JP7019202B2 - ペニシリンgアシラーゼ - Google Patents

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Description

本出願は、それぞれ2017年1月5日および2017年3月16日に出願された米国特許出願第62/442,810号および同第62/472,055号(これらの両方は、全ての目的のためにその全体が参考として本明細書に援用される)への優先権を主張する。
本発明は、操作されたペニシリンGアシラーゼ(PGA)酵素、酵素をコードするポリヌクレオチド、酵素を含む組成物、および操作されたPGA酵素の使用方法を提供する。
配列表、表またはコンピュータプログラムに対する参照
配列表の正式な写しは、「CX2-161USP2_ST25.txt」のファイル名、2017年2月15日の作成日、および940キロバイトのサイズを有するASCIIフォーマットのテキストファイルとして、EFS-Webを介して本明細書と同時に提出される。EFS-Webを介して提出された配列表は、本明細書の一部であり、そのすべてが参照により本明細書に組み込まれる。
ペニシリンGアシラーゼ(PGA)(ペニシリンアミダーゼ、EC3.5.1.11)は、ペニシリンG(ベンジルペニシリン)側鎖のアミド結合の切断を触媒する。この酵素は、6-アミノ-ペニシラン酸(6-APA)およびフェニル-酢酸(PAA)の製造において商業的に使用される。6-APAは、アモキシシリン、アンピシリンおよびセファレキシンなどの半合成βラクタム系抗生物質の工業生産において重要な化合物である。天然に存在するPGA酵素は、商業的なプロセスにおいて不安定性を示し、それにより、商業的に適用するためには固体基材(solid substrate)への固定化が必要になる。PGAは様々な支持体に共有結合されており、PGA固定化系が純粋な光学異性体を合成するための有用なツールとして報告されている。しかし、固体表面への結合により、活性および/または選択性の低下など、酵素特性が損なわれ、溶質への接近が限定される。さらに、固体基材への結合により、酵素を捕捉し、さらなるプロセシングサイクルにおいて再利用することが可能になるが、酵素の安定性は、このような適用を限定し得るようなものである。ペニシリンGから6-APAへのPGAによる酵素的触媒作用は、位置特異的(ラクタムアミド結合は切断しない)かつ立体特異的なものである。6-APAの生成は、おそらく医薬品の生成における酵素的触媒作用の最も大きな利用を構成する。PGAの酵素活性は、フェナセチル部分に関連し、第一級アミンならびにアルコールの多種多様なフェナセチル誘導体の立体特異的加水分解を可能にするものである。
本発明は、操作されたペニシリンGアシラーゼ(PGA)酵素、酵素をコードするポリヌクレオチド、酵素を含む組成物、および操作されたPGA酵素の使用方法を提供する。本発明は、インスリンをアシル化することができる操作されたペニシリンGアシラーゼであって、前記ペニシリンGアシラーゼのポリペプチド配列は、配列番号2、4、12、24、40、56、70、82、100、108、110、116、136、142、154および160と少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超えて同一である、ペニシリンGアシラーゼを提供する。いくつかの実施形態では、ペニシリンGアシラーゼは、配列番号4、12、24、40、56、70、82、108、110、116、136、142、154、または160を含む。いくつかのさらなる実施形態では、操作されたペニシリンGアシラーゼは、表5.1、5.1、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、7.1、8.1、9.1、11.1、12.1、13.1、14.1、15.1、16.1、17.1、18.1、19.1、および/または表20.1に示される少なくとも1つの配列と少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超えて同一である配列を含む。いくつかのさらなる実施形態では、操作されたペニシリンGアシラーゼは、表5.1、5.1、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、7.1、8.1、9.1、11.1、12.1、13.1、14.1、15.1、16.1、17.1、18.1、19.1、および/または表20.1に示される配列を含む配列を含む。いくつかのなおさらなる実施形態では、操作されたペニシリンGアシラーゼは、ヒスチジンタグを含む。いくつかの実施形態では、ヒスチジンタグは、操作されたペニシリンGアシラーゼのC末端に存在する。いくつかのさらなる実施形態では、操作されたペニシリンGアシラーゼは、配列番号110および配列番号142から選択されるポリペプチド配列を含む。
本発明は、本明細書に提示される操作されたペニシリンGアシラーゼをコードする操作されたポリヌクレオチド配列も提供する。いくつかの実施形態では、操作されたポリヌクレオチド配列は、配列番号1、11、23、39、55、69、81、99、107、109、115、135、141、153、および/または159と少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超えて同一であるポリヌクレオチド配列を含む。
本発明は、本明細書に提示される操作されたポリヌクレオチド配列を含むベクターも提供する。いくつかの実施形態では、ベクターは、配列番号2、11、23、39、55、69、81、99、107、109、115、135、141、153、および/または159と少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超えて同一であるポリヌクレオチド配列(複数可)を含む少なくとも1つの操作されたポリヌクレオチド配列を含む。いくつかのさらなる実施形態では、ベクターは、少なくとも1つの制御配列を含む。
本発明は、本明細書に提示される少なくとも1つのベクターを含む宿主細胞も提供する。いくつかの実施形態では、宿主細胞内のベクターは、配列番号1、11、23、39、55、69、81、99、107、109、115、135、141、153、および/または159と少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超えて同一であるポリヌクレオチド配列(複数可)を含む少なくとも1つの操作されたポリヌクレオチド配列を含む。いくつかのさらなる実施形態では、ベクターは、少なくとも1つの制御配列を含む。
本発明は、アシル化インスリンを生成するための方法であって、請求項1~7のいずれかに記載の少なくとも1つの操作されたペニシリンGアシラーゼおよびインスリンを提供すること;ならびに操作されたペニシリンGアシラーゼがインスリンをアシル化する条件下で、操作されたペニシリンGアシラーゼおよびインスリンを曝露し、それにより、アシル化インスリンを生成することを含む方法も提供する。いくつかの実施形態では、アシル化は、フェニル酢酸メチルの存在下で行われる。いくつかのさらなる実施形態では、アシル化は、前記インスリンのA1、B1、および/またはB29位のいずれかにおいて生じる。いくつかのさらなる実施形態では、アシル化は、前記インスリンのA1位において生じるが、いくつかの代替的な実施形態では、アシル化は、前記インスリンのB1位において生じ、なお他の実施形態では、アシル化は、前記インスリンのB29位において生じる。いくつかの実施形態では、アシル化は、前記インスリンのA1、B1、および/またはB29位において生じる。いくつかのさらなる実施形態では、アシル化は、インスリンのA1、B1、およびB29位において生じる。方法のいくつかのなおさらなる実施形態では、操作されたペニシリンGアシラーゼは、配列番号2、4、12、24、40、56、70、82、100、108、110、116、136、142、154および/または160のポリペプチドによるアシル化インスリンの生成と比較して90%を超えて多いアシル化インスリンを生成する。
本発明は、本明細書に提示される少なくとも1つの操作されたペニシリンGアシラーゼを使用して生成されたアシル化インスリン組成物も提供する。いくつかのさらなる実施形態では、本発明は、本明細書に提示される少なくとも1つの方法を使用して生成されたアシル化インスリンを含む組成物を提供する。
本発明の実施形態において、例えば以下の項目が提供される。
(項目1)
インスリンをアシル化することができる操作されたペニシリンGアシラーゼであって、前記ペニシリンGアシラーゼのポリペプチド配列は、配列番号2、4、12、24、40、56、70、82、100、108、110、116、136、142、154および160と少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超えて同一である、ペニシリンGアシラーゼ。
(項目2)
配列番号2、4、12、24、40、56、70、82、108、110、116、136、142、154、または160を含む、項目1に記載の操作されたペニシリンGアシラーゼ。
(項目3)
表5.1、5.1、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、7.1、8.1、9.1、11.1、12.1、13.1、14.1、15.1、16.1、17.1、18.1、19.1、20.1、22.1、23.1、および/または23.2に示される少なくとも1つの配列と少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超えて同一である配列を含む、項目1に記載の操作されたペニシリンGアシラーゼ。
(項目4)
表5.1、5.1、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、7.1、8.1、9.1、11.1、12.1、13.1、14.1、15.1、16.1、17.1、18.1、19.1、22.1、23.1、および/または表23.2に示される配列を含む配列を含む、項目1に記載の操作されたペニシリンGアシラーゼ。
(項目5)
ヒスチジンタグを含む、項目1~4のいずれかに記載の操作されたペニシリンGアシラーゼ。
(項目6)
前記ヒスチジンタグが、前記操作されたペニシリンGアシラーゼのC末端に存在する、項目5に記載の操作されたペニシリンGアシラーゼ。
(項目7)
配列番号100、110および142から選択されるポリペプチド配列を含む、項目6に記載の操作されたペニシリンGアシラーゼ。
(項目8)
項目1~7のいずれかに記載の操作されたペニシリンGアシラーゼをコードする操作されたポリヌクレオチド配列。
(項目9)
配列番号1、11、23、39、55、69、81、99、107、109、115、135、141、153、および/または159と少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超えて同一であるポリヌクレオチド配列を含む、項目8に記載の操作されたポリヌクレオチド配列。
(項目10)
項目8および/または9に記載のポリヌクレオチド配列を含むベクター。
(項目11)
少なくとも1つの制御配列をさらに含む、項目10に記載のベクター。
(項目12)
項目10および/または11に記載のベクターを含む宿主細胞。
(項目13)
アシル化インスリンを生成するための方法であって、項目1~7のいずれかに記載の操作されたペニシリンGアシラーゼおよびインスリンを提供すること;前記操作されたペニシリンGアシラーゼが前記インスリンをアシル化する条件下で、前記操作されたペニシリンGアシラーゼおよび前記インスリンを曝露し、それにより、アシル化インスリンを生成することを含む、方法。
(項目14)
前記アシル化が、フェニル酢酸メチルの存在下で行われる、項目13に記載の方法。
(項目15)
前記アシル化が、前記インスリンのA1、B1、および/またはB29位のいずれかにおいて生じる、項目13に記載の方法。
(項目16)
前記アシル化が、前記インスリンのA1、B1、および/またはB29位のいずれかにおいて生じる、項目14に記載の方法。
(項目17)
前記アシル化が、前記インスリンのA1位において生じる、項目13または14に記載の方法。
(項目18)
前記アシル化が、前記インスリンのB1位において生じる、項目13または14に記載の方法。
(項目19)
前記アシル化が、前記インスリンのB29位において生じる、項目13または14に記載の方法。
(項目20)
前記アシル化が、前記インスリンのA1、B1、およびB29位において生じる、項目13または14に記載の方法。
(項目21)
前記操作されたペニシリンGアシラーゼが、配列番号2、4、12、24、40、56、70、82、100、108、110、116、136、142、154および/または160のポリペプチドによるアシル化インスリンの生成と比較して90%を超えて多いアシル化インスリンを生成する、項目13または14に記載の方法。
(項目22)
項目13~21のいずれかに記載の方法に従って生成されたアシル化インスリンを含む組成物。

図1は、インスリンを定量化するために使用した表21.5に記載される分析方法のクロマトグラムおよびアシル化生成物の溶出順序を提供する。
図2は、実施例10に記載される実験の結果を提供する。
図3は、実施例16に記載される実験の結果を提供する。
本発明は、ペニシリンを、フェニル酢酸と、多種多様なβラクタム系抗生物質の合成における重要な中間体である6-アミノペニシラン酸(6-APA)とに切断することができる操作されたペニシリンGアシラーゼ(PGA)を提供する。特に、本発明は、遊離のインスリンのA1、B1またはB29位に保護基を付加することまたはA1/B1/B29 3重保護インスリンから保護基を除去しもしくはA1/B1/B29トリフェニル酢酸保護基を除去して遊離のインスリンを放出することによって、フェニル酢酸1重保護または2重保護インスリンを生成することができる操作されたPGAを提供する。
一般に、天然に存在するPGAは、α-サブユニットとβ-サブユニットとで構成されるヘテロ二量体酵素である。野生型PGAは、ペリプラズムへのトランスロケーションを媒介するN末端シグナルペプチドおよびαサブユニットのC末端とβサブユニットのN末端を接続するリンカー領域を含有するプレ-プロ-PGAポリペプチドとして天然に合成される。タンパク質プロセシングにより、成熟ヘテロ二量体酵素が生じる。分子間リンカー領域はまた、酵素の適切なフォールディングの促進においても機能する。本明細書に提供されるPGAは、下に詳細に記載されるように改善された酵素特性が生じるように様々な改変が導入されている、Kluyvera citrophilaに由来するPGAに基づく。
本明細書に提示される説明に関して、単数の使用は、他に特に指定がなければ、複数を包含する(逆もまた同じである)。例えば、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、文脈によりそうでないことが明白に示されない限り、複数の指示対象を包含する。同様に、用語「含む(comprise)」、「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含む(include)」、「含む(includes)」、および「含む(including)」は、互換的であり、限定するものではない。様々な実施形態の説明で用語「含む(comprising)」が使用される場合、いくつかの特定の例では、実施形態は、代わりに「から本質的になる」または「からなる」という言葉を使用して記載することができることが当業者には理解されることがさらに理解されるべきである。
図を含む前述の一般的な説明および以下の詳細な説明はどちらも、単に例示および説明のためのものであり、本開示を限定するものではない。さらに、本明細書で使用される節の表題は、単に組織化を目的とするものであり、記載されている主題を限定するものとは解釈されない。
定義
本明細書で使用される場合、以下の用語は、以下の意味を有するものとする。
本開示に関して、本明細書における説明で使用される科学技術用語は、明確な定義がない限り当業者に一般に理解されている意味を有する。したがって、以下の用語は、以下の意味を有するものとする。本明細書で言及される特許および刊行物は、このような特許および刊行物に開示されているすべての配列を含めて、すべてが、明白に参照により組み込まれる。別段の特定のない限り、本発明の実施には、当業者に公知の、分子生物学、発酵、微生物学、および関連する分野において一般に使用される従来の技術が伴う。別段の定義のない限り、本明細書では、本明細書において使用されるすべての科学技術用語は、本発明が属する技術分野の当業者に一般に理解されているものと同じ意味を有する。本明細書に記載される方法および材料と類似した、またはそれと等しい任意の方法および材料を本発明の実施または試験において使用することができるが、好ましい方法および材料が記載されている。実際に、本明細書に記載されている特定の方法体系、プロトコール、および試薬は使用される状況に応じて変動し得るので、本発明はこれらに限定されないものとする。本明細書に提示される表題は、本発明の様々な態様または実施形態を限定するものではない。
それにもかかわらず、本発明の理解を容易にするために、いくつもの用語を以下に定義する。数値範囲は、その範囲を規定する数値を含む。したがって、本明細書に開示されているあらゆる数値範囲は、このような広範な数値範囲内に入るあらゆる狭い数値範囲を、このような狭い数値範囲が本明細書においてすべて明確に記載されているものと同じく包含することが意図されている。本明細書に開示されているあらゆる最大(または最小)の数値限定は、あらゆるより低い(またはより高い)数値限定を、このようなより低い(またはより高い)数値限定が本明細書において明確に記載されているものと同じく包含することも意図されている。
本明細書で使用される場合、用語「含む(comprising)」およびその同語族は、それらの包括的な意味で使用される(すなわち、用語「含む(including)」およびその対応する同語族と同等である)。
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、文脈により明確に別段の規定がなされない限り、複数への言及を包含する。したがって、例えば、1つの(a)「宿主細胞」への言及は、複数のこのような宿主細胞を包含する。
別段の特定のない限り、それぞれ、核酸は左から右に、5’から3’への方向で記載されており、アミノ酸配列は左から右に、アミノからカルボキシへの方向に記載されている。
本明細書に提示される表題は、本明細書全体を参照することにより知ることができる本発明の様々な態様または実施形態を限定するものではない。したがって、以下に定義される用語は、本明細書全体を参照することによってより詳細に定義される。
本明細書で使用される場合、「タンパク質」、「ポリペプチド」および「ペプチド」は、本明細書では、長さまたは翻訳後修飾(例えば、グリコシル化、リン酸化、脂質化、ミリスチル化、ユビキチン化など)にかかわらず、アミド結合によって共有結合的に連結された少なくとも2アミノ酸のポリマーを表すのに互換的に使用される。D-アミノ酸およびL-アミノ酸ならびにD-アミノ酸とL-アミノ酸との混合物は、この定義に含まれる。
本明細書で使用される場合、「ポリヌクレオチド」および「核酸」は、共有結合的に一緒に連結された2個以上のヌクレオシドを指す。ポリヌクレオチドは、リボヌクレオシドから完全に構成され得るか(すなわち、RNA)、2’デオキシリボヌクレオチドから完全に構成され得るか(すなわち、DNA)、またはリボヌクレオシドと2’デオキシリボヌクレオシドとの混合物であり得る。ヌクレオシドは一般に、標準的なホスホジエステル連結を介して一緒に連結されるが、ポリヌクレオチドは、1つ以上の非標準的な連結を含み得る。ポリヌクレオチドは、一本鎖もしくは二本鎖であり得るか、または一本鎖領域と二本鎖領域の両方を含み得る。さらに、ポリヌクレオチドは一般に、天然に存在するコード核酸塩基(すなわち、アデニン、グアニン、ウラシル、チミンおよびシトシン)から構成されるが、1つ以上の改変核酸塩基および/または合成核酸塩基(例えばイノシン、キサンチン、ヒポキサンチンなど)を含み得る。好ましくは、このような改変核酸塩基または合成核酸塩基は、コード核酸塩基である。
本明細書で使用される場合、「ハイブリダイゼーションストリンジェンシー」は、核酸のハイブリダイゼーションにおける、洗浄条件などのハイブリダイゼーション条件に関する。一般に、ハイブリダイゼーション反応は、より低ストリンジェンシーの条件下で実施され、その後に、様々なストリンジェンシーではあるが、より高ストリンジェンシーの洗浄が続く。用語「中程度にストリンジェントなハイブリダイゼーション」は、標的DNAが、標的ポリヌクレオチドと約90%超の同一性を伴って、標的DNAと約60%の同一性、好ましくは、約75%の同一性、約85%の同一性を有する相補的核酸に結合するのを可能にする条件を指す。例示的な中程度にストリンジェントな条件は、42℃で、50%のホルムアミド、5×デンハート液、5×SSPE、0.2%のSDS中のハイブリダイゼーションと等価な条件であって、その後42℃で、0.2×SSPE、0.2%のSDS中の洗浄が続く。「高ストリンジェンシーハイブリダイゼーション」は、一般に、規定のポリヌクレオチド配列に対する溶液条件下で決定された熱的融解温度Tから約10℃またはそれよりも低い条件を指す。いくつかの実施形態では、高ストリンジェンシー条件は、65℃で、0.018MのNaCl中で安定なハイブリッドを形成する核酸配列のみのハイブリダイゼーションを可能にする条件を指す(すなわち、ハイブリッドが、65℃で、0.018MのNaCl中で安定ではない場合、これは、本明細書で意図されるように、高ストリンジェンシー条件下で安定ではない)。高ストリンジェンシー条件は、例えば、42℃で、50%のホルムアミド、5×デンハート液、5×SSPE、0.2%のSDSに等価な条件でのハイブリダイゼーション、その後の65℃で、0.1×SSPE、および0.1%のSDS中の洗浄によってもたらすことができる。別の高ストリンジェンシー条件は、65℃で、0.1%(w:v)のSDSを含有する5×SSC中でハイブリダイズすること、および65℃で、0.1%のSDSを含有する0.1×SSC中の洗浄と等価な条件でハイブリダイズすることである。他の高ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件、ならびに中程度にストリンジェントな条件は、当業者に公知である。
本明細書で使用される場合、「コード配列」は、タンパク質のアミノ酸配列をコードする核酸(例えば、遺伝子)の部分を指す。
本明細書で使用される場合、「コドン最適化された」は、コードされたタンパク質が目的の生物内で効率的に発現されるように、タンパク質をコードするポリヌクレオチドのコドンが、特定の生物内で優先的に使用されるものへと変化することを指す。いくつかの実施形態では、PGA酵素をコードするポリヌクレオチドを、発現のために選択された宿主生物からの最適な産生のためにコドン最適化することができる。遺伝子コードは、ほとんどのアミノ酸が、「同義語」コドンまたは「同義」コドンと称されるいくつかのコドンによって表されるという点で縮重しているが、特定の生物によるコドン使用頻度(codon usage)は、非ランダムであり、特定のコドントリプレットに偏っていることが周知である。このコドン使用頻度バイアスは、所定の遺伝子、共通の機能または祖先起源の遺伝子、高度に発現されるタンパク質に関して、低コピー数タンパク質、および生物のゲノムの凝集タンパク質コード領域と比較して高くなり得る。いくつかの実施形態では、PGA酵素をコードするポリヌクレオチドを、発現のために選択された宿主生物からの最適な産生のためにコドン最適化することができる。
