JP7017896B2 - 木質ボード用バインダー組成物、木質ボード及びその製造方法 - Google Patents

木質ボード用バインダー組成物、木質ボード及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、家具、木工、住宅、機器、建築内外装材等に使用される木質ボード、木質ボード用バインダー組成物及び木質ボードの製造方法に関する。
木質ボードは一般に、木質繊維又は木質小片等(以下併せて「木材基材」という場合もある)をバインダーと混合し、マット化して硬化させることにより製造される。
木質ボードを各用途に使用するためには、適当な密度を有し、使用に耐え得る強度を発現させる必要がある。特に構造用等の建材では、必要強度が高く密度や厚みの増加が必要となる。しかし、木質ボードの高密度化は質量の増大をもたらし、施工現場で扱いにくいといった問題が生じる。
木質ボードに用いられるバインダーとしては、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂が一般的である。しかし、これらの樹脂は原料にホルムアルデヒドを用いているため、木質ボードの製造時や製造された木質ボードからホルムアルデヒドが放散する問題がある。特に木質ボードが高密度化すると、木質ボード内のバインダー量が増加することでホルムアルデヒド放散量の増加も懸念される。
ホルムアルデヒド放散量を低減する一般的な手段としては、尿素やアンモニア、ヒドラジン等のホルムアルデヒドと反応性を有する薬剤を別途塗布又は添加する方法がある。しかし、工程数の増加やコストアップを招く。
木質基材は、その主成分が親水性の高いセルロースであるため、水分の影響により膨張、収縮する。そのため、これを用いた木質ボードは耐水性が低く、例えば雰囲気中の水分の影響による寸法変化が大きい。
木質ボードの耐水性を向上させる一般的な手段としては、ワックスエマルジョンを添加する方法、バインダーの使用量を増加させる方法等がある。しかし、前者の方法では、必要とする耐水性を得るためにはワックスエマルジョンの添加量が多くなり、コストアップや機械強度の低下が懸念される。後者の方法でもコストアップが懸念される。
高強度で、ホルムアルデヒドの放散が無い又は極めて少ない木質ボードの製造方法として、例えば以下の方法が提案されている。
(1)糖質類の水溶液とポリイソシアネート化合物を反応させ木質繊維に供給混合後、マット化して硬化させる方法(特許文献1)。
(2)有機イソシアネート化合物、活性水素化合物、水性ポリウレタン樹脂、木質チップ又は木質繊維を混合した後、熱圧成形する方法(特許文献2)。
耐水性に優れた木質ボードの製造方法として、例えば以下の方法が提案されている。
(3)熱圧成形木質ボードの製造方法において、リグノセルロース系材料(木質チップ又は木質繊維)にバインダーを塗布する前に、特定のイソシアネートを予め塗布させておく方法(特許文献3)。
特開平11-207711号公報 特開2004-74752号公報 特開2015-193145号公報
上記(1)~(3)の方法では、イソシアネート化合物の結合力及び反応性が高いという長所がそのまま短所に結びつくことがある。すなわち、イソシアネート化合物を主としてバインダーに用いると、コール板やプレス熱盤への張付きが発生するので、従来のホルムアルデヒド系バインダーと比較し、離型性が悪く作業性が劣る。
さらに、上記(2)の方法では、常態強度(乾燥状態での強度)はある程度向上するものの、湿潤強度(湿潤状態での強度)はあまり変化しないか、かえって低くなる。
したがって、現状の工程のほかに追加の工程を行わずとも、木質ボードの常態強度、湿潤強度、耐水性を向上させ得る技術が望まれる。
本発明は、常態強度、湿潤強度及び耐水性に優れた木質ボードが得られる木質ボード用バインダー組成物及び木質ボードの製造方法、並びに常態強度、湿潤強度及び耐水性に優れた木質ボードを提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討の結果、レゾール型フェノール樹脂に対して特定の糖を特定の割合で組み合わせた組成物を木質ボード用バインダーとして用いることで上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成させた。
本発明は、以下の態様を有する。
[1]レゾール型フェノール樹脂と、単糖、二糖及び三糖からなる群から選ばれる少なくとも一種の糖とを含み、
前記レゾール型フェノール樹脂の固形分と前記糖の固形分との合計質量に対する前記糖の固形分の割合が1~70質量%である、木質ボード用バインダー組成物。
[2]レゾール型フェノール樹脂と、単糖、二糖及び三糖からなる群から選ばれる少なくとも一種の糖と、アンモニウム塩、リン酸塩及びグリシンからなる群から選ばれる少なくとも一種の硬化促進剤とを含み、
前記レゾール型フェノール樹脂の固形分と前記糖の固形分との合計質量に対する前記糖の固形分の割合が1~70質量%である、木質ボード用バインダー組成物。
[3][1]又は[2]の木質ボード用バインダー組成物を用いた木質ボード。
[4]木質繊維又は木質小片と、レゾール型フェノール樹脂と、単糖、二糖及び三糖からなる群から選ばれる少なくとも一種の糖とを含む原料を混合して混合物を得て、前記混合物をフォーミングし、前記混合物の層を含むマットを得て、前記マットを硬化させる工程を含み、
