JP7020173B2 - スピン軌道トルク型磁化回転素子、スピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子、磁気メモリ及びスピン軌道トルク型磁化回転素子の製造方法 - Google Patents

スピン軌道トルク型磁化回転素子、スピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子、磁気メモリ及びスピン軌道トルク型磁化回転素子の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、スピン軌道トルク型磁化回転素子、スピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子、磁気メモリ及びスピン軌道トルク型磁化回転素子の製造方法に関する。
強磁性層と非磁性層の多層膜からなる巨大磁気抵抗(GMR)素子、及び、非磁性層に絶縁層(トンネルバリア層、バリア層)を用いたトンネル磁気抵抗(TMR)素子が知られている。これらは、磁気センサ、高周波部品、磁気ヘッド及び不揮発性ランダムアクセスメモリ(MRAM)用の素子として、注目が集まっている。
MRAMは、絶縁層を挟む二つの強磁性層の互いの磁化の向きが変化するとGMR素子又はTMR素子の素子抵抗が変化するという特性を利用してデータを読み書きする。MRAMの書き込み方式としては、電流が作る磁場を利用して書き込み(磁化反転)を行う方式や磁気抵抗効果素子の積層方向に電流を流して生ずるスピントランスファートルク(STT)を利用して書き込み(磁化反転)を行う方式が知られている。
STTを用いた磁気抵抗効果素子の磁化反転は、データを書き込む際に磁気抵抗効果素子の積層方向に電流を流す必要がある。書き込み電流は、磁気抵抗効果素子の特性を劣化させる場合がある。
そこで近年、書き込み時に磁気抵抗効果素子の積層方向に電流を流さなくてもよい方法に注目が集まっている。その一つの方法が、スピン軌道トルク(SOT)を利用した書込み方法である(例えば、非特許文献1)。SOTは、スピン軌道相互作用によって生じたスピン流又は異種材料の界面におけるラシュバ効果により誘起される。磁気抵抗効果素子内にSOTを誘起するための電流は、磁気抵抗効果素子の積層方向と交差する方向に流す。すなわち、磁気抵抗効果素子の積層方向に電流を流す必要がなく、磁気抵抗効果素子の長寿命化が期待されている。
I.M.Miron,K.Garello,G.Gaudin,P.-J.Zermatten,M.V.Costache,S.Auffret,S.Bandiera,B.Rodmacq,A.Schuhl,and P.Gambardella,Nature,476,189(2011).
重金属等を含む所定のスピン軌道トルク配線に電流を流すと、多くのスピンが強磁性体内に注入され、大きなSOTが誘起される。一方で、スピン軌道トルク配線は、一般に配線として用いられる銅配線、アルミニウム配線等と比較して熱伝導性に劣る。そのため、スピン軌道トルク配線に接続された強磁性体の温度が高くなり、強磁性体の磁化安定性が低下する。強磁性体の磁化安定性の低下は、磁気抵抗効果素子において書込みエラーの原因となる。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、排熱性に優れたスピン軌道トルク型磁化回転素子を提供する。
本発明者らは、鋭意検討の結果、排熱性に優れる素子構成を見出した。
すなわち本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を提供する。
(1)第1の態様にかかるスピン軌道トルク型磁化回転素子は、第1方向に延在するスピン軌道トルク配線と、前記スピン軌道トルク配線と交差する第2方向に積層された第1強磁性層と、を備え、前記スピン軌道トルク配線は、前記スピン軌道トルク配線と前記第1強磁性層との接続部における第1面より前記第2方向に突出する凸部を有する。
(2)上記態様にかかるスピン軌道トルク型磁化回転素子において、前記凸部は前記第1強磁性層の周囲を囲んでいてもよい。
(3)上記態様にかかるスピン軌道トルク型磁化回転素子において、前記凸部の前記第1強磁性層側の側面が、前記第1面から前記凸部の頂部に向かって、前記第1強磁性層から離れる向きに傾斜していてもよい。
(4)上記態様にかかるスピン軌道トルク型磁化回転素子において、前記スピン軌道トルク配線の前記凸部の位置において、前記スピン軌道トルク配線の前記第1強磁性層と反対側の面に、挿入層を有していてもよい。
(5)上記態様にかかるスピン軌道トルク型磁化回転素子において、前記スピン軌道トルク配線が、Ta、W、Pt、Au、Nb、Mo、Ru、Os、Rh、Ir、Pd及びAgからなる群から選択される1種以上の元素を含んでいてもよい。
(6)第2の態様にかかるスピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子は、上記態様にかかるスピン軌道トルク型磁化回転素子と、前記第1強磁性層において前記スピン軌道トルク配線と接する面と反対側の面に積層された非磁性層と、前記第1強磁性層と前記非磁性層を挟む第2強磁性層と、を備え、前記第1強磁性層と前記非磁性層と前記第2強磁性層とが磁気抵抗効果を発現する機能部をなす。
(7)上記態様にかかるスピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子において、前記凸部と前記機能部との最短距離が、前記機能部の高さ以下であってもよい。
(8)上記態様にかかるスピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子において、前記凸部と前記機能部との最短距離が、前記機能部の高さと前記凸部の高さの差分以上であってもよい。
