JP7020734B1 - 繊維強化プラスチック製のタンク分割体、繊維強化プラスチック製のタンク、及び繊維強化プラスチック製のタンク分割体の製造方法 - Google Patents
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Description
タンクは、第1タンク分割体、第2タンク分割体、及びシール部材を備えている。
各タンク分割体は、繊維強化プラスチック製の筒部と、繊維強化プラスチック製のフランジ部とを有している。フランジ部は、筒部の端部の外周面に設けられ、筒部の径方向の外側に向かって突出している。フランジ部には、複数のボルト孔が筒部の周方向に互いに間隔をおいて設けられている。
特許文献1に記載のタンクでは、シール部材がフランジ部の端面の略全体にわたって設けられている。
上記繊維強化プラスチック製のタンク分割体において、前記複数の凹部は、前記マット群を切り欠くことで形成されており、前記凹部の各々の底面は、前記マット群を構成する複数枚の前記マットのうち前記軸線方向に延在する部分の切欠面により形成されていることが好ましい。
また、上記課題を解決するための繊維強化プラスチック製のタンクは、前記タンク分割体を第1タンク分割体とするとき、前記第1タンク分割体と、前記第1タンク分割体の前記筒部の前記端部の開口を覆う第2タンク分割体と、前記フランジ部の端面と前記第2タンク分割体との間に介在するシール部材と、を備える。
上記タンクにおいて、前記シール部材は、前記ボルト孔よりも前記径方向の内側にのみ介在することが好ましい。
上記タンクにおいて、前記シール部材は、ポリテトラフルオロエチレン製の平パッキンであることが好ましい。
上記繊維強化プラスチック製のタンク分割体の製造方法において、前記凹部形成工程では、前記マット群を切り欠くことで前記複数の凹部を形成するとともに、前記マット群を構成する複数枚のマットのうち前記軸線方向に延在する部分を切り欠くことで前記凹部の各々の底面を形成することが好ましい。
以下、図1~図13を参照して、第1実施形態について説明する。
図1及び図4に示すように、タンクは、第1タンク分割体10、第2タンク分割体20、ボルト31、及びナット32を備えている。
図1~図5に示すように、第1タンク分割体10は、繊維強化プラスチック製であり、円筒状の筒部11と、筒部11の端部11bの外周面に設けられ、筒部11の径方向の外側に向かって突出するフランジ部12とを有している。
筒部11は、繊維強化プラスチック製である。筒部11は、強化繊維を含み、互いに積層された複数枚のマット(いずれも図示略)により形成されている。本実施形態では、強化繊維として、ガラス繊維が用いられている。
頂部11aの中心部には、軸線方向Aに沿って外側に向けて突出する円筒状の導入部11dが設けられている。導入部11dの先端には、フランジ11eが設けられている。なお、フランジ11eには、二点鎖線にて示す導入管が接続される。
第1マット群13は、強化繊維を含み、熱硬化性樹脂を介して互いに積層された複数枚の第1マット13Aを有している。第1マット13Aは、径方向Rに延びる第1部分13aと、第1部分13aの径方向Rの内側に連なるとともに軸線方向Aに延びる第2部分13bとを有している。複数枚の第1マット13Aのうち最も内周側に位置する第1マット13Aの第2部分13bは、筒部11の外周面に熱硬化性樹脂を介して積層されている。
第2マット群14は、強化繊維を含み、熱硬化性樹脂を介して互いに積層された複数枚の第2マット14Aを有している。第2マット14Aは、径方向Rにおいて第1部分13aと第2部分13bとにわたって延びるとともに、第1部分13aと第2部分13bとの間の隅部13cを埋めている。
図1~図4、及び図5(b)に示すように、フランジ部12には、端面12aとは反対側から、第1マット群13及び第2マット群14を部分的に切り欠いて設けられた複数の凹部15が設けられている。複数の凹部15は、周方向Cにおいて互いに等間隔にて設けられている。凹部15は、径方向Rの外側に向かって且つ軸線方向Aにおいて端面12aとは反対側に向かって開口している。凹部15は、端面12aと平行な底面15aを有している。凹部15は、平面視においてU字状の内面15bを有している。
なお、図5(b)では、第1マット群13及び第2マット群14の層構造の図示を省略している。
