JP7033517B2 - アーク溶接方法 - Google Patents

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Description

本発明は、セラミック製のエンドタブを用いて行うアーク溶接方法に関する。
溶接方法の一つに、消耗電極式のガスシールドアーク溶接法がある。ガスシールドアーク溶接法は、母材の被溶接部に送給された溶接ワイヤと、母材との間にアークを発生させ、アークの熱によって母材を溶接する手法であり、特に高温になった母材の酸化を防ぐために、不活性ガスを溶接部周辺に噴射しながら溶接を行うものである。高速で溶接ワイヤの送給を行い、大電流を供給することによって、9~30mmの厚板の1パス溶接を実現することができる。具体的には、溶接ワイヤを約5~100m/分で送給し、300A以上の大電流を供給することによって、厚板の1パス溶接を実現することができる。溶接ワイヤの高速送給及び大電流供給を行うと、アークの熱によって母材に凹状の溶融池が形成され、溶接ワイヤの先端部が溶融池によって囲まれる空間に進入する。溶接ワイヤの先端部が母材表面より深部に進入することによって、溶融池が母材の厚み方向裏面側にまで貫通し、1パス溶接が可能になる。以下、凹状の溶融池によって囲まれる空間を埋もれ空間と呼び、埋もれ空間に進入した溶接ワイヤの先端部と、母材又は溶融池との間に発生するアークを、適宜、埋もれアークと呼ぶ。また、埋もれアークを用いた溶接を埋もれアーク溶接と呼ぶ。
特開平6-234074号公報
ところが、セラミック製のエンドタブを用いて埋もれアーク溶接を行うと、大電流によってエンドタブ近傍の始端部に、二酸化ケイ素等の非金属物質からなるスラグが発生し、問題となることが分かった。具体的には、大電流溶接ではあるものの、被溶接部の始端部においては十分な入熱が得られず、セラミックに起因する非金属物質がスラグとして溶融池表面に浮き上がること無く溶接部に残留してしまい、溶接欠陥となることが分かった。なお、非埋もれアーク溶接では、溶接電流が小さいため、セラミック製のエンドタブに起因する上記のような溶接欠陥が問題となることは無かった。
本発明の目的は、セラミック製のエンドタブを用いた埋もれアーク溶接において、被溶接部の始端部における非金属物質の残留を防ぎ、良好な溶接部を得ることができるアーク溶接方法を提供することにある。
本態様に係るアーク溶接方法は、溶接トーチを母材の被溶接部の始端部から終端部へ移動させながら溶接ワイヤを送給すると共に、該溶接ワイヤに溶接電流を供給することによって、前記溶接ワイヤの先端部及び前記被溶接部間にアークを発生させ、該アークにより前記母材に形成される凹状の溶融池によって囲まれる空間に前記先端部を進入させて前記母材を溶接する消耗電極式のアーク溶接方法であって、前記被溶接部の前記始端部にセラミック製のエンドタブを配置し、前記溶接トーチを後退角の状態にして前記始端部へ移動させ、後退角の状態で溶接を開始し、所定時間を経過後に前記溶接トーチを面直にすることで、前記エンドタブに起因するスラグを溶融池表面に浮き上がらせる。
本態様に係るアーク溶接方法は、溶接開始後、前記溶接トーチを前記被溶接部に沿って前記終端部側へ移動させ、溶接開始後、前記所定時間が経過するまでの間に、前記溶接トーチを後退角の状態から面直の状態に戻す。
本態様に係るアーク溶接方法は、溶接開始後、前記所定時間が経過するまでの間に、前記溶接電流を増加させる。
本態様に係るアーク溶接方法は、前記後退角の範囲は、前記母材の法線方向に対する前記溶接トーチの傾斜角度が5度以上25度以下である。
本態様にあっては、溶接トーチを後退角の状態にして被溶接部の始端部へ移動させ、溶接を開始する。従って溶接トーチを面直にして溶接を開始する場合に比べて、より大きな入熱と、深い溶け込みが得られる。所定時間、後退角の状態で溶接を行うことによって、セラミック製のエンドタブに起因するスラグを溶融池表面に浮き上がらせることができ、始端部の溶接品質が良好なものとなる。
本発明にあっては、セラミック製のエンドタブを用いた埋もれアーク溶接において、被溶接部の始端部における非金属物質の残留を防ぎ、良好な溶接部を得ることができる。
