタン演出のボタン有効期間の開始前後に設けられる特殊期間では、それまで可動状態にあった演出役物P560の動作を停止(初期位置に戻す、あるいはその場で停止)させ、盤ランプP550、枠ランプP350や演出役物P560の発光部を消灯(あるいは暗くなるまで減光)するとともに、スピーカP83からの音演出(少なくともリーチ演出に対応する音演出)を一旦停止し、演出表示装置P80における表示をブラックアウト表示(黒画面表示、簡易装図P802や退避図柄P803等で変動中である旨は報知)として、ぱちんこ遊技機Pを暗く静かにするとともに、ボタン有効期間に合わせてボタン画像P881等の操作促進画像を表示するように構成する。
そして、特殊期間の開始後、当落分岐ボタン演出のボタン有効期間において遊技者によって演出操作手段P81の操作が実行されると、上役物P650の動作演出が開始されるとともに、リーチ演出に対応する演出ランプP82の発光演出、スピーカP83の音演出が復帰されるように構成されている。
このように「SPリーチ(Aリーチ)」_役」に対応する変動演出では、上役物P650(キメ役物)の第1演出動作パターン(キメ動作)の前に、静寂期間(注目期間)を設けることにより、遊技者に上役物P650の動作やボタン演出の実行に注目させやすいように構成することができ、上役物P650の動作についてより一層の演出効果を高めるように構成することができる。
なお、「特殊期間」は前述したようにぱちんこ遊技機Pの演出ランプP82を暗くし、スピーカP83の音演出を制限するものに限らず、演出ランプP82を統一感のある色で発光させたり、スピーカP83から特殊な専用効果音を発したりするようなものであってもよく、当落分岐ボタン演出にて演出表示装置P80に表示される操作促進画像に対する注目度が高め易く、上役物P650(キメ役物)に注目させやすい態様であればよい。
また、「特殊期間」は、変動パターン「SPリーチ(Aリーチ)」で、他の種類の大当りが当落分岐ボタン演出で報知される場合(変動演出の開始時に予告抽選の結果当落分岐ボタン演出が実行されることが決定された場合)に実行されるようにしてもよく、このようにすることで「特殊期間の発生」がすなわち「10R確変大当り」とならないようにすることができる。また、演出役物P560の動作に注目を集めるための「特殊期間」は必ずしもボタン演出とする必要はなく、ノーマルリーチやリーチ前の期間(リーチ前(擬似1)やリーチ前(擬似2~)の期間)等でSPリーチの発展が上役物P650(キメ役物)で報知する直前に上役物P650に注目を集めるために設けてもよい。また、このとき上役物P650に注目を集めやすいようにブラックアウト表示した演出表示装置P80の表示に上役物動作エフェクトP870を表示させたり、上役物P650を微振動させるとともに上役物P650の発光部を点滅させる準備動作を行ったりしてもよい。
《Bリーチ:当り》
続いて、図33に示した変動パターン「SPリーチ(Bリーチ)」が選択された場合に実行される変動演出の内容例について、図36を基に説明を行う。ここで先に、「Bリーチ」の概要を簡易に説明しておくと、「Bリーチ」とは、ノーマルリーチや期待度が低めに割り当てられたSPリーチにおいて演出的に「はずれ」態様が一旦報知された後に発展する「レバーチャンス」という、演出レバーP382の操作により上役物P650が動作すれば大当りであることが報知されるSPリーチの種類の一つである。
図36の演出例では、ノーマルリーチにて「はずれ」が一旦報知された後、Bリーチ(レバーチャンス)へ移行し、Bリーチが成功態様となり大当りが報知される場合について例示している。
図36において、「リーチ前(擬似1)」および「リーチ前(擬似2~)」の演出期間においては、前述した「Aリーチ」の時と相違点はほとんどない。なお、相違点としては、Bリーチが、ノーマルリーチや期待度の低めに設定されたSPリーチでのはずれの報知後であることより、「リーチ前(擬似1)」および「リーチ前(擬似2~)」の演出期間において上役物P650の動作から高期待度のSPリーチ(Aリーチなど)への発展は示唆されないように構成されている。その他の詳細な点はAリーチと同様であるため説明は割愛する。
続いて、変動パターン「SPリーチ(Bリーチ)」の実行される変動の演出期間「ノーマルリーチ」において実行される演出例を説明する。
「SPリーチ(Bリーチ)」に係る変動演出が行われているとき、ノーマルリーチでは、リーチ中の退避図柄P803が演出表示装置P80の隅部に表示されている一方で、演出表示装置P80の略中央領域に変動中の装飾図柄P801(最終停止図柄)が変動表示される。最終停止図柄となる装飾図柄列には、リーチの退避図柄となっている種類の装飾図柄の他に特殊図柄としてSPリーチ発展を示唆するアイコン画像等が表示される場合がある。そして、リーチ中の退避図柄およびの前後の図柄、あるいは特殊図柄(アイコン画像)の近傍で最終停止図柄となる装飾図柄列の変動速度が低下し、当該リーチが大当りとなるかの報知(リーチ退避図柄と最終停止図柄が同一となる当り態様や、異なる組み合わせとなるはずれ態様にて報知)や、SPリーチ発展に係る報知(最終停止図柄としてアイコン画像の停止)が実行される。なお、本例においては、ノーマルリーチのはずれ報知後にレバーチャンスへ移行する例を説明するため、ここではノーマルリーチは、はずれ態様で終了したものとするが、アイコン画像等の特殊図柄でBリーチ(レバーチャンス)へ移行するように構成してもよい。
本演出例において、ノーマルリーチがはずれ態様で終了すると、図37(図36中の(A)のタイミングの演出表示例)に示すように、上役物P650が準備動作として、初期位置近傍で微小量の上下動を繰り返すガタガタ動作を行うとともに、上役物動作エフェクトP870を上役物P650の近傍に表示する。そして、演出表示装置P80の装飾図柄P801の停止表示領域の近傍に、上役物P650に関する擬似役物動作画像P874をフェードイン表示(透過率を低くしてはっきり視認させるように変化表示)してフェードアウト表示(透過率を上げてゆっくり消えていくように変化表示)させる演出を複数回繰り返す、このように擬似役物動作画像P874が複数回変化表示された結果、最終的にはっきりと表示された場合は、Bリーチ(レバーチャンス)へ移行することが報知され、やはりはずれである場合には擬似役物動作画像P874が表示されることなく装飾図柄P801のはずれ態様の停止表示にて変動演出が終了する。このように擬似役物動作画像P874が表示されるかどうかと、対象の上役物P650の可動演出動作によるBリーチ(レバーチャンス)への移行を煽る演出を「レバーチャンス発生煽り」と称する。
「レバーチャンス発生煽り」を実行する際、上役物P650のガタガタ動作とともに上役物動作エフェクトP870を表示するように構成しているが、このとき上役物P650に設けられた発光部や上役物動作エフェクトP870の発光色、表示態様によってBリーチ(レバーチャンス)への発展期待度を示唆するように構成してもよい。また、特別図柄抽選の抽選結果が当りである場合には、レバーチャンス発生煽り中の上役物P650の発光部や上役物動作エフェクトP870の発光態様、表示態様において、虹色(レインボー)の発光及び表示を一時的(瞬間的)に交えることにより、Bリーチ(レバーチャンス)中の当落分岐演出のタイミングよりも前のタイミングにおいて、大当りの獲得を察知できる希少なプレミア演出パターンを有するように構成してもよい。
また、「レバーチャンス発生煽り」において、擬似役物動作画像P874のフェードイン表示、フェードアウト表示の繰り返し時点においては、擬似役物動作画像P874はグレースケールで表示され、最終的にBリーチ(レバーチャンス)に発展する場合に擬似役物動作画像P874をカラーで表示するように構成するが、擬似役物動作画像P874についても、Bリーチ(レバーチャンス)への発展期待度に応じて、グレースケール以外に赤系統の単色グラデーション表示を行ったり、虹色の表示を交えたプレミアパターンを有するように構成してもよい。また、擬似役物動作画像P874の最終的な表示前の繰り返し表示においてはフェードイン表示・フェードアウト表示の表示方法に限らず、Bリーチ(レバーチャンス)への発展期待度によって、スライドイン等のその他の出現方法を採用したり、複数パターンを組み合わせたりしてもよい。
また、「SPリーチ(Bリーチ)」の変動演出中に実行される「ノーマルリーチ」期間においては、横役物P670や下役物P680はリーチ演出に可動演出動作が割り当てられている場合は、割り当てられた演出動作パターンにて動作を行う。そして、下役物P680については、「SPリーチ(Aリーチ)」の時と同様に裏ボタン演出に基づく演出動作、発光演出が割り当てられている。しかし、下役物P680の裏ボタン演出として裏ボタンステップアップが実行された場合であっても「SPリーチ(Bリーチ)」の場合は、ノーマルリーチで一旦装飾図柄P801のはずれ態様での停止表示(仮停止表示)がなされると、レバーチャンス発生煽りの実行前に裏ボタンステップ演出の最終発光態様の発光表示を終了させるように構成している。これは、レバーチャンス発生煽りが一旦はずれ態様が演出的に報知され遊技者が落胆しているところから逆転的に当りとなる可能性が示唆されることにより、興趣性の高いリーチ演出として効果を発揮するためであり、裏ボタンステップ演出に基づく発光表示が下役物P680の発光部で継続してしまうとレバーチャンス発生煽りの効果が薄まってしまう(Bリーチ(レバーチャンス)への発展が察知されてしまう)ためである。
続いて、変動パターン「SPリーチ(Bリーチ)」中の変動演出における、演出期間「SPリーチ」中の演出内容の例、Bリーチ(レバーチャンス)の具体的な演出内容について説明する。
Bリーチ(レバーチャンス)は、図38(図36中の特殊期間(B)に示すタイミングの演出例)に示すように、ノーマルリーチ終了時にレバーチャンス発生煽りにて成功すると、Bリーチ(レバーチャンス)の開始後に、演出レバーP382(枠可動役物P360)が入力可能となる状態へと変化し(図27(b)参照)、遊技者に対して演出レバーP382の操作を促す演出表示を行う。このとき、ノーマルリーチの終了時点におけるはずれ態様の表示から再度変動表示を開始し、表示されれば大当りとなる装飾図柄P801(図38中の「3」)が擬似役物動作画像P874とともに、はずれとなる装飾図柄P801(図38中の「2」)を押しつぶすような演出表示を行う。そして、遊技者が演出レバーP382を操作すると、上役物P650が演出動作を行い(第2演出動作パターン)、はずれとなる装飾図柄P801を押しつぶして成功態様であることが示される(図38中の「3」のみが表示され、ぞろ目の組み合わせが表示される)。なお、当りとなる装飾図柄P801と擬似役物動作画像P874の組み合わせでなく、擬似役物動作画像P874にかえて装飾図柄P801の上側の位置で上役物P650をガタガタ動作するように構成してもよい。
Bリーチ(レバーチャンス)中、横役物P670、下役物P680については、可動演出動作を行うパターンが設定されておらず、初期位置に待機するように構成されているとともに、発光部の発光態様も、リーチ演出に応じて発光を行うように構成されている。
Bリーチ(レバーチャンス)中の当落分岐ボタン演出のタイミングには、演出レバーP382が有効となるが、演出レバーP382の操作が有効となるには、図27に示すように予め準備動作が必要であり、当落分岐ボタン演出の演出操作手段P81(演出レバーP382)の有効期間前に準備動作を行うようになっている。Bリーチ(レバーチャンス)は、演出レバーP382の操作に基づく上役物P650の可動演出動作によって大当りを報知することを趣旨とした演出であるため、演出レバーP382への注目度を高めるため、演出レバーP382の準備動作を行うときに、枠ランプP350を演出レバーP382側に向けて順番に発光する箇所が移動点灯するように構成されており、演出レバーP382に対して注目を集めるように構成している。一方で盤ランプP550については、上役物P650に向けて発光する箇所が順次移動するように移動点灯表示する。
そして、演出レバーP382の準備動作が完了するタイミングに合わせて、演出操作手段P81の有効期間および特殊期間が発生するように構成されており、特殊期間においては、前述した「SPリーチ(Aリーチ)」と同様に、ぱちんこ遊技機Pの演出ランプP82の発光態様を消灯、減光態様とする(演出レバーP382及び上役物P650を除く)とともに、スピーカP83より出力される音演出の少なくとも一部を停止させ、演出表示装置に「上役物を落とせ!!」の文字列とともに演出レバー画像P882を表示する演出を実行することにより、遊技者に対して演出レバーP382と、上役物P650の動作に集中させるように構成する。
(本実施例のぱちんこ遊技機の表示レイヤの優先順位)
次に、図39および図40を参照して、本実施例のぱちんこ遊技機Pの演出表示装置P80の表示領域に表示される各種演出表示の表示に関する表示の優先度について説明を行う。図39には、本実施例のぱちんこ遊技機Pにおける特別図柄の変動表示中の演出画面の一例を示しており、図40には各種演出表示の表示優先度を示している。
図39は、本実施例のぱちんこ遊技機Pの変動演出の実行中の演出表示例を示している。演出表示装置P80の表示領域には、背景画像P876として、二人の女性キャラクタが道を歩いている画像が表示されており、図39の例では、キャラクタ登場予告P877として、黒い人影が表示されている(なお、このとき背景画像P876の二人の女性キャラクタもキャラクタ登場予告用のアクションを行っているため、背景画像P876としては二人の女性キャラクタの存在しない画像に切り替わり、キャラクタ登場予告として二人の画像を表示している)。