本明細書で使用される場合、「好ましい、最適な、高コドン使用頻度バイアスのコドン」は、同じアミノ酸をコードする他のコドンより、タンパク質コード領域において高い頻度で使用されるコドンを互換的に指す。好ましいコドンは、1個の遺伝子、共通の機能もしくは起源の一連の遺伝子、高度に発現された遺伝子におけるコドン使用頻度、生物全体の凝集タンパク質コード領域におけるコドン出現頻度(codon frequency)、関連生物の凝集タンパク質コード領域におけるコドン出現頻度、またはこれらの組み合わせに関して決定することができる。遺伝子発現のレベルと共にその頻度が増加するコドンは一般に、発現にとっての最適コドンである。例えばクラスター分析または対応分析を使用する多変量解析を含む、特定の生物におけるコドン出現頻度(例えば、コドン使用頻度、相対的同義コドン使用頻度)およびコドン優先度を決定するための様々な方法、ならびに、遺伝子において使用されるコドンの有効数を決定するための様々な方法が公知である(例えばGCG CodonPreference, Genetics Computer Group Wisconsin Package;CodonW、John Peden、University of Nottingham;McInerney、Bioinform.、14巻:372~73頁、[1998年];Stenicoら、Nucleic Acids Res.、222巻:437~46頁、[1994年];およびWright、Gene、87巻:23~29頁、[1990年]を参照のこと)。拡大している生物リストについて、コドン使用頻度表が利用可能である(例えば、Wadaら、Nucleic Acids Res.、20巻:2111~2118頁、[1992年];Nakamuraら、Nucl. Acids Res.、28巻:292頁、[2000年];Duretら、上記;HenautおよびDanchin、「Escherichia coli and Salmonella」、Neidhardtら(編)、ASM Press、Washington D.C.、[1996年]、2047~2066年を参照のこと)。コドン使用頻度を得るためのデータソースは、タンパク質をコードすることができる任意の利用可能なヌクレオチド配列に依拠することができる。これらのデータセットは、発現タンパク質をコードすることが実際に公知である核酸配列(例えば、完全なタンパク質コード配列-CDS)、発現配列タグ(ESTS)、またはゲノム配列の予測されるコード領域を含む(例えば、Uberbacher、Meth. Enzymol.、266巻:259~281頁、[1996年];Tiwariら、Comput. Appl. Biosci.、13巻:263~270頁、[1997年]を参照のこと)。
本明細書で使用される場合、「制御配列」は、本明細書では、本発明のポリヌクレオチドおよび/またはポリペプチドの発現に必要または有利なすべての成分を含むように定義される。各制御配列は、目的のポリヌクレオチドにとって天然のものでも、外来のものでもあり得る。このような制御配列としては、限定されないが、リーダー、ポリアデニル化配列、プロペプチド配列、プロモーター、シグナルペプチド配列、および転写ターミネーターが挙げられる。
本明細書で使用される場合、「作動可能に連結された」は、本明細書では、制御配列が、目的のポリヌクレオチドに対してある位置で制御配列が適切に配置され(すなわち、機能的な関係で)、その結果、制御配列が、目的のポリヌクレオチドおよび/またはポリペプチドの発現を指示または調節する構成として定義される。
本明細書で使用される場合、「プロモーター配列」は、コード配列などの目的のポリヌクレオチドの発現のために宿主細胞によって認識される核酸配列を指す。制御配列は、適切なプロモーター配列を含み得る。プロモーター配列は、転写制御配列を含有し、これは、目的のポリヌクレオチドの発現を媒介する。変異体プロモーター、短縮プロモーターおよびハイブリッドプロモーターを含むプロモーターは、選択される宿主細胞において転写活性を示す任意の核酸配列であり得、宿主細胞と同種または異種の細胞外ポリペプチドまたは細胞内ポリペプチドをコードする遺伝子から得られ得る。
本明細書で使用される場合、「天然に存在する」または「野生型」は、天然に見られる形態を指す。例えば、天然に存在するかまたは野生型のポリペプチドまたはポリヌクレオチド配列は、生物中に存在する配列であって、天然の供給源から単離することができ、人為的操作によって意図的に改変されていない配列である。
本明細書で使用される場合、「天然に存在しない」、「組換え」または「人工」は、(例えば、細胞、核酸またはポリペプチド)に関して本開示において使用される場合、ある様式で改変された材料またはその材料の天然の形態もしくはネイティブな形態に対応する材料であって、改変のない場合には天然に存在しない材料を指す。いくつかの実施形態では、材料は、天然に存在する材料と同一であるが、合成物質からおよび/もしくは組換え技術を使用する操作によって生産もしくは生成された材料またはその材料の天然の形態もしくはネイティブな形態に対応する材料を指す。非限定的な例としては、特に、ネイティブな(非組換え)形態の細胞に見られない遺伝子を発現するか、または改変のない場合には異なるレベルで発現されるネイティブな遺伝子を発現する組換え細胞が挙げられる。
本明細書で使用される場合、「配列同一性のパーセンテージ」、「パーセント同一性」および「パーセント同一」は、ポリヌクレオチド配列間またはおよびポリペプチド配列間の比較を指し、比較ウインドウにわたって最適にアライメントされた2つの配列を比較することによって決定され、比較ウインドウ内のポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列の一部は、2つの配列の最適なアライメントの参照配列と比較して、付加または欠失(すなわち、ギャップ)を含み得る。両配列において同一の核酸塩基もしくはアミノ酸残基が存在するか、または核酸塩基もしくはアミノ酸残基がギャップとアライメントする位置の数を決定してマッチ位置の数を求め、マッチ位置の数を比較のウインドウ内の位置の総数で割り、その結果に100を乗じて配列同一性のパーセンテージを求めることによって、このパーセンテージを計算する最適なアラインメントおよびパーセント配列同一性の決定は、BLASTおよびBLAST2.0アルゴリズムを使用して実施される(例えば、Altschulら、J. Mol. Biol.、215巻:403~410頁、[1990年];およびAltschulら、Nucl. Acids Res.、3389~3402頁、[1977年]を参照のこと)。BLAST分析を実施するためのソフトウェアは、National Center for Biotechnology Informationのウェブサイトを通じて公的に入手可能である。
簡潔に言うと、BLAST分析は、データベース配列中の同じ長さのワードとアライメントされる場合、いくつかの正の値の閾値スコアTとマッチするかまたはこれを満たすクエリー配列中の短いワード長Wを同定することによって、高スコアの配列ペア(HSP)を最初に同定することを含む。Tは、隣接ワードスコア閾値と称される(Altschulら、同上)。これらの初期隣接ワードヒットは、これらを含有するさらに長いHSPを見つけるための検索を開始するためのシードとしての役割を果たす。次いで、累積アライメントスコアが増加し得る限り、このワードヒットを各配列に沿って両方向に拡大する。ヌクレオチド配列の場合、パラメータM(マッチング残基のペアの報酬スコア;常に>0)およびN(ミスマッチング残基のペナルティースコア;常に<0)を使用して、累積スコアを計算する。アミノ酸配列の場合、スコアリングマトリックスを使用して、累積スコアを計算する。累積アライメントスコアがその最大達成値から量Xだけ低下するか;負のスコア残基アライメントが1つ以上蓄積することにより、累積スコアが0以下になるか;またはいずれかの配列の末端に到達したら、ワードヒットの各方向への拡大を中止する。BLASTアルゴリズムパラメータW、TおよびXは、アライメントの感度およびスピードを決定する。BLASTNプログラム(ヌクレオチド配列の場合)は、デフォルトとして、11のワード長(W)、10の期待値(E)、M=5、N=-4、および両鎖の比較を使用する。アミノ酸配列の場合、BLASTPプログラムは、デフォルトとして、3のワード長(W)、10の期待値(E)、およびBLOSUM62スコアリングマトリックスを使用する(例えば、Henikoff and Henikoff,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:10915[1989]を参照のこと)。
2つの配列についてのパーセント同一性をもたらすことにおいてBLASTと同様に機能する多数の他のアルゴリズムが利用可能であり、当技術分野で公知である。比較のための配列の最適なアラインメントは、当技術分野で公知の任意の適切な方法を使用して(例えば、SmithおよびWaterman、Adv. Appl. Math.、2巻:482頁、[1981年]の局所相同性アルゴリズムによって;NeedlemanおよびWunsch、J. Mol. Biol.、48巻:443頁、[1970年]の相同性アラインメントアルゴリズムによって;PearsonおよびLipman、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、85巻:2444頁、[1988年]の類似性調査法によって;ならびに/または、これらのアルゴリズムのコンピュータ制御による実行によって[GCG Wisconsin Software Package中のGAP、BESTFIT、FASTA、およびTFASTA])、または当技術分野で一般に公知の方法を使用した視覚的な検査によって行うことができる。さらに、配列アラインメントおよびパーセント配列同一性の決定には、GCG Wisconsin Software Package中のBESTFITまたはGAPプログラムを、提供されるデフォルトのパラメータを使用して用いることができる(Accelrys、Madison WI)。
本明細書で使用される場合、「実質的な同一性」は、少なくとも20残基位置の比較ウインドウにわたって、多くの場合には少なくとも30~50残基のウインドウにわたって参照配列と比較される場合に、少なくとも80パーセントの配列同一性、少なくとも85パーセントの同一性、および89~95パーセントの配列同一性、より通常には少なくとも99パーセントの配列同一性を有するポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列を指し、配列同一性のパーセンテージは、参照配列を、比較のウインドウにわたって、合計で参照配列の20パーセント以下となる欠失または付加を含む配列と比較することによって計算される。ポリペプチドに適用される特定の実施形態では、用語「実質的な同一性」は、2つのポリペプチド配列が、デフォルトのギャップ重みを使用して、プログラムのGAPまたはBESTFITなどによって最適にアラインメントされる場合、少なくとも80パーセントの配列同一性、好ましくは少なくとも89パーセントの配列同一性、少なくとも95パーセントの配列同一性またはそれを超える配列同一性(例えば、99パーセントの配列同一性)を共有することを意味する。いくつかの好ましい実施形態では、同一ではない残基位置は、保存的アミノ酸置換によって異なる。
本明細書で使用される場合、「参照配列」は、比較される別の配列に対する規定の配列を指す。参照配列は、より大きい配列のサブセット、例えば、全長遺伝子またはポリペプチド配列のセグメントであり得る。一般に、参照配列は、長さが少なくとも20のヌクレオチドもしくはアミノ酸残基、長さが少なくとも25残基、長さが少なくとも50残基、または核酸もしくはポリペプチドの全長である。2つのポリヌクレオチドまたはポリペプチドはそれぞれ、(1)2つの配列間で類似している配列(すなわち、完全な配列の部分)を含むことができ、(2)2つの配列で非常に異なる配列をさらに含むことができるので、一般には、比較ウインドウにわたる2つのポリヌクレオチドの配列を比較して局所領域の配列類似性を同定および比較することによって、2つ(またはそれ以上)のポリヌクレオチドまたはポリペプチドの間の配列比較を実施する。用語「参照配列」は、野生型配列に限定されるものではなく、操作または変更された配列を含み得る。例えば、いくつかの実施形態では、「参照配列」は、予め操作または変更されたアミノ酸配列であり得る。
本明細書で使用される場合、「比較ウインドウ」は、少なくとも約20の連続したヌクレオチド位置またはアミノ酸残基の概念上のセグメントを指し、配列は、少なくとも20の連続したヌクレオチドまたはアミノ酸の参照配列と比較することができ、比較ウインドウ中の配列の部分は、2つの配列の最適なアライメントに関して、(付加または欠失を含まない)参照配列と比較した場合に、20パーセント以下の付加または欠失(すなわち、ギャップ)を含み得る。比較ウインドウは、20より長い連続した残基であり得、場合により30、40、50、100またはそれ以上の長いウインドウを含む。
本明細書で使用される場合、「に対応する」、「を参照して」および「と比べて」は、所定のアミノ酸またはポリヌクレオチド配列の番号付けとの関連で使用される場合、所定のアミノ酸配列またはポリヌクレオチド配列が参照配列と比較される場合の、特定の参照配列の残基の番号付けを指す。換言すれば、所定のポリマーの残基番号または残基位置は、所定のアミノ酸配列またはポリヌクレオチド配列内の残基の実際の数値的な位置によってではなく、参照配列に対して指定される。例えば、人工PGAのアミノ酸配列などの所定のアミノ酸配列は、2つの配列間の残基マッチを最適化するためにギャップを導入することによって、参照配列に対してアライメントさせることができる。これらの場合では、ギャップが存在するが、所定のアミノ酸配列またはポリヌクレオチド配列における残基の番号付けは、この配列がアライメントされている参照配列に対して行われる。本明細書で使用される場合、下にさらに記載されている「Xn」などの残基位置への言及は、特に他に指示がなければ、「に対応する残基」への言及と解釈されるべきである。したがって、例えば、「X94」は、ポリペプチド配列の94位の任意のアミノ酸を指す。
本明細書で使用される場合、「改善された酵素特性」は、参照PGAと比較した場合に、何らかの酵素特性の改善を示すPGAを指す。本明細書に記載される操作されたPGAポリペプチドについて、比較は一般に、野生型PGA酵素に対して行われるが、いくつかの実施形態では、参照PGAは、別の改善された操作されたPGAであり得る。改善が望まれる酵素特性としては、限定されないが、酵素活性(基質の、特定量のPGAを使用した、特定の反応時間での変換率の観点から表すことができる)、化学選択性、熱安定性、溶媒安定性、pH活性プロファイル、補因子要件、阻害剤(例えば、生成物阻害)に対する不応性、立体特異性、および立体選択性(エナンチオ選択性を含む)が挙げられる。
本明細書で使用される場合、「増加した酵素活性」は、操作されたPGAポリペプチドの改善された特性を指し、これは、参照PGA酵素と比較した、比活性(例えば、生成された生成物/時間/タンパク質の重量)の増加、または基質の生成物への変換率(例えば、出発量の基質の、特定量のPGAを使用した、特定の期間での生成物への変換率)の増加によって表すことができる。酵素活性を決定するための例示的な方法は、実施例において提供されている。K、Vmaxまたはkcatの古典的な酵素特性を含む酵素活性に関係する任意の特性が影響され得、その変化は酵素活性の増加をもたらし得る。酵素活性の改善は、対応する野生型PGA酵素の酵素活性の約1.5倍から、そのPGAポリペプチドが由来する天然に存在するPGA、または別の操作されたPGAよりも2倍、5倍、10倍、20倍、25倍、50倍、75倍、100倍、またはそれを超える酵素活性までであり得る。特定の実施形態では、操作されたPGA酵素は、親PGA酵素の酵素活性の1.5~50倍、1.5~100倍の範囲の改善された酵素活性を示す。いずれの酵素の活性も拡散律速性(diffusion limited)であり、したがって、触媒ターンオーバー速度が、任意の必要な補因子を含む基質の拡散速度を超えることはできないことが当業者には理解される。拡散律速またはkcat/Kの理論的最大値は、一般に、約10~10(M-1-1)である。したがって、PGAのいかなる酵素活性の改善にも、PGA酵素による作用を受ける基質の拡散速度に関連する上限がある。PGA活性は、力価測定(titration)によるものなどの、ペニシリンGの切断時のフェニル酢酸の放出を測定するために使用される標準的なアッセイのいずれか1つによって測定することができる(例えば、SimonsおよびGibson、Biotechnol. Tech.、13巻:365~367頁、[1999年]を参照のこと)。いくつかの実施形態では、PGA活性は、切断生成物である5-アミノ-2-ニトロ-安息香酸が分光光度的に検出可能な(λmax=405nm)6-ニトロフェニルアセトアミド安息香酸(NIPAB)を使用することによって測定することができる。酵素活性の比較は、本明細書においてさらに詳細に記載されるように、酵素の規定の調製、所定の条件下での規定のアッセイ、および1つ以上の規定の基質を使用して行われる。一般に、溶解産物が比較される場合、宿主細胞によって産生され、溶解産物中に存在する酵素の量の変動を最小限にするために、同一の発現系および同一の宿主細胞が使用されると共に、細胞数およびアッセイされるタンパク質の量が決定される。
本明細書で使用される場合、「増加した酵素活性」および「増加した活性」は、操作された酵素の改善された特性を指し、これは、本明細書に記載される参照酵素と比較して、比活性(例えば、生成された生成物/時間/タンパク質の重量)の増加または基質の生成物への変換率(例えば、出発量の基質の、特定量のPGAを使用した、特定の期間での生成物への変換率)の増加によって表すことができる。K、Vmaxまたはkcatの古典的な酵素特性を含む酵素活性に関係する任意の特性が影響され得、その変化は酵素活性の増加をもたらし得る。いくつかの実施形態では、本明細書に提示されるPGA酵素は、インスリンの特定の残基からトリフェニル酢酸保護基を除去することによってインスリンを放出させる。酵素活性の比較は、本明細書においてさらに詳細に記載されるように、酵素の規定の調製、所定の条件下での規定のアッセイ、および1つ以上の規定の基質を使用して行われる。一般に、細胞溶解産物中の酵素が比較される場合、宿主細胞によって産生され、溶解産物中に存在する酵素の量の変動を最小限にするために、同一の発現系および同一の宿主細胞が使用されると共に、細胞数およびアッセイされるタンパク質の量が決定される。
本明細書で使用される場合、「変換」は、基質の対応する生成物への酵素的転換を指す。
本明細書で使用される場合、「変換率」は、特定条件下である時間の期間内に生成物に変換される基質のパーセントを指す。したがって、例えば、PGAポリペプチドの「酵素活性」または「活性」は、基質の生成物への「変換率」として表すことができる。
本明細書で使用される場合、「化学選択性」は、化学反応または酵素反応において、ある1つの生成物が別の生成物よりも優先的に形成されることを指す。
本明細書で使用される場合、「熱安定(thermostable)」および「熱安定(thermal stable)」は、一定期間(例えば、0.5~24時間)にわたって一連の温度条件(例えば、40~80℃)に曝露したときに、無処理の酵素と比較して、不活化に対して耐性であり、したがって、温度の上昇に曝露した後にある特定のレベルの残留活性(例えば、60%超~80%)を保持するポリペプチドを指すのに互換的に使用される。
本明細書で使用される場合、「溶媒安定(solvent stable)」は、様々な濃度(例え
ば、5~99%)の溶媒(例えば、イソプロピルアルコール、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、アセトン、トルエン、酢酸ブチル、メチルtert-ブチルエーテルなど)に、一定期間(例えば、0.5~24時間)曝露した後、無処理の酵素と比較して同様の活性(例えば、例えば、60%~80%超)を維持するポリペプチドの能力を指す。
本明細書で使用される場合、「pH安定」は、高pHまたは低pH(例えば、4.5~6または8~12)に、一定期間(例えば、0.5~24時間)曝露した後、無処理の酵素と比較して同様の活性(例えば、60%超~80%)を維持するPGAポリペプチドを指す。
本明細書で使用される場合、「熱および溶媒安定」は、熱安定(thermostable)および溶媒安定の両方であるPGAポリペプチドを指す。
本明細書で使用される場合、「親水性アミノ酸または残基」は、Eisenbergらの正規化されたコンセンサス疎水性尺度(Eisenbergら、J. Mol. Biol.、179巻:125~142頁、[1984年])に従って0未満の疎水性を示す側鎖を有するアミノ酸または残基を指す。遺伝子によってコードされる親水性アミノ酸としては、L-Thr(T)、L-Ser(S)、L-His(H)、L-Glu(E)、L-Asn(N)、L-Gln(Q)、L-Asp(D)、L-Lys(K)およびL-Arg(R)が挙げられる。
本明細書で使用される場合、「酸性アミノ酸または残基」は、アミノ酸がペプチドまたはポリペプチド中に含まれる場合に約6未満のpK値を示す側鎖を有する親水性アミノ酸または残基を指す。酸性アミノ酸は、一般には、生理的pHにおいて、水素イオンの喪失に起因して、負に荷電した側鎖を有する。遺伝子によってコードされる酸性アミノ酸としては、L-Glu(E)およびL-Asp(D)が挙げられる。
本明細書で使用される場合、「塩基性アミノ酸または残基」は、アミノ酸がペプチドまたはポリペプチド中に含まれる場合に、約6超のpK値を示す側鎖を有する親水性アミノ酸または残基を指す。塩基性アミノ酸は、一般には、生理的pHにおいて、ヒドロニウムイオンとの会合に起因して、正に荷電した側鎖を有する。遺伝子によってコードされる塩基性アミノ酸としては、L-Arg(R)およびL-Lys(K)が挙げられる。
本明細書で使用される場合、「極性アミノ酸または残基」は、生理的pHにおいて非荷電であるが、2つの原子に共有される電子対が、原子のうちの1つによってより密接に保持される結合を少なくとも1つ有する側鎖を有する親水性アミノ酸または残基を指す。遺伝子によってコードされる極性アミノ酸としては、L-Asn(N)、L-Gln(Q)、L-Ser(S)およびL-Thr(T)が挙げられる。
本明細書で使用される場合、「疎水性アミノ酸または残基」は、Eisenbergらの正規化されたコンセンサス疎水性尺度(Eisenbergら、J. Mol. Biol.、179巻:125~142頁、[1984年])に従って0よりも大きな疎水性を示す側鎖を有するアミノ酸または残基を指す。遺伝子によってコードされる疎水性アミノ酸としては、L-Pro(P)、L-Ile(I)、L-Phe(F)、L-Val(V)、L-Leu(L)、L-Trp(W)、L-Met(M)、L-Ala(A)およびL-Tyr(Y)が挙げられる。
本明細書で使用される場合、「芳香族アミノ酸または残基」は、少なくとも1つの芳香族または芳香族複素環を含む側鎖を有する親水性または疎水性アミノ酸または残基を指す。遺伝子によってコードされる芳香族アミノ酸としては、L-Phe(F)、L-Tyr(Y)およびL-Trp(W)が挙げられる。L-His(H)は、芳香族複素環の窒素原子のpKaに基づいて時には塩基性残基に分類される、または、側鎖が芳香族複素環を含むことに起因して芳香族残基に分類されるが、本明細書では、ヒスチジンは、親水性残基または「拘束された残基(constrained residue)」(以下を参照のこと)に分類される。
本明細書で使用される場合、「拘束されたアミノ酸または残基」は、拘束された幾何学的形状を有するアミノ酸または残基を指す。本明細書では、拘束された残基として、L-Pro(P)およびL-His(H)が挙げられる。ヒスチジンは、比較的小さなイミダゾール環を有するので、拘束された幾何学的形状を有する。プロリンも同様に、5員環を有するので、拘束された幾何学的形状を有する。
本明細書で使用される場合、「非極性アミノ酸または残基」は、生理的pHにおいて非荷電であり、2つの原子に共有される電子対が、一般に、2つの原子のそれぞれによって同等に保持される結合を有する側鎖を有する(すなわち、側鎖が極性でない)疎水性アミノ酸または残基を指す。遺伝子によってコードされる非極性アミノ酸としては、L-Gly(G)、L-Leu(L)、L-Val(V)、L-Ile(I)、L-Met(M)およびL-Ala(A)が挙げられる。
本明細書で使用される場合、「脂肪族アミノ酸または残基」は、脂肪族炭化水素側鎖を有する疎水性アミノ酸または残基を指す。遺伝子によってコードされる脂肪族アミノ酸としては、L-Ala(A)、L-Val(V)、L-Leu(L)およびL-Ile(I)が挙げられる。
システイン(または「L-Cys」もしくは「[C]」)は他のL-Cys(C)アミノ酸または他のスルファニル含有アミノ酸もしくはスルフヒドリル含有アミノ酸とジスルフィド架橋を形成し得るという点で、普通ではないことに留意する。「システイン様残基」として、システインおよびジスルフィド架橋の形成に利用可能なスルフヒドリル部分を含有する他のアミノ酸が挙げられる。L-Cys(C)(および-SHを含有する側鎖を有する他のアミノ酸)の、ペプチド内に、還元型遊離-SHまたは酸化型ジスルフィド架橋形態のいずれかで存在する能力は、L-Cys(C)がペプチドへの正味の疎水性または親水性特徴に寄与するかどうかに影響を及ぼす。L-Cys(C)は、Eisenbergの正規化されたコンセンサス尺度(Eisenbergら、1984年、上記)に従って0.
