JP7030327B2 - 二次電池用負極電極、その製造方法およびそれを用いた二次電池 - Google Patents

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特許法第30条第2項適用 (1)2018年1月22日公開 ACS NANOジャーナル、2018,12(2),pp 1768-1777,DOI:10.1021/acsnano.7b08522 https://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/acsnano.7b08522 (2)2018年1月25日公開 国立研究開発法人物質・材料研究機構プレスリリース「二次電池の高容量・長寿命化を両立する酸化物/グラフェン複合材料を開発」 http://www.nims.go.jp/news/press/2018/01/201801250.html
本発明は、二次電池用負極電極、その製造方法およびそれを用いた二次電池に関する。
近年、携帯型電子機器、電気自動車などの電源としてリチウムイオン二次電池等の二次電池の研究が盛んである。二次電池の高性能化に向け、負極活物質として、黒鉛系炭素材料(370mA/h)に代えて、シリコン、その合金系、遷移金属酸化物を用いることが検討されている。
しかしながら、例えば、遷移金属酸化物のうち酸化マンガンは、イオンインターカレーションに加えて金属まで還元されることにより、高い理論容量(1230mAh/g)が期待されるが、サイクル寿命が短いという問題がある。
詳細には、電極反応において、酸化物から金属への還元サイクルが繰り返されると、最初の数サイクルで初期の結晶構造と形態とは破壊され、粒子成長などを引き起こし、容量が著しく減少し、二次電池として機能しなくなる。
また、酸化マンガンなど酸化物は、電子的には絶縁体であるため、電極全体としての性能を低下させる。そのため、高い導電性を有するグラフェンとの複合化が提案されている(例えば、非特許文献1を参照)。
非特許文献1によれば、グラフェンの表面に酸化マンガンからなるナノフレークを活物質として用いた二次電池用負極電極が開示されている。しかしながら、この場合でも、電池反応において酸化マンガンの結晶構造と形態とが維持されず、サイクル寿命は十分とはいえない。
一方、スーパーキャパシタ用の活物質として、グラフェンと酸化マンガンナノシートとのハイブリッドナノ構造が開発された(例えば、非特許文献2を参照)。非特許文献2によれば、グラフェンと酸化マンガンナノシートとのハイブリッドナノ構造を真空濾過によって得ているが、酸化マンガンナノシートが凝集しており、グラフェンと酸化マンガンナノシートが交互に積層した超格子構造が得られているとは言えない。
Yong Caoら,RSC Adv.,2014,4,30150-30155 Lele Pengら,Nano Lett.2013,13,2151-2157
以上から、本発明の課題は、大きな比容量を有し、高いレート特性および長いサイクル寿命を備えた二次電池のための負極電極、その製造方法およびそれを用いた二次電池を提供することである。
本発明による二次電池用負極電極は、酸化マンガンからなる第1の単層ナノシートとグラフェンからなる第2の単層ナノシートとが交互に積層された超格子構造を含有し、これにより上記課題を解決する。
前記第1の単層ナノシートは、0.5nm以上1.5nm以下の範囲の厚さを有し、前記第2の単層ナノシートは、0.35nm以上1.5nm以下の範囲の厚さを有してもよい。
前記第1の単層ナノシートは、層状マンガン酸化物から単層剥離されていてもよい。 前記超格子構造における、前記グラフェンに対する前記酸化マンガンの質量比は、2.0以上4.0未満の範囲であってもよい。
前記超格子構造における、前記グラフェンに対する前記酸化マンガンの質量比は、2.0以上2.4以下の範囲であってもよい。
前記第1の単層ナノシートまたは前記第2の単層ナノシートは、カチオン性ポリマーを有してもよい。
カチオン性ポリマーは、ポリジアリルジメチルアンモニウム(PDDA)、ポリアリルアミン(PAH)、ポリエチレンイミン(PEI)、ポリピロール(PPy)、ポリアニリン(PANI)およびポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)からなる群から選択されてもよい。
前記超格子構造のX線回折分析による前記第1の単層ナノシートと前記第2の単層ナノシートとの層間距離は、0.7nm以上1.5nm以下の範囲であってもよい。
前記第2の単層ナノシートは、還元型酸化グラフェンナノシートであってもよい。
本発明による上述の二次電池用負極電極を製造する方法は、酸化マンガンからなる第1の単層ナノシートが分散した第1の分散液と、カチオン性ポリマーを有するグラフェンからなる第2の単層ナノシートが分散した第2の分散液とを混合する、または、カチオン性ポリマーを有する酸化マンガンからなる第1の単層ナノシートが分散した第1の分散液と、グラフェンからなる第2の単層ナノシートが分散した第2の分散液とを混合する工程を包含し、これにより上記課題を解決する。
前記混合する工程において、前記グラフェンに対する前記酸化マンガンの質量比は、2.0以上4.0未満の範囲であってもよい。
前記混合する工程において、前記グラフェンに対する前記酸化マンガンの質量比は、2.0以上3.0以下の範囲であってもよい。
前記第1の分散液および前記第2の分散液における分散媒は、それぞれ、水、エタノール、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)およびN-メチル-2-ピロリドン(NMP)からなる群から選択されてもよい。
前記混合する工程で得られた生成物を不活性または還元性ガス雰囲気中で加熱する工程をさらに包含してもよい。
前記加熱する工程は、前記生成物を300℃以上400℃以下の温度範囲で30分以上3時間以下の時間加熱してもよい。
本発明による正極電極と、負極電極と、前記正極電極と前記負極電極との間に位置する電解質とを備えた二次電池は、前記負極電極が上述の負極電極からなり、これにより上記課題を解決する。
前記正極電極は、LiMO(Mは、Ni、Co、Mn、Fe、Ti、Zr、Al、Mg、CrおよびVからなる群から少なくとも1つ選択される元素である)で表されるLi金属酸化物、または、LiM’PO(M’は、Ni、Co、Mn、Fe、Ti、Zr、Al、Mg、CrおよびVからなる群から少なくとも1つ選択される元素である)で表されるLi金属リン酸塩である正極電極材料を含んでもよい。
本発明による二次電池用負極電極は、酸化マンガンからなる第1の単層ナノシートとグラフェンからなる第2の単層ナノシートとが交互に積層された超格子構造を活物質として含有する。酸化マンガンは分子レベルの薄さを有する単層ナノシートであるため、活性点が最大に露出されている。そのため、二次電池の負極電極に用いた場合、ゲストイオンが拡散する距離が短くなり、体積変化が抑制されるため、高いレート特性が達成される。また、酸化マンガンがグラフェンで挟まれることにより、導電性が改善されるだけでなく、充放電に伴う酸化マンガンの可逆的な酸化還元変換プロセスが安定化し、サイクル寿命を向上できる。
本発明による二次電池用負極電極は、単に、酸化マンガンからなる第1の単層ナノシートが分散した第1の分散液と、カチオン性ポリマーを有するグラフェンからなる第2の単層ナノシートが分散した第2の分散液とを混合するだけでよいので、高価な装置や熟練した技術を不要とするため、実施に有利である。
