JP7035097B2 - 高弾性ラクチドベースポリマーブレンド、ポリマーブレンドから作られたオブジェクト、及びオブジェクトの製造方法 - Google Patents

高弾性ラクチドベースポリマーブレンド、ポリマーブレンドから作られたオブジェクト、及びオブジェクトの製造方法 Download PDF

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Description

<関連出願>
本発明に至る研究は、助成金契約番号604049の下で、欧州連合第7フレームワークプログラムFP7 / 2007-2013から資金提供を受けている。
本発明は、ラクチドベースのポリマーブレンドを含む、高弾性又は超弾性ポリマーシステムに関する。本発明は、さらに、ポリマーブレンドから作られた多孔性のオブジェクトであって、不織性の繊維構造を有するものに関する。本発明は、さらに、本発明のポリマーブレンドを加工する方法及び電界紡糸によりオブジェクトを製造する方法に関する。
典型的な超弾性ポリマーは、ゴムのような加硫エラストマーである。しかしながら、ゴムは加水分解性ではない。
超弾性ポリマーについての一般的な要求は、ポリマーが、ポリマー鎖が架橋(ネットポイントとも称する)を介して相互結合しているネットワークとして提供されることである。ゴム又はポリグリセロールセバケートのような、化学的共有結合がポリマー鎖を相互結合している共有結合性ネットワークの場合、ポリマー材料は熱硬化性材料であると称される。共有結合性の架橋が形成される硬化を行った後では、熱硬化性材料は他の形状に変形させることができない。
他方、非共有結合性ネットワークにおいては、架橋は物理的性状であり、ポリマー鎖をイオン性相互作用、静電的な相互作用、ファンデルワールス結合、疎水性-疎水性相互作用などを介して相互結合させる。非共有結合性ネットワークは、ポリマーシステムを対応する熱転移(すなわち、融点)以上にポリマーを加熱した後で別の形状にすることができる。安定な非共有結合性の架橋を形成するために、以下のような手法がなされてきた。
1)水素結合
水素結合を介して架橋されている熱可逆性エラストマーは、徹底的に研究されてきた(例えば、Nature 2008, 451,977-980、及び他の参照文献)。水素結合の強度は、昇温と共に低くなるため、温度範囲の観点からこのコンセプトには制限がある。この効果は、低い融点の場合、例えばPCLベースのポリウレタンにおいて示されている。典型的な水素結合架橋のエラストマーは、非分解性のポリマーシステムにおいて実施されてきた。
2)イオン性相互作用
イオン性相互作用により提供されるネットポイントは、典型的には非分解性ポリマーにおいて実施されてきた。さらに、これらの材料の生物的適合性は、これらから放出される金属イオンにより影響され得る。
3)配位結合
陰性基(リガンド、ドナー)により提供された二つの電子を介して金属イオンが配位することにより架橋されているポリマーはよく知られている。しかしながら、電子受容体として要求される銅のような重金属は、生物医学用途に関し、生体適合性を有していない。
4)結晶
半結晶ポリマーにおいては、結晶が一時的なネットポイントとして機能し得る。特定の温度範囲における実施の観点からは、結晶の融点範囲は実施温度より高くなければならず、実施中の分解及び/又は吸水によって低下することがあってはならない。既知の生分解性及び生体適合性モノマーのポリマーシステムを、以下に詳細に説明する。例えば、ポリ(ε-カプロラクトン)-結晶(Tm~60℃)を含むシステムを、生理的条件(すなわち、37℃、水中)においてネットポイントとして適用することは非常に制限される。これは、このような条件下では融点は速やかに低下し、材料に著しいクリープが生じるためである。他のシステム、例えばポリ(パラジオキサノン)は、約100~110℃のTmを有する結晶を良好に形成する。しかしながら、これらは加水分解性の分解が生じやすく、生理的条件下では材料の特性を長期間に渡って維持することができない。ポリラクチドは、140~175℃の融点を有する結晶を形成する。しかしながら、結晶化の速度は非常に遅く、通常は非常に少ない数の結晶しか得られない。ポリラクチドベースの材料中での結晶の形成は、結晶化ポイントにより補助され得、この点においてポリ(D-ラクチド)(PDLA)及びポリ(L-ラクチド)(PLLA)のステレオコンプレックスが有用であることが見いだされた。
中央のポリ[(ε-カプロラクトン)-co-(δ-バレロラクトン)]-ブロック及び末端のPDLA又はPLLAシークエンスを含むトリブロックコポリマーは、弾性を有する挙動を示し、700%より大きい破断点伸びを有する。しかしながら、低い分子量(≦85kDa)しか有しないポリマーは、このようにして達成することができる。ステレオコンプレックスを含むこれらの材料の弾性率は、>40MPaであった(ACS Sustainable Chem. Eng. 2016, 4, 121-128)。
中央のポリ[(D,L-ラクチド)-co-(ε-カプロラクトン)]の統計的コポリマーブロック及び末端のPDLA又はPLLAブロックを含む他のトリブロックコポリマーも報告されている(Journal of Polymer Science, part A: Polymer Chemistry 2015, 53, 489-495)。ポリマーは、非常に高い破断点伸びを有し、2800%にまで到達する。長期間に渡って(材料の部分的な分解がある)、弾性の物性の維持及び形状安定性が求められる、生理的条件下での適用においては、これらのブロックコポリマーは有用ではなく、半結晶セグメント(PDLA又はPLLA)より、弾性に関わるアモルファスセグメント(コポリマーブロック)の方が顕著に速く加水分解により分解されていることが予想される。
前述のラクチドベースのシステムに関連した問題とは別に、トリブロックコポリマーの合成が複数の工程を必要とする、非常に困難なものであることが他の欠点である。
本発明の別の側面によれば、高弾性の、多孔性構造を有する三次元オブジェクトの製造工程が必要とされている。一般的に、幾何の正確な制御を可能とする二つの手法があり、すなわち、3D-印刷及び電界紡糸である。
