本出願は、タンパク質の単一C末端アミノ酸を加水分解する亜鉛結合酵素であるカルボキシペプチダーゼD(CpD)がFcドメインC末端リジンプロセシング(すなわち、切断)に関与する唯一のカルボキシペプチダーゼであるという驚くべき所見に基づく。具体的には、質量分析を使用して、我々は、FcドメインC末端リジン切断がCpDノックアウト細胞において完全に消失されたことを示し、したがって、CpDがCHO細胞において抗体FcドメインC末端リジンを切断する唯一の内因性カルボキシペプチダーゼであることを示す。
したがって、本出願は、低減されたCpD発現レベルを有する宿主細胞を使用することによる、各Fcドメイン上にC末端リジンを有するFc含有タンパク質の産生方法を提供する。かかる方法によって産生された生成物は、FcドメインC末端リジンの存在において100%の均質性をもたらすことができる。かかる方法は、FcドメインC末端リジンの存在の状態に対する産生条件の変更の作用を考慮する必要性を排除し、したがって、Fc含有タンパク質の製造プロセスを非常に容易にする。例えば、Fc含有タンパク質のかかる産生方法を使用することにより、複数の産生バッチにわたって比較したとき(例えば、複数の臨床用及び商業用バッチの比較)、FcドメインC末端リジンの存在の変動を最小にするために細胞培養条件を最適化する必要性を排除する。加えて、例えば、Fc含有タンパク質のかかる産生方法を使用することにより、FcドメインC末端リジンの存在の変動を最小にすることと、Fc含有タンパク質の他の特性の変動及び状態(例えば、Fc含有タンパク質の力価及び翻訳後修飾の存在)とのバランスをとるために、細胞培養条件を最適化する必要性を排除する。さらに、Fc含有タンパク質のかかる産生方法は一般的に、Fc含有タンパク質の後の分析を容易にする。例えば、Fc含有タンパク質のかかる産生方法を使用することにより、不均一なFcドメインC末端リジンの存在を伴う複数のFc含有タンパク質の電荷変異型をアッセイするための追加ステップ(例えば、全てのFcドメインC末端リジンを除去するためにCpBとインキュベートすることを伴うステップなど)を組み込む必要性を排除する。
さらに、FcドメインC末端リジンを保持することにより、Fc含有タンパク質産生中のFcドメインC末端アミノ酸の後の改変が阻害される場合がある。例えば、IgG1、IgG2、及びIgG3免疫グロブリンの保存されたFcドメインC末端アミノ酸配列は、プロリン-グリシン-リジンである。FcドメインC末端リジンの切断は、末端グリシンを生成し、ペプチジルグリシンα-アミド化モノオキシゲナーゼがIgG1、IgG2、及びIgG3においてグリシン残基を除去し、プロリンにアミド部分を付加する2ステップアミド化反応を触媒することを可能にする(この酵素の活性は、培養培地中の銅濃度にも依存する)。FcドメインC末端プロリンのアミド化及びその程度は、Fc含有タンパク質の集団内で電荷変異型をさらに生成し得る。
したがって、本出願は、一態様では、Fc含有タンパク質の発現のための宿主細胞を提供し、この宿主細胞は、低減されたカルボキシペプチダーゼD(CpD)発現レベルを有する。本出願は、別の態様では、宿主細胞を含む細胞培養系を提供する。本出願は、また別の態様では、宿主細胞の産生方法を提供し、本方法は、宿主細胞におけるCpD遺伝子を不活性化し、それにより、宿主細胞を産生することを含む。本出願は、また別の態様では、宿主細胞を培養することと、宿主細胞によって発現されたFc含有タンパク質を得ることと、を含む、Fc含有タンパク質の作製方法を提供する。本出願は、また別の態様では、複数のFc含有タンパク質を含む組成物を提供し、組成物における実質的に全てのFc含有タンパク質は、各Fcドメイン上にC末端リジンを有する。本出願は、また別の態様では、個体に組成物を投与することを含む、治療を必要とする個体における疾患の治療方法を提供し、この組成物は、各Fcドメイン上にC末端リジンを有する複数のFc含有タンパク質を含む薬学的組成物である。
定義
本明細書で使用されるとき、「Fcドメイン」は、免疫グロブリン重鎖またはそのC末端断片のFc領域を指す。本用語は、野生型Fcドメイン及び変異型Fcドメインを含む。いくつかの実施形態では、ヒトIgG重鎖Fcドメインは、Cys226またはPro230から、重鎖のカルボキシル末端に及ぶ(アミノ酸の番号は、Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD,1991に記載される、EUインデックスとも呼ばれるEU番号付けシステムに従う)。いくつかの実施形態では、本用語は、免疫グロブリン重鎖及び1つ以上の定常領域のC末端断片を含む。いくつかの実施形態では、IgGに関して、Fcドメインは、免疫グロブリンドメインのCH2及びCH3、ならびにCH1とCH2との間にヒンジを含み得る。
本明細書で使用されるとき、「Fc含有タンパク質」は、Fcドメインを含むタンパク質(例えば、抗体またはFc含有融合タンパク質)を指す。いくつかの実施形態では、Fc含有タンパク質は、1つ以上のタンパク質サブユニットを含む。いくつかの実施形態では、Fc含有タンパク質は、1つ以上のポリペプチドを含む。
本明細書で使用されるとき、「Fc含有融合タンパク質」は、少なくとも1つの他の異種タンパク質ユニットまたはポリペプチドに融合されたFcドメインを含むタンパク質を指す。
本明細書で使用される「ポリペプチド」という用語は、単一のポリペプチド鎖を指す。
本明細書で使用される「重鎖」という用語は、免疫グロブリン重鎖を指す。
「抗体」という用語は、本明細書で最も広義に使用され、それらがFcドメインを含む限り、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、及び抗体断片を含むが、これらに限定されない、種々の抗体構造を包含する。
「キメラ」抗体という用語は、重鎖及び/または軽鎖の一部が特定の源または種に由来し、一方で重鎖及び/または軽鎖の残りが異なる源または種に由来する抗体を指す。
「ヒト抗体」は、ヒトもしくはヒト細胞によって産生された抗体、またはヒト抗体レパートリーもしくは他のヒト抗体コード配列を利用する非ヒト源に由来する抗体のアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列を保有するものである。ヒト抗体のこの定義は、非ヒト抗原結合残基を含むヒト化抗体を明確に除外する。
「ヒト化」抗体は、非ヒト超可変領域(HVR)由来のアミノ酸残基及びヒトフレームワーク(FR)由来のアミノ酸残基を含む、キメラ抗体を指す。ある特定の実施形態では、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含み、そのHVR(例えば、CDR)の全てまたは実質的に全てが非ヒト抗体のものに対応し、そのFRの全てまたは実質的に全てがヒト抗体のものに対応する。ヒト化抗体は、任意に、ヒト抗体に由来する抗体定常領域の少なくとも一部を含んでもよい。抗体、例えば非ヒト抗体の「ヒト化型」は、ヒト化を受けた抗体を指す。
本明細書で使用される「モノクローナル抗体」という用語は、実質的に同種の抗体の集団から得られる抗体を指し、すなわち、その集団を構成する個々の抗体は、同一であり、かつ/または同じエピトープに結合するが、例えば、天然に存在する変異を含有するか、またはモノクローナル抗体調製物の産生中に発生する可能な変異型抗体を除き、かかる変異型は、一般的、少量で存在する。異なる決定基(エピトープ)に対して指向される異なる抗体を典型的に含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、モノクローナル抗体調製物の各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基に対して指向される。したがって、「モノクローナル」という修飾語は、実質的に同種の抗体の集団から得られるときの抗体の特徴を示しており、いかなる特定の方法による抗体の産生を必要とするものとしても解釈されない。
本明細書で使用されるとき、「イムノアドヘシン」という用語は、異種タンパク質(「アドヘシン」)の結合特異性と免疫グロブリン定常ドメインのエフェクタ機能とを組み合わせた分子を指す。構造的に、イムノアドヘシンは、所望の結合特異性を有するアミノ酸配列(このアミノ酸配列は、抗体の抗原認識及び結合部位以外である(すなわち、抗体の定常領域と比較して「異種」である))と、免疫グロブリン定常ドメイン配列(例えば、IgGのCH2及び/またはCH3配列)との融合を含む。例示的なアドヘシン配列としては、目的とするタンパク質に結合する受容体またはリガンドの一部分を含む連続したアミノ酸配列が挙げられる。アドヘシン配列は、目的とするタンパク質に結合するが、受容体またはリガンド配列ではない配列(例えば、ペプチボディにおけるアドヘシン配列)でもあり得る。かかるポリペプチド配列は、ファージディスプレイ技法及び高スループット選別方法を含む種々の方法によって選択または特定され得る。イムノアドヘシン中の免疫グロブリン定常ドメイン配列は、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4サブタイプ、IgA(IgA1及びIgA2を含む)、IgE、IgD、またはIgMなどの任意の免疫グロブリンから得ることができる。
本明細書で使用されるとき、「宿主細胞」は、タンパク質またはポリペプチド産物を産生することができる細胞を指す。例えば、宿主細胞は、Fc含有タンパク質を産生する。
「個体」という用語は、哺乳動物を指し、ヒト、ウシ、ウマ、ネコ、イヌ、齧歯類、または霊長類を含むが、これらに限定されない。
本明細書で使用されるとき、「治療」または「治療する」は、臨床結果を含む有益なまたは所望の結果を得るためのアプローチである。本発明の目的に関して、有益なまたは所望の臨床結果には、以下のうちの1つ以上が含まれるが、これらに限定されない:疾患に起因する1つ以上の症状の軽減、疾患の程度の縮小、疾患の安定化(例えば、疾患の悪化の阻止もしくは遅延)、疾患の蔓延(例えば、転移)の阻止もしくは遅延、疾患の再発の阻止もしくは遅延、疾患の進行の遅延もしくは緩徐、疾患状態の回復、疾患の寛解(部分的もしくは完全)の提供、疾患の治療に必要とされる1つ以上の他の薬物の用量の減少、疾患の進行の遅延、生活の質の増加、及び/または生存の延長。本発明の方法は、治療のそれらの態様のうちの任意の1つ以上を企図する。
「治療有効量」は、少なくとも特定の障害の測定可能な改善をもたらすために必要な最小限の濃度である。治療有効量は、本明細書において、患者の病状、年齢、性別、及び体重、ならびに個体において所望の応答を引き起こすための抗体の能力などの因子によって変動し得る。治療有効量は、抗体の任意の毒性または有害な作用よりも治療的に有益な作用が上回ることでもある。「予防有効量」は、必要な投与量及び投与期間にて、所望の予防的結果を達成するのに有効な量を指す。典型的であって必ずしもそうではないが、疾患の早期段階前または早期段階で予防用量が対象において使用されるため、予防有効量は、治療有効量よりも少なくてもよい。
本明細書に記載される本発明の態様及び実施形態が、態様及び実施形態「からなる」ならびに/または「から本質的になる」を含むことが理解される。
本明細書において「約」値またはパラメータへの言及は、その値またはパラメータ自体を対象とする変動を含む(かつ記述する)。例えば、「約X」について言及する記述は、「X」の記述を含む。
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用されるとき、単数形「a(1つの)」、「or(または)」、及び「the(その)」は、文脈が別途明確に指示しない限り、複数の指示対象を含む。
宿主細胞
本出願は、Fc含有タンパク質の発現のための宿主細胞を提供し、この宿主細胞は、低減されたカルボキシペプチダーゼD(CpD)発現レベルを有する。
宿主細胞の中でも用いられるのは、酵母または高等真核細胞などの真核細胞である。高等真核細胞には、昆虫細胞及び哺乳類起源の確立された細胞株が含まれる。
好適な哺乳類宿主細胞の例としては、サル腎臓細胞(ATCC CRL 1651)のCOS-7株(Gluzman et al.,Cell,23,1981)、L細胞、293細胞、C127細胞、3T3細胞(ATCC CCL 163)、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、または無血清培地中で成長するVeggie CHO及び関連細胞株などのそれらの誘導体(Rasmussen et al.,Cytotechnology,28,1998)、HeLa細胞、BHK(ATCC CRL10)細胞系、ならびにMcMahan et al.,EMBO J,10,1991により記載されるアフリカミドリザル腎臓細胞株CVI (ATCC CCL 70)に由来するCVI/EBNA細胞株、293、293 EBNA、もしくはMSR 293などのヒト胚性腎臓細胞、ヒト上皮A431細胞、ヒトColo205細胞、他の形質転換された霊長類細胞株、正常な二倍体細胞、一次組織のインビトロ培養に由来する細胞株、一次外植体、HL-60、U937、HaK、またはJurkat細胞が挙げられる。任意に、例えば、HepG2/3B、KB、NIH 3T3、またはS49などの哺乳類細胞株が宿主細胞として使用され得る。
いくつかの実施形態では、宿主細胞は、CHO細胞である。CHO細胞は、当該技術分野において周知である。例えば、Xu et al.,Nat Biotechnol,29,2011を参照されたい。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、DP12宿主細胞である。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、DUXB-11由来DHFR欠損DP12宿主細胞である。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、CHOK1宿主細胞である。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、DHFR陽性CHOK1宿主細胞である。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、CHOK1M宿主細胞である。
いくつかの実施形態では、宿主細胞は、マウス宿主細胞である。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、Sp2/0宿主細胞である。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、NS0宿主細胞である。
いくつかの実施形態では、宿主細胞は、ハイブリドーマである。いくつかの実施形態では、ハイブリドーマは、抗体産生細胞であり、この抗体産生細胞は、抗原で宿主を免疫化した後に宿主から回収される。いくつかの実施形態では、抗体産生細胞は、骨髄腫細胞と融合される。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、マウス骨髄腫由来細胞株である。
あるいは、宿主細胞は、酵母などの下等真核生物であり得る。好適な酵母には、Saccharomyces cerevisiae、Schizosaccharomyces pombe、Kluyveromyces株、Candida、または異種ポリペプチドを発現することができる任意の酵母株が含まれる。
本明細書で使用されるとき、「低減されたCpD発現レベル」は、CpD遺伝子不活性化を伴わない野生型CpD遺伝子を含む宿主細胞と比較して、少なくとも60%低減したCpD発現レベルを指す。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、不活性化前の宿主細胞と比較して、少なくとも60%低減したCpD発現レベルを有する。いくつかの実施形態では、CpD発現レベルは、少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%低減される。いくつかの実施形態では、CpD発現レベルは、少なくとも95%低減される。いくつかの実施形態では、CpD発現レベルは、100%低減される。いくつかの実施形態では、CpD発現レベルは、約60%~100%、約70%~100%、約80%~100%、約90%~100%、または約95%~100%低減される。
いくつかの実施形態では、宿主細胞におけるCpD遺伝子は不活性化され、このCpD発現レベルの低減はDNAレベルに基づく。いくつかの実施形態では、宿主細胞におけるCpD遺伝子は不活性化され、このCpD発現レベルの低減はRNAレベルに基づく。いくつかの実施形態では、宿主細胞におけるCpD遺伝子は不活性化され、このCpD発現レベルの低減はポリペプチドレベルに基づく。
いくつかの実施形態では、宿主細胞におけるCpD遺伝子は不活性化され、低減された発現レベルは、遺伝子不活性化後のCpD発現レベルに基づく。いくつかの実施形態では、宿主細胞におけるCpD遺伝子は不活性化され、低減されたCpD発現レベルはDNAレベルに基づく。いくつかの実施形態では、宿主細胞におけるCpD遺伝子は不活性化され、低減された発現レベルはRNAレベルに基づく。いくつかの実施形態では、宿主細胞におけるCpD遺伝子は不活性化され、低減された発現レベルはポリペプチドレベルに基づく。
いくつかの実施形態では、宿主細胞におけるCpD遺伝子は不活性化され、このCpD発現レベルは少なくとも60%低減される。いくつかの実施形態では、宿主細胞におけるCpD遺伝子は不活性化され、このCpD発現レベルは少なくとも90%低減される。いくつかの実施形態では、宿主細胞におけるCpD遺伝子は不活性化され、このCpD発現レベルは少なくとも95%低減される。いくつかの実施形態では、宿主細胞におけるCpD遺伝子は不活性化され、このCpD発現レベルは100%低減される。
いくつかの実施形態では、宿主細胞におけるCpD遺伝子は不活性化される。本明細書で使用されるとき、「不活性化」は、遺伝子の翻訳または潜在的な後の翻訳(すなわち、タンパク質の発現)の阻害を指す。不活性化は、転写、翻訳、及びタンパク質発現を含むが、これらに限定されない遺伝子発現の任意の段階またはプロセスで生じ得、不活性化は、DNA、RNA(mRNAなど)、及びポリペプチドを含むが、これらに限定されない任意の遺伝子または遺伝子生成物に影響を及ぼし得る。
宿主細胞におけるCpD遺伝子を不活性化するための方法及び技法としては、低分子干渉RNA(siRNA)、低分子ヘアピン型RNA(shRNA;ショートヘアピンRNAとも称される)、クラスタ化された規則的に離間した短い回文配列リピート(CRISPR)、転写活性化因子様エフェクタヌクレアーゼ(TALEN)、亜鉛フィンガヌクレアーゼ(ZFN)、相同組換え、非相同末端結合、及びメガヌクレアーゼが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、O’Keefe,Mater Methods,3,2013、Doench et al.,Nat Biotechnol,32,2014、Gaj et al.,Trends Biotechnol,31,2014、及びSilva et al.,Curr Gene Ther,11,2011を参照されたい。
いくつかの実施形態では、CpD遺伝子は、低分子干渉RNA(siRNA)系によって不活性化される。CpD遺伝子不活性化に好適なsiRNA配列の特定方法は、当該技術分野において周知である。例えば、CpD遺伝子を標的とするsiRNAを開発及び特定するために一般的に考慮することには、a)好ましくは、長さが21~23ヌクレオチド(後に必要に応じて配列長さの低減が続く)である配列を最初に探すこと、b)開始コドン及び終止コドンの50~100塩基対内の領域を避けること、c)イントロン領域を避けること、d)4つ以上の塩基の伸長、例えば、AAAAを避けること、e)30%未満または60%を超えるGC含有量の領域を避けること、f)リピート及び複雑度が低い配列を避けること、g)単一ヌクレオチド多型部位を避けること、ならびにh)他の標的外遺伝子の配列に相補的である配列を避けることが含まれる。例えば、Rules of siRNA design for RNA interference,Protocol Online,May 29,2004及びReynolds et al.,Nat Biotechnol,22,2004を参照されたい。
いくつかの実施形態では、siRNA系は、長さが約10~200ヌクレオチド、または長さが約10~100ヌクレオチド、または長さが約15~100ヌクレオチド、または長さが約10~60ヌクレオチド、または長さが約15~60ヌクレオチド、または長さが約10~50ヌクレオチド、または長さが約15~50ヌクレオチド、または長さが約10~30ヌクレオチド、または長さが約15~30ヌクレオチドであるsiRNAヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、siRNAヌクレオチド配列は、長さがおよそ10~25ヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、siRNAヌクレオチド配列は、長さがおよそ15~25ヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、siRNAヌクレオチド配列は、長さが少なくとも約10、少なくとも約15、少なくとも約20、または少なくとも約25ヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、siRNA系は、CpD mRNA分子の領域に対して少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または100%相補的であるヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、siRNA系は、CpD pro-mRNA分子の領域に対して少なくとも少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または100%相補的であるヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、siRNA系は、2本鎖RNA分子を含む。いくつかの実施形態では、siRNA系は、1本鎖RNA分子を含む。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、本明細書の実施形態のいずれかに記載されるsiRNA系を含む。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、本明細書の実施形態のいずれかに記載される活性siRNA分子内に処理されるpro-siRNAヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、CpD mRNA分子の領域に対して少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または100%相補的であるsiRNAヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、本明細書の実施形態のいずれかに記載されるsiRNA分子をコードする発現ベクターを含む。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、本明細書の実施形態のいずれかに記載されるpro-siRNA分子をコードする発現ベクターを含む。
いくつかの実施形態では、siRNA系は、送達ベクターを含む。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、送達ベクターを含む。いくつかの実施形態では、送達ベクターは、pro-siRNA及び/またはsiRNA分子を含む。
例示的なCpD siRNA標的配列が表1に列挙される。
表1.例示的なCpD siRNA標的配列siRNA。
いくつかの実施形態では、CpD遺伝子は、低分子ヘアピン型RNA(shRNA;ショートヘアピンRNAとも称される)系によって不活性化される。shRNA系による遺伝子不活性化は、当該技術分野において周知である。いくつかの実施形態では、shRNA系は、長さが約10~200ヌクレオチド、または長さが約10~100ヌクレオチド、または長さが約15~100ヌクレオチド、または長さが約10~60ヌクレオチド、または長さが約15~60ヌクレオチド、または長さが約10~50ヌクレオチド、または長さが約15~50ヌクレオチド、または長さが約10~30ヌクレオチド、または長さが約15~30ヌクレオチドであるヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、shRNAヌクレオチド配列は、長さがおよそ10~25ヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、shRNAヌクレオチド配列は、長さがおよそ15~25ヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、shRNAヌクレオチド配列は、長さが少なくとも約10、少なくとも約15、少なくとも約20、または少なくとも約25ヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、shRNA系は、CpD mRNA分子の領域に対して少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または100%相補的であるヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、shRNA系は、CpD pro-mRNA分子の領域に対して少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または100%相補的であるヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、shRNA系は、2本鎖RNA分子を含む。いくつかの実施形態では、shRNA系は、1本鎖RNA分子を含む。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、本明細書の実施形態のいずれかに記載されるshRNA系を含む。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、本明細書の実施形態のいずれかに記載される活性shRNAヌクレオチド配列内に処理されるpre-shRNAヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、pro-shRNA分子はDNAから構成される。いくつかの実施形態では、pro-shRNA分子はDNA構築物である。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、CpD mRNA分子の領域に対して少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または100%相補的であるshRNAヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、本明細書の実施形態のいずれかに記載されるshRNA分子をコードする発現ベクターを含む。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、本明細書の実施形態のいずれかに記載されるpro-shRNA分子をコードする発現ベクターを含む。
いくつかの実施形態では、shRNA系は、送達ベクターを含む。いくつかの実施形態では、宿主は、送達ベクターを含む。いくつかの実施形態では、送達ベクターは、pro-shRNA及び/またはshRNA分子を含む。
いくつかの実施形態では、CpD遺伝子は、遺伝子欠失によって不活性化される。本明細書で使用されるとき、「遺伝子欠失」は、遺伝子から、またはそれに近接してDNA配列の少なくとも一部を除去することを指す。いくつかの実施形態では、遺伝子欠失を受ける配列は、遺伝子のエキソン配列を含む。いくつかの実施形態では、遺伝子欠失を受ける配列は、遺伝子のプロモータ配列を含む。いくつかの実施形態では、遺伝子欠失を受ける配列は、遺伝子の隣接配列を含む。いくつかの実施形態では、遺伝子配列の一部が遺伝子から除去される。いくつかの実施形態では、CpD遺伝子配列の一部がCpD遺伝子から、またはそれに近接して除去される。いくつかの実施形態では、完全な遺伝子配列が染色体から除去される。いくつかの実施形態では、完全なCpD配列が染色体から除去される。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、本明細書の実施形態のいずれかに記載される遺伝子欠失を含む。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、CpD遺伝子に遺伝子欠失を含む。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、CpD遺伝子に近接して遺伝子欠失を含む。
いくつかの実施形態では、CpD遺伝子は、遺伝子付加または置換よって不活性化される。本明細書で使用されるとき、「遺伝子付加」または「遺伝子置換」は、1つ以上のヌクレオチドもしくはヌクレオチド塩基対の挿入または置換を含む、遺伝子配列の改変を指す。いくつかの実施形態では、遺伝子のイントロン配列が改変される。いくつかの実施形態では、遺伝子のエキソン配列が改変される。いくつかの実施形態では、遺伝子のプロモータ配列が改変される。いくつかの実施形態では、遺伝子の隣接配列が改変される。いくつかの実施形態では、1つのヌクレオチドまたはヌクレオチド塩基対が遺伝子配列に付加される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの連続したヌクレオチドまたはヌクレオチド塩基対が遺伝子配列に付加される。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、本明細書の実施形態のいずれかに記載される遺伝子付加または置換を含む。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、CpD遺伝子に遺伝子付加または置換を含む。
いくつかの実施形態では、CpD遺伝子は遺伝子欠失によって不活性化され、遺伝子配列における少なくとも1つのヌクレオチドまたはヌクレオチド塩基対の欠失は、非機能性遺伝子生成物をもたらす。いくつかの実施形態では、CpD遺伝子は遺伝子欠失によって不活性化され、遺伝子配列に対する少なくとも1つのヌクレオチドの欠失は、元の遺伝子生成物の機能または活性をもはや有しない遺伝子生成物をもたらす。いくつかの実施形態では、CpD遺伝子は遺伝子欠失によって不活性化され、遺伝子配列に対する少なくとも1つのヌクレオチドの欠失は、機能不全遺伝子生成物をもたらす。
いくつかの実施形態では、CpD遺伝子は遺伝子付加または置換によって不活性化され、少なくとも1つのヌクレオチドまたはヌクレオチド塩基対のCpD遺伝子配列への付加またはその置換は、非機能性遺伝子生成物をもたらす。いくつかの実施形態では、CpD遺伝子は遺伝子不活性化によって不活性化され、CpD遺伝子配列に対する少なくとも1つのヌクレオチドの組み込みまたは置換は、元の遺伝子生成物の機能または活性をもはや有しない遺伝子生成物をもたらす。いくつかの実施形態では、CpD遺伝子は遺伝子付加または置換によって不活性化され、少なくとも1つのヌクレオチドのCpD遺伝子配列への組み込みまたはその置換は、機能不全遺伝子生成物をもたらす。
いくつかの実施形態では、宿主細胞は、非機能性CpD遺伝子生成物を含む。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、元のCpD遺伝子生成物の機能または活性を有しないCpD遺伝子生成物を含む。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、機能不全CpD遺伝子生成物を含む。
いくつかの実施形態では、宿主細胞は、不活性化されたCpD遺伝子を含み、この不活性化されたCpD遺伝子は、完全長かつ機能性CpD遺伝子生成物(例えば、完全長CpDポリペプチド配列)を発現しない。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、不活性化されたCpD遺伝子を含み、この不活性化されたCpD遺伝子は、内因性CpD遺伝子生成物配列を発現しない。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、不活性化されたCpD遺伝子を含み、この不活性化されたCpD遺伝子は、変異型CpD遺伝子生成物を発現する。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、変異型CpD遺伝子生成物を含む。
いくつかの実施形態では、宿主細胞は、送達ベクターを含む。いくつかの実施形態では、送達ベクターは、ウイルスベクターである。いくつかの実施形態では、送達ベクターは、レンチウイルスである。いくつかの実施形態では、送達ベクターは、アデノウイルスである。いくつかの実施形態において、ベクターは、プロモータを含む。
いくつかの実施形態では、宿主細胞は、安定したノックダウン宿主細胞である。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、安定したCpDノックダウン細胞株である。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、一過性のノックダウン細胞株である。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、一過性のCpDノックダウン細胞系である。
いくつかの実施形態では、宿主細胞は、CpD以外の不活性化された遺伝子をさらに含む。
一般的に、宿主細胞は、所望のFc含有タンパク質をコードするDNAを含む組換え発現ベクターで形質転換される。加えて、本出願の宿主細胞は、ブランク宿主細胞であってもよい。本明細書で使用されるとき、「ブランク宿主」は、Fc含有タンパク質をコードする発現ベクターを含有しない細胞を指す。いくつかの実施形態では、ブランク宿主細胞は、CHO細胞である。いくつかの実施形態では、ブランク宿主細胞は、マウス細胞である。
また、本明細書に記載されるFc含有タンパク質をコードする核酸を含む宿主細胞が本出願によって提供される。本発明によって提供される核酸分子は、1本鎖及び2本鎖両方の形態のDNA及びRNA、ならびに対応する相補配列を含む。DNAには、例えば、cDNA、ゲノムDNA、化学合成されたDNA、PCRによって増幅されたDNA、及びそれらの組み合わせが含まれる。本発明の核酸分子は、完全長遺伝子またはcDNA分子、ならびにそれらの断片の組み合わせを含む。本明細書に提供される核酸は、好ましくは、ヒト源に由来する。
本明細書の別の箇所に記述されるように、「単離された」核酸は、天然に生じる源から単離された核酸の場合、核酸が単離された生物のゲノムに存在する隣接遺伝子配列から単離された核酸である。例えば、PCR生成物、cDNA分子、またはオリゴヌクレオチドなどのテンプレートから酵素的に、または化学的に合成された核酸の場合、かかるプロセスから得られた核酸は単離された核酸であることを理解されたい。単離された核酸分子は、別個の断片の形態の、またはより大きい核酸構築物の構成成分としての核酸分子を指す。
ある特定の実施形態では、核酸は、汚染内因性物質を実質的に含まない。核酸分子は、好ましくは、実質的に純粋な形態で、かつ標準的な生化学方法(Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2nd ed.,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,NY(1989)に概説されるものなど)によりその構成成分であるヌクレオチド配列の特定、操作、及び回収を可能にする量及び濃度で少なくとも一度単離されたDNAまたはRNAに由来している。かかる配列は、好ましくは、真核遺伝子に典型的に存在する内部非翻訳配列またはイントランによって中断されていないオープンリーディングフレームの形態で提供及び/または構築される。非翻訳DNAの配列は、それがコード領域の操作または発現に干渉しないオープンリーディングフレームから5’または3’に存在し得る。
いくつかの実施形態では、宿主細胞は、Fc含有タンパク質を発現することができる。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、Fc含有タンパク質を含む。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、Fc含有タンパク質を分泌することができる。
いくつかの実施形態では、宿主細胞は、CpD遺伝子不活性化前の宿主細胞と類似する出力速度でFc含有タンパク質を発現することができる。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、CpD遺伝子不活性化前の宿主細胞と同じ出力速度でFc含有タンパク質を発現することができる。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、CpD遺伝子不活性化前の宿主細胞の約70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%の出力速度でFc含有タンパク質を発現することができる。
いくつかの実施形態では、宿主細胞は、遺伝子修飾をさらに含む。遺伝子修飾を介してFc含有タンパク質を産生する目的のための宿主細胞の最適化は、当該技術分野において周知であり、例えば、グリコシル化パターン、統合方法のためのベクター選択性質、及びFc含有タンパク質の産生のための操作に望ましいであろう任意の他の細胞性質を付与すると考えられるものを含む。いくつかの実施形態では、遺伝子修飾は、標的遺伝子修飾である。いくつかの実施形態では、遺伝子修飾は、ノックアウト遺伝子修飾である。いくつかの実施形態では、遺伝子修飾は、ノックイン遺伝子修飾である。
Fc含有タンパク質
本出願は、Fc含有タンパク質を提供し、Fc含有タンパク質の各FcドメインはC末端リジンを有する。
いくつかの実施形態では、Fc含有タンパク質は、Fcドメインを含む。いくつかの実施形態では、Fc含有タンパク質は、1つ以上のFcドメインを含む。いくつかの実施形態では、Fc含有タンパク質は、2つのFcドメインを含む。
いくつかの実施形態では、Fc含有タンパク質は、重鎖を含む。いくつかの実施形態では、Fc含有タンパク質は、少なくとも1本の重鎖を含む。いくつかの実施形態では、Fc含有タンパク質は、1本以上の重鎖を含む。いくつかの実施形態では、Fc含有タンパク質は、2本の重鎖を含む。
いくつかの実施形態では、Fc含有タンパク質はFcドメインを含み、このFcドメインはC末端リジンを含む。いくつかの実施形態では、Fc含有タンパク質は、少なくとも1つのFcドメインを含み、各FcドメインはC末端リジンを含む。いくつかの実施形態では、Fc含有タンパク質は、1つ以上のFcドメインを含み、各FcドメインはC末端リジンを含む。いくつかの実施形態では、Fc含有タンパク質は、2つのFcドメインを含み、各FcドメインはC末端リジンを含む。
いくつかの実施形態では、Fc含有タンパク質は重鎖を含み、この重鎖はC末端リジンを含む。いくつかの実施形態では、Fc含有タンパク質は、少なくとも1本の重鎖を含み、各重鎖はC末端リジンを含む。いくつかの実施形態では、Fc含有タンパク質は1本以上の重鎖を含み、各重鎖はC末端リジンを含む。いくつかの実施形態では、Fc含有タンパク質は2本の重鎖を含み、各重鎖はC末端リジンを含む。
いくつかの実施形態では、Fc含有タンパク質は、多量体タンパク質である。
いくつかの実施形態では、Fc含有タンパク質は抗体である。いくつかの実施形態では、抗体はヒト抗体である。いくつかの実施形態では、抗体はヒト化抗体である。いくつかの実施形態では、抗体はモノクローナル抗体である。いくつかの実施形態では、抗体はキメラ抗体である。いくつかの実施形態では、抗体は二重特異性抗体である。いくつかの実施形態では、抗体は多重特異性抗体である。
いくつかの実施形態では、Fc含有タンパク質はFc含有融合タンパク質である。いくつかの実施形態では、Fc含有融合タンパク質は、1つ以上のFcドメインを含む。いくつかの実施形態では、Fc含有融合タンパク質は、1つ以上のFcドメインを含み、各々C末端リジンを含む。
いくつかの実施形態では、Fc含有融合タンパク質のFcドメインは、Fc含有融合タンパク質の血漿半減期を延長する。いくつかの実施形態では、Fc含有融合タンパク質のFcドメインは、Fc含有融合タンパク質の生物学的活性を延長する。いくつかの実施形態では、Fc含有融合タンパク質のFcドメインは、Fc含有融合タンパク質の腎クリアランスの速度を減少させる。いくつかの実施形態では、Fc含有融合タンパク質のFcドメインは、Fc含有融合タンパク質の溶解度を増加させる。いくつかの実施形態では、Fc含有融合タンパク質のFcドメインは、Fc含有融合タンパク質の安定度を増加させる。
Fc含有融合タンパク質は、当該技術分野において周知である。例えば、Czajkowsky et al.,EMBO Mol Med,4,2012を参照されたい。いくつかの実施形態では、Fc含有融合タンパク質はイムノアドヘシンである。いくつかの実施形態では、Fc含有融合タンパク質は、サイトカイン-Fc融合タンパク質である。
いくつかの実施形態では、Fc含有タンパク質は、薬剤にコンジュゲートされる。いくつかの実施形態では、Fc含有タンパク質は、薬剤の少なくとも約2、3、4、5、6、7、8、9、または10個の分子にコンジュゲートされる。いくつかの実施形態では、Fc含有タンパク質は、薬剤の約2~10個、約4~10個、約6~10個、または約8~10個の分子にコンジュゲートされる。いくつかの実施形態では、Fc含有タンパク質は薬剤にコンジュゲートされ、この薬剤はFc含有タンパク質のFcドメインにコンジュゲートされる。いくつかの実施形態では、薬剤は、治療薬である。いくつかの実施形態では、治療薬は、小分子治療薬である。いくつかの実施形態では、治療薬は、化学療法薬である。いくつかの実施形態では、薬剤は、検出剤である。いくつかの実施形態では、検出剤は、放射標識である。いくつかの実施形態では、検出剤は、蛍光標識である。いくつかの実施形態では、検出剤は、免疫標識である。いくつかの実施形態では、Fc含有タンパク質は、コンパニオン診断薬である。
いくつかの実施形態では、Fc含有タンパク質は、IgG1 Fcドメインを含む。いくつかの実施形態では、Fc含有タンパク質は、C末端リジンを含むIgG1 Fcドメインを含む。いくつかの実施形態では、Fc含有タンパク質は、1つ以上のIgG1 Fcドメインを含む。いくつかの実施形態では、Fc含有タンパク質は、1つ以上のIgG1 Fcドメインを含み、各FcドメインはC末端リジンを含む。いくつかの実施形態では、Fc含有タンパク質は、IgG1重鎖を含む。いくつかの実施形態では、Fc含有タンパク質は、C末端リジンを含むIgG1重鎖を含む。いくつかの実施形態では、Fc含有タンパク質は、1本以上のIgG1重鎖を含む。いくつかの実施形態では、Fc含有タンパク質は、1本以上のIgG1重鎖を含み、各重鎖はC末端リジンを含む。
いくつかの実施形態では、Fc含有タンパク質は、IgG2 Fcドメインを含む。いくつかの実施形態では、Fc含有タンパク質は、C末端リジンを含むIgG2 Fcドメインを含む。いくつかの実施形態では、Fc含有タンパク質は、1つ以上のIgG2 Fcドメインを含む。いくつかの実施形態では、Fc含有タンパク質は、1つ以上のIgG2 Fcドメインを含み、各FcドメインはC末端リジンを含む。いくつかの実施形態では、Fc含有タンパク質は、IgG2重鎖を含む。いくつかの実施形態では、Fc含有タンパク質は、C末端リジンを含むIgG2重鎖を含む。いくつかの実施形態では、Fc含有タンパク質は、1本以上のIgG2重鎖を含む。いくつかの実施形態では、Fc含有タンパク質は、1本以上のIgG2重鎖を含み、各重鎖はC末端リジンを含む。
いくつかの実施形態では、Fc含有タンパク質は、IgG4 Fcドメインを含む。いくつかの実施形態では、Fc含有タンパク質は、C末端リジンを含むIgG4 Fcドメインを含む。いくつかの実施形態では、Fc含有タンパク質は、1つ以上のIgG4 Fcドメインを含む。いくつかの実施形態では、Fc含有タンパク質は、1つ以上のIgG4 Fcドメインを含み、各FcドメインはC末端リジンを含む。いくつかの実施形態では、Fc含有タンパク質は、IgG4重鎖を含む。いくつかの実施形態では、Fc含有タンパク質は、C末端リジンを含むIgG4重鎖を含む。いくつかの実施形態では、Fc含有タンパク質は、1本以上のIgG4重鎖を含む。いくつかの実施形態では、Fc含有タンパク質は、1本以上のIgG4重鎖を含み、各重鎖はC末端リジンを含む。
いくつかの実施形態では、Fc含有タンパク質は、翻訳後修飾を含む。いくつかの実施形態では、翻訳後修飾は、非酵素的にもたらされる。いくつかの実施形態では、翻訳後修飾は、酵素的にもたらされる。いくつかの実施形態では、翻訳後修飾は、ジスルフィド対合、脱アミド化、酸化、N末端グルタミン環化、及びグリコシル化からなる群から選択される。
複数のFc含有タンパク質を含む組成物
本出願は、別の態様では、複数のFc含有タンパク質を含む組成物を提供し、この複数のFc含有タンパク質の実質的に全てのFc含有タンパク質は、各Fcドメイン上にC末端リジンを有する。
本明細書で使用されるとき、「実質的に全て」という用語は、少なくとも約90%を指し、これには、例えば、95%または100%を含む。したがって、例えば、本組成物は、複数のFc含有タンパク質を含み、この複数のFc含有タンパク質の少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%のFc含有タンパク質が、各Fcドメイン上にC末端リジンを有する。いくつかの実施形態では、本組成物は、複数のFc含有タンパク質を含み、この複数のFc含有タンパク質の100%のFc含有タンパク質が、各Fcドメイン上にC末端リジンを有する。
いくつかの実施形態では、本組成物は、複数のFc含有タンパク質を含み、この複数のFc含有タンパク質の約90%~100%のFc含有タンパク質が、各Fcドメイン上にC末端リジンを有する。
いくつかの実施形態では、本組成物は、複数のFc含有タンパク質を含み、この複数のFc含有タンパク質の100%のFc含有タンパク質が、各Fcドメイン上にC末端リジンを有する。
いくつかの実施形態では、本組成物は、複数のFc含有タンパク質を含み、この複数のFc含有タンパク質の実質的に全てのFc含有タンパク質が、同じアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、本組成物は、複数のFc含有タンパク質を含み、この複数のFc含有タンパク質の実質的に全てのFc含有タンパク質が、同じFcドメインアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、本組成物は、複数のFc含有タンパク質を含み、この複数のFc含有タンパク質の実質的に全てのFc含有タンパク質が、同じ重鎖アミノ酸配列を有する。
いくつかの実施形態では、本組成物は、複数のFc含有タンパク質を含み、この複数のFc含有タンパク質の少なくとも約80%、85%、90%、95%、または100%のFc含有タンパク質が、同じアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、本組成物は、複数のFc含有タンパク質を含み、この複数のFc含有タンパク質の少なくとも約80%、85%、90%、95%、または100%のFc含有タンパク質が、同じFcドメインアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、本組成物は、複数のFc含有タンパク質を含み、この複数のFc含有タンパク質の少なくとも約80%、85%、90%、95%、または100%のFc含有タンパク質が、同じ重鎖アミノ酸配列を有する。
いくつかの実施形態では、本組成物は、複数のFc含有タンパク質を含み、この複数のFc含有タンパク質の少なくとも約90%~100%のFc含有タンパク質が、同じアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、本組成物は、複数のFc含有タンパク質を含み、この複数のFc含有タンパク質の少なくとも約90%~100%のFc含有タンパク質が、同じFcドメインアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、本組成物は、複数のFc含有タンパク質を含み、この複数のFc含有タンパク質の少なくとも約90%~100%のFc含有タンパク質が、同じ重鎖アミノ酸配列を有する。
いくつかの実施形態では、本組成物は、複数のFc含有タンパク質を含み、この複数のFc含有タンパク質の100%のFc含有タンパク質が、同じアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、本組成物は、複数のFc含有タンパク質を含み、この複数のFc含有タンパク質の100%のFc含有タンパク質が、同じFcドメインアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、本組成物は、複数のFc含有タンパク質を含み、この複数のFc含有タンパク質の100%のFc含有タンパク質が、同じ重鎖アミノ酸配列を有する。
いくつかの実施形態では、本組成物は、複数のFc含有タンパク質を含み、この複数のFc含有タンパク質は、荷電状態において実質的に均質である。本明細書で使用されるとき、「荷電状態において実質的に均質」は、少なくとも約80%、85%、90%、95%、または100%の複数のFc含有タンパク質が同じ電荷を有することを指す。Fc含有タンパク質の電荷(例えば、表面電荷及び正味電荷)は、該Fc含有タンパク質の分子組成に高度に依存することは十分に理解されよう。いくつかの実施形態では、本組成物は、荷電状態が実質的に均質である複数のFc含有タンパク質を含み、少なくとも約80%、85%、90%、95%、または100%の複数のFc含有タンパク質が、同じ表面電荷を有する。いくつかの実施形態では、本組成物は、荷電状態が実質的に均質である複数のFc含有タンパク質を含み、少なくとも約80%、85%、90%、95%、または100%の複数のFc含有タンパク質が、同じ正味電荷を有する。いくつかの実施形態では、本組成物は、荷電状態が実質的に均質である複数のFc含有タンパク質を含み、複数のFc含有タンパク質の各Fc含有タンパク質は、複数のFc含有タンパク質の各々にわたって比較したとき、アミノ酸配列の位置におけるアミノ酸残基上に同じ電荷(例えば、-1、0、+1)を有する。いくつかの実施形態では、本組成物は、荷電状態が実質的に均質である複数のFc含有タンパク質を含み、複数のFc含有タンパク質の各Fc含有タンパク質は、同じ表面電荷を有する。いくつかの実施形態では、本組成物は、荷電状態が実質的に均質である複数のFc含有タンパク質を含み、複数のFc含有タンパク質の各Fc含有タンパク質は、同じ正味電荷を有する。いくつかの実施形態では、本組成物は、荷電状態が実質的に均質である複数のFc含有タンパク質を含み、少なくとも約80%、85%、90%、95%、または100%の複数のFc含有タンパク質が、同じpIを有する。いくつかの実施形態では、電荷は、Fc含有タンパク質(例えば、アミノ酸残基)に関連する。いくつかの実施形態では、電荷は、Fc含有タンパク質の翻訳後修飾に関連する。
いくつかの実施形態では、本組成物は、薬学的組成物である。いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、貯蔵のための形態である。いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、生成物輸送のための形態である。いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、凍結される。いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、凍結乾燥される。いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、再構成される。いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、投与組成物である。いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、それを必要とする個体に投与するための形態である。
いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、減菌された薬学的組成物である。減菌された薬学的組成物は、当業者に既知である医薬グレードの減菌基準(例えば、United States Pharmacopeia Chapters 797、1072、及び1211;California Business&Professions Code 4127.7;16 California Code of Regulations 1751,21 Code of Federal Regulations 21、またはかかる規制に対するex-U.S.対応物)に従い配合または製造される。
いくつかの実施形態では、薬学的製剤は、安定した製剤である。本明細書で使用されるとき、「安定した」製剤は、含まれるFcタンパク質が貯蔵中に物理的及び化学的安定性及び完全性を本質的に保持するものである。タンパク質安定性を測定するための種々の分析技法が当該技術分野で利用可能であり、例えば、Jones,Adv Drug Delivery Rev,10,1993において考察されている。安定性は、選択された温度にて選択された期間評価することができる。例えば、貯蔵中の凝集の程度は、タンパク質安定性の指標として使用され得る。よって、「安定した」製剤は、Fc含有タンパク質の約10%未満、好ましくは約5%未満が製剤中に凝集物として存在するものであってよい。
いくつかの実施形態では、薬学的製剤は、再構成された製剤である。本明細書で使用されるとき、「再構成された」製剤は、Fc含有タンパク質が全体にわたって分散されるように、希釈剤中に凍結乾燥したFc含有タンパク質製剤を溶解することにより調製されたものである。再構成された製剤は、それを必要とする個体に投与するのに適している(例えば、静脈内または皮下投与)。
いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、等張製剤である。本明細書で使用されるとき、「等張」製剤は、ヒト血液と本質的に同じ浸透圧を有するものである。等張製剤は、一般的に、約250~350mOsmの浸透圧を有する。「低張」という用語は、ヒト血液の浸透圧よりも低い浸透圧を有する製剤を説明する。同様に、「高張」という用語は、ヒト血液の浸透圧よりも高い浸透圧を有する製剤を説明するために使用される。
いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、特定のpHである。いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、約5~7、約5~6、または約5~5.5のpHである。いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、約5.3のpHである。いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、約5.4のpHである。いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、pH調整される。
いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、薬学的に許容される担体をさらに含む。本明細書で使用されるとき、「薬学的に許容される担体」は、活性成分以外の薬学的組成物中の成分を指す。薬学的に許容される担体には、緩衝液、賦形剤、安定剤、または保存剤が含まれるが、これらに限定されない。薬学的に許容される担体は、一般的に、用いられる投与量及び濃度でレシピエントに非毒性であり、これには、緩衝液、例えば、リン酸、クエン酸、及び他の有機酸;アスコルビン酸及びメチオニンを含む酸化防止剤;保存剤(例えば、オクタデシルジメチルベンジル塩化アンモニウム;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム;塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチル、もしくはベンジルアルコール;アルキルパラベン、例えば、メチルもしくはプロピルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;及びm-クレゾール);低分子量(約10残基未満)のポリペプチド;タンパク質、例えば、血清アルブミン、ゼラチン、もしくは免疫グロブリン;親水性ポリマー、例えば、ポリビニルピロリドン;アミノ酸、例えば、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、もしくはリジン;単糖類、二糖類、及びグルコース、マンノース、もしくはデキストリンを含む他の炭水化物;キレート剤、例えば、EDTA;糖類、例えば、スクロース、マンニトール、トレハロース、もしくはソルビトール;塩形成対イオン、例えば、ナトリウム;金属錯体(例えば、Zn-タンパク質錯体);ならびに/または非イオン性界面活性剤、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)が含まれるが、これらに限定されない。本明細書における例示的な薬学的に許容される担体は、可溶性の中性活性ヒアルロニダーゼ糖タンパク質(sHASEGP)、例えば、rHuPH20(HYLENEX(登録商標)、Baxter International,Inc.)などのヒト可溶性PH-20ヒアルロニダーゼ糖タンパク質などの介在性薬物分散剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、薬学的に許容される担体は、酢酸ナトリウム、スクロース、ポリソルベート(例えば、ポリソルベート20)、コハク酸ナトリウム、ヒスチジン、HCl、及び塩化ナトリウムからなる群から選択される。
いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、薬学的に許容される酸をさらに含む。本明細書で使用されるとき、「薬学的に許容される酸」は、それらが製剤化される濃度及び様式において非毒性である無機及び有機酸を含む。例えば、好適な無機酸としては、塩化水素酸、過塩素酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、硫酸、スルホン酸、スルフィン酸、スルファニル酸、リン酸、炭酸等が挙げられる。好適な有機酸としては、直鎖及び分岐鎖アルキル、芳香族、環状、脂環式、アリール脂肪族、複素環式、飽和、不飽和のモノ、ジ、及びトリカルボン酸(例えばギ酸、酢酸、2-ヒドロキシ酢酸、トリフルオロ酢酸、フェニル酢酸、トリメチル酢酸、t-ブチル酢酸、アントラニル酸、プロパン酸、2-ヒドロキシプロパン酸、2-オキソプロパン酸、プロパン二酸、シクロペンタンプロピオン酸、シクロペンタンプロピオン酸、3-フェニルプロピオン酸、ブタン酸、ブタン二酸、安息香酸、3-(4-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、2-アセトキシ-安息香酸、アスコルビン酸、桂皮酸、ラウリル硫酸、ステアリン酸、ムコン酸、マンデル酸、コハク酸、エンボン酸、フマル酸、リンゴ酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、マロン酸、乳酸、クエン酸、酒石酸、グリコール酸、グリコン酸、グルコン酸、ピルビン酸、グリオキサル酸、シュウ酸、メシル酸、コハク酸、サリチル酸、フタル酸、パルモ酸、パルメイン酸、チオシアン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2-エタンジスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4-クロロベンゼンスルホン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、p-トルエンスルホン酸、カンファスルホン