そして、図39に示す演出表示例では、キャラクタ登場予告P877よりも優先して同タイミングで複合的に表示されているセリフ予告P878(「誰!?」のセリフと女性キャラクタ画像)が表示され、下役物P680の近傍に下役物動作エフェクトP872がセリフ予告P878より優先して表示されている(このとき下役物P680は、キャラクタ登場予告P877が人影からキャラクタ表示に切り替わる際に可動演出動作を行うように設定されているため、その準備動作または煽り動作を行っている)。
また、セリフ予告P878の近傍(下側)にはボタン画像P881が表示され、遊技者に演出操作手段P81の操作を促す表示を行っている。本実施例のぱちんこ遊技機Pでは、遊技者に演出操作手段P81の操作を確実に促すため、操作促進画像(ボタン画像P881、レバー画像P882)は、役物動作エフェクト(下役物動作エフェクトP872)よりも優先して表示されるようになっている。
図39には、その他の表示物として、変動表示中の特別図柄の抽選結果を演出的に示すための装飾図柄P801および簡易装図P802している。また、現在の変動表示とは直接的に関係しない遊技者に対する必要情報を表示するための表示として、保留に関する保留表示オブジェクトP811および簡易保留P814、打ち分け報知画像P830、累計獲得数表示P824などを表示している。
図40は、図39に例示した各種演出表示およびその他の演出表示に関し、本実施例のぱちんこ遊技機Pにて設定されている優先度の高低(すなわち、表示レイヤの割り当てであり、優先度が高いものほど遊技者に視認されやすい表示レイヤに描画される)を示す図である。以下、優先度の低いものから順番に表示内容を例示しながら説明する。
《背景演出》
本実施例のぱちんこ遊技機Pにおいて、演出表示装置P80の表示領域に表示される演出表示内容として最も優先度が低く設定されているものが「背景演出」である。「背景演出」は演出ステージ(演出モード)を遊技者が把握する目的で表示されることが多く、風景やキャラクタ、オブジェクトの表示がアニメーションとして表示されており、特別図柄の変動表示が行われていない場合であっても継続して表示され得る演出画像である。なお、「背景演出」は、特別図柄の変動表示が行われない期間が継続することによって移行する遊技待機デモ表示や、全画面表示を行う予告演出、大当り演出等で視認されなくなる場合を有する。
《予告》
本実施例のぱちんこ遊技機Pにおいて、予告演出の画像表示の大半は、背景演出の次に表示の優先度が低く設定されている。予告演出には、図40に示すように、複数種類の予告が異なる優先度で設定されており、「予告1」、「予告2」、・・・、「予告N」と、複数の予告演出の表示が同時に表示される場合にいずれの表示を優先して表示するかが定められている。図39で説明した例によれば、キャラクタ登場予告P877が「予告1」に相当し、セリフ予告P878が「予告2」に相当するため、キャラクタ登場予告P877の画像に重ねてセリフ予告P878が視認されるようになっている。
《先読み/擬似連演出》
本実施例のぱちんこ遊技機Pにおいて、先読み演出や、擬似連演出(再変動の開始時に「×2」等の表示を行う演出)は、複数回の演出上の変動表示に跨って表示されて大当り期待度が高まっていることを報知したり(先読み演出)、実行中の変動表示にて擬似連演出が発展したことにより大当り期待度が高まっていることを報知する重要な役割を有しているため、大半の予告画像よりも優先度を高く設定している。なお、保留表示として表示される保留変化先読みなど、当該表示優先度には当てはまらない例外的な先読み演出も存在する。
《役物動作エフェクト》
本実施例のぱちんこ遊技機Pでは、演出役物P560の動作を伴う予告演出や、先読み演出、擬似連演出が発生すると、演出役物P560の動作を伴わない場合よりも大当り期待度が相対的に高く設計されている。そのため、演出役物P560の動作を強調する役物動作エフェクト(上役物動作エフェクトP870、横役物動作エフェクトP871、下役物動作エフェクトP872、役物全画面エフェクトP873など)の表示は、予告画像や先読み演出、擬似連演出等よりも表示の優先度を高めて、これらの演出表示によって役物動作エフェクトが隠されないようにすることで、演出役物P560の可動演出動作に注目を集めやすいようになっている。このように演出役物P560の動作に注目を集めやすいように構成することで、演出役物P560の大当り期待度が高まっているなど、遊技者に有利な事象が近づいていることを効果的に報知する可能となる。
《演出補助表示》
「演出補助表示」とは、演出ステージ(演出モード)が切り替わったタイミングで、数秒間遊技者に演出ステージ(演出モード)が変化したことを報知するステージ名表示や、リーチ演出中にキャラクタ等のセリフを表示するテロップ表示等の補助的な表示が相当する。これらの表示は、演出モードが切り替わったとき、リーチ中のキャラクタがセリフをしゃべるタイミング(スピーカP83から音声出力されるタイミング)のごくわずかなタイミングで、狭い表示領域でのみ表示され得る表示物である一方、表示することにより遊技者に演出内容を報知したり、間接的に大当り期待度を報知する予告として使用(例えばテロップの文字の表示色で大当り期待度が異なるように構成する)できることから、なるべく表示された際の視認性を高めるために優先度を予告や役物動作エフェクト等よりも高めに設定している。
《装飾図柄》
「装飾図柄」(装飾図柄P801)は、特別図柄の特別図柄抽選の結果を報知するための重要な表示物であることから、予告表示や役物動作エフェクト等に隠れないように表示優先度を高めるように構成している。本実施例のぱちんこ遊技機Pでは、装飾図柄P801の変動表示中の高速変動期間は、装飾図柄P801の表示に関し透過率を上げて遊技者からはほとんど視認できず遊技者視点では表示優先度が装飾図柄よりも低く設定されている各種の予告演出等の表示が視認可能となっている。
なお、装飾図柄P801の表示に関し、透過率を変更して予告等の視認を容易とする構成でなく、変動中の装飾図柄P801(表示優先度低)と、停止表示中の装飾図柄P801(表示優先度高)の表示優先度を異なるように構成することで、変動中の装飾図柄P801の視認性を予告演出等よりも低下させるように構成してもよい。
《カスタム表示(メニュー画面、音量・光量調整)》
本実施例のぱちんこ遊技機Pでは、遊技者が任意に演出態様を選択するためのメニュー画面(演出カスタム画面)や、スピーカP83から出力される音量、演出ランプP82の輝度や色等を調整する光量を調整する音量・光量調整表示、また、演出操作手段の操作モードを自動操作に設定する自動操作モード設定などの遊技中の演出を好みに調整するためのカスタム表示を実行可能である。そしてこれらのカスタム表示は、装飾図柄の変動表示中においても表示可能なものを含み、予告等の実行中においても調整・設定を行うことが可能となっている。
なお、先に上げた装飾図柄P801の停止表示など、遊技結果の重要情報を表示するタイミングや、高期待度のリーチが行われている期間には、カスタム表示の表示を禁止として非表示に切り替えるように構成し、遊技者に必要な情報を視認容易とするように構成することができる。また、「カスタム表示」については、予告演出等の演出と関連性が低い情報であることから、デフォルトで表示する通常位置から異なる表示位置を自由に切り替えることが可能であり、例えば、演出役物P560の動作により画像表示領域の一部が被覆されてしまうときに当該領域に表示する(または表示予定である)カスタム表示について、表示位置を変更して視認性を確保するように構成できる。
《累計獲得数表示》
「累計獲得数表示」は、特定遊技状態と大当り遊技(または小当り遊技)が繰り返し実行される期間、いわゆる連荘の期間に遊技者が獲得した遊技球数を累計して表示する表示部である。累計獲得数表示P824のほか、大当り遊技中の現在のラウンド数を表示するラウンド表示P820、大当りの実行回数を示す大当りアイコンP821や、1回の大当り中の獲得出玉を表示する大当り獲得球数表示P823、大当りの1ラウンド中に大入賞口に入球した数を示すカウント表示P825等の表示も同等の表示優先度に設定されている。
《保留表示》
「保留表示」は、保留表示領域P810の保留オブジェクトP811および当該保留オブジェクト表示領域P812の当該保留オブジェクトP813であり、現在の演出状態(演出モード)において遊技の主体である特別図柄抽選に対応した特別図柄抽選の保留個数および、現在の変動表示に使用された乱数値に対応する当該保留に係る表示を演出的に実行する表示領域である。後述する簡易保留表示P814とは区別され、「保留表示」では、保留されている乱数値や現在の変動に対応する特別図柄抽選に使用された乱数値の大当り期待度に関する演出表示(例えば保留変化演出など)が実行可能である。保留表示は、後述する表示優先度が高く設定される特殊予告の実行の際に特殊予告として表示された演出表示により視認困難となる場合がある。なお、保留表示領域P810と当該保留オブジェクト表示領域P812との表示優先度を異ならせて、例えば、当該保留オブジェクト表示領域P812の表示優先度を特殊予告よりも高く設定し、特殊予告(リーチ中のブラックアウト等)で保留表示領域P810が見えなくなる一方、特殊予告を行っている変動に対応する当該保留オブジェクト表示領域P812の表示を継続することにより、特殊予告の期待度を保留変化の実施有無を含めた結果の当該保留オブジェクトP813を複合的に表示することで間接的に報知するように構成することも可能である。
《特殊予告(例:ブラックアウト表示、リザルト演出など》
「特殊予告」は、前述のSPリーチ(Aリーチ)の特殊期間のブラックアウト等遊技者に対し演出(特に後続に続く演出表示内容)に注目を集める演出表示や、その他強調を行いたいSPリーチ中の演出など、特定の予告に集中させたいために、その他の表示物よりも優先して表示を行う特別図柄の変動表示対応する変動演出の演出表示である。また、時短遊技の最終変動等のタイミングで実行されるリザルト演出などの遊技結果を表示するための演出表示や、ステージチェンジ演出等によって保留表示の表示態様を変更したい場合なども、このような表示優先度が高い特殊予告として設定される場合がある。
図示はしていないが、このような特殊予告の表示優先度として、役物動作エフェクトよりも表示優先度を高くして変動に対応する予告表示や先読み、役物動作エフェクトを表示させないが、保留や、累計獲得数表示などの表示は継続して視認可能とする表示優先度に設定されるような中優先度予告などを設定してもよい。
また、変形例として、前述した役物動作エフェクトのうち、上役物P650(キメ役物)を用いて大当りである旨を報知する場合の役物全画面エフェクトP873(虹色)については、保留表示等への関心が低下することより、特殊予告と同等の表示優先度を設定するように構成してもよい。
《操作促進画像(ボタン画像)》
「操作促進画像(ボタン画像)」は、実行中の変動演出の演出切り替えを行うために遊技者に演出操作手段P81の操作を促したり、前述のカスタム表示の選択内容を設定したりするための操作手法の案内を行う画像であり、必要性の高い表示であることから、他の表示に隠れることが無いよう表示優先度を高く設定している。なお、後述する簡易装図や簡易保留といったさらに表示優先度の高い表示物とは必ず重ならない位置に表示するか、あるいは表示するタイミングが同一とならないように構成している。
《簡易保留》
「簡易保留」は、前述の保留表示である保留表示領域P810とは異なる表示領域に表示される保留数に係る表示であり、演出ステージ(演出モード)に関わらず第1特別図柄および第2特別図柄の保留数の表示を数字や記号等で示す表示である。「簡易保留」の表示は遊技者向けの重要な情報(重要UI)として、特殊予告等の特別な演出を行う場合であっても必ず視認化可能に位置付けられる。
《打ち分け報知》
「打ち分け報知」(打ち分け報知画像P830)は、遊技者に対し、現在遊技球を発射すべきことが推奨される位置を示す表示であり、本実施例のぱちんこ遊技機Pでは、重要UIとして右打ち小表示P832、左打ち小表示P834、右打ち注意喚起報知P835、左打ち注意喚起報知P836が割り当てられている。右打ち大表示P831や左打ち大表示P833は遊技状態が切り替わる際(例:大当り開始デモ期間や、特定遊技(時短)の開始または終了時など)に表示される演出的な表示であり、特殊予告と略同等の扱い(表示優先度)である。
《簡易装図》
「簡易装図」(簡易装図P802)は、その変動表示によって特別図柄の変動表示中であることを示すとともに、停止表示態様によって特別図柄の抽選結果を報知する表示であり、装飾図柄P801が視認できない状況であっても常に変動表示、停止表示ができるように重要UIの一つとして表示を行うようになっている。なお、特別遊技(特に大当り遊技)中は、特別図柄の変動表示が行われることがなく、また大当り演出の表示により遊技者に幸福感を与えるために非表示に切り替える場合がある。小当り中は、特別図柄の変動表示が中断されているだけであるので、特別遊技中(小当り遊技中)であっても非表示となることは無い、また、小当り遊技中に停止表示してしまうと遊技結果と誤認してしまうため、特別図柄の変動表示が中断されている場合であっても簡易装図P802の変動表示を継続して実行可能としている(変動表示として図柄が切り替わらず、小当り遊技の実行期間中、すなわち特別図柄の変動表示の中断中に揺れている揺れ変動を実行するものでも可)。
また簡易装図P802は、遊技機の遊技性(遊技機仕様、スペック)によって1つまたは2つ表示する。例えば第2特別図柄(特図2)優先消化制御や入球順消化制御では、特別図柄は必ず1つしか変動表示を行わないため簡易装図P802の表示は1つでよいが、並列制御の場合は、2つの特別図柄が変動表示を行う可能性があるため、簡易装図P802も2か所に表示することが好ましい。なお、並列制御であっても演出ステージ(演出モード)に応じて遊技の主体として設計されている特別図柄のみを簡易装図P802として表示するように構成してもよい。
《エラー表示》
