JP7018198B2 - インビボクローニング可能な細胞株をスクリーニングするための方法、インビボクローニング可能な細胞株の製造方法、細胞株、インビボクローニング方法、及びインビボクローニングを行うためのキット - Google Patents
インビボクローニング可能な細胞株をスクリーニングするための方法、インビボクローニング可能な細胞株の製造方法、細胞株、インビボクローニング方法、及びインビボクローニングを行うためのキット Download PDFInfo
- Publication number
- JP7018198B2 JP7018198B2 JP2018087164A JP2018087164A JP7018198B2 JP 7018198 B2 JP7018198 B2 JP 7018198B2 JP 2018087164 A JP2018087164 A JP 2018087164A JP 2018087164 A JP2018087164 A JP 2018087164A JP 7018198 B2 JP7018198 B2 JP 7018198B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- gene
- cell line
- vivo
- xtha
- vector
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Landscapes
- Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)
- Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
Description
出芽酵母では、細胞内で相同組換えの活性が非常に高いため、容易にシームレスクローニングを行うことができる(例えば、非特許文献1参照。)。
また、RecETシステムが構築された大腸菌株では、Racプロファージ領域のRecE、RecTレコンビナーゼが過剰発現しており、このRecE、RecTレコンビナーゼにより大腸菌細胞内で相同組換えの効率が高まり、シームレスクローニングを行うことができる(例えば、特許文献2、特許文献3、及び非特許文献2参照。)。
また、特許文献2、特許文献3、及び非特許文献2に記載の方法では、RecETシステムを有する大腸菌株を用いる必要があり、さらに、プラスミドDNA同士で相同組換えが起こり、ダイマー、又はマルチマーを形成されるという課題を有する。
さらに、非特許文献3に記載の方法では、大腸菌DH5α株を用いて直接目的のDNAをクローニングできることは報告されているが、そのメカニズムは明らかにされていない。また、非特許文献3に記載の方法では、クローニング効率が低く、よりクローニング効率の高い細胞株が求められていた。
[1]インビボクローニング可能な細胞株をスクリーニングするための方法であって、
細胞株について、rpoZ遺伝子、yfaH遺伝子、rsxC遺伝子、yeaE遺伝子、slyA遺伝子、及びsapC遺伝子からなる群から選ばれる少なくとも1種の遺伝子の有無を評価し、評価された前記遺伝子の少なくとも一部の機能が失われた細胞株を選択する第1の選択工程を備えることを特徴とする方法。
[2]さらに、前記第1の選択工程の後に、xthA遺伝子の有無を評価し、xthA遺伝子を有する細胞株を選択する第2の選択工程、及び/又は、hsdR遺伝子の有無を評価し、hsdR遺伝子の少なくとも一部の機能が失われた細胞株を選択する第3の選択工程を備える[1]に記載の方法。
[3]前記細胞株が大腸菌又は哺乳動物細胞に由来するものである[1]又は[2]に記載の方法。
[4]インビボクローニング可能な細胞株の製造方法であって、前記細胞株がrpoZ遺伝子、yfaH遺伝子、rsxC遺伝子、yeaE遺伝子、slyA遺伝子、及びsapC遺伝子からなる群から選ばれる少なくとも1種の遺伝子を有する場合に、前記遺伝子の少なくとも一部の機能を失わせる工程Aを備える細胞株の製造方法。
[5]さらに、前記細胞株がxthA遺伝子を有しない場合に、前記xthA遺伝子を細胞株の染色体に挿入し、xthA遺伝子を発現させる工程C、及び/又は、前記細胞株がhsdR遺伝子を有する場合に、前記hsdR遺伝子の少なくとも一部の機能を失わせる工程Bを備える[4]に記載の製造方法。
[6]前記細胞株が大腸菌又は哺乳動物細胞に由来するものである[4]又は[5]に記載の製造方法。
[7]rpoZ遺伝子、yfaH遺伝子、rsxC遺伝子、yeaE遺伝子、slyA遺伝子、及びsapC遺伝子からなる群から選ばれる少なくとも1種の遺伝子の少なくとも一部の機能が失われたことを特徴とする細胞株。
[8]さらに、xthA遺伝子を有し、及び/又は、hsdR遺伝子の少なくとも一部の機能が失われた[7]に記載の細胞株。
