以下、本発明の融着装置、融着システムおよび防水シートの融着方法を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
<第1実施形態>
図1および図2は、それぞれ、本発明の融着装置(融着システム)の第1実施形態における使用状態を示す側面図である。図3および図4は、それぞれ、図1中の矢印A方向から見た図である。図5は、図2中の矢印B方向から見た図である。図6は、図1中の矢印C方向から見た図である。図7は、図1中の一点鎖線で囲まれた領域[D]の垂直断面図である。図8は、本発明の融着装置(融着システム)の主要部のブロック図である。図9~図11は、それぞれ、本発明の融着装置(融着システム)が備える制御部の制御プログラムを示すフローチャートである。図12は、時間と入力電流(閾値)との関係を示すタイミングチャートである。図13~図15は、それぞれ、経時的な加熱ON信号と入力電流と出力電流との各変化(一例)を示すグラフである。なお、以下では、説明の都合上、図1、図2および図7中の上側を「上(または上方)」、下側を「下(または下方)」と言う。
図1、図2に示すように、躯体1000が有する床部101は、シート防水構造10によって、防水処理が施されている。シート防水構造10は、防水シート(第1樹脂部材)11と、複数の固定ディスク9とを有している。
防水シート11は、各固定ディスク9(ディスク部材91)よりも表側の面積が十分に広いものであり、床部101の防水処理を要する部分を、各固定ディスク9ごと覆うことができる。
防水シート11は、樹脂材料で構成され、その樹脂材料としては、特に限定されないが、例えば、ポリ塩化ビニルのような塩化ビニル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、塩化ビニル系樹脂であることが好ましい。これにより、防水シート11の溶剤溶着性や熱融着性を優れたものとすることができる。なお、塩化ビニル系樹脂としては、塩化ビニルを含む重合体、すなわち、オリゴマー、プレポリマーおよびポリマーであれば特に限定されないが、例えば、塩化ビニルの単量重合体、または塩化ビニルと、酢酸ビニル、エチレン、もしくはプロピレン等との共重合体、および、これらの2種以上の重合体の混合物等が挙げられる。
防水シート11の厚さは、0.5mm以上4.0mm以下であるのが好ましく、1.0mm以上2.5mm以下であるのがより好ましい。
固定ディスク9は、防水シート11を床部101に対して固定するものである。この固定ディスク9は、床部101上に間隔を置いて配置されている。円板状をなすディスク部材(基部)91と、ディスク部材91の上面を覆う樹脂層(第2樹脂部材)92とで構成されている。
ディスク部材91は、磁性体(強磁性体)で構成され、その材料としては、特に限定されず、例えば、鉄、コバルト、ニッケル、ガドリニウム、クロム等の金属のうちのいずれか、または、これらのうちの1種以上を含む合金等の金属材料を用いることができる。
また、ディスク部材91の中心部には、ビス12が挿通する挿通孔911が貫通して形成されている。固定ディスク9は、挿通孔911を挿通したビス12を介して床部101に固定される。
なお、ディスク部材91の直径は、特に限定されないが、20mm以上150mm以下程度であるのが好ましく、40mm以上100mm以下程度であるのがより好ましい。また、ディスク部材91の厚さは、特に限定されないが、0.1mm以上3mm以下程度であるのが好ましく、0.3mm以上1.5mm以下程度であるのがより好ましい。
樹脂層92は、ディスク部材91の上面に設けられ、この上面を覆うコート層である。樹脂層92を構成する樹脂材料としては、例えば、ポリ塩化ビニルのような塩化ビニル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体、アクリル系樹脂、ABS等の熱可塑性樹脂が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができるが、ポリ塩化ビニルであるのが好ましい。これにより、樹脂層92と防水シート11とを融着した際、互いの密着性を向上させることができる。そして、この融着により、防水シート11は、床部101に対して固定される。また、樹脂層92を構成する樹脂として、ポリ塩化ビニルを用いた場合、このポリ塩化ビニルは、溶剤溶着性や熱融着性に優れるため、前記効果をより顕著に発揮させることができるとともに、固定ディスク9の腐食をより確実に防止することができる。
なお、樹脂層92の厚さは、特に限定されないが、0.03mm以上であるのが好ましく、0.05mm以上0.3mm以下であるのがより好ましい。これにより、防水シート11が風で煽られることに起因して、樹脂層92に応力が作用したとしても、この樹脂層92において亀裂や破断が生じるのを的確に抑制することができる。
図1、図2に示すように、融着装置100は、防水シート11と、固定ディスク9(磁性体)の樹脂層92とを融着する装置である。この融着装置100は、検出装置1を内蔵している。
また、この融着装置100は、本発明の防水シートの融着方法を実行可能な装置である。防水シートの融着方法は、通電により固定ディスク9のディスク部材91に誘導加熱を生じさせて、防水シート11と固定ディスク9の樹脂層92との融着を行なう融着工程を有している。
また、融着装置100と、防水シート(第1樹脂部材)11とにより、融着システム200が構成されている。