図1及び図4に示すように、第2タンク分割体20は、第1タンク分割体10と同一の構成を備えている。したがって、第1タンク分割体10の符号「**」に「10」を加算した符号を付すことにより、重複する説明を省略する。
まず、図6(a)に示すように、定盤50上に、円板状のベースマット17を載置する(ベースマット載置工程)。
続いて、図11に示すように、第2マット14Aを、第1マット群13に熱硬化性樹脂を介して積層するとともに径方向Rにおいて第1部分13aと第2部分13bとにわたって延ばす。熱硬化性樹脂を介した第2マット14Aの積層を複数回繰り返すことで、第1部分13aと第2部分13bとの間の隅部13cを埋める第2マット群14を形成する(第2マット群形成工程)。
このようにしてベースマット17、環状マット18、第1マット13A、及び第2マット14Aを積層することにより、フランジ部12が形成される。
最後に、トップコートを形成することにより、第1タンク分割体10が完成する。また、第2タンク分割体20も第1タンク分割体10と同一の製造方法によって製造されることから、第2タンク分割体20の製造法については説明を省略する。
第1タンク分割体10のフランジ部12が、第1マット群13及び第2マット群14を備えている。ここで、第1マット群13を構成する複数枚の第1マット13Aが、筒部11の径方向Rに延びる第1部分13aと、第1部分13aの径方向Rの内側に連なるとともに筒部11の軸線方向Aに延びる第2部分13bとを有している。すなわち、各第1マット13Aが、筒部11の径方向Rと軸線方向Aとの双方に沿って延びている。また、第2マット群14を構成する複数枚の第2マット14Aが、筒部11の径方向Rにおいて第1部分13aと第2部分13bとにわたって延びるとともに、第1部分13aと第2部分13bとの間の隅部13cを埋めている。すなわち、第2マット14Aが、第1マット13Aの第1部分13aと第2部分13bとを連結している。これらにより、フランジ部12の径方向Rの外側部分に対して筒部11から離れる方向に作用する荷重に対するフランジ部12の強度が飛躍的に高められる。また、第2タンク分割体20についても同様である(以上、作用1)。
本実施形態のタンクでは、1.5MPaまで加圧しても、水漏れ及びフランジ部12,22の変形は発生しなかった。
次に、本実施形態の効果について説明する。
(1-2)シール部材40は、ボルト孔16よりも径方向Rの内側にのみ介在する。
(1-3)シール部材40は、ポリテトラフルオロエチレン製の平パッキンである。
こうした方法によれば、より高い締結トルクに耐えることのできる第1タンク分割体10を容易に製造することができる。
以下、図14及び図15を参照して、第2実施形態について説明する。
本実施形態では、第1タンク分割体のフランジ部の構造が第1実施形態と相違している。以下、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
マット群63は、強化繊維を含み、筒部11の径方向Rにおいて熱硬化製樹脂を介して互いに積層された複数枚のマット69Aを有している。複数枚のマット69Aのうち最も内周側に位置するマット69Aは、筒部11の外周面に熱硬化性樹脂を介して積層されている。
図14に示すように、フランジ部62には、同図に二点鎖線にて示すように、端面62aとは反対側から、マット群63を切り欠くことで形成された複数の凹部65が設けられている。凹部65は、端面62aと平行な底面65aを有している。
同図に二点鎖線にて示すように、フランジ部62には、底面65aと端面62aとを軸線方向Aに貫通するボルト孔66が設けられている。
次に、第1タンク分割体60の製造方法について第1実施形態との相違点を中心に説明する。
次に、図15に示すように、マット群形成工程を行う。このマット群形成工程では、筒部11の端部11bの外周面に、熱硬化性樹脂を介してマット69Aを積層する。次に、マット69Aの外周面に熱硬化性樹脂を介してマット69Aを積層する。この作業を複数回繰り返すことによってマット群63を形成する。このとき、複数枚のマット69Aの基端側の端部は、ベースマット17に固定される。
なお、凹部形成工程以降の工程については、第1実施形態と同様である。
