以下、添付図面を参照しながら各実施例について詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施例に係る解析システムSの構成を示すシステム構成図である。また、図2は、解析システムSの使用形態例を示す模式図である。
図1及び図2に示すように、解析システムSは、センサユニット1(センサの一例)と、処理装置2と、を含んで構成される。また、センサユニット1と処理装置2とは、例えば、Bluetooth(登録商標)lowenergy/BluetoothLE(以下、「BLE」と称する)によって通信可能に構成される。なお、変形例では、処理装置2は、サーバの形態であり、処理装置2は、センサユニット1とは、ネットワークを介して通信可能に構成されてもよい。この場合、ネットワークは、インターネット、World Wide Web、WAN(Wide Area Network)、無線通信網、有線ネットワーク、又はこれらの任意の組み合わせ等を含んでもよい。
センサユニット1は、計測対象に装着され、計測対象の動きをセンシングしてセンサ情報を処理装置2に送信する。本実施例においては、ゴルフクラブのスイング動作を行う者(以下、「計測対象者P」と称する)の腰等にセンサユニット1を装着し、当該動作をセンシングする。なお、装着とは、携帯の一態様である。なお、センサユニット1は、計測対象に略変位不能に装着されてもよい。この場合、センサユニット1は、計測対象の動きを精度良くセンシングできる。なお、変形例では、センサユニット1は、計測対象のポケットなどに入れられる態様で、計測対象に保持されてもよい。
処理装置2は、計測対象に装着したセンサユニット1から取得したセンサ情報を解析し、計測対象の動作を評価した結果を表示する。例えば、処理装置2は、計測対象が行ったゴルフクラブのスイング動作ごとに、計測対象の腰の回転速度、腰の角度、腰の移動量、スイングリズム、総合的な評価を表す評価結果の表示画面を表示する。
図3は、センサユニット1のハードウェアの構成を示すブロック図である。センサユニット1は、計測対象の動きを検出する各種センサを備えた装置として構成される。
図3に示すように、センサユニット1は、CPU(Central Processing Unit)111と、ROM(Read Only Memory)112と、RAM(Random Access Memory)113と、バス114と、入出力インターフェース115と、センサ部116と、入力部117と、出力部118と、記憶部119と、通信部120と、を備えている。なお、センサユニット1は、半導体メモリ等よりなるリムーバブルメディアを装着可能な構成としてもよい。
CPU111は、ROM112に記録されているプログラム、又は、記憶部119からRAM113にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。
RAM113には、CPU111が各種の処理を実行する上において必要なデータ等も適宜記憶される。
CPU111、ROM112及びRAM113は、バス114を介して相互に接続されている。このバス114にはまた、入出力インターフェース115も接続されている。入出力インターフェース115には、センサ部116、入力部117、出力部118、記憶部119及び通信部120が接続されている。
センサ部116は、3軸方向の加速度を測定する3軸加速度センサと、3軸方向の角速度を測定する3軸角速度センサと、3軸方向の地磁気を測定する3軸地磁気センサとを備えている。センサ部116は、予め設定されたサンプリング周期(例えば、0.001秒)ごとに、3軸加速度センサ、3軸角速度センサ及び3軸地磁気センサによって3軸方向の加速度、角速度及び地磁気を測定する。センサ部116によって測定された加速度及び角速度のデータは、測定時刻のデータと対応付けて、記憶部119に記憶あるいは処理装置2に送信される。
入力部117は、各種ボタン等で構成され、ユーザの指示操作に応じて各種情報を入力する。
出力部118は、ランプやスピーカあるいは振動用モータ等で構成され、光や音声あるいはバイブレーション信号を出力する。
記憶部119は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の半導体メモリで構成され、各種データを記憶する。
通信部120は、端末間の直接的な無線通信によって他の装置との間で行う通信を制御する。本実施例において、通信部120は、BLE(登録商標)によって処理装置2と通信する。