(9)上記態様にかかるスピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子において、前記凸部の高さが、前記機能部の高さ以下であってもよい。
(10)上記態様にかかるスピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子において、前記機能部の側壁を保護する層間絶縁膜をさらに備え、前記層間絶縁膜が、Si、Al、Ta、Mg、Hfからなる群から選択される1種以上の元素の酸化物または窒化物であってもよい。
(11)第3の態様にかかる磁気メモリは、上記態様にかかるスピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子を複数備える。
(12)第4の態様にかかるスピン軌道型磁化回転素子の製造方法は、上記態様にかかるスピン軌道トルク型磁化回転素子の製造方法であって、基板上に保護層を積層し、少なくとも前記凸部となる位置を残して前記保護層を除去する工程と、前記保護層上に、スピン軌道トルク配線となる層と強磁性層とを順に積層する工程と、前記強磁性層上の一部に犠牲層を形成しエッチングする工程と、を有する。
(13)第5の態様にかかるスピン軌道型磁化回転素子の製造方法は、上記態様にかかるスピン軌道トルク型磁化回転素子の製造方法であって、基板上にスピン軌道トルク配線となる層と強磁性層とを順に積層する工程と、前記凸部及び前記第1強磁性層となる部分を被覆する犠牲層を形成する工程と、前記犠牲層を介してエッチングする工程と、を有する。
(14)第6の態様にかかるスピン軌道型磁化回転素子の製造方法は、上記態様にかかるスピン軌道トルク型磁化回転素子の製造方法であって、基板上にスピン軌道トルク配線となる層と強磁性層とを順に積層する工程と、前記第1強磁性層となる部分を被覆する保護層を形成した後、不要部を除去し、前記第1強磁性層を形成する工程と、前記スピン軌道トルク配線となる層及び前記第1強磁性層を被覆する絶縁層を被覆する工程と、前記スピン軌道トルク配線となる層と同じ材料を積層し、前記スピン軌道トルク配線となる層の厚みを増やす工程と、を有する。
排熱性に優れたスピン軌道トルク型磁化回転素子を提供できる。
第1実施形態にかかるスピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子の断面模式図である。 第1実施形態にかかるスピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子の平面模式図である。 第1実施形態にかかるスピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子の別の例の断面模式図である。 第1実施形態にかかるスピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子の別の例の断面模式図である。 第1実施形態にかかるスピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子の製造方法を模式的に示した図である。 第1実施形態にかかるスピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子の製造方法を模式的に示した図である。 第1実施形態にかかるスピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子の製造方法を模式的に示した図である。 第1実施形態にかかるスピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子の製造方法を模式的に示した図である。 第2実施形態にかかるスピン軌道トルク型磁化回転素子の断面模式図である。 複数のスピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子を備える磁気メモリの模式図である。
以下、本実施形態について、図を適宜参照しながら詳細に説明する。以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などは実際とは異なっていることがある。以下の説明において例示される材料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、本発明の効果を奏する範囲で適宜変更して実施することが可能である。
「第1実施形態」
(スピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子)
図1は、第1実施形態にかかるスピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子100の断面模式図である。図1に示すスピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子100は、第1強磁性層1と第2強磁性層2と非磁性層3からなる機能部10と、スピン軌道トルク配線20とを備える。図1では、第1電極31、第2電極32及び基板40を同時に図示している。
以下、スピン軌道トルク配線20が延びる第1方向をx方向、第1強磁性層1の積層方向(第2方向)をz方向、x方向及びz方向のいずれにも直交する方向をy方向と規定して説明する。
<機能部>