フランジ部62がマット群63を備えている。マット群63を構成する複数枚のマット69Aは筒部11の軸線方向Aに延びている。ここで、ボルト孔66に挿通されるボルト31を締結することに伴って、フランジ部62の径方向Rの外側部分に対して筒部11から離れる方向に荷重が作用する。このとき、上記荷重は、筒部11の軸線方向Aにおいてフランジ部62を構成する複数枚のマット69Aを剪断する方向に作用する。ここで、マット69Aを剪断するのに要する荷重は、第1実施形態のフランジ12のように第1マット13Aの第1部分13a同士の間に介在する熱硬化製樹脂を破断するのに要する荷重よりも数倍以上大きい。したがって、上記荷重に対するフランジ部62の強度が第1実施形態に比べて更に高められる(以上、作用3)。
(2-1)第1タンク分割体60のフランジ部62は、強化繊維を含み、筒部11の径方向Rにおいて熱硬化性樹脂を介して互いに積層された複数枚のマット69Aを有するマット群63を備えている。フランジ部62には、端面62aとは反対側の部分が切り欠かれてなり、筒部11の周方向Cに互いに間隔をおいて設けられた複数の凹部65と、凹部65の各々の底面65aと端面62aとを軸線方向Aに貫通する複数のボルト孔66とが設けられている。
(2-2)複数の凹部65は、マット群63を切り欠くことで形成されており、凹部65の各々の底面65aは、マット群63を構成する複数枚のマット69A、すなわち軸線方向Aに延在する複数枚のマット69Aの切欠面により形成されている。
<変形例>
上記実施形態は、例えば以下のように変更して実施することもできる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
第2変形例の第1タンク分割体60においては、上記第1実施形態と同様な効果を奏することができる。ただし、第2変形例の第1タンク分割体60においては、第2実施形態及び第1変形例よりは上記荷重に対するフランジ部62の強度が低くなる。
・凹部15が、径方向Rの外側に向かって開口していない、すなわち、軸線方向Aにおいて端面12aとは反対側にのみ開口する構成であってもよい。
・第1実施形態において、環状マット18を省略してもよい。また、第2実施形態、第1変形例、第2変形例において、環状マット18を設けるようにしてもよい。
11…筒部
11a…頂部
11b…端部
11c…開口
11d…導入部
11e…フランジ
12,62…フランジ部
12a,62a…端面
13…第1マット群
13A…第1マット
13a,63a…第1部分
13b,63b…第2部分
13c…隅部
14…第2マット群
14A…第2マット
15,65…凹部
15a,65a…底面
15b…内面
16,66…ボルト孔
17…ベースマット
17a…部分
18…環状マット
20…第2タンク分割体
21…筒部
21a…底部
21b…端部
21c…開口
21d…導出部
21e…フランジ
22…フランジ部
22a…端面
25…凹部
25a…底面
25b…内面
26…ボルト孔
31…ボルト
31a…頭部
31b…軸部
32…ナット
40…シール部材
50…定盤
63…マット群
63A…マット
69A…マット
Claims (10)
- 筒部と、前記筒部の端部の外周面に設けられ、前記筒部の径方向の外側に向かって突出するフランジ部と、を有する繊維強化プラスチック製のタンク分割体において、
前記フランジ部は、強化繊維を含み、前記径方向において熱硬化性樹脂を介して互いに積層された複数枚のマットを有するマット群を備えており、
前記マット群は、前記強化繊維を含むマットを前記筒部の前記端部の外周面に塗布された熱硬化性樹脂を介して積層し、さらに積層されたマット上に熱硬化性樹脂を介してマットを積層することを複数回繰り返すことによって形成されており、
前記フランジ部には、前記筒部の軸線方向における前記フランジ部の端面のうち前記軸線方向における前記筒部の端面に対して前記径方向の外側に隣り合う端面とは反対側の部分が切り欠かれてなり、前記筒部の周方向に互いに間隔をおいて設けられた複数の凹部と、前記凹部の各々の底面と前記フランジ部の端面とを前記筒部の軸線方向に貫通する複数のボルト孔と、が設けられている、
繊維強化プラスチック製のタンク分割体。 - 前記複数の凹部は、前記マット群を切り欠くことで形成されており、
前記凹部の各々の底面は、前記マット群を構成する複数枚の前記マットのうち前記軸線方向に延在する部分の切欠面により形成されている、
請求項1に記載の繊維強化プラスチック製のタンク分割体。 - 前記マット及び前記マット群をそれぞれ第1マット及び第1マット群とするとき、
