以下、図面を参照して、実施形態に係る超音波診断装置、画像処理装置及び画像処理プログラムを説明する。なお、以下で説明する実施形態は一例であり、本実施形態に係る超音波診断装置、画像処理装置及び画像処理プログラムは、以下の説明に限定されるものではない。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る超音波診断装置1の構成例を示すブロック図である。図1に示すように、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、装置本体100と、超音波プローブ101と、入力装置102と、ディスプレイ103と、位置センサ104と、トランスミッタ105とを有する。超音波プローブ101、入力装置102、ディスプレイ103、及びトランスミッタ105は、装置本体100と通信可能に接続される。
超音波プローブ101は、複数の圧電振動子を有し、これら複数の圧電振動子は、装置本体100が有する送受信回路110から供給される駆動信号に基づき超音波を発生する。また、超音波プローブ101は、被検体Pからの反射波を受信して電気信号に変換する。すなわち、超音波プローブ101は、被検体Pに対して超音波走査を行って、被検体Pから反射波を受信する。また、超音波プローブ101は、圧電振動子に設けられる整合層と、圧電振動子から後方への超音波の伝播を防止するバッキング材等を有する。なお、超音波プローブ101は、装置本体100と着脱自在に接続される。
超音波プローブ101から被検体Pに超音波が送信されると、送信された超音波は、被検体Pの体内組織における音響インピーダンスの不連続面で次々と反射され、反射波信号として超音波プローブ101が有する複数の圧電振動子にて受信される。受信される反射波信号の振幅は、超音波が反射される不連続面における音響インピーダンスの差に依存する。なお、送信された超音波パルスが、移動している血流や心臓壁等の表面で反射された場合の反射波信号は、ドプラ効果により、移動体の超音波送信方向に対する速度成分に依存して、周波数偏移を受ける。
第1の実施形態では、超音波により被検体Pを2次元で走査する超音波プローブ101が用いられる。例えば、超音波プローブ101は、複数の圧電振動子が一列に配列された1Dアレイプローブである。1Dアレイプローブは、例えば、セクタ型超音波プローブ、リニア型超音波プローブ、コンベックス型超音波プローブ等である。ただし、第1の実施形態において、超音波プローブ101は、例えば、超音波により被検体Pを2次元で走査するとともに、被検体Pを3次元で走査することが可能なメカニカル4Dプローブや2Dアレイプローブであっても良い。メカニカル4Dプローブは、一列に配列された複数の圧電振動子により2次元走査が可能であるとともに、一列に配列された複数の圧電振動子を所定の角度(揺動角度)で揺動させることで3次元走査が可能である。また、2Dアレイプローブは、マトリックス状に配置された複数の圧電振動子により3次元走査が可能であるとともに、超音波を集束して送受信することで2次元走査が可能である。なお、2Dアレイプローブは、複数断面の2次元走査を同時に行うことも可能である。
なお、本実施形態に係る超音波診断装置1は、後述するように、パルス波ドプラ(PWD:Pulsed Wave Doppler)法、又は、連続波ドプラ(CWD:Continuous Wave Doppler)法により、ドプラ波形の収集を行う。本実施形態において、装置本体100に接続される超音波プローブ101は、Bモード画像データ及びカラードプラ画像データの撮影用の超音波送受信とともに、PWドプラ法によるPWモード、又は、CWドプラ法によるCWモードのドプラ波形の収集用の超音波送受信を実行可能な超音波プローブである。
入力装置102は、マウス、キーボード、ボタン、パネルスイッチ、タッチコマンドスクリーン、ホイール、ダイヤル、フットスイッチ、トラックボール、ジョイスティック等を有し、超音波診断装置1の操作者からの各種設定要求を受け付け、装置本体100に対して受け付けた各種設定要求を転送する。
ディスプレイ103は、超音波診断装置1の操作者が入力装置102を用いて各種設定要求を入力するためのGUI(Graphical User Interface)を表示したり、装置本体100において生成された超音波画像データ等を表示したりする。また、ディスプレイ103は、装置本体100の処理状況を操作者に通知するために、各種のメッセージを表示する。また、ディスプレイ103は、スピーカーを有し、音声を出力することもできる。例えば、ディスプレイ103のスピーカーは、装置本体100の処理状況を操作者に通知するために、ビープ音などの所定の音声を出力する。
位置センサ104及びトランスミッタ105は、超音波プローブ101の位置情報を取得するための装置(位置検出システム)である。例えば、位置センサ104は、超音波プローブ101に取り付けられる磁気センサである。また、例えば、トランスミッタ105は、任意の位置に配置され、自装置を中心として外側に向かって磁場を形成する装置である。
位置センサ104は、トランスミッタ105によって形成された3次元の磁場を検出する。そして、位置センサ104は、検出した磁場の情報に基づいて、トランスミッタ105を原点とする空間における自装置の位置(座標)及び方向(角度)を算出し、算出した位置及び方向を後述する処理回路170に送信する。処理回路170に送信された位置センサ104の3次元的な位置情報(位置及び方向)は、超音波プローブ101の位置情報、或いは超音波プローブ101により走査される走査範囲の位置情報に適宜変換されて利用される。例えば、位置センサ104の位置情報は、位置センサ104と超音波プローブ101との位置関係により超音波プローブ101の位置情報に変換される。また、超音波プローブ101の位置情報は、超音波プローブ101と走査範囲との位置関係により走査範囲の位置情報に変換される。なお、走査範囲の位置情報は、走査範囲と走査線上のサンプル点との位置関係により、各画素位置にも変換可能である。つまり、位置センサ104の3次元的な位置情報は、超音波プローブ101により撮像される超音波画像データの各画素位置に変換可能である。
なお、本実施形態は、上記の位置検出システム以外のシステムにより、超音波プローブ101の位置情報を取得する場合であっても適用可能である。例えば、本実施形態は、ジャイロセンサや加速度センサ等を用いて、超音波プローブ101の位置情報を取得する場合であっても良い。
装置本体100は、超音波プローブ101が受信した反射波信号に基づいて超音波画像データを生成する装置である。図1に示す装置本体100は、超音波プローブ101が受信した2次元の反射波データに基づいて2次元の超音波画像データを生成可能な装置である。
装置本体100は、図1に示すように、送受信回路110と、Bモード処理回路120と、ドプラ処理回路130と、画像生成回路140と、画像メモリ150と、内部記憶回路160と、処理回路170とを有する。送受信回路110、Bモード処理回路120、ドプラ処理回路130、画像生成回路140、画像メモリ150、内部記憶回路160、及び処理回路170は、互いに通信可能に接続される。また、装置本体100は、院内のネットワーク5に接続される。
送受信回路110は、パルス発生器、送信遅延部、パルサ等を有し、超音波プローブ101に駆動信号を供給する。パルス発生器は、所定のレート周波数で、送信超音波を形成するためのレートパルスを繰り返し発生する。また、送信遅延部は、超音波プローブ101から発生される超音波をビーム状に集束し、かつ送信指向性を決定するために必要な圧電振動子ごとの遅延時間を、パルス発生器が発生する各レートパルスに対し与える。また、パルサは、レートパルスに基づくタイミングで、超音波プローブ101に駆動信号(駆動パルス)を印加する。すなわち、送信遅延部は、各レートパルスに対し与える遅延時間を変化させることで、圧電振動子面から送信される超音波の送信方向を任意に調整する。
なお、送受信回路110は、後述する処理回路170の指示に基づいて、所定のスキャンシーケンスを実行するために、送信周波数、送信駆動電圧等を瞬時に変更可能な機能を有している。特に、送信駆動電圧の変更は、瞬間にその値を切り替え可能なリニアアンプ型の発振回路、又は、複数の電源ユニットを電気的に切り替える機構によって実現される。
また、送受信回路110は、プリアンプ、A/D(Analog/Digital)変換器、受信遅延部、加算器等を有し、超音波プローブ101が受信した反射波信号に対して各種処理を行って反射波データを生成する。プリアンプは、反射波信号をチャネル毎に増幅する。A/D変換器は、増幅された反射波信号をA/D変換する。受信遅延部は、受信指向性を決定するために必要な遅延時間を与える。加算器は、受信遅延部によって処理された反射波信号の加算処理を行って反射波データを生成する。加算器の加算処理により、反射波信号の受信指向性に応じた方向からの反射成分が強調され、受信指向性と送信指向性とにより超音波送受信の総合的なビームが形成される。
送受信回路110は、被検体Pを2次元走査する場合、超音波プローブ101から2次元の超音波ビームを送信させる。そして、送受信回路110は、超音波プローブ101が受信した2次元の反射波信号から2次元の反射波データを生成する。また、本実施形態に係る送受信回路110は、被検体Pを3次元走査する場合、超音波プローブ101から3次元の超音波ビームを送信させる。そして、送受信回路110は、超音波プローブ101が受信した3次元の反射波信号から3次元の反射波データを生成する。
ここで、送受信回路110からの出力信号の形態は、RF(Radio Frequency)信号と呼ばれる位相情報が含まれる信号である場合や、包絡線検波処理後の振幅情報である場合等、種々の形態が選択可能である。
Bモード処理回路120は、送受信回路110から反射波データを受信し、対数増幅、包絡線検波処理等を行って、信号強度が輝度の明るさで表現されるデータ(Bモードデータ)を生成する。
ドプラ処理回路130は、送受信回路110から受信した反射波データから速度情報を周波数解析し、ドプラ効果による血流や組織、造影剤エコー成分を抽出し、速度、分散、パワー等の移動体情報を多点について抽出したデータ(ドプラデータ)を生成する。
なお、図1に例示するBモード処理回路120及びドプラ処理回路130は、2次元の反射波データ及び3次元の反射波データの両方について処理可能である。すなわち、Bモード処理回路120は、2次元の反射波データから2次元のBモードデータを生成し、3次元の反射波データから3次元のBモードデータを生成する。また、ドプラ処理回路130は、2次元の反射波データから2次元のドプラデータを生成し、3次元の反射波データから3次元のドプラデータを生成する。