図4は、処理装置2のハードウェア構成を示すブロック図である。処理装置2は、情報表示機能を備えた情報処理装置であり、例えば、スマートフォンとして構成される。
図4に示すように、処理装置2は、CPU211と、ROM212と、RAM213と、バス214と、入出力インターフェース215と、撮像部216と、センサ部217と、入力部218と、出力部219と、記憶部220と、通信部221と、ドライブ222と、を備えている。なお、ドライブ222には、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、あるいは半導体メモリ等よりなる、リムーバブルメディア231が適宜装着される。
撮像部216は、図示はしないが、光学レンズ部と、イメージセンサと、を備えている。なお、変形例では、撮像部216は省略されてもよい。
光学レンズ部は、被写体を撮影するために、光を集光するレンズ、例えばフォーカスレンズやズームレンズ等で構成される。
フォーカスレンズは、イメージセンサの受光面に被写体像を結像させるレンズである。ズームレンズは、焦点距離を一定の範囲で自在に変化させるレンズである。
撮像部216にはまた、必要に応じて、焦点、露出、ホワイトバランス等の設定パラメータを調整する周辺回路が設けられる。
イメージセンサは、光電変換素子や、AFE(Analog Front End)等から構成される。
光電変換素子は、例えばCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)型の光電変換素子等から構成される。光電変換素子には、光学レンズ部から被写体像が入射される。そこで、光電変換素子は、被写体像を光電変換(撮像)して画像信号を一定時間蓄積し、蓄積した画像信号をアナログ信号としてAFEに順次供給する。
AFEは、このアナログの画像信号に対して、A/D(Analog/Digital)変換処理等の各種信号処理を実行する。各種信号処理によって、ディジタル信号が生成され、撮像部216の出力信号として出力される。
このような撮像部216の出力信号を、以下、適宜「撮像画像のデータ」と称する。撮像画像のデータは、CPU211等に適宜供給される。
入力部218は、各種ボタンやタッチパネル等で構成され、ユーザの指示操作に応じて各種情報を入力する。
出力部219は、ディスプレイやスピーカ等で構成され、画像や音声を出力する。通信部221は、インターネットを含むネットワークを介して他の装置(図示せず)との間で行う通信を制御する。また、通信部221は、端末間の直接的な無線通信によって他の装置との間で行う通信を制御する。本実施例において、通信部221は、BLE(登録商標)によってセンサユニット1と通信する。
図5は、センサユニット1の機能的構成のうち、情報検出処理を実行するための機能的構成を示す機能ブロック図である。情報検出処理とは、解析システムSが計測対象の動きを解析する際に、計測対象に装着されたセンサユニット1が計測対象の動きをセンシングする一連の処理である。
情報検出処理が実行される場合、図5に示すように、CPU111において、通信制御部151と、キャリブレーション実行部152と、検出処理部153と、センサ情報送信制御部154とが機能する。
また、記憶部119の一領域には、センサ情報記憶部171が設定される。センサ情報記憶部171には、センサユニット1において取得されたセンサ情報が、取得された時刻と対応付けて記憶される。
通信制御部151は、センサユニット1のBLEによる通信を制御し、他の装置とのペアリング処理やデータの送受信処理を実行する。
キャリブレーション実行部152は、処理装置2からの指示に応じて、基準となる状態におけるセンサ情報を取得し、取得結果を基準値とするキャリブレーションを実行する。本実施例においては、キャリブレーション実行部152は、センサユニット1が計測対象者Pの腰に装着され、ゴルフクラブのスイング動作を行うための位置にアドレスした姿勢を取った状態を基準とし、この状態で取得されたセンサ情報が基準値とされる。
図6Aは、センサユニット1の装着状態を示す模式図、図6Bは、センサユニット1によって検出される情報の例を示す模式図である。なお、以下の説明において、センサユニット1に設定される各軸は、前後方向の回転については計測対象者Pの前傾方向をプラス、鉛直軸まわりの回転については計測対象者Pのフォロー方向をプラス、左右方向の回転については計測対象者Pのフォロー側の腰が高くなる方向をプラスとする。また、前後方向の平行移動については計測対象者Pの前方をプラス、上下方向の平行移動については計測対象者Pの上方をプラス、左右方向の平行移動については計測対象者Pのフォロー方向をプラスとする。