また、図40には図示していないが、遊技機に対しエラーが発生した場合のエラー表示は、いかなる状況でも視認し得るように構成することが好ましいため、重要UIと同等の表示優先度が設定される。本実施例のぱちんこ遊技機Pでは、重要UI1~3である、簡易保留、打ち分け報知、簡易装図よりも表示優先度を高く設定しているが、それぞれの表示位置設定を重ならない位置として設定するため、各々の表示優先度の順番を変更しても実質的に影響はない。
なお、打ち分け報知の内で、右打ち注意喚起報知P835、左打ち注意喚起報知P836を大きい画像で設計する場合には、エラー画像と重なりが生じてしまう虞があるので、打ち分け報知の表示優先度を重要UIとエラー表示の中で最も低く設定することが好ましい。
(本実施例のぱちんこ遊技機の演出役物の動作に特徴を有する演出ステージ)
次に本実施例のぱちんこ遊技機Pの演出役物P560の動作に特徴を有する演出ステージ(演出モード)である「XラッシュSUPER」について説明を行う。「XラッシュSUPER」は、図31に示す、確変遊技(高確率/低ベース)の遊技状態に対応する演出ステージ(演出モード)であり、小当りが頻繁に発生し、かつ普通電動役物の作動態様が非電チューサポート状態であることより、遊技球を右側遊技領域P501Rへ発射することによって、小当り遊技中に普通電動役物P770よりも下流に配置された大入賞口P751へ入球が容易であう。そのため、「XラッシュSUPER」では、大当りを獲得しなくても小当り遊技中の大入賞口P751に対する入賞により、遊技球が徐々に増加する遊技状態である(「小当りラッシュ」と称する)。
図32にも示したように、第2特別図柄に対応する特別図柄抽選では、小当りの当選確率が1/2と高く、頻繁に小当りに当選するようになっており、演出ステージ(演出モード)「XラッシュSUPER」では、小当りの当選を視覚的に報知するために演出表示装置P80の表示領域に同一の種類の装飾図柄(例えばぞろ目ではないが同一の表示色で表示される装飾図柄や、小当りを報知するための特殊図柄)が3つ停止表示され、併せて下役物P680が上昇する動作を行うようになっている。なお、このような第2特別図柄の特別図柄抽選にて小当りに当選したことを報知する演出は「XラッシュSUPER」でのみ行い、「Xラッシュ」や「復活チャンス」などのその他の右打ち遊技が推奨される演出ステージ(演出モード)では、第2特別図柄の特殊図柄抽選で小当りに当選した場合でも実行されない。
「XラッシュSUPER」における、下役物P680の動作パターンは、第2特別図柄の特別図柄抽選で当選した小当り遊技の種類によって異なる動作パターンが設定されている。図32に示すように第2特別図柄の小当り図柄は「特図2_小当り_1」と「特図2_小当り_2」の2種類が存在しており、「特図2_小当り_1」が大入賞口P751の0.6秒の開放を1回行い、「特図2_小当り_2」が大入賞口P751の0.6秒の開放を2回行う小当り遊技である。すなわち「特図2_小当り_2」に当選しているときの方が遊技者にとってより多くの賞球を得られる可能性があり、有利に構成されている。そのため、「XラッシュSUPER」にて小当りに当選したことを報知する際の下役物P680の動作パターンとして、「特図2_小当り_1」用の演出動作パターンと、「特図2_小当り_2」用の演出動作パターンとが用意される。
「特図2_小当り_1」用の演出動作パターンは、下役物P680が上昇位置センサP687まで上昇して即座に下降位置センサP686の位置まで復帰する動作を行うとともに、上昇位置センサP687の位置に移動するのに合わせて、下役物P680の発光部が白く発光するとともに、演出表示装置P80の表示領域に小さく白色の下役物動作エフェクトP872の表示を行う。一方「特図2_小当り_2」用の演出動作パターンでは、下役物P680が上昇位置センサに検出される位置まで移動し、その過程で下役物P680が発光部の白色の発光演出および演出表示装置P80の表示領域に下役物動作エフェクトP872の表示を行うまでは同一とする一方、下役物P680が下降位置センサP686に復帰する過程で再度上昇位置センサに検出される位置まで上昇するとともに、下役物P680の発光部を赤く発光させるとともに、演出表示装置P80の表示領域に大きく赤色の下役物動作エフェクトP872の表示を行うように構成されている。
また「XラッシュSUPER」における下役物P680の特殊な演出動作パターンとして、複数回の特別図柄抽選にて連続的に小当りに当選する場合(小当りとなる変動で存在する保留の事前判定情報や、以後発生する第2特別図柄の保留に対する事前判定情報を確認することで判断する)、前述した「特図2_小当り_1」用の演出動作パターンまたは「特図2_小当り_2」用の演出動作パターンにおける下降位置センサP686への復帰動作(初期位置への復帰動作)を行わずに上昇位置センサに検出された位置に移動したままの状態とし、複数回の小当り遊技が実行される間、下役物P680の発光部を金色(黄色と白色、橙色を混ぜた発光パターン)に発光させ、演出表示装置P80の表示領域に大きく金色の動作エフェクトP872の表示を行う「特殊演出動作パターン」を実行可能である。このように利益の異なる小当り遊技の種類や、事前判定情報を利用した小当り遊技の連続回数の判断によって下役物P680の演出動作パターンや演出表示装置P80の表示内容を異ならせることで、頻繁に小当りが当選する場合であっても小当りの当選に係る報知が単調にならず、付与される可能性のある遊技利益(遊技球の賞球数)に対する期待感を持たせる演出を実行することが可能となる。
「XラッシュSUPER」にて大当りとなる場合には、その他の遊技状態に対応した演出ステージ(演出モード)と同様に、演出役物P560の動作に伴い大当りの獲得を報知する場合には上役物P650を用いるように構成している。ここで、「XラッシュSUPER」では、小当り遊技の間隔(1回ごとの第2特別図柄の変動表示期間)が長くなると、小当り遊技による遊技球の獲得に基づく出玉感(大量の遊技球を得ているという感覚)が薄れてしまうことから、「XラッシュSUPER」に対応する遊技状態(高確率/低ベース)である確変遊技では、電チューサポート機能は作動していないものの特別図柄の変動時間短縮機能は作動状態にあり、第2特別図柄の変動表示を短時間の変動が選択されやすいように構成している。そのため、本実施例のぱちんこ遊技機Pでは「XラッシュSUPER」にて大当りとなる場合にも、変動時間を他の遊技状態にて大当りとなる場合よりも短時間となりやすいように構成し、大半の大当りを上役物P650の動作を用いて報知するように構成している(例外的な大当りの報知演出を除いて、必ず上役物P650の動作を伴う変動演出が選択されるようになっている)。
このような「XラッシュSUPER」における演出役物P560の動作態様を採用することにより、「XラッシュSUPER」において、遊技者は「上役物P650が動作したら大当り」、「下役物P680が動作したら小当り」という感覚で、シンプルかつわかりやすい遊技演出で小当り遊技および大当り遊技による出玉感と演出を楽しむことができる。
なお、「XラッシュSUPER」に係る変形例として、複数回のラウンドで小当りと略同様の大入賞口の開放時間を有する開放パターン(0.6秒×5)が実行される2R大当りや4R大当りを第2特別図柄の特別図柄抽選の結果として設け、これらの大当りに当選した場合には、上役物P650ではなく、小当りに当選した場合と同様に下役物P680の動作(前述の複数回の小当り遊技に跨って行う「特殊演出動作パターン」)を実行するように構成し、大当りであるにもかかわらず、複数回の小当りに当選しているかのように見せるように構成してもよい。
(本実施例のぱちんこ遊技機の変形例)
《変形例1》
本実施例のぱちんこ遊技機Pでは、演出表示装置P80の表示内容と、リーチ演出中の上役物P650(キメ役物)の演出動作パターンとによって、大当りである旨を報知することで演出役物P560の動作を複合した興趣性の高い演出を提供するぱちんこ遊技機であることを説明した。
ここで、変形例として、リーチ演出中の上役物P650(キメ役物)の演出動作パターンの種類によって、その後に付与される特別遊技における有利度合い(獲得賞球数や、大当り遊技後に移行する特定遊技の種類)に関する示唆を行い得るように構成してもよい。
本実施例のぱちんこ遊技機Pでは、図32に示す「10R確変大当り」が最も有利な特別遊技の種類であり、10R確変大当りを報知する場合、図23に示すように上役物P650が演出位置において回転装飾部P652を展開する状態とするとともに、横役物P670を上役物P650の背後に展開し、演出表示装置P80の表示領域にて役物全画面エフェクトP873を虹色に表示する(上役物P650の発光部は全画面エフェクトP873に対応した色で発光)演出内容について説明した。
ここで、変形例として、上役物P650の演出動作パターンによって特別遊技の種類を示唆するパターンとして、4R確変大当り(や一部の10R確変大当り)となる場合には、上役物P650を演出位置にて回転装飾部P652を展開動作させる一方で、横役物P670を上役物P650の背面に展開させず、演出表示装置P80の表示領域に赤色の役物全画面エフェクトP873を表示(上役物P650の発光部は全画面エフェクトP873に対応した色で発光)する中期待度態様を実行するパターンを用意してもよい。また、さらに遊技者に与えうる利益の期待度が低い10R通常大当り、4R通常大当り(または一部の10R確変や4R確変大当り)となる場合には、上役物P650を第2演出動作パターン(弱パターン)で動作させ、横役物P670は演出位置へ展開せず、上役物動作エフェクトP870を赤色で大きく表示する小期待度態様を実行するパターンも用意してもよい。
なお、中期待度態様や小期待度態様にて特別遊技(大当り遊技)へ移行した場合において、上役物P650の発光部や、演出表示装置P80の表示領域に表示されるエフェクト画像等の効果演出を赤色等で引き続いて表示し、大当り遊技中に実はより有利である大当り(例えば10R確変)であることが報知された場合には、上役物P650の発光部や演出表示装置P80の表示領域におけるエフェクト画像等を10R確変が報知されるときに大当り遊技中に表示される虹色の発光および表示態様に切り替えるように構成してもよい。
《変形例2》
本実施例のぱちんこ遊技機Pでは、図35や図36に示すように、リーチ演出の当落分岐のタイミングにて当落分岐ボタン演出が発生する際に、演出役物P560の動作に注目を集めるため静寂状態となる特殊期間を設けるように構成したが、過度に期待感を高めすぎると、はずれである場合に遊技者の遊技意欲の低下が著しくなってしまう虞がある。
そのため、このような特殊期間を設ける条件として、SPリーチの演出期間において、チャンスアップ演出が発生することや、リーチ演出中のカットイン予告が所定期待度以上の演出パターン(例えば、青<緑<赤<金のカットインパターンがあり、赤色のカットイン以上)が実行される場合等を条件として、特殊期間を発生させるパターンとするように構成してもよい。このようにすることで、特殊期間が発生する状況を、SPリーチの発生する変動パターンである状況であり、かつ、予告演出抽選でチャンスアップ演出が実行される場合など、大当りとなる可能性が高い状況に限定可能となる。
また、このように構成する場合、特殊期間としての静寂状態となる状況を発生させることなく当落分岐ボタン演出が発生することとなることより、上役物P650の準備動作(ガタガタ動作および発光部の発光、上役物動作エフェクトP870の表示)を継続した状態で、当落分岐ボタン演出のボタン有効期間を発生させ、遊技者の演出操作手段P81の操作に基づいて、準備動作の態様から、設定された演出動作パターン(例えば、当りの時に第1演出動作パターンとし、はずれの場合は停止パターン)へ切り替えるように構成してもよい。
《変形例3》
本実施例のぱちんこ遊技機Pでは、図36に示したSPリーチ(Bリーチ)である「レバーチャンス」において、当落分岐ボタン演出において演出役物P560の動作に注目を集めさせるための特殊期間の実行に際し、演出操作ユニットP380の演出レバーP382の準備動作を先行して実行するように構成したが、演出レバーP382の準備動作の開始タイミングを特殊期間の開始と同時または、開始後に変更してもよい。
また、このように構成するとき当落分岐ボタン演出は、演出ボタンP381の操作を要求する場合(弱パターン、相対的に大当り期待度が低い)と、演出レバーP382の操作を要求する場合(強パターン、相対的に大当り期待度が高い)とで異なるパターンを有するように構成し、特殊期間(図38に示すBリーチの特殊期間や、Aリーチのブラックアウト表示期間中など)において、いずれの演出操作手段P81が要求されるかに注目を集めさせるように構成してもよい。
また、このように演出役物P560の動作に注目を集めるための特殊期間に移行後に、演出操作手段P81に求める操作内容を報知する場合、演出レバーP382の操作を要求する場合には、ボタン有効期間の発生タイミングが発生することを報知する操作促進画像の表示開始タイミングを演出ボタンP381の操作を要求する場合よりも遅くする(例えば、0.5秒程度遅くする)ことにより、違和感を与えるとともに、演出レバーの準備動作期間も含めてボタン有効期間(演出レバーの入力を受け付ける期間)までの特殊期間の長さを長く構成し、遊技者に対して特殊期間の長さにより、焦らしを与えることにより当落分岐ボタン演出に対する注目度を高めるように構成してもよい。
《変形例4》
本実施例のぱちんこ遊技機Pでは、演出役物P560に対しエラーが発生し、可動演出動作が禁止される状況となった場合であっても、可動演出動作が禁止されていない状況と同様の発光態様にて演出役物P560の発光部を点灯制御させるように構成したが、可動演出動作が禁止されている状況下では、禁止されていない状況と異なる発光態様で演出役物P560の発光部を点灯させるようにエラー時専用の発光演出パターンを有するように構成してもよい。