機能部10は、一般の磁気抵抗効果素子と同様の構成である。機能部10は、非磁性層3が絶縁体からなる場合は、トンネル磁気抵抗効果(TMR:Tunneling Magnetoresistance)素子と同様の構成であり、金属からなる場合は巨大磁気抵抗効果(GMR:Giant Magnetoresistance)素子と同様の構成である。第2強磁性層2は固定層や参照層、第1強磁性層1は自由層や記憶層などと呼ばれる。
機能部10は、第2強磁性層2の磁化が一方向(z方向)に固定され、第1強磁性層1の磁化の向きが相対的に変化することで機能する。保磁力差型(擬似スピンバルブ型;Pseudo spin valve 型)のMRAMに適用する場合には、第2強磁性層2の保磁力を第1強磁性層1の保磁力よりも大きくする。交換バイアス型(スピンバルブ;spin valve型)のMRAMに適用する場合には、第2強磁性層2の磁化を反強磁性層との交換結合によって固定する。
機能部10は、第1強磁性層1、第2強磁性層2及び非磁性層3以外の層を有してもよい。例えば、第2強磁性層2の磁化方向を固定するための反強磁性層、機能部10の結晶性を高める下地層等が挙げられる。
第1強磁性層1及び第2強磁性層2には、強磁性材料、特に軟磁性材料を適用できる。例えば、Cr、Mn、Co、Fe及びNiからなる群から選択される金属、これらの金属を1種以上含む合金、これらの金属とB、C、及びNの少なくとも1種以上の元素とが含まれる合金等を用いることができる。具体的には、Co-Fe、Co-Fe-B、Ni-Feを例示できる。また第1強磁性層1が面内磁化膜の場合は、例えば、Co-Ho合金(CoHo)、Sm-Fe合金(SmFe12)等を用いることが好ましい。
第1強磁性層1及び第2強磁性層2には、CoFeSi等のホイスラー合金を用いてもよい。ホイスラー合金は、XYZまたはXYZの化学組成をもつ金属間化合物を含み、Xは、周期表上でCo、Fe、Ni、あるいはCu族の遷移金属元素または貴金属元素であり、Yは、Mn、V、CrあるいはTi族の遷移金属又はXの元素種であり、Zは、III族からV族の典型元素である。例えば、CoFeSi、CoFeGe、CoFeGa、CoMnSi、CoMn1-aFeAlSi1-b、CoFeGe1-cGa等が挙げられる。ホイスラー合金は高いスピン分極率を有し、機能部のMR比を高めることができる。
非磁性層3には、公知の材料を用いることができる。
例えば、非磁性層3が絶縁体からなる場合(トンネルバリア層である場合)、その材料としては、Al、SiO、MgO、及び、MgAl等を用いることができる。また、これらの他にも、Al、Si、Mgの一部が、Zn、Be等に置換された材料等も用いることができる。これらの中でも、MgOやMgAlはコヒーレントトンネルが実現できる材料であるため、スピンを効率よく注入できる。非磁性層3が金属からなる場合、その材料としては、Cu、Au、Ag等を用いることができる。さらに、非磁性層3が半導体からなる場合、その材料としては、Si、Ge、CuInSe、CuGaSe、Cu(In,Ga)Se等を用いることができる。
<スピン軌道トルク配線>
スピン軌道トルク配線20は、x方向に延びる。スピン軌道トルク配線20は、第1強磁性層1の一面に接続されている。スピン軌道トルク配線20は、第1強磁性層1に直接接続されていてもよいし、他の層を介し接続されていてもよい。
スピン軌道トルク配線20は、電流が流れるとスピンホール効果によってスピン流を生み出す。スピンホール効果とは、電流を流した場合にスピン軌道相互作用に基づき、電流の向きと直交する方向にスピン流が誘起される現象である。スピンホール効果によりスピン流が生み出されるメカニズムについて説明する。
スピン軌道トルク配線20の両端に電位差を与えると、スピン軌道トルク配線20に沿って電流が流れる。電流が流れると、一方向に配向した第1スピンS1と、第1スピンS1と反対方向に配向した第2スピンS2とが、それぞれ電流と直交する方向に曲げられる。例えば、第1スピンS1は進行方向に対しz方向に曲げられ、第2スピンS2は進行方向に対して-z方向に曲げられる。
通常のホール効果とスピンホール効果とは運動(移動)する電荷(電子)が運動(移動)方向を曲げられる点で共通する。一方で、通常のホール効果は磁場中で運動する荷電粒子がローレンツ力を受けて運動方向を曲げられるのに対して、スピンホール効果では磁場が存在しなくても、電子が移動するだけ(電流が流れるだけ)でスピンの移動方向が曲げられる点が大きく異なる。
非磁性体(強磁性体ではない材料)では第1スピンS1の電子数と第2スピンS2の電子数とが等しいので、図中で+z方向に向かう第1スピンS1の電子数と-z方向に向かう第2スピンS2の電子数が等しい。この場合、電荷の流れは互いに相殺され、電流量はゼロとなる。電流を伴わないスピン流は特に純スピン流と呼ばれる。
第1スピンS1の電子の流れをJ、第2スピンS2の電子の流れをJ、スピン流をJと表すと、J=J-Jで定義される。スピン流Jは、図中のz方向に流れる。図1において、スピン軌道トルク配線20の上面には第1強磁性層1が存在する。そのため、第1強磁性層1にスピンが注入される。
本実施形態にかかるスピン軌道トルク配線20は、図1に示すように、スピン軌道トルク配線20と第1強磁性層1との接続部における第1面20aよりz方向に突出する凸部22を有する。
スピン軌道トルク配線20は、電流が流れる際のスピンホール効果によってスピン流を発生させる機能を有する金属、合金、金属間化合物、金属硼化物、金属炭化物、金属珪化物、金属燐化物のいずれかによって構成される。
スピンホール効果を強く発現し、スピン流の発生量を増やすためには、スピン軌道トルク配線20には、スピン軌道相互作用の大きい材料を用いることが好ましい。大きなスピン軌道相互作用を発現する材料として、重金属、高比抵抗材料等が知られている。ここで、重金属とは、最外殻にd電子又はf電子を有する原子番号39以上の原子番号が大きい金属を意味する。
