JP7028689B2 - カーボンナノチューブシート、並びにこれを用いた熱電変換材料および熱電変換素子 - Google Patents

カーボンナノチューブシート、並びにこれを用いた熱電変換材料および熱電変換素子 Download PDF

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Description

本発明は、カーボンナノチューブシート、並びにこれを用いた熱電変換材料および熱電変換素子に関する。
カーボンナノチューブ(以下、単に「CNT」という。)は、様々な特性を有する素材であり、多くの分野への応用が期待されている。例えば、近年、柔軟な軽量エレクトロニクスの実現に向け、CNTを利用した熱電変換素子などのCNTシートの検討がなされている。
熱電変換素子とは、熱と電力を変換する素子で、熱電素子の一種である。また2種類の異なる金属または半導体を接合して、両端に温度差を生じさせると起電力が生じるゼーベック効果を利用し、大きな電位差を得るためにp型半導体とn型半導体を組み合わせて使用される。
CNTは、金属や一般的な半導体材料に比べて、軽量であるため、上記2種類の金属または半導体の代替として使用することによって、熱電変換素子の軽量化を図ることができる。
ところで、CNTの極性(すなわち、CNTがp型導電性を示すかn型導電性を示すか)は、ゼーベック係数の正負により判別することができる。例えば、単層カーボンナノチューブ(SWNT:single-wall carbon nanotube)は、多くが正のゼーベック係数をもち、p型導電性を示すことが知られている。そのため、このような単層CNTを熱電変換素子に応用するにあたっては、n型導電性の単層CNTを効率よく精製するに技術が求められる。
例えば、特許文献1では、ドーパントの選択により、単層CNTのゼーベック係数を変化させ、所望のゼーベック係数を持つ単層CNTを効率よく作製する技術が提案されている。
一方で、CNTを熱電変換素子の熱電変換材料に適用する際は、シート形状とする必要がある。しかし、CNTシートは、従来の熱電変換材料である金属や酸化物等に比べて、強度が低い問題がある。
また、CNTをシート状に成形してなるCNTシートは、軽量素材である点、導電性に優れている点等から、上記熱電変換素子の他にも、防弾チョッキや、電極・電池材料、ウェアラブル材料等の様々な用途への利用が検討されている。しかし、これら用途を考慮した場合にも、従来の方法で得られえるCNTシートでは、十分な機械的強度が得られない場合があり、実際的な使用には強度上の制限があるという問題があった。
特許第5768299号公報
本発明の目的は、優れた機械的強度(例えば、高い引張強度)を有するCNTシートを
提供することである。
本発明者らは、CNTシートの強度向上について鋭意研究を重ねた結果、1層以上の層構造を有する複数のCNTで構成されるCNT集合体からなるCNTシートにおいて、前記CNT集合体を構成する全CNTの個数に占める、2~6層のいずれかの層構造を有する各多層CNTの総数の比率が70%以上であり、前記CNT集合体は、ホウ素および窒素の少なくとも一方の添加元素を含み、その含有比率が、前記CNT集合体に含まれる炭素原子に対する原子数比率で、1~20%であり、前記添加元素は、少なくともその一部が前記CNTを構成する炭素原子と共有結合していることによって、特に優れた機械的強度(例えば、高い引張強度)を実現できることを見出し、かかる知見に基づき本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の要旨構成は、以下のとおりである。
[1] 1層以上の層構造を有する複数のカーボンナノチューブで構成されるカーボンナノチューブ集合体からなるカーボンナノチューブシートであって、
前記カーボンナノチューブ集合体を構成する全カーボンナノチューブの個数に占める、2~6層のいずれかの層構造を有する各多層カーボンナノチューブの総数の比率が70%以上であり、
前記カーボンナノチューブ集合体は、ホウ素および窒素の少なくとも一方の添加元素を含み、その含有比率が、前記カーボンナノチューブ集合体に含まれる炭素原子に対する原子数比率で、1~20%であり、
前記添加元素は、少なくともその一部が前記カーボンナノチューブを構成する炭素原子と共有結合していることを特徴とする、カーボンナノチューブシート。
[2] 前記カーボンナノチューブ集合体を構成する全カーボンナノチューブの個数に占める、2~6層のいずれかの層構造を有する各多層カーボンナノチューブの総数の比率が90%以上である、上記[1]に記載のカーボンナノチューブシート。
[3] 前記カーボンナノチューブ集合体を構成する全カーボンナノチューブの個数に占める、2層構造または3層構造を有する各多層カーボンナノチューブの総数の比率が70%以上である、上記[1]または[2]に記載のカーボンナノチューブシート。
