JP7028096B2 - コークスの強度管理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、コークスの強度管理方法に関し、より詳細には、コークス炉の操業において製造されるコークスの品質管理としてコークスの強度を測定する際のばらつきを抑制する技術に関する。
コークス炉にて石炭を乾留して製造されるコークスの品質を管理するために、製造されたコークスを定期的にサンプリングし、得られた試料の品質を分析することが行われている。試料の分析結果に基づき、要求される品質を満たすコークスの製造が行われているか確認され、コークス炉の操業やコークスを製造するための石炭の配合管理等が行われる。
例えば、特許文献1には、コークス炉の乾式消火コークスの品質管理方法として、コークス乾式消火設備(CDQ:Coke Dry Quenching)内における平均滞留時間を求め、該平均滞留時間に基づいて窯出しグループ毎に該グループの窯出し開始後3~4番目から窯出終了前3~4番目の間の窯のコークスをサンプリングするタイミングで消火コークスのサンプリングを行い、該コークスの分析結果に基づいて窯出しグループ毎の炉温及び配合管理を行うことが開示されている。特許文献1では、コークスのコークス乾式消火設備内の平均滞留時間を求め、それに基づいて特定窯出グループのコークスを確実にサンプリングすることにより、窯出しグループ毎にコークス炉を管理する。これにより、コークスの品位変動が生じた場合に、その要因が燃焼状況に起因するものか石炭配合に起因するものかを判別可能にしている。
また、コークスの品質ばらつきを抑制する観点からは、例えば特許文献2には、低膨張圧原料炭の特定銘柄を多量配合する際に、10KPa以上の高膨張圧原料炭を5~20質量%配合することで、コークス強度のばらつきの要因となるコークス中の粗大な気孔を低減されることが開示されている。
特開昭59-179583号公報 特許第4888452号公報
ここで、従来、コークス強度のばらつきについては、比較的長期間における全ばらつきについては定量的に管理することが可能であったが、そのばらつきの要因を切り分けて品質管理を行うことはなされていなかった。
例えば上記特許文献1では、コークス乾式消火設備にて消火された後、コークス乾式消火設備下のコークス搬送コンベアによって搬送されるコークスをサンプリングして、製造されたコークスの品質を分析している。しかし、コークスの品質を分析するにあたって設定される、コークスのサンプリングに関するサンプリング条件、及び、試料の品質を測定する品質試験条件については言及されていない。このため、特許文献1に記載の手法では、コークス品位変動の理由が、サンプリング条件あるいは品質試験条件にある場合は、その要因を特定することができず、品質管理を適切に行うための対応をとることができない。
また、上記特許文献2では、コークス強度のばらつきの要因となるコークス中の粗大な気孔を低減させるための手法が開示されているが、比較的長期間における全ばらつきの要因を切り分けてコークス強度を管理することはなされていない。このため、全ばらつきへの影響が大きい要因を特定することができず、品質管理を適切に行うための対応をとることができない。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、比較的長期間(例えば、1ヶ月程度、あるいはそれ以上の期間)における全ばらつきの要因を切り分けてコークス強度を管理する、コークスの強度管理方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、コークス炉にて製造されたコークスの強度管理方法であって、単位期間に製造された複数のロットのコークス強度に基づいて、コークス強度のロット内ばらつき、及び、ロット内ばらつきのうちコークス強度の測定試験に起因する試験ばらつきを算出するとともに、ロット内ばらつき及び試験ばらつきに基づいて、ロット内ばらつきのうち試験ばらつき以外の試験以外要因ばらつきを算出する同一ロット内ばらつき算出工程と、単位期間内におけるコークス強度のばらつきである全ばらつきを算出する全ばらつき算出工程と、全ばらつきからロット内ばらつきを除いたロット間ばらつきを算出するロット間ばらつき算出工程と、を含む、コークスの強度管理方法が提供される。
