JP7018268B2 - 嗜好性飲料抽出フィルター用織物 - Google Patents
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Description
本発明は上記の背景に鑑みなされたものであり、その目的は、生地の強度が保持でき、布目まがりが生じにくく、成形性が良好で、実用的な嗜好性飲料抽出フィルター用のフィラメントを提供することである。
(1)芯成分は、融点が220℃以上のホモポリエステル、鞘成分は、融点が芯成分より40℃以上低いテレフタル酸とイソフタル酸のモル比(テレフタル酸/イソフタル酸)が90/10~70/30のイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレートであり、鞘成分の融点+20℃の乾熱収縮率が、5%以上、20%以下である嗜好性飲料抽出フィルター用フィラメントを経糸及び緯糸に用いてなり、引裂き強度が、5N以上である嗜好性飲料抽出フィルター用織物。
(2)嗜好性飲料抽出フィルター用フィラメントは、熱水処理後の収縮率が8%以下であることを特徴とする上記(1)記載の嗜好性飲料抽出フィルター用織物。
(3)嗜好性飲料抽出フィルター用フィラメントは、10質量%濃度のエタノール水溶液中で1時間浸漬後の質量変化率が4%以下、重金属の溶出量が0.1ppm未満であることを特徴とする上記(1)または(2)記載の嗜好性飲料抽出フィルター用織物。
(4)鞘成分の共重合ポリエステルの重縮合の触媒が、チタン系触媒であることを特徴とする(1)~(3)記載の嗜好性飲料抽出フィルター用織物。
(5)芯成分のホモポリエステルの重縮合の触媒が、チタン系触媒であることを特徴とする上記(1)~(4)記載の嗜好性飲料抽出フィルター用織物。
(6)芯成分は、融点が220℃以上のホモポリエステル、鞘成分は、融点が芯成分より40℃以上低いテレフタル酸及びジオールを主成分とする共重合ポリエステルであり、鞘成分の融点+20℃の乾熱収縮率が、5%以上、20%以下である、嗜好性飲料抽出フィルター用フィラメント。
芯鞘型複合フィラメントの複合形態としては、マルチフィラメントでもモノフィラメントでもよい。成型後の抽出用フィルターの美観性の点からはモノフィラメントであることが好ましく、少ないフィラメント数で良好な抽出性を得る点からはマルチフィラメントであることが好ましい。
これらは、触媒の活性をより高めるために、マグネシウムを用いた化合物との複合体を好適に用いることができる。特に好ましい例として、チタン酸からなる被覆層が形成されたマグネシウム化合物が挙げられる。本発明において、チタン酸からなる被覆層が形成されたマグネシウム化合物とは、5~100℃の範囲の温度、好ましくは、15~70℃の範囲の温度で、マグネシウム化合物の存在下に、チタン化合物を加水分解して、その表面にチタン酸を析出させることによって、マグネシウム化合物の表面にチタン酸からなる被覆層を有せしめたものである。
上記チタン系触媒の含有量は、ポリエステル樹脂に対して10~500ppmであることが好ましく、より好ましくは50~200ppmである。
尚、鞘成分の融点については、共重合成分とその成分の量を調整することでコントロールすることができる。
これらは、触媒の活性をより高めるために、マグネシウムを用いた化合物との複合体を好適に用いることができる。特に好ましい例として、チタン酸からなる被覆層が形成されたマグネシウム化合物が挙げられる。本発明において、チタン酸からなる被覆層が形成されたマグネシウム化合物とは、5~100℃の範囲の温度、好ましくは、15~70℃の範囲の温度で、マグネシウム化合物の存在下に、チタン化合物を加水分解して、その表面にチタン酸を析出させることによって、マグネシウム化合物の表面にチタン酸からなる被覆層を有せしめたものである。
上記チタン系触媒の含有量は、ポリエステル樹脂に対して10~500ppmであることが好ましく、より好ましくは50~200ppmである。
このような質量変化率とすることにより、飲料抽出用フィルターとして、環境安全性や安全性により優れたものとなる。より好ましくは、質量変化率が2%以下であり、さらに好ましくは、質量変化率が1%以下である。
なお、質量変化率は、以下の式によって、求められる値である。