[9]前記細胞株が、大腸菌又は哺乳動物細胞に由来するものである[7]又は[8]に記載の細胞株。
[10][1]~[3]のいずれか一つに記載の方法、又は[4]~[6]のいずれか一つに記載の製造方法を用いて、インビボクローニング可能な細胞株をスクリーニング、又は製造した後、得られた細胞株に、ベクターと、5’末端領域及び3’末端領域に前記ベクター上の挿入を行う部位と相同な塩基配列を有する目的の二本鎖DNAとを導入する導入工程と、前記導入工程後、前記細胞株を培養し、前記目的の二本鎖DNAを相同組換えにより前記ベクターに挿入する挿入工程と、を備えることを特徴とするインビボクローニング方法。
[11]インビボクローニングを行うためのキットであって、[7]~[9]のいずれか一つ記載の細胞株を備えることを特徴とするキット。
本発明のスクリーニング方法について、以下に詳細を説明する。
[第1の選択工程]
本発明のスクリーニング方法は、細胞株について、rpoZ遺伝子、yfaH遺伝子、rsxC遺伝子、yeaE遺伝子、slyA遺伝子、及びsapC遺伝子からなる群から選ばれる少なくとも1種の遺伝子の有無を評価し、評価された前記遺伝子の少なくとも一部の機能が失われた細胞株を選択する第1の選択工程を備える。
また、細胞株として、大腸菌株以外の株を用いる場合、存在の有無を評価する遺伝子は、対応する生物のホモログ遺伝子となる。例えば、細胞株としてヒト培養細胞株を用いる場合、rpoZ遺伝子、yfaH遺伝子、rsxC遺伝子、yeaE遺伝子、slyA遺伝子、及びsapC遺伝子のそれぞれのヒトホモログの存在の有無を評価する。
なお、本明細書において、「インビボクローニング」とは、細胞内で目的のDNAをクローニングする技術を意味する。
なお、本明細書において、「iVEC活性」とは、PCR増幅した挿入DNA断片とベクターDNAを同時にトランスフォームするだけでクローニングできる、大腸菌株の能力を意味し、例えば、挿入DNA断片が導入された大腸菌株のコロニー数で表される。
または、例えば、細胞株からDNAを抽出し、これらの遺伝子に対するプライマーセットを用いたリアルタイムPCR法により、反応液に予め蛍光プローブ又は蛍光色素を添加し、リアルタイムでこれらの遺伝子の増幅をモニタリングしながら定量的に検出する方法が挙げられる。
本発明のスクリーニング方法は、さらに、前記第1の選択工程の後に、xthA遺伝子の有無を評価し、xthA遺伝子を有する細胞株を選択する第2の選択工程を備えることが好ましい。
図1は、xthA遺伝子を有する細胞内での相同組換えのメカニズムを模式的に示す図である。図1において、相同配列を有する部位3a及び3bのうち、相同配列を有する部位3bにおける相同組換えのメカニズムを示している。また、相同配列を有する部位3bにおける相同配列を配列Xとした場合、目的の二本鎖DNA1(以下、「dsDNA」と称する場合がある。)及びベクターにおいて、相同配列を有する部位3bは、配列Xを有する部位3b-1と、配列Xと相補的な配列を有する部位3b-2とからなる。
まず、発現した3’→5’エキソヌクレアーゼ4は、目的のdsDNA1及びベクター2が導入された細胞内において、目的のdsDNA1の3’末端から内側へ向かって配列Xを有する部位3b-1を分解し、配列Xと相補的な配列を有する部位3b-2を含む末端部に1本鎖領域を生成する。また、3’→5’エキソヌクレアーゼ4は、ベクター2の3’末端から内側へ向かって配列Xと相補的な配列を有する部位3b-2を分解し、配列Xを有する部位3b-1を含む末端部に1本鎖領域を生成する。その結果、目的のdsDNA1の配列Xと相補的な配列を有する部位3b-2を含む末端部と、ベクター2の配列Xを有する部位3b-1を含む末端部とがアニールする。次いで、細胞内に存在するDNAポリメラーゼ5によりニックが埋められ、DNAリガーゼ6により結合される。逆側の相同配列を有する部位3aを含む末端部でも同様のメカニズムで相同組換えが行われているため、その結果、目的の二本鎖DNAがベクターに挿入される。
よって、xthA遺伝子を有する細胞株を選択することで、高効率で相同組換えが行われ、目的の二本鎖DNAが挿入されたベクターを得ることができ、高効率でインビボクローニングを行うことができる。
本発明のスクリーニング方法は、第2の選択工程に代えて、又は第2の選択工程とともに、hsdR遺伝子の有無を評価し、hsdR遺伝子の少なくとも一部の機能が失われた細胞株を選択する第3の選択工程を備えることが好ましい。
通常、外来DNAである目的の二本鎖DNA及びベクターは、特定の塩基配列を有する場合、いずれの鎖においても該配列はメチル化されていないため、上記制限-修飾システムにより切断される。
