JP2016125229A - 構造物の損傷状態を推定する方法、プログラム及びシステム - Google Patents

構造物の損傷状態を推定する方法、プログラム及びシステム Download PDF

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Abstract

【課題】適時に且つ簡易に構造物の損傷状態を推定する。
【解決手段】構造物の損傷状態を推定する方法は、加速度センサが所定箇所に配置された橋梁を車両が走行する際に構造物の所定箇所に生ずる加速度を、加速度センサによって計測する第1の工程と、第1の工程で前記加速度センサから得られた加速度データに基づいて実変位データを取得する第2の工程と、仮想空間内において、車両を模した車両モデルに構造物を模し且つ剛性が所定の値に設定された構造物モデルを仮想的に走行させることにより、構造物モデルのうち所定箇所に対応する仮想位置に生ずる仮想変位を仮想変位データとして取得する第3の工程と、第2の工程で得られた実変位データと第3の工程で得られた仮想変位データとが近似しているか否かを判定する第4の工程とを含む。
【選択図】図4

Description

本開示は、構造物の損傷状態を推定する方法、プログラム及びシステムに関する。
橋梁等の大型の構造物は、建造から徐々に損傷し、年数を経て劣化していく。そのため、適時に損傷箇所を補修して、構造物の維持及び管理を図る必要がある。
構造物の損傷箇所を把握するための方法として現在主流であるのは、作業者が構造物の表面をハンマーで叩き、その音によって損傷状態を判断する打音検査である。この方法では、適切な判断のために検査作業者の熟練を要すると共に、多数存在する構造物(例えば橋梁に関していえば、本邦には70万以上の橋梁が存在する。)を人手で検査するのに限界がある。
そこで、特許文献1は、建造物の劣化及び/又は健全度を診断するためのシステムを開示している。特許文献1のシステムは、構造物の所定箇所に配置された複数の無線付きセンサと、当該センサによって計測されると共に当該センサから送信された情報を用いて、構造物全体の固有振動数を取得する取得手段と、取得手段によって求められた固有振動数と予め取得された健全時の構造物の固有振動数との比較により構造物全体に異常があるか否かを判定する判定手段とを備える。さらに、特許文献1は、判定手段によって構造物に異常があると判定された場合に、センサの測定結果からボード線図を求め、健全時の構造物のボード線図と異常があると判定された構造物のボード線図との比較に基づいて、亀裂箇所を特定する特定手段を備える。
特開2008−255571号公報
特許文献1に記載のシステムにおいては、損傷箇所を特定するために、以前のデータが必要であり、経時的あるいは定期的にデータを取得しておく必要がある。しかしながら、この場合、経時的あるいは定期的にデータを取得するのに手間がかかると共に、データの蓄積のために時間を要する。
そこで、本開示は、適時に且つ簡易に構造物の損傷状態を推定することが可能な方法、プログラム及びシステムを説明する。
本開示の一つの観点に係る構造物の損傷状態を推定する方法は、加速度センサが所定箇所に配置された構造物を車両が走行する際に構造物の所定箇所に生ずる加速度を、加速度センサによって計測する第1の工程と、第1の工程で加速度センサから得られた加速度データに基づいて実変位データを取得する第2の工程と、仮想空間内において、車両を模した車両モデルに構造物を模し且つ剛性が所定の値に設定された構造物モデルを仮想的に走行させることにより、構造物モデルのうち所定箇所に対応する仮想位置に生ずる仮想変位を仮想変位データとして取得する第3の工程と、第2の工程で得られた実変位データと第3の工程で得られた仮想変位データとが近似しているか否かを判定する第4の工程とを含む。
本開示の一つの観点に係る構造物の損傷状態を推定する方法では、構造物の所定箇所に生ずる加速度を加速度センサによって計測し、加速度センサから得られた加速度データに基づいて実変位データを取得している。加速度センサで計測された加速度データに基づき実変位データを取得する場合、変位センサを用いて実変位データを直接取得するよりも、構造物の振動状態が精度よく検出される。すなわち、構造物の所定箇所における車両走行時の変位(撓み)が精度よく得られる。そのため、第4の工程での判定の結果、仮想変位データが実変位データに近似している場合には、構造物モデルが現実の構造物を精度よく再現していると判断できる。従って、直接計測することができない現実の構造物の剛性を、構造物モデルの剛性から把握することができる。このように、本開示の一つの観点に係る構造物の損傷状態を推定する方法によれば、経時的にデータを蓄積することなく、構造物を車両が走行するだけで構造物の剛性を把握することができるので、適時に且つ簡易に構造物の損傷状態を推定することが可能となる。
第4の工程での判定の結果、近似していない場合には、構造物モデルの一部又は全部における剛性の設定値を変更する第5の工程をさらに含み、第5の工程において変更後の剛性の設定値を用いて第3及び第4の工程を再度実行してもよい。この場合、仮想変位データが実変位データに近似するまで、構造物モデルにおける剛性の設定値の変更が繰り返される。そのため、構造物モデルにおける剛性の設定値を、現実の構造物の剛性に極めて近づけることができる。従って、構造物の損傷状態をより精度よく推定することが可能となる。
構造物は、複数の橋脚と、複数の橋脚上に支持された上部構造とを備える橋梁であり、第5の工程では、第4の工程での判定の結果、近似していない場合には、構造物モデルの上部構造のうち橋脚寄りの第1の部分における剛性の設定値を構造物モデルの上部構造のうち第1の部分とは異なる第2の部分における剛性の設定値よりも小さく設定してもよい。現実の構造物の上部構造のうち橋脚近傍の第1の部分は、橋脚に支持されているので、上部構造の荷重を受ける。これに加え、橋梁が連続桁橋である場合には、車両が橋梁を通過する際に第1の部分に特に大きな力が加わりやすい。そのため、現実の構造物の第1の部分には、建造後長期間が経過したり、車両が橋梁を繰り返し通過したりすることにより、損傷が集中しやすい。従って、構造物モデルの第1の部分における剛性の設定値を、構造物モデルの第2の部分における剛性の設定値よりも小さく設定することにより、構造物モデルにおける剛性の設定値を、現実の構造物の剛性にさらに近づけることができる。その結果、現実の構造物の損傷状態をより精度よく推定することが可能となる。
構造物は、第1〜第4の橋脚と、第1及び第2の橋脚上に支持された第1の受け桁と、第3及び第4の橋脚上に支持された第2の受け桁と、第1及び第2の受け桁の間に位置し且つゲルバーヒンジを介して第1及び第2の受け桁上に支持された吊り桁とを備える、ゲルバー構造の橋梁であり、第1の受け桁は、吊り桁寄りの第1の橋脚から吊り桁側の端部に至るまで延びる第1の部分と、第1及び第2の橋脚の間において延びる第2の部分と、第1の橋脚から第2の部分に至るまで延びる第3の部分とを有し、第2の受け桁は、吊り桁寄りの第3の橋脚から吊り桁側の端部に至るまで延びる第4の部分と、第3及び第4の橋脚の間において延びる第5の部分と、第3の橋脚から第5の部分に至るまで延びる第6の部分とを有し、第5の工程では、第4の工程での判定の結果、近似していない場合には、構造物モデルの第3及び第6の部分における剛性の設定値を構造物モデルの第2及び第5の部分における剛性の設定値よりも小さく設定し、構造物モデルの第1及び第4の部分における剛性の設定値を構造物モデルの第3及び第6の部分における剛性の設定値よりも小さく設定してもよい。現実の構造物の上部構造のうち橋脚近傍の第1、第3、第4及び第6の部分は、橋脚に支持されているので、上部構造の荷重を受ける。これに加え、橋梁が連続桁橋である場合には、車両が橋梁を通過する際に第1、第3、第4及び第6の部分に特に大きな力が加わりやすい。そのため、現実の構造物の第1、第3、第4及び第6の部分には、建造後長期間が経過したり、車両が橋梁を繰り返し通過したりすることにより、損傷が集中しやすい。従って、構造物モデルの第1、第3、第4及び第6の部分における剛性の設定値を、構造物モデルの第2及び第5の部分における剛性の設定値よりも小さく設定することにより、構造物モデルにおける剛性の設定値を、現実の構造物の剛性にさらに近づけることができる。さらに、現実の構造物の上部構造のうち第1及び第4の部分は、ゲルバーヒンジを介して吊り桁を支持しているので吊り桁の荷重を受ける。加えて現実の構造物の上部構造のうち第1及び第4の部分は、吊り桁との隙間部分から雨等が浸入して溜まりやすいので、建造後長期間が経過して風雨にさらされることで浸食されやすい。そのため、現実の構造物の第1及び第4の部分には、特に損傷が集中しやすい。従って、構造物モデルの第1及び第4の部分における剛性の設定値を、構造物モデルの第3及び第6の部分における剛性の設定値よりも小さく設定することにより、構造物モデルにおける剛性の設定値を、現実の構造物の剛性にさらに近づけることができる。その結果、現実の構造物の損傷状態をより精度よく推定することが可能となる。
