JP7035036B2 - 後発酵茶由来の新規なケンペロール系化合物 - Google Patents

後発酵茶由来の新規なケンペロール系化合物 Download PDF

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Description

本明細書は、後発酵茶由来の新規なケンペロール系化合物に関するものである。
緑茶は、葉状の葉茶形態、又はより深い香りを感じるために醗酵状態の茶で飲用する。醗酵緑茶は、緑茶葉に酸化処理を施したものを意味し、茶葉に存在する酸化酵素によって酸化させた醗酵茶、茶葉に存在する酵素ではない他の微生物によって醗酵させた後発酵茶を含む。醗酵の度合に応じて、弱発酵茶、半発酵茶、全醗酵茶などに分けられる。例えば、醗酵緑茶は、醗酵の形態や度合に応じて、緑茶、ウーロン茶、紅茶、プーアル茶などといった多様な名称で呼ばれる。
グローバルな後発酵茶の製造技術保有国家は中国、日本である。中国の好気的醗酵茶はカビ類(Fungi)を醗酵菌株として用い、主要山地は雲南省の西双版納である。日本の好気的醗酵茶としては、カビ類(Fungi)を醗酵菌株として用い、富山が主要山地である黒茶があり、嫌気的醗酵茶としては、嫌気性ラクトバチルス(Lactobacillus Anaerobe)を醗酵菌株として用い、主要山地が阿波である番茶がある。また、嫌気性カビ類(Fungi Anaerobe)を醗酵菌株として用い、主要山地が石鎚である黒茶がある。中国のプーアル縣から由来した伝統のプーアル茶は、緑茶葉を採取するときに故意に傷つけ、加熱して煎った後に適量の水分を加え、空気中の微生物を用いて自然醗酵させる。韓国では、智異山、保寧などで間欠的に家内制手工業の形態で醗酵茶を製造し飲用している。
醗酵状態の茶は、葉茶と比べて、香りにおいて違いを示すだけでなく、具体的醗酵工程や微生物の種類などに応じて、有効成分の種類や含量において大きな違いを示すことがある。このように多様な化合物が生成、分離され得るという点のため、緑茶を用いた未知の新規化合物の分離及び同定のための多様な努力が続けられてきている。
一方、ケンペロールは、フラボノイドの一種であって、自然界で多様な植物体内の二次代謝物の形態で存在すると知られている。
韓国登録特許第10-0975199号公報
本発明は、一側面において、後発酵茶から新規な化合物を見出し、これを産業的に用いることを目的とする。
本発明は、他の側面において、前記新規な化合物の製造方法を提供して、産業的利用可能性を高めることを目的とする。
前記課題を解決するために本発明は、一側面において、下記の化学式1で表される化合物、その異性体、その薬学的に許容可能な塩、その水和物、又はその溶媒和物を提供する。
Figure 0007035036000001
前記式1中、RはC15であってよく、RはC11であってよく、RはCであってよい。
また、本発明は、他の側面において、前記化合物、その異性体、その薬学的に許容可能な塩、その水和物又はその溶媒和物の製造方法を提供する。
本発明は、一側面において、後発酵茶から新規な特定の化合物を分離した後、これを産業的に利用できるようにすることで、後発酵茶関連産業及び前記化合物が利用され得る各分野において広く活用でき、且つ関連消費者の需要を満たすことができる。
本発明の一側面に係る化合物のMSスペクトルを示した図である。 本発明の一側面に係る化合物のH-NMR(核磁気共鳴)スペクトルを示した図である。 本発明の一側面に係る化合物の13C-NMRスペクトルを示した図である。 本発明の一側面に係る化合物のH-13C HSQC(Heteronuclear Single Quantum Coherence)スペクトルを示した図である。 本発明の一側面に係る化合物のH-13C HMBC(Heteronuclear Multiple-Bond Coherence)スペクトルを示した図である。 本発明の一側面に係る化合物がベータアミロイドの凝集に及ぼす影響を確認した図である。
本明細書において「後発酵」は、茶葉に存在する酵素ではない他の微生物又は物質によって醗酵させることを含む。後発酵茶は前記方式によって緑茶を醗酵させたものを含む。
本明細書において「分画物」は、ある溶媒を用いて特定の物質や抽出物を分画して得たもの又は分画して残ったもの、そしてこれらを特定の溶媒で再び抽出して得たものを含む。分画方法や抽出方法は当業界における通常の技術者に知られたものであればいずれも用いてよい。