本発明の二次電池用負極電極を構成する超格子構造を示す模式図 本発明の超分子構造を二次電池の負極電極に用いた場合の金属イオンの挿入・脱離の様子を模式的に示す図 本発明の超格子構造を含有する負極電極を製造する手順を示す概念図 本発明の負極電極を備えた二次電池を示す模式図 MnOナノシートのAFM像を示す図 GOナノシート(A)、rGOナノシート(B)およびrGOw/PDDAナノシート(C)のAFM像を示す図 GOナノシート、rGOw/PDDAナノシートおよびMnOナノシートのゼータ電位プロファイルを示す図 実施例1の生成物のTEM像を示す図 実施例1の生成物のSAEDパターンを示す図 実施例1の生成物のTGプロファイルを示す図 実施例1の生成物のXRDパターンを示す図 実施例1の生成物のHRTEM像を示す図 比較例1の生成物のXRDパターンを示す図 比較例2の生成物のXRDパターンを示す図 実施例2のハーフセルの電池特性を示す図 比較例3のハーフセルの電池特性を示す図 比較例4のハーフセルの電池特性を示す図 実施例2、比較例3および比較例4のハーフセルを用いたナイキストプロットを示す図 実施例2のハーフセルのCV曲線を示す図 リチエーション(Liの挿入)プロセスにおける本発明の超格子構造(実施例1の生成物)の微細組織を示す図 最初の状態および1回目の充放電サイクル(@0.5Ag-1)後の本発明の超格子構造(実施例1の生成物)のMn2pのXPSスペクトルを示す図 1回目の充放電サイクル(@0.5Ag-1)後の本発明の超格子構造(実施例1の生成物)のLi1sのXPSスペクトルを示す図 1回目の充電後の本発明の超格子構造(実施例1の生成物)のTEM像およびSAEDパターンを示す図 実施例2のフルセルの充放電プロファイルとサイクル特性(@50mAg-1)とを示す図 電流密度0.1Ag-1における最初の5回の実施例3のハーフセルの充放電プロファイルを示す図 実施例3のハーフセルの電池特性を示す図 比較例5のハーフセルの電池特性を示す図 電流密度0.1Ag-1における1回目および5回目の比較例6のハーフセルの充放電プロファイルを示す図
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。なお、同様の要素には同様の番号を付し、その説明を省略する。
(実施の形態1)
実施の形態1では、本発明の二次電池用負極電極を構成する超格子構造およびその製造方法を説明する。
図1は、本発明の二次電池用負極電極を構成する超格子構造を示す模式図である。
本発明の負極電極を構成する超格子構造100は、酸化マンガンからなる第1の単層ナノシート110とグラフェンからなる第2の単層ナノシート120から構成され、これらナノシートが交互に積層されている。ここで、第1の単層ナノシート110は、組成式MnOで表され、分子レベルの薄さを有し、横方向にはμmオーダの広がりを持った異方性の高い二次元単結晶である。第2の単層ナノシート120もまた、分子レベルの薄さを有し、横方向にμmオーダの広がりを持った異方性の高い二次元単結晶である。なお、第1の単層ナノシート110と第2の単層ナノシート120との交互積層は、透過型電子顕微鏡、制限視野電子回折像(SAED)、X線回折等によって総合的に判断できる。
超格子構造100の厚さに制限はないが、二次電池用負極電極に用いる場合には、2nm以上500nm以下が望ましい。この範囲であれば、酸化マンガンの活性点を最大に活用できるだけでなく、交互積層に基づく長いサイクル寿命を達成できる。
第1の単層ナノシート110は分子レベルの薄さを有するが、好ましくは、0.5nm以上1.5nm以下の厚さを有する。第1の単層ナノシート110は、好ましくは、横方向に50nm以上2μm以下の大きさを有する。このような厚さを有することにより、酸化マンガンの活性点を最大に露出させることができるので、二次電池におけるゲストイオン(リチウムイオン、ナトリウムイオン、マグネシウムイオン、アルミニウムイオン、亜鉛イオン、カルシウムイオン等)の拡散距離が短くなる。その結果、体積変化が抑制されるので、高いレート特性を達成できる。より好ましくは、第1の単層ナノシート110は、0.5nm以上1.0nm以下の厚さを有する。
第2の単層ナノシート120もまた分子レベルの薄さを有するが、好ましくは、0.35nm以上1.5nm以下の厚さを有する。第2の単層ナノシート120は、好ましくは、横方向に50nm以上2μm以下の大きさを有する。このような厚さを有するグラフェンを採用することにより、導電性が改善されるだけでなく、酸化マンガンを挟持しているので、酸化マンガンの可逆的な酸化還元変換プロセスが安定化し、サイクル寿命を向上できる。より好ましくは、第2の単層ナノシート120は、0.35nm以上1.0nm以下の厚さを有する。なお、第1の単層ナノシート110や第2の単層ナノシート120の薄さや横方向の大きさは、原子間力顕微鏡観察等によって確認できる。
このように、第1の単層ナノシート110も第2の単層ナノシート120も、同様の横方向の大きさを有するため、大面積の超格子構造を提供できる。
第1の単層ナノシート110は、上述したようにMnOで表されるが、好ましくは、一般式AMnO(Aは、Li、Na、K、RbおよびCsからなる群から少なくとも1つ選択される元素である、x≦1)で表される層状マンガン酸化物から単層剥離されている。このような層状マンガン酸化物では、負に帯電したMnOの間のAイオンが特殊な処理によりプロトンに交換され、単層剥離され得、上述の薄さおよび横方向の大きさを有する負に帯電した単層ナノシートとなる。
第2の単層ナノシート120は、sp結合した炭素原子を含む原子層であるが、上述した厚さを有する範囲で単一層または5層以下の多層であってもよい。また、第2の単層ナノシート120は、伝導性を有する範囲で、表面にOH基、COOH基、CO基、COC基、COH等の含酸素官能基を有していてもよい。このような観点から、第2の単層ナノシート120は、酸化グラフェンを還元して得られる還元型酸化グラフェン(rGO)ナノシートであってもよい。
第2の単層ナノシート120は、カチオン性ポリマーを有してもよい。上述したように、第1の単層ナノシート110は負電荷を有するため、静電的相互作用によって、第1の単層ナノシート110と第2の単層ナノシート120との交互積層が維持される。カチオン性ポリマーは、ポリジアリルジメチルアンモニウム(PDDA)、ポリアリルアミン(PAH)、ポリエチレンイミン(PEI)、ポリピロール(PPy)、ポリアニリン(PANI)およびポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)からなる群から選択される。これらのカチオン性ポリマーであれば、第2の単層ナノシート120に容易に付与することができ、正電荷量を制御できる。また、これらのカチオン性ポリマーであれば、本発明の超格子構造を二次電池の負極電極に使用した場合も、特性に及ぼす影響は無視できる。
なお、第1の単層ナノシート110に上述のカチオン性ポリマーを付与してもよい。この場合、第1の単層ナノシート110が正電荷を有し、第2の単層ナノシート120は負電荷を有するので、静電的相互作用によって、第1の単層ナノシート110と第2の単層ナノシート120との交互積層が維持される。
超格子構造100において、グラフェンに対する酸化マンガンの質量比は、好ましくは、2.0以上4.0未満の範囲である。この範囲であれば、第1の単層ナノシート110が凝集することなく、第1の単層ナノシート110と第2の単層ナノシート120との交互積層が得られる。グラフェンに対する酸化マンガンの質量比は、さらに好ましくは、2.0以上2.4以下の範囲である。この範囲であれば、後述する方法によって、第1の単層ナノシート110と第2の単層ナノシート120との交互積層が高効率で得られる。