画像生成回路140は、Bモード処理回路120及びドプラ処理回路130が生成したデータから超音波画像データを生成する。すなわち、画像生成回路140は、Bモード処理回路120が生成した2次元のBモードデータから反射波の強度を輝度で表した2次元Bモード画像データを生成する。また、画像生成回路140は、ドプラ処理回路130が生成した2次元のドプラデータから移動体情報を表す2次元ドプラ画像データを生成する。2次元ドプラ画像データは、速度画像、分散画像、パワー画像、又は、これらを組み合わせた画像である。また、画像生成回路140は、Bモード処理回路120が生成した1走査線上のBモードデータの時系列データから、Mモード画像データを生成することも可能である。また、画像生成回路140は、ドプラ処理回路130が生成したドプラデータから、血流や組織の速度情報を時系列に沿ってプロットしたドプラ波形を生成することも可能である。
ここで、画像生成回路140は、一般的には、超音波走査の走査線信号列を、テレビ等に代表されるビデオフォーマットの走査線信号列に変換(スキャンコンバート)し、表示用の超音波画像データを生成する。具体的には、画像生成回路140は、超音波プローブ101による超音波の走査形態に応じて座標変換を行うことで、表示用の超音波画像データを生成する。また、画像生成回路140は、スキャンコンバート以外に種々の画像処理として、例えば、スキャンコンバート後の複数の画像フレームを用いて、輝度の平均値画像を再生成する画像処理(平滑化処理)や、画像内で微分フィルタを用いる画像処理(エッジ強調処理)等を行う。また、画像生成回路140は、超音波画像データに、種々のパラメータの文字情報、目盛り、ボディーマーク等を合成する。
すなわち、Bモードデータ及びドプラデータは、スキャンコンバート処理前の超音波画像データであり、画像生成回路140が生成するデータは、スキャンコンバート処理後の表示用の超音波画像データである。なお、Bモードデータ及びドプラデータは、生データ(Raw Data)とも呼ばれる。画像生成回路140は、スキャンコンバート処理前の2次元超音波画像データである「2次元Bモードデータや2次元ドプラデータ」から、表示用の2次元超音波画像データである「2次元Bモード画像データや2次元ドプラ画像データ」を生成する。
更に、画像生成回路140は、超音波ボリュームデータをディスプレイ103にて表示するための各種の2次元画像データを生成するために、超音波ボリュームデータに対してレンダリング処理を行う。画像生成回路140が行うレンダリング処理としては、断面再構成法(MPR:Multi Planer Reconstruction)を行って超音波ボリュームデータからMPR画像データを生成する処理がある。また、画像生成回路140が行うレンダリング処理としては、超音波ボリュームデータに対して「Curved MPR」を行う処理や、超音波ボリュームデータに対して「Maximum Intensity Projection」を行う処理がある。また、画像生成回路140が行うレンダリング処理としては、3次元の情報を反映した2次元画像データを生成するボリュームレンダリング(VR:Volume Rendering)処理及びサーフェスレンダリング(SR:Surface Rendering)処理がある。
画像メモリ150は、画像生成回路140が生成した表示用の画像データを記憶するメモリである。また、画像メモリ150は、Bモード処理回路120やドプラ処理回路130が生成したデータを記憶することも可能である。画像メモリ150が記憶するBモードデータやドプラデータは、例えば、診断の後に操作者が呼び出すことが可能となっており、画像生成回路140を経由して表示用の超音波画像データとなる。
内部記憶回路160は、超音波送受信、画像処理及び表示処理を行うための制御プログラムや、診断情報(例えば、患者ID、医師の所見等)や、診断プロトコルや各種ボディーマーク等の各種データを記憶する。また、内部記憶回路160は、必要に応じて、画像メモリ150が記憶する画像データの保管等にも使用される。また、内部記憶回路160が記憶するデータは、図示しないインターフェースを経由して、外部装置へ転送することができる。なお、外部装置は、例えば、画像診断を行う医師が使用するPC(Personal Computer)や、CDやDVD等の記憶媒体、プリンター等である。
処理回路170は、超音波診断装置1の処理全体を制御する。具体的には、処理回路170は、入力装置102を介して操作者から入力された各種設定要求や、内部記憶回路160から読み込んだ各種制御プログラム及び各種データに基づき、送受信回路110、Bモード処理回路120、ドプラ処理回路130、及び画像生成回路140の処理を制御する。また、処理回路170は、画像メモリ150や内部記憶回路160が記憶する表示用の超音波画像データをディスプレイ103にて表示するように制御する。
通信インターフェース180は、ネットワーク5を経由して院内の各種の装置と通信を行うためのインターフェースである。通信インターフェース180により、処理回路170は、外部装置と通信を行う。例えば、処理回路170は、超音波診断装置1以外の医用画像診断装置により撮像された医用画像データ(X線CT(Computed Tomography)画像データやMRI(Magnetic Resonance Imaging)画像データ等)をネットワーク5経由で受信する。そして、処理回路170は、受信した医用画像データを、自装置が撮像した超音波画像データとともにディスプレイ103に表示させる。なお、表示される医用画像データは、画像生成回路140により画像処理(レンダリング処理)された画像であってもよい。また、超音波画像データとともに表示される医用画像データは、CD-ROM、MO、DVD等の記憶媒体を介して取得される場合であっても良い。
また、処理回路170は、取得機能171と、受付機能173と、算出機能174と、表示制御機能172とを実行する。なお、処理回路170が実行する取得機能171、受付機能173、算出機能174、及び表示制御機能172の処理内容については、後述する。
ここで、例えば、図1に示す処理回路170の構成要素である受付機能173、算出機能174、及び表示制御機能172が実行する各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で内部記憶回路160に記録されている。処理回路170は、各プログラムを内部記憶回路160から読み出し、実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路170は、図1の処理回路170内に示された各機能を有することとなる。
なお、本実施形態においては、単一の処理回路170にて、以下に説明する各処理機能が実現されるものとして説明するが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより機能を実現するものとしても構わない。
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは内部記憶回路160に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、内部記憶回路160にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。更に、各図における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
以上、第1の実施形態に係る超音波診断装置1の全体構成について説明した。かかる構成のもと、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、血流情報の正確性及び定量性を向上させるために、以下の各処理機能を実行する。
以下、図面を用いて、第1の実施形態に係る超音波診断装置1の各処理機能について説明する。なお、以下の説明では一例として、超音波画像データと、予め撮像されたX線CT画像データとが同時に表示される場合を例示するが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、実施形態は、超音波画像データと、MRI画像データとが同時に表示される場合にも適用可能である。また、以下の説明では一例として、実施形態がPWD法によるドプラ波形の収集に適用される場合を説明するが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、実施形態は、CWD法によるドプラ波形の収集にも適用可能である。
取得機能171は、被検体Pの反射波に基づく超音波画像データにおける位置と、他の医用画像診断装置によって被検体Pが撮像されたボリュームデータにおける位置との対応関係を取得する。例えば、取得機能171は、位置検出システム(位置センサ104及びトランスミッタ105)から、3次元空間におけるBモード画像データの位置情報を取得する。そして、取得機能171は、2次元のBモード画像データと、予め撮像された3次元のX線CT画像データとの位置合わせを行う。具体的には、取得機能171は、3次元空間におけるBモード画像データの位置情報と、X線CT画像データの座標情報との変換関数を、対応関係として生成する。なお、取得機能171は、取得部の一例である。
図2は、第1の実施形態に係る取得機能171の処理を説明するための図である。図2では、2次元のBモード画像データと3次元のX線CT画像データとの位置合わせについて説明する。
まず、操作者は、被検体Pの体内が予め撮像されたX線CT画像データを他装置から受信する要求を行う。これにより、取得機能171は、図2の左図に示すように、位置合わせの対象となるX線CT画像データ(ボリュームデータ)を取得する。また、操作者は、表示対象となる被検体Pの体内を撮像するための超音波走査を行う。例えば、操作者は、超音波プローブ101を用いて、所定の断面で被検体Pの2次元超音波走査を行う。
そして、操作者は、ディスプレイ103に表示された超音波画像(図2に示すUL2D画像)を参照しながら、目印となる特徴部位(ランドマーク部位)が超音波画像内に描出されるように、位置センサ104が取り付けられた超音波プローブ101を操作する。また、操作者は、特徴部位が描出されたX線CT画像データの断面像がディスプレイ103に表示されるように、入力装置102を介してMPR(Multi Planar Reconstructions)処理用の断面位置を調整する。
そして、操作者は、X線CT画像データの断面像に描出された特徴部位と同一の部位がUL2D画像上に描出されると、確定ボタンを押下する。これにより、ディスプレイ103に表示される超音波画像が一時的にフリーズ(静止)されるとともに、フリーズされた超音波画像の各画素位置の情報が位置センサ104の3次元的な位置情報に基づいて取得される。