スピン軌道トルク配線20に重金属、高比抵抗材料を用いると、スピン軌道トルク配線20の導電性が低下する。その結果、スピン軌道トルク配線20に電流を流すと、スピン軌道トルク配線20はジュール熱により発熱する。スピン軌道トルク配線20が発熱すると、第1強磁性層1の磁化安定性が低下し、第1強磁性層1の磁化が意図しない磁化回転(反転)を起こし、機能部10が適切に機能しなくなる。
スピン軌道トルク配線20が凸部22を有すると、凸部22から機能部10への熱放射が促進される。機能部10の主構成は金属であり、機能部10の上部には機能部10の抵抗値変化を読み出すための上部電極(図示略)が接続されている。そのため、機能部10は、排熱性に優れる。スピン軌道トルク配線20で生じた熱を、凸部22を介して、排熱性に優れる機能部10に伝えることで、スピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子100全体の排熱効率が高まる。
図2は、本実施形態にかかるスピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子100の平面模式図である。図2に示す凸部22は、機能部10の周囲を囲んでいる。凸部22が機能部10の周囲を囲むと、凸部22から機能部10への熱放射がより促進される。その結果、スピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子100全体の排熱効率がより高まる。
図1に示すスピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子100において、凸部22と機能部10の最短距離Dは機能部10の高さh10以下である。凸部22と機能部10が十分近づくことで、凸部22から機能部10へ熱を効率的に伝えることができる。機能部10の高さは一例として36nmであり、凸部22と機能部10の最短距離Dは36nm以下であることが好ましく、30nm以下であることがより好ましい。
一方で、図1に示すスピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子100において、凸部22と機能部10の最短距離Dは、機能部10の高さh10と凸部22の高さh22との差分以上である。凸部22の高さh22とは、凸部22の頂部22aから第1面20aの延在面に下した垂線の長さを意味する。凸部22と機能部10との距離が近すぎると、凸部22と機能部10とが短絡してしまう可能性が高まる。凸部22と機能部10の最短距離Dは5nm以上であることが好ましく、10nm以上であることがより好ましい。
また図1に示すスピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子100において、凸部22の高さh22は、機能部10の高さh10以下である。凸部22の高さh22が高いと、凸部22と機能部10との間のスペースを形成するのが難しくなり、製造プロセスが限定される。凸部22の高さh22は、機能部10の高さh10の半分以下であることが好ましく、1/3以下であることがより好ましい。具体的には、凸部22の高さh22は、18nm以下であることが好ましく、15nm以下であることがより好ましい。
図1に示す凸部22の機能部10側の側面22bは、第1面20aから凸部22の頂部22aに向かって、機能部10から離れる向きに傾斜している。側面22bが所定の方向に傾斜することで、凸部22と機能部10との短絡を抑制できる。
スピン軌道トルク配線20は、Ta、W、Pt、Au、Nb、Mo、Ru、Os、Rh、Ir、Pd及びAgからなる群から選択される1種以上の元素を含むことが好ましい。これらの元素は、スピンホール効果を強く発現し、多くのスピン流の発生でき、かつ、熱伝導性にも優れる。
またスピン軌道トルク配線20は、磁性金属を含んでもよい。磁性金属とは、強磁性金属、あるいは、反強磁性金属を指す。非磁性金属に微量な磁性金属が含まれるとスピンの散乱因子となる。スピンが散乱するとスピン軌道相互作用が増強され、電流に対するスピン流の生成効率が高くなる。スピン軌道トルク配線20の主構成は、反強磁性金属だけからなってもよい。
一方で、磁性金属の添加量が増大し過ぎると、発生したスピン流が添加された磁性金属によって散乱され、結果としてスピン流が減少する作用が強くなる場合がある。そのため、添加される磁性金属のモル比はスピン軌道トルク配線を構成する元素の総モル比よりも十分小さい方が好ましい。添加される磁性金属のモル比は、全体の3%以下であることが好ましい。
スピン軌道トルク配線20は、トポロジカル絶縁体を含んでもよい。トポロジカル絶縁体とは、物質内部が絶縁体、あるいは、高抵抗体であるが、その表面にスピン偏極した金属状態が生じている物質である。この物質にはスピン軌道相互作用により内部磁場が生じる。そこで外部磁場が無くてもスピン軌道相互作用の効果で新たなトポロジカル相が発現する。これがトポロジカル絶縁体であり、強いスピン軌道相互作用とエッジにおける反転対称性の破れによりスピン流を高効率に生成できる。
トポロジカル絶縁体としては例えば、SnTe、Bi1.5Sb0.5Te1.7Se1.3、TlBiSe、BiTe、Bi1-xSb、(Bi1-xSbTeなどが好ましい。これらのトポロジカル絶縁体は、高効率にスピン流を生成することが可能である。
図1においてスピン軌道トルク配線20は、凸部22の位置における第1強磁性層1と反対側の面に挿入層24を有する。挿入層24によりスピン軌道トルク配線20の一部が盛り上がり、凸部22が形成されている。