29の疎水性を示すが、本開示の目的に関しては、L-Cys(C)は、独自の群にカテゴリー化されることが理解されるべきである。
本明細書で使用される場合、「小型アミノ酸または残基」は、全部で3つまたはそれ未満の炭素および/またはヘテロ原子(α-炭素および水素を除いて)で構成される側鎖を有するアミノ酸または残基を指す。小型アミノ酸または残基は、上記の定義に従って、脂肪族、非極性、極性または酸性の小型アミノ酸または残基にさらにカテゴリー化することができる。遺伝子によってコードされる小型アミノ酸としては、L-Ala(A)、L-Val(V)、L-Cys(C)、L-Asn(N)、L-Ser(S)、L-Thr(T)およびL-Asp(D)が挙げられる。
本明細書で使用される場合、「ヒドロキシルを含有するアミノ酸または残基」は、ヒドロキシル(-OH)部分を含有するアミノ酸を指す。遺伝子によってコードされるヒドロキシルを含有するアミノ酸としては、L-Ser(S)L-Thr(T)およびL-Tyr(Y)が挙げられる。
本明細書で使用される場合、「アミノ酸差異」および「残基差異」は、参照配列中の対応する位置のアミノ酸残基と比べたポリペプチド配列の位置でのアミノ酸残基の差異を指す。アミノ酸差異の位置は一般に、本明細書では「Xn」(nは、残基差異が基づく参照配列における対応する位置を指す)と称される。例えば、「配列番号2と比較したX40位の残基差異」は、配列番号2の40位に対応するポリペプチド位置のアミノ酸残基の差異を指す。したがって、配列番号2の参照ポリペプチドが40位でヒスチジンを有する場合、「配列番号2と比較したX40位の残基差異」は、配列番号2の40位に対応するポリペプチドの位置でのヒスチジン以外の任意の残基のアミノ酸置換を指す。本明細書のほとんどの例では、ある位置における特定のアミノ酸残基差異は、「XnY」(「Xn」は、上記のように対応する位置を指定し、「Y」は、人工ポリペプチドに見られるアミノ酸(すなわち、参照ポリペプチド中と異なる残基)の一文字識別子である)として示される。一部の場合では、本開示はまた、慣例的な表示法「AnB」(Aは、参照配列中の残基の一文字識別子であり、「n」は、参照配列中の残基位置の番号であり、Bは、人工ポリペプチドの配列中の残基置換の一文字識別子である)によって表される特定のアミノ酸差異を提供する。いくつかの場合では、本開示のポリペプチドは、参照配列と比較して1個以上のアミノ酸残基差異を含み得、これは、参照配列と比較して残基差異が存在する特定の位置のリストによって示される。いくつかの実施形態では、ポリペプチドの特定の残基位置に1個超のアミノ酸を使用することができる場合、使用することができる様々なアミノ酸残基は、「/」によって区切られる(例えば、X192A/G)。本開示は、保存的アミノ酸置換および非保存的アミノ酸置換のいずれかまたはその両方を含む1個以上のアミノ酸差異を含む操作されたポリペプチド配列を包含する。本開示の配列表に含まれる特定の組換え炭酸脱水酵素ポリペプチドのアミノ酸配列は、開始メチオニン(M)残基を含む(すなわち、Mは残基位置1を表す)。しかし、この開始メチオニン残基は、開始メチオニン残基を欠くが他の点では酵素の特性を保持する成熟タンパク質を作製するために、例えば宿主細胞またはインビトロ翻訳系においてなど、生物学的プロセシング機構によって除去することができることが当業者には理解される。したがって、用語「Xn位における配列番号2と比較したアミノ酸残基差異」は、本明細書で使用される場合、開始メチオニンを欠くようにプロセシングされた参照配列内の「Xn」位または対応する位置(例えば、(X-1)n位)を指し得る。
本明細書で使用される場合、用語「保存的アミノ酸置換」は、ある残基を、類似側鎖を有する残基の互換性を指し、したがって一般に、ポリペプチド中のアミノ酸を、同じかまたは類似の規定アミノ酸クラス内のアミノ酸で置換することを含む。一例として限定されないが、いくつかの実施形態では、脂肪族側鎖を有するアミノ酸は、別の脂肪族アミノ酸、例えば、アラニン、バリン、ロイシン、およびイソロイシンと置換し、ヒドロキシル側鎖を有するアミノ酸は、ヒドロキシル側鎖を有する別のアミノ酸、例えば、セリンおよびトレオニンと置換され、芳香族側鎖を有するアミノ酸は、芳香族側鎖を有する別のアミノ酸、例えば、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、およびヒスチジンと置換され、塩基性側鎖を有するアミノ酸は、塩基性側鎖を有する別のアミノ酸、例えば、リジンおよびアルギニンと置換され、酸性側鎖を有するアミノ酸は、酸性側鎖を有する別のアミノ酸(例えば、アスパラギン酸またはグルタミン酸)と置換され、および/または、疎水性または親水性アミノ酸は、それぞれ別の疎水性または親水性アミノ酸と置換される。例示的な保存的置換を表1に提供する。
Figure 0007019202000001
本明細書で使用される場合、「非保存的置換」は、ポリペプチド中のアミノ酸を、側鎖特性が顕著に異なるアミノ酸に置換することを指す。非保存的置換は、規定のグループ内ではなく規定のグループ間のアミノ酸を使用することができ、(a)置換(例えば、グリシンからプロリン)領域内のペプチド骨格の構造、(b)電荷もしくは疎水性、または(c)側鎖のバルクに影響を与える。一例として限定されないが、例示的な非保存的置換は、塩基性または脂肪族アミノ酸と置換された酸性アミノ酸、小さいアミノ酸と置換された芳香族アミノ酸、および疎水性アミノ酸と置換された親水性アミノ酸であり得る。
本明細書で使用される場合、「欠失」は、参照ポリペプチドから1つ以上のアミノ酸を除去することによる、ポリペプチドの改変を指す。欠失は、酵素活性を保持し、および/または人工酵素の改善された特性を保持しつつ、1アミノ酸以上、2アミノ酸以上、5アミノ酸以上、10アミノ酸以上、15アミノ酸以上または20アミノ酸以上の除去であって、ポリペプチドを構成する全アミノ酸数の10%までの除去、または参照酵素を構成する全アミノ酸数の20%までの除去を含み得る。欠失は、ポリペプチドの内部部分および/または末端部分を対象とするものであり得る。様々な実施形態では、欠失は連続的なセグメントを含み得るか、または不連続であり得る。
本明細書で使用される場合、「挿入」は、参照ポリペプチドへと1つ以上のアミノ酸を付加することによる、ポリペプチドの改変を指す。いくつかの実施形態では、改善された人工PGA酵素は、天然に存在するPGAポリペプチドへの1アミノ酸以上の挿入、ならびに人工PGAポリペプチドへの1アミノ酸以上の挿入を含む。挿入は、ポリペプチドの内部部分にあり得るか、またはカルボキシ末端もしくはアミノ末端に対するものであり得る。当技術分野で公知であるように、本明細書で使用される挿入は、融合タンパク質を含む。天然ポリペプチドにおいて、挿入は、連続的なアミノ酸セグメントであり得るか、またはアミノ酸の1つ以上によって隔てられ得る。
用語「アミノ酸置換セット」または「置換セット」は、参照配列と比較した、ポリペプチド配列内のアミノ酸置換の群を指す。置換セットは、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、またはそれを超えるアミノ酸置換を有し得る。いくつかの実施形態では、置換セットは、実施例において提示される表に列挙されている改変体PGAのいずれかに存在するアミノ酸置換のセットを指す。
本明細書で使用される場合、「断片」は、アミノ末端および/またはカルボキシ末端の欠失を有するが、残りのアミノ酸配列は、配列中の対応する位置と同一であるポリペプチドを指す。断片は、典型的には、全長PGAポリペプチ、例えば、配列番号2のポリペプチドの約80%、約90%、約95%、約98%または約99%を有し得る。いくつかの実施形態では、断片は、「生物学的に活性である」(すなわち、全長配列と同じ酵素活性を示す)。
本明細書で使用される場合、「単離されたポリペプチド」は、天然でそれに付随する他の混入物、例えば、タンパク質、脂質およびポリヌクレオチドから実質的に分離されたポリペプチドを指す。この用語は、その天然に存在する環境または発現系(例えば、宿主細胞またはインビトロ合成)から回収または精製されたポリペプチドを包含する。改善されたPGA酵素は、細胞内に存在し得るか、細胞培地中に存在し得るか、または様々な形態(例えば、溶解産物または単離された調製物)で調製され得る。したがって、いくつかの実施形態では、本開示の人工PGAポリペプチドは、単離されたポリペプチドであり得る。
本明細書で使用される場合、「実質的に純粋なポリペプチド」は、そのポリペプチド種が存在する優勢種である(すなわち、モルまたは重量基準で、これが、組成物中の任意の他の個々の高分子種よりも豊富である)組成物を指し、一般に、目的種が、存在する高分子種の少なくとも約50モルパーセントまたは約50重量パーセントを構成する場合、実質的に精製された組成物である。一般に、実質的に純粋な人工PGAポリペプチド組成物は、この組成物中に存在するすべての高分子種の約60モル%または重量%以上、約70モル%または重量%以上、約80モル%または重量%以上、約90モル%または重量%以上、約95モル%または重量%以上、および約98モル%または重量%以上を含む。溶媒種、小分子(<500ダルトン)、および元素イオン種は、高分子種と見なされない。いくつかの実施形態では、単離された改善されたPGAポリペプチドは、実質的に純粋なポリペプチド組成物である。
本明細書で使用される場合、核酸またはポリペプチドに関して使用される場合、用語「異種」は、通常は生物(例えば、野生型生物)によって発現および分泌されない配列を指す。いくつかの実施形態では、この用語は、通常天然に見いだされるものと同じ互いとの関係では見いだされない、あるいは、組換え操作されており、その結果、発現のレベル、または細胞内の他の核酸もしくは他の分子との物理的関係、または構造が通常天然に見いだされるものではない、2つまたはそれを超える部分配列を含む配列を包含する。例えば、異種核酸は、一般には、組換えによって作製され、天然に見いだされない様式で配置された無関係の遺伝子に由来する2つまたはそれを超える配列を有する(例えば、ベクターなどの発現カセットに挿入されたプロモーター配列に作動可能に連結された本発明の核酸オープンリーディングフレーム(ORF))。いくつかの実施形態では、「異種ポリヌクレオチド」は、実験室技術によって宿主細胞中に導入される任意のポリヌクレオチドを指し、宿主細胞から取り出され、実験室操作にかけられ、次いで宿主細胞中に再導入されるポリヌクレオチドを含む。
本明細書で使用される場合、「適切な反応条件」は、本開示のPGAポリペプチドがトリフェニル酢酸保護基を除去することによって遊離のインスリンを放出させることができる生体触媒反応溶液の条件(例えば、酵素負荷、基質負荷、補因子負荷、温度、pH、緩衝液、共溶媒などの範囲)を指す。例示的な「適切な反応条件」は本開示において提供されており、実施例によって例示されている。
本明細書で使用される場合、「化合物負荷」、「酵素負荷」または「補因子負荷」などの「負荷」は、反応開始時における反応混合物中の成分の濃度または量を指す。
本明細書で使用される場合、生体触媒媒介プロセスとの関連における「基質」は、生体触媒が作用する化合物または分子を指す。
本明細書で使用される場合、生体触媒媒介プロセスとの関連における「生成物」は、生体触媒が作用した結果生じる化合物または分子を指す。
本明細書で使用される場合、「平衡」は、化学反応または酵素反応の順方向速度定数および逆方向速度定数によって決定される、立体異性体の相互変換を含む化学反応または酵素反応(例えば、2つの種AおよびBの相互変換)において化学種の定常状態の濃度をもたらすプロセスを指す。
本明細書で使用される場合、「アシラーゼ」および「アシルトランスフェラーゼ」は、アシル基を供与体から受容体に移行させてエステルまたはアミドを形成させることができる酵素を指すのに互換的に使用される。アシラーゼ媒介逆反応の結果、エステルまたはアミドが加水分解される。
本明細書で使用される場合、「ペニシリンG」および「ベンジルペニシリン」は、(2S,5R,6R)-3,3-ジメチル-7-オキソ-6-(2-フェニルアセトアミド)-4-チア-1-アザビシクロ[3.2.0]ヘプタン-2-カルボン酸(C1618S)としても公知の抗生物質を指す。これは、グラム陽性生物に対して主に有効であるが、一部のグラム陰性生物もそれに対して感受性である。
本明細書で使用される場合、「ペニシリンGアシラーゼ」および「PGA」は、ペニシリンG(ベンジルペニシリン)のフェニル酢酸(PHA)および6-アミノペニシラン酸(6-APA)への切断を媒介する能力を有する酵素を指すのに互換的に使用される。いくつかの実施形態では、PGA活性は、モデル基質の切断、例えば、6-ニトロ-3-(フェニルアセトアミド)安息香酸のフェニル酢酸および5-アミノ-2-ニトロ-安息香酸への切断に基づくものであり得る。PGAはまた、アシル供与体のアシル基をアシル受容体に移行させる逆反応を行うこともできる。PGAは、本明細書で言及される場合、天然に存在する(野生型)PGA、ならびに人為的操作によって作製された1つ以上の操作されたポリペプチドを含む天然に存在しないPGA酵素を包含する。野生型PGA遺伝子は、54アミノ酸のスペーサー領域によって連結されたαサブユニット(23.8KDa)およびβサブユニット(62.2KDa)からなるヘテロ二量体である。スペーサー領域が存在することに起因して、活性なタンパク質を形成するためには自己プロセシングステップが必要である。
本明細書で使用される場合、「アシル供与体」は、アシル基をアシル受容体に供与してエステルまたはアミドを形成させる、アシラーゼ基質の部分を指す。
本明細書で使用される場合、「アシル受容体」は、アシル供与体のアシル基を受容してエステルまたはアミドを形成させる、アシラーゼ基質の部分を指す。
本明細書で使用される場合、「α鎖配列」は、配列番号2の27~235位の残基に対応する(例えば、それに対して少なくとも85%の同一性を有する)アミノ酸配列を指す。本明細書で使用される場合、単鎖のポリペプチドは、「α鎖配列」およびさらなる配列(複数可)を含み得る。
本明細書で使用される場合、「β鎖配列」は、配列番号2の290~846位の残基に対応する(例えば、それに対して少なくとも85%の同一性を有する)アミノ酸配列を指す。本明細書で使用される場合、単鎖のポリペプチドは、「β鎖配列」およびさらなる配列(複数可)を含み得る。
本明細書で使用される場合、操作されたPGA酵素との関連において使用される「に由来する」は、操作がそれに基づく、起源のPGA酵素、および/またはこのようなPGA酵素をコードする遺伝子を同定する。例えば、配列番号60の単鎖の操作されたPGA酵素は、K.citrophila PGAをコードする遺伝子を多数の世代にわたって人工的に進化させることによって得たものである。したがって、いくつかの実施形態では、操作されたPGA酵素は、配列番号2の天然に存在するまたは野生型PGAに由来するが、いくつかのさらなる実施形態では、操作されたPGA酵素は、他の進化したPGA酵素に由来する。いくつかの実施形態では、操作されたPGAは、α鎖配列およびβ鎖配列を含み、これらは、成熟酵素中に別々のポリペプチドとして存在し得、または単鎖のポリペプチドの一部として存在し得る。いくつかの実施形態では、単鎖の形態として存在する場合、操作されたPGAポリペプチドは、アミノ末端からカルボキシ末端へと、構造
B-L-A
を含み得、式中、Bはβ鎖配列(またはBユニット)であり;Aはα鎖配列(またはAユニット)であり;Lは、α鎖配列をβ鎖配列に接続するリンカーである。いくつかの実施形態では、スペーサーまたはリンカーLは、機能的なPGA酵素を形成するためのAユニットおよびBユニットの適切なフォールディングおよび相互作用を可能にするのに十分な長さおよび柔軟性があるスペーサーまたはリンカーを含む。例示的なリンカー/スペーサーは、アミノ酸配列Gln~Leu~Asp~Glnを含む。
別々のポリペプチドの形態であれ、単鎖のポリペプチドとしてであれ、α鎖およびβ鎖の配列は、K.citrophila PGAの天然に存在するα鎖およびβ鎖の配列と比較して、1つまたは複数の残基差異を有し得る。
本明細書で使用される場合、「インスリン」は、正常な個体において膵臓のβ細胞によって産生されるポリペプチドホルモンを指す。インスリンは、血中グルコースレベルを低下させることによって炭水化物代謝を調節するために必要である。インスリンの系統的欠損により、糖尿病が生じる。インスリンは、51アミノ酸で構成され、およそ5800ダルトンの分子量を有する。インスリンは、2つのペプチド鎖(「A」および「B」で示される)で構成され、サブユニット内ジスルフィド結合を1つとサブユニット間ジスルフィド結合を2つ含有する。A鎖は21アミノ酸で構成され、B鎖は30アミノ酸で構成される。2つの鎖は、高度に規則的な構造を形成し、A鎖とB鎖の両方にα-ヘリックス領域をいくつか伴う。単離された鎖は不活性である。溶液中では、インスリンは、単量体、二量体、または六量体である。インスリンは、皮下注射のために使用される高度に濃縮された調製物中では六量体であるが、体液中で希釈されるにしたがって単量体になる。この定義は、プロインスリン、ならびに、天然に存在するインスリンの主要な構造的立体配座の一部または全部および生物学的特性の少なくとも1つを有する任意の精製された単離されたポリペプチドを包含することが意図されている。さらに、グリコフォームを含む、天然のインスリンおよび合成により作られたインスリン、ならびに類似体(例えば、欠失、挿入、および/または置換を有するポリペプチド)を包含することが意図されている。
インスリンは、フェニル酢酸供与体と潜在的に反応し得、PGAによって脱保護され得る求核アミンを3つ含有する。これらの残基として、B鎖の29位(B29)のLysならびに2つのN末端遊離のアミン、A鎖の1位(A1)のGlyおよびB鎖の1位(B1)のPheが挙げられる。3重保護インスリン(ヒトインスリンのA1残基、B1残基、B29残基にフェニル酢酸が化学的に結合している)が本明細書に提供される。PGAは、N-フェニル酢酸で保護されたペプチドおよびインスリンの加水分解をフェニル酢酸アミド結合に対する排他的な選択性で触媒し、タンパク質の残りのペプチド結合はインタクトなまま残すことが以前に報告されている(Brtnikら、Coll. Czech. Chem. Commun.、46巻(8号)、1983~1989頁、[1981年];およびWangら、Biopolym.、25巻(補遺)、S109~S114頁、[1986年])。
「トリフェニル酢酸保護基」は、本明細書に記載されるように、B1位、B29位およびA1位にフェニルアシル基で保護された3つの第一級アミンを有するインスリン分子を指す。
本明細書で使用される場合、「ジフェニル酢酸保護基」は、B1、B29および/またはA1位にフェニルアシル基で保護された2つの第一級アミンを有するインスリン分子を指す。
本明細書で使用される場合、「ジフェニル酢酸保護基」は、B1、B29またはA1位にフェニルアシル基で保護された1つの第一級アミンを有するインスリン分子を指す。
ペニシリンGアシラーゼ
ペニシリンアシラーゼは、SakaguchiおよびMuraoにより、Penicillium chrysogenum Wisc. Q176から最初に記載された(SakaguchiおよびMurao、J. Agr.Chem. Soc. Jpn.、23巻:411頁、[1950年])。ペニシリンGアシラーゼは、ペニシリンG、セファロスポリンG、および関連する抗生物質の側鎖に作用して、共通の副生成物としてフェニル酢酸を伴い、β-ラクタム系抗生物質中間体である6-アミノペニシラン酸および7-アミノデス-アセトキシセファロスポラン酸を生成させる加水分解酵素である。これらの抗生物質中間体としては、アンピシリン、アモキシシリン、クロキサシリン、セファレキシン、およびセフォタキシム(cefatoxime)などの、半合成抗生物質の潜在的な構成要素がある。
上に示されている通り、ペニシリンGアシラーゼ(PGA)は、スキーム1:
Figure 0007019202000002
に示されている通り、構造式(I)の共役塩基を有するペニシリンGの、構造式(II)の共役塩基を有する6-アミノペニシラン酸および構造式(III)のフェニル酢酸への、加水分解による切断を触媒する能力によって特徴付けられる。
理論に縛られるものではないが、基質特異性は疎水性フェニル基の認識に関連すると思われ、一方、いくつかのPGAではβ鎖のN末端のセリン残基である求核試薬が、β-ラクタムおよびβアミノ酸などの様々な他の基の受容体として作用する。PGAは、また、スキーム2:
Figure 0007019202000003
に示されている通り、ペニシリンGと類似しているモデル基質を切断する、例えば、構造式(IV)の6-ニトロ-3-(フェニルアセトアミド)安息香酸(NIPAB)を、構造式(III)のフェニル酢酸および構造式(V)の5-アミノ-2-ニトロ-安息香酸に切断する能力によっても特徴付けられ得る(例えば、Alkemaら、Anal. Biochem.、275巻:47~53頁、[1999年]を参照のこと)。5-アミノ-2-ニトロ-安息香酸は発色性であるので、式(IV)の基質により、PGA活性を測定する便利な方法がもたらされる。前述の反応に加えて、PGAは、光学的に純粋なtertロイシンを調製するための、DL-tertロイシンの反応速度論的分解にも使用することができる(例えば、Liuら、Prep. Biochem. Biotechnol.、36巻:235~41頁、[2006年]を参照のこと)。
本発明のPGAは、生物Kluyvera citrophila(K.citrophila)から得られた酵素に基づく。他の生物由来のPGAと同様に、K.citrophilaのPGAは、プレ-プロ-PGAポリペプチドのタンパク質分解性プロセシングによって生じる、α-サブユニットおよびβ-サブユニットで構成されるヘテロ二量体酵素である。シグナルペプチドおよびスペーサーペプチドを除去することにより、成熟ヘテロ二量体が生成される(例えば、Barberoら、Gene、49巻:69~80頁、[1986年]を参照のこと)。K.citrophilaの天然に存在するプレ-プロ-PGAポリペプチドのアミノ酸配列は公的に入手可能であり(例えば、GenBankアクセッション番号P07941、[gi:129551]を参照のこと)、本明細書において配列番号2として提示される。天然に存在するK citrophila PGAのα鎖配列は、配列番号2の残基27~235に対応する。天然に存在するK citrophila PGAのβ鎖配列は、配列番号2の残基290~846に対応する。配列番号2の残基1~26はシグナルペプチドに対応し、配列番号2の残基236~289は連結しているプロペプチドに対応し、その両方が除去されて、α鎖サブユニットおよびβ鎖サブユニットを含むヘテロ二量体である、天然に存在する成熟PGA酵素が生じる。いくつかの実施形態では、操作されたPGAは、α鎖配列およびβ鎖配列を含み、これらは、成熟酵素中に別々のポリペプチドとして存在し得、または単鎖のポリペプチドの一部として存在し得る。いくつかの実施形態では、単鎖の形態として存在する場合、操作されたPGAポリペプチドは、アミノ末端からカルボキシ末端へと、構造
B-L-A
を含み得、式中、Bはβ鎖配列(またはBユニット)であり;Aはα鎖配列(またはAユニット)であり;Lは、α鎖配列をβ鎖配列に接続するリンカーである。いくつかの実施形態では、スペーサーまたはリンカーLは、機能的なPGA酵素を形成するためのAユニットおよびBユニットの適切なフォールディングおよび相互作用を可能にするのに十分な長さおよび柔軟性があるスペーサーまたはリンカーを含む。例示的なリンカー/スペーサーは、アミノ酸配列Gln~Leu~Asp~Glnを含む。
別々のポリペプチドの形態であれ、単鎖のポリペプチドとしてであれ、α鎖およびβ鎖の配列は、K.citrophila PGAの天然に存在するα鎖およびβ鎖の配列と比較して、1つまたは複数の残基差異を有し得る。
いくつかの実施形態では、本発明は、配列番号12、24、40、56、70、82、100、108、110、116、136、154および/または160に対して少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%またはそれを超える配列同一性を有するアミノ酸配列を有する操作されたPGAポリペプチドを提供する。