キャリブレーションが行われる場合、図6Aに示すように、例えば、センサユニット1がベルト等によって計測対象者Pの腰に装着され、計測対象者Pがゴルフクラブのスイング動作を行うための位置で、ボールに向かいアドレスした姿勢で所定時間(例えば2秒)静止する。このとき、図6Bに示すように、センサユニット1は、3軸加速度センサによって検出される重力方向及び3軸地磁気センサによって検出される方位を基準として、センサ情報(身体の前後方向の傾斜角度、左右方向の傾斜角度及び鉛直軸まわりの回転角度)を取得し、取得された各センサ情報をアドレス時の基準値とする。そして、以降、計測対象者Pがスイングを行う際に、センサユニット1において検出される各センサ情報が、所定時間(例えば2秒)以上、アドレス時の基準値に対し、各センサ情報について設定された閾値の範囲内となっている場合に、アドレスの状態であると検出される。
また、センサユニット1は、3軸加速度センサを備えているため、センサユニット1の移動(平行移動等)についても検出可能であり、3軸地磁気センサを備えているため、センサユニット1が向いている方位についても検出可能である。
なお、キャリブレーション実行部152がキャリブレーションを実行する場合、計測対象者Pが直立した状態で基準値を取得することとしてもよい。例えば、センサユニット1がベルト等によって計測対象者Pの腰に装着され、計測対象者Pがゴルフクラブのスイング動作を行うための位置で、ボールに向かい直立した姿勢で所定時間(例えば2秒)静止する。このとき、センサユニット1が、3軸加速度センサによって検出される重力方向及び3軸地磁気センサによって検出される方位を基準として、センサ情報(身体の前後方向の傾斜角度、左右方向の傾斜角度及び鉛直軸まわりの回転角度)を取得し、取得された各センサ情報を直立時の基準値とする。そして、以降、計測対象者Pがスイングを行う際に、センサユニット1において検出される各センサ情報が、所定時間(例えば2秒)以上、直立時の基準値に対し、各センサ情報について設定されたアドレス時の姿勢に対応する閾値の範囲内となっている場合に、アドレスの状態であると検出される。
検出処理部153は、各種センサ情報を逐次取得し、取得したセンサ情報を、取得された時刻と対応付けてセンサ情報記憶部171に記憶する。なお、センサ情報記憶部171に記憶されたセンサ情報は、取得された時刻から所定時間が経過した場合に順次破棄することとしてもよい。ただし、ゴルフクラブのスイング動作のアドレスからスイング終了までに取得されたセンサ情報は、少なくとも処理装置2への送信が完了した後に破棄される。
また、検出処理部153は、取得したセンサ情報に基づいて、ゴルフクラブのスイング動作における所定の特徴的なポイントのタイミングを検出する。例えば、検出処理部153は、取得したセンサ情報の波形を解析し、ゴルフクラブのスイング動作におけるアドレス、トップ、ダウンスイング、インパクト、フォローの各ポイントのタイミングを検出する。
例えば、検出処理部153は、取得したセンサ情報に基づいて、まず、インパクトのタイミングを検出する。次いで、検出処理部153は、インパクトのタイミングから逆算してトップ及びアドレスの時間を算出する。あるいは、検出処理部153は、アドレスのタイミングが推定できる場合は、インパクトのタイミングとアドレスのタイミングから、他のポイントのタイミングを算出してもよい。
なお、検出処理部153は、上述のようなゴルフクラブのスイング動作における各ポイントのタイミングを検出するのみならず、各ポイントに該当する期間を直接検出することとしてもよい。
センサ情報送信制御部154は、検出処理部153によって取得されたセンサ情報を処理装置2に送信する制御を行う。本実施例において、検出処理部153では、例えば、1000サンプル/秒程度でセンサ情報を取得することができる。そして、センサ情報送信制御部154は、検出処理部153によって取得されたセンサ情報を予め設定されたサンプリングレート(例えば、240サンプル/秒程度)に変換して処理装置2に送信する。なお、本実施例においては、計測対象者Pのゴルフクラブのスイング動作におけるアドレスからフォローまでの範囲のセンサ情報が処理装置2に送信される。