本明細書において「異性体」は、特に光学異性体(optical isomers)(例えば、本質的に純粋なエナンチオマー(essentially pure enantiomers)、本質的に純粋なジアステレオマー(essentially pure diastereomers)又はそれらの混合物)だけでなく、配座異性体(conformation isomers)(すなわち、1つ以上の化学結合のその角度のみ異なる異性体)、位置異性体(position isomers)(特に、互変異性体(tautomers))、又は幾何異性体(geometric isomers)(例えば、シス-トランス異性体)を含む。
本明細書において「本質的に純粋な(essentially pure)」とは、例えば、エナンチオマー又はジアステレオマーと関連して用いた場合、エナンチオマー又はジアステレオマーを例として挙げることのできる具体的な化合物が約90%以上、好ましくは約95%以上、より好ましくは約97%以上、又は約98%以上、さらに好ましくは約99%以上、最も好ましくは約99.5%以上(w/w)存在することを意味する。
本明細書において「薬学的に許容可能」とは、通常の医薬的服用量(Medicinal dosage)で利用する際に相当な毒性を避けることにより、動物、より具体的には、ヒトに使用することができるという政府又はこれに準ずる規制機構の承認を受けることができ、又は承認を受け、又は一般的な薬局方に列挙され、又はその他一般的な薬局方に記載されたものと認定されることを意味する。
本明細書において「薬学的に許容可能な塩」とは、薬学的に許容可能であり、親化合物(parent compound)の好ましい活性を有する本発明の一側面に係る塩を意味する。前記塩は、(1)塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等といった無機酸から形成されるか;又は、酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンテンプロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、3-(4-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2-エタン-ジスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4-クロロベンゼンスルホン酸、2-ナフタレンスルホン酸、4-トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸、4-メチルビシクロ[2,2,2]-oct-2-エン-1-カルボン酸、グルコヘプトン酸、3-フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、tert-ブチル酢酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸、ムコン酸といった有機酸から形成される酸付加塩(acid addition salt);又は、(2)親化合物に存在する酸性プロトンが置換されるときに形成される塩を含んでよい。
本明細書において「水和物(hydrate)」とは、水が結合している化合物を意味し、水と混合物との間に化学的な結合力のない内包化合物を含む広範囲な概念である。
本明細書において「溶媒和物」とは、溶質の分子やイオンと溶媒の分子やイオンとの間に生じた高次の化合物を意味する。
本発明は、一側面において、下記の化学式1で表される化合物、その異性体、その薬学的に許容可能な塩、その水和物、又はその溶媒和物を提供する。
Figure 0007035036000002
前記式1中、RはC15であってよく、RはC11であってよく、RはCであってよい。
一具現例によると、前記Rは、下記の化学式2で表される化合物であってよい。
Figure 0007035036000003
他の具現例によると、前記Rは、下記の化学式3で表される化合物であってよい。
Figure 0007035036000004
前記Rは、下記の化学式4で表される化合物であってよい。
Figure 0007035036000005