本発明は、商業規模の使用に適したインスリン特異的アシル化生体触媒を提供する。定向進化法を使用して、A1、B1、および/またはB29位においてフェニル酢酸保護基をインスリンに付加することができる効率的なアシラーゼ改変体を開発した。本明細書において提示されるPGA改変体は、広範囲のアシル基を受容することができ、野生型PGAと比較して増加した溶媒安定性、および改善された熱安定性(thermostability)を示す。本明細書において提示される改変体PGAはスペーサー領域を欠く。したがって、活性酵素を産生させるために自己プロセシングステップは必要ない。本発明は、操作されたPGAポリペプチドをコードするポリヌクレオチドも提供する。いくつかの実施形態では、遺伝子発現を制御する1つ以上の異種調節配列にポリヌクレオチドを作動可能に連結して、前記ポリペプチドを発現することができる組換えポリヌクレオチドを作製する。操作されたPGAポリペプチドをコードする異種ポリヌクレオチドを含有する発現構築物を適切な宿主細胞に導入して、対応するPGAポリペプチドを発現させることができる。様々なアミノ酸に対応するコドンの知見に起因して、タンパク質配列の利用可能性により、対象をコードすることができるすべてのポリヌクレオチドの説明が提供される。同じアミノ酸が代替または同義のコドンによってコードされる遺伝子コードの縮重は、本明細書に開示されている改善されたPGA酵素をすべてがコードする極端に多数の核酸が作られることを可能にする。したがって、特定のアミノ酸配列を同定したら、当業者は、タンパク質のアミノ酸配列を変更しない方法で、1つ以上のコドンの配列を単に改変することによって、任意の数の様々な核酸を作ることができると予想される。この点において、本開示は、可能なコドン選択に基づく組み合わせを選択することによって作られ得るポリヌクレオチドのそれぞれのおよびすべての可能なバリエーションを特に意図し、すべてのこのようなバリエーションは、実施例における表に示されているアミノ酸配列を含めて、本明細書に開示される任意のポリペプチドについて具体的に開示されるとみなされるべきである。
様々な実施形態では、コドンは、タンパク質が産生されている宿主細胞に合うように選択されることが好ましい。例えば、細菌中で使用される好ましいコドンは、細菌内での発現に使用され;酵母中で使用される好ましいコドンは、酵母内での発現に使用され、哺乳動物で使用される好ましいコドンは、哺乳動物細胞での発現に使用される。
ある特定の実施形態では、天然の配列は好ましいコドンを含むため、および好ましいコドンの使用は、すべてのアミノ酸残基に必要とされない場合があるため、PGAポリペプチドのコドン使用頻度を最適化するのに、すべてのコドンが置換される必要はない。したがって、PGA酵素をコードする、コドンが最適化されたポリヌクレオチドは、全長コード領域の約40%、50%、60%、70%、80%、または90%超のコドン位置で好ましいコドンを含有し得る。
いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、本明細書に記載される参照操作されたPGAポリペプチドのいずれかのα鎖および/またはβ鎖に対して少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%またはそれを超える配列同一性を有するアミノ酸配列を有するPGAポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。したがって、いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、配列番号12、24、40、56、70、82、100、108、110、116、136、154および/または160に基づく参照α鎖配列およびβ鎖配列に対して少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超えて同一であるアミノ酸配列をコードする。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、配列番号12、24、40、56、70、82、100、108、110、116、136、154および/または160のα鎖アミノ酸配列および/またはβ鎖アミノ酸配列をコードする。
いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、配列番号12、24、40、56、70、82、100、108、110、116、136、154および/または160に対して少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%またはそれを超える配列同一性を有するアミノ酸配列を有するPGAポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。したがって、いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、配列番号12、24、40、56、70、82、100、108、110、116、136、154および/または160に対して少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超えて同一であるアミノ酸配列をコードする。
いくつかの実施形態では、改善されたPGAポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドは、ポリペプチドの改善された活性および/または発現がもたらされるように様々な方法で操作されたものである。発現ベクターに応じて、単離されたポリヌクレオチドをベクターに挿入する前に操作することが望ましいかまたは必要であり得る。組換えDNA法を利用してポリヌクレオチドおよび核酸配列を改変するための技術は、当技術分野で周知である。
例えば、発現させること、スクリーニングすること、およびアッセイすることができる改変体ライブラリーを作製するために、変異誘発および定向進化法をポリヌクレオチドに容易に適用することができる。変異誘発および定向進化法は当技術分野で周知である(例えば、すべてが参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,605,793号、同第5,830,721号、同第6,132,970号、同第6,420,175号、同第6,277,638号、同第6,365,408号、同第6,602,986号、同第7,288,375号、同第6,287,861号、同第6,297,053号、同第6,576,467号、同第6,444,468号、同第5,811238号、同第6,117,679号、同第6,165,793号、同第6,180,406号、同第6,291,242号、同第6,995,017号、同第6,395,547号、同第6,506,602号、同第6,519,065号、同第6,506,603号、同第6,413,774号、同第6,573,098号、同第6,323,030号、同第6,344,356号、同第6,372,497号、同第7,868,138号、同第5,834,252号、同第5,928,905号、同第6,489,146号、同第6,096,548号、同第6,387,702号、同第6,391,552号、同第6,358,742号、同第6,482,647号、同第6,335,160号、同第6,653,072号、同第6,355,484号、同第6,03,344号、同第6,319,713号、同第6,613,514号、同第6,455,253号、同第6,579,678号、同第6,586,182号、同第6,406,855号、同第6,946,296号、同第7,534,564号、同第7,776,598号、同第5,837,458号、同第6,391,640号、同第6,309,883号、同第7,105,297号、同第7,795,030号、同第6,326,204号、同第6,251,674号、同第6,716,631号、同第6,528,311号、同第6,287,862号、同第6,335,198号、同第6,352,859号、同第6,379,964号、同第7,148,054号、同第7,629,170号、同第7,620,500号、同第6,365,377号、同第6,358,740号、同第6,406,910号、同第6,413,745号、同第6,436,675号、同第6,961,664号、同第7,430,477号、同第7,873,499号、同第7,702,464号、同第7,783,428号、同第7,747,391号、同第7,747,393号、同第7,751,986号、同第6,376,246号、同第6,426,224号、同第6,423,542号、同第6,479,652号、同第6,319,714号、同第6,521,453号、同第6,368,861号、同第7,421,347号、同第7,058,515号、同第7,024,312号、同第7,620,502号、同第7,853,410号、同第7,957,912号、同第7,904,249号、およびすべての関連する米国以外の対応物;Lingら、Anal. Biochem.、254巻(2号):157~78頁、[1997年];Daleら、Meth. Mol. Biol.、57巻:369~74頁、[1996年];Smith、Ann. Rev. Genet.、19巻:423~462頁、[1985年];Botsteinら、Science、229巻:1193~1201頁、[1985年];Carter、Biochem. J.、237巻:1~7頁、[1986年];Kramerら、Cell、38巻:879~887頁、[1984年];Wellsら、Gene、34巻:315~323頁、[1985年];Minshullら、Curr. Op. Chem. Biol.、3巻:284~290頁、[1999年];Christiansら、Nat. Biotechnol.、17巻:259~264頁、[1999年];Crameriら、Nature、391巻:288~291頁、[1998年];Crameriら、Nat. Biotechnol.、15巻:436~438頁、[1997年];Zhangら、Proc. Nat. Acad. Sci. U.S.A.、94巻:4504~4509頁、[1997年];Crameriら、Nat. Biotechnol.、14巻:315~319頁、[1996年];Stemmer、Nature、370巻:389~391頁、[1994年];Stemmer、Proc. Nat. Acad. Sci. USA、91巻:10747~10751頁、[1994年];WO95/22625;WO97/0078;WO97/35966;WO98/27230;WO00/42651;WO01/75767;およびWO2009/152336を参照のこと)。
いくつかの実施形態では、本発明の改変体PGAアシラーゼは、コードされる酵素の活性を変化させないさらなる配列をさらに含む。例えば、いくつかの実施形態では、改変体PGAアシラーゼは、エピトープタグ、または精製において有用な別の配列に連結されている。
いくつかの実施形態では、本発明の改変体PGAアシラーゼポリペプチドは、それを発現する宿主細胞(例えば、酵母または糸状菌宿主細胞)から分泌され、シグナルペプチド(すなわち、ポリペプチドのアミノ末端に連結された、コードされるポリペプチドを細胞の分泌経路に向かわせるアミノ酸配列)を含むプレタンパク質として発現される。
いくつかの実施形態では、シグナルペプチドは、内在性K.citrophila PGAアシラーゼシグナルペプチドである。いくつかの他の実施形態では、他のK.citrophila分泌タンパク質由来のシグナルペプチドが使用される。
いくつかの実施形態では、宿主細胞および他の因子に応じて、他のシグナルペプチドが使用される。糸状菌宿主細胞についての有効なシグナルペプチドコード領域としては、限定されないが、Aspergillus oryzae TAKAアミラーゼ、Aspergillus niger中性アミラーゼ、Aspergillus nigerグルコアミラーゼ、Rhizomucor mieheiアスパラギン酸プロテイナーゼ、Humicola insolensセルラーゼ、Humicola lanuginosaリパーゼ、およびT.reeseiセロビオヒドロラーゼIIから得られるシグナルペプチドコード領域が挙げられる。細菌宿主細胞のためのシグナルペプチドコード領域としては、限定されないが、Bacillus NClB11837マルトース生成アミラーゼ(maltogenic amylase)、Bacillus stearothermophilus α-アミラーゼ、Bacillus licheniformisサブチリシン、Bacillus licheniformis β-ラクタマーゼ、Bacillus stearothermophilus中性プロテアーゼ(nprT、nprS、nprM)、およびBacillus subtilis prsAの遺伝子から得られるシグナルペプチドコード領域が挙げられる。いくつかのさらなる実施形態では、他のシグナルペプチドが本発明において使用される(例えば、参照により本明細書に組み込まれる、SimonenおよびPalva、Microbiol. Rev.、57巻:109~137頁、[1993年]を参照のこと)。酵母宿主細胞についてのさらなる有用なシグナルペプチドとしては、Saccharomyces cerevisiae α-因子、Saccharomyces cerevisiae SUC2インベルターゼの遺伝子に由来するものが挙げられる(例えば、TaussigおよびCarlson、Nucl. Acids Res.、11巻:1943~54頁、[1983年];SwissProtアクセッション番号P00724;およびRomanosら、Yeast、8巻:423~488頁、[1992年]を参照のこと)。いくつかの実施形態では、これらのシグナルペプチドの改変体および他のシグナルペプチドが使用される。実際に、当技術分野で公知の任意の適切なシグナルペプチドが本発明において使用されるので、本発明は、いかなる特定のシグナルペプチドにも限定されるものではない。
いくつかの実施形態では、本発明は、本明細書に記載される改変体PGAアシラーゼポリペプチド、および/または生物学的に活性なその断片をコードするポリヌクレオチドを提供する。いくつかの実施形態では、遺伝子発現を制御する1つ以上の異種調節配列または制御配列にポリヌクレオチドを作動可能に連結して、ポリペプチドを発現することができる組換えポリヌクレオチドを作製する。いくつかの実施形態では、改変体PGAアシラーゼをコードする異種ポリヌクレオチドを含有する発現構築物を適切な宿主細胞に導入して、改変体PGAアシラーゼを発現させる。
遺伝子コードの縮重に起因して、本発明の改変体PGAアシラーゼポリペプチドをコードするヌクレオチド配列が多数存在することが当業者には理解される。例えば、コドンAGA、AGG、CGA、CGC、CGG、およびCGUはすべて、アミノ酸アルギニンをコードする。したがって、コドンによりアルギニンが指定される本発明の核酸内のすべての位置において、そのコドンを、コードされるポリペプチドを変化させることなく、上記の対応するコドンのいずれかに変更することができる。RNA配列内の「U」は、DNA配列内の「T」に対応することが理解される。本発明は、可能なコドン選択に基づいて組み合わせを選択することによって作られ得る本発明のポリペプチドをコードする核酸配列のそれぞれのおよびすべての可能なバリエーションを意図し、提供する。
上に示されている通り、PGAをコードするDNA配列は、高コドン使用頻度バイアスのコドン(同じアミノ酸をコードする他のコドンより、タンパク質コード領域において高い頻度で使用されるコドン)について設計することもできる。好ましいコドンは、1個の遺伝子、共通の機能もしくは起源の一連の遺伝子、高度に発現された遺伝子におけるコドン使用頻度、生物全体の凝集タンパク質コード領域におけるコドン出現頻度、関連する生物の凝集タンパク質コード領域におけるコドン出現頻度、またはこれらの組み合わせに関して決定することができる。遺伝子発現レベルと共にその頻度が増加するコドンは一般に、発現にとっての最適なコドンである。特に、特定の宿主生物における発現のためにDNA配列を最適化することができる。多変量解析(例えば、クラスター分析または対応分析を使用する)を含む、特定の生物におけるコドン出現頻度(例えば、コドン使用頻度、相対的な同義コドン使用頻度)およびコドン優先度を決定するための様々な方法、ならびに遺伝子において使用されるコドンの有効数を決定するための様々な方法が当技術分野で周知である。コドン使用頻度を得るためのデータソースは、タンパク質をコードすることができる任意の入手可能なヌクレオチド配列に依拠することができる。
これらのデータセットは、当技術分野で周知であるように、発現タンパク質をコードすることが実際に公知である核酸配列(例えば、完全なタンパク質コード配列-CDS)、発現配列タグ(EST)、またはゲノム配列の予測されるコード領域を含む。改変体PGAをコードするポリヌクレオチドは、当技術分野で公知の任意の適切な方法を使用して調製され得る。一般には、オリゴヌクレオチドを個々に合成し、次いで結合(例えば、酵素的ライゲーション法もしくは化学的ライゲーション法、またはポリメラーゼ媒介法によって)して、基本的に任意の所望の連続的な配列を形成する。いくつかの実施形態では、本発明のポリヌクレオチドは、限定されないが、自動化された合成法を含む当技術分野で公知の任意の適切な方法を使用した化学合成によって調製される。例えば、ホスホラミダイト法では、オリゴヌクレオチドを合成し(例えば、自動DNAシンセサイザーで)、精製し、アニーリングし、ライゲーションし、適切なベクターにクローニングする。いくつかの実施形態では、次いで、二本鎖DNA断片を、相補鎖を合成し、その鎖を一緒に適切な条件下でアニーリングすることによって、または、適切なプライマー配列を有するDNAポリメラーゼを使用して相補鎖を付加することによってのいずれかで得る。本発明において有用な方法を提供する多数の一般的な標準的なテキストが当業者に周知である。
操作されたPGAは、天然に存在するPGAをコードするポリヌクレオチドを、上記の変異誘発および/または定向進化法に供することによって得られ得る。変異誘発は、ランダム変異誘発および部位特異的変異誘発を含む当技術分野で公知の技術のいずれかに従って実施され得る。定向進化法は、シャッフリングを含む、改善された改変体についてスクリーニングするための当技術分野で公知の技術のいずれかを用いて実施され得る。使用される他の定向進化法手順としては、限定されないが、スタッガードエクステンションプロセス(staggered extension process)(StEP)、インビトロ組換え、変異誘発PCR、カセット変異誘発、オーバーラップ伸長によるスプライシング(SOEing)、ProSAR(商標)定向進化法など、ならびに任意の他の適切な方法が挙げられる。
変異誘発処理に従って得られたクローンを、所望の改善された酵素特性を有する操作されたPGAについてスクリーニングする。発現ライブラリーからの酵素活性の測定は、生成物が形成される速度をモニタリングする標準的な生化学技術を使用して実施され得る。所望の改善された酵素特性が熱安定性である場合、酵素調製物を規定温度に供し、熱処理後に残存する酵素活性の量を測定した後に、酵素活性を測定し得る。次いで、PGAをコードするポリヌクレオチドを含有するクローンを単離し、配列決定してヌクレオチド配列の変化を同定し(存在する場合)、これを使用して酵素を宿主細胞で発現させる。
操作されたポリペプチドの配列が公知である場合、酵素をコードするポリヌクレオチドは、公知の合成方法に従って、標準的な固相法によって調製され得る。いくつかの実施形態では、約100塩基までの断片を、個々に合成し、次いで結合(例えば、酵素的ライゲーション法もしくは化学的ライゲーション法、またはポリメラーゼ媒介法によって)することによって、任意の所望の連続的な配列を形成し得る。例えば、本発明のポリヌクレオチドおよびオリゴヌクレオチドは、化学合成(一般には、自動化された合成法で実施されるので、例えば、Beaucageら、Tet. Lett.、22巻:1859~69頁、[1981年]に記載されている古典的なホスホラミダイト法を、またはMatthesら、EMBO J.、3巻:801~05頁、[1984年]に記載されている方法を使用する)によって調製され得る。ホスホラミダイト法によれば、オリゴヌクレオチドを、合成し(例えば、自動DNAシンセサイザーで)、精製し、アニーリングし、ライゲーションし、適切なベクターにクローニングする。さらに、基本的に任意の核酸が、様々な商業的供給源のいずれかから入手され得る(例えば、The Midland Certified Reagent Company、Midland、TX、The Great American Gene Company、Ramona、CA、ExpressGen Inc. Chicago、IL、Operon Technologies Inc.、Alameda、CA、および他の多く)。
本発明は、本明細書に提示されるように、少なくとも1つの改変体PGAをコードする配列を含む組換え構築物も提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、異種プロモーターに作動可能に連結された改変体PGAポリヌクレオチドを含む発現ベクターを提供する。いくつかの実施形態では、本発明の発現ベクターを使用して適切な宿主細胞を形質転換して、宿主細胞が改変体PGAタンパク質を発現するのを可能にする。真菌および他の生物におけるタンパク質の組換え発現のための方法は当技術分野で周知であり、いくつもの発現ベクターが利用可能であるかまたは常套的な方法を使用して構築することができる。いくつかの実施形態では、本発明の核酸構築物は、本発明の核酸配列が挿入された、例えばプラスミド、コスミド、ファージ、ウイルス、細菌人工染色体(BAC)、酵母人工染色体(YAC)などの、ベクターを含む。いくつかの実施形態では、改変体PGAポリペプチド(複数可)を発現させるために適した様々な発現ベクターのいずれか1つに本発明のポリヌクレオチドを組み込む。適切なベクターとしては、限定されないが、染色体DNA配列、非染色体DNA配列および合成DNA配列(例えば、SV40の誘導体)、ならびに細菌プラスミド、ファージDNA、バキュロウイルス、酵母プラスミド、プラスミドとファージDNAの組み合わせに由来するベクター、ワクシニア、アデノウイルス、鶏痘ウイルス、仮性狂犬病、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、レトロウイルス、および多くの他のものなどのウイルスDNAが挙げられる。遺伝子材料を細胞に形質導入し、複製が望まれる場合には関連する宿主において複製可能かつ生存可能である、任意の適切なベクターが本発明において使用される。