アーク溶接装置の一構成例を示す模式図である。 アーク溶接方法を示すフローチャートである。 溶接対象の母材及びエンドタブを示す斜視図である。 溶接対象の母材及びエンドタブを示す平面図である。 溶接開始方法を示す模式図である。 後退角から面直に戻すまでの所定時間の最適範囲を示す説明図である。 後退角の最適範囲を示す説明図である。 ワイヤ突き出し長さの最適範囲を示す説明図である。 溶接終了方法を示す模式図である。 被溶接部の終端部を拡大して示した模式図である。 溶接電流を低下又は停止させるべきエンドタブからの距離の最適範囲を示す説明図である。 適切なタイミングで溶接を終了したときの終端部におけるビード形状を示した説明図である。 不適切なタイミングで溶接を終了したときの終端部におけるビード形状を示した説明図である。
以下、本発明をその実施形態を示す図面に基づいて詳述する。
図1は、アーク溶接装置の一構成例を示す模式図である。本実施形態に係るアーク溶接装置は、300A以上の大電流埋もれアーク溶接が可能な消耗電極式のガスシールドアーク溶接機であり、溶接トーチ11及びワイヤ送給部12が取り付けられた溶接ロボット1と、溶接電源2と、制御装置3と、図示しないシールドガス供給部とを備える。図1中、太線は給電ケーブルL、細線は制御通信線である。制御装置3は、動作制御信号を溶接ロボット1へ出力すると共に、所定のタイミングで溶接制御信号を溶接電源2へ出力することによって、溶接ロボット1及び溶接電源2の動作を制御する。
溶接ロボット1は、床面の適宜箇所に固定される基部13を備える。基部13には、複数のアーム14が軸部を介して回動可能に連結している。先端側に連結されたアーム14の先端部位には、溶接トーチ11が保持されている。アーム14の連結部分にはサーボモータが設けられており、サーボモータの回転駆動力によって軸部を中心に各アーム14が回動する。サーボモータの回転は制御装置3によって制御されている。制御装置3は、各アーム14を回動させることによって、母材4に対して溶接トーチ11を上下前後左右に移動させることができる。各アーム14の連結部分には、アーム14の回動位置を示す信号を制御装置3へ出力するエンコーダが設けられており、制御装置3は、エンコーダから出力された信号に基づいて、溶接トーチ11の位置を認識する。また、制御装置3は溶接電源2と通信を行い、溶接ワイヤWの送給及び溶接電流の供給を制御する。
シールドガス供給部は、溶接トーチ11へシールドガスを供給する。シールドガスは、アークによって溶融した母材4及び溶接ワイヤWの酸化を防止するためのものである。シールドガスは、例えばアルゴンAr、二酸化炭素CO2 及びヘリウムHeの混合ガス、又はアルゴンAr及びヘリウムHeの混合ガスである。
溶接トーチ11は、銅合金等の導電性材料からなり、母材4の被溶接部へ溶接ワイヤWを案内すると共に、アークの発生に必要な溶接電流を供給する円筒形状のコンタクトチップを有する。コンタクトチップは、その内部を挿通する溶接ワイヤWに接触し、溶接電流を溶接ワイヤWに供給する。また、溶接トーチ11は、コンタクトチップを囲繞する中空円筒形状をなし、シールドガス供給部から供給されたシールドガスを被溶接部へ噴射するノズルを有する。
溶接ワイヤWは、例えばソリッドワイヤ、メタルコアードワイヤ又はフラックスコアードワイヤであり、消耗電極として機能する。溶接ワイヤWの直径は0.8mm以上1.6mm以下である。溶接ワイヤWは、例えば、螺旋状に巻かれた状態でペールパックに収容されたパックワイヤ、あるいはワイヤリールに巻回されたリールワイヤである。
ワイヤ送給部12は、溶接ワイヤWを溶接トーチ11へ送給する送給ローラと、当該送給ローラを回転させるモータとを有する。ワイヤ送給部12は、送給ローラを回転させることによって、ペールパック又はワイヤリールから溶接ワイヤWを引き出し、引き出された溶接ワイヤWを溶接トーチ11へ定速で供給する。溶接ワイヤWの送給速度は、例えば、約5~100m/分である。なお、かかる溶接ワイヤWの送給方式は一例であり、特に限定されるものでは無い。
溶接電源2は、定電圧特性の電源であり、給電ケーブルLを介して、溶接トーチ11のコンタクトチップ及び母材4に接続された電源回路を備える。電源回路は、PWM制御された直流を出力する回路であり、溶接ワイヤW及び母材4間に溶接電圧を印加することにより、溶接電流を供給する。特に、本実施形態に係る溶接電源2は300Aの溶接電流を供給する。溶接電流は直流又は直流パルスが望ましいが、特に限定されるものでは無く、交流ないし交流パルスであっても良い。溶接電流が変動する場合における300Aは、当該溶接電流の平均値を意味する。