[4] 前記カーボンナノチューブ集合体を構成する全カーボンナノチューブの個数に占める、2層構造または3層構造を有する各多層カーボンナノチューブの総数の比率が90%以上である、上記[3]に記載のカーボンナノチューブシート。
[5] 前記添加元素は、少なくともその一部が前記多層カーボンナノチューブの層構造の層間に存在し、かつ前記炭素原子と共有結合している、上記[1]~[4]のいずれか1項に記載のカーボンナノチューブシート。
[6] 前記多層カーボンナノチューブの長手方向に沿って測った、前記層構造の層間に存在する前記添加元素の平均最近接原子間距離が50~500nmである、上記[5]に記載のカーボンナノチューブシート。
[7] 上記[1]~[6]のいずれか1項に記載のカーボンナノチューブシートを用いてなる、熱電変換材料。
[8] N型半導体およびP型半導体を有してなる熱電変換素子であって、
前記N型半導体および前記P型半導体の少なくとも一方が、上記[7]に記載の熱電変換材料を用いてなる、熱電変換素子。
[9] 前記N型半導体および前記P型半導体の両方が、上記[7]に記載の熱電変換材料を用いてなる、上記[8]に記載の熱電変換素子。
本発明によれば、従来のCNTシートと比較して機械強度が格段に向上したCNTシート、並びにこれを用いた熱電変換材料および熱電変換素子を提供することが可能となる。
図1は、本発明の実施形態に係るCNT集合体の構成を概略的に示す図であり、(a)及び(b)は、集合体の斜視図と電子顕微鏡画像、(c)及び(d)は、CNTの束の拡大図とその電子顕微鏡画像、(e)及び(f)は、CNTの束を構成するCNTの斜視図とその電子顕微鏡画像を示す。 図2は、図1(e)のCNTの拡大断面図である。 図3は、本発明の実施形態に係るCNT集合体のX線吸収スペクトルである。 図4は、本発明の実施形態に係るCNTシートの外観写真である。 図5(a)および(b)は、本実施例で行う引張試験に用いる試験片の作成の様子を、図5(c)は引張試験の様子を、それぞれ示す概略図である。
以下、本発明の実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1(a)~(f)は、本発明の実施形態に係るCNTシートを構成するCNT集合体の構成を概略的に示す図である。なお、図1におけるCNT集合体は、その一例を示すものであり、本発明に係る各構成の形状、寸法等は、図1のものに限られないものとする。
本実施形態に係るCNTシートは、図1(a)及び(b)に示すように、1層以上の層構造を有する複数のCNTの束11,11,・・・で構成されたCNT集合体1からなり、これら複数のCNT集合体1が絡まりあって、シート状を呈してなる。CNTシート1の厚さは、好ましくは0.01~0.1mmである。
CNTの束11は、図1(c)及び(d)の拡大図で示すように、複数のCNT11a,11a,・・・が纏められた束状体となっており、これら複数のCNTの軸方向がほぼ揃って配されている。
また、CNTの束11を構成するCNT11aは、単層構造又は多層構造を有する筒状体であり、それぞれSWNT(single-walled nanotube)、MWNT(multi-walled nanotube)と呼ばれる。図1(c)~(f)では便宜上、2層構造を有する多層CNTのみを記載しているが、実際には、1層の層構造を有する単層CNTや、3層以上の各層構造を有する多層CNTが存在してもよい。なお、本明細書において、単に「CNT」と記載する場合には、単層構造のCNTと2層以上の多層構造を有するCNTを区別しない場合であり、「多層CNT」と記載する場合には、2層以上の多層構造を有するCNTに限定する場合である。
CNT11aは、六角形格子の網目構造を有する2つの筒状体T1,T2が略同軸で配された3次元網目構造体となっており、DWNT(Double-walled nanotube)と呼ばれる。構成単位である六角形格子は、その頂点に炭素原子が配された六員環であり、他の六員環と隣接してこれらが連続的に結合している。
CNT11aの性質は、上記のような筒状体のカイラリティ(chirality)に依存する。カイラリティは、アームチェア型、ジグザグ型、及びそれ以外のカイラル型に大別され、アームチェア型は金属性、カイラル型は半導体性、ジグザグ型はその中間の挙動を示す。特に、半導体性としては、p型導電性またはn型導電性が挙げられる。
CNTの半導体性の極性は、ゼーベック係数の正負により判別することができる。ここで、「ゼーベック係数」とは、ゼーベック効果を示す回路の、高温接合点と低温接合点の間の温度差に対する、開放回路電圧の比をいう(「マグローヒル科学技術用語大辞典 第3版」より)。例えば、ゼーベック係数が正の値を示すCNTは、p型導電性を有しているといえる。これに対して、ゼーベック係数が負の値を示すCNTは、n型導電性を有しているといえる。ゼーベック係数は、例えば、後述する実施例で用いたゼーベック係数・導電率測定装置等を用いて測定することができる。