また、センサ情報送信制御部154は、センサ情報を処理装置2に送信する場合、検出処理部153によって検出されたアドレス、トップ、ダウンスイング、インパクト、フォローの各ポイント(ゴルフクラブのスイング動作における特徴的なポイント)のタイミングを、併せて処理装置2に送信する。
なお、本実施例において、検出処理部153で取得されたセンサ情報は、各種センサの出力信号をそれぞれフィルタリングすることにより、ノイズの影響を抑制した波形に変換され、センサ情報送信制御部154は、処理結果のセンサ情報が表す波形から取得されるセンサ情報を処理装置2に送信する。
これにより、ノイズの影響によってばらつきが大きいセンサ情報よりも信頼度が高い情報を参照して、計測対象者Pの動きを評価することができる。
次に、処理装置2の機能的構成について説明する。図7は、処理装置2の機能的構成のうち、評価結果表示処理と、ゴルフクラブの種別を判別する処理(以下、「ゴルフクラブ種別判別処理」とも称する)とを実行するための機能的構成を示す機能ブロック図である。
評価結果表示処理とは、センサユニット1によって検出されたセンサ情報を解析して、計測対象者Pのゴルフクラブのスイング動作における特徴(腰の回転速度、腰の角度、腰の移動量、スイングリズム、総合的な評価等)を取得し、取得した特徴を計測対象者Pのスイングの評価結果として数値及び図形を用いて表示する一連の処理である。
ゴルフクラブ種別判別処理とは、センサユニット1によって検出されたセンサ情報を解析して、計測対象者Pの使用したゴルフクラブの種別を判別する処理である。
評価結果表示処理及びゴルフクラブ種別判別処理が実行される場合、図7に示すように、CPU211において、通信制御部251と、センサ情報取得部252と、スイング評価部253(姿勢情報生成手段の一例)と、クラブ種別判別部254(判別手段の一例)と、表示制御部255(出力手段の一例)と、記録制御部256とが機能する。
また、記憶部220の一領域には、センサ情報記憶部271、ユーザ情報記憶部272、及び評価結果記憶部273が設定される。センサ情報記憶部271には、センサユニット1から送信されたスイング動作ごとのセンサ情報が、センサ情報が取得された時刻と対応付けて記憶される。ユーザ情報記憶部272には、計測対象者Pの識別情報に関連付けられて計測対象者Pのユーザ情報が記憶される。計測対象者Pのユーザ情報は、計測対象者Pの身長等を含んでよい。評価結果記憶部273には、後述の評価結果表示処理において生成された計測対象者Pの評価結果に関する情報が記憶される。なお、複数のユーザの利用が想定される場合は、センサ情報記憶部271、ユーザ情報記憶部272、及び評価結果記憶部273は、ユーザごとに設定されてよい。
通信制御部251は、処理装置2のBLEによる通信を制御し、他の装置とのペアリング処理やデータの送受信処理を実行する。本実施例において、BLEによる通信が行われる場合、処理装置2がマスタとなり、他の装置がスレーブとなる。
センサ情報取得部252は、予め設定されたサンプリングレートのセンサ情報を、BLEによってセンサユニット1から取得する。本実施例において、センサ情報取得部252は、計測対象者Pのゴルフクラブのスイング動作におけるアドレスからフォローまでの範囲のセンサ情報をセンサユニット1から取得する。このとき取得されるセンサ情報には、アドレス、トップ、ダウンスイング、インパクト、フォローの各ポイントを識別する情報が付加されている。
スイング評価部253は、センサユニット1から取得した各種センサ情報を解析し、計測対象者Pのゴルフクラブのスイング動作における特徴、具体的には、腰の回転速度や、腰の角度、腰の移動量、スイングリズム、総合的な評価等を表すデータ(以下、「評価結果データ」と称する)を取得・生成する。この際に、スイング評価部253は、クラブ種別判別部254により判別されたゴルフクラブの種別に応じて、スイング動作の解析を行うこととしてよい。すなわち、スイング評価部253は、クラブ種別判別部254により判別されたゴルフクラブの種別に応じて、評価結果データを取得・生成する。ゴルフクラブの種別が異なれば、飛距離等が変わるため、ゴルフクラブの種別に応じて評価結果データを生成することで、より有用な評価結果データをユーザに提供できる。例えば、クラブ種別判別部254により判別されたゴルフクラブの種別に対応した平均値や理想値と、実際のセンサ情報に基づく解析値とが比較されてもよい。
このとき、スイング評価部253は、3軸加速度センサの検出値を積分して移動量(距離)を算出したり、3軸角速度センサの検出値を微分して回転角加速度を算出したり、3軸角速度センサの検出値を積分して回転角度を算出したりする。