このように構成されたアーク溶接装置によれば、母材4の被溶接部にシールドガスを供給しながら溶接ワイヤWを送給すると共に、溶接ワイヤWに溶接電流を供給することによって、溶接ワイヤWの先端部及び被溶接部間にアークを発生させ、当該アークにより母材4に形成される凹状の溶融池によって囲まれる空間に当該先端部を進入させて母材4を溶接することができる。
図2は、アーク溶接方法を示すフローチャート、図3は、溶接対象の母材4及びエンドタブ5,6を示す斜視図、図4は、溶接対象の母材4及びエンドタブ5,6を示す平面図、図5は、溶接開始方法を示す模式図である。まず、溶接により接合されるべき一対の板状の母材4を用意する(ステップS11)。具体的には、図3及び図4に示すように、第1母材41と、レ型開先が形成された第2母材42とを用意し、被接合部を突き合わせて配置する。第1母材41及び第2母材42は、例えば軟鋼、機械構造用炭素鋼、機械構造用合金鋼等の鋼板であり、厚みは9mm以上30mm以下である。図3及び図4に示す例では、第1母材41は例えば方形板状、第2母材42は短辺が第1母材41の辺よりも短い矩形板状であり、第1母材41の一辺に対して、第2母材42の短辺を突き合わせている。第1母材41は、例えば柱の長手方向一端面を構成する鋼板であり、第2母材42は梁を構成する鋼板である。本実施形態では、第1母材41及び第2母材42の厚みは12mmとする。開先の角度は、例えば35度である。
次いで、図5Aに示すように、母材4の被溶接部の始端部4a及び終端部4bにセラミック製のエンドタブ5,6を配置する(ステップS12)。エンドタブ5,6は、被溶接部の始端部4a及び終端部4bに生じやすい溶接欠陥を外側に逃がすためのものである。
エンドタブ5,6は被溶接部の始端部4a及び終端部4bを側面側から覆うことが可能な寸法を有する板状であり、開先の形状に倣った凹部を有する。エンドタブ5,6の凹部の深さは例えば、3mm以上5mm以下である。図3及び図4は、第1母材41及び第2母材42に形成される被溶接部の始端部4a及び終端部4bにエンドタブ5,6が配置された状態を示している。エンドタブ5,6はクランプ等によって固定される。
<溶接開始方法>
溶接ロボット1は、図5Bに示すように、溶接トーチ11を後退角の状態にして始端部4aへ移動させる(ステップS13)。後退角の範囲は、母材4の法線方向に対する前記溶接トーチ11の傾斜角度が5度以上25度以下である。また、溶接ワイヤWの突き出し長さは15mm以上30mm以下が適当である。本実施形態では、後退角を20度、突き出し長さを25mmで溶接を開始するものとする。
次いで、溶接電源2は、溶接トーチ11を後退角の状態にしたまま低電流で溶接を開始させる(ステップS14)。例えば、埋もれアーク溶接の溶接電流(本電流)が520Aである場合、当該本電流の約80%の溶接電流416Aで溶接を開始する。溶接電流400A程度で開始しても良い。溶接電圧は、例えば43.5Vである。
そして、溶接電流を上昇させながら(ステップS15)、直線状の被溶接部に沿って溶接トーチ11を被溶接部の終端側へ移動させる(ステップS16)。溶接トーチ11の移動速度は、例えば30cm/分である。溶接電流は、溶接トーチ11の移動開始時点で上記本電流まで上昇させても良いし、後述する所定時間が経過するまでの間に、徐々に溶接電流を上昇させても良い。
次いで、図5Cに示すように、溶接開始後、所定時間が経過するまでの間に、溶接トーチ11を徐々に後退角の状態から面直の状態に戻す(ステップS17)。面直の状態とは、母材4の法線方向に対する溶接トーチ11の傾斜角度が0度の状態、つまり溶接ワイヤWの送給方向が鉛直方向になる状態である。溶接開始後、所定時間が経過した時点で、溶接トーチ11は面直の状態になっている。所定時間は、エンドタブ5に起因するスラグを溶融池表面に浮き上がらせるために必要な時間である。所定時間は、例えば0秒超5秒以内である。本実施形態では所定時間4秒で、溶接トーチ11を面直にするものとする。そして、面直となったときの溶接ワイヤWの突き出し長さを20mmとする。
上記の溶接開始後は、溶接トーチ11を面直にした状態で終端側へ移動させながら埋もれアーク溶接を継続する(ステップS18)。