前記レゾール型フェノール樹脂の固形分と前記糖の固形分との合計質量に対する前記糖の固形分の割合が1~70質量%である、木質ボードの製造方法。
[5]木質繊維又は木質小片と、レゾール型フェノール樹脂と、単糖、二糖及び三糖からなる群から選ばれる少なくとも一種の糖と、アンモニウム塩、リン酸塩及びグリシンからなる群から選ばれる少なくとも一種の硬化促進剤とを含む原料を混合して混合物を得て、前記混合物をフォーミングし、前記混合物の層を含むマットを得て、前記マットを硬化させる工程を含み、
前記レゾール型フェノール樹脂の固形分と前記糖の固形分との合計質量に対する前記糖の固形分の割合が1~70質量%である、木質ボードの製造方法。
本発明の木質ボード用バインダー組成物及び木質ボードの製造方法によれば、常態強度、湿潤強度及び耐水性に優れた木質ボードが得られる。
本発明の木質ボードは、常態強度、湿潤強度及び耐水性に優れる。
実施例1~8及び比較例1~3(木質ボードの厚さ1.5mm)における糖添加率を横軸に、強度(常態強度、湿潤強度)を縦軸にとったグラフである。 実施例1~8及び比較例1~3における糖添加率を横軸に、吸水率及び吸水厚さ膨張率を縦軸にとったグラフである。 実施例1~8及び比較例1~3における糖添加率を横軸に、F抽出量を縦軸にとったグラフである。 実施例3、9~12及び比較例4における糖種を横軸に、強度(常態強度、湿潤強度)を縦軸にとったグラフである(ブランク:糖質を用いていない比較例1)。 実施例3、9~12及び比較例4における糖種を横軸に、F抽出量を縦軸にとったグラフである(ブランク:糖質を用いていない比較例1)。 実施例13~19及び比較例5~8における糖添加率を横軸に、強度(常態強度、湿潤強度)を縦軸にとったグラフである。 実施例13~19及び比較例5~8における糖添加率を横軸に、吸水率及び吸水厚さ膨張率を縦軸にとったグラフである。 実施例13~19及び比較例5~8における糖添加率を横軸に、F抽出量を縦軸にとったグラフである。 実施例21~30及び比較例10~12における添加剤種を横軸に、強度(常態強度、湿潤強度)を縦軸にとったグラフである。PL-3630は、糖質及び硬化促進剤を用いていない比較例9を示し、R:G=70:30は、添加剤を用いていない実施例20を示す。
〔木質ボード用バインダー組成物〕
本発明の木質ボード用バインダー組成物(以下、「本組成物」ともいう。)は、レゾール型フェノール樹脂と、単糖、二糖及び三類からなる群から選ばれる少なくとも一種の糖(以下、「糖(A)」ともいう。)とを含む。
本組成物は、必要に応じて本発明の効果を損なわない範囲で、レゾール型フェノール樹脂及び糖(A)以外の他の成分をさらに含んでもよい。
<レゾール型フェノール樹脂>
レゾール型フェノール樹脂は、フェノール類とアルデヒド類とのアルカリ触媒存在下での反応生成物である。
フェノール類とアルデヒド類とをアルカリ触媒存在下で反応させると、フェノール類の芳香環にアルデヒド類が付加する付加反応が起き、その後縮合反応を経て高分子化する。
フェノール類は、芳香環及び芳香環に結合した水酸基を有する化合物であり、例えば、フェノール、アルキルフェノール類(o,m,pの各クレゾール、o,m,pの各エチルフェノール、キシレノールの各異性体等)、多芳香環フェノール類(α,βの各ナフトール等)、多価フェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ピロガロール、レゾルシン、カテコール、ハイドロキノン等)等が挙げられる。これらのフェノール類は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのうち、実用的な物質は、フェノール、o,m,pの各クレゾール、キシレノールの各異性体、レゾルシン、カテコールである。
アルデヒド類は、ホルミル基を有する化合物及びその多量体からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物であり、例えば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピルアルデヒド、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド、グリオキザール等が挙げられる。これらのアルデヒド類は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのうち、実用的な物質は、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒドである。
フェノール類に対するアルデヒド類のモル比(アルデヒド類/フェノール類)は、1.0~4.0であることが好ましく、1.5~2.5であることがより好ましい。フェノール類に対するアルデヒド類のモル比が前記範囲の下限値以上であれば、未反応のフェノール類(遊離フェノール類)の揮散による臭気発生、又は歩留低下等の問題が生じない。フェノール類に対するアルデヒド類のモル比が前記範囲の上限値以下であれば、未反応のアルデヒド類(遊離アルデヒド類)が多量に残留することなく、製造工程中の作業環境雰囲気下にホルムアルデヒドが揮発せず、作業員の健康を害さない。また得られる木質ボードからのアルデヒド類の放散量が少ない。
前記遊離のフェノール類とは、JIS K6910の5.16の規定に準じて測定される未反応のフェノール類である。