融着装置100によって融着される防水シート11は、透明性を有さず、不透明なものである。作業者(施工業者)は、防水シート11と固定ディスク9とを融着する際、固定ディスク9を、不透明な防水シート11で覆ってその融着作業を行なうため、固定ディスク9の位置を視認することができない。
融着装置100の検出装置1は、防水シート11と固定ディスク9とを融着するのに先立って、固定ディスク9の位置を検出するのに用いられる装置となっている。そして、融着装置100は、検出装置1による固定ディスク9の検出後、防水シート11と固定ディスク9とを融着することができる。これにより、床部101は、シート防水構造10によって、防水処理が施されたものとなる。
例えば、防水シート11を介した融着装置100と固定ディスク9との位置関係が、図1に示す状態の場合、固定ディスク9の樹脂層92の上面921全面と、その面に当接する防水シート11の当接面111とを、後述する誘導加熱によって十分に加熱することができる。これにより、防水シート11と固定ディスク9とを過不足なく融着することができる。
これに対し、防水シート11を介した融着装置100と固定ディスク9との位置関係が、図2に示す状態の場合、固定ディスク9の樹脂層92の上面921全面を誘導加熱によって加熱することができず、その結果、防水シート11と固定ディスク9との融着が不十分となる。
図1、図2、図8に示すように、融着装置100は、検出装置1と、磁場発生部7と、入力電流検出部8とを備えている。以下、各部の構成について説明する。
検出装置1は、ハウジング2と、磁性体検出部(基部検出部)3と、発光部4と、電源6とを備えている。
ハウジング2は、例えば、円筒状をなし、その内側に、例えば、磁性体検出部3や電源6等を収納するものである。このハウジング2は、上側に配置された天板21と、下側に配置された底板22と、天板21と底板22とをつなぐ側壁板23とを有している。
図1、図2に示すように、天板21には、融着装置100(検出装置1)を用いるときに把持されるハンドル(把持部)24が固定されている。このハンドル24は、アーチ状をなし、その両端部がそれぞれ天板21に、例えばネジ止めにより固定されている。また、図3~図5に示すように、ハンドル24は、円形をなす天板21の中心をとおるように配置されている。これにより、ハンドル24を把持して、融着装置100を安定して使用することができる。
底板22は、その下面が、固定ディスク9(磁性体)を覆った状態の防水シート11に当接する当接面221となる。なお、底板22(当接面221)の直径としては、特に限定されない。
なお、天板21、底板22および側壁板23の構成材料としては、特に限定されず、例えば、ナイロンやポリカーボネート等のような各種熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂等の各種熱硬化性樹脂、金属を用いることができる。天板21、底板22および側壁板23の厚さは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
また、ハンドル24の構成材料としては、特に限定されず、例えば、アルミニウムやステンレス鋼等のような各種金属材料やその他各種樹脂材料を用いることができる。
電源6は、例えば、充電可能な2次電池で構成されている。図8に示すように、電源6は、磁性体検出部3の制御部34、入力電流検出部8等に電気的に接続されている。これにより、制御部34に電力を供給したり、入力電流検出部8を介して誘導加熱発振回路72に電力を供給することができる。
磁性体検出部3は、固定ディスク9を防水シート11で覆った状態、すなわち、ディスク部材91を樹脂層92ごと防水シート11で覆った状態で、固定ディスク9(ディスク部材91)の位置を検出するものである。図7に示すように、磁性体検出部3は、ホール素子31と、磁石32と、スペーサ33とを有している。また、図8に示すように、磁性体検出部3は、制御部34と、信号増幅部35とを有している。
磁性体検出部3では、ホール素子31と磁石32とスペーサ33とが組(組立体)となって1つのユニットを構成しており、本実施形態では、4つのユニットが配置されている。これら4つのユニットは、円形をなす底板22(当接面221)の縁部に沿って等間隔に配置されており、図6中の左側のユニットから時計回りに順に「第1検出ユニット30A」、「第2検出ユニット30B」、「第3検出ユニット30C」、「第4検出ユニット30D」と言う。第1検出ユニット30A、第2検出ユニット30B、第3検出ユニット30C、第4検出ユニット30Dは、同じ構成であるため、以下、第1検出ユニット30Aについて代表的に説明する。
前述したように、第1検出ユニット30Aは、ホール素子31と、磁石32と、スペーサ33とを有している。
図8に示すように、ホール素子31は、制御部34を介して電源6と電気的に接続されている。これにより、ホール素子31に電力を供給する、すなわち、電圧を印加して通電することができる。
図7に示すように、ホール素子31は、例えばブロック状をなし、ハウジング2の底板22に対して固定されている。また、ホール素子31の防水シート11と反対側、すなわち、上側には、磁石32が配置されている。これにより、ホール素子31は、磁石32から磁界を受ける。そして、ホール素子31を通電した状態とすると、ホール素子31の内部では、磁界の方向および電流の方向の双方向と直交する方向に、ホール効果による電位差(ホール電圧)が生じる。この電位差は、制御部34(電圧検出部)によって検出される。