よって、hsdR遺伝子の機能が失われた細胞株を選択することで、外来DNAである目的の二本鎖DNA及びベクターが上記制限-修飾システムによる切断を受けないため、高効率で相同組換えが行われ、目的の二本鎖DNAが挿入されたベクターを得ることができ、高効率でインビボクローニングを行うことができる。
本発明のインビボクローニング可能な細胞株の製造方法は、前記細胞株がrpoZ遺伝子、yfaH遺伝子、rsxC遺伝子、yeaE遺伝子、slyA遺伝子、及びsapC遺伝子からなる群から選ばれる少なくとも1種の遺伝子を有する場合に、前記遺伝子の少なくとも一部の機能を失わせる工程Aを備える。
本発明の製造方法について、以下に詳細を説明する。
rpoZ遺伝子、yfaH遺伝子、rsxC遺伝子、yeaE遺伝子、slyA遺伝子、及びsapC遺伝子からなる群から選ばれる少なくとも1種の遺伝子の少なくとも一部の機能を失わせる方法としては、これらの標的遺伝子をノックアウトする方法、又はこれらの標的遺伝子をノックダウンする方法が挙げられる。
細胞株として大腸菌株を用い、これらの遺伝子をノックアウトする場合、λRedレコンビナーゼを利用した相同組み換え方法(参考文献:Datsenko and Wanner, “One-step inactivation of chromosomal genes in Escherichia coli K-12 using PCR products”, PNAS, vol.97, no.12, p6640-6645, 2000.)が挙げられる。
また、これらの標的遺伝子をノックアウトする技術として、ゲノム編集技術が挙げられる。ゲノム編集技術としては、例えば、CRISPR-Cas9システム、TALENシステム、Znフィンガーヌクレアーゼシステム等が挙げられる。
また、これらの標的遺伝子をノックダウンする方法としては、RNAi誘導性核酸(例えば、siRNA、shRNA、miRNA等)を用いる方法が挙げられる。
これらの標的遺伝子が欠損したかを確認する方法としては、上述の[第1の選択工程]において標的遺伝子の有無を評価する方法として例示された方法と同様の方法が挙げられる。
本発明のインビボクローニング可能な細胞株の製造方法は、前記細胞株がhsdR遺伝子を有する場合に、前記hsdR遺伝子の少なくとも一部の機能を失わせる工程Bを備えることが好ましい。
hsdR遺伝子を有する場合に、前記hsdR遺伝子の少なくとも一部の機能を失わせる方法、及びhsdR遺伝子が欠損したかを確認する方法としては、上述の[第1の選択工程]において標的遺伝子の有無を評価する方法として例示された方法と同様の方法が挙げられる。
本発明のインビボクローニング可能な細胞株の製造方法は、工程Bに代えて、又は工程Bとともに、xthA遺伝子を細胞株の染色体に挿入し、xthA遺伝子を発現させる工程Cを備えることが好ましい。
特に、細胞株がxthA遺伝子を有しない場合に、xthA遺伝子を細胞株の染色体に挿入し、xthA遺伝子を発現させることが好ましい。また、既にxthA遺伝子を有する細胞株においても、さらにxthA遺伝子を挿入することにより、xthA遺伝子を高発現させてもよい。
薬剤選択マーカー遺伝子は、xthA遺伝子の上流(5’側)又は下流(3’側)に、作動可能に連結されていればよい。薬剤選択マーカー遺伝子としては、例えば、ネオマイシン耐性遺伝子、ヒスティディノール耐性遺伝子、ピューロマイシン耐性遺伝子、ハイグロマイシン耐性遺伝子、ブラストサイジン耐性遺伝子、アンピシリン耐性遺伝子、クロラムフェニコール耐性遺伝子等が挙げられ、これらに限定されない。薬剤選択マーカー遺伝子を挿入することにより、該薬物を含む培地を用いて細胞を培養することで、xthA遺伝子が導入された細胞を選択することができる。
なお、本明細書において、「作動可能に連結」とは、遺伝子発現制御配列(例えば、プロモーター又は一連の転写因子結合部位)と発現させたい遺伝子(本発明においては、xthA遺伝子)との間の機能的連結を意味する。ここで、「発現制御配列」とは、その発現させたい遺伝子(本発明においては、xthA遺伝子)の転写を指向するものを意味する。
または、[第1の選択工程]において標的遺伝子の有無を評価する方法として例示された方法と同様の方法が挙げられる。
本発明の細胞株は、rpoZ遺伝子、yfaH遺伝子、rsxC遺伝子、yeaE遺伝子、slyA遺伝子、及びsapC遺伝子からなる群から選ばれる少なくとも1種の遺伝子の少なくとも一部の機能が失われた細胞株である。
また、本発明の細胞株は、xthA遺伝子を有することに代えて、又はxthA遺伝子を有することに加えて、hsdR遺伝子の少なくとも一部の機能が失われた細胞株であることが好ましい。hsdR遺伝子の少なくとも一部の機能が失わることにより、外来DNAが、制限-修飾システムによる切断を受けず、高効率で相同組換えが行われる。