また、演出役物P560の可動演出動作が禁止された場合であっても、予告演出や先読み演出等の演出役物P560の可動演出動作に対応して表示される予定であったエフェクト画像も可動演出動作が禁止されていない状況と同様に表示可能とすることで、先読み演出の期待度に係る情報を損なうことなく遊技可能に構成することができるようにしてもよい。
また、さらに、演出役物P560の可動演出動作が禁止された場合、対応する演出役物P560の可動演出動作が実行されるはずであったタイミングには、演出役物P560の動作に替えて、対応する演出役物P560の擬似役物動作画像を表示したり、演出役物P560の可動演出動作に対応する可動演出動作音声をスピーカP83から出力することによってエフェクト画像等の演出役物P560に対応する画像表示の意味を理解可能に構成するようにしてもよい。
(本実施例のぱちんこ遊技機の特徴構成)
《特徴構成1》
本実施例のぱちんこ遊技機は第1の特徴構成として以下の構成を有する。
遊技の進行を制御する主制御手段(主制御CPU)と、主制御手段の遊技の進行に合わせた演出の実行を制御する演出制御手段(演出制御CPU)と、演出制御手段によって制御される演出装置(演出表示装置P80、演出ランプP82、スピーカP83、演出役物P560など)と、演出装置に含まれ、所定の変位動作を実行可能な演出可動体(演出役物P560)と、を有する遊技機であって、主制御手段は、遊技の進行に基づいて所定の実行条件が成立した場合に、遊技者にとって有利となる特別遊技を実行し、特別遊技には少なくとも第1の特別遊技と、第1の特別遊技(10R通常大当り、4R確変大当り、4R通常大当り、小当りなど)よりも有利な第2の特別遊技(10R確変大当りなど)とを有し、演出可動体として、少なくとも第1演出可動体(上役物P650)と第2演出可動体(横役物P670、下役物P680)を有しており、演出制御手段は、特別遊技が実行されることを示唆する特定演出(上役物P650の第1演出動作パターン)を実行可能であり、特定演出は、第1演出可動体を特定態様で変位動作させる可動演出を実行可能とする演出であって、第2の特別遊技が実行される予定である場合、特定演出が実行されるときがあり、第1の特別遊技が実行される予定である場合には、特定演出が実行されないことを特徴とする遊技機。
本特徴構成を採用することにより、複数の演出役物P560を備える遊技機であって、特定の演出役物である上役物(キメ役物)が、特定の動作(第1演出動作パターン、キメ動作)を行った場合に獲得される特別遊技は、遊技者にとって有利な特別遊技であることが容易に認識できるようになり、演出の内容がシンプルかつ明瞭に構成できる。
《特徴構成2》
本実施例のぱちんこ遊技機は第2の特徴構成として以下の構成を有する。
遊技の進行を制御する主制御手段(主制御CPU)と、主制御手段の遊技の進行に合わせた演出の実行を制御する演出制御手段(演出制御CPU)と、演出制御手段によって制御される演出装置(演出表示装置P80、演出ランプP82、スピーカP83、演出役物P560など)と、演出装置に含まれ、所定の演出表示を行う演出表示手段(演出表示装置P80)と、演出装置に含まれ、所定の変位動作を実行可能な演出可動体(演出役物P560)と、演出装置に含まれ、所定の発光演出を実行する演出発光部(演出ランプP82、演出役物P560の発光部など)と、を有する遊技機であって、主制御手段は、遊技の進行に基づいて所定の実行条件が成立した場合に、遊技者にとって有利となる特別遊技を実行するか否かに係る当否抽選(特別図柄抽選)を実行し、演出制御手段は、当否抽選の結果に係る演出の実行パターンとして特定演出パターン(Aリーチ、Bリーチなど)を含む複数種類の演出パターンから実行パターンを選択可能であり、特定演出パターンは、当否抽選結果が特別遊技を実行する結果である場合に、演出可動体(上役物P650)を演出表示手段の前方の所定位置に変位動作させるものであり(上役物P650の第1演出動作パターンを実行)、演出可動体が所定位置に向けて移動する直前の所定期間(特殊期間)において、演出表示手段に特定表示(例としてブラックアウト表示など)を行い、演出可動体を所定位置以外の位置で停止させ、演出発光部の発光態様を特殊発光態様(減光態様または消灯態様)とすることを特徴とする遊技機。
本特徴構成を採用することにより、SPリーチ等にて特別図柄抽選の結果を報知するために上役物P650(キメ役物)が演出動作を行う演出(当落分岐ボタン演出)を実行する直前の特殊期間に、演出表示装置P80および演出ランプP82、演出役物P560(上役物P650)の動作を静寂態様(上役物P650に集中させる態様)とすることで、特殊期間後(演出操作手段P81の操作後)の演出役物P560(上役物P650)の動作に注目を集めるように構成でき、上役物P650の動作に伴う大当り獲得報知の演出効果を高めることができる。
《特徴構成3》
本実施例のぱちんこ遊技機は第3の特徴構成として以下の構成を有する。
遊技の進行を制御する主制御手段(主制御CPU)と、主制御手段の遊技の進行に合わせた演出の実行を制御する演出制御手段(演出制御CPU)と、演出制御手段によって制御される演出装置(演出表示装置P80、演出ランプP82、スピーカP83、演出役物P560など)と、演出装置に含まれ、所定の演出表示を行う演出表示手段(演出表示装置P80)と、演出装置に含まれ、所定の変位動作を実行可能な演出可動体(上役物P650、横役物P670、下役物P680)と、を有する遊技機であって、主制御手段は、遊技の進行に基づいて所定の実行条件が成立した場合に、遊技者にとって有利となる特別遊技を実行するか否かに係る当否抽選(特別図柄抽選)を実行し、演出制御手段は、当否抽選の結果に係る演出の実行パターンを複数種類の演出パターンから選択可能であり、演出表示手段に表示される表示内容には、表示内容によって表示優先度が予め定められており、演出の実行パターンとして、演出可動体の所定の変位動作を伴う演出パターンが選択された場合、演出表示手段に演出可動体の動作に関連する表示内容である可動体動作関連表示(役物動作エフェクト)を表示可能であり、演出の実行パターンとして、演出可動体の所定の変位動作を伴う演出パターンが選択された状況下において、可動体動作関連表示は、演出表示手段に表示され、特別遊技の実行有無に関連する表示内容である所定の予告演出表示(予告演出)よりも表示優先度が高いことを特徴とする遊技機。
本構成を採用することにより、予告演出と演出役物P560の動作が複合した場合に大当り期待度が、複合しない場合に比して高まる遊技機において、役物動作エフェクト(上役物動作エフェクトP870、横役物動作エフェクトP871、下役物動作エフェクトP872、役物全画面エフェクトP873など)の表示優先度を演出役物P560の動作に複合して実行される予告演出の表示優先度よりも高く設定することにより、役物動作エフェクトが予告演出等に隠れることなく、遊技者に対する視認性を高め、演出役物P560の演出動作が予告演出に複合して行われた旨や、大当り期待度に関連する役物全画面エフェクトの表示態様等が確実に認識できるよう構成できる。
《特徴構成4》
本実施例のぱちんこ遊技機は第4の特徴構成として以下の構成を有する。
遊技の進行を制御する主制御手段(主制御CPU)と、主制御手段の遊技の進行に合わせた演出の実行を制御する演出制御手段(演出制御CPU)と、演出制御手段によって制御される演出装置(演出表示装置P80、演出ランプP82、スピーカP83、演出役物P560など)と、演出装置に含まれ、所定の演出表示を行う演出表示手段(演出表示装置P80)と、演出装置に含まれ、それぞれ所定の変位動作を実行可能な複数の演出可動体(上役物P650、横役物P670、下役物P680)と、を有する遊技機であって、演出制御手段は、複数の演出可動体の少なくとも1の演出可動体に所定の動作異常(ステップ数オーバーエラー、ポジションチェックエラー、電源立ち上げなど)が検出された場合、主制御手段の遊技の進行に合わせた演出の実行中であっても、複数の演出可動体のそれぞれに対して、予め定められた処理順番で複数の演出可動体のそれぞれの初期位置へ復帰させるための初期位置復帰動作処理を実行可能であり、初期位置復帰動作処理の実行中において、現在初期位置への復帰動作が行われる処理順番となっている演出可動体に対しては、当該演出可動体の駆動源に対する復帰動作のための電力供給を行う一方で、現在の処理順番ではない他の演出可動体については当該他の演出可動体の駆動源に対して復帰動作のための電力供給を行わないことを特徴とする遊技機。
本特徴構成を採用することにより、遊技の進行中(特別図柄の変動表示中)に演出役物の動作異常が発生した場合、演出表示装置P80の前方に進出し得る演出役物P560全てについて、予め定められた順番にて初期位置に向けて復帰動作を行う処理(ただし既に初期位置の場合は無視)を実行するものであって、初期位置復帰動作処理を行っている演出役物P560の駆動源に対しては電力供給を行う一方で、その他初期位置復帰動作処理の対象でない演出役物P560の駆動源に対しては電力供給を行わないことで、演出役物P560の初期位置復帰動作処理に要する電力量を低減させることができ、その他の演出装置にの動作に影響を及ぼすことが無いようにすることができる。
《特徴構成5》
本実施例のぱちんこ遊技機は第5の特徴構成として以下の構成を有する。
遊技の進行を制御する主制御手段(主制御CPU)と、主制御手段の遊技の進行に合わせた演出の実行を制御する演出制御手段(演出制御CPU)と、演出制御手段によって制御される演出装置(演出表示装置P80、演出ランプP82、スピーカP83、演出役物P560など)と、演出装置に含まれ、所定の演出表示を行う演出表示手段(演出表示装置P80)と、演出装置に含まれ、それぞれ所定の変位動作を実行可能な演出可動体(下役物P680)と、演出可動体に備えられ、所定の発光演出を実行する演出発光部と、を有する遊技機であって、主制御手段は、遊技の進行に基づいて所定の実行条件が成立した場合に、遊技者にとって有利となる特別遊技を実行するか否かに係る当否抽選を実行し、演出制御手段は、当否抽選の結果に係る演出の実行パターンとして特定演出パターンを含む複数種類の演出パターンから実行パターンを選択可能であり、特定演出パターンは、第1演出期間(例えばノーマルリーチ)と第1演出期間よりも後の第2演出期間(例えばSPリーチ)とを有する演出パターンであり、第1演出期間において、演出発光部の発光態様を複数回切り替えることによって当否抽選の結果に係る示唆を行う第1演出期間発光演出(裏ボタンステップアップ演出)を実行可能であり、第1演出期間発光演出が実行された場合に、第2演出期間の実行中の所定のタイミングまで(例えば、SPリーチ中の当落分岐演出まで、あるいはチャンスアップ演出の発生まで)、演出発光部を第1演出期間発光演出の最終的な発光態様に関連した発光態様とすることを特徴とする遊技機。
本特徴構成を採用することにより、先行する演出期間において実行した演出役物P560を用いた演出(発光部の裏ボタンステップアップ演出)によって報知された大当り期待度を、後続の演出期間において継続して表示することによって、先行する演出期間における演出役物P560を用いた演出によって報知された大当り期待度を継続して確認しつつ、後続の演出にて実行される演出の内容に期待感を持って臨むことができるという新規で興趣性の高い演出を提供することができる。
[第2実施例]
第2実施例のぱちんこ遊技機Pは、上述の前提技術を基本構成とする他、種々の特徴的な構成を有する。以下、前提技術および本実施例との相違点を中心に説明し、共通点の説明を省略する。第2実施例のぱちんこ遊技機Pを構成する要素のうち、前提技術および本実施例で説明した要素と同一または対応する要素には同一の符号を付して説明する。
第2実施例のぱちんこ遊技機Pは、技術分野として演出制御基板に接続する操作手段を用いて実行中の演出内容に変化を与える遊技者操作演出を実行する遊技機に関する。
遊技機の分野においては、様々な仕様の遊技機が開発されるなか、1の課題として、遊技者操作演出の表示内容や表示方法(制御方法)についてより遊技者とって興趣性の高い遊技者操作演出が提供できないか模索されていた。
第2実施例のぱちんこ遊技機Pは上記の課題を鑑みたもので、興趣性の高い遊技者操作演出を備えた遊技機を提供することを目的とする。
第2実施例のぱちんこ遊技機Pは、特徴的な演出として以下の3つの演出を実行する。
まず一つ目の特徴的な演出としては、特別遊技状態(大当り遊技)の実行可能性に関する報知を行う演出(予告演出やリーチ演出)であり、演出ボタンP381や十字キーP383等の操作手段P81の操作により展開するボタン演出に属する。一つ目の特徴的な演出としてのボタン演出は、特に1の操作手段(演出ボタンP381)の連続的な操作を要求する操作有効期間内において、前述の1の操作手段(演出ボタンP381)以外の他の操作手段(レバーP382や十字キーP383等)の操作を要求する期間を発生させ、他の操作手段が有効であるときにおいて、遊技者が1の操作手段(演出ボタンP381)を操作するか、他の操作手段(レバーP382や十字キーP383等)を操作するかによって演出の展開内容が異なり得るように構成されたボタン演出である。第2実施例中では「バトル演出A」として説明を行う。
二つ目の特徴的な演出は、特別遊技状態(大当り遊技)の実行可能性に関する報知を行う演出(予告演出やリーチ演出)であり、演出ボタンP381や十字キーP383等の操作手段P81の操作により展開するボタン演出に属する。二つ目の特徴的な演出としてのボタン演出は、動的なアニメーションで展開される予告演出やリーチ演出に対し、演出ボタンP381等の操作を促すボタン画像をアニメーションの分岐可能箇所の前の所定タイミングで表示可能であり、当該タイミングで演出ボタンP381等を操作したか否かで予告演出やリーチ演出の展開に変化を与える予告演出である。第2実施例中では「バトル演出B」として説明を行う。
