JP7029876B2 - 架線・パンタグラフ系の走行シミュレーション方法及び装置 - Google Patents

架線・パンタグラフ系の走行シミュレーション方法及び装置 Download PDF

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Description

本発明は、架線に沿って走行するパンタグラフの性能を評価するための架線・パンタグラフ系の走行シミュレーション装置などに関する。特には、パンタグラフが、数km程度の長距離を連続的に走行する状況を模擬試験できるHILS(下記参照)方式のシミュレーション装置に関する。
高速鉄道の集電技術分野において、パンタグラフの架線に対する追従性の良し悪しや、両者間に作用する接触力の安定性を評価することは重要である。 本発明者らは、架線・パンタグラフ間の動的な相互作用を考慮したパンタグラフの定置試験手法として、「Hardware-in-the-Loop Simulation」(HILSと略称)システムの開発を行っている。HILSシステムでは、数値モデルによって表現された架線と、実機のパンタグラフとを、リアルタイムシミュレータおよび加振装置によって結合することで、架線モデル下をパンタグラフが走行する状態を模擬する。
現在までに、実機パンタグラフを用いたHILS試験を、本願出願人の有するパンタグラフ加振試験装置を用いて行い、開発手法の妥当性を検証した(非特許文献1、特許文献1)。
特許第5986061号公報
山下義隆、小林樹幸、臼田隆之、「多質点系架線モデルを用いた架線パンタグラフ系HILSシステムの実現」、第24回鉄道技術・政策連合シンポジウム(J-RAIL2017)、(2017.12.)
HILSシステムをパンタグラフの性能評価に使用する際には、数km程度の長距離を連続的に走行する状況を模擬できることが望ましい。しかしながら、上記文献で報告したHILS試験では、パンタグラフが走行可能な距離は200 m程度(4径間程度)に限定されていた。なお、「径間」とは、架線を支持する電柱などの支持点が設置されている間隔のことである。上記距離の限定は、リアルタイムシミュレータがリアルタイムに計算を実行可能な架線モデルの規模(自由度数)が、総延長200 m程度に制限されるためである。
本発明は、パンタグラフの長距離走行をHILSシステムで実現する手法を提供することを目的とする。具体的には、4径間程度の小規模な架線モデルを使ったリアルタイムシミュレーションを行いながらも、走行するパンタグラフにとっては、あたかも連続する長大架線の下を走行しているかのような状況を模擬可能な手法を提供することを目的とする。
本発明の架線・パンタグラフ系の走行シミュレーション方法は、 パンタグラフに作用する加振機と、 前記パンタグラフと前記加振機の間の接触力を測定する接触力測定器と、 前記パンタグラフと摺動するトロリ線を含む架線の力学モデルを含むシミュレータと、 を有する走行シミュレーション装置を用い、 前記シミュレータは、前記接触力測定器から出力される接触力値をリアルタイムで入力され、該入力された接触力値と前記架線の力学モデルに基づいて、前記パンタグラフの仮想的な走行距離に応じて、前記トロリ線の変位をリアルタイムで算定し、 該算定したトロリ線の変位に応じて前記加振機をリアルタイムで駆動し、 リアルタイムシミュレーションを実行不可能な長大架線モデルを、実行可能な複数の小規模架線モデルに分割し、分割した複数の小規模架線モデルを、連続的にパンタグラフが走行できるように連結することを特徴とする。
本発明においては、前記小規模架線モデル(小モデル)がN個の径間に亘るものであり、 パンタグラフが、現小モデルのN-j番目の径間へ進入した時点で、パンタグラフの着力点(接触点)を現小モデルから隣接する次の小モデルへ移動させるとともに、 着力点の移動と同時に、現小モデルの状態量である変位及び速度を次小モデルへコピーすることができる。ただしjは0≦j<Nであり、jの値は任意に決定してよい。