コークスの強度管理方法は、さらに、全ばらつき要因に対する試験ばらつき、試験以外要因ばらつき、及び、ロット間ばらつきの割合から、単位期間における全ばらつきに対して支配的なばらつき要因を分析する単位期間内分析工程をさらに含んでもよい。
また、コークスの強度管理方法は、さらに、複数の単位期間について、試験ばらつき及び試験以外要因ばらつきからなるロット内ばらつきと、ロット間ばらつきとを取得して、単位期間における各ばらつきの変化を求め、複数の単位期間において、全ばらつきの増加に対応して、試験ばらつき、試験以外要因ばらつき、または、ロット間ばらつきのうち少なくともいずれか1つが増加しているとき、値が増加しているばらつきのばらつき要因を全ばらつきの増加の要因として特定する単位期間間分析工程をさらに含んでもよい。
以上説明したように本発明によれば、比較的長期間における全ばらつきの要因を切り分けてコークス強度を管理することが可能となる。
操業におけるコークス強度のばらつきの変化を説明する説明図である。 単位期間における全ばらつきσをロット内ばらつきσとロット間ばらつきσとに要因分離した説明図である。 交互サンプリング法を説明するための説明図である。 本発明の一実施形態に係る単位期間における全ばらつきσの要因分離処理を示すフローチャートである。 実施例として、あるコークス炉における複数月の全ばらつきσ及びそのばらつき要因を示すグラフである。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
<1.概要>
コークスの品質管理は、コークス炉にて製造されたコークスをサンプリングし、サンプリングにより得られた試料の品質を分析することにより行われる。本実施形態では、コークスの品質を表す品質特性値としてコークス強度を測定し、コークスの品質を管理するものとする。本発明の一実施形態に係るコークスの強度管理方法では、単位期間に製造された複数のロットのコークスについて、単位期間における全ばらつきの要因を切り分け、全ばらつきへの影響が大きい要因を特定可能にする。
本実施形態では、品質管理を行うために少なくとも1回コークス強度を測定するための試料を採取する時間単位(以下、「ロット時間」ともいう。)において、当該時間内に製造されるコークスの製造単位を「ロット」と定義する。ロット時間は、通常、1日~4時間程度に設定される。また、単位期間は、目標とするコークス強度が同一である期間であり、かつ、複数のロットを含む期間が設定され、例えば1ヶ月程度、あるいはそれ以上の比較的長期間が設定される。例えば、図1に示すように、ロット時間を8時間とし、単位期間を1ヶ月としたとする。このとき、1日には3ロットのコークス強度が測定され、単位期間内には当該月の日数×3ロットのコークス強度が測定される。このとき、1ヶ月間におけるコークス強度のばらつきが、単位期間における全ばらつきとなる。
図1に示すように、測定されるコークス強度は、ロット間においてばらつき(単位期間における全ばらつき)が存在する。また、後述の通り、同一ロット内でも、コークス強度のばらつきが存在する。したがって、単位期間における全ばらつきは、各ロットのコークス強度のロット間ばらつきではあるものの、ロット内ばらつきを含んだものとなっている。このため、単位期間における全ばらつきは、同一ロット内ばらつきやロット間ばらつきによって変化し、全ばらつきへの影響が大きいばらつき要因も変化する。そこで、全ばらつきσを、図2に示すように、ロット内ばらつきσとロット間ばらつきσとに切り分けて管理することを新たに見出した。
ロット内ばらつきσは、同一ロット内にて測定されたコークス強度のばらつきである。ロット内ばらつきσは、試料の試験に起因する試験ばらつきσ1-1と、試験ばらつきσ1-1以外に起因する試験以外要因ばらつきσ1-2とに区分される。試験ばらつきσ1-1には、コークスのサンプリング時のばらつきや、後述の二重サンプルを作成する際の調製ばらつき、品質試験条件のばらつき等が含まれる。試験以外要因ばらつきσ1-2には、製造されたコークス炉の炉体の健全性(燃焼性)のばらつき(窯内/窯間ばらつき)等が含まれる。