三つ目の特徴的な演出は、通常遊技状態における特別図柄の変動表示において実行される変動演出の実行に係る演出モードの設定や、特別遊技状態(大当り遊技)における演出内容(再生楽曲の選択)等に係る選択演出に属する。三つ目の特徴的な演出としての選択演出は、遊技者が演出内容を選択するに際しての補助機能を提供するものである。補助機能の例として、選択可能な演出内容群(複数の演出モードや、再生可能楽曲などの演出群)からランダムに一の演出内容を決定する「ランダム選択機能」や、予め定められた一の演出内容を推奨演出として提示する「オススメ紹介機能」などが挙げられ、これらの補助機能についての詳細は後述する。第2実施例中では「演出モード選択演出」として説明を行う。
第2実施例のぱちんこ遊技機Pによれば、興趣性の高い遊技者操作演出を備えた遊技機を提供することができる。
(バトル演出A)
最初に図41から図44を用いて、第2実施例における特徴的な演出の一つであるバトル演出Aに関して説明を行う。図41はバトル演出Aにおける演出序盤の表示例を示しており、図42、図43は図41(C)のタイミングにおける遊技者の操作態様に基づいて選択的に実行される演出を示している。図44は、バトル演出Aの結果表示画面の一例(大当り時)と、バトル演出Aにおけるボタン操作指示(図41(C)のタイミング)の変形例を示している。
図41は、上述の通りバトル演出Aの実行開始後から、分岐演出の実行タイミングまでを示している。バトル演出Aの実行タイミングは、特別図柄の変動表示の開始直後における予告演出として実行される場合や、図柄テンパイ後のリーチ演出として実行されるものなど任意のタイミングで実施可能であり、図41の例では、装飾図柄P801がリーチ態様となった後に実行されるリーチ演出として実行される例を表している。なお、バトル演出Aの実行タイミングは、演出の重要度に応じて適宜実行タイミングを設定可能であり、一の特別図柄の変動表示に合わせて実行される変動演出として実行されるものに限らず、先読み演出や大当り中のラウンド演出としても適宜実行可能である旨を補足しておく。
図41(A)は、第2実施例のぱちんこ遊技機Pにおいて、装飾図柄P801がリーチ態様を形成した後、バトル演出Aが開始された直後を表している。画面上には、向き合って表示される敵キャラクタ(ENEMY)と、遊技者側キャラクタ(PLAYER)および脇役としてのサポートキャラクタ(MOB)が表示されており、中央に演出ボタンP381の操作を促すボタン画像P881と、ボタン操作の有効期間を示す操作手段有効期間表示P885が表示されている。なお、図41(A)は、画面上のボタン画像P881の上に「READY!」と表示されており、ボタン操作の有効期間は開始されていない状況(操作手段有効期間表示P885がアクティブになっておらず、有効期間の減少が行われていない状況)であることを示している。また、画面上の中央上部には「ボタンを連打してMr.Bを倒せ!!」と表示され、バトル演出Aにおいて敵キャラクタ(ENEMY)を倒すことができれば、遊技者にとって有利な事象(大当り遊技の発生、さらなる高期待度リーチ演出への発展など)の発生が確定的となることを報知する演出であることを示している。
図41(B)は、図41(A)に示したバトル演出Aの導入演出部分が終わり、ボタン操作の有効期間が開始された後の演出態様を示している。画面中央より左下方向に図41(A)にて表示された3人のキャラクタが揉み合う画像が表示されており、画面右下方向に、ボタン画像P881および操作手段有効期間表示P885が表示されている。ボタン画像P881の上部には、「連打!!」という文字にて演出ボタンP381を連続的に素早く押下する連打を遊技者に対して促す目的である操作態様指示画像P886が表示されている。バトル演出Aにおいては、操作手段有効期間表示P885において有効期間が経過(満了)した旨を示す態様となる前に、図41(C)に示す分岐演出に移行する。なお、図示はされていないが、後述するバトル演出Bにおける敵ライフゲージ画像P891のように、演出ボタンP381の操作によって変化する指標となる表示を行ってもよい。
図41(C)は、バトル演出Aにおける演出展開を切り替えるために実施される演出である。画面左下領域には、敵キャラクタ(ENEMY)が攻撃を行っている画像と「DANGER」の文字列が表示されている。そして、画面右側領域には、ボタン画像P881に変えて、十字キー画像P883(図41(C)状では左キーと右キーが有効操作である旨を示唆している。)および操作手段有効期間表示P885が表示され、操作態様指示画像P886として「十字キーで避けて!!」という文字にて遊技者に十字キー操作を促している。なお、図41(C)においてはボタン画像P881に対してバツ印が重なって示される画像を画面右下下部に十字キー画像P883と比して小さく表示することで、ボタン画像P881を押さないように促す指示表示を伴っている。
バトル演出Aの分岐演出(図41(C))は、図41(B)における操作手段P81の操作手段有効期間表示P885が、有効期間が終了したことを報知する態様(操作手段有効期間表示P885のバーが全て黒くなる、または非表示となる)となる前に表示を開始する演出であり、図41(B)の演出が表示されているタイミングにおいて実行されている操作態様指示(P886)とは異なる操作態様指示(P886)が実行され、遊技者が図41(B)の表示から図41(C)に示す分岐演出に切り替わったタイミングで上手に反応して操作態様指示画像P886で指示された操作を実行できるかを判断する演出である。なお、図41(B)と図41(C)における操作手段有効期間表示P885は同一態様で表示を行っているが、有効時間そのものは、異なる時間が設定されており、特に分岐演出の実行時における操作手段P81に対する操作有効期間は短く構成されて、分岐演出における操作態様指示に対応する操作の実行の難易度を高めるように構成している。
図41(C)に示す分岐演出において、遊技者が操作態様指示画像P886にて指示された操作を操作手段P81に対して実行した場合には、図43に示す演出内容の表示を行う演出展開に切り替えられる一方、遊技者が分岐演出における操作態様指示(P886)の操作を実行しなかったり、図41(B)における操作態様指示(演出ボタンP381の連打操作)を継続して行ってしまった場合には、図42に示す演出内容の表示を行う演出展開への切り替えを行う。すなわち図41(C)においては、演出ボタンP381に対する有効期間表示の(P881、P885の表示)は行わないものの、実際には演出ボタンP381の有効期間は継続しており、演出ボタンP381の押下により遊技者にとって不利であるかのように展開する演出内容の表示への切り替え判定を行っている。
なお、図41(B)の演出が実行されている期間において、操作態様指示画像P886の指示に従わず、操作手段P81に対して何ら操作を行わなかったり、分岐演出が行われることを見越してゆっくり操作する等の対策を遊技者が講じると、分岐演出の難易度が低下してしまい、演出の興趣性、公平性が低下してしまう恐れがあるため、図41(B)に示される演出が実行されている期間に表示されている操作態様指示画像P886に応じて、操作手段P81に対しての操作回数や操作間隔が条件を満たしているか否かを判定し、分岐演出(図41(C))の実行有無を切り替えてもよい(分岐演出の実行がない場合には図42に示す演出展開への切り替えを行う)。なお、分岐演出における操作手段有効期間表示P885の表示を意図的に遅くしたり、有効期間自体を極めて短い時間(0.5秒等)とすることによって分岐演出への切り替えは行うが、分岐演出における操作態様指示画像P886の操作条件を達成する困難性を高めるようにして演出の興趣性、公平性を保つように構成してもよい。
また、分岐演出は、演出内容決定処理において決定された演出パターンに応じて、図41(B)の表示からの切り替えタイミングが異なるように構成されているとともに、図41(B)の分岐演出前の操作態様指示(P886)と、図41(C)の分岐演出における操作態様指示(P886)も図に示す実施例とは異なるパターンを設定可能である旨を補足しておく。図41(B)から図41(C)に切り替わるタイミングを複数設けていても、図41(B)において、慣れ等により操作手段有効期間表示P885より切り替わりタイミングが推定可能になる恐れがあるため、図41(B)の期間においては、操作手段有効期間表示P885を伴わないボタン画像P881としてもよい。
さらに、分岐演出は、分岐演出の実行前の表示(図41(B))から突如切り替わるように構成しているため、分岐演出開始直後は、図41(B)に示した操作態様指示(P886)の操作を遊技者が実行してしまう蓋然性が高い。そのため、分岐演出の開始直後においては、図41(B)に示した操作態様指示(P886)に対応する操作に対し、所定回数の操作や、所定期間における操作入力を無効操作として取り扱い、不利な演出展開(図42)への切り替えを行わない「セーフ期間(またはセーフ条件)」が設けられている。また、分岐演出における操作態様指示への反応を補助するために、演出表示装置P80において、分岐演出が表示されるよりも少し前(例えば0.2秒前)から、演出ランプP82やスピーカP83より分岐演出に対応する発光演出や音演出を開始するように構成し、演出表示装置P80から遊技者が目をそらしていても再び演出に注目させ、分岐演出における操作態様指示(P886)に対応できるようにしてもよい。また、上記セーフ期間においては、分岐演出は実行する一方、操作手段有効期間表示P885を表示しないよう構成してもよい。
図42は、図41(C)に示した分岐演出において、遊技者が操作態様指示画像P886の指示に応じた操作を実行できなかった場合に展開する演出である。
図42(A)は、敵キャラクタ(ENEMY)が、演出上優勢であることを示すために、敵キャラクタ(ENEMY)が攻撃している態様を示している。続いて、図42(B)においては、遊技者側キャラクタ(PLAYER)とサポートキャラクタ(MOB)が倒れて演出が失敗したことを示すとともに、画面中央に「残念」という文字列と、装飾図柄P801の最終停止図柄である中図柄P801b(4)がリーチ図柄(3)とは異なる態様にて停止表示(仮停止表示)されている。
バトル演出Aが実行された変動がハズレである場合や、バトル演出A以降の演出に発展しない変動演出パターンである場合においては、図42(B)に示す表示にて装飾図柄P801が停止表示され、変動演出が終了する。
一方、バトル演出Aが実行された変動が大当り変動である場合や、バトル演出A以降の演出に発展する変動演出パターンである場合には、図42(B)の表示から、図42(C)の表示(他のサポートキャラクタの登場による復活演出)へと移行し、その後の演出展開により、大当り遊技の実行や他の高期待度演出への発展が示唆されることとなる。
図43は、図41(C)に示した分岐演出において、遊技者が操作態様指示画像P866の指示に応じた操作を実行した場合に展開する演出である。
図43(A)には、遊技者側キャラクタ(PLAYER)と「回避成功!!」の文字列が表示されており、図41(C)の分岐演出において、敵キャラクタ(ENEMY)が繰り出した攻撃を遊技者側キャラクタ(PLAYER)が回避している様子が示されている。
図43(B)は、図43(A)に続く演出として表示される演出であり、遊技者側キャラクタ(PLAYER)と、「CHANCE」の文字列が表示され、バトル演出Aが遊技者にとって優位に展開する可能性が高い(すなわち大当りとなる期待度高い、あるいはバトル演出A以後の高期待度演出への発展期待度が高い)ことを示している。
また、図43(B)においては、ボタン画像P881とともに、演出ボタンP381に対する連打操作を促す「連打!!」の文字列で示される操作態様指示画像P886と、操作手段有効期間表示P885が表示されている。さらに遊技者側キャラクタ(PLAYER)に重ねて「気合タメが継続するほどダメージアップ」という文字列が表示され、遊技者が演出ボタンP381を操作することに基づいて、例えば、青色、緑色、赤色、金色と遊技者側キャラクタ(PLAYER)に付加的に表示されるエフェクト(気合)がステップアップ表示される演出が段階的に継続表示されることで、遊技者にとって優位に展開する可能性が高いことを示唆する演出が表示されることが示唆されている。図43(B)に示す演出は、操作手段有効期間表示P885によって示される操作手段P81の有効期間が経過するまでの間表示が継続され、操作手段P81の有効期間が経過すると気合タメ(ステップアップ演出)の進行状況に応じた所定の演出表示を行った後、図43(C)に示されるような演出画像展開へと移行する。
図43(C)は、図43(B)の後に表示される演出画像であり、遊技者側キャラクタ(PLAYER)が攻撃を繰り出している画像が表示されている。
図44(A)は、図42(C)や図43(C)に続いて表示される可能性がある演出であり、バトル演出Aの表示によって、遊技者にとって有利な事象(大当り遊技の実行、高期待度演出への発展)が発生することが報知される際に表示される画像表示である。図44(A)の例では、リーチ演出として実行されたバトル演出Aの結果として大当り遊技が実行されることが報知される表示となっており、装飾図柄P801の内、最終停止図柄となる中図柄P801bが画面中央に表示され、既に表示されていた左図柄P801aと右図柄P801cとによって3つの装飾図柄P801が同一図柄で表示されている状態が示されている。
このように、バトル演出Aでは、ボタン演出である分岐演出を、先に実行中のボタン演出の操作手段有効期間表示P885が有効期間を終了したことを報知する態様となる前において発生させるとともに、分岐演出と先に実行中のボタン演出とで異なる操作態様指示画像P886を表示させ、分岐演出の実行時における遊技者の操作手段P81に対する操作に基づいて演出表示内容を有利または不利な態様にて表示させるように制御することで、ボタン演出としての興趣性が高いバトル演出Aを遊技者に提供可能としている。
図44(B)および図44(C)には、バトル演出Aにおける分岐演出(図41(C))の変形例を示している。