超格子構造100において、第1の単層ナノシート110と第2の単層ナノシート120との層間距離は、好ましくは、0.7nm以上1.5nm以下の範囲である。この範囲であれば、充放電に伴う酸化還元プロセスによって、酸化マンガンがマンガンに還元されても、あるいは、マンガンが酸化マンガンに酸化されても、超格子構造100が破壊されることなく維持されるので、二次電池の負極電極に使用するに好ましい。層間距離は、さらに好ましくは、1.1nm以上1.5nm以下の範囲である。なお、層間距離は、粉末X線回折等のX線回折分析を行えば算出できる。
図2は、本発明の超分子構造を二次電池の負極電極に用いた場合の金属イオンの挿入・脱離の様子を模式的に示す図である。
図2では簡単のため、リチウム(Li)イオンを挿入・脱離する場合を示すが、Liに限定されないことに留意されたい。図2(A)は、図1と同様であり、リチウムイオンを含有しない満充電の状態を表す。図2(A)において、第1の単層ナノシート110は酸化マンガンIV(MnO)からなり、Mnは酸化状態(+4価)である。
図2(B)は、超分子構造100の第1の単層ナノシート110と第2の単層ナノシート120との間にリチウムイオン(Li)が吸蔵(挿入)され、一部放電された状態を表す。放電が一部進むと、酸化マンガンIVは、電荷の中性を保つため酸化マンガンII(MnO)ナノシート210に還元され、Mnは+2価となる。酸化マンガンIIナノシート210となっても、第2の単層ナノシート110に挟まれているため、破壊されることはない。
図2(C)は、酸化マンガンIIナノシート210と第2の単層ナノシート120との間にさらにリチウムイオン(Li)が吸蔵され、完全に放電された状態を表す。さらに、リチウムイオンが吸蔵されると、酸化マンガンIIはさらに還元され、金属マンガン(0価)となり、マンガンナノシート220となる。ここでも、マンガンナノシート220となっても、第2の単層ナノシート110に挟まれているため、破壊されることはない。
充電は、逆のプロセスを行うことになり、リチウムイオンの放出(脱離)に伴い、マンガンナノシート220(図2(C))、酸化マンガンIIナノシート210(図2(B))、次いで、酸化マンガンIVナノシート(第1の単層ナノシート)110と酸化される。ここでも、第2の単層ナノシート120が、酸化還元する第1の単層ナノシート110を挟持するため、破壊されることはない。この結果、充放電に伴う酸化マンガンの可逆的な酸化還元変換プロセスが安定化するため、サイクル寿命が向上する。
本発明の負極電極は、上述の超格子構造100を活物質(負極電極材料と呼んでもよい)として含有する任意の形態を意図するが、超格子構造100が、必要に応じて導電助剤や結着剤とともに、銅箔、カーボンペーパー、カーボンクロス等の二次電池の負極に用いられる集電体に塗布されていてもよい。導電助剤は、例示的には、カーボンブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等の導電性カーボンであり得る。結着剤は、例示的には、フッ化ビニリデン(VDF)とテトラフルオロエチレン(TFE)との共重合体、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、スチレンブタジエン共重合体(SBR)等である。
次に、本発明の超格子構造を含有する負極電極を製造する例示的な製造方法について説明する。
図3は、本発明の超格子構造を含有する負極電極を製造する手順を示す概念図である。
本発明の超格子構造を含有する負極電極は、酸化マンガンからなる第1の単層ナノシート110が分散した第1の分散液310と、カチオン性ポリマー130を有するグラフェンからなる第2の単層ナノシート210が分散した第2の分散液320とを混合することによって得られる。単に混合するだけで、静電的相互作用によって超格子構造100が得られるので、高価な装置や熟練した技術を不要とできる。
第1の単層ナノシート110が分散した第1の分散液310は、例えば、特開2003-335522号公報に開示される方法によって調製される。第1の分散液310において、第1の単層ナノシート110のそれぞれは、負電荷を有する。分散媒は、プロトン性極性溶媒であれば特に制限はないが、例示的には、水、エタノール、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)およびN-メチル-2-ピロリドン(NMP)からなる群から選択される溶媒が使用される。これらの溶媒は、第1の単層ナノシート110が再凝集することなく、分散した状態を良好に維持できる。水は、蒸留水、イオン交換水、ミリQ水、超純水等であってよい。
第2の単層ナノシート120が分散した第2の分散液320は、例えば、酸化グラフェン(GO)から単層剥離した酸化グラフェンナノシート(GOナノシート)を還元し、カチオン性ポリマー130を付与することによって調製される。
GOは、周知の改良ハマー法により天然のグラファイト片やフレーク状のグラファイトから得られる。このようにして得たGOを分散媒に分散させ、超音波処理することによって、GOが単層剥離されGOナノシートとなる。GOナノシートを含有する分散媒に上述したカチオン性ポリマーを添加するとともに、ヒドラジン、尿素等の還元剤を添加し、加熱すればよい。これにより、GOナノシートは還元されてグラフェン(rGO)ナノシートになるとともに、カチオン性ポリマーが付与される。加熱は、例示的には、70℃以上100℃以下の温度範囲で1時間以上24時間以下の間行えばよい。カチオン性ポリマーの添加量は、GOの質量に対して2倍以上10倍以下となるように添加されればよい。このようにして得られたカチオン性ポリマーが付与されたrGOナノシートを遠心分離によって回収し、上述の分散媒に分散させればよい。第1の分散液310と第2の分散液320とが混合されることから、第1の分散媒310で使用される分散媒と、第2の分散媒320で使用される分散媒とは同じであることが望ましい。なお、分散媒に分散後、高速遠心分離(例えば、5000rpm~20000rpm)を行い、上澄みを第2の分散液320として使用することが好ましい。
混合は、好ましくは、第2の分散液320中のグラフェンに対する第1の分散液310中の酸化マンガンの質量比が、2.0以上4.0未満となるように行われる。これにより、第1の単層ナノシート110が自己再凝集することを抑制し、第1の単層ナノシート110と第2の単層ナノシート120との交互積層を可能にする。混合は、さらに好ましくは、質量比が、2.0以上3.0以下の範囲となるよう行われる。
混合は、第1の分散液310(または第2の分散液320)を室温(15℃以上30℃以下)で攪拌しながら、1mL/分以上10mL/分以下の速度で第2の分散液320(または第1の分散液310)に添加すればよい。所定の速度でゆっくり添加することにより、第1の単層ナノシート110と第2の単層ナノシート210とが効率的に接触し、交互積層が促進し得る。
混合は、マグネチックスターラ等の攪拌機を用いて行ってもよく、100rpm~500rpmの回転速度の範囲で、10分~30分の間行われる。
上述の混合によって、本発明の超格子構造を含有する負極電極が生成物(析出物)として得られる。生成物は、エタノール等のアルコール洗浄と遠心分離とを繰り返し、回収される。
さらに、生成物を不活性または還元性ガス雰囲気中で熱処理を行ってもよい。これにより、グラフェンからなる第2の単層ナノシート120のグラフェンの還元がさらに進み、表面に残存する含酸素官能基を除去できるので、導電性が向上し得る。また、熱処理によって、カチオン性ポリマー130が燃焼し、除去されるため、第1の単層ナノシート110の活性点を増大できる。不活性または還元性ガス雰囲気は、アルゴンガス、キセノンガス、ヘリウムガス、ネオンガス、窒素ガス、水素ガス、水素および窒素の混合ガス、アンモニア分解ガス等に例示される。熱処理条件は、例示的には、300℃以上400℃以下の温度範囲で30分以上3時間以下の時間である。