一方、ロット間ばらつきσは、全ばらつきσからロット内ばらつきσを除いたばらつきを表す。ロット間ばらつきσには、原料炭の配合変更による配合ばらつき、粒度や温度等の操業管理条件の変更によるばらつき、同一銘柄の石炭の性状変化ばらつきといった、長期的な操業に起因して発生するばらつきが含まれる。
このように、単位期間における全ばらつきσは複数のばらつき要因が存在する。そこで、本実施形態に係る発明では、コークス強度の全ばらつきの要因を分離し、各要因の割合を定量的に表すことや、複数の単位期間における各要因の割合の変化等を定量的に表すことを可能にする。これにより、例えば全ばらつきが増加した場合に、複数のばらつき要因から全ばらつきに対して支配的な要因を特定することが可能となり、特定されたばらつき要因のばらつき低減対策を強化することで、コークス強度のばらつきを適切に抑制することができる。
<2.コークスのサンプリングとコークス強度の測定(品質試験)>
本実施形態に係るコークスの強度管理方法を説明するにあたり、まず、図3を参照して、コークスのサンプリング及びコークス強度を測定する品質試験について説明する。図3は、コークスのサンプリング法の1つである交互サンプリング法を説明するための説明図である。
[2-1.コークスのサンプリング]
コークスのサンプリングは、JIS-M8811(石炭類及びコークス類-サンプリング及び試料調整方法)に規定されている手法に基づき行われる。本実施形態では、交互サンプリング法に基づき、コークスをサンプリングする。交互サンプリング法では、図3に示すように、ロット内において、サンプリング時間毎に等間隔でコークスをサンプリングする際に、サンプリングしたコークスを交互に分けていき、2つのサンプル集合体Ai、Biを作成する。このサンプル集合体Ai、Biを、以下「交互サンプル」と称する。なお、交互サンプルを構成するためのロット内のサンプリング回数は8回以上、好ましくは10回以上が推奨される。
次に、本実施形態では、作成された交互サンプルAi、Biからそれぞれ2つのサンプルが作成される。詳細には、まず、各交互サンプルAi、Biのコークスを、それぞれ所定の粒度区分に分離する。分離する粒度区分は特に限定されないが、例えば、75mm超、75~50mm、50~38mm、38~25mmの4つの区分に分離される。そして、各区分のコークスが交互サンプル全体に含まれる割合が算出され、その比率にしたがって強度測定用の試料として、それぞれ2つのサンプルが作成される。すなわち、図3に示すように、交互サンプルAiから2つのサンプルAi-1、Ai-2が作成され、交互サンプルBiから2つのBi-1、Bi-2が作成される。このサンプルの対を二重サンプルという。
具体例として、例えば図3において、ロット時間を8時間として、ロット内において8回のサンプリングを行う。サンプリング時間は等間隔とすることが好ましいため、図1の場合であれば、サンプリング時間は例えば1時間とすることが推奨される。1回のサンプリングで12Kgのコークスを採取する。その結果、図1に示すように、奇数回目に採取されたコークスからなる48kgの交互サンプルAiと、偶数回目に採取されたコークスからなる48kgの交互サンプルBiとが作成される。その後、各交互サンプルAi、Biのコークスをそれぞれ所定の粒度区分に分離した後、交互サンプルにおける各粒度区分のコークスの比率に基づき、同様に構成されたサンプルが作成される。例えば、48Kgの交互サンプルから10kgのサンプルを2つ作成する場合、10kgのサンプルそれぞれの各粒度区分のコークスの比率は、交互サンプルの各粒度区分のコークスの比率と同様となるように調製される。
このように、交互サンプリング法に基づき、コークス強度の測定に用いる二重サンプルを作成することができる。
なお、交互サンプリング法は、JIS-M8811によれば複数回(最低10回)行うものとされている。コークスの原料となる石炭が同一配合であり同一操業条件である日を選定してサンプリングを実施することが好ましいため、交互サンプリングは連続して行うことが好ましい。しかし、交互サンプリングは必ずしも連続して実施されなくてもよく、例えば間欠的に実施してもよい。
[2-2.コークス強度指標]