3D-印刷は、しかしながら、オブジェクトにおいて高い強度を達成するためには、共有結合により架橋されたポリマーを使用することが求められる。共有結合による架橋は、例えば、光重合の方法により達成できる。さらに、数μmの次元で構造の正確な寸法を達成することは、3D-印刷ではできない。
電界紡糸においては、不織性の布がμm、又はnmの領域の厚みを有するポリマー繊維(マイクロ繊維又はナノ繊維)から調製される。高い形状安定性を有するオブジェクトを製造するためには、化学的(共有結合)又は物理的(非共有結合)ネットポイントを電界紡糸の際中又は電界紡糸後に形成しなくてはならない。PLLAとPDLAとの間のステレオコンプレックスは、この観点において有用であることが知られている。ポリ(L-ラクチド)とポリ(D-ラクチド)のブレンドのナノ繊維の電界紡糸による製造が報告されている(JP 2008-115503 A; J. Phys. Chem. B 2015, 119, 15530-15535; Macromolecules 2012, 45, 5494-5500; Macromol. Mater. Eng. 2010, 295, 865-871; Polymer 2015, 60, 221-227)。また、ポリ(L-ラクチド)及びポリ(D-ラクチド)にPOSSを追加したものからの製造も報告されている(ACS Sustainable Chem. Eng. 2015, 3, 2917-2924; Macromolecules 2014, 47, 4718-4727)。電界紡糸されたポリ(L-ラクチド)とポリ(D-ラクチド)のブレンドは、GPaの大きさの非常に高い弾性率と比較的低い破断伸び(典型的には150%未満)により特徴付けられる。他方、ポリ-又はオリゴ-ラクチドのブロックを有するブロックコポリマーの電界紡糸された材料は、高い弾性と低い弾性率を示す。そのような例は、ポリ(L-ラクチド)及びポリ[(D-ラクチド)-ブロック-(ポリ(ブチレンサクシネート)コポリ(エステルウレタン))(European Polymer Journal 2012, 48, 1965-1975)である。しかしながら、前述のように、これらのブロックコポリマーの合成は困難であり、再生可能資源から実施することはできない。
発明の詳細な説明
従って、生体適合性且つ生分解性のポリマー材料であって、生理的温度範囲において弾性が高く、機械的に変形された時に高い形状安定性を有しているポリマー材料が必要とされている。理想的には、ポリマーシステムは、再生可能な原材料から、簡便かつ低コストな方法で合成される。
さらに、高弾性のオブジェクトであって、高い破断伸び及び比較的低い弾性率を有し、実現可能な方法で再生可能な資源から調製できるものが必要とされている。
これらの目的の少なくとも一部は、独立請求項に定義されたポリマーブレンド、ポリマーブレンドから調製されたオブジェクト、ポリマーブレンドを加工する方法又はオブジェクトを製造する方法によって解決される。
本発明に係るポリマーブレンドは、
(A)実質的にランダムな部分的にブロック状の構造を有し、ポリ[(ε-カプロラクトン)-co-(L-ラクチド)]及びポリ[(ε-カプロラクトン)-co-(D-ラクチド)]から選択されるコポリマーである第一のポリマー成分、及び
(B)前記第一のポリマー成分(A)とは異なり、ポリ(L-ラクチド)、ポリ(D-ラクチド)、ポリ[(ε-カプロラクトン)-co-(L-ラクチド)]、及びポリ[(ε-カプロラクトン)-co-(D-ラクチド)]から選択される第二のポリマー成分、
を含むか、これらからなり、
前記第一及び第二のポリマー成分(A)及び(B)は、得られるポリマーブレンドがL-ラクチド由来の構成ユニット及びD-ラクチド由来の構成ユニットの組み合わせを含むように選択される、ポリマーブレンドである。
本発明によれば、ポリマーブレンドは二つ又はそれ以上のポリマー成分を有し、これはL-ラクチド(LLA)由来の構成ユニットとD-ラクチド(DLA)由来の構成ユニットとを組み合わせるものである。より正確には、第一のポリマー成分が、コポリマー中に構成ユニットとしてのLLA又はオリゴ-LLAのセグメントを含む場合、第二のポリマー成分は、ホモポリマー又はコポリマー中に、それぞれ構成ユニットとしてのDLA又はオリゴ-DLAのセグメントを含むように選択される。他方、第一のポリマー成分が、コポリマー中に構成ユニットとしてのDLA又はオリゴ-DLAのセグメントを含む場合、第二のポリマー成分は、ホモポリマー又はコポリマー中に、それぞれ構成ユニットとしてのLLA又はオリゴ-LLAのセグメントを含むように選択される。ラクチド(LA)のこれらの二つの立体異性体は、ブレンド中においてオリゴ-LLA/オリゴ-DLAの対となってステレオコンプレックスを形成し、よってポリマーブレンドのポリマー鎖を架橋する物理的(非共有結合)ネットポイントとして機能する結晶を形成させる。これらのネットポイント及びポリマーの他の特性(低いTg、高いMw)に起因して、ポリマー材料は高弾性であり、且つ破断伸びが高く、典型的には550~1000%の範囲内である。
本発明に係るポリマー材料は、以下の特性を有している。
高い破断伸び、400~1000%の範囲内、典型的には550~1000%
高い形状安定性及び強い弾性変形
永久的な機械的ひずみ(動力学的変形)における低いクリーピング
第一及び第二のポリマー成分の混合比を調節することにより材料の物性を変化させられる
特定の構造パラメータが既知である
生物学的/加水分解的分解性
高い生物的適合性
少ない工程による製造が実現可能;トリブロックコポリマーの合成が不要
再生可能資源からのエダクトが入手可能
広い温度範囲及び生理的条件下でさえも安定なポリマーブレンドの物理的架橋
適切な溶液中においてステレオコンプレックスに誘発された結晶が存在しないことに起因する、溶液のブレンドの加工容易性
室温下の無溶媒条件でのステレオコンプレックスからの結晶の容易な形成
ブレンドの溶解後の材料の再加工性
本発明の別の側面は、本発明に係るポリマーブレンドの加工方法に関する。当該方法は、以下を含む。
溶媒中の本発明に係るポリマーブレンドの溶液を調製し、
溶液を電界紡糸に処してポリマーブレンドの繊維を製造し、
オブジェクトを構築する不織性の繊維構造を形成するために繊維を堆積させる
