次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明の一実施形態の画像形成装置10の外観構成を示す図である。
本実施形態の画像形成装置10は、図1に示されるように、第1の画像形成装置10Aと第2の画像形成装置10Bとから構成されている。第1の画像形成装置10Aと第2の画像形成装置10Bは、形成する画像によって第1の画像形成装置10Aの記録媒体搬送方向下流側に第2の画像形成装置10Bを接続したり、第1の画像形成装置10Aの記録媒体搬送方向上流側に第2の画像形成装置10Bを接続したり、それぞれ単独で用いることができる。本実施形態においては、第1の画像形成装置10Aの記録媒体搬送方向下流側に第2の画像形成装置10Bを接続して用いる例について説明する。
この第1の画像形成装置10Aと第2の画像形成装置10Bの本体部内の構造を図1及び図2を参照して説明する。
第1の画像形成装置10Aは、図1に示されるように、3つの画像形成ユニット12を備えている。この3つの画像形成ユニット12は、それぞれ金色のゴールドトナー(G)、白色の白色トナー(W)、銀色のシルバートナー(Si)等の特別色のトナーを用いて記録媒体上に画像を形成するように構成されている。
なお、特別色のトナーには、シルバートナー(Si)、ゴールドトナー(G)、白色トナー(W)、透明トナー等が存在し、この特別色のトナーの中から3つのトナーを選択して使用することが可能になっている。図1では、これらの特別色のトナーの中から、ゴールドトナー(G)と、白色トナー(W)と、シルバートナー(Si)を選択してセットした場合が示されている。
なお、本実施形態では、シルバートナー(Si)やゴールドトナー(G)等の光輝性を有する光輝性色材であるメタリック(金属光沢色)トナーと白色トナー(W)を用いて原稿画像の下地画像を形成する場合について説明する。また、原稿画像の濃度に応じて、メタリックトナーと白色トナー(W)の各色のトナー量(色材量)を制御する場合について説明するものである。ここでメタリックトナーとは、FI(FlopIndex値)が1以上のものをいう。また、トナー量は、画像形成装置10に指示する各色の情報であってもよいし、画像形成装置10で印刷出力する画像データの色値であってもよい。トナー量が画像データの色値であり、その画像データの色空間が画像出力の色空間と異なる場合には、色空間の変換処理をすればよい。
なお、以下の説明ではシルバートナー(Si)と白色トナー(W)を用いて記録媒体上に原稿画像の下地層としての下地画像を形成する場合を用いて説明する。
画像形成ユニット12は、図2に示すように、感光体ドラム16と、この感光体ドラム16の表面を一様に帯電する帯電手段としての帯電装置18と、感光体ドラム16上に形成された静電潜像を現像する現像装置20と、クリーニング装置22とからそれぞれ構成されている。感光体ドラム16は、トナー像(現像剤像)を保持する円筒形状の画像保持体であり、帯電装置18により一様に帯電され、光走査装置24により照射されたレーザ光により静電潜像が形成される。感光体ドラム16に形成された静電潜像は、現像装置20によりトナーで現像され、中間転写ベルト14に転写される。なお、トナー像の転写工程の後に感光体ドラム16に付着している残留トナー及び紙粉等は、クリーニング装置22によって除去される。
中間転写ベルト14は、図1中矢印Aの方向に回動移動するようになっている。即ち、中間転写ベルト14は、中間転写ベルト14を支持する複数の支持ロール間に一定のテンションで掛け回されている。この中間転写ベルト14を挟んだ感光体ドラム16に対向した位置に一次転写ロール26がそれぞれ配置されている。一次転写ロール26は、感光ドラム16に形成された各色のトナー像を中間転写ベルト14に転写するようになっている。
中間転写ベルト14の下方には、記録媒体を搬送する搬送路28が形成されている。搬送路28には、搬入口30から排出口32まで図1中矢印Bの方向に記録媒体を搬送する複数の搬送ロールが設けられている。また、中間転写ベルト14の下方の搬送路28には、感光ドラム16から中間転写ベルト14に一次転写されたトナー像を搬送路28を搬送された記録媒体に二次転写する二次転写装置34が設けられている。二次転写装置34の記録媒体搬送方向下流側には定着装置36が設けられている。この定着装置36は、トナー像が転写された記録媒体の画像を熱と圧力により記録媒体に定着させる。この定着装置36により下地画像が定着された記録媒体は排出口32から排出され、第2の画像形成装置10Bの搬入口30に搬入される。
第2の画像形成装置10Bは、図1に示されるように、4つの画像形成ユニット12を備えている。この4つの画像形成ユニット12は、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の基本色トナーを用いて記録媒体上に原稿画像を形成するように構成されている。この第2の画像形成装置10Bにおける画像形成ユニット12等の構成は、上述した第1の画像形成装置10Aにおける画像形成ユニット12等の構成と同一であり、同一の符号を付して説明を省略する。
そして、図1に示されるように、画像形成装置10において第1の画像形成装置10A及び第2の画像形成装置10Bのそれぞれに各色の画像形成ユニット12がセットされると、まず第1の画像形成装置10Aにおいて、それぞれの画像形成ユニット12により、白色トナー(W)とシルバートナー(Si)がこの順序で中間転写ベルト14に一次転写して重畳して形成され、二次転写装置34により中間転写ベルト14から記録媒体にトナー像が一括して二次転写される。そして、二次転写された記録媒体の下地画像が定着装置36によって定着され、下地画像が定着された記録媒体は排出口32から排出され、第2の画像形成装置10Bに搬入される。