そして、操作者は、固定されたUL2D画像及びX線CT画像データの断面像のそれぞれにおいて、特徴部位の中心位置を、例えばマウスを用いて指定する。これにより、取得機能171は、UL2D画像において指定された特徴部位と、X線CT画像データにおいて指定された特徴部位とが同一座標であると特定する。つまり、取得機能171は、UL2D画像において指定された特徴部位の座標を、X線CT画像データにおいて指定された特徴部位の座標として特定する。
同様に、操作者は、他の特徴部位を用いて、X線CT画像データにおける他の特徴部位の座標を特定する。そして、複数(3点以上)の特徴部位についてX線CT画像データ上の座標が特定されると、取得機能171は、特定された各座標を用いて、3次元空間における超音波画像データの位置情報とX線CT画像データの座標情報との変換関数を生成する。これにより、例えば、超音波プローブ101の位置が移動して新たな超音波画像データが生成された場合であっても、取得機能171は、当該超音波画像データとX線CT画像データとの座標を対応づけることができる。
このように、取得機能171は、2次元のBモード画像データと、3次元のX線CT画像データとの位置合わせを行う。なお、上述した取得機能171の説明はあくまで一例であり、これに限定されるものではない。例えば、取得機能171は、3次元のBモード画像データと、3次元のX線CT画像データとの位置合わせを行ってもよい。また、取得機能171が位置合わせを行う方法は、上記の方法に限定されるものではなく、例えば、相互相関法を用いた位置合わせ等の公知の技術を用いて行っても良い。
表示制御機能172は、超音波走査が行われる走査断面に対応するBモード画像(断面像)を表示させ、X線CT画像データにおいてBモード画像に対応する位置の断面像を表示させる。例えば、表示制御機能172は、取得機能171により生成される変換関数を用いて、X線CT画像データにおいてBモード画像の断面に対応する断面位置を特定する。そして、表示制御機能172は、特定した断面位置に対応する2次元の画像データ(「2DCT画像」とも表記)をMPR処理により生成し、ディスプレイ104に表示させる。
また、表示制御機能172は、対応関係に基づいて、少なくともX線CT画像データに基づく表示画像上の対応する位置にレンジゲートマーカを表示させる。例えば、表示制御機能172は、サンプルボリュームの位置を示すレンジゲートマーカを、超音波画像及び2DCT画像上に表示させる。なお、特に指示が無い場合、レンジゲートマーカは、初期設定された位置(例えば、超音波画像の中心の走査線位置)に配置される。レンジゲートマーカの位置は、受付機能173の処理により変更されるが、この処理については図3A及び図3Bを用いて後述する。
また、表示制御機能172は、対応関係に基づいて、血流情報の角度補正(Angle Correct)を行うための角度補正マーカを、X線CT画像データに基づく表示画像上の対応する位置に表示させる。例えば、表示制御機能172は、走査線方向に対する角度を示す角度補正マーカを、超音波画像及び2DCT画像上に表示させる。なお、特に指示が無い場合、角度補正マーカは、初期設定された角度(例えば、走査線に対して直角)で配置される。角度補正マーカの角度は、受付機能173の処理により変更されるが、この処理については図3A及び図3Bを用いて後述する。
受付機能173は、超音波画像データの走査領域において血流情報を抽出する位置を示すレンジゲートマーカを設定する操作を操作者から受け付ける。また、受付機能173は、表示画像上で角度補正マーカの角度を変更する角度変更操作を受け付ける。なお、レンジゲートマーカは、位置マーカの一例である。また、角度補正マーカは、角度マーカの一例である。
図3A及び図3Bは、第1の実施形態に係る受付機能173の処理を説明するための図である。図3Aには、レンジゲートマーカを設定する操作が行われる前の表示画面の一例を例示する。また、図3Bには、レンジゲートマーカを設定する操作が行われた後の表示画面の一例を例示する。
図3A及び図3Bに示すように、表示制御機能172は、超音波画像10、2DCT画像20、ドプラ波形30、及び計測結果40をディスプレイ103上に表示させる。表示制御機能172は、超音波画像10上に、レンジゲートマーカ11及び角度補正マーカ12を表示させる。また、表示制御機能172は、2DCT画像20上に、レンジゲートマーカ21、角度補正マーカ22、及び走査領域マーカ23を表示させる。なお、走査領域マーカ23は、2DCT画像20における超音波画像10の位置を示す枠線である。また、ドプラ波形30は、レンジゲートマーカ11の位置に設定されたサンプルボリュームにおいて抽出された血流情報の一例である。また、計測結果40は、ドプラ波形30の波形に基づいて計測された計測値のリストである。
ここで、表示制御機能172は、レンジゲートマーカ11及びレンジゲートマーカ21を、互いに対応する位置(同一位置)に配置する。つまり、表示制御機能172は、超音波画像10上にレンジゲートマーカ11を配置すると、取得機能171により取得された対応関係を用いて、レンジゲートマーカ11の配置位置に対応する2DCT画像20上の位置を算出する。そして、表示制御機能172は、算出した位置にレンジゲートマーカ21を配置する。また、表示制御機能172は、角度補正マーカ12及び角度補正マーカ22を、互いに対応する位置及び角度で配置する。つまり、表示制御機能172は、超音波画像10上に角度補正マーカ12を配置すると、取得機能171により取得された位置関係を用いて、角度補正マーカ12の配置位置に対応する2DCT画像20上の位置を算出する。そして、表示制御機能172は、算出した位置に角度補正マーカ22を配置する。また、表示制御機能172は、角度補正マーカ12と同一の角度で角度補正マーカ22を配置する。
ここで、受付機能173は、レンジゲートマーカ11,21を設定する操作を受け付ける。例えば、レンジゲートマーカ11,21の位置と、操作パネルに設置されたホイールの回転位置とが対応づけられている。この場合、操作者がホイールを左方向に回転させると、受付機能173は、レンジゲートマーカ11,21の位置を左方向に移動させる操作として受け付ける。そして、図3Bに示すように、表示制御機能172は、受付機能173が受け付けた操作に応じて、レンジゲートマーカ11,21の位置を左方向に移動させる。一方、操作者がホイールを右方向に回転させると、受付機能173は、レンジゲートマーカ11,21の位置を右方向に移動させる操作として受け付ける。そして、表示制御機能172は、受付機能173が受け付けた操作に応じて、レンジゲートマーカ11,21の位置を右方向に移動させる。このように、表示制御機能172は、所定の入力装置102の操作に応じて、2つのレンジゲートマーカ11,21の位置を連動して移動させる。
また、受付機能173は、角度補正マーカ12,22の角度を変更する操作(角度変更操作)を受け付ける。例えば、角度補正マーカ12,22の角度と、操作パネルに設置されたダイヤルの回転とが対応づけられている。この場合、操作者がダイヤルを右方向に回転させると、受付機能173は、角度補正マーカ12,22の角度を右に回転させる操作として受け付ける。そして、表示制御機能172は、受付機能173が受け付けた操作に応じて、角度補正マーカ12,22の角度を右に回転させる。一方、操作者がダイヤルを左方向に回転させると、受付機能173は、角度補正マーカ12,22の角度を左に回転させる操作として受け付ける。そして、表示制御機能172は、受付機能173が受け付けた操作に応じて、角度補正マーカ12,22の角度を左に回転させる。このように、表示制御機能172は、所定の入力装置102の操作に応じて、2つの角度補正マーカ12,22の角度を連動して回転させる。
このように、受付機能173は、レンジゲートマーカ11,21及び角度補正マーカ12,22を調整する。なお、レンジゲートマーカ11,21が調整されると、調整された位置でドプラ波形30の収集が行われる。また、角度補正マーカ12,22が調整されると、計測結果40が再計算される。
なお、図3A及び図3Bに示した内容はあくまで一例であり、図示の例に限定されるものではない。例えば、受付機能173は、操作者からの操作を受け付ける入力装置102は、必ずしもホイールやダイヤルに限らず、任意の入力装置102が適用可能である。
算出機能174は、血流情報から計測値を算出する。例えば、算出機能174は、ドプラ波形のオートトレース機能(若しくはマニュアルトレース機能)により、最大流速(VP:Velocity Peak)や時間速度積分値(VTI:Velocity Time Integral)を算出する。算出機能174により算出された計測値は、表示制御機能172により計測結果40としてディスプレイ103に表示される。
図4は、第1の実施形態に係る超音波診断装置1の処理手順を示すフローチャートである。図4に示す処理手順は、例えば、予め撮像されたX線CT画像データと超音波画像データとを同時に表示させる同時表示機能を開始する旨の指示を受け付けた場合に、開始される。
ステップS101において、処理回路170は、処理を開始するか否かを判定する。例えば、処理回路170は、同時表示機能を開始する旨の指示を操作者から受け付けた場合に、処理を開始すると判定し(ステップS101肯定)、ステップS102以降の処理を開始する。なお、処理を開始しない場合(ステップS101否定)、ステップS102以降の処理は開始されず、処理回路170の各処理機能は待機状態である。
ステップS101が肯定されると、ステップS102において、処理回路170は、Bモード画像の撮像を開始する。例えば、操作者は、被検体Pの体表に超音波プローブ101を当接させ、被検体Pの体内の超音波走査を行う。処理回路170は、送受信回路110、Bモード処理回路120、ドプラ処理回路130、及び画像生成回路140の制御を行って、略リアルタイムによる超音波画像の撮像を行う。
ステップS103において、取得機能171は、X線CT画像とBモード画像との位置合わせを行う。例えば、取得機能171は、3次元空間におけるBモード画像データの位置情報と、X線CT画像データの座標情報との変換関数を、位置関係として生成する。なお、X線CT画像は、参照画像として予め読み込まれ、ディスプレイ103上に表示されている。
ステップS104において、表示制御機能172は、Bモード画像の断面に対応する位置の2DCT画像を表示させる。例えば、表示制御機能172は、取得機能171により生成される変換関数を用いて、X線CT画像データにおいてBモード画像の断面に対応する断面位置を特定する。そして、表示制御機能172は、特定した断面位置に対応する2DCT画像をMPR処理により生成し、ディスプレイ103に表示させる。