特に本実施例では、スイング評価部253は、腰の角度を表す情報(以下、「腰角度情報」と称する)(姿勢情報の一例)を生成する。腰角度情報は、前傾角度及び回転角度のそれぞれについて生成される。
以下では、一例として、前傾角度は、鉛直軸に対する前後方向の傾斜角度(図6B)であるものとする。また、回転角度は、鉛直軸まわりの回転角度であり、トップ(スイングの始動段階)の際の姿勢を基準とした回転角度であるものとする。
なお、本実施例において、スイング評価部253は、センサ情報から取得可能なスイングに関する種々のデータを取得することができ、これらのうち、必要なデータをスイングの評価結果データとして用いることができる。
クラブ種別判別部254は、ゴルフクラブ種別判別処理を実行する。本実施例では、一例として、クラブ種別判別部254は、スイング評価部253から得られる腰角度情報に基づいて、ゴルフクラブ種別判別処理を実行する。ゴルフクラブ種別判別処理の詳細は、後述する。
表示制御部255は、ゴルフクラブ種別判別処理で得られるゴルフクラブの種別の判別結果を出力する。出力先は、処理装置2の表示部であってもよいし、計測対象者Pの周囲にある外部ディスプレイ等であってもよい。なお、後出の図8では、ゴルフクラブの種別の判別結果の表示が符合800で指示されている。なお、この判別結果は、ユーザからの入力に応じて修正可能であってもよい。
また、表示制御部255は、計測対象者Pのスイングを計測するための案内画面を表示する。この案内画面には、「アドレスしてください」、「スイングを行ってください」といった行動を促すメッセージや、「スイングを解析中です」といった状況を報知するメッセージが含まれている。なお、変形例では、案内画面の表示は省略されてもよい。
また、表示制御部255は、スイング評価部253によって取得された評価結果データに基づいて、計測対象者Pのスイングの評価結果を表す画面(以下、「評価結果表示画面」と称する)を表示する。評価結果表示画面が表示される場合、メニュー画面において、腰の回転速度、腰の角度、腰の移動量、スイングリズム、総合的な評価をそれぞれ表示するためのボタンが表示される。そして、ユーザがいずれかのボタンを操作すると、それぞれの特徴を表示する評価結果表示画面が表示される。
図8は、評価結果表示画面の一例を示す模式図である。図8に示すように、評価結果表示画面として、腰の回転速度に関する特徴を表示する回転速度表示画面、腰の角度に関する特徴を表示する角度表示画面、腰の移動量に関する特徴を表示する移動量表示画面、スイングリズムに関する特徴を表示するスイングリズム表示画面、及び、総合的な評価に関する特徴を表示する総合結果表示画面が選択可能となっている。
回転速度表示画面は、腰の回転速度(回転角速度)やトップの姿勢から腰の最高回転速度への到達時間を表す数値、及び、腰の回転速度の時間変化を表すグラフ等を含む表示画面である。なお、図8中のポテンシャル飛距離は、スイングのデータが計測対象者Pに近い複数のプレーヤーの打球の飛距離(同一種別のゴルフクラブを使用した時の飛距離)から、統計的な方法(平均値を取る等)で算出される。
角度表示画面は、スイングにおける各ポイントでの前傾角度、回転角度、水平角度を表す数値、これらの最大値、最小値及び変化幅等を含む表示画面である。
移動量表示画面は、スイングにおける各ポイント間の上下方向、左右方向、及び、前後方向の移動量の大小(移動度合い)を表すインジケータ等を含む表示画面である。本実施例において、移動量表示画面におけるインジケータは、所定数以上の上級者(男女のプロゴルファー等)のスイングの平均に基づく統計データに対し、計測対象者Pのスイングが有する偏差を段階的に表している。なお、計測対象者Pの偏差を求める場合の基準となる統計データとして、所定数以上の上級者全体の平均値を用いることや、ドロー系のプレーヤー、フェード系のプレーヤー、男子プロゴルファー、女子プロゴルファー、使用するクラブの種別に応じたモデル毎の平均値を用いることが可能である。また、使用するクラブの種別ごとに、計測対象者Pが良好なスイングであると判断した過去の自らのスイングを基準として用いること等も可能である。
スイングリズム表示画面は、スイングにおけるポイントごとの経過時間(ポイント間の所要時間)を表す数値等を含む表示画面である。
総合結果表示画面は、計測対象者Pのスイングを評価項目ごとに点数で評価した結果を示すレーダーチャート及び点数を表す数値等を含む表示画面である。