いくつかの実施形態では、構築物は、タンパク質をコードする配列に作動可能に連結された、限定されないがプロモーターを含む調節配列をさらに含む。多数の適切なベクターおよびプロモーターが当業者に公知である。実際に、いくつかの実施形態では、特定の宿主において高い発現のレベルを得るために、多くの場合、本発明の改変体PGAを異種プロモーターの制御下で発現させることが有用である。いくつかの実施形態では、当技術分野で公知の任意の適切な方法を使用して、プロモーター配列を改変体PGAコード配列の5’領域に作動可能に連結する。改変体PGAを発現させるために有用なプロモーターの例としては、限定されないが、真菌由来のプロモーターが挙げられる。いくつかの実施形態では、真菌株においてPGA遺伝子以外の遺伝子の発現を駆動するプロモーター配列が使用される。非限定的な例として、エンドグルカナーゼをコードする遺伝子由来の真菌プロモーターを使用することができる。いくつかの実施形態では、PGAが由来する真菌株以外の真菌株においてPGA遺伝子の発現を駆動するプロモーター配列が使用される。糸状菌宿主細胞において本発明のヌクレオチド構築物の転写を導くために有用な他の適切なプロモーターの例としては、限定されないが、Aspergillus oryzae TAKAアミラーゼ、Rhizomucor mieheiアスパラギン酸プロテイナーゼ、Aspergillus niger中性α-アミラーゼ、Aspergillus niger酸安定性α-アミラーゼ、Aspergillus nigerまたはAspergillus awamoriグルコアミラーゼ(glaA)、Rhizomucor mieheiリパーゼ、Aspergillus oryzaeアルカリ性プロテアーゼ、Aspergillus oryzaeトリオースリン酸イソメラーゼ、Aspergillus nidulansアセトアミダーゼ、およびFusarium oxysporumトリプシン様プロテアーゼの遺伝子から得られるプロモーター(例えば、参照により本明細書に組み込まれるWO96/00787を参照のこと)、ならびにNA2-tpiプロモーター(Aspergillus niger中性α-アミラーゼの遺伝子由来のプロモーターとAspergillus oryzaeトリオースリン酸イソメラーゼの遺伝子由来のプロモーターのハイブリッド)、cbh1、cbh2、egl1、egl2、pepA、hfb1、hfb2、xyn1、amy、およびglaAなどのプロモーター(例えば、すべてが参照により本明細書に組み込まれる、Nunbergら、Mol. Cell Biol.、4巻:2306~2315頁、[1984年];Boelら、EMBO J.、3巻:1581~85頁、[1984年];および欧州特許出願第137280号を参照のこと)、ならびにその変異体プロモーター、短縮プロモーター、およびハイブリッドプロモーターが挙げられる。
酵母宿主細胞では、有用なプロモーターとして、限定されないが、Saccharomyces cerevisiaeエノラーゼ(eno-1)、Saccharomyces cerevisiaeガラクトキナーゼ(gal1)、Saccharomyces cerevisiaeアルコールデヒドロゲナーゼ/グリセルアルデヒド-3-リン酸脱水素酵素(ADH2/GAP)、およびS.cerevisiae 3-ホスホグリセリン酸キナーゼの遺伝子由来のプロモーターが挙げられる。酵母宿主細胞に対して有用なさらなる有用なプロモーターは当技術分野で公知である(例えば、参照により本明細書に組み込まれる、Romanosら、Yeast、8巻:423~488頁、[1992年]を参照のこと)。さらに、真菌におけるキチナーゼ産生に関連するプロモーターが本発明において使用される(例えば、その両方が参照により本明細書に組み込まれるBlaiseauおよびLafay、Gene、120243~248頁、[1992年];ならびにLimonら、Curr. Genet.、28巻:478~83頁、[1995年]を参照のこと)。
細菌宿主細胞に関しては、本開示の核酸構築物の転写を導くための適切なプロモーターとしては、限定されないが、大腸菌lacオペロン、大腸菌trpオペロン、バクテリオファージλ、Streptomyces coelicolorアガラーゼ(agarase)遺
伝子(dagA)、Bacillus subtilisレバンスクラーゼ遺伝子(sacB)、Bacillus licheniformis α-アミラーゼ遺伝子(amyL)、Bacillus stearothermophilusマルトース生成アミラーゼ遺伝子(amyM)、Bacillus amyloliquefaciens α-アミラーゼ遺伝子(amyQ)、Bacillus licheniformisペニシリナーゼ遺伝子(penP)、Bacillus subtilis xylA遺伝子およびxylB遺伝子、ならびに原核生物のβ-ラクタマーゼ遺伝子から得られるプロモーター(例えば、Villa-Kamaroffら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、75巻:3727~3731頁、[1978年]を参照のこと)、ならびにtacプロモーター(例えば、DeBoerら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、80巻:21~25頁、[1983年]を参照のこと)が挙げられる。
いくつかの実施形態では、クローニングされた本発明の改変体PGAはまた、適切な転写ターミネーター配列(宿主細胞によって認識されて転写を終結させる配列)も有する。ターミネーター配列は、ポリペプチドをコードする核酸配列の3’末端に作動可能に連結される。選択される宿主細胞内で機能的である任意のターミネーターが本発明において使用される。糸状菌宿主細胞のための例示的な転写ターミネーターとしては、限定されないが、Aspergillus oryzae TAKAアミラーゼ、Aspergillus nigerグルコアミラーゼ、Aspergillus nidulansアントラニル酸シンターゼ、Aspergillus niger α-グルコシダーゼ、およびFusarium oxysporumトリプシン様プロテアーゼの遺伝子から得られるものが挙げられる(参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,399,627号も参照のこと)。いくつかの実施形態では、酵母宿主細胞のための例示的なターミネーターとしては、Saccharomyces cerevisiaeエノラーゼ、Saccharomyces cerevisiaeチトクロムC(CYC1)、およびSaccharomyces cerevisiaeグリセルアルデヒド-3-リン酸脱水素酵素の遺伝子から得られるものが挙げられる。酵母宿主細胞のための他の有用なターミネーターは当業者に周知である(例えば、Romanosら、Yeast、8巻:423~88頁、[1992年]を参照のこと)。
いくつかの実施形態では、クローニングされた改変体PGA配列の一部は、適切なリーダー配列(宿主細胞による翻訳に重要なmRNAの非翻訳領域)である。リーダー配列は、ポリペプチドをコードする核酸配列の5’末端に作動可能に連結される。選択される宿主細胞内で機能的である任意のリーダー配列が本発明において使用される。糸状菌宿主細胞のための例示的なリーダーとしては、限定されないが、Aspergillus oryzae TAKAアミラーゼおよびAspergillus nidulansトリオースリン酸イソメラーゼの遺伝子から得られるものが挙げられる。酵母宿主細胞のための適切なリーダーとしては、限定されないが、Saccharomyces cerevisiaeエノラーゼ(ENO-1)、Saccharomyces cerevisiae 3-ホスホグリセリン酸キナーゼ、Saccharomyces cerevisiae α-因子、およびSaccharomyces cerevisiaeアルコールデヒドロゲナーゼ/グリセルアルデヒド-3-リン酸脱水素酵素(ADH2/GAP)の遺伝子から得られるものが挙げられる。
いくつかの実施形態では、本発明の配列は、ポリアデニル化配列(核酸配列の3’末端に作動可能に連結される配列であって、ポリアデノシン残基を転写されたmRNAに付加するシグナルとして転写時に宿主細胞によって認識される配列)も含む。選択される宿主細胞内で機能的である任意のポリアデニル化配列が本発明において使用される。糸状菌宿主細胞のための例示的なポリアデニル化配列としては、限定されないが、Aspergillus oryzae TAKAアミラーゼ、Aspergillus nigerグルコアミラーゼ、Aspergillus nidulansアントラニル酸シンターゼ、Fusarium oxysporumトリプシン様プロテアーゼ、およびAspergillus niger α-グルコシダーゼの遺伝子から得られるものが挙げられる。酵母宿主細胞のための有用なポリアデニル化配列は、当技術分野で公知である(例えば、GuoおよびSherman、Mol. Cell. Biol.、l5巻:5983~5990頁、[1995
年]を参照のこと)。
いくつかの実施形態では、制御配列は、ポリペプチドのアミノ末端に連結されたアミノ酸配列をコードするシグナルペプチドコード領域を含み、コードされるポリペプチドを細胞の分泌経路に向かわせる。核酸配列のコード配列の5’末端は、分泌されるポリペプチドをコードするコード領域のセグメントと、翻訳読み枠内で天然で連結されているシグナルペプチドコード領域を固有に含有し得る。あるいは、コード配列の5’末端は、このコード配列にとって外来であるシグナルペプチドコード領域を含有し得る。外来のシグナルペプチドコード領域は、コード配列がシグナルペプチドコード領域を天然に含有しない場合に必要になり得る。
あるいは、ポリペプチドの分泌を増強するために、外来のシグナルペプチドコード領域で天然のシグナルペプチドコード領域を単に置き換えることができる。しかし、選択される宿主細胞の分泌経路に発現したポリペプチドを誘導する任意のシグナルペプチドコード領域を本発明において使用することができる。
細菌宿主細胞のための有効なシグナルペプチドコード領域としては、限定されないが、Bacillus NClB11837マルトース生成アミラーゼ、Bacillus stearothermophilus α-アミラーゼ、Bacillus licheniformisサブチリシン、Bacillus licheniformis β-ラクタマーゼ、Bacillus stearothermophilus中性プロテアーゼ(nprT、nprS、nprM)、およびBacillus subtilis prsAの遺伝子から得られるシグナルペプチドコード領域が挙げられる。さらなるシグナルペプチドは、当技術分野で公知である(例えば、SimonenおよびPalva、Microbiol. Rev.、57巻:109~137頁、[1993年]を参照のこと)。
糸状菌宿主細胞についての有効なシグナルペプチドコード領域としては、限定されないが、Aspergillus oryzae TAKAアミラーゼ、Aspergillus niger中性アミラーゼ、Aspergillus nigerグルコアミラーゼ、Rhizomucor mieheiアスパラギン酸プロテイナーゼ、Humicola insolensセルラーゼ、およびHumicola lanuginosaリパーゼの遺伝子から得られるシグナルペプチドコード領域が挙げられる。
酵母宿主細胞のための有用なシグナルペプチドとしては、限定されないが、Saccharomyces cerevisiae α-因子およびSaccharomyces
cerevisiaeインベルターゼの遺伝子が挙げられる。他の有用なシグナルペプチドコード領域は、当技術分野で公知である(例えば、Romanosら、[1992年]、上記を参照のこと)。
いくつかの実施形態では、制御配列は、ポリペプチドのアミノ末端に位置するアミノ酸配列をコードするプロペプチドコード領域を含む。得られるポリペプチドは、プロ酵素またはプロポリペプチド(または一部の場合では、チモーゲン)として公知である。プロポリペプチドは、一般に不活性であり、プロポリペプチドからのプロペプチドの触媒的切断または自己触媒的切断によって、成熟活性PGAポリペプチドに変換することができる。プロペプチドコード領域は、Bacillus subtilisアルカリ性プロテアーゼ(aprE)、Bacillus subtilis中性プロテアーゼ(nprT)、Saccharomyces cerevisiae α-因子、Rhizomucor mieheiアスパラギン酸プロテイナーゼ、およびMyceliophthora thermophilaラクターゼの遺伝子から得られ得る(例えば、WO95/33836を参照のこと)。
シグナルペプチドおよびプロペプチド領域の両方がポリペプチドのアミノ末端に存在する場合、プロペプチド領域は、ポリペプチドのアミノ末端の隣に位置され、シグナルペプチド領域は、プロペプチド領域のアミノ末端の隣に位置される。
いくつかの実施形態では、宿主細胞の成長に関連して、ポリペプチドの発現の調節を可能にする調節配列も使用される。調節系の例は、調節化合物の存在を含む化学的または物理的な刺激に応答して、遺伝子の発現をオンオフさせるものである。原核生物宿主細胞では、適切な調節配列としては、限定されないが、lac、tac、およびtrpオペレーターシステムが挙げられる。酵母宿主細胞では、適切な調節系としては、例として、ADH2システムまたはGAL1システムが挙げられる。糸状菌では、適切な調節配列としては、TAKA α-アミラーゼプロモーター、Aspergillus nigerグルコアミラーゼプロモーター、およびAspergillus oryzaeグルコアミラーゼプロモーターが挙げられる。
調節配列の他の例は、遺伝子増幅を可能にするものである。真核生物の系では、これらとして、メトトレキサートの存在下で増幅されるジヒドロ葉酸レダクターゼ遺伝子、および重金属で増幅されるメタロチオネイン遺伝子が挙げられる。これらの場合では、本発明のPGAポリペプチドをコードする核酸配列が調節配列に作動可能に連結される。
したがって、さらなる実施形態では、本発明は、操作されたPGAポリペプチドまたはその改変体をコードするポリヌクレオチドと、プロモーターおよびターミネーターなどの1つ以上の発現調節領域と、複製起点などとを、これらが導入される宿主の種類に応じて含む組換え発現ベクターを提供する。いくつかの実施形態では、上記の様々な核酸および制御配列を一緒に結合させて、1つ以上の便利な制限部位(これは、このような部位において、ポリペプチドをコードする核酸配列の挿入または置換を可能にする)を含み得る組換え発現ベクターを生産し得る。あるいは、いくつかの実施形態では、核酸配列は、該核酸配列、またはその配列を含む核酸構築物を、発現のための適切なベクターに挿入することによって発現させる。発現ベクターの作製では、コード配列は、コード配列が発現のための適切な制御配列と作動可能に連結されるように、ベクター中に配置される。
組換え発現ベクターは、組換えDNA手順に簡便に供することができ、そして、ポリヌクレオチド配列の発現をもたらし得る任意の適切なベクター(例えば、プラスミドまたはウイルス)を含む。ベクターの選択は、ベクターが導入される宿主細胞とのベクターの適合性に一般に依存する。いくつかの実施形態では、ベクターは、直鎖プラスミドまたは閉環状プラスミドである。
いくつかの実施形態では、発現ベクターは自律複製ベクター(すなわち、染色体外の実体として存在し、その複製が染色体複製とは独立しているベクター、例えばプラスミド、染色体外因子、ミニ染色体、または人工染色体)である。いくつかの実施形態では、ベクターは、自己複製を保証するための何らかの手段を含有する。あるいは、いくつかの他の実施形態では、ベクターは、宿主細胞中に導入されるとゲノムに組み込まれて、これが組み込まれた染色体と一緒に複製される。さらに、さらなる実施形態では、宿主細胞のゲノム中、またはトランスポゾン中に導入される全DNAを一緒に含有する1つのベクターもしくはプラスミドまたは2つもしくはそれを超えるベクターもしくはプラスミドが使用される。
いくつかの実施形態では、本発明の発現ベクターは、形質転換細胞の容易な選択を可能にする1つ以上の選択マーカーを含有する。「選択マーカー」は、その産物が殺生物剤耐性またはウイルス耐性、抗菌薬または重金属に対する耐性、栄養要求体への原栄養性などを与える遺伝子である。限定されないが、amdS(アセトアミダーゼ)、argB(オルニチンカルバモイルトランスフェラーゼ)、bar(ホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼ)、hph(ハイグロマイシンホスホトランスフェラーゼ)、niaD(硝酸還元酵素)、pyrG(オロチジン-5’-リン酸脱炭酸酵素)、sC(硫酸アデニルトランスフェラーゼ)、およびtrpC(アントラニル酸シンターゼ)、ならびにこれらの等価物を含む、糸状菌宿主細胞において使用するための任意の適切な選択マーカーが本発明において使用される。Aspergillusなどの宿主細胞において有用なさらなるマーカーとしては、限定されないが、Aspergillus nidulansまたはAspergillus oryzaeのamdS遺伝子およびpyrG遺伝子、ならびにStreptomyces hygroscopicusのbar遺伝子が挙げられる。酵母宿主細胞のための適切なマーカーとしては、限定されないが、ADE2、HIS3、LEU2、LYS2、MET3、TRP1、およびURA3が挙げられる。細菌選択マーカーの例としては、限定されないが、Bacillus subtilisもしくはBacillus licheniformis由来のdal遺伝子、または、アンピシリン、カナマイシン、クロラムフェニコール、およびまたはテトラサイクリン耐性などの抗生物質耐性を付与するマーカーが挙げられる。
いくつかの実施形態では、本発明の発現ベクターは、宿主細胞のゲノム中へのベクターの組み込みまたは細胞における、ゲノムとは独立したベクターの自律複製を可能にするエレメント(複数可)を含有する。宿主細胞のゲノム中への組み込みを伴ういくつかの実施形態では、ベクターは、ポリペプチドをコードする核酸配列、または、相同組換えもしくは非相同組換えによってゲノム中にベクターを組み込むためのベクターの任意の他のエレメントに依拠する。
いくつかの代替的な実施形態では、発現ベクターは、宿主細胞のゲノム中への相同組換えによる組み込みを導くさらなる核酸配列を含有する。さらなる核酸配列は、ベクターが、宿主細胞のゲノム中に、染色体(複数可)の正確な位置(複数可)に組み込まれることを可能にする。正確な位置に組み込まれる可能性を増大させるために、組み込みエレメントは、相同組換えの確率を増強するために対応する標的配列と高度に相同なヌクレオチドを、好ましくは、100~10,000塩基対、好ましくは400~10,000塩基対、および最も好ましくは800~10,000塩基対などの十分な数で含有する。組み込みエレメントは、宿主細胞のゲノム中の標的配列と相同な任意の配列であり得る。さらに、組み込みエレメントは、非コード核酸配列またはコード核酸配列であり得る。他方では、ベクターは、非相同組換えによって宿主細胞のゲノムに組み込まれ得る。
自律複製のために、ベクターは、ベクターが問題の宿主細胞において自律的に複製することを可能にする複製起点をさらに含み得る。細菌複製起点の例は、P15A oriまたはプラスミドpBR322、pUC19、pACYCl77の複製起点(P15A oriを有するプラスミド)、または大腸菌における複製を可能にするpACYC184、およびBacillusにおける複製を可能にするpUB110、pE194、pTA1060、もしくはpAMβ1である。酵母宿主細胞において使用するための複製起点の例は、2ミクロン複製起点、ARS1、ARS4、ARS1とCEN3の組み合わせ、およびARS4とCEN6の組み合わせである。複製起点は、宿主細胞において機能性温度感受性にする変異を有するものであり得る(例えば、Ehrlich、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、75巻:1433頁、[1978年]を参照のこと)。
いくつかの実施形態では、遺伝子産物の産生を増加させるために、本発明の核酸配列の1つ超のコピーを宿主細胞に挿入する。核酸配列のコピー数の増加は、配列のさらなるコピーを少なくとも1つ、宿主細胞のゲノム中に組み込むことによって得られ得る、または、増幅可能な選択マーカー遺伝子を核酸配列と共に含めることによって得られ得、この場合、細胞を適切な選択可能な薬剤の存在下で培養することにより、選択マーカー遺伝子の増幅されたコピー、およびそれにより、核酸配列のさらなるコピーを含有する細胞を選択することができる。
本発明において使用するための発現ベクターが多数市販されている。適切な市販の発現ベクターとしては、限定されないが、CMVプロモーターと、哺乳動物宿主細胞における発現のためのhGHポリアデニル化部位と、pBR322複製起点と、大腸菌における増幅のためのアンピシリン耐性マーカーとを含む、p3xFLAGTM(商標)発現ベクター(Sigma-Aldrich Chemicals)が挙げられる。他の適切な発現ベクターとしては、限定されないが、pBluescriptII SK(-)およびpBK-CMV(Stratagene)、ならびにpBR322(Gibco BRL)、pUC(Gibco BRL)、pREP4、pCEP4(Invitrogen)またはpPolyに由来するプラスミドが挙げられる(例えば、Latheら、Gene、57巻:193~201頁、[1987年]を参照のこと)。
したがって、いくつかの実施形態では、ベクターの増殖および改変体PGA(複数可)の発現を可能にするために、少なくとも1つの改変体PGAをコードする配列を含むベクターを宿主細胞に形質転換する。いくつかの実施形態では、改変体PGAを翻訳後に改変して、シグナルペプチドを除去し、一部の場合では、分泌後に切断することができる。いくつかの実施形態では、上記の形質転換された宿主細胞を、改変体PGA(複数可)の発現を可能にする条件下、適切な栄養培地で培養する。限定されないが、適切な補充物質を含有する最小培地または複合培地を含む、宿主細胞を培養するために有用な任意の適切な培地が本発明において使用される。いくつかの実施形態では、宿主細胞をHTP培地中で成長させる。適切な培地は、様々な商業的な供給者から入手可能である、または、公開されたレシピ(例えば、American Type Culture Collectionのカタログ中)に従って調製され得る。
別の態様では、本発明は、本明細書において提示される改善されたPGAポリペプチドをコードするポリヌクレオチドであって、宿主細胞においてPGA酵素を発現させるための1つ以上の制御配列に作動可能に連結されたポリヌクレオチドを含む宿主細胞を提供する。本発明の発現ベクターによってコードされるPGAポリペプチドの発現に使用される宿主細胞は当技術分野で周知であり、限定されないが、細菌細胞、例えば、大腸菌細胞、Bacillus megaterium細胞、Lactobacillus kefir細胞、Streptomyces細胞およびSalmonella typhimurium細胞;真菌細胞、例えば、酵母細胞(例えば、Saccharomyces cerevisiaeまたはPichia pastoris(ATCCアクセッション番号201178));昆虫細胞、例えば、Drosophila S2細胞およびSpodoptera Sf9細胞;動物細胞、例えば、CHO細胞、COS細胞、BHK細胞、293細胞、およびBowes黒色腫細胞;ならびに植物細胞が挙げられる。上記の宿主細胞に適切な培養培地および成長条件は、当技術分野で周知である。
PGAを発現させるためのポリヌクレオチドは、当技術分野で公知の様々な方法によって細胞に導入され得る。技術としては、特に、電気穿孔、微粒子銃粒子ボンバードメント(biolistic particle bombardment)、リポソーム媒介トランスフェクション、塩化カルシウムトランスフェクション、およびプロトプラスト融合が挙げられる。ポリヌクレオチドを細胞に導入するための様々な方法は、当業者に公知である。
いくつかの実施形態では、宿主細胞は、真核細胞である。適切な真核生物宿主細胞としては、限定されないが、真菌細胞、藻類細胞、昆虫細胞、および植物細胞が挙げられる。適切な真菌宿主細胞としては、限定されないが、Ascomycota、Basidiomycota、Deuteromycota、Zygomycota、Fungi imperfectiが挙げられる。いくつかの実施形態では、真菌宿主細胞は、酵母細胞および糸状菌細胞である。本発明の糸状菌宿主細胞は、Eumycotina亜門およびOomycota亜門のすべての糸状形態を含む。糸状菌は、キチン、セルロースおよび他の複合多糖類で構成される細胞壁を有する栄養菌糸(vegetative mycelium)によって特徴付けられる。本発明の糸状菌宿主細胞は、酵母とは形態学的に別個のものである。