本発明のインビボクローニング方法は、上述のスクリーニング方法、又は上述の製造方法を用いて、インビボクローニング可能な細胞株をスクリーニング、又は製造した後、得られた細胞株に、ベクターと、5’末端領域及び3’末端領域に前記ベクター上の挿入を行う部位と相同な塩基配列を有する目的の二本鎖DNAとを導入する導入工程と、前記導入工程後、前記細胞株を培養し、前記目的の二本鎖DNAを相同組換えにより前記ベクターに挿入する挿入工程と、を備えるインビボクローニング方法を提供する。
本発明のインビボクローニング方法において用いられる細胞株は、導入工程で用いられるのに適した細胞数となるように、予め培養しておけばよい。
本発明のインビボクローニング方法について、以下に詳細に説明する。
まず、上述のスクリーニング方法、又は上述の製造方法で得られた細胞株に、ベクターと、5’末端領域及び3’末端領域に前記ベクター上の挿入を行う部位と相同な塩基配列を有する目的の二本鎖DNAとを導入する。
ベクターは、タグ配列、プロモーター配列、転写終結配列、及び薬剤選択マーカー遺伝子の組み合わせを含んでいてもよい。ここで、タグの中には、蛍光タグ(GFPなど)、アフィニティータグ、デグロンタグ、局在タグ等が挙げられる。
次いで、導入工程後の細胞株を培養し、目的の二本鎖DNAを相同組換えによりベクターに挿入する。
培養温度としては、例えば25℃以上40℃以下であってもよく、例えば30℃以上39℃以下であってもよく、例えば35℃以上39℃以下であってもよい。
また、培養環境は、例えば約5%のCO2条件下であってもよい。
培養時間としては、細胞の種類、細胞数等により適宜選択することができ、例えば1日以上15日以下であってもよく、例えば1日以上10日以下であってもよく、例えば1日以上7日以下であってもよい。
細胞培養用培地としては、例えば、LB培地、大腸菌用最少培地(Davis培地)、大腸菌用最少塩培地(MS)等の大腸菌培養用培地;枯草菌用最少培地(Spizizen最少培地)、枯草菌用最少塩培地、枯草菌形質転換用培地I、枯草菌形質転換用培地II等の枯草菌培養用培地;酵母用最少培地(YPD培地)、酵母用完全培地(YPAD培地)等の酵母培養用培地;MurashigeとSkoogの培地(MS培地)、B5培地、ハイポネックス培地等の植物培養用培地;グレース昆虫培地、シュナイダー昆虫培地等の昆虫細胞培養用培地;DMEM、Minimum Essential Medium(MEM)、RPMI-1640、Basal Medium Eagle(BME)、Dulbecco’s Modified Eagle’s Medium:Nutrient Mixture F-12(DMEM/F-12)、Glasgow Minimum Essential Medium(Glasgow MEM)等の動物細胞培養用培地等が挙げられ、これらに限定されない。
確認工程において、目的の二本鎖DNAが挿入されたベクターが形成されているか否かを確認する方法としては、公知の方法を用いればよく、例えば、薬剤選択マーカー遺伝子を目的の二本鎖DNAと共に挿入することにより、薬剤を含む培地にて、細胞株を培養し、生育可能な細胞を選択する方法が挙げられる。
ベクターにおいても薬剤選択マーカー遺伝子を有する場合は、目的の二本鎖DNAと共に挿入される薬剤選択マーカー遺伝子と、ベクターが有する薬剤選択マーカー遺伝子とは異なる種類のものであることが好ましい。
本発明のキットは、インビボクローニングを行うためのキットであって、上述した細胞株を備えるキットを提供する。
本発明のキットに備えられたベクターとしては、特別な限定はなく、上述の<<インビボクローニング方法>>において例示されたものと同様のものが挙げられる。
(1)インサートDNA及びベクターの作製
図2は、iVEC活性の高い大腸菌株の探索方法のスキームを示す。
インサートDNAとして、pACYC184由来のクロラムフェニコール耐性遺伝子を有し、かつ5’末端側及び3’ 末端側それぞれにベクターに対して相同な配列(20bp)を有するDNA(992bp)を用いた(インサートDNAの塩基配列を配列番号1に示した)。
また、ベクターとして、アンピシリン耐性遺伝子を有するpUC19ベクター(2.6kb)を用いた(pUC19ベクターの塩基配列を配列番号2に示した)。
まず、インサートDNA及びベクターを以下の表1に示すPCRでの増幅用プライマーの塩基配列を用いて、PCRを行い、反応液を得た。
PCR反応液を精製してその後のスクリーニングに用いた。