挿入層24は、熱伝導性に優れる材料により構成されていることが好ましい。例えば、アルミニウム、金、銀、銅等を用いることができる。挿入層24を構成する材料は金属に限られず、絶縁体でもよい。
<第1電極、第2電極>
第1電極31及び第2電極32は、平面視で機能部10を挟む位置に設けられる。第1電極31と第2電極32との間に電位差を与えることで、スピン軌道トルク配線20に電流が流れる。第1電極及び第2電極32は、Ag、Au、Cu、Al、W、Co、Ni、Zn、Ta、TiN及びTaNからなる群のいずれかを含むことが好ましい。これらの材料は熱伝導性に優れ、スピン軌道トルク配線20に蓄積された熱を効率的に排熱できる。
第1電極31及び第2電極32は、熱伝導の妨げとなる酸化物を介さずにスピン軌道トルク配線20と直接接続されていることが好ましい。
<基板>
基板40は、平坦性に優れることが好ましい。平坦性に優れた表面を得るために、材料として例えば、Si、AlTiC等を用いることができる。
上述のように、本実施形態にかかるスピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子100によれば、スピン軌道トルク配線20で生じた熱を、凸部22を介して機能部10へ効率的に排熱することができる。その結果、第1強磁性層1の磁化安定性が高まり、第1強磁性層1の磁化が意図しない磁化回転(反転)を起こすことが抑制される。すなわち、スピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子100のデータの信頼性が高まる。
ここまで本実施形態の一例について詳述したが、本実施形態はこの例に限定されるものではなく、種々の変形・変更が可能である。
例えば、図3は、本実施形態にかかるスピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子の別の例の断面模式図である。図3に示すスピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子101は、挿入層24を有さない点が、図1に示すスピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子100と異なる。図3に示すスピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子101は、スピン軌道トルク配線21の厚みがx方向に異なっている。スピン軌道トルク配線21の厚みは、機能部10との接続部において薄い。スピン軌道トルク配線21を流れる電流は、機能部10との接続部において電流密度が高くなり、多くのスピン流を生み出すことができる。
また例えば、図4は、本実施形態にかかるスピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子の別の例の断面模式図である。図4に示すスピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子102は、層間絶縁膜50を有する点が、図1に示すスピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子100と異なる。層間絶縁膜50は、機能部10の側壁に設けられている。
層間絶縁膜50を設けることで、凸部22と機能部10との間で熱を運ぶ過程が熱伝導になる。熱伝導は、熱放射よりも多くの熱を運ぶことができる。また層間絶縁膜50は、凸部22と機能部10の短絡を抑制する。
層間絶縁膜50は、Si、Al、Ta、Mg、Hfからなる群から選択される1種以上の元素の酸化物または窒化物であることが好ましい。これらの材料を含む層間絶縁膜50は、絶縁性と熱伝導性に優れる。
(スピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子の製造方法)
本実施形態にかかるスピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子は、いくつかの方法で作製できる。
<第1の製造方法>
図5は、本実施形態にかかるスピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子の製造方法の一例を模式的に示した図である。第1の製造方法は、基板上に保護層を積層し、少なくとも凸部となる位置を残して保護層を除去する工程と、保護層上に、スピン軌道トルク配線となる層と強磁性層とを順に積層する工程と、強磁性層上の一部に犠牲層を形成しエッチングする工程と、を有する。
まず基板40上に保護層60を積層する(図5(a))。保護層60は、スピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子100の挿入層24となるため、挿入層24に用いることができる材料からなる。保護層60は、スパッタリング法、化学気相成長法(CVD法)等を用いることができる。以下積層される各層も同様の方法で積層できる。
次いで、保護層60上にレジスト61を塗布し、フォトリソグラフィー技術を用いて、第1電極31及び第2電極32を設ける箇所に開口部を形成する(図5(b))。開口部に導電性材料を充填し、第1電極31及び第2電極32を形成する。その後、保護層60を残してレジスト61を除去する(図5(c))。
次いで、機能部10を形成する箇所を残してレジスト62を塗布し(図5(d))、機能部が形成される位置における保護層60を除去する。保護層60は、スピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子100における凸部となる位置にのみ残り、挿入層24となる(図5(e))。