ホール素子31の構成材料としては、特に限定されず、例えば、InSb(インジウムアンチモン)、GaAs(ガリウムひ素)等を用いることができる。
また、ホール素子31の平面視での形状としては、特に限定されず、例えば、正方形、長方形等のような四角形や、円形、楕円形等のような丸みを帯びた形状とするのが好ましい。例えば、ホール素子31の平面視での形状が正方形の場合、一辺の大きさは、2mm以上6mm以下であるのが好ましく、3mm以上5mm以下であるのがより好ましい。
また、磁石32としては、永久磁石を用いるのが好ましい。これにより、例えば電力供給により磁界を生じさせる電磁石よりも、簡単な構成で磁界を生じさせることができる。そして、ホール素子31は、磁界を迅速に受けることができる。
磁石32の磁束密度としては、特に限定されず、例えば、3000G以上6000G以下であるのが好ましく、4500G以上5500G以下であるのがより好ましい。
磁石32の形状としては、特に限定されず、例えば、円柱状や板状が好ましい。円柱状の場合、直径は、φ3mm以上φ6mm以下であるのが好ましく、φ3mm以上φ4mm以下がより好ましい。また、長さは、5mm以上15mm以下であるのが好ましく、10mm以上12mm以下がより好ましい。
磁石32の配置としては、通電時のホール素子31内での電流の方向にもよるが、磁石32を、例えば、N極が上側、S極が下側となるように配置するのが好ましい。
図7に示すように、ホール素子31と磁石32とは、離間している。そして、ホール素子31と磁石32との間には、非磁性体で構成されたスペーサ33が介在している。スペーサ33は、ブロック状をなし、磁石32をホール素子31上で支持している。このようなスペーサ33により、ホール素子31が磁石32から受ける磁界の強さを調整することができる。例えば、磁石32の磁束密度が4500Gの場合、スペーサ33によるホール素子31と磁石32との離間距離は、2mm以上5mm以下であるのが好ましく、3mm以上4mm以下であるのがより好ましい。
スペーサ33は、非磁性体で構成され、その材料としては、特に限定されず、例えば、前述した熱可塑性樹脂等を用いることができる。
制御部34は、例えばマイクロプロセッサを有するものであり、信号増幅部35、誘導加熱発振回路72、入力電流検出部8の各部の作動を制御することができる。また、制御部34は、例えば、種々のプログラムが記憶されており、このプログラムに基づいた処理を行なうことができる。このプログラムには、例えば、固定ディスク9を検出して、その後、固定ディスク9と防水シート11との融着を行なうまでのプログラム等が含まれている。
前述したように、ホール素子31を通電した状態とすると、ホール素子31の内部では、ホール効果による電位差が生じる。磁石32と固定ディスク9のディスク部材91(磁性体)との距離(最短距離)に応じて磁界が変化するため、その結果、電位差も同様に変化する。
例えば、図1に示す状態では、検出装置1(底板22)の中心線O1と固定ディスク9の中心線O9とがほぼ重なっている。このとき、第1検出ユニット30Aのホール素子31とディスク部材91との距離d30Aと、第2検出ユニット30Bのホール素子31とディスク部材91との距離d30Bと、第3検出ユニット30Cのホール素子31とディスク部材91との距離d30cとは、同じとなっている。この場合、各ホール素子31で生じる電位差は、同じとなる。
一方、図2に示す状態では、検出装置1の中心線O1が固定ディスク9の中心線O9に対して図中右側にズレている。このとき、第1検出ユニット30Aのホール素子31とディスク部材91との距離d30Aと、第2検出ユニット30Bのホール素子31とディスク部材91との距離d30Bとは、同じとなっているが、中心線O1が中心線O9に対してズレている分、第3検出ユニット30Cのホール素子31とディスク部材91との距離d30cは、距離d30Aや距離d30Bよりも長くなっている。この場合、第3検出ユニット30Cのホール素子31で生じる電位差は、他のユニットのホール素子31で生じる電位差よりも低くなる。
そして、各ホール素子31の内部で生じた電位差の検出は、制御部34によって行なわれる。このように制御部34は、ホール素子31に通電した状態で、磁石32と固定ディスク9のディスク部材91(磁性体)との距離(最短距離)に応じた電圧(電位差)を検出する電圧検出部として機能する。
この電圧検出部による検出結果に基づいて、固定ディスク9(磁性体)の有無を判断することができる。この判断も、制御部34によって行なわれる。このように制御部34は、固定ディスク9の有無判断を行なう判断部としても機能する。
固定ディスク9の有無の判断は、電圧検出部で検出された電位差Enと、予め設定されている基準値E0との差ΔEが閾値α以上の場合に、固定ディスク9(磁性体)が有ると判断する。なお、電位差Enの添え字「n」は、1~4の整数であり、n=1の場合、第1検出ユニット30Aのホール素子31で生じた電位差E1を表し、n=2の場合、第2検出ユニット30Bのホール素子31で生じた電位差E2を表し、n=3の場合、第3検出ユニット30Cのホール素子31で生じた電位差E3を表し、n=4の場合、第4検出ユニット30Dのホール素子31で生じた電位差E4を表す。また、基準値E0は、検出装置1が固定ディスク9から十分に離間している状態で、ホール素子31の内部で生じる電位差であり、例えば実験的に求められた値である。また、閾値αは、予め設定されている値であり、例えば実験的に求められた値である。