質量変化率(%)=〔(浸漬前の質量-浸漬後の質量)/(浸漬前の質量)〕×100
このように重金属の溶出量が0.10ppm未満であると、嗜好性飲料抽出フィルターに好適に用いることができ、環境安全性にも優れたものとなる。
本発明において、嗜好性飲料抽出フィルター用織物としては、本発明の芯鞘型複合フィラメントを、100%用いて製織してもよいし、一部に用いてもよい。好ましくは、40%以上用いることである。
本発明の芯鞘型複合フィラメントを一部に用いる場合は、経糸にホモPETなどのレギュラーポリエステル、緯糸に本発明の芯鞘型複合フィラメントを用いると、織物の交点の熱融着性が良好であるため、好適である。
芯成分として、重合触媒をチタン系触媒としたポリエチレンテレフタレート、鞘成分として、チタン系触媒を重合触媒としたイソフタル酸共重合ポリエステルを用いて、芯鞘型複合型フィラメントを製造する。次に、得られた芯鞘型複合型フィラメントを、製織した後、織物の交点が目ずれしないように鞘成分を熱処理する。次いで、得られた織物を超音波シール法等によりシールし、テトラパック形状等適宜の形状に成形して、嗜好性飲料抽出用フィルターを得ることができる。
1)固有粘度
フェノール/テトラクロロエタン=6/4(重量比)混合液50mlに0.5gのポリマーを溶解して、温度20℃においてオストワルド型粘度計を用いて測定した。
2)融点
パーキンエルマー社製DSC-7型を用い、チップ10mg、昇温速度10℃/分の条件にて測定した。
3)強度、伸度
JIS L 1013に準じ、島津製作所(株)製、AGS 1KNGオートグラフ引張試験機を用い、試料糸長200mm、引張速度200mm/minの条件で試料が伸長破断したときの強度(cN/dtex)、伸度(%)を求めた。
4)重金属の溶出量
糸試料を、10質量%濃度のエタノール水溶液に100℃で1時間浸漬し溶出させたエタノール溶液を、アジレントテクノロジー製のICP質量分析装置(Agilent 7500cs)と、アメテック製ICP発光分析装置(CIROS CCD)を用いて測定した。
5)質量変化率
糸試料の質量を測定し浸漬前の質量とした。次に、糸試料を、10質量%濃度のエタノール水溶液に100℃で1時間浸漬させ、乾燥させて、糸試料を測定し、浸漬後の質量とし、以下の式により、質量変化率を算出した。
質量変化率(%)=〔(浸漬前の質量-浸漬後の質量)/(浸漬前の質量)〕×1006)熱水収縮率
荷重2mg/dtexを掛けた試料長500mmの糸を沸騰水中に15分間浸漬し、次いで風乾した後に次式により芯鞘型複合フィラメントの収縮率を求めた。
熱水収縮率(%)=[(初期試料長―収縮後の試料長)/初期試料長]×100
7)乾熱収縮率
荷重2mg/dtexを掛けた試料長500mmの糸を、鞘成分の融点+20℃の恒温槽に5分間静置し、乾熱収縮率を求めた。
乾熱収縮率(%)=[(初期試料長―静置後の試料長)/初期試料長]×100
8)引裂き強度
JIS L1096 8.15.1 A-1法(シングルタング法)に準じ、(株)オリエンティック製テンシロンRTA-500引張試験機を用い、試料幅50mm、試料長250mm、チャック間距離100mm、引張速度100mm/minの条件で試料を引き裂く時の最大荷重を測定した。
テレフタル酸とエチレングリコールを原料とし、PETオリゴマーの重合触媒として、チタン酸からなる被覆層が形成されたマグネシウム化合物を180ppm添加して重縮合し、芯成分に用いるポリエチレンテレフタレートを得た(固有粘度:0.629)。次に、テレフタル酸に対しイソフタル酸25mol%を加えた酸成分とエチレングリコールを原料とし、重合触媒として、チタン酸からなる被覆層が形成されたマグネシウム化合物をポリエステルに対して180ppm加え、重縮合し、鞘成分に用いるイソフタル酸25mol共重合ポリエチレンテレフタレートを得た(固有粘度:0.643)。
上記で得られた2種のポリエステル樹脂を溶融紡糸装置に供給し、芯鞘体積比率1:1の割合でポリマーを吐出し、孔径0.45mmの紡糸口金を用いて、紡糸温度290℃、紡糸速度1500m/minの紡糸条件で溶融紡糸し未延伸ポリエステルモノフィラメント糸を得た。
さらに、この未延伸糸を、加熱ローラー温度90℃で3.4倍に延伸し、加熱プレート温度160℃で弛緩熱処理を施し、ポリエステルモノフィラメントを得た(芯成分の融点:255℃、鞘成分の融点:185℃)。
得られたモノフィラメントを、経密度100本/2.54cm、緯密度100本/2.54cmの条件で平織組織にて製織し織物を得た。得られた織物を精練し、200℃で熱処理し、糸の交点の鞘成分を融着させて、フィルター用織物を得た。得られたフィルター用織物を、超音波シール法により、テトラパック形状に成形し、嗜好性飲料抽出用フィルターを製造した。
芯鞘体積比率7:3に変更する以外は、実施例1と同様に溶融紡糸し未延伸ポリエステルモノフィラメント糸を得た。さらに、この未延伸糸を加熱ローラー温度90℃で3.3倍に延伸し、加熱プレート温度140℃で弛緩熱処理を施し、ポリエステルモノフィラメント(芯成分の融点:255℃、鞘成分の融点:185℃)を得て、実施例1と同様に、嗜好性飲料抽出用フィルターを製造した。
テレフタル酸とエチレングリコールとを原料とし、PETオリゴマーの重合触媒として、チタン酸からなる被覆層が形成されたマグネシウム化合物をPETオリゴマーに対して200ppm加え、重縮合し、芯成分に用いるポリエチレンテレフタレートを得た(固有粘度:0.63)。
また、実施例1記載の方法で鞘成分に用いるイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレートを得た。
この2種のポリエステル樹脂を、実施例1記載の方法で溶融紡糸、延伸を行いポリエステルモノフィラメントを得た(芯成分の融点:255℃、鞘成分の融点:185℃)。得られたポリエステルモノフィラメントを用いて実施例1と同様に、嗜好性飲料抽出用フィルターを製造した。
芯成分及び鞘成分に用いるポリエチレンテレフタレートの重合触媒を、400ppmの三酸化アンチモンとする以外は実施例1と同様に、重合、溶融紡糸、延伸を実施し、嗜好性飲料抽出用フィルターを製造した。
2種のポリエステル樹脂に代えて、イソフタル酸12mol%共重合した共重合ポリエチレンテレフタレート(融点:205℃)の単独紡糸とし、織物の熱処理温度を210℃とする以外は実施例1と同様に、溶融紡糸を実施し、嗜好性飲料抽出フィルターを製造した。フィルター用織物の引裂き強度は5N未満であり、引裂き強度の低いものであった。
また実施例1~3より得られたフィルター用織物は、ポリアミドの問題点を改善し、成形性に優れ、生地強度も十分で飲料抽出用バッグとして十分に使用でき、環境安全性に優れた飲料抽出用フィルターであった。また、芯成分にアンチモン触媒を用いた実施例4は、重金属の溶出量が多く、実施例1~3に比べて、環境安全性に劣ったものであった。比較例1から得られたフィルター用織物は、生地強度が十分でなく、成形性に劣っており、嗜好性飲料抽出用フィルターとしては使用できないものであった。
Claims (5)
- 芯成分は、融点が220℃以上のホモポリエステル、鞘成分は、融点が芯成分より40℃以上低いテレフタル酸とイソフタル酸のモル比(テレフタル酸/イソフタル酸)が90/10~70/30のイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレートであり、鞘成分の融点+20℃の乾熱収縮率が、5%以上、20%以下である嗜好性飲料抽出フィルター用フィラメントを経糸及び緯糸に用いてなり、引裂き強度が、5N以上である嗜好性飲料抽出フィルター用織物。
- 嗜好性飲料抽出フィルター用フィラメントは、熱水処理後の収縮率が8%以下であることを特徴とする請求項1記載の嗜好性飲料抽出フィルター用織物。
- 嗜好性飲料抽出フィルター用フィラメントは、10質量%濃度のエタノール水溶液中で1時間浸漬後の質量変化率が4%以下、重金属の溶出量が0.1ppm未満であることを特徴とする請求項1または2記載の嗜好性飲料抽出フィルター用織物。
- 鞘成分の共重合ポリエステルの重縮合の触媒が、チタン系触媒であることを特徴とする請求項1~3いずれか1項記載の嗜好性飲料抽出フィルター用織物。
- 芯成分のホモポリエステルの重縮合の触媒が、チタン系触媒であることを特徴とする請求項1~4いずれか1項記載の嗜好性飲料抽出フィルター用織物。
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