先の図41(C)に示した分岐演出では、操作手段P81に対する遊技者の操作を要求するものとしていたが、図44(B)に示す例では、ボタン画像P881及び操作手段有効期間表示P885に加えて、「押すな!」という文字列とバツ印の画像で示される操作態様指示画像P886(非押下を指示する画像)が示されている。すなわち遊技者が演出ボタンP381を操作しないことによって演出が優位に展開することが示されるものとなっている。具体例としては、図43(A)に示す展開のように、「回避成功!!」と表示する等が挙げられる。
このように、分岐演出は、必ずしも操作手段P81に対する操作を求めるものではなく、非操作を求めるように構成してもよい。なお、分岐演出前において、ボタン操作が所定回数以上行われている、所定間隔より短い間隔で操作されている等の操作条件が満たされていない場合には、非操作態様を要求する変動演出パターンが選択されている状況であっても、非操作態様を要求する変動演出パターンではなく、操作手段P81に対する何らかの操作を求める態様に変更してもよい。
なお、図44(B)に示す例において、「押すな!」という文字列とバツ印の画像で示される操作態様指示画像P886(非押下を指示する画像)が表示されている期間に、遊技者が演出ボタンP381の操作の操作を行ってしまった場合には、一例として、図42(A)に示すような敵キャラクタ(ENEMY)が攻撃を仕掛けている演出展開に切り替わるものとなっており、遊技者にとって演出展開が不利な展開の表示が行われるように構成されている。
また、図44(C)に示すように、操作手段有効期間表示P885の中に、操作無効期間あるいは非押下期間を示す特殊期間画像P889を含むように構成し、通常の有効時間表示が進行している状況と特殊期間画像P889が進行している状況とで異なる操作態様を要求するように構成してもよい。なお、このように構成した場合には、特殊期間画像P889に対応する非押下期間においては、ボタン画像P881にバツ印の画像を重ねて表示してもよい。
また、前述した第2実施例としてのバトル演出Aにおける図41(B)、(C)間の操作態様指示画像P886の指示は、異なる操作手段P81の操作を指示するものであったが、他の変形例として、図41(B)と、分岐演出(図41(C))との間で共通の操作手段P81(例えば演出ボタンP381)の操作を促すように構成し、操作態様指示画像P886として操作手段P81(演出ボタンP381)に対する操作態様を異ならせるように構成(例えば「連打」と「長押し」を操作態様として指示する構成)してもよい。
なお、上述したバトル演出Aにおける演出ボタンP381に対する連打操作を促す演出の実行時において、前述した「オート連打」操作を有効にしてもよい。即ち、演出ボタンP381に対する連打操作を促す演出の実行時において、「長押し」操作を実行することにより、「連打」操作が実行されたと見做して繰り返し処理が実行されるよう構成してもよい。
(バトル演出B)
次に図45から図48を参照しながら第2実施例のぱちんこ遊技機におけるバトル演出Bに関して説明を行う。図45から図48の各々はバトル演出Bの進行中に表示される画面例であり、表示の順番等は無く、1つの図で示される演出によってバトル演出Bが構成されてもよいし、2以上の図によって示される演出例を組み合わせてバトル演出Bが進行するように構成されていてもよい。第2実施例のぱちんこ遊技機では、図45から図48に示す複数の演出が、演出決定処理によって決定された変動演出パターンに従って、順番に表示される。なお、表示順番は同一の演出を繰り返し実行したり、1回の変動演出パターン中に複数回の表示タイミングが設定されているものであってもよい。
バトル演出Bは、例えば図45に示されるように遊技者側キャラクタ(PLAYER)と敵キャラクタ(ENEMY)とが戦っている演出表示を行い、ボタン演出として操作態様指示画像P886の指示する態様にてボタン操作が行われた場合に、画面上部の演出進展状況示唆画像(敵ライフゲージP891)であるメーター表示が減少していき、敵ライフゲージP891が目標量(メーターが全てなくなる、残量が基準値を下回る)に到達した場合に、バトル演出Bが実行されている特別図柄の変動表示において、大当り遊技の実行やバトル演出B以降により高期待度の演出に発展することが示唆され、遊技者に有利な展開が実行されることが報知される演出となっている。
図45から図48に示すバトル演出Bの各例では、2つの装飾図柄P801が同一の4図柄で表示されており、リーチ演出の一環としてバトル演出Bが実行されている態様を示している。なお、図中の左下に表示されている他の演出進展状況示唆画像(遊技者側ライフゲージP892)であるメーター表示は、敵キャラクタ(ENEMY)が攻撃を行うことにより、減少する場合がある表示であり、特定の表示態様(メーターが全てなくなる、残量が基準値を下回る)になると、バトル演出Bが実行されている特別図柄の変動表示において、はずれとなることが報知されたり、はずれとなる可能性が高まっているかのように不利に演出展開する態様で演出表示が行われることとなるよう構成されている。
《バトル演出Bの演出例1》
図45は、バトル演出Bの表示例の一つであり、遊技者側キャラクタ(PLAYER)が敵キャラクタ(ENEMY)に対して攻撃を行っている演出が実行されている態様を示している。この表示が実行されている状況におけるボタン演出では、操作態様指示画像P886の指示に従った操作が行われることによって、敵ライフゲージP891が減少していく演出が実行される。
図45の例では、操作態様指示画像P886の指示として、「ターゲットにマークが入ったらPUSHボタンを押して!!」という文字列により、ターゲット画像P890に対し、ボタン画像P881が重なったタイミングにて、遊技者がマークとして示唆されている操作手段P81である演出ボタンP381を操作することによって、敵ライフゲージP891が減少する演出であることを示唆している。
図45においてボタン画像P881は4つ表示されており、移動方向P896の方向に向かって徐々に拡大しながら移動している態様を示している。各ボタン画像P881は、ターゲット画像P890の位置に到達するタイミングで、ターゲット画像P890とボタン画像P881が略同等のサイズとなるようになっている。このため、次に操作に対応するボタン画像P881が最も大きく表示されるようになっており、遊技者が操作に対応するボタン画像P881に注目しやすく、複数のボタン画像P881が表示されていても、ボタン画像P881の移動およびボタン画像P881の拡大表示にて、遊技者に操作すべきタイミングを計りやすい構成となっている。なお、ボタン画像P881がターゲット画像P890内に位置しないタイミングにて操作すると、遊技者側キャラクタ(PLAYER)の攻撃が失敗することにより、敵ライフゲージP891が減少しないように構成されているが、タイミングには所定の許容範囲が設けられるように構成されている。なお、不図示であるが、ボタン画像P881がターゲット画像P890内に位置しているタイミングにて操作すると、成功演出(例えば、「GOOD!!」と表示される演出)が実行され、ボタン画像P881がターゲット画像P890内に位置しないタイミングにて操作すると、失敗演出(例えば、「BAD・・」と表示される演出)が実行されることとなる。
ボタン画像P881はターゲット画像P890の中心位置に到達するタイミング(またはその直前)において最も大きなサイズになるように拡大表示され、成功演出の対象として制御されている期間は、ボタン画像P881は同サイズに維持される。そして、ボタン画像P881のターゲット画像P890に対する相対位置が失敗演出の対象となった場合には、ボタン画像P881は縮小されながらターゲット画像P890の中心位置と離間する方向に移動表示され、演出ボタンP381の操作の対象から外れるタイミング(またはその前後)においてボタン画像P881は消去されるようになっている。
ボタン画像P881は、図示されているように複数を同時に表示可能であり、ターゲット画像P890の近傍にボタン画像P881が表示される際に演出ボタンP381の操作がなされた場合や、遊技者が操作を行わずにボタン画像P881がターゲット画像P890を超えて移動した場合に、対応する1のボタン画像P881(本例では、失敗演出の対象となる前のボタン画像P881であり、最もターゲット画像P890の中心位置に近いボタン画像P881)は消去され、演出の実行中には新たなボタン画像P881が追加で表示され得るようになっている。また、遊技者が演出ボタンP381の操作を行ったタイミングにおける、ターゲット画像P890とボタン画像P881との重なり度合いによって、成功演出の態様を異ならせてもよい。例えば、ターゲット画像P890とボタン画像P881の中心が一致する適切なタイミングであれば、成功演出として「EXCELLENT!!」と表示し、ターゲット画像P890とボタン画像P881の中心が若干ずれているタイミングであり許容範囲となる適当なタイミングであれば成功演出として「GOOD!!」と表示されるように構成する例が挙げられる。尚、後述される図46から図48の例においても、ボタン画像P881の消去や表示開始は同様の態様にて演出内容に合わせて適宜実施される。
《バトル演出Bの演出例2》
図46は、バトル演出Bにおける敵キャラクタ(ENEMY)の攻撃タイミングにて表示される演出画像例を示している。第2実施例のぱちんこ遊技機におけるバトル演出Bでは、他の演出進展状況示唆画像として、遊技者側ライフゲージP892が表示されており、図46に示す演出表示例では、敵キャラクタ(ENEMY)の攻撃を操作手段P81の操作に基づいて未然に防ぐことで遊技者側キャラクタ(PLAYER)が防御/回避行動を行い、遊技者側ライフゲージP892が減少しないといった演出表示が実行されることを示している。
図46に示す例では、操作態様指示画像P886として、「連打」と「敵ボタンがターゲットに入る前に破壊して!!」という表示が行われており、ボタン画像P881が合わせて表示されることにより、遊技者が演出ボタンP381に対して複数回の入力操作を行わなければならないことを示している。
また、図46には、敵キャラクタ用ボタン画像P893(敵キャラクタの攻撃が成立するタイミングを示唆するオブジェクト画像)が表示されており、ターゲット画像P890に向かって移動方向P896に沿って移動しながら近づくように構成されている。この敵キャラクタ用ボタン画像P893が、ターゲット画像P890に重なる前に、予め定められた演出ボタンP381の操作条件を満たさなければならない態様にて演出表示が行われる。敵キャラクタ用ボタン画像P893が表示されている期間においても、操作手段有効期間表示P885を表示することによって演出ボタンP381の有効期間を示唆するよう構成してもよい。そのように構成した場合には、操作手段有効期間表示P885を所定の表示領域に固定的に表示してもよいし、敵キャラクタ用ボタン画像P893の移動に伴って移動するよう表示してもよい。
図46の演出例では、遊技者が演出ボタンP381を操作したことによって発生しているエフェクトがボタン画像P881から敵キャラクタ用ボタン画像P893に向かって発生し、敵キャラクタ用ボタン画像P893を破壊しようとしている表示が行われている。図示はしていないが、敵キャラクタ用ボタン画像P893は、操作条件の達成が近づくにつれて、徐々に赤く点滅するなどの変化表示が行われ、操作条件が達成されると、爆散して消滅することにより、敵キャラクタ(ENEMY)の攻撃が不成立となったことが示される。
なお、バトル演出Bでは、遊技者側ライフゲージP892を減少させることにより、バトルに負けてしまうかもしれない(特別図柄の変動表示が「はずれ」となる不利な展開になってしまうかもしれない)という緊張感を遊技者に与えるように構成するために、敵キャラクタ用ボタン画像P893の表示を伴わない敵キャラクタ(ENEMY)の攻撃が行われる場合があってもよいし、現実的には達成できないような達成条件(破壊条件)の敵キャラクタ用ボタン画像P893の表示を行うように構成してもよい。
《バトル演出Bの演出例3》
図47は、バトル演出Bの他の表示例を示している。図47の演出表示例では、遊技者側キャラクタ(PLAYER)に加えてサポートキャラクタ(MOB)が表示されており、二人で敵キャラクタ(ENEMY)に対して攻撃を行う表示が行われる演出が実行されていることを示している。
図47における操作態様指示画像P886の指示は、図45における指示と同様に、ターゲットにマークが入ったら操作手段P81を操作することを指示するものであるが、その相違点として、演出ボタンP381および十字キーP383の左キーを操作することを遊技者に要求している点で相違している。なお、第2実施例のぱちんこ遊技機におけるバトル演出Bでは、演出ボタンP381の操作により遊技者側キャラクタ(PLAYER)による攻撃、十字キーP383の操作によりサポートキャラクタ(MOB)による攻撃が行われるよう構成されている。
画面右上方向には、演出ボタンP381の操作タイミングを示唆するための円形のターゲット画像P890と、十字キーP383の左キーの操作タイミングを示唆するための四角形のターゲット画像P890とが表示されており、それぞれのターゲット画像P890に向かってボタン画像P881と、十字キー画像P883とが移動している(移動方向P896)態様が示されている。
また、複数のボタン画像P881と十字キー画像P883の右側領域には、四角形で囲まれた領域に操作態様指示画像P886として「連打」の文字列と、複数のボタン画像P881および十字キー画像P883が重ねて表示される特殊操作期間画像P897が表示されている。この特殊操作期間画像P897は、特殊操作期間画像P897の一部が各ターゲット画像P890に重なる期間に、内部のボタン画像881(十字キー画像P883)がターゲット画像P890に重なっているか否かを判断することなく、遊技者の演出ボタンP381(十字キーP383)の操作に基づき遊技者側キャラクタ(PLAYER)による攻撃が行われ敵ライフゲージP891が減少する演出が実行される演出期間であることを示す表示である。