そして、第2の画像形成装置10Bでは、それぞれの画像形成ユニット12により、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の各色トナーがこの順序で中間転写ベルト14に一次転写して重畳して形成され、二次転写装置34により中間転写ベルト14から下地画像が形成された記録媒体上にトナー像が一括して二次転写される。そして、二次転写された記録媒体の原稿画像が定着装置36によって定着され、下地画像の上に原稿画像が定着された記録媒体は排出口32から排出される。
つまり、本実施形態は、第1の画像形成装置10Aを用いて形成された下地画像の上に、第2の画像形成装置10Bを用いて形成された原稿画像を形成する構成について説明するものである。言い換えれば、第1の画像形成装置10Aを用いて前刷りされた下地画像に、第2の画像形成装置10Bを用いて追刷りして原稿画像を形成する構成について説明するものである。また、原稿画像の濃度(基本色トナーのトナー量)に応じて下地画像の濃度(白色トナーのトナー量とシルバートナーのトナー量)を制御する構成について説明するものである。
ここで、トナー量とは、記録媒体上の単位面積当たりに使用されるトナーの量、例えばトナー重量(g/m2)の値でも良いが、以下の説明では、単位面積、例えば1ピクセル当たり使用する各色トナーの量の最大値を100%とした場合の、印刷する際に使用する各色のトナー量の割合を%で示した値(トナーカバレッジ)で表現する場合を記載する。
以下、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のトナーを基本色トナーして説明する。また、基本色トナーの配列は上述した順番に限らず任意に変更可能である。
図3は、上述した画像形成装置10により画像が形成された記録媒体としての透明フィルムRの要部拡大断面図の一例である。ここで、透明フィルムとは、透明なフィルム状のシートをいう。透明フィルムRには、原稿画像及び下地画像が形成された側(図3において上側)から視認者が視認するように画像が形成されている。
画像形成装置10によれば、図3に示されるように、透明フィルムR上の最下層に下地画像としてのシルバートナー(Si)の画像が形成され、シルバートナー(Si)の画像の上に下地画像としての白色トナー(W)の画像が形成され、この白色トナー(W)の画像の上に原稿画像として基本色トナー(CMYK)の画像が重畳して形成される。つまり、透明フィルムR上に形成される画像が、視認者の視認方向の手前側から基本色トナー(CMYK)の画像、白色トナー(W)の画像、シルバートナー(Si)の画像の順に重畳して形成される。言い換えれば、基本色トナー(CMYK)の画像の下地層として、基本色トナー(CMYK)の画像に近い側から、白色トナー(W)の画像、シルバートナー(Si)の画像の順に重畳して形成される。
透明フィルムR上に、図3に示したような順番で各色のトナー画像が形成された場合には、透明フィルムRの背後の物体の色の影響がシルバートナー(Si)の画像により隠蔽されて裏写りが防止される。これは、シルバートナー(Si)の画像は白色トナー(W)の画像に比べて透過率が低くて反射率が高い為、透明フィルムRの背後の物体の色が反射されるためである。また、シルバートナー(Si)の画像は無彩色であるため白色トナー(W)の画像の下地画像として用いてもシルバートナー(Si)の画像の色の影響を受けにくい。このため、透明フィルムR上に形成される画像が、視認者の視認方向の手前側から基本色トナー(CMYK)の画像、白色トナー(W)の画像、シルバートナー(Si)の画像の順に重畳して形成されることにより、基本色トナー(CMYK)により形成された画像の色味が本来の色味のまま維持される色再現性を高めることができる。
ここでは、裏写りとは、透明フィルムの背後の物体の色が透けて見えることの他、両面印刷した透明フィルムの裏面印刷したものが表面から透けて見えることをいう。
次に、本実施形態の画像形成装置10のハードウェア構成を図4に示す。
画像形成装置10は、図4に示されるように、CPU41、メモリ42、ハードディスクドライブ(HDD)等の記憶装置43、ネットワークを介して外部の装置等との間でデータの送信及び受信を行う通信インタフェース(IF)44、タッチパネル又は液晶ディスプレイ並びにキーボードを含むユーザインタフェース(UI)装置45、プリントエンジン46を有する。これらの構成要素は、制御バス48を介して互いに接続されている。
プリントエンジン46は、帯電、露光、現像、転写、定着などの工程を経て記録媒体上に画像を印刷する。
CPU41は、メモリ42または記憶装置43に格納された制御プログラムに基づいて所定の処理を実行して、第1の画像形成装置10A及び第2の画像形成装置10Bをそれぞれ制御し、画像形成装置10の動作を制御する。なお、本実施形態では、CPU41は、メモリ42または記憶装置43内に格納された制御プログラムを読み出して実行するものとして説明したが、当該プログラムをCD-ROM等の記憶媒体に格納してCPU41に提供することも可能である。
図5は、上記の制御プログラムが実行されることにより実現される画像形成装置10の機能構成を示すブロック図である。
本実施形態の画像形成装置10は、図5に示されるように、UI装置45と、制御部50と、印刷ジョブ受信部51と、出力部52と、画像濃度検出部53と、記憶部54とを備えている。
UI装置45は、ユーザからの操作を入力したり、各種情報をユーザに表示するための装置である。
印刷ジョブ受信部51は、外部の端末装置等からネットワークを介して原稿画像情報を含んだ印刷ジョブを受信する。