そして挿入層24が形成された基板40上に、スピン軌道トルク配線となる層63と強磁性層64と非磁性層65と強磁性層66とを順に積層する。スピン軌道トルク配線となる層63、強磁性層64、非磁性層65および強磁性層66は、挿入層24の形状を反映し、凹凸を有する(図5(f))。
最後に、強磁性層66の機能部10を形成する位置に犠牲層67を形成し(図5(g))、不要部をエッチングする(図5(h))。エッチングは、ウェットエッチングでもドライエッチングでもよい。スピン軌道トルク配線となる層63、強磁性層64、非磁性層65および強磁性層66は、犠牲層67により保護された部分のみが残り、スピン軌道トルク配線20及び機能部10が形成される。この手順により図1に示すスピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子100が得られる。
図6は、本実施形態にかかるスピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子の製造方法の一例を模式的に示した図である。図6に示すスピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子の製造方法は、第1電極31及び第2電極32が紙面鉛直方向に延在する配線である点が、図5に示すスピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子の製造方法と異なる。
まず基板40を準備し(図6(a))、レーザー、リソグラフィー等により溝を形成する。次いで、基板40上にシード膜71を積層する。シード膜71は、溝の内部にも形成される。シード膜71と基板との間には、バリアメタル層を形成してもよい。バリアメタル層は、第1電極31及び第2電極32から基板40への構成元素の拡散を防ぐ。
次いで、シード膜71をシードとして、金属メッキを行う。メッキする金属は、第1電極31及び第2電極32として用いられるものを使う。不要な金属メッキを除去して、基板40を露出する(図6(c))。
次いで、基板40上に保護層70を積層し(図6(d))、レジスト72を用いたフォトリソグラフィー技術を用いて、スピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子100における凸部となる位置にのみ保護層70を残し、挿入層24を形成する(図6(e))。
そして挿入層24が形成された基板40上に、スピン軌道トルク配線となる層73と強磁性層74と非磁性層75と強磁性層76とを順に積層する。スピン軌道トルク配線となる層73、強磁性層74、非磁性層75および強磁性層76は、挿入層24の形状を反映し、凹凸を有する(図6(f))。
最後に、強磁性層76の機能部10を形成する位置に犠牲層77を形成し(図6(g))、不要部をエッチングする(図6(h))。エッチングは、ウェットエッチングでもドライエッチングでもよい。スピン軌道トルク配線となる層73、強磁性層74、非磁性層75および強磁性層76は、犠牲層77により保護された部分のみが残り、スピン軌道トルク配線20及び機能部10が形成される。
<第2の製造方法>
図7は、本実施形態にかかるスピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子の製造方法の一例を模式的に示した図である。第2の製造方法は、基板上にスピン軌道トルク配線となる層と強磁性層とを順に積層する工程と、凸部及び第1強磁性層となる部分を被覆する犠牲層を形成する工程と、犠牲層を介してエッチングする工程と、を有する。
まず基板40上に保護層80を積層する(図7(a))。次いで、保護層80上にレジスト81を塗布し、フォトリソグラフィー技術を用いて、第1電極31及び第2電極32を設ける箇所に開口部を形成する(図7(b))。開口部に導電性材料を充填し、第1電極31及び第2電極32を形成する。その後、保護層80を含めてレジスト81を除去する(図7(c))。
次いで、第1電極31及び第2電極32が形成された基板40上に、スピン軌道トルク配線となる層83と強磁性層84と非磁性層85と強磁性層86とを順に積層する(図7(d))。
次いで、スピン軌道トルク配線20の凹部となる箇所にレジスト87を設け、犠牲層88をその上から積層する(図7(e))。レジスト87を除去することで、スピン軌道トルク配線20の凸部22となる位置にのみ、犠牲層88が残る(図7(f))。またスピン軌道トルク配線20の機能部10が形成される位置に、別の犠牲層89を形成する(図7(g))。
最後に、犠牲層88、89を介して不要部をエッチングする(図7(h))。エッチングは、ウェットエッチングでもドライエッチングでもよい。スピン軌道トルク配線となる層83、強磁性層84、非磁性層85および強磁性層86は、犠牲層88、89により保護された部分のみが残り、スピン軌道トルク配線20及び機能部10が形成される。この手順により図3に示すスピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子101が得られる。
<第3の製造方法>
図8は、本実施形態にかかるスピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子の製造方法の一例を模式的に示した図である。第3の製造方法は、基板上にスピン軌道トルク配線となる層と強磁性層とを順に積層する工程と、第1強磁性層となる部分を被覆する保護層を形成した後、不要部を除去し、第1強磁性層を形成する工程と、スピン軌道トルク配線となる層及び第1強磁性層を被覆する絶縁層を被覆する工程と、スピン軌道トルク配線となる層と同じ材料を積層し、スピン軌道トルク配線となる層の厚みを増やす工程と、を有する。