なお、上述の説明においては、遊技者側キャラクタ(PLAYER)とサポートキャラクタ(MOB)による攻撃が実行される態様として示したが、図47の表示期間の所定タイミングにおいて、図46に示したような敵キャラクタ用ボタン画像P893、および敵キャラクタ用ボタン画像P893の破壊条件達成のための操作態様指示画像P886やボタン画像(遊技者側キャラクタ等の攻撃用の操作手段とは異なる操作手段の操作を促す画像が好ましい)等を表示するように構成してもよい。また、遊技者側キャラクタの攻撃を主とする演出表示中に敵キャラクタ用ボタン画像P893の表示を行う例については、図45、図48に示す他の例においても実施可能としてもよい。
《バトル演出Bの演出例4》
図48は、バトル演出Bにおける表示例の一つであり、遊技者側キャラクタ(PLAYER)とサポートキャラクタ(MOB)、敵キャラクタ(ENEMY)が揉み合っている状態を表示している。
図48に示す演出例では、図45から図47に示した他の演出例とは異なり、操作手段P81に対する遊技者操作を指示するボタン画像P881等に対し、ターゲット画像P890が移動表示される態様で実行される点で相違する。そのため、操作態様指示画像P886は「ターゲットがマークに重なったらボタンを押して!!」との表現となっている。
図48の例ではボタン画像P881が各キャラクタの周囲にらせん状に配置され、操作順番が早いものほど大きいボタン画像P881にて表示されている。図48の例ではターゲット画像P890が反時計回りにらせん状の移動軌跡にて移動表示されるとともに、各ボタン画像P881と重なる位置にて遊技者に演出ボタンP381の操作を要求する演出となっている。各ボタン画像P881は、図45の例と同様に、ターゲット画像P890がボタン画像P881と重なるタイミングにてターゲット画像P890と略同等の大きさとなるように、徐々にその場で拡大表示されるようになっており、遊技者として、次の操作に対応するボタン画像P881がどのボタン画像であるかが識別可能であるとともに次のボタン画像と移動表示されるターゲット画像P890とに注目してボタン操作のタイミングを計ることが可能となっている。
以上の図45から図48を用いて説明したように実行されるバトル演出Bによれば、動的に表示される演出アニメーション画像のキャラクタ等表示オブジェクトの表示に合わせて、ボタン画像等の演出示唆画像を表示させ、タイミングを合わせて操作させるなど、多様な操作態様の要求と演出表示の展開との関連性の高い演出表示を行う興趣性の高いボタン演出の提供を可能とする。
また、第2実施例のバトル演出Bにおいては、ボタン操作のタイミングを示唆するターゲット画像P890およびボタン画像P881等の少なくともいずれか一方を、他方に対して相対的な位置が変化するように動的に表示するとともに、ボタン画像P881のサイズを徐々に拡大することにより、ターゲット画像P890とボタン画像の相対的な大きさ関係を変化させることによっても操作タイミングを計ることを可能としているため、演出状況により多様な場所にターゲット画像P890、ボタン画像P881等が表示されたとしても、遊技者に操作を促すタイミングの報知や対象のボタン画像P881の順番の報知を適切に実施可能となっている。
なお、第2実施例においては、いずれか一方が動的に表示されるターゲット画像P890とボタン画像P881等を相対位置の関係と、相対的な大きさの2条件を変更するように構成したが、ターゲット画像P890とボタン画像P881とを、略同一座標を中心位置として同数表示させて、ボタン画像P881の拡大表示とターゲット画像P890の縮小表示によって(あるいはボタン画像P881の拡大表示とターゲット画像P890の縮小表示の一方の表示によって)双方の大きさの関係を基に操作タイミングを示唆するように構成するものであってもよい。
また第2実施例のぱちんこ遊技機におけるバトル演出Bは、ボタン演出としての同等の制御を有するものであれば、演出の表示態様が「バトル」という種類の演出に限らず、適宜適用して実施可能なものである。また、以下のような演出および制御の変更例を有するものであってもよい。
図46の例で示した敵キャラクタ用ボタン画像P893は、遊技者側キャラクタ(PLAYER)が攻撃アクション等を行う際に用いられるボタン演出のボタン画像と略同等のボタン画像(遊技者操作と誤認することを避けるため配色等を変更したり、付加的な表示がなされたものが好ましい)としてもよく、遊技者側キャラクタ(PLAYER)と敵キャラクタ(ENEMY)が対等な条件で戦っているかのように見せるように構成してもよい。また、敵キャラクタ用ボタン画像P893の破壊を達成したか否かによって、次に攻撃を行うキャラクタが遊技者側キャラクタ(PLAYER)とするか敵キャラクタ(ENEMY)とするかを異ならせるようにして、ボタン操作及び操作に応じた演出表示を組んだ演出展開の表示がなされるように構成してもよい。
また、図47の例で示したように、2つの操作手段(2つ以上の操作手段でもよい)について操作を要求するにあたって、2種類以上のボタン画像P881、十字キー画像P883等が同時にターゲット画像P890に到達するように構成し、同時操作が実行されなければ、有効入力とせず、失敗態様の演出がなされるように構成してもよい。
他の変形例としては、演出ボタンP381の操作を操作態様指示画像P886の指示通りに連続的に操作できた回数等の情報をカウント(コンボ回数と呼ぶ)し、コンボ回数が増加するにしたがって、コンボ回数の値をフィードバック情報として演出の実行中に演出内容の差し替え等の抽選を行い、演出ボタン画像P881等の操作手段P81の操作指示画像の出現数を増加させたり、敵ライフゲージP891が減少する量を増加させたりする等の内容変更制御をリアルタイムに実行する演出制御を行うことによって、遊技者に有利な結果が示唆される可能性を高めるように演出展開を行ってもよい。
また、前述した第2実施例中のバトル演出Bでは、画面左下に遊技者側ライフゲージP892を表示することによって、遊技者にとって不利な演出が表示される可能性およびタイミングに関する示唆を行う表示を行うように構成していたが、画面左下のメーター表示の役割を変更し、例えば遊技者側に有利となるボタン操作の有効操作(遊技者側キャラクタ(PLAYER)の攻撃となる操作)に基づいてメーター表示(P892)を増加させ、メーターが特定の表示(満タンとなる、基準値を超える)となる場合に、遊技者側キャラクタ(PLAYER)が必殺技を繰り出して、バトル演出Bの結果を表示するように構成してもよい。
また、遊技者側ライフゲージP892又は敵ライフゲージP891が増加又は減少する量は、ボタン操作のタイミングによって相違するよう構成してもよい。具体例としては、ボタン操作のタイミングとして最も適切なタイミング(例えば、ターゲットにマークの全てが重なっているタイミング)でボタン操作を行った場合には、「EXCELLENT!!」と表示して敵ライフゲージP891を半分減少させ、ボタン操作のタイミングとして2番目に適切なタイミング(例えば、ターゲットにマークの一部が重なっているタイミング)でボタン操作を行った場合には、「GOOD!」と表示して敵ライフゲージP891を1/4減少させ、ボタン操作のタイミングとして適切でないタイミング(例えば、ターゲットにマークが重なっていないタイミング)でボタン操作を行った場合には、「BAD・・」と表示して敵ライフゲージP891を減少させないよう構成してもよい。
その他の変形例としては、バトル演出Bの実行中における遊技者側に有利な展開となるボタン操作(遊技者側キャラクタ(PLAYER)の攻撃となる操作)に基づいて、敵キャラクタがアイテムを落下させ、その後の演出において、落下したアイテム(ドロップアイテム)を使用可能としてもよい。ドロップアイテムの使用例としては、バトル演出Bの実行されている特別図柄の変動表示や、後に実行される特別図柄の変動表示における大当り遊技の実行期待度を報知するものとしてチャンスアップ報知に使用するものとしたり、変動演出の決定傾向を遊技者の好みに変更、BGMとして再生される楽曲として選択することが可能な楽曲を追加等のカスタマイズ機能の追加を実行したりすることなどが考えられる。
また、第2実施例に説明した図44から図48の例では、2次元のアニメーションデータを表示する演出例にて例示したが、3Dデータの画像をリアルタイムに描画するような演出表示方式を採用する遊技機であれば、さらに詳細な制御により演出内容に変化を加えることができる。例えば、遊技者側キャラクタ(PLAYER)が、敵キャラクタ(ENEMY)に対してパンチを繰り出す3D動画が出力されている際に、遊技者側キャラクタ(PLAYER)の四肢に重ねてボタン画像P881を短期間(0.5秒)だけ重ねて出力し、同期間に演出ボタンP381の操作を実行できたか否かで敵キャラクタ(ENEMY)に負傷したテクスチャを重ねて表示するか否かを異ならせるなどの手法も採用できる。
このような3Dデータに基づく演出表示の場合には、第2実施例のようにターゲット画像P890とボタン画像P881を用いてタイミングを計るのではなく、リアルタイムに描画されている遊技者側キャラクタ(PLAYER)の攻撃にあわせて遊技者が操作することで演出内容が変化する(敵キャラクタ(ENEMY)に負傷効果が追加表示される等)ように構成してもよいし、遊技者側キャラクタ(PLAYER)を正面視する画像表示の際に、十字キー画像P883とボタン画像P881が、それぞれ右腕と左腕に対応して表示され、十字キーP383あるいは演出ボタンP381のいずれを操作したかによって、パンチを繰り出す腕が右腕または左腕のいずれかとする表示をするかを切り替える(あるいは交互に操作したほうが一方のみを連続して操作した場合よりも攻撃回数が増える等して効率的に攻撃できるように制御する)等の攻撃パターンの変化をつける表示を行ってもよい。
(演出モード選択演出)
続いて、図49から図51を用いて、第2実施例におけるぱちんこ遊技機において実行される演出内容(演出モード、BGM楽曲、発展する予告演出の内容の選択、その他カスタマイズ等)を遊技者の任意に選択可能とする演出に関する特徴的な内容に関して説明を行う。第2実施例中においては、大当り遊技中の特定のラウンドや大当り終了デモ演出期間において実施されることが多い、大当り遊技後の特定遊技状態における演出モードを選択する演出である「演出モード選択演出」を主な実施例として説明を行う。なお、図中に示される表示内容に関し、前提とするぱちんこ遊技機と同様のものである表示内容に関して、必要がない限り説明を省略する。
図49に示す表示例では、大当り遊技における10回目の単位遊技(10回目のラウンド遊技)が実行されているタイミングで、特定遊技状態における演出モードを選択させる演出を表示している例を示している。図49の例では、画面略中央から画面左側領域にかけて、扇形に展開する選択対象オブジェクト画像P856(演出モードAから演出モードDとして表示されている画像)と、現在の選択対象を示す枠状の選択カーソルP857とが表示され、特定遊技状態における演出モードとして演出モードBが選択可能(決定操作可能)な状態であることが示されている。
図49の表示では、演出モードDに関する選択対象オブジェクトP856について、灰色で表示され、他の演出モードAから演出モードCに対する選択対象オブジェクトP856のオブジェクトと異なる表示態様となっている。このように灰色で表示される選択対象オブジェクトP856は、演出未開放オブジェクトであり、後述する選択操作によって選択することが不可能な状態の演出モード(演出内容)であることが示されている。演出モードDのような未開放の選択対象オブジェクトP856は、大当り遊技と特定遊技状態が繰り返して行われる連荘の回数や、通常遊技状態における特別図柄の変動表示の変動表示回数、変動演出として特定のパターンの変動演出に当選する等の様々な要因によって開放状態となり、選択操作により選択可能な選択対象オブジェクトP856として背景白色の表示に切り替わるよう構成されている。
また、図49の例では、選択カーソルP857によって選択されている演出モードBについては、対応する演出の演出概要を「モード説明」として表示し、遊技者が演出内容の選択を行うにあたっての参考情報を提示している。なお、不図示ではあるが、選択対象オブジェクトとしての演出モードは、演出モードAから演出モードDのみに限らず、他の演出モードについても選択可能としてもよく、図49の例では全選択対象オブジェクトの内、4つを上限として表示するものであり、選択カーソルP857に表示している選択対象オブジェクトP856の種類によって上下に表示される選択対象オブジェクトP856の種類を円環状にシフト変更しながら異ならせるように構成している。
続いて、図49から図51に示される演出モード選択演出の演出内容(演出モード)の選択操作および操作に基づく表示例に関する説明を行う。
まず、図49には、演出内容の選択操作に関する表示として、選択方法説明画像表示領域P858に、十字キー画像P883及びボタン画像P881が表示されている。ここで、ボタン画像P881に続けて「で決定」という文字列が表示されて演出ボタンP381の操作に基づいて、選択カーソルP857にて示される現在の選択対象オブジェクトP856を遊技者の選択した演出内容として決定することが示されている。
十字キー画像P883には、上キー、下キーの上下方向に「モードを変更」という表示が行われており、十字キーP383の上キーまたは下キーを操作することによって、選択する選択対象オブジェクトP856を上のオブジェクト(図中の例では演出モードC)または下のオブジェクト(図中の例では演出モードA)に変更することが示されている。選択している演出モードを変更する操作では、対応するオブジェクトが選択カーソルP857の位置に移動表示され、他の選択対象オブジェクトも追従して同方向にシフト表示される。
