JP7015222B2 - カリカリした食感を有する膨化大豆 - Google Patents
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Description
近年においては、大豆はシリアルやスナック食品にも用いられるようになり、その用途は広がっている。
また特許文献2には粒状または粉状の穀類を加圧下において過熱水蒸気で、次いで飽和水蒸気で加熱、加圧した後、より低圧下に放出することを特徴とする穀類の膨化処理法について記載され、特許文献3には大豆をそのまま若しくは挽き割り後、又は脱脂大豆をそのまま、ゲージ圧力4~8kg/cm2、温度190~280℃の過熱水蒸気の気流が流れている加熱管中に投入し、分散浮遊させた状態で20秒以内流動加熱し、次いでより低圧の気体中に急激に放出して膨化変性処理して得た納豆用原料についての報告がある。
さらに特許文献4には大豆又は脱脂大豆を、ゲージ圧力4~8kg/cm2、温度150~280℃の過熱水蒸気の気流が流れている加熱管に投入し、分散浮遊させた状態で15秒以内加熱加圧し、次いでより低圧の気体中に急激に放出して膨化変性処理することを特徴とする、飼料の製造方法について、記載されている。
このような背景のもと、本発明においては、上記の欠点のうち少なくとも1つを有しない膨化大豆、すなわち、湯戻しが容易であり、及び/又はそのまま食される場合に硬すぎたり青臭さが残ったりせず風味に富み、カリカリした食感、すなわち噛んだ際に軽快な噛み応えとともに軽い音を呈する食感、を有する膨化大豆、を提供することを課題とした。
すなわち本発明は、少なくとも下記の各発明に関する:
[1]
0.4g/ml~0.49g/mlのかさ比重を有する膨化大豆。
[2]
水分含量が2%~4.5%である、上記[1]に記載の膨化大豆。
[3]
硬度が1300gf以上であり1800gf以下である、上記[1]又は[2]に記載の膨化大豆。
[4]
上記[1]~[3]のいずれかに記載の膨化大豆を含む、食品用の具材。
[5]
スープ用具材、リゾット用具材、シリアル用具材、サラダ用具材、味付け大豆おつまみ用具材又はスナック食品用具材である上記[4]に記載の食品用の具材。
[6]
上記[5]に記載の食品用の具材を用いて製造される食品。
[7]
スープ、リゾット、シリアル、サラダ、味付け大豆おつまみ又はスナック食品である上記[6]に記載の食品。
[8]
割砕された大豆を、加熱管を通過させて加熱管内の加圧加熱ガスに暴露して加圧加熱し、常温・常圧下に急激に放出して膨化し、膨化大豆を得る工程を含む膨化大豆の製造方法、
ただし前記加熱管内の加圧加熱ガスの温度は190℃~260℃であり、圧力は0.63 MPa~0.7 MPaであり、割砕された大豆を加熱管内の加圧加熱ガスに暴露する時間は1秒間~2秒間である。
また本発明の膨化大豆のうち、水分含量が2%~4.5%であること、又は硬度が1300gf以上であり1800gf以下であるものによれば、上記の効果に一層優れた膨化大豆が提供される。
また本発明によれば、膨化大豆を含む食品用の具材として、スープ用具材、リゾット用具材、シリアル用具材、サラダ用具材、味付け大豆おつまみ用具材及びスナック食品用具材等が提供され、これらの具材はそれぞれスープ、リゾット、シリアル、サラダ、味付け大豆おつまみ又はスナック食品に用いられた場合に、適宜湯戻しが容易であり、湯戻し後にも大豆の風味を楽しむことができる。
本発明において「大豆」の語は、植物の種類の名称として用いられるほか、植物としての大豆の可食部である種子の粒を意味するものとして用いられる。
本発明において「膨化大豆」とは、内部に多数の細孔を有する(パフ化された/膨化された)、大豆を意味する。
本発明の膨化大豆の形状は限定されず、全粒の形状とともに全粒を加工して得られる、全粒の一部からなる形状も包含される。全粒の一部からなる形状は、製造の簡便さ及び製造の効率の面において好ましい。
全粒の一部からなる形状には、子葉部分によりほぼ2分割された半粒のほか、割砕された形状や挽き割りされた形状等が包含される。
「割砕」とは文字どおり割り、砕くことを意味する。割砕の方法は限定されず、例えばローラーミルを用いる方法が挙げられる。割砕された形状や挽き割りされた形状として、本発明の膨化大豆が採り得る形状に限定はなく、不定形の、断片状、ほぼ球状、ほぼ紡錘形状、ほぼペレット状といった形状が例示される(図1)。本発明の膨化大豆は、従来品よりやや色が濃い以外には従来品と外見上の差異はない。また、本発明の膨化大豆を構成する各粒の大きさや形状は相互に異なっていてもよい。
本発明の膨化大豆のかさ比重は、好ましくは0.4g/ml~0.48g/mlであり、より好ましくは0.4g/ml~0.47g/mlであり、一層より好ましくは0.405g/ml~0.47g/mlである。
かさ比重の測定は、例えば容量200mlのメスシリンダーに各試料大豆を採り、その重量を測定し、1mlあたりのg数の値を求めることにより行われる。
本明細書において「硬さ」とは、歪率90%、すなわち厚さ2mmに対して1.8mm分圧縮する圧縮度合い、を示す際の最大荷重を意味する。他の特定がない限り、硬さの単位としてgfが用いられる。
本発明の膨化大豆の硬さは、厚さと高さをそろえて機器により測定して得られる硬さであることは好ましく、No.8メッシュに乗るものから選択した厚さ約2mm、直径約5mmのものについての硬度はより好ましい。前記「厚さ」及び「直径」については、それぞれ、膨化大豆を平らな面に静置した際に、膨化大豆が最も安定する場合の当該膨化大豆の最大高さを「厚さ」とし(図2B)、最大径を「直径」とする(図2A)。図2A及びBにおいて符号1により示されているのは本発明の膨化大豆の1粒の例である。
上記において例示した本発明の膨化大豆の硬さは、湯(温度約90℃)に浮くものと沈むものの割合を考慮した平均値である。湯(温度約90℃)に浮くもののみについての硬度としては、No.8メッシュに乗るものから選択した厚さ約2mm、直径約5mmのものについて、平均が1320gf以上であり1650gf以下であってよく、1330gf以上であり1650gf以下であってもよく、1330gf以上であり1620gf以下であってもよい。
硬さの測定に用いられる機器は限定されず、例えばレオナーRE-3305(株式会社山電)が挙げられる。
本発明の膨化大豆の製造方法は限定されないところ、例えば大豆の全粒(以下において「大豆粒」ということがある)を加圧加熱ガスの存在下で数秒間加圧加熱した後、より低温・低圧下(常温・常圧下)に急激に放出することにより加工(パフ化/膨化)する方法が挙げられる。より具体的には、以下の工程を含む製造方法であってよい:
割砕された大豆を、加熱管を通過させて加熱管内の加圧加熱ガスに暴露して加圧加熱し、常温・常圧下に急激に放出して膨化し、膨化大豆を得る工程、 ただし前記加熱管内の加圧加熱ガスの温度は190℃~260℃であり、圧力は0.63 MPa~0.7 MPaであり、割砕された大豆を加熱管内の加圧加熱ガスに暴露する時間は約1秒間~約2秒間である。
上記大豆粒に替えて、割砕された大豆を用いて本発明の膨化大豆の製造を行うことは好ましい。
割砕にはローラーミルを用いることができる。割砕に用いられるローラーミルにとくに限定はなく、大豆粒の割砕を行えるものであればよい。ローラーミルの例としてローラーミルCローラー(株式会社サタケ製)が挙げられる。
ローラーミルによって割砕を行う際の当該ローラーミルの割砕についての条件も限定されない。当該条件は、例えば割砕後の大豆について所望の形状及び大きさが達成される割砕のための条件であってよい。かかる条件は、ローラーミルを構成する2つのローラー間の幅を調整して達成される。
割砕された大豆を加圧加熱ガスに暴露する際の温度、圧力及び時間は、機材の種類及び大きさ等に応じて適宜改変してよい。例えば特開2013-201956号公報に記載された気流加熱方式による膨化食品製造装置を用いる場合には、加圧加熱ガスに暴露する際の温度を190℃~260℃、圧力を0.63 MPa~0.7 MPaとして加熱管に短時間、例えば約1秒間~約2秒間、好ましくは約1.3秒間~約2秒間、より好ましくは約1.3秒間~約1.9秒間滞留させた後、サイクロン及び排出ロータリーバルブ等を介して加熱管に接続されている、常圧状態にある膨化缶から排出させる(図3)。これらの条件は、事前の試験製造による結果に基づいて調整してよい。このような条件下において膨化大豆を製造することにより、本発明の膨化大豆を効率的に得ることができる。
なお、割砕された大豆を加圧加熱ガスに暴露する時間は、当該割砕された大豆が加熱管に投入された時点から、加熱管を通過し、加熱管から常圧環境下に排出される時点までに経過した時間により特定することができる。本発明の製造方法における割砕された大豆を加圧加熱ガスに暴露する時間としては、例えば約8秒間~約10秒間である。図3においては、投入ロータリーバルブの排出部から太線により示される加熱管をとおり排出ロータリーバルブの排出部までの部位が、割砕された大豆が加圧加熱ガスに暴露される部位である。
より容量が大きい機材を用いて膨化を行う場合には、膨化の対象である大豆粒がより均等な条件に付されるように膨化の条件を調整することは好ましい。例えば、より容量が大きい機材を用いて膨化を行う場合には、容量が小さい機材を用いる場合に比較して、圧力は同じにしたまま、温度を高めることは好ましい。
粒度を調整して各大豆粒への熱のかかり方を変えることにより、膨化度及びかさ比重を調整することができる。例えば粒度を小さくして各大豆粒への熱のかかり方をより大きくすることにより、膨化度を大きくしてかさ比重を小さくすることができる。粒度を大きくすれば膨化度が小さくなり、かさ比重は大きくなる傾向がある。
本発明の膨化大豆は、食品用の具材として好適に用いられる。かかる食品用の具材は限定されないが、スープ用具材、リゾット用具材、シリアル用具材、サラダ用具材、味付け大豆おつまみ用具材又はスナック食品用具材が例示される。これらの具材を用いることにより、スープ、リゾット、シリアル、サラダ、味付け大豆おつまみ又はスナック食品といった食品として、湯戻しが容易でありかつ湯戻し又はそのまま食した場合に、硬すぎず、風味に富む膨化大豆を含むものが提供される。
本発明の膨化大豆は、スープ用具材、リゾット用具材及びシリアル用具材としてとくに好適である。
本発明のキットが具備される容器の形状は限定されず、袋状、カップ状あるいは椀状等のいずれであってもよい。
膨化大豆は別途袋に装填されていてよい。膨化大豆が他の食品具材とともにキットとして供試される場合には、膨化大豆他の食品具材とともに1つの袋に装填されていてよい。本発明のキットには別途、味付けのための調味料が具備されている。
前記加工された肉類としては、加熱され適宜味付けがなされた後保存可能な形態に加工された牛肉、豚肉及び/又は鶏肉が挙げられる。
前記加工された魚介類としては、加熱され適宜味付けがなされた後保存可能な形態に加工された、食用魚類の可食部、貝類、イカ・タコ及び/又はエビ・カニが挙げられる。
前記加工された野菜類は、加熱され適宜味付けがなされた後保存可能な形態に加工された野菜類であってもよく、又は生のまま保存可能な形態に加工された野菜類であってもよい。このような野菜類としては、タマネギ、ネギ、ピーマン、グリーンピース等が挙げられる。
[実施例1]
本発明の膨化大豆の製造の例及び評価-1(本発明の膨化大豆の製造と評価:湯戻りしやすさと風味及び食感)
[材料と方法]
膨化大豆製造機(キッコーマン食品株式会社にて使用されている、連続式の、設備開発試験機又は実機。特開2013-201956号公報に記載の気流加熱方式による膨化食品製造装置に相当する)により、大豆(黄大豆)を用いて膨化大豆を製造した。
前処理として割砕を行った。割砕にはローラーミルCローラー(株式会社サタケ製)を用いた。割砕を行う際の条件として、No.5メッシュを通過したものの割合が88%になるようにローラーミルを構成するローラーの幅、すなわち大豆粒が割砕される際の通り幅を調整し、当該条件を設定した。であった。割砕後のかさ比重は、試験機製造品においては0.656g/mlであり、実機製造品においては0.637g/mlであった。なお、試験機製造品及び実機製造品のいずれにおいてもNo.5メッシュを通過したものの割合は88%であった。
・加圧加熱ガスの温度:190℃又は196℃・圧力:0.7 MPa
・処理量:30 kg/h
・加熱管滞留時間:2秒間(加熱管に投入後、加熱管を通過して常圧条件下に付されるまでの時間は8~10秒)
●また、実機における製造条件は以下のとおりであった:
・加圧加熱ガスの温度:230℃、235℃又は240℃
・圧力:0.64 MPa
・処理量:1000 kg/h、1330 kg/h、1400 kg/h又は1230 kg/h
・加熱管滞留時間:2秒間(加熱管に投入後、加熱管を通過して常圧条件下に付されるまでの時間は8~10秒)
<かさ比重の測定>
かさ比重の測定は、容量200mlのメスシリンダーに各試料を採り、その重量を測定し、(g/ml)の値を求めることにより行った。
<水分量>
105℃にて4時間乾熱により乾燥させる前後の重量をそれぞれ求め、乾燥後の重量の減少分を水分量とし、乾燥前の重量に対する割合を求めた。
<粒度分布の測定>
各サンプルについてふるいで分けて各粒度のものの割合を算出し、粒度分布の測定を行った。
用いられたふるいの目開きは以下のとおりであった:
No.4~5:目開き4.75~4.00 mm
No.5~6:目開き4.00~3.35 mm
No.6~7:目開き3.35~2.83 mm
No.7~8:目開き2.83~2.36 mm
No.8~9:目開き2.36~2.00 mm
No.9~10:目開き2.00~1.70 mm
<湯戻りのしやすさ>
湯(90℃、100ml)にいずれかのサンプル10gを1分間浸漬し、充分に水切りを行い、1分後の湯戻りの程度をやわらかさと食しやすさを指標にして評価を行った。評価はパフ穀類(膨化された穀類)の開発に携わる専門家6名が行い、指標として比較例1を基準とする以下の指標を用いた:
◎・・・カリカリとした食感で非常にやわらかく食べやすい
○・・・やわらかく食べやすい
×・・・芯が残り、硬く食べづらい(比較例1)
<吸湯倍率>
湯に浸漬した後の重量の、湯に浸漬する前の重量に対する比を求めた。より具体的には、サンプル5gを100mlの水に30分間、200mlビーカーの中で浸漬し、ざる(孔径約2mm)によりすくい上げて3分間静置して水切りした際の重量と、水に浸漬する前の重量との差から換算して求めた。
<味・風味>
製造後の各サンプルについて、炒り大豆の香ばしさに相当する香ばしさの有無を調べた。
<食感>
製造後の各サンプルについて、パフ穀類(膨化された穀類)の開発に携わる専門家6名が、比較例1を基準とする下記指標に基づいて食感(噛んだ際の感触:カリカリ感)についての評価を行った。
◎・・・とてもカリカリして食べやすい
○・・・カリカリして食べやすい
×・・・硬く、一部が歯に挟まり食べづらい(比較例1)
本発明の膨化大豆である試験例1~6は、かさ比重が0.406g/ml(試験例1)~0.432g/ml(試験例6)であった。
試験例1~6は従来品(比較例1)より湯戻りしやすく、また味・風味及び食感が優れていた(表1)。
[材料と方法]
サンプル:上記試験例1~6において製造されたサンプルをふるいにかけた、6メッシュパス8メッシュオンのものから厚さ約2mm、直径約5mmのものを用いた。硬さの測定においては厚さと高さを揃える必要があるためである。直径は各サンプルの最大径又は最大径に相当するものであり、厚さは各サンプルの最小径又は最小径に相当するものである。
サンプル5gをビーカーに取り、お湯100mlを加え、1分後ざる上げしキムタオルで水分をとった。その中から、厚さ2mm程度、直径5mm程度のサンプルを選択した。
次に上記サンプルについて室温下において水中に入れた際に沈むものの割合と浮くものの割合を、各サンプルについて調査した。試験例1及び試験例2については、水に入れた際に全てのサンプルが浮いた。
各サンプルのうち、任意の13粒~17粒について硬さを測定し、浮いたサンプルの割合と沈んだサンプルの割合による加重平均により各サンプルの硬さを計算して求めた。硬さの測定にはレオナーRE-3305(株式会社山電)を用いた。
<結果>
本発明の膨化大豆は、従来の膨化大豆より硬さの程度が低かった(表3)。硬さの程度は、噛んで食した際の食しやすさ(表1における「食感」)の傾向と整合していた。
[材料と方法]
下記表5に示した各サンプル5gをビーカーに計り取り、90℃のお湯を20ml添加してかき混ぜた後、所定の各経過時間後(1分後、5分後及び15分後)に食して、スープ類に添加した際に想定されるやわらかさの好適度を及び風味を下記基準に従って各経過時間について評価した。評価はパフ穀類(膨化された穀類)の開発に携わる専門家6名が行った。
なお、煎り大豆(No.4パス、No.10オン)を約90℃の湯に1分間浸漬した際に得られる硬さより小さく、大豆フレーク ライスアイランドを約90℃の湯に1分間浸漬した際に得られる硬さより高い(やわらかさより低い)硬さを、適度なやわらかさの基準(評点0)とした。
すなわち、下記表5において、「0」は、スープ類に添加した際に想定されるやわらかさとして好適であることを表し、「0」より大きい数値は好適である場合より硬かったことを表し、「0」より小さい数値は好適である場合よりやわらかかったことを表す。
(やわらかさの基準)
2・・・硬い
1・・・やや硬い
0・・・適度にやわらかい
-1・・・やややわらかすぎる
-2・・・やわらかすぎる
サンプルとしては、試験例6及び比較例1に加えて、市販の膨化大豆製品である煎り大豆(No.4パス、No.10オン)、サクサク大豆中粒、不二製油ソヤパフ30、フジニックエース粒状大豆たんぱく及び大豆フレーク ライスアイランドを対照として供試した。
本発明の膨化大豆(試験例6)は1分で湯戻し後においてやわらかく、15分後にも同程度のやわらかさが保たれた。本発明の膨化大豆は市販品と比較してもより優れていた(表5)。
比較例1は15分後においても硬かった。
本発明の膨化大豆の製造の例及び評価-2(本発明の膨化大豆の実機における製造の条件検討)
[材料と方法]
膨化大豆製造機(キッコーマン食品株式会社にて使用されている、連続式の、設備開発試験機又は実機。特開2013-201956号公報に記載の気流加熱方式による膨化食品製造装置に相当する)により、大豆(黄大豆)を用いて膨化大豆を製造した。
前処理として割砕を行った。割砕にはローラーミルCローラー(株式会社サタケ製)を用いた。割砕を行う際の条件として、No.5メッシュを通過したものの割合が88%になるようにローラーミルを構成するローラーの幅、すなわち大豆粒が割砕される際の通り幅を調整し、当該条件を設定した。割砕後のかさ比重は、0.637g/mlであった。No.5メッシュを通過したものの割合は88%であった。
・加圧加熱ガスの温度:250℃(試験例B-3及び試験例B-4)、252℃(試験例B-2)又は255℃(試験例B-1)・圧力:0.64 MPa
・処理量:600kg/h(試験例B-1)、800kg/h(試験例B-2)、900kg/h(試験例B-3)又は1000kg/h(試験例B-3)
・加熱管滞留時間:2秒間(加熱管に投入後、加熱管を通過して常圧条件下に付されるまでの時間は8~10秒)
[材料と方法]
サンプル:上記試験例B-1、B-2、B-3及びB-4において製造されたサンプルをふるいにかけた、6メッシュパス8メッシュオン(実質的に6メッシュパス7メッシュオン)のものから厚さ約2mm、直径約5mmのものを用いた。硬さの測定においては厚さと高さを揃える必要があるためである。直径は各サンプルの最大径又は最大径に相当するものであり、厚さは各サンプルの最小径又は最小径に相当するものである。
サンプル5gをビーカーに取り、お湯100mlを加え、1分後ざる上げしキムタオルで水分をとった。その中から、厚さ2mm、直径5mm程度のサンプルを選択した。
次に上記サンプルについて室温下において水中に入れた際に沈むものの割合と浮くものの割合を、各サンプルについて調査した。
各サンプルのうち、任意の13粒~17粒について硬さを測定し、浮いたサンプルの割合と沈んだサンプルの割合による加重平均により各サンプルの硬さを計算して求めた。硬さの測定にはレオナーRE-3305(株式会社山電)を用いた。
<結果>
これらの本発明の膨化大豆も、従来の膨化大豆(比較例1)よりやわらかった(表7)。
Claims (8)
- 0.4g/ml~0.49g/mlのかさ比重を有し、2mm以上の粒径を有する膨化された大豆を含む、膨化大豆。
- 水分含量が2%~4.5%である、請求項1に記載の膨化大豆。
- 硬度が1300gf以上であり1800gf以下である、請求項1又は2に記載の膨化大豆。
- 請求項1~3のいずれかに記載の膨化大豆を含む、食品用の具材。
- スープ用具材、リゾット用具材、シリアル用具材、サラダ用具材、味付け大豆おつまみ用具材又はスナック食品用具材である請求項4に記載の食品用の具材。
- 請求項5に記載の食品用の具材を用いて製造される食品。
- スープ、リゾット、シリアル、サラダ、味付け大豆おつまみ又はスナック食品である請求項6に記載の食品。
- 割砕された大豆を、加熱管を通過させて加熱管内の加圧加熱ガスに暴露して加圧加熱し、常温・常圧下に急激に放出して膨化し、膨化大豆を得る工程を含む、請求項1~3のいずれかに記載の膨化大豆の製造方法、
ただし前記加熱管内の加圧加熱ガスの温度は190℃~260℃であり、圧力は0.63 MPa~0.7 MPaであり、割砕された大豆を加熱管内の加圧加熱ガスに暴露する時間は1秒間~2秒間である。
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