コークス強度の指標として、JIS-K2151に記載のドラム強度が使用される。ドラム強度は、所定量のコークス(10kg)を直径1500mm×長さ1500mmの円筒形ドラム内に装入し、15rpmで30回転あるいは150回転させた後、50mm、25mm、15mm、6mmの篩で篩い分け、篩上質量の装入質量に対する百分率で、各回転に対する強度を表すものである。一般的には150回転後の15mm篩上重量百分率(15mm)指数が広く用いられ、DI150 15と表記する。
本実施形態に係るコークスの強度管理方法においても、交互サンプリング法に基づき採取された二重サンプルを試料として、ドラム強度をそれぞれ測定し、コークス強度指標として用いる。
[2-3.コークス強度のばらつき]
本実施形態では、コークスの品質を正しく管理するために、測定された品質、すなわちコークス強度のばらつきが小さいことが望ましい。このため、コークス強度のばらつきは、目標とするばらつき内に収まるように管理される。図1に示したようにコークス強度は操業においてばらつくが、長期的に見たときのばらつき(全ばらつきσ)のばらつき要因は、図2に示したように、同一ロット内におけるロット内ばらつきσとロット間ばらつきσとに分離できる。以下、全ばらつきσ、ロット内ばらつきσ及びロット間ばらつきσの算出方法について説明する。なお、以下の試験ばらつきσ1-1は、図3に示したように、交互サンプリング法に基づき採取された交互サンプルから二重サンプルを作成し、コークス強度を測定し、コークス強度のばらつきを算出する方法について説明している。
(a.全ばらつきσ)
全ばらつきσは、単位期間において測定されたコークス強度のばらつきである。すなわち、単位期間内に測定されたコークス強度の標準偏差が全ばらつきσとなる。例えば、単位期間が1ヶ月(例えば30日)であり、1日に3ロットのコークス強度が測定される場合には、全ばらつきσは、90ロット分(=30日×3ロット分)のコークス強度の標準偏差により算出される。
なお、単位期間中においては、目標とするコークス強度は変化しないものとする。また、上述したように、交互サンプリング法は複数回(最低10回)行うものとされているため、単位期間において少なくとも10回の交互サンプリングが行われ、それぞれについてドラム強度測定試験が実施されるものとする。
(b.ロット内ばらつきσ
ロット内ばらつきσは、試験ばらつきσ1-1と、試験以外要因ばらつきσ1-2とからなる。まず、ロット内ばらつきσは、JIS-M8811に基づき、下記式(1)から算出される。
Figure 0007028096000001
ここで、n’は、交互サンプルAi、Biを構成するインクリメント個数であり、図3に示す例ではn’=4である。
Rは、対測定値の範囲Rの平均値であり、上記式(1-1)により表される。対測定値の範囲Rは上記式(1-2)で表されるように、交互サンプルAiのコークス強度DI(Ai)と交互サンプルBiのコークス強度DI(Bi)との差分の絶対値である。
nは、範囲Rの個数であり、図3に示すロット時間でサンプリングされた試料を用いて、コークス強度を測定する一連の交互サンプリング法に基づく試験を実施した回数に対応する。例えば、図3のロット時間でサンプリングされた試料についてコークス強度を測定する一連の交互サンプリング法に基づく試験が10回行われた場合、n=10となる。
は、範囲Rから標準偏差を推定する係数である。例えば、データ2個の場合には、1/d=0.8862となる。
(b-1.試験ばらつきσ1-1
試験ばらつきσ1-1は、JIS-M8811に基づき、下記式(2)から算出される。
Figure 0007028096000002
ここで、Xは、二重サンプルのコークス強度の測定値差である。nは、二重サンプルの組数である。例えば、図3に示したように、交互サンプルから二重サンプルAi-1、Ai-2が作成されており、Xは、二重サンプルAi-1のコークス強度の測定値と二重サンプルAi-2のコークス強度の測定値との差で表される。また、nは2である。同様に、二重サンプルBi-1のコークス強度の測定値と二重サンプルBi-2のコークス強度の測定値との差からも、Xを求めることができる。すなわち、交互サンプルAiおよびBiそれぞれについて、式(2)に基づき、試験ばらつきσ1-1をそれぞれ算出し、得られた値を平均することで、最終的な試験ばらつきσ1-1を求めてもよい。
(b-2.試験以外要因ばらつきσ1-2