ステップS105において、表示制御機能172は、Bモード画像及び2DCT画像上に、レンジゲートマーカ及び角度補正マーカを表示させる。例えば、表示制御機能172は、Bモード画像及び2DCT画像の互いに対応する位置に、レンジゲートマーカ及び角度補正マーカをそれぞれ表示させる。
ステップS106において、処理回路170は、PWDモードに撮像モードを切り替える。例えば、操作者が撮像モードをPWDモードに切り替える操作を行うことにより、処理回路170は、PWDモードでの血流情報の収集を開始する。
ステップS107において、受付機能173は、レンジゲートマーカ及び角度補正マーカを調整する。例えば、操作パネルに設置されたホイールが操作者により所定方向に回転されると、受付機能173は、レンジゲートマーカを所定方向に移動させる。また、操作パネルに設置されたダイヤルが操作者により所定方向に回転されると、受付機能173は、角度補正マーカを所定角度回転させる。
ステップS108において、送受信回路110及びドプラ処理回路130は、レンジゲートマーカの位置でドプラ波形を収集する。例えば、処理回路170は、レンジゲートマーカの位置が調整(変更)されるごとに、調整された位置を送受信回路110及びドプラ処理回路130に通知する。そして、送受信回路110及びドプラ処理回路130は、通知された位置に対して超音波パルスの送受信を行い、受信される反射波データからドプラ波形を抽出する。抽出されたドプラ波形は、表示制御機能172によりディスプレイ103上に表示される。
ステップS109において、算出機能174は、角度補正マーカを用いてドプラ波形から任意の指標値(計測値)を算出する。例えば、算出機能174は、角度補正マーカの角度が変更されるごとに、角度補正マーカの角度(走査線に対する角度補正マーカの角度)を用いてドプラ波形を補正する。そして、算出機能174は、補正したドプラ波形に基づいて、計測対象となっている計測値を再計算する。再計算された計測値は、表示制御機能172によりディスプレイ103上に表示される。
ステップS110において、処理回路170は、処理を終了させるか否かを判定する。例えば、処理回路170は、同時表示機能を終了する旨の指示を操作者から受け付けた場合に、処理を終了すると判定し(ステップS110肯定)、図4の処理手順を終了する。なお、処理を終了しない場合(ステップS110否定)、処理回路170は、ステップS107の処理へ移行する。つまり、処理回路170は、処理が終了するまで、レンジゲートマーカ及び角度補正マーカの調整を受け付け可能である。
なお、図4に例示した内容はあくまで一例であり、実施形態はこれに限定されるものではない。上記の処理手順では、PWDモードによる血流情報の収集を開始してからレンジゲートマーカの調整を行う場合を示したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、レンジゲートマーカの位置を適切な位置に調整した後に、PWDモードによる血流情報の収集を開始してもよい。
上述してきたように、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、超音波プローブ101と、取得機能171と、受付機能173と、表示制御機能172とを備える。超音波プローブ101は、被検体Pに対して超音波走査を行って、被検体Pから反射波を受信する。取得機能171は、反射波に基づく超音波画像データにおける位置と、他の医用画像診断装置によって被検体Pが撮像されたボリュームデータにおける位置との対応関係を取得する。受付機能173は、超音波画像データの走査領域において血流情報を抽出する位置を示す位置マーカを設定する操作を操作者から受け付ける。表示制御機能172は、対応関係に基づいて、少なくともボリュームデータに基づく表示画像上の対応する位置に位置マーカを表示させる。これによれば、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、例えば、血流情報の正確性及び定量性を向上させることができる。
例えば、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、超音波画像及び2DCT画像に表示された2つのレンジゲートマーカの位置を連動して調整することができる。このため、操作者は、例えば、2DCT画像上でレンジゲートマーカの位置を確認しつつ、入力装置102を操作してレンジゲートマーカの位置を調整することができる。一般的に、形態情報としての正確性は2DCT画像が優れていると言われている。したがって、操作者は、レンジゲートマーカの位置をより正確に調整することができ、所望の位置の血流情報を正確に収集することが可能となる。
また、例えば、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、超音波画像及び2DCT画像に表示された2つの角度補正マーカの角度を連動して調整することができる。このため、操作者は、例えば、2DCT画像上で角度補正マーカの角度を確認しつつ、入力装置102を操作して角度補正マーカの角度を調整することができる。したがって、操作者は、角度補正マーカの角度を適切に調整することができ、定量性の高い血流情報を得ることができる。
これにより、超音波診断装置1は、例えば、僧帽弁の逆流、心房中隔欠損、大動脈弁の逆流、冠動脈の塞栓、総動脈幹症などの症例において、正確性かつ定量性に優れた血流情報を提供することができる。
なお、第1の実施形態にて説明した内容はあくまで一例であり、必ずしも上述した内容に限定されるものではない。以下、第1の実施形態の変形例について、図面を参照しつつ説明する。
(第1の実施形態の変形例1)
第1の実施形態では、入力装置102の操作に応じてレンジゲートマーカや角度補正マーカを調整する場合を説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、実施形態は、レンジゲートマーカや角度補正マーカをX線CT画像データの表示画像上で変更するためのUIを備え、このUIを用いて調整する場合であってもよい。
図5は、第1の実施形態の変形例1に係る受付機能173の処理を説明するための図である。図5には、2DCT画像上でレンジゲートマーカや角度補正マーカを調整するためのUIが用いられる場合を例示する。なお、図5に示す超音波画像10、ドプラ波形30、及び計測結果40については、図3Aと同様であるので説明を省略する。
図5に示すように、表示制御機能172は、2DCT画像20上に、レンジゲートマーカ21、角度補正マーカ22、走査領域マーカ23、位置調整用マーカ24、及び角度調整用マーカ25を表示させる。ここで、レンジゲートマーカ21、角度補正マーカ22、及び走査領域マーカ23については、図3Aと同様であるので説明を省略する。
ここで、位置調整用マーカ24は、レンジゲートマーカ11,21の位置を調整するために用いられるマーカである。また、角度調整用マーカ25は、角度補正マーカ12,22の角度を調整するために用いられるマーカである。
例えば、操作者が、レンジゲートマーカ11,21の位置、若しくは、角度補正マーカ12,22の角度を調整する旨の指示を入力すると、受付機能173は、位置調整用マーカ24及び角度調整用マーカ25を2DCT画像20上に表示させる。そして、操作者は、任意の入力装置102(ホイール、ダイヤル、マウス、キーボードなど)を操作して、位置調整用マーカ24の位置や角度調整用マーカ25の角度を変更する。この段階では、レンジゲートマーカ11,21の位置や角度補正マーカ12,22の角度は変更されず、位置調整用マーカ24の位置と角度調整用マーカ25の角度のみが2DCT画像20上で変更される。操作者は、レンジゲートマーカの位置として適切な位置に位置調整用マーカ24が設定されたと判断し、かつ、角度補正マーカの角度として適切な角度に角度調整用マーカ25が設定されたと判断した場合に、確定ボタンを押下する。これにより、受付機能173は、位置調整用マーカ24の位置にレンジゲートマーカ11,21を移動させ、角度調整用マーカ25の角度まで角度補正マーカ12,22を回転させる。
このように、受付機能173は、X線CT画像データの表示画像上でレンジゲートマーカの位置を設定する操作を受け付ける。また、受付機能173は、X線CT画像データの表示画像上で角度補正マーカの角度を設定する操作を受け付ける。したがって、操作者は、例えば、レンジゲートマーカや角度補正マーカをX線CT画像データの表示画像上で変更することが可能となる。これにより、操作者は、形態情報としての正確性に優れている2DCT画像上でレンジゲートマーカ及び角度補正マーカを調整することができるので、所望の位置の血流情報を正確に収集することが可能となる。
なお、図5に示した内容はあくまで一例であり、図示した内容に限定されるものではない。例えば、図5では、位置調整用マーカ24及び角度調整用マーカ25の両方が同時に確定される場合を説明したが、これに限らず、例えば、位置調整用マーカ24及び角度調整用マーカ25が個別に確定される(確定ボタンが押下される)場合であってもよい。
(第1の実施形態の変形例2)
また、例えば、表示制御機能172は、角度補正マーカの角度が変更されるごとに、変更された角度で角度補正された血流情報の計測値を、異なる表示領域に表示させてもよい。
図6は、第1の実施形態の変形例2に係る表示制御機能172の処理を説明するための図である。図6には、表示制御機能172の処理によりディスプレイ103上に表示される表示画面の一例を示す。なお、図6の超音波画像10、2DCT画像20、ドプラ波形30、及び計測結果40については、図3Bと同様であるので、説明を省略する。
例えば、操作者は、角度補正マーカ12,22の角度が何度の場合に正確な計測値が得られたかを判断し難い場合がある。このような場合に、操作者は、正確と思われる角度で計測結果をホールドする操作を行う。例えば、角度補正マーカ12,22の角度が20度の場合に正確な計測値が得られたと判断すると、操作者は、ホールドボタンを押下する(1回目の押下)。これにより、表示制御機能172は、計測結果41をディスプレイ103上に表示させる。計測結果41は、角度補正マーカ12,22の角度が20度である場合の計測値と、角度補正マーカ12,22のアイコンを含む。
また、例えば、角度補正マーカ12,22の角度が60度の場合に正確な計測値が得られたと判断すると、操作者は、ホールドボタンを押下する(2回目の押下)。これにより、表示制御機能172は、計測結果42をディスプレイ103上に表示させる。計測結果42は、角度補正マーカ12,22の角度が60度である場合の計測値と、角度補正マーカ12,22のアイコンを含む。
