JP7031988B2 - 円偏波アンテナ - Google Patents
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Description
図12に示す円偏波アンテナ500は、4本の導体からなるヘリカルアンテナエレメント540,542,544,546が天頂方向に向かってピッチ角が例えば30乃至60度の範囲内で螺旋状に延在している。4本のヘリカルアンテナエレメント540,542,544,546はプリント基板548上に同心円状に90度間隔でそれぞれ配置されている。また、プリント基板548上には4個のスイッチモジュールが配置されており、4個のスイッチモジュールはプリント基板548上に配置された遅延線530,532,534,536との接続を制御している。
4個のスイッチモジュールを制御して、遅延線530,532,534,536を介することなく直接4本のヘリカルアンテナエレメント540,542,544,546に給電すると、4本のヘリカルアンテナエレメント540,542,544,546は全て同位相で給電されるので直線偏波を送受信できる。また、4個のスイッチモジュールを制御して、遅延線530,532,534,536をそれぞれ介して4本のヘリカルアンテナエレメント540,542,544,546に給電すると、各ヘリカルアンテナエレメント540,542,544,546における給電の位相が90度ずつずれるので、円偏波を送受信することができる。
さらに、上記円偏波アンテナにおいて、前記ヘリカル素子部材は、周縁に突部がそれぞれ形成された4つの突出部からなる十字状の形状とされたA部材の2つの間に、周縁に複数の突部がほぼ等間隔で形成されたほぼ円板状の形状とされたB部材の2つを積層して構成されている。
さらにまた、上記円偏波アンテナにおいて、前記A部材と前記B部材とには中心から偏心した2つの挿通孔が形成されており、前記ヘリカル保持部材の上下に配置された第1基板および第2基板に立設された支柱が、前記2つの挿通孔に挿通されることにより、前記A部材の突部と前記B部材の突部とが位置決めされている。
さらにまた、上記円偏波アンテナにおいて、前記第1基板に設けられ前記アンテナケースの内側に固着されるスペーサAと、前記第2基板に設けられ前記アンテナケースの内周面に弾性的に圧接される軟質材製のスペーサBとが上下方向の対角に設けられている。
さらにまた、上記円偏波アンテナにおいて、前記左旋円偏波アンテナ部における前記ヘリカル保持部材は、前記右旋円偏波アンテナ部における前記ヘリカル保持部材の前記平板状の保持部材が裏返されて積層されている。
さらにまた、上記円偏波アンテナにおいて、前記4本のヘリカル素子は、巻き中心の軸が互いに偏心してほぼ等間隔になるよう前記ヘリカル保持部材に螺旋状に巻かれて、ホット素子とコールド素子との組を2組構成しており、前記ホット素子とコールド素子との一方の組に給電される位相を、前記ホット素子とコールド素子との他方の組に給電される位相と約90°異ならせることにより、前記4本のヘリカル素子において隣り合うヘリカル素子との位相差が約90°となるように給電を行う給電されている。
また、本発明の円偏波アンテナでは、4本のヘリカル素子が、巻き中心の軸が互いに偏心してほぼ等間隔になるよう螺旋状に巻かれていることから、低姿勢としても指向特性等の電気的特性がずれることがない。従って、本発明の円偏波アンテナをアンテナケースに内蔵されても小型することができるようになる。
本発明の実施例にかかる円偏波アンテナの構成を図1ないし図3に示す。図1は実施例にかかる円偏波アンテナ1をマストに取り付けた状態を示す斜視図であり、図2は実施例にかかる円偏波アンテナ1の構成をアンテナケース10の一部を破断して示す斜視図であり、図3は実施例にかかる円偏波アンテナ1の構成を断面図で示すA方向から見た正面図である。
これらの図に示す本発明の実施例にかかる円偏波アンテナ1は、円筒形とされた電波が透過する絶縁材製、例えばビニルパイプや他の樹脂製のパイプのアンテナケース10を備えている。アンテナケース10の右端は右蓋部11が水密に嵌着されて閉塞され、アンテナケース10の左端は左蓋部12が水密に嵌着されて閉塞されている。右蓋部11および左蓋部12は一面が開口された高さの低い円筒状とされ、内径はアンテナケース10の外径より僅か小さい径とされている。右蓋部11および左蓋部12は、電波が透過する絶縁材製、例えばビニルや他の樹脂製とされている。アンテナケース10の内部には、後述する小型化された左旋円偏波アンテナ部20および右旋円偏波アンテナ部30が収納されている。第1ケーブル17は左旋円偏波アンテナ部20から引き出され、第2ケーブル18は右旋円偏波アンテナ部30から引き出されている。第1ケーブル17および第2ケーブル18は、共に同軸ケーブルとされている。