試験以外要因ばらつきσ1-2は、上記式(1)から算出されたロット内ばらつきσ及び上記式(2)から算出された試験ばらつきσ1-2に基づき、下記式(3)から算出される。試験以外要因ばらつきσ1-2は、ロット内ばらつきσのうち、試験ばらつきσ1-1以外であることから、下記(3)により求めることができる。
Figure 0007028096000003
(c.ロット間ばらつきσ
ロット間ばらつきσは、全ばらつきσからロット内ばらつきσの影響を除いたばらつきである。すなわち、ロット間ばらつきσは、下記式(4)により求めることができる。
Figure 0007028096000004
<3.全ばらつきの要因分離>
図4に基づいて、単位期間における全ばらつきσの要因分離処理と、これに基づくばらつきを低減させるための対応の検討について説明する。図4は、本実施形態に係る単位期間における全ばらつきσの要因分離処理を示すフローチャートである。なお、図4に示す全ばらつきの要因分離処理においては、操業時に各ロットでのコークス強度が測定され、図1に示すようなコークス強度の時系列データが取得されているとする。図1に示すようなコークス強度の時系列データを取得する場合、コークス強度測定用のサンプリングは、通常の工程管理で行っている方法を採用することができ、例えば、ロット内で定期的にコークスを採取し、採取したサンプルについてコークス強度を測定することで得ることができる。コークス強度の強度としては、上述したJIS-K2151に記載のドラム強度が用いられる。
単位期間における全ばらつきσの要因分離処理では、まず、コークス強度の時系列データから、単位期間における各ロットのコークス強度を取得する(S10)。例えば、単位期間が1ヶ月の場合には、1ヶ月の間に測定された各ロットのコークス強度が取得される。
次いで、単位期間における全ばらつきσのばらつき要因を分離する(S20~S50)。かかる処理では、全ばらつきσ、ロット内ばらつきσ、及び、ロット間ばらつきσが算出される。全ばらつきσ及びロット内ばらつきσは、それぞれ独立して算出可能であり、その算出順は問わない。ロット間ばらつきσは、全ばらつきσ及びロット内ばらつきσに基づき算出される。
具体的には、例えば、まず、ロット内ばらつきσ及び試験ばらつきσ1-1を算出する(S20)。ロット内ばらつきσは上記式(1)から算出され、試験ばらつきσ1-1は上記式(2)から算出される。そして、算出されたロット内ばらつきσ及び試験ばらつきσ1-1を用いて、上記式(3)から試験以外要因ばらつきσ1-2を算出する(S30)。ステップS20及びS30がロット内ばらつき算出工程に相当する。
一方、単位期間におけるコークス強度の標準偏差を算出し、単位期間における全ばらつきσとする(S40:全ばらつき算出工程)。そして、ステップS20にて算出されたロット内ばらつきσ及びステップS40にて算出された全ばらつきσから、ロット間ばらつきσが上記式(4)に基づき算出される(S50:ロット間ばらつき算出工程)。
このように、ステップS20~S50の処理を実行することで、単位期間における全ばらつきσのばらつき要因をロット内ばらつきσ及びロット間ばらつきσに分離することができる。ロット内ばらつきσについては、試験ばらつきσ1-1と試験以外要因ばらつきσ1-2とにさらに分離することができる。以上の処理は、コンピュータ等の情報処理装置により実施することができる。
単位期間における全ばらつきσがばらつき要因毎に分離されると、ばらつき要因が分析され、必要に応じてばらつきを低減させるための対応が検討される(S60)。例えばステップS10~S50の処理が情報処理装置にて実施された場合、情報処理装置により当該算出結果がディスプレイ等の表示装置に表示され、ばらつき要因を分析するための情報が提示される。提示されたコークス強度の各種ばらつきに基づき、全ばらつきσに対して支配的なばらつき要因が分析され、必要に応じてばらつきを低減させるための対応が検討される。なお、以下に説明するばらつき要因の分析は、作業者が実施してもよく、情報処理装置によって分析して分析結果を作業者に提示するようにしてもよい。
ばらつき要因の分析内容としては、大別すると、単位期間内における全ばらつきσに対して支配的なばらつき要因の特定(単位期間内分析)と、複数の単位期間におけるばらつき要因の変化傾向の分析(単位期間間分析)とがある。