図3を参照して、第1の単層ナノシート110がカチオン性ポリマー130を有さず、第2の単層ナノシート120がカチオン性ポリマー130を有する場合を説明してきたが、第1の単層ナノシート110がカチオン性ポリマー130を有し、第2の単層ナノシート120がカチオン性ポリマー130を有しない場合も、同様の方法で実施できることは言うまでもない。
(実施の形態2)
実施の形態2では、実施の形態1で説明した本発明の二次電池用負極電極を用いた二次電池を説明する。
図4は、本発明の負極電極を備えた二次電池を示す模式図である。
本発明の二次電池400は、少なくとも、正極電極410と負極電極420とその間に位置する電解質430とを備えるが、図4では、正極電極410および負極電極420が電解質430に浸漬しており、正極電極410と負極電極420とは、セパレータ440によって隔離されている様子を示す。
本発明の二次電池400は、負極電極420において金属イオンの吸蔵および放出によって、負極電極420の容量が得られるものを意図しており、このような金属イオンは、リチウム、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、亜鉛およびカルシウムからなる群から選択される。本発明の二次電池400では、二次電池400を構築した際にはリチウムイオンは存在せず、放電によって負極電極420にリチウムイオンが存在する。
正極電極410は、上述の金属のイオンを吸蔵および放出できる正極電極材料を含有すれば特に制限はない。例えば、正極電極材料には、金属イオンがリチウムイオンである場合、LiMO(Mは、Ni、Co、Mn、Fe、Ti、Zr、Al、Mg、CrおよびVからなる群から少なくとも1つ選択される元素である)で表されるLi金属酸化物、LiM’PO(M’は、Ni、Co、Mn、Fe、Ti、Zr、Al、Mg、CrおよびVからなる群から少なくとも1つ選択される元素である)で表されるLi金属リン酸塩が採用され得る。例えば、LiMOにおいて、Mとして、Ni、CoおよびMnを選択するとLiNi1-x-yCoMn(0<x<1、0<y<1)と表すことができる。負極電極420は、実施の形態1で説明した電極である。
電解質430は、二次電池に使用される既存の電解質であれば特に制限はなく、非水電解液、無機固体電解質ゲル電解質等である。例えば、二次電池400がリチウム二次電池である場合、電解質430として、例示的には、LiClO、LiPF、LiBF、LiPOF、LiAsF、LiCFSO、LiCFCFSO、LiC(CFSO、LiN(CFSO、LiN(CFCFSO、LiN(CFSO)(CSO)およびLiN(CFCFCO)からなる群から1以上の選択される物質を適用できる。中でも、LiPFは、導電性が高いため、好ましい。
セパレータ440の材料は、例えば、フッ素系ポリマー、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等のポリエーテル、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニリデン、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリビニルアルコール、ポリメタクリロニトリル、ポリビニルアセテート、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、ポリブタジエン、ポリスチレン、ポリイソプレン、ポリウレタン系高分子およびこれらの誘導体、セルロース、紙、および、不織布から選ばれる材料である。
二次電池400では、上述の正極電極410、負極電極420、電解質430およびセパレータ440がセル450に収容されている。このような二次電池400は、チップ型、コイン型、ボタン型、モールド型、パウチ型、ラミネート型、円筒型、角型等のキャパシタであってもよく、さらに、これらを複数接続したモジュールで使用されてもよい。
このように本発明の二次電池400は、本発明の超格子構造100を活物質とする負極電極420を用いるので、酸化マンガンからなる第1の単層ナノシート110によって高いレート特性が得られる。また、グラフェンからなる第2の単層ナノシート120によって導電性に優れる。さらに、第1の単層ナノシート110が第2の単層ナノシート120によって挟持されているので、長いサイクル寿命が期待される。
次に具体的な実施例を用いて本発明を詳述するが、本発明がこれら実施例に限定されないことに留意されたい。
[原料の調製]
MnOからなる第1の単層ナノシート(以降では単にMnOナノシートと称する)を含有する第1の分散液(以降では単にMnO分散液と称する)を、特開2003-335522号公報、P.Xiongら,ACS Appl.Mater.Interfaces 2017,9,6282-6291およびY.Omomoら,J.Am.Chem.Soc.2003,125,3568-3575に基づいて調製した。分散媒は、水であった。
得られたMnOナノシートを、透過型電子顕微鏡(TEM、JEOL製、JEM-3100F)および原子間力顕微鏡(AFM、Seiko製、SPA400)を用いて観察した。後者では、Si基板上にMnOナノシートを堆積させ、Siカンチレバー(ばね定数:約20Nm-1)を用いてタッピングモードにて観察した。結果を図5に示す。MnO分散液に可視光(波長:650nm)を照射し、分散状態を調べた。紫外可視分光光度計(U-4100、日立製)を用い、MnO分散液の吸収スペクトルを測定した。さらに、MnOナノシートのゼータ電位を、ELS-Zゼータ電位計を用いて測定した。結果を図7に示す。
カチオン性ポリマーを有するグラフェンからなる第2の単層ナノシート(以降では単にrGOw/PDDAナノシートと称する)を含有する第2の分散液(以降では単にrGOw/PDDA分散液と称する)を次のようにして調製した。周知の改良ハマー法によって得た酸化グラフェンナノシート(以降ではGOナノシートと称する)が分散した分散媒200cm(濃度:0.2gdm-3)を、カチオン性ポリマーとしてポリジアリルジメチルアンモニウム(PDDA)を含有する溶液1.5cm(濃度:20wt%)と混合した。ここで、分散媒はいずれも水であった。
次いで、ヒドラジン一水和物15mm(濃度:98wt%)を添加し、90℃で3時間攪拌しながら加熱した。これによりGOナノシートは、還元された酸化グラフェンナノシート(以降ではrGOナノシートと称する)となった。得られた懸濁液に高速遠心分離(回転速度:20000rpm)を行い、回収物をさらにミリQ水に分散させた。再度、遠心分離(回転速度:6000rpm)を行い、上澄み液を、PDDAで修飾されたrGOナノシート(rGOw/PDDAナノシート)を含有する第2の分散液(rGOw/PDDA分散液)とした。
なお、比較のため、PDDAを用いることなく還元したrGOナノシート(rGOナノシート)を含有する分散液も調製した。MnOナノシートと同様に、GOナノシート、rGOナノシート、および、rGOw/PDDAナノシートのそれぞれをAFMおよびTEMにより観察し、ゼータ電位を測定した。結果を図6および図7に示す。また、MnOナノシートと同様に、GOナノシート、rGOナノシート、および、rGOw/PDDAナノシートの分散液(それぞれ、GO分散液、rGO分散液、rGOw/PDDA分散液と称する)の分散状態および吸収スペクトルを測定した。
図5は、MnOナノシートのAFM像を示す図である。
図5によれば、MnOナノシートは、厚さ0.8nmを有し、横方向の大きさが100nm以上を有する異方性の高い二次元結晶であることを確認した。図示しないが、TEM観察によっても、平坦な超薄シートが確認され、MnOナノシートが分散したMnO分散液においてはチンダル現象が確認された。また、MnO分散液の吸収スペクトルを測定したところ、約380nmにブロードな吸収ピークを確認した。これらの結果から、MnOナノシートは、層状マンガン酸化物から単層剥離された単一層であることが確認された。