他の具現例によると、前記化合物は、ケンペロール3-O-[2-O’’-(E)-p-クマロイル][β-D-グルコピラノシル-(1→3)-O-α-L-ラムノピラノシル-(1→6)-O-β-D-グルコピラノシド](Kaempferol3-O-[2-O’’-(E)-p-coumaroyl][beta-D-glucopyranosyl-(1→3)-O-alpha-L-rhamnopyranosyl-(1→6)-O-beta-D-glucopyranoside])であってよい。前記化合物は、下記の化学式のように表し得る。
Figure 0007035036000006
本発明は、一側面において、前記化合物は、これまで知られていない新規な物質であって、本発明者らが後発酵茶に対する持続的な研究の末に見出したものである。本発明の一側面に係る前記化合物は、ベータアミロイド凝集を抑制するなどの有用性を発揮し(図6参照)、ベータアミロイド凝集などは医薬及び関連分野において臨床的に応用できる特性であるため、前記化合物を産業的に用い得ることが明確に分かる。前記化合物に関する有用性について更なる研究を進めていくと、多様な産業分野において活用できるものと予想される。
一具現例によると、前記化合物の含量は、これを含む組成物の総質量を基準に、0.01質量%以上、0.05質量%以上、0.1質量%以上、0.2質量%以上、0.3質量%以上、0.4質量%以上、0.5質量%以上、0.7質量%以上、0.9質量%以上、1.0質量%以上、1.3質量%以上、1.5質量%以上、1.7質量%以上、2.0質量%以上、2.2質量%以上、2.5質量%以上、2.8質量%以上、3.0質量%以上、3.3質量%以上、3.5質量%以上、3.8質量%以上、4.0質量%以上、4.5質量%以上、5.0質量%以上、5.5質量%以上、6.0質量%以上、8.0質量%以上、10質量%以上、12質量%以上、15質量%以上、又は20質量%以上であってよい。また、18質量%以下、15質量%以下、12質量%以下、10質量%以下、8.0質量%以下、6.0質量%以下、5.5質量%以下、5.0質量%以下、4.5質量%以下、4.0質量%以下、3.8質量%以下、3.5質量%以下、3.3質量%以下、3.0質量%以下、2.8質量%以下、2.5質量%以下、2.2質量%以下、2.0質量%以下、1.7質量%以下、1.5質量%以下、1.3質量%以下、1.0質量%以下、0.9質量%以下、0.8質量%以下、0.7質量%以下、0.5質量%以下、0.4質量%以下、0.3質量%以下、0.2質量%以下、0.1質量%以下、0.05質量%以下、又は0.03質量%以下であってよい。
本発明は、他の側面において、前記化合物、その異性体、これらの薬学的に許容可能な塩、これらの水和物又はこれらの溶媒和物の製造方法を提供する。前記製造方法は、合成、天然物からの分離などを含んでいてよい。
一具現例によると、前記製造方法は、緑茶を醗酵させた後に分離するものであってよい。前記製造方法は、緑茶葉に醗酵菌を接種し醗酵させた後に熱風で乾燥させてから熟成させる過程を含んでいてよく、熟成の後に抽出及び分画を経て前記化合物を分離する過程を含んでいてよい。
前記抽出及び分画は、水、有機溶媒などを用いて行ってよく、当業者に周知のいずれの方法も適用可能である。
他の側面によると、前記分画は前記抽出の後に行なってよく、ケトンで分画してよく、ケトンで分画したものを更にアルコール(例えば、エタノール)で抽出してもよい。前記ケトンは、アセトン、カルボン(carvon)、プレゴン(pulegone)、イソロンギホラノン(isolongifolanone)、2-ヘプタノン、2-ペンタノン、3-ヘキサノン、3-ヘプタノン、4-ヘプタノン、2-オクタノン、3-オクタノン、2-ノナノン、3-ノナノン、2-ウンデカノン、2-トリデカノン、メチルイソプロピルケトン、エチルイソアミルケトン、ブチリデンアセトン、メチルヘプテノン、ジメチルオクテノン、ゲラニルアセトン、ファルネシルアセトン、2,3-ペンタジオン、2,3-ヘキサジオン、3,4-ヘキサジオン、2,3-ヘプタジオン、アミルシクロペンタノン、アミルシクロペンテノン、2-シクロペンチルシクロペンタノン、ヘキシルシクロペンタノン、2-n-ヘプチルシクロペンタノン、cis-ジャスモン、ジヒドロジャスモン、メチルコリロン、2-tert-ブチルシクロヘキサノン、p-tert-ブチルシクロヘキサノン、2-sec-ブチルシクロヘキサノン、セロリーケトン、クリプトン、p-tert-ペンチルシクロヘキサノン、メチルシクロシトロン、ネロン、4-シクロヘキシル-4-メチル-2-ペンタノン、オキサイドケトン、エモキシフロン、メチルナフチルケトン、α-メチルアニサルアセトン、アニシルアセトン、p-メトキシフェニルアセトン、ベンジリデンアセトン、p-メトキシアセトンフェノン、p-メチルアセトフェノン、プロピオフェノン、アセトフェノン、α-ダイナスコン(Dynascone)、イリトーン(lritone)、イオノン(ionone)、プソイドイオノン(Pseudoionone)、メチルイオノン、メチルイリトーン、2,4-ジ-tert-ブチルシクロヘキサノン、アリルイオノン、2-アセチル-3,3-ジメチルノルボルナン、ベルベノン、フェンコン(fenchon)、シクロペンタデカノン、シクロヘキサデセノンなどを含んでいてよく、当業界において一般的に用いられ得る溶媒としてのケトン類及びこれらの混合物をいずれも含んでいてよく、好ましくは、アセトンであってよい。
他の具現例によると、前記発酵は後発酵方式によるものであってよい。前記後発酵は菌株接種によるものであってよく、前記菌株は、サッカロマイセス属(Saccharomyces sp.)、バチルス属(Bacillus sp.)、ラクトバチルス属(Lactobacillus sp.)及びロイコノストック属(Leuconostoc mesenteroides sp.)から選ばれる菌株であってよく、好ましくは、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、バチルス・サブチリス(Bacillus subtlis)、ラクトバチルス・ブルガリクス(Lactobacillus bulgarius)及びロイコノストック・メッセンテロイデス(Leuconostoc mesenteroides)から選ばれるものであってよい。
以下、下記実施例、及び実験例を挙げて本明細書の構成及び効果についてより具体的に説明する。なお、これらの例は、本明細書についての理解を助けるための目的から例示したものに過ぎず、本明細書の範疇及び範囲が下記例に限定されるものではない。
[実施例1]後発酵茶試料の製造
緑茶(Camellia sinensis var. Yabukita)葉で作った緑茶に水を添加して水分含量を40質量%に調整した。これにバチルス・サブチリス(Bacillus subtillis)5×10cfu/gを接種し、50℃で3日間醗酵させた後に80℃で4日間醗酵させた。
前記熟成された茶の試料を15秒間粉砕し、メッシュサイズ1mmのステンレス篩で篩いわけした。次いで、粉砕された50mgを1.5mlのエッペンドルフ・チューブ(Eppendorf tube)に入れ、1mlの脱イオン水を添加し、60℃の恒温槽で30分間一定の速度で撹拌した後、25℃、13,000rpmで15分間遠心分離した。乾燥させた醗酵緑茶抽出物から水に溶けない部分だけを分離した。
[実施例2]分画物の収得及び化合物の分離
前記後発酵茶試料150gをアセトンで分画してカテキン誘導体及びカフェインを除去し、他の化合物が濃縮された可溶物を収得した。前記アセトン可溶物40gに対し一次的にシリカゲルコラムクロマトグラフィーを利用して、クロロホルム:メタノールの5:1(v/v)混合物を溶媒として分画物を得た。
カフェインが除去されたクロロホルム:メタノール5:1(v/v)分画物8.9gを大容量の高性能向流クロマトグラフィー(high-performance countercurrent chromatography、HPCCC、Dynamic Extractions Ltd、UK)を利用して分画した。このときに用いた溶媒はn-hexane-TBME(Methyl tert-butyl ether)-BuOH-MeCN-Water(0.25:3:1:1:5、v/v)とし、流速は25ml/minとした。前記条件を用いて計10個の下位分画を分け、各分画に対し、再び小容量のHPCCC(Dynamic Extractions Ltd、UK)、HPLC(High-performance liquid chromatography)、セファデックス(sephadex)LH-20コラム(GE Healthcare Bio-Sciences、Sweden)などを使用して、各分画に含有された成分を分離した。