また、ゼーベック係数は、カーボンナノチューブの導電性とも相関がある。具体的には、例えば、ゼーベック係数の絶対値が大きいカーボンナノチューブは、ゼーベック係数の絶対値が小さいカーボンナノチューブよりも導電性が高いといえる。
例えば、単層CNTは、多くが正のゼーベック係数をもち、p型導電性を示すことが知られている。そのため、従来の一般的なCNTの製法では、p型導電性を示す単層CNT(以下、p型導電性SWNTという)が主体として得られる。しかし、熱電変換材料への適用の観点からは、n型導電性の単層CNT(以下、n型導電性SWNTという)が求められる。
例えば、特許文献1では、周期表第15族元素(例えば、窒素元素、リン元素、ヒ素元素)を含み、且つπ電子共役系の分子構造を有するルイス塩基を、ドーパントとして単層CNT表面にπ-πスタッキングを介して吸着させることにより、単層CNTの多数キャリアが正孔から電子へと変化されることにより、p型導電性SWNTをn型導電性SWNTに効率よく変換する技術が提案されている。
しかし、特許文献1の方法で得られるCNTシートは、機械的強度(例えば引張強度)が低いという問題があった。そこで、本発明者らが、このような機械的強度の問題について鋭意検討を重ねた結果、いくつかの問題点を見出した。すなわち、(i)CNTシートが単層CNTで構成されていること、(ii)ドーパントが単層CNT表面に付着していること、(iii)単層CNTを生成後に、一度これを分散させて、シート化してからドーピングしていること、がCNTの強度を低下させている要因であると推察した。
そこで、本発明者らは上記知見に基づき鋭意研究を重ねた結果、(i)CNT集合体(CNTシート)を構成する全CNTの個数に占める、2~6層のいずれかの層構造を有する各多層CNTの総数の比率を70%以上とし、(ii)添加元素(ホウ素および窒素の少なくとも一方)を、CNTを構成する炭素原子と共有結合させ、(iii)CNTの生成時に添加元素をCNTの網目構造内部に化学的に組み込み、生成したCNTをCNT集合体としてそのままシート化することにより、特に優れた機械的強度(例えば、高い引張強度)を実現できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本実施形態では、複数のCNT11a,11a,・・・の集合体で構成されるCNT集合体11において、全CNT11a、11a,・・・の個数に占める、2~6層のいずれかの層構造を有する各多層CNTの総数の比率が70%以上であり、好ましくは90%以上である。すなわち、一のCNT集合体を構成する全CNTの総数をNTOTAL、上記全CNTのうち2~6層のいずれかの層構造を有する各多層CNTの数の和を、それぞれNCNT(2)、NCNT(3)、NCNT(4)、NCNT(5)およびNCNT(6)としたとき、下記式(1)で表すことができる。
(NCNT(2)+NCNT(3)+NCNT(4)+NCNT(5)+NCNT(6))/NTOTAL×100(%
)≧70(%) ・・・(1)
CNTの表面に欠陥や、劣化、損傷が生じた場合に、単層CNTではその欠陥等によりCNTの分子鎖が破壊される可能性がある。しかし、多層CNTの場合には、仮にCNT表面、特に最外層CNT表面に欠陥等が生じた場合であっても、内層CNTでCNT自体の分子形状は維持できるため、多層CNTは、単層CNTに比べて、CNT分子としての強度が高いと考えられる。すなわち、本発明のCNTシートは、70%以上が2~6層の多層CNTで構成されるCNT集合体であるため、上記従来の単層CNTで主に構成されたCNTシートに比べ、機械的強度が高くなると考えられる。
さらに、本発明では、2~6層のいずれかの層構造を有する多層CNTの層間で、各層を構成する炭素-炭素間を、窒素またはホウ素の一部が共有結合で橋渡ししていると考えられる。このことも、CNT自体の強度の向上に寄与していると考えられる。一方、この様な橋渡し構造が存在しない多層CNTでは、外層から内層が抜けて外れやすくなる。
したがって、2層構造又は3層構造のような層数が少ない多層CNTは、それより層数の多い多層CNTより共有結合を形成する窒素またはホウ素の距離が短くなるので比較的強度が高いと推察される。そのため、本実施形態では、複数のCNT11a,11a,・・・の集合体で構成されるCNT集合体11において、全CNT11a、11a,・・・の個数に占める、2層構造または3層構造を有する各多層CNTの総数の比率は、70%以上であることが好ましく、より好ましくは90%以上である。この場合、当該比率は、下記式(2)で表すことができる。
(NCNT(2)+NCNT(3))/NTOTAL×100(%)≧70(%) ・・・(2)
なお、CNT集合体を構成する全CNTの個数に占める、2~6層のいずれかの層構造を有する各多層CNTの総数の比率が70%未満であると、単層CNTの比率が高くなるため、CNTシートとしての強度が低下する傾向にある。