図6は、GOナノシート(A)、rGOナノシート(B)およびrGOw/PDDAナノシート(C)のAFM像を示す図である。
図6(A)によれば、GOナノシートは、厚さ0.8nmを有し、横方向の大きさが100nm以上を有する異方性の高い二次元結晶であることを確認した。一方、図6(B)によれば、rGOナノシートは、厚さ0.6nmを有し、GOナノシートの厚さよりも薄いことが分かった。このことは、ヒドラジン一水和物を用いた熱処理により、GOナノシートの表面に存在する含酸素官能基が除去されたことを示唆する。さらに、図6(C)によれば、rGOw/PDDAナノシートは、厚さ1.5nmを有し、rGOナノシートの厚さよりも厚いことが分かった。このことは、rGOナノシートにPDDAが付与されたことを示唆する。
さらに、GO分散液は薄い茶色を呈したが、rGO分散液は黒色を呈した。吸収スペクトルによれば、GO分散液における吸収ピーク(230nm)は、rGO分散液において長波長側(263nm)にシフトした。これらから、GOは還元されてrGOとなったことが確認された。また、GO分散液、rGO分散液およびrGOw/PDDA分散液のいずれもチンダル現象を示し、均一なコロイド溶液であった。
図7は、GOナノシート、rGOw/PDDAナノシートおよびMnOナノシートのゼータ電位プロファイルを示す図である。
図7によれば、MnOナノシートおよびGOナノシートは負電荷を有しており、rGOw/PDDAナノシートは正電荷を有しており、PDDAの付与によって電荷を制御できることが分かった。
以降の実施例/比較例ではここで調製したMnO分散液(第1の分散液に相当)、rGO分散液、rGOw/PDDA分散液(第2の分散液に相当)を用いた。
[実施例1]
実施例1では、MnO分散液とrGOw/PDDA分散液とを、グラフェンに対する酸化マンガンの質量比が2.8となるように混合し、超格子構造を製造した(表1を参照)。MnO分散液(20mL、MnO濃度0.816g/L)を室温で攪拌しながら、rGOw/PDDA分散液(58mL、rGOw/PDDA濃度0.1g/L(ただし、PDDAを考慮することなくグラフェン単体の質量で換算))を、5mL/分の速度で添加した。
ここで、混合は、rGOに対するMnOの質量比が2.8となるように調製した。質量比(2.8)は次のようにして算出した。六方晶グラフェンナノシートの単位胞(a=0.25nm)および六方晶MnOナノシートの単位胞(a=0.28nm)を用い、理想的なグラフェン構造について、MnOナノシートとグラフェンナノシートとの間の面積バランスを評価した。グラフェンナノシートの二次元重量密度(Wグラフェン)およびMnOナノシートの二次元重量密度(WMnO2)は次式で表される。
グラフェン=2M/(a×a×sin120°×N
MnO2=2MMnO2/(a×a×sin120°×N
ここで、Nは、アボガドロ定数であり、MおよびMMnO2は、炭素およびMnOの分子量である。グラフェンに対するMnOの質量比(mMnO2/mグラフェン)は、WMnO2/Wグラフェンで表され、上式を代入すると2.8と算出された。
MnO分散液とrGOw/PDDA分散液との混合物は、マグネチックスターラを用い、500rpmの回転速度で30分間攪拌された。その後、遠心分離(回転速度:6000rpm)を行い、凝集物を回収し、大気中で乾燥した。
生成物をTEMにより種々の観察・測定を行った。高角散乱環状暗視野走査透過電子顕微鏡法により生成物のHAADF-STEM像を撮影し、エネルギー分散型X線分析装置(EDS)により、対応する領域の元素マッピングを行った。生成物の制限視野電子回折像(SAED)を撮影した。結果を図8、図9および図12に示す。
生成物について熱重量測定(TGA-8120、Rigaku製)を行った。結果を図10に示す。生成物について、単色CuKα線(λ=0.15405nm)を用いて、X線回折装置(Rint-2200、Rigaku製)によりX線回折(XRD)測定を行った。結果を図11に示す。
図8は、実施例1の生成物のTEM像を示す図である。
図8によれば、実施例1の生成物は、層状の様態を有することが分かった。図示しないが、HAADF-STEM像およびその元素マッピングの結果によれば、C、N、OおよびMnの元素が均一に分散していることが分かった。これらは、MnOナノシートとrGOw/PDDAナノシートとが均一かつ密接に積層していることを示唆する。
図9は、実施例1の生成物のSAEDパターンを示す図である。
図9によれば、MnOナノシートとrGOw/PDDAナノシートとの両方の面内回折リングが確認された。このことも、MnOナノシートとrGOw/PDDAナノシートとが密接に積層していることを示唆する。
図10は、実施例1の生成物のTGプロファイルを示す図である。
図10によれば、200℃以下の重量損失は約5%であり、これは吸着した水分の除去による。200℃~900℃の重量損失は、炭素成分の除去と、MnOのMnへの分解とによる。残ったMnの重量比が、MnOの重量比(65%)に相当することから、rGOの重量は30%と見積もることができる。このことから、実施例1の生成物におけるrGOに対するMnOの質量比は、2.16であることが分かった。この値は、原料の調製において設定したrGOに対するMnOの質量比(2.8)に近いものの、やや小さな値であった。
図11は、実施例1の生成物のXRDパターンを示す図である。
図11には、超格子構造の00lの底面反射(basal series)のシミュレーションの結果も併せて示す。実施例1の生成物のXRDパターンは、面間隔dが1.06nm~1.14nmの範囲においてブロードなピークを示した。37°および65°におけるピークは、それぞれ、MnOナノシートの面内回折10および11に指数付けできた。実施例1の生成物のXRDパターンにおける面内回折ピークは、それぞれ、高角度側に伸びる異方的プロファイルを有しており、ランダムに積層していることを示した。
測定された約1.1nmの面間隔dを有するピークは、超格子構造の2次反射に帰属された。これは、dの値が、図5および図6で説明したように、MnOナノシートの厚さ(0.8nm)とrGOw/PDDAナノシートの厚さ(1.5nm)との合計の半分の値に近いことと整合する。図11のシミュレーションの結果によれば、2次反射ピークの強度が1次ピークのそれよりも大きい。これは、MnOナノシートとrGOw/PDDAナノシートとが交互に積層し、超格子構造を形成していることを示し、測定結果によく整合する。
図12は、実施例1の生成物のHRTEM像を示す図である。
図12によれば、平行な格子縞が示されるが、格子縞の間隔は、0.8nmと1.4nmとが交互に繰り返されていた。この間隔は、それぞれ、MnOナノシートとrGOw/PDDAナノシートとに相当する。繰り返しの厚さ2.2nmは、図11で説明したXRDの結果に良好に一致し、MnOナノシートがrGOw/PDDAナノシートと交互に積層していることを強く示唆する。
超格子構造の繰り返し周期は2.2nmであるが、これは、MnOナノシートと隣接するrGOw/PDDAナノシートとの間の層間距離が1.1nmであることを意味し、図11で得られた面間隔(1.1nm)に良好に一致する。また、この層間距離(1.1nm)は、バルク状の層状MnOのそれ(0.7nm)よりもはるかに大きい。このことから、実施例1で得られた生成物は、MnOナノシートとrGOw/PDDAナノシートとが交互積層した超格子構造を有しており、その層間距離が大きいことから、二次電池の金属イオンの吸蔵に適しており、負極電極として機能し得ることが示唆される。なお、以降では、実施例1で得た生成物を実施例1の超格子構造と称する場合がある。