その結果、前記分画物からこれまで知られていない化合物である、ケンペロール3-O-[2-O’’-(E)-p-クマロイル][β-D-グルコピラノシル-(1→3)-O-α-L-ラムノピラノシル-(1→6)-O-β-D-グルコピラノシド](Kaempferol3-O-[2-O’’-(E)-p-coumaroyl][beta-D-glucopyranosyl-(1→3)-O-alpha-L-rhamnopyranosyl-(1→6)-O-beta-D-glucopyranoside])を分離することができ、H、13C-NMR(nuclear magnetic resonace spectroscopy)、UV(ultraviolet spectroscopy)、ESI-MS(Electro Spray Ionization Mass Specroscopy)を用いて構造を同定して、各化合物の構造を究明した。H及び13C核磁気共鳴(nuclear magnetic resonance、NMR)の場合、溶媒(solvent)としてmethanol-d3を用い、機器はBruker Advance DPX-500(BRUKER社、USA)を使用した。各化合物のMSスペクトルは、6200 Series Accurate-Mass Time-of-Flight(TOF)LC/MS(Agilent、US)を用いて分析した。
分析の結果、前記各化合物は、これまで知られていない新規な化合物であって、C424622の分子量902.2481であるケンペロール3-O-[2-O’’-(E)-p-クマロイル][β-D-グルコピラノシル-(1→3)-O-α-L-ラムノピラノシル-(1→6)-O-β-D-グルコピラノシド]であると確認された。
ケンペロール3-O-[2-O’’-(E)-p-クマロイル][β-D-グルコピラノシル-(1→3)-O-α-L-ラムノピラノシル-(1→6)-O-β-D-グルコピラノシド]の化学式及びNMRデータは以下のとおりである。
Figure 0007035036000007
Figure 0007035036000008
Figure 0007035036000009
Figure 0007035036000010
ケンペロール3-O-[2-O’’-(E)-p-クマロイル][β-D-グルコピラノシル-(1→3)-O-α-L-ラムノピラノシル-(1→6)-O-β-D-グルコピラノシド]のMSスペクトルは図1のように示され、H-NMRスペクトル及び13C-NMRスペクトルはそれぞれ図2及び図3のように示され、HSQC(Heteronuclear Single Quantum Coherence)スペクトルは図4のように示され、HMBC(Heteronuclear Multiple-Bond Coherence)スペクトルは図5のように示された。
[実験例1]ベータアミロイド凝集効能の実験
前記ケンペロール3-O-[2-O’’-(E)-p-クマロイル][β-D-グルコピラノシル-(1→3)-O-α-L-ラムノピラノシル-(1→6)-O-β-D-グルコピラノシド]のベータ-アミロイド凝集阻害効果を蛍光分析法(Thioflavin T assay)で確認した。
具体的に、ベータ-アミロイド(Aβ1-42、AnaSpec Inc、USA)を入手して0.1mg/mlの濃度で使用し、使用の前に-80℃で保管した。DMSOにモリン(Morin、20μM)、フェノールレッド(Phenol Red、20μM)、ケンペロール3-O-[2-O’’-(E)-p-クマロイル][β-D-グルコピラノシル-(1→3)-O-α-L-ラムノピラノシル-(1→6)-O-β-D-グルコピラノシド](1mg/ml)のそれぞれを希釈して前記濃度に調節した。
Aβ1-42凝集抑制度合いを特定するために、0.01Mリン酸ソーダ緩衝溶液50μlに前記濃度で用意したそれぞれの化合物を10μMになるように希釈した後、0.1mg/mlのAβ1-42を40μl加えた後、2mMチオフラビンT(Thioflavin T)10μlを加え、37℃で5分間隔で150分間分光蛍光光度計(RF-5300PC、SHIMADZU CORPORATION、Japan)で蛍光を測定した。
その結果は、下の表2及び図6のように示された。
Figure 0007035036000011