これらの表示画面うち、回転速度表示画面には、腰の回転速度に関するグラフが表示される。なお、図8に示す評価結果表示画面は、一例であり、多様な態様で生成することができる。また、変形例では、表示制御部255による評価結果表示画面の出力は実行されなくてもよい。あるいは、変形例では、角度表示画面だけが出力されてもよい。
次に、ゴルフクラブ種別判別処理について詳説する。
図9及び図10は、ゴルフクラブ種別判別処理におけるゴルフクラブ種別判別方法の概念図である。図9は、ゴルフクラブの長さの相違による前傾角度αの相違の説明図であり、前後方向に視た図である。また、図10は、ゴルフクラブの長さの相違による回転角度βの相違の説明図であり、鉛直軸方向に視た図である。
図9及び図10において、(A)は、比較的長いゴルフクラブ900(例えばウッド)を構えた時の姿勢(アドレスの際の姿勢)を模式的に示し、(B)は、比較的な短いゴルフクラブ901(例えばアイアン)を構えた時の姿勢(アドレスの際の姿勢)が模式的に示される。図10では、計測対象者Pの正面方向と、基準方向とが示されている。基準方向は、トップ(スイングの始動段階)の際の姿勢の腰の角度の方向に対応する。
ここで、「正しいゴルフスイングの姿勢」とは、一般的に、背筋が伸びた状態で、手は体から5センチ程度離れており、かつ、クラブのシャフトが背骨と垂直になるような前傾姿勢である、と言われている。これを基にゴルフクラブの長さによって正しいゴルフスイングの姿勢を示したのが図9である。図9から、ゴルフクラブが長くなると腰の前傾角度が浅くなる(角度a<角度b)であることがわかる。
本実施例では、かかる傾向を利用することで、ゴルフクラブの種別を精度良く判別することを可能とする。すなわち、本実施例では、ゴルフクラブ種別判別処理において、前傾角度αに基づいて、ゴルフクラブの種別が判別される。この際、前傾角度αとゴルフクラブの種別との関係があらかじめ規定されたマップ(図11参照)(以下、「前傾角度用判別マップ」と称する)が使用されてもよい。図11では、前傾角度αがa1≦α≦a2である場合に対して、ゴルフクラブの種別“ウッド”が対応付けられている。また、前傾角度αがb1≦α≦b2である場合に対して、ゴルフクラブの種別“アイアン”が対応付けられている。この場合、a2はb1よりも小さい。前傾角度用判別マップの各値a1,a2、b1、b2等は、多数のユーザに係る実際のデータに基づく平均値から設定されてもよいし、ユーザごとに設定されてもよい。ユーザごとに設定される場合は、ユーザごとに異なり得る姿勢が前傾角度用判別マップの各値に反映されるので、ゴルフクラブの種別をより精度良く判別できる。
また、前傾角度用判別マップの各値は、例えば機械学習により生成されてもよい。この際、ユーザごとに機械学習されると、更に高い精度を期待できる。例えば、人工知能の場合は、機械学習により得られる畳み込みニューラルネットワークを実装することで実現できる。機械学習では、例えば、ゴルフクラブの種別ごとの実データを用いて、ゴルフクラブの種別の判別結果の正解率が最も良好になるような畳み込みニューラルネットワークの重み等が学習されてよい。
また、球1000のインパクト位置は、一般的に、ゴルフクラブが長い程、体の中心線より前に来るとも言われている。球1000のインパクト位置が前に来るということは、クラブの長さによってインパクトの瞬間の腰の回転角度が変わるということである。具体的には、図10に示すように、テイクバックで回転させた腰の位置が同じならば、テイクバック時からインパクト時の腰の回転角度はゴルフクラブの長さによって変わる。図10から、ゴルフクラブが長くなると腰の回転角度が大きくなる(角度d<角度c)であることがわかる。
本実施例では、かかる傾向を利用することで、ゴルフクラブの種別を精度良く判別することを可能とする。すなわち、本実施例では、ゴルフクラブ種別判別処理において、インパクトの際の回転角度βに基づいて、ゴルフクラブの種別が判別される。この際、回転角度βとゴルフクラブの種別との関係があらかじめ規定されたマップ(図12参照)(以下、「回転角度用判別マップ」と称する)が使用されてもよい。図12では、回転角度βがc1≦β≦c2である場合に対して、ゴルフクラブの種別“ウッド”が対応付けられている。また、回転角度βがd1≦β≦d2である場合に対して、ゴルフクラブの種別“アイアン”が対応付けられている。この場合、c1はd2よりも大きい。回転角度用判別マップの各値c1,c2、d1、d2等は、多数のユーザに係る実際のデータに基づく平均値から設定されてもよいし、ユーザごとに設定されてもよい。ユーザごとに設定される場合は、ユーザごとに異なり得る姿勢が回転角度用判別マップの各値に反映されるので、ゴルフクラブの種別をより精度良く判別できる。また、回転角度用判別マップの各値は、例えば機械学習により生成されてもよい。すなわち、ゴルフクラブの種別ごとの腰角度情報を教師データとして機械学習が実行されてよい。この際、ユーザごとに機械学習されると、更に高い精度を期待できる。