[比較例1]
比較例1では、MnO分散液とrGOw/PDDA分散液とを、グラフェンに対する酸化マンガンの質量比が4.0となるように混合し、超格子構造を製造した(表1を参照)。MnO分散液(20mL、MnO濃度0.816g/L)を室温で攪拌しながら、rGOw/PDDA分散液(41mL、rGOw/PDDA濃度0.1g/L)を、実施例1と同様の手順にて添加し、攪拌後、回収した。得られた比較例1の生成物についてXRD回折測定を行った。結果を図13に示す。
図13は、比較例1の生成物のXRDパターンを示す図である。
図13によれば、比較例1の生成物は、図11と同様に、面間隔dが1.06nm~1.14nmの範囲においてブロードなピークを示したが、それ以外に、MnOの001、002の回折ピークを示した。このことから、比較例1の生成物は、一部に目的とするMnOナノシートとrGOw/PDDAナノシートとが交互に積層した超格子構造を有するものの、MnOナノシートが自己再凝集していることが分かった。このことから、グラフェンに対するMnOの質量比は、2.0以上4.0未満の範囲とすることが好ましいことが示された。
[比較例2]
比較例2では、MnO分散液とrGO分散液とを、グラフェンに対する酸化マンガンの質量比が2.8となるように混合し、超格子構造を製造した(表1を参照)。PDDA溶液(5mL、PDDA濃度10g/L、分散媒:水)中に、MnO分散液(20mL、MnO濃度0.816g/L)とrGO分散液(58mL、rGO濃度0.1g/L)とを攪拌しながら添加し、攪拌後、実施例1と同様に、生成物を回収した。得られた比較例2の生成物についてXRD回折測定を行った。結果を図14に示す。
図14は、比較例2の生成物のXRDパターンを示す図である。
図14には、実施例1の生成物のXRDパターンも併せて示す。図14によれば、比較例2の生成物のXRDパターンは、交互積層に特徴的な回折ピークを示さなかった。これは、MnOナノシートおよびrGOナノシートがいずれも負電荷を有しているため、PDDA溶液中であっても、ランダムに再積層されてしまい、交互積層した超格子構造が得られないことを示す。このことから、カチオン性ポリマーを酸化マンガンナノシートまたはグラフェンナノシートに付与し、あらかじめ電荷を制御することが好ましいことが示された。
ここで、実施例1、比較例1~2の実験条件を簡単のために、表1に示す。
Figure 0007030327000001
[実施例2]
実施例2では、実施例1の生成物(超格子構造)を用いて、リチウムイオン電池(ハーフセルおよびフルセル)を作製し、特性を調べた。
ハーフセルを次のようにして製造した。実施例1の超格子構造と、導電助剤としてカーボンブラックと、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)とを、80:15:5の質量比で秤量した。これらをN-メチル-2-ビロリドン(NMP)中で混合し、銅箔に塗布し、乾燥後、膜厚が35~45μmの範囲になるよう圧延した。その後、16mmφに型抜きし、真空乾燥して負極を得た。
上述の負極と対極(リチウム箔:厚さ0.2mm)とを、セパレータ(Cergard(登録商標)2500)を介して、2032型電池ケースに収納し、エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)の混合溶媒(体積比1:1)に1mol/Lの濃度でLiPFを溶解した電解液を注入した。
フルセルは、正極としてLiFePO(Aldrich製)を用いた以外は、ハーフセルと同様にして製造された。なお、負極には、P.Xiongら,Nano Energy 2015,12,816-823、J.Hassounら,Nano Lett.2014,14,4901-4906に基づいて、リチウムイオンをプレドープした。
実施例2のハーフセルおよびフルセルについて、以下の電池特性を評価した。サイクリックボルタンメトリ(CV)測定をSolartron SI 1287電気化学ワークステーションを用いて行った。電気化学インピーダンス(EIS)測定を、10mVの交流電圧で、10mHz~20kHzの周波数範囲について行った。ガルバノスタット充放電試験を、Hokuto充放電システム(HJ1001SD8)を用いて行った。試験後、X線光電子分光法、TEM、SAEDパターンを測定した。これらの結果を図15および図18~図24に示し、後述する。
[比較例3]
比較例3では、比較例2の生成物を用いて、リチウムイオン電池(ハーフセル)を作製し、特性を調べた。ハーフセルの作製は、実施例2と同様の手順であるため、説明を省略する。比較例3のハーフセルの電池特性を実施例2と同様にして評価した。結果を図16および図18に示し、後述する。
[比較例4]
比較例4では、調製したMnOナノシートを用いて、リチウムイオン電池(ハーフセル)を作製し、特性を調べた。ハーフセルの作製は、実施例2と同様の手順であるため、説明を省略する。比較例4のハーフセルの電池特性を実施例2と同様にして評価した。結果を図17および図18に示し、後述する。
実施例2および比較例3~4のリチウムイオン電池の詳細を表2に示し、結果を説明する。
Figure 0007030327000002
図15は、実施例2のハーフセルの電池特性を示す図である。
図16は、比較例3のハーフセルの電池特性を示す図である。
図17は、比較例4のハーフセルの電池特性を示す図である。
図15aは、電流密度0.1Ag-1における最初の5回の実施例2のハーフセルの充放電プロファイルを示す。図15aによれば、実施例2のハーフセルの初期放電容量および初期充電容量は、それぞれ、2575mAhg-1および1395mAhg-1であり、54%のクーロン効率に値した。クーロン効率は、2回の充放電中に95%まで上昇し、3回の充放電後に100%に到達した。5回の充放電後、1325mAhg-1の安定した可逆容量が得られた。ここで、図示しないが、実施例1で調製したrGOナノシートもまた優れた可逆容量を示し、0.1Ag-1において510mAhg-1と得られた。実施例2のハーフセルに用いた超格子構造によれば、MnO/rGOの質量比が2.2であることから、rGOの電極容量に及ぼす効果は135mAhg-1と算出され、MnOの電極容量に及ぼす効果は1190mAhg-1と算出された。この値は、MnOの電極容量の理論値(1230mAhg-1)に近いことを示している。
図15bおよびcは、それぞれ、種々の電流密度(0.1~12.8Ag-1)における実施例2のハーフセルの充放電プロファイルおよびレート特性を示す。各電流密度における可逆容量は次のようになった。
0.1Ag-1:1325mAhg-1
0.2Ag-1:1195mAhg-1
0.4Ag-1:1075mAhg-1
0.8Ag-1: 945mAhg-1
1.6Ag-1: 805mAhg-1
3.2Ag-1: 680mAhg-1
6.4Ag-1: 545mAhg-1
12.8Ag-1:370mAhg-1
なお、高い電流密度(12.8Ag-1)であっても、本発明の超格子構造を用いた電極は、従来のグラファイトを用いた電極の理論容量(372mAhg-1)に匹敵する、370mAhg-1を維持することを確認した。
ここで、重要なことは、高い電流密度で測定した後であっても、実施例2のハーフセルの容量は、電流密度を0.1Ag-1まで低下させると、初期の値に回復することである。このことは、実施例2のハーフセルが可逆性を有することを示す。
ハーフセルに実装する前の、測定された電極の質量と形状とに基づいて、実施例1の生成物(すなわち超格子構造)の公称タップ密度(ρ)を算出したところ、0.75gcm-3であった。このことは、多孔質構造であることを示す。