まず基板40上に保護層90を積層する(図8(a))。次いで、保護層90上にレジスト91を塗布し、フォトリソグラフィー技術を用いて、第1電極31及び第2電極32を設ける箇所に開口部を形成する(図8(b))。開口部に導電性材料を充填し、第1電極31及び第2電極32を形成する。その後、保護層90を含めてレジスト91を除去する(図8(c))。
次いで、第1電極31及び第2電極32が形成された基板40上に、スピン軌道トルク配線となる層93と強磁性層94と非磁性層95と強磁性層96とを順に積層する(図8(d))。
次いで、強磁性層96の機能部10を形成する位置に保護層97を形成し、不要部をエッチングする。エッチングは、スピン軌道トルク配線となる層93に至るまで行い、機能部10が形成される(図8(e))。
スピン軌道トルク配線となる層93および保護層97上に絶縁層98を積層する(図8(f))。次いで、機能部10および保護層97の側面を除いて、絶縁層98を除去する(図8(g))。
次いで、スピン軌道トルク配線となる層と同じ材料を積層し、スピン軌道トルク配線となる層93の厚みを増やす。また同時に、スピン軌道トルク配線となる層93上に、層間絶縁膜となる絶縁膜99を積層する(図8(h))。
最後に、スピン軌道トルク配線となる層93を配線形状に整え、機能部10を露出させる(図8(i))。この手順により凸部が傾斜しないスピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子が得られる。
「第2実施形態」
(スピン軌道トルク型磁化回転素子)
図9は、本実施形態にかかるスピン軌道トルク型磁化回転素子の断面模式図である。図9に示すスピン軌道トルク型磁化回転素子110は、非磁性層3及び第2強磁性層2を有さない点のみが、図1に示すスピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子100と異なる。
スピン軌道トルク型磁化回転素子110は、上述のように磁気抵抗効果素子として用いることができる。またスピン軌道トルク型磁化回転素子110は、単独でも異方性磁気センサ、磁気カー効果又は磁気ファラデー効果を利用した光学素子として利用できる。スピン流磁化回転素子は、磁化が反転する場合に、特にスピン流磁化反転素子と呼ぶことができる。
スピン軌道トルク型磁化回転素子110の第1強磁性層1及びスピン軌道トルク配線20には、上述のスピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子100における第1強磁性層1と同様の構成、材料が用いられる。
スピン軌道トルク型磁化回転素子110は、上述のスピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子の製造方法において非磁性層及び第2強磁性層を積層していないだけであり、上述のスピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子の製造方法を利用して作製できる。
「第3実施形態」
(磁気メモリ)
図10は、複数のスピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子100(図1参照)を備える磁気メモリ200の模式図である。図1は、図10におけるA-A面に沿ってスピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子100を切断した断面図に対応する。図10に示す磁気メモリ200は、スピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子100が3×3のマトリックス配置をしている。図10は、磁気メモリの一例であり、スピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子100の構成、数及び配置は任意である。
スピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子100には、それぞれ1本のワードラインWL1~WL3と、1本のビットラインBL1~BL3、1本のリードラインRL1~RL3が接続されている。
電流を印加するワードラインWL1~WL3及びビットラインBL1~BL3を選択することで、任意のスピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子100のスピン軌道トルク配線20に電流を流し、書き込み動作を行う。また電流を印加するリードラインRL1~RL3及びビットラインBL1~BL3を選択することで、任意のスピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子100の機能部10の積層方向に電流を流し、読み込み動作を行う。電流を印加するワードラインWL1~WL3、ビットラインBL1~BL3、及びリードラインRL1~RL3はトランジスタ等により選択できる。すなわち、これらの複数のスピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子100から任意の素子のデータを読み出すことで磁気メモリとしての活用ができる。
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明は特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
1 第1強磁性層
2 第2強磁性層
3 非磁性層
10 機能部
20、21 スピン軌道トルク配線
20a 第1面
22 凸部
22a 頂部
22b 側面
24 挿入層