前記遊離のアルデヒド類とは、JIS K6910の5.17の規定に準じて測定される未反応のアルデヒド類である。
レゾール型フェノール樹脂は、フェノール類とアルデヒド類とをアルカリ触媒存在下で反応させて得られる。
アルカリ触媒としては、フェノール類とアルデヒド類との反応を進行させ得るものであれば特に制限はなく、種々のアルカリ性物質を用いることができる。具体例としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属の水酸化物(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)、カルシウム、マグネシウム、バリウム等のアルカリ土類金属の水酸化物(水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化バリウム等)、炭酸ナトリウム、アンモニア等の無機アルカリ性物質;トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリエタノールアミン等の第3級アミン、DBU(1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン)、DBN(1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ-5-エン)等の環式アミン等の有機アルカリ性物質;等が挙げられる。これらのアルカリ触媒は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記反応は、公知の方法により行うことができる。例えば、攪拌機、還流器および温度制御機構を有する反応容器にフェノール類、アルデヒド類、アルカリ触媒、水等を仕込み、任意の反応温度を任意の反応時間保持する方法が挙げられる。反応の開始後、必要に応じて、追加のアルカリ触媒及び任意の添加剤等を添加してもよい。
前記反応の反応温度は、60~100℃が好ましく、70~90℃がより好ましい。反応温度が前記範囲の下限値以上であれば、充分な反応速度が得られる。反応温度が前記範囲の上限値以下であれば、反応をコントロールしやすい。
前記反応の反応時間は、例えば3~8時間とすることができる。前記範囲の反応時間であれば、高い収率でレゾール型フェノール樹脂が得られ、レゾール型フェノール樹脂の生産性が優れる。
フェノール類とアルデヒド類とをアルカリ触媒存在下で反応させた後、必要に応じて中和や希釈等の処理を行ってもよい。
レゾール型フェノール樹脂の固形分は、30質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であることがより好ましく、100質量%であってもよい。
レゾール型フェノール樹脂の「固形分」とは、不揮発分を示す。不揮発分は、後述する実施例に記載の測定方法により測定される値である。
レゾール型フェノール樹脂は、液状であってもよく固体であってもよい。木質基材への塗付性及び混合性に優れる点で、液状レゾール型フェノール樹脂であることが好ましい。
液状レゾール型フェノール樹脂の粘度は、50~500mPa・sであることが好ましく、100~300mPa・sであることがより好ましい。粘度は、25℃でB型粘度計により測定される値である。
レゾール型フェノール樹脂のpHは、8.0~13.0であることが好ましく、10.0~12.0であることがより好ましい。pHが前記範囲の下限以上であると、水への溶解性がよい。pHが前記範囲の上限以下であると、触媒の使用量の観点から経済的である。pHは、25℃における値である。
レゾール型フェノール樹脂の重量平均分子量は、200~20000であることが好ましく、500~10000であることがより好ましく、700~8000であることがさらに好ましい。レゾール型フェノール樹脂の重量平均分子量が前記範囲の下限値以上であれば、木質基材への樹脂の定着性が優れる。レゾール型フェノール樹脂の重量平均分子量が前記範囲の上限値以下であれば、木質基材への樹脂の浸透性がより優れる。
重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定される、標準ポリスチレン換算の値である。
レゾール型フェノール樹脂としては、木質ボード用バインダー等として市販されているレゾール型フェノール樹脂を特に限定せずに使用できる。公知の製造方法により製造したレゾール型フェノール樹脂を用いてもよい。
市販のレゾール型フェノール樹脂としては、例えば群栄化学工業社製の「レヂトップPL-3630」等が挙げられる。
<糖(A)>
糖(A)は、単糖、二糖及び三糖からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む。
単糖としては、例えばグルコース、フルクトース、マンノース、ガラクトース、リボース、キシロース等が挙げられる。
二糖としては、例えばショ糖(スクロース)、マルトース、トレハロース、ラクトース、イソマルトース等が挙げられる。
三糖としては例えばマルトトリオース、ラフィノース等が挙げられる。
糖(A)は1種を単独で用いてもよく2種以上併用してもよい。
糖(A)としては、上記の中でも、グルコース、フルクトース、キシロース、マルトースからなる群から選ばれる少なくとも一種が好ましい。