本発明のいくつかの実施形態では、糸状菌宿主細胞は、限定されないが、Achlya、Acremonium、Aspergillus、Aureobasidium、Bjerkandera、Ceriporiopsis、Cephalosporium、Chrysosporium、Cochliobolus、Corynascus、Cryphonectria、Cryptococcus、Coprinus、Coriolus、Diplodia、Endothis、Fusarium、Gibberella、Gliocladium、Humicola、Hypocrea、Myceliophthora、Mucor、Neurospora、Penicillium、Podospora、Phlebia、Piromyces、Pyricularia、Rhizomucor、Rhizopus、Schizophyllum、Scytalidium、Sporotrichum、Talaromyces、Thermoascus、Thielavia、Trametes、Tolypocladium、Trichoderma、Verticillium、および/またはVolvariella、ならびに/あるいはこれらの完全世代、もしくは不完全世代、および同物異名、バソニム(basionym)、または分類学的等価物を含む、任意の適切な属および種のものである。
本発明のいくつかの実施形態では、宿主細胞は、限定されないが、Candida、Hansenula、Saccharomyces、Schizosaccharomyces、Pichia、Kluyveromyces、またはYarrowia種の細胞を含む、酵母細胞である。本発明のいくつかの実施形態では、酵母細胞は、Hansenula polymorpha、Saccharomyces cerevisiae、Saccharomyces carlsbergensis、Saccharomyces diastaticus、Saccharomyces norbensis、Saccharomyces kluyveri、Schizosaccharomyces pombe、Pichia pastoris、Pichia finlandica、Pichia trehalophila、Pichia kodamae、Pichia membranaefaciens、Pichia opuntiae、Pichia thermotolerans、Pichia salictaria、Pichia quercuum、Pichia pijperi、Pichia stipitis、Pichia methanolica、Pichia angusta、Kluyveromyces lactis、Candida albicans、またはYarrowia lipolyticaである。
本発明のいくつかの実施形態では、宿主細胞は、藻類細胞、例えば、Chlamydomonas(例えば、C.reinhardtii)およびPhormidium(P.sp. ATCC29409)である。
いくつかの他の実施形態では、宿主細胞は、原核細胞である。適切な原核細胞としては、限定されないが、グラム陽性、グラム陰性およびグラム不定(gram-variable)細菌細胞が挙げられる。限定されないが、Agrobacterium、Alicyclobacillus、Anabaena、Anacystis、Acinetobacter、Acidothermus、Arthrobacter、Azobacter、Bacillus、Bifidobacterium、Brevibacterium、Butyrivibrio、Buchnera、Campestris、Camplyobacter、Clostridium、Corynebacterium、Chromatium、Coprococcus、Escherichia、Enterococcus、Enterobacter、Erwinia、Fusobacterium、Faecalibacterium、Francisella、Flavobacterium、Geobacillus、Haemophilus、Helicobacter、Klebsiella、Lactobacillus、Lactococcus、Ilyobacter、Micrococcus、Microbacterium、Mesorhizobium、Methylobacterium、Methylobacterium、Mycobacterium、Neisseria、Pantoea、Pseudomonas、Prochlorococcus、Rhodobacter、Rhodopseudomonas、Rhodopseudomonas、Roseburia、Rhodospirillum、Rhodococcus、Scenedesmus、Streptomyces、Streptococcus、Synecoccus、Saccharomonospora、Staphylococcus、Serratia、Salmonella、Shigella、Thermoanaerobacterium、Tropheryma、Tularensis、Temecula、Thermosynechococcus、Thermococcus、Ureaplasma、Xanthomonas、Xylella、YersiniaおよびZymomonasを含む任意の適切な細菌生物が本発明において使用される。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、Agrobacterium、Acinetobacter、Azobacter、Bacillus、Bifidobacterium、Buchnera、Geobacillus、Campylobacter、Clostridium、Corynebacterium、Escherichia、Enterococcus、Erwinia、Flavobacterium、Lactobacillus、Lactococcus、Pantoea、Pseudomonas、Staphylococcus、Salmonella、Streptococcus、Streptomyces、またはZymomonasの菌種である。いくつかの実施形態では、細菌宿主株は、ヒトに対して非病原性である。いくつかの実施形態では、細菌宿主株は、工業用株である。多数の細菌工業用株が公知であり、本発明において適切である。本発明のいくつかの実施形態では、細菌宿主細胞は、Agrobacterium種(例えば、A.radiobacter、A.rhizogenes、およびA.rubi)である。本発明のいくつかの実施形態では、細菌宿主細胞は、Arthrobacter種(例えば、A.aurescens、A.citreus、A.globiformis、A.hydrocarboglutamicus、A.mysorens、A.nicotianae、A.paraffineus、A.protophonniae、A.roseoparqffinus、A.sulfureus、およびA.ureafaciens)である。本発明のいくつかの実施形態では、細菌宿主細胞は、Bacillus種(例えば、B.thuringensis、B.anthracis、B.megaterium、B.subtilis、B.lentus、B.circulans、B.pumilus、B.lautus、B.coagulans、B.brevis、B.firmus、B.alkaophius、B.licheniformis、B.clausii、B.stearothermophilus、B.halodurans、およびB.amyloliquefaciens)である。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、限定されないが、B.subtilis、B.pumilus、B.licheniformis、B.megaterium、B.clausii、B.stearothermophilus、またはB.amyloliquefaciensを含む工業用Bacillus株である。いくつかの実施形態では、Bacillus宿主細胞は、B.subtilis、B.licheniformis、B.megaterium、B.stearothermophilus、および/またはB.amyloliquefaciensである。いくつかの実施形態では、細菌宿主細胞は、Clostridium種(例えば、C.acetobutylicum、C.tetani E88、C.lituseburense、C.saccharobutylicum、C.perfringens、およびC.beijerinckii)である。いくつかの実施形態では、細菌宿主細胞は、Corynebacterium種(例えば、C.glutamicumおよびC.acetoacidophilum)である。いくつかの実施形態では、細菌宿主細胞は、Escherichia種(例えば、大腸菌)である。いくつかの実施形態では、細菌宿主細胞は、Erwinia種(例えば、E.uredovora、E.carotovora、E.ananas、E.herbicola、E.punctata、およびE.terreus)である。いくつかの実施形態では、細菌宿主細胞は、Pantoea種(例えば、P.citrea、およびP.agglomerans)である。いくつかの実施形態では、細菌宿主細胞は、Pseudomonas種(例えば、P.putida、P.aeruginosa、P.mevalonii、およびP.sp. D-01 10)である。いくつかの実施形態では、細菌宿主細胞は、Streptococcus種(例えば、S.equisimiles、S.pyogenes、およびS.uberis)である。いくつかの実施形態では、細菌宿主細胞は、Streptomyces種(例えば、S.ambofaciens、S.achromogenes、S.avermitilis、S.coelicolor、S.aureofaciens、S.aureus、S.fungicidicus、S.griseus、およびS.lividans)である。いくつかの実施形態では、細菌宿主細胞は、Zymomonas種(例えば、Z.mobilis、およびZ.lipolytica)である。
例示的な宿主細胞は、大腸菌W3110である。改善されたPGAをコードするポリヌクレオチドを、lacIリプレッサーの制御下でlacプロモーターに作動可能に連結されたプラスミドpCK110900と作動可能に連結させることによって発現ベクターを作製した。発現ベクターは、P15a複製起点およびクロラムフェニコール耐性遺伝子も含有した。大腸菌W3110内の対象ポリヌクレオチドを含有する細胞を、細胞をクロラムフェニコール選択に供することによって単離した。
本発明において使用される多くの原核生物株および真核生物株は、American Type Culture Collection(ATCC)、Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH(DSM)、Centraalbureau Voor Schimmelcultures(CBS)、およびAgricultural Research Service Patent Culture Collection、Northern Regional Research Center(NRRL)などのいくつもの培養物コレクションから、公的に容易に入手可能である。
いくつかの実施形態では、宿主細胞を、タンパク質分泌、タンパク質安定性ならびに/またはタンパク質の発現および/もしくは分泌のために望ましい他の特性が改善される特性を有するように遺伝子改変する。遺伝子改変は、遺伝子工学の技術および/または古典的な微生物学的技術(例えば、化学的なまたはUV変異誘発およびその後の選択)によって達成することができる。実際に、いくつかの実施形態では、組換えによる改変と古典的な選択技術の組み合わせを使用して宿主細胞を生産する。組換え技術を使用して、核酸分子を、宿主細胞中および/または培養培地中でのPGA改変体(複数可)の収量の増加がもたらされる様式で導入する、欠失させる、阻害する、または改変することができる。例えば、Alp1機能のノックアウトにより、プロテアーゼが欠損した細胞がもたらされ、pyr5機能のノックアウトにより、ピリミジン欠損表現型を有する細胞がもたらされる。1つの遺伝子工学手法では、コードされるタンパク質の発現を抑制するために、相同組換えを使用して、インビボで遺伝子を特異的に標的化することによる標的化遺伝子改変を誘導する。代替の手法では、遺伝子発現の阻害にsiRNA、アンチセンスおよび/またはリボザイム技術を使用する。限定されないが、タンパク質をコードする遺伝子の全部または一部の欠失、および遺伝子産物の発現または活性を破壊する部位特異的変異誘発を含む、細胞におけるタンパク質の発現を低下させるための様々な方法が当技術分野で公知である(例えば、すべてが参照により本明細書に組み込まれる、Chaverocheら、Nucl. Acids Res.、28巻:22号、e97頁、[2000年];Choら、Molec. Plant Microbe Interact.、19巻:7~15頁、[2006年];MaruyamaおよびKitamoto、Biotechnol Lett.、30巻:1811~1817頁、[2008年];Takahashiら、Mol. Gen. Genom.、272巻:344~352頁、[2004年];ならびにYouら、Arch. Micriobiol.、191巻:615~622頁、[2009年]を参照のこと)。ランダム変異誘発、その後の所望の変異についてのスクリーニングも使用される(例えば、その両方が参照により組み込まれるCombierら、FEMS Microbiol. Lett.、220巻:141~8頁、[2003年];およびFironら、Eukary. Cell、2巻:247~55頁、[2003年]を参照のこと)。
ベクターまたはDNA構築物の宿主細胞への導入は、限定されないが、リン酸カルシウムトランスフェクション、DEAE-デキストラン媒介トランスフェクション、PEG媒介形質転換、電気穿孔、または他の当技術分野で公知の一般的な技術を含む、当技術分野で公知の任意の適切な方法を使用して達成することができる。
いくつかの実施形態では、本発明の操作された宿主細胞(すなわち、「組換え宿主細胞」)を、プロモーターを活性化するため、形質転換体を選択するため、またはPGAポリヌクレオチドを増幅するために必要に応じて改変した従来の栄養培地中で培養する。例えば温度、pHなどの培養条件は、発現のために選択された宿主細胞に以前使用したものであり、当業者には周知である。記載の通り、細菌起源、植物起源、動物(特に哺乳動物)起源および古細菌起源の細胞を含む多くの細胞の培養および生産のために、多くの標準的な参照およびテキストが利用可能である。
いくつかの実施形態では、本発明の改変体PGAポリペプチドを発現する細胞を、バッチ発酵条件または連続発酵条件の下で成長させる。古典的な「バッチ発酵」は、閉鎖系であり、培地の組成は発酵の開始時に設定し、発酵中に人為的な交換には供さない。「流加発酵」はバッチ系のバリエーションであり、これも本発明において使用される。このバリエーションでは、発酵が進行するにしたがって基質を徐々に増加させて添加する。流加系は、異化産物抑制により細胞の代謝が阻害される可能性がある場合、および培地中の基質を限られた量にすることが望ましい場合に有用である。バッチ発酵および流加発酵は一般的であり、当技術分野で周知である。「連続発酵」は、開放系であり、規定の発酵培地をバイオリアクターに連続的に添加し、同時に処理のために等量の馴化培地を取り出す。連続発酵では、一般に、培養物を、細胞が主に対数期成長にある、一定の高密度に維持する。連続発酵系では、定常状態の成長条件を維持しようとする。連続発酵プロセスのために栄養分および増殖因子を調節するための方法ならびに生成物が形成される速度を最大にするための技術は、工業微生物学の技術分野で周知である。
本発明のいくつかの実施形態では、改変体PGA(複数可)の生産に無細胞転写/翻訳系を使用する。いくつかの系が市販されており、方法は当業者に周知である。
本発明は、改変体PGAポリペプチドまたは生物学的に活性なその断片の作製方法を提供する。いくつかの実施形態では、方法は、配列番号12、24、40、56、70、82、100、108、110、116、136、154および/または160に対して少なくとも約70%(または少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%)の配列同一性を含み、本明細書において提示される少なくとも1つの変異を含むアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドで形質転換された宿主細胞を提供すること;宿主細胞がコードされた改変体PGAポリペプチドを発現する条件下で、培養培地中で形質転換された宿主細胞を培養すること;ならびに場合により、発現された改変体PGAポリペプチドを回収もしくは単離すること、および/または、発現された改変体PGAポリペプチドを含有する培養培地を回収もしくは単離することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、場合により、コードされるPGAポリペプチドの発現後に形質転換された宿主細胞を溶解すること、ならびに場合により、発現された改変体PGAポリペプチドを細胞溶解産物から回収および/または単離することをさらに提供する。本発明は、改変体PGAポリペプチドで形質転換された宿主細胞を、改変体PGAポリペプチドの生成に適した条件下で培養すること、および改変体PGAポリペプチドを回収することを含む、改変体PGAポリペプチドの作製方法をさらに提供する。一般には、PGAポリペプチドの回収または単離は、宿主細胞の培養培地、宿主細胞、またはその両方から、本明細書に記載されるものを含む当技術分野で周知のタンパク質回収技術を使用したものである。いくつかの実施形態では、宿主細胞を遠心分離によって回収し、物理的または化学的手段によって破壊し、得られた粗製抽出物をさらなる精製のために保持する。タンパク質の発現において用いられる微生物細胞は、限定されないが、凍結解凍サイクリング、超音波処理、機械的破壊、および/または細胞溶解剤の使用、ならびに当業者に周知の多くの他の適切な方法を含む任意の便利な方法によって破壊することができる。
宿主細胞において発現された操作されたPGA酵素は、特に、リゾチーム処理、超音波処理、濾過、塩析、超遠心分離、およびクロマトグラフィーを含む、タンパク質精製のための周知の技術の任意の1つまたは複数を使用して細胞および/または培養培地から回収され得る。大腸菌などの細菌からのタンパク質の溶解および高効率での抽出のための適切な溶液は、商品名CelLytic B(商標)(Sigma-Aldrich)で市販されている。
したがって、いくつかの実施形態では、得られたポリペプチドを回収/単離し、場合により、当技術分野で公知のいくつもの方法のいずれかによって精製する。例えば、いくつかの実施形態では、ポリペプチドを、限定されないが、遠心分離、濾過、抽出、噴霧乾燥、蒸発、クロマトグラフィー(例えば、イオン交換、アフィニティー、疎水性相互作用、クロマトフォーカシング、およびサイズ排除)、または沈殿を含む従来の手順によって栄養培地から単離する。いくつかの実施形態では、所望の通り、成熟タンパク質の立体配置の完成において、タンパク質リフォールディングステップを使用する。さらに、いくつかの実施形態では、最終的な精製ステップにおいて高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いる。例えば、いくつかの実施形態では、当技術分野で公知の方法が本発明において使用される(例えば、その両方が参照により本明細書に組み込まれる、Parryら、Biochem. J.、353巻:117頁、[2001年];およびHongら、Appl. Microbiol. Biotechnol.、73巻:1331頁、[2007年]を参照のこと)。実際に、当技術分野で公知の任意の適切な精製方法が本発明において使用される。
PGAポリペプチドを単離するためのクロマトグラフィー技術としては、限定されないが、逆相クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル電気泳動、およびアフィニティークロマトグラフィーが挙げられる。特定の酵素を精製するための条件は、正味の電荷、疎水性、親水性、分子量、分子形状などの要因に部分的に依存し、当業者には公知である。
いくつかの実施形態では、親和性技術が改善されたPGA酵素の単離に使用される。アフィニティークロマトグラフィー精製のために、PGAポリペプチドに特異的に結合する任意の抗体を使用し得る。抗体の産生のために、PGAによる注射によって、限定されないが、ウサギ、マウス、ラットなどを含む様々な宿主動物を免疫し得る。側鎖官能基によって、または側鎖官能基に結合したリンカーによって、PGAポリペプチドをBSAなどの適切な担体に結合させ得る。免疫学的応答を増大させるために、宿主種に応じて、限定されないが、フロイント(完全および不完全)、水酸化アルミニウムなどの無機ゲル、リゾレシチンなどの表面活性物質、プルロニックポリオール、ポリアニオン、ペプチド、油乳剤、キーホールリンペットヘモシアニン、ジニトロフェノール、ならびにBCG(Bacillus Calmette Guerin)およびCorynebacterium parvumなどの潜在的に有用なヒトアジュバントを含む様々なアジュバントを使用し得る。
いくつかの実施形態では、PGA改変体を調製し、酵素を発現する細胞の形態で、粗製抽出物として、または単離もしくは精製された調製物として使用する。いくつかの実施形態では、PGA改変体を凍結乾燥物として、粉末(例えば、アセトン粉末)の形態で、または酵素溶液として調製する。いくつかの実施形態では、PGA改変体は、実質的に純粋な調製物の形態である。
いくつかの実施形態では、PGAポリペプチドを任意の適切な固体基材に結合させる。固体基材としては、限定されないが、固相、表面、および/または膜が挙げられる。固体支持体としては、限定されないが、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフルオロエチレン、ポリエチレンオキシ、およびポリアクリルアミド、ならびにそれらのコポリマーおよびグラフトなどの有機ポリマーが挙げられる。固体支持体はまた、無機物、例えばガラス、シリカ、制御細孔ガラス(CPG)、逆相シリカまたは金属、例えば金または白金であり得る。基材の形状は、ビーズ、スフィア、粒子、顆粒、ゲル、膜または面の形態であり得る。面は、平面、実質的な平面または非平面であり得る。固体支持体は、多孔性または非多孔性であり得、膨潤特性または非膨潤特性を有し得る。固体支持体は、ウェル、凹部または他の入れ物、容器、特徴または位置の形態で形成され得る。試薬のロボット送達が処理可能な様々な場所において、または検出方法および/もしくは機器によって処理可能な様々な場所において、複数の支持体がアレイ上に配置され得る。
いくつかの実施形態では、免疫学的方法を使用してPGA改変体を精製する。1つの手法では、従来の方法を使用して改変体PGAポリペプチドに対して(例えば、配列番号12、24、40、56、70、82、100、108、110、116、136、154および/または160のいずれかを含むポリペプチドおよび/またはそれらの免疫原性断片に対して)生じさせた抗体をビーズ上に固定化し、改変体PGAが結合する条件下で細胞培養培地と混合し、沈殿させる。関連する手法では、免疫クロマトグラフィーが使用される。
いくつかの実施形態では、改変体PGAを、非酵素部分を含む融合タンパク質として発現させる。いくつかの実施形態では、改変体PGA配列を、精製を容易にするドメインと融合する。本明細書で使用される場合、用語「精製を容易にするドメイン」は、それが融合しているポリペプチドの精製を媒介するドメインを指す。適切な精製ドメインとしては、限定されないが、金属キレート化ペプチド、固定化された金属上での精製を可能にするヒスチジン-トリプトファンモジュール、グルタチオンに結合する配列(例えば、GST)、赤血球凝集素(HA)タグ(インフルエンザ赤血球凝集素タンパク質に由来するエピトープに対応する;例えば、Wilsonら、Cell、37巻:767頁、[1984年]を参照のこと)、マルトース結合性タンパク質配列、FLAGS伸長/アフィニティー精製システムにおいて利用されるFLAGエピトープ(例えば、Immunex Corpから入手可能なシステム)などが挙げられる。本明細書に記載される組成物および方法における使用が意図される1つの発現ベクターは、エンテロキナーゼ切断部位によって分離された、ポリヒスチジン領域と融合した本発明のポリペプチドを含む融合タンパク質の発現をもたらす。ヒスチジン残基は、IMIAC(固定化された金属イオンアフィニティークロマトグラフィー;例えば、Porathら、Prot. Exp. Purif.、3巻:263~281頁、[1992年]を参照のこと)での精製を容易にし、エンテロキナーゼ切断部位は、改変体PGAポリペプチドを融合タンパク質から分離するための手段を提供する。外来ポリペプチドをグルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)との融合タンパク質として発現させるために、pGEXベクター(Promega)も使用され得る。一般に、このような融合タンパク質は可溶性であり、溶解細胞から、リガンド-アガロースビーズ(例えば、GST融合物の場合にはグルタチオン-アガロース)への吸着、その後の遊離のリガンドの存在下での溶出によって容易に精製され得る。