また、本実施形態では、CNT集合体は、ホウ素および窒素の少なくとも一方の添加元素を含む。また、このような添加元素の含有比率は、CNT集合体に含まれる炭素原子に対する原子数比率で、1~20%であり、好ましくは1~10%である。これにより、N型もしくP型のCNTが得られる。特に、CNT集合体に窒素を上記範囲で含有させることにより、ゼーベック係数が負の値を示す、N型のCNTが得られる。
添加元素の含有比率は、X線光電子分光法(X-ray Photoelectron Spectroscopy)による半定量分析により評価することができる。なお、具体的な測定条件は実施例の頁にて説明する。
特に、本実施形態のCNT集合体は、上記添加元素の少なくとも一部が、各CNT11aを構成する炭素原子と共有結合していることを特徴とする。すなわち、添加元素の少なくとも一部は、CNTの構成単位である六員環を構成する炭素の一部、あるいは欠陥部分を置換している。
従来のドーパントを有するCNT集合体では、ドーパントが、CNTの構造単位である網目構造体の内部あるいは外部(表面)に物理的に介在または付着して、保持されているだけであり、共有結合のような化学的に強固な結合を伴うものではなかった。そのため、このような従来のドーパントを有するCNT集合体は、例えば200~100℃程度の熱処理を受けると、ドーパントが、CNTの網目構造体の内部または外部から離脱してしまい、ゼーベック係数の変動を招いていた。
これに対し、本実施形態のCNT集合体は、従来のドーパントを有するCNT集合体とは異なり、添加元素の少なくとも一部が、CNTの構成単位である六員環を構成する炭素の一部、あるいは欠陥部分を置換する形で、隣接する炭素原子と共有結合しており、CNTの網目構造を構成する元素としてCNTの分子鎖中に組み込まれている。そのため、上記のような熱処理を経ても、添加元素がCNTの網目構造体から容易に離脱するということはなく、所望のゼーベック係数を良好に維持でき、従来のCNT集合体と比較して熱的安定性を大幅に向上できる。
また、従来のCNTシートでは、例えば、多層CNTの層間にドーパントが物理的に保持されているような場合には、物理的な応力により網目構造に負担がかり、CNT自体の強度が下がる傾向があった。また、ドーパントがCNTの表面に物理的に吸着している場合には、CNT表面に付着したドーパントの影響で、CNT同士の密着性が低下する傾向があった。
これに対し、本発明のCNTシートでは、添加元素はCNTを構成する炭素原子と共有結合する形で、CNTの分子構造内に組み込まれているため、CNTの分子構造への物理的な応力による負担が軽減されており、CNT自体の強度を低下させることがない。また、CNT表面では、付着物の影響が少なく、CNT同士の密着性が阻害されない。このように、本発明のCNTシートでは、ドーピングによって、CNT自体の強度低下や、CNT同士の密着性の低下を招くことがないため、従来のCNTシートに比べて、機械的強度を大幅に向上できると考えられる。
なお、添加元素の少なくとも一部がCNTの網目構造を構成する炭素原子と共有結合していることは、例えば、窒素元素のX線吸収エネルギーの吸収エネルギー位置から窒素―炭素の共有結合を有することを確認できる。
具体的には、10-9Paの高真空下にCNTを設置し、X線のエネルギー:385~430eVを試料に照射する。入射したX線の強度をI0として試料に流れた電流値をI1とし、I1/I0の比をとる。横軸:X線のエネルギー、縦軸:I1/I0をとると図2の様なX線吸収スペクトルが得られる。
図2では、0~4の番号を付した複数の吸収ピークが確認できる。これらの吸収ピークの内、0~1に関しては、炭化ケイ素(SiC)に窒素(N)をドープした試料で観察される窒素の吸収スペクトルと比較して、近しい値を示す。ここで、炭化ケイ素は、炭素およびケイ素が共有結合でダイヤモンド構造を形成している化合物で、炭化ケイ素にドープされた窒素も炭化ケイ素の中で四配位を取っていると推察される。したがって、上記0~1の窒素の吸収スペクトルは、CNT中に、炭化ケイ素のダイヤモンド構造のような四配位を取った構造体が含まれること、すなわち、CNT中の一部の窒素が、多層CNTの層間でCNTの網目構造を構成する炭素原子と三次元的な共有結合を形成していることを示している、と判断できる。このような三次元的な結合は、多層CNTの内層と外層とをつなげる役目を果たしているものと考えられる。なお、このような三次元的な結合は、例えば図3に示されるような窒素―炭素の共有結合である。ここで、図3は、図1(e)のCNTのI-I断面の拡大図である。
また、図2に示される吸収ピークのうち2~4に関しては、ピリジンの窒素の吸収スペクトルと類似している。このことは、CNT中に、ピリジン分子のような二次平面構造体が含まれる、すなわち、CNT中の一部の窒素が、CNTの網目構造を構成する炭素の一部を置換して、周囲の炭素原子と二次元的な共有結合をしていると判断できる。