前記表中のRFUは、relative fluorescence unitであり、「Increased RFU」は凝集したベータアミルロイドの量を表し、「Increased RFU(% of Pos.Cont.)」は凝集したベータアミルロイドの量の陽性対照群に対する百分率の値を表す。「新規物質33」はケンペロール3-O-[2-O’’-(E)-p-クマロイル][β-D-グルコピラノシル-(1→3)-O-α-L-ラムノピラノシル-(1→6)-O-β-D-グルコピラノシド]を表す。
すなわち、陽性対照群(positive control、「Pos.Cont.」と表し、化合物の処理なしにベータアミルロイドだけを凝集させたもの)の凝集を100%としたとき、ケンペロール3-O-[2-O’’-(E)-p-クマロイル][β-D-グルコピラノシル-(1→3)-O-α-L-ラムノピラノシル-(1→6)-O-β-D-グルコピラノシド]は陽性対照群に比べ23.0%程度凝集を抑制する効果を示した。この結果は、これまで知られた抑制剤であるMorin(21.4%)、Phenol red(6.4%)よりも優れたベータアミルロイド凝集抑制効能があることを示す。したがって、前記化合物は、前記のような有用性を持っているところ、関連産業分野において多様に活用され得る。
[実験例2]皮膚累積刺激の実験
前記ケンペロール3-O-[2-O’’-(E)-p-クマロイル][β-D-グルコピラノシル-(1→3)-O-α-L-ラムノピラノシル-(1→6)-O-β-D-グルコピラノシド]の皮膚累積刺激性の有無を確認し、皮膚に使用できる濃度範囲を算出するために、HRIPT(Human repeated insult patch tests)を実施した。
具体的に、健康な成人被験者15人を無作為に選定し、前記化合物が0.5質量%、1質量%、3質量%ずつ含まれた試験用組成物(前記化合物の他、乳化剤、安定化剤、精製水などを含む皮膚用組成物)をチャンバ(IQ chamber、Epitest Ltd、フィンランド)当り20μlずつ滴下し、被験者の背中の右上側部位に貼布してから24時間経過したときに新しい貼布に取り替えた。このような方法で、1週間に3回ずつ計3週間9回の貼布を行いながら毎回貼布の前後の皮膚反応を検査し、最終の貼布を除去してから48時間までの間の皮膚反応を確認し、その平均反応度を求めた。
その結果は、下の表のとおりである。
Figure 0007035036000012
前記皮膚反応は、国際接触皮膚炎研究班(ICDRG;International Contact Dermatitis RESEARCH Group)の基準に従って判定した。前記表において「新規物質33」は、ケンペロール3-O-[2-O’’-(E)-p-クマロイル][β-D-グルコピラノシル-(1→3)-O-α-L-ラムノピラノシル-(1→6)-O-β-D-グルコピラノシド]を示す。すなわち、前記物質は、前記含量範囲でいずれも(-)反応度を示し(±、+、++、又は+++反応度を示した被験者なし)、これより、前記物質が皮膚累積刺激がなく、皮膚に安全に使用できることが分かった。
以上、本明細書の特定の実施例などを詳しく記述したが、当業界の通常の知識を有する者にとってこのような具体的な記述は単に好適な具現例であるに過ぎず、これによって本明細書の範囲が制限されるものではないことは明白であろう。したがって、本明細書の実質的な範囲は添付の請求項とその等価物によって定義されるといえよう。

Claims (2)

  1. ケンペロール3-O-[2-O’’-(E)-p-クマロイル][β-D-グルコピラノシル-(1→3)-O-α-L-ラムノピラノシル-(1→6)-O-β-D-グルコピラノシド](Kaempferol3-O-[2-O’’-(E)-p-coumaroyl][beta-D-glucopyranosyl-(1→3)-O-alpha-L-rhamnopyranosyl-(1→6)-O-beta-D-glucopyranoside])である化合物、その薬学的に許容可能な塩、その水和物、又はその溶媒和物。
  2. 請求項1に記載の化合物、その薬学的に許容可能な塩、その水和物又はその溶媒和物の製造方法であって、
    緑茶を醗酵させた後に、前記化合物が醗酵させた緑茶から分離され、
    前記醗酵は、後発酵方式であり、
    前記後発酵は、バチルス・サブチリス株の接種により行われる、
    製造方法
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