なお、アンテナケース10の前面側で取付ネジ15に対面する位置に、それぞれ孔が形成されており、この孔にドライバを差し込むことで1対の取付ネジ15により取付座金具201をアンテナケース10の背面側に固着している。取付座金具201をアンテナケースに取り付けた後に、前面側のそれぞれの孔にゴム等の柔軟な材質のブッシュ14が圧入されて、孔が閉塞されている。
左旋円偏波アンテナ部20は、所定間隔を空けて対面して配置された第1基板21と第2基板22とを備え、第1基板21と第2基板22との間に2組の同じ構成の左旋円偏波アンテナ20aが設けられている。第1基板21と第2基板22とは、高周波特性の良好なエポキシ基板やテフロン(登録商標)基板とするのが好適である。左旋円偏波アンテナ20aは、ヘリカル保持部材24の外周面に沿って4本のヘリカル素子を左巻きに巻回して構成されている。ヘリカル保持部材24は、発泡樹脂等の電波が透過する弾性を有する軟質材製、例えばエチレン発泡体製やウレタン発泡体製とされた後述する4つの部材を積層して構成されている。4本のヘリカル素子は、柔軟な材質、例えば細径の同軸ケーブル製とされ、ヘリカル保持部材24の外周面に沿って巻回されると共に、ヘリカル保持部材24の周縁から突出して形成されている突部同士の交差部である交点で保持されるようになる。また、第1基板21の裏面において奥側に配置される端部に、発泡樹脂等の電波が透過する弾性を有する軟質材製、例えばエチレン発泡体製やウレタン発泡体製とされた細長い直方体状のスペーサBが貼着されている。さらに、第2基板22の表面において手前側の端部に一対のスペーサAがネジ止めされている。スペーサAは外周形状が六角形とされて、上端から所定の深さまで雌ねじが内部に形成されている。
なお、第1基板31は第1基板21と、第2基板32は第2基板22とほぼ同一面内に配置されて、左旋円偏波アンテナ部20と右旋円偏波アンテナ部30とはほぼ平行に設置され ほぼ同じ指向方向を向くようになる。
B部材46は図7に示すように、所定の厚みを有しほぼ丸い平板状(円板状)とされた円形状本体部46aから構成されている。円形状本体部46aの周縁には4つの突部46bがほぼ等間隔で形成されており、円形状本体部46aには中心から偏心した位置に2つの挿通孔45cが形成されている。突部46bはほぼ矩形状とされているが、一側面は斜面とされ対向する他側面の角部は面取りされている。そして、円形状本体部46aの中心線を2つの挿通孔45cの中心を結ぶように通した際に、中心線が突部46bの斜面の付け根にぶつかるように、4つの突部46bは2つの挿通孔45cの中心を結んだ中心線からずれて形成されている。
そこで、ヘリカル保持部材24の構成を説明する。
ヘリカル保持部材24は、A部材45-B部材46-B部材46-A部材45の4段の順で挿通孔45cまたは挿通孔46cに支柱33を嵌入することで積層されて構成されている。ただし、図8(c)に示すようにヘリカル保持部材34を構成する2つのA部材45および2つのB部材46を全て裏返して積層するようにしている。この場合も、図8(c)に示すように、突部である先鋭部45bの斜面と突部46bの斜面との間に交点47が等間隔で4カ所ずつ形成されるようになる。そして、最上段の突部である先鋭部45bの斜面よりその下の段の突部46bの斜面が左巻きの第1ヘリカル素子41ないし第4ヘリカル素子44の巻き終わり側(右側)に位置するようになって、交点47を通過した第1ヘリカル素子41ないし第4ヘリカル素子44は、突部46bの上面側に位置するようになる。また、最下段の突部である先鋭部45bの斜面よりその上の段の突部46bの斜面が左巻きの第1ヘリカル素子41ないし第4ヘリカル素子44の巻き始め側(左側)に位置するようになる。これにより、交点47を通過した第1ヘリカル素子41ないし第4ヘリカル素子44は、先鋭部45bの上面側に位置するようになる。なお、図8(c)では、第1基板31および第2基板32を省略して示している。
また、第1ヘリカル素子41、第2ヘリカル素子42、第3ヘリカル素子43、第4ヘリカル素子44は、互いにほぼ等間隔になるようほぼ90°間隔でそれぞれ配置されて左巻きの螺旋状で巻かれて構成されているが、その巻き中心は互いに偏心している。そして、ピッチ角が小さくされて高さが低くされている。本発明にかかる左旋円偏波アンテナ部20では、第1ヘリカル素子41ないし第4ヘリカル素子44の巻き中心の軸が互いに偏心しており、ピッチが小さくされていることから、本発明にかかる左旋円偏波アンテナ部20を指向特性等の電気的特性がずれることなく低姿勢化することができ、小型化することができる。