このように、算出機能174は、角度補正マーカの角度が変更されるごとに、変更された角度で角度補正された血流情報の計測値を、異なる表示領域に表示させる。これにより、操作者は、正確な計測値が得られたかの判断を事後的に行うことが可能となる。
なお、図6に示した内容はあくまで一例であり、図示した内容に限定されるものではない。例えば、図6では、2つの計測結果がホールドされる場合を例示したが、これに限らず、ホールドされる計測結果の数は任意に設定可能である。
(第1の実施形態の変形例3)
また、例えば、算出機能174は、超音波画像データ又は血流情報から計測される第1計測値と、ボリュームデータから計測される第2計測値とを用いて、被検体Pに関する指標値を算出してもよい。
例えば、算出機能174は、下記の式(1)を用いて、左室流出路の一回拍出量LVOT SV[mL]を算出する。なお、式(1)において、LVOT Diamは、左室流出路径を示す。また、LVOT VTIは、左室流出路での血流波形の時間速度積分値を示す。
ここで、算出機能174は、2DCT画像20から算出される左室流出路径を、式(1)のLVOT Diamとして用いる。また、算出機能174は、血流情報から算出される左室流出路での血流波形の時間速度積分値を、式(1)のLVOT VTIとして用いる。
このように、算出機能174は、血流情報から計測されるLVOT VTIと、2DCT画像20から計測されるLVOT Diamとを式(1)に適用することで、左室流出路の一回拍出量LVOT SVを算出する。例えば、超音波画像からLVOT Diamを計測する場合には、円形の断面を推定して算出している。これに対し、2DCT画像からLVOT Diamを計測する場合には、正確に画像中の断面積を算出することが可能である。したがって、算出機能174は、左室流出路の一回拍出量LVOT SVをより正確に算出することができる。
なお、算出機能174は、左室流出路の一回拍出量LVOT SVに限らず、他の指標値を算出することも可能である。例えば、算出機能174は、下記の式(2)を用いて、僧帽弁の一回拍出量MV SV[mL]を算出する。なお、式(2)において、MV DistAは、僧帽弁弁口径Aを示す。MV DistBは、僧帽弁弁口径Bを示す。また、MV VTIは、僧帽弁での血流波形の時間速度積分値を示す。
ここで、算出機能174は、2DCT画像20から算出される僧帽弁弁口径A及び僧帽弁弁口径Bを、式(2)のMV DistA及びMV DistBとして用いる。また、算出機能174は、血流情報から算出される僧帽弁での血流波形の時間速度積分値を、式(2)のMV VTIとして用いる。
このように、算出機能174は、血流情報から計測されるMV VTIと、2DCT画像20から計測されるMV DistA及びMV DistBとを式(2)に適用することで、僧帽弁の一回拍出量MV SVを算出することができる。
なお、第1の実施形態の変形例3では、被検体Pに関する指標値として、拍出量が計測される場合を説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、2次元のX線CT画像データである2DCT画像が表示される場合を説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、超音波診断装置1は、3次元のX線CT画像データであるボリュームデータからレンダリング処理により生成される他のレンダリング画像を表示してもよい。
第2の実施形態に係る超音波診断装置1は、図1に例示した超音波診断装置1と同様の構成を備え、表示制御機能172の処理の一部が相違する。そこで、第2の実施形態では、第1の実施形態と相違する点を中心に説明することとし、第1の実施形態において説明した構成と同様の機能を有する点については、説明を省略する。
第2の実施形態に係る表示制御機能172は、3次元のX線CT画像データであるボリュームデータに対するレンダリング処理により生成されるレンダリング画像を表示させる。また、表示制御機能172は、レンダリング画像上に、Bモード画像に対応する断面位置と、2DCT画像に対応する断面位置とを表示させる。また、表示制御機能172は、レンダリング画像上に、レンジゲートマーカと、角度補正マーカとを表示させる。
図7及び図8は、第2の実施形態に係る表示制御機能172の処理を説明するための図である。図7には、ボリュームデータに対して予め行われるセグメンテーションデータ作成時の処理の一例を示す。また、図8には、ディスプレイ103上に表示される表示画面の一例を示す。
図7に示すように、画像メモリ150に記憶されるボリュームデータは、予めセグメンテーションが実行され、診断目的に応じて各種組織が色分けされた画像として生成される。例えば、図7の左図に示すように、操作者は、複数の選択肢の中から所望の組織が表示される表示態様を選択する。これにより、図7の右図に示すように、ボリュームデータは、例えば、心臓及び冠動脈を含む組織が色づけされたボリュームレンダリング画像(若しくはサーフェスレンダリング画像)として生成される。
図8に示すように、表示制御機能172は、超音波画像10、2DCT画像20、及びボリュームレンダリング画像50をディスプレイ103上に表示させる。ここで、表示制御機能172は、超音波画像10上に、レンジゲートマーカ11、角度補正マーカ12、及びカラーROI(Region Of Interest)13を表示させる。このカラーROI13は、カラードプラ法により描出される血流画像が表示される領域であり、図8の例では冠動脈血流が表示される。すなわち、超音波プローブ101は、被検体Pの冠動脈を含む領域に対する超音波走査を行う。そして、表示制御機能172は、冠動脈が描出された超音波画像を表示させる。
また、表示制御機能172は、2DCT画像20上に、レンジゲートマーカ21及び角度補正マーカ22を表示させる。なお、2DCT画像20は、ボリュームデータにおいて超音波画像10に対応する位置の断面像である。
ここで、表示制御機能172は、ボリュームレンダリング画像50上に、走査領域マーカ51及び断面位置マーカ52を表示させる。走査領域マーカ51は、ボリュームレンダリング画像50における超音波画像10の位置を示す枠線である。また、断面位置マーカ52は、ボリュームレンダリング画像50における2DCT画像20の位置を示す枠線である。なお、図8に示すように、表示制御機能172は、ボリュームレンダリング画像50上に、レンジゲートマーカ11に対応するマーカや角度補正マーカ12に対応するマーカを表示させることも可能である。
このように、第2の実施形態に係る超音波診断装置1は、3次元のX線CT画像データであるボリュームデータから生成されるボリュームレンダリング画像を表示させ、更に、ボリュームレンダリング画像上に、レンジゲートマーカ、角度補正マーカ、走査領域マーカ、及び断面位置マーカを表示させることができる。これにより、操作者は、立体的に表示された画像上で、レンジゲートマーカの位置や角度補正マーカの角度、走査領域の位置、2DCT画像の位置を把握することが可能となる。
なお、図8に示した内容はあくまで一例であり、図示した内容に限定されるものではない。例えば、図8では、レンダリング画像として心臓全体が描出されたボリュームレンダリング画像50が表示される場合を説明したが、これに限らず、例えば、冠動脈のみが描出されたボリュームレンダリング画像が表示されてもよい。また、表示制御機能172は、図8に示した画像に加えて、ドプラ波形30や計測結果40を表示させてもよい。
なお、第2の実施形態にて説明した内容は、表示制御機能172が断面像以外のレンダリング画像を表示させる点を除き、第1の実施形態にて説明した内容と同様である。つまり、第1の実施形態にて説明した構成及び変形例は、表示制御機能172が断面像以外のレンダリング画像を表示させる点を除き、第2の実施形態においても適用可能である。
(第3の実施形態)
上記の実施形態では、2次元の超音波画像を表示させる場合を説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、3次元領域に対する超音波走査が行われる場合には、超音波診断装置1は、3次元の超音波画像データに対するレンダリング処理により生成される超音波のレンダリング画像を表示可能である。
第3の実施形態に係る超音波診断装置1は、図1に例示した超音波診断装置1と同様の構成を備え、超音波プローブ101及び表示制御機能172の処理の一部が相違する。そこで、第3の実施形態では、上述した実施形態と相違する点を中心に説明することとし、上述した実施形態において説明した構成と同様の機能を有する点については、説明を省略する。
第3の実施形態に係る超音波プローブ101は、被検体Pの3次元領域に対する超音波走査を行う。この場合、送受信回路110は、超音波プローブ101から3次元の超音波ビームを送信させる。そして、送受信回路110は、超音波プローブ101が受信した3次元の反射波信号から3次元の反射波データを生成する。そして、Bモード処理回路120は、3次元の反射波データから3次元のBモードデータを生成する。また、ドプラ処理回路130は、3次元の反射波データから3次元のドプラデータを生成する。そして、画像生成回路140は、3次元のBモードデータから3次元のBモード画像データを生成し、3次元のドプラデータから3次元のドプラ画像データを生成する。
第3の実施形態に係る表示制御機能172は、3次元領域の超音波画像データに対するレンダリング処理により生成される超音波のレンダリング画像を表示させる。例えば、表示制御機能172は、超音波のレンダリング画像として、ボリュームレンダリング画像やサーフェスレンダリング画像をディスプレイ103上に表示させる。
図9は、第3の実施形態に係る表示制御機能172の処理を説明するための図である。図9には、ディスプレイ103上に表示される表示画面の一例を示す。なお、図9のドプラ波形30は、図3A等と同様であるので、説明を省略する。
図9に示すように、表示制御機能172は、超音波画像10及び2DCT画像20をディスプレイ103上に表示させる。一例として、表示制御機能172は、超音波画像10として、肝臓の門脈が撮像されたカラードプラ画像のボリュームレンダリング画像と、A面、B面、及びC面の断面像とを表示させる。なお、A面、B面、及びC面の断面像には、背景画像としてBモード画像が描出される。また、表示制御機能172は、A面の断面像にレンジゲートマーカ11及び角度補正マーカ12を表示させる。
また、表示制御機能172は、2DCT画像20上に、レンジゲートマーカ21、角度補正マーカ22、及び走査領域マーカ23を表示させる。なお、レンジゲートマーカ21及び角度補正マーカ22は、2DCT画像20においてレンジゲートマーカ11及び角度補正マーカ12の位置及び角度に対応するマーカである。また、走査領域マーカ23は、2DCT画像20におけるA面の断面像の位置を示す枠線である。