第4の工程では、第3の工程で得られた仮想変位データの極値が第2の工程で得られた実変位データの極値の±5%以内であるときに近似していると判定してもよい。この場合、変位の絶対値が大きくなりやすい極値において仮想変位データが実変位データに精度よく近似される。そのため、構造物モデルにおける剛性の設定値を、現実の構造物の剛性により精度よく近づけることができる。
第1の工程で得られた加速度データに基づいて構造物の固有振動数を求める第6の工程をさらに含み、第3の工程では、構造物モデルの固有振動数も求め、第4の工程では、第3及び第6の工程でそれぞれ得られた固有振動数同士が近似しているか否かも判定してもよい。この場合、仮想変位データと実変位データとの近似に加えて、現実の構造物と構造物モデルとにおいて固有振動数同士が近似しているか否かも判定される。そのため、構造物の損傷状態が複雑であっても、複数の観点から現実の構造物と構造物モデルとを比較することで、より精度よく構造物の損傷状態を推定することができる。
加速度センサはサーボ型加速度センサであってもよい。サーボ型加速度センサは、直線性及び分解能に優れ、広いダイナミックレンジを有し、加速度の検出精度が極めて高い。そのため、サーボ型加速度センサによれば、低周波数領域(例えば0.1Hz以下(10秒以下))の応答を高精度に検出することができる。車両が構造物上を走行する際に構造物に生じる変位は一般に0.001mm〜1mm程度と小さく、車両が構造物上を走行する際の変位の卓越周波数はv/2L(ここで、vは車両の走行速度であり、Lは対象構造物の長さである。)となることから、一般に0.2Hz〜2Hz程度の低周波成分が卓越する。従って、サーボ型加速度センサを用いることによって、構造物の振動状態を極めて精度よく検出できる。
第4の工程での判定の結果、近似している場合には、そのときの構造物モデルにおける剛性の設定値を、構造物に所定の損傷が生じていると仮定した場合における構造物の剛性の理論値と比較することにより、構造物の損傷の程度を推定してもよい。この場合、外観を目視により検査することでは確認できない損傷が構造物の内部に生じている場合でも、構造物の損傷の程度を推定することが可能となる。
本開示の他の観点に係る構造物の損傷状態を推定する方法は、第1〜第N(Nは2以上の自然数。)の加速度センサが第1〜第Nの箇所にそれぞれ配置された構造物を車両が走行する際に構造物の第1〜第Nの箇所に生ずる加速度を、第1〜第Nの加速度センサによってそれぞれ計測する第1の工程と、第1の工程で第1〜第Nの加速度センサからそれぞれ得られた第1〜第Nの加速度データに基づいて第1〜第Nの実変位データを取得する第2の工程と、仮想空間内において、車両を模した車両モデルに構造物を模し且つ剛性が所定の値に設定された構造物モデルを仮想的に走行させることにより、構造物モデルのうち第1〜第Nの箇所にそれぞれ対応する第1〜第Nの仮想位置に生じた仮想変位を第1〜第Nの仮想変位データとしてそれぞれ取得する第3の工程と、第2の工程で得られた第k(kは1〜Nの自然数。)の実変位データと第3の工程で得られた第kの仮想変位データとが近似しているか否かを全てのkについてそれぞれ判定する第4の工程とを含む。
本開示の他の観点に係る構造物の損傷状態を推定する方法では、上記の方法と同様に、適時に且つ簡易に構造物の損傷状態を推定することが可能となる。
本開示の他の観点に係る構造物の損傷状態を推定するプログラムは、コンピュータに、構造物を車両が走行する際に構造物の所定箇所に生ずる加速度を所定箇所に配置された加速度センサが計測することによって得られた加速度データに基づいて、所定箇所における実変位データを取得する第1の処理と、仮想空間内において、車両を模した車両モデルに構造物を模し且つ剛性が所定の値に設定された構造物モデルを仮想的に走行させることにより、構造物モデルのうち所定箇所に対応する仮想位置に生ずる仮想変位を仮想変位データとして取得する第2の処理と、第1の処理で得られた実変位データと第2の処理で得られた仮想変位データとが近似しているか否かを判定する第3の処理とを実行させる。
本開示の他の観点に係る構造物の損傷状態を推定するプログラムでは、上記の方法と同様に、適時に且つ簡易に構造物の損傷状態を推定することが可能となる。
本開示の他の観点に係る構造物の損傷状態を推定するシステムは、構造物の所定箇所に配置され、構造物を車両が走行する際に構造物の所定箇所に生ずる加速度を計測する加速度センサと、加速度センサから得られた加速度データに基づいて実変位データを取得する第1の取得手段と、仮想空間内において、車両を模した車両モデルに構造物を模し且つ剛性が所定の値に設定された構造物モデルを仮想的に走行させることにより、構造物モデルのうち所定箇所に対応する仮想位置に生ずる仮想変位を仮想変位データとして取得する第2の取得手段と、第1の取得手段が取得した実変位データと第2の取得手段が取得した仮想変位データとが近似しているか否かを判定する判定手段とを備える。
本開示の他の観点に係る構造物の損傷状態を推定するシステムでは、上記の方法と同様に、適時に且つ簡易に構造物の損傷状態を推定することが可能となる。
本開示に係る方法、プログラム及びシステムによれば、適時に且つ簡易に構造物の損傷状態を推定することが可能となる。
図1は、本実施形態に係る橋梁の損傷状態を推定するための推定システムを示す。 図2は、本実施形態に係る橋梁の損傷状態を推定するための推定システムの内部構成を概略的に示す。 図3は、橋梁の損傷状態の推定処理を説明するためのフローチャートである。 図4は、剛性の推定処理を説明するためのフローチャートである。 図5は、損傷程度の推定処理を説明するためのフローチャートである。 図6は、ゲルバー構造の橋梁を車両が走行する様子を示す。 図7は、図6のVII−VII線断面を示す。 図8は、橋梁をバスが走行したときに受け桁の中央位置に生ずる加速度の実験値を示す。 図9は、橋梁をバスが走行したときに受け桁の中央位置に生ずる変位の実験値を示す。 図10は、図8に示される加速度に基づいて得られたパワースペクトルを示す。 図11は、図8の実験値と、全体が健全状態(剛性の低下がない状態)に設定された橋梁モデルをバスモデルが走行したときに受け桁の中央位置に生ずる変位の解析値とを示す。 図12は、図8の実験値と、全体の剛性が健全状態よりも30%低く設定された橋梁モデルをバスモデルが走行したときに受け桁の中央位置に生ずる変位の解析値とを示す。 図13は、図8の実験値と、受け桁のうち径間中央1/4領域の剛性が健全状態に設定され且つ受け桁のうち他の領域の剛性が健全状態よりも30%低く設定されたときの橋梁モデルをバスモデルが走行したときに受け桁の中央位置に生ずる変位の解析値とを示す。 図14は、図8の実験値と、受け桁のうち径間中央1/2領域の剛性が健全状態に設定され且つ受け桁のうち他の領域の剛性が健全状態よりも30%低く設定されたときの橋梁モデルをバスモデルが走行したときに受け桁の中央位置に生ずる変位の解析値とを示す。 図15は、固有振動数の実験値及び解析値を示す。 図16(a)は、受け桁のうち径間中央1/2領域の剛性が健全状態に設定され且つ受け桁のうち他の領域の剛性が健全状態よりも30%低く設定されたときの橋梁モデルにおける計測位置(ゲルバーヒンジ近傍)を示し、図16(b)は、図16(a)の計測位置に生ずる変位の実験値及び解析値を示す。 図17(a)は、受け桁のうち径間中央1/2領域の剛性が健全状態に設定され且つ受け桁のうち他の領域の剛性が健全状態よりも30%低く設定されたときの橋梁モデルにおける計測位置(吊り桁中央部)を示し、図17(b)は、図17(a)の計測位置に生ずる変位の実験値及び解析値を示す。 図18(a)は、受け桁のうち径間中央1/2領域の剛性が健全状態に設定され、受け桁のうち橋脚から径間中央1/2領域までの領域の剛性が健全状態よりも30%低く設定され、且つ受け桁のうち橋脚から端部までの領域の剛性が健全状態よりも50%低く設定されたときの橋梁モデルにおける測計測位置(受け桁中央部)を示し、図18(b)は、図18(a)の計測位置に生ずる変位の実験値及び解析値を示す。 図19(a)は、受け桁のうち径間中央1/2領域の剛性が健全状態に設定され、受け桁のうち橋脚から径間中央1/2領域までの領域の剛性が健全状態よりも30%低く設定され、且つ受け桁のうち橋脚から端部までの領域の剛性が健全状態よりも50%低く設定されたときの橋梁モデルにおける計測位置(ゲルバーヒンジ近傍)を示し、図19(b)は、図19(a)の計測位置に生ずる変位の実験値及び解析値を示す。 図20(a)は、受け桁のうち径間中央1/2領域の剛性が健全状態に設定され、受け桁のうち橋脚から径間中央1/2領域までの領域の剛性が健全状態よりも30%低く設定され、且つ受け桁のうち橋脚から端部までの領域の剛性が健全状態よりも50%低く設定されたときの橋梁モデルにおける計測位置(吊り桁中央部)を示し、図20(b)は、図20(a)の計測位置に生ずる変位の実験値及び解析値を示す。
本発明の実施形態について図面を参照して説明するが、以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
[推定システムの構成]
まず、図1及び図2を参照して、橋梁の損傷状態を推定するための推定システム100の構成について説明する。推定システム100は、コンピュータ本体(推定装置)102と、表示領域104aに画像を表示するディスプレイ104と、加速度センサAMとを備える。推定システム100は、操作者がコンピュータ本体102に対して操作入力を行えるキーボードやマウス等の操作入力装置をさらに備えていてもよい。
コンピュータ本体102は、図2に示されるように、CPU(Central Processing Unit)102a、RAM(Random Access Memory)102b、ROM(Read Only Memory)102c、I/Oポート102d及び外部記憶装置(記憶手段)102eを有している。CPU102aは、ROM102cに記憶されているプログラムに従い、コンピュータ本体102に各種機能を実現させると共に、I/Oポート102dを介して他の構成要素との信号の入出力を行い、コンピュータ本体102全体の動作制御を行う。
RAM102bは、CPU102aが作動する際に用いるデータやプログラムを記憶する。ROM102cは、CPU102aが実行するプログラム(橋梁の損傷状態を推定するための推定プログラム)と、恒久的なデータを記憶している。
推定プログラムは、コンピュータ読取可能な記録媒体に記録して頒布することが可能である。本明細書において、コンピュータ読み取り可能な記録媒体には、一時的でない有形の媒体(non-transitory computer recording medium)(例えば、各種の主記憶装置又は補助記憶装置)や、伝播信号(transitory computer recording medium)(例えば、ネットワークを介して提供可能なデータ信号)が含まれる。一時的でない有形の媒体としては、例えば、磁気媒体(ハードディスク、フレキシブルディスク等)、光学媒体(CR−ROM、DVD−ROM、BD−ROM等)、磁気光学媒体(MOディスク等)、又はプログラム命令を実行または格納するように特別に配置されたその他のハードウェアデバイス(RAM、ROM、半導体不揮発性メモリ等)が挙げられる。
当該記録媒体からの推定プログラムの読み取り又は実行のために、必要に応じて、記録媒体から推定プログラムを読み取る記録媒体読取用のドライブ(例えば、フレキシブルディスクドライブ)が、I/Oポート102dを介してCPU102aに対して接続されていてもよい。当該ドライブは、コンピュータ本体102内に内蔵されていてもよいし、コンピュータ本体102とは別体であってもよい。当該ドライブがコンピュータ本体102とは別体の場合には、当該ドライブは、コンピュータ本体102の外部に位置しており、信号線を介してコンピュータ本体102のI/Oポート102dと接続される。
外部記憶装置102eは、I/Oポート102dを介してCPU102aに接続されている。外部記憶装置102eは、橋梁の設計データ、車両のデータ、橋梁モデルのデータ、車両モデルのデータ、加速度センサAMから入力された加速度データ等の必要なデータの保持に用いられる。
ディスプレイ104は、I/Oポート102dを介してCPU102aに接続されており、CPU102aの指示に基づき所定の画像を表示領域104aに表示する。ディスプレイ104は、コンピュータ本体102と一体化されていてもよい。
加速度センサAMは、測定対象物に取り付けられることにより、当該測定対象物の加速度を検出するセンサである。加速度センサAMは、図1に示されるように、測定した加速度を加速度データとしてコンピュータ本体102に送信する。加速度データを加速度センサAMからコンピュータ本体102に送信する方式としては、有線による通信でもよいし、無線による通信でもよい。この場合、測定直後に加速度データが送信されてもよいし、所定期間の経過後又は所定量の加速度データが蓄積された後、定期的又は不定期的に加速度データが送信されてもよい。あるいは、加速度センサAMが測定した加速度データを記録可能な記録媒体が加速度センサに内蔵されており、加速度センサAMがコンピュータ本体102に直接又は間接に接続されたときに、当該記録媒体に記録されている加速度データがコンピュータ本体102に送信されてもよい。
本実施形態においては、種々の形式の加速度センサAMを用いることができるが、加速度センサAMとしてサーボ型加速度センサを用いると特に好ましい。サーボ型加速度センサは、例えば、可動部(振り子)と、可動部の位置を検出するための検出部と、可動部を駆動するための駆動部(電磁コイル)と、これらを内部に収容する筐体とを備える。サーボ型加速度センサに外力が付与されて加速度が生ずると、可動部は所定位置からずれるが、検出器で検出された可動部のずれ量を打ち消すように駆動部が可動部を駆動する。そのため、可動部は、筐体内において静止状態が保たれる。サーボ型加速度センサでは、このときに駆動部が可動部に付与した力に基づいて、サーボ型加速度センサに生じた加速度を取得する。サーボ型加速度センサは、直線性及び分解能に優れ、広いダイナミックレンジを有し、加速度の検出精度が極めて高い。そのため、サーボ型加速度センサによれば、低周波数領域(例えば0.1Hz以下(10秒以下))の応答を高精度に検出することができる。自身よりもはるかに大きな橋梁1を車両Vが走行するとき、橋梁1に生ずる変位は僅かであるので、橋梁1に生ずる加速度においては低周波成分が卓越する。従って、サーボ型加速度センサを用いることによって、橋梁1の振動状態を極めて精度よく検出できる。なお、加速度センサAMのノイズ密度は、500ngrms/√Hz以下であってもよいし、400ngrms/√Hz以下であってもよいし、300ngrms/√Hz以下であってもよい。
[推定処理]
続いて、図3〜図7を参照して、推定システム100において推定プログラムにより実行される、橋梁の損傷状態の推定処理について説明する。損傷状態の推定処理は、図3に示されるように、剛性の推定処理(ステップS1)と、損傷程度の推定処理(ステップS2)とを含む。
次に、剛性の推定処理について、図4を参照して説明する。まず、振動計測実験を実施する(ステップS10)。この振動計測実験は、図6に示されるように、現実の橋梁1上を車両Vが走行することによって行われる。橋梁1は、河川、海、渓谷、他の構造物等の上方に架け渡され、その端部間の交通を可能にする構造物である。橋梁1は、複数の橋脚2と、橋脚2によって支持される上部構造3とを備える。本実施形態では、橋梁1がゲルバー構造を呈している。なお、図6は、橋梁1の一部を示している。
複数の橋脚2は、橋梁1の延びる方向(図6の左右方向)に沿って一列に並んでいる。図6には複数の橋脚2のうち6本が示されている。以下では、この6本の橋脚2を、図6の左側から順に橋脚2A〜2Fと呼ぶこととする。
上部構造3は、複数の受け桁4と、複数の吊り桁5と、図示しない支承とを有する。複数の受け桁4と、複数の吊り桁5とは、橋梁1の延びる方向に沿って交互に並んでいる。隣り合う受け桁4と吊り桁5とは一体化されていない。これらの受け桁4及び吊り桁5はそれぞれ、図7に示されるように、床板4a,5aと、床板4a,5aの下面に設けられ橋梁1の延在方向に延びる主桁4b,5bと、床板4a,5aの上面に設けられ橋梁1の延在方向に延びる高欄4c,5cとを有する。これらの受け桁4及び吊り桁5により、車両や人が通行可能な通路が構成されている。図6には、複数の受け桁4のうち3つが示されており、複数の吊り桁5のうち2つが示されている。以下では、この3つの受け桁4を、図6の左から順に受け桁4A〜4Cと呼ぶこととし、この2つの吊り桁5を、図6の左から順に吊り桁5A,5Bと呼ぶこととする。
受け桁4Aは、受け桁4Aと橋脚2A,2Bとの間にそれぞれ位置する支承を介して、橋脚2A,2B上に支持されている。受け桁4Aは、橋脚2A,2B間において延びる部分4Aと、橋脚2A,2Bから端部に至るまで延びる一対の部分4Aと、部分4A,4Aの間において延びる一対の部分4Aとを含む。
受け桁4Bは、受け桁4Bと橋脚2C,2Dとの間にそれぞれ位置する支承を介して、橋脚2C,2D上に支持されている。受け桁4Bは、橋脚2C,2D間において延びる部分4Bと、橋脚2C,2Dから端部に至るまで延びる一対の部分4Bと、部分4B,4Bの間において延びる一対の部分4Bとを含む。
受け桁4Cは、受け桁4Cと橋脚2E,2Fとの間にそれぞれ位置する支承を介して、橋脚2E,2F上に支持されている。受け桁4Cは、橋脚2E,2F間において延びる部分4Cと、橋脚2E,2Fから端部に至るまで延びる一対の部分4Cと、部分4C,4Cの間において延びる一対の部分4Cとを含む。
吊り桁5Aは、吊り桁5Aと受け桁4A,4Bとの間にそれぞれ位置する支承(ゲルバーヒンジ)を介して、受け桁4A,4B上に支持されている。吊り桁5Bは、吊り桁5Bと受け桁4B,4Cとの間にそれぞれ位置する支承(ゲルバーヒンジ)を介して、受け桁4B,4C上に支持されている。
受け桁4Bの中央部には、加速度センサAM(以下、加速度センサAM1と呼ぶ。)が取り付けられている。受け桁4Bと吊り桁5Bとの間に位置する支承(ゲルバーヒンジ)の近傍には、加速度センサAM(以下、加速度センサAM2と呼ぶ。)が取り付けられている。吊り桁5Bの中央部には、加速度センサAM(以下、加速度センサAM3と呼ぶ。)が取り付けられている。加速度センサAM1〜AM3は、車両Vが橋梁1上(上部構造3上)を走行する際に取り付け位置に生ずる加速度を計測する。加速度センサAM1〜AM3の取り付け位置に特に制限はないが、設置の容易性に鑑みると床板4a,5aの上面に固定すると好ましい。
振動計測実験に用いられる車両Vとしては、例えば自動車、鉄道車両等の所定の重量を有する車両が挙げられる。車両Vの重量は、橋梁1の大きさや構造に応じて適宜設定してよい。車両Vの重量は、車両Vが橋梁1を走行したときに加速度センサAM(AM1〜AM3)が検出可能な程度の振動を橋梁1に生じさせることができれば、特に制限されない。車両Vの重量が大きいほど、車両Vが橋梁1を走行したときに橋梁1に振動が生じやすくなるため好ましい。ただし、車両Vの重量が大きくなりすぎると橋梁1に損傷を与える虞があるため、車両Vの重量は橋梁1が支持可能な大きさを超えないことが好ましい。車両Vの重量は、例えば橋梁1が一般的な道路橋である場合には10000kg〜40000kg程度であってもよいし、例えば橋梁1が一般的な鉄道橋である場合には鉄道車両1つあたり30000kg〜50000kg程度であってもよい。
振動計測実験では、車両Vを所定速度で橋梁1上(上部構造3上)を走行させ、少なくとも一つの加速度センサAM(加速度センサAM1〜AM3のいずれか1つ以上)により加速度を検出する。車両Vは、橋梁1(上部構造3)のうち全部を走行してもよいし、一部を走行してもよい。車両Vが橋梁1(上部構造3)の一部を走行する場合には、橋梁1が単純桁橋であるときは少なくとも1スパン(隣り合う橋脚間の距離であり1径間ともいう。)を車両Vが走行すればよく、橋梁1が連続桁橋であるときは加速度センサAMが取り付けられた桁及びその両隣の桁を少なくとも車両Vが走行すればよい。
車両Vの走行速度は、略一定でもよいし、変化してもよい。車両Vの走行速度が略一定であると、走行速度が変化する場合と比較して、コンピュータ上でシミュレーションを行う際に車両モデルの速度を設定しやすくなる(コンピュータ上でのシミュレーションについて詳しくは後述する)。車両Vの走行速度は特に限定されないが、加速度センサAMのサンプリング周波数(単位時間あたりの加速度センサAMによる加速度データの取得数)に上限があるため、走行速度が速すぎる場合にはサンプル数が少なくなり、橋梁1に生ずる加速度の検出精度が低くなりやすい傾向にあり、走行速度が遅すぎる場合には橋梁1がほとんど振動しないか、極めて低い周波数で振動するため、加速度センサAMが振動を検出し難くなる傾向にある。車両Vの走行速度は、車両Vが自動車である場合には例えば20km/h〜60km/h程度であってもよいし、車両Vが鉄道車両である場合には80km/h〜300km/h程度であってもよい。
続いて、加速度センサAMによって検出された加速度データが、コンピュータ本体102に送信される。これにより、コンピュータ本体102が加速度データを取得する(ステップS11)。このとき、コンピュータ本体102(I/Oポート102d及び外部記憶装置102e)が、加速度データの取得手段として動作する。
続いて、コンピュータ本体102が加速度データから実変位データを取得する(ステップS12)。このとき、コンピュータ本体102(CPU102a)が、実変位データの取得手段として動作する。加速度データから実変位データを取得するための手法としては、例えば、加速度データを時間領域において基線補正を行いながら2階積分を行う手法や、周波数領域においてバンドパスフィルタを用いつつ2階積分を行う手法が挙げられる。バンドパスフィルタは、例えば、ノイズ成分が卓越する0.1Hz以下の周波数をカットしてもよい。
続いて、コンピュータ本体102が加速度データから、実験値としての固有振動数を算出する(ステップS13)。このとき、コンピュータ本体102(CPU102a)が、実験値としての固有振動数の取得手段として動作する。加速度データから固有振動数を算出するための手法としては、例えば、修正ピリオドグラム法(ウェルチ法)が挙げられる。修正ピリオドグラム法では、確率的に発生するノイズを含む計測データから、所定のテーパー(例えば、ハミング・テーパー、ハニング・テーパー)を用いてノイズを除去する処理を行っている。これにより、加速度データから得られるパワースペクトルが平滑化され、加速度データにおける卓越振動数の識別が容易となる。
続いて、コンピュータ本体102上において、振動シミュレーションを実施する(ステップS14)。具体的には、コンピュータ本体102の仮想空間内において、現実の橋梁1を模した橋梁モデル1M(図1参照)を構成する。橋梁モデル1Mは、ソリッド要素により橋梁1がモデル化されたものであってもよいし、はり要素により橋梁1がモデル化されたものであってもよい。このとき、橋梁モデル1Mには、橋梁1の断面(図7参照)に基づいて得られる断面二次モーメントIと、橋梁1の建設当時の設計基準に基づいて得られるコンクリートの弾性係数Eと、曲げ剛性EIとが設定される。なお、設計基準としては、例えば、コンクリート標準示方書、道路橋示方書などが挙げられる。これにより、建設当時の橋梁1(すなわち、健全時の橋梁1)を模した橋梁モデル1Mが得られる。
続いて、コンピュータ本体102の仮想空間内において、現実の車両Vを模した車両モデル(図示せず)を構成する。車両モデルは、例えば、一つの質点であってもよいし、重心位置を考慮しつつ、ばね要素及びダンパー(ダッシュポット)を用いてモデル化されていてもよい。なお、車両モデルのばね定数等については、現実の車両Vに関して所定の実験を行うことで求めもよい(例えば、矢部明人、「路線バスを利用した既存橋梁の変状検知システムの開発に関する基礎的研究」、山口大学学位論文、理工博甲第556号参照)。
続いて、コンピュータ本体102の仮想空間内において、車両モデルに橋梁モデル1Mを仮想的に走行させることにより、仮想変位データを算出する(ステップS15)。このとき、コンピュータ本体102(CPU102a)が、仮想変位データの取得手段として動作する。具体的には、コンピュータ本体102の仮想空間内において、車両モデルが橋梁モデル1Mを仮想的に走行した結果、橋梁モデル1Mの所定箇所に生ずる仮想変位を仮想変位データとして取得する。当該所定箇所は、現実の橋梁1における加速度センサAMの設置位置に対応している。
続いて、コンピュータ本体102が、解析値としての固有振動数を算出する(ステップS16)。このとき、コンピュータ本体102(CPU102a)が、解析値としての固有振動数の取得手段として動作する。固有振動数の解析値は、具体的には以下のように求められる。まず、ラグランジェの運動方程式より、[M]を質量マトリクス、[K]を剛性マトリクス、{x}を変位ベクトルとすると、減衰のない多自由度系の自由振動の運動方程式(式1)が得られる。
Figure 2016125229

固有ベクトル{u}を用いると、式1の解は
Figure 2016125229

とおくことができる。式2を式1に代入すると、任意時刻において
Figure 2016125229

が成り立つ必要があるので、式3が有意な解を持つための条件は
Figure 2016125229

となる。そうすると、式4を満足するω(固有値)を求めることにより、式5からi(iは自然数)次の固有振動数fを算出することができる。
Figure 2016125229
続いて、コンピュータ本体102が、実変位データと仮想変位データとが近似しているか否かを判定する(ステップS17)。このとき、コンピュータ本体102(CPU102a)が、実変位データと仮想変位データとが近似しているか否かの判定手段として動作する。具体的には、コンピュータ本体102は、実変位データと仮想変位データとを比較した結果、仮想変位データを実変位データで除算した値が所定範囲内にあるときに両者が近似していると判定し(ステップS17でYES)、ステップS18の処理に進む。一方、コンピュータ本体102は、実変位データと仮想変位データとを比較した結果、仮想変位データを実変位データで除算した値が所定範囲内にないときに両者が近似していないと判定し(ステップS17でNO)、ステップS19の処理に進む。当該判定にあたっては、少なくとも仮想変位データの極値と実変位データの極値とを比較すればよいが、全てのデータについて比較してもよい。所定範囲内とは、例えば、95%〜105%であってもよいし、97%〜103%であってもよいし、98%〜102%であってもよい。従って、極値同士を比較する際は、コンピュータ本体102は、仮想変位データの極値が実変位データの極値の±5%以内であるときに両者が近似していると判定してもよい。この場合、変位の絶対値が大きくなりやすい極値において仮想変位データが実変位データに精度よく近似される。そのため、橋梁モデル1Mにおける曲げ剛性EIの設定値を、現実の橋梁1の曲げ剛性により精度よく近づけることができる。
続いて、コンピュータ本体102が、固有振動数の実験値と解析値とが近似しているか否かを判定する(ステップS18)。このとき、コンピュータ本体102(CPU102a)が、固有振動数の実験値と解析値とが近似しているか否かの判定手段として動作する。具体的には、コンピュータ本体102は、固有振動数の実験値と解析値とを比較した結果、固有振動数の解析値を固有振動数の実験値で除算した値が所定範囲内にあるときに両者が近似していると判定し(ステップS18でYES)、剛性の推定処理を終了する。これにより、現実の橋梁1が、橋梁モデル1Mに設定された曲げ剛性EIを有していると推定される。一方、コンピュータ本体102は、固有振動数の実験値と解析値とを比較した結果、固有振動数の解析値を固有振動数の実験値で除算した値が所定範囲内にないときに両者が近似していないと判定し(ステップS18でNO)、ステップS19の処理に進む。解析値としての固有振動数fのうち偶数次の値は逆対象モードでの固有振動数であり、現実の橋梁1には生じ得ないので、当該判定にあたっては、解析値としての固有振動数fのうち奇数次の値と、実験値としての固有振動数とを比較する。所定範囲内とは、例えば、95%〜105%であってもよいし、97%〜103%であってもよいし、97.5%〜102.5%であってもよいし、98%〜102%であってもよい。従って、固有振動数の実験値と解析値とを比較する際は、コンピュータ本体102は、固有振動数の解析値が固有振動数の実験値の±5%以内であるときに両者が近似していると判定してもよい。この場合、仮想変位データと実変位データとの近似に加えて、現実の橋梁1と橋梁モデル1Mとにおいて固有振動数同士が近似しているか否かも判定される。そのため、橋梁1の損傷状態が複雑であっても、複数の観点から現実の橋梁1と橋梁モデル1Mとを比較することで、より精度よく橋梁1の損傷状態を推定することができる。
ステップS17又はステップS18でNOと判定された場合、ステップS19に進み、コンピュータ本体102が、橋梁モデル1Mに設定されている曲げ剛性EIの値を変更する(ステップS19)。このとき、コンピュータ本体102(CPU102a)が、橋梁モデル1Mにおける曲げ剛性EIの設定値の変更手段として動作する。なお、ステップS19では、橋梁モデル1Mの一部における曲げ剛性EIの設定値を変更してもよいし、橋梁モデル1Mの全部における曲げ剛性EIの設定値を変更してもよい。
ところで、ステップS17又はステップS18でNOと判定された場合には、橋梁モデル1Mの曲げ剛性EIが現実の橋梁1の曲げ剛性EIとは異なっており、橋梁モデル1Mが現実の橋梁1を再現していないこととなる。橋梁モデル1Mに当初設定される曲げ剛性EIの値は、現実の橋梁1が健全である場合の値であるので、両者の曲げ剛性EIが異なっているということは、現実の橋梁1に損傷が生じており曲げ剛性EIが低下しているものと推定される。従って、ステップS19では、橋梁モデル1Mの曲げ剛性EIの値が当初の値よりも小さくなるように、橋梁モデル1Mに設定されている曲げ剛性EIの値を変更する。
ステップS19において曲げ剛性EIの設定値が変更されると、ステップS14に戻る。その後、実変位データと仮想変位データとが近似し、且つ、固有振動数の実験値と解析値とが近似するまで、ステップS14〜S19が繰り返される。すなわち、剛性の推定処理では、橋梁モデル1Mが現実の橋梁1を再現するまで、橋梁モデル1Mの曲げ剛性EIの設定値を変更する処理が繰り返し行われる。
次に、損傷程度の推定処理について、図5を参照して説明する。まず、橋梁1(上部構造3)における曲げ剛性EI及び骨格曲線(曲率φに対する曲げモーメントMの大きさを示す曲線)の理論値を算出する(ステップS20)。このとき、橋梁1(上部構造3)が健全であると仮定したときの理論値、又は橋梁1(上部構造3)に所定の損傷が生じていると仮定したときの理論値を算出する。この仮定条件としては、上部構造3が鉄筋コンクリート製である場合には、例えばコンクリートのひび割れの程度、鉄筋(主筋)の破断本数等が挙げられる。ステップS20では、コンクリートのひび割れの仮定量と鉄筋(主筋)の仮定破断本数とをそれぞれパラメータとして種々変化させることにより、様々な損傷程度を有する橋梁1(上部構造3)についてそれぞれ理論値を算出してもよい。一方、ステップS20では、所定の一つの損傷程度を有する橋梁1(上部構造3)についてだけ理論値を算出してもよい。この場合、車両Vの通行規制をすべき程度に橋梁1が損傷していること(例えば、主筋が1本破断していること)を仮定条件としてもよい。なお、橋梁1(上部構造3)が健全であると仮定したときの理論値は、橋梁1の建設当時の設計基準に基づいて求めてもよい。設計基準としては、例えば、コンクリート標準示方書、道路橋示方書などが挙げられる。
なお、曲げモーメントMの理論値は、yを橋桁断面の中立軸から任意の点までの距離、σを当該任意の点における応力度とすると、式6において曲率φを増減させることにより得られる。また、曲げ剛性EIの理論値は、式7から得られる。
Figure 2016125229

Figure 2016125229
続いて、コンピュータ本体102が、剛性の推定処理において得られた橋梁モデル1Mの曲げ剛性EIに応じて現実の橋梁1の損傷程度を評価する(ステップS21)。このとき、コンピュータ本体102(CPU102a)が、現実の橋梁1の損傷程度を評価する評価手段として動作する。具体的には、剛性の推定処理において得られた橋梁モデル1Mの曲げ剛性EIを、ステップS20において算出した曲げ剛性EIの理論値と比較することにより、曲げ剛性EIの理論値において仮定した程度の損傷が現実の橋梁1に生じていると推定する。また、そのときの骨格曲線の理論値における最大耐力と、健全時の橋梁1の最大耐力との差から、余剰耐力を推定する。以上により、損傷程度の推定処理を終了する。
[作用]
以上のような本実施形態では、橋梁1の所定箇所に生ずる加速度を加速度センサAMによって計測し、加速度センサAMから得られた加速度データに基づいて実変位データを取得している。加速度センサAMで計測された加速度データに基づき実変位データを取得する場合、変位センサを用いて実変位データを直接取得するよりも、橋梁1の振動状態が精度よく検出される。すなわち、橋梁1の所定箇所における車両V走行時の変位(撓み)が精度よく得られる。そのため、仮想変位データが実変位データに近似していると判定される場合には、橋梁モデル1Mが現実の橋梁1を精度よく再現していると判断できる。従って、橋梁モデル1Mに設定された曲げ剛性が推定されると、直接計測することができない橋梁1の曲げ剛性を、橋梁モデル1Mの曲げ剛性から把握することができる。このように、本実施形態によれば、経時的にデータを蓄積することなく、橋梁1を車両Vが走行するだけで橋梁1の曲げ剛性を把握することができるので、適時に且つ簡易に橋梁1の損傷状態を推定することが可能となる。
本実施形態では、剛性の推定処理において得られた橋梁モデル1Mの曲げ剛性EIを、ステップS20において算出した曲げ剛性EIの理論値と比較することにより、橋梁1の損傷の程度を推定している。この場合、外観を目視により検査することでは確認が困難な損傷が橋梁1の内部に生じている場合でも、橋梁1の損傷の程度を推定することが可能となる。
[他の実施形態]
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の要旨の範囲内で種々の変形を上記の実施形態に加えてもよい。例えば、上記の実施形態では構造物の一例として橋梁1の損傷状態を推定したが、車両Vが走行することができれば橋梁1以外の他の構造物の損傷状態を推定することもできる。損傷状態を推定する対象となる構造物が鉄筋コンクリート製であると、上記の実施形態の推定方法により構造物の損傷状態を極めて精度よく推定することができるため特に好ましい。
橋梁1(構造物)に取り付けられる加速度センサAMの数は、一つであってもよいし、複数であってもよい。すなわち、加速度センサAMによる橋梁1(構造物)の加速度の測定箇所は、一箇所であってもよいし、複数箇所であってもよい。加速度センサAMを一つだけ用いる場合には、車両Vによる振動計測実験を一回行うたびに、加速度センサAMを異なる箇所に取り付けることで、複数箇所における橋梁1(構造物)の加速度を測定してもよい。
ステップS19では、橋梁モデル1Mの上部構造3のうち橋脚2寄りの部分4A,4A,4B,4B,4C,4Cにおける曲げ剛性EIの設定値を、橋梁モデル1Mの上部構造の部分4A,4B,4Cにおける曲げ剛性EIの設定値よりも小さく設定してもよい。現実の橋梁1の上部構造3のうち橋脚2近傍の部分4A,4A,4B,4B,4C,4Cは、橋脚2に支持されているので、上部構造3の荷重を受ける。これに加え、橋梁1が連続桁橋である場合には、車両Vが橋梁1を通過する際に部分4A,4A,4B,4B,4C,4Cに特に大きな力が加わりやすい。そのため、現実の橋梁1の部分4A,4A,4B,4B,4C,4Cには、建造後長期間が経過したり、車両Vが橋梁1を繰り返し通過したりすることにより、損傷が集中しやすい。従って、橋梁モデル1Mの部分4A,4A,4B,4B,4C,4Cにおける曲げ剛性EIの設定値を、橋梁モデル1Mの部分4A,4B,4Cにおける曲げ剛性EIの設定値よりも小さく設定することにより、橋梁モデル1Mにおける曲げ剛性EIの設定値を、現実の橋梁1の曲げ剛性EIにさらに近づけることができる。その結果、現実の橋梁1の損傷状態をより精度よく推定することが可能となる。
ステップS19では、橋梁モデル1Mの部分4A,4A,4B,4B,4C,4Cにおける曲げ剛性EIの設定値を橋梁モデル1Mの部分4A,4B,4Cにおける曲げ剛性EIの設定値よりも小さく設定し、且つ、橋梁モデル1Mの部分4A,4B,4Cにおける曲げ剛性EIの設定値を橋梁モデル1Mの部分4A,4B,4Cにおける曲げ剛性EIの設定値よりも小さく設定してもよい。現実の橋梁1の上部構造3のうち部分4A,4B,4Cは、支承(ゲルバーヒンジ)を介して吊り桁5を支持しているので吊り桁5の荷重を受ける。加えて現実の橋梁1の上部構造3のうち部分4A,4B,4Cは、吊り桁5との隙間部分から雨等が浸入して溜まりやすいので、建造後長期間が経過して風雨にさらされることで浸食されやすい。そのため、現実の橋梁1の部分4A,4B,4Cには、特に損傷が集中しやすい。従って、橋梁モデル1Mの部分4A,4B,4Cにおける曲げ剛性EIの設定値を、橋梁モデル1Mの部分4A,4B,4Cにおける曲げ剛性EIの設定値よりも小さく設定することにより、橋梁モデル1Mにおける曲げ剛性EIの設定値を、現実の橋梁1の曲げ剛性EIにさらに近づけることができる。その結果、現実の橋梁1の損傷状態をより精度よく推定することが可能となる。
以下に実施例を挙げて本発明の内容をより詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
実施例では、山口県玖珂郡和木町と広島県大竹市とを結ぶ旧・栄橋(本願出願日時点で撤去済)を対象にして、損傷状態の推定処理を行った。まず、栄橋の振動計測実験を行った。栄橋は、国道二号線の小瀬川の河口付近に架設されたゲルバー構造の橋梁である。栄橋の詳細を以下に示す。なお、栄橋も実施形態における橋梁1もゲルバー構造であるため、以下では、栄橋の説明のために実施形態の橋梁1における符号を用いる場合がある。
起終点:広島県大竹市南栄二丁目〜山口県玖珂郡和木町和木五丁目
橋梁形式:受け桁と吊り桁とが交互に並ぶゲルバー構造の8径間連続高架橋(鉄筋コンクリート製)
竣工年:昭和17年3月
橋長:168.29m
幅員:11m
1スパン:22.2m
受け桁長:31.8m
受け桁のうち橋脚から端部までの長さ:両端側共に4.8m
吊り桁長:12.6m
栄橋の上部構造の上面であって、図6に示されるのと同等の位置に、加速度センサAM1〜AM3を設置した。すなわち、第4径間における受け桁(受け桁4B)の中央部に加速度センサAM1を取り付け、第4径間における受け桁(受け桁4B)と第5径間における吊り桁(吊り桁5B)との間に位置する支承の近傍に加速度センサAM2を取り付け、第5径間における吊り桁(吊り桁5B)の中央部に加速度センサAM3を取り付けた。加速度センサAM1〜AM3としては、COLIBRYS社製のサーボ型加速度センサSF3000L(10Hz〜1000Hzにおけるノイズ密度:300ngrms/√Hz)を用いた。
振動計測実験に用いる車両として、一般的な観光バスを用いた。当該バスの詳細を以下に示す。
総重量:約15000kgf(約150kN)
全長:6.5m
重心位置:後端から2.17m
実験時の走行速度:略30km/h
以上のような条件のもとで、栄橋の広島側から山口側にバスを走行させた。このときに加速度センサAM1において得られた加速度データを図8に示す。図8における符号Aは、図6の符号Aに対応しており、図6の符号Aの位置(受け桁4Bと吊り桁5Aとの境界位置)をバスが通過するときに、加速度センサAM1の設置位置(受け桁4Bの中央部)に生じた加速度を示している。図8における符号B〜Eについても同様である。すなわち、図8は、バスが加速度センサAM1に徐々に近づいた後に遠ざかっていくときの時間経過に応じて測定された加速度を示している。
次に、加速度センサAM1により得られた加速度データを、周波数領域においてバンドパスフィルタを用いつつ2階積分することにより、加速度データから実変位データを取得した。取得した実変位データを図9に示す。図9における符号A〜Eも、図8における符号A〜Eに対応している。図9によれば、以下の事実が理解される。
・バスが受け桁4Aから受け桁4Bに近づくにつれて、受け桁4Bの中央部の変位が0mmから鉛直上方向に徐々に大きくなった。
・バスが橋脚2Cを通過した後は、受け桁4Bの中央部の変位が鉛直下方向に徐々に小さくなった。
・バスが受け桁4Bの中央部に到達したときに、受け桁4Bの中央部の変位が鉛直下方向に最も大きくなった。
・バスが受け桁4Bの中央部を経過した後は、受け桁4Bの中央部の変位が鉛直下方向に徐々に大きくなった。
・バスが受け桁4Bと吊り桁5Bとの境界位置を通過した後は、受け桁4Bの中央部の変位が鉛直下方向に徐々に小さくなり0mmに近づいていった。
次に、加速度センサAM1により得られた加速度データを修正ピリオドグラム法によって処理してパワースペクトル(エネルギースペクトル密度)を算出した。算出したパワースペクトルを図10に示す。図10に示されるように、3.6Hz、4.6Hz、9.44Hz、及び13.76Hzにおいて応答が卓越していた。ただし、バスの車軸位置での振動数を計測したところ12Hz〜13Hz程度で卓越していたことから、図10の13Hz前後での応答はバスが栄橋を走行することによって導入された振動である。従って、栄橋の橋桁の鉛直方向における固有振動数は3.6Hz、4.6Hz、及び9.44Hzであった。
次に、コンピュータ本体102上において、振動シミュレーションを実施した。まず、橋梁モデル1Mに対し、栄橋の建設当時の設計基準に基づいて得られるコンクリートの弾性係数Eと、曲げ剛性EIとを健全時(建設当時)の栄橋の値として設定して(条件1)、仮想変位データ及び解析値としての固有振動数を算出した。算出された仮想変位データを図11に示し、算出された固有振動数の解析値を図15に示す。図11では、実変位データを実線で示し、仮想変位データを破線で示した。
次に、コンピュータ本体102により、実変位データと仮想変位データとが近似しているか否かを判定した。具体的には、図11の7.5秒近傍における仮想変位データの極値と実変位データの極値とを比較し、仮想変位データを実変位データで除算した値が95%〜105%の範囲内にあるかどうかを判定した。本実施例では、仮想変位データを実変位データで除算した値は103%であったため、両者が近似していると判定された。
次に、コンピュータ本体102により、固有振動数の実験値と解析値とが近似しているか否かを判定した。具体的には、固有振動数の解析値を固有振動数の実験値で除算した値が95%〜105%の範囲内にあるかどうかを判定した。本実施例では、固有振動数の解析値を固有振動数の実験値で除算した値はいずれも105%を超えていたため、両者が近似していないと判定された。従って、栄橋の建設当時の曲げ剛性EIが設定された橋梁モデル1Mは、変位の挙動は現実の栄橋を再現しているものの固有振動数が近似していないため、現実の栄橋の曲げ剛性EIを再現していないことが判明した。
そこで、橋梁モデル1Mの全体の曲げ剛性EIを、栄橋の健全時の曲げ剛性EIよりも30%低い値に設定し(条件2)、コンピュータ本体102上において、振動シミュレーションを再度実施した。その結果、算出された仮想変位データを図12に示し、算出された固有振動数の解析値を図15に示す。
次に、コンピュータ本体102により、実変位データと仮想変位データとが近似しているか否かを判定した。本実施例では、仮想変位データを実変位データで除算した値は146%であったため、両者が近似していないと判定された。なお、コンピュータ本体102により、固有振動数の実験値と解析値とが近似しているか否かも判定した。本実施例では、固有振動数の解析値を固有振動数の実験値で除算した値は91%〜103%の範囲内であった。従って、全体剛性30%低下時の橋梁モデル1Mは、健全時の橋梁モデル1Mと比較して固有振動数が現実の栄橋に近づいたものの、変位の挙動が現実の栄橋を再現していないため、現実の栄橋の曲げ剛性EIを再現していないことが判明した。損傷の位置や程度が複雑である場合には、本実施例のように、実変位データと仮想変位データとが近似していても固有振動数の実験値と解析値とが近似していないことや、その逆が起こりうる。
そこで、橋梁モデル1Mのうち橋脚寄りの部分(部分4A,4A,4B,4B,4C,4C等)における曲げ剛性EIの設定値を、橋梁モデル1Mの他の部分(部分4A,4B,4C等)における曲げ剛性EIの設定値よりも小さく設定し、コンピュータ本体102上において、振動シミュレーションを再度実施した。具体的には、橋梁モデル1Mの上部構造3のうち径間中央1/4領域の曲げ剛性EIを栄橋の健全時の値に設定し、且つ、他の領域の曲げ剛性EIを当該健全時の値よりも30%低い値に設定した(条件3)。その結果、算出された仮想変位データを図13に示し、算出された固有振動数の解析値を図15に示す。このとき、仮想変位データを実変位データで除算した値は127%であったため、両者が近似していないと判定された。また、固有振動数の解析値を固有振動数の実験値で除算した値は93%〜101%の範囲内であったため、両者が近似していないと判定された。
同様に、橋梁モデル1Mの上部構造3のうち径間中央1/2領域の曲げ剛性EIを栄橋の健全時の値に設定し、且つ、他の領域の曲げ剛性EIを当該健全時の値よりも30%低い値に設定した(条件4)。その結果、算出された仮想変位データを図14に示し、算出された固有振動数の解析値を図15に示す。このとき、仮想変位データを実変位データで除算した値は103%であったため、両者が近似していると判定された。また、固有振動数の解析値を固有振動数の実験値で除算した値は97%〜104%の範囲内であったため、両者が近似していると判定された。条件3,4での結果から、条件3,4共に条件2よりも橋梁モデル1Mが現実の栄橋をよく再現しているが、特に条件4のときに橋梁モデル1Mによる現実の栄橋の再現性が高いことが確認された。
ここで、橋梁モデル1Mが栄橋全体を精度よく再現しているか否かを、以下の手順で確認した。まず、受け桁4Bと吊り桁5Bとの間のゲルバーヒンジ近傍において、加速度センサAM2の実変位データと条件4のときの仮想変位データとが近似しているか否かを、コンピュータ本体102により判定した。図16(a)は条件4のときの橋梁モデル1Mにおける曲げ剛性EIの設定状況及び変位の計測位置を示し、図16(b)は加速度センサAM2の実変位データと条件4のときの仮想変位データとを示す。
図16(b)の7.5秒近傍における仮想変位データの極値と実変位データの極値とを比較すると、仮想変位データを実変位データで除算した値は103%であった。そのため、両者が近似していないと判定された。その結果、条件4では、特にゲルバーヒンジ近傍において、橋梁モデル1Mによる現実の栄橋の再現性が十分でないことが確認された。
また、吊り桁5Bの中央部において、加速度センサAM3の実変位データと条件4のときの仮想変位データとが近似しているか否かを、コンピュータ本体102により判定した。図17(a)は条件4のときの橋梁モデル1Mにおける曲げ剛性EIの設定状況及び変位の計測位置を示し、図17(b)は加速度センサAM3の実変位データと条件4のときの仮想変位データとを示す。
図17(b)の10秒近傍における仮想変位データの極値と実変位データの極値とを比較すると、仮想変位データを実変位データで除算した値は103%であった。そのため、吊り桁5Bの中央部においては両者が近似していると判定された。
そこで、橋梁モデル1Mのうち橋脚寄りの部分(部分4A,4A,4B,4B,4C,4C等)における曲げ剛性EIの設定値を、橋梁モデル1Mの他の部分(部分4A,4B,4C等)における曲げ剛性EIの設定値よりも小さく設定した。また、橋梁モデル1Mの橋脚から端部に至るまでの部分(部分4A,4B,4C等)における曲げ剛性EIの設定値を、橋梁モデル1Mの中央部と端部との間の部分(部分4A,4B,4C等)における曲げ剛性EIの設定値よりも小さく設定した。具体的には、橋梁モデル1Mの上部構造3のうち径間中央1/2領域の曲げ剛性EIを栄橋の健全時の値に設定し、且つ、受け桁の橋脚から中央1/2領域までの曲げ剛性EIを当該健全時の値よりも30%低い値に設定し、且つ、受け桁の橋脚から端部までの曲げ剛性EIを当該健全時の値よりも50%低い値に設定した(条件5)。そして、コンピュータ本体102上において、振動シミュレーションを再度実施した。
この振動シミュレーションにおいては、まず、受け桁4Bの中央部において、加速度センサAM1の実変位データと条件5のときの仮想変位データとが近似しているか否かを、コンピュータ本体102により判定した。図18(a)は条件5のときの橋梁モデル1Mにおける曲げ剛性EIの設定状況及び変位の計測位置を示し、図18(b)は加速度センサAM1の実変位データと条件5のときの仮想変位データとを示す。
図18(b)の7.5秒近傍における仮想変位データの極値と実変位データの極値とを比較すると、仮想変位データを実変位データで除算した値は103%であった。そのため、受け桁4Bの中央部において、両者が近似していると判定された。
また、受け桁4Bと吊り桁5Bとの間のゲルバーヒンジ近傍において、加速度センサAM2の実変位データと条件5のときの仮想変位データとが近似しているか否かを、コンピュータ本体102により判定した。図19(a)は条件5のときの橋梁モデル1Mにおける曲げ剛性EIの設定状況及び変位の計測位置を示し、図19(b)は加速度センサAM2の実変位データと条件5のときの仮想変位データとを示す。
図19(b)の7.5秒近傍における仮想変位データの極値と実変位データの極値とを比較すると、仮想変位データを実変位データで除算した値は104%であった。そのため、受け桁4Bと吊り桁5Bとの間のゲルバーヒンジ近傍において、両者が近似していると判定された。
さらに、吊り桁5Bの中央部において、加速度センサAM3の実変位データと条件5のときの仮想変位データとが近似しているか否かを、コンピュータ本体102により判定した。図20(a)は条件5のときの橋梁モデル1Mにおける曲げ剛性EIの設定状況及び変位の計測位置を示し、図20(b)は加速度センサAM3の実変位データと条件5のときの仮想変位データとを示す。
図20(b)の10秒近傍における仮想変位データの極値と実変位データの極値とを比較すると、仮想変位データを実変位データで除算した値は104%であった。そのため、吊り桁5Bの中央部において、両者が近似していると判定された。
以上より、条件5のときには、橋梁モデル1Mにより現実の栄橋を極めて高い精度で再現性できたことが確認された。
1…橋梁、3…上部構造、4…受け桁、5…吊り桁、4A〜4A,4B〜4B,4C〜4C…部分、100…推定システム、102…コンピュータ本体、102a…CPU、102e…外部記憶装置、AM(AM1〜AM3)…加速度センサ、V…車両。

Claims (9)

  1. 加速度センサが所定箇所に配置された構造物を車両が走行する際に前記構造物の前記所定箇所に生ずる加速度を、前記加速度センサによって計測する第1の工程と、
    前記第1の工程で前記加速度センサから得られた加速度データに基づいて実変位データを取得する第2の工程と、
    仮想空間内において、前記車両を模した車両モデルに前記構造物を模し且つ剛性が所定の値に設定された構造物モデルを仮想的に走行させることにより、前記構造物モデルのうち前記所定箇所に対応する仮想位置に生ずる仮想変位を仮想変位データとして取得する第3の工程と、
    前記第2の工程で得られた前記実変位データと前記第3の工程で得られた前記仮想変位データとが近似しているか否かを判定する第4の工程とを含む、構造物の損傷状態を推定する方法。
  2. 前記第4の工程での判定の結果、近似していない場合には、前記構造物モデルの一部又は全部における剛性の設定値を変更する第5の工程をさらに含み、
    前記第5の工程において変更した後の剛性の設定値を用いて前記第3及び第4の工程を再度実行する、請求項1に記載の方法。
  3. 前記構造物は、複数の橋脚と、前記複数の橋脚上に支持された上部構造とを備える橋梁であり、
    前記第5の工程では、前記第4の工程での判定の結果、近似していない場合には、前記構造物モデルの前記上部構造のうち前記橋脚寄りの第1の部分における剛性の設定値を前記構造物モデルの前記上部構造のうち前記第1の部分とは異なる第2の部分における剛性の設定値よりも小さく設定する、請求項2に記載の方法。
  4. 前記構造物は、
    第1〜第4の橋脚と、前記第1及び第2の橋脚上に支持された第1の受け桁と、
    前記第3及び第4の橋脚上に支持された第2の受け桁と、
    前記第1及び第2の受け桁の間に位置し且つゲルバーヒンジを介して前記第1及び第2の受け桁上に支持された吊り桁とを備える、ゲルバー構造の橋梁であり、
    前記第1の受け桁は、
    前記吊り桁寄りの前記第1の橋脚から前記吊り桁側の端部に至るまで延びる第1の部分と、
    前記第1及び第2の橋脚の間において延びる第2の部分と、
    前記第1の橋脚から前記第2の部分に至るまで延びる第3の部分とを有し、
    前記第2の受け桁は、
    前記吊り桁寄りの前記第3の橋脚から前記吊り桁側の端部に至るまで延びる第4の部分と、
    前記第3及び第4の橋脚の間において延びる第5の部分と、
    前記第3の橋脚から前記第5の部分に至るまで延びる第6の部分とを有し、
    前記第5の工程では、前記第4の工程での判定の結果、近似していない場合には、
    前記構造物モデルの前記第3及び第6の部分における剛性の設定値を前記構造物モデルの前記第2及び第5の部分における剛性の設定値よりも小さく設定し、
    前記構造物モデルの前記第1及び第4の部分における剛性の設定値を前記構造物モデルの前記第3及び第6の部分における剛性の設定値よりも小さく設定する、請求項2に記載の方法。
  5. 前記第4の工程では、前記第3の工程で得られた前記仮想変位データの極値が前記第2の工程で得られた前記実変位データの極値の±5%以内であるときに近似していると判定する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記第1の工程で得られた前記加速度データに基づいて前記構造物の固有振動数を求める第6の工程をさらに含み、
    前記第3の工程では、前記構造物モデルの固有振動数も求め、
    前記第4の工程では、前記第3及び第6の工程でそれぞれ得られた固有振動数同士が近似しているか否かも判定する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記第4の工程での判定の結果、近似している場合には、そのときの前記構造物モデルにおける剛性の設定値を、前記構造物に所定の損傷が生じていると仮定した場合における前記構造物の剛性の理論値と比較することにより、前記構造物の損傷の程度を推定する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. コンピュータに、
    構造物を車両が走行する際に前記構造物の所定箇所に生ずる加速度を前記所定箇所に配置された加速度センサが計測することによって得られた加速度データに基づいて、前記所定箇所における実変位データを取得する第1の処理と、
    仮想空間内において、前記車両を模した車両モデルに前記構造物を模し且つ剛性が所定の値に設定された構造物モデルを仮想的に走行させることにより、前記構造物モデルのうち前記所定箇所に対応する仮想位置に生ずる仮想変位を仮想変位データとして取得する第2の処理と、
    前記第1の処理で得られた前記実変位データと前記第2の処理で得られた前記仮想変位データとが近似しているか否かを判定する第3の処理とを実行させる、構造物の損傷状態を推定するプログラム。
  9. 構造物の所定箇所に配置され、前記構造物を車両が走行する際に前記構造物の前記所定箇所に生ずる加速度を計測する加速度センサと、
    前記加速度センサから得られた加速度データに基づいて実変位データを取得する第1の取得手段と、
    仮想空間内において、前記車両を模した車両モデルに前記構造物を模し且つ剛性が所定の値に設定された構造物モデルを仮想的に走行させることにより、前記構造物モデルのうち前記所定箇所に対応する仮想位置に生ずる仮想変位を仮想変位データとして取得する第2の取得手段と、
    前記第1の取得手段が取得した前記実変位データと前記第2の取得手段が取得した前記仮想変位データとが近似しているか否かを判定する判定手段とを備える、構造物の損傷状態を推定するシステム。
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