また、本実施形態のCNT集合体では、上記添加元素の少なくとも一部が、多層CNTの層構造の層間に存在していることが好ましい。また、多層CNTの層間に存在する添加元素の少なくとも一部は、多層CNTを構成している炭素原子と共有結合していることがより好ましい。多層CNTの場合、各層を構成する炭素-炭素間を、窒素またはホウ素が共有結合で橋渡ししていることでCNT自体の強度の向上に寄与していると考えられる。
なお、添加元素が多層CNTの層間に存在していることおよびその結合状態は、例えば
以下の方法により確認することができる。
まず、多層CNTの観察には、透過型電子顕微鏡を用いる。さらに、CNTの内部に存在する窒素またはホウ素は、電子エネルギー損失分光法(ElectronEnergyLossSpectroscopy, EELS)により確認することができる。EELSは、入射電子が、試料物質との相互作用することにより、エネルギーを失った状態となり、この非弾性散乱電子を分光することで、試料の元素組成や化学結合状態を解析する手法である。上記の電子顕微鏡に設置されている走査透過型電子顕微鏡(STEM)と組み合わせることにより、微小領域を高い空間分解能で測定できる。これらの手法により、CNTの構造内に存在する窒素原子またはホウ素原子のマッピングを行うことができる。
また、多層CNTの層構造の層間に存在する添加元素の平均最近接原子間距離が50~500nmであることが好ましく、より好ましくは50~250nmである。測定は透過型電子顕微鏡を用いて行うことができる。なお、この測定では、上述の組成や結合状態の解析の場合に比べて、広範囲のマッピングが必要なため、STEMに加え、エネルギー分散型X線分光法(EDX: Energy Dispersive X-ray Spectroscopy)を用いてマッピングを行う。
なお、上記マッピング分析では、表面だけでなく奥行き方向の情報も含まれる。そのため、本発明では、例えば窒素の蛍光X線測定の場合、CNTの長手方向に平行な面から元素マッピングを行い、バックグランドよりも明らかに窒素に由来するX線強度が強い部分を、任意の点Oとし、CNTの長手方向に沿って、点Oと同程度の強度が確認できる次の部分を点Aとして観察するときに、点Oと点Aの間の距離を最近接原子間距離と定義する。また、EELS分析を行うことで、多層CNTの層構造の層間に存在する添加元素と、CNTの層を構成する添加元素とを区別することも可能である。
CNTの長さの範囲内に、添加元素の最近接距離が含まれていること望ましい。CNTの長さは、主に1~100μmであるため、添加元素が50~500nmの間隔で多層CNTの内・外層に橋渡しを形成していることが、高強度化の観点で好ましい。
また本実施形態では、ラマンスペクトルのGバンドと、結晶性に由来するDバンドとの比であるG/D比が、所定の範囲に制御されていることが好ましい。ここで、Dバンドは、ラマンシフト1350cm-1付近に現れ、欠陥に由来するスペクトルのピークとも言える。このGバンドに対するDバンドの比(G/D比)は、CNT中の欠陥量の指標として用いられ、G/D比が大きい程、CNT中の欠陥が少ないと判断される。
本実施形態のCNT集合体11においては、ラマンスペクトルのGバンドと結晶性に由来するDバンドとの比であるG/D比が50以上であることが好ましい。欠陥の少ない、高強度なCNTが増えることで、CNTシートとしての機械的強度もさらに向上すると考えられる。
<カーボンナノチューブ集合体の製造方法>
本実施形態のCNT集合体は、以下の方法で製造される。
(1)CNTの合成
CNTは、例えば浮遊触媒気相成長(CCVD)法を用いて作製することができる。具体的には、反応炉上部から出発物質を供給し、反応路下部より生成したCNTを回収する。
出発物質としては、カーボン源、窒素またはホウ素源、触媒およびCNT成長促進剤を少なくとも含む混合液を用いることが好ましい。
ここで、カーボン源としては、例えば、デカリン、ベンゼン、ヘキサン、トルエン等を用いることができる。
窒素源としては、例えば、ピリジン、ベンジルアミン等を用いることができる。
ホウ素源としては、例えば、デカボラン、ホウ素酸トリイソピロピル等を用いることができる。
触媒としては、例えば、フェロセン、コバルトセン、ニッケロセン等の有機金属錯体を原料とする金属触媒を用いることができる。
CNT成長促進材としては、例えば、チオフェン等を用いることができる。
上記混合液は、反応路に供給される前に、50~80度に保温された超音波洗浄機にて、攪拌されることが好ましい。
また、反応炉内は、1200~1500度に加熱されていることが好ましい。また、上記出発原料を反応炉内に供給する際のキャリアガスとしては、水素ガスを用いることが好ましい。反応炉は、例えば、縦型に設置され、炉上部から出発物質が供給され、炉下部から生成したCNTが排出、回収される。
(2)CNTシートの作製
回収された粉末状のCNTからCNT集合体を作製する。CNT集合体の形態は、限定されず、例えば、生成したCNTを、シート状に回収して、CNT集合体からなるCNTシートとすることができる。図4は、シート状に回収したCNT集合体からなるCNTシートの外観写真の一例である。