また、上記説明した本発明の実施例の円偏波アンテナは、互いにほぼ等間隔になるようほぼ90°間隔でそれぞれ配置されて螺旋状にヘリカル保持部材に巻かれた第1ヘリカル素子ないし第4ヘリカル素子の巻き中心の軸が互いに偏心していることから、高さを低くしても良好な電気的特性を得ることができる。また、巻き中心の軸が互いに偏心していると、同一巻き数の間に通る経路長が長くなり、その結果ピッチが短くなったことと同様の効果が得られ、さらに高さを低くすることができる。これにより、左旋円偏波アンテナ部および右旋円偏波アンテナ部を低姿勢化することができ、アンテナケースを備える本発明の円偏波アンテナを小型化することができる。例えば、第1基板から第2基板までの高さは約60mm弱とされヘリカル保持部材の外径は約80mmとされて、アンテナケースの外径を約90mm、内径を約84mm、中心軸方向の長さを約560mmとすることができる。
さらに、上記説明した本発明の実施例の円偏波アンテナは、蓋部を含むアンテナケースやヘリカル保持部材等のほとんどの部品が合成樹脂製とされて軽量化されている。このため、本発明の実施例の円偏波アンテナを取り付ける取付金具の強度、および、本発明の実施例の円偏波アンテナを支持するマストの強度として高い強度を必要としなくなる。
そして、4本のヘリカル素子は第1ケーブルおよび第2ケーブルと同じ同軸ケーブルが使用されて、本発明の実施例の円偏波アンテナは特別な素材の部品を使用していないことから低コスト化されている。
Claims (7)
- 円筒形とされたアンテナケース内に左旋円偏波アンテナ部と右旋円偏波アンテナ部とが収納されている円偏波アンテナであって、
前記左旋円偏波アンテナ部と前記右旋円偏波アンテナ部とは、
周縁から複数の突部が突出して形成されている電波が透過する弾性を有する軟質材製の平板状の部材を複数個積層したヘリカル保持部材と、
積層された該ヘリカル保持部材に巻回された4本のヘリカル素子と、
を少なくとも備え、前記ヘリカル保持部材における前記突部が前記アンテナケースの内周面に弾性的に圧接されることにより、前記左旋円偏波アンテナ部および前記右旋円偏波アンテナ部が前記アンテナケース内に保持されていることを特徴とする円偏波アンテナ。 - 前記4本のヘリカル素子は柔軟な材質製とされ、前記ヘリカル保持部材に巻回された際に、前記ヘリカル保持部材における前記突部同士の交差部である交点で前記ヘリカル素子のそれぞれが保持されていることを特徴とする請求項1に記載の円偏波アンテナ。
- 前記ヘリカル素子部材は、周縁に突部がそれぞれ形成された4つの突出部からなる十字状の形状とされたA部材の2つの間に、周縁に複数の突部がほぼ等間隔で形成されたほぼ円板状の形状とされたB部材の2つを積層して構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の円偏波アンテナ。
- 前記A部材と前記B部材とには中心から偏心した2つの挿通孔が形成されており、
前記ヘリカル保持部材の上下に配置された第1基板および第2基板に立設された支柱が、前記2つの挿通孔に挿通されることにより、前記A部材の突部と前記B部材の突部とが位置決めされることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の円偏波アンテナ。 - 前記第1基板に設けられ前記アンテナケースの内側に固着されるスペーサAと、前記第2基板に設けられ前記アンテナケースの内周面に弾性的に圧接される軟質材製のスペーサBとが上下方向の対角に設けられていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の円偏波アンテナ。
- 前記左旋円偏波アンテナ部における前記ヘリカル保持部材は、前記右旋円偏波アンテナ部における前記ヘリカル保持部材の前記平板状の保持部材が裏返されて積層されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の円偏波アンテナ。
- 前記4本のヘリカル素子は、巻き中心の軸が互いに偏心してほぼ等間隔になるよう前記ヘリカル保持部材に螺旋状に巻かれて、ホット素子とコールド素子との組を2組構成しており、
前記ホット素子とコールド素子との一方の組に給電される位相を、前記ホット素子とコールド素子との他方の組に給電される位相と約90°異ならせることにより、前記4本のヘリカル素子において隣り合うヘリカル素子との位相差が約90°となるように給電を行う給電されることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の円偏波アンテナ。
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