次いで、3909種の大腸菌株を備えたKeio collection(参考文献:Baba et al., (2006) Molecular Systems Biology, doi:10.1038/msb4100050)を用いて、iVEC活性の高い株をスクリーニングした。具体的には、1mlのL倍地中で、37℃で一晩静置培養した培養液を氷上で10分間静置した後に、5,000g、4℃で1分間遠心して、上清を除いた。沈殿した大腸菌株を、(1)で増幅したベクター及びインサートDNAをそれぞれ0.05pmol, 0.15pmolを加えたTSS溶液(10%PEG8000,10%glycerol,50mM MgSO4,10%DMSO in L培地)に懸濁して、液体窒素を用いて凍結させた。これを氷上で10分間静置して溶かした後、軽く混ぜて、さらに10分間氷上で静置した。これにL培地を1mL加えて37℃で45分間培養した。次いで、5,000gで1分間遠心し、培地の大半を捨て、培地を100μL程度残した。次いで、各大腸菌株のペレットを懸濁し、クロラムフェニコール及びアンピシリンを含むLB寒天培地に塗り広げ、大腸菌を植菌したこのLB寒天培地を37℃で16時間培養し、1枚のLB寒天培地プレートに出現したコロニー数を計測した。BW25113株を用いて同様の操作を行い、1枚のLB寒天培地プレートに出現したコロニー数を計測し、コントロールとした。BW25113株のコロニー数を1としたときに、2.5倍以上のコロニー数を有する(iVEC活性を有する)株として、ΔrpoZ::kan株、ΔyfaH::kan株、ΔrsxC::kan株、ΔyeaE::kan株、ΔslyA::kan株、及びΔsapC::kan株を見出した。
rpoZ欠失株の作製では、まずプラスミドベクターpKH5002SBを鋳型にしてプライマーセット[pKH_F, pKH_R]を用いてPCRすることにより線状化した。大腸菌野生株であるMG1655株のゲノムより、rpoZ遺伝子の上流部分と下流部分の約1.5kbの領域を、それぞれプライマーセット[rpoZ_up_F, rpoZ_up_R],[rpoZ_down_F, rpoZ_down_R]を用いてPCRにより増幅して、得られたDNA断片をそれぞれrpoZ_up, rpoZ_downとした。rpoZ_up_F及びrpoZ_down_RはそれぞれpKH_R及びpKH_Fと相補的な20bpの塩基配列が付加されている。また、rpoZ_up_RとrpoZ_down_Fは相補的な配列である。線状化したpKH5002SBとrpoZ_up, rpoZ_downはKeioコレクションのΔrnhA::kan株を用いてiVEC法によりアッセンブルすることで環状プラスミドpKH5002SBΔrpoZを得た。このプラスミドをiVEC3(recA+)株 [MG1655 ΔhsdR ΔendA]に導入することで、北川らの方法(Genes Dev. 1998 Oct 1; 12(19): 3032-3043. )を用いて2回の相同組換えを経ることでrpoZ遺伝子を欠失させた。yfaH, rsxC, yeaE, slyA, sapC遺伝子についても同様の方法で欠失株を作製した。各プライマーの塩基配列は、表2に示す通りである。
図4に示すように、ΔslyAのiVEC活性は、野生型と比較して30%上昇していた。ΔsapCのiVEC活性は、野生型と比較して30%上昇していた。
これらのことから、rpoZ遺伝子、yfaH遺伝子、rsxC遺伝子、yeaE遺伝子、slyA遺伝子、及びsapC遺伝子の欠損変異は、iVEC活性を上昇させることが確かめられた。
Claims (7)
- インビボクローニング可能な大腸菌細胞株をスクリーニングするための方法であって、
大腸菌細胞株について、rpoZ遺伝子、yfaH遺伝子、rsxC遺伝子、yeaE遺伝子、slyA遺伝子、及びsapC遺伝子からなる群から選ばれる少なくとも1種の遺伝子の有無を評価し、評価された前記遺伝子の少なくとも一部の機能が失われた大腸菌細胞株を選択する第1の選択工程を備えることを特徴とする方法。 - さらに、前記第1の選択工程の後に、xthA遺伝子の有無を評価し、xthA遺伝子を有する大腸菌細胞株を選択する第2の選択工程、及び/又は、hsdR遺伝子の有無を評価し、hsdR遺伝子の少なくとも一部の機能が失われた大腸菌細胞株を選択する第3の選択工程を備える請求項1に記載の方法。
- インビボクローニング可能な大腸菌細胞株の製造方法であって、
前記大腸菌細胞株がrpoZ遺伝子、yfaH遺伝子、rsxC遺伝子、yeaE遺伝子、slyA遺伝子、及びsapC遺伝子からなる群から選ばれる少なくとも1種の遺伝子を有する場合に、前記遺伝子の少なくとも一部の機能を失わせる工程Aを備える大腸菌細胞株の製造方法。 - さらに、前記大腸菌細胞株がxthA遺伝子を有しない場合に、前記xthA遺伝子を大腸菌細胞株の染色体に挿入し、xthA遺伝子を発現させる工程C、及び/又は、前記大腸菌細胞株がhsdR遺伝子を有する場合に、前記hsdR遺伝子の少なくとも一部の機能を失わせる工程Bを備える請求項3に記載の製造方法。