31 第1電極
32 第2電極
40 基板
50 層間絶縁膜
100、101、102 スピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子

Claims (13)

  1. 第1方向に延在するスピン軌道トルク配線と、
    前記スピン軌道トルク配線と交差する第2方向に積層された第1強磁性層と、を備え、
    前記スピン軌道トルク配線は、前記スピン軌道トルク配線と前記第1強磁性層との接続部における第1面より前記第2方向に突出する凸部を有し、
    前記凸部は前記第1強磁性層の周囲を囲んでいる、スピン軌道トルク型磁化回転素子。
  2. 前記凸部の前記第1強磁性層側の側面が、前記第1面から前記凸部の頂部に向かって、前記第1強磁性層から離れる向きに傾斜している、請求項1に記載のスピン軌道トルク型磁化回転素子。
  3. 前記スピン軌道トルク配線の前記凸部の位置において、前記スピン軌道トルク配線の前記第1強磁性層と反対側の面に、挿入層を有する、請求項1又は2に記載のスピン軌道トルク型磁化回転素子。
  4. 前記スピン軌道トルク配線が、Ta、W、Pt、Au、Nb、Mo、Ru、Os、Rh、Ir、Pd及びAgからなる群から選択される1種以上の元素を含む、請求項1からのいずれか一項に記載のスピン軌道トルク型磁化回転素子。
  5. 請求項1からのいずれか一項に記載のスピン軌道トルク型磁化回転素子と、
    前記第1強磁性層において前記スピン軌道トルク配線と接する面と反対側の面に積層された非磁性層と、
    前記第1強磁性層と前記非磁性層を挟む第2強磁性層と、を備え、
    前記第1強磁性層と前記非磁性層と前記第2強磁性層とが磁気抵抗効果を発現する機能部をなす、スピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子。
  6. 前記凸部と前記機能部との最短距離が、前記機能部の高さ以下である、請求項に記載のスピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子。
  7. 第1方向に延在するスピン軌道トルク配線と、
    前記スピン軌道トルク配線と交差する第2方向に積層された第1強磁性層と、
    前記第1強磁性層の前記スピン軌道トルク配線と接する面と反対側の面に積層された非磁性層と、
    前記第1強磁性層と前記非磁性層を挟む第2強磁性層と、
    を備え、
    前記スピン軌道トルク配線は、前記スピン軌道トルク配線と前記第1強磁性層との接続部における第1面より前記第2方向に突出する凸部を有し、
    前記第1強磁性層と前記非磁性層と前記第2強磁性層とが磁気抵抗効果を発現する機能部をなし、
    前記凸部と前記機能部との最短距離が、前記機能部の高さと前記凸部の高さの差分以上である、スピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子。
  8. 前記凸部の高さが、前記機能部の高さ以下である、請求項からのいずれか一項に記載のスピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子。
  9. 前記機能部の側壁を保護する層間絶縁膜をさらに備え、
    前記層間絶縁膜が、Si、Al、Ta、Mg、Hfからなる群から選択される1種以上の元素の酸化物または窒化物である、請求項から8のいずれか一項に記載のスピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子。
  10. 請求項からのいずれか一項に記載のスピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子を複数備えた、磁気メモリ。
  11. 請求項1からのいずれか一項に記載のスピン軌道トルク型磁化回転素子の製造方法であって、
    基板上に保護層を積層し、少なくとも前記凸部となる位置を残して前記保護層を除去する工程と、
    前記保護層上に、スピン軌道トルク配線となる層と強磁性層とを順に積層する工程と、
    前記強磁性層上の一部に犠牲層を形成しエッチングする工程と、を有するスピン軌道トルク型磁化回転素子の製造方法。
  12. 請求項1からのいずれか一項に記載のスピン軌道トルク型磁化回転素子の製造方法であって、
    基板上にスピン軌道トルク配線となる層と強磁性層とを順に積層する工程と、
    前記凸部及び前記第1強磁性層となる部分を被覆する犠牲層を形成する工程と、
    前記犠牲層を介してエッチングする工程と、を有するスピン軌道トルク型磁化回転素子の製造方法。
  13. 第1方向に延在するスピン軌道トルク配線と、
    前記スピン軌道トルク配線と交差する第2方向に積層された第1強磁性層と、を備え、
    前記スピン軌道トルク配線は、前記スピン軌道トルク配線と前記第1強磁性層との接続部における第1面より前記第2方向に突出する凸部を有するスピン軌道トルク型磁化回転素子の製造方法であって、
    基板上にスピン軌道トルク配線となる層と強磁性層とを順に積層する工程と、
    前記第1強磁性層となる部分を被覆する保護層を形成した後、不要部を除去し、前記第1強磁性層を形成する工程と、
    前記スピン軌道トルク配線となる層及び前記第1強磁性層を被覆する絶縁層を被覆する工程と、
    前記スピン軌道トルク配線となる層と同じ材料を積層し、前記スピン軌道トルク配線となる層の厚みを増やす工程と、を有するスピン軌道トルク型磁化回転素子の製造方法。
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