熱交換器を介して蒸気を加熱源として用いる様々な工場や施設等において、蒸気使用設備やこれら設備間の蒸気輸送配管系で発生するドレンを自動的に系外へ排出する必要がある。これは、乾燥機の熱交換器部や加熱窯等の蒸気使用設備をはじめとして、これらを接続する蒸気輸送配管で適切な温度条件を確保し、工場の安定かつ安全な操業を確保するためである。例えば、蒸気使用設備内や蒸気輸送配管系内にドレンが滞留すると、加熱効率が低下し、設備の生産性を著しく低下させると共に,ドレン滴による加熱ムラが生産物の品質不良を引き起こす原因となり、工場の安定操業に支障を来す。また、蒸気配管系内に滞留しているドレンが、蒸気で押し流されながら大きな塊を作って配管の屈曲部やバルブに衝突したり、蒸気と接触すると一気に凝縮して蒸気体積がゼロとなって局部的に真空状態が作られたところにドレンが押し寄せて衝突したりするという、スチームハンマーの発生原因になる。このスチームハンマーが発生すると、配管内の急激な圧力変化によって、接続部のガスケットやフランジ、更には、バルブ自体の破損にも至り、大量の蒸気や高温のドレンが噴出し、大事故になる危険性がある。
そのため、上記工場や施設等において、大量のスチームストラップが設置されており、従来、機械工学的なメカニカルスチームトラップ(バケット式・フロート式)、サーモスタティックスチームトラップ(バイメタル式・ベローズ式)、及び、サーモダイナミックスチームトラップ(ディスク式)が用いられてきた。
しかし、これらメカニカルスチームトラップには、次のような課題がある。メカニカルスチームトラップは、可動部を有する排水弁機構であり、一定量のドレンが貯水されると排水弁の開放によって排水され、その後直ちに排水弁が閉鎖される動作の繰り返しである。従って、この機構に起因して、動作遅れや繰返し動作による多量の蒸気漏れを回避することが困難な上、排水弁の開放・閉鎖という動作は、その可動部の損傷が生じ易く、蒸気使用設備の安定操業を保障するものではない。更に、この排水弁の開放・閉鎖という動作に基づく間歇的な排水は、それと同時に、多量の蒸気が漏れるため、エネルギーロスという問題もある。これまでの工場管理者は、ドレン排水の必要性だけに対する意識が強いため、見落とされる傾向にあったが、近年、工場の高効率化・省エネルギー化・CO2削減等の地球環境保全という観点から、最も重要な課題となってきた。
そこで、オリフィスノズル式、ベンチュリーノズル式、及び、トンネル構造抵抗管式スチームトラップのような各種ノズル式スチームトラップに対する関心が高まってきた。これらは、流体工学的スチームトラップと呼ばれ、蒸気よりも水の方が微細な通路を通過するときの動粘度が低く、水が蒸気の約30倍も流れるという排水機構を利用したものであり、可動部がない構造をしている。従って、上記従来の可動部を有するスチームトラップとは異なり、蒸気漏れが少ない連続的ドレン排水が実現され、ボイラーの燃料使用量が大幅に削減される。また、可動部のない構造は、耐久性に優れ、保守・点検が簡単に行える特徴がある。更に、スチームハンマーや凍結にも強く、安定性・安全性にも優れている。
このような具体例としては、例えば、特許文献1にはオリフィスノズル式スチームトラップが、特許文献2には、ベンチュリーノズル式スチームトラップが開示されている。このようなノズル式スチームトラップは、上述した利点があるものの、次のような課題を有している。図1に示すベンチュリーノズル式スチームトラップで説明すると、ドレン排水量がノズル3の孔径に依存するので、入口と出口の作動圧力差の変動等に伴うドレン排水量の調整、及び、季節による外的要因及び蒸気使用設備の運転状況等による蒸気使用量の変動等に応じたノズル3の交換が必要であるという問題がある。また、ノズル3をドレンが通過する前に、ドレン中の錆や塵等を捕捉するスクリーン6がストレーナー5中に備えられているが、ノズル3の孔径が小さいため、スクリーン6で錆や塵等を捕捉するには限界があり、ノズル3の目詰まりが発生しやすいという問題もある。更に、流体工学的スチームトラップの水が蒸気の約30倍も流れるという排水機構だけでは、蒸気漏洩を十分防止することができないという課題もある。
特許文献1は、これらの問題に対し、オリフィスノズルのドレン排水量の調節と、ドレン中の錆や塵等によるオリフィスノズルの目詰まりを防止するため、オリフィスノズルの孔に設けた軸方向に進退可能な部材によって、オリフィスノズルの孔径を調整すると共に、目詰まりした錆や塵等を除去するものである。しかし、この解決手段では、ドレン排水量の調節にも限界があり、人手を要するという問題がある。また、蒸気漏洩量の低減という課題が認識されていない。
特許文献2は、図1に示す代表的なベンチュリーノズル式スチームトラップに関するもので、ベンチュリーノズル3が本質的に有する、ドレン排水量の調節の問題、錆や塵等の目詰まりの問題、及び、蒸気漏洩の問題について何ら認識されていない。
その後、これらのノズル式スチームトラップの課題に対する認識が高まり、特許文献3及び4において、ようやくその解決手段が検討され開示された。
特許文献3は、図2に示すように、スチームトラップに設けられているドレン貯水部9にドレンが排出されるドレン排出口3-2と、ドレン貯水部9からスチームトラップ系外にドレンを排出するドレン系外排出口11との高低差を、回転することによりドレン排水量を調整することができるものである。機構が単純で、スチームトラップを小型化できる上、流体工学的スチームトラップの水が蒸気の約30倍も流れるという排水機構に加えて、ドレンによるノズル3の封鎖によって蒸気漏洩を防止することができるという特徴がある。しかし、ノズル3がドレンによって封鎖されているとはいえ、ドレンの貯水量が少なく、蒸気の漏洩防止機能が不足する場合がある。また、入口と出口の作動圧力差の変動等に伴うある程度のドレン排水量の調整は、スチームトラップのボディ1の回転によって対処できるという大きな利点があるが、季節による外的要因及び蒸気使用設備の運転状況等に伴う蒸気使用量の変動等による大きなドレン排水量の変化に対応するためには、ノズル3に穿設される孔の径が異なるノズル3の交換が必要である。また、このようなノズルの孔径は小さいため、ドリル加工では対応できず、放電加工が必要な場合もあり、労力を必要として高価となる上、孔内の形状の平坦性が悪くなる。そして、このノズル式スチームトラップでは、ストレーナー5の中に備えられているスクリーン6の目を微細化していることを特徴としているが、ノズル3の孔径が小さいため、スクリーン6で錆や塵等を捕捉するには限界があり、ノズルの目詰まりを完全に防止することは困難である。
そこで、特許文献4には、上述したノズルの目詰まりの問題を解決するため、最先端が砲弾状に加工されたノズル及びノズルの孔からノズルの外周方向に向かって溝が形成されているノズル等が提案されているが、加工が困難で生産性が悪いという問題がある。また、従来のノズル同様、大きなドレン排水量の変化に対応するためには、蒸気の漏洩防止機能が不足する場合があるため、ノズルに穿設される孔の径が異なるノズルの交換が必要である。
一方、特許文献5及び6は、ドレンを蒸気に変換して排出するスチームトラップであって、微細な通路を通過する蒸気と水の流量の差を利用した上記流体工学的ノズル式スチームトラップとは根本的に異なる方式であるが、ノズルを用いたスチームトラップを改良しようとするものである。なお、本明細書においては、このようなスチームトラップも含め、ノズルを用いるスチームトラップを全てノズル式スチームトラップという。
特許文献5は、流体工学的ノズル式スチームトラップのノズルの流体排出口が小さくて短いことに起因する問題を解決しようとするものである。すなわち、大きなドレン蓄積管にドレンを貯め、そのドレン蓄積管に、ドレンを蒸気に変換する長孔が穿設された蒸気発生ノズルが設けられ、その出口側に複数の蒸気吐出孔と長孔の出口を塞ぐ栓を備えた蒸気吐出量調節キャップが螺着され、蒸気吐出量調節キャップを回動することにより、蒸気吐出量を制御するものである。蒸気漏洩がドレンで防止されているが、従来のメカニカルスチームストラップ同様、ドレン蓄積管という大きな容器を設けるスペースが必要である上、ドレン排水量の変化に対応しなければならず、人手を有する蒸気吐出量調節キャップの回動を頻繁に行わなければならいという問題がある。また、錆や塵等によるノズルの目詰まりの問題は、従来のストレーナーの中のスクリーンに依存したままであって、解決手段が提示されていない。そして、流体工学的ノズル式スチームトラップ同様、大きなドレン排出量の変化に対応するノズル孔径の調整は、長孔を穿設するノズルを交換しなければならない。
特許文献6は、特許文献5のドレン蓄積管に、ドレンを蒸気に変換して排出するスチームトラップを連結し、更に、そのスチームトラップのドレン抜き取り口に塵等を分離できるサイクロンを連結すると共に、ドレン蓄積管にドレンの増減に応じてサイクロンの排出弁を開閉するセンサを設けることによって、ドレン排出能力を制御するものである。この場合も、蒸気漏洩はドレンで防止されているが、特許文献5以上に大きなスペースが必要である上、機構が複雑で、数多く必要とされるスチームトラップには経済性の問題も生じる。また、ノズルの孔径の調整及びノズルの目詰まりも、特許文献5と同様の問題がある。
以上、ノズル式スチームトラップは、メカニカルスチームトラップと比較して、エネルギー効率、耐久性、安定性、安全性に優れているという特徴を有している反面、流体工学的ノズル式スチームトラップであるか否かにかかわらず、ノズルに起因する、孔径加工及びその調整、目詰まり及び蒸気漏洩、経済性及び大きさ等の問題があり、これらの解決手段が提案されてきた。しかし、従来の改良技術は、蒸気使用量に応じた孔径調整機構としてスチームトラップ本体に嵌脱して交換するノズルが、ノズル式スチームトラップの必須構成部品であることを前提としているため、ノズルに起因する本質的課題を解決することは困難である。
従来の各種ノズル式スチームトラップは、蒸気使用量に応じた孔径調整機構としてスチームトラップ本体に嵌脱して交換するノズルが、ノズル式スチームトラップの必須構成部品であることを前提としているため、ノズルに起因する課題を有している。まず、排水量を制御するために、孔径が調整されたノズルが多数用意される必要がある。そのため、ドリル加工や放電加工等によって微細な孔がノズルに形成されているが、多大な労力がかかり、高価となる上、放電加工では孔内の形状の平坦性が悪くなるという問題がある。また、ノズルの孔径が小さいため、スクリーンでは捕捉されない錆や塵等によるノズルの目詰まりの問題もある。更に、ドレンによってノズルが封鎖されていない機構のノズル式スチームトラップにおいては言うまでもなく、ドレンによってノズルが封鎖されている機構のノズル式スチームトラップにおいても、ドレンの貯水量が少ない場合は、蒸気の漏洩防止機能が不足する場合がある。
本発明は、ノズル式スチームトラップの蒸気使用量に応じた孔径調整機構として必須構成部品であって、ノズル式スチームトラップの本質的問題の原因となる、スチームトラップ本体に嵌脱して交換するノズルを必要としない流体工学的排水機構のスチームトラップを提供することを目的としている。言い換えれば、本発明は、蒸気使用量に応じた孔径調整機構として嵌脱して交換するノズルの機能をスチームトラップ本体に一体化したスチームトラップで、孔径加工及び孔径調整がノズルよりも容易で、ドレン内の錆や塵等よるノズル目詰まりを自動的に除去することが可能である上、小型で安価な流体工学的排水機構のスチームトラップを提供することを目的としている。
本発明者らは、少なくとも、蒸気輸送配管系からスチームトラップ本体に流入してくるドレン流入部と、蒸気輸送配管系外にドレンを排出するドレン排出部との間に連通孔を設け、その連通孔に、連通孔の孔径を調整する孔径調整機構を挿通することによって、ノズルが不要で、ノズルの機能をスチームトラップ本体に一体化した流体工学的排水機構のスチームトラップとして可動することを見出し、本発明の完成に至った。
すなわち、本発明の第一のスチームトラップは、蒸気輸送配管系と接続可能な接続機構を備えたドレン流入部と、蒸気輸送配管系外に繋がるドレン排出部と、蒸気輸送配管系とドレン流入部との接続部の反対側でドレン流入部とドレン排出部とが連通する孔部と、孔部に挿通されている孔径調整機構とから構成されていることを特徴とするスチームトラップであって、本発明の第二のスチームトラップは、蒸気輸送配管系と接続可能な接続機構を備えたドレン流入部と、蒸気輸送配管系外に繋がるドレン排出部と、ドレン流入部とドレン排出部とに介在して連通するドレン貯水部と、蒸気輸送配管系とドレン流入部との接続部の反対側でドレン流入部とドレン貯水部とが連通する孔部と、ドレン貯水部とドレン排出部とを連通する開口部と、ドレン流入部とドレン貯水部とが連通する孔部に挿通されている孔径調整機構とから構成されていることを特徴とするスチームトラップである。両者のスチームトラップ共に、孔部の形状が限定されるものではないが、円柱状であることが好ましく、孔径調整機構を孔部に保持及び揺動可能とする係止構造機構が備えられていることが好ましい。
このように、本発明のスチームトラップは、メカニカルスチームトラップでないことは言うまでもないが、流体工学的排水機構のノズル式スチームトラップの必須構成部品であって、ノズル式スチームトラップの問題の原因となる、ドリル加工や放電加工等によって微細な孔が形成され、嵌脱して交換するノズルを必要としない流体工学的排水機構のスチームトラップであることを大きな特徴としている。
蒸気使用量に応じた孔径の孔が形成されたノズルを数多く用意し、これらを孔径調整機構として嵌脱して交換するノズルの機能を、スチームトラップ本体に一体化したスチームトラップで、ドレン流入部とドレン排出部が連通する孔部またはドレン流入部とドレン貯水部とが連通する孔部(以下、「孔部」という。)とこの孔部に挿通される孔径調整機構とを組合せた機構が、主として、ドレンを排水するノズルの機能を果たすものである。
従来、ノズル式スチームトラップ(図1及び2)のノズルの孔径は、入口と出口の作動圧力差の変動、季節による外的要因及び蒸気使用設備の運転状況等に伴う蒸気使用量の変動等によるドレン排水量の変化に対応するために、直径約0.1~4.4mm程度の範囲のものが使用されてきた。一般に、この孔は、それぞれ、ドリル加工又は放電加工で形成され、状況に適した孔径のノズルが交換、装着される。特に、直径約0.4mm以下の微細な孔径の場合、ドリル加工が困難であり、放電加工により形成していたが、労力を必要とし、高価となる上、孔の内面が不整面となり、流体の流れが不規則となり、ドレン排水上及び蒸気漏洩上好ましくないという問題があった。
これに対し、本発明のドレンを排水する機構は、例えば、孔部を、放電加工を必要としない直径0.4mm以上の円柱状で形成しておき、この孔部に、この孔径を調整可能な太さの異なる円柱状の孔径調整機構を挿通することによって、入口と出口の作動圧力差の変動、季節による外的要因及び蒸気使用設備の運転状況等に伴う蒸気使用量の変動等によるドレン排水量の変化に対応することができるものである。従って、鋳造、ドリル加工、射出成形等の一般的な方法で成形して製造されるスチームトラップ本体の孔部に、種々の太さの孔径調整機構を挿通すればよく、上述したノズルの孔加工に係る諸問題を解決することができる。一方、この孔径の上限は、孔径調整機構の孔径調整機能だけに限定すれば、後述する孔部と孔径調整機構との間隙が重要であり、基本的にスチームトラップ本体の大きさによって制限されるだけある。しかし、孔部の目詰まり防止機能のための孔径調整機構の揺動を考慮すると、50mm以下であることが好ましいが、特に限定されるものではない。
更に、本発明のスチームトラップは、孔部に挿通された種々の太さの孔径調整機構が、孔部に保持及び揺動可能とする係止構造機構を備えているため、ドレンの排水と共に揺動し、ドレン内の錆や塵等を自動的に除去することが可能で、ノズルが目詰まりするというノズル式スチームトラップの問題も解決することができる。
そして、本発明のスチームトラップの特徴であって、排水機能を担い、排水機構を構成する、孔部、孔径調整機構、及び、係止構造機構は、孔部に挿通される孔径調整機構が脱落しない機構であれば特に限定されるものではない。
孔部の長さ及び形状は、ドレン排水量に応じて適宜設計されるもので、特に限定されるものではないが、5~50mmの長さの円柱状であるものが好ましい。
孔径調整機構は、孔部に挿通される形態を有する線状構造体であれば、特に限定されるものではなく、孔部の形状に応じた断面構造を有していればよい。微視的に見れば、ノズルの孔を通過する断面形状であれば、螺旋構造、ジグザグ構造、トポロジカル構造等の種々の形状から構成される線状構造体を含むものである。特に、ドレン内の錆や塵等を自動的に除去するという観点からは、螺旋構造、ジグザグ構造、トポロジカル構造等が好ましいが、円柱構造の線状構造体とすることが合理的である。
そして、線状構造体の直径または外径は、孔部の形状及び大きさとの組合せで、これらの間隙が約0.1~4.4mm程度、または、これらの間隙の断面積が0.01~60mm2となるように適宜設計することが好ましい。しかし、孔部及び線状構造体の断面形状及び形態等に適した設計が必要とされ、これに限定されるものではない。
一方、係止構造機構は、孔径調整機構に形設されるもの、スチームトラップ本体内部に形設されるもの、及び、これらを併用するものが、スチームトラップの構造上好ましく、孔径調整機構を固定化することもできるが、孔部に保持され揺動可能となるように設置することが好ましい。これは、上述したように、ドレンの排出に伴う孔径調整機構の揺動によって、スクリーンでは捕捉されない錆や塵等がノズルの孔を被覆することを妨げることができる目詰まり防止機能も発現することができるためである。また、係止構造機構は、本発明の第一のスチームトラップと第二のスチームトラップに共通した構造体とすることも可能であるが、それぞれに固有の構造体としなければならない場合がある。
このような係止構造機構の具体的な形態としては、折り曲げ構造体、塊状構造体、塊状錘構造体、弾性構造体、ストッパー、及び、これらを組み合わせた構造体を挙げることができるが、孔径調整機構が孔部から脱落しない機構であれば、これらに限定されるものではない。また、係止構造機構を必ずしも必要とするものではなく、スチームトラップ本体自体が係止構造機構として機能する場合もある。
孔径調整機構に形設され、孔径調整機構が孔部に保持され揺動可能な係止構造機構として機能する折り曲げ構造体は、孔部の孔よりも細い孔径調整機構を形成する線状構造体を加工したL字形、T字形、円形、多角形、星形、渦巻き型等の形態の構造体を挙げることができる。また、孔径調整機構とは別に形成された上記各種形態の係止構造機構を孔径調整機構に固設してもよい。この折り曲げ構造体は、孔径調整機構がノズルの孔を通過できない形態に加工されていれば良く、特に限定されるものではない。しかし、線状構造体を加工した折り曲げ構造体の方が加工しやすく、簡便に形成することができ好ましい。そして、このような折り曲げ構造体は、孔部の両側に位置すればよく、孔径調整機構の両端にある必要はなく、孔部の方向が鉛直方向に形成されている場合には、孔部の上方に折り曲げ構造体が少なくとも一つあればよい。ただし、孔部の両側に折り曲げ構造体を形設する方が、孔部に孔径調整機構を確実に保持するという観点から好ましい。
このような折り曲げ構造体と類似した、孔径調整機構に形設され、孔径調整機構が孔部に保持され揺動可能な係止構造機構としては、孔部を閉塞することなく、孔径調整機構を構成する線状構造体が孔部を通過できないような、球状体、柱状体、錐状体、多面体等の塊状構造体を挙げることができ、孔径調整機構に固設して使用する。この塊状構造体も、上記折り曲げ構造体同様、孔部の両側に位置すればよく、孔径調整機構の両端にある必要はなく、孔部の方向が鉛直方向に形成されている場合には、孔部の上方に塊状構造体が少なくとも一つあればよい。ただし、孔部の両側に塊状構造体を形設する方が、孔部に孔径調整機構を確実に保持するという観点から好ましい。そして、孔径調整機構の一方に塊状構造体を、他方に折り曲げ構造体を形設しても良い。
折り曲げ構造体及び塊状構造体は、孔部から排出されるドレン排出量の制御は、孔部と孔径調整機構との間隙の大きさによって行われるが、蒸気の漏洩を防止する効果は期待できない。しかし、係止構造機構を重い塊状錘構造体とすることによって、ドレンの排水量調整機能、目詰まり防止機能に加え、蒸気の漏洩防止機能及びドレンの排水量微調整機能を付与することができる。この比重の重い係止構造機構である塊状錘構造体も、円柱状、四角柱状、錘状、及び、球状等の各種形態とすることができるが、孔部よりも大きな断面積であれば、形態が限定されるものではなく、孔部を閉塞するように、孔径調整機構を構成する線状構造体のドレン排出部側の一端に固設して使用される。従って、塊状錘構造体は、上記塊状構造体と同様の材質であってもよいが、体積が小さく重量のある塊状錘構造体には、比重の重い材質が好ましい。特に、塊状錘構造体は、蒸気使用設備の運転環境及び運転状況等に伴うドレン排水量の調整及び蒸気使用量の変動等に応じた重さに設定する必要がある。この塊状錘構造体も、孔径調整機構の少なくとも一端に固設されていれば良いが、より確実に孔径調整機構を孔部に保持するためには、孔部のドレン排水部側にフランジを設け、このフランジを嵌合する円柱形の揺動可能な塊状錘構造体とすることが好ましい。更に、塊状錘構造体を固設した孔径調整機構の他端に、上記折り曲げ構造体や塊状構造体を固設しても良いが、孔径調整機構の長さが調整され、これらの各構造体が、孔径調整機構を揺動可能なように設計される必要がある。
更に、係止構造機構としては、弾性構造体を用いることができる。この弾性構造体の場合には、ドレンを排出できるように、ステンレス製又はプラスチック製の、コイル状圧縮ばね又は引張りばねであることが好ましい。この弾性構造体は、スチームトラップ本体の内壁又はそこに形設されたストッパーを利用し、圧縮したバネの膨張力又は伸長したバネの収縮力の作用により、孔径調整機構が孔部に保持されるように、孔径調整機構の少なくとも一端、または、スチームトラップ本体の内壁又はそこに形設されたストッパーに固設される。バネの復元力の強さに応じて、孔径調整機構を固定することもでき、揺動することもできる。より確実に孔径調整機構を孔部に保持するためには、両端に弾性構造体を固設しても良いが、一端に弾性構造体を、他端に折り曲げ構造体または塊状構造体を固設しても良い。
弾性構造体の場合、塊状錘構造体と同様、蒸気漏洩防止機能及びドレン排水量微調整機能付与することができる係止構造機構とすることができる。これは、孔径調整機構のドレン排水部側の一端に、上記塊状構造体または塊状錘構造体を固設し、更に、これらのその構造体に上記弾性構造体を固設してなる構造体とすることによって、その目的を達成できる。この場合の塊状構造体、塊状錘構造体、及び、弾性構造体は、形状、材質、機能等いずれも上述した構造体を用いることができ、孔径調整機構の他端に、上記折り曲げ構造体、上記塊状構造体、上記弾性構造体を揺動できるように固設しても良い。このような塊状錘構造体と弾性構造体とを順に連接してなる係止構造機構は、上記塊状錘構造体の蒸気漏洩防止機能及びドレン排水量微調整機能を更に強化することができる。
弾性構造体としては、捩じりバネを用いることもできる。この場合は、捩じりバネを備え、孔径調整機構を備えた塊状構造体または塊状錘構造体が、スチームトラップ本体の内壁の適切な位置、すなわち、塊状構造体または塊状錘構造体が捩じりバネで上下運動して、孔径調整機構が孔部を揺動する位置に配設される。
以上のように、孔部に挿通された孔径調整機構を、孔部に保持し、揺動可能とすることは、係止構造機構を必ずしも形設する必要はなく、孔径調整機構の長さを調整すると共に、スチームトラップ本体の内壁で、孔径調整機構と隣接するように、孔径調整機構を孔部に保持し、揺動可能とするためのストッパーを係止構造機構として形設することによって実現可能である。しかし、係止構造機構としてストッパーを必ずしも形設する必要はない。このストッパーの要否は、本発明の第一のスチームトラップの場合には、それを構成する、ドレン流入部、ドレン排出部、ドレン流入部とドレン排水部とが連通する孔部を配置する位置関係、本発明の第二スチームトラップの場合には、ドレン流入部、ドレン排出部、ドレン貯水部、ドレン流入部とドレン貯水部とが連通する孔部、ドレン貯水部とドレン排出部とを連通する開口部を配置する位置関係、すなわち、スチームトラップの構造設計において決定される。
更に、上述した係止構造機構の有無にかかわらず、孔径調整機構及の長さを調整することによって、孔径調整機構を固定することもでき、揺動可能とすることもできる。
一方、本発明のスチームトラップの材質は、特に限定されるものではないが、蒸気やドレンによって腐食されず、揺動によって壊れにくく、種々の形状に加工できるものが好ましく、ステンレス、プラスチック、セラミック等が用いられる。但し、孔径調整機構と係止構造機構とは、両者が固設可能な材質でなければならず、塊状錘構造体は、蒸気漏洩防止機能及びドレン排水量微調整機能を付与するためには、比重の重い材質が好ましい。
本発明のスチームトラップは、従来の流体工学的スチームトラップ、すなわち、ノズル式スチームトラップの蒸気使用量に応じた孔径調整機構として必須構成部品であって、ノズル式スチームトラップの本質的問題の原因となる、スチームトラップ本体に嵌脱して交換するノズルを必要としないため、ドレン排水孔の孔径加工及び孔径調整がノズルよりも容易で、ドレン内の錆や塵等よるノズル目詰まりを自動的に除去することが可能である上、小型で安価な流体工学的排水機構のスチームトラップを提供することができる。更に、本発明により、蒸気漏洩防止機能やドレン排水量調整機能も付与された体工学的排水機構のスチームトラップを提供することができる。
以下、本発明のスチームトラップについて、本発明の説明に不要な部品及び部材を省略した断面の模式図を用いて説明する。本発明は、図面に示す一実施形態を代表例として具体的な説明を行うが、本発明がこれらに限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することが可能であり、特許請求の範囲に記載した技術思想によってのみ限定されるものである。
図3に、本発明の一実施形態に係る、蒸気輸送配管Iが接続され、スクリーン6がスクリーンのストッパー14で固定、装着されたドレン流入部10と、蒸気輸送配管系外にドレンを排出するドレン系外排出管IIと接続されたドレン排出部11とが連通孔13で接続され、その連通孔13に、係止構造機構であるL字形の折り曲げ構造体Bをドレン流入部側の第1の折り曲げ構造体B-1及びドレン排出部側の第2の折り曲げ構造体B-2として両端に形成した孔径調整機構である線状構造体Aが挿通されているスチームトラップの断面模式図である。ここでは、係止構造機構となるL字形の折り曲げ構造体B-1及びB-2を、線状構造体Aの加工によって形成したが、溶接等、材質に応じた一般的接着方法で固設することもできる。また、蒸気輸送配管I及びドレン系外排出管IIとスチームトラップのボディ1とは、パッキン2を介してドレン流入部側のユニオン12-1及びドレン流出部側のユニオン12-2で接続されたが、フランジ接続やねじ込み接続等、一般的な接続方法を用いることもできる。特に、脱着が容易なユニオン12を用いた蒸気輸送配管I及びドレン系外排出管IIとスチームトラップのボディ1との接続は、ドレン排水量の調整及び蒸気使用量の変動等に応じた孔径調整するための線状構造体Aの交換が容易で、保守点検も行いやすいという観点から好ましい方法である。
このように、図1及び図2に示した従来のノズル式スチームトラップのノズル3の機能が、連通孔13としてスチームトラップのボディ1に一体化され、線状構造体Aが孔径調整機構として挿通され、機能するため、連通孔13の孔径を微細化する必要はなく、スチームトラップの製造コストが大幅に削減される。例えば、鋳造成形、ドリル加工によって製造可能である。ここでは、代表例として、円柱状の連通孔13の直径を2.0mm、その長さを20mmとして形成し、連通孔13と線状構造体Aとの間隙が0.3mmとなるように、直径1.4mmの線状構造体Aを挿通した。線状構造体Aの長さはチームトラップのボディ1やその内部の大きさに応じて、連通孔13に保持される必要最低限の長さとしている。この連通孔13と線状構造体Aとが形成する間隙は、従来のノズルでは、作業性が低く、ノズルの孔表面の平滑性が悪い放電加工を必要とする領域の大きさである。また、このような連通孔13は、円柱状に限定されず、三角柱、四角柱等とすることも可能であるが、線状構造体Aの加工もその形状に合わせる必要があるため、成形加工上円柱状が好ましい。
更に、スチームトラップのボディ1に一体化されるため、スチームトラップの小型化も図ることができる。そして、連通孔13に挿通された孔径調整機構である線状構造体Aは、係止構造機構である折り曲げ構造体B-1及びB-2を備えているため、ドレンの排水によっても連通孔13に保持され、また、揺動することによって連通孔13の目詰まりを防止する効果も発現する。
一方、スチームトラップのボディ1、線状構造体A、並びに、折り曲げ構造体B-1及びB-2は、ドレンに対する腐食性、種々の形状に製造するための加工性、及び、後述する錘の役割を果たすための重さ等を考慮して、ステンレスで製造することが好ましいが、これに限定されることはなく、プラスチック、セラミック等を用いて製造することもできる。
請求項1に係る、本発明の一実施形態を示した図3のスチームトラップを用いて、本発明の特徴を詳しく説明したが、以下、図4~図9に示した実施形態では、請求項1に係る本発明の技術思想に関わる構成上の特徴が理解されるように、スクリーン6やユニオン12等を省略して特許請求の範囲に記載された内容を具体例として列挙する。ただし、これらの具体例に限定されるものではない。
図4は、本発明の一実施形態に係る、ドレン流入部10とドレン排出部11とが連通孔13で接続され、その連通孔13に、係止構造機構である四角形の塊状構造体Cをドレン入部側の第1の塊状構造体C-1及びドレン流出部側の第2の塊状構造体C-2として両端に固設した線状構造体Aが挿通されているスチームトラップである。
図5は、本発明の一実施形態に係る、ドレン流入部10とドレン排出部11とが連通孔13で接続され、その連通孔13に、挿通された孔径調整機構である線状構造体Aがスチームトラップ本体の内壁で保持されているスチームトラップである。このように、スチームトラップの設計により、スチームトラップのボディ1におけるドレン流入部10とドレン排出部11の位置関係を縦置きとし、線状構造体Aの長さを調整することにより、スチームトラップのボディ1が係止構造機構の役割を果たすので、必ずしも係止構造機構が必要ではない。このようなスチームトラップの構造設計を行うことによって、後出する図10~図24における係止構造機構及び孔径調整機構に係る実施形態を全て実現できる。
図6は、本発明の一実施形態に係る、ドレン流入部10とドレン排出部11とが連通孔13で接続され、その連通孔13に孔径調整機構である線状構造体Aが挿通されており、その線状構造体Aの両端に隣接してスチームトラップのボディ1の内壁に係止構造機構としてドレン流入部側のストッパー15-1及びドレン排出部側のストッパー15-2が形設されているスチームトラップである。
図7は、本発明の一実施形態に係る、ドレン流入部10とドレン排出部11とが連通孔13で接続され、その連通孔13に、ドレン排出部側の一端に係止構造機構としてコイル状圧縮バネの弾性構造体D-1を固設した線状構造体Aが挿通されており、その弾性構造体D-1がスチームトラップのボディ1の内壁に形設された係止構造機構のストッパー15-3に固定されているスチームトラップである。ここでは、弾性構造体D-1は、線状構造体A及びストッパー15-3の双方に固着されているが、少なくともいずれか一方に固着されていればよい。このように、弾性構造体D-1とストッパー15-3が用いられているのは、線状構造体Aが連通孔13に保持、揺動されるためだけでなく、連通孔のドレン出口13-2が弾性構造体D-1で封鎖され、バネの復元力で、蒸気の漏洩防止及びドレン排水量の微調整の役割を果たすためである。
図8は、本発明の一実施形態に係る、ドレン流入部10とドレン排出部11とが連通孔で接続され、その連通孔13に、係止構造機構としてドレン排出部側の一端に塊状錘構造体E-1及びコイル状圧縮バネの弾性構造体D-2をその順に連設した線状構造体Aが挿通されており、その弾性構造体D-2がスチームトラップのボディ1の内壁に形設されたストッパー15-4に固定されているスチームトラップである。この場合も、固着された塊状錘構造体E-1と圧縮バネの弾性構造体D-2は、線状構造体Aとストッパー15-4の少なくともいずれか一方に固着されればよい。このスチームトラップも、図7と同様に、線状構造体Aが連通孔13に保持、揺動されるためだけでなく、連通孔のドレン出口13-2が塊状錘構造体E-1で封鎖され、バネの復元力で、蒸気の漏洩防止及びドレン排水量の微調整の役割を果たすと共に、錘の重さで、この役割を補完するためである。
図9は、本発明の一実施形態に係る、ドレン流入部10とドレン排出部11とが連通孔13で接続され、その連通孔13に、ドレン排出部側の一端に係止構造機構を構成する塊状錘構造体E-2を固設した線状構造体Aが挿通され、その塊状錘構造体E-2が、係止構造機構を構成する捩じりバネの弾性構造体D-3を介してスチームトラップのボディ1の内壁に弾設されているスチームトラップである。この塊状錘構造体E-2と弾性構造体D-3とから構成される係止構造機構も、図7及び8と同様に、バネの復元力と錘の重さで、それぞれが補完して、蒸気の漏洩防止及びドレン排水量の微調整の役割を果たすものである。
図10~図25は、請求項2に係る本発明の技術思想に関わる構成上の特徴が理解されるように、特許請求の範囲に記載された内容が具体的に列挙されたものである。ただし、これらの具体例に限定されるものではない。これらの実施形態も、段落44~段落47に記載した請求項1に係る本発明の特徴と同一の特徴を有しているため、説明を省略する。
図10は、本発明の一実施形態に係る、蒸気輸送配管Iがパッキン2を介してユニオン12-1で接続され、スクリーン6がスクリーンのストッパー14で固定、装着されたドレン流入部と、蒸気輸送配管系外にドレンを排出するドレン系外排出管IIとパッキン2を介してユニオン12-2で接続されたドレン排出部11との間に、ドレン貯水部9が設けられ、ドレン流入部10とドレン貯水部11とが連通孔16で接続されると共に、ドレン貯水部9とドレン排出部11とがその連通孔16よりも鉛直方向に高い位置にあるドレン貯水部排出口11-1で開口されて、ドレン系外排出口11-2に繋がり、その連通孔13に、係止構造機構であるL字形の折り曲げ構造体Bをドレン流入部側の第1の折り曲げ構造体B-1及びドレン貯水部側の第2の折り曲げ構造体B-2として両端に形成した孔径調整機構である線状構造体Aが挿通されているスチームトラップである。
ドレン貯水部は、連通孔16から排出されたドレンを貯めて、連通孔16をふさぐことによって、蒸気の漏洩を防止すると共に、ドレン排出量の微調整を行うために設けたものである。
図11は、本発明の一実施形態に係る、ドレン流入部10とドレン排出部との間に、ドレン貯水部9が設けられ、ドレン流入部10とドレン貯水部9とが連通孔16で接続されると共に、ドレン貯水部9とドレン排出部11とがその連通孔16よりも鉛直方向に高い位置にあるドレン貯水部排出口11-1で開口されて、ドレン系外排出口11-2に繋がり、その連通孔16に、係止構造機構としてドレン貯水部側の一端にL字形の折り曲げ構造体B-2を形成した線状構造体Aが挿通されているスチームトラップである。
図12は、本発明の一実施形態に係る、ドレン流入部10とドレン排出部11との間に、ドレン貯水部9が設けられ、ドレン流入部10とドレン貯水部9とが連通孔16で接続されると共に、ドレン貯水部9とドレン排出部11とがその連通孔16よりも鉛直方向に高い位置にあるドレン貯水部排出口11-1で開口されて、ドレン系外排出口11-2に繋がり、その連通孔16に、係止構造機構である円形の塊状構造体Cをドレン流入部側の第3の塊状構造体C-3及びドレン貯水部側の第4の塊状構造体C-4として両端に固設した線状構造体Aが挿通されているスチームトラップである。
図13は、本発明の一実施形態に係る、ドレン流入部10とドレン排出部11との間に、ドレン貯水部9が設けられ、ドレン流入部10とドレン貯水部9とが連通孔16で接続されると共に、ドレン貯水部9とドレン排出部11とがその連通孔16よりも鉛直方向に高い位置にあるドレン貯水部排出口11-1で開口されて、ドレン系外排出口11-2に繋がり、その連通孔16に挿通された線状構造体Aの両端に、L字形の折り曲げ構造体Bであるドレン流入部側の第3の折り曲げ構造体B-3及びドレン貯水部側の第4の折り曲げ構造体B-4が係止構造機構として形成され、連通孔16に固定されているスチームトラップである。
図14は、本発明の一実施形態に係る、ドレン流入部10とドレン排出部11との間に、ドレン貯水部9が設けられ、ドレン流入部10とドレン貯水部9とが連通孔で接続されると共に、ドレン貯水部9とドレン排出部11とがその連通孔16よりも鉛直方向に高い位置にあるドレン貯水部排出口11-1で開口されて、ドレン系外排出口11-2に繋がり、その連通孔16に挿通された線状構造体Aの両端に、L字形の折り曲げ構造体Bであるドレン流入部側の第5の折り曲げ構造体B-5及びドレン貯水部側の第6の折り曲げ構造体B-6が係止構造機構として形成され、スチームトラップのボディ1の内壁に固定されているスチームトラップである。この場合、折り曲げ構造体Bは、必ずしも必要なく、線状構造体Aだけでもよい。
図15は、本発明の一実施形態に係る、ドレン流入部10とドレン排出部11との間に、ドレン貯水部9が設けられ、ドレン流入部10とドレン貯水部9とが連通孔16で接続されると共に、ドレン貯水部9とドレン排出部11とがその連通孔16よりも鉛直方向に高い位置にあるドレン貯水部排出口11-1で開口されて、ドレン系外排出口11-2に繋がり、その連通孔16に挿通された線状構造体Aがスチームトラップのボディ1の内壁で保持されているスチームトラップである。
図16は、本発明の一実施形態に係る、ドレン流入部10とドレン排出部11との間に、ドレン貯水部9が設けられ、ドレン流入部10とドレン貯水部9とが連通孔で接続されると共に、ドレン貯水部9とドレン排出部11とがその連通孔16よりも鉛直方向に高い位置にあるドレン貯水部排出口11-1で開口されて、ドレン系外排出口11-2に繋がり、その連通孔16に、係止構造機構として圧縮バネの弾性構造体D-4をドレン貯水部側の一端に固設した線状構造体Aが挿通され、その弾性構造体D-4がスチームトラップ本体の内壁に固定されているスチームトラップである。弾性構造体D-4は、段落0052記載した役割を果たすものである。
図17は、本発明の一実施形態に係る、ドレン流入部10とドレン排出部11との間に、ドレン貯水部9が設けられ、ドレン流入部10とドレン貯水部9とが連通孔で接続されると共に、ドレン貯水部9とドレン排出部11とがその連通孔16よりも鉛直方向に高い位置にあるドレン貯水部排出口11-1で開口されて、ドレン系外排出口11-2に繋がり、その連通孔16に、係止構造機構を構成するL字形の折り曲げ構造体B-7をドレン流入部側の一端に形成すると共に、係止構造機構を構成する圧縮バネの弾性構造体D-4をドレン貯水部側の他端に固設した線状構造体Aが挿通され、その弾性構造体D-4がスチームトラップのボディ1の内壁に固定されているスチームトラップである。この折り曲げ構造体B-7は、何らかの要因で線状構造体Aが突発的に連通孔16から脱落することを防止するために設けられるものである。
図18は、本発明の一実施形態に係る、ドレン流入部10とドレン排出部11との間に、ドレン貯水部9が設けられ、ドレン流入部10とドレン貯水部9とが連通孔で接続されると共に、ドレン貯水部9とドレン排出部11とがその連通孔16よりも鉛直方向に高い位置にあるドレン貯水部排出口11-1で開口されて、ドレン系外排出口11-2に繋がり、その連通孔16に、係止構造機構であるコイル状収縮バネの弾性構造体Dをドレン流入部側の第5の弾性体D-5及びドレン貯水部側の弾性体D-6として両端に固設した線状構造体Aが挿通され、両端の弾性構造体Dがスチームトラップのボディ1の内壁に固定されているスチームトラップである。弾性体D-5及び弾性体D-6は、両者の復元力によって、ドレンの排出に伴う線状構造体Aの揺動を促進して、連通孔16の目詰まり防止機能を高めるものである。
図19は、本発明の一実施形態に係る、ドレン流入部10とドレン排出部11との間に、ドレン貯水部9が設けられ、ドレン流入部10とドレン貯水部9とが連通孔で接続されると共に、ドレン貯水部9とドレン排出部11とがその連通孔16よりも鉛直方向に高い位置にあるドレン貯水部排出口11-1で開口されて、ドレン系外排出口11-2に繋がり、その連通孔16に、係止構造機構として球形の塊状錘構造体E-3をドレン貯水部側の一端に固設した線状構造体Aが挿通されているスチームトラップである。これは、塊状錘構造体E-3だけで、蒸気の漏洩防止及びドレン排水量の微調整の役割を果たすものである。
図20は、本発明の一実施形態に係る、ドレン流入部10とドレン排出部11との間に、ドレン貯水部9が設けられ、ドレン流入部10とドレン貯水部9とが連通孔で接続されると共に、ドレン貯水部9とドレン排出部11とがその連通孔16よりも鉛直方向に高い位置にあるドレン貯水部排出口11-1で開口されて、ドレン系外排出口11-2に繋がり、その連通孔16に、係止構造機構として円柱形の塊状錘構造体E-4をドレン貯水部側の一端に固設した線状構造体Aが挿通されているスチームトラップである。
図21は、本発明の一実施形態に係る、ドレン流入部10とドレン排出部11との間に、ドレン貯水部9が設けられ、ドレン流入部10とドレン貯水部9とが連通孔で接続されると共に、ドレン貯水部9とドレン排出部11とがその連通孔16よりも鉛直方向に高い位置にあるドレン貯水部排出口11-1で開口されて、ドレン系外排出口11-2に繋がり、その連通孔16に、係止構造機構を構成するL字形の折り曲げ構造体B-8をドレン流入部側の一端に形成すると共に、係止構造機構を構成する円柱形の塊状錘構造体E-4をドレン貯水部側の他端に固設した線状構造体Aが挿通されているスチームトラップである。このスチームトラップの線状構造体Aは、塊状錘構造体E-4だけで連通孔16に保持されているため、この折り曲げ構造体B-8は、段落0064以上に、何らかの要因で線状構造体Aが突発的に連通孔16から脱落することを防止する重要な役割を担っている。
図22は、本発明の一実施形態に係る、ドレン流入部10とドレン排出部11との間に、ドレン貯水部9が設けられ、ドレン流入部10とドレン貯水部9とが連通孔で接続されると共に、ドレン貯水部9とドレン排出部11とがその連通孔16よりも鉛直方向に高い位置にあるドレン貯水部排出口11-1で開口されて、ドレン系外排出口11-2に繋がり、その連通孔16のドレン貯水部側にドレン出口突起部16-3(フランジ)を形設し、そのフランジ16-3に嵌合する円柱形の塊状錘構造体E-5を固設した線状構造体Aが連通孔16に挿通されると共に、フランジ16-3に嵌合されているスチームトラップである。このスチームトラップは、フランジ16-3及び塊状錘構造体E-5が係止構造機構を構成し、線状構造体Aが連通孔16から脱落することを防止する一方、塊状錘構造体E-5は、蒸気の漏洩防止及びドレン排水量の微調整を行う。
図23は、本発明の一実施形態に係る、ドレン流入部10とドレン排出部11との間に、ドレン貯水部9が設けられ、ドレン流入部10とドレン貯水部9とが連通孔で接続されると共に、ドレン貯水部9とドレン排出部11とがその連通孔16よりも鉛直方向に高い位置にあるドレン貯水部排出口11-1で開口されて、ドレン系外排出口11-2に繋がり、その連通孔16に、係止構造機構としてドレン貯水部側の一端に塊状錘構造体E-1及び圧縮バネの弾性構造体D-2をその順に連設した線状構造体Aが挿通されており、その弾性構造体D-2がスチームトラップのボディ1の内壁に固定されているスチームトラップである。これは、段落0053に記載した図8のスチームトラップにおける塊状錘構造体E-1及び圧縮バネの弾性構造体D-2と同様の機能を有するものである。
図24は、本発明の一実施形態に係る、ドレン流入部10とドレン排出部11との間に、ドレン貯水部9が設けられ、ドレン流入部10とドレン貯水部9とが連通孔で接続されると共に、ドレン貯水部9とドレン排出部11とがその連通孔16よりも鉛直方向に高い位置にあるドレン貯水部排出口11-1で開口されて、ドレン系外排出口11-2に繋がり、その連通孔16に、係止構造機構を構成するドレン貯水部側の一端に塊状錘構造体E-2を固設した線状構造体Aが挿通され、その塊状錘構造体E-2が、係止構造機構を構成する捩じりバネの弾性構造体D-3を介してスチームトラップのボディ1の内壁に弾設されているスチームトラップである。これは、段落0054に記載した図9のスチームトラップにおける塊状錘構造体E-2及び捩じりバネの弾性構造体D-3と同様の機能を有するものである。
図25は、本発明の一実施形態に係る、ドレン流入部10とドレン排出部11との間に、ドレン貯水部9が設けられ、ドレン流入部10とドレン貯水部9とが連通孔で接続されると共に、ドレン貯水部9とドレン排出部11とがその連通孔16よりも鉛直方向に高い位置にあるドレン貯水部排出口11-1で開口されて、ドレン系外排出口11-2に繋がり、その連通孔16に挿通された線状構造体Aが、スチームトラップのボディ1の内壁及びスチームトラップのボディ1の内壁に係止構造機構として形設されたストッパー15-1で孔部に保持されているスチームトラップである。このように、段落0050の図5とは逆に、スチームトラップの設計により、スチームトラップのボディ1におけるドレン流入部10、ドレン貯水部9、及び、ドレン排出部11の位置関係を横置きとすることもできる。このようなスチームトラップの構造設計を行うことによって、図3、図4、図6~図9における、係止構造機構及び孔径調整機構に係る実施形態を全て実現できる。