さらに、実施例1の生成物の単位体積当たりの容量は、994mAhcm-3(@0.1Ag-1)であり、市販のグラファイトの負極よりも大きく、代表的なSi系負極に匹敵することが分かった。
図15dは、実施例2のハーフセルにおける実施例1の生成物のサイクル特性(@0.5Ag-1)を示す。図15dによれば、可逆容量(比容量)は、徐々に増大し、100回繰り返すと、1250mAhg-1を維持した。
図15eは、実施例2のハーフセルにおける実施例1の生成物の長期間サイクル特性(@5Ag-1)を示す。図15eによれば、実施例2のハーフセルにおける実施例1の生成物は、長期間にわたって優れたサイクル安定性を示した。5000サイクル以降も、可逆容量は480mAhg-1を維持した。この値は、これまでに報告のあるMn系酸化物ならびに炭素とのハイブリッド材料の中でもっとも優れており、1サイクル当たりの容量減衰はわずか0.004%であることを示す。
ここで、図16および図17を参照されたい。図16および図17によれば、比較例3のハーフセルで用いた比較例2の生成物(MnOナノシートとrGOナノシートとのランダム積層体)、および、比較例4のハーフセルで用いたMnOナノシート単体の可逆容量(@0.1Ag-1)は、それぞれ、450mAhg-1および170mAhg-1であった。比較例3のハーフセルの可逆容量は、比較例4のそれよりも大きかったが、これは、rGOナノシートの添加により導電性が向上したためである。
また、図16および図17によれば、比較例3および比較例4のハーフセルの比容量は、電流密度が3.2Ag-1では10mAhg-1以下となり、電流密度が6.4Ag-1では検出できなかった。
図18は、実施例2、比較例3および比較例4のハーフセルを用いたナイキストプロットを示す図である。
図18の半円に着目すれば、実施例2のハーフセルのそれは、比較例3および比較例4のそれよりも小さく、電極性能が優れていることが分かった。
以上の結果から、本発明の超格子構造を活物質に用いた負極電極は、電荷移動抵抗が小さく、レート特性を向上させることが示された。
次に、充放電に伴う酸化マンガンの酸化還元プロセスについて調べた。
図19は、実施例2のハーフセルのCV曲線を示す図である。
図19には、掃引速度0.1mVs-1における最初の5回のCV曲線が示される。1回目のCV曲線における約2.4Vのピークは、電解質の分解に起因する。1回目のCV曲線における約0.5Vのカソードピークは、固体電解質界面(SEI)層の形成を示しており、2回目以降のCV曲線には見られなかった。1回目のCV曲線における約0.7Vおよび0.1Vにおける2つのカソードピークは、それぞれ、Mn3+/4+からMn2+、および、Mn2+からMnの還元プロセスに対応し、これらは、2回目以降の放電サイクル時に、1.0Vおよび0.2Vにシフトした。1回目のCV曲線における約1.1Vおよび1.9Vの2つのアノードピークは、Mnの2段階の酸化プロセスに対応する。2回目以降のサイクルのCV曲線はほぼ重なっており、ここからも、本発明の超格子構造を活物質に用いた負極電極は、高い電気化学可逆性を有することを示す。
図20は、リチエーション(Liの挿入)プロセスにおける本発明の超格子構造(実施例1の生成物)の微細組織を示す図である。
図20aは、1回目のリチエーション後のTEM像を示す。図20aによれば、リチエーション後も、rGOナノシートによって超格子構造の層構造が良好に維持されることが分かった。図20cのSAEDパターンは、rGOナノシートの100および110の面内反射に起因する0.21nmおよび0.12nmの回折リングを明瞭に示した。一方、図20bは図20aの拡大図であるが、MnOナノシートは、リチエーション後に黒く示される領域に変化した。
さらに、図20dは、黒く示される領域は、MnOナノシートの格子縞とは異なる格子縞を有していた。図20eおよび図20fによれば、黒く示される領域は、0.27nmの格子間隔および0.22nmの格子間隔を有する2種類あることが分かる。さらに、0.27nmの格子間隔は、図20hの面心立方構造(FCC)のMnO{111}格子面に相当し、0.22nmの格子間隔は、図20iの体心立方構造(BCC)のMnの{111}格子面に相当する。回折位置が類似するため、図20cにおいて、金属MnのSAED信号と、rGOナノシートからの反射とが重なることに留意されたい。
図21は、最初の状態および1回目の充放電サイクル(@0.5Ag-1)後の本発明の超格子構造(実施例1の生成物)のMn2pのXPSスペクトルを示す図である。
図22は、1回目の充放電サイクル(@0.5Ag-1)後の本発明の超格子構造(実施例1の生成物)のLi1sのXPSスペクトルを示す図である。
図21によれば、1回目のリチエーション後にMn2+および金属Mnが形成されたことを示す。図22によれば、1回目のリチエーション後にLiO相が形成されたことを示す。これらの結果は、図19のCV曲線で得られた2段階の還元プロセスに良好に一致した。
これらの結果から、MnOナノシート(図20g)は、1回目のリチエーション時に、rGOナノシートのシート間において、MnOナノシート(図20h)、次いで金属Mnナノシート(図20i)へと変換され、均一に位置する。この変換プロセスは、rGOナノシートのシート間で生じ、かつ、シート間で維持される。その結果、活性点の露出を維持し、拡散距離が短くなるので、体積変化が抑制され、結果、高いレート特性および優れたサイクル安定性が得られる。
図23は、1回目の充電後の本発明の超格子構造(実施例1の生成物)のTEM像およびSAEDパターンを示す図である。
図23を参照すれば、1回目のデリチエーション(Liの脱離)後も、面内100および110が維持されることからもわかるように、rGOナノシートによって超格子構造全体のモルフォロジが維持される。MnOナノシートは、金属Mnとなることによって、粒径は小さくなるが、rGOナノシートのシート間に均一に分散した状態となる。
以上より、本発明の超格子構造は、図2を参照して説明した酸化マンガンの可逆的な酸化還元プロセスを安定化することが示された。
図24は、実施例2のフルセルの充放電プロファイルとサイクル特性(@50mAg-1)とを示す図である。
図24によれば、実施例2のフルセルの初期可逆容量は135mAhg-1であるが、100サイクル後も75%の保持特性を有した。このことから、本発明の超格子構造が、リチウムイオン電池などの二次電池の負極電極材料に有効であることが示された。
[実施例3]
実施例3では、実施例1の生成物を用いて、ナトリウムイオン電池(ハーフセル)を作製し、特性を調べた。
対極にナトリウム箔(厚さ0.2mm)を、セパレータにガラス繊維(Whatman(登録商標))を、電解液に10wt%のフルオロエチレンカーボネート(FEC)を含有するプロピレンカーボネート(PC)に1mol/Lの濃度でNaClOを溶解した電解液を用いた以外は、実施例2と同様にして作製した。結果を図25および図26に示す。
[比較例5]
比較例5では、比較例2の生成物を用いて、ナトリウムイオン電池(ハーフセル)を作製し、特性を調べた。ハーフセルの作製は、実施例3と同様の手順であるため、説明を省略する。比較例5のハーフセルの電池特性を実施例3と同様にして評価した。結果を図27に示す。
[比較例6]
比較例6では、調製したMnOナノシートを用いて、ナトリウムイオン電池(ハーフセル)を作製し、特性を調べた。ハーフセルの作製は、実施例3と同様の手順であるため、説明を省略する。比較例6のハーフセルの電池特性を実施例2と同様にして評価した。結果を図28に示す。
実施例3および比較例5~6のナトリウムイオン電池の詳細を表3に示し、結果を説明する。
Figure 0007030327000003
図25は、電流密度0.1Ag-1における最初の5回の実施例3のハーフセルの充放電プロファイルを示す図である。
