初めに図1及び図2に関連して、使用者Uに対して適切な位置にあるインタフェース100が示される。インタフェース100は、呼吸療法の分野で使用することのできるインタフェースを含む。インタフェース100は、陽圧呼吸療法の形態で特に有用性がある。例えば、インタフェース100は、持続的気道陽圧(「CPAP」)治療の投与に使用することができる。加えて、インタフェース100は、可変気道陽圧(「VPAP」)治療及びバイレベル気道陽圧(「BiPAP」)治療で使用することができる。このインタフェースは、任意の好適なCPAPシステムで使用することができる。
インタフェース100は任意の好適なマスク構成を含むことができる。例えば、本発明の特定の特徴、態様及び利点は、鼻マスク、フルフェイスマスク、口鼻マスク又は任意の他の陽圧マスクで有用性を見出すことができる。図1に例示するマスクはフルフェイスマスクである。例示されるインタフェース100は、概して、マスクアセンブリ102と連結ポートアセンブリ104とヘッドギアアセンブリ106とを含む。
図13に関連して、マスクアセンブリ102は、概して、マスクシールクリップ112を備え得るマスクシール110と、マスクベース114とを含む。説明することになるとおり、マスクシールクリップ112は、好ましくはマスクシール110をマスクベース114に連結する。例示されるマスクシール110とマスクシールクリップ112とは別個に形成されて共に固定されるが、一部の構成では、マスクシール110とマスクシールクリップ112とが単一の構成部品に一体化されてもよい。一部の構成では、マスクシール110はマスクシールクリップ112の上にオーバーモールドされる。
図3に関連して、マスクシールクリップ112は、マスクシール110と比べて相対的により硬質で、剛性が高く又はより低可撓性である。一部の構成では、マスクシールクリップ112はポリカーボネート材料で形成される。一部の構成では、マスクシールクリップ112の少なくとも一部分は、ポリカーボネート又は他の硬質若しくは半硬質材料で形成される。一部の構成では、マスクシールクリップ112は少なくとも部分的にシリコーン又は別の好適な材料で形成される。かかる構成では、マスクシールクリップ112の少なくともそのシリコーン部分が、マスクシール110のより可撓性の高い部分と比較して相対的に厚くなるように形成され得る。マスクシールクリップ112は、例示される構成では、マスクシール110に構造的支持を提供する。
図14に示すとおり、マスクシールクリップ112はマスクアセンブリ102の大半を画定し得る。図示されるとおり、例示されるマスクベース114は、マスクシールクリップ112の大部分の上に置かれる。図25~図27に関連して、マスクアセンブリ102は、所望に応じて種々の構造で構成することができる。例えば、図25に関連して、マスクシールクリップ112は、マスクシール110との接合部分から限られた大きさだけ延在する。図25に例示される構成では、マスクベース114はマスクシールクリップ112の少なくとも一部分の上に置かれ、一方でマスクシールクリップ112が、マスクシール110の一部分の周りに極めて限られたリム形状の構成を画定する。
図26に関連して、マスクシールクリップそのものが省略され、マスクシール110がマスクベース114の上に直接オーバーモールドされる。しかしながら、一部の構成では、マスクシール110及びマスクベース114は、2つの構成部品を分離できるように構成され得る。例えば、図27に示されるとおり、マスクシール110が周囲フランジ111を含んでもよく、一方、マスクベース114が、周囲フランジ111を受ける周囲チャネル115を含み、それによりマスクシール110をマスクベース114に取り外し可能に固定することができてもよい。一部の構成では、他の好適な方法を用いてマスクシール110をマスクベース114に固定することができる。さらに、図27の例示される構成は、マスクシールクリップ112を含まない実施形態を示す;マスクシールクリップ112とマスクベース114とがマスクベース114に組み合わされている。
図5に関連して、例示されるマスクシールクリップ112は実質的にカップ形状の構成を含む。近位端120が、例示されるマスクシールクリップ112の開放されている端部を画定し、一方、遠位端122が、例示されるマスクシールクリップ112の略閉鎖されている端部を画定する。例示される構成では、近位端120はリップ124に略囲まれる。リップ124は、後ろから見たとき略五角形である(図5を参照)。図7に示すとおり、壁126は弧を描く形で前方に略湾曲している。この壁126に対する弧形状が、例示されるマスクシールクリップ112に三次元構成をもたらす。
引き続き図7に関連して、例示されるマスクシールクリップ112の上側部分130は略弧状の構成である。加えて、例示されるマスクシールクリップ112のこの略弧状構成は、より大きい鼻を受け入れるものの、図1及び図2に示されるとおり、マスクシール110の延在範囲ほど大きくは鼻の上にわたって上方に延在しないように構成される。
最初の図3に関連して、例示されるマスクシールクリップ112の上側部分130は、好ましくは2つの弧寸法を含む。第一に、弧長132が、例示されるマスクシールクリップ112の上側部分130の上端に沿って定義され得る。弧長132は、例示されるマスクシールクリップ112の周囲に沿って存在する変曲点134の間に定義することができる。
図7に示すとおり、例示されるマスクシールクリップ112の上側部分130はまた、側面プロファイル半径136も含む。図示されるとおり、上側部分130は、上端からの距離が増加するに従い半径が僅かに増加するような、僅かに増加する側面プロファイル半径136を有し得る。一部の構成では、上側部分130は、実質的に一定の側面プロファイル半径136又は減少する側面プロファイル半径を含んでもよい。有利には、僅かに増加する側面プロファイル半径136が、マスク100において使用者の鼻に近接する容積の増加をもたらす。
図3及び図6に関連して、マスクシールクリップ112は、好ましくは少なくとも2つの凹部140を含む。例示される構成では、マスクシールクリップ112は、略垂直中心面CP(図6を参照)の両横側部に配置された2つの凹部140を含む。略垂直中心面CPは、好ましくは使用者の中央矢状面に対応し、例示されるマスクシールクリップ112を実質的に鏡像となる半分に分割する。2つの凹部140は、例示されるマスクシールクリップ112において2つの略囲い込まれたポケットを画定する。例示される凹部140はさらなる凹部142を含み、これらを用いることにより、マスクアセンブリ102によって画定されるチャンバの鼻領域への侵入量を抑えながらも、以下に考察する理由に対して十分な離間距離が提供される。
例示されるマスクシールはまた、壁146によって画定される略中心通路144も含む。例示される構成では、壁146は通路144を略囲い込む。好ましくは、壁146は略シリンダ状の構成であり、壁126を貫通して延在する。他の構成も可能である。
図14に関連して、マスクシール110は、マスクシールクリップ112の近位端120から離れる方に延在する可撓性部分を含む。例示される構成では、マスクシール110は、マスクシールクリップ112上にオーバーモールドされ、従ってマスクシール110とマスクシールクリップ112とは組み合わさって、一体化された、好ましくは分離不可能なアセンブリを形成する。一部の構成では、マスクシール110とマスクシールクリップ112とを分離しようとすると、インタフェースがそれらの構成部品間で破壊され、及び/又はマスクシール110及びマスクシールクリップ112の一方又は両方が破壊される。上記に記載したとおり、他のアセンブリもまた、マスクシールクリップ112をマスクシール110に連結するのに使用することができる。しかしながら例示される構成は、有利には、清掃及びメンテナンスが容易な構造をもたらす。
図4に関連して、マスクシールクリップ112は、好ましくは、マスクシール110の内側リム150と略面一であるように配置される。例示される構成では、マスクシール110は、上側部分154につながる相対的に小さい半径の部分152を含む。マスクシール110の上側部分154は、使用者の鼻部の上にわたって延在するように構成される。一部の構成では、上側部分154は、使用者Uの鼻梁部の上にわたって延在するように構成される。
上側部分154は、マスクシール110の下側部分156と接続する。下側部分156は、図9に示されるとおり、マスクシールクリップ112から横方向外側に延在する。加えて、下側部分156は、それぞれ図4及び図10に示されるとおり、後方及び内側に回り込む。合わせて、フルフェイスマスクアセンブリ102の近位側で、上側部分154と下側部分156とが組み合わさって顔接触フランジ160を画定する(これは図10に示される)。顔接触フランジ160は、使用者の下唇の下に置かれ、口の外側に沿って延在し、頬骨に沿って上方に延在し、且つ使用者の鼻梁に跨って延在するように構成される。従って、例示される顔接触フランジ160は略涙滴形状の開口162を画定する。マスクアセンブリ102が使用者の顔面に着座すると、フランジ160が使用者の鼻梁、頬骨、口の外側及び下唇の下側の上にわたって横たわる。陽圧空気の供給に伴いマスクシール110が膨らみ、使用者の顔を当接密閉することで、フランジ160と使用者の顔との間の漏出可能性が低減又は解消される。
図11の破線によって示されるとおり、マスクシール110の上側部分154は、マスクアセンブリ102の外面170の上にロールオーバーするように設計される。例示される構成では、マスクシール110の外面は滑らかにロールしてマスクシールクリップ112の外面に当接し、従ってマスクシールクリップ112の外面が支持面を形成する。一部の構成では、上側部分154がロールして乗り上げる外面170は、マスクシールクリップ112の外面の少なくとも一部分を含む。一部の構成では、上側部分154がロールして乗り上げる外面170は、ほぼマスクシールクリップ112の外面のみを含む。一部の構成では、上側部分154はマスクシール110の別の部分の上にロールする。一部の構成では、上側部分154はマスクシールベース114の上にロールする。
図12に関連して、上側部分154がロールするのを補助するため、上側部分154は変化する厚さ又は変化する剛性を有し得る。図12に示される構成では、上側部分154は、厚い/薄い/厚い構成を含む。換言すれば、顔接触フランジ160とマスクシールクリップ112に近接する小半径152との間の領域で上側部分154がロールするよう促すため、剛性低下領域172を組み込むことができる。例示される構成では、剛性低下領域172はマスクシール110に組み込まれる。剛性低下領域172は、マスクシール110がロールするのに望ましい領域以外の領域で座屈したり、又は不都合に変形したりする可能性を低減又は解消する。
例示される構成は厚さの低下した領域を用いるが、剛性低下領域172を提供する他の手段を用いても、シール部材110がロールするのを促すことができる。例えば、材料選択又は材料特性を用いて、シール部材110の材料を剛性が低下するように構成することができる。加えて、材料の複合材を使用することにより、剛性又は硬さの低下した領域を提供することができる。さらに、任意の好適な技術の組み合わせを用いることができる。それでもなお、厚さの低下を用いて構成される例示される領域172が、剛性の低下した領域172を実現する単純な方法を提供する。加えて、剛性低下領域172の剛性を調節することにより、領域172がロールするのを促すのに必要な力を制御することができ、これにより使用者の鼻に加わる力が制御される。例えば、剛性を変えることにより、可動範囲にわたって動きの抵抗が次第に増加又は減少するようになり得る。
上側部分154が剛性低下領域172を含む場合、マスクシール110の上側部分154は、陽圧療法レジメンの間に受けるような内圧下で外側に膨らむ傾向を有し、この膨らみは、顕著な構造を持たない大きいシリコーン範囲を画定する剛性の低下した領域172によって生じると考えられる。図4及び図12に関連して、上側部分154において膨らみが行き渡るのを低減し、且つ上側部分154に強化構造を提供するため、上側部分154の少なくとも一部分に沿って1つ又は複数の補強部品、例えばバンド174を位置決めすることができる。バンド174は、シリコーン又はマスクシール110を形成する他の材料と比べてより硬質の材料で形成されるか、又はそれより剛性が増加していることを特徴とする構成部品であってよい。例えば、剛性の低下した領域172と比べて著しく厚さが増加した領域(この領域はマスクシール110を形成する材料と同じ材料で形成される)を用いて、1つ又は複数の補強部品の剛性を増加させることができる。
一部の構成では、バンド174は、少なくとも部分的にマスクシール110の材料に包まれる別個に形成された構成部品であってもよい。例示される構成では、バンド174は一体成形されたプラスチック構成部品であってもよく、又はマスクシール110がバンド174上にオーバーモールドされてもよい。一部の構成では、バンド174は、周りの領域と比べて剛性が高い上側部分154の一部分によって画定され得る。例えば、限定されないが、バンド174は、厚さが増加した一部分、異なる材料若しくは剛性の増加をもたらす材料特性の一部分などによって画定され得る。
図9に関連して、バンド174は、マスクシール110の上側部分154の少なくとも一部分に沿って延在する。マスクの上側部分154は、前から見ると頂部180を含む。頂部180は、マスクシール110の先端、最上部及び角の頂点として定義することができ、この頂部180は使用時に使用者の鼻に近接して位置決めされる。例示される構成では、第1の壁182及び第2の壁184が頂部180に向かって集まる。
一部の構成では、第1の壁182の少なくとも一部分及び第2の壁184の少なくとも一部分が、1つ以上の構成部品又は構造、例えばバンド174によって補強される。例示される構成では、1つ又は複数の補強部品、例えばバンド174が、第1の壁182の少なくとも一部分及び第2の壁184の少なくとも一部分を補強する。一部の構成では、1つ又は複数の補強部品、例えばバンド174が、第1の壁182の少なくとも一部分、第2の壁184の少なくとも一部分及び頂部180を補強する。
引き続き図9に関連して、例示されるバンド174は、第1の端部186と、第1の端部186と反対側の第2の端部188とを有する。一部の構成では、バンド174は、マスクシールクリップ112とは別に形成され、1つ以上の可撓性の構成部品によってマスクシールクリップ112に取り付けられ得る。一部の構成では、バンド174は機械的ヒンジ構造によってマスクシールクリップ112に連結され得る。例示される構成では、第1の端部186及び第2の端部188は、ヒンジ軸Hに対して頂部180と同じ側に位置決めされる。好ましくは、第1の端部186及び第2の端部188は、ヒンジ軸Hから頂部180の方に離間される。
図12に示すとおり、剛性の低下した領域172に隣接する屈曲部152及び剛性がより高い領域(例えば、より厚い断面の領域)が、剛性の低下した領域172がロールし始める助けとなる。換言すれば、隣接するより高剛性の部分の助力により、剛性の低下した領域172の制御された座屈が起こる。加えて、相対的により硬質のマスクシールクリップ112の縁部を屈曲部152に隣接して位置決めすることが、剛性低下領域172がロールするのを促すさらなる助けとなる。一部の構成では、剛性低下領域172は第1の境界及び第2の境界に囲まれ、ここで第1の境界及び第2の境界は、剛性の低下した領域と比べて高い剛性を有する。例示される構成では、例えば第1の境界はバンド174によって又はそれと並んで画定され、一方、第2の境界は屈曲部152によって又はそれと並んで画定される。一部の構成では、第2の境界は、より硬質のマスクシールクリップ112の縁部によって又はそれと並んで画定され得る。一部の構成では、第2の境界は、マスクシールクリップ112と剛性の低下した領域172との間に位置決めされるマスクシール110の一部分に沿って画定され得る。
マスクシール110の上側部分154がヒンジ軸Hの周りに位置を変えるに従い、ロールのサイズが増加する。換言すれば、初めに第1の境界が第2の境界に向かって動くことで、マスクシール110にロールが形成される。第1の境界が第2の境界に向かって動き続けると、ロールのサイズが増加し続ける。従って、図11の例示される構成では、上側部分154に画定されるロールは、何もないところから始まり、破線で示されるとおり上側部分154の位置が変化する間に徐々に増加する。好ましくは、第1の境界と第2の境界との間でのロールする動きにより、第1の境界と第2の境界との間に単一の屈曲部又は変曲部が生じる。この単一の屈曲部は屈曲位置に近付く脚をもたらし、脚は、第1の境界が第2の境界に向かって動くに従いサイズが増加する。換言すれば、第1の境界が第2の境界に向かって動くことにより生じるこのロールする動きは、好ましくは扇状に折り畳まれる外観、例えばプリーツ状の構成をもたらさない。
再び図3に関連して、マスクシール110は、ロールし始めた後、剛性の低下した領域172が容易にロールし続ける助けとなる幾何形状を有し得る。弧長は、一般に、ヒンジ軸Hとマスクシール110との第1の交点から上に向かい、マスクシール110の上側部分154を通り越え、再びヒンジ軸Hとマスクシール110との第2の交点へと下るまでを定義することができる。
図3に示すとおり、例示されるマスクシール110は、少なくとも第1の弧長A(破線で示される)、第2の弧長B(一点鎖線鎖で示される)及び第3の弧長C(バンド174の基部に沿って示される)を含む。第1の弧長Aは、好ましくは、第1のマスク弧長Aに直接隣接するマスクシールクリップ112の弧長より長い。第2の弧長Bは第1の弧長Aと第3の弧長Cとの間に位置決めされ、第2の弧長Bは好ましくは、第3の弧長Cより短く、且つ第1の弧長Aより長い。一部の実施形態では、弧長は、屈曲部152から、又は外面170に近い別の領域から、バンド174に向かって近位に徐々に増加する。換言すれば、角度α(図4を参照)が第1の弧長Aから増加するに従い、弧長は略増加する。一部の構成では、弧長は、前から後ろまで(すなわち、角度αが増加するに従い)、実質的に一定であってもよい;しかしながら、ロールし始める部分から離れるほど弧長が増加することにより、頂部180が遠位方向にさらに動くにつれ、図11に示されるとおり、マスクシール110がそれ自体及び外面170の上にロールオーバーし続ける。
再び図4に関連して、例示されるマスクシール110の上側部分154はまた、側面プロファイルから見たとき変化する半径も含む。図示されるとおり、R1>R2>R3である。従って、例示されるマスクシール110では、半径が近位から遠位へと、角度の増加に伴い減少する。一部の構成では、半径がこのように減少しなくてもよい;しかしながら、半径の減少は、マスクシール110がロールする助けとなるものと考えられる。
さらに、ヒンジ点Hからのマスクシールクリップ112の半径r1は、好ましくはマスクシール110の半径R3より小さい。しかしながら、マスクシール110の曲げ易い性質を考えれば、マスクシール110がマスクシールクリップ112にロールオーバーすることはなお実現しながらも、半径r1及び半径R3を実質的に同じにすることが可能である。しかしながら、例示される構成では、半径r1と半径R3との差によりオフセットが得られる。このオフセットが、マスクシールクリップ112にロールオーバーするマスクシール110の能力に大きく影響することなしに、上記に記載したとおりの、側面プロファイル半径136を僅かに増加させる能力をもたらす。オフセットが提供されない場合、側面プロファイル半径136を増加させる能力が極めて限られたものとなり得る。
上記に考察したとおり、フランジ160は略涙滴形状の開口162を包囲する。周知のとおり、フープ応力は、シリンダ形状の部品における内圧により生じる周方向応力として定義され得る。従って、輪が広がろうとするにつれ、フープ応力が増加する。呼吸マスクを着座させることにより生じるフープ応力は、使用者の、特に鼻梁の領域における何らかの不快感の原因となり得ると考えられる。例示されるマスクアセンブリ102の下側部分156は、概して適切な位置に固定されるが、一方で鼻部分又は上側部分154は使用者の鼻に対して動く。上記に記載したロールする動作により、例示されるフルフェイスマスクアセンブリ102はロールして鼻から離れるように動き、それにより、特に鼻梁の周りで、フープ応力の増加が発生することが少なくなる。従って、ロールするマスク構成は、マスクの着座時にフープ応力を維持又は低減する手段を提供する。
上記に考察したとおり、及び図11に示されるとおり、例示されるマスクシール110の上側部分154は、例示される構成では、外面170にロールオーバーする。マスク外表面へのロールオーバーには、フルフェイスマスクアセンブリ内に存在する陽圧が利用される。これは、空気圧が増加すると、マスクシールがそれ自体の上にロールする能力が高まり(すなわち、空気圧が、ロールする間互いに対して摺動するマスクシールの2つの表面間の表面張力を減少させる)、且つ僅かに膨らむ効果が、マスクシール110に座屈、折り目又は望ましくない折り畳みが生じる可能性を低減する助けとなるためである。さらには、一部の構成では、外側のロールオーバーにより、マスクシール110の上側部分154がマスクシール110の下側部分156に対して動いた程度又は角度についての視覚的手がかりが提供され得る。
マスクの上側部分154がロールした大きさについて使用者により効果的な指示を提供するため、視覚的インジケータを用いることが可能である。例えば、一部の構成では、剛性低下領域172の上又はその近傍に目盛りをインプリント加工するか、エンボス加工するか、又は他の方法で配置することができる。一部の構成では、目盛りは、剛性低下領域172がロールオーバーするマスク100の一部分に沿って位置決めされてもよい。忠実度を増加させるため、目盛りは好ましくは、剛性低下領域172がロールした大きさが最大化され得るように中心位置に位置決めされる。目盛りは、例えば限定されないが、数値目盛り又は色階調目盛りであってよい。
一部の構成では、剛性低下領域172を所望のロール点に設定することができるようなラチェット又はロック機構が、マスクと一体化されてもよい。例えば、クロージャ部材(例えば、ジップタイ係止ラチェット)を係合する一連の歯を備えたラチェット機構を使用することができる。このロック機構は、ヒンジ点を中心としてマスクの上側部分154の位置が変わるとき、上側部分154をマスク100が使用者Uの顔から取り外されるときの適切な位置に保持することを可能にする。好ましくは、ロック機構は、当該のロックされた位置を所望に応じて容易に解除でき、従ってマスクがあまりにも動き過ぎた場合に、上側部分を弛緩させてより良好な装着位置にすることができる。従って、使用者は上側部分154がロールする大きさを一度設定すれば、続く使用の毎に同じロール量を得ることができる。
マスクのフランジ160により使用者の顔に対して加えられる圧力が増加するに従い、上側部分154(すなわち、鼻梁に接触するシール部材の一部分)はロールすることによって動く。この動きを受けて、上側部分154により鼻梁に及ぼされる力は実質的に一定であり、比べて下側部分156によっては、使用者の顔の残りの部分に幅広い圧力が及ぼされる。同様に、上側部分154を動かすために必要な力は、実質的に一定である。図28に示すとおり、例示される構成では、上側部分の全25mmの位置変化に対して、当該の移動範囲に伴う力の増加は約0.5N未満となる。様々な範囲の角度及び関連する上側部分の移動量に対し、鼻に加わる力が略一定であるため、種々のヘッドギア張力レベルにおいて鼻梁に加わる力が大きく変化することはない。この場合もやはり、かかる結果は図28に示され、ここでは頂部180における5mm~25mmの範囲の移動に対する力の総変化が、約0.2Nの力の変化となる。加えて、このマスクは、様々な範囲の角度に対して鼻に加わる力が略一定であるため、鼻部の敏感な鼻梁に対して及ぼされる圧力を抑えながらも、種々の顔面幾何形状に対して装着性が改善されるよう調整することができる。
プリーツ状の幾何形状を特徴とする構造と比較したとき、ロールする構成の使用は顕著な改良を提供する。第一に、プリーツ状に折り畳まれるのでなく、外側にロールすることで、使用者の鼻を包含するように設計されたチャンバ内にマスクシールの材料が侵入する可能性が低減又は解消される。従って、外側にロールすることで、上側部分154が下側部分156に対して動く間のチャンバ内部の使用者の鼻との接触可能性が低減される。第二に、プリーツ状に折り畳まれる代わりに外側にロールすることで、きれいな外観が提供され、且つ外側の空隙の数が減少し、これにより使用者のフルフェイスマスクアセンブリに対する知覚が、プリーツ状アセンブリと比較して改善されるものと考えられる。
図24に関連して、例示されるマスクシール110は外面170にロールオーバーするが、マスクシールはマスクアセンブリの内側にロールするように構成されてもよい。換言すれば、一部の構成では内側へのロールオーバーが用いられ得る。内側へのロールオーバーは、外側へのロールオーバーほど望ましくなく、なぜなら、陽圧がロールするのを妨げる傾向を有するため、及びロールする動作が鼻を受け入れているチャンバの中に侵入する傾向を有するためである。他方で、内側へのロールオーバーは、外側へのロールオーバーと比べてよりきれいな外観を提供する。これは、シール部材のいかなる膨らみもマスクシールクリップ内に収まるためである。
ここで図1及び図2に関連して、マスクアセンブリ102はマスクベース114を含み、マスクベース114はマスクシール110より硬い。マスクベース114は任意の好適な材料で形成され得る。一部の構成では、マスクベース114はポリカーボネート材料で形成され、従ってこれは、マスクシール110及び/又はマスクシールクリップ112と連結するため曲げることが可能である。
ここで図14に関連して、マスクベース114がマスクシール110に固定されたマスクアセンブリ102が示される。より詳細には、例示される構成では、マスクベース114は、任意の好適な方法でマスクシール110に取り付けられているマスクシールクリップ112に固定される。一部の構成では、マスクベース114とマスクシール110又はマスクシールクリップ112とは、取り外し可能に連結される。一部の構成では、マスクベース114はマスクシール110及びマスクシールクリップ112の一方又は両方と共にスナップ止めされる。好ましくは、マスクシール110及びマスクシールクリップ112はマスクベース114から取り外すことができ、及びスナップ連結がマスクシールクリップ112をマスクベース114に固定する。
図14及び図15に関連して、例示されるマスクベース114はマスクシールクリップ112の少なくとも一部分の上に置かれる。一部の構成では、マスクベース114はほぼ完全にマスクシールクリップ112を覆う。一部の構成では、マスクベース114はマスクシールクリップ112の半分より多くにわたり延在する。マスクベース114がマスクシールクリップ112又はマスクシール110の実質的な部分の上に置かれる場合、二重層効果が生じる(例えば、マスクシールクリップ112とマスクベース114)。この二重層効果は、マスクベース114の大部分がマスクシールクリップ112又はマスクシール110の大部分に重なるとき、より高い遮蔽性をもたらす。このより高い遮蔽性はより暖かい内側部分(例えば、マスクシール110及び/又はマスクシールクリップ112)をもたらし、これにより使用中の湿分のレインアウトが少なくなる。好ましくは、マスクシールクリップ112の少なくとも一部分はマスクベース114の下側から露出しており、従ってマスクベース114をマスクシールクリップ112からより容易に分離することができる。図15に示すとおり、マスクベース114を下に置かれるマスクシール110及び/又はマスクシールクリップ112と分離する助けとなるように、例示されるマスクベース114は近位端に周囲面200を含む。マスクベース114は、下に置かれる構成部品を受け入れるように内側が凹面状になっている。換言すれば、マスクベース114は、近位周囲面200に対して遠位方向にボウル形状である。
周囲面200は、1つ以上の陥凹部分202を含む。好ましくは、陥凹部分202は、マスクベース114の互いに反対側に位置決めされる少なくとも2つの陥凹部分202を含む。陥凹部分202は親指と他の指とを受けるように構成され、従ってマスクベース114を下に置かれるマスクシールクリップ112の前面からより容易に取り外すことができる。陥凹部分202は、マスクベースを取り外すためマスクベース114の下に置かれるアセンブリを把持するための手段を画定し得るが、他の構成、例えば限定されないが拡張タブ、突出部などを用いることもできる。加えて、例示される陥凹部分202はマスクベース114の対向する横側部に配置されるが、陥凹部分202は所望に応じて上部及び下部に、又は他の領域に位置決めされてもよい。
図13に示すとおり、マスクベース114は好ましくは、壁212によって画定される開口210を含む。図14に関連して(図14は、マスクシール110、マスクシールクリップ112、及びマスクベース114に沿った断面である)、マスクベース114を通じる開口210を画定する壁212は、好ましくは、マスクシールクリップ112を通じる通路144を画定する壁146内に嵌入する。図14に示すとおり、壁212は軸方向に壁146と同延であってよい。加えて、壁146、212の寸法及び形状は、それらの壁が互いに作用し合って壁146、212間の相対的な滑りを低減し、マスクシールベース114が不注意にマスクシールクリップ112と分離する可能性を低減するようなものであり得る。一部の構成では、壁146、212は嵌まり合うことで、壁間の接合部を通じた漏出の可能性を低減する。好ましくは、テーパロックが壁146、212を一体に固定する。
さらに図14に関連して、壁212は、異形輪郭の内表面214を含む。異形輪郭の表面214は、図17に示されるようなスイベルエルボ222のボールエンド220を受けるための丸みが付けられてもよい。図18により分かり易く示されるとおり、ボールエンド220は異形輪郭の表面224を有し、これは、マスクベース114に形成される異形輪郭の表面214にスナップ嵌めすることができる。2つの異形輪郭の表面214、224の間のこの連結は、これらの表面を互いに比較的自在に摺動させることを可能にし、従ってスイベルエルボ222の位置を容易に変化させることができる。一部の構成では、エルボ222は、ボールジョイント構成を有することなく回転又は旋回するように構成され得る。
再び図13に関連して、マスクベース114はまた、少なくとも2つのポケット230も含む。例示されるマスクベース114は2つのポケット230を含む。ポケット230はマスクベース114の中へと後退し、マスクベース114から後方に突出している。ポケット230はマスクシールクリップ112の凹部140の中に受け入れられる。マスクシールクリップ112に形成されるさらなる凹部142の上に、周囲の壁234によって画定される開口232が重なる。
例示されるポケット230は、マスクベース114の各横側部に1つのポケット230が形成されるようにして形成される。ポケット230は、中心面CP(この平面はマスクベース114を実質的に二等分する)に関して対称となるように位置決めされてもよい。一部の構成では、図15に示されるとおり、ポケット230は横寸法242と比べて広がった縦寸法240を有する。同様に、図15に示されるとおり、開口232も横寸法246と比べて広がった縦寸法244を有する。
例示されるマスクベース114では、各ポケット230の横方向内側部分は支持壁250を含む。支持壁250は、ポケット230の底面248の法線に対して中心面CPの方に位置決めされる。ポケット230の各々は、クリップ252(図22を参照)を受け入れるように構成される。クリップ252がポケット230内に嵌装されると、支持壁250は、ポケット230に対するクリップ252の回転を制限する助けとなる。さらに、大きい縦寸法は、使用者が嵌装中にクリップ252を用いてポケット230の位置を特定する助けとなる。
図22に関連して、クリップ252は、外側カバー254と内側キャッチ256との二部品構造を有し得る。ストラップ260が任意の好適な方法で各クリップ252に固定され得る。一つの好適な構成が図2に例示される。一部の構成では、ストラップ260は外側カバー254と内側キャッチ256との間に挟まれ得る。一部の構成では、クリップ252にループ又は開口又は穴が提供されてもよく、そこにストラップ260が通される。好ましくは、1つのクリップ252がヘッドギアアセンブリ106の上側ストラップ及び下側ストラップの両方に連結され得る。かかる構成により、ヘッドギアアセンブリ106のフルフェイスマスクアセンブリ102との容易な連結、及びヘッドギアアセンブリ106のフルフェイスマスクアセンブリ102からの容易な切り離しが促進される。
図23に示すとおり、クリップ252は傾斜面262を含む。傾斜面262は外側カバー254に位置決めされ得る。傾斜面262は支持壁250と協働して、マスクベース114のポケット203に対してクリップ252の向きを定める助けとなる。
クリップ252はインターロック機構264を備える。インターロック機構264は、マスクベース114のポケット230に画定される開口232に挿入するように構成される。インターロック機構264は、図13に示されるとおり、マスクベース114の開口232を画定する壁234に沿って画定されるタブ236とスナップ嵌め式に係合することができる。クリップ252とポケット230との他のインターロック方式もまた、用いることができる。
図23を参照すると、例示されるクリップ252のインターロック機構264は、リリースレバー266を終端とするU字型構成部品268を含む。U字型端部268は、タブ236との連結を可能にするのに十分な距離だけ突出するが、マスクシールクリップ112のさらなる凹部142の底面が開口232へのインターロック機構264の適切な挿入を阻止することができるほど大きくは突出しない。クリップ252をマスクベース114に連結する間、初めにU字型端部268が開口232の壁と接触する。例示される構成では、挿入中、U字型端部268が開口232の壁234に接触し、壁234がクリップ252をポケット230内で適切な位置に案内する。クリップ252をマスクベース114に連結する間、開口232、又は開口232を画定する1つ以上の表面が、クリップ252をマスクベース114に対して略整列させる。
リリースレバー266の端部は、壁272によって画定される開口270を通り抜けて突出する。好ましくは、リリースレバー266の端部は、リリースレバー266の容易な操作を可能にするのに十分な距離だけ開口270を通り抜けて突出する。インターロック機構264のU字型を閉めるようにリリースレバー266を動かすと、マスクベース112の開口232を画定する壁234のタブ236とのインターロック機構264の係合を外すことが可能になる。
図32~図39は、マスクアセンブリ102を使用者の頭部に固定するように構成されるクリップアセンブリ252のさらなる構成を例示する。図32及び図33のクリップ252は、例えば高くなった縁部400(フィンガタブ400と称されることもある)を有し、これにより使用者はヘッドギア106をマスクアセンブリ102から容易に切り離すことが可能となる。高くなった縁部400は、使用者が単にそれらを後方に引くことでマスクベース114のクリップ252が飛び出し得るような向きに置かれる。1つ以上のクリップ252がマスクベース114から外れると、マスクアセンブリ102を使用者の頭部から容易に取り外すことができる。高くなった縁部400は、ヘッドギア106をマスクアセンブリ102に対して取り付けたり取り外したりする間の把持点を提供する。例えば、クリップ252をマスクアセンブリ102から取り外す間、使用者の親指及び人差し指が高くなった縁部400の両側に置かれ得る。加えて、使用者は、マスクを装着する全過程にわたりクリップ252を把持し、その把持を維持し得る。これにより、組立て中、ストラップ260をむやみに把持しようとしなくても済む。また、使用者が高くなった縁部400に対する把持を維持しながらクリップ252を取り付け、それを取り外し、それを再び取り付けることも可能になる。
図34は、図32及び図33のクリップ252の分解図を示す。クリップ252は、外側カバー254と内側キャッチ256とを含む。内側キャッチ256は、ヘッドギアストラップ260の遠位端を受け入れる1つ以上のスロット402を備える。内側キャッチ256はまた、図38及び図39の構成に関連して示されるものなどの、いくつかの圧力バンプも備え得る。圧力バンプが外側カバー254及び内側キャッチ256に対してさらなる圧力を提供することで、それらが互いに固定される。一つの構成では、ヘッドギアストラップ260は組み立てられたクリップ252から取り外し可能である。
内側キャッチ256は、図38に示されるとおり、細長いスロット404を備える。スロット404は、スロット404の幅より大きい直径を有する円形開口406を備える。スロット404及び円形開口406は、クリップ252をマスクアセンブリ102と整列させる助けとなる面取りされた凹部を備え得る。円形開口406は、以下でさらに詳細に考察するとおり、マスクアセンブリ102に対するクリップ252の取り付け及び取り外しを促進する。2つのチャネル408がスロット404の側部と平行に延在し、これによりスロット404の両側にスロット壁410(クリップレバーと称されることもある)が画定される。チャネル408は、クリップ252をマスクアセンブリ102に取り付けたり取り外したりする間にスロット壁410が十分に曲がることを可能にするサイズである。加えて、スロット壁410は内側キャッチ256の最も長い寸法に沿って上下方向に延在するため、より長いスロット壁410を用いることが可能となる。スロット壁410が長いほど、クリップを装着用ポストに嵌着するときにスロット壁にかかる応力レベルが低下する。
図32~図35のクリップ252と共に使用するのに好適なマスクベース114の一つの構成が、図36に示される。マスクベース114は、マスクベース114の両側に対称に位置決めされた2つの凹部140を備える。各凹部140内で装着用ポスト412がマスクベース114の本体から延在する。装着用ポスト412は、マスクベース114と一体形成されてもよく、又は別個に形成されてマスクベース114に固定されてもよい。装着用ポスト412は、使用者がクリップ256を所定位置にスナップ止めすると、クリップ256がマスクベース114に固定されるように、キノコ形の構成を有し得る。球状のキノコ形ポスト412の丸みのある上部が、中心穴406の位置及び向きを定める助けとなる。クリップ252がポスト412に押し付けられるに従い、スロット壁410が外側に、ポスト412から離れる方へと撓む。ポスト412のヘッドがスロット壁410の縁部を通過すると、スロット壁410が反発して元の位置に戻り、それによりクリップ252がマスクアセンブリ102に適切に取り付けられたことの触覚的、及びときに聴覚的なフィードバックが提供される。
装着用ポスト412はまた、内側キャッチ256の細長いスロット404と嵌め合うサイズの細長い楕円の隆起部分414(ラグ又はウィングと称されることもある)も含み得る。細長い隆起部分414は面取りされた縁部を含み、この縁部がヘッドギア106をマスクアセンブリ102に対して適切に整列させる助けとなる。部分414はまた、クリップ252がマスクアセンブリ102に対して回転するのを防ぐ。これは、使用者が眠っている間にヘッドギアストラップ260に対して一定の張力を確保する助けとなる。
図37は、マスクアセンブリのマスクベース114にクリップ252を固定するためのさらに別の構成の部分的なアセンブリを示す。クリップ252はマスクベース114の凹部140内に着座する。凹部140内でシリンダ状のボタンヘッド型ポスト412がマスクベース114の表面から延在する。ポスト412は、クリップ252に取り付けられたとき、そのシリンダ状構成に起因してクリップ252の僅かな回転を許容する。しかしながら、図38及び図39に示されるとおり、スロット404、チャネル408及びスロット壁410は、内側キャッチ256のより短い平面方向に沿って、その前端及び後端の方向に延在する。
内側キャッチ256はまた、いくつかの圧力バンプ414も備える。上記に考察したとおり、圧力バンプが外側カバー254及び内側キャッチ256に対してさらなる圧力を提供することで、それらが互いに固定される。
クリップ252のさらなる構成が図40~図47に例示される。図40のクリップ252は、3つの細長い楕円スロット404と、フィンガタブ400とを含む。フィンガタブ400を用いて、クリップ252をマスクアセンブリ102から解除するためのレバーが作り出される。中心スロット404は、マスク本体の外表面から延在する装着用ポスト412を受け入れるサイズである。一つのかかる好適な装着用ポスト412が、図43に例示される。この装着用ポスト412は、リッジ414と2つのスロット416とを備える。スロット416により間隔が提供されているため、クリップ252が装着用ポスト412に押し付けられるに従い、ポスト412の外側部分が互いの方に曲がる。リッジ414がクリップ252の上面を通過すると、装着用ポスト412が反発して元の位置に戻り、リッジ414がクリップ252を所定位置に係止する。
同様の構成が図44~図47に例示される。図45のクリップ252はフィンガタブを備えず、その中心開口404は図40~図44の細長いスロットと比べて、より丸く、より楕円に近い形状を有する。
前述の構成は全て、マスクアセンブリ102を使用者の頭部に固定する手順を単純化する。例えば、クリップ252により、ヘッドギア106は閉じたループとならず、広げることが可能である。ヘッドギア106を広げると、使用者はその頭部をヘッドギア106に通して無理に引き抜かなくても、頭部の周りに巡らし得る。
図2に関連して、ストラップ260に加えて、ヘッドギアアセンブリ106はまた、後部ストラップ280及び上部ストラップ282も含む。他のヘッドギアアセンブリもまた使用することができる。後部ストラップ280は、首の項部のより略上側ながら後頭隆起よりは略下側の位置で、使用者Uの後頭部の周りに延在する。使用者の耳の後方の位置で、後部ストラップ280は上側アーム284と下側アーム286とに分岐する。上側アーム284は使用者の耳の上側にある位置まで上向きに弧を描き、次に使用者の耳の略前方の位置まで下向きに弧を描く。下側アーム286は使用者の耳の略下側にある位置まで下向きに弧を描き、耳のやや前方へと延在する。
ストラップ260は、任意の好適な方法で後部ストラップ280に連結することができる。例示される構成では、上側アーム284及び下側アーム286それぞれにストラップ260が連結される。好ましくは、上側アーム284及び下側アーム286はストラップ260より硬く、従ってアーム284、286は、ヘッドギアアセンブリ106が着用されているとき形状を略維持する。一部の構成では、上側アーム284及び下側アーム286の各々が自重を支える。一部の構成では、上側アーム284及び下側アーム286の各々が、着用中にもつれることのない構造である。例えば、アーム284、286は、装着している最中に捩れる可能性を低減するのに十分な捩り剛性を有する。
好ましくは、ストラップ260は、耳の前方の位置で上側アーム284及び下側アーム286の少なくとも一方に連結する。かかる構成は、使用者が大きな困難なしにストラップ260の位置を特定する助けとなる。加えて、例示される構成のストラップ260はクリップ252に嵌め込まれるため、上側アーム284及び下側アーム286の端部がスロット290、292を含み、ストラップ260をそれらのスロット290、292に通すことができてもよい。加えて、ストラップ260は、ベルクロ(登録商標)(Velcro)又はバックル構成などの調節機構294を含むことができる。調節機構294により、マスクシール110と使用者Uの顔との間の力を調節することが可能となる。任意の好適な調節機構294を用いることができる。
図2に示すとおり、上部ストラップ282は好ましくは可撓性であり、調節可能な長さを有する。上部ストラップ282はスロット296を介して上側アーム284に連結し、上側アーム284が使用者の頭部を滑り落ちて使用者の耳に接触する可能性を低減する。好ましくは、上部ストラップ282は、使用者の耳の略上側にある位置で上側アーム284に連結する。
有利には、図1及び図2に示されるとおり、ストラップ260は矢印Fの方向に力を及ぼす一方で、方向C(この方向は力Fの方向の略法線である)への動きによりマスクベース114に連結する。換言すれば、ストラップ360は前方に引っ張られて張力を受け、その前方への引っ張りに垂直な方向への動きにより、クリップ252がマスクベース114に連結される。かかる構成は、使用者の顔に対するインタフェース100の固定を容易にする。
別の構成では、ヘッドギアアセンブリ106は半硬質ヘッドギア380(図29に示されるとおり)を備えることにより、マスクアセンブリ102を使用者の頭部に固定する。半硬質ヘッドギア380は、柔軟な縁取り384につなぎ合わされる半硬質ストラップ382を含む複合構造として形成される。例えば、柔軟な縁取り384は、プラスチックオーバーモールド成形によるか、又は接着剤の使用により、半硬質ストラップ382に結合させることができる。図29に示されるとおり、柔軟な縁取り384が半硬質ストラップ382に重なることなく、柔軟な縁取り384は半硬質ストラップ382に突き合わせてつなぎ合わされ、半硬質ヘッドギア380の連続した形状が維持され得る。半硬質ストラップ382は、ストラップ260から張力が加わり、マスクアセンブリ102が使用者の頭部の方に引き込まれると、半硬質ヘッドギアの形状を画定及び維持する。換言すれば、半硬質ストラップ382は、その平面軸に沿っては、張力下でのその上側アーム284及び下側アーム286の過度の変形を防ぐのに十分な硬さである。半硬質ストラップ382は、プラスチック又は金属を含めた、様々な硬質又は半硬質の材料で作製することができる。一部の構成では、半硬質ストラップ382はPVCで作製される。
特に半硬質ヘッドギアアセンブリに関連して、形状を保持する性質、又は自己支持的な性質により、アセンブリ全体が直感的に装着できるものとなり得ることが分かった。詳細には、連結部材及び/又はヘッドギア部材が三次元形態を維持するように自己支持している場合、ヘッドギアを、あったとしても極めて少しの指示だけで、正しい向きに装着することができる。自己支持性の構成では、ストラップがもつれない傾向にあるため、アセンブリ全体の装着にかかる時間もまた短縮される。
本明細書で使用されるとき、用語「半硬質」は、ヘッドギアアセンブリが十分な剛性を有し、従ってヘッドギアアセンブリ380が、そのヘッドギアの設計の適合対象である患者の頭部を近似する寸法の三次元形状をとることができる一方で、患者の解剖学的形状に略一致するのに十分な可撓性も有することを指して用いられる。例えば、ヘッドギアアセンブリ380の他の構成部品(例えば、アーム又はストラップ)の一部もまた、それらの構成部品が実質的に自己支持性の三次元形態を保持することが可能であるように、部分的又は全体的に「半硬質」であってよい。「半硬質」ヘッドギアアセンブリは、ヘッドギアアセンブリのありとあらゆる構成部品が必ず半硬質であることを意味するよう意図されるものではない。例えば、自己支持性のヘッドギアアセンブリ380がとり得る実質的に三次元の形態は、主に、ヘッドギアアセンブリ380の後部及び上部に関し得る。加えて、半硬質ヘッドギアアセンブリ380は、患者の頭部に置かれたとき耳の前方及び耳の上側に延在する半硬質領域を含み得る。
左右の上側アーム284及び下側アーム286も同様に、半硬質材料で形成されてもよい。本明細書で使用する場合、半硬質材料には、限定はされないが均質プラスチック材料及びボンデッド不織繊維材料を含む成形プラスチック又はシート材料が含まれ得る。
一部の構成では、アーム又はストラップの1つ以上は、実質的に非弾性の材料で形成される。アーム又はストラップは半硬質の自己支持性材料で形成されてもよく、従って半硬質ヘッドギアアセンブリ380は実質的に三次元の形状をとることができ、且つ概してもつれない。一部の構成では、材料は、例えば限定されないが、形状適合性部分と半硬質部分との両方の積層構造を含み得る。半硬質ストラップ382は、自己支持性、弾力性、実質的に非弾性の材料、例えば限定されないが、Santoprene、ポリオレフィン、ポリプロピレン、ポリエチレン、発泡ポリオレフィン、ナイロン又は不織ポリマー材料であってもよい。一部の構成では、半硬質ストラップ382は、ポリエチレン系又はポリプロピレン系で形成される。材料は、Dowlex 2517などの低密度ポリエチレンであってもよい。Dowlex 2517は、9.65MPaの引張降伏強さ、8.96MPaの引張破断強さ、及び234MPaの曲げ弾性率-2%割線を有する線状低密度ポリエチレンである。半硬質ストラップ382は好ましくは、半硬質ヘッドギア380がその向きに関わらず自重下で実質的に形状持続性であるような材料で形成される。一部の構成では、半硬質ストラップ382は、30Nの引張荷重を受けたとき約6mmより多く延伸しない。一部の構成では、半硬質ストラップ382は、30Nの引張荷重を受けたとき約3mmより多く延伸しない。
一部の構成では、半硬質ストラップ382は、ポリオレフィンと結合される(例えば、オーバーモールド又はラミネートされる)不織ポリオレフィン(NWP)で形成される。かかる構成では、オーバーモールドされたポリオレフィン材料が主な形状持続特性を提供する。加えて、より軟質のNWP材料が皮膚に接触するように適合され、所望の快適度を提供する。さらには、NWP材料は、所望の耐荷重特性、例えば所望の耐引張荷重特性の提供に役立ち得る。
半硬質ヘッドギア380は、概して半硬質材料で形成される。本明細書で使用する場合、半硬質材料には、限定はされないが、均質プラスチック材料及びボンデッド不織繊維材料を含む成形プラスチック又はシート材料が含まれ得る。上側アーム284及び下側アーム286は半硬質ヘッドギア380と一体形成されて、その一部であるため、アーム284、286もまた、かかる半硬質材料を含む。好ましくは、左右の下側アーム286は、使用時に患者の後頭部を囲んで首の上側に延在し得る一体化した構成要素として形成される。
柔軟な縁取り384が半硬質ストラップ382の周囲の少なくとも一部分を覆うか、又はそこに取り付けられる。一つの構成では、柔軟な縁取り384は、半硬質ストラップ382の前面又は後面を覆わない。例えば、柔軟な縁取り384及び半硬質ストラップ382の厚さは、それらが共につなぎ合わされる位置において同じであってもよい。
柔軟な縁取り384は、半硬質ストラップ382の周囲と使用者の皮膚との間に柔らかい快適な接合面を提供する。柔軟な縁取り384は、限定はされないがプラスチック、エラストマー、シリコーン又は熱可塑性ポリウレタン(TPU)プラスチックを含め、様々な柔軟材料で作製することができる。柔軟な縁取り384は、10~80ショアAの範囲のショア硬さを有し得る。
ヘッドギア及びストラップに関連して本明細書で使用されるとき、「柔軟な」は、材料の手触りを記載するために用いられ、手触りとは、触覚から得られる反応によって評価される材料の質を意味する。加えて、ヘッドギア及びストラップに関連して本明細書で使用されるとき、「形状適合性の」は、材料が患者の解剖学的特徴(例えば、顔特徴の周り)に適合する能力を記載するために用いられる。詳細には、少なくとも「柔軟な」及び/又は「形状適合性の」材料の要素を備えるストラップはまた、「半硬質」及び/又は軸方向に非弾性でもあり得る。
柔軟な縁取り384は一様な厚さを有してもよく、又は一部の構成では、不均等な厚さを有してもよい。例えば、一部の構成では柔軟な縁取り384は半硬質ストラップ382と同じ厚さである。他の構成では、柔軟な縁取り384は半硬質ストラップ382より薄く、半硬質ストラップ382に至る球状の端部を形成するか、又は単に半硬質ストラップ382より厚い。半硬質ヘッドギア380の様々な断面図が図29に示される。各断面図(A-A’~F-F’)は、半硬質ストラップ382及び柔軟な縁取り384の厚さの一つの可能な構成を示し、これらは所望に応じて組み合わせてもよい。例えば、任意の一つの特定の柔軟な縁取り384の厚さ及び形状を、半硬質ストラップ382の一部分又は全体に適用することができ、又は図29に示される任意の他の特定の被覆厚さ及び形状と組み合わせてもよい。
他の多くの厚さ構成が、同様に提供され得る。加えて、材料厚さは半硬質ストラップ382に対称又は非対称に適用され得る。例えば、断面図C-C’及びF-F’は非対称であるものとして示される;しかしながら、他の構成では柔軟な縁取り384の両端部の厚さが半硬質ストラップ382に対称に適用される。一部の構成では、半硬質ストラップ382は、さらなる硬さ及び支持を提供するように選択的に厚くされる。例えば、断面図F-F’として例示される2つの構成の2番目が、このように厚くなっている。最後に、一部の構成では、通気貫通孔396が半硬質ヘッドギア380の全体にわたり(図29に示されるとおりの半硬質ストラップ382、又は柔軟な縁取り384などに対して)提供され、通気及び汗の管理を提供する。
半硬質ヘッドギア380は、図29に示されるとおり横たえたとき、3つのC字型の弧状領域386、388、390を画定する。耳を取り囲む2つの領域386、388が上側アーム284及び下側アーム286によって画定され、後部領域390が下側アーム286及び後部ストラップ部分280によって画定される。半硬質ヘッドギア380は、屈曲して使用者の頭部の形状に適合するのに十分な可撓性を有し、従って耳を取り囲む領域386、388が使用者の耳を少なくとも部分的に取り囲み、又は包囲し、且つ後部領域390が使用者の後頭部、首の上側を、少なくとも部分的に取り囲み、又は包囲する。
各アーム280、284、286の湾曲は、快適な装着性が提供され、且つ使用者の頭部に対する半硬質ヘッドギア380の適用及び取り外しが容易となるように選択することができる。例えば、例示される構成では、耳を取り囲む上側弧状領域386、388における開口に対して、上側アーム284が凹状の湾曲を有し、下側アーム286が凸状の湾曲を有する。後部ストラップ部分280及び下側アーム286は全て、首を取り囲む弧状領域390における開口に対して凹状の湾曲を有する。これらの湾曲は、例えば、使用者の首及び耳に容易に適合するサイズ及び向きの開口を弧状領域に提供することにより、使用者の頭部に対する半硬質ヘッドギア380の適用及び取り外しを促進する。
図29の構成は、半硬質ヘッドギア380を使用者の頭部に固定するための第1の頭頂部アーム392及び第2の頭頂部アーム394を含む一体化された頭頂部ストラップを利用する。半硬質ヘッドギア380が位置決めされ、使用者の頭部が部分的に取り囲まれた後、第1の頭頂部アーム392と第2の頭頂部アーム394とを互いに接触させて半硬質ヘッドギア380を所定位置に固定する。第1の頭頂部アーム392及び第2の頭頂部アーム394では、それらを互いに取り付け可能にするために、様々な機構のいずれが提供され得る。例えば、一部の構成では、面ファスナ布(例えば、ベルクロ(登録商標)(Velcro))、又は1つ以上のスナップ若しくはクリップを使用して、第1の頭頂部アーム392と第2の頭頂部アーム394とを互いに取り付けることができる。
頭頂部ストラップは、耳と一直線にある頭蓋の頂部にわたり横方向に延在する。頭頂部ストラップがこのように延在し、且つ弧状領域386、388が使用者の耳を部分的に包囲するように位置決めされる場合、半硬質ヘッドギア380の後部ストラップ280はイニオン上又はその下側に位置するはずである。使用者のイニオンは、頭蓋の後下部における後頭骨(occiptal bone)の最も顕著な突出である。換言すれば、イニオンは、外後頭隆起(external occipital protruberance)の最も高い点である。半硬質ヘッドギア380は、使用者の頭部に対して、関連出願の相互参照に示した出願(その各々が本開示の不可欠な一部をなし、且つ本明細書によって全体として参照により援用される)に記載される構成のいずれかに従い位置決めすることができる。
例えば、後部ストラップ部分280は、使用者の後頭部と係合するように適合される。好ましくは、後部ストラップ部分280は、外後頭隆起上又はその下側の位置で頭部と係合するように適合される。後部ストラップ部分280は、後頭部を囲む距離に及んで、頭部の各側部まで延在する。一部の構成では、後部ストラップ部分280は、患者の外耳道を通って延在する水平面から約25度下側に位置するように適合された長手方向中心を含む。
頭部の各側で、半硬質ヘッドギア380は上方及び下方に延在して、弧状領域386、388を形状する左右の側部領域に入る。側部領域は、患者の耳の後ろ側に延在するように適合される。好ましくは、側部領域はまた、患者の乳様突起の後ろ側にも延在するように適合される。半硬質ヘッドギア380の左右の側部領域の各々は、弧状部分386、388の中まで延在するか、又はそれを含む。弧状部分386、388は前方に屈曲している。弧状部分386、388は、患者のそれぞれの耳の周りに延在するように適合される。好ましくは、弧状部分386、388の各々は、それぞれの終端部分で終端する。終端部分は、好ましくは、患者の耳の前方に位置するように適合される。一部の構成では、半硬質ヘッドギア380の側部領域及び弧状部分386、388は柔軟な内側の詰め物入り部分を含まないが、患者の頭部/毛髪と直接接触する自己支持性の弾性材料を含み得る。
半硬質ヘッドギア380の上部部分は弧状部分386、388を共に連結する。この上部部分は、一部の構成では、耳の前方に位置決めされ得る。好ましくは、上部部分は耳から略垂直に位置決めされる。より好ましくは、上部部分の長手方向中心は、外耳道と交わる垂直面の後方に13mmより大きく、好ましくは13~100mmだけ離間されるように適合される。一部の構成では、上部部分は第1のセグメント392と第2のセグメント394とを含み、これらの第1のセグメント392及び第2のセグメント394が組み合わさって上部部分を形成する。第1のセグメント394は左弧状部分386の頂部から上方に延在し、一方、第2のセグメント392は右弧状部分388の頂部から上方に延在する。好ましくは、上部部分は自己支持性の半硬質材料で形成される。一部の構成では、上部部分は、柔軟な詰め物入りの裏当て層を含め、いかなる裏当ても含まない。
上側アーム284及び下側アーム286の各々は、各アーム端近傍にスロット292、290を含む。各スロットは、図2に示されるとおり、マスクアセンブリ102からのストラップ260を受け入れるように構成される。加えて、ストラップ260によって覆われる半硬質ヘッドギア380の一部分398は、ストラップ260の厚さを受け入れるため、対応するアーム284、286より薄い。例えば、図30及び図31に示されるとおり、半硬質ヘッドギアの一部分398がアーム286より薄い。部分398は、ストラップ260をスロット290に挿入して張力をかけたとき、その厚さがアーム286を越えて延在しないような寸法である。ストラップ260及び一部分398の厚さをアーム286の厚さ未満に維持することにより、ストラップ260が装用時に使用者を刺激することがなくなる。
加えて、上側アーム284は、調節可能な上部ストラップ260が装用時に使用者の眼まで約10mmを切る近さには延在しないように、使用者の耳の上側の位置から下方に延在するように構成される。下側アーム286は、頭部が上下に傾くときに使用者の首からずれて位置するように構成され、下側アーム286の終端点は使用者の耳の略下側に位置し、従って下側アーム286に取り付けられた下側ストラップが、この終端点290からマスクアセンブリ120へと上向きの角度をなす。かかる構成では、図52及び図53に示されるとおり、下側ストラップ及び上側ストラップが三角形を形成し、マスク上の下側ストラップと上側ストラップとの間の空間が、ヘッドギア上の下側ストラップと上側ストラップとの間の空間より小さく、従ってマスクアセンブリ120が上下の動きに対して安定化する。
再び図17に関連して、エルボ222は、切り離し可能なスイベルアセンブリ302を介して導管300に連結する。図20の断面図に示されるとおり、エルボ222は、基部に内壁306を含むステム304を含む。内壁306は凹部308を含む。
スリーブ310が、凹部308内に受け入れられるフランジ312を含む。スリーブ310は、任意の好適な技法を用いてエルボ222内で適切な位置に固定することができる。スリーブ310は略シリンダ状の外壁314を含む。フランジ312は、レバー316に連結するための外側に延在するセクションを含む。好ましくは、フランジ312とレバー316とは一体形成される。図21に関連して、レバー316は内側に延在する下側キャッチ320を備え、レバー316をフランジ312に連結するセクションを中心に枢動することが可能である。従って、レバー316の上側部分322を内側に押すと、キャッチ320がスリーブ310の略シリンダ状の外壁314から離れるように動く。
スイベル330は略シリンダ状の内壁332を含む。内壁332はスリーブ310の外壁314上を摺動し、従ってスイベル330とスリーブ310との間に滑り嵌めが生じる。上側部分334はショルダ336を含む。レバー316のキャッチ320はショルダ336と係合することにより、スイベル330をスリーブ310に対して軸方向位置に固定することができる。レバー316の上側部分322が押されると、キャッチ320がショルダ336から離れるように動き、これによりスイベル330をスリーブ310から取り外すことが可能となる。
ステム304とスリーブ310との間にフラップ350が取り付けられ得る。例示される構成では、フラップ350は、ステム304とスリーブ310との間に挟まれた基部354から流路352の中まで延在する。フラップ350は、軸X(図21を参照)を中心にスリーブ310から離れる方に上方へと枢動することができ(図20に示されるとおり、矢印Pを参照)、従って陽圧発生器からのインタフェース100を介した使用者への流れが略妨げなしに継続し得る。陽圧源が加圧空気流の供給を停止した場合、フラップ350は下方に枢動してスリーブ310と接触し、流路352を密閉する。一部の構成では、フラップ350はスリーブ310と完全には接触しない。一部の構成では、フラップ350は下がっている位置にあるときもチャネル352を密閉しない。
図21に関連して、フラップ350の上方の位置にエルボ222を貫通するポート360が画定される。ポート360は好ましくは、軸Xの近傍にあるエルボ222の一部分に沿って位置決めされる。一部の構成では、ポート360は、フラップ350によって吸息空気流が実質的に遮断されるように位置決めされる。換言すれば、空気がフラップ350をスリーブ310から離れるように枢動させると、フラップ350がポート360を少なくとも部分的に又は完全に覆う位置に動かされる。
一部の構成では、ポート360は、略平面的な内壁362を含むエルボ222の壁を貫通して延在する。略平面的な内壁362は、フラップがスリーブ310のフランジ312から離れて上方に動かされたときに、フラップ350がポート360を略密閉する助けとなる。
一部の構成では、レバー316はポート360の大部分に重なって位置し、従ってポート360は概して視界から遮られる。しかしながら、図20に示すとおり、好ましくは間隙364がレバー316の少なくとも一部分を取り囲み、従ってフラップ350がポート360を覆っていないとき、比較的自由な空気の流れがポート360を通過することができる。加えて、一部の構成では、ポート360及びレバー316が、エルボ222のうち、ボールエンド220内に画定される開口370(この開口は、連結ポートアセンブリ104がマスクアセンブリ102に組み付けられると、マスクアセンブリ102内に位置決めされる)と同じ側に位置決めされる。有利には、かかる位置決めにより、ポート360がエルボ222上で使用者と対面する位置に置かれる。かかる位置は、使用中、ポート360を視界からさらに遮り、審美的により美しい構成がもたらされる。さらに、ポート360を通る流れは極めてまれであるため、ポート360を使用者に向けて配置させても、使用者に深刻な不快感が生じることはない。
図示しないが、エルボ222はまた、1つ以上のバイアスフロー通気穴も含み得る。バイアスフロー通気穴は好ましくは、任意のバイアスフローが使用者に直接当たることのないように、前方に向けられた配置で位置決めされる。
エルボアセンブリ302の別の構成が図48~図51に例示される。エルボアセンブリ302は、図49に示されるとおり、エルボ222、スリーブ310、及び/又はスイベル330を含む。一部の構成では、エルボアセンブリ302はエルボ222及びスリーブのみを含み、スイベル330は省略される。スイベルは、スリーブ310及びエルボ222に永久的に又は取り外し可能に取り付けられ得る;一部の構成では、スイベル330は送出導管の端部と一体形成される。スリーブ310の上にわたってフラップ350が位置決めされ、従ってフラップ350はスリーブの流路352を少なくとも部分的に遮る。エルボアセンブリ302は図17~図21のエルボアセンブリ302と同様に機能する;しかしながら、図48~図51のエルボアセンブリ302は、フラップ350がその閉鎖位置に下がったときに(図50及び図51に示されるとおり)、ガスを患者から遠ざけるように誘導するというさらなる利点を提供する。
図49に関連して、スリーブ310は好ましくは、2つ以上の切欠き領域又は凹部356を含む。凹部356は任意の好適な形状を有してもよく、例示される構成では、凹部356は、上方に延在してスリーブ310に入り込む半円形の構成を含む。スリーブ310はまた、少なくとも1つのバンプ357、好ましくは2つ以上のバンプ357も含む。好ましくは、バンプ357の各々は、約70度の弧にわたり延在する。より好ましくは、バンプ357の各々は2つの凹部356の間の略中心にあり、バンプ357の各々はスリーブ310の外面の周りに約70度延在する。
スイベル330は、好ましくは略シリンダ状の構成である。図49に示すとおり、スイベル330は、内側に延在するリッジ358を有する。リッジ358は好ましくは、全内表面を包囲する。一部の構成では、リッジ358は断続していてもよい。しかしながら、好ましくはリッジ358には、バンプ357の全体を受け入れるのに十分な大きさの分断はなく、従ってリッジ358及びバンプ357が協働して、スイベル330をスリーブ310に嵌装した状態に保つことができる。スイベル330をスリーブ310に組み付けるとき、凹部216によりバンプ220を内側に撓ませることが可能となるため、バンプ357を、リッジ358を越えて摺動させ、次に外側へと反発させて戻すことで、バンプ357をリッジ358の下に固定することができる。
エルボ222はその側面に開口420を含み、これらの開口420が空気逃がしチャネル422と流体連通している。空気逃がしチャネル422は、図50及び図51に示されるとおり、エルボの内壁362と外壁424との間の間隔によって形成される。
図50及び図51に示されるとおり、フラップ350がその閉鎖位置に下がると、使用者から呼出された空気がエルボ222の開口370に入る。呼気はエルボの内壁362のポート360を通って流れ、逃がしチャネル422を通り、最終的に開口420からエルボ222を出る。
図48~図51の構成は全長の減少をもたらし、エルボ222の前面に位置決めされる目障りな穴がなくなることにより、製品の審美性が向上する。加えて、図48~図51の構成は、空気が使用者に向かないようにされるため、患者の快適性が向上する。代わりに開口420が、空気流をエルボ222の側面から出して患者から遠ざけるように誘導する。
図54はさらなるマスク構成500を示す。図54に例示するマスク構成500は、明確にするため、一切の付属するヘッドギアアセンブリを含まず図示している。マスク構成500と共に任意の好適なヘッドギアアセンブリを使用することができる。例えば限定されないが、本明細書中に開示される任意のヘッドギアアセンブリを、マスク構成500と共に使用することができる。
引き続き図54に関連して、例示されるマスク構成500は、概して、マスクベース502とマスクシール504とを含む。マスクベース502は、好ましくはマスクシール504より硬質である。例えば、一つの構成では、マスクベース502はポリカーボネート材料で形成され、一方、マスクシール504はシリコーン材料で形成される。他の好適な材料もまた、マスクベース502及びマスクシール504の各々に使用することができる。
マスクシール504は、限定はされないが、本明細書中に開示される任意の方法を含め、任意の好適な方法でマスクベース502に固定することができる。例えば限定されないが、図55に関連して、マスクシール504のフランジ506を、マスクベース502の周囲に沿って提供される溝510に挿入してもよい。一部の構成では、マスクシール504の少なくとも一部分がマスクベース502の少なくとも一部分の下に置かれ得る。一部の構成では、より硬質の部材、例えば限定されないがクリップ、又はより硬質の部分が、マスクシール504と一体形成されてもよく、そのより硬質の部材又は部分を使用してマスクシール504がマスクベース502と連結され得る。
図54に示すとおり、マスクシール504は好ましくは、第1のパドル又はウィング512と、第2のパドル又はウィング514とを含む。好ましくは、第1のパドル512及び第2のパドル514は中空である。例えば限定されないが、図62に示すとおり、第1のパドル512及び第2のパドル514の各々の中にポケット518が画定されてもよい。ポケット518は、マスクシール504によって画定されるチャンバ520と流体連通している。従って、マスクシール504によって画定されるチャンバ520内の圧力を使用して、第1のパドル512及び第2のパドル514のポケット518を膨張させることができる。
図54の線55-55に沿ったマスクアセンブリ500の断面である図55に関連して、マスクシール504はまた、好ましくは上面516も含む。パドル512、514は上面516から略上方に延在する。好ましくは、パドル512、514内に画定されるポケット518は、上面516より上側に延在する。より好ましくは、ポケット518は横部分に画定され、従ってポケット518が鼻の横側部に沿って上方に延在する。ポケット518が上面516より上側に、鼻の横側部に沿って延在することにより、膨らむ効果を用いて、鼻の外面に対する高い密閉性を提供するように、内側に向かって膨らむ効果を大幅に改善することができる。併せて、上面516及びパドル512、514が鼻との密閉性の向上を可能にするため、圧力に関連して皮膚に問題が起こることが低減又は解消される。より詳細には、例示される構成は鼻を左右に鼻梁部で横切ることがないため、例示されるマスク構成500では、鼻梁に沿って圧力に関連して皮膚に問題が起こることが解消される。
再び図54に関連して、第1のパドル512及び第2のパドル514は上面516と共に谷部522を画定する。谷部522は好ましくは、前方に配置された開口を画定する。換言すれば、例示される谷部522は、例示されるマスクシール504の前後に延在する通路を画定する。さらに、谷部522により画定される前方の開口を通じて少なくとも鼻尖が突出し得るようにして、鼻が前後に略開放した領域に受け入れられるため、谷部522は好ましくは、あらゆるサイズ範囲の使用者に適合する。
図54及び図55に例示されるとおり、谷部522は好ましくは、上面516が鼻の下に置かれるようにして、少なくとも使用者の鼻尖を受け入れる。好ましくは、前から見ると、パドル512、514の間に約5mm~約30mmの間隙Gが画定される。より好ましくは、パドル512、514の間の間隙Gは約10mm~約25mmである。一つの構成では、間隙Gは約15mmである。上面516は、鼻の下に置かれることにより、マスク構成500と使用者の顔との間の一次シールを画定する。
パドル512、514は好ましくは、鼻の横側部に沿ってある程度の延在範囲まで上方に延在する。一部の構成では、パドル512、514は、密閉する上面516の延在範囲と比べて大きく上方に延在する。パドル512、514は例示されるより短くてもよく、又は例示されるより長くてもよい。上面516より上側に上方に延在することにより、且つ鼻の横に上方に延在することにより、パドル512、514は使用者の顔との二次シールを作り出す。好ましくは、パドル512、514は、少なくとも鼻翼の線維脂肪組織FFTまで上方に延在するように適合される(これは図70に線Aによって表される)。より好ましくは、パドル512、514は、線維脂肪組織FFTを越えて小鼻翼軟骨MACの領域内まで上方に延在するように適合される(これは図70に線Bによって表される)。さらにより好ましくは、パドル512、514は、小鼻翼軟骨MACを越えて鼻中隔軟骨SNCの外側突起の領域内まで上方に延在するように適合される(これは図70に線Cによって表される)。一部の構成では、パドル512、514は、パドル512、514の少なくとも一部分が使用者の鼻の鼻骨NB(すなわち鼻梁)を越えて上方に延在するようにして、上方に延在する(これは図70に線Dによって表される)。一部の構成では、パドル512、514は、鼻の外側縁の横部分に沿って延在するように適合される。
パドル512、514は好ましくは、鼻に略隣接する顔の表面に沿って延在するように構成される。図55に示すとおり、側面から見たとき、パドル512、514は、一部の構成では、略三角形、又はフィン形状である。かかる構成は、鼻の側面に対するパドル512、514の密閉に大きい表面積を提供するとともに、低減した側面プロファイルも有することで、左右に寝返りを打ったときなど、睡眠中の接触によってパドル512、514が鼻から引き離される可能性を低減する。例示される構成は2つの別個のパドル512、514を含むが、パドル512、514を共に連結して鼻の少なくとも一部分を略囲い込んでもよい。
図55及び図57に示されるとおり、上面516は後方に(すなわち、使用者の顔に向かって、又はマスクベース502から離れる方に)、リップ524まで延在する。上面516は、リップ524の近傍で鼻の下に置かれ、好ましくは鼻を当接密閉する一方、リップ524が赤唇縁のすぐ上の顔の上唇領域を当接密閉し得る。
上記に記載したとおり、マスクシール504の上面516は後方に延在してリップ524に接続するか、又はそれを画定する。図57に関連して、リップ524は好ましくは、マスクシール504内に画定されるチャンバ520に至る開口526を包囲し、マスクシール504の側壁528の一部分に接続するか、又はそれを画定する。
図57に示すとおり、上面516は、1つ以上の鼻用開口530の少なくとも一部分を含む。鼻用開口530は、横方向においてパドル512、514の間に位置決めされてもよく、上面516を貫通して画定されることで、マスクシールのチャンバ520との連通を提供し得る。鼻用開口530は、好ましくは実質的に上向きに開放しており、一方、口用開口526は、好ましくは実質的に後ろ向きに開放している。例示される構成では、マスクシール504は口用開口526と、別個の鼻用開口530とを含む。他の構成では鼻と口との併用開口を有するが(例えば、図59に示されるとおり)、図58に示されるとおり別個の開口526、530が、使用者にとっては例示されるマスク構成500を適切に装用できているかを知るうえで助けになり、指示性が高いものとなり得る。
上面516は、好ましくは実質的に平坦で、概して鼻腔の中まで上方に突出しない。好ましくは、鼻用開口530は鼻前庭の中まで上に延在しない(鼻前庭は、使用者の鼻腔の最も前方にある部分である)。より好ましくは、鼻用開口530は鼻前庭の下に延在するが、上に鼻前庭の中までは延在しない。鼻用開口530は好ましくは、他の何らかの上部構造の中まで上方に延在するのでなく、上面と略面一である。一部の構成では、上面516は1つ以上の鼻プロング、1つ以上の鼻ピローなどを含み得る。例示される構成では、上面516はパドル512、514によって支持され、パドル512、514の上端部に至るいくらか弧を描く連結部を画定する。この弧を描く連結部は、より高い枢動点から上面516を懸架することにより上面516を支持し、これにより上面516に沿って定義される鼻密閉面が、周囲の幾何形状と共に、種々の幅、奥行き及び他の幾何学的特徴を備える鼻に合わせて延伸し、動き、及び/又は形状を適合させることが可能となる。
図57に示すとおり、リップ524は、口用開口526と鼻用開口530との間に配置されるバンド532を画定し得る。図58に示される実施形態を図59に示される実施形態と比較することによって示されるとおり、バンド532、及びバンド532と鼻用開口530との間に延在する上面516の一部分を省略し、従って口用開口524と鼻用開口530とをまとめて、口鼻併用開口534にすることが可能である。
図60に示すとおり、口鼻併用開口534を特徴とする一部の構成では、リップ524の両側部がクリップ536で相互に連結され得る。例示されるクリップ536は、概して、オメガ(Ω)のような形状を含む。図60に例示するとおり、クリップ536は、クリップ536の本体544によって相互に連結される第1の脚540と第2の脚542とを含み得る。本体544は、任意の好適な形状及び構成を有し得る。例えば限定されないが、例示される本体544はU字型又はC字型を含むが、本体544はV字型などであってもよい。一部の構成では、クリップはシリコーン又は任意の他の好適な材料で形成され得る。
再び図57に関連して、側壁528は、垂直方向において上面516より高く延在し得る。好ましくは、側壁528はリップ524に連結し、口用開口526を略包囲し、且つ第1のパドル512及び第2のパドル514の領域における使用者の鼻の側部まで上に延在する。側壁528は、例示される構成では上方にバンド532を越えて延在するため、マスク構成500を側面から見たときより高いプラットフォームを提供し(例えば、図61)、これによりマスクシール504のバランスが促進され、略水平軸を中心にマスク構成500が回転する動きが低減される。
バンド532は、図57に示されるとおり、口用開口526と鼻用開口530との間に延在する。従って、例示されるバンド532は、2つの開口526、530の間の位置で側壁528を連結する。一部の構成では、クリップ536が、口鼻併用開口534を画定する2つの部分の間の位置で側壁528を連結する。他の構成では、開口526、530又は開口534の両側から側壁528を略連結する任意の好適な連結構造が用いられ得る。連結構造の位置は、開口524、530又は開口534の上端と下端との間にあってよい。換言すれば、一部の構成では、側壁528の第1の横側部が、併用開口534を架橋する領域において側壁528の第2の横側部に連結される。
側壁528の横部分を連結することにより、側壁528の横部分は事実上共に係留される。睡眠中、例えば使用者がある睡眠体勢から別の体勢に(例えば仰向けから横向きに)寝返りを打ち得る場合、それによってマスクがCPAPチューブによって引かれるため、又は枕と接触するため、マスク構成500が横方向に動かされ得るが、側壁528の横部分が共に係留されると、マスクシール504の安定性は向上する。さらに、係留部(例えば、バンド532又はクリップ536)は可撓性であるため、広範な顔外形が適合し得る。例えば、平たい顔外形が適合し得る一方で、このシールはなお、ヨーロッパ人集団に多いより突出した顔外形に合わせて自己調整することも可能である。
例えばバンド532又はクリップ536により提供される係留はまた、側壁528がロールする助けともなる。図57に関連して、バンド532は横方向に延在して側壁528に連結するため、バンド532が前方に押されると側壁528が内側にロールし、これは種々の顔幾何形状に対するマスクシール504の形状適合性を高める。加えて、上面516が下方に押されるに従い、第1のパドル512及び第2のパドル514が内側に枢動し、従ってパドル512、514の最上部における間隙Gがパドル512、514の底部の間隙Gと比べて小さくなる。
ここで図62~図65に関連して、例示されるマスクシール504は、様々な硬さ又は様々な可撓度を含むことでマスクシール504の形状適合性をさらに高め、この高い形状適合性は、マスク構成500が陽圧適用で使用されるときの漏出を低減する助けとなる。
例示されるマスクシール504の上側部分は、より硬質の支持領域550と、膨張又は撓曲領域552とを含む。例示される構成では、支持領域550は、断面がより厚いことによって硬さが増加しており、一方、膨張又は撓曲領域552は、断面がより薄いことによって硬さが低下している。硬さ又は可撓性を変化させるために、他の技法もまた用いられ得る。例えば、材料選択、材料配合などを調節して、マスクシール504の異なる領域の硬さ又は可撓性を調節することができる。さらなる例として、一部の領域をマスクベース502又は他の構成部品によって支持することにより、所望に応じてその領域を剛性化してもよい。
例示されるより硬質の支持領域550は(図64に最も分かり易く示される)、第1のパドル512及び第2のパドル514の前方に向く面上に位置し得る。より硬質の支持領域550はまた、マスクベース502の溝510に連結するマスクシール504のフランジ506を備える部分でもある。支持領域550は、例示される構成では、膨張又は撓曲領域552の上に置かれる。例示される構成は、膨張又は撓曲領域552の膨張及び撓曲を制御する助けとなるのに望ましく、従って膨張動作がより良好に使用者に向けられ得る。
引き続き図63~図65に関連して、支持領域550及び膨張又は撓曲領域552に加え、例示されるマスクシール504はまた、下側角部補強材554及び撓曲顎領域556も含む。支持領域550及び膨張又は撓曲領域552と同様に、角部補強材554は撓曲顎領域556より剛性が高い。剛性がより高い角部補強材554は、マスクシール504の領域の膨張を制御及び/又は誘導する助けとなる一方、より可撓性の高い顎領域556はより容易に変形するため、多種多様な顔幾何形状を有する使用者に適合することができる。
例示されるとおり、下側角部補強材554は上面516の垂直位置又はそのすぐ下で下方に延在し、且つ下側角部補強材は、マスクシール504を略二等分する略垂直中心面に向かって内側に回り込む。加えて、例示される構成では、下側角部補強材はマスクシール504の側壁528に沿って位置決めされる。
例示される顎領域556は下側角部補強材の間に位置決めされる。好ましくは、顎領域556もまた、側壁528の少なくとも一部分の上に回り込む。さらに、可撓性顎領域556は好ましくは、上方に、且つマスクシール504のチャンバ520に至る開口526を画定するリップ524の少なくとも一部分の周りに、延在する。例示される構成では、可撓性顎領域556は、垂直方向において、実質的に下側角部補強材554と同じ延在範囲まで上方に延在する。このようにして、下側角部補強材554が可撓性顎領域556の横部分を補強することができる。
さらに、例示される構成では、マスクシール504は、前方に向く補剛パネル560を含む。補剛パネル560は、マスクベース502と嵌め合うことになる領域を略包囲する。補剛パネル560が嵌め合い領域を包囲するため、マスクベース502との連結をさらに安定させることができる。
一部の実施形態では、厚さは、互いに以下のとおりの関係にある:撓曲領域550<顎領域556<下側角部補強材554<補剛パネル556<支持領域550。一部の実施形態では、撓曲領域550は約0.3mm~約1.25mm、好ましくは約0.8mmの厚さを有し、顎領域556は約0.5mmの厚さを有し、下側角部補強材は約1.25mmの厚さを有し、補剛パネル560は約2.0mmの厚さを有し、及び支持領域550は約2.5mmの厚さを有する。好ましくは、マスクシール504のより厚い部分(例えば支持領域550)がより薄い厚さを有する部分(例えば撓曲領域552)に対向する。一部の構成では、最も厚い部分(例えば支持領域550)の少なくとも一部分が、最も薄い部分(例えば撓曲領域552)の少なくとも一部分の上に置かれる。かかる構成により、所望の方向に(すなわち、使用者の顔に向かって)膨らませることが可能となる。好ましくは、移行用のフレームワーク558が様々な領域550、552、554、556を連結する。
撓曲領域552及び顎領域556のより薄い断面が、使用者の顔に接触するように適合された柔軟な可撓性の表面を提供する。有利には、撓曲領域552のより薄い断面により、谷部522によって画定される当該の形状を延伸させ、動かし及び変形させることができ、従ってより多くの割合の人々が同じマスクを使用することができる。好ましくは、延伸し、動き、及び変形することで、広範囲の鼻幅が適合される。同様に、撓曲領域552のより薄い断面が、マスクシール504の顎受け領域の形状を延伸させ、動かし及び変形させることを可能にする。換言すれば、撓曲領域552及び顎領域556のうちの1つ以上のより薄い断面が、極めて多様な顔幾何形状に対するマスクシール504の形状適合を可能にする。
上記に記載したとおり、及び再び図55に関連して、マスクベース502は、好ましくはマスクシール504のフランジ506に固定される溝510を特徴とする。一部の構成では、マスクベース502は、より厚い補剛パネル560の少なくとも一部分及び/又は支持領域550の少なくとも一部分の上に位置し得る。マスクベース502は、マスクシール504のこれらの部分の上に置かれることにより、それらの領域を補強し得る。
さらに図55に関連して、マスクベース502は、コネクタ572を受け入れる中心開口570を含む。コネクタ572及び中心開口570は、限定はされないが本明細書中に記載される任意の構成を含めた、任意の好適な構成を有し得る。図54にはコネクタ572の一部分のみが示される。他のスタイルのコネクタ572もまた、使用することができる。
中心開口570は、異形輪郭の内表面を含む壁574によって画定され得る。壁574の異形輪郭表面は、コネクタ572のボールエンド576を受け入れるように丸みが付いていてもよく、ボールエンド576はスイベルエルボを含み得る。ボールエンド576は、壁574によって画定される異形輪郭表面にスナップ嵌めすることができる異形輪郭表面を有する。2つの異形輪郭表面間の連結により、それらの表面を互いに比較的自在に摺動させることができ、従ってマスクベース502に対してスイベル旋回コネクタ572の位置を容易に変更することができる。一部の構成では、スイベル旋回コネクタ572は、ボールジョイント構成を有することなしに回転又は旋回するように構成され得る。
例示されるマスクベース502はまた、1つ以上のストラップ連結部580(図59を参照)も含む。ストラップ連結部580は、限定はされないが、本明細書中に記載されるクリップなどに連結する任意の構造を含め、任意の好適な構成を有し得る。例えば、例示されるマスクベース502は少なくとも2つのポケット582を含む。
ポケット582は、図56に示されるとおり、マスクベース502の中に後退し、且つマスクベース502から後方に突出する。例示されるポケット582は、マスクベース502の各横側部に1つのポケット582が形成されるようにして形成される。ポケット582は、中心の略垂直面(この平面はマスクベース502を実質的に二等分する)に関して対称となるように位置決めされ得る。一部の構成では、図56に示されるとおり、ポケット582は、横断寸法又は横方向寸法と比べて広がった縦寸法を有する。
例示されるマスクベース502では、各ポケット582の横方向内側部分が支持壁584を含む(これは図61に最も分かり易く示される)。支持壁584は中心面の方に位置決めされる。ポケット582の各々は、例えば限定されないが、図22に示されるクリップ252などの、クリップを受け入れるように構成される。クリップ252がポケット582内に嵌装されると、支持壁584が、ポケット582に対するクリップ252の回転を制限する助けとなる。さらに、その大きい縦寸法が、使用者が嵌装中にクリップ252でポケット582の位置を特定する助けとなる。
引き続き図61に関連して、ポケット582の各々は好ましくは、関連するクリップ252のインターロック機構264を係合することのできるタブ586を含む。クリップ252をポケット582とインターロックする他の方法もまた用いることができる。さらに、マスクベース502又はマスクシール504をヘッドギアアセンブリ600(図67~図69を参照)と固定する任意の他の好適な方法を用いることができる。
ここで図66に関連して、さらなるマスク構成500’が、別のスタイルのストラップ連結部を示すが、しかし他の点では、図54~図65に関連して図示及び説明されるマスク構成500と同じである。例示されるマスクベース502’は4つのストラップ連結部580’を含む。図66に示すとおり、例示される構成では、ストラップ連結部580’は、マスク構成500’の各横側部に位置決めされる2つの連結部580’を有する。例示されるストラップ連結部580’は、任意の好適なヘッドギアアセンブリ600からのストラップ602を通すことができるループ、及び/又はストラップ602を固定することができるループを含む。
図67~図69に関連して、ヘッドギアアセンブリ600はまた、ストラップ602に加えて、後部ストラップアセンブリ604及び上部ストラップ606も含む。ヘッドギアアセンブリ600を用い得るが、任意の他の好適なヘッドギアアセンブリもまた、限定はされないが、本明細書に開示される任意の構造を含め、用いることができる。
後部ストラップ604は、首の項部より略上側ながら後頭隆起より略下側の位置で、使用者の後頭部の周りに延在する。従って、後部ストラップ604は好ましくは上方に弧を描き、後部ストラップ604が使用者の首の項部に接触する可能性を低減又は解消する。使用者の耳の後方の位置で、後部ストラップ604は上側アーム610と下側アーム612とに分岐する。
上側アーム610は使用者の耳の上側の位置まで上方に弧を描き、次に使用者の耳の略前方の位置まで下方に弧を描く。下向きの弧は、上側アーム610のより硬質の材料と組み合わされるとき、上側アーム610とストラップ602との間の取り付け点を下げることを可能にし、従ってストラップ602がマスク構成500’に所望の力ベクトルUFVを付与することができる。取り付け点が高過ぎる場合、ヘッドギアアセンブリ600がマスク構成500’に過度の上向きの力を付与することになり、マスク構成500’の安定性が弱まり得る。さらに、図68に示されるとおり、取り付け点が下がるとストラップ602が使用者の眼より略低く位置決めされるため、使用者にとって視野が向上し、且つ使用者にとって快適性が向上する。
図68に示すとおり、下側アーム612は、耳の僅かに後方の位置まで下方及び前方に延在する。下側アーム612のより硬質の材料と組み合わされるとき、その位置が耳より低く、僅かに後方にあることにより、下側アーム612が使用者の上頸部と並んで比較的平坦に置かれるため、使用者にとって快適性が向上する。ストラップ602は、下側アーム612と連結されると、マスク構成500’に所望の下側の力ベクトルLFVを付与することができる。
ストラップ602は、任意の好適な方法で後部ストラップアセンブリ604に連結することができる。例示される構成では、ストラップ602はそれぞれ上側アーム610及び下側アーム612に連結する。好ましくは、上側アーム610及び下側アーム612はストラップ604より硬質であり、従ってアーム610、612は、ヘッドギアアセンブリ600が着用されているとき形状を略維持する。一部の構成では、上側アーム610及び下側アーム612の各々は自重を支持する。一部の構成では、上側アーム610及び下側アーム612の各々は、着用中にもつれることのない構造である。例えば、アーム610、612は、装着されているときに捩れる可能性を低減するのに十分な捩り剛性を有する。
好ましくは、ストラップ602は、耳の前方の位置で上側アーム610及び下側アーム612の少なくとも一方に連結する。かかる構成は、使用者が大きな困難なしにストラップ602の位置を特定する助けとなる。加えて、上側アーム610及び下側アーム612の端部はそれぞれのスロット614、616を含むことができ、従ってストラップ602をそれらのスロット614、616に通すことができる。加えて、ストラップ602は、ベルクロ(登録商標)(Velcro)又はバックル構成などの調節機構620を含むことができる。調節機構620により、マスクシール504と使用者の顔との間の力を調節することが可能である。任意の好適な調節機構620を使用することができる。
図68に関連して、上部ストラップ606は、上方に、使用者の頭頂部を通り越えて延在し得る。好ましくは、上部ストラップ606は可撓性であり、調節可能な長さを有する。上部ストラップ606はスロット622を介して上側アーム610に連結し、上側アーム610が使用者の頭部から滑り落ちて使用者の耳と接触する可能性を低減し得る。好ましくは、上部ストラップ606は使用者の耳の略上方の位置で上側アーム610に連結する。
図68に関連して、上側の力ベクトルUFVと下側の力ベクトルLFVとの間に画定される角度αは、約25度~約70度の範囲内であり得る。好ましくは、角度αは約30度~約60度の範囲内であり得る。より好ましくは、角度αは約35度~約50度の範囲内であり得る。一部の実施形態では、角度αは約40度であり得る。
有利には、ヘッドギアアセンブリ600の上側アーム610に連結されるストラップ602の張力の比較的小さい調節(すなわち、上側の力ベクトルUFVに沿った張力の調節)が、パドル512、514を含むマスク構成500、500’と共に用いられるとき、使用者の眼領域への漏出を大幅に低減又は解消し得る。換言すれば、パドル512、514及び上面516と共に、上側ストラップ602が締められるに従いマスク構成500’は使用者の鼻の底部に当接して上方に引き込まれ、それによりマスクシール504の上面516が押され、次にはそれによりパドル512、514が使用者の鼻に向かって内側に枢動する。従って、上方に向く力が、パドル512、514により使用者の顔に対して眼の近傍において付与される力を増加させる助けとなり得る。初期の試験では、所望の密閉レベルを達成するのに必要な力の約75%が下側ストラップ602により提供され、上側ストラップ602は眼の領域への漏出を最小限に抑え又は解消するように調節可能であることが示されている。
ここで図71及び図72に関連して、使用者の顔面上で適切な位置にあるさらなるマスクアセンブリ700が例示される。例示されるマスクアセンブリ700は口鼻併用マスクである。例示されるマスクアセンブリ700は、使用者の鼻の下側で、鼻の横に延在する顔の一部分に沿って、並びに使用者の口の周囲で密閉するように設計される。
マスクアセンブリ700は、有利には使用者の鼻梁NBと接触する必要はない。例示される構成では、マスクアセンブリ700は使用者の鼻梁NBの上にわたっては延在しない。より詳細には、例示されるマスクアセンブリ700は使用者の鼻梁に接触しない。さらにより詳細には、例示されるアセンブリ700は使用者の鼻梁の前方に向く部分に接触しない。一部の構成では、アセンブリ700は、使用者の眼の下縁に沿って延在する略水平面LEより垂直方向に高い領域において顔と接触しない。
例示される構成では、マスクアセンブリ700は、使用者の鼻尖NTの上にかけて延在しない。一部の構成では、例示されるマスクアセンブリ700は好ましくは、使用者の鼻尖NTを覆い隠さない。一部の構成では、使用者の鼻尖NTがマスクアセンブリ700の隣接部分にわたり延在する。一部の構成では、マスクアセンブリ700は鼻尖を覆う。一部の構成では、マスクアセンブリのシールは鼻尖を覆う。
例示されるとおり、マスクアセンブリ700は好ましくは、小鼻NW又は鼻翼(これは外鼻孔の周りに丸みのある隆起を形成するように広がる)の周りに延在し、且つそれを覆って密閉するように適合される。例示されるマスクアセンブリ700は、ときに鼻柱と呼ばれる鼻中隔の肉厚の外側端部を含め、外鼻孔に至る開口を画定する表面の周りを密閉するように適合される。一部の構成では、マスクアセンブリ700は、使用者の鼻の左右背側側壁NDSの少なくとも一部分に沿って密閉するよう上方に延在するように適合される。一部の構成では、マスクアセンブリ700は、使用者の鼻梁NBの領域までは上方に延在することなしに、左右背側側壁NDSの少なくとも一部分に沿って上方に延在するように適合される。
例示されるとおり、マスクアセンブリ700は、マスクベース702と、マスクベース702に取り付けられるマスクシール704と、同様にマスクベース702に取り付けられるコネクタ706とを含む。コネクタ706は、限定はされないが、本願の中で他の部分において考察される任意の方法を含めた、任意の好適な方法でベース702に連結することができる。例えば、限定されないが、コネクタ706がベース702に対して旋回、枢動及び回転することができるようにして、コネクタ706をベース702に連結することができる。一部の構成では、コネクタ706はボールジョイントの部分をマスクベース702(例えば限定されないが他方の部分を画定する)と共に画定し得る。ボールジョイントは任意の好適な構成を有することができ、本願の中で他の部分において考察されるボールソケット形装置の記載に従い構成され得る。コネクタ706は、加圧呼吸ガス供給用の供給導管などとの連結を促進する。任意の好適なコネクタ706を使用することができる。
例示される構成では、コネクタ706は、バイアスフロー穴710を含むエルボ、例えば限定されないが、例えばポリカーボネートエルボを含む。バイアスフロー穴710はオリフィスの集合であり、空気を循環させるとともに、使用者が呼息した二酸化炭素を再び吸い込む可能性を低減するように構成される。バイアスフロー穴710はコネクタ706上のみに図示されるが、一部の構成では、バイアスフロー穴710はマスクベース702に対して、マスクシール704に対して、又はコネクタ706、ベース702及びシール704の任意の組み合わせに対して提供され得る。バイアスフロー穴710は任意の好適な断面を有することができ、シリンダ状、砂時計形状、いずれかの方向へのテーパ状、完全又は部分的なテーパ状、完全又は部分的なシリンダ状、断面が変化する異形輪郭などであってよい。
図73に関連して、マスクベース702をさらに詳細に記載する。マスクベース702は、一般にマスクアセンブリ700に対する、より具体的にはマスクシール704に対するある種の支持構造を提供する。マスクベース702は任意の好適な材料で形成され得る。一部の構成では、マスクベース702は、かなり硬質の材料で形成される。一部の構成では、マスクベース702はプラスチック材料、例えばポリカーボネート材料で形成される。一部の構成では、上記の図13の構成と同様に、マスクアセンブリ700は、マスクベースとは別個の、しかしそれに取り付け可能なマスクシールクリップを含むマスクシールを含み得る。かかる構成では、マスクシールクリップがマスクシール704をマスクベース702に連結し得る。かかる構成では、マスクシール及びマスクシールクリップは別々に形成されて共に固定されてもよく、又はマスクシール及びマスクシールクリップは単一の構成部品として一体化されてもよい。一部の構成では、マスクシールがマスクシールクリップの上にオーバーモールドされてもよく、一部の構成では、マスクシールがマスクベースの上に直接オーバーモールドされてもよい。
図73及び図74に関連して、例示される構成では、マスクベース702は一対のウィング714と共に中心部分712から後方に湾曲する。例示されるとおり、ウィング714はマスクベース702の中心部分712に対して後方及び上方に延在し得る。従って、例示されるウィング714は上方に突き出た部分716を含む。概してマスクベース702は、及び例としてウィング714の上方に突き出た部分716は、マスクシール704の横部分に対する補強を提供し得る。
中心部分712は、ウィング714の上方に突き出た部分716の高さより低い垂直方向の広がりを有し得る。従って、図73に関連して、マスクベース702は前から見ると、略M字型の外観を有する縁部を含む。加えて、マスクベース702の中心範囲の上縁は、前から見ると、略U字型の外観を含む。一対のウィング714間に凹部を有する中心部分712を組み込むことにより、マスクベース702は、使用者の鼻に十分な離間距離を提供しながらも、マスクシール704に対して所望の支持を提供することができる。
マスクベース702とマスクシール704とは、任意の好適な方法で連結され得る。図75に例示される構成では、マスクベース702は略囲みフランジ720を含み、マスクシール704をマスクベース702のフランジ720の上にオーバーモールドすることができる。任意の他の好適な技法を用いてマスクシール704とマスクベース702との間の接合部を形成することができる。
一部の構成では、マスクシール704は、マスクベース702から取り外し可能であるように形成されてもよい。例えば、マスクシール704をマスクベース702に取り外し可能に連結することができるように、マスクシール704が溝を含んでもよく、且つマスクベース702がフランジ、又は任意の他の協働構造を備えてもよい。
図75に示すとおり、例示されるマスクシール704は、マスクベース702との連接部に隣接して、断面がより厚い肉厚化領域721を含む。かかる構成は、マスクシール704の耐用年数を向上させるとともに、マスクシール704とマスクベース702との間の連結の完全性を向上させる。一部の構成では、マスクシール704の最も厚い領域が、この肉厚化領域721である。
マスクシール704は、使用者の顔を当接密閉するように設計される。マスクシール704は好ましくは、例えば限定されないがシリコーンなどの、柔軟な材料で形成される。一部の構成では、使用者の快適性が向上するように、マスクシール704の少なくとも一部分をテクスチャ加工することができる。例えば、一部の構成では、例示されるマスクシール704の形成に用いられるモールドの少なくとも一部分がビード吹き付けされることにより、マスクシール704のうち少なくとも使用者の皮膚と接触し得る領域に表面テクスチャが提供され得る。マスクシール704の1つ以上の表面をテクスチャ加工する他の技法が用いられてもよい。
図76に示すとおり、例示されるマスクシール704は口鼻マスクシールを含み、従って、少なくとも1つの口用開口722と少なくとも1つの鼻用開口724とを含む。一部の構成では、マスクシール704は口鼻併用開口を含み得る。一部の構成では、マスクシール704は2つ以上の鼻用開口724を含み得る。一部の構成では、マスクシール704は、ピロー、プロングなどの上部構造内に画定される鼻用開口724を含み得る。
少なくとも1つの口用開口722及び少なくとも1つの鼻用開口724は好ましくは、マスクアセンブリ700内に画定される単一のチャンバ725と連通している。例示されるマスクアセンブリ700のチャンバ725は、少なくとも部分的にマスクベース702及びマスクシール704によって画定される。少なくとも1つの口用開口722は、コネクタ706を受け入れる開口728の実質的に反対側にある。少なくとも1つの鼻用開口724は、垂直方向において少なくとも1つの口用開口722より上側にあり得る。少なくとも1つの鼻用開口724は、コネクタ706用の開口728と少なくとも1つの口用開口722との間に位置決めされ得る。少なくとも1つの口用開口は、垂直に対して傾き、且つ概してコネクタ706用の開口728を通って延在する軸OAを有し得る。
再び図73に関連して、マスクシール704は好ましくは、上面730より上側に上方に延在する一対のパドル726を含む。パドル726は、鼻孔と並んで、且つ一部の構成では鼻孔より上側に、上方に延在するように構成される。一部の構成では、パドル726は各々エアポケットを含み、このエアポケットは、コネクタから少なくとも1つの鼻用開口及び少なくとも1つの口用開口に至るマスクアセンブリを通る空気経路と直接流体連通している。好ましくは、図76に示されるとおり、上面730はパドル726の内側部分733の間にハンモック状に吊り下がる。かかる構成では、上面730に加わる下向きの圧力により、パドル726が最上部で内側に枢動し得る。従って、使用者の鼻と上面730との間の力が増加すると、使用者の鼻の側部とパドル726との間に加わる密閉力が増加し得る。枢動動作がどの程度の力の増加をもたらすかは、構造によって変えることができる。換言すれば、より長いパドル726は、より短いパドル726と比較して大きい枢動程度を呈する。他方で、より短いパドル726は、より長いパドル726と比較して鼻の幾何形状のより大きいばらつきに適合することが可能であり、顔面への装着がより容易なマスクアセンブリ700となる。
図75に関連して、4つの異なる平面HP1、HP2、HP3、HP4が示される。互いに略平行に延在し、且つマスクシール704の最も後方の領域734(例えば、最も後方の領域734は、マスクシール704を机に置いた場合にマスクシール704を支持することになる机の天板などの平面に対応し得る)に沿って定義される平面RPと略垂直に延在する平面HP1、HP2、HP3、HP4が示される。一部の構成では、4つの平面HP1、HP2、HP3、HP4のうちの少なくとも1つと後部平面RPとの間に、約80度~100度の角度βが画定される。一部の構成では、角度βは約85度~約95度である。例示される構成では、角度βは約90度である。
例示されるとおり、第1の平面HP1はマスクベース702の上側部分の最も前方の領域又は最も下側の領域を通って延在し、第2の平面HP2はマスクシール704の上面730の最上部を通って延在し、第3の平面HP3はパドル726の最上部に沿って延在し、及び第4の平面HP4はマスクシール704の顔接触面の最下部に沿って延在する。例示される構成では、第2の平面HP2はまた、ウィング714の上方に突き出た部分716の最上部も通って延在する。一部の構成では、上方に突き出た部分716は上面730より上側に延在してもよく、一部の構成では、マスクベース702の上方に突き出た部分716は、上面730ほど遠く上方には延在しなくてよい。例示される構成では、平面は上から下に以下の順序を有する:HP3、HP2、HP1及びHP4。好ましくは、HP2はHP1とHP3との間に位置決めされる。一部の構成では、平面HP2と平面HP3との間の距離は約10mm~約25mmである。一部の構成では、平面HP2と平面HP3との間の距離は約15mm~約22mmである。一部の構成では、平面HP2と平面HP3との間の距離は約17mmである。
パドル726及び上面730は谷部732を画定する。谷部732は、図71及び図72に示されるとおり、使用者の鼻尖を受け入れるように適合され得る。谷部732は、例示される構成では、上向きに開放している。換言すれば、例示されるマスクアセンブリ700のうち鼻を受け入れる領域は上側が囲い込まれておらず、鼻の下に置かれるように構成される。例示される構成では、谷部は、垂直方向において平面HP1(これはマスクベース702の中心部分712の最も高い部分を通って延在する)より高く位置決めされる。例示される構成では、谷部732は第2の平面HP2(これはマスクベース702の最上部に沿って延在する)の領域の中まで下方に延在し得る。一部の構成では、谷部732は、第2の平面HP2よりやや垂直下側の位置まで下方に延在する。一部の構成では、谷部732は、第2の平面HP2よりやや垂直に高い位置まで下方に延在する。一部の構成では、谷部と第2の平面HP2との間の距離は約-5mm~約5mmである。
図75に関連して、マスクシール704の最も後方の部分734は、好ましくは少なくとも2つの突起736を含む。突起736は、マスクシール704の周囲の部分と一体形成されてもよく、又はマスクシール704の周囲の部分に固定される別個の構成部品であってもよい。例示される構成では、突起736はマスクシール704の周囲の部分との一体成形で形成され、これによりマスクシールの耐用年数が向上し、製造が単純化される。一部の構成では、突起736は、快適性のため、より柔軟な材料、例えばより柔軟な等級のシリコーンで形成され得る。一部の構成では、突起736はより薄い断面を有するように形成され得る。しかしながら例示される構成では、突起は、マスクシール704の周囲の部分と実質的に一致する断面厚さを有する。一部の構成では、突起736は、より良好な密閉のため、より硬い材料、例えばより硬い等級のシリコーンで形成され得る。一部の構成では、突起736は、周囲の領域より厚い断面を有するように形成されてもよく、これにより知覚される硬度又は硬さが増加する。
突起736は、概して顔面上の鼻に隣接して直面する窪み(例えば、眼窩下孔のすぐ下の上顎骨により画定される凹部)を埋める助けとなることにより、使用者の顔との密閉性を向上させるように構成され、従って突起736は、使用者の鼻に隣接する領域における顔の輪郭との密閉手段を形成する。突起736は、マスクシール704の周囲の部分から後方に(すなわち使用者に向かって)延在する。突起736は、マスクシール704の周囲の部分から約0mm~約5mmの高さを有し得る(すなわち、その距離だけすぐ周囲の部分から外方に延在し得る)。一部の構成では、突起736は約1.0mm~約3.0mmの高さを有し得る。一部の構成では、突起736は約2.0mmの高さを有し得る。
突起736の各々の少なくとも一部分は、垂直方向において平面HP2と平面HP1との間に位置決めされ得る。一部の構成では、突起736の少なくとも一部分が、垂直方向において上面730(少なくとも最も上側の延在範囲)と口用開口722の最上部との間に位置決めされる。一部の構成では、突起736の各々は1つ以上の尖端738を有し、尖端738は、垂直方向において上面730(少なくとも最も上側の延在範囲)と口用開口722の最上部との間に位置決めされる。一部の構成では、尖端738は垂直方向において鼻用開口724の一部分と口用開口722の一部分との間に位置決めされる。一部の構成では、尖端738は、口用開口722と比べて鼻用開口724のより近くに位置決めされる。
例示されるマスクシール704は、使用者の顔の2つの位置、すなわち鼻の下及び下唇の下側で係留するように設計される。一部の構成では、マスクシール704は、鼻の下側及び下唇と顎との間で係留するように構成される。例示される構成では、マスクシール704は、第2の平面HP2及び第4の平面HP4に近接して係留するように設計される。一部の構成では、両方の係留点とも、第2の平面HP2と第4の平面HP4との間に位置決めされる。一部の構成では、上側係留点AP1と下側係留点AP2とは、垂直方向に互いに約40mm~約65mmの間隙だけ分離される。一部の構成では、上側係留点AP1と下側係留点AP2とは、約65mm未満の間隙だけ分離される。一部の構成では、上側係留点AP1と下側係留点AP2とは、約60mm未満だけ分離される。例示される構成では、マスクシール704はまた、パドル726により第2の平面HP2の上側にも延在する。一部の構成では、マスクは、いかなる係留点よりも高い位置で使用者の顔を当接密閉することにより、マスクアセンブリ700を通る空気流を遮断するように設計される。従って、例示されるマスクシール704の少なくとも一部の密閉部分は、垂直方向において係留点より高く位置決めされる。
マスクシール704は、異なるサイズ及び/又は幾何形状の顔での使用向けに異なるサイズを有し得る。一部の構成では、マスクシール704の異なる部分が、異なるサイズ及び/又は幾何形状の使用者に適合するサイズ及び構成とされ得る。例えば、マスクシール704の部分が、異なる使用者向けに異なる程度まで上方に延在し得る。図75に関連して、平面SP1と略平行に延在する傾斜平面SP2が、パドル726の外縁に沿って延在し得る。一部の構成では、傾斜平面SP2は、平面SP1と約10mm~約30mmだけ離間され得る。一部の構成では、傾斜平面SP2は、平面SP1と約15mm~約25mmだけ離間され得る。一部の構成では、傾斜平面SP2は、平面SP1と約21mmだけ離間され得る。これらの平面間の距離は、垂直方向における顔との接触範囲に関係する。一部の構成では、全ての顔のサイズ及び幾何形状に対して、単一のサイズのマスクシール704が提供されてもよい。
一部の構成では、マスクシール704は、異なる材料及び/又は異なるショア硬さで形成される複数の構成部品を含む。例えば、一部の構成では、マスクシール704の一部の構成部品がシリコーンで形成されてもよく、一方、他の構成部品が、発泡材、ゲル、布又は他の好適に曲げ易い材料で形成される。例えば、例示される構成では、マスクシール704は鼻パッドインサート740を含み、これは異なる材料及び/又は異なるショア硬さで形成される。
図77及び図78に、マスクシール704から分解された鼻パッドインサート740が示される。鼻パッドインサート740は、マスクシール704の他の部分と異なる等級のシリコーンで形成され得る。一部の構成では、鼻パッドインサート740は、マスクシール704の他の顔接触部分と比べてより柔軟な等級のシリコーンで形成され得る。
さらに、一部の構成では、鼻パッドインサート740は、マスクシール704のいかなる他の顔接触部分と比べても断面がより厚い部分を有する。一部の構成では、鼻パッドインサート740は、鼻パッドインサート740を取り囲むマスクシール704のいかなる部分と比べてもより厚い最大厚さを有する。一部の構成では、鼻パッドインサート(nasal pad inset)740は、鼻パッドインサートを取り囲むマスクシール704のいかなる部分と比べてもより厚い最小厚さを有する。一部の構成では、鼻パッドインサート740は、マスクシール704のいかなる他の部分と比べてもより厚い最大厚さを有する。厚さに関しては、鼻パッドインサート(nasal pad inset)740がより柔軟な等級のシリコーンで形成される場合であっても、厚さが増加するほど、知覚される硬度が増加するものと考えられる。従って、一部の構成では、鼻パッドインサート740の顔接触部分は、特にシリコーンで形成されるとき、約1.0mm~約8.0mm、又は約2.0mm~約5.0mmの厚さを有する。一部の構成では、鼻パッドインサートは、快適性のため、より薄い断面の領域を有する。一部の構成では、鼻パッドインサートの少なくとも一部分が、鼻パッドインサートの当該部分の膨張を可能にするのに十分に小さい厚さを有してもよい。一部の構成では、鼻パッドインサートは、少なくとも約0.3mm厚未満の部分を有し得る。一部の構成では、鼻パッドインサートは、少なくとも約0.2mm厚未満の部分を有し得る。一部の構成では、鼻パッドインサートは、鼻パッドインサートの少なくとも一部分にわたり変化する厚さを含む。
マスクシール704は、鼻パッドインサート740と連結するパッド支持領域742を含み得る。パッド支持領域742は凹状又は非凹状であってよい。例示される構成では、パッド支持領域742は凹状で、適切な位置に鼻パッドインサート740の向きを決め、その位置を特定し及び/又はそれを固定する助けとなる。
鼻パッドインサート740は、任意の好適な方法でマスクシール704に固定され得る。例示される構成では、鼻パッドインサート740は、任意の好適な方法でパッド支持領域742に固定され得る。例えば、鼻パッドインサート740は、マスクシール、又はパッド支持領域742などのマスクシール704の一部分と一体成形され、オーバーモールドされ、接着され、まとめられ、又は機械的に結合され得る。
図78に関連して、マスクシール704及び鼻パッドインサート740は、マスク鼻シール704に対する鼻パッドインサート740の位置の手掛かりを提供する特徴を含み得る。例えば、例えば限定されないがパッド支持領域742の一部分に沿って、少なくとも1つのキーイング凹部744を提供することができる。例示される構成では、略三角形パターンに形成された3つの凹部744が提供される。例示される略三角形パターンは、パターンが概して少なくとも1つの鼻用開口724の上に置かれるように配置される。一部の構成では、少なくとも1つの鼻用開口724はパターン内の中心に位置決めされる。図77に関連して、鼻パッドインサート740は、凹部744と嵌め合う突起746を含み得る。一部の構成では、突起746はポストを含んでもよい。突起744は鼻パッドインサート740と一体形成されてもよく、又は別個に形成されて鼻パッドインサート740に取り付けられてもよい。任意の他の好適な嵌め合い又はキーイング機構を使用して、マスクシール704に対する鼻パッドインサート740の位置を特定することができる。
例示される構成では、凹部744は底が閉じており、従って鼻パッドインサート740は、いずれの開口も完全に密閉する必要はない。換言すれば、凹部が開口を含んでいた場合には、鼻パッドインサート740は漏出の可能性を低減するため、それらの開口を覆って密閉しなければならない。しかしながら一部の構成では、凹部744は開口を含み得る。一部のかかる構成では、鼻パッドインサート740は、マスクシール704の少なくとも一部分を鼻パッドインサート740と鼻パッドインサート740に対してマスクシール704の反対側にある部材との間に挟み込むことにより、適切な位置に固定され得る。例えば、反対側にある部材は突起744に固定されてもよい。いずれにしても、鼻パッドインサート740とマスクシール704との間の接合部は、好ましくは密閉される。より詳細には、鼻用開口724などの、任意の開口を取り囲む領域では、鼻パッドインサート740とマスクシール704との間の接合部は、好ましくは密閉される。
再び図78に関連して、鼻パッドインサート740は好ましくは、使用者の快適性を向上させるサイズ、形状及び構成である。例えば限定されないが、例示される鼻パッドインサート740は、付形された軸方向中心部分750を含み得る。付形された軸方向中心部分750は、横方向外側の縁部752の下側に凹状である。軸方向中心部分750を凹状となるように付形することにより、鼻パッドインサート740は、より良好に使用者のより敏感な中隔領域を受け支えるように適合される。一部の構成では、凹部領域の付形は、主に少なくとも1つの鼻用開口724より前方にある。一部の構成では、中心部分750は、少なくとも1つの開口より後方の部分と比較して、少なくとも1つの開口724より前方の部分により顕著な凹部を有する。一部の構成では、凹状の中心部分750は、その凹状領域で厚さが低下している。
一部の構成では、鼻パッドインサート740は取り外し可能又は交換可能であってもよい。一部の構成では、鼻パッドインサート740は交換可能で、単一の鼻用開口、一対の鼻用開口、一対より多い鼻用開口、単一又は複数の鼻プロング、単一又は複数の鼻ピロー又は任意の他の好適なインタフェース構成を含むようにマスクアセンブリ700を変更することができてもよい。一部の構成では、任意の特定の使用者に最も望ましい又は効果的な構成を決定するための試行実験が可能となるように、マスクベース、マスクシール及び複数の鼻パッドインサートを含むキットが提供され得る。一部の構成では、鼻パッドインサート740はマスクシール704を壊さなければ取り外せず、又は交換できないが、異なる鼻パッドインサート704(例えば、先述の文中に記載される構成のいずれか)を提供することで、多くの同じ下に置かれる構成部品を使用しながらも、インタフェースのスタイルを単純且つ容易に変えることができる。例えば、一部では快適性のためにプロングがなく且つピローがない構成が所望され得るが、プロングは、使用者の顔に対してマスクアセンブリ700の位置を適切に特定する能力を向上させ得る一方、ピローは、使用者の顔に対してマスクアセンブリ700を位置特定する能力と、同時に使用者の鼻孔を密閉する能力との両方をさらに向上させることができる。
図75に関連して、概して又は実質的に鼻用開口724を包囲する鼻接触部分754(これは鼻パッドインサート740を備える又は含むことができる)は、第2の平面HP2から第1の平面HP1まで後ろ向きに下方に傾斜している。一部の構成では、鼻接触平面SP1と平面HP1との間に角度γが画定される。一部の構成では、角度γは約5度~約50度である。一部の構成では、角度γは約15度~約40度である。一つの構成では、角度γは約30度である。一部の構成では、鼻用開口を概して又は実質的に包囲する鼻接触部分を後部平面と略垂直にするか、使用時に略水平にするか、又は図75に示される方向と反対方向に傾けることが可能である。
第2の傾斜平面SP2は、第1の傾斜平面SP1と略平行に延在する。一部の構成では、第2の傾斜平面SP2と第1の傾斜平面SP1とは約10mm~約30mmの距離だけ離れている。一部の構成では、第2の傾斜平面SP2と第1の傾斜平面SP1とは約15mm~約25mmの距離だけ離れている。一部の構成では、第2の傾斜平面SP2と第1の傾斜平面SP1とは約21mmだけ離れている。このようにして、パドル726の垂直方向及び水平方向の延在範囲を決定することができ、特定の顔幾何形状に適切なサイズのパドルを得ることができる。
マスクアセンブリ700の例示されるマスクシール704は、かなり複雑な範囲及び構成の厚さを含む。厚さは、例示されるマスクシール704の異なる領域における異なる特性を利用するように変化が付けられる。例えば、図80及び図82に関連して、マスクシール704は、肉厚化部分721に略対応する連結領域760を示す。連結領域760は、マスクベース702を受け入れる開口を略包囲する。連結領域760は、一部の構成では、シール部材704の最も厚い部分であってよい。連結領域760はマスクシール704をマスクベース702とつなぎ合わせる。従って、連結領域760は好ましくは十分な厚さを有することで、連結に十分な硬さを提供し、且つ耐久性に十分な厚さを提供する。一部の構成では、連結領域の厚さは約2mm~約5mmである。例示される構成では、厚さは約3~約3.5mmである。
使用中のマスクシール704の顔接触領域におけるしわの発生を低減するため、マスクシール704の顔接触部分に略隣接する外周部分762はかなり硬くなければならないことが分かっている。図81及び図82に関連して、例示される下側外周部分762は、マスクシール704の後ろ側で略垂直に延在する部分に沿って延在し、マスクシール704の後ろ側の下部で僅かに内側に回り込んでいる。加えて、下側外周部分762は、マスクシールの後ろに向く側からマスクシール704の横に向く側の少なくとも一部分に回り込んでいる。一部の構成では、外周部分の厚さは約1.0mm~約1.5mmであってよい。例示される構成では、外周部分762は連結領域760の厚さ未満の厚さを有し、好ましくは約1.25mmの厚さを有する。上側外周部分763は下側周囲部分762と離れていてもよく、且つ異なる厚さを有してもよい。一部の構成では、上側外周部分763は下側外周部分762より小さい厚さを有する。一部の構成では、上側外周部分763は約0.5mm~約1.25mmの厚さを有し得る。例示される構成では、上側外周部分763は約0.8mmの厚さを有し得る。
図81に関連して、例示されるマスクシール704は突出部分764も有し、これらは概して、尖端738を含め、突起736に対応するものである。突出部分764は、上記に考察したとおり、同じ厚さであってもよく、又は周囲の部分より厚くても、若しくは薄くてもよい。例示される構成では、突出部分764は外周部分762より小さい厚さを有する。一部の構成では、突出部分は約0.2mm~約1.5mmの厚さを有する。例示される構成では、突出部分は約0.7mmの厚さを有する。
図81に関連して、例示されるマスクシール704はまた、口領域766も含む。口領域766は、例示されるマスクシール704では、口用開口722の少なくとも一部分に沿って延在する。例示される構成では、口領域766は、口用開口722の少なくとも下側部分に沿って延在する。例示される構成では、口領域766は、少なくとも口用開口722の側部及び下部に沿って延在する。口領域766は、顔と接触するより柔軟な領域を提供する。従って、口領域766はより薄い断面を有し得る。例えば、一部の構成では、口領域766は外周部分762の厚さ未満の厚さを有し、一部の構成では、約0.2mm~約1.0mmの厚さを有する。例示される構成では、口領域の厚さは約0.5mmである。
図80及び図81に関連して、鼻領域768はマスクシール704の後部から前部に向かって回り込んでいてもよい。鼻領域768は鼻パッドインサート740を備えるか、又はその下に置かれ得る。しかしながら好ましくは、鼻領域768は鼻パッドインサート740の下に置かれ、パッド支持領域742を備える。鼻の下側部分を優しく当接密閉するのが望ましいことを所与として、鼻領域768は、例示される構成では、かなり小さい厚さを有する。一部の構成では、鼻領域768はマスクシール704のなかで最も小さい厚さを有する。例示される構成では、鼻領域768は口領域766より小さい厚さを有する。一部の構成では、鼻領域768の厚さは約0.1mm~約0.5mmである。一部の構成では、鼻領域768の厚さは約0.3mmである。
引き続き図80~図82に関連して、鼻領域768と外周部分762との間、鼻領域768と連結領域760との間、鼻領域768と口領域766との間、口領域766と外周部分764との間、口領域766と連結領域760との間、外周部分764と連結領域760との間などに、移行厚さを有する移行部分770が画定され得る。例示される構成では、突出部分764は移行部分770に略取り囲まれている。他の構成もまた可能である。
図81及び図83~図88に関連して、図81に示されるマスクシール704に沿った様々な断面が提供される。これらの断面は、図80~図82に例示されるマスクシール704内に現れる様々な移行部を示す助けとなる。
図87及び図88に関連して、断面で示されるとおりのパドル。そこに例示されるとおり、パドル726は相対的に薄い断面を有し得る。一部の構成では、パドルは、少なくとも一部において、典型的な治療圧力(例えば、約3~約25cm H2O)で制御された膨張又は制御された拡張を可能にするのに十分な薄さの断面を備えて形成されてもよい。一部の構成では、かかる厚さは、用いられる材料に応じて約0.3mm未満又は約0.2mm未満であってもよい。一部の構成では、パドル726のうち顔に接触し得る部分は、略一定の断面を含む。
一つの構成では、パドルは、横方向外側部分と横方向内側部分とをつなぎ合わせるリッジに沿って肉厚化した断面を有する。従って、パドル726は、内側部分と外側部分とをつなぎ合わせる曲がった部分でより厚い断面を有し得る。一部の構成では、この肉厚化領域は約0.3mm~約1.25mmであってもよい。一部の構成では、この肉厚化領域は約0.5mm又は約1.0mmである。この肉厚化領域は、横方向内側部分を所望の程度に薄くすることを可能にしながらも、使用中にパドル726の顔接触部分にしわ又は折り目が生じる可能性を低減する助けとなる。
一部の構成では、パドル726は横方向外側部分により厚い断面を含み、横方向内側部分により薄い断面を含む。図87に示すとおり、パドル726の横方向外側壁772は、同じ高さにあるパドル726の残りの部分と比べてより厚い断面を含み得る。パドル726のこのより厚い部分が補強を提供することでパドル726の形状が支持され、使用時にパドル726の形状が制御される。他の技法もまた用いることができる;しかしながら、より厚い断面を使用することは、構造性能的に十分な補強を備える十分に柔軟な構造を提供するという利点がある。
ここで図89~図109に関連して、マスクアセンブリ700と共に、又は本明細書に記載されるマスクアセンブリのいずれかと共に使用することのできるいくつかのスタイルのヘッドギアを説明する。図71に関連して、マスクアセンブリ700は好ましくは、ヘッドギアを使用して、マスクアセンブリ700に対して上向き、後ろ向き、又は上向きと後ろ向きとの組み合わせの力ベクトルが発生するように固定される。マスクアセンブリ700は鼻の下に係留するように構成されるため、及び鼻の底部に対する当接するマスクアセンブリ700の上向きの圧力に伴いパドル726の密閉力が増加するため、このマスクアセンブリは、マスクアセンブリ700に最も適した力ベクトルがかなり独特である。それでもなお、一部の構成では、マスクアセンブリは、他の方向の力ベクトルを発生するヘッドギアと共に使用することができる。
図89~図109に関連して明らかなとおり、これらの図に表される例示されるヘッドギアは、有利には、Tピース又は関連するマスクアセンブリ700から鼻梁の上にかけて(又はそれより高く)上方に延在する任意の他の構成部品を特徴としない。一部の構成では、マスクアセンブリもヘッドギアアセンブリも、垂直方向に眼より高い、又は水平方向に眼の外縁の間にある使用者の顔には接触しない。マスクアセンブリ700の構造上、このマスクアセンブリと共に使用されるヘッドギアは使用の顔領域と全く接触する必要がない。一部の構成では、ヘッドギアは使用者の顔に接続しない。一部の構成では、マスクアセンブリ700は、鼻梁より下側の位置において顔面上に係留される。一部の構成では、マスクアセンブリ700は、鼻の最下面より下側の位置において顔面上に係留される。一部の構成では、マスクアセンブリ700は、鼻の最下面より下側の位置において顔面上に係留されるのみであり、且つヘッドギアアセンブリは使用者の顔に接触しない。一部の構成では、マスクアセンブリ700は下顎骨上及び上顎骨に沿った鼻の上に係留され、且つヘッドギアは、垂直方向に鼻の最下部より高い領域では顔に接触しない。一部の構成では、マスクアセンブリ700は、下顎骨上及び上顎骨に沿った鼻の上に係留され、且つヘッドギアは、垂直方向に耳の底部より高い領域では顔に接触しない。一部の構成では、マスクアセンブリ700は、下顎骨上及び上顎骨に沿った鼻の上に係留され、且つヘッドギアは、垂直方向に眼より高い領域では顔に接触しない。一部の構成では、マスクアセンブリ700は、垂直方向に鼻より下側の少なくとも2つの位置に係留され、且つヘッドギアは、垂直方向にマスクアセンブリ700のすぐ上側に画定される領域では顔に接触しない。一部の構成では、マスクアセンブリ700は、使用者の顔特徴による上方への移動に対抗して固定され、ヘッドギアアセンブリがマスクアセンブリ700に上方に向く力を加える。一部のかかる構成では、この顔特徴は鼻の下部である。一部のかかる構成では、鼻の下部は鼻中隔を含む。
初めに図89~図91に関連して、マスクアセンブリ700に連結されているヘッドギアアセンブリ800が示される。ヘッドギアアセンブリ800は、概して後部ストラップ802と上部ストラップ804とを含む。後部ストラップ802及び/又は上部ストラップ804は、長さを調節可能であってよい。一部の構成では、後部ストラップ802及び上部ストラップ804の少なくとも一方は、長さが固定されていてもよい。例示される構成では、後部ストラップ802は、使用者の耳の略下側の位置で後頭部の周りにかけ渡すように構成され、一方、上部ストラップは、耳の略前方の位置で頭頂部を越えてかけ渡すように構成される。他の位置及び構成が可能である。さらに、例示される構成では、後部ストラップ802及び上部ストラップ804は一体形成され得る。一部の構成では、ストラップ802、804は別個に形成され、バックル又は別の他の好適な構成を使用して共に取り付けられる。
引き続き図89~図91に関連して、拡張部806が、後部ストラップ802及び上部ストラップ804の一方又は両方に連結する。例示される構成では、2つのアーム808が拡張部806をマスクアセンブリ700に連結する。一部の構成では、2つのアーム808は単一のストラップで形成される。一部の構成では、2つのアーム808は2つのストラップで形成される。有利には、2つのアーム808は、例示される構成では、長さを個別に調節することができ、そのため、好ましくは2つの別個のストラップで形成される。それでもなお、アーム808の各々を個別に調節可能としながら、両方のアーム808を単一の構成部品で形成することは可能である。アーム808が個別に調節可能であることにより、例示されるヘッドギアアセンブリ800はマスクの角度を調節することが可能である。換言すれば、アーム808を使用して、マスクアセンブリ700を所望の角度方向に傾けることができる。加えて、アーム808は個別に調節可能であるため、シール704の下側部分の装着性をシール704の上側部分の装着性とは別に調節することができる。
ここで図92~図94に関連して、これらの図に別のヘッドギアアセンブリ810が例示される。例示されるヘッドギアアセンブリ810は、上側部分812と下側部分814とを含む。例示される上側部分812は下側部分814と分離しているが、一部の構成では、上側部分812と下側部分814とは共につなぎ合わせることができる。例えば、一部の構成では、ストラップが上側部分812と下側部分814とを連結して単一の一体化したヘッドギアアセンブリ810を形成する。一部のかかる構成では、相互に連結するストラップは、それらが耳の後方又は耳のすぐ前方に位置決めされ得るように位置決めすることができる。他の構成も可能である。
例示される構成では、下側部分814は、任意の好適な方法でマスクアセンブリ700に連結する部材816を含む。一部の構成では、部材816は、フック、スナップ又は他の好適な種類のコネクタで連結する。一部の構成では、部材816はループを通って延在し、折り返し重ねて固定される。例示される構成では、部材816は単一の構成部品である。一部の構成では、部材816は複数の構成部品を含み得る。好ましくは、部材816は、使用者の耳の略下側にある位置で後頭部の周りにかけ渡される。
さらに図92~図94に関連して、上側部分812は、概して、部材820と上部部材822とを含む。部材820及び/又は上部部材822は、長さを調節可能であってよい。一部の構成では、部材820及び上部部材822の少なくとも一方は、長さが固定されていてもよい。例示される構成では、部材820は、使用者の耳の少なくとも一部分と略交わり得る位置で後頭部の周りにかけ渡すように構成され、一方、上部部材822は、耳に垂直にかかるように同様に略交わり得る位置で頭頂部を越えてかけ渡すように構成される。例示されるとおり、部材820は、耳を回り込んで通り越えるように構成される部分824を有し得る。他の位置及び構成が可能である。さらに、例示される構成では、部材820及び上部部材822は一体形成されてもよく、且つ使用者の耳の略上方の位置で合流してもよい。一部の構成では、部材820、822は別個に形成され、バックル又は別の他の好適な構成を使用して共に取り付けられる。
ヘッドギアアセンブリ810は、上側部分812及び下側部分814の個別の調節を可能にする。上記に記載したとおり、上側部分812及び下側部分814が個別に調節可能であることにより、例示されるヘッドギアアセンブリ810は、図93に示されるとおり、マスクアセンブリ700の角度を調節することが可能である。換言すれば、個別に調節可能な上側部分812及び下側部分814を使用して、マスクアセンブリ700を所望の角度方向に傾けることができる。加えて、上側部分812及び下側部分814は個別に調節可能であるため、シール704の下側部分の装着性をシール704の上側部分の装着性とは別に調節することができる。
ここで図95~図97に関連して、さらなるヘッドギアアセンブリ830が例示される。マスクアセンブリ700に連結されているヘッドギアアセンブリ830が図示される。例示されるヘッドギアアセンブリ830は、上側部分832と下側部分834とを含む。図97に示すとおり、少なくとも1つの相互連結部材836が上側部分832を下側部分834に連結する。少なくとも1つの相互連結部材836は、例示される構成では、使用者の後頭部の領域で上側部分832を下側部分834につなぎ合わせるバックパネルを含む。例示される相互連結部材836は略砂時計形状である。他の構成も可能である。
例示される構成では、下側部分834は、任意の好適な方法でマスクアセンブリ700に連結する少なくとも1つの部材838を含む。一部の構成では、少なくとも1つの部材838は、フック、スナップ又は他の好適な種類のコネクタで連結する。一部の構成では、少なくとも1つの部材838はループを通って延在し、折り返し重ねて固定される。例示される構成では、少なくとも1つの部材838は単一の構成部品である。一部の構成では、少なくとも1つの部材838は複数の構成部品を含み得る。例えば、2つの構成部品が相互連結部材836から前方に延在してもよい。好ましくは、少なくとも1つの部材838は、使用者の耳の略下側にある位置でマスクアセンブリ700から後頭部に向かって延在する。
さらに図95~図97に関連して、上側部分832は、概して、少なくとも1つの部材840と上部部材842とを含む。少なくとも1つの部材840及び/又は上部部材842は、長さを調節可能であってよい。一部の構成では、少なくとも1つの部材840及び上部部材842の少なくとも一方は、長さが固定されていてもよい。例示される構成では、少なくとも1つの部材840は、概してマスクアセンブリ700から使用者の耳の垂直方向上側の位置に沿って後頭部まで真っ直ぐ通り得る位置で後頭部の周りにかけ渡すように構成され、一方、上部部材842は、耳に垂直にかかるように略交わり得る位置で頭頂部を越えてかけ渡すように構成される。他の位置及び構成が可能である。さらに、例示される構成では、部材840及び上部部材842は一体形成されてもよく、且つ使用者の耳の略上方の位置で合流してもよい。一部の構成では、部材840、842は別個に形成され、バックル又は別の他の好適な構成を使用して共に取り付けられる。
ヘッドギアアセンブリ830は、上側部分832及び下側部分834の個別の調節を可能にする。上記に記載したとおり、上側部分832及び下側部分834が個別に調節可能にあることにより、例示されるヘッドギアアセンブリ830はマスクアセンブリ700の角度を調節することが可能である。換言すれば、個別に調節可能な上側部分832及び下側部分834を使用して、マスクアセンブリ700を所望の角度方向に傾けることができる。加えて、上側部分832及び下側部分834は個別に調節可能であるため、シール704の下側部分の装着性をシール704の上側部分の装着性とは別に調節することができる。
ここで図98~図100に関連して、さらなるヘッドギアアセンブリ850が例示される。マスクアセンブリ700に連結されているヘッドギアアセンブリ850が図示される。例示されるヘッドギアアセンブリ850は、上側部分852と下側部分854とを含む。一般に、図98~図100のヘッドギアアセンブリ850は、相互連結部材を有しないことを除き、図95~図97のヘッドギア830と同様である。従って、図95~図97のヘッドギア830に関する上記の詳細が、概して図99~図100のヘッドギア830に等しく適用される。
図98~図100の例示される構成では、ヘッドギアアセンブリ850の上側部分852及び下側部分854が、単一の一体化した構成部品で形成され得る。一部の構成では、第1の部材856及び第2の部材858は、単一の構成部品で形成され得る。例えば、単一の材料ループがマスク上のループなどを通って延在することにより、第1の部材856及び第2の部材858の両方を画定してもよい。一部の構成では、別個の上部部材859が、第1の部材856及び第2の部材858を画定する単一の構成部品と分離されていてもよく、又は単一の構成部品の一部として一体形成されてもよい。任意の好適な構成部品を使用することができる。
ここで図101~図103に関連して、さらなるヘッドギアアセンブリ860が例示される。マスクアセンブリ700に連結されているヘッドギアアセンブリ860が図示される。図98~図100と図101~図103との比較から明らかになるとおり、図101~図103に示されるヘッドギアアセンブリ860は、ヘッドギアアセンブリ860が上部部材を欠く上側部分862を含むことを除き、図98~図100に示されるヘッドギアアセンブリ850と略同じである。そのため、ヘッドギアアセンブリ860はまた、図98~図100に示されるヘッドギアアセンブリ850の下側部分854と略同じである下側部分864も含む。
ここで図104~図106に関連して、さらなるヘッドギアアセンブリ870が例示される。マスクアセンブリ700に連結されているヘッドギアアセンブリ860が図示される。図101~図103と図104~図106との比較から明らかになるとおり、図104~図106に示されるヘッドギアアセンブリ870は、ヘッドギアアセンブリ870が下側部分を欠くことを除き、図101~図103に示されるヘッドギアアセンブリ860と(上側部分862を有することを含めて)略同じである。
ここで図107~図109に関連して、さらなるヘッドギアアセンブリ880が例示される。マスクアセンブリ700に連結されているヘッドギアアセンブリ860が図示される。図104~図106に示されるヘッドギア870と同様に、図107~図109に示されるヘッドギア880は上側部分882を含み、下側部分を含まない。上側部分882は、例示される構成では、マスクアセンブリ700から上方及び後方に延在する部材884を含む。部材884は、耳に適合する特徴部886を備えることができる。耳に適合する特徴部886は、使用者の耳の前から使用者の耳の後ろに力を伝達するように適合される。従って、耳に適合する特徴部886により、使用者の頭部上で、耳に適合する特徴部886がなければ部材884が使用者の耳と交差し得るような低さに部材884が位置することが可能となる。
図108及び図109に関連して、例示される構成では、部材884は、使用者の耳のすぐ後方の位置で上側部材886と下側部材888とに二股に分かれる。例示される構成では、二股に分かれる位置は、垂直方向に使用者の耳より高くなるように適合される。部材884が少なくとも上側部材886と下側部材888とに二股に分かれることにより、安定性が向上し得る。限定はされないが、少なくとも2つの部材886、888の代わりに幅広のストラップを使用すること、上側部材886と下側部材888との間にパネルを組み込むことなどを含め、他の構成もまた用いることができる。加えて、図108及び図109に例示される構成では、ヘッドギアとマスクアセンブリとの間の連結点は、図104~図106に例示される構成より低い。
本開示を通して様々なヘッドギアアセンブリを記載した。ヘッドギアアセンブリの各々において、1つ以上のストラップ、部材、構成部品などを、同じヘッドギアアセンブリ内の他のものと比べてより高可撓性であるように形成することが可能である。例えば限定されないが、一部の構成では、ヘッドギアアセンブリのうち後頭部の周りに延在する部分を、ヘッドギアアセンブリのうち耳の前方に延在する部分より高弾性又は高可撓性にすることができる。一部の構成では、ヘッドギアアセンブリのうち耳の前方に延在する部分を、ヘッドギアアセンブリのうち耳の後方に延在する部分より高弾性又は高可撓性にすることができる。一部の構成では、ヘッドギアアセンブリのより高弾性、高可撓性、又は高延伸性の部分が、より低弾性、低可撓性又は低延伸性の部分と重なる部分を有する。
ここで図110に関連して、さらなるマスクアセンブリ900が例示される。例示されるマスクアセンブリ900は口鼻併用マスクであり、使用者の鼻の下側(及び/又は鼻の中)で、鼻の横に延在する顔の一部分に沿って、並びに使用者の口の周囲で密閉するように設計される。一部の構成では、マスクアセンブリ900は、鼻尖の上に及ぶように設計することができ、かかる構成では、鼻の下側以外の領域において、鼻の中で、鼻の横に延在する顔の一部分に沿って、且つ使用者の口の周囲で密閉し得る。
図71に示されるマスクアセンブリ700と同様に、マスクアセンブリ900は有利には、使用者の鼻梁と接触する必要がない。例示される構成では、マスクアセンブリ900は使用者の鼻梁の上にかけて延在しない。より詳細には、例示されるマスクアセンブリ900は使用者の鼻梁に接触しない。さらにより詳細には、例示されるアセンブリ900は使用者の鼻梁の前方に向く部分に接触しない。一部の構成では、アセンブリ900は、使用者の眼の下縁に沿って延在する略水平面LEより垂直方向に高い領域において顔と接触しない。
一部の構成では、マスクアセンブリ900は使用者の鼻尖の上にかけて延在しない。一部の構成では、マスクアセンブリ900は好ましくは、使用者の鼻尖を覆い隠さない。一部の構成では、使用者の鼻尖がマスクアセンブリ900の隣接部分にわたり延在する。一部の構成では、マスクアセンブリ900は鼻尖の上に及ぶように設計され得る。一部の構成では、マスクアセンブリ900は鼻尖を覆い隠すように設計され得る。
マスクアセンブリ900は好ましくは、小鼻又は鼻翼(外鼻孔の周りの丸みのある隆起を形成するように広がっている)の周りに延在し、それらを覆って密閉するように適合される。マスクアセンブリ900は、ときに鼻柱と呼ばれる鼻中隔の肉厚の外側端部を含め、外鼻孔に至る開口を画定する表面内及びその周りを密閉するように適合され得る。一部の構成では、マスクアセンブリ900は、上方に延在して、使用者の鼻の左右の背側側壁の少なくとも一部分に沿って密閉するように適合される。一部の構成では、マスクアセンブリ900は、左右の背側側壁の少なくとも一部分に沿って上方に延在するが、使用者の鼻梁の領域まで上方に延在することはないように適合される。図71に示されるマスクアセンブリ700と比較して、図110に示されるマスクアセンブリ900は、所望に応じて鼻気道の中まで延在し、鼻気道に沿って密閉してもよい。
例示されるとおり、マスクアセンブリ900は、マスクベース902、マスクベース902に取り付けられたマスクシール904を含み、図示されないが、マスクベース902にコネクタを取り付けることができる。コネクタは、限定はされないが、本願の中で他の部分において考察される任意の方法を含めた、任意の好適な方法でベース902に連結することができる。例えば、限定されないが、コネクタがベース902に対して旋回、枢動及び回転することができるようにして、コネクタをベース902に連結することができる。一部の構成では、コネクタはボールジョイントの部分をマスクベース902(例えば限定されないが他方の部分を画定する)と共に画定し得る。ボールジョイントは、任意の好適な構成を有することができ、本願の中で他の部分において考察されるボールソケット形装置の記載に従い構成され得る。コネクタは、加圧呼吸ガス供給用の供給導管などとの連結を促進する。任意の好適なコネクタを使用することができる。
図110に関連して、マスクベース902を詳細に記載する。マスクベース902は、一般にマスクアセンブリ900に対する、より具体的にはマスクシール904に対するある種の支持構造を提供する。マスクベース902は、任意の好適な材料で形成することができる。一部の構成では、マスクベース902はかなり硬質の材料で形成される。一部の構成では、マスクベース902は、ポリカーボネート材料などのプラスチック材料で形成される。
図110に関連して、例示される構成では、マスクベース902は、一対のウィング914と共に中心部分912から後方に湾曲する。例示されるとおり、ウィング914はマスクベース902の中心部分912に対して後方及び上方に延在し得る。従って、例示されるウィング914は上方に突き出た部分916を備える。一般にマスクベース902、及び例としてウィング914の上方に突き出た部分916は、マスクシール904の横部分に対する補強を提供し得る。
中心部分912は、ウィング914の上方に突き出た部分916の高さより低い垂直方向の広がりを有し得る。従って、マスクベース902は前から見ると、略M字型の外観を有する縁部を含む。加えて、マスクベース902の中心範囲の上縁は、前から見ると、略U字型の外観を含む。一対のウィング914の間に凹部を有する中心部分912を組み込むことにより、マスクベース902は、使用者の鼻に十分な離間距離を提供しながらも、マスクシール904に対して所望の支持を提供することができる。
マスクベース902とマスクシール904とは、任意の好適な方法で連結され得る。図112に関連して、マスクベース902は略囲みフランジ920を含み、マスクシール904をマスクベース902のフランジ920の上にオーバーモールドすることができる。任意の他の好適な技法を用いてマスクシール904とマスクベース902との間の接合部を形成することができる。一部の構成では、マスクシール904は、マスクベース902から取り外し可能であるように形成されてもよい。例えば限定されないが、マスクシール904をマスクベース902に取り外し可能に連結することができるように、マスクシール904が溝を備えてもよく、且つマスクベース902がフランジ、又は任意の他の協働構造を備えてもよい。
図112に示すとおり、例示されるマスクシール904は、マスクベース902との連接部に隣接して、断面がより厚い肉厚化領域921を含む。かかる構成は、マスクシール904の耐用年数を向上させるとともに、マスクシール904とマスクベース902との間の連結の完全性を向上させる。一部の構成では、マスクシール904の最も厚い領域が、この肉厚化領域921である。
マスクシール904は、使用者の顔を当接密閉するように設計される。マスクシール904は好ましくは、例えば限定されないがシリコーンなどの、柔軟な材料で形成される。一部の構成では、使用者の快適性が向上するように、マスクシール904の少なくとも一部分をテクスチャ加工することができる。例えば、一部の構成では、例示されるマスクシール904の形成に用いられるモールドの少なくとも一部分がビード吹き付けされることにより、マスクシール904のうち少なくとも使用者の皮膚と接触し得る領域に表面テクスチャが提供され得る。マスクシール904の1つ以上の表面をテクスチャ加工する他の技法が用いられてもよい。
図110に示すとおり、例示されるマスクシール904は口鼻マスクシールを含み、従って、少なくとも1つの口用開口922と少なくとも1つの鼻用開口924とを含む。一部の構成では、マスクシール904は口鼻併用開口を含み得る。例示される実施形態などの一部の構成では、マスクシール904は2つ以上の鼻用開口924を含み得る。例示される構成では、マスクシール904は、ピロー、プロングなどの上部構造内に画定される鼻用開口924を含む。例示される構成はプロング927を含む。一部の構成では、単一のプロング(又は他の上部構造)を使用することができる。他の適用では、2つ以上のプロング(又は上部構造)を使用することができる。その1つ又は複数のプロング(又は他の上部構造)により、マスクシール904を使用者の顔に対して所望のとおりにより容易に位置決めすることが可能となる。加えて、上部構造、例えば限定されないがプロングなどの使用者により、マスクはより容易に密閉され(例えば、鼻孔の下又は顔に沿って密閉するのではなく、上部構造が鼻孔の中を密閉することができる)、マスクシール904において少なくとも1つの開口924が使用者の顔特徴によって部分的又は完全に塞がれることが少なくなる。
任意の好適なプロング927構成を用いることができる。例示される構成では、プロング927は、球状の基部929から小さい開口924へと上向きに略テーパ状になっている。開口924は略楕円形又は卵形であってよい。加えて、プロング927の下から上までの移行は、多くの異なる鼻開口の幾何形状に対して密閉の向上を提供する形状であってよい。そのため、各プロング927が略垂直中心面(例えば、使用者の内側矢状(saggital)面に対応する平面)に向かって傾けられ得る。加えて、プロング927は、図114に最も分かり易く示されるとおり、外側寸法が一様でない形で増加する形状を有し得る。換言すれば、基部929は、左右と比べて前から後ろにかけて一層サイズが大きくなり得る。加えて、基部929は、前方と比べて後方により大きく寸法が増加し得る。他の構成も可能である。
少なくとも1つの口用開口922及び少なくとも1つの鼻用開口924は好ましくは、マスクアセンブリ900内に画定される単一のチャンバ925と連通している。例示されるマスクアセンブリ900のチャンバ925は、少なくとも部分的にマスクベース902及びマスクシール904によって画定される。少なくとも1つの口用開口922は、コネクタを受け入れる開口928の実質的に反対側にある。少なくとも1つの鼻用開口924は、垂直方向において少なくとも1つの口用開口922より上側にあり得る。少なくとも1つの鼻用開口924は、コネクタ用の開口928と少なくとも1つの口用開口922との間に位置決めされ得る。
再び図110に関連して、マスクシール904は好ましくは、上面930より上側に上方に延在する一対のパドル926を含む。パドル926は、鼻孔と並んで、且つ一部の構成では鼻孔より上側に、上方に延在するように構成される。好ましくは、図111に示されるとおり、上面930は、パドル926の内側部分933の間にハンモック状に吊り下がる。かかる構成では、上面930に加わる下向きの圧力により、パドル926が最上部で内側に枢動し得る。従って、使用者の鼻と上面930との間の力が増加すると、使用者の鼻の側部とパドル926との間に加わる密閉力が増加し得る。枢動動作がどの程度の力の増加をもたらすかは、構造によって変えることができる。換言すれば、より長いパドル926は、より短いパドル926と比較して大きい枢動程度を呈する。他方で、より短いパドル926は、より長いパドル926と比較して鼻の幾何形状のより大きいばらつきに適合することが可能であり、顔面への装着がより容易なマスクアセンブリ900となる。
パドル926及び上面930は谷部932を画定する。谷部932は、使用者の鼻尖を受け入れるように適合され得る。谷部932は、例示される構成では、上向きに開放している。換言すれば、例示されるマスクアセンブリ900のうち鼻を受け入れる領域は上側が囲い込まれておらず、鼻の下に置かれるように構成される。
例示される構成では、図112に示されるとおり、プロング927は、少なくとも1つの鼻用開口924の垂直方向の位置決めが肉厚化領域921の最も上側の延在範囲より低くなるように位置決めされる。一部の構成では、プロング927は、少なくとも1つの鼻用開口924の垂直方向の位置決めが肉厚化領域921の最も上側の延在範囲より高いか、又はそれと同じ高さとなるように位置決めされ得る。
例示されるとおり、マスクシール904はプロング927の前方でテーパ状であり、プロング927に向かって下方にカールして上面930及び谷部932を画定している。このテーパ及びカールが撓み領域935を形成する。撓み領域935は、マスクシール904を鼻部において少なくとも撓み領域935で膨張させ得るのに十分な薄さ及び/又は弾性を有し得る。一部の構成では、内側部分933の少なくとも一部分及び撓み領域935の両方が、使用者の鼻部の周りで膨張させるのに十分な薄さである。一部の構成では、材料は約0.3mm厚未満、より好ましくは約0.2mm厚未満である。撓み領域935はまた、マスクシール904が鼻部において少なくとも撓み領域935でその形状を保持できるように十分により厚いもの及び/又はより硬いものであってよい。一部の構成では、内側部分933の少なくとも一部分及び撓み領域935の両方が、形状を保持するのに十分な厚さである。一部の構成では、材料は約0.7mm厚未満、より好ましくは約0.5mm厚未満である。
上記に記載されるマスクシール700と同様に、及び図112~図120に示すとおり、マスクアセンブリ900の例示されるマスクシール904は、かなり複雑な範囲及び構成の厚さを含む。厚さは、例示されるマスクシール904の異なる領域における異なる特性を利用するように変化が付けられる。例えば、図112に関連して、マスクシール904は、肉厚化部分921に略対応する連結領域960を示す。連結領域960は、マスクベース902を受け入れる開口を略包囲する。連結領域960は、一部の構成では、シール部材904の最も厚い部分であってよい。連結領域960はマスクシール904をマスクベース902につなぎ合わせる。従って、連結領域960は好ましくは十分な厚さを有することで、連結に十分な硬さを提供し、且つ耐久性に十分な厚さを提供する。一部の構成では、連結領域の厚さは約2mm~約4mmである。例示される構成では、厚さは約3.3mm~約3.5mmである。
主に図120に関連して、マスクシール904の顔接触部分に略隣接する外周部分962は、かなり硬質であってよい。外周部分962は、口用開口922を取り囲む顔接触部分の下側の角から上方にパドル926の始点のすぐ下側の領域まで延在し得る。従って、外周部分962は、マスクシール904の後ろ側で略垂直方向に延在する部分に沿って延在し、マスクシール904の後ろ側の下部で僅かに内側に回り込んでいる。しかしながら外周部分962はマスクの下側部分の最終的な中心部分の手前で終端し、この中心部分は、使用者の種々の顔幾何形状によって作り出される様々な輪郭に適合するようにより柔軟である。外周部分962はまた、マスクシールの後ろに向く側からマスクシール904の横に向く側の少なくとも一部分に回り込んでいてもよい。一部の構成では、外周部分の厚さは約0.8mm~約1.5mmであってもよい。例示される構成では、外周部分962は連結領域960の厚さ未満の厚さを有し、好ましくは約1.2mm~約1.3mmの厚さを有する。
マスクシール904はまた、口領域966も含む。例示されるマスクシール904における口領域966は、口用開口922の少なくとも一部分に沿って延在する。例示される構成では、口領域966は、少なくとも口用開口922の下側部分に沿って延在する。例示される構成では、口領域966は、少なくとも口用開口922の側部及び下部に沿って延在する。口領域966は顔と接触するより柔軟な領域を提供する。従って、口領域966はより薄い断面を有し得る。例えば、一部の構成では、口領域966は外周部分962の厚さ未満の厚さを有し、一部の構成では、約0.3mm~約1.0mmの厚さを有する。例示される構成では、口領域の厚さは約0.5mmである。
鼻プロング927はインタフェース領域967内に形成されてもよい。インタフェース領域967は好ましくは、例えば一晩中使用する使用者にとって快適であるのに十分な柔軟性及び変形可能性を保持しながらも、使用者の鼻孔の中に位置するのに十分な硬さを有する。例示される構成では、インタフェース領域はプロング927並びに直ちに隣接する領域の両方を含む。一部の構成では、インタフェース領域967の厚さは約1.5mm~約0.5mmである。例示される構成では、厚さは約0.8mm~約0.5mmである。
図120に関連して、パドル領域968はパドル926の上側部分にかけて回り込み得る。パドル領域968は谷部932を略取り囲み得る。パドル領域926は、好ましくは極めて形状適合性が高く、そのため、約0.3mm~約1.2mmの厚さを有する。例示される構成では、パドル領域968は約0.5mmの厚さを有する。
パドル領域968とプロング927との間に可撓域969がある。可撓域969は好ましくは、パドル926の内側部分933に沿って形成される。一部の構成では、可撓域969はプロング927のそれぞれの横側部にある。一部の構成では、可撓域969はプロング927の両横側部に延在し、プロング927の略前方の位置に回り込む。可撓域969は、パドル926内に画定されるポケットの上に置かれ、これらのポケットはチャンバ925と流体連通している。そのため、チャンバ925内からの圧力により可撓域969がいくらか膨張し、又は可撓域969の膨隆が生じるため、使用者の鼻との密閉が向上し得る。可撓域は、好ましくは約0.5mm未満の厚さを有する。一部の構成では、膨張域969は約0.2mm~約0.7mmの厚さを有し得る。例示される構成では、膨張域969は約0.2mmの厚さを有する。
引き続き図120に関連して、上記に記載される領域の各々の間に、移行厚さを有する移行部分970が画定され得る。他の構成もまた可能である。
図113~図119に関連して、図110に示されるマスクシール904に沿った様々な断面が提供される。これらの断面は、マスクシール904の範囲内に現れる様々な移行を例示する助けとなる。
図114及び図115に関連して、断面で示されるとおりのパドル926。ここに例示されるとおり、パドル926は内側部分に相対的に薄い断面を有し得る一方、大幅に厚い外側部分を有し得る。厚い外側部分は構造及び形状を提供する助けとなり得る一方、内側部分は、典型的な治療圧力(例えば、約3cm H2O~約25cm H2O)で制御された膨張又は制御された拡張を可能にするのに十分な薄さを保持する。一部の構成では、パドル926のうち顔と接触し得る部分は略一定の断面を含む。例示される構成では、パドル926の上側部分において(図114を参照)、より厚い断面とより薄い断面との間の移行は、内側部分と外側部分との間に画定される半径の前に生じる。かかる構成により、使用者の顔幾何形状に対するパドル926の形状適合性が向上する。例示される構成では、パドル926の下側部分において(図115を参照)、より厚い断面とより薄い断面との間の移行は、使用者の顔と接触し得る部分に沿って生じ、これにより鼻と頬との間の窪みの変形に対するより高い制御を達成することができる。他の構成も可能である。
例示されるマスクシール904は、使用者の顔の2つの位置、すなわち鼻の下/中及び下唇の下側で係留するように設計される。一部の構成では、マスクシール904は、鼻の下側(又は外鼻孔の中)及び下唇と顎との間で係留するように構成される。一部の構成では、マスクは、いかなる係留点よりも高い位置で使用者の顔を当接密閉することにより、マスクアセンブリ900を通る空気流を遮断するように設計される。従って、例示されるマスクシール904の少なくとも一部の密閉部分は、垂直方向において係留点より高く位置決めされる。
マスクシール904は、異なるサイズ及び/又は幾何形状の顔での使用向けに異なるサイズを有し得る。一部の構成では、マスクシール904の異なる部分が、異なるサイズ及び/又は幾何形状の使用者に適合するサイズ及び構成とされ得る。例えば、マスクシール904の一部分が、異なる使用者向けに異なる程度まで上方に延在し得る。一部の構成では、全ての顔のサイズ及び幾何形状に対して、単一のサイズのマスクシール904が提供されてもよい。
一部の構成では、マスクシール904は、異なる材料及び/又は異なるショア硬さで形成される複数の構成部品を含む。例えば、一部の構成では、マスクシール904の一部の構成部品がシリコーンで形成されてもよく、一方、他の構成部品が、発泡材、ゲル、布又は他の好適に曲げ易い材料で形成される。しかしながら例示される構成では、マスクシール904は、例えば限定されないがシリコーンなどの、一様な材料で形成される。
特定の実施形態の点から本発明を説明したが、当業者に明らかな他の実施形態もまた、本発明の範囲内にある。従って、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な変更及び改良を加えることができる。例えば、様々な構成部品の位置を所望に応じて変えることができる。さらに、本発明の実施に全ての特徴、態様及び利点が必ず必要というわけではない。従って、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲によってのみ定義されるよう意図される。
[態様1]
陽圧呼吸療法の提供に用いられるインタフェースにおいて、前記インタフェースが、
マスクシールとマスクベースとを含むマスクアセンブリであって、全面的に使用者の顔の鼻の鼻梁より下側に位置決めされるように構成された、且つ前記使用者の前記鼻の鼻尖の露出をもたらすように構成されたマスクアセンブリ;
を含み、
前記マスクベースが、中心部分と、前記中心部分の後方に湾曲する一対のウィングとを含み、前記ウィングが前記中心部分より大きい垂直方向の広がりを有し、前記マスクベースの前記中心部分にコネクタ用の開口が形成され;
前記マスクシールが前記マスクベースに連結され、前記マスクシールが前記マスクベースに隣接して肉厚化領域を含み、前記マスクシールが、下側部分にある少なくとも1つの口用開口と、上側部分にある少なくとも1つの鼻用開口とを含み、前記少なくとも1つの口用開口が、前記コネクタ用の前記開口の反対側に位置決めされ、前記少なくとも1つの鼻用開口が、前記コネクタ用の前記開口と前記口用開口との間に前後方向に位置決めされ;
且つ、前記マスクシールが第1のパドルと第2のパドルとを含み、前記第1のパドルと前記第2のパドルとの間に上面が位置決めされ、それにより前記第1のパドルと前記上支持面と前記第2のパドルとによって上方に開放した谷部が画定され、前記少なくとも1つの鼻用開口の少なくとも一部分が、前記谷部の範囲内で前記上面に位置決めされ、前記第1のパドルが第1のポケットを含み、前記第2のパドルが第2のポケットを含み、前記第1及び第2のポケットが、前記マスクアセンブリ内に画定されるチャンバと流体連通している、インタフェース。
[態様2]
前記マスクシールが、前記使用者の前記鼻の下で、前記鼻に隣接する前記使用者の顔の一部分に沿って、且つ前記使用者の口の周りで密閉するように適合される、態様1に記載のインタフェース。
[態様3]
前記マスクアセンブリが、前記使用者の前記鼻の前方に向く部分を一切覆わないように構成される、態様1又は2に記載のインタフェース。
[態様4]
前記上面が、前記第1及び第2のパドルの内側部分の間にハンモック状に吊り下がる、態様1~3のいずれか一項に記載のインタフェース。
[態様5]
前記上面に対する下向きの圧力により、前記第1及び第2のパドルが互いの方に撓む、態様4に記載のインタフェース。
[態様6]
前記シール部材が、前記使用者の前記顔に接触するように適合された後面を含み、前記後面が第1の突起と第2の突起とを含む、態様1~5のいずれか一項に記載のインタフェース。
[態様7]
前記第1の突起の少なくとも一部分及び前記第2の突起の少なくとも一部分が、垂直方向において前記上面と前記少なくとも1つの口用開口の最上部との間に位置決めされる、態様6に記載のインタフェース。
[態様8]
前記第1の突起の前記一部分が第1の尖端を含み、前記第2の突起の前記一部分が第2の尖端を含む、態様7に記載のインタフェース。
[態様9]
前記第1の尖端及び前記第2の尖端が、垂直方向において前記少なくとも1つの鼻用開口の一部分と前記少なくとも1つの口用開口との間に位置決めされる、態様8に記載のインタフェース。
[態様10]
前記第1の尖端及び前記第2の尖端が、垂直方向において前記少なくとも1つの口用開口と比べて前記少なくとも1つの鼻用開口のより近くに位置決めされる、態様9に記載のインタフェース。
[態様11]
前記マスクシールが、前記顔の2つの位置に係留するように適合される、態様1~6のいずれか一項に記載のインタフェース。
[態様12]
前記マスクシールが、前記下唇より下側及び前記鼻より下側に係留するように構成される、態様11に記載のインタフェース。
[態様13]
前記マスクシールが、前記下唇より下側ながら前記顎よりは上側及び前記鼻より下側に係留するように構成される、態様11に記載のインタフェース。
[態様14]
前記2つの位置は前記鼻の底部より下側にあるが、前記マスクシールは前記鼻の前記底部を越えて上方に延在する、態様11に記載のインタフェース。
[態様15]
前記マスクシールが、垂直方向において最上係留位置より上側の位置で顔に当接して密閉するように適合される、態様14に記載のインタフェース。
[態様16]
前記上面が、前記少なくとも1つの鼻用開口を取り囲む領域で下方及び後方に傾斜している、態様1~5のいずれか一項に記載のインタフェース。
[態様17]
前記少なくとも1つの鼻用開口が鼻パッドインサートを含む、態様1~5のいずれか一項に記載のインタフェース。
[態様18]
前記鼻パッドインサートが、前記マスクシールと異なる材料で形成される、態様17に記載のインタフェース。
[態様19]
前記鼻パッドインサートが、凹状のパッド支持領域で前記マスクシールに固定される、態様17に記載のインタフェース。
[態様20]
前記鼻パッドインサート及び前記マスクシールが、相互関係を有するキーイング機構を含む、態様17に記載のインタフェース。
[態様21]
前記鼻パッドインサートと前記マスクシールとが、前記少なくとも1つの鼻用開口を略取り囲む密閉接合部を有する、態様17に記載のインタフェース。
[態様22]
前記鼻パッドインサートが凹状中心部分を含む、態様17に記載のインタフェース。
[態様23]
前記凹状中心部分が、前記少なくとも1つの鼻用開口の略前方に位置決めされる、態様22に記載のインタフェース。
[態様24]
前記第1のパドル及び前記第2のパドルの内側に向く部分と比べて、外周部分の硬さが増加している、態様1~5のいずれか一項に記載のインタフェース。
[態様25]
前記第1のパドル及び前記第2のパドルの前記内側に向く部分と比べて、前記外周部分の厚さが増加している、態様24に記載のインタフェース。
[態様26]
前記第1のパドルが、外側に向く面と内側に向く面との間に位置決めされた第1のリッジを含み、前記第2のパドルが、外側に向く面と内側に向く面との間に位置決めされた第2のリッジを含み、前記第1及び第2のリッジは、前記内側に向く面と比べて硬さが増加している、態様1~5のいずれか一項に記載のインタフェース。
[態様27]
前記第1のパドルが、外側に向く面と内側に向く面との間に位置決めされた第1のリッジを含み、前記第2のパドルが、外側に向く面と内側に向く面との間に位置決めされた第2のリッジを含み、前記第1及び第2のリッジは、前記内側に向く面と比べて厚さが増加している、態様1~5のいずれか一項に記載のインタフェース。
[態様28]
前記マスクアセンブリと前記使用者の前記顔との間に僅かに上向きの力の加力を提供するように適合されたヘッドギアアセンブリをさらに含む、態様1~27のいずれか一項に記載のインタフェース。
[態様29]
前記ヘッドギアアセンブリが、前記マスクアセンブリの角度を調節するように構成される、態様28に記載のインタフェース。
[態様30]
前記ヘッドギアがTピースを含まない、態様28に記載のインタフェース。
[態様31]
前記マスクアセンブリ及び前記ヘッドギアアセンブリが、垂直方向には前記眼より上側のいかなる位置においても、水平方向には前記眼の外側の間の位置で、前記マスクアセンブリ又は前記ヘッドギアアセンブリの一部分が前記使用者の前記顔に接触しないように構成される、態様28に記載のインタフェース。
[態様32]
前記マスクアセンブリが少なくとも1つの鼻プロングを含む、態様1~5のいずれか一項に記載のインタフェース。
[態様33]
前記少なくとも1つの鼻プロングが、前記マスクアセンブリの内側垂直面に向かって傾いている、態様32に記載のインタフェース。