図6は、板厚12mm、レ型開先、開先角度35度、下向き突き合わせ溶接という「建築工事標準仕様書 JASS6 鉄骨工事」に定める施工対象に対し、適切な溶接条件である溶接電流520A、溶接電圧43.5V、溶接速度30cm/分にて溶接した場合の、後退角から面直に戻すまでの所定時間の最適範囲を示す説明図である。以降の最適範囲を示す説明図は、前記施工対象に対して、前記溶接条件を用いた場合のものである。横軸は、溶接トーチ11を後退角の状態から面直の状態に戻すために使用した所定時間を示している。所定時間を0秒、1秒、2秒、3秒、4秒、5秒及び6秒で実験を行った所、所定時間が0秒ではスラグが巻き込まれ、融合不良が生じるともに、溶け込み不足も生じた。所定時間が1秒以上5秒以下では、始端部4aの溶接状態は良好であった。しかし、所定時間が5秒超ではビード幅が不整となり、溶接品質が悪化した。
図7は、後退角の最適範囲を示す説明図である。横軸は後退角の大きさを示している。後退角を0度、5度、10度、15度、20度、25度及び30度で実験を行った所、後退角が0度以上5度未満である場合、溶け込みが不足し、始端部4aの溶接品質は不良であった。後退角が5度以上25度以下である場合、始端部4aの溶接品質は良好であった。後退角が25度超ではビード幅が不整となり、溶接品質が悪化した。
図8は、ワイヤ突き出し長さの最適範囲を示す説明図である。横軸は溶接ワイヤWの突き出し長さを示している。突き出し長さを、5mm、10mm、15mm、20mm、25mm、30mm及び35mmで実験を行った所、突き出し長さが15mm未満である場合、溶接トーチ11のチップに溶融金属が付着するという問題が発生する。突き出し長さが15mm以上30mm以下である場合、始端部4aの溶接品質は良好であった。突き出し長さが30mm超では溶接状態が不安定になった。
<溶接終了方法>
図9は、溶接終了方法を示す模式図、図10は、被溶接部の終端部4bを拡大して示した模式図である。溶接トーチ11が終端側に近づいてきた場合、以下の終端処理を実行する。溶接トーチ11から送給される溶接ワイヤWが、終端側のエンドタブ6から第1所定距離d手前に到達した場合、溶接電流を低下させる(ステップS19)。第1所定距離dはエンドタブ6の凹部の終端面、つまり、溶接線方向に直行する面からの溶接ワイヤWの中心線までの距離である。第1所定距離dは、溶融池がエンドタブ6の凹部に進入することを防ぐことが可能な距離である。また、第1所定距離dは、溶接ワイヤWがエンドタブ6の凹部に進入することを防ぐことが可能な距離である。第1所定距離dは、例えば3mm超10mm以下である。
溶接電流の低下の度合いは、埋もれアークを維持することができる範囲内で任意に設定すれば良い。例えば、300A以上520A未満の範囲内で、溶接電流を低下させれば良い。
そして、溶接装置は、低溶接電流のまま溶接を継続し(ステップS20)、溶接ワイヤWが、終端側のエンドタブ6から第2所定距離a手前に到達した場合、溶接を停止させ(ステップS21)、溶接を終了する。第2所定距離aはエンドタブ6の凹部の終端面、つまり、溶接線方向に直行する面からの溶接ワイヤWの中心線までの距離である。第2所定距離aは、溶接ワイヤWがエンドタブ6に接触することを防ぐことが可能な距離である。また、第2所定距離aは、終端部4bで発生するスラグ溜まり7に溶接ワイヤWが接触することを防ぐことが可能な距離である。具体的には、第2所定距離aは、エンドタブ6の凹部の終端面の直前、例えば1mm以上3mm以下である。
図11は、溶接電流を低下又は停止させるべきエンドタブ6からの距離の最適範囲を示す説明図、図12は、適切なタイミングで溶接を終了したときの終端部4bにおけるビード形状を示した説明図、図13は、不適切なタイミングで溶接を終了したときの終端部4bにおけるビード形状を示した説明図である。
図12A及び図13Aは終端部4bに形成されたビードの外観を示す写真、図12B及び図13Bは終端部4bに形成されたビードの外観を示した模式図である。
図11中、横軸はセラミックタブからの距離を示している。溶接電流を停止させるタイミングであるセラミックタブからの距離を、6mm、5mm、4mm、3mm、2mm、1mm及び0mmで実験を行った所、エンドタブ6の凹部の手前3mm超で溶接電流を停止させた場合、終端部4bにおける溶融金属が不足し、ビード端形成が不良となる。エンドタブ6の凹部の手前1mm以上3mm以下で溶接電流を停止させた場合、図12に示すように、終端部4bにおける溶接品質が良好であった。被溶接部の終端部4bまで、過不足無くビードが形成されている。エンドタブ6の凹部の手前1mm未満で溶接電流を停止させた場合、図13に示すようにセラミック製のエンドタブ6に起因する終端部4bで大量に生成されたスラグがビードへ噛み込み、溶接品質が悪化した。被溶接部の終端部4bに大量生成されたスラグが母材4側に溢れ、スラグの噛み込みが発生している。