また、得られたCNTシートは、例えば大気中、300~700℃で加熱し、さらに酸処理を施すことで高純度化することが好ましい。
従来のCNTシートの製造では、まず、CNTを製造し、その後、ドーピングの処理を行っていた。そのため、ドーピング処理にあたり、生成した単層CNTを一度分散させる必要があった。これに対し、本発明のCNTシートは、CNTの生成段階で添加元素のドーピングが行われているため、CNT生成後の別途のドーピング処理を必要としない。そのため、生成したままのCNT集合体をそのままシート化してCNTシートとすることができる。このような方法によれば、CNT生成後に特別な分散処理等が行われていないため、CNTの生成時に生じた、自然なCNT同士の絡まりを活かすことができ、これによりシートとしての強度が向上するものと考えられる。
<カーボンナノチューブシートの特性>
本発明のCNTシートの極性は、CNT集合体11のゼーベック係数により決定する。本発明者らは、本発明のCNTシートを用いて、ゼ―ベック係数がマイナスとなるN型半導体の作製に成功したため、熱電変換素子においてP型半導体およびN型半導体の両方をCNTシートで作成できる。N型半導体として好適なCNTシートのゼ―ベック係数は、-0.1μV/K以下であることが好ましく、-20μV/K以下であることが更に好ましい。P型半導体として好適なCNTシートのゼ―ベック係数は、50μV/K以上であることが好ましく、60μV/K以上であることが更に好ましい。なお、測定方法は、後述する実施例の頁にて説明する。
また、本発明のCNTシートの機械的強度は、たとえば引張強度により評価できる。引張強度は200KPa以上が好ましく、250KPa以上が更に好ましい。なお、測定方法は、後述する実施例の頁にて説明する。
このような優れた機械的強度を有する本実施形態のCNTシートは、熱電変換素子に用いられる熱電変換材料や、防弾チョッキ、電極材料、ウェアラブル材料等に、広く利用可
能である。特に、熱電変換素子に用いられる熱電変換材料として好適に用いることができる。
このような熱電変換材料としては、従来金属や酸化物が広く用いられてきたが、これらの材料をCNT材料で代替することにより、熱電変換素子の重量を大幅に軽量化できる。すなわち、N型半導体およびP型半導体を有してなる熱電変換素子において、N型半導体およびP型半導体の少なくとも一方に、本発明のCNTシートを用いた熱電変換材料を用いることにより、例えば金属製の熱電変換材料を用いた熱電変換素子に比べて、格段に軽量化できる。また、本発明のCNTシートは非常に機械的強度が高いため、従来のCNTシートを用いた熱電変換材料に比べて、耐久性も大幅に向上する。したがって、熱電変換素子のN型半導体およびP型半導体の両方に、本発明のCNTシートを用いた熱電変換材料を用いることで、熱電変換素子としての更なる軽量化と、耐久性の向上を図ることができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の概念および特許請求の範囲に含まれるあらゆる態様を含み、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
次に、本発明の効果をさらに明確にするために、実施例および比較例について説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
CNT集合体の合成は、浮遊触媒気相成長(CCVD)法を用い行った。
まず、炭素源であるデカヒドロナフタレン(シグマアルドリッチジャパン合同会社製)、窒素源であるピリジン(和光純薬工業株式会社製)、触媒であるフェロセン(シグマアルドリッチジャパン合同会社製)、および反応促進剤であるチオフェン(シグマアルドリッチジャパン合同会社製)を、mol比率にて、それぞれ100:1.0:3.0:3.0で混合し、原料溶液を調製した。
次に、電気炉によって1200℃に加熱された、内径φ60mm、長さ1600mmのアルミナ管内部に、直前に50℃のウォータバスで超音波をかけた上記原料溶液を、スプレー噴霧により供給する。このとき、キャリアガスとして、水素を9.5L/minで供給した。
得られたCNTを回収機にてシート状に回収し、該シートを大気下において400~600℃に加熱し、さらに酸処理を複数回施すことによって高純度化を行い、厚さ0.1mmのCNTシートを製造した。
実施例2~4では、得られるCNT集合体中の添加元素が、表1に示される炭素原子に対する原子数比率となるように、CCVDで用いる原料溶液におけるピリジンの配合比率を変更したこと以外は、実施例1と同様の方法でCNTの合成から厚さ0.1mmのシートの製造まで行った。例えば、実施例2では、ピリジンの配合比率(mol比率)を、デカヒドロナフタレン100に対してピリジンが5.0となるように変更した。
(実施例5および6)