なお、本実施例では、前傾角度及び回転角度の双方を利用して、ゴルフクラブの種別が判別される。例えば、前傾角度αがa1≦α≦a2であり、かつ、回転角度βがc1≦β≦c2である場合、ゴルフクラブが“ウッド”であると判別される。また、前傾角度αがb1≦α≦b2であり、かつ、回転角度βがd1≦β≦d2である場合、ゴルフクラブが“アイアン”であると判別される。ただし、変形例では、前傾角度及び回転角度のうちの、いずれか一方だけを利用して、ゴルフクラブの種別が判別されてもよい。
なお、回転角度βに基づくゴルフクラブの種別の判別方法は、一時点の回転角度β、すなわちインパクトの際の回転角度βに基づくものであるが、上述した態様に限られない。例えば、スイング動作における所定区間中の複数時点での回転角度βに基づいて、ゴルフクラブの種別が判別されてもよい。この場合、所定区間は、スイング動作における全区間(アドレスからフォローまでの区間)であってもよい。あるいは、所定区間は、アドレスからインパクトまで、又は、トップからインパクトであってもよい。この際、複数時点の数は、任意である。この場合、例えば、アドレスからインパクトまでの区間における回転角度βの変化態様(例えば時系列波形)が、ゴルフクラブの種別に応じて異なる点を利用して、ゴルフクラブの種別を精度良く判別できる。この場合、同様に、所定区間における回転角度βの変化態様は、ゴルフクラブの種別ごとに機械学習されてもよい。
また、変形例では、前傾角度α及び回転角度βに加えて、他のパラメータを考慮してゴルフクラブの種別が判別されてもよい。例えば、計測対象者Pの身長のような体格が考慮されてもよい。これは、同じ長さのゴルフクラブであっても、ユーザの体格によって、アドレス時の前傾角度αやインパクト時の回転角度βが異なる場合があるためである。この場合、計測対象者Pの身長のような体格は、計測対象者Pのユーザ情報(ユーザ情報記憶部272内のユーザ情報)に基づいて判断されてもよい。
次に、ゴルフクラブ種別判別処理に関連する処理装置2の動作例について説明する。
図13は、ゴルフクラブ種別判別処理に関連する処理装置2による処理の例を示すフローチャートである。
ステップS130では、通信制御部251は、今回のスイング動作に係るセンサ情報をセンサユニット1から取得する。本実施例では、一例として、このとき取得されるセンサ情報には、アドレス、トップ、ダウンスイング、インパクト、フォローの各ポイントを識別する情報が付加されているものとする。
ステップS132では、スイング評価部253は、ステップS130で得た情報に基づいて、腰角度情報を生成する。例えば、スイング評価部253は、アドレスからインパクトまでの区間にわたる腰角度情報を生成する。なお、変形例では、スイング評価部253は、アドレス時の前傾角度と、インパクト時の回転角度だけを、腰角度情報として生成してもよい。
ステップS134では、クラブ種別判別部254は、ステップS132で生成された腰角度情報に基づいて、アドレス時の前傾角度を取得する。
ステップS136では、クラブ種別判別部254は、ステップS132で生成された腰角度情報に基づいて、インパクト時の回転角度を取得する。
ステップS138では、クラブ種別判別部254は、ステップS134で取得した前傾角度に対応付けられるゴルフクラブの種別と、ステップS136で取得した回転角度に対応付けられるゴルフクラブの種別とに基づいて、今回のスイング動作に係るゴルフクラブの種別を判別する。例えば、ステップS134で取得した前傾角度に対応付けられるゴルフクラブの種別と、ステップS136で取得した回転角度に対応付けられるゴルフクラブの種別とが、ともに“ウッド”である場合は、クラブ種別判別部254は、今回のスイング動作に係るゴルフクラブの種別は“ウッド”であると判別する。なお、ステップS134で取得した前傾角度に対応付けられるゴルフクラブの種別と、ステップS136で取得した回転角度に対応付けられるゴルフクラブの種別とが異なる場合は、判別不能としてもよいし、あるいは、一方の判別結果(例えばステップS134で取得した前傾角度に対応付けられるゴルフクラブの種別の判別結果)を優先してもよい。
