JP7018350B2 - エキスパンションジョイント装置 - Google Patents
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Description
この試験によれば、上記間隙72の変位が所定範囲内では、プレート材74が保持材76から外れないが(同図(a))、変位が拡大するとプレート材74が保持材76から外れかける状態となり(同図(b))、さらに変位が拡大するとプレート材74が保持材76から完全に外れてしまう(同図(c))。このため、間隙72の変位に対する可動量の確保が不十分で適応性を欠き、またプレート材74の外れにより、プレート材74が周囲の部材、躯体等を損傷させ、或いは落下して破損するという問題が確認されている。
図1は、実施の形態に係るエキスパンションジョイント装置2及び躯体4,4間の継手構造を示したものである。このエキスパンションジョイント装置2は、躯体4,4同士の間隙3を継ぐ継手装置である。
上記躯体4は、隣接する各建築物等の構造体であり、一対の躯体4,4同士が所定の間隔(数十cm程度)の間隙3を隔てる箇所に、当該間隙3を覆う形態で上記エキスパンションジョイント装置2を配置する。通常、両躯体4,4間は、各躯体4の壁面が向い合って構成されており、この場合、躯体4,4同士の間隙3は壁面間に間隙を形成することにもなる。
上記エキスパンションジョイント装置2は、上記間隙3近傍を覆う範囲の幅で、かつ間隙3の長尺(奥行)方向の長さの範囲を覆う状態で配置される。
エキスパンションジョイント装置2は、アルミニウム材、ステンレス材、鋼材等の金属材料が用いられる。ここでは、アルミニウムの押し出し成形品を用いている。
保持材6,6は、両躯体4,4のそれぞれに取り付けられ、互いに対称な形態で配置される。プレート材8は、両保持材6,6間を跨ぎかつ連結する形態で配置され、両躯体4,4間の間隙3を覆う。
また、基礎部材12の基板部16の中央部近傍には、止着具22の螺設用の孔部17が設けられている。基礎部材12は、止着具22を用いて躯体4の上部に固定される。そして、止着具22の上部(頭部とネジ部間)には、線材10の一端部が繋がれる。
止着具22としては、コンクリート用ネジ、アンカーボルト等が用いられる。
上記基礎部材12の上部に、笠木部材14を配置した状態では、笠木部材14の孔部27と基礎部材12の螺子孔21の両孔は位置的に合致(貫通)し、両者をビス23で固定することができる。
なお、笠木部材14は可撓性を有しており、その外側端部近傍を、ビス23を用いて基礎部材12に締結した状態では、内側部位及び端部は上下に弾性屈曲可能である。またこのとき、笠木部材14の端部のシール材24が、下部に配置されるプレート材8の上部を軽く弾性押圧し、密閉性を高めている。
さらに、プレート材8の側端部9の近傍には、線材10の他端部を係合、係止させ、この線材10をプレート材8に繋ぐための孔部28が設けられている。当該孔部28は、両側端部9,9に沿ってそれぞれ1箇所或いは複数箇所設けられている。
線材10の一端部は、線材10をループ状に丸く(止着具22を挿通可能な大きさ)形成し、その端部とループ部位31の根元部位の線材10とを、固定具29を用いて両線材33同士を締め付け、両線材10同士を一体に連結して固定する。線材10は、ループ部位31を止着具22の頭部の下部に嵌め、止着具22と繋ぐ。
また、繋着部11の位置は、基板部16のどの位置でも良いが、プレート材8が左右スライドする移動距離をある程度確保し、躯体4,4同士の大きな変位にも追従させるためには、基板部16の中心部の位置、或いは中心部より外側(反間隙3側)の位置が好ましい。
上記線材10は、金属製のワイヤー或いは合成樹脂製のロープ等が用いられる。
また、上記線材10の他端側は、プレート材8の孔部28に係合、係止させ、この孔部28に取り付けて繋ぐようにする。線材10を孔部28を利用して繋ぐ場合、例えば、線材10を孔部28に挿通させた後抜けないよう、線材10の端部にT状の金具を取り付け、或いは線材10の端部を結ぶようにしてもよい。また他の繋ぎ方として、孔部28を挿通させた線材10の端部と、挿通させていない線材10の部位とを、固定具29等を用いて一体に連結固定してもよい。
同図(a)は、通常の躯体4,4同士の変位がない状態を示している。この状態では、止着具22とプレート材8の側端部9とを繋ぐ線材10は、緩んだ状態である。
そして、同図(b)に示すように、地震の揺れ等により躯体4,4同士が変位したとき、プレート材8が止着具22から離れる方向に移動する。
結局、線材10の長さは、基礎部材12の止着具22の位置から受け片部18までの長さとすれば良いことになる。また、各躯体4,4上の保持材6には、それぞれ同じ長さの線材10を取り付ける。
上記準備の際、過去の変位量等から躯体4,4同士の変位の最大量を想定し、上記エキスパンションジョイント装置2の大きさを決める際の判断材料とすれば良い。また、躯体4,4間の奥行長が長い場合には、所定(数m)の長さのエキスパンションジョイント装置2を複数用い、これらを直列に配置する。
上記シール部材32は、断面矩形状の長尺材であり、合成樹脂或いはゴム等からなる。
ここで、線材10の長さを、プレート材8が移動しその端部片30が受け片部18と係合したとき、線材10が張ってプレート材8の移動が停止するよう調整する。このため、プレート材8は、躯体4,4同士が変位したとき、プレート材8の端部片30が基礎部材12の受け片部18との間(上記範囲(W))をスライドし、自在に移動できる。