実施例5および6では、得られるCNT集合体において、CNT集合体を構成する全CNTの個数に占める、2層構造または3層構造を有する各多層CNTの総数の比率が、表1に示される比率となるように、CCVDで用いる原料溶液中のフェロセンおよびチオフェンの配合比率を変更し、さらに合成後の酸処理の工程数と処理時間を低減した以外は、実施例1と同様の方法でCNTの合成から厚さ0.1mmのシートの製造まで行った。
(実施例7および8)
実施例7および8では、CCVDで用いる原料溶液を、窒素源であるピリジンに替えて、ホウ素源であるホウ素酸トリイソピロピル(メルク株式会社製)とした以外は、実施例1と同様の方法でCNTの合成から厚さ0.1mmのシートの製造まで行った。
(実施例9および10)
実施例9および10では、CCVDで用いる原料溶液を、窒素源であるピリジンに替えて、ホウ素源であるデカボラン(シグマアルドリッチ社製)を用い、ホウ素源であるデカボラン、触媒であるフェロセン(シグマアルドリッチジャパン合同会社製)、および反応促進剤であるチオフェン(シグマアルドリッチジャパン合同会社製)を、mol比率にて、実施例9では、それぞれ100:1.0:3.0:3.0で混合し、実施例10では、100:1.5:3.0:3.0で混合して原料溶液を調製した以下は、実施例1と同様の方法でCNTの合成から線材化まで行なった。
(比較例1)
比較例1では、まず、炭素源としてトルエン(シグマアルドリッチジャパン合同会社製)、触媒であるフェロセン(同上)、および反応促進剤であるチオフェン(同上)を、mol比率にて、それぞれ100:1.5:1.5で混合し、原料溶液を調製し、該原料溶液を用いると共に、電気炉での加熱時に水素ガスとエチレン(三菱化学株式会社製)を供給した以外は、実施例1と同様の方法でCNTの合成から厚さ0.1mmのシートの製造まで行った。
(比較例2)
酸処理後のCNT線を98%硝酸に浸漬した以外は、比較例1と同様の方法でCNTの合成から線材化まで行った。
(比較例3)
酸処理後のCNT線を10%ホウ素酸水溶液に浸漬した以外は、比較例1と同様の方法でCNTの合成から線材化まで行なった。
[評価]
上記実施例および比較例に係るカーボンナノチューブシートを用いて、下記に示す測定、評価を行った。各測定、評価の条件は下記の通りである。結果を表1に示す。
(a)添加元素の炭素原子に対する原子数比率の測定
CNT集合体内の窒素またはホウ素の含有比率に関して、X線光電子分光法(X-ray Photoelectron Spectroscopy)による半定量分析により評価した。以下、詳しく説明する。
まず、合成直後の粉末状で回収されたCNTを、アセトンにさらし、薬包紙の上に置き、スライドガラスで平らにし、乾燥する。乾燥後のCNT試料は、1×1cm程度で、厚さ2mm程度の、CNTの凝集体となる。
上記凝集体を酸処理して、不純物を除いた後、XPS分析を行なう。XPS分析では、試料にX線を入射し、表面より放出された光電子を検出する。測定は、多機能走査型X線光電子分光分析装置(PHI5000 Versaprobe、アルバック・ファイ株式会社製)を用い、入射したX線の線源を単色化 Al-Kα線とし、脱出角90°にて行った。さらに、半定量を行なうために、1350~0eVまでの結合エネルギーについて、Wide-scanを行なった。1試料につき、任意の5箇所を選択して測定し(N=5)、その平均値を窒素またはホウ素の、炭素原子に対する原子数比率とした。
(b)添加元素と炭素原子との共有結合の確認
透過型電子顕微鏡(TEM)によりCNT層間の構造体を確認後、EELSスペクトルマッピングで該構造体が窒素、ホウ素またはヨウ素であることを確認した。さらに、得られたEELSスペクトルのスペクトルエネルギーから共有結合性の判断を行った。TEMによる観察は、原子分解能分析電子顕微鏡(JEM-ARM200F、日本電子株式会社製)を用いて行った。さらにEELSスペクトルマッピングは、上記の電子顕微鏡に設置されている走査透過型電子顕微鏡(STEM)を用いた。
なお、観察用試料は、合成したCNTをエタノール中で、超音波で分散した分散液とした。この分散液をTEM観察用のメッシュに垂らし、観察した。
(c)添加元素の最近接原子間距離の測定
添加元素の最近接原子間距離は、走査透過型電子顕微鏡(STEM、同上)を用いたEELSスペクトルマッピングと、上記STEMを用いたエネルギー分散型X線分光法(EDX: Energy Dispersive X-ray Spectroscopy)分析を行って確認した。なお、観察用試料は、合成したCNTをエタノール中で、超音波で分散した分散液とした。この分散液をTEM観察用のメッシュに垂らし、観察した。
(d)CNTの層構造の観察
CNTの層構造は、透過型電子顕微鏡(TEM)により確認を行なった。TEM観察は、原子分解能分析電子顕微鏡(同上)を用いた。また、観察用試料は、合成したCNTをエタノール中で、超音波で分散した分散液とした。この分散液をTEM観察用のメッシュに垂らし、観察した。