単位期間内分析は、単位期間内における試験ばらつきσ1-1、試験以外要因ばらつきσ1-2及びロット間ばらつきσから、全ばらつきσに占める割合の大きいばらつき要因を特定する。例えば、全ばらつきσが許容値よりも大きくなった場合には、全ばらつきσに支配的なばらつき要因のばらつきを低減させるように対策をとるのが効果的である。なお、全ばらつきσの許容値は、過去の操業実績等から、適宜、設定することが例示される。
一方、単位期間間分析では、複数の単位期間におけるばらつき要因の変化に着目する。例えば、2つの単位期間を見たときに全ばらつきσが増加した際、全ばらつきσの増加に伴い増加したばらつき要因を特定する。単位期間内においては全ばらつきσに対して占める割合の大きいばらつき要因であっても、複数の単位期間で当該ばらつき要因のばらつきの値に着目すると、全ばらつきσが増加した場合にも当該ばらつき要因のばらつきの値はほとんど変化していない場合もある。このように、全ばらつきσが増加してもばらつきの値がほとんど変化していないばらつき要因は、全ばらつきσの変化にほぼ影響していないと考えられる。そこで、ステップS20~S50にて算出された各ばらつき要因のばらつきに基づき、全ばらつきσの増加に伴いばらつきが増加したばらつき要因を特定し、かかるばらつき要因のばらつきを低減させることで、全ばらつきσを効果的に低減することができる。
なお、単位期間内分析と単位期間間分析の両方に着目してばらつき要因を分析しても良い。例えば、2つの単位期間を見たときに全ばらつきσが増加した際、全ばらつきσの増加に伴い増加したばらつき要因を特定する。さらに、単位期間内において全ばらつきσに対して占める割合が、許容値よりも大きいばらつき要因も特定する。この場合、それぞれ特定されたばらつき要因が同じ要因である場合は、当該要因のばらつきを低減させることとし、一方、それぞれ特定されたばらつき要因が相違する場合は、それぞれの要因ともに、ばらつき要因を低減させる対応をとることが望ましい。
なお、全ばらつきσの増加に影響を及ぼしているばらつき要因は1つとは限らず、全ばらつきσが増加しているときに、複数のばらつき要因のばらつきが増加することも考えられる。この場合には、ばらつきの増加したばらつき要因それぞれについて、ばらつきを低減させる対応をとることが望ましい。
各ばらつき要因のばらつきを低減させるためには、具体的には以下のような対応が行われる。まず、試験ばらつきσ1-1が増加した場合は、ドラム強度測定試験装置や縮分装置等の試験に用いる装置の不具合、試験作業者の作業熟練度不足等がばらつき増加の要因として考えられる。この場合には、試験装置のメンテナンスや試験作業者の作業熟練度向上等により対応する。次に、試験以外要因ばらつきσ1-2が増加した場合は、燃焼等の、同一窯内あるいは窯間のばらつき要因に着目し対応を検討する。そして、ロット間ばらつきσが増加した場合は、長期間にわたる石炭性状変化や石炭切出し時の実施要領の相違等がばらつき増加の要因として考えられる。この場合には、石炭性状の管理や石炭切出し作業を正確に実施することが対応として考えられる。
以上、本実施形態に係る単位期間における全ばらつきσの要因分離処理と、これに基づくばらつきを低減させるための対応の検討について説明した。本実施形態によれば、単位期間におけるロット内ばらつきσ及び試験ばらつきσ1-1を測定して、試験以外要因ばらつきσ1-2を算出するとともに、ロット内ばらつきσを測定した時期を含む長期間におけるコークス強度の全ばらつきσを算出する。そして、全はらつきσからロット内ばらつきσの影響を除いたばらつきをロット間ばらつきσとする。このように、全ばらつきσをばらつき要因毎に分離することで、全ばらつきσが増加した場合に、試験ばらつきσ1-1、試験以外要因ばらつきσ1-2、または、ロット間ばらつきσのいずれが全ばらつきσの増加に対して支配的であるかを定量化することができ、支配的なばらつき増加要因に対しての管理強化を実施することでコークス炉の操業を適切に実施することが可能となる。