従って、電界紡糸によって本発明のポリマー材料からオブジェクトを製造することができ、多孔性であり、不織性の繊維構造がポリマー繊維から構築されたものであり、複雑な三次元形状を有し得る。電界紡糸後、第一のポリマー成分のオリゴ-LLAシークエンスと第二のポリマー成分のオリゴ-DLAシークエンスとの間のステレオコンプレックスが、即座に又はポリラクチドのガラス転移点(≧50℃)より高い温度において足場を短時間(数時間又は数日)アニールした後に形成され、ポリマー中に結晶ドメインが形成されることにより材料に高い弾性と安定性を付与する。電界紡糸された材料は、非常に高い弾性(高い破断伸び)及び低い弾性率により特徴付けられる。電界紡糸された材料は、さらに、動的に変形された場合に非常に高い形状安定性(形状回復性)を有している。
従って、本発明の別の側面は、本発明に係るポリマーブレンドから調製されたオブジェクトに関し、当該オブジェクトは、多孔性であり、不織性の繊維構造を有している。
本発明のさらなる実施形態は、従属項の主題である。
特段の明示がない限り、本特許請求の範囲、明細書又はは図面に開示された本発明のさまざまな実施形態は、互いに組み合わせることができる。
本発明は、実施例により、より詳細に説明される。図面は以下を開示する。
LLA:CLが72:28[P(LLA-co-CL)72/28]のモル分率を有するコポリマーポリ[(L-ラクチド)-co-(ε-カプロラクトン)]の1H-NMRスペクトル コポリマー(P(LLA-co-CL)67/33)のDSCカーブ コポリマーP(LLA-co-CL)67/33のGPCクロマトグラム [90:10 w/w P(LLA-co-CL)67/33+PDLA-16k]のポリマーブレンドから作成されたポリマーフィルムの一連の写真であり、左から右へ向かって、伸長前、伸長中、及び伸長後である コポリマーP(LLA-co-CL)67/33から作成されたポリマーフィルムとコポリマーブレンド[95:5 w/w P(LLA-co-CL)67/33+(PDLA)-16k]から作成されたポリマーフィルムのWAXS回折パターン 電界紡糸装置の基本設定 電界紡糸された繊維[95:5 w/w P(LLA-co-CL)67/33+(PDLA)-16k]の走査型電子顕微鏡(SEM)画像;平均繊維径=1.8±0.3μm;スケールバーは20μmを示す 電界紡糸された繊維[95:5 w/w P(LLA-co-CL)67/33+(PDLA)-16k]のWAXS回折パターン;総結晶化度(Xc)=26% 37℃で水中で行った引張試験により得られた電界紡糸された[95:5 w/w P(LLA-co-CL)67/33+(PDLA)-16k]の応力/ひずみ図 異なる量の予ひずみを付与した後(引張試験;3サイクル)の電界紡糸された[95:5 w/w P(LLA-co-CL)67/33+(PDLA)-16k]の応力/ひずみ図
本発明は、高弾性なラクチドベースポリマー材料であって、加水分解性且つ生体適合性であるものを提供する。
ポリマーブレンドは、
(A)実質的にランダムな部分的にブロック状の構造を有し、ポリ[(L-ラクチド)-co-(ε-カプロラクトン)](P(LLA-co-CL)とも称される)及びポリ[(D-ラクチド)-co-(ε-カプロラクトン)](P(DLA-co-CL)とも称される)から選択されるコポリマーである第一のポリマー成分、及び
(B)前記第一のポリマー成分(A)とは異なり、ポリ(L-ラクチド)(PLLAとも称される)、ポリ(D-ラクチド)(PDLAとも称される)、ポリ[(L-ラクチド)-co-(ε-カプロラクトン)](P(LLA-co-CL))、及びポリ[(D-ラクチド)-co-(ε-カプロラクトン)](P(DLA-co-CL))から選択される第二のポリマー成分、
を含むか、これらからなる。
前記第一及び第二のポリマー成分(A)及び(B)は、得られるポリマーブレンドがL-ラクチド(LLA)由来の構成ユニット及びD-ラクチド(DLA)由来の構成ユニットの組み合わせを含むように選択される。
ポリマーブレンド中のL-ラクチド由来の構成ユニットとD-ラクチド由来の構成ユニットの組み合わせにより、L-ラクチドのオリゴシークエンス(オリゴ-LLA、第一又は第二の成分中に存在する)とD-ラクチドの相補的なオリゴシークエンス(オリゴ-DLA、第二又は第一の成分中に存在する)との間のステレオコンプレックスの形成が可能となる。ステレオコンプレックスは、ポリマー成分を架橋する物理的(非共有結合)ネットポイントとして機能する結晶を形成する。これらのネットポイントにより、ポリマー材料は高い弾性を示す。
第一のポリマー成分(A)
第一のポリマー成分は、ε-カプロラクトン(CL)由来のユニットとL-ラクチド(LLA)又はD-ラクチド(DLA)由来のユニットのコポリマー(二元共重合体)である。
実施形態において、第一のポリマー成分(A)は、重量平均分子量Mwが少なくとも80kDaであり、好ましくは少なくとも100kDaである。≧80kDaという高い分子量は、ポリマー鎖の絡まりを増加させることにより材料の弾性を向上させる。第一のポリマー成分の分子量の上限は、材料の物性の観点からは特段の限定は無い。しかしながら、コポリマーの標準的な合成方法では300kDaを超える分子量Mwを達成することは困難であり得る。重量平均分子量Mwは、普遍的に較正されたゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定できる。
コポリマーは、好ましくはランダム、部分的にブロック状の構造を有している。用語「部分的にブロック状」は、コポリマーがオリゴ(L-ラクチド)又はオリゴ(D-ラクチド)のブロックシークエンスをそれぞれいくつか含んでいることを意味している。コポリマー中のオリゴ(L-ラクチド)又はオリゴ(D-ラクチド)のブロックシークエンスは、対応する相補的シークエンス、すなわち第二のポリマー成分(B)のオリゴ(D-ラクチド)又はオリゴ(L-ラクチド)とのステレオコンプレックスの形成を可能にする。より正確には、第一のポリマー成分(A)がポリ[(L-ラクチド)-co-(ε-カプロラクトン)]である場合、そのオリゴ(L-ラクチド)シークエンスは第二の成分(B)のオリゴ(D-ラクチド)シークエンスとステレオコンプレックスを形成する。第一のポリマー成分(A)がポリ[(D-ラクチド)-co-(ε-カプロラクトン)]である場合、そのオリゴ(D-ラクチド)シークエンスは、第二の成分(B)のオリゴ(L-ラクチド)シークエンスとステレオコンプレックスを形成する。