(e)ゼーベック係数の測定
ゼーベック係数の測定は、ゼーベック係数・導電率測定装置(ai-Phase Mobile M3、株式会社アイフェイズ製)を用いて行った。なお、測定用サンプルは、CNTシートを5×5cmに成形したものを用いた。
(f)引張強度の測定
引張強度の測定は、引張試験機(万能材料試験機5582 INSTRON社製)を用いて行った。具体的には以下の方法で行った。なお、図5に、引張試験用の試験片の作成方法と、引張試験の様子を、概略的に示す。
まず、CNTシートを縦横10×3mmの長方形に成形し、測定用サンプルを準備した。次に縦横40×10mmの台紙を用意して、長手方向に平行な折り目(破線)になるよう二つ折にする。二つ折りにした台紙の中央部をくり抜いて、横2mm、縦2mmの円状の窓(穴)を作成する。折った台紙をもとに戻して、くりぬいた円状の窓を横断するように、台紙の内側(谷折り側)に形成された一方の窓上に測定用サンプルを設置し、測定用サンプルの両端を接着材にて台紙に固定する(図5(a))。その後、台紙を再び折り、台紙のみ長手方向に垂直な方向に切断する(図5(b))。その後、引張試験機に試料を取り付け(図5(c))、引張強度の測定を行なった。
Figure 0007028689000001
表1の結果より、比較例1のCNTシートは、単層CNT(SWNT)により構成されており、従来からよく知られる正のゼーベック係数(特に40台後半)を示すことが確認された。
これに対し、本発明の実施例1~10に係るCNTシートは、各CNTシートを構成する全CNTの個数に占める、2~6層のいずれかの層構造を有する各多層CNTの総数の比率が70%以上であり、ホウ素および窒素の少なくとも一方の添加元素を含み、その含有比率が、CNTシートに含まれる炭素原子に対する原子数比率で、1~20%であり、上記添加元素の少なくとも一部が、CNTを構成する炭素と共有結合しているため、所望のゼーベック係数を実現できるとともに、従来の単層CNTから主に構成されるCNTシー
ト(比較例1)及び共有結合を有しないCNTシート(比較例2、3参照)では実現することができなかった、高い引張強度を実現できることが確認された。
1 カーボンナノチューブ集合体
11 カーボンナノチューブの束
11a カーボンナノチューブ
T1 筒状体
T2 筒状体

Claims (8)

  1. 1層以上の層構造を有する複数のカーボンナノチューブで構成されるカーボンナノチューブ集合体からなるカーボンナノチューブシートであって、
    前記カーボンナノチューブ集合体を構成する全カーボンナノチューブの個数に占める、2~6層のいずれかの層構造を有する各多層カーボンナノチューブの総数の比率が70%以上であり、
    前記カーボンナノチューブ集合体は、ホウ素および窒素の少なくとも一方の添加元素を含み、その含有比率が、前記カーボンナノチューブ集合体に含まれる炭素原子に対する原子数比率で、1~20%であり、
    前記添加元素は、少なくともその一部が、前記カーボンナノチューブの構成単位である六員環を構成する炭素の一部若しくは欠陥部分を置換する形で、隣接する炭素原子と共有結合し、及び/または前記多層カーボンナノチューブの層構造の層間で、各層を構成する炭素-炭素間を、共有結合で橋渡しをしていることを特徴とする、カーボンナノチューブシート。
  2. 前記カーボンナノチューブ集合体を構成する全カーボンナノチューブの個数に占める、2~6層のいずれかの層構造を有する各多層カーボンナノチューブの総数の比率が90%以上である、請求項1に記載のカーボンナノチューブシート。
  3. 前記カーボンナノチューブ集合体を構成する全カーボンナノチューブの個数に占める、2層構造または3層構造を有する各多層カーボンナノチューブの総数の比率が70%以上である、請求項1または2に記載のカーボンナノチューブシート。
  4. 前記カーボンナノチューブ集合体を構成する全カーボンナノチューブの個数に占める、2層構造または3層構造を有する各多層カーボンナノチューブの総数の比率が90%以上である、請求項3に記載のカーボンナノチューブシート。
  5. 前記多層カーボンナノチューブの長手方向に沿って測った、前記層構造の層間に存在する前記添加元素の平均最近接原子間距離が50~500nmである、請求項1~4のいずれか1項に記載のカーボンナノチューブシート。
  6. 請求項1~のいずれか1項に記載のカーボンナノチューブシートを用いてなる、熱電変換材料。
  7. N型半導体およびP型半導体を有してなる熱電変換素子であって、
    前記N型半導体および前記P型半導体の少なくとも一方が、請求項に記載の熱電変換材料を用いてなる、熱電変換素子。
  8. 前記N型半導体および前記P型半導体の両方が、請求項に記載の熱電変換材料を用いてなる、請求項に記載の熱電変換素子。
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