JP7015492B1 - デジタル資産を用いた取引注文処理システム - Google Patents
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Abstract
Description
なお、本願明細書における「システム」とは、コンピュータや他の電子機器、ソフトウェア、通信ネットワーク、データなどの要素を組み合わせて構成された、ソフトウェアによる情報処理を、ハードウェア資源を用いて具体的に実現するコンピュータシステムを意味する。
特に定型化された経済的価値を有する資産、例えば、コモディティ(商品取引所で取引されている商品等)類は、デジタル資産として取引することのできる特性が強い。
将来、暗号資産やデジタル通貨、もしくはSTOなどデジタル証券のようなメジャーなデジタル価値(資産)に限らず、製品や食品など個別に定義された物やサービスというマイナーな価値についてデジタル表現したものも広く、交換・取引の対象になることが想定される。
なお、本願明細書における「スマートコントラクト」とは、ブロックチェーン上で稼働するプログラムであって、ブロックチェーンにおけるトランザクションのデータ処理を、ブロックチェーンの外部から取り込まれた情報をトリガーとして自動的に執行するプログラムを意味し、ノードという分散された環境で、並列的に処理できるものである。
特に定型化された経済的価値を有する資産、例えば、コモディティ(商品取引所で取引されている商品等)類は、経済的価値がデジタルで表現された、デジタル資産として取引することのできる特性が強い。
将来、暗号資産やデジタル通貨、もしくはSTOなどデジタル証券のようなメジャーなデジタル価値(資産)に限らず、製品や食品など個別に定義された物やサービスというマイナーな価値についてデジタル表現したものも広く、交換・取引の対象になることが想定される。
その際、あらゆる形態のデジタル価値(資産)同士(マルチカレンシー、マルチアセット)を対象とした交換・取引を行う取引注文処理システムについて検討したところ、取引の基準となる通貨単位、数量単位、価格、数量等が相違するデジタル資産同士を交換・取引することが難しいことが判明した。
同じ銘柄のデジタル資産同士の取引であっても国や市場によって取引の基準となる通貨単位や数量単位が異なるため、取引の基準となる通貨単位や数量単位が異なる国や市場でのデジタル資産同士の交換・取引が煩雑化する。
異なる銘柄のデジタル資産同士の取引においては、取引の基準となる数量や価格が異なるため、異なる銘柄のデジタル資産同士の交換・取引の支障となる。
これに加えて、上記(1)で述べた取引の基準となる通貨単位や数量単位が異なるという要因が加わると、より一層交換・取引が難しくなる。
上記(1)で述べた取引の基準となる通貨単位や数量単位の相違や、上記(2)で述べた取引の基準となる数量や価格の相違を調整すべく、統一化した規準価格、規準数量に変換すると、注文における価格、数量に端数が生じてしまい、対当させ難くなり、流動性が低下する。
また、取引の基準となる通貨単位、数量単位、価格、数量等を調整のためにシステムへかかる負荷が膨大化する。このため、取引の基準となる通貨単位、数量単位、価格、数量等が相違するデジタル資産の交換・取引の処理のためにシステムへかかる負荷が膨大化し、処理速度の低下を招く虞がある。
デジタル資産は、ブロックチェーンなどの分散型台帳を用いて管理されるデータであり、分散した状態で共有できるものであるとともにデータ自体に価値を有するものであって、その価値を有するデータそのものを処理できるという特性を有する。
上述のとおり、「スマートコントラクト」とは、ブロックチェーン上で稼働するプログラムであって、ブロックチェーンにおけるトランザクションのデータ処理を、ブロックチェーンの外部から取り込まれた情報をトリガーとして自動的に執行するプログラムを意味し、ノードという分散された環境で、並列的に処理できるものである。
しかるに、取引処理を行うスマートコントラクトは、銘柄単位で稼働する。
このため、当該銘柄の取引処理を行うスマートコントラクトが稼働しても、当該銘柄の交換先となる他の銘柄の取引処理を行うスマートコントラクトが稼働せず、銘柄の異なるデジタル資産同士の交換・取引のための処理を行うことができない。
このようにすれば、取引用スマートコントラクトによる規準注文価格、規準注文数量の算出のために要する処理件数を低減でき、システムへかかる負荷、処理速度の低下をより一層低減することができる。
このようにすれば、例えば、所定銘柄のデジタルデータの売り注文において異なる銘柄のデジタルデータとの交換を所望する場合に、処理稼働条件として夫々の銘柄についてのトリガー条件項目を設定しておくことで、処理稼働条件監視用スマートコントラクトが、夫々の銘柄単位に稼働する取引用スマートコントラクトに、銘柄の異なるデジタル資産同士の交換・取引のための処理を同時に実行させることができる。
このようにすれば、処理稼働条件監視用スマートコントラクトが、夫々の銘柄単位に稼働する取引用スマートコントラクトに、銘柄の異なるデジタル資産同士の交換・取引のための処理を同時に実行させることを具現化できる。
このようにすれば、所定の注文価格、注文数量(統一化した規準価格、規準数量)に変換することにより、注文における価格、数量に端数が生じた場合であっても、約定が可能となるため、通貨単位や数量単位の異なる注文同士の取引や、銘柄の異なる注文同士等の取引についての流動性を向上させることが可能になる。
このようにすれば、当該注文が全て約定処理されるか、または約定処理できなくなるまで繰り返す取引用スマートコントラクトにおける、1回当たりの対当・約定処理での処理対象となる注文データを少数に抑えることができ、システムにかかる負荷を低減することができる。
このようにすれば、所定ノードの取引用スマートコントラクトによる対当・約定処理に不具合を生じても、処理を停滞させることなく、他のノードの取引用スマートコントラクトに当該注文データの対当・約定処理を行わせることができる。
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態の説明を行うこととする。
図1は本発明の第1実施形態に係るデジタル資産を用いた取引注文処理システムの全体構成を概略的に示す説明図である。
第1実施形態のデジタル資産を用いた取引注文処理システムは、トークン(ブロックチェーン等の分散技術においてデジタルで定義される価値などの総称であって、暗号資産を含む)、デジタル通貨、トークンとデジタル通貨、もしくはトークン同士、デジタル通貨同士など、あらゆる形態のデジタル資産間による取引を管理するための、少なくとも1種類のブロックチェーン等の分散技術における分散型台帳と、該分散型台帳に管理されるデジタル資産を用いた所定の処理を行うためのスマートコントラクトを備えて構築され、注文入力手段1と、注文管理用スマートコントラクト2と、基準値提供用スマートコントラクト3と、取引用スマートコントラクト4と、処理稼働条件監視用スマートコントラクト5と、注文処理監視用スマートコントラクト6と、運用監視用スマートコントラクト7と、を有している。
注文入力手段1は、例えば、コンピュータの端末や、携帯情報端末等の他の電子機器の画面表示部と入力部を介して、所定形態のデジタル資産(例えば、トークンとデジタル通貨)による取引についての注文(例えば、トークンによる売り注文、デジタル通貨による買い注文)を入力することができるように構成されている。注文の入力項目は、銘柄、売買区分、数量単位、通貨単位、注文価格、注文数量、約定条件、交換先(のデジタル資産の種類)、処理稼働条件等が挙げられる。
注文管理用スマートコントラクト2は、注文者により注文入力手段1を介して注文が入力されたときに当該注文の銘柄単位でノードごとに稼動し、図2に示すように、注文者により注文入力手段1を介して入力された銘柄単位の注文についての、当該注文に対する対当・約定処理を執行するための処理稼働条件を備えた注文データ(例えば、トークンによる売り注文、デジタル通貨による買い注文のデータ)を分散型台帳に記録・保存する機能を有するように構成されている。
また、注文管理用スマートコントラクト2は、当該銘柄の注文データにおける個々のトリガー条件が設定されてなるトリガー条件監視テーブルを作成する機能を有する。なお、トリガー条件、トリガー条件監視テーブルについては、後述する。
基準値提供用スマートコントラクト3は、注文者により注文入力手段1を介して注文が入力されたときに当該注文の銘柄単位でノードごとに稼動し、図3に示すように、当該銘柄の売りと買い夫々の基準値(最新の約定値や最良気配値に基づく、売買の基準となる値段)を算出し、算出した基準値を、当該銘柄に対応する夫々の取引用スマートコントラクト4に提供する機能を有するように構成されている。
なお、最良気配値とは、売り注文における最も安い値段、買い注文における最も高い値段である。
取引用スマートコントラクト4は、注文者により注文入力手段1を介して注文が入力されたときに当該注文の銘柄単位でノードごとに稼動し、図4、図5に示すように、次の処理を行う機能を有するように構成されている。
処理稼働条件監視用スマートコントラクト5は、注文者により注文入力手段1を介して注文が入力されたときに当該注文の銘柄単位でノードごとに稼動し、図6に示すように、注文データの処理稼働条件を満たすか否かを監視し、当該注文データの処理稼働条件を満たしたときに、取引用スマートコントラクト4による当該注文データに係る注文の対当・約定処理を実行させるトリガー機能を有する。
注文データの処理稼働条件は、当該銘柄の注文データにおける、当該銘柄の注文データに対する対当・約定処理を実行させるためのトリガー条件と当該銘柄とは別銘柄である交換先の注文データに対する対当・約定処理を実行させるためのトリガー条件との論理積、論理和の少なくともいずれかを用いた組み合わせを有して構成されている。
そして、処理稼働条件監視用スマートコントラクト5は、トリガー条件監視テーブルを監視し、トリガー条件監視テーブルにおける個々のトリガー条件(の対象値)が処理稼働条件を満たしたときに、取引用スマートコントラクト4による当該注文データに係る注文の対当・約定処理を実行させるように構成されている。
注文処理監視用スマートコントラクト6は、取引用スマートコントラクト4による注文データの注文に対する処理を監視するスマートコントラクトである。
注文処理監視用スマートコントラクト6は、図7に示すように、1銘柄に対して稼働した取引用スマートコントラクト4の対当・約定処理が所定時間(例えば、5秒)を超えて待機状態にある場合、障害とみなして当該取引用スマートコントラクト4の稼働を停止させ、当該取引用スマートコントラクト4のエラー情報及び稼動を停止した当該取引用スマートコントラクト4のノードを、システムの運用を監視する運用監視用スマートコントラクト7に通知する機能を有するように構成されている。
運用監視用スマートコントラクト7は、エラー情報及び稼動を停止した取引用スマートコントラクト4のノードの通知を受けて、別の取引用スマートコントラクト4が当該処理を継続するように、取引用スマートコントラクト4を稼動させるノードを自動的に調整する機能を有するように構成されている。
注文系情報については、注文管理用スマートコントラクト2や、取引用スマートコントラクト4により、注文電文や、約定電文の内容がデータ管理領域(ブロックチェーン等)に記録され、取引用スマートコントラクト4により注文データの記録内容が更新される。
指値の場合は、注文管理用スマートコントラクト2により先に注文データがデータ管理領域に記録される。
データ管理領域には、注文系情報の他に、扱い銘柄の取引仕様(銘柄名、銘柄コード、取引単位など)が記録される。
取引のベースとなる通貨・数量単位の異なる複数の注文同士の売買を行う場合における取引用スマートコントラクト4のクロッシング(対当・約定処理)機能について説明する。
国や市場に応じて、取引のベースとなる(価格に関する)通貨単位と、ベースとなる数量単位が定められている。例えば、日本での金取引の場合は通貨単位が¥、数量単位がgに定められている。
取引用スマートコントラクト4は、各銘柄の注文の注文データを、ベースとなる統一した通貨単位、数量単位の注文価格(規準注文価格)、注文数量(規準注文数量)に変換し、変換後の注文に対してクロッシング(対当・約定処理:交換・取引)を行う。
売買の対象となる相手側の注文の注文データを全件読み込ませると、システムに負荷がかかる。このため、少数注文件数の注文データを対象としてクロッシング(対当・約定処理)を行うことで負荷減少を図っている。
そして、当該銘柄用の取引用スマートコントラクト4は、指値・成行注文の注文データを、この上位5件などの読み込んだ注文データの優位順に対当させ、対当した注文データについては約定の注文系情報を注文元に返すと同時にデータ管理領域に記録する。
指値・成行注文のクロッシング(対当・約定処理)が終了すると、当該銘柄用の取引用スマートコントラクト4は稼動停止状態になる。
1銘柄に対して、1つの取引用スマートコントラクト4が稼働するが、稼働した取引用スマートコントラクト4のクロッシング(対当・約定処理)が待機状態にある場合(例えば、処理開始から5秒経過しても、データ管理領域に1処理の記録も無いときなど)、注文処理監視用スマートコントラクト6が障害とみなして当該取引用スマートコントラクト4の稼働を停止させ、当該取引用スマートコントラクト4のエラー情報及び稼動を停止した当該取引用スマートコントラクト4のノードを、システムの運用を監視する運用監視用スマートコントラクト7に通知する。そして、運用監視用スマートコントラクト7が、エラー及び稼動を停止した取引用スマートコントラクト4のノードの通知を受けて、取引用スマートコントラクト4を稼動させるノードを自動的に調整することで別の取引用スマートコントラクト4が当該処理を継続する。
「金額」を指定するタイプの注文は、基本的には成行処理(基準値提供用スマートコントラクト3により提示されている基準値(レート)をベースに「数量」が定まる)になる。しかし、注文者が「金額」を指定するタイプの注文で指値処理を行うことを所望する場合は、「金額」指定の他に「価格」もしくは「数量」を指定する必要がある。
通常、指値注文の場合は注文者が「数量」を指定するが、注文者による「数量」の指定ミスが起こる場合が想定される。そこで、取引用スマートコントラクト4は、基準値(レート)に対しての成行注文の場合の「数量」を参考値として算出し、注文者により指定された「数量」が、参考値として算出した「数量」から例えば10%など所定の割合を超える場合は受け付けないように構成されている。
なお、注文者が注文内容についての訂正を所望する場合、元の「数量」、「価格」を修正できる。
取引のベースとなるトークンを他のトークンに交換する場合における取引用スマートコントラクト4のクロッシング(対当・約定処理)機能について説明する。
その場合の売りと買いのベースになるのが「金額」になる。
まず、交換元の注文と交換先の注文が共に成行注文である場合の取引用スマートコントラクト4によるクロッシング(対当・約定処理)について説明する。
金額を算出するため、交換元(売ることを所望する)銘柄のトークンの価格と数量を指定するが、価格は基準値提供用スマートコントラクト3により提示されている基準値(レート:最良気配、自己が成行で受ける価格)となるので、売却を所望する数量を指定する。
これで価格×数量と、銘柄のベースとなる通貨単位(¥)と数量単位(g)の両方の換算率により、金額が算出される。
交換先(交換を所望する対象)銘柄のトークンに対して、基準値(レート)が出ているが、成行注文の場合は基準値(レート)により価格が決まるので、数量が算出(当該トークンの換算率に換算)できる。
次に、指値注文の場合の取引用スマートコントラクト4によるクロッシング(対当・約定処理)について説明する。
指値注文の場合、交換元におけるトークンの売りを所望する数量は定まっており、それに対して売りを所望する価格を指定する。
これで価格×数量と、銘柄のベースとなる通貨単位(¥)と数量単位(g)の両方の換算率により、金額が算出される。
交換先(交換を所望する対象)銘柄のトークンに対して、基準値(レート)が出ているが、成行注文の場合は基準値(レート)により価格が決まるので、数量が算出(当該トークンの換算率に換算)できる。
交換先(交換を所望する対象)銘柄のトークンに対して指値注文を行う場合、価格、数量のいずれかを指定する。通常は数量を指定する。
金額が算出されているので、価格か数量のどちらかを指定すれば、売買の対象となる相手側の値が算出でき、指値として価格と数量が指定されることになる。
通常、指値注文の場合は数量の指定ミスが起こる場合が想定される。このため、取引用スマートコントラクト4は、好ましくは、基準値(レート)に対しての成行注文の場合の数量を参考値として算出し、注文者により指定された数量が、例えば10%誤差など所定の割合を超える場合はクロッシング(対当・約定処理)を受け付けないようにする機能を備える。
なお、注文者が注文内容についての訂正を所望する場合、注文入力手段1を介して、交換元の数量、価格に加え、交換先の価格もしくは数量のどちらかを修正できる、もしくは成行に訂正できる。
例えば、コメトークンをゴールドトークンと交換することを所望する場合は、コメトークンの売り注文をゴールドトークンの買い注文に変換してゴールドトークンの取引用スマートコントラクト4で処理(つまり、ゴールドトークンの買い注文として記録、処理)させる。
即ち、コメのクロッシング(対当・約定処理)(コメ取引用スマートコントラクト4)と、ゴールドのクロッシング(対当・約定処理)(ゴールド取引用スマートコントラクト4)の双方にリンクした注文のクロッシング(対当・約定処理)となる。
この2つの銘柄のクロッシング(対当・約定処理)を同時に処理するのが、後述する処理稼働条件監視用スマートコントラクト5(処理稼働条件クロッシング(対当・約定処理)機能を含む)である。
なお、取引用スマートコントラクト4は、成行注文の場合、自己の出すレート(スプレッドが加算されている)を使い、自己が介在する流動性調整処理を行う。
また、全てのクロッシング(対当・約定処理)における売り注文と買い注文の間に自己が介在することで、端数分の注文の調整を行う。
取引者の注文入力によるコメトークンの165円30売り注文の注文データが注文板情報として記録され、記録番号を“1111”とする。代金は4950円である。これを注文Aとする。
同時に、記録番号“1111”の派生注文として、ゴールドトークンの買い注文の注文データを注文板情報として記録する。これを派生注文Bとする。
派生注文Bでは、ゴールドの売りレートが5850円で出ているものとする。このとき、ゴールドの数量が(4950÷5850=)0.846と算出される。実際には、多少の余力を加味して、数量を決定する。ここでは0.845とする。
ここで、銘柄の異なる注文Aと派生注文Bに対するクロッシング(対当・約定処理)を、夫々の銘柄単位で稼動する取引用スマートコントラクト4で同時に行うことができるようにしたのが、処理稼働条件監視用スマートコントラクト5による注文データの処理稼働条件(トリガー要素(トリガー条件の組み合わせ))の監視である。
処理稼働条件監視用スマートコントラクト5は、記録番号“1111”の注文に対して設定(記録)されたトリガー要素(トリガー条件の組み合わせ)Cが、「注文Aが約定&派生注文Bが約定」となる。
実際のトリガー要素(トリガー条件の組み合わせ)Cは、「コメ買いレート>=165&ゴールド売りレート<=5850」で示される処理稼働条件Dとなる。
処理稼働条件監視用スマートコントラクト5には、基準値提供用スマートコントラクト3より、該当銘柄の基準値(売買レート)が配信される。
この記録番号“1111”の注文に対して設定したトリガー要素をベースに、コメ取引の買い最良気配から算出される自己のコメ買いレートと、ゴールドの売り最良気配から算出される自己のゴールド売りレートを取得する。
共にレートを受け取り、処理稼働条件Dが合致した場合に、処理稼働条件監視用スマートコントラクト5は、コメ取引用スマートコントラクト4とゴールド取引用スマートコントラクト4に処理の割り込み介入(記録番号“1111”の注文A及び派生注文Bを処理するモードになる)を行う。そして、割り込み状態で双方のレートが割り込み介入処理時のレートを維持できている場合に、コメ側の注文についての対当・約定処理とゴールド側の注文についての対当・約定処理が行われることになる。
これにより、コメトークン30がゴールドトークン0.845に交換される。
また、処理稼働条件監視用スマートコントラクト5を用いた処理により、コメトークン30を成行でゴールドトークンに交換することも可能である。
その場合、上記のように、注文A、派生注文B、トリガー要素(トリガー条件の組み合わせ)C、処理稼働条件Dの記録を行い、処理稼働条件監視用スマートコントラクト5が稼働する。
なお、基本的に、自己のレートの保証時間は例えば5秒(設定されている値で処理)とし、5秒を経過すると自己のレートは再計算され、提示される内容が変わる。
コメの買いレートが165円で出ているとき、それをベースにコメトークン30の売り代金の金額4950円が計算でき、ゴールドの売りレートが5850円で出ているとき、コメトークン30の売り代金の金額をゴールドの売りレートの価格で除算し、微修正を加えることで0.845の数量が算出される。
この場合、処理稼働条件監視用スマートコントラクト5が上記と同じ方法で稼働して、コメ取引用スマートコントラクト4とゴールド取引用スマートコントラクト4に処理の割り込み介入し、約定を返すことができるようにする。
本発明のデジタル資産を用いた取引注文処理システムは、暗号資産やデジタル通貨、もしくはSTOなどデジタル証券のようなメジャーなデジタル価値(資産)や、製品や食品など個別に定義された物やサービスというマイナーな価値についてもデジタル表現したものを対象として、あらゆる形態のデジタル価値(資産)同士をスマートコントラクトで取引するベースになり、トークンとデジタル通貨の取引に限らず、トークン同士やデジタル通貨同士の交換・取引を行うことができるように構成されている。
従って、交換・取引の対象は、マルチカレンシー(複数通貨)、マルチアセット(複数デジタル資産)になる。当然、米ドル建て表記の資産と、¥通貨の交換など為替変動も考慮して交換・取引を行うことができる。
ここで、マルチカレンシー、マルチアセットでの交換・取引について、詳しく説明する。
まず、マルチカレンシーでの交換・取引について、説明する。
基本となる注文データの項目として、「銘柄(Aとする)、売買区分、注文数量、注文価格(指値・成行)、数量単位、通貨単位」と、「銘柄(Bとする)、売買区分、注文数量、注文価格(指値・成行)、数量単位、通貨単位」がある。
本実施形態のデジタル資産を用いた取引注文処理システムでは、取引用スマートコントラクト4は、上記項目に「為替値」、「¥換算値」、それらに基づいて算出した「規準注文価格」、注文数量を修正した「規準注文数量」の各項目をシステム内部の作業領域の注文データ(注文板情報)に追加する。
ここで、取引用スマートコントラクト4は、同一銘柄のデジタル資産の注文において、取引のベースとなる通貨単位や数量単位が異なる場合、1つの銘柄において通貨単位、数量単位が異なる売買注文の注文価格と注文数量を、統一した通貨単位、数量単位の注文価格(規準注文価格)、注文数量(規準注文数量)となるように調整する。
例えば、為替レートが1$=100¥であったとする。このときの1$の¥換算率は100倍である。
また、1トロイオンスのg換算率は、31倍少々であるが、ここでは説明の便宜上、1トロイオンスのg換算率を30倍とし、1トロイオンス30gとする。
ゴールド(純度99.99)という銘柄の、ドルオンスと、¥グラムの売りと買いを行う場合、規準の通貨単位と数量単位を設定し、通貨、数量の夫々の所定の換算率に基づいて、規準注文価格、規準注文数量を算出する。
ここでは、規準の通貨単位を¥、規準の数量単位をgとし、それらの単位に変換したときの規準注文価格、規準注文数量を算出するものとする。なお、通貨の換算率は為替値によって得られる。為替値は後述のクロッシング(対当・約定処理)が1回ループするたびに、更新を行う。そして、取引用スマートコントラクト4は、更新情報に基づいて注文データ(注文板情報)の内容を修正し、夫々の注文データに対し再ソートを行う。
為替は、クロッシング(対当・約定処理)ループの単位で更新し、規準注文価格を更新する。
以上がマルチカレンシーでの交換・取引処理の一例である。
次に、マルチアセットでの交換・取引について、説明する。
ここでは、コメとゴールドの交換を行う場合の例を説明する。
また、所有するコメトークンの交換対象として所望するデジタル資産としては、ゴールドトークンを指定するものとする。
まず、取引用スマートコントラクト4は、コメとゴールドの価格の換算率を算出する。
規準コメ(ここでは“東京コメ”とする)とゴールド(通貨単位:¥、数量単位:g)の各々の市場価格(基準値)を求める。
各々の基準値は、各々の市場の取引システムにおける直近約定もしくは、直近気配:売り買いの中値など定められた計算式により算出する。
規準コメの基準値、ゴールドの基準値を取り込む。
コメトークンの取引単位を1トークン=1kg(変換のコメ数量を1kg)とする。
東京コメの場合、主市場データでは、呼値単位:60kg、本日の最大出来高の限月における取引価格(基準値):10000円であったとする。
これを1kg換算すると、166.6円となる。
ゴールドトークンの取引単位を1トークン=1gとする。
主市場データでは、1g6000円であったとする。
1トークン間の交換レート(換算率)を算出するが、ここでは、交換レート(換算率)の基準を、交換を所望する対象側のゴールドとする。
取引用スマートコントラクト4は、コメトークンの¥変換基準値、ゴールドトークンの¥変換基準値を用いて、¥を仲介したコメとゴールドの交換レート(換算率)を算出する。
なお、交換レート(換算率)の基準となる、各基準値は、クロッシング(対当・約定処理)が1回ループするたびに更新し、全体の再計算を行う。
本例での¥を仲介したコメとゴールドの交換レート(換算率)については、コメ側のトークンをゴールド側のトークンを基準として変換する場合、1コメトークンに対する1ゴールドトークンの換算率は
166.6÷6000=0.027767≒0.0278
となる。
ゴールド数量変換値0.833=コメ注文数量30×換算率0.027767
ゴールド価格変換値、ゴールド数量変換値は、夫々、規準注文価格、規準注文数量に相当する。
注文板情報は、ブロックチェーンや通常のデータベースなどに纏めて格納されており、交換したい指値情報(この場合は、銘柄がゴールド、ここでは表1の内容)のみを読み込ませる。
コメトークンをゴールドに交換するということは、コメトークンを売って、ゴールドを買うということである。即ち、表2に示すコメトークンの売り注文は、ゴールドトークンの買い注文となる。
このように、取引用スマートコントラクト4は、コメトークンの売り注文の注文価格、注文数量をゴールドトークンの価格、数量に変換して規準注文価格、規準注文数量を算出する。そして、表2に示す規準注文価格、規準注文数量を算出した後の注文板情報を、コメトークンの売り注文を代替したゴールドトークンの買い注文として、表1に示すゴールドトークンの注文板情報に差し込む。そして、取引用スマートコントラクト4は、コメトークンの売り注文を代替したゴールドトークンの買い注文をゴールドトークンの売り注文とクロッシング(対当・約定処理)させる。
また、注文板情報のその他の項目として、約定時に注文数の一部での出来を認めるか否かを示す「約定条件」と、交換を所望する対象のデジタル資産を示す「交換先」を有する必要がある。
よって、本実施形態のデジタル資産を用いた取引注文処理システムにおいて、取引用スマートコントラクト4が、表1、表2に示す注文板情報を用いて、マルチカレンシー、マルチアセットでの交換・取引を行う場合の注文板情報におけるデータと項目は、次の表3に示すようになる。
取引用スマートコントラクト4は、表3に示すゴールドの規準注文価格、規準注文数量で示されたゴールドトークンの買い注文(元銘柄がコメトークンである売り注文を代替したゴールドトークンの買い注文)とゴールドトークンの売り注文をクロッシング(対当・約定処理)させる。
表3では、規準注文価格5942.377円、規準注文数量0.833のゴールドトークンの買い注文(元銘柄がコメトークンの売り注文)と規準注文価格5850円、規準注文数量2.1のゴールドトークンの売り注文が対当する。
このように、本実施形態のデジタル資産を用いた取引注文処理システムでは、取引用スマートコントラクト4は、複数銘柄の売買注文(売買区分、注文価格、注文数量)における注文価格の通貨単位、注文数量の数量単位を、所定の換算率に基づき、特定銘柄を規準とした統一通貨単位、統一数量単位に変換して、規準注文価格、規準注文数量を算出し、規準注文価格、規準注文数量を算出した注文データをクロッシング(対当・約定処理)させることを可能にする機能を有している。
ところで、表3に示す注文板情報におけるゴールドトークンの買い注文(元銘柄がコメトークンの売り注文)とゴールドトークンの売り注文とでは、規準注文数量の端数が合わず、対当しない所定数量の残余分の注文が生じる。
そこで、本実施形態のデジタル資産を用いた取引注文処理システムでは、取引用スマートコントラクト4は、売り注文と買い注文の一方に対当しない端数の注文が生じる場合において、当該端数分の注文を「自己が介在して流動性を提供する」ことによって調整する(予め自己保有しておいたデジタル資産を用いて、自己のデジタル資産の保有量が所定量となる範囲内で、反対売買を行うことで当該残余分の注文を約定させる)機能を備えている。
本願における「自己が介在して流動性を提供する」処理とは、自己が介在する相対取引による処理であって、詳しくは、売り注文と買い注文とのクロッシング(対当・約定処理)を行う場合において、売りの委託注文に対して買いは自己が請け、買いの委託注文に対して売りは自己が請ける処理をいう。
表3に示す注文板情報におけるゴールドトークンの買い注文(元銘柄がコメトークンの売り注文)とゴールドトークンの売り注文とでは、売り注文と買い注文のいずれかの注文数量が合わない。
そこで、取引用スマートコントラクト4は、その端数分の注文を自己が請け負う。
自己が請け負う数量は、ポジションデルタの範囲内で管理する。その前提として、本実施形態のデジタル資産を用いた取引注文処理システムでは、自己が所定量のポジションを保有する。
例えば、ゴールドトークン:100単位をポジションデルタの上限値として設定した場合、自己はその上限値(ゴールドトークン:100単位)を超えない範囲でポジションを保有する。つまり、マイナスは無い(空売りが出来る場合は設定可能)ものとして、ポジションデルタ0~100の間で自己が保有するポジションを用いて端数分の注文についての調整を行う。
当然、クロッシング(対当・約定処理)を行う場合には、スプレッド分(つまり、手数料)を相手注文の価格に加算する。
表4に示す例では、売り注文と買い注文の規準注文価格の差は、
5850-5942.377=-92.38円
である。
従って、売りと買いの規準注文価格の差がスプレッドとして設定した額(10円)以上あるので、取引用スマートコントラクト4は、自己が介在する相対取引によるクロッシング(対当・約定処理)を実行する。
主体側の規準注文価格に対してスプレッド分を減算した状態の注文板情報を表5に示す。
この場合、買い注文Aに対して、自己が5942.377円(約定の際に元へもどす)で0.833売り、売り注文Bに対して、自己が5850円で0.833買う。
主体側の注文の規準注文価格にスプレッド分を加算した状態の注文板情報を表7に示す。
買い注文Aに対して、自己が5942.377円(約定の際に元へもどす)で0.833売り、売り注文Bに対して自己が5850円で2.1買う。
これにより、自己の所有するゴールドトークンのポジションの修正値は、50+(2.2-0.833)=51.267になる。
また、自己の売り注文Bへの支払い額は、5850×2.1=12285円になる。
なお、自己には現金枠を設けておき、自己の現金枠から調整費(例えば、上限を50万円として、現状が20万円あるとする)を出すようにする。
上記の売り注文Bへの支払い額12285円は、買い注文Aの売り代金4950円に自己の現金枠から出した調整費7335円を加えて支払う。
その結果、自己の現金枠残は、200000-7335=192665円となる。
上記の場合は、自己の所有するゴールドトークンのポジションの修正値(ここでは、51.267)が、ゴールドトークンのポジションデルタの範囲(0~100)内にあるので、取引用スマートコントラクト4は、クロッシング(対当・約定処理)を実行する。
実際には、例えば、表1に示した注文板情報の段階でいくつかの注文同士がクロッシング(対当・約定処理)し、自己の所有するゴールドトークンのポジションの修正値は表6、表7を用いて説明した上記の例に比べてより優位になり易い。
次に、取引用スマートコントラクト4が決済処理を行う場合の具体例を説明する、
上述のクロッシング(対当・約定処理)により注文同士が約定した場合、交換先の処理(決済処理)がある。ここでは、交換先のデジタル資産が表8に示すとおりであるものとする。
約定 ゴールドトークン 0.833
売り注文Bに対しては、売り代金の12285円を返す。
本実施形態のデジタル資産を用いた取引注文処理システムの例では、取引用スマートコントラクト4は、コメトークンの売り注文に対しては、ゴールドトークンとは別に、コメトークンの注文板で自己が反対売買を行うように構成されている。
なお、上述した表4、表5、表6、表7を用いた例において、設定したスプレッド分の額10円は、以下の計算により算出している。
10円に該当する0.833分の金額は、8.33円である。
ここで、コメトークンの注文板情報が、次の表9に示す状態にあるとする。
また、これに加えて例えば手数料を2円と設定した場合、6+2=8円以上となる額がゴールドの取引において設定したスプレッド分の額で吸収できるようにする。そこで、8円をゴールド数量変換値0.833で逆算し(9.60384154)、小数点以下を切り上げた結果が、ゴールドトークンのスプレッド分10円である。
但し、表7に示すゴールドトークンの売買注文の約定には表10に示すコメトークンの売買注文の約定(事前確認)が必須となる。
そして、本実施形態のデジタル資産を用いた取引注文処理システムでは、コメトークンの売買注文に自己が介在する場合においても、コメトークンのポジションデルタを設定(例えば1000上限で、300所有)する。
表10に示すコメトークンの取引では実際には売り注文と買い注文とが対当せず、自己による反対売買を行った場合、損失が生じるが、それ以上の利益が表7に示すゴールドトークンの取引における自己による反対売買で発生することをスプレッド分で確認していることから、取引用スマートコントラクト4は、自己による反対売買を実施する。
コメトークンの売り注文Aに対しては、上述のとおりスプレッド分を加算した規準注文価格5952.377円、規準注文数量0.833のゴールドトークンの買い注文に対し自己が5942.377円(元にもどす)で0.833売ることによって対応する。
コメトークンの買い注文Cに対しては、自己が164.8円で45売ることになり、コメトークンの買い注文Cの約定代金7416円分の支払いを受ける。このときコメトークンの売り注文Aを代替したゴールドトークンの買い注文に対する自己の売り代金4950円(=5942.377×0.833)があるので、自己の売り代金の合計額は(7416+4950=)12366円になる。
また、自己の保有するコメトークンのポジションデルタは、300-(45-30)=285になる。
また、ゴールドトークンの売り注文Bに対しては、上述のとおり自己が5850円で2.1買う。自己のゴールドトークンの売り注文Bへの支払い額は、5850×2.1=12285円になる。
また、上述のとおり現金枠残は192665円であったので、当該12366円の売り上げにより、現金枠残は213031円となる。
結果として、
コメトークンの売り注文Aに対しては、自己の反対売買により、ゴールドトークンを5942.37円で0.833トークンを渡すことになる。
また、ゴールドトークンの売り注文Bに対しては、自己の反対売買により、12285円渡すことになる。
また、コメトークンの買い注文Cに対しては、自己の反対売買により、7416円受け取ることになる。
自己は164.8円で15コメトークンが減る。
自己は現金が5031円増える。
また、有利な売りポジションを保有している。
時価で売却すると、(10000.98-(-5301)=15031.98)約5032円の利益となる。
また、本実施形態のデジタル資産を用いた取引注文処理システムでは、「注文をアルゴリズムで管理する」概念に基づく機能を有する。
「注文をアルゴリズムで管理する」概念に基づく機能は、例えば、注文に対するトリガー処理として構成される。
トリガー処理は、注文データに設定する処理稼働条件に基づいて行う。
1つの注文に対して、トリガー処理が稼働する条件(処理稼働条件)を設定できるようにする。処理稼働条件は、注文入力時、または、当該注文入力後に当該注文におけるトリガー条件が追加、変更入力されたときに、注文管理用スマートコントラクト2が、ブロックチェーン上に記録する。
そして、処理稼働条件をなすトリガー要素(トリガー条件の組み合わせ)が満たされるとき、トリガー処理を実行する。
そして、本実施形態のデジタル資産を用いた取引注文処理システムでは、「注文をアルゴリズムで管理する」概念に基づく機能として、処理稼働条件監視用スマートコントラクト5が、注文データの処理稼働要件を満たすか否かを監視し、当該注文データの処理稼働要件を満たしたときに、取引用スマートコントラクト4による当該注文データに係る注文の対当・約定処理を作動させるトリガー機能を有する。
<銘柄コード>
・コメトークン・・・・・・・・・・・“111”
・ゴールドトークン・・・・・・・・・“120”
<トリガー条件>
・時価・・・・・・・・・・・・・・・“G”
・売り気配・・・・・・・・・・・・・“U”
・買い気配・・・・・・・・・・・・・“K”
・注文番号・・・・・・・・・・・・・“C”
・注文に対して約定がある場合の代金・“Y”
・注文が完了した場合・・・・・・・・“E”
・時間・・・・・・・・・・・・・・・“T”
<処理種別>
・注文実行・・・・・・・・・・・・・“〇”
・取消・・・・・・・・・・・・・・・“■”
・訂正・・・・・・・・・・・・・・・“△”
・失効・・・・・・・・・・・・・・・“●”
1つの注文データに対するトリガー条件は1つ以上設定する。
また、1つのトリガー条件には<>=≠などを用いる。
これらの各トリガー条件をAND関数(かつ:直列条件:&)、OR関数(論理和:または:並列記条件:∨)を用いて組み合わせる。
そして、本実施形態のデジタル資産を用いた取引注文処理システムでは、トリガー条件が設定されてなるトリガー条件監視テーブルを備え、処理稼働条件監視用スマートコントラクト5がトリガー条件監視テーブルを監視し、トリガー条件監視テーブルにおけるトリガー条件の組み合わせが処理稼働条件を満たしたときに、取引用スマートコントラクト4による当該注文データに係る注文の対当・約定処理を作動させるように構成されている。
トリガー条件監視テーブルは、注文管理用スマートコントラクト2が、ブロックチェーン上に作成したトリガー条件を用いて、ブロックチェーン上に作成する。
<トリガー条件の設定>
銘柄111に対して、時価が160を超えたときに所定の処理を実行する場合
時刻が16時になったときに所定の処理を実行する場合
注文番号222222が完了したときに所定の処理を実行する場合
注文番号222222の約定代金が10万円を超えたときに所定の処理を実行する場合
また、表12に示すような4つのトリガー条件があり、処理稼働条件がaかつb、もしくはcかつdである場合の注文データには、例えば、
T120000:(a&b)∨(c&d)
を「トリガー文」(処理稼働条件)として設定する。
図9~図10は本実施形態のデジタル資産を用いた取引注文処理システムにおける処理の流れの一例を示す説明図である。
本実施形態のデジタル資産を用いた取引注文処理システムでは、注文者により注文入力手段1を介して注文(売り注文、買い注文)を入力されると、注文管理用スマートコントラクト2、基準値提供用スマートコントラクト3、取引用スマートコントラクト4、および処理稼働条件監視用スマートコントラクト5が、当該注文の銘柄単位でノードごとに稼動する。
なお、取引用スマートコントラクト4は、売り注文と買い注文の一方に対当しない端数の注文が生じる場合、当該端数分の注文を自己が介在することによって調整する(予め自己保有しておいたデジタル資産を用いて、自己のデジタル資産の保有量が所定量となる範囲内で、反対売買を行うことで当該残余分の注文を約定させる)。
また、取引用スマートコントラクト4は、注文が約定しきれずに残る場合、当該注文が全て約定処理されるか、または約定処理できなくなる(=対当しうる相手側の注文が存在しなくなる)まで、売買の対象となる相手側の注文の注文データの価格優位順のソートから、ソートした相手側の注文データのうち、上位数件(例えば、5~10件)の注文データを対象とした対当・約定処理までの処理を繰り返す。
本実施形態のデジタル資産を用いた取引注文処理システムによれば、トークン(ブロックチェーン等の分散技術においてデジタルで定義される価値などの総称であって、暗号資産を含む)、デジタル通貨、トークンとデジタル通貨、もしくはトークン同士、デジタル通貨同士など、あらゆる形態のデジタル資産間による取引を管理するための、少なくとも1種類のブロックチェーン等の分散技術における分散型台帳と、該分散型台帳に管理されるデジタル資産を用いた所定の処理を行うためのスマートコントラクトを備えた構成としたので、分散型台帳に記録された価値を有するトークンそのものを、スマートコントラクトを介して処理できるため、注文処理の発注管理をデータベースに依存して行っていた従来の取引市場発注管理システムとは異なり、注文処理から決済(清算)処理までを即時に行うことができ、処理時間が飛躍的に向上する。
そこで、取引用スマートコントラクトの処理対象とする注文データの注文価格に用いる通貨単位を、例えば、主要通貨のうちの$、¥、ユーロの3種類とし、取引用スマートコントラクトがその3種類の通貨単位を用いた注文データに対し、夫々の通貨単位を用いた注文データごとにソートを行い、ソート後の売り買い注文データ上位数件(例えば、5~10件)を対象として、$、¥、ユーロのうちの1種類に統一した通貨単位へ変換して、上記3種類の通貨単位を用いた注文データを統合するようにすることが望ましい。
また、その場合、上記3種類以外の他の通貨単位を用いた注文の注文データについては、注文管理用スマートコントラクトが、上記3種類のいずれかの通貨単位へ変換するようにする。
このようにすれば、システムにかかる負荷を極力低減して、本発明のデジタル資産を用いた取引注文処理システムによる通貨単位が多種類に及ぶ多数国間でのデジタル資産間の交換・取引を行うことができる。
さらに、例えば、マイナーなデジタル資産の注文における注文数量、注文価格を基準として、メジャーなデジタル資産の注文における注文数量、注文価格を変換するような場合、取引用マートコントラクトによる当該変換処理を1日当たり1回程度となるように制御してもよい。
流動性供給者が介在する取引では、取引システムをなす取引機能が、顧客からの注文に対して反対売買を行うとともに、流動性供給者が出したレートに対してカバーという顧客からの注文と同じ注文を流動性供給者に出し、流動性供給者が約定を返す。
流動性供給者の出すレートは、日本では「気配」として扱われる。
「気配」は、約定させるカバー数を明確にするものではなく、あくまで目安となるに過ぎないので、大量注文の場合はマーケットインパクトを加味し、スリッページの指定を多めにするなど、必要とされる流動性を確保しやすいように調整する。
ところで、例えば、日本においては、暗号資産などの範疇に入る商品トークンは金融において扱えるようになっており、流動性供給者に対してカバーを行う既存の方法は、流動性供給者が金融機関、もしくは日本法の適用範囲外の海外法人であれば、流動性供給者で約定を行っても問題は無いが、日本国内の非金融業者が(暗号資産などの)金融商品に対してレートを出してカバー注文を受け、約定を返すと法令違反に問われる虞がある。
そのため、非金融業者が流動性供給者となる場合、レートを出すことができない。そこで、非金融業者が流動性供給者となる場合には、レートを出しカバー注文を受けて約定を返すことに代替しうる他の方法を用いて流動性を供給する必要がある。
その一つの方法としては、非金融業者が流動性供給者として注文を連続的に出し、その訂正を繰り返すなどの方法が考えられる。
注文を出すことで、価格と数量が明確になる。
そこで、以下に説明する、流動性の不足傾向を計算により導き出して処理を行う方法を加えることが望ましい。
まず、非金融業者が流動性供給者として流動性を供給する場合、本来の約定想定数量の数倍(例えば5倍や10倍)の注文数量を設定する。
設定した注文数量に対して、約定想定数量の約定が返ってくるのであれば問題は無いが、約定想定数量以上の約定が返ってきた場合に、対処を考える必要がある。
顧客の注文について、1回あたりの注文数量の上限数量(例えば、100単位)を定めておき、注文数量が上限数量未満の注文は通常取引、上限数量以上の注文は大口取引に分ける。
そして、通常取引と大口取引の各々の注文に対して、専用の注文(通常は100単位、大口は10000単位。なお、売り買いのスプレッド分はマーケットインパクトを考慮し、通常取引と大口取引とでは異ならせる。)を流動性供給者である非金融業者が入れる。
通常取引では、流動性供給者から約定想定数量の5倍の500単位の注文が入っていれば、基本的には同時に顧客から上限数量(ここでは100単位)の2~3程度の注文が入ってもカバー注文での処理が可能である。
しかし、相場が過熱し、同時に入る顧客からの注文数量が、10を超えてくると、流動性供給者から500単位の注文が入っていてもカバー注文で処理できない虞が出てくる。
なお、流動性が高くなると、流動性供給者は主市場からの流動性の取り込み(外部へのカバーと定義)などの量も大きくなることから、そのマーケットインパクトのスプレッド分を加算するのが、過熱時などの対応になる。
そのため、流動性供給者が外部へのカバーを行う場合、そのカバー先が板処理であれば、板情報より数量が増えた分のインパクトとなる価格を取り込み、スプレッド分に反映させる。
カバー先がレートであれば、基本的にマルチバンドレート(数量に応じた複数のレートがある)より、量が多くなるバンドのレートに変更し、スプレッド分に反映させる。
なお、このような過熱時対応になる場合は、修正スプレッドに対してもリスクがあるため、さらにリスク対応の加算スプレッドを考慮する。
つまり、流動性供給者に対して約定想定数量を超える数量の約定が返ってきたとき、流動性供給者は上記の修正スプレッドを加味した注文価格(常に売りと買いの注文を出している)に変更するとともに、注文・訂正間隔(インターバル)を1段階短く(30%短縮、50%短縮等)する。
そして、注文数量を約定想定数量に対して、1段階大きく(例えば、約定想定数量の50%増など)して注文を出す。
逆に過熱状態が収まってきたときには、上記とは逆の対応を行う。
一定期間(例えば20秒など)、約定想定数量に対して注文数量が都度10%を割り込むような場合、上記の1段階、もしくは結果的に数段階上がった対応のものを1段階戻す処理を行う。
このような段階的な処理は、例えば次の表15に示すような、銘柄ごとに設定したテーブルを用いて行うようにしてもよい。
2 注文管理用スマートコントラクト
3 基準値提供用スマートコントラクト
4 取引用スマートコントラクト
5 処理稼働条件監視用スマートコントラクト
6 注文処理監視用スマートコントラクト
7 運用監視用スマートコントラクト
Claims (7)
- トークン(ブロックチェーン等の分散技術においてデジタルで定義される価値などの総称であって、暗号資産を含む)、デジタル通貨、トークンとデジタル通貨、もしくはトークン同士、デジタル通貨同士など、あらゆる形態のデジタル資産間による取引を管理するための、少なくとも1種類のブロックチェーン等の分散技術における分散型台帳と、該分散型台帳に管理されるデジタル資産を用いた所定の処理を行うためのスマートコントラクトを備えて構築される、デジタル資産を用いた取引注文処理システムであって、
注文入力手段と、注文者により前記注文入力手段を介して注文が入力されたときに当該注文の銘柄単位でノードごとに稼動する、注文管理用スマートコントラクト、基準値提供用スマートコントラクト、取引用スマートコントラクト、および処理稼働条件監視用スマートコントラクト
を有し、
前記注文管理用スマートコントラクトは、
注文者により注文入力手段を介して入力された銘柄単位の注文についての、当該注文に対する対当・約定処理を執行するための処理稼働条件を備えた注文データ(売り注文、買い注文のデータ)を前記分散型台帳に記録・保存する機能を有し、
前記基準値提供用スマートコントラクトは、当該銘柄の売りと買い夫々の基準値(最新の約定値や最良気配値に基づく、売買の基準となる値段)を算出し、算出した基準値を、当該銘柄に対応する夫々の前記取引用スマートコントラクトに提供する機能を有し、
前記取引用スマートコントラクトは、
前記分散型台帳に記録・保存されている当該銘柄の注文データを、売り側の注文データと買い側の注文データとに分類し、売り側の注文データ、買い側の注文データを、価格優先、注文時間優先、数量優先の順でソートする機能と、
注文データに対し、同一銘柄のデジタル資産の注文における、取引のベースとなる通貨単位や数量単位の異なる複数の注文の通貨単位、数量単位を、前記基準値を用いて算出される所定の換算率に基づき、統一した通貨単位、数量単位に変換して、規準注文価格、規準注文数量を算出する機能と、
注文データに対し、異なる銘柄のデジタル資産の注文における、注文数量、注文価格を、前記基準値を用いて算出される所定の換算率に基づき、相手側の銘柄のデジタル資産を基準とした注文数量、注文価格に変換して、規準注文価格、規準注文数量を算出する機能と、
ソート及び規準注文価格、規準注文数量を算出後の売り側の注文データ、買い側の注文データの少なくともいずれか一方と相手側の上位数件の注文データとの対当・約定処理を行う機能
を有し、
前記処理稼働条件監視用スマートコントラクトは、
注文データの処理稼働条件を満たすか否かを監視し、当該注文データの処理稼働条件を満たしたときに、前記取引用スマートコントラクトによる当該注文データに係る注文の対当・約定処理を実行させるトリガー機能を有することを特徴とするデジタル資産を用いた取引注文処理システム。 - 前記取引用スマートコントラクトは、前記規準注文価格、前記規準注文数量の算出を、前記ソート後の上位数件の注文データに対して行うことを特徴とする請求項1に記載のデジタル資産を用いた取引注文処理システム。
- 前記注文データの処理稼働条件は、当該銘柄の注文データにおける、当該銘柄の注文データに対する対当・約定処理を実行させるためのトリガー条件と当該銘柄とは別銘柄である交換先の注文データに対する対当・約定処理を実行させるためのトリガー条件との論理積、論理和の少なくともいずれかを用いた組み合わせを有してなることを特徴とする請求項1又は2に記載のデジタル資産を用いた取引注文処理システム。
- 前記注文管理用スマートコントラクトは、当該銘柄の注文データにおける個々の前記トリガー条件が設定されてなるトリガー条件監視テーブルを作成する機能を有し、
前記処理稼働条件監視用スマートコントラクトは、前記トリガー条件監視テーブルを監視し、該トリガー条件監視テーブルにおける個々の前記トリガー条件(の対象値)が前記処理稼働条件を満たしたときに、前記取引用スマートコントラクトによる当該注文データに係る注文の対当・約定処理を実行させることを特徴とする請求項3に記載のデジタル資産を用いた取引注文処理システム。 - 前記取引用スマートコントラクトは、売り注文と買い注文の一方に対当しない端数の注文が生じる場合、当該端数分の注文を自己が介在することによって調整する(予め自己保有しておいたデジタル資産を用いて、自己のデジタル資産の保有量が所定量となる範囲内で、反対売買を行うことで当該残余分の注文を約定させる)機能を有することを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載のデジタル資産を用いた取引注文処理システム。
- 前記取引用スマートコントラクトは、注文が約定しきれずに残る場合、当該注文が全て約定処理されるか、または約定処理できなくなる(=対当しうる相手側の注文が存在しなくなる)まで、売買の対象となる相手側の注文の注文データの価格優位順のソートから、ソートした相手側の注文データのうち、上位数件の注文データを対象とした対当・約定処理までの処理を繰り返すことを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載のデジタル資産を用いた取引注文処理システム。
- さらに、注文処理監視用スマートコントラクトと、運用監視用スマートコントラクトを有し、
前記注文処理監視用スマートコントラクトは、1銘柄に対して稼働した前記取引用スマートコントラクトの対当・約定処理が所定時間を超えて待機状態にある場合、障害とみなして当該取引用スマートコントラクトの稼働を停止させ、当該取引用スマートコントラクトのエラー情報及び稼動を停止した当該取引用スマートコントラクトのノードを、システムの運用を監視する運用監視用スマートコントラクトに通知する機能を有し、
前記運用監視用スマートコントラクトは、エラー情報及び稼動を停止した前記取引用スマートコントラクトのノードの通知を受けて、別の取引用スマートコントラクトが当該処理を継続するように、取引用スマートコントラクトを稼動させるノードを自動的に調整する機能を有することを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載のデジタル資産を用いた取引注文処理システム。
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