第一のポリマー成分(A)中のε-カプロラクトンの重量含有量は、コポリマー(A)の総重量(100wt%)に対して25~47wt%の範囲内であり得、特に33~44wt%の範囲内、好ましくは36~40wt%の範囲内であり得る。第一のポリマー成分(A)中のε-カプロラクトンの重量含有量が25wt%未満である場合、コポリマーのガラス転移温度Tgが上昇し、室温における材料がガラス状態、すなわち、材料が弾性を有していないことになる。しかしながら、コポリマー中のε-カプロラクトンの重量含有量が47wt%を超える場合、合成中のオリゴ-ラクチドブロックの形成が阻害され、ポリマーブレンド中に形成される結晶が少なくなるか全くなくなることがあり得る。
第一のポリマー成分(A)中のε-カプロラクトンの重量含有量は、コポリマーのガラス転移温度Tgを決定し(そしてポリマーブレンドのTgも決定する)、そして他方、コポリマー中のオリゴ-LLA又はオリゴ-DLAのオリゴブロックの部分的な形成に影響を及ぼす。互いに理想的に混合可能なモノマーを含むコポリマー、例えばラクチド(LA)とε-カプロラクトン(CL)においては、理論的なガラス転移温度Tgtは、以下のフォックス方程式によって計算することができ、ここで、w1及びw2はそれぞれモノマー1及びモノマー2の重量分率であり、Tg1及びTg2はそれぞれモノマー1及びモノマー2の対応するホモポリマーのガラス転移温度である。
Figure 0007035097000001
本発明において、室温において弾性状態で存在する材料を得るためには、ポリマーブレンドのガラス転移温度Tgは≦0℃であることが好ましい。前述のフォックス方程式においてTgPCL=-60℃及びTgPLA=50℃の場合、≦65wt%のLA(LLA又はDLA)及び≧35wt%のCLという理論的な重量比によりコポリマーについて所望のTgが得られる。しかしながら、実際のコポリマーの真のガラス転移温度Tgは二つの因子により影響される。第一に、二つのコモノマーの共重合によるコポリマーの合成の最中に、全てのコモノマーがポリマー鎖に組み込まれるわけではなく、合成混合物において用いたコモノマー分率は、得られたコポリマー中のコモノマー分率とは異なることがあり得ることを考慮する必要がある。さらに、ポリマー鎖中の結晶化したセグメントはTgに寄与しない。従って、示差走査熱量測定(DSC)及び核磁気共鳴(NMR)の実験を行ってコポリマー中のCL及びLAのコモノマー分率を決定することが所望のTgを達成するために必要である。
前述のように、第一のポリマー成分(A)は、好ましくは部分的にブロック状の構造を有している。コポリマー中のブロックセグメントの度合いは、平均ダイアド比により表すことができる。ダイアド比は、ポリマー鎖中に存在する二つの異なるコモノマーにより形成されるヘテロダイマー(コモノマー1-コモノマー2)の数に対する、同じタイプのコモノマーのホモダイマー(コモノマー1-コモノマー1)の数のモル比である。ダイアド比は、1H-NMRにより決定することができる。本発明によれば、第一のポリマー成分(A)の、ラクチド-ε-カプロラクトンダイアド(LA-CL)に対するラクチド-ラクチドダイアド(LA-LA)のダイアド比は、少なくとも2.5:1である。ダイアド比が2.5:1より低いと、コポリマー中のオリゴラクチドブロックの発現が少なくなり、ポリマーブレンド中のステレオコンプレックスの形成も少なくなる。
コポリマー中のε-カプロラクトンの機能は、所望の使用温度、特に室温においてアモルファス相を形成することである。この目的のために、第一のポリマー成分(A)中のアモルファス相中のε-カプロラクトン分率は、第一のポリマー成分(A)中のε-カプロラクトンの総モル量に対して少なくとも25mol%であり、好ましくは27~33mol%の範囲内である。
第一のポリマー成分(A)は、所望の混合比を有するε-カプロラクトンとL,L-ジラクチド、又はε-カプロラクトンとD,D-ジラクチドのコモノマーの混合物を、開環共重合により共重合することによって合成できる。
第二のポリマー成分(B)
本発明の実施形態によれば、第二のポリマー成分(B)は、PLLA又はPDLAのいずれかである場合には、その重量平均分子量Mwは1~40kDaの範囲内にあり、好ましくは2~20kDaの範囲内である。第二のポリマー成分(B)の分子量を40kDaより低くすることで、ブレンド中における流動性を向上させることができる。ブレンド中の第二のポリマー成分(B)の対応するオリゴ-LLA又はオリゴ-DLAセグメントと、第一の成分(A)は、結晶の形成の核形成部位として機能するステレオコンプレックの形成をもたらすため、流動性の向上は、結晶形成速度を向上させ、結晶の伝搬速度を向上させる。他方、第二ポリマー成分(B)の分子量を1kDaより大きくしておくことで、ステレオコンプレックスの大きさが向上し、よってその安定性も向上する。
第二のポリマー成分(B)は、モノマーのL,L-ジラクチド又はD,D-ジラクチドを、それぞれ開環重合によってホモ重合させることにより合成できる。第二のポリマー成分(B)がポリ[(L-ラクチド)-co-(ε-カプロラクトン)]又はポリ[(D-ラクチド)-co-(ε-カプロラクトン)]から選択される場合には、その合成は第一のポリマー成分(A)について記載したものと同様にして行うことができる。
第二のポリマー成分(B)として使用される際のP(LLA-co-CL)又はP(DLA-co-CL)のさらなる物性は、第一の成分(A)と同様の事情が生じる。
ポリマーブレンド
好ましくは、ポリマーブレンドは、第一のポリマー成分(A)と第二のポリマー成分(B)から選択される二つのポリマー以外には含まない二元組成物である。
本発明の実施形態において、第二のポリマー成分(B)は、ポリ(L-ラクチド)及びポリ(D-ラクチド)から選択される。この場合、ポリマーブレンドは、好ましくは第一のポリマー成分(A)を80~99wt%と、第二のポリマー成分(B)を1~20wt%含むか、これらからなる。より好ましくは、ポリマーブレンドは第一のポリマー成分(A)を85~97wt%と、第二のポリマー成分(B)を3~15wt%含むか、これらからなる。さらに好ましくは、ポリマーブレンドは第一のポリマー成分(A)を90~95wt%と、第二のポリマー成分(B)を5~10wt%含むか、これらからなる。第一及び第二成分の混合比を調節することにより、材料の機械特性を、所望の用途に応じて調節することができる。また、ブレンド中の第二のポリマー成分(B)の含有量が20wt%より多い場合、当該第二のポリマー成分(B)が低分子量であれば材料は脆くなる。さらに、1wt%より少ない場合や20wt%より多い場合には、破断伸びが低下する。従って、第二のポリマー成分(B)の重量含有量が1~20wt%の範囲内、特に約10wt%である場合、最も高い破断伸びを与える。
本発明の他の実施形態において、第二のポリマー成分(B)は、ポリ[(L-ラクチド)-co-(ε-カプロラクトン)]及びポリ[(D-ラクチド)-co-(ε-カプロラクトン)]から選択される。この場合、ポリマーブレンドは、好ましくは第一のポリマー成分(A)を50~95wt%と、第二のポリマー成分(B)を5~50wt%含むか、これらからなる。
本発明に係る好ましいポリマーブレンドは、ポリ[(L-ラクチド)-co-(ε-カプロラクトン)]及びポリ(D-ラクチド)(P(LLA-co-CL)/PDLA)を含むブレンド、ポリ[(D-ラクチド)-co-(ε-カプロラクトン)]及びポリ(L-ラクチド)(P(DLA-co-CL)/PLLA)を含むブレンド、及びポリ[(L-ラクチド)-co-(ε-カプロラクトン)]及びポリ[(D-ラクチド)-co-(ε-カプロラクトン)](P(LLA-co-CL)/P(DLA-co-CL))を含むブレンドである。
ポリマーブレンドは、第一及び第二のポリマー成分を前述の目標とする混合比で混合することで容易に調製できる。この目的のために、適切な溶媒に一の成分(A)及び(B)を所望の重量比で添加し、混合し、混合ポリマー化合物の溶液を得ることができる。溶媒はその後除き得る。あるいは、一の成分(A)及び(B)を個別に適切な溶媒に溶解し、続いて溶液を混合し、その後溶媒を除くこともできる。所望であれば、溶媒を除く前に、混合溶液を成形したオブジェクトに加工することができる。適切な溶媒中の混合溶液において、ステレオコンプレックスは形成されず、よってポリマーブレンドを含む溶液の加工が容易となる。溶媒を除いた後で初めてステレオコンプレックスが形成され、エラストマ材料を与える。
室温における本発明に係るポリマーブレンドは、高弾性であり、超弾性であるとすら言える。また、材料は、高い形状安定性を有している。形状安定性という用語は、変形力を解除した後に、初期形状に戻る能力の程度を意味する。ブレンドは、好ましくは25℃において400~1000%の範囲内の破断伸びを有する。破断伸びは、薄膜及び/又は電界紡糸されたマットで一軸引張試験を行うことにより決定できる。さらに、本発明に係るポリマーブレンドは、25℃において25~150MPaの範囲内の弾性率を有する。弾性率は、薄膜及び/又は電界紡糸されたマットで一軸引張試験を行うことにより決定できる。
ポリマーブレンドの加工方法
本発明に係るポリマーブレンドは、任意の標準的な成形技術により三次元のオブジェクトに加工することができる。
例えば、ステレオコンプレックスオリゴ-LLA/オリゴ-DLAが、ブレンドを適切な溶媒に溶解させた際に開裂されるという事実に基づけば、材料は、ポリマーブレンドを適切な溶媒中に溶解し、溶液を所望の形状に合わせ、それから溶媒を除くことで容易に加工できる可能性がある。溶媒を除いた後では、室温において、又はPLAのTgより高い温度(≧50℃)にまで昇温したアニール後において容易にステレオコンプレックスが形成され、所望の三次元形状を有する高弾性のオブジェクトが得られる。
しかしながら、有利な実施形態においては、本発明のポリマー材料は、電界紡糸により加工され、多孔性且つ不織性の繊維構造を有するオブジェクトが形成される。
ポリマーブレンドを加工する方法は、
本発明のポリマーブレンドの溶液を調製し、
前記溶液を電界紡糸に処して前記ポリマーブレンドの繊維を製造し、
前記繊維を堆積させて、不織性繊維構造により構築されたオブジェクトを形成する
ことを含む。
最初の工程では、ポリマーブレンドを溶解可能な任意の溶媒又は溶媒混合物を用いることができる。比較的親水性の性質を有しているため、適切な溶媒にはアルコールのような親水性の溶媒が含まれる。一つの例において、溶媒はヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)である。
電界紡糸する工程では、ポリマーブレンドから繊維が形成される。電界紡糸装置は、ポリマー溶液を保存するための別の貯蔵器(典型的にはシリンジ)を含み、針と、針先から所定の距離の位置に配置され、ターゲットとして機能するコレクターを備える。針とコレクターとの間に電圧が印加される。電界紡糸の間、ポリマー溶液は針を押し通され、電圧により荷電され、電場中でコレクターへ向けて加速され、そこに堆積される。このようにして、電界紡糸の工程と堆積させる工程は、典型的には並行して行われる。
ポリマー繊維を堆積させる工程は、繊維がコレクター上に堆積されるように実施され得る。コレクターの形状が、この工程により形成されるオブジェクトの形状を決定する。例えば、コレクターは単純な平坦なプレートであり得る。この場合、平らな不織性繊維構造が形成される。しかしながら、より複雑な形状を形成するためには、コレクターは形成されるべきオブジェクトの形状の型として機能する形状を有し得る。また、コレクターは、針先に対して動かないように静的であり得る。実施形態において、コレクターは、針先に対して一つ、二つ又は三つの方向に移動可能及び/又は回転可能であり得、複雑な三次元構造を、コレクターを移動させることにより形成可能としている。
電界紡糸の際のあらゆる工程パラメータは、ポリマー繊維の物性を制御するために変化させることができる。工程パラメータは、大気の湿度、針とコレクターに印加される電圧、針とコレクターとの間の距離、ポリマー溶液のポリマー濃度、ポリマー溶液の溶媒、針を通るポリマー溶液の流速、針先の形状、コレクターの回転速度等を含む。
好ましい実施形態において、電界紡糸中の工程パラメータは、溶媒が速く蒸発するように選択される。他の実施形態においては、電界紡糸中の工程パラメータは、ステレオコンプレックスの形成を制御するように選択される。さらに別の実施形態においては、電界紡糸中の工程パラメータは、紡糸された繊維とその形成された構造がエントロピー緩和により縮むのを最小にするように選択される。
繊維を堆積させた後、このようにして形成されたオブジェクトに熱処理を施してもよく、この際の温度は好ましくは60~120℃の範囲内である。熱処理はステレオコンプレックスの形成を補助し、結晶性を向上させる。
ポリマーブレンドから調製されるオブジェクト
ポリマーブレンドから調製されたオブジェクトは、任意の形状を有し得、多孔性又は密な(非多孔性の)構造を有し得る。
非多孔性の構造は、標準的な鋳造又は成形技術により製造され得る。非多孔性の構造のオブジェクトは、ポリマーブレンドに関して説明した弾性率及び破断伸びを有する。
多孔性の繊維構造は、前述の電界紡糸技術により製造され得る。多孔性の性質は、堆積された繊維により形成された不織性構造に由来するものである。典型的には、前述の電界紡糸工程パラメータを変化させることにより、平均細孔径を数百ナノメートル~数百マイクロメートルの範囲内に制御し得る。実施例において、平均細孔径は1μm~200μmの範囲内である。
実施形態において、電界紡糸された多孔性のオブジェクトを構築する繊維の平均繊維径は、0.5~10μmの範囲内、特に1~5μmの範囲内、好ましくは1.5~3μmの範囲内である。繊維径は、前述の電界紡糸工程のパラメータを変化させることにより制御することができる。
電界紡糸されたオブジェクトは、多孔性であるため、実質的に高い弾性(破断伸び)を対応するポリマーブレンドに対して有しているが、E-モジュラスは低く、典型的には数MPaの大きさである。実施形態において、オブジェクトは25℃において250~850%の範囲内、特に350~700%の範囲内の破断伸びを有している。さらなる実施形態において、オブジェクトは25℃において0.3~5MPaの範囲内、特に0.5~1.5MPaの範囲内の弾性率を有している。
電界紡糸されたオブジェクトの用途
多くの医療用途において、デバイスの高い弾性と多孔性が要求されている。これらの特性のため、これらの材料は生理的要求に応じて膨張したり収縮したりすることが可能であり(弾性)、同時に栄養、塩、細胞廃棄物、ガスの交換、及び天然組織の状況に類似した細胞の移動を可能にする(多孔性)。MPaの領域の低いE-モジュラスを有するデバイスであって、生理的条件下での動的機械的応力に対して長期間に渡って形状安定性を示すものは、特に、頻繁に動きのある組織中のインプラントとして適切である。
同様に、透過特性は、分離膜、花粉フィルター、キャビンフィルター、又は通気性のある織物など、医療以外の技術的な用途にも活用できる。
実施例
第一のポリマー成分(A)の合成
コポリマー成分の合成は、2-エチルヘキサン酸すず(II)(Sn(oct)2)により触媒されたメルト中のε-カプロラクトン及びL,L-ジラクチド(又はD,D-ジラクチド)の混合物の開環重合により実施した。合成は、表1に示されるような異なるコモノマー比(LA:CLsyn,m)によって行った。
合成の典型的なプロトコルは次の通りである。炎により乾燥させた500mL3口フラスコ(磁気撹拌子、ゴムセプタム、PTFEバルブ及びガラス栓を備える)に、アルゴン雰囲気下でL,L-ジラクチド(60.0g、416.3mmol)(又はD,D-ジラクチドのそれぞれ)及び蒸留により精製したε-カプロラクトン(38mL、40~41g、350~360mmol)を加えた。反応容器を、予熱したオイルバス(140℃)に入れ、混合物を磁気撹拌して完全に溶融/溶解させた。次に無水THF中のSn(oct)2(24.7mg/mL Sn(oct)2の濃度、5.1mL)の希釈溶液を滴下し、得られた混合物を20~70時間140℃において撹拌して、高い粘度のポリマーメルトとした。反応容器をオイルバスから外して、粗生成物を室温まで放冷し、2Lのクロロホルムに溶解させ、20Lのメタノール中で析出させた。析出物を60℃において減圧下で乾燥させた。コポリマーの収量は、典型的には80~90gの範囲内であった。
コポリマー中のコモノマーのモル比(LLA:CLNMR.m)は、1H-NMR測定により決定した。図1は、コポリマー化合物A6の1H-NMRスペクトルを示す。コポリマー中のラクチドとε-カプロラクトンのモル比は、これらのスペクトルから、ラクチドに由来するCH-部位のピーク積分(5.06~5.20ppm)及びε-カプロラクトンに由来するCH2-部位のピーク積分(4.02~4.15ppm)を比較して決定した。粗重合生成物は、通常、LA及びCLについて不均一な分布を示し、反応容器の中央においてはLAが多いコポリマー、反応容器の壁のそばではCLが多いコポリマーにそれぞれなっていた。精製物(溶解及び析出後)は、LA/CL含有量は均一な分布を示した。分析のため、精製の前に、典型的には数グラムの粗生成物を反応容器から除いた。従って、いくつかのケースにおいて、精製したコポリマー中のLA/CL成分は、仕込んだモノマーのそれとは異なっている。
コポリマーの1H-NMRスペクトルによって、LA-LAダイアドに関連したシグナル(5.13~5.20ppm)及びLA-CLダイアドに関連したシグナル(5.07~5.13ppm)をそれぞれ積算し、積算された強度を比較することでダイアド比(DR)の決定も可能となる。これらの結果も同様に表1に含まれる。
コポリマーのガラス転移温度(Tg)は、DSC測定により決定された。図2は、コポリマーA2のDSCプロットを示す。Tgは、意図したように0℃より低いことが見いだされた。
コポリマーの重量平均分子量(Mw)は、GPCにより、図3に示されるようにコポリマーA2について決定した。
Figure 0007035097000002
第二のポリマー成分(B)の合成
第二のポリマー成分の合成は、ポリマー成分(A)と同様にしてP(LLA-co-CL)及びP(DLA-co-CL)について実施した。PLLA及びPDLAは、2-エチルヘキサン酸すず(II)(Sn(oct)2)により触媒されたメルト中のL,L-ジラクチド(又はD,D-ジラクチド)の開環重合により合成した。合成の典型的なプロトコルは次の通りである。炎により乾燥させた500mLシュレンクフラスコ(磁気撹拌子、NS29ゴムセプタム及びPTFEバルブを装備)に、アルゴン雰囲気下でD,D-ジラクチド(100g、639.8mmol)(又は、L,L-ジラクチドのそれぞれ)を加えた。反応容器を、予熱したオイルバス(135℃)に入れ、混合物を磁気撹拌して完全に溶融させた。無水1-ヘキサノール(0.83mL、682mg、6.67mmol)を、シリンジを介して撹拌したジラクチドのメルトに滴下した。5分後、無水THF中のSn(oct)2(例えば24.5mg/mL Sn(oct)2の濃度、4.6mL)の希釈溶液を滴下し、得られた混合物を1時間135℃において撹拌して、高い粘度のポリマーメルトとし、反応の終わりに近づくにつれて固化した。反応容器をオイルバスから除き、粗生成物を室温まで放冷し、400mLのクロロホルムに溶解し、続いて4Lの冷メタノール中で析出させた。析出物を減圧下において60℃で乾燥させた。コポリマーの収量は、典型的には85~95gの範囲内であった。
得られたホモポリマーPDLA又はPLLAの重量平均分子量はGPC(ユニバーサル較正)により16±2kDaであると決定された。
ポリマーブレンド及びそのフィルムの調製
ポリマーブレンドを調製するために、第一のポリマー成分(A)及び第二のポリマー成分(B)の600mgを12mLのクロロホルムに加えた。この際のAとBの重量比は表2の通りであった。混合物を58℃において700rpmで2時間サーモミキサーを用いて撹拌した。得られた溶液を室温にまで冷却し、PTFE蒸発皿に注いだ。皿をアルミニウム箔で固く覆い、数日間フードの下で溶媒を蒸発させ、続いて60℃で減圧下において一晩乾燥させた。得られたポリマーブレンドフィルムは、90~180μmの厚さを有していた。
フィルムは、機械的特性を調べるために一軸引張試験によって特性評価した。弾性率(E)及び破断伸び(εb)が表2に示される。異なる比を有する成分(A)及び(B)のブレンドを調製し、分析により、優先的に低いEモジュラスと高いεb値を持つ組成を特定した。しかしながら、40wt%のPDLAを含むブレンドから作成したフィルムは、これらの試験には脆すぎた。高いCL含有量を有する組成(A)(P(LLA-co-CL)又はP(DLA-co-CL))から作成されたフィルム(ブレンド)は、低いEモジュラスと高いεb値を示した。
Figure 0007035097000003
5~20wt%の成分(B)を含有するフィルムは、図4に示されるように、良好な形状安定性を変形後にも示した。これは、実施例8のフィルムが、初期長さの約2倍にまで引き伸ばされた後にその初期長さにまで完全に戻ったことから理解できる。
フィルムについて広角X線散乱(WAXS)測定を実施し、総結晶化度の決定と、第一のポリマー成分のオリゴ-LLAシークエンスと第二のポリマー成分のオリゴ-DLAシークエンスの間のステレオコンプレックスに由来する結晶の存在の証明を行った。図5は、図7のフィルムと、比較用の対応する純粋なコポリマー(A2)のフィルムのWAXSスペクトルを示す。ブレンドの2θ=12°と21°に見られる追加のシグナルは、ブレンド中のP(LLA-co-CL)のオリゴ(L-ラクチド)シークエンス及びPDLA間のステレオコンプレックスの存在を裏付けるものである。両方のフィルムの総結晶化度(Xc)は26%であった。
電界紡糸による多孔性の平らなパッチの調製
電界紡糸装置10の基本設定が図6に描かれている。装置10は、針12を備えたポリマーブレンド3の溶液を貯めるためのシリンジ11を含む。コレクター13は、シリンジ11の下方に配置される。コレクター13は、平らなプレート(ここに示されるようなもの)、回転ドラム、又はより複雑な三次元の回転要素であり得る。針12には電圧∨が印加され、コレクター13は接地されている。針のプランジャーは、電気モーター(図示せず)により下方へ移動させることができる。あるいは、溶液3の貯蔵器にポンプが備えられていてもよい。
ヘキサフルオロイソプロパノール中の95:5 w/w P(LLA-co-CL)67/33+PDLA-16kのポリマーブレンドの溶液を調製し、ポリプロピレンホイルで覆われたアルミニウムマンドレル(O=10cm)をコレクターとして用いて平らなパッチを得る電界紡糸に処した。紡糸のパラメータは、表3に記載されている。パラメータは、種々の他のポリマーを電界紡糸した際の経験に基づいて選択され、所望の繊維形態に応じて変化され得る。
Figure 0007035097000004
パッチは、代表的な画像として提示される図7を走査型電子顕微鏡(SEM)により調査した。SEM画像から決定された平均繊維径は1.8±0.3μmであった。図7から分かるように、電界紡糸された繊維は相互結合しており、高多孔性の、不織性の繊維構造を与える。
得られた電界紡糸されたパッチは、DSC、WAXS、動的熱機械解析(DMTA)、及び引張試験により特性評価した(データは表4に要約されている)。
電界紡糸されたパッチは、溶液キャスト膜と類似した熱特性を示し、核形成剤として機能して物理的ネットポイントを形成し、長期に渡る形状安定性を広い温度範囲において生理的条件下で確保するステレオコンプレックスの存在が裏付けられた。[95:5 w/w P(LLA-co-CL)67/33+PDLA-16k]の電界紡糸された繊維のWAXS回折パターンが図8に示される。2θ=12°の特異的なシグナルは、P(LLA-co-CL)のオリゴ(L-ラクチド)シークエンスとPDLAとの間のステレオコンプレックスの存在を裏付けるものである(図5との比較)。
Figure 0007035097000005
最も重要なことに、電界紡糸された材料はかなり柔らかく、高弾性であり、これは低いMPa領域にあるEモジュラスに現れている。この値は、同じポリマーを非多孔性のフィルムに加工した場合と比べて顕著に低い。降伏点を有しない600%という高いεの値は、応力を除いた後に完全な弾性回復を可能とし、さらに製造された材料の特性となり得る。引張試験により得られた典型的な応力/ひずみ図が、図9に示されている。
電界紡糸された材料の高い形状安定性は、0~300%の範囲内の異なる比率の予応力を与え、続けて3回のサイクルを行うサイクル引張試験によって示された。図10は、対応する応力/ひずみ図を示す。決定されたデータは、表5に要約されている。90%より大きいという高い回復率は、高い形状安定性を示唆している。
Figure 0007035097000006
電界紡糸による多孔性のチューブの調製
電界紡糸をより小さなアルミニウムマンドレル(O=20mm、120mm長さ)上でも行った。電界紡糸パラメータは、表6に要約されている。310~330μmの厚みを有する電界紡糸された[95:5 w/w P(LLA-co-CL)67/33+PDLA-16k]のチューブが得られた(7.2時間電界紡糸を行った)。
Figure 0007035097000007
マンドレル(ローリング)から取り除いた後、チューブは保管に際してその形状を維持した。ポリマー繊維のエントロピー緩和に起因するチューブの直径の縮みは、極少量であった(約3%)。電界紡糸されたパッチと同様に、チューブのE-モジュラス及びσmaxの値は数MPaであり、高い弾性を示した(εb 約 600%)。

Claims (15)

  1. ポリマーブレンドであって、
    (A)実質的にランダムな部分的にブロック状の構造を有し、ポリ[(L-ラクチド)-co-(ε-カプロラクトン)]及びポリ[(D-ラクチド)-co-(ε-カプロラクトン)]から選択されるコポリマーである第一のポリマー成分、及び
    (B)前記第一のポリマー成分(A)とは異なり、ポリ(L-ラクチド)、ポリ(D-ラクチド)、ポリ[(L-ラクチド)-co-(ε-カプロラクトン)]、及びポリ[(D-ラクチド)-co-(ε-カプロラクトン)]から選択される第二のポリマー成分、
    を含むか、これらからなり、
    1H-NMR測定により決定された前記第一のポリマー成分(A)の、ラクチド-ε-カプロラクトンダイアド(LA-CL)に対するラクチド-ラクチドダイアド(LA-LA)のダイアド比は、少なくとも2.5:1であり、
    前記第一及び第二のポリマー成分(A)及び(B)は、得られるポリマーブレンドがL-ラクチド由来の構成ユニット及びD-ラクチド由来の構成ユニットの組み合わせを含むように選択される、ポリマーブレンド。
  2. 請求項1に記載のポリマーブレンドであって、
    80~90wt%の前記第一のポリマー成分(A)及びポリ(L-ラクチド)又はポリ(D-ラクチド)から選択される1~20wt%の前記第二のポリマー成分(B)を含む、ポリマーブレンド。
  3. 請求項1又は2に記載のポリマーブレンドであって、
    ポリ[(L-ラクチド)-co-(ε-カプロラクトン)]又はポリ[(D-ラクチド)-co-(ε-カプロラクトン)]の、普遍的に較正されたゲル浸透クロマトグラフィーにより決定された重量平均分子量Mwが、少なくとも80kDaである、ポリマーブレンド。
  4. 請求項1~3のいずれか一項に記載のポリマーブレンドであって、
    ポリ(L-ラクチド)又はポリ(D-ラクチド)の、普遍的に較正されたゲル浸透クロマトグラフィーにより決定された重量平均分子量Mwが、1~40kDaの範囲内である、ポリマーブレンド。
  5. 請求項1~4のいずれか一項に記載のポリマーブレンドであって、
    前記第一のポリマー成分(A)中のε-カプロラクトンの重量含有量が、前記コポリマー(A)の総重量に対して25~47wt%の範囲内である、ポリマーブレンド。
  6. 請求項1~5のいずれか一項に記載のポリマーブレンドであって、
    NMR及びDSC測定により決定された前記第一のポリマー成分(A)中のアモルファス相中のε-カプロラクトン分率が、前記第一のポリマー成分(A)中のε-カプロラクトンの総モル量に対して少なくとも25mol%である、ポリマーブレンド。
  7. 請求項1~6のいずれか一項に記載のポリマーブレンドであって、
    ポリ[(L-ラクチド)-co-(ε-カプロラクトン)]及びポリ(D-ラクチド)を含むブレンド、
    ポリ[(D-ラクチド)-co-(ε-カプロラクトン)]及びポリ(L-ラクチド)を含むブレンド、
    ポリ[(L-ラクチド)-co-(ε-カプロラクトン)]及びポリ[(D-ラクチド)-co-(ε-カプロラクトン)]を含むブレンド、
    から選択される、ポリマーブレンド。
  8. 請求項1~7のいずれか一項に記載のポリマーブレンドであって、
    前記ポリマーブレンドの一軸引張試験により決定される破断伸びが、25℃において400~1000%の範囲内である、ポリマーブレンド。
  9. 請求項1~8のいずれか一項に記載のポリマーブレンドであって、
    前記ポリマーブレンドの一軸引張試験により決定される弾性率が、25℃において25~150MPaの範囲内である、ポリマーブレンド。
  10. 請求項1~9のいずれか一項に記載のポリマーブレンドから作成されたオブジェクトであって、当該オブジェクトが、多孔性の不織性繊維構造を有している、オブジェクト。
  11. 請求項10に記載のオブジェクトであって、
    前記繊維のSEM画像から決定される平均繊維径が、0.5~10μmの範囲内である、オブジェクト。
  12. 請求項10又は11に記載のオブジェクトであって、
    引張試験により決定される前記オブジェクトの25℃における破断伸びが、250~850%の範囲内である、オブジェクト。
  13. 請求項10~12のいずれか一項に記載のオブジェクトであって、
    引張試験により決定される前記オブジェクトの25℃における弾性率が、0.3~5MPaの範囲内である、オブジェクト。
  14. 請求項1~9のいずれか一項に記載のポリマーブレンドの加工方法又は請求項10~13のいずれか一項に記載のオブジェクトの製造方法であって、
    請求項1~9のいずれか一項に記載のポリマーブレンドの溶液を調製し、
    前記溶液を電界紡糸に処して前記ポリマーブレンドの繊維を製造し、
    前記繊維を堆積させて、不織性繊維構造により構築されたオブジェクトを形成する
    ことを含む、方法。
  15. 請求項1に記載のポリマーブレンドであって、
    50~95wt%の前記第一のポリマー成分(A)及びポリ[(L-ラクチド)-co-(ε-カプロラクトン)]又はポリ[(D-ラクチド)-co-(ε-カプロラクトン)]から選択される5~50wt%の前記第二のポリマー成分(B)を含む、ポリマーブレンド。
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