このように、第3の実施形態に係る超音波診断装置1は、更に、3次元の超音波画像データに対するレンダリング処理により生成される超音波のレンダリング画像を表示可能である。
なお、図9に例示した内容はあくまで一例であり、図示の内容に限定されるものではない。例えば、表示制御機能172は、ボリュームレンダリング画像(若しくはサーフェスレンダリング画像)上にレンジゲートマーカ11及び角度補正マーカ12を表示させてもよい。この場合、ボリュームレンダリング画像は、任意の断面で切断された生体組織を表すボリュームレンダリング画像(若しくはサーフェスレンダリング画像)であり、当該断面上にレンジゲートマーカ11及び角度補正マーカ12が表示されるのが好適である。
なお、第3の実施形態にて説明した内容は、表示制御機能172が超音波のレンダリング画像を表示させる点を除き、上述した実施形態にて説明した内容と同様である。つまり、上述した実施形態にて説明した構成及び変形例は、表示制御機能172が超音波のレンダリング画像を表示させる点を除き、第3の実施形態においても適用可能である。
(第4の実施形態)
上記の実施形態では、略リアルタイムの超音波画像が表示される場合を説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、被検体Pの心電信号を検出可能な場合には、超音波診断装置1は、X線CT画像データの心時相と略同一の心時相の超音波画像を表示させることが可能である。
図10は、第4の実施形態に係る超音波診断装置1の構成例を示すブロック図である。図10に示すように、第4の実施形態に係る超音波診断装置1は、図1に例示した超音波診断装置1と同様の構成に加え、心電計106を更に備える。第4の実施形態では、上述した実施形態と相違する点を中心に説明することとし、上述した実施形態において説明した構成と同様の機能を有する点については、説明を省略する。
第4の実施形態に係る心電計106は、被検体Pの心電信号を検出する装置である。例えば、心電計106は、超音波走査される被検体Pの生体信号として、被検体Pの心電波形(Electrocardiogram:ECG)を取得する。心電計106は、取得した心電波形を装置本体100に送信する。なお、心電計106により検出された心電信号は、超音波画像データの撮像時間(当該超音波画像データを生成するために行われた超音波走査の実施時刻)と対応付けられて内部記憶回路160に格納される。これにより、撮像される超音波画像データの各フレームと、被検体Pの心時相とが対応付けられる。
なお、本実施形態では、被検体Pの心臓の心時相に関する情報を取得する手段の一つとして、心電計106を用いる場合を説明するが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、超音波診断装置1は、心音図の第II音(第二音)の時間若しくはスペクトラムドプラによる心臓の駆出血流の計測により求まる大動脈弁閉鎖(Aortic Valve Close:AVC)時間を取得することで、被検体Pの心臓の心時相に関する情報を取得してもよい。また、例えば、超音波診断装置1は、撮像した超音波画像データに対する画像処理により、心臓弁の開閉のタイミングを抽出し、このタイミングに基づいて、被検体の心時相を取得しても良い。言い換えると、超音波診断装置1の処理回路170は、被検体の心時相を取得する心時相取得機能を実行可能である。なお、心時相取得機能は、心時相取得部の一例である。また、心電計106は、検出部の一例である。
第4の実施形態に係る表示制御機能172は、心電信号に基づいて、他の医用画像診断装置により撮像された医用画像データの心時相と略同一の心時相である超音波画像を表示させる。例えば、表示制御機能172は、略リアルタイムで生成されるBモード画像を表示させるとともに、X線CT画像データの心時相(例えば、拡張末期など)と略同一の心時相であるBモード画像を表示させる。
図11は、第4の実施形態に係る表示制御機能172の処理を説明するための図である。図11には、表示制御機能172の処理によりディスプレイ103上に表示される表示画面の一例を示す。なお、図11では、X線CT画像データの心時相が拡張末期(ED:End Diastole)である場合を例示する。
図11に示すように、表示制御機能172は、超音波画像10、2DCT画像20、及びドプラ波形30を表示させる。ここで、超音波画像10は、略リアルタイムの画像であり、2DCT画像20は、拡張末期(ED)の画像である。なお、超音波画像10、2DCT画像20、及びドプラ波形30の詳細については、図3Aと同様であるので、説明を省略する。
ここで、X線CT画像データの心時相が拡張末期(ED)である場合、表示制御機能172は、心電信号に基づいて、心時相が拡張末期(ED)である超音波画像60を表示させる。例えば、表示制御機能172は、心電計106により検出された心電信号(心電波形)を参照し、拡張末期に対応する時刻を特定する。そして、表示制御機能172は、特定した時刻に対応する超音波画像データを用いて、表示用の超音波画像60を生成し、ディスプレイ103上に表示させる。以後、表示制御機能172は、拡張末期を示す心電信号が検出されるごとに、検出された時刻に対応する超音波画像60を生成し、ディスプレイ103上に表示される超音波画像60を更新する。
また、表示制御機能172は、拡張末期(ED)の超音波画像60上に、レンジゲートマーカ61及び角度補正マーカ62を表示させる。具体的には、表示制御機能172は、レンジゲートマーカ11,21に対応する位置にレンジゲートマーカ61を表示させ、角度補正マーカ12,22に対応する角度で角度補正マーカ62を表示させる。
このように、表示制御機能172は、同時表示機能により表示される他の医用画像データの心時相と略同一の心時相の超音波画像を表示させる。これによれば、例えば、操作者は、心時相が揃っている2DCT画像及び超音波画像を同時に参照しながらレンジゲートマーカ及び角度補正マーカの調整を行うことが可能となる。
なお、図11に例示した内容はあくまで一例であり、図示の内容に限定されるものではない。例えば、表示制御機能172は、必ずしも略リアルタイムの超音波画像10を表示させなくてもよい。略リアルタイムの超音波画像10が表示されない場合においても、操作者は、心時相が揃っている2DCT画像及び超音波画像を同時に参照しながらレンジゲートマーカ及び角度補正マーカの調整を行うことが可能である。また、表示制御機能172は、拡張末期(ED)の超音波画像60に代えて収縮末期(ES:End Systole)の超音波画像を表示させることも可能であり、3つ以上の異なる時相の超音波画像をディスプレイ103上に同時に表示させることも可能である。
なお、第4の実施形態にて説明した内容は、表示制御機能172がX線CT画像データの心時相と略同一の心時相の超音波画像を表示させる点を除き、上述した実施形態にて説明した内容と同様である。つまり、上述した実施形態にて説明した構成及び変形例は、表示制御機能172がX線CT画像データの心時相と略同一の心時相の超音波画像を表示させる点を除き、第4の実施形態においても適用可能である。
(第5の実施形態)
上記の実施形態では、断面像(超音波画像又は2DCT画像)上でレンジゲートマーカ及び角度補正マーカの調整が行われる場合を説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、超音波診断装置1は、立体的に表示されたレンダリング画像上で、レンジゲートマーカを調整するための操作を受け付けることが可能である。
図12は、第5の実施形態に係る超音波診断装置1の構成例を示すブロック図である。図12に示すように、第5の実施形態に係る超音波診断装置1は、図1に例示した超音波診断装置1と同様の構成に加え、処理回路170が送受信制御機能175を更に有する。そこで、第5の実施形態では、上述した実施形態と相違する点を中心に説明することとし、上述した実施形態において説明した構成と同様の機能を有する点については、説明を省略する。
第5の実施形態に係る超音波プローブ101は、2次元アレイプローブである。超音波プローブ101は、例えば、2次元の走査断面を走査する場合、超音波プローブ101に対する走査断面の方向を変更可能である。つまり、操作者は、被検体Pの体表に当接させた超音波プローブ101の位置や方向を変えることなく、走査断面の方向を変更(偏向)することが可能である。
第5の実施形態に係る送受信制御機能175は、超音波プローブ101によって走査される走査断面の方向を変更する制御を行う。例えば、操作者が走査断面を仰角方向に5度傾ける旨の指示を行うと、送受信制御機能175は、走査断面を仰角方向に5度傾ける旨の指示を超音波プローブ101へ送信する。これにより、超音波プローブ101は、走査断面を仰角方向に5度傾ける。
第5の実施形態に係る表示制御機能172は、3次元のX線CT画像データであるボリュームデータに対するレンダリング処理により生成されるレンダリング画像を表示させる。なお、第5の実施形態に係る表示制御機能172は、第2の実施形態に係る表示制御機能172の処理と同様であるので、説明を省略する。
第5の実施形態に係る受付機能173は、レンダリング画像上で位置マーカの位置を変更する操作を受け付ける。例えば、受付機能173は、表示制御機能172により生成されたレンダリング画像上で、レンジゲートマーカを設定する設定操作を受け付ける。
図13A及び図13Bは、第5の実施形態に係る受付機能173の処理を説明するための図である。図13Aには、操作者による設定操作が行われる前の表示画面の一例を例示する。また、図13Bには、操作者による設定操作が行われた後の表示画面の一例を例示する。
図13Aに示すように、表示制御機能172は、超音波画像10、2DCT画像20、及びボリュームレンダリング画像50を表示させる。なお、超音波画像10及び2DCT画像20の詳細については、図8と同様であるので、説明を省略する。
ここで、表示制御機能172は、ボリュームレンダリング画像50上でレンジゲートマーカを調整するためのUIとして、位置調整用マーカ53を表示させる。
例えば、操作者が、レンジゲートマーカ11,21の位置を調整する旨の指示を入力すると、受付機能173は、位置調整用マーカ53をボリュームレンダリング画像50上に表示させる。そして、操作者は、任意の入力装置102(ホイール、ダイヤル、マウス、キーボードなど)を操作して、位置調整用マーカ53の位置を変更する。例えば、マウスカーソルでボリュームレンダリング画像50上の任意の座標を指定することで、位置調整用マーカ53の先端の座標を指定する。この段階では、レンジゲートマーカ11,21の位置は変更されず、位置調整用マーカ53の位置のみがボリュームレンダリング画像50上で変更される。操作者は、レンジゲートマーカ11,21の位置として適切な位置に位置調整用マーカ53が設定されたと判断した場合に、確定ボタンを押下する。確定ボタンが押下されると、受付機能173は、操作者により指定された座標(以下、「指定座標」とも表記)にレンジゲートマーカ11,21を設定する操作として受け付ける。