なお、ロット間ばらつきσの増大が全ばらつきσ増大に対して支配的な場合であったが、例えば試験装置に不具合が生じていることに気付かずに試験ばらつきσ1-1の増大が支配的でありロット間ばらつきσがほとんど変化していないような場合もあり得る。このような場合も、上記実施形態に係る全ばらつきσの要因分離処理を実施することで、全ばらつきσの変動の要因を的確に把握することが可能であり、当該因を解消する対応をとることができる。また、試験以外要因ばらつきσ1-2が全ばらつきσの増大の要因である場合には、燃焼のばらつきが原因として考えられる。この場合には、例えばフリュー温度実測結果から燃焼不良のフリューを特定してその補修を行う等、ハード面の対応が検討される。
上記実施形態にて説明した図4に示すコークスの強度管理方法に基づいて、実コークス炉について取得された単位期間(1ヶ月)の全ばらつきσをばらつき要因に分離し、全ばらつきσに支配的なばらつき要因の特定を行った。かかるコークス炉では月単位で全ばらつきを管理しており、図5左側に示すように1月及び2月の全ばらつきσが取得されている。1月の全ばらつきσは0.567であったが、2月の全ばらつきσが0.637に増加していたため、その要因を特定すべく、図4に示す処理に基づいて各月の全ばらつきσのばらつき要因毎に分離した。
コークスのサンプリングは、図3に示した交互サンプリング法に基づき2つの交互サンプルを作成した後、それぞれの交互サンプルから二重サンプルを作成した。そして、得られた二重サンプルについてコークス強度を測定するとともに、コークス強度のロット内ばらつきσ、試験ばらつきσ1-1、及び、試験以外要因ばらつきσ1-2を算出した。また、全ばらつきσ及びロット内ばらつきσから、ロット間ばらつきσを算出した。各月における各ばらつき要因のばらつきの値は、図5右側に示す通りであった。
図5右側に示すように、試験ばらつきσ1-1及び試験以外要因ばらつきσ1-2はほとんど変化なく、ロット内ばらつきσはほぼ不変であった。一方、ロット間ばらつきσについては、1月は0.361であったが2月は0.455に増加していた。これより、ロット間ばらつきσの増大が全体のばらつきσの増大の要因であることが特定される。したがって、全ばらつきσを低減するためには、原料炭の配合変更による配合ばらつき、粒度や温度等の操業管理条件の変更によるばらつき、同一銘柄の石炭の性状変化ばらつきといった、長期的な操業に起因して発生するばらつきのうち、どの要因によるものかを確認し、要因を特定した上で、当該要因のばらつきを低減する対策をとるのが効果的であるとわかる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。

Claims (3)

  1. コークス炉にて製造されたコークスの強度管理方法であって、
    単位期間に製造された複数のロットのコークス強度に基づいて、前記コークス強度のロット内ばらつき、及び、前記ロット内ばらつきのうち前記コークス強度の測定試験に起因する試験ばらつきを算出するとともに、前記ロット内ばらつき及び前記試験ばらつきに基づいて、前記ロット内ばらつきのうち前記試験ばらつき以外の試験以外要因ばらつきを算出する同一ロット内ばらつき算出工程と、
    前記単位期間内における前記コークス強度のばらつきである全ばらつきを算出する全ばらつき算出工程と、
    前記全ばらつきから前記ロット内ばらつきを除いたロット間ばらつきを算出するロット間ばらつき算出工程と、
    を含む、コークスの強度管理方法。
  2. 前記全ばらつき要因に対する前記試験ばらつき、前記試験以外要因ばらつき、及び、前記ロット間ばらつきの割合から、前記単位期間における前記全ばらつきに対して支配的なばらつき要因を分析する単位期間内分析工程をさらに含む、請求項1に記載のコークスの強度管理方法。
  3. 複数の前記単位期間について、前記試験ばらつき及び前記試験以外要因ばらつきからなる前記ロット内ばらつきと、前記ロット間ばらつきとを取得して、前記単位期間における各ばらつきの変化を求め、
    複数の前記単位期間において、前記全ばらつきの増加に対応して、前記試験ばらつき、前記試験以外要因ばらつき、または、前記ロット間ばらつきのうち少なくともいずれか1つが増加しているとき、値が増加しているばらつきのばらつき要因を前記全ばらつきの増加の要因として特定する単位期間間分析工程をさらに含む、請求項1または2に記載のコークスの強度管理方法。
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