図5(a)は、通常状態のエキスパンションジョイント装置2の形態を示すものである。この場合、プレート材8の左右の側端部9近傍は保持材6の内部に収納された状態であり、プレート材8は躯体4,4間の間隙3を覆っている。また、保持材6内の線材10は緩んだ状態である。
なお、ここではプレート材8の中心は間隙3の中央部に位置しているが、左右の保持材6内の各線材10には緩みがあるため、プレート材8の位置は左右に偏りがあっても特に差支えはない。
同図(b)に示す変位では、例えば、図中右側の躯体4が、外側(反間隙3側)斜め下方に移動すると、上部の保持材6も斜め下方に移動し、この結果、プレート材8が斜め右下に傾斜し、同時に保持材6がプレート材8から離れる方向に移動する。
そして、躯体4,4の変位が所定量に至ると、プレート材8の右側の端部片30が基礎部材12の受け片部18と係合し、この状態では線材10が張った状態となり、このまま停止する。
また、この中程度の変位では、プレート材8の左側の端部片30が保持材6の内部を移動することもなく、保持材6内の線材10は緩んだ状態のままである。
なお、地震等により躯体4,4同士の間が変位し、躯体4,4間の間隔が狭くなった場合には、プレート材8の左右の側端部9がそれぞれ保持材6の奥方向(外側)に押し込まれる状態となるため、プレート材8の外れ等の問題はない。
この場合、プレート材8の右側の端部片30は、線材10(張り)により基礎部材12の受け片部18と係合した状態を維持するが、このため、プレート材8は右方向に引っ張られ、プレート材8は左側の保持材6から離れる方向(右方向)に移動する。
ここで、躯体4,4同士の変位がこの状態で留まれば、プレート材8の左右の各端部片30がそれぞれ基礎部材12の各受け片部18と係合し、この状態では各線材10が張った状態となり、プレート材8の移動も停止する。
上記のように、図5(a)の躯体4,4同士の通常の状態から、同図(b)(c)の躯体4,4同士が変位した状態(想定内)における、躯体4,4同士の変位に対しては、エキスパンションジョイント装置2はこれら変位に順応し、プレート材8が保持材6から外れることはない。
このような、想定外の躯体4,4同士の変位が発生する可能性が考えられる場合には、エキスパンションジョイント装置について、次の手段を講じる。
例えば、図5(a)を参考にした場合、図中左側の保持材6に線材10を取り付け、右側の保持材6には線材10を取り付けない形態とする。
この場合、躯体4,4の変位に対して、仮に右側の保持材6からプレート材8が外れたとしても、左側の保持材6は線材10によりプレート材8を保持する。このため、プレート材8の落下が防げ、周囲の部材、躯体等の損傷も軽減され、プレート材8の破損等も防止され再利用も可能となる。
この弾性のある線材10を用いる場合、例えば、線材10の長さは、躯体4,4同士に変位のない通常の状態において、線材10に緩みがない状態、或いは少し張力(伸び)が加わるよう調節する。
また、躯体4,4間に想定外の変位が生じても、線材10の弾性力によりある程度はプレート材8を保持することができる。このため、プレート材8の落下が防げ、周囲の部材、躯体等の損傷も軽減され、プレート材8の破損等も防止され再利用も可能となる。
3 間隙
4 躯体
6 保持材
8 プレート材
9 側端部
10 線材
11 繋着部
12 基礎部材
14 笠木部材
16 基板部
18 受け片部
22 止着具
24 シール材
Claims (4)
- 所定の間隙を隔てて隣接する躯体同士を継ぐエキスパンションジョイント装置であって、
上記両躯体の一方側及び他方側にそれぞれ取付けられる保持材と、これら両保持材間を連結し、上記両躯体間の間隙を覆うプレート材とを有し、
上記保持材は、上記躯体の上部に固定される平坦な基板部、及び当該基板部の上記間隙側の端部に上方に立設して設けられる受け片部を有する基礎部材と、上記基礎部材の上部を覆う笠木部材と、上記基礎部材の基板部の上部に設けた繋着部と上記プレート材の側端部との間を連結する線材とを具備し、
上記プレート材の左右の各側端部を、それぞれ上記各保持材の上記基礎部材と上記笠木部材との間に嵌めて左右移動可能に配置し、且つ上記線材が張ったときの長さを、上記プレート材の側端部が上記基礎部材の上記受け片部から外れない範囲としたことを特徴とするエキスパンションジョイント装置。 - 上記各基礎部材の基板部の中央部近傍を、止着具を用いて上記躯体の上部に固定し、当該止着具と上記プレート材の側端部との間を、それぞれ上記線材を用いて連結したことを特徴とする請求項1に記載のエキスパンションジョイント装置。
- 一方側の上記躯体上の上記保持材に設けた上記線材の強度と、他方側の上記躯体上の上記保持材に設けた上記線材の強度との間に、強度差を設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載のエキスパンションジョイント装置。
- 上記笠木部材の上記間隙側の端部の下部にシール材を取り付け、このシール材を上記プレート材の上部に弾性押圧させ、当該プレート材との間を密閉したことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載のエキスパンションジョイント装置。
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