そして、受付機能173は、指定座標が走査断面上(超音波画像10上)に存在するか否かを判定する。指定座標が走査断面上に存在しない場合、受付機能173は、指定座標を送受信制御機能175に通知する。
送受信制御機能175は、受付機能173により指定座標が通知されると、通知された指定座標が走査断面に含まれるように、走査断面の方向を変更する。例えば、送受信制御機能175は、指定座標を通る走査断面の角度(仰角若しくは俯角)を算出する。そして、送受信制御機能175は、算出した角度まで走査断面を傾ける制御を行う。これにより、超音波プローブ101は、走査断面が指定座標を通るように走査断面を傾ける。その後、受付機能173は、図13Bに示すように、傾けられた走査断面(超音波画像10)上で、指定座標を通る位置にレンジゲートマーカ11,21を移動させる。
一方、受付機能173は、指定座標が走査断面上(超音波画像10上)に存在する場合には、走査断面上で、指定座標を通る位置にレンジゲートマーカ11,21を移動させる。この場合、送受信制御機能175は、走査断面の方向を変更する制御を行わない。
このように、受付機能173は、ボリュームレンダリング画像50上でレンジゲートマーカ11,21の位置を変更する操作を受け付ける。そして、送受信制御機能175は、操作により変更されたレンジゲートマーカ11,21の位置が走査断面に含まれるように、走査断面の方向を変更する制御を行う。その後、受付機能173は、方向が変更された走査断面上で、指定座標を通る位置にレンジゲートマーカ11,21を移動させる。これにより、操作者は、形態情報としての正確性に優れているボリュームレンダリング画像50上で、レンジゲートマーカを調整することができるので、所望の位置の血流情報を正確かつ容易に収集することが可能となる。
なお、図13A及び図13Bに示した内容はあくまで一例であり、図示した内容に限定されるものではない。例えば、図13A及び図13Bでは、レンダリング画像として心臓全体が描出されたボリュームレンダリング画像50が表示される場合を説明したが、これに限らず、例えば、冠動脈のみが描出されたボリュームレンダリング画像が表示されてもよい。また、表示制御機能172は、図13A及び図13Bに示した画像に加えて、ドプラ波形30や計測結果40を表示させてもよい。
なお、第5の実施形態にて説明した内容は、受付機能173がレンダリング画像上でレンジゲートマーカを調整するための操作を受け付ける点を除き、上述した実施形態にて説明した内容と同様である。つまり、上述した実施形態にて説明した構成及び変形例は、受付機能173がレンダリング画像上でレンジゲートマーカを調整するための操作を受け付ける点を除き、第5の実施形態においても適用可能である。
(第6の実施形態)
上述した実施形態では、超音波検査による血流測定が1回行われる場合を説明したが、例えば、実施形態は、2回以上の超音波検査が個別に行われる場合にも適用可能である。この場合、1回目の超音波検査で用いたレンジゲートマーカ及び角度補正マーカを、2回目以降の超音波検査で利用可能である。そこで、第6の実施形態では、1回目の超音波検査で用いたレンジゲートマーカ及び角度補正マーカを、2回目以降の超音波検査で利用する場合を説明する。
図14は、第6の実施形態に係る超音波診断装置1の処理を説明するための図である。図14には、X線CT画像データの撮影(S11)と、1回目の超音波検査(S12)と、2回目の超音波検査(S13)とが順番に行われる場合を例示する。
なお、図14のように複数回の超音波検査が行われる場合の一例としては、冠動脈の狭窄部位をステントにより拡張する冠動脈ステント留置術が行われる場合が挙げられる。この場合、ステントを留置する前後において合計2回の超音波検査を行うことで、冠動脈ステント留置術による血流改善効果の評価が行われる。なお、冠動脈ステント留置術はあくまで一例であり、これに限定されるものではない。本実施形態は、2以上の異なる時点において、同一の血管位置における血流情報を評価する場合に広く適用可能である。
図14に示すように、S11において、X線CT画像データの撮影が行われる。なお、X線CT画像データの撮影は、1回目の超音波検査の前であれば、任意の時点で実行可能である。例えば、X線CT画像データの撮影は、1回目の超音波検査の直前であってもよいし、数日前、数週間前等、任意の時点で実行可能である。
S12において、1回目の超音波検査が行われる。例えば、表示制御機能172は、第1の実施形態にて説明した処理と同様の処理により、超音波画像10及び2DCT画像20をディスプレイ103上に表示させる。ここで、超音波画像10は、S12の1回目の超音波検査で撮像されたBモード画像に対応する。また、2DCT画像20は、S11で撮影されたX線CT画像データに対応する。また、表示制御機能172は、超音波画像10上に、レンジゲートマーカ11及び角度補正マーカ12を表示させる。また、表示制御機能172は、2DCT画像20上に、レンジゲートマーカ21及び角度補正マーカ22を表示させる。
また、第1の実施形態にて説明した処理と同様の処理により、レンジゲートマーカ11及びレンジゲートマーカ21の位置は互いに連動している。また、第1の実施形態にて説明した処理と同様の処理により、角度補正マーカ12及び角度補正マーカ22の角度は、互いに連動している。このため、操作者は、例えば、2DCT画像20上でレンジゲートマーカ21の位置及び角度補正マーカ22の角度を調整することで、超音波画像10上におけるレンジゲートマーカ11の位置及び角度補正マーカ12の角度を調整することができる。これにより、操作者は、所望の位置及び角度にレンジゲートマーカ11及び角度補正マーカ12を調整し、1回目の超音波検査における血流情報を収集することができる。
ここで、第6の実施形態に係る受付機能173は、更に、表示画像上における位置マーカの位置を確定する確定操作を操作者から受け付けた場合に、確定操作が行われた時点の位置マーカの位置を示す確定位置を内部記憶回路160に格納する。つまり、S12において、2DCT画像20上でレンジゲートマーカ21の位置を確定する操作(確定操作)が操作者により実行された場合には、受付機能173は、S12におけるレンジゲートマーカ21の位置を「確定位置」として内部記憶回路160に格納する。
また、第6の実施形態に係る受付機能173は、更に、確定操作を操作者から受け付けた場合に、確定操作が行われた時点の角度マーカの角度を示す確定角度を内部記憶回路160に格納する。つまり、S12において、2DCT画像20上で角度補正マーカ22の角度を確定する操作(確定操作)が操作者により実行された場合には、受付機能173は、S12における角度補正マーカ22の角度を「確定角度」として内部記憶回路160に格納する。
S13において、2回目の超音波検査が行われる。なお、2回目の超音波検査は、1回目の超音波検査の後であれば、任意の時点で実行可能である。例えば、冠動脈ステント留置術が行われた場合には、その直後に2回目の超音波検査が行われるのが好適であるが、これに限定されるものではない。例えば、定期的に血流情報を評価する場合には、2回目の超音波検査は、数日後、数週間後、数ヶ月後等、任意の時点で実行可能である。
例えば、表示制御機能172は、第1の実施形態にて説明した処理と同様の処理により、超音波画像90及び2DCT画像20をディスプレイ103上に表示させる。ここで、超音波画像90は、S13の2回目の超音波検査で撮像されたBモード画像に対応する。また、2DCT画像20は、S11で撮影されたX線CT画像データに対応する。また、表示制御機能172は、超音波画像90上に、レンジゲートマーカ91及び角度補正マーカ92を表示させる。また、表示制御機能172は、2DCT画像20上に、レンジゲートマーカ21及び角度補正マーカ22を表示させる。
ここで、第6の実施形態に係る表示制御機能172は、更に、1回目の超音波検査における超音波画像データとは異なる新たな超音波画像データが取得された場合に、新たな超音波画像データ及びボリュームデータのうち少なくとも一方に基づく表示画像上に、確定位置に基づく新たな位置マーカを表示させる。
例えば、表示制御機能172は、内部記憶回路160から確定位置を読み出す。この確定位置は、S12において内部記憶回路160に格納された情報である。そして、表示制御機能172は、超音波画像90上に、確定位置に基づく新たなレンジゲートマーカ93を表示させる。また、表示制御機能172は、2DCT画像20上に、確定位置に基づく新たなレンジゲートマーカ26を表示させる。
つまり、レンジゲートマーカ93及びレンジゲートマーカ26は、S12(1回目の超音波検査)において確定されたレンジゲートマーカ11,21の位置を示すマーカである。このため、操作者は、レンジゲートマーカ93,26の位置を確認するだけで、前回の超音波検査におけるレンジゲートマーカの位置を容易に把握することができる。したがって、操作者は、S13(2回目の超音波検査)において、レンジゲートマーカ93,26の位置に一致するようにレンジゲートマーカ91,21の位置を調整することで、今回のレンジゲートマーカの位置を前回のレンジゲートマーカの位置に容易に合わせることができる。
また、第6の実施形態に係る表示制御機能172は、更に、1回目の超音波検査における超音波画像データとは異なる新たな超音波画像データが取得された場合に、新たな超音波画像データ及びボリュームデータのうち少なくとも一方に基づく表示画像上に、確定角度に基づく新たな角度マーカを表示させる。
例えば、表示制御機能172は、内部記憶回路160から確定角度を読み出す。この確定角度は、S12において内部記憶回路160に格納された情報である。そして、表示制御機能172は、超音波画像90上に、確定角度に基づく新たな角度補正マーカ94を表示させる。また、表示制御機能172は、2DCT画像20上に、確定角度に基づく新たな角度補正マーカ27を表示させる。
つまり、角度補正マーカ94及び角度補正マーカ27は、S12(1回目の超音波検査)において確定された角度補正マーカ12,22の角度を示すマーカである。このため、操作者は、角度補正マーカ94,27の角度を確認するだけで、前回の超音波検査における角度補正マーカの角度を容易に把握することができる。したがって、操作者は、S13(2回目の超音波検査)において、角度補正マーカ94,27の角度に一致するように角度補正マーカ92,22の角度を調整することで、今回の角度補正マーカの角度を前回の角度補正マーカの角度に容易に合わせることができる。