そして、電位差E1、電位差E2、電位差E3および電位差E4がいずれも閾値α以上であった場合には、検出装置1の中心線O1と固定ディスク9の中心線O9とがほぼ重なった図1に示す状態にあるとみなすことができる。この状態での検出装置1と固定ディスク9との位置関係は、固定ディスク9と防水シート11との融着に適した位置関係にある。
これに対し、電位差E1、電位差E2、電位差E3および電位差E4のうちの1つでも閾値α未満となる場合もある。その一例として、図2に示す状態がある。この図2に示す状態では、電位差E1、電位差E2および電位差E4は、いずれも閾値α以上となるが、電位差E3は、閾値α未満となる。この状態で、固定ディスク9と防水シート11とを融着しても、その融着面積は、シート防水構造10による防水処理を保障することができる程度に十分には確保されない。
以上のような構成の検出装置1は、樹脂材料で構成された防水シート11に融着される固定ディスク9の位置を、各ホール素子31の内部で生じた電位差を検出するという簡単な構成で、正確かつ確実に検出することができる。そして、作業者は、防水シート11と固定ディスク9とを融着する際、この検出結果を用いて、そのまま融着するか否かを選択することができる。
図8に示すように、ホール素子31は、信号増幅部35を介しても、制御部34と電気的に接続されている。信号増幅部35は、電位差E1、電位差E2、電位差E3および電位差E4の各電位差と、基準値E0との差ΔEを増幅する回路である。これにより、各差ΔEが閾値α以上であるか否かの判断を正確に行なうことができる。
なお、信号増幅部35の構成としては、特に限定されず、例えば、トランジスタを有する構成とすることができる。
また、制御部34の電圧検出部として機能する部分(検出回路)は、各ホール素子31に対して、1つずつ配置されるのが好ましい。これにより、各ホール素子31に対する電位差の検出を迅速に行なうことができ、よって、検出装置1全体として、電位差検出処理時間を短縮することができる。
図3~図5に示すように、天板21には、発光部4が設けられている。この発光部4には、第1発光部4Aと、第2発光部4Bと、第3発光部4Cと、第4発光部4Dとが含まれている。第1発光部4A、第2発光部4B、第3発光部4Cおよび第4発光部4Dの中では、第1発光部4Aが図中の左側に配置され、以降、反時計回りに順に、第2発光部4B、第3発光部4Cおよび第4発光部4Dが配置されている。また、第1発光部4A、第2発光部4B、第3発光部4Cおよび第4発光部4Dは、それぞれ、例えば、LEDで構成されている。
第1発光部4Aは、第1検出ユニット30A(ホール素子31)に対応して設けられ、第1検出ユニット30Aのホール素子31で発生する電位差E1の大小に応じて、すなわち、電位差E1と基準値E0との差ΔEが閾値α以上であるか否かの判断に応じて、点灯、消灯する。第1発光部4Aは、差ΔEが閾値α以上であれば点灯し、それ以外では消灯する。
第2発光部4Bは、第2検出ユニット30B(ホール素子31)に対応して設けられ、第2検出ユニット30Bのホール素子31で発生する電位差E2の大小に応じて、すなわち、電位差E2と基準値E0との差ΔEが閾値α以上であるか否かの判断に応じて、点灯、消灯する。第2発光部4Bは、差ΔEが閾値α以上であれば点灯し、それ以外では消灯する。
第3発光部4Cは、第3検出ユニット30C(ホール素子31)に対応して設けられ、第3検出ユニット30Cのホール素子31で発生する電位差E3の大小に応じて、すなわち、電位差E3と基準値E0との差ΔEが閾値α以上であるか否かの判断に応じて、点灯、消灯する。第3発光部4Cは、差ΔEが閾値α以上であれば点灯し、それ以外では消灯する。
第4発光部4Dは、第4検出ユニット30D(ホール素子31)に対応して設けられ、第4検出ユニット30Dのホール素子31で発生する電位差E4の大小に応じて、すなわち、電位差E4と基準値E0との差ΔEが閾値α以上であるか否かの判断に応じて、点灯、消灯する。第4発光部4Dは、差ΔEが閾値α以上であれば点灯し、それ以外では消灯する。
例えば、検出装置1が図1に示す状態にあるときには、第1発光部4A、第2発光部4B、第3発光部4Cおよび第4発光部4Dは、図3に示す状態、すなわち、全消灯状態から図4に示す状態、すなわち、全点灯状態となる。
また、検出装置1が図2に示す状態にあるときには、第1発光部4A、第2発光部4Bおよび第4発光部4Dは、それぞれ、点灯状態となるが、第3発光部4Cは、消灯したままとなる。この場合、検出装置1を図2に示す状態から図中の左側へ移動させて、図1に示す状態とするのが好ましい。これにより、第1発光部4A、第2発光部4B、第3発光部4Cおよび第4発光部4Dは、全点灯状態となる。
全点灯状態では、防水シート11と固定ディスク9との融着が可能となり、作業者は、そのまま融着作業に移行することができる。また、全点灯状態になると自動的に融着作業が開始するシステムであっても構わない。
図8に示すように、融着装置100は、検出装置1の他に、さらに磁場発生部7を備えている。磁場発生部7は、通電により固定ディスク9のディスク部材91に誘導加熱を生じさせて、防水シート11と固定ディスク9の樹脂層92との融着を行なうものである。そして、この誘導加熱により、少なくとも固定ディスク9の樹脂層92(好ましくは樹脂層92と防水シート11との双方)が溶融して、この樹脂層92と、当該樹脂層92に接触している防水シート11の一部とが融着することとなる。磁場発生部7は、加熱コイル(融着部)71と、誘導加熱発振回路(発振部)72とを有している。