本発明においては、前記架線の力学モデルが、前記トロリ線の運動方程式はモード座標上で、前記トロリ線を吊るちょう架線の運動方程式は物理座標上で、定義することができる。また、径間長が可変の場合のシミュレーションに対応して、前記複数の小規模架線モデルとして、互いに異なる構造を有する複数の小規模架線モデルをリアルタイムシミュレータ上に用意することができる。
本発明の走行シミュレーション装置は、 パンタグラフに作用する加振機と、 前記パンタグラフと前記加振機の間の接触力を測定する接触力測定器と、 前記パンタグラフと摺動するトロリ線を含む架線の力学モデルを含むシミュレータと、を有する走行シミュレーション装置であって、 前記シミュレータは、前記接触力測定器から出力される接触力値をリアルタイムで入力され、該入力された接触力値と前記架線の力学モデルに基づいて、前記パンタグラフの仮想的な走行距離に応じて、前記トロリ線の変位をリアルタイムで算定し、 該算定したトロリ線の変位に応じて、前記加振機はリアルタイムで駆動され、
リアルタイムシミュレーションを実行不可能な長大架線モデルを、実行可能な複数の小規模架線モデルに分割し、分割した複数の小規模架線モデルを、連続的にパンタグラフが走行できるように連結することを特徴とする。
本発明によれば、パンタグラフの長距離走行をHILSシステムで実現する手法を提供できる。たとえば、4径間程度の小規模な架線モデルを使ったリアルタイムシミュレーションを行いながらも、走行するパンタグラフにとっては、あたかも連続する長大架線の下を走行しているかのような状況を模擬可能な手法を提供できる。
本発明の実施形態に係る架線・パンタグラフ系の走行シミュレーション装置・方法の構成を示す図であって、(A)はブロック図、(B)はフローチャートである。 本実施形態において使用する架線の力学モデルの1例を示す図である。 長大架線モデルの分割方法のイメージを示す図である。 ESシミュレーションに用いるパンタグラフのモデル及びパラメータを示す図である。 シミュレーションに用いる一定径間長を有する架線モデルを示す図である。 可変径間長を有する架線モデルを示す図である。 図6の架線モデルの径間長の度数分布を示す図である。 一定径間長を有する架線モデルについて、シミュレーションから得られた時刻歴波形を示す図である。 可変径間長を有する架線モデルについて、シミュレーションから得られた時刻歴波形示す図である。 HILS試験で得られた舟体変位と接触力の時刻歴波形を示す図である。
1;リアルタイムシミュレータ、3;接触力測定器、5;加振機、6;加振機アンプ
7;関数発生器、9;ホストコンピュータ、10;入出力装置
11;パンタグラフ、13;すり板
51;架線、53;トロリ線、61;支持点
以下、本発明の1実施形態に係る架線・パンタグラフ系の走行シミュレーション装置を、図面を参照しながら説明する。まず、図1を参照しつつ、同装置の全体構成を説明する。
1. 発明の構成概要
本実施形態の架線・パンタグラフ系の走行シミュレーション装置は、リアルタイムシミュレータ1と加振機5と接触力測定器3を備えている。そして、試験対象として実際に設置された実機あるいはプロトモデルのパンタグラフ11と、シミュレーションによりリアルタイムベースで摸擬された架線51とを用いて、架線51のトロリ線53と摺動しながら走行するパンタグラフ11の運動状態を再現する。
加振機5は、実際のパンタグラフ11の舟体の上に形成されたすり板13の上面に当接し、発生する加振力をパンタグラフ11に作用させる。また、たとえばロードセルなどで構成された接触力測定器3がすり板13に設置されて、すり板13に作用する反力を接触力として測定する。
リアルタイムシミュレータ1は、架線の力学モデルにしたがって架線の運動を摸擬し、リアルタイムベースで各部の運動状態、特に、トロリ線53の変位を算出し変位量の情報を出力する。
加振機5には加振機アンプ6が付帯している。加振機アンプ6は、リアルタイムシミュレータ1から出力されたトロリ線の変位量の情報を入力されて、加振機5を駆動する変位指令に変成して加振機5に伝送する。加振機5は、対応する加振力をすり板13に作用させる。これにより、加振機5があたかもパンタグラフ11に接する架線であるかのような振る舞いをすることになる。