図26は、実施例3のハーフセルの電池特性を示す図である。
図27は、比較例5のハーフセルの電池特性を示す図である。
図28は、電流密度0.1Ag-1における1回目および5回目の比較例6のハーフセルの充放電プロファイルを示す図である。
図25によれば、実施例3のハーフセルにおいて、1回目の放電プロファイルは、1.5Vと1.0Vとの間でプラトーを示した。これは、SEI層の形成およびMnOの還元に起因する。なお、2回目以降の充放電プロファイルは、明瞭なプラトーを示さなかった。5回の充放電サイクル後、795mAhg-1の可逆比容量および最大100%のクーロン効率が得られた。
図26aおよびbは、種々の電流密度(0.1~12.8A-1)における実施例3のハーフセルの充放電プロファイルおよびレート特性を示す。各電流密度における可逆容量は次のようになった。
0.1Ag-1: 795mAhg-1
0.2Ag-1: 680mAhg-1
0.4Ag-1: 595mAhg-1
0.8Ag-1: 520mAhg-1
1.6Ag-1: 445mAhg-1
3.2Ag-1: 375mAhg-1
6.4Ag-1: 305mAhg-1
12.8Ag-1:245mAhg-1
Liに比較してNaのイオン半径は大きいため、Naの拡散反応速度は、Liのそれに比べて遅いはずであるが、本発明の超格子構造を採用すれば、Naの貯蔵においても、Liの貯蔵においても、いずれも同様の高いレート特性を示す。図26cに示すように、本発明の超格子構造を用いたナトリウムイオン電池は、既存の金属酸化物を用いたナトリウムイオン電池の中でも、もっとも優れたレート特性を示した。
図26dは、実施例3のハーフセルにおける実施例1の生成物(超格子構造)のサイクル特性(@0.5Ag-1)を示す。図26dによれば、超格子構造の可逆容量は、100回繰り返すと、500mAhg-1を維持し、100サイクル後も90%の保持特性を有した。
図26eは、実施例3のハーフセルにおける実施例1の生成物の長期間サイクル特性(@5Ag-1)を示す。図26eによれば、実施例3のハーフセルにおける実施例1の生成物は、長期間にわたって優れたサイクル安定性を示した。5000サイクル以降も、可逆容量は185mAhg-1を維持した。この値は、1サイクル当たりの容量減衰がわずか0.0078%に相当する。
ここで、図27および図28を参照されたい。図27および図28によれば、比較例5のハーフセルで用いた比較例2の生成物(MnOナノシートとrGOナノシートとのランダム積層体)、および、比較例6のハーフセルで用いたMnOナノシート単体の可逆容量(@0.1Ag-1)は、それぞれ、135mAhg-1および15mAhg-1であった。
図26~図28から、本発明の超格子構造が、ナトリウムイオン電池などの二次電池の負極電極材料に有効であることが示された。
本発明による二次電池用負極電極は、酸化マンガンからなる単層ナノシートとグラフェンナノシートとが交互に積層された超格子構造を活物質とすることにより、大きな比容量を有し、高いレート特性および長いサイクル寿命を備えた二次電池を実現できる。また、本発明の超格子構造は、電極触媒などのエネルギー貯蔵・変換にも適用できる。
100 超格子構造
110 酸化マンガンからなる第1の単層ナノシート
120 グラフェンからなる第2の単層ナノシート
130 カチオン性ポリマー
210 酸化マンガンIIナノシート
220 マンガンナノシート
310 第1の分散液
320 第2の分散液
400 二次電池
410 正極電極
420 負極電極
430 電解質
440 セパレータ
450 セル

Claims (16)

  1. 酸化マンガンからなる第1の単層ナノシートとグラフェンからなる第2の単層ナノシートとが交互に積層された超格子構造を含有し、
    前記第1の単層ナノシートまたは前記第2の単層ナノシートは、カチオン性ポリマーを有する、二次電池用負極電極。
  2. 前記第1の単層ナノシートは、0.5nm以上1.5nm以下の範囲の厚さを有し、
    前記第2の単層ナノシートは、0.35nm以上1.5nm以下の範囲の厚さを有する、請求項1に記載の負極電極。
  3. 前記第1の単層ナノシートは、層状マンガン酸化物から単層剥離されている、請求項1または2に記載の負極電極。
  4. 前記超格子構造における、前記グラフェンに対する前記酸化マンガンの質量比は、2.0以上4.0未満の範囲である、請求項1~3のいずれかに記載の負極電極。
  5. 前記超格子構造における、前記グラフェンに対する前記酸化マンガンの質量比は、2.0以上2.4以下の範囲である、請求項4に記載の負極電極。
  6. 前記カチオン性ポリマーは、ポリジアリルジメチルアンモニウム(PDDA)、ポリアリルアミン(PAH)、ポリエチレンイミン(PEI)、ポリピロール(PPy)、ポリアニリン(PANI)およびポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)からなる群から選択される、請求項1に記載の負極電極。
  7. 前記超格子構造のX線回折分析による前記第1の単層ナノシートと前記第2の単層ナノシートとの層間距離は、0.7nm以上1.5nm以下の範囲である、請求項1~6のいずれかに記載の負極電極。
  8. 前記第2の単層ナノシートは、還元型酸化グラフェンナノシートである、請求項1~7のいずれかに記載の負極電極。
  9. 化マンガンからなる第1の単層ナノシートが分散した第1の分散液と、カチオン性ポリマーを有するグラフェンからなる第2の単層ナノシートが分散した第2の分散液とを混合する、または、カチオン性ポリマーを有する酸化マンガンからなる第1の単層ナノシートが分散した第1の分散液と、グラフェンからなる第2の単層ナノシートが分散した第2の分散液とを混合する工程を包含する、酸化マンガンからなる第1の単層ナノシートとグラフェンからなる第2の単層ナノシートとが交互に積層された超格子構造を含有する二次電池用負極電極を製造する方法。
  10. 前記混合する工程において、前記グラフェンに対する前記酸化マンガンの質量比は、2.0以上4.0未満の範囲である、請求項9に記載の方法。
  11. 前記混合する工程において、前記グラフェンに対する前記酸化マンガンの質量比は、2.0以上3.0以下の範囲である、請求項10に記載の方法。
  12. 前記第1の分散液および前記第2の分散液における分散媒は、それぞれ、水、エタノール、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)およびN-メチル-2-ピロリドン(NMP)からなる群から選択される、請求項9~11のいずれかに記載の方法。
  13. 前記混合する工程で得られた生成物を不活性または還元性ガス雰囲気中で加熱する工程をさらに包含する、請求項9~12のいずれかに記載の方法。
  14. 前記加熱する工程は、前記生成物を300℃以上400℃以下の温度範囲で30分以上3時間以下の時間加熱する、請求項13に記載の方法。
  15. 正極電極と、負極電極と、前記正極電極と前記負極電極との間に位置する電解質とを備えた二次電池であって、
    前記負極電極は、請求項1~8のいずれかに記載の負極電極からなる、二次電池。
  16. 前記正極電極は、LiMO(Mは、Ni、Co、Mn、Fe、Ti、Zr、Al、Mg、CrおよびVからなる群から少なくとも1つ選択される元素である)で表されるLi金属酸化物、または、LiM’PO(M’は、Ni、Co、Mn、Fe、Ti、Zr、Al、Mg、CrおよびVからなる群から少なくとも1つ選択される元素である)で表されるLi金属リン酸塩である正極電極材料を含む、請求項15に記載の二次電池。
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