制御部50は、印刷ジョブ受信部51により受信された印刷ジョブや、UI装置45から入力された指示に基づいて、出力部52を制御することにより印刷処理を実行する。
画像濃度検出部53は、印刷処理を実行する原稿画像の濃度を検出する。
記憶部54は、印刷ジョブ受信部51により受信された原稿画像情報を格納する。
また、記憶部54は、原稿画像濃度に応じたシルバートナーのトナー量と白色トナーのトナー量に関する情報等を格納している。
例えば、記憶部54には、図6~図10に示すような情報が格納されている。図6及び図7は、原稿画像の濃度であってシアン(C)とマゼンタ(M)とイエロー(Y)の各色トナー量の合計と、シルバートナー(Si)のトナー量と、白色トナー(W)のトナー量との関係を示す図である。
図6及び図7に示されるように、原稿画像の濃度(シアン(C)とマゼンタ(M)とイエロー(Y)の各色トナー量の合計)が0~90%の範囲の場合には、シルバートナー(Si)のトナー量を60%程度にする。そして、原稿画像の濃度が90~170%の範囲の場合には、原稿画像の濃度に応じてシルバートナー(Si)のトナー量を60~100%に多くする。すなわち、原稿画像の濃度(シアン(C)とマゼンタ(M)とイエロー(Y)の各色トナー量の合計)が高くなるにつれて、シルバートナー(Si)のトナー量を多くする。そして、原稿画像の濃度が170~250%の範囲の場合には、シルバートナー(Si)のトナー量を100%にする。
また、原稿画像の濃度が0~90%の場合には、白色トナー(W)のトナー量を100%にする。そして、原稿画像の濃度が90%~190%の範囲の場合には、原稿画像の濃度に応じて白色トナー(W)のトナー量を100~0%に少なくする。すなわち、原稿画像の濃度(シアン(C)とマゼンタ(M)とイエロー(Y)の各色トナー量の合計)が高くなるにつれて、白色トナー(W)のトナー量を少なくする。そして、原稿画像の濃度が190%~250%の範囲の場合には、白色トナー(W)のトナー量を0%にする。
また、図8(A)及び図8(B)は、原稿画像の濃度であって黒色トナー(K)のトナー量と、シルバートナー(Si)のトナー量と、白色トナー(W)のトナー量との関係を示す図である。
また、図8(A)及び図8(B)に示されるように、原稿画像の濃度(黒色トナー(K)のトナー量)が0~80%の範囲の場合には、原稿画像の濃度に応じてシルバートナー(Si)のトナー量を60%~100%に多くして、原稿画像の濃度が80~100%の場合には、シルバートナー(Si)のトナー量を100%にする。また、原稿画像の濃度が0~100%の場合には、原稿画像の濃度に応じて白色トナー(W)のトナー量を100%~0%に少なくする。すなわち、原稿画像濃度(黒色トナー(K)のトナー量)が高くなるにつれて、シルバートナー(Si)のトナー量を多くして、白色トナー(W)のトナー量を少なくする。
図9及び図10は、裏写り防止の観点から裏写り1~裏写り3にレベル分けした場合の原稿画像の濃度であってシアン(C)とマゼンタ(M)とイエロー(Y)の各色トナー量の合計と、シルバートナー(Si)のトナー量との関係を示す図である。ここでは、裏写りの程度の低い方から順に裏写り1、裏写り2、裏写り3として設定されている。裏写りの程度が低い裏写り1は、裏写り3に比べて色再現性は悪くなる。
裏写りの程度の最も低い(裏写りを全くしない)裏写り1においては、原稿画像の濃度によらずに、シルバートナー(Si)のトナー量を100%に設定する。
そして、裏写り1と比べると少し裏写りをする(裏写りをほとんどしない)裏写り2においては、原稿画像の濃度が0~90%の間は、シルバートナー(Si)のトナー量を60%とし、原稿画像の濃度が90~170%までは、原稿画像の濃度に応じてシルバートナー(Si)のトナー量を60~100%程度に多くして、原稿画像の濃度が高くなるにつれて、シルバートナー(Si)のトナー量を多くする。また、原稿画像の濃度が170%以上の場合は、シルバートナー(Si)のトナー量を100%とする。
そして、裏写り2と比べると裏写りをする(裏写りを少しする)裏写り3においては、原稿画像の濃度が0~100%の間は、シルバートナー(Si)のトナー量を40%とし、原稿画像の濃度が100~180%の場合は、原稿画像の濃度に応じてシルバートナー(Si)のトナー量を40~80%程度に多くして、原稿画像の濃度が高くなるにつれて、シルバートナー(Si)のトナー量を多くする。また、原稿画像の濃度が180%以上の場合は、シルバートナー(Si)のトナー量を80%とする。
すなわち、制御部50は、画像濃度検出部53により検出された原稿画像の濃度(基本色トナーの各色トナー量の合計)と、記憶部54に格納されている情報に基づいて、下地画像として用いるシルバートナーのトナー量を決定する。そして、制御部50は、決定されたトナー量によりシルバートナーの画像を形成するように制御する。つまり、制御部50は、原稿画像の濃度に応じて、予め設定されたトナー量でシルバートナーの画像を形成するように制御する。例えば、制御部50は、原稿画像の濃度が高いほど、シルバートナーのトナー量が多くなるように制御する。
また、制御部50は、画像濃度検出部53により検出された原稿画像の濃度(基本色トナーの各色トナー量の合計)と、記憶部54に格納されている情報に基づいて、下地画像として用いる白色トナーのトナー量を決定する。そして、制御部50は、決定されたトナー量により白色トナーの画像を形成するように制御する。つまり、制御部50は、原稿画像の濃度に応じて、予め設定されたトナー量で白色トナーの画像を形成するように制御する。
また、制御部50は、原稿画像の濃度が高いほど、シルバートナーのトナー量を多くし、白色トナーのトナー量が少なくなるように制御する。
また、制御部50は、原稿画像の種類に応じて、下地画像として用いるシルバートナーのトナー量を決定する。そして、制御部50は、決定されたトナー量によりシルバートナーの画像を形成するように制御する。具体的には、原稿画像が写真画像の場合、予め設定された値以上のトナー量で下地画像としてのシルバートナーの画像を形成するよう制御する。
また、UI装置45や印刷ジョブ受信部51は、ユーザによる選択を受け付ける受付手段として機能する。例えば、ユーザは、3つにレベル分けされて設定された中から裏写り防止を重視したい場合には、裏写り1を選択してシルバートナーのトナー量を多くし、色再現性を重視したい場合には裏写り3を選択してシルバートナーのトナー量を少なくすることができる。
そして、制御部50は、UI装置45や印刷ジョブ受信部51により受付けられた裏写りのレベルと、記憶部54に格納されている情報に基づいて、下地画像として用いるシルバートナーのトナー量を決定し、決定されたトナー量によりシルバートナーの画像を形成するように制御する。つまり、制御部50は、受け付けられた情報に基づいて、予め設定されたトナー量でシルバートナーの画像を形成するように制御する。
また、UI装置45や印刷ジョブ受信部51は、ユーザによる各色トナー量の指定を受け付ける受付手段として機能する。
そして、制御部50は、UI装置45や印刷ジョブ受信部51により受付けられた各色トナー量の指定に基づいて、各色トナー量を決定し、決定されたトナー量により画像を形成するように制御する。
つまり、制御部50は、原稿画像の濃度に応じて、シルバートナーのトナー量と白色トナーのトナー量を決定し、決定されたシルバートナーのトナー量と白色トナーのトナー量により下地画像を形成するように制御する。具体的には、制御部50は、帯電装置18や現像装置20に供給される電力や一次転写ロール26に流れる電流を制御してシルバートナーのトナー量と白色トナーのトナー量をそれぞれ制御する。つまり、制御部50は、原稿画像の単位面積当たりの濃度に応じて、下地画像として形成するシルバートナーのトナー量と白色トナーのトナー量が異なるように制御し、これにより下地画像のトナー量を抑制して、画像形成の際の転写工程や定着工程における弊害を防止しつつ、隠蔽性を十分に確保して裏写りを防止することができる。
次に、透明フィルム上に原稿画像の下地画像として、トナー量100%の白色トナーの画像、トナー量200%の白色トナーの画像、トナー量100%のシルバートナーの画像、原稿画像に近い側からトナー量100%の白色トナーの画像とトナー量70%のシルバートナーの画像を重ねて形成した画像、をそれぞれ形成した場合の評価結果を図11に基づいて説明する。
図11に示すように、原稿画像の下地画像として、トナー量100%の白色トナーの画像を形成した場合には、色再現性は良好だったが、透明フィルムの背後の色が裏写りしてしまった。また、トナー量200%の白色トナーの画像を形成した場合には、色再現性は良好であったが、トナー量100%の白色トナーの画像を形成した場合と比較すると良かったが、透明フィルムの背後の色が裏写りしてしまった。また、トナー量100%のシルバートナーの画像を形成した場合には、裏写りはしなかったが、白色トナーで下地画像を形成した場合と比較して色再現性が悪くなった。一方、トナー量100%の白色トナーの画像とトナー量70%のシルバートナーの画像を重畳して下地画像を形成した場合には、色再現性が良好で、裏写りもしなかった。
次に、記録媒体に形成される原稿画像の下地画像として、原稿画像に近い側から白色トナー(W)の画像とシルバートナー(Si)の画像を重畳して形成することにより、隠蔽性を高めて裏写りを防止することができる理由を図12及び図13に基づいて説明する。図12及び図13において、記録媒体としての透明フィルムRに対して上側を表面、下側を裏面とし、透明フィルムRの表面側から視認者が視認する場合を例にして説明する。
図12(A)に示す透明フィルムRの表面には、下地画像として黒色トナー(K)の画像が形成され、その上に原稿画像である基本色トナー(CMYK)の画像が形成されている。そして、裏面には、原稿画像である基本色トナー(CMYK)の画像が形成されている。
視認者が図12(A)に示す透明フィルムRを表面側から視認した場合には、表面側から入射された光(入射光)は、基本色トナー(CMYK)の画像の表面で一部が反射光として反射されて、一部が透過して黒色トナー(K)の画像との界面で吸収されてしまう。また、透明フィルムRの裏面側に形成された基本色トナー(CMYK)の画像の色の影響は、表面側に形成された黒色トナー(K)の画像により吸収されて隠蔽される。
つまり、図12(A)に示すように、透明フィルムR上に原稿画像の下地画像として黒色トナー(K)の画像を形成して両面印刷した場合には、裏面側に形成された原稿画像の色が黒色トナー(K)の画像により隠蔽されて裏写りが防止される。しかし、視認者側から入射された光は、黒色トナー(K)の画像との界面で吸収されてしまうため、下地画像として白色トナー(W)の画像を形成する場合と比較して反射光が少なく、表面側に形成された原稿画像の色がくすんで見えて、色再現性が悪くなってしまう。
図12(B)に示す透明フィルムRの表面には、下地画像として100%のトナー量で白色トナー(W)の画像が形成され、その上に原稿画像である基本色トナー(CMYK)の画像が形成されている。そして、裏面には、原稿画像である基本色トナー(CMYK)の画像が形成されている。
視認者が図12(B)に示す透明フィルムRを表面側から視認した場合には、表面側から入射された光は、基本色トナー(CMYK)の画像の表面で一部が反射光として反射されて、一部が透過して白色トナー(W)の画像との界面で反射光として反射されて、さらに透明フィルム、裏面側に形成された基本色トナー(CMYK)の画像を透過してしまう。また、裏面側に形成された基本色トナー(CMYK)の画像が、透明フィルムR、表面側に形成された白色トナー(W)の画像、基本色トナー(CMYK)の画像を透過して隠蔽されずに裏写りしてしまう。
つまり、図12(B)に示すように、透明フィルムR上に原稿画像の下地画像として100%のトナー量で白色トナー(W)の画像を形成して両面印刷した場合には、視認者側から入射された光は、基本色トナー(CMYK)の画像の表面、白色トナー(W)の画像の表面において反射されるため、上述した図12(A)の下地画像として黒色トナー(K)の画像を形成する場合と比較して色再現性が良いが、裏面側に形成された原稿画像が表面側に形成された原稿画像にまで透過されてしまうため隠蔽されずに裏写りしてしまう。
図12(C)に示す透明フィルムRの表面には、下地画像として200%のトナー量で白色トナー(W)の画像が形成され、その上に原稿画像である基本色トナー(CMYK)の画像が形成されている。そして、裏面には、原稿画像である基本色トナー(CMYK)の画像が形成されている。
視認者が図12(C)に示す透明フィルムRを表面側から視認した場合には、表面側から入射された光は、基本色トナー(CMYK)の画像の表面で一部が反射光として反射されて、一部が透過して白色トナー(W)の画像との界面で反射光として反射されて、さらに透明フィルムR、裏面側に形成された基本色トナー(CMYK)の画像を透過してしまう。また、裏面側に形成された基本色トナー(CMYK)の画像が、透明フィルムR、表面側に形成されたホワイト(W)トナーの画像を透過し、表面側に形成された基本色(CMYK)トナーの画像を透過して隠蔽されずに裏写りしてしまう。
つまり、図12(C)に示すように、透明フィルムR上に原稿画像の下地画像として200%のトナー量で白色トナー(W)の画像を形成して両面印刷した場合であっても、視認者側から入射された光は、基本色トナー(CMYK)の画像の表面、白色トナー(W)の画像の表面において反射されるため、上述した図12(A)示す下地画像として黒色トナー(K)の画像を形成する場合と比較して色再現性が良いが、裏面側に形成された原稿画像の一部が表面側に形成された原稿画像にまで透過されてしまうため隠蔽されずに裏写りしてしまい、上述した図12(B)に示した下地画像として100%のトナー量で白色トナー(W)の画像を形成する場合と比較すると裏写りは抑制されるが、上述した図12(A)示した下地画像として黒色トナー(K)の画像を形成する場合と比較すると裏写りしてしまう。
図12(D)に示す透明フィルムRの表面には、下地画像としてシルバートナー(Si)の画像が形成され、その上に原稿画像である基本色トナー(CMYK)の画像が形成されている。そして、裏面には、原稿画像である基本色トナー(CMYK)の画像が形成されている。
視認者が図12(D)に示す透明フィルムRを表面側から視認した場合には、表面側から入射された光は、基本色トナー(CMYK)の画像の表面で一部が反射光として反射されて、一部が透過してシルバートナー(Si)の画像との界面で反射される。また、透明フィルムRの裏面側に形成された基本色トナー(CMYK)の画像の色の影響は、表面側に形成されたシルバートナー(Si)の画像により反射されて隠蔽される。
つまり、図12(D)に示すように、透明フィルムR上に原稿画像の下地画像としてシルバートナー(Si)の画像を形成して両面印刷した場合には、裏面側に形成された原稿画像がシルバートナー(Si)の画像により隠蔽されて裏写りが防止される。しかし、視認者側から入射された光は、シルバートナー(Si)の画像との界面で反射されてしまうため、図12(B)や図12(C)に示した下地画像として白色トナー(W)の画像を形成する場合と比較して、表面側に形成された原稿画像による反射光が少なく原稿画像の色がくすんで見えて、色再現性が悪くなってしまう。
図13は、上述した図3に示した透明フィルムRの裏面に第2の画像形成装置10Bを用いて原稿画像を形成して、両面に画像が形成された透明フィルムRの要部拡大断面図の一例である。
図13に示されている透明フィルムRの表面には、原稿画像(基本色(CMYK)トナーの画像)の下地画像として、原稿画像に近い側から白色トナー(W)の画像、シルバートナー(Si)の画像の順に重畳して形成されている。そして、透明フィルムRの裏面には、原稿画像である基本色(CMYK)トナーの画像が形成されている。
視認者が図13に示す透明フィルムRを表面側から視認した場合には、表面側から入射された光(入射光)は、基本色トナー(CMYK)の画像の表面で一部が反射光として反射されて、一部が透過して白色トナー(W)の画像との界面で反射光として反射される。また、透明フィルムRの表面側の最下層にはシルバートナー(Si)の画像が形成されているため、透明フィルムRの裏面側に形成された基本色トナー(CMYK)の画像の色の影響が、シルバートナー(Si)の画像により反射されて隠蔽される。
すなわち、図13に示したような順番で各色のトナー画像が形成された場合には、透明フィルムRの背後の物体の影響や、透明フィルムRの裏面の色の影響がシルバートナー(Si)の画像により反射されて隠蔽されて裏写りが防止される。また、シルバートナーの画像は無彩色であるため白色トナーの画像の下地画像として用いてもシルバートナーの色の影響を受けにくい。このため、基本色トナー(CMYK)により形成された画像の色味が本来の色味のまま維持される色再現性を高めることができる。また、制御部50が、原稿画像の濃度に応じて、下地画像として形成するシルバートナーのトナー量と白色トナーのトナー量が異なるように制御することにより、下地画像のトナー量を抑制して、画像形成の際の転写工程や定着工程における弊害を防止しつつ、隠蔽性を十分に確保して裏写りを防止することができる。
図14(A)~図14(D)は、画像形成装置10を用いて両面に画像を形成した透明フィルムRの要部拡大断面図の他の例である。
図14(A)の透明フィルムRには、表面の最下層に下地画像としてのシルバートナー(Si)の画像が形成され、その上に下地画像としての白色トナー(W)の画像、原稿画像としての基本色トナー(CMYK)の画像の順に重畳して形成されている。そして、裏面の最下層に下地画像としての白色トナー(W)の画像が形成され、その上に原稿画像としての基本色トナー(CMYK)の画像が形成されている。
視認者が図14(A)に示す透明フィルムRを表面側から視認した場合には、表面側から入射された光は、基本色トナー(CMYK)の画像の表面で一部が反射光として反射されて、一部が透過して白色トナー(W)の画像との界面で反射光として反射される。また、表面側の最下層にはシルバートナー(Si)の画像が形成されているため、透明フィルムRの裏面側に形成された基本色トナー(CMYK)の画像の色の影響がシルバートナー(Si)の画像により隠蔽される。
図14(B)の透明フィルムRには、透明フィルムRの表面の最下層に下地画像としてのシルバートナー(Si)の画像が形成され、その上に下地画像としての白色トナー(W)の画像、原稿画像としての基本色トナー(CMYK)の画像の順に重畳して形成されている。そして、透明フィルムRの裏面の最下層に下地画像としてのシルバートナー(Si)の画像が形成され、その上に下地画像としての白色トナー(W)の画像、原稿画像としての基本色トナー(CMYK)の画像の順に重畳して形成されている。
視認者が図14(B)に示す透明フィルムRを表面側から視認した場合には、表面側から入射された光は、基本色トナー(CMYK)の画像の表面で一部が反射光として反射されて、一部が透過して白色トナー(W)の画像との界面で反射光として反射される。また、表面側と裏面側の最下層にはそれぞれシルバートナー(Si)の画像が形成されているため、透明フィルムRの裏面側に形成された基本色トナー(CMYK)の画像の色の影響がシルバートナー(Si)の画像により隠蔽される。
図14(C)の透明フィルムRには、透明フィルムRの表面の最下層に下地画像としての白色トナー(W)の画像が形成され、その上に原稿画像としての基本色トナー(CMYK)の画像が形成されている。そして、透明フィルムRの裏面に下地画像としてのシルバートナー(Si)の画像が形成されている。
視認者が図14(C)に示す透明フィルムRを表面側から視認した場合には、表面側から入射された光は、基本色トナー(CMYK)の画像の表面で一部が反射光として反射されて、一部が透過して白色トナー(W)の画像との界面で反射光として反射される。また、裏面側にはシルバートナー(Si)の画像が形成されているため、透明フィルムRの背後の物体の色の影響がシルバートナー(Si)の画像により隠蔽される。
図14(D)の透明フィルムRには、透明フィルムRの表面の最下層に下地画像としての白色トナー(W)の画像が形成され、その上に原稿画像としての基本色トナー(CMYK)の画像が形成されている。そして、透明フィルムRの裏面の最下層に下地画像としてのシルバートナー(Si)の画像が形成され、その上に原稿画像としての基本色トナー(CMYK)の画像が形成されている。
視認者が図14(D)に示す透明フィルムRを表面側から視認した場合には、表面側から入射された光は、基本色トナー(CMYK)の画像の表面で一部が反射光として反射されて、一部が透過して白色トナー(W)の画像との界面で反射光として反射される。また、裏面側にはシルバートナー(Si)の画像が形成されているため、透明フィルムRの裏面側に形成された基本色トナー(CMYK)の画像の色の影響がシルバートナー(Si)の画像により隠蔽される。
また、図14(D)に示したように、透明フィルムRの表面と裏面に白色トナー(W)の画像とシルバートナー(Si)の画像とを分けて形成する場合には、濃度の高い原稿画像が形成された面の側の下層にシルバートナー(Si)の画像を形成し、濃度の低い原稿画像が形成された面の下層に白色トナー(W)の画像を形成するのが好ましい。原稿画像の濃度が高い場合には、シルバートナーの画像による色くすみの影響が少ないためである。
すなわち、図14(A)~図14(D)に示したような順番で各色のトナー画像が形成された場合には、透明フィルムRの背後の物体の色の影響や透明フィルムRの裏面の色の影響がシルバートナー(Si)の画像により反射されて隠蔽されて裏写りが防止される。また、シルバートナーの画像は無彩色であるため白色トナーの画像の下地画像として用いてもシルバートナーの色の影響を受けにくい。このため、基本色トナー(CMYK)により形成された画像の色味が本来の色味のまま維持される色再現性を高めることができる。
また、図14(C)及び図14(D)に示したように、透明フィルムRの表面と裏面に白色トナー(W)の画像とシルバートナー(Si)の画像とを分けて形成することにより、ラチチュードを広げて転写工程や定着不良を抑制することができる。
また、制御部50が、原稿画像の濃度に応じて、下地画像として形成するシルバートナーのトナー量と白色トナーのトナー量が異なるように制御することにより、下地画像のトナー量を抑制して、画像形成の際の転写工程や定着工程における弊害を防止しつつ、隠蔽性を十分に確保して裏写りを防止することができる。
次に、本実施形態の画像形成装置10の他の実施形態について説明する。
図15は、本発明の第2の実施形態の画像形成装置100の外観構成を示す図である。
第2の実施形態に係る画像形成装置100は、上述した画像形成装置10の第1の画像形成装置10Aにおける画像形成ユニット12の位置が異なる。具体的には、画像形成装置10における白色トナー(W)の画像形成ユニット12とシルバートナー(Si)の画像形成ユニット12の装着位置を交換する。すなわち、第1の画像形成装置10Aにおいて、それぞれの画像形成ユニット12により、シルバートナー(Si)と白色トナー(W)がこの順序で中間転写ベルト14に一次転写して重畳して形成され、二次転写装置34により中間転写ベルト14から記録媒体にトナー像が一括して二次転写される。そして、二次転写された記録媒体の下地画像が定着装置36によって定着され、下地画像が定着された記録媒体が排出口32から排出され、第2の画像形成装置10Bにおいて下地画像が形成された記録媒体上に原稿画像が追刷りされる。
図16(A)及び図16(B)は、第2の実施形態に係る画像形成装置100を用いて画像が形成された記録媒体である透明フィルムRの要部拡大断面図の一例である。図16(A)及び図16(B)において、透明フィルムRに対して上側から視認者が視認するように画像が形成されている。
画像形成装置100によれば、図16(A)に示されるように、透明フィルムRの表面に原稿画像としての基本色トナー(CMYK)の画像が形成される。そして、透明フィルムRの裏面の最下層に下地画像としての白色トナー(W)の画像が形成され、その上に下地画像としてのシルバートナー(Si)の画像が形成される。
視認者が図16(A)に示す透明フィルムRを表面側から視認した場合には、表面側から入射された光(入射光)は、基本色トナー(CMYK)の画像の表面で一部が反射光として反射されて、一部が透明フィルムを透過して裏面側に形成された白色トナー(W)の画像との界面で反射光として反射される。また、裏面側の白色トナー(W)の画像の上にはシルバートナー(Si)の画像が形成されているため、透明フィルムRの背後の物体の色の影響がシルバートナー(Si)の画像により隠蔽される。
また、画像形成装置100によれば、図16(B)に示されるように、透明フィルムRの表面に原稿画像としての基本色トナー(CMYK)の画像が形成される。そして、透明フィルムRの裏面の最下層に下地画像としての白色トナー(W)の画像が形成され、その上に下地画像としてのシルバートナー(Si)の画像が形成され、その上に原稿画像としての基本色トナー(CMYK)の画像が形成される。
視認者が図16(B)に示す透明フィルムRを表面側から視認した場合には、表面側から入射された光(入射光)は、基本色トナー(CMYK)の画像の表面で一部が反射光として反射されて、一部が透明フィルムを透過して裏面側に形成された白色トナー(W)の画像との界面で反射光として反射される。また、裏面側の白色トナー(W)の上にはシルバートナー(Si)の画像が形成されているため、透明フィルムRの裏面に形成された基本色トナー(CMYK)の画像の色の影響がシルバートナー(Si)の画像により隠蔽される。
なお、図16(B)に示すように透明フィルムRの表面側と裏面側の両面に原稿画像を形成する場合には、濃度の高い原稿画像の下層にシルバートナー(Si)の画像を形成するのが好ましい。原稿画像の濃度が高い場合には、シルバートナーの画像による色くすみの影響が少ないためである。
すなわち、図16(A)及び図16(B)に示したような順番で各色のトナー画像が形成された場合には、透明フィルムRの背後の物体の色の影響や、透明フィルムRの裏面に形成された基本色トナー(CMYK)の画像の色の影響がシルバートナー(Si)の画像により反射されて隠蔽されて裏写りが防止される。また、シルバートナーの画像は無彩色であるため白色トナーの画像の下地画像として用いてもシルバートナーの色の影響を受けにくい。このため、基本色トナー(CMYK)により形成された画像の色味が本来の色味のまま維持される色再現性を高めることができる。
また、制御部50が、原稿画像の濃度に応じて、下地画像として形成するシルバートナーのトナー量と白色トナーのトナー量が異なるように制御することにより、下地画像のトナー量を抑制して、画像形成の際の転写工程や定着工程における弊害を防止しつつ、隠蔽性を十分に確保して裏写りを防止することができる。
図17は、本発明の第3の実施形態の画像形成装置200の外観構成を示す図である。
第3の実施形態に係る画像形成装置200は、上述した第2の実施形態の画像形成装置100の第1の画像形成装置10Aと第2の画像形成装置10Bの位置が異なる。具体的には、第1の画像形成装置10Aの記録媒体搬送方向上流側に第2の画像形成装置10Bが接続されている。すなわち、第2の画像形成装置10Bにおいて原稿画像が前刷りされた後で、第1の画像形成装置10Aにおいて下地画像を追刷りする。具体的には、第2の画像形成装置10Bにおいて原稿画像が形成された記録媒体が第1の画像形成装置10Aに搬入され、この第1の画像形成装置10Aにおいて、それぞれの画像形成ユニット12により、シルバートナー(Si)と白色トナー(W)がこの順序で中間転写ベルト14に一次転写して重畳して形成され、二次転写装置34により中間転写ベルト14から原稿画像が形成された記録媒体にトナー像が一括して二次転写される。そして、二次転写された記録媒体の下地画像が定着装置36によって定着され、原稿画像上に下地画像が定着された記録媒体が排出口32から排出される。
図18は、第3の実施形態に係る画像形成装置200を用いて画像が形成された記録媒体としての透明フィルムRの要部拡大断面図の一例である。透明フィルムRには、原稿画像及び下地画像が形成された側の反対側(図18において下側)から視認者が視認するように画像が形成されている。
画像形成装置200によれば、図18に示されるように、透明フィルムRの最下層に原稿画像としての基本色トナー(CMYK)の画像が形成され、その上に下地画像としての白色トナー(W)の画像が形成され、その上に下地画像としてのシルバートナー(Si)の画像が形成されている。つまり、透明フィルムR上に形成される画像が、視認者の視認方向の手前側から基本色トナー(CMYK)の画像、白色トナー(W)の画像、シルバートナー(Si)の画像の順に重畳して形成される。言い換えれば、基本色トナー(CMYK)の画像の下地層として、基本色トナー(CMYK)の画像に近い側から、白色トナー(W)の画像、シルバートナー(Si)の画像の順に重畳して形成される。