なお、走行シミュレーション装置を統括制御するホストコンピュータ9が設けられており、架線の力学モデルは、ホストコンピュータ9において構築して実行形式に変換したものを、リアルタイムシミュレータ1に転送することにより設定することができる。ホストコンピュータ9は、リアルタイムシミュレータ1から演算結果など必要な情報を受容すると共に、パンタグラフ11に設けた接触力測定器3や変位測定器などの各種計測器から運動状態を示す情報が供給されて、架線・パンタグラフ系の運動状態を把握することができる。また、適宜なGUIを用いた入出力装置10を備えて、操作員への情報提供および操作員による制御介入が行えるようになっている。
さらに、リアルタイムシミュレータ1には関数発生器7が付帯されており、架線の力学モデルが演算の段階にしたがって変化するパラメータを含むときに、変化するパラメータの値をリアルタイムで調整することができる。
本実施形態の架線・パンタグラフ系の走行シミュレーション装置では、架線の力学モデルを構築して、対象とするパンタグラフを走行させたときの架線の運動をシミュレーションする。現在実用化されている架線には様々なタイプがあり、力学モデルは対象とする架線ごとに構築する必要がある。たとえば、新幹線のコンパウンド架線51(図1の上部の囲み内参照)においては、通常、約50mおきに設けられた電柱(支持点61)から吊架線が支持されており、吊架線から補助吊架線が約10mおきにドロッパで支持されている。さらに、補助吊架線からトロリ線53が約5mおきにハンガにより支持される。隣接する支持点61-1と支持点61-2の間隔を「径間」という。
このように、架線51には、支持点61やハンガ点の吊架位置などに起因する等価剛性の変動が存在し、周期的な構造特性を有する。したがって、パンタグラフ11が移動すると、その位置により、架線51の等価剛性が異なることになる。このため、パンタグラフ11の加振力を受ける架線51の力学モデルは、パンタグラフ11が架線51に沿って移動するのに伴って変化する剛性を表示するようなパラメータを含む。
本実施形態の架線・パンタグラフ系の走行シミュレーション装置では、図2に示すような、剛性が時間と共に変化するばねk(t)と、減衰cと、質量mからなり、質点に加振力fが作用する、1質点系の比較的小規模な架線モデルを用いても、目的によっては十分な精度を得ることができる。
このモデルのばねk(t)の時変剛性は、支持点やハンガの到来周期に起因する架線の等価剛性の変化を表している。なお、架線の剛性変化は、架線の構造に従ってパンタグラフが接する位置zに依存する位置関数k(z)となるが、シミュレーション演算においては、演算タイミングに対応する時間tの時点までにパンタグラフが移動した距離と関連した時間関数k(t)に置き換えることができる。
これら位置関数k(z)や時間関数k(t)は、ホストコンピュータ9に格納されている架線のモデルにしたがって、リアルタイムシミュレータ1の演算タイミングにパンタグラフが存在する位置における架線の時変剛性にもとづいたパラメータとして関数発生器7に指定することにより、リアルタイムシミュレータ1に取り込むことができる。
架線・パンタグラフ系の走行シミュレーションでは、パンタグラフ11のすり板13に発生する接触力が接触力測定器3により測定されて、演算タイミングごとにリアルタイムシミュレータ1に入力される。リアルタイムシミュレータ1は、架線の力学モデルに基づいて架線の運動をリアルタイムでシミュレーションする。シミュレーションにおいては、入力された接触力を加振力fとして架線のトロリ線に当たるモデル中の質量mに作用させ、演算結果の出力タイミングにおける質点tの変位xを算定する。
算定された質点tの変位xは、加振機アンプ6に与えられ、加振機5の駆動信号に変換された変位指令として加振機5に伝送される。加振機5は、変位指令に従った変位をすり板13に励起させる。このとき、すり板13に発生する接触力が接触力測定器3で測定されて、リアルタイムシミュレータ1に送られ、次のシミュレーション演算に使用される。この過程を繰り返すことで、パンタグラフの走行状態を摸擬する。
このように、計算結果を実時間と同じタイミングで出力するリアルタイムシミュレーションを実行することにより、加振機5があたかも架線であるように振る舞うようになり、実際のパンタグラフ11とリアルタイムシミュレーションで運動を摸擬した架線との間の運動状態が的確に再現される。
2. 長距離走行をHILSシステムで実現する手法
2.1 手法の概要
2.1.1 長大架線モデルの分割方法
本手法では、リアルタイムシミュレーションを実行不可能な長大架線モデルを、実行可能な小規模架線モデルに分割して、なおかつ連続的にパンタグラフが走行できるようにこれらの小規模架線モデルを連結する。リアルタイムシミュレーションを実行可能な小規模架線モデルはその径間長が4径間程度までだと考えられるため、本実施形態では小規模架線モデルを4径間モデルとする。
本手法のイメージを図3に示す。ここでは議論に一般性を持たせるため、径間長が可変の長大架線モデルを基にして説明する。本手法では図3に示すように長大架線モデルから小規模架線モデルを分割する。分割された各小規模架線モデルは、その線条(吊架線や補助吊架線)の両端(支持点の部位)を固定とする。なお、両端固定とせずに、部分構造合成法(長松昭男,モード解析,培風館(1985)参照)を用いて、小規模架線モデルの左右に接続される分系の動特性を接続点へ縮約することや、両端を無反射境界条件とする方法等を用いることもできる(Bjorn Engquist and Andrew Majda, Absorbing Boundary Conditions for the Numerical Simulation of Waves, Mathematics of computation, Vol.31, No.139, pp.62.9-651 (July 1977).参照)。
2.1.2. パンタグラフが隣接する小規模架線モデルへ移動する際の取扱い
図3に示すように、パンタグラフが小規模架線モデル#1(現小モデル)の第3径間へ進入したら、パンタグラフの着力点(接触点)fをモデル#1から隣接するモデル#2(隣接小モデル)へ移動させる。着力点の移動は次式で表される。なお、この例においては、小規模架線モデルは、径間長Nが4であるので、「N-j番目の径間」は、jを1にすると第3径間である。
Figure 0007029876000001


着力点の移動と同時に、モデル#1(現小モデル)の状態量(変位・速度)をモデル#2(隣接小モデル)へコピーする。このとき、モデル#2の第3径間と第4径間には振動が発生していないものと仮定し、第3径間と第4径間の状態量には初期値(パンタグラフが走行していない状態)を用いる。こうすることにより、パンタグラフの連続的な走行が模擬可能となる。ただし、着力点を移動させる箇所や、モデルの状態量をコピーする範囲、および状態量の初期値を適用する範囲(式2.6の右辺の第2項)は任意に設定することができる。
2.2 径間長が一定の場合
2.2.1 概要
径間長が一定の場合には、小規模架線モデルの構造は全て同じである。そのため、1つの小規模架線モデルをリアルタイムシミュレータ上に用意することでパンタグラフの長距離走行を模擬することができる。
2.2.2 線条(架線)のモデル化方法
ここでは非特許文献1に記されている従来の架線・パンタグラフ系HILS手法と同様に、架線のうちのちょう架線の運動方程式は物理座標上で、トロリ線の運動方程式はモード座標上でそれぞれ定義する。ちょう架線は両端が支持点で固定されており、パンタグラフとの接触は間接的であるので、モデルは比較的粗くても短時間シミュレーションにむいている物理座標としている。ただし長距離走行模擬手法は、物理座標・モード座標上のいずれによって定義されたモデルに対しても適用することができる。
2.2.3 状態量のコピー方法(モデルが物理座標上で定義される場合)
小規模架線モデル#iの状態量を小規模架線モデル#i+1の状態量へコピーする手順を以下に記す。
Figure 0007029876000002
上記手順は、数式を用いて以下のように表すことができる。
Figure 0007029876000003
2.2.4 状態量のコピー方法(モデルがモード座標上で定義される場合)
小規模架線モデル#iの状態量を小規模架線モデル#i+1の状態量へコピーする手順を以下に記す。
Figure 0007029876000004
上記手順は、数式を用いて以下のように表すことができる。
Figure 0007029876000005
Figure 0007029876000006
Figure 0007029876000007
Figure 0007029876000008
Figure 0007029876000009
Figure 0007029876000010
Figure 0007029876000011
Figure 0007029876000012
2.3 径間長が可変の場合
2.3.1 概要
互いに異なる構造を有する小規模架線モデルを使うことで、径間長が可変の場合の長距離走行を模擬することができる。この場合には、事前に複数の小規模架線モデルをリアルタイムシミュレータ上に用意することでパンタグラフの長距離走行を模擬する。
2.3.2 線条(架線)のモデル化方法
ここでは非特許文献1に記されている従来の架線・パンタグラフ系HILS手法と同様に、ちょう架線の運動方程式は物理座標上で、トロリ線の運動方程式はモード座標上でそれぞれ定義する。ただし長距離走行模擬手法は、物理座標・モード座標上のいずれによって定義されたモデルに対しても適用することができる。
2.3.3 状態量のコピー方法
Figure 0007029876000013
3. HILSシステムを模擬したシミュレーションによる検証
3.1. シミュレーション方法
次に、長距離走行を模擬したHILS試験をシミュレーション上に構築し、この模擬HILSシミュレーション結果と、別途実施する通常の架線・パンタグラフ系シミュレーション(Emulated system、以下ES)のシミュレーション結果を比較することで、長距離走行を模擬したHILS手法の妥当性を検証する。なお、ESは、パンタグラフモデルと架線モデルのみから構成され、架線の運動を実現するための加振装置やリアルタイムシミュレータを含まず、架線・パンタグラフモデルの数値計算はいずれも物理座標上で行われ、長距離走行模擬手法を用いない(もともと径間10個以上ある架線モデルとなっている)。
ここでは、一定径間長を有する架線と、可変径間長を有する架線のそれぞれに関するシミュレーション結果について述べる。ESシミュレーションに用いるパンタグラフのモデル及びパラメータを、図4に示す。パンタグラフの走行速度は300 km/hとする。架線のパラメータを表3.1に示す。
Figure 0007029876000014

トロリ線の運動方程式をモード座標上で定義する際に、一定の径間長を有する架線下の長距離走行を模擬するHILSでは、30 Hzまでの固有モードを用いる。一方、可変径間長を有する架線下の長距離走行を模擬するHILSでは、各小規模架線モデルにおいて100次までの固有モードを用いて運動方程式を定義する。ただし、100 次モードの固有振動数は約30 Hzに相当する。なお、ESにおいては架線の運動は物理座標上で定義する。
シミュレーションに用いる一定径間長を有する架線モデルを図5に示す。一定径間長を有する架線モデルは、径間長が50 mで径間数が10、総延長が500 mである。この長大架線から、4径間の小規模架線モデルを分割して作成する。
可変径間長を有する架線モデルを図6に示す。径間長は、平均が50 mで分散が3.5 m(標準偏差が1.87 m)の正規分布に従うものとする。径間数を12とし、シミュレーションはパンタグラフが500 m走行した時点で中止する。径間長の度数分布を図7に示す。
3.2 シミュレーション結果
一定径間長を有する架線モデルについて、シミュレーションから得られた時刻歴波形を図8に示す。長距離走行を模擬したHILSのシミュレーション結果は、上段の接触力、下段の舟体変位ともに、ESに概ね一致している。
次に、可変径間長を有する架線モデルについて、シミュレーション結果を図9に示す。本シミュレーションにおいても、ESと長距離走行を模擬したHILSの結果は、上段の接触力、下段の舟体変位ともに、概ね一致している。
4. 実験による検証
本願出願人のパンタグラフ加振試験装置を用いてHILSを実施した。ここでも、第3章「3. HILSシステムを模擬したシミュレーションによる検証」と同様に、ESに基づく集電系シミュレーションを行い、その結果を各図中に示す。本試験ではシングルアームパンタグラフが300 km/hで一定径間長架線を走行する状況をHILSで模擬する。このパンタグラフは図4に示すようにモデル化することができ、本章においても第3章と同様にこれらの力学モデルを用いてESを構成する。
HILS試験で得られた舟体変位と接触力の時刻歴波形を図10に示す。長距離走行を模擬したHILSのシミュレーション結果は、上段の接触力、下段の舟体変位ともに、ESに概ね一致している。本試験結果から、長距離走行模擬手法を用いたHILS試験によって、走行するパンタグラフと架線間の接触力と舟体変位を表現できることを確認できた。

Claims (4)

  1. パンタグラフに作用する加振機と、
    前記パンタグラフと前記加振機の間の接触力を測定する接触力測定器と、
    前記パンタグラフと摺動するトロリ線を含む架線の力学モデルを含むシミュレータと、
    を有する走行シミュレーション装置を用い、
    前記シミュレータは、前記接触力測定器から出力される接触力値をリアルタイムで入力され、該入力された接触力値と前記架線の力学モデルに基づいて、前記パンタグラフの仮想的な走行距離に応じて、前記トロリ線の変位をリアルタイムで算定し、
    該算定したトロリ線の変位に応じて前記加振機をリアルタイムで駆動し、
    リアルタイムシミュレーションを実行不可能な長大架線モデルを、実行可能な複数の小規模架線モデルに分割し、
    前記小規模架線モデル(小モデル)がN個の径間に亘るものであり、
    パンタグラフが、現小モデルのN-j番目の径間へ進入した時点で、パンタグラフの着力点(接触点)を現小モデルから隣接する次の小モデルへ移動させるとともに(ただしjは0≦j<Nであり、jの値は任意に決定してよい)、
    着力点の移動と同時に、現小モデルの状態量である変位及び速度を次小モデルへコピーすることにより、
    分割した複数の小規模架線モデルを、連続的にパンタグラフが走行できるようにすることを特徴とする架線・パンタグラフ系の走行シミュレーション方法。
  2. 前記架線の力学モデルが、前記トロリ線の運動方程式はモード座標上で、前記トロリ線を吊るちょう架線の運動方程式は物理座標上で、定義することを特徴とする請求項1記載の架線・パンタグラフ系の走行シミュレーション方法。
  3. 径間長が可変の場合のシミュレーションに対応して、前記複数の小規模架線モデルが、互いに異なる構造を有する複数の小規模架線モデルをリアルタイムシミュレータ上に用意することを特徴とする請求項1又は2記載の架線・パンタグラフ系の走行シミュレーション方法。
  4. パンタグラフに作用する加振機と、
    前記パンタグラフと前記加振機の間の接触力を測定する接触力測定器と、
    前記パンタグラフと摺動するトロリ線を含む架線の力学モデルを含むシミュレータと、
    を有する走行シミュレーション装置であって、
    前記シミュレータは、前記接触力測定器から出力される接触力値をリアルタイムで入力され、該入力された接触力値と前記架線の力学モデルに基づいて、前記パンタグラフの仮想的な走行距離に応じて、前記トロリ線の変位をリアルタイムで算定し、
    該算定したトロリ線の変位に応じて、前記加振機はリアルタイムで駆動され、
    リアルタイムシミュレーションを実行不可能な長大架線モデルを、実行可能な複数の小規模架線モデルに分割し、
    前記小規模架線モデル(小モデル)がN個の径間に亘るものであり、
    パンタグラフが、現小モデルのN-j番目の径間へ進入した時点で、パンタグラフの着力点(接触点)を現小モデルから隣接する次の小モデルへ移動させるとともに(ただしjは0≦j<Nであり、jの値は任意に決定してよい)、
    着力点の移動と同時に、現小モデルの状態量である変位及び速度を次小モデルへコピーすることにより、
    分割した複数の小規模架線モデルを、連続的にパンタグラフが走行できるようにされていることを特徴とする架線・パンタグラフ系の走行シミュレーション装置。
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