実験
以下の代表的な実施例において、本開示の様々な特徴および実施形態を例証するが、これらは例示的なものであり、限定的なものではない。
以下の実験的開示では、以下の略語が適用される:ppm(百万分率);M(モル濃度);mM(ミリモル濃度)、uMおよびμM(マイクロモル濃度);nM(ナノモル濃度);mol(モル);gmおよびg(グラム);mg(ミリグラム);ugおよびμg(マイクログラム);Lおよびl(リットル);mlおよびmL(ミリリットル);cm(センチメートル);mm(ミリメートル);umおよびμm(マイクロメートル);sec.(秒);min(分);hおよびhr(時間);U(単位);MW(分子量);rpm(1分当たりの回転数);℃(摂氏度);RT(室温);CDS(コード配列);DNA(デオキシリボ核酸);RNA(リボ核酸);aa(アミノ酸);TB(Terrific Broth;12g/Lのバクト-トリプトン、24g/Lの酵母抽出物、4mL/Lのグリセロール、65mMのリン酸カリウム、pH7.0、1mMのMgSO);CAM(クロラムフェニコール);PMBS(硫酸ポリミキシンB);IPTG(イソプロピルチオガラクトシド);TFA(トリフルオロ酢酸);CHES(2-シクロヘキシルアミノ)エタンスルホン酸;HPLC(高速液体クロマトグラフィー);FIOPC(陽性対照に対する改善倍率);HTP(ハイスループット);LB(ルリアブロス);Codexis(Codexis,Inc.、Redwood City、CA);Sigma-Aldrich(Sigma-Aldrich、St.Louis、MO);Millipore(Millipore,Corp.、Billerica MA);Difco(Difco Laboratories、BD Diagnostic Systems、Detroit、MI);Daicel(Daicel、West Chester、PA);Genetix(Genetix USA,Inc.、Beaverton、OR);Molecular Devices(Molecular Devices,LLC、Sunnyvale、CA);Applied Biosystems(Applied Biosystems、Life Technologies,Corp.の一部門、Grand Island、NY)、Agilent(Agilent Technologies,Inc.、Santa Clara、CA);Thermo Scientific(Thermo Fisher Scientificの一部門、Waltham、MA);(Infors;Infors-HT、Bottmingen/Basel、Switzerland);Corning(Corning,Inc.、Palo Alto、CA);およびBio-Rad(Bio-Rad Laboratories、Hercules、CA);Microfluidics(Microfluidics Corp.、Newton、MA)。
(実施例1)
組換えPGA遺伝子を含有するE.coli発現宿主
本発明の改変体を生産するために使用する最初のPGA酵素を、Codex(登録商標)Acylase Panel(「PGAパネルプレート」;Codexis)または共有に係る米国特許出願公開第2016/0326508号に開示された改変体から得た。PGAパネルプレートは、野生型Kluyvera citrophila PGAと比較して改善された特性を有する操作されたPGAポリペプチドのコレクションを含む。野生型PGA遺伝子は、54アミノ酸のスペーサー領域によって連結されたアルファサブユニット(23.8KDa)およびベータサブユニット(62.2KDa)からなるヘテロ二量体である。スペーサー領域が存在することに起因して、活性なタンパク質を形成するためには自己プロセシングステップが必要である。本発明の開発の間に、野生型遺伝子を改変してスペーサー領域を排除し、したがって、自己プロセシングステップを排除した。PGAパネルプレート(Codexis)は、スペーサー領域を欠くPGA改変体を含有する(例えば、米国特許出願公開第2010/0143968A1号を参照のこと)。PGAをコードする遺伝子を、laclリプレッサーの制御下でlacプロモーターに作動可能に連結された発現ベクターpCK110900(米国特許出願公開第2006/0195947号の図3を参照のこと)にクローニングした。発現ベクターは、P15a複製起点およびクロラムフェニコール耐性遺伝子も含有する。得られたプラスミドを、当技術分野で公知の標準の方法を使用して大腸菌W3110に形質転換した。当技術分野で公知の通り細胞をクロラムフェニコール選択に供することによって形質転換体を単離した(例えば、米国特許第8,383,346号およびWO2010/144103を参照のこと)。
(実施例2)
HTP PGAを含有する湿潤細胞ペレットの調製
モノクローナルコロニー由来の、組換えPGAをコードする遺伝子を含有する大腸菌細胞を、96ウェルシャローウェルマイクロタイタープレートのウェル中、1%グルコースおよび30μg/mLクロラムフェニコールを含有する180μl LBに接種した。プレートを、O透過性シールで密封し、培養物を、30℃、200rpmおよび85%湿度で一晩成長させた。次いで、各細胞培養物10μlを、TB 390mLおよび30μg/mL CAMを含有する96ウェルディープウェルプレートのウェルに移した。ディープウェルプレートを、O透過性シールで密封し、0.6~0.8のOD600が達成されるまで、30℃、250rpmおよび85%湿度でインキュベートした。次いで、細胞培養物を、最終濃度を1mMにしたIPTGによって誘導し、最初に使用したのと同じ条件で一晩インキュベートした。次いで、4000rpmで10分間の遠心分離を使用して細胞をペレット化した。上清を廃棄し、ペレットを、溶解前に-80℃で凍結させた。
(実施例3)
HTP PGAを含有する細胞溶解産物の調製
まず、10mMのトリス-HCl緩衝液、pH7.5、1mg/mLリゾチーム、および0.5mg/mL PMBSを含有する溶解緩衝液200μlを実施例2に記載の通り生成した各ウェル中の細胞ペーストに添加した。細胞を、卓上振盪機で振盪しながら室温で2時間溶解させた。次いで、プレートを4000rpmおよび4℃で15分間遠心分離した。次いで、透明な上清を、それらの活性レベルを決定するための生体触媒反応において使用した。
(実施例4)
振盪フラスコ(SF)培養物由来の凍結乾燥溶解産物の調製
上記の通り成長させた選択されたHTP培養物を、1%グルコースおよび30μg/ml CAMを伴うLB寒天プレートにプレーティングし、37℃で一晩成長させた。各培養物からの単一コロニーを、1%グルコースおよび30μg/ml CAMを伴うLB 6mlに移した。培養物を30℃、250rpmで18時間成長させ、30μg/ml CAMを含有するTB 250ml中、およそ1:50で継代培養して、最終的なOD600を0.05にした。培養物を30℃、250rpmでおよそ195分間成長させてOD600を0.6~0.8にし、1mM IPTGを用いて誘導した。次いで、培養物を30℃、250rpmで20時間成長させた。培養物を4000rpmで20分間遠心分離した。上清を廃棄し、ペレットを20mMトリス-HCl、pH7.5、30mlに再懸濁させた。細胞をペレット化し(4000rpmで20分間)、-80℃で120分間凍結させた。凍結したペレットを20mMトリス-HCl、pH7.5、30mlに再懸濁させ、Microfluidizer(登録商標)プロセッサシステム(Microfluidics)を18,000psiで使用して溶解させた。溶解産物をペレット化し(10,000rpmで60分間)、上清を凍結させ、凍結乾燥して振盪フラスコ(SF)酵素を作製した。
(実施例5)
配列番号4と比較した、A1、B1、およびB29位におけるインスリンのアシル化の改善
配列番号4を、B29脱アシル化生成物の生成のために、共有に係る米国特許出願公開第2016/0326508号に開示された改変体をスクリーニングした結果に基づいて、親酵素として選択した。操作された遺伝子のライブラリーを、十分確立された技術(例えば、飽和変異誘発、および以前に同定された有益な変異の組換え)を使用して生成した。各遺伝子によってコードされるポリペプチドを、実施例2に記載されるようにHTP中で生成し、可溶性溶解産物を、実施例3に記載されるように作製した。
各反応ウェルは、200μLの、0.1M CHES、pH10、10g/Lインスリン、17g/Lフェニル酢酸メチル、および20μl HTP上清を含有した。HTPプレートを、Thermotron(登録商標)振盪機(3mm行程、モデル番号AJ185、Infors)中、30℃、300rpmで20時間インキュベートした。アセトニトリル200μlを用いて反応をクエンチし、卓上振盪機を使用して5分間混合した。次いで、プレートを4000rpmで5分間遠心分離し、分析のためにHPLCにローディングした。
配列番号4と比較した活性(活性FIOP)を、配列番号4によって生成された変換率と比較した、改変体によって形成された生成物の変換率として計算した。結果を表5.1に示す。HPLC分析によって観察された生成物ピークの面積を、基質、生成物および不純物/副生成物ピークの面積の合計で割ることによって、変換率を計算した。表5.2は、配列番号4と比較した改変体の選択性を示す結果を提供する。
Figure 0007019202000004
Figure 0007019202000005
(実施例6)
ハイスループットスクリーニングにおける、配列番号12と比較した、A1、B1およびB29位におけるインスリンのアシル化の改善
配列番号12を、実施例5に記載される結果に基づいて、次の親酵素として選択した(すなわち、B29位においてインスリンをアシル化する同定された最良の酵素)。操作された遺伝子のライブラリーを、十分確立された技術(例えば、飽和変異誘発および以前に同定された有益な変異の組換え)を使用して生成した。各遺伝子によってコードされるポリペプチドを、実施例2に記載されるようにHTP中で生成し、可溶性溶解産物を、実施例3に記載されるように作製した。
各改変体を、10g/Lインスリン、0.1Mトリス緩衝液、pH9.25、20%アセトニトリル、17g/Lフェニル酢酸メチル、および10μL清澄化溶解産物から構成される反応200μL中で、30℃で5時間スクリーニングした。96ウェルプレートを加熱密封し、Thermotron(登録商標)振盪機中、100rpmでインキュベートした。アセトニトリル200μlを用いて反応をクエンチし、卓上振盪機を使用して5分間混合した。次いで、プレートを4000rpmで5分間遠心分離し、分析のためにHPLCにローディングした。
配列番号12と比較した変換率(変換率FIOP)を、配列番号12によって生成された変換率と比較した、改変体によって形成された生成物の変換率として計算した。これらの結果を表6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、および6.7に示す。HPLC分析によって観察された生成物ピークの面積を、基質、生成物および不純物/副生成物ピークの面積の合計で割ることによって、変換率を計算した。
配列番号12と比較したパーセント選択性(パーセント選択性FIOP)を、配列番号12によって生成されたパーセント選択性と比較した、改変体によって形成された生成物のパーセント選択性として計算した。結果を表6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、および6.7に示す。HPLC分析によって観察された生成物ピークの面積を、生成物および不純物/副生成物ピークの面積の合計で割ることによって、パーセント選択性を計算した。
Figure 0007019202000006
Figure 0007019202000007
Figure 0007019202000008
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Figure 0007019202000012
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Figure 0007019202000022
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Figure 0007019202000027
Figure 0007019202000028
Figure 0007019202000029
(実施例7)
配列番号12と比較した、B29位におけるインスリンのアシル化の改善
表7.1に列挙されている4つの改変体によるB29のアシル化を、振盪フラスコ規模で試験した。振盪フラスコ粉末を、実施例4に記載されるように生成した。200μLの、0.2Mトリス、pH9.25、20%アセトニトリル、10g/Lインスリン、17g/Lフェニル酢酸メチル、および10mMトリス、pH7.5中に再構成した0.9g/L凍結乾燥酵素粉末を各々が含有する96ウェルディープウェルプレート中で反応を行った。HTPプレートを加熱密封し、Thermotron(登録商標)振盪機(3mm行程、モデル番号AJ185、Infors)中、30℃、100rpmで5時間インキュベートした。アセトニトリル200μlを用いて反応をクエンチし、卓上振盪機を使用して5分間混合した。次いで、プレートを4000rpmで5分間遠心分離し、分析のためにHPLCにローディングした。
配列番号12と比較した変換率(変換率FIOP)を、配列番号12によって生成された変換率と比較した、改変体によって形成された生成物の変換率として計算した。結果を表7.1に示す。HPLC分析によって観察された生成物ピークの面積を、基質、生成物および不純物/副生成物ピークの面積の合計で割ることによって、変換率を定量化した。
配列番号12と比較したパーセント選択性(パーセント選択性FIOP)を、配列番号12によって生成されたパーセント選択性と比較した、改変体によって形成された生成物のパーセント選択性として計算した。HPLC分析によって観察された生成物ピークの面積を、生成物および不純物/副生成物ピークの面積の合計で割ることによって、パーセント選択性を計算した。
Figure 0007019202000030
(実施例8)
ハイスループットスクリーニングにおける、配列番号108と比較した、B29位におけるインスリンのアシル化の改善
配列番号108を、実施例7に記載される結果に基づいて、次の親酵素として選択した。操作された遺伝子のライブラリーを、十分確立された技術(例えば、飽和変異誘発および以前に同定された有益な変異の組換え)を使用して生成した。各遺伝子によってコードされるポリペプチドを、実施例2に記載されるようにHTP中で生成し、可溶性溶解産物を、実施例3に記載されるように作製した。
HTP反応を96ウェルディープウェルプレート中で行った。各反応ウェルは、200μLの、0.1Mトリス、pH9.25、20%アセトニトリル、25g/Lインスリン、17g/Lフェニル酢酸メチルおよび10μl HTP上清を含有した。HTPプレートを、Thermotron(登録商標)振盪機(3mm行程、モデル番号AJ185、Infors)中、30℃、100rpmで3時間インキュベートした。アセトニトリル200μlを用いて反応をクエンチし、卓上振盪機を使用して5分間混合した。次いで、水400μlを添加し、卓上振盪機を使用して5分間混合した。次いで、プレートを4000rpmで5分間遠心分離し、分析のためにHPLCにローディングした。
配列番号108と比較した変換率(変換率FIOP)を、配列番号108によって生成された変換率と比較した、改変体によって形成された生成物の変換率として計算した。結果を表8.1に示す。HPLC分析によって観察された生成物ピークの面積を、基質、生成物および不純物/副生成物ピークの面積の合計で割ることによって、変換率を定量化した。
Figure 0007019202000031
Figure 0007019202000032
Figure 0007019202000033
(実施例9)
ハイスループットスクリーニングにおける、配列番号24と比較した、B29位におけるインスリンのアシル化の改善
配列番号24を、実施例8に記載される結果に基づいて、次の親酵素として選択した。操作された遺伝子のライブラリーを、十分確立された技術(例えば、飽和変異誘発および以前に同定された有益な変異の組換え)を使用して生成した。各遺伝子によってコードされるポリペプチドを、実施例2に記載されるようにHTP中で生成し、可溶性溶解産物を、実施例3に記載されるように作製した。
HTP反応を96ウェルディープウェルプレート中で行った。各反応ウェルは、200μLの、0.2Mトリス、20%アセトニトリル、25g/Lインスリン、17g/Lフェニル酢酸メチルおよび10μl HTP上清を含有した(溶解産物の添加前の初期pHは9.4であった)。HTPプレートを、Thermotron(登録商標)振盪機(3mm行程、モデル番号AJ185、Infors)中、30℃、100rpmで3時間インキュベートした。アセトニトリル200μlを用いて反応をクエンチし、卓上振盪機を使用して5分間混合した。次いで、水400μlを添加し、卓上振盪機を使用して5分間混合した。次いで、プレートを4000rpmで5分間遠心分離し、分析のためにHPLCにローディングした。
配列番号24と比較した変換率(変換率FIOP)を、配列番号24によって生成された変換率と比較した、改変体によって形成された生成物の変換率として計算した。結果を表9.1に示す。HPLC分析によって観察された生成物ピークの面積を、基質、生成物および不純物/副生成物ピークの面積の合計で割ることによって、変換率を定量化した。
Figure 0007019202000034
Figure 0007019202000035
Figure 0007019202000036
Figure 0007019202000037
(実施例10)
配列番号82へのヒスチジンタグの付加の影響
実施例9に記載される配列番号82およびc末端に6ヒスチジンタグを含有する配列番号110のB29のアシル化を、振盪フラスコ規模で比較した。振盪フラスコ粉末を、実施例4に記載されるように生成した。0.2Mトリス、pH9.25、20%アセトニトリル、25g/Lインスリン、17g/Lフェニル酢酸メチル、および10mMトリス、pH7.5中に再構成した0.3~10g/L凍結乾燥酵素粉末から構成される200μLを各々が含有する96ウェルディープウェルプレート中で反応を行った。HTPプレートを加熱密封し、Thermotron(登録商標)振盪機(3mm行程、モデル番号AJ185、Infors)中、30℃、100rpmで3時間インキュベートした。アセトニトリル200μlを用いて反応をクエンチし、卓上振盪機を使用して5分間混合した。次いで、水400μlを添加し、卓上振盪機を使用して5分間混合した。次いで、プレートを4000rpmで5分間遠心分離し、分析のためにHPLCにローディングした。図2は、結果を示すグラフを提供する。示されている通り、ヒスチジンタグの付加は、ヒスチジンタグなしバージョンと比較しsて、酵素に対して最小限の影響しか有さなかった。
(実施例11)
ハイスループットスクリーニングにおける、配列番号110と比較した、B29位におけるインスリンのアシル化の改善
ヒスチジンタグが配列番号82の活性に対して最小限の影響を有することが示された後、配列番号110を親酵素として選択した。操作された遺伝子のライブラリーを、十分確立された技術(例えば、飽和変異誘発および以前に同定された有益な変異の組換え)を使用して生成した。各遺伝子によってコードされるポリペプチドを、実施例2に記載されるようにHTP中で生成し、可溶性溶解産物を、200uLではなく400uLの溶解緩衝液を使用したこと以外、実施例3に記載されるように作製した。
HTP反応を96ウェルディープウェルプレート中で行った。各反応ウェルは、200μLの、0.2Mトリス、20%アセトニトリル、25g/Lインスリン、17g/Lフェニル酢酸メチル、および10μl HTP上清を含有した(溶解産物の添加前の初期pHは9.4であった)。HTPプレートを、Thermotron(登録商標)振盪機(3mm行程、モデル番号AJ185、Infors)中、30℃、100rpmで2時間インキュベートした。アセトニトリル200μlを用いて反応をクエンチし、卓上振盪機を使用して5分間混合した。次いで、水400μlを添加し、卓上振盪機を使用して5分間混合した。次いで、プレートを4000rpmで5分間遠心分離し、分析のためにHPLCにローディングした。
配列番号110と比較した変換率(変換率FIOP)を、配列番号110によって生成された変換率と比較した、改変体によって形成された生成物の変換率として計算した。結果を表9.1に示す。HPLC分析によって観察された生成物ピークの面積を、基質、生成物および不純物/副生成物ピークの面積の合計で割ることによって、変換率を定量化した。
Figure 0007019202000038
Figure 0007019202000039
Figure 0007019202000040
(実施例12)
ハイスループットスクリーニングにおける、配列番号40と比較した、B29位におけるインスリンのアシル化の改善
配列番号40を、実施例11に記載される結果に基づいて、次の親酵素として選択した。操作された遺伝子のライブラリーを、十分確立された技術(例えば、飽和変異誘発および以前に同定された有益な変異の組換え)を使用して生成した。各遺伝子によってコードされるポリペプチドを、実施例2に記載されるようにHTP中で生成し、可溶性溶解産物を、200uLではなく400uLの溶解緩衝液を使用したこと以外、実施例3に記載されるように作製した。
HTP反応を96ウェルディープウェルプレート中で行った。各反応ウェルは、200μLの、0.2Mトリス、20%アセトニトリル、25g/Lインスリン、17g/Lフェニル酢酸メチル、および80μl HTP上清を含有した(溶解産物の添加前の初期pHは9.4であった)。HTPプレートを、Thermotron(登録商標)振盪機(3mm行程、モデル番号AJ185、Infors)中、30℃、100rpmで2時間インキュベートした。アセトニトリル200μlを用いて反応をクエンチし、卓上振盪機を使用して5分間混合した。次いで、水400μlを添加し、卓上振盪機を使用して5分間混合した。次いで、プレートを4000rpmで5分間遠心分離し、分析のためにHPLCにローディングした。
配列番号40と比較した変換率(変換率(FIOP))を、配列番号40によって生成された変換率と比較した、改変体によって形成された生成物の変換率として計算した。結果を表12.1に示す。HPLC分析によって観察された生成物ピークの面積を、基質、生成物および不純物/副生成物ピークの面積の合計で割ることによって、変換率を定量化した。
配列番号40と比較したパーセント選択性(パーセント選択性FIOP)を、配列番号40によって生成されたパーセント選択性と比較した、改変体によって形成された生成物のパーセント選択性として計算した。HPLC分析によって観察された生成物ピークの面積を、生成物および不純物/副生成物ピークの面積の合計で割ることによって、パーセント選択性を計算した。
Figure 0007019202000041
(実施例13)
ハイスループットスクリーニングにおける、配列番号56と比較した、B29位におけるインスリンのアシル化の改善
配列番号56を、実施例12に記載される結果に基づいて、次の親酵素として選択した。操作された遺伝子のライブラリーを、十分確立された技術(例えば、飽和変異誘発および以前に同定された有益な変異の組換え)を使用して生成した。各遺伝子によってコードされるポリペプチドを、実施例2に記載されるようにHTP中で生成し、可溶性溶解産物を、200uLではなく400uLの溶解緩衝液を使用したこと以外、実施例3に記載されるように作製した。