前記フランジ部は、強化繊維を含み、熱硬化性樹脂を介して互いに積層された複数枚の第2マットを有し、前記第1マット群の外面に対して熱硬化性樹脂を介して積層された第2マット群を更に備え、
前記第1マットは、前記径方向に延びる第1部分と、前記第1部分の前記径方向の内側に連なるとともに前記軸線方向に延びる第2部分と、を有し、
前記第2マットは、前記径方向において前記第1部分と前記第2部分とにわたって延びるとともに、前記第1部分と前記第2部分との間の隅部を埋めており、
前記複数の凹部は、前記フランジ部の端面とは反対側から、前記第1マット群及び前記第2マット群が部分的に切り欠かれてなる、
請求項1に記載の繊維強化プラスチック製のタンク分割体。 - 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のタンク分割体を第1タンク分割体とするとき、
前記第1タンク分割体と、
前記第1タンク分割体の前記筒部の前記端部の開口を覆う第2タンク分割体と、
前記フランジ部の端面と前記第2タンク分割体との間に介在するシール部材と、を備える、
繊維強化プラスチック製のタンク。 - 前記シール部材は、前記ボルト孔よりも前記径方向の内側にのみ介在する、
請求項4に記載の繊維強化プラスチック製のタンク。 - 前記シール部材は、ポリテトラフルオロエチレン製の平パッキンである、
請求項5に記載の繊維強化プラスチック製のタンク。 - 筒部と、前記筒部の端部の外周面に一体に設けられ、前記筒部の径方向の外側に向かって突出するフランジ部と、を有する繊維強化プラスチック製のタンク分割体を製造する方法において、
定盤上に前記端部を下側にして前記筒部を載置する筒部載置工程と、
強化繊維を含むマットを前記筒部の前記端部の外周面に熱硬化性樹脂を介して積層することを複数回繰り返すことでマット群を形成するマット群形成工程と、
前記筒部の軸線方向における前記フランジ部の端面のうち前記軸線方向における前記筒部の端面に対して前記径方向の外側に隣り合う端面とは反対側の部分を切り欠くことで、前記筒部の周方向に互いに間隔をおいて複数の凹部を形成する凹部形成工程と、
前記凹部の各々の底面と前記フランジ部の端面とを前記筒部の軸線方向に貫通する複数のボルト孔を形成するボルト孔形成工程と、を備える、
繊維強化プラスチック製のタンク分割体の製造方法。 - 前記凹部形成工程では、前記マット群を切り欠くことで前記複数の凹部を形成するとともに、
前記マット群を構成する複数枚のマットのうち前記軸線方向に延在する部分を切り欠くことで前記凹部の各々の底面を形成する、
請求項7に記載の繊維強化プラスチック製のタンク分割体の製造方法。 - 前記マット、前記マット群、及び前記マット群形成工程をそれぞれ第1マット、第1マット群、及び第1マット群形成工程とするとき、
前記第1マット群形成工程では、前記第1マットの第1部分を前記定盤上に熱硬化性樹脂を介して積層するとともに前記第1マットのうち第1部分の前記径方向の内側に連なる第2部分を前記筒部の外周面に熱硬化性樹脂を介して積層することを複数回繰り返すことで第1マット群を形成し、
前記第1マット群形成工程の後に、強化繊維を含む第2マットを、前記第1マット群に熱硬化性樹脂を介して積層するとともに前記径方向において前記第1部分と前記第2部分とにわたって延ばすことを複数回繰り返すことで、前記第1部分と前記第2部分との間の隅部を埋める第2マット群を形成する第2マット群形成工程を更に備え、
前記凹部形成工程は、前記フランジ部の端面とは反対側から、前記第1マット群及び前記第2マット群を部分的に切り欠くことで、前記筒部の周方向に互いに間隔をおいて複数の凹部を形成する、
請求項7に記載の繊維強化プラスチック製のタンク分割体の製造方法。 - 前記筒部載置工程に先立ち、前記定盤上に、強化繊維を含むベースマットを載置するベースマット載置工程と、
前記ベースマット上に熱硬化性樹脂を塗布する塗布工程と、を備え、
前記筒部載置工程では、前記熱硬化性樹脂が未硬化な状態になっている前記ベースマット上に、前記端部を下側にして前記筒部を載置する、
請求項7から請求項9のいずれか一項に記載の繊維強化プラスチック製のタンク分割体の製造方法。
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