糖(A)として2種以上の糖を併用する場合、本組成物の調製に際して、各糖をそれぞれ配合してもよく、2種以上の糖を含む原料を用いてもよい。2種以上の糖を含む原料としては、例えば、異性化糖(グルコース、フルクトース等を含有)、水飴(グルコース、マルトース等を含有)等が挙げられる。
<他の成分>
他の成分としては、特に限定されず、例えば水、糖(A)以外の糖質、硬化促進剤、離型剤、乳化安定化剤、撥水剤、凝集剤、難燃剤、防虫剤、防腐剤、木質ボード用バインダー(ただし本組成物を除く。)等が挙げられる。前記木質ボード用バインダーとしては、公知のものを使用でき、例えば尿素樹脂、メラミン樹脂、ポリイソシアネート化合物等が挙げられる。
本組成物の好ましい一態様は、硬化促進剤として、アンモニウム塩、リン酸塩及びグリシンからなる群から選ばれる少なくとも一種の硬化促進剤(以下、「硬化促進剤(B)」ともいう。)をさらに含む組成物である。硬化促進剤(B)を含むことにより、得られる木質ボードの常態強度及び湿潤強度のいずれか一方又は両方がより優れる。
アンモニウム塩としては、リン酸3アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、クエン酸アンモニウム、酢酸アンモニウム等が挙げられる。
リン酸塩としては、リン酸ナトリウム、リン酸3アンモニウム等のオルトリン酸塩、次亜リン酸ナトリウム等の次亜リン酸塩、縮合リン酸塩等が挙げられる。
これらの硬化促進剤(B)は1種を単独で用いてもよく2種以上併用してもよい。
硬化促進剤(B)としては、リン酸3アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、クエン酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、リン酸ナトリウム、次亜リン酸ナトリウム、及びグリシンからなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。耐湿強度がより優れる点で、リン酸3アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、クエン酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、リン酸ナトリウム、次亜リン酸ナトリウム、及びグリシンからなる群から選ばれる少なくとも1種がより好ましい。
硬化促進剤(B)と他の硬化促進剤とを併用してもよい。
<本組成物の組成>
本組成物において、レゾール型フェノール樹脂の固形分と糖(A)の固形分との合計質量(100質量%)に対する糖(A)の固形分の割合(以下、「糖添加率」ともいう。)は、1~70質量%であり、5~60質量%であることが好ましく、10~55質量%であることが特に好ましい。糖添加率が前記範囲内であれば、木質ボードの常態強度、湿潤強度及び耐水性が優れる。また、糖添加率が30~40質量%付近に近いほど、木質ボードからのホルムアルデヒド放散量が少ない傾向がある。一方、糖添加率が高すぎると、レゾール型フェノール樹脂単独の場合よりも常態強度や湿潤強度、耐水性が低下したりホルムアルデヒド放散量が増大したりするおそれがある。
レゾール型フェノール樹脂の固形分とは、前述のとおり、不揮発分を示す。
糖(A)の固形分とは、水分を除いた部分を示す。水分量はカール・フィッシャー滴定法を用いた水分計によって測定される。
本組成物中、レゾール型フェノール樹脂の固形分と糖(A)の固形分との合計質量は、本組成物の固形分全体の質量(100質量%)に対し、30質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であることがより好ましい。上限は特に限定されず、100質量%であってもよい。
本組成物が硬化促進剤を含む場合、硬化促進剤の含有量は、硬化促進剤の含有量として一般的な範囲であってよい。
レゾール型フェノール樹脂の固形分と糖(A)の固形分との合計質量に対する硬化促進剤の割合(以下、「硬化促進剤添加率」ともいう。)は、例えば、1~7質量%であってよく、3~5質量%であってよい。
硬化促進剤の総質量に対する硬化促進剤(B)の割合は、80~100質量%が好ましく、90~100質量%がより好ましい。
本組成物は、例えば、レゾール型フェノール樹脂、糖(A)、および必要に応じて他の成分を混合することにより調製できる。
本組成物は、木質ボードのバインダーとして用いられる。すなわち木質ボードの製造において、木質基材を結合させるために用いられる。
<作用効果>
本組成物にあっては、レゾール型フェノール樹脂と糖(A)とを含み、それぞれの固形分の合計質量に対する糖(A)の固形分の割合(糖添加率)が1~70質量%であり、これを木質ボードのバインダーとして用いたときに、常態強度、湿潤強度及び耐水性に優れた木質ボードが得られる。耐水性は、具体的には、吸水率の低さ、及び吸水厚さ膨張率の低さを示す。これらの測定方法は後述する実施例に示すとおりである。さらに、木質ボードからのホルムアルデヒド放散量の低減や、木質ボードの淡色化も可能である。
また、本組成物をバインダーとして用いることで、現状の工程にて木質ボードの常態強度、湿潤強度、耐水性の向上が可能である。
本発明者らが木質ボード用バインダーについて検討するなかで、糖(A)は水溶性であるため、木質ボード用バインダーへの糖(A)の配合は、木質ボードの湿潤強度や耐水性を低下させることが懸念された。しかし、意外にもこれらの特性が向上した。上記効果を奏する理由としては、レゾール型フェノール樹脂の硬化反応の際、糖(A)がレゾール型フェノール樹脂や、木質基材に含まれるリグニン、タンニン等と反応していることが考えられる。