- 請求項1又は2に記載の方法、或いは請求項3又は4に記載の製造方法を用いて、インビボクローニング可能な細胞株をスクリーニング、又は製造した後、得られた細胞株に、ベクターと、5’末端領域及び3’末端領域に前記ベクター上の挿入を行う部位と相同な塩基配列を有する目的の二本鎖DNAとを導入する導入工程と、
前記導入工程後、前記細胞株を培養し、前記目的の二本鎖DNAを相同組換えにより前記ベクターに挿入する挿入工程と、
を備えることを特徴とするインビボクローニング方法。 - インビボクローニングを行うためのキットであって、rpoZ遺伝子、yfaH遺伝子、rsxC遺伝子、yeaE遺伝子、slyA遺伝子、及びsapC遺伝子からなる群から選ばれる少なくとも1種の遺伝子の少なくとも一部の機能が失われた大腸菌細胞株を備えることを特徴とするキット。
- 前記大腸菌細胞株は、さらに、xthA遺伝子を有し、及び/又は、hsdR遺伝子の少なくとも一部の機能が失われた請求項6に記載のキット。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018087164A JP7018198B2 (ja) | 2018-04-27 | 2018-04-27 | インビボクローニング可能な細胞株をスクリーニングするための方法、インビボクローニング可能な細胞株の製造方法、細胞株、インビボクローニング方法、及びインビボクローニングを行うためのキット |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018087164A JP7018198B2 (ja) | 2018-04-27 | 2018-04-27 | インビボクローニング可能な細胞株をスクリーニングするための方法、インビボクローニング可能な細胞株の製造方法、細胞株、インビボクローニング方法、及びインビボクローニングを行うためのキット |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2019187368A JP2019187368A (ja) | 2019-10-31 |
JP7018198B2 true JP7018198B2 (ja) | 2022-02-10 |
Family
ID=68387520
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2018087164A Active JP7018198B2 (ja) | 2018-04-27 | 2018-04-27 | インビボクローニング可能な細胞株をスクリーニングするための方法、インビボクローニング可能な細胞株の製造方法、細胞株、インビボクローニング方法、及びインビボクローニングを行うためのキット |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP7018198B2 (ja) |
Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2018007589A (ja) | 2016-07-11 | 2018-01-18 | 大学共同利用機関法人情報・システム研究機構 | インビボクローニング可能な細胞株をスクリーニングするための方法、インビボクローニング可能な細胞株の製造方法、細胞株、インビボクローニング方法、及びインビボクローニングを行うためのキット |
-
2018
- 2018-04-27 JP JP2018087164A patent/JP7018198B2/ja active Active
Patent Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2018007589A (ja) | 2016-07-11 | 2018-01-18 | 大学共同利用機関法人情報・システム研究機構 | インビボクローニング可能な細胞株をスクリーニングするための方法、インビボクローニング可能な細胞株の製造方法、細胞株、インビボクローニング方法、及びインビボクローニングを行うためのキット |
Non-Patent Citations (3)
Title |
---|
Jacob C. Carlson et al.,Nat Chem Biol.,2014年03月,Vol. 10, No. 3,p. 216-222 |
Jonathan D. Olinet et al.,Nucleic Acids Research,1993年,Vol. 21, No. 22,p. 5192-5197 |