加熱コイル71は、ハウジング2内に配置されており、できる限り底板22に近い位置に固定されている。図6に示すように、加熱コイル71は、第1検出ユニット30A、第2検出ユニット30B、第3検出ユニット30C、第4検出ユニット30Dに囲まれている。また、加熱コイル71は、線状体711を、中心線O1回りに渦巻き状(コイル状)に巻回されたものである。線状体711の構成材料としては、特に限定されず、例えば、リッツ線等を用いることができる。リッツ線は、細いエナメル線を撚ったものであり、高周波特性が良く、交流抵抗を小さくし、加熱コイルの過度の温度上昇を抑えることができる。
加熱コイル71には、誘導加熱発振回路72が電気的に接続されている。誘導加熱発振回路72は、例えば、高周波インバータであり、加熱コイル71に高周波(高周波電流)を付与する(供給する)ことができる。そして、高周波が付与された加熱コイル71は、固定ディスク9のディスク部材91を誘導加熱(高周波加熱)することができる。これにより、前述したように、固定ディスク9と防水シート11とを融着させることができる。なお、誘導加熱する時間としては、特に限定されず、例えば、3秒以上20秒以下であるのが好ましく、5秒以上10秒以下であるのがより好ましい。
また、図3~図5に示すように、天板21には、スイッチ(操作部)5が設けられている。このスイッチ5は、磁場発生部7を作動させて、融着を開始するスタートスイッチである。なお、スイッチ5は、第1発光部4A、第2発光部4B、第3発光部4Cおよび第4発光部4Dが全て点灯状態となったときに、「ON」とすることができる。
次に、固定ディスク9の位置を検出してから、この固定ディスク9と防水シート11とを融着するまでの制御プログラムを図9、図10に示すフローチャートに基づいて説明する。
図9に示すように、固定ディスク9の位置を検出する(ステップS101)。ステップS101は、サブルーチンであり、図10に示すステップが順次行なわれる。図10に示すように、第1検出ユニット30Aのホール素子31で生じた電位差E1を検出する(ステップS201)。次いで、電位差E1と基準値E0との差ΔEを演算して(ステップS202)、差ΔEが閾値α以上であるか否かを判断する(ステップS203)。ステップS203において差ΔEが閾値α以上であると判断されたら、第1発光部4Aを発光させる(ステップS204)。このステップS201からステップS204までの一連のステップを第2検出ユニット30B(第2発光部4B)、第3検出ユニット30C(第3発光部4C)、第4検出ユニット30D(第4発光部4D)に対しても行なう。
次いで、図9に示すように、第1発光部4A、第2発光部4B、第3発光部4C、第4発光部4Dが発光している場合には(ステップS102)、スイッチ5の操作が可能となる。そして、スイッチ5が操作されたと判断された場合には(ステップS103)、磁場発生部7が作動して、誘導加熱発振回路72によって加熱コイル71に高周波(高周波電流)を付与する(ステップS104)。
次いで、制御部34に内蔵されているタイマーが作動して(ステップS105)、タイムアップとなったら(ステップS106)、加熱コイル71への高周波の付与を停止する(ステップS107)。
なお、ステップS102において、第1発光部4A、第2発光部4B、第3発光部4C、第4発光部4Dが発光していない場合には、作業者は、前述したように、第1発光部4A、第2発光部4B、第3発光部4C、第4発光部4Dが発光するまで、融着装置100の位置を調整する。以降は、ステップS103から下位のステップを順次実行する。なお、高周波付与停止後、圧着治具等を用いて防水シート11の上から固定ディスク9を押さえることにより、防水シート11と固定ディスク9の融着が確実にできる。
なお、融着装置100では、スイッチ5を省略してもよい。この場合、第1発光部4A~第4発光部4Dが全て点灯状態となったときに、制御プログラム上で、自動的に磁場発生部7を作動させて、融着を開始するよう構成されていてもよい。
また、スイッチ5は、第1発光部4A~第4発光部4Dが全て点灯状態となったときに、「ON」とすることができるよう構成されているが、これに限定されず、例えば、第1発光部4A~第4発光部4Dが全て消灯状態となったときに、「ON」とすることができるよう構成されていてもよい。
ところで、融着装置100(検出装置1)による固定ディスク9の位置検出を行なって、図1に示す状態(以下この状態を「第1状態」と言う)とし、この第1状態で融着作業を行なっている最中に、例えば融着装置100を無意識に移動させてしまうことがある。この場合、例えば図2に示す状態(以下この状態を「第2状態」と言う)となり、固定ディスク9と防水シート11との融着箇所の位置ズレが生じて、融着面積を十分に確保することができない。そして、そのまま融着作業を行なっても、固定ディスク9と防水シート11との融着が行なわれない、または、融着が不十分となる。その結果、融着作業が無駄、または融着不良になるおそれがある。
そこで、融着装置100は、このような不具合を防止するよう構成されている。以下、この構成および作用について説明する。
図8に示すように、融着装置100は、電源6から誘導加熱発振回路72に供給される入力電流の大きさを検出する入力電流検出部8を備えている。この入力電流検出部8としては、特に限定されず、例えば、電力量計を用いることができる。
なお、スイッチ5は、誘導加熱発振回路72に対する入力電流の供給と、入力電流の供給停止とを切り換える操作を行なうことができる。
そして、スイッチ5を「ON」して、融着作業が開始されて(このときの時間を「t0」とする)から、所定時間経過する(このときの時間を「t3」とする)まで間の経時的な加熱ON信号と入力電流と出力電流との各変化は、融着装置100が第1状態、第2状態のいずれかとなっているのかに応じて、例えば、図13~図15のグラフとなる。
ここで、「加熱ON信号」とは、磁場発生部7を作動させる信号のことである。
「入力電流」とは、電源6から誘導加熱発振回路72に供給される入力電流のことである。この入力電流は、加熱コイル71と固定ディスク9との間の諸条件によって、その大きさが異なる。この諸条件としては、例えば、ディスク部材91の構成材料、ディスク部材91の形状、加熱コイル71と固定ディスク9との距離等が挙げられる。
「出力電流」とは、加熱コイル71を流れる高周波電流のことである。
また、図13~図15中の縦軸(変化量)の目盛りは、入力電流用の目盛りである。従って、図13~図15中では、入力電流に対して、加熱ON信号と出力電流とがどのような関係があるのかを把握し易いように参考に重ね合わせている。
そして、時間t0から時間t3までの間、第1状態が維持された場合の、経時的な加熱ON信号と入力電流と出力電流との各変化は、図13のグラフのような挙動を示す。
また、時間t0から時間t3までの間に、第1状態から第2状態となった(第1状態→第2状態の順)ときの、経時的な加熱ON信号と入力電流と出力電流との各変化は、図14のグラフのような挙動を示す。
また、時間t0から時間t3までの間に、第1状態から第2状態となり、再度第1状態に戻したが、結局第2状態となった(第1状態→第2状態→第1状態→第2状態の順)ときの、経時的な加熱ON信号と入力電流と出力電流との各変化は、図15のグラフのような挙動を示す。
図13のグラフでは、時間t0から時間t3までの間、加熱ON信号が出力され続けている。また、入力電流は、経時的に増加していく。そして、入力電流は、徐々にその増加傾向が緩やかになり、やがて増加が停止して、ほぼ一定に維持されている。出力電流も、入力電流の変化傾向と同様に、経時的に増加していく。そして、出力電流は、徐々にその増加傾向が緩やかになり、やがて増加が停止して、ほぼ一定に維持されている。なお、ここで述べた加熱ON信号と出力電流との経時変化の傾向は、図14、図15でも同様である。
図14のグラフでは、時間t0から時間t3までの間、入力電流は、第1状態では経時的に増加していくが、第2状態になった途端に急峻に減少する。その後、入力電流は、減少が停止して、ほぼ一定に維持されている。
図15のグラフでは、時間t0から時間t3までの間、入力電流は、第1状態では経時的に増加していくが、第2状態になった途端に急峻に減少する。その後、入力電流は、減少が停止して、ほぼ一定に維持されるが、再度第1状態となると、急峻に増加する。さらにその後、入力電流は、増加が停止して、ほぼ一定に維持されるが、再度第2状態となると、急峻に減少する。このように、ここでの入力電流は、増加と減少とを繰り返している。また、第1状態での入力電流のピークは、1回目の第1状態でのピークよりも、2回目の第1状態でのピークの方が大きくなっている。
入力電流が第1状態で増加する原因としては、加熱コイル71にチャージされるエネルギ(発生する磁束)が、固定ディスク9(ディスク部材91)を貫通し、その際に誘導電流が発生する。これにより、前記エネルギが消費されて、加熱コイル71からの回生電流が少なくなるため、誘導加熱発振回路72への入力電流が増加するからである。
入力電流が第2状態で減少する、すなわち、増加しない原因としては、加熱コイル71にチャージされるエネルギ(発生する磁束)が消費されることがなく、加熱コイル71からの回生電流が多いため、誘導加熱発振回路72への入力電流が増加しないからである。
次に、融着作業(融着工程)を開始してから、その作業が完了するか、または、その作業を強制的に停止するまでの制御プログラムを、図11に示すフローチャートに基づいて説明する。この制御プログラムは、制御部34に予め記憶されている。
なお、融着作業が完了は、スイッチ5による入力電流の供給停止操作で行なわれてもよいし、入力電流の供給を自動的に停止することにより行なわれてもよい。
なお、この制御プログラムでは、入力電流検出部8での検出結果、すなわち、入力電流検出部8で検出された入力電流Iの大きさに基づいて、融着作業を継続するのか、または、融着作業を強制的に停止するのか、すなわち、誘導加熱発振回路72の作動を継続するか否かの判断を行なう。この判断も、制御部34によって行なわれる。このように制御部34は、融着作業継続可否の判断を行なう判断部としても機能する。
また、融着作業継続可否の判断に際し、第1閾値I1と、第1閾値I1よりも大きい第2閾値I2とを設定して、これら閾値と、入力電流Iとの大小関係を比較する。第1閾値I1および第2閾値I2も、制御部34に予め記憶されている。
また、図12に示すように、融着作業継続可否の判断に際し、融着作業を開始してから後の時間を第1時間帯(時間t1から時間t2まで)と第2時間帯(時間t2から時間t3まで)とに分ける。そして、第1時間帯では、第1閾値I1を用い、第2時間帯では、第2閾値I2を用いる。
図11に示すように、制御部34に内蔵されているタイマーが作動して(ステップS301)、時間t1経過したら(ステップS302)、入力電流Iと第1閾値I1との大小関係を比較して、入力電流I≧第1閾値I1であるか否かを判断する(ステップS303)。
ステップS303において入力電流I≧第1閾値I1であると判断されたら、時間t2経過したか否かを判断する(ステップS304)。これにより、融着作業は、少なくとも時間t2までは継続される。
なお、ステップS303において入力電流I≧第1閾値I1ではないと判断されたら、誘導加熱発振回路72の作動を停止する(ステップS305)。これにより、融着作業が強制的に停止される。
ステップS304において時間t2経過した場合には、入力電流Iと第2閾値I2との大小関係を比較して、入力電流I≧第2閾値I2であるか否かを判断する(ステップS306)。
ステップS306において入力電流I≧第2閾値I2であると判断されたら、時間t3経過したか否かを判断する(ステップS307)。これにより、融着作業が完了し、よって、防水シート11と固定ディスク9(樹脂層92)とは、融着面積が十分な状態で融着される。
なお、ステップS306において入力電流I≧第2閾値I2ではないと判断されたら、誘導加熱発振回路72の作動を停止する(ステップS308)。これにより、融着作業が強制的に停止される。
そして、この制御プログラムを、図13~図15の各グラフが得られる融着装置100の使用状態に当てはめてみる。この当てはめについて説明する。
図13のグラフが得られる融着装置100では、時間t0から時間t3の間、第1状態が維持されている。
この融着装置100では、まず、制御部34に内蔵されているタイマーが作動して(ステップS301)、時間t1経過したら(ステップS302)、入力電流Iと第1閾値I1との大小関係を比較して、入力電流I≧第1閾値I1であるか否かを判断する(ステップS303)。このステップS303では、入力電流I≧第1閾値I1であると判断される。これにより、誘導加熱発振回路72の作動がそのまま維持される。
次いで、ステップS304において時間t2経過した場合には、入力電流Iと第2閾値I2との大小関係を比較して、入力電流I≧第2閾値I2であるか否かを判断する(ステップS306)。このステップS306では、入力電流I≧第2閾値I2であると判断される。これにより、誘導加熱発振回路72の作動がそのまま維持される。
次いで、時間t3経過したか否かを判断する(ステップS307)。
このように、図13のグラフが得られる融着装置100では、融着作業を行なった際、防水シート11と固定ディスク9とが十分に融着されるまで、その作業を行なうことができる。
図14のグラフが得られる融着装置100では、時間t0から時間t3の間、第1状態から第2状態に変化している。
この融着装置100では、まず、制御部34に内蔵されているタイマーが作動して(ステップS301)、時間t1経過したら(ステップS302)、入力電流Iと第1閾値I1との大小関係を比較して、入力電流I≧第1閾値I1であるか否かを判断する(ステップS303)。このステップS303では、入力電流I≧第1閾値I1であると判断される。これにより、誘導加熱発振回路72の作動がそのまま維持される。
次いで、ステップS304において時間t2経過した場合には、入力電流Iと第2閾値I2との大小関係を比較して、入力電流I≧第2閾値I2であるか否かを判断する(ステップS306)。
ところで、図14に示すように、時間t2経過後、すなわち、第2時間帯では、融着装置100が第1状態から第2状態に変化している。そのため、ステップS306において入力電流I≧第2閾値I2ではないと判断されることとなり、誘導加熱発振回路72の作動を停止する(ステップS308)。これにより、融着作業が強制的に停止される。
このように、図14のグラフが得られる融着装置100では、融着作業を行なった際に、防水シート11と固定ディスク9との融着箇所の位置ズレが生じるが、そのまま融着作業を継続せずに、その作業を途中で停止することができる。これにより、融着作業が無駄、または融着不良になるのを防止することができる。
図15のグラフが得られる融着装置100では、時間t0から時間t3の間、第1状態と第2状態とが1回繰り返されている。
この融着装置100では、まず、制御部34に内蔵されているタイマーが作動して(ステップS301)、時間t1経過したら(ステップS302)、入力電流Iと第1閾値I1との大小関係を比較して、入力電流I≧第1閾値I1であるか否かを判断する(ステップS303)。
ところで、図15に示すように、時間t1経過後、すなわち、第1時間帯では、融着装置100が第1状態から第2状態に変化している。そのため、ステップS303において入力電流I≧第1閾値I1ではないと判断されることとなり、誘導加熱発振回路72の作動を停止する(ステップS305)。これにより、融着作業が強制的に停止される。
このように、図15のグラフが得られる融着装置100でも、図14のグラフが得られる融着装置100と同様に、融着作業を行なった際に、防水シート11と固定ディスク9との融着箇所の位置ズレが生じるが、そのまま融着作業を継続せずに、その作業を途中で停止することができる。これにより、融着作業が無駄、または融着不良になるのを防止することができる。
また、図15のグラフが得られる融着装置100では、次のような制御となっていてもよい。
ステップS303において入力電流I≧第1閾値I1ではないと判断されることとなるが、その後、ステップS305を実行せずに、所定時間(例えば、時間t2を超え、第2時間帯の途中まで)待機後、ステップS306を実行してもよい。
図15に示すように、第2時間帯では、融着装置100が第2状態から第1状態に変化している。そのため、ステップS306において入力電流I≧第2閾値I2であると一旦は判断されるが、融着装置100が再度第2状態に変化しており、結果的には、ステップS306において入力電流I≧第2閾値I2ではないと判断されることとなる。
その後、誘導加熱発振回路72の作動を停止する(ステップS308)。これにより、融着作業が強制的に停止される。
このような制御によっても、図15のグラフが得られる融着装置100では、融着作業を途中で停止することができ、よって、その作業が無駄、または不良になるのを防止することができる。
以上のように、融着装置100(制御部34)では、入力電流検出部8での検出結果が、予め設定された第1閾値I1または第2閾値I2以上となっていた場合、誘導加熱発振回路72の作動を継続すると判断することができる。
特に、融着装置100では、誘導加熱発振回路72の作動を継続するか否かを判断するのに際して、誘導加熱発振回路72に対する入力電流の供給が開始されてから後の時間を、第1時間帯と第2時間帯とに分け、第1時間帯および第2時間帯の双方の時間帯で、その判断を行なうことができる。
本実施形態では、第1時間帯で、入力電流検出部8での検出結果(入力電流I)が第1閾値I1以上となっていた場合、誘導加熱発振回路72の作動を継続すると判断される。
一方、第2時間帯では、入力電流検出部8での検出結果(入力電流I)が第2閾値I2以上となっていた場合、誘導加熱発振回路72の作動を継続すると判断される。
また、誘導加熱発振回路72の作動を継続しないと判断した場合には、誘導加熱発振回路72に対する入力電流の供給が強制的に停止される。
このような判断を行なうことができることにより、防水シート11と固定ディスク9とを融着させる際に、融着装置100が第1状態である場合には、防水シート11と固定ディスク9とが十分に融着されるまで、その融着作業を行なうことができる。これにより、風雨に耐え得る品質に優れたシート防水構造10を施工することができる。
また、防水シート11と固定ディスク9とを融着させる際に、融着装置100が第2状態となった場合には、防水シート11と固定ディスク9との融着箇所に位置ズレが生じているため、その融着作業を途中で強制的に停止することできる。これにより、融着作業が無駄、または融着不良になるのを防止することができる。
<第2実施形態>
図16は、本発明の融着装置(融着システム)の第2実施形態における制御部の制御プログラムを示すフローチャートである。
以下、この図を参照して本発明の融着装置、融着システムおよび防水シートの融着方法の第2実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、固定ディスクの位置を検出してから、この固定ディスクと防水シートとを融着するまでの制御プログラムが異なること以外は前記第1実施形態と同様である。
この制御プログラムを図16に示すフローチャートに基づいて説明する。
図16に示すように、固定ディスク9の位置検出を開始するスイッチ(図示せず)が1回押下(押圧操作)されたら(ステップS401)、固定ディスク9の位置を検出する(ステップS402)。ステップS402は、サブルーチンであり、前述した図10に示すステップが順次行なわれる。
次いで、位置検出が完了し、第1発光部4A、第2発光部4B、第3発光部4C、第4発光部4Dが消灯している場合には(ステップS403)、磁場発生部7が作動して、誘導加熱発振回路72によって加熱コイル71に高周波(高周波電流)を付与する(ステップS404)。
次いで、制御部34に内蔵されているタイマーが作動して(ステップS405)、融着装置100が第2状態となっておらず、防水シート11に当接しているか否かを判断する(ステップS406)。
ステップS406において融着装置100が第2状態となっておらず、防水シート11に当接していると判断した場合には、タイムアップとなる(ステップS407)まで、加熱コイル71への高周波付与を継続する。
ステップS407においてタイムアップとなったら、加熱コイル71への高周波の付与を停止する(ステップS408)。
なお、ステップS406において融着装置100が第2状態となっており、防水シート11に当接していない判断した場合には、ステップS408以降のステップを順次実行する。
このような制御によっても、固定ディスクと防水シートとを融着を行なうことができる。
以上、本発明の融着装置、融着システムおよび防水シートの融着方法を図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。また、融着装置、融着システムを構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
また、本発明の融着装置、融着システムおよび防水シートの融着方法は、前記各実施形態のうちの、任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
また、磁性体検出部は、前記各実施形態では、ホール素子を有する4つの検出ユニットが配置されたものとなっていたが、検出ユニットの配置数は、これに限定されない。例えば、検出ユニットの配置数は、1つ、2つまたは5つ以上であってもよい。
また、磁性体検出部の磁石としては、前記各実施形態では永久磁石であったが、これに限定されず、例えば、電磁石であってもよい。