視認者が図18に示す透明フィルムRを視認した場合には、視認方向から入射された光(入射光)は、透明フィルムを透過して、基本色トナー(CMYK)の画像の表面で一部が反射光として反射されて、さらに一部が白色トナー(W)の画像との界面で反射光として反射される。また、白色トナー(W)の画像上にはシルバートナー(Si)の画像が形成されているため、透明フィルムRの背後の物体の色の影響がシルバートナー(Si)の画像により隠蔽されて裏写りが防止される。
すなわち、図18に示したような順番で透明フィルム上に各色のトナー画像が形成された場合には、透明フィルムRの背後の物体の色の影響がシルバートナー(Si)の画像により反射されて隠蔽される。また、シルバートナーの画像は無彩色であるため白色トナーの画像の下地画像として用いてもシルバートナーの色の影響を受けにくい。このため、基本色トナー(CMYK)により形成された画像の色味が本来の色味のまま維持される色再現性を高めることができる。
また、制御部50が、原稿画像の濃度に応じて、下地画像として形成するシルバートナーのトナー量と白色トナーのトナー量が異なるように制御することにより、下地画像のトナー量を抑制して、画像形成の際の転写工程や定着工程における弊害を防止しつつ、隠蔽性を十分に確保して裏写りを防止することができる。
図19は、本発明の第4の実施形態の画像形成装置300の外観構成を示す図である。
第4の実施形態に係る画像形成装置300は、図19に示されるように、6つの画像形成ユニット12を備えている。そして、それぞれの画像形成ユニット12により、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)、ホワイト(W)及びシルバー(Si)の各色トナーがこの順序で中間転写ベルト14に一次転写して重畳して形成され、二次転写装置34により中間転写ベルト14から記録媒体にトナー像が一括して二次転写される。そして、二次転写された記録媒体の画像が定着装置36によって定着され、画像が定着された記録媒体は排出口32から排出される。
画像形成装置300によれば、上述した画像形成装置10と同様に、図3、図13及び図14に示されるように、透明フィルムR上に形成される画像が、視認者の視認方向の手前側から基本色トナー(CMYK)の画像、白色トナー(W)の画像、シルバートナー(Si)の画像の順に重畳して形成される。言い換えれば、基本色トナー(CMYK)の画像の下地層として、基本色トナー(CMYK)の画像に近い側から、白色トナー(W)の画像、シルバートナー(Si)の画像の順に重畳して形成される。
つまり、上述した画像形成装置300を用いて図3、図13及び図14に示したような順番で各色のトナー画像が形成された場合に、透明フィルムRの背後の物体の色や透明フィルムRの裏面の色の影響がシルバートナー(Si)の画像により隠蔽される。また、シルバートナーの画像は無彩色であるため白色トナーの画像の下地画像として用いてもシルバートナーの色の影響を受けにくい。このため、基本色トナー(CMYK)により形成された画像の色味が本来の色味のまま維持される色再現性を高めることができる。
また、制御部50が、原稿画像の濃度に応じて、下地画像として形成するシルバートナーのトナー量と白色トナーのトナー量が異なるように制御することにより、下地画像のトナー量を抑制して、画像形成の際の転写工程や定着工程における弊害を防止しつつ、隠蔽性を十分に確保して裏写りを防止することができる。
なお、上述の画像形成装置300において、画像形成ユニット12の装着位置を変更して用いることにより、図16(A)、図16(B)又は図18に示したような順番で各色トナーの画像を形成することができ、この場合でも本発明を適用することができる。
[変形例]
上記実施形態では、下地画像として白色トナーとシルバートナーを用いて印刷を行う画像形成装置に対して適用した場合を用いて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、白色トナーとゴールドトナー等の白色トナーと金属光沢色であるメタリックトナーを用いて印刷を行う場合でも同様に本発明を適用することができるものである。
また、上記実施形態では、下地画像としてシルバートナー等のメタリックトナーを用いて印刷を行う画像形成装置に対して適用した場合を用いて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、トナー以外の色材であってもパール色材やマイカ色材等の光輝性色材を用いて印刷を行う場合であれば同様に本発明を適用することができるものである。
また、上記実施形態では、下地画像として白色トナーとシルバートナーを用いて印刷を行う画像形成装置に対して適用した場合を用いて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、基本色トナー等の画像の下地になるような例えば水色、ピンク色等の淡色等の下地色トナーとシルバートナー等のメタリックトナーを用いて印刷を行う場合でも同様に本発明を適用することができるものである。
さらに、上記実施形態では、記録媒体として透明フィルムに対して印刷を行った場合を用いて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、裏写りしやすい薄紙等に対して印刷を行う場合であれば同様に本発明を適用することができるものである。