糖添加率が高すぎると上記の特性が低下したりホルムアルデヒド放散量が増大したりするのは、未反応の糖(A)が木質ボード中に残存するためと考えられる。
〔木質ボード〕
本発明の木質ボードは、本組成物を用いた木質ボードである。
本明細書及び特許請求の範囲において、「木質ボード」とは、木質基材(木質繊維又は木質小片)をバインダーで固めた板状の製品である。
「木質小片」とは、木材を小片化したものであり、チップ、フレーク、ウェファー、ストランド、その他の切削片、破砕片の総称である。
「木質繊維」とは、木質小片を高温高圧蒸気で蒸煮し、リファイナー等によって解繊して繊維(ファイバー)化したものである。
本発明の木質ボードにおいては、木質基材を固めるバインダーの一部又は全部に本組成物が用いられている。本発明の効果を損なわない範囲で、バインダーの一部に本組成物以外の他の木質ボード用バインダーが用いられていてもよい。他の木質ボード用バインダーとしては、例えば尿素樹脂、メラミン樹脂、ポリイソシアネート化合物等が挙げられる。
バインダーの一部に他の木質ボード用バインダーを用いた木質ボードとしては、例えば、木質基材を本組成物で固めた層と、木質基材を他の木質ボード用バインダーで固めた層とを有する多層構造の木質ボード、木質基材を本組成物と他の木質ボード用バインダーとを含むバインダーで固めた層を有する木質ボード等が挙げられる。
木質ボードの種類は特に限定されない。木質繊維を用いた木質ボード(繊維板)としては、インシュレーションボード、MDF(medium Density Fiberboard)、ハードボード等が挙げられる。これらは主に密度によって区別される。木質小片を用いた木質ボードとしては、パーティクルボード、オリエンテッドストランドボード(OSB)等が挙げられる。ただし、木質基材の大きさや形、並べ方によって製品の性質はさまざまであり、製造過程が類似しているため中間的な製品も存在する。そのような製品も木質ボードに該当するものとする。パーティクルボード、OSBでは、木質基材の大きさや形は、破砕工程等により不揃いなものとなるが、その後の製造工程において分級(ふるい分け)等によって品質管理される。
本発明の木質ボードの製造方法は、バインダーの一部又は全部に本組成物を用いる以外は、公知の木質ボードの製造方法と同様であってよい。例えば後述する木質ボードの製造方法により本発明の木質ボードを製造できる。
〔木質ボードの製造方法〕
本発明の木質ボードの製造方法は、木質基材と、レゾール型フェノール樹脂と、糖(A)とを含む原料を混合して混合物(以下、混合物(X)ともいう。)を得て、前記混合物(X)をフォーミングし、前記混合物(X)の層を含むマットを得て、前記マットを硬化させる工程を含む。レゾール型フェノール樹脂の固形分と糖(A)の固形分との合計質量に対する糖(A)の固形分の割合(糖添加率)は1~70質量%である。つまり混合物(X)は、木質基材と本組成物とを含む。
レゾール型フェノール樹脂、糖(A)はそれぞれ前記と同様である。糖添加率の好ましい範囲も前記と同様である。
前記原料は、木質基材、レゾール型フェノール樹脂及び糖(A)以外の他の成分をさらに含んでもよい。他の成分としては、前記と同様のものが挙げられる。
前記原料中、レゾール型フェノール樹脂の固形分と糖(A)の固形分との合計質量は、前記原料の固形分から木質基材を除いた総質量(100質量%)に対し、30質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であることがより好ましい。上限は特に限定されず、100質量%であってもよい。
混合物(X)の調製およびそのフォーミング(マット化)は、乾式法により行ってもよく、湿式法により行ってもよい。
乾式法では、木質基材に対し、バインダー成分を希釈媒体で任意の濃度に希釈した溶液を噴霧し、混合し、一次乾燥を行って、バインダー成分が付着した木質基材(混合物)を得る。この木質基材をマット状に配置し、必要に応じて形状保持のため仮圧縮を行って、フォーミングを完了する。
湿式法では、木質基材と、水と、バインダー成分とを混合してスラリー(混合物)を得る。このスラリーを抄造する(型に流し込み漉き上げる)ことによってフォーミングを完了する。
バインダー成分であるレゾール型フェノール樹脂及び他の成分は、予め混合された状態、つまり本組成物の状態で木質基材と混合されてもよく、個別に木質基材と混合されてもよい。混合方法としてはバッチ式でも、連続式でもよい。
他の成分が他の木質ボード用バインダーを含む場合、木質基材と、レゾール型フェノール樹脂と、糖(A)と、必要に応じて他の木質ボード用バインダー以外の他の成分とを混合して第一の混合物を得て、別途、木質基材と、他の木質ボード用バインダーと、必要に応じて他の木質ボード用バインダー以外の他の成分とを混合して第二の混合物を得て、第一の混合物と第二の混合物とを混合することによって混合物(X)を得てもよく、木質基材と、レゾール型フェノール樹脂と、糖(A)と、他の木質ボード用バインダーと、必要に応じて他の木質ボード用バインダー以外の他の成分とを一括して混合することによって混合物(X)を得てもよい。
フォーミング後、形成された混合物(X)の層は、そのまま単層構造のマットとされるか、又は多層構造のマットの作製に用いられる。
多層構造のマットは、少なくとも1層が混合物(X)の層であればよく、混合物(X)の層以外の他の層をさらに含んでもよい。他の層としては、例えば、木質基材と他の木質ボード用バインダーとの混合物(以下、混合物(Y)ともいう。)の層が挙げられる。
多層構造のマットの具体的な一例として、3層以上の混合物(X)の層と、これらの層の間にそれぞれ設けられた混合物(Y)の層とを含むマットが挙げられる。
上記のようにして得られた単層構造又は多層構造のマットの硬化は、一般的な熱圧成形工程により行うことができる。熱圧成形の方法としては、多段プレス及び連続プレスのどちらの工程を用いてもよい。熱圧成形の条件は、製造する木質ボードの厚さ、密度等に応じて適宜設定できる。熱圧成形の温度としては、例えば160~220℃程度とすることができる。熱圧成形の圧力としては、例えば1~4MPa程度とすることができる。スペーサーを用いる場合には、スペーサーの高さまで木質基材が圧縮される程度の圧力が加わればよい。熱圧成形の時間としては、例えば木質ボードの厚さ1mm当り5~30秒間程度とすることができる。
必要に応じて、硬化の後に、表面処理工程、熱処理工程、冷却工程、トリミング工程等を行ってもよい。
以下に、本発明を実施例によってさらに詳しく説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。以下の各例において「部」、「%」は、それぞれ、特に限定のない場合は「質量部」、「質量%」を示す。
各例で用いた材料及び不揮発分測定方法を以下に示す。
<材料>
(レゾール型フェノール樹脂)
PL-3630:液状レゾール型フェノール樹脂、群栄化学工業社製「レヂトップPL-3630」、固形分(不揮発分)45%、粘度140mPa・s、pH=12.0。PL-3630は、ハードボード用に適したバインダーとして市販されている。
(糖質)
グルコース:試薬、和光純薬工業社製。
フルクトース:試薬、和光純薬工業社製。
キシロース:試薬、和光純薬工業社製。
マルトース:試薬、和光純薬工業社製。
75FG:異性化糖(フルクトース、グルコース等を含有)、群栄化学工業社製。固形分濃度75.4%。固形分全体に対して還元糖を100%含有。還元糖全体に対してフルクトースが44.4%、グルコースが50.5%。その他オリゴ糖等を含有。便宜上、糖(A)の割合は94.9%として計算し使用した。
デキストリン:試薬、和光純薬工業社製。
<不揮発分測定方法>
アルミ箔製皿(内径50mm、高さ15mm)の質量Cを量り、そこに試料を1.5±0.1gとなるように精秤し、当該試料の具体的な質量を乾燥前の試料質量Sとした。このアルミ箔製皿を、予め135±1℃に保った恒温器に入れ、60±2分間の乾燥処理を行った後、デシケーター中にて放冷し、その質量Cを量った。その結果から、次式を用いて乾燥処理後にアルミ箔製皿上に残った試料の質量(乾燥後の試料質量)Dを算出し、不揮発分を算出した。
D=C-C
不揮発分(%)=D/S×100
(Dは、乾燥後の試料質量(g)を示し、Sは、乾燥前の試料質量(g)を示す。)
<実施例1~12、比較例1~4>
(木質ボード用バインダー組成物の調製)
表1~3に示す糖質に水を加えて固形分45%の糖質水溶液とした。この糖質水溶液とPL-3630とを、表1~3に示す糖添加率となるように混合し、固形分濃度15%となるように水で希釈して実施例1~12及び比較例2~4の木質ボード用バインダー組成物を得た。
PL-3630を固形分15%となるように水で希釈して比較例1の木質ボード用バインダー組成物とした。
(木質ボードの作製)
得られた木質ボード用バインダー組成物を木質繊維に添加して混合し、水分が10%になるまで110℃で乾燥してバインダー付き木質繊維を得た。木質ボード用バインダー組成物の添加量は、木質繊維の乾燥質量に対する木質ボード用バインダー組成物の固形分の割合が15%になる量とした。
乾燥質量とは、乾燥機で木質繊維の水分を蒸発させ質量が恒量になるまで乾燥させたときの質量であり、本実施例では110℃で1時間乾燥させたときの質量を示している。
このバインダー付き木質繊維をマット状にフォーミングし、得られたマットに対し、熱圧プレス機((株)丸七鉄工所製 油圧プレス)を使用し、厚さ保持の為にスペーサー(1.5mm)を用いて、成形温度180℃にて4分間の熱圧処理を行い、厚さ1.5mm、密度0.70g/cmの木質ボードを作製した。
(評価)
得られた木質ボードについて、以下の評価を行った。
1.常態強度の評価
JIS A 5905:2014の7.7の規定に従って、木質ボードから試験片を切り出し、曲げ強さ試験を行って曲げ強さ(N/mm)を測定した。具体的には、三点曲げ法の試験装置(東洋精機製 ストログラフ V-50-C)を用いて、約10mm/minの荷重を加え、その最大荷重(P)を測定し、次の式によって曲げ強さを求めた。その値を常態強度とした。
曲げ強さσ (N/mm)=3PL/2bt
P:最大荷重(N),L:スパン(mm),b:試験片の幅(mm),t:試験片の厚さ(mm)。
2.湿潤強度の評価
JIS A 5905:2014の7.9の規定に従って、木質ボードから試験片を切り出し、湿潤時曲げ強さB試験を行って湿潤時曲げ強さ(N/mm)を測定した。具体的には、試験片を沸騰水中に2時間浸せきし、更に20±2℃の水中に1時間浸せきした後、濡れたままの状態で前記の曲げ試験を行って曲げ強さ(湿潤時曲げ強さ)を求めた。湿潤時曲げ強さを算出するときの試験片の寸法は、浸せき前の試験片の寸法を用いた。求めた湿潤時曲げ強さを湿潤強度とした。
3.強度保持率の評価
常態強度および湿潤強度から、次の式により強度保持率を算出した。
強度保持率(%)=湿潤強度/常態強度×100
なお、比較例4については、常態強度及び湿潤強度が比較例1よりも大きく低下していたため、以降の評価は行わなかった。
4.吸水率の評価
湿潤時曲げ強さの測定用に処理を行った試験片の表面に付着している余剰分の水分を拭取った後、その試験片の質量m(g)を測定した。この値と、処理を行う前の試験片の質量m(g)とから、次の式によって吸水率(%)を求めた。
吸水率(%)=(m-m)/m×100
5.吸水厚さ膨張率の評価
吸水率の評価と同様、湿潤曲げ強さ試験用に処理を行った試験片の厚みt(mm)を測定した。この値と、処理を行う前の試験片の厚みt(mm)とから、次の式によって吸水厚さ膨張率(%)を求めた。
吸水厚さ膨張率(%)=(t-t)/t×100
6.ホルムアルデヒド抽出量の評価
木質ボードを裁断し試験サンプル1gを量り取り、50gの純水に浸漬し、30℃一定の恒温下にて約12時間静置することにより、試験サンプル中に含まれるホルムアルデヒド分の抽出を行った。その後、水中から試験サンプルを除去してホルムアルデヒドを含む抽出液を得た。
次いで、抽出液5mLとアセチルアセトン5mLとを混合し、65℃にて10分間の加熱処理を行い、測定サンプルを得た。測定サンプルを冷却後、分光光度計(日立製 スペクトロフォトメーターU-3900H)にてホルムアルデヒド含有量の測定を行い、抽出液1L当りのホルムアルデヒド含有量(mg/L)を求めた。この値をホルムアルデヒド抽出量(以下、「F抽出量」ともいう。)とした。
上記の各評価の結果を表1~3に示す。
図1に、実施例1~8及び比較例1~3における糖添加率を横軸に、強度(常態強度、湿潤強度)を縦軸にとったグラフを示す。
図2に、実施例1~8及び比較例1~3における糖添加率を横軸に、吸水率及び吸水厚さ膨張率を縦軸にとったグラフを示す。
図3に、実施例1~8及び比較例1~3における糖添加率を横軸に、F抽出量を縦軸にとったグラフを示す。
図4に、実施例3、9~12及び比較例4における糖種を横軸に、強度(常態強度、湿潤強度)を縦軸にとったグラフを示す。糖質を用いていない比較例1の強度をブランクとして併記した。
図5に、実施例3、9~12及び比較例4における糖種を横軸に、F抽出量を縦軸にとったグラフを示す。糖質を用いていない比較例1のF抽出量をブランクとして併記した。
Figure 0007017896000001
Figure 0007017896000002
Figure 0007017896000003
上記結果に示すように、糖添加率が1~70%の実施例1~12のバインダー組成物を用いた木質ボードは、レゾール型フェノール樹脂を単独で用いた比較例1に比べて、吸水率及び吸水厚さ膨張率が低く、耐水性に優れていた。また、常態強度、湿潤強度ともに比較例1と同等以上であった。特に実施例1~6では、比較例1に比べてF抽出量が少なく、木質ボードがホルムアルデヒド放散量の少ないものであることが確認された。また、実施例1~12の木質ボードの色調は明るい茶色であり、濃褐色の比較例1に比べて淡色化していた。
一方、糖添加率が80%以上の比較例2~3のバインダー組成物を用いた木質ボードは、耐水性、常態強度、湿潤強度ともに比較例1よりも劣っていた。
デキストリンを用いた比較例4のバインダー組成物を用いた木質ボードは、常態強度、湿潤強度が比較例1の半分程度まで低下しており、特に湿潤強度の低下が顕著であった。
<実施例13~19、比較例5~8>
(木質ボード用バインダー組成物の調製)
75FGとPL-3630とを、表4~5に示す糖添加率となるように混合し、固形分濃度15%となるように水で希釈して実施例13~19及び比較例6~7の木質ボード用バインダー組成物を得た。
PL-3630を固形分15%となるように水で希釈して比較例5の木質ボード用バインダー組成物とした。
75FGを固形分15%となるように水で希釈して比較例8の木質ボード用バインダー組成物とした。
(木質ボードの作製)
木質ボード用バインダー組成物を変更した以外は前記と同様にしてバインダー付き木質繊維を得た。このバインダー付き木質繊維をマット状にフォーミングし、熱圧プレス機((株)丸七鉄工所製 油圧プレス)を使用し、厚さ保持の為にスペーサー(2.4mm)を用いて、成形温度180℃にて10分間の処理を行い、厚さ2.4mm、密度0.80g/cmの木質ボードを作製した。
(評価)
得られた木質ボードについて、前記と同様にして、常態強度、湿潤強度、吸水率、吸水厚さ膨張率、F抽出量を評価し、強度保持率を算出した。結果を表4~5に示す。
図6に、実施例13~19及び比較例5~8における糖添加率を横軸に、強度(常態強度、湿潤強度)を縦軸にとったグラフを示す。
図7に、実施例13~19及び比較例5~8における糖添加率を横軸に、吸水率及び吸水厚さ膨張率を縦軸にとったグラフを示す。
図8に、実施例13~19及び比較例5~8における糖添加率を横軸に、F抽出量を縦軸にとったグラフを示す。
Figure 0007017896000004
Figure 0007017896000005
上記結果に示すように、糖添加率が1~70%の実施例13~19のバインダー組成物を用いた木質ボードは、レゾール型フェノール樹脂を単独で用いた比較例5に比べて、吸水率及び吸水厚さ膨張率が低く、耐水性に優れていた。また、常態強度、湿潤強度ともに比較例1よりも優れていた。さらに、比較例1に比べてホルムアルデヒド抽出量が少なく、木質ボードがホルムアルデヒド放散量の少ないものであることが確認された。また、実施例13~19の木質ボードの色調は明るい茶色であり、濃褐色の比較例5に比べて淡色化していた。
一方、糖添加率が80%以上の比較例6~8のバインダー組成物を用いた木質ボードは、吸水膨張率及び湿潤強度が比較例1と同等かそれよりも劣っていた。
<実施例20~30、比較例9~12>
(木質ボード用バインダー組成物の調製)
PL-3630を固形分15%となるように水で希釈して比較例9の木質ボード用バインダー組成物とした。
75FGとPL-3630とを、糖添加率が30%となるように混合し、固形分濃度15%となるように水で希釈して実施例20の木質ボード用バインダー組成物を得た。
75FGとPL-3630と表6に示す添加剤(硬化促進剤(B)又はその比較品)とを、糖添加率が30%、添加剤添加率が5%となるように混合し、固形分濃度15%となるように水で希釈して実施例21~30及び比較例10~12の木質ボード用バインダー組成物を得た。
添加剤添加率は、レゾール型フェノール樹脂(PL-3630)の固形分と糖(75FG)の固形分との合計質量(100質量%)に対する添加剤の割合である。
(木質ボードの作製)
木質ボード用バインダー組成物を変更した以外は前記と同様にしてバインダー付き木質繊維を得た。このバインダー付き木質繊維をマット状にフォーミングし、熱圧プレス機((株)丸七鉄工所製 油圧プレス)を使用し、厚さ保持の為にスペーサー(1.5mm)を用いて、成形温度180℃にて4分間の処理を行い、厚さ1.5mm、密度0.7g/cmの木質ボードを作製した。
(評価)
得られた木質ボードについて、前記と同様にして、常態強度、湿潤強度を評価し、強度保持率を算出した。結果を表6に示す。表6中、実施例20における「R:G=70:30」は、PL-3630の固形分:75FGの固形分の質量比が70:30であることを示す。実施例21の「リン酸3アンモニウム 5%」は、添加剤種がリン酸3アンモニウムで、添加剤添加率が5%であることを示し、実施例22~30、比較例10~12においても同様である。
図9に、実施例21~30及び比較例10~12における添加剤種を横軸に、強度(常態強度、湿潤強度)を縦軸にとったグラフを示す。糖質及び添加剤を用いていない比較例9の結果を「PL-3630」として、添加剤を用いていない実施例20の結果を「R:G=70:30」として併記した。
Figure 0007017896000006
上記結果に示すように、糖添加率が1~70%の実施例20~30のバインダー組成物を用いた木質ボードは、レゾール型フェノール樹脂を単独で用いた比較例9に比べて、常態強度、湿潤強度ともに優れていた。特に、バインダー組成物が硬化促進剤(B)をさらに含む実施例21~30では、常態強度及び湿潤強度の少なくとも一方が、実施例20よりもさらに優れていた。
硬化促進剤(B)の代わりに、クエン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム又はクエン酸を添加した比較例10~12のバインダー組成物を用いた木質ボードは、比較例9に比べて、湿潤強度に劣っていた。特に比較例10~11では常態強度も劣っていた。

Claims (5)

  1. レゾール型フェノール樹脂と、単糖、二糖及び三糖からなる群から選ばれる少なくとも一種の糖とを含み、
    前記レゾール型フェノール樹脂の固形分と前記糖の固形分との合計質量に対する前記糖の固形分の割合が1~70質量%である、木質ボード用バインダー組成物。
  2. レゾール型フェノール樹脂と、単糖、二糖及び三糖からなる群から選ばれる少なくとも一種の糖と、アンモニウム塩、リン酸塩及びグリシンからなる群から選ばれる少なくとも一種の硬化促進剤とを含み、
    前記レゾール型フェノール樹脂の固形分と前記糖の固形分との合計質量に対する前記糖の固形分の割合が1~70質量%である、木質ボード用バインダー組成物。
  3. 請求項1又は2に記載の木質ボード用バインダー組成物を用いた木質ボード。
  4. 木質繊維又は木質小片と、レゾール型フェノール樹脂と、単糖、二糖及び三糖からなる群から選ばれる少なくとも一種の糖とを含む原料を混合して混合物を得て、前記混合物をフォーミングし、前記混合物の層を含むマットを得て、前記マットを硬化させる工程を含み、
    前記レゾール型フェノール樹脂の固形分と前記糖の固形分との合計質量に対する前記糖の固形分の割合が1~70質量%である、木質ボードの製造方法。
  5. 木質繊維又は木質小片と、レゾール型フェノール樹脂と、単糖、二糖及び三糖からなる群から選ばれる少なくとも一種の糖と、アンモニウム塩、リン酸塩及びグリシンからなる群から選ばれる少なくとも一種の硬化促進剤とを含む原料を混合して混合物を得て、前記混合物をフォーミングし、前記混合物の層を含むマットを得て、前記マットを硬化させる工程を含み、
    前記レゾール型フェノール樹脂の固形分と前記糖の固形分との合計質量に対する前記糖の固形分の割合が1~70質量%である、木質ボードの製造方法。
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