以上の通り、本実施形態に係るアーク溶接方法によれば、セラミック製のエンドタブ5を用いた埋もれアーク溶接において、被溶接部の始端部4aにおける非金属物質の残留を防ぎ、良好な溶接部を得ることができる。
具体的には、図6に示すように、1秒以上5秒以下の時間をかけて溶接トーチ11を後退角の状態から面直の状態に徐々に戻すことによって、始端部4aにおける良好な溶接結果を得ることができる。
また、溶接トーチ11を後退角の状態から面直の状態に戻す過程で、徐々に溶接電流を上昇させることにより、始端部4aにおける良好な溶接結果を得ることができる。また、始端部4a及び終端部4b以外の部位の溶接に適した溶接電流に徐々に移行させることにより、始端部4aから当該部位にかけても良好な溶接結果を得ることができる。
更に、図7に示すように、後退角を5度以上25度以下にして溶接を開始することによって、始端部4aにおける良好な溶接結果を得ることができる。
更にまた、図8に示すように、ワイヤ突き出し長さを15mm以上30mm以下にして溶接を開始することによって、始端部4aにおける良好な溶接結果を得ることができる。
更にまた、埋もれアーク溶接によって形成された溶融池がエンドタブ6の凹部に進入する前に溶接電流を低下させることにより、大電流埋もれアークと、セラミック製のエンドタブ5,6に起因するスラグの発生を抑えることができ、終端部4bの溶接品質が良好なものとなる。
具体的には、溶接ワイヤWがエンドタブ6に接触する前、好ましくは溶接ワイヤWがエンドタブ6の凹部に進入する前に溶接電流を低下させることにより、大電流埋もれアークと、セラミック製のエンドタブ5,6に起因するスラグの発生を抑えることができる。
更にまた、溶接ワイヤWがスラグ及びエンドタブ6に接触する前に溶接電流を停止させることにより、大電流埋もれアークと、セラミック製のエンドタブ5,6に起因するスラグの発生を抑え、スラグの噛み込みを防ぐことができ、終端部4bの溶接品質が良好なものとなる。
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 溶接ロボット
2 溶接電源
3 制御装置
4 母材
4a 始端部
4b 終端部
5,6 エンドタブ
7 スラグ溜まり
11 溶接トーチ
12 ワイヤ送給部
13 基部
14 アーム
41 第1母材
42 第2母材
L ケーブル
W 溶接ワイヤ

Claims (4)

  1. 溶接トーチを母材の被溶接部の始端部から終端部へ移動させながら溶接ワイヤを送給すると共に、該溶接ワイヤに溶接電流を供給することによって、前記溶接ワイヤの先端部及び前記被溶接部間にアークを発生させ、該アークにより前記母材に形成される凹状の溶融池によって囲まれる空間に前記先端部を進入させて前記母材を溶接する消耗電極式のアーク溶接方法であって、
    前記被溶接部の前記始端部にセラミック製のエンドタブを配置し、
    前記溶接トーチを後退角の状態にして前記始端部へ移動させ、
    後退角の状態で溶接を開始し、
    所定時間を経過後に前記溶接トーチを面直にすることで、
    前記エンドタブに起因するスラグを溶融池表面に浮き上がらせる
    アーク溶接方法。
  2. 溶接開始後、前記溶接トーチを前記被溶接部に沿って前記終端部側へ移動させ、
    溶接開始後、前記所定時間が経過するまでの間に、前記溶接トーチを後退角の状態から面直の状態に戻す
    請求項1に記載のアーク溶接方法。
  3. 溶接開始後、前記所定時間が経過するまでの間に、前記溶接電流を増加させる
    請求項1又は請求項2までのいずれか一項に記載のアーク溶接方法。
  4. 前記後退角の範囲は、
    前記母材の法線方向に対する前記溶接トーチの傾斜角度が5度以上25度以下である
    請求項1~請求項3までのいずれか一項に記載のアーク溶接方法。
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