このように、第6の実施形態に係る超音波診断装置1は、1回目の超音波検査で用いたレンジゲートマーカ及び角度補正マーカを、2回目の超音波検査で利用することができる。なお、図14では、2回の超音波検査が行われる場合を説明したが、3回以上の超音波検査が行われる場合にも同様である。つまり、3回以上の超音波検査が行われる場合には、超音波診断装置1は、1回目の超音波検査で用いたレンジゲートマーカ及び角度補正マーカを、3回目以降の超音波検査でも利用することができる。
また、図示の都合上、図14では、超音波画像及び2DCT画像のみを例示したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、図3A等に図示したように、表示制御機能172は、ドプラ波形30や計測結果40をディスプレイ103上に表示させることもかのうである。
また、図14では、確定済みのレンジゲートマーカ及び角度補正マーカを表示する場合を説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、表示制御機能172は、確定済みのレンジゲートマーカの位置と、今回設定中のレンジゲートマーカの位置との差分に基づいて、ナビゲーション用の情報を表示してもよい。この場合、表示制御機能172は、レンジゲートマーカを調整すべき方向を示す画像(矢印形状の画像等)や、調整量を示す情報(距離を示す数値等)を表示することができる。なお、表示制御機能172は、角度補正マーカについても同様に、差分に基づくナビゲーション用の情報を表示可能である。
(その他の実施形態)
上述した実施形態以外にも、種々の異なる形態にて実施されてもよい。
(CWD法への適用)
例えば、上述した実施形態及び変形例では、PWD法による血流情報(ドプラ波形)の収集に適用される場合を説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、上述した実施形態及び変形例は、CWD法による血流情報の収集にも適用可能である。例えば、CWDモードでは、受付機能173は、ライン状のサンプリング位置を示す位置マーカを設定する操作を操作者から受け付ける。また、表示制御機能172は、対応関係に基づいて、少なくとも他の医用画像診断装置により撮像されたボリュームデータに基づく表示画像上の対応する位置に位置マーカを表示させる。
(他の医用画像診断装置による医用画像データとの同時表示)
また、例えば、上述した実施形態及び変形例では、超音波診断装置1とは異なる医用画像診断装置により撮像された医用画像データの例として、X線CT画像データが適用される場合を説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、超音波診断装置1は、MRI画像データとBモード画像データとが同時に表示される場合にも適用可能である。
図15は、その他の実施形態に係る表示制御機能172の処理を説明するための図である。図15に示すように、表示制御機能172は、超音波画像10、MRI画像70、及びドプラ波形30を表示させる。なお、ドプラ波形30については、図3Aと同様であるので説明を省略する。
例えば、表示制御機能172は、被検体Pの脳を含む領域が撮像されたMRI画像70を表示させる。図15に示す例では、MRI画像70には、ウィリス動脈輪が描出されている。また、表示制御機能172は、MRI画像70上に、レンジゲートマーカ71、角度補正マーカ72、及び走査領域マーカ73を表示させる。なお、レンジゲートマーカ71及び角度補正マーカ72は、MRI画像70においてレンジゲートマーカ11及び角度補正マーカ12の位置及び角度に対応するマーカである。また、走査領域マーカ73は、MRI画像70における超音波画像10の位置を示す枠線である。
また、表示制御機能172は、MRI画像70とともに、被検体Pの脳が描出された超音波画像10を表示させる。この超音波画像10は、超音波プローブ101が被検体Pの脳を含む領域に対する超音波走査を行うことにより撮像される。
このように、超音波診断装置1は、超音波画像データを、X線CT画像データ以外の医用画像データと同時に表示される場合にも、上述した実施形態及び変形例を適用可能である。
(他の医用画像診断装置による医用画像データの2時相表示)
また、例えば、図11では、異なる2時相の超音波画像データを同時に表示させる場合を説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、超音波診断装置1は、超音波診断装置1とは異なる他の医用画像診断装置による医用画像データを、互いに異なる2時相で表示可能である。
図16は、その他の実施形態に係る表示制御機能172の処理を説明するための図である。図16には、表示制御機能172の処理によりディスプレイ103上に表示される表示画面の一例を示す。なお、図16において、X線CT画像データは、所定のフレームレート(ボリュームレート)で3次元のボリュームデータが複数回撮影されたダイナミックボリュームデータ(4DCT画像データ)である。
図16に示すように、表示制御機能172は、拡張末期(ED)の2DCT画像20と、収縮末期(ES)の2DCT画像80とを同時に表示させる。なお、超音波画像10及びドプラ波形30については、図3Aと同様であるので、説明を省略する。
このように、表示制御機能172は、異なる2時相(2つのタイミング)の2DCT画像20,80を表示させる。これによれば、操作者は、レンジゲートマーカや角度補正マーカの調整に適切な時相の2DCT画像を選択することが可能となる。例えば、頻脈や不整脈の患者では、必ずしも適切なタイミングの画像が特定されるわけではない。また、画像ブレが激しい場合にも、どのタイミングの画像が適切か見分けるのは困難である。そこで、超音波診断装置1は、異なる2時相(2つのタイミング)の2DCT画像20,80を表示させることにより、適切な時相の2DCT画像を操作者に選択可能に提示する。このため、操作者は、頻脈や不整脈の患者や画像ブレが激しい場合にも、適切な時相の2DCT画像を選択することが可能となる。また、例えば、操作者は、適切と思われる時相の2DCT画像を一方に保持し、もう一方で時相を用手的又は自動的に切り替えながら2DCT画像を表示させることにより、より適切な時相を選択することが可能となる。
なお、図16に示した内容はあくまで一例であり、図示した内容に限定されるものではない。例えば、図16に示した内容は、異なる2時相の超音波画像データを同時に表示させる場合(図11)と組み合わせて実現されても良い。
(医用画像処理装置)
例えば、上述した実施形態及び変形例では、処理回路170の構成要素である取得機能171、表示制御機能172、及び受付機能173が実行する各処理機能が、超音波診断装置1において実行される場合を説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、上記の各処理機能は、ワークステーションなどの医用画像処理装置において実行されてもよい。なお、この場合、取得機能171は、位置検出システムから超音波画像データの位置情報を取得するのではなく、予め超音波画像データに対応づけて記憶された位置情報を取得することが可能である。また、取得機能171は、超音波画像データにおける位置と、超音波診断装置1とは異なる他の医用画像診断装置によって撮像されたボリュームデータにおける位置との対応関係が既に生成され、所定の記憶回路に格納されている場合、この対応関係を取得することも可能である。
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。更に、各装置にて行われる各処理機能は、その全部又は任意の一部が、CPU及び当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、或いは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
また、上述した実施形態及び変形例において説明した各処理のうち、自動的に行なわれるものとして説明した処理の全部又は一部を手動的に行なうこともでき、或いは、手動的に行なわれるものとして説明した処理の全部又は一部を公知の方法で自動的に行なうこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
また、上述した実施形態及び変形例で説明した画像処理方法は、予め用意された画像処理プログラムをパーソナルコンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行することによって実現することができる。この画像処理方法は、インターネット等のネットワークを介して配布することができる。また、この超音波イメージング方法は、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD-ROM、MO、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することもできる。
また、上記の実施形態及び変形例において、略リアルタイムとは、処理対象となる各データが発生するたびに、即時に各処理を行うことを意味する。例えば、略リアルタイムで画像を表示する処理は、被検体が撮像される時刻と画像が表示される時刻とが完全に一致する場合に限らず、画像処理などの各処理に要する時間によって画像がやや遅れて表示される場合を含む概念である。
また、上記の実施形態及び変形例において、略同一の心時相とは、ある心時相と完全に一致する心時相のみならず、実施形態に影響の無い範囲でずれた心時相や、心電波形の検出誤差によりずれた心時相も含まれる概念である。例えば、所望の心時相(例えばR波)のBモード画像を得る場合、超音波診断装置1のフレームレート次第では、R波に完全に一致するBモード画像が存在しない場合がある。この場合、R波の前後のフレームのBモード画像を用いて補間処理を行うことで、R波として推定されるBモード画像を生成しても良いし、R波に近い時刻のBモード画像をR波のBモード画像として選択しても良い。なお、ここで選択されるBモード画像は、R波に最も近いものが好適であるが、実施形態に影響の無い範囲であれば最も近いものでなくとも選択可能である。
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、血流情報の正確性及び定量性を向上させることができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。