HTP反応を96ウェルディープウェルプレート中で行った。各反応ウェルは、200μLの、0.2Mトリス、10%アセトニトリル、50g/Lインスリン、17g/Lフェニル酢酸メチル、および10μl HTP上清を含有した(溶解産物の添加前の初期pHは9.4であった)。HTPプレートを、Thermotron(登録商標)振盪機(3mm行程、モデル番号AJ185、Infors)中、30℃、100rpmで3時間インキュベートした。アセトニトリル200μlを用いて反応をクエンチし、卓上振盪機を使用して5分間混合した。次いで、水400μlを添加し、卓上振盪機を使用して5分間混合した。次いで、プレートを4000rpmで5分間遠心分離し、水中にさらに2倍希釈し、その後分析のためにHPLCにローディングした。
配列番号56と比較した変換率(変換率FIOP)を、配列番号56によって生成された変換率と比較した、改変体によって形成された生成物の変換率として計算し、以下の表に示した。HPLC分析によって観察された生成物ピークの面積を、基質、生成物および不純物/副生成物ピークの面積の合計で割ることによって、変換率を定量化した。
配列番号56と比較したパーセント選択性(パーセント選択性FIOP)を、配列番号56によって生成されたパーセント選択性と比較した、改変体によって形成された生成物のパーセント選択性として計算した。結果を表13.1に示す。HPLC分析によって観察された生成物ピークの面積を、生成物および不純物/副生成物ピークの面積の合計で割ることによって、パーセント選択性を計算した。
Figure 0007019202000042
Figure 0007019202000043
Figure 0007019202000044
(実施例14)
ハイスループットスクリーニングにおける、配列番号70と比較した、A1位におけるインスリンのアシル化の改善
配列番号70を、実施例7に記載される結果に基づいて、さらなる親酵素として選択した。操作された遺伝子のライブラリーを、十分確立された技術(例えば、飽和変異誘発および以前に同定された有益な変異の組換え)を使用して生成した。各遺伝子によってコードされるポリペプチドを、実施例2に記載されるようにHTP中で生成し、可溶性溶解産物を、200μlではなく400μlの溶解緩衝液を使用したこと以外、実施例3に記載されるように作製した。
200μLの、0.1Mトリス-HCl、pH9.25、20%アセトニトリル、20g/Lインスリン、17g/Lフェニル酢酸メチル、および10μl HTP溶解産物を含有する96ウェルディープウェルプレート中でHTP反応を行った。HTPプレートを、Thermotron(登録商標)振盪機(3mm行程、モデル番号AJ185、Infors)中、30℃、100rpmで5時間インキュベートした。アセトニトリル200μlを用いて反応をクエンチし、卓上振盪機を使用して5分間混合した。次いで、プレートを4000rpmで5分間遠心分離し、水中に2倍希釈し、分析のためにHPLCにローディングした。
配列番号70と比較した変換率(変換率FIOP)を、配列番号70によって生成された変換率と比較した、改変体によって形成された生成物の変換率として計算した。結果を表14.1に示す。HPLC分析によって観察された生成物ピークの面積を、基質、生成物および不純物/副生成物ピークの面積の合計で割ることによって、変換率を定量化した。
Figure 0007019202000045
Figure 0007019202000046
Figure 0007019202000047
(実施例15)
ハイスループットスクリーニングにおける、配列番号116と比較した、A1位におけるインスリンのアシル化の改善
配列番号116を、実施例14に記載される結果に基づいて、次の親酵素として選択した。操作された遺伝子のライブラリーを、十分確立された技術(例えば、飽和変異誘発および以前に同定された有益な変異の組換え)を使用して生成した。各遺伝子によってコードされるポリペプチドを、実施例2に記載されるようにHTP中で生成し、可溶性溶解産物を、200μlではなく400μlの溶解緩衝液を使用したこと以外、実施例3に記載されるように作製した。200μLの、0.25Mトリス-HCl、pH9.25、20%アセトニトリル、50g/Lインスリン、17g/Lフェニル酢酸メチル、および10μl HTP溶解産物を含有する96ウェルディープウェルプレート中でHTP反応を行った。HTPプレートを、Thermotron(登録商標)振盪機(3mm行程、モデル番号AJ185、Infors)中、30℃、100rpmで4時間インキュベートした。アセトニトリル200μlを用いて反応をクエンチし、卓上振盪機を使用して5分間混合した。次いで、プレートを4000rpmで5分間遠心分離し、水中に24倍希釈し、分析のためにHPLCにローディングした。
配列番号116と比較した変換率(変換率FIOP)を、配列番号116によって生成された変換率と比較した、改変体によって形成された生成物の変換率として計算した。結果を表15.1に示す。HPLC分析によって観察された生成物ピークの面積を、基質、生成物および不純物/副生成物ピークの面積の合計で割ることによって、変換率を定量化した。
Figure 0007019202000048
Figure 0007019202000049
Figure 0007019202000050
Figure 0007019202000051
Figure 0007019202000052
Figure 0007019202000053
Figure 0007019202000054
Figure 0007019202000055
Figure 0007019202000056
Figure 0007019202000057
(実施例16)
配列番号136へのヒスチジンタグの付加の影響
配列番号136(実施例15に記載される)および配列番号136のc末端に6ヒスチジンタグを含有する配列番号142のA1のアシル化を、振盪フラスコ規模で比較した。振盪フラスコ粉末を、実施例4に記載されるように生成した。200μLの、0.25Mトリス-HCl、pH9.25、20%アセトニトリル、50g/Lインスリン、17g/Lフェニル酢酸メチル、および0.05~0.5g/L凍結乾燥酵素粉末を含有する96ウェルディープウェルプレート中で反応を行った。プレートを、Thermotron(登録商標)振盪機(3mm行程、モデル番号AJ185、Infors)中、30℃、100rpmで4時間インキュベートした。アセトニトリル200μlを用いて反応をクエンチし、卓上振盪機を使用して5分間混合した。次いで、プレートを4000rpmで5分間遠心分離し、水中に20倍希釈し、分析のためにHPLCにローディングした。結果を図3に示す。この図に示されている通り、ヒスチジンタグの付加は、ヒスチジンタグなしバージョンと比較して、酵素に対して最小限の影響しか有さなかった。
(実施例17)
ハイスループットスクリーニングにおける、配列番号40と比較した、A1およびB29位におけるインスリンのアシル化の改善
配列番号40を、実施例11に記載される結果に基づいて、さらなる親酵素として選択した。操作された遺伝子のライブラリーを、十分確立された技術(例えば、飽和変異誘発および以前に同定された有益な変異の組換え)を使用して生成した。各遺伝子によってコードされるポリペプチドを、実施例2に記載されるようにHTP中で生成し、可溶性溶解産物を、実施例3に記載されるように作製した。
0.2Mトリス、pH9.25、20%アセトニトリル、50g/Lインスリン、17g/Lフェニル酢酸メチル、および10μl HTP上清から構成される200μLを各々が含有する96ウェルディープウェルプレート中でHTP反応を行った。HTPプレートを、Thermotron(登録商標)振盪機(3mm行程、モデル番号AJ185、Infors)中、30℃、100rpmで2時間インキュベートした。アセトニトリル200μlを用いて反応をクエンチし、卓上振盪機を使用して5分間混合した。次いで、プレートを4000rpmで5分間遠心分離し、分析のためにHPLCにローディングした。
配列番号40と比較した変換率(変換率FIOP)を、配列番号40によって生成された変換率と比較した、改変体によって形成された生成物の変換率として計算した。結果を表17.1に示す。HPLC分析によって観察された生成物ピークの面積を、基質、生成物および不純物/副生成物ピークの面積の合計で割ることによって、変換率を定量化した。
配列番号40と比較したパーセント選択性(パーセント選択性FIOP)を、配列番号40によって生成されたパーセント選択性と比較した、改変体によって形成された生成物のパーセント選択性として計算した。結果を表17.1に示す。HPLC分析によって観察された生成物ピークの面積を、生成物および不純物/副生成物ピークの面積の合計で割ることによって、パーセント選択性を計算した。
Figure 0007019202000058
Figure 0007019202000059
(実施例18)
ハイスループットスクリーニングにおける、配列番号154と比較した、A1およびB29位におけるインスリンのアシル化の改善
配列番号154を、実施例17に記載される結果に基づいて、次の親酵素として選択した。操作された遺伝子のライブラリーを、十分確立された技術(例えば、飽和変異誘発および以前に同定された有益な変異の組換え)を使用して生成した。各遺伝子によってコードされるポリペプチドを、実施例2に記載されるようにHTP中で生成し、可溶性溶解産物を、実施例3に記載されるように作製した。
0.2Mトリス、pH9.25、20%アセトニトリル、50g/Lインスリン、17g/Lフェニル酢酸メチル、および10μl HTP上清から構成される200μLを各々が含有する96ウェルディープウェルプレート中でHTP反応を行った。HTPプレートを、Thermotron(登録商標)振盪機(3mm行程、モデル番号AJ185、Infors)中、30℃、100rpmで2時間インキュベートした。アセトニトリル200μlを用いて反応をクエンチし、卓上振盪機を使用して5分間混合した。次いで、プレートを4000rpmで5分間遠心分離し、分析のためにHPLCにローディングした。
配列番号154と比較した変換率(変換率FIOP)を、配列番号154によって生成された変換率と比較した、改変体によって形成された生成物の変換率として計算した。結果を表18.1に示す。HPLC分析によって観察された生成物ピークの面積を、基質、生成物および不純物/副生成物ピークの面積の合計で割ることによって、変換率を定量化した。
配列番号154と比較したパーセント選択性(パーセント選択性FIOP)を、配列番号154によって生成されたパーセント選択性と比較した、改変体によって形成された生成物のパーセント選択性として計算した。結果を表18.1に示す。HPLC分析によって観察された生成物ピークの面積を、生成物および不純物/副生成物ピークの面積の合計で割ることによって、パーセント選択性を計算した。
Figure 0007019202000060
Figure 0007019202000061
Figure 0007019202000062
Figure 0007019202000063
(実施例19)
ハイスループットスクリーニングにおける、配列番号12と比較した、A1およびB1位におけるインスリンのアシル化の改善
配列番号12を、実施例7に記載される結果に基づいて、さらなる親酵素として選択した。操作された遺伝子のライブラリーを、十分確立された技術(例えば、飽和変異誘発および以前に同定された有益な変異の組換え)を使用して生成した。各遺伝子によってコードされるポリペプチドを、実施例2に記載されるようにHTP中で生成し、可溶性溶解産物を、実施例3に記載されるように作製した。
200μLの、0.1Mトリス、pH9.25、20%アセトニトリル、10g/Lインスリン、17g/Lフェニル酢酸メチル、および10μl HTP上清を含有する96ウェルディープウェルプレート中でHTP反応を行った。HTPプレートを、Thermotron(登録商標)振盪機(3mm行程、モデル番号AJ185、Infors)中、30℃、100rpmで5時間インキュベートした。アセトニトリルまたはジメチルアセトアミド200μlを用いて反応をクエンチし、卓上振盪機を使用して5分間混合した。次いで、プレートを4000rpmで5分間遠心分離し、分析のためにHPLCにローディングした。
配列番号12と比較した変換率(変換率FIOP)を、配列番号12によって生成された変換率と比較した、改変体によって形成された生成物の変換率として計算した。結果を表19.1に示す。HPLC分析によって観察された生成物ピークの面積を、基質、生成物および不純物/副生成物ピークの面積の合計で割ることによって、変換率を定量化した。
Figure 0007019202000064
Figure 0007019202000065
(実施例20)
ハイスループットにおける、配列番号56と比較した、フェニル酢酸の存在下でのB29位におけるインスリンのアシル化の改善
配列番号56を、実施例12に記載される結果に基づいて、さらなる親酵素として選択した。操作された遺伝子のライブラリーを、十分確立された技術(例えば、飽和変異誘発および以前に同定された有益な変異の組換え)を使用して生成した。各遺伝子によってコードされるポリペプチドを、実施例2に記載されるようにHTP中で生成し、可溶性溶解産物を、200uLではなく400uLの溶解緩衝液を使用したこと以外、実施例3に記載されるように作製した。
HTP反応を96ウェルディープウェルプレート中で行った。各反応ウェルは、200μLの、0.2Mトリス、10%アセトニトリル、50g/Lインスリン、17g/Lフェニル酢酸メチル、12.5または15g/Lフェニル酢酸、および10μl HTP上清を含有した(溶解産物の添加前の初期pHは9.4であった)。HTPプレートを、Thermotron(登録商標)振盪機(3mm行程、モデル番号AJ185、Infors)中、30℃、100rpmで3時間インキュベートした。アセトニトリル200μlを用いて反応をクエンチし、卓上振盪機を使用して5分間混合した。次いで、水400μlを添加し、卓上振盪機を使用して5分間混合した。次いで、プレートを4000rpmで5分間遠心分離し、水中にさらに2倍希釈し、その後分析のためにHPLCにローディングした。
配列番号56と比較した変換率(変換率FIOP)を、配列番号56によって生成された変換率と比較した、改変体によって形成された生成物の変換率として計算した。結果を表20.1に示す。HPLC分析によって観察された生成物ピークの面積を、基質、生成物および不純物/副生成物ピークの面積の合計で割ることによって、変換率を定量化した。
Figure 0007019202000066
(実施例21)
インスリンおよびそのアシル化生成物の分析的検出
実施例5~18に記載されるデータは、表21.1、21.2、21.3、21.4、および21.5中の分析方法を使用して収集した。本明細書に提示される方法はすべて、本発明を使用して生成された改変体を分析する際に使用される。しかし、本明細書に記載される方法が、本明細書に提示される改変体および/または本明細書に提示される方法を使用して生成された改変体の分析に適用可能な唯一の方法であることを意図するわけではない。図1に示される結果は、これらの方法についての化合物の溶出順序に対応する。
Figure 0007019202000067
Figure 0007019202000068
Figure 0007019202000069
Figure 0007019202000070
Figure 0007019202000071
Figure 0007019202000072
Figure 0007019202000073
Figure 0007019202000074
Figure 0007019202000075
(実施例22)
ハイスループットスクリーニングにおける、配列番号160と比較した、A1およびB29位におけるインスリンのアシル化の改善
配列番号160を、実施例18に記載される結果に基づいて、さらなる親酵素として選択した。操作された遺伝子のライブラリーを、十分確立された技術(例えば、飽和変異誘発および以前に同定された有益な変異の組換え)を使用して生成した。各遺伝子によってコードされるポリペプチドを、実施例2に記載されるようにHTP中で生成し、可溶性溶解産物を、実施例3に記載されるように作製した。
0.5Mトリス、pH10.0、20%アセトニトリル、50g/Lインスリン、17g/Lフェニル酢酸メチルおよび5~10μl HTP上清から構成される200μLを各々が含有する96ウェルディープウェルプレート中でHTP反応を行った。HTPプレートを、Thermotron(登録商標)振盪機(3mm行程、モデル番号AJ185、Infors)中、30℃、100rpmで2時間インキュベートした。アセトニトリル200μlを用いて反応をクエンチし、卓上振盪機を使用して5分間混合した。次いで、プレートを4000rpmで5分間遠心分離し、分析のためにHPLCにローディングした。
配列番号160と比較した変換率(変換率FIOP)を、配列番号160によって生成された変換率と比較した、改変体によって形成された生成物の変換率として計算した。結果を表22.1に示す。HPLC分析によって観察された生成物ピークの面積を、基質、生成物および不純物/副生成物ピークの面積の合計で割ることによって、変換率を定量化した。
Figure 0007019202000076
Figure 0007019202000077
(実施例23)
ハイスループットスクリーニングにおける、配列番号100と比較した、B29位におけるインスリンのアシル化の改善
配列番号100を、実施例13に記載される結果に基づいて、次の親酵素として選択した。操作された遺伝子のライブラリーを、十分確立された技術(例えば、飽和変異誘発および以前に同定された有益な変異の組換え)を使用して生成した。各遺伝子によってコードされるポリペプチドを、実施例2に記載されるようにHTP中で生成し、可溶性溶解産物を、200uLではなく400uLの溶解緩衝液を使用したこと以外、実施例3に記載されるように作製した。
HTP反応を96ウェルディープウェルプレート中で行った。各反応ウェルは、200μLの、0.5Mトリス、20%アセトニトリル、50g/Lインスリン、17g/Lフェニル酢酸メチルおよび40μl HTP上清を含有した(溶解産物の添加前の初期pH=10)。HTPプレートを、Thermotron(登録商標)振盪機(3mm行程、モデル番号AJ185、Infors)中、30℃、100rpmで5時間インキュベートした。アセトニトリル200μlを用いて反応をクエンチし、卓上振盪機を使用して5分間混合した。水400μlを添加し、プレートを卓上振盪機を使用して再度5分間混合する。次いで、プレートを4000rpmで5分間遠心分離し、水中にさらに2倍希釈し、その後分析のためにHPLCにローディングした。
配列番号100と比較した変換率(変換率FIOP)を、配列番号100によって生成された変換率と比較した、改変体によって形成された生成物の変換率として計算し、以下の表に示した。HPLC分析によって観察された生成物ピークの面積を、基質、生成物および不純物/副生成物ピークの面積の合計で割ることによって、変換率を定量化した。
Figure 0007019202000078
Figure 0007019202000079
Figure 0007019202000080
Figure 0007019202000081
本出願で引用されているすべての刊行物、特許、特許出願および他の文献は、個々の各刊行物、特許、特許出願または他の文献が、すべての目的ために参照により組み込まれると個々に示されているのと同程度に、すべての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
様々な特定の実施形態を例証および説明したが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく様々な変更を行うことができると認識されよう。

Claims (18)

  1. インスリンをアシル化することができる操作されたペニシリンGアシラーゼであって、前記ペニシリンGアシラーゼのポリペプチド配列は、配列番号2と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超えて同一であり、
    前記操作されたペニシリンGアシラーゼは、配列番号2に対して27位のトレオニン(T)、28位のアラニン(A)、57位のシステイン(C)、67位のアラニン(A)、71位のグルタミン(Q)、74位のグリシン(G)、103位のグルタミン酸(E)、119位のチロシン(Y)、253位のチロシン(Y)、256位のロイシン(L)、348位のヒスチジン(H)、352位のリジン(K)、373位のアルギニン(R)、374位のトレオニン(T)、386位のグリシン(G)、390位のリジン(K)、443位のアスパラギン酸(D)、444位のアスパラギン(N)、451位のリジン(K)、494位のアスパラギン酸(D)、547位のリジン(K)、616位のチロシン(Y)、619位のトリプトファン(W)、623位のロイシン(L)、および646位のアスパラギン酸(D)を含み、
    前記操作されたペニシリンGアシラーゼは、配列番号4で示されるアミノ酸配列を有する操作されたペニシリンGアシラーゼと比較してより多くの遊離のインスリンを生産する、ペニシリンGアシラーゼ。
  2. 配列番号100を含む、請求項1に記載の操作されたペニシリンGアシラーゼ。
  3. ヒスチジンタグを含む、請求項1または2に記載の操作されたペニシリンGアシラーゼ。
  4. 前記ヒスチジンタグが、前記操作されたペニシリンGアシラーゼのC末端に存在する、請求項に記載の操作されたペニシリンGアシラーゼ。
  5. 請求項1~のいずれかに記載の操作されたペニシリンGアシラーゼをコードする操作されたポリヌクレオチド。
  6. 配列番号99と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超えて同一であるポリヌクレオチド配列を含む、請求項に記載の操作されたポリヌクレオチド。
  7. 請求項および/またはに記載のポリヌクレオチドを含むベクター。
  8. 少なくとも1つの制御配列をさらに含む、請求項に記載のベクター。
  9. 請求項7および/またはに記載のベクターを含む宿主細胞。
  10. アシル化インスリンを生成するための方法であって、請求項1~のいずれかに記載の操作されたペニシリンGアシラーゼおよびインスリンを提供すること;前記操作されたペニシリンGアシラーゼが前記インスリンをアシル化する条件下で、前記操作されたペニシリンGアシラーゼおよび前記インスリンを曝露し、それにより、アシル化インスリンを生成することを含む、方法。
  11. 前記アシル化が、フェニル酢酸メチルの存在下で行われる、請求項10に記載の方法。
  12. 前記アシル化が、前記インスリンのA1、B1、および/またはB29位のいずれかにおいて生じる、請求項10に記載の方法。
  13. 前記アシル化が、前記インスリンのA1、B1、および/またはB29位のいずれかにおいて生じる、請求項11に記載の方法。
  14. 前記アシル化が、前記インスリンのA1位において生じる、請求項10または11に記載の方法。
  15. 前記アシル化が、前記インスリンのB1位において生じる、請求項10または11に記載の方法。
  16. 前記アシル化が、前記インスリンのB29位において生じる、請求項10または11に記載の方法。
  17. 前記アシル化が、前記インスリンのA1、B1、およびB29位において生じる、請求項10または11に記載の方法。
  18. 前記操作されたペニシリンGアシラーゼが、配列番号2、4、12、24、40、56、70、82、100、108、110、116、136、142、154および/または160のポリペプチドによるアシル化インスリンの生成と比較して90%を超えて多いアシル化インスリンを生成する、請求項10または11に記載の方法。
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