ステップS140では、表示制御部255は、ステップS138で得られたクラブ種別判別部254の判別結果(ゴルフクラブの種別)を出力する。この際、表示制御部255は、クラブ種別判別部254の判別結果のみを単独で出力してもよいし、腰角度情報等の他の情報とともに出力してもよい(図8参照)。なお、この際、クラブ種別判別部254の判別結果は、ユーザにより修正可能な態様で出力されてもよい。この場合、ユーザは、今回使用したゴルフクラブの種別が、出力されたゴルフクラブの種別と異なる場合は、適宜、修正することで、正しいデータを蓄積させることができる。
以上、各実施例について詳述したが、特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。また、前述した実施例の構成要素を全部又は複数を組み合わせることも可能である。
例えば、上述した実施例では、センサユニット1が図5に示す機能的構成を有しているが、これに限られない。例えば、センサユニット1における検出処理部153の機能は、処理装置2により実現されてもよい。この場合、センサユニット1は、センサ情報を処理装置2に送信する。この場合、処理装置2は、取得したセンサ情報の波形を解析し、ゴルフクラブのスイング動作におけるアドレス、トップ、ダウンスイング、インパクト、フォローの各ポイントのタイミングを検出してよい。あるいは、逆に、図7に示した処理装置2の機能の一部又は全部は、センサユニット1により実現されてもよい。
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
<請求項1>
ユーザに携帯されたセンサからのセンサ情報に基づいて、スイング動作における前記ユーザの姿勢情報を生成する姿勢情報生成手段と、
前記姿勢情報生成手段により生成された前記姿勢情報に基づいて、前記スイング動作において前記ユーザの使用するゴルフクラブの種別を判別する判別手段と、
を有することを特徴とするゴルフクラブ判別装置。
<請求項2>
前記姿勢情報は、前記スイング動作における前記ユーザの腰部の前傾角度、及び、前記スイング動作における前記ユーザの腰部の回転角度、のうちの少なくともいずれか一方を含むことを特徴とする請求項1に記載のゴルフクラブ判別装置。
<請求項3>
前記姿勢情報は、前記スイング動作の所定区間における1時点での姿勢、又は、所定区間における複数時点での姿勢に関することを特徴とする請求項1又は2に記載のゴルフクラブ判別装置。
<請求項4>
前記所定区間は、前記スイング動作におけるアドレスからインパクトまでの区間、又は、前記スイング動作におけるトップからインパクトまでの区間であることを特徴とする請求項3に記載のゴルフクラブ判別装置。
<請求項5>
前記前傾角度は、前記スイング動作におけるアドレス時の前記ユーザの腰部の角度であって鉛直軸に対する角度に対応し、
前記回転角度は、前記スイング動作におけるインパクト時の前記ユーザの腰部の角度であって基準方向に対する角度に対応することを特徴とする請求項2に記載のゴルフクラブ判別装置。
<請求項6>
前記判別手段により判別された前記種別に応じて、前記スイング動作を解析する解析手段を有することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のゴルフクラブ判別装置。
<請求項7>
前記判別手段により判別された前記種別、前記姿勢情報生成手段により生成された前記姿勢情報、又は、前記解析手段により解析された解析結果を出力する出力手段を有することを特徴とする請求項6に記載のゴルフクラブ判別装置。
<請求項8>
前記センサは、前記ユーザの腰部に装着されることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載のゴルフクラブ判別装置。
<請求項9>
ユーザに携帯されたセンサからのセンサ情報に基づいて、スイング動作における前記ユーザの姿勢情報を生成し、
生成した前記姿勢情報に基づいて、前記スイング動作において前記ユーザの使用するゴルフクラブの種別を判別することを含む、
ことを特徴とする、コンピュータにより実行されるゴルフクラブ判別方法。
<請求項10>
ユーザに携帯されたセンサからのセンサ情報に基づいて、スイング動作における前記ユーザの姿勢情報を生成し、
生成した前記姿勢情報に基づいて、前記スイング動作において前記ユーザの使用するゴルフクラブの種別を判別する、
処理を、コンピュータに実行させるゴルフクラブ判別プログラム。