なお、図49において選択カーソルP857が演出モードCに位置している状況にて十字キーP383の上キーを操作した場合、換言すると、演出モードDに関する選択対象オブジェクトP856のような演出未開放オブジェクトに選択カーソルP857を合わせるための操作をした場合には、演出モードDに関する選択対象オブジェクトP856に選択カーソルP857が位置するが、演出ボタンを操作しても決定されず、選択できない旨の音声が出力されるよう構成してもよいし、演出モードDに関する選択対象オブジェクトP856を飛ばして、その上の選択対象オブジェクトP856(例えば、演出モードEに関する選択対象オブジェクトP856)に選択カーソルP857が位置するよう構成してもよい。
そして、十字キー画像P883の左キー、右キー画像の側方には、「ランダム」という文字列と、「オススメ」という文字列とが表示されている。すなわち、演出モード選択演出の実行中(図49の画像表示中)において、左キーを操作すると「ランダム選択機能」により演出内容(演出モード)の選択が可能であり、右キーを操作すると「オススメ演出選択機能」により演出内容(演出モード)の選択が可能であることが示されている。「ランダム選択機能」および「オススメ演出選択機能」については後に詳述する。
選択方法説明画像表示領域P858の下方には、残り時間表示P859(モードを選択してね_残りXX秒)という表示を行っており、演出モード選択演出の選択操作を有効入力とする残り時間がXX秒であることを報知している。残り時間表示が「0秒」となるタイミングでは、そのタイミングにおいて演出ボタンP381の操作がなされた場合と同等の操作となる。例えば、図49の例で残り時間表示が「0秒」となると、選択カーソルP857にて選択されている演出モードBが特定遊技状態における演出モードとして選択される。なお、これには限定されず、図49の例で残り時間表示が「0秒」となると、選択カーソルP857の位置に拘わらず遊技機の初期設定として設定されている演出モードが選択されるよう構成してもよいし、前回決定した演出モードが決定されるよう構成してもよい。
図49に示す表示がなされている状況下にて、演出内容の決定操作がなされた場合には、選択カーソルP857にて選択されている選択対象オブジェクトP856の演出モードが決定した表示を、選択対象オブジェクトP856を拡大表示(例えば全画面表示)するなどして行う。なお、演出内容の決定操作がなされた場合には選択対象オブジェクトP856を拡大表示する一方、上述した残り時間表示が「0秒」となった場合には選択対象オブジェクトP856を拡大表示しないよう構成してもよい。
《ランダム選択機能》
図50は、選択可能となっている選択対象オブジェクトP856の演出内容(演出モード)について、ボタン操作のタイミングで取得した乱数等に基づいてランダムに1の演出内容を選択した演出内容として決定する処理を行う機能の実行態様を示す表示例である。
図50の画面表示は、図49の画面表示中において、十字キーP383の左キーを操作したことによってポップアップウィンドウP860を画面略中央領域に表示させランダム選択機能にて演出内容を選択するか否かを遊技者に選択可能とする演出表示を行っている。
図50のランダム選択機能におけるポップアップウィンドウP860には、左上の「ランダム」という文字列にて「ランダム選択機能」の実行中であることが報知され、画面左には選択対象オブジェクトP856として選択可能な演出内容を示すアイコン(演出モードに用いられるキャラクタ画像)が高速で切り替わっている態様が示されている。
ポップアップウィンドウは、図49における選択方法説明画像表示領域P858の大部分に重ねて表示され、ポップアップウィンドウの内部に新たな選択方法説明画像表示領域P858が表示されるようになっている(画面下部)。ランダム選択機能では、ポップアップウィンドウの表示中に演出ボタンP381の操作を行うことにより、抽選にて決定された演出内容(演出モード)が選択された演出モードとしてポップアップウィンドウ中に表示される。また、ランダム選択機能のポップアップウィンドウを表示させた後で、演出内容が未決定の場合に、遊技者により十字キーP383の右キーが操作されることによってランダム選択機能を解除する(ポップアップウィンドウを閉じる)制御が行われるように構成されている。
図50に示すとおり、ランダム選択機能のポップアップウィンドウは、残り時間表示P859の表示を覆わない位置に表示するようになっており、演出モード選択演出の残り時間を遊技者に認識可能としている。なお、ポップアップウィンドウ表示の表示を図50の例よりも大きなサイズで表示するように構成する場合などには、残り時間表示をポップアップウィンドウ内部に移動させたり、図49に示した位置からポップアップウィンドウとは重ならない位置に移動させるように制御してもよい(遊技者が残り時間を認識できるような制御をしてもよい)。ランダム選択機能のポップアップウィンドウ表示中に残り時間表示が「0秒」となった場合には、ランダム選択機能中に演出ボタンP381の操作を行ったものとして扱われる。
図50に示すランダム選択機能によって演出内容の決定操作がなされた場合には、ランダム選択機能によって表示されているポップアップウィンドウを拡大表示(例えば全画面表示)するなどして、選択された演出内容を報知する。なお、ランダム選択機能によって決定された演出の拡大表示による報知演出は、図49に示す演出モード選択演出の通常の選択操作に基づく演出内容の決定時の報知態様と同様の表示態様となるように構成されている。変形例として、図49の画面状態にて演出内容の決定操作をした場合と、ランダム選択機能(または後述する「オススメ演出選択機能」)によって演出内容の決定をした場合とで、決定時に発せられるキャラクタのセリフが異なっていたり、キャラクタ画像のアクションのパターンが異なるように構成されていてもよい。同じ演出を選択した場合であっても、決定演出を異ならせて多様な演出を提供し興趣性を高めることができる。
なお、前述した図49の演出モードDのように、いまだ選択可能となっていない演出を含む状況下において、ランダム選択機能にて演出ボタンP381の操作を行った際に抽選される演出内容としては、選択可能な演出モードの数や種類ごとに異ならせたテーブルによって抽選処理を行うように構成してもよいが、選択可能な演出として遊技者に開放されている演出の数や種類の組み合わせのバリエーションが多いほど抽選テーブルが煩雑になることから、抽選処理によってオフセット数(未開放の演出内容を含む選択対象オブジェクトP856の総種類数Nとし、N、N-1、2N、2N-1を上限とする範囲から選択される乱数値)を決定し、ランダム選択機能のポップアップウィンドウを開く前において、選択カーソルP857の位置に選択対象オブジェクトP856として選択されていた演出内容から、上方向(または下方向)にオフセット回数分操作した場合と同様の演出モードを選択するように構成してもよい。このように構成すれば、非選択対象となっている未開放の演出内容が存在する状況下においても、通常の選択操作と同様に当該選択対象オブジェクトP856を飛ばして次の選択対象オブジェクトP856を選択カーソルP857に位置させる等の処理と同様の処理を行うだけで済むことから、ランダム選択機能の抽選処理、選択演出内容の決定処理が簡潔な処理で済むよう構成できる。
《オススメ演出選択機能》
次に図51を用いて、「オススメ演出選択機能」について説明する。「オススメ演出選択機能」は、現在選択可能となっている演出内容の内、ランダムないし所定の選択基準に基づいて選択された演出内容を説明文章(モード説明)とともに遊技者に提示し、遊技者に選択するか否かを選択させる演出である。表示する演出内容をランダムに選択する場合には、前述したランダム選択機能とは、演出ボタンP381の操作を行う前に選択される演出内容が既知となるか否かが相違するといえる機能である。
一方で、表示される演出内容を予め定めた選択基準(選択方法)によって表示するように構成してもよい。例えば以下のような選択基準(選択方法)が検討できる。
(1)RTC(リアルタイムクロック)などの日時を計時する回路部品を使って、日付情報や時間情報を使って表示される演出内容を順次切り替えられるように構成する。
(2)遊技店舗の管理者のみが実行可能な操作手順(例えばガラス枠を開放して演出ボタンP381の操作を行うなど)によって表示されるメニューからオススメ演出内容として表示される演出内容を設定可能に構成する。(複数設定可能とし、大当り遊技毎に順番に表示するように構成してもよい)
(3)大当り遊技(演出モード選択演出)を開始することとなった特別図柄の変動表示(大当り変動)における演出決定処理によって決定された変動演出パターンに関連性が高い(例えば、活躍したキャラクタ等)演出モードを表示するように構成する。
(4)大当り遊技(演出モード選択演出)を開始することとなった特別図柄の変動表示(大当り変動)における演出決定処理によって決定された変動演出パターンと一連の演出態様となるように演出モードを表示するように構成する。
「オススメ演出選択機能」における画面表示例は、図50にて示したランダム選択機能に類似し、ポップアップウィンドウ画面として、「オススメ演出選択機能」の実行中であることを示す「オススメ」の文字と、今回の選択候補(オススメの演出内容)である「演出モードX」の文字列および演出モードXに対応するアイコン表示と、演出モードXのモード説明が表示され、選択方法説明画像表示領域P858が画面下部に表示されている。
昨今の遊技機においては、非常に多くの演出内容を選択可能とする場合を有しており、遊技機の演出のモチーフとするアニメ・漫画等のストーリー、キャラクタ等の題材(テーマ)を良く知らない遊技者にとっては、選択可能とする演出内容について理解が乏しく、演出内容の選択に迷ってしまうことが考えられる。そこで、第2実施例のぱちんこ遊技機における「オススメ演出選択機能」のように、1の演出モードについて演出の内容に関する説明の提示を受けることができるように構成すれば、内容を理解して演出の選択を行うことの補助を行うことができる。なお、図49に示したように、選択対象オブジェクトP856の表示領域等にモード説明に係る表示を伴うように構成はしているが、全選択対象オブジェクトP856に対してモード説明を読んで選択することは大変であり、いちいち確認する手間を省略して現在の選択カーソルP857にて選択されている演出のみを選択するようになってしまう恐れがある。このような問題に対しても、簡易的な操作により「オススメ演出選択機能」として1の演出内容が表示されることによれば、新規な演出に対してお試し感覚で内容を理解した上で実行することが可能となり、遊技者がぱちんこ遊技機の演出に対する理解が深まり、より演出を楽しめるようになる効果が期待できる。
以上のように、第2実施例のぱちんこ遊技機における「演出モード選択演出」においては、通常の選択操作(十字キーP383の上キー、下キーによる選択カーソルP857と選択対象オブジェクトP856の相対位置を切り替えて選択を行う操作)に加えて、遊技者の選択操作を平易に補助する機能として「ランダム選択機能」および「オススメ演出選択機能」を実行可能に構成した。このような構成によれば、選択可能な演出内容が多くなり、遊技者にとって選択操作に迷ったり、億劫になったりする場合であっても、平易な操作で今までに見たことがない演出モードを選択可能とし、新規な演出を見られる機会を創出することができる。
なお、第2実施例のぱちんこ遊技機においては、複数の演出内容から1の演出内容を選択する選択演出にて、補助的な選択機能として「ランダム選択機能」および「オススメ演出選択機能」を実行可能としたが、以下に示すような他の補助的な選択機能を操作手段P81の操作に基づく制御に割当てることによって実行可能とするように構成してもよい。
《他の補助的な選択機能例》
(1)ぱちんこ遊技機が設置されてから最も選択されている演出(一番人気演出選択)。
(2)最近2週間以内に最も選択された演出(最近のトレンド選択)。
(3)ぱちんこ遊技機の製造メーカーの管理するサーバー等から発行されたパスワード等や、遊技者の所有する端末情報、登録情報等を利用した連携機能が作動している期間に最も選択された演出(個人のお気に入り演出選択)。
(4)前回選択した演出を選択(※新規に演出が開放された場合などに選択カーソルP857と選択対象オブジェクトP856の相対位置が、新規演出を選択する位置となる制御を採用する場合に限る)。
なお、(1)、(2)のような機能は、第2実施例中の図49における演出モードDのような条件成立まで選択可能とならない演出については、1回の選択に対して所定の係数を掛け算してカウントするなど、常時選択可能とする演出との間で加算方法に差を設けてもよい。
第2実施例及び変形例で説明した選択演出は、大当り中の演出モード選択演出のみに限らず、非遊技中における操作手段P81の操作に基づいて実行されるメニュー画面演出の表示中の制御としても適用可能であるし、特別図柄の変動表示に伴う変動演出の実行中において表示される演出に適用してもよい。また、演出内容として、演出モード以外にも一部の演出領域の背景等の画像の選択や、再生されるBGMの選択、演出実行や演出決定の傾向を異ならせる演出カスタマイズの内容の選択等にも適用可能である。
以上に述べたように、第2実施例のぱちんこ遊技機には、操作手段P81を用いた特徴的な演出として、「バトル演出A」、「バトル演出B」、「演出モード選択演出」の3つの演出について説明を行ったが、同様のボタン演出の制御を有するものであれば、演出態様は遊技者側キャラクタ(PLAYER)と敵キャラクタ(ENEMY)とが戦うバトル演出や、大当り遊技中における特定遊技状態における演出モードの選択演出という演出態様以外の演出にも適用可能である。
また、ぱちんこ遊技機以外の遊技機、例えば回胴式遊技機(スロットマシン)やじやん球遊技機、カジノマシンなど他の遊技機における操作手段P81を用いた遊技者操作演出として第2実施例にて説明した特徴的な遊技者操作演出の演出制御を適用するものであってもよい。