Tomoya Baba et al.,Molecular Systems Biology,2006年02月21日,p. 1-11,doi:10.1038/msb4100050 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2019187368A (ja) | 2019-10-31 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US11555181B2 (en) | Engineered cascade components and cascade complexes | |
JP6462069B2 (ja) | 標的化したdna配列の核酸塩基を特異的に変換するゲノム配列の改変方法及びそれに用いる分子複合体 | |
DK3155099T3 (en) | NUCLEASE MEDIATED DNA COLLECTION | |
Park et al. | Enhancing recombinant protein production with an Escherichia coli host strain lacking insertion sequences | |
US11767525B2 (en) | System and method for genome editing | |
WO2010030776A1 (en) | Homologous recombination-based dna cloning methods and compositions | |
JP2023063448A (ja) | 細胞の有する二本鎖dnaの標的部位を改変する方法 | |
JP7018198B2 (ja) | インビボクローニング可能な細胞株をスクリーニングするための方法、インビボクローニング可能な細胞株の製造方法、細胞株、インビボクローニング方法、及びインビボクローニングを行うためのキット | |
JP2024501892A (ja) | 新規の核酸誘導型ヌクレアーゼ | |
JP6779513B2 (ja) | インビボクローニング可能な細胞株をスクリーニングするための方法、インビボクローニング可能な細胞株の製造方法、細胞株、インビボクローニング方法、及びインビボクローニングを行うためのキット | |
US20190218533A1 (en) | Genome-Scale Engineering of Cells with Single Nucleotide Precision | |
JPWO2018015995A1 (ja) | 長鎖一本鎖dnaを調製する方法 | |
Bennis et al. | Expanding the genome editing toolbox of Saccharomyces cerevisiae with the endonuclease Er Cas12a | |
AU2021103778A4 (en) | Gene editing tool derived from lactobacillus buchneri and preparation method and applications thereof | |
RU2771626C1 (ru) | Средство разрезания двунитевой ДНК с помощью Cas12d белка из Katanobacteria и гибридной РНК, полученной путем слияния направляющей CRISPR РНК и scout РНК | |
WO2024156084A1 (en) | Variants of cpf1 (cas12a) with improved activity |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20180608 |
|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20210113 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20211020 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20211026 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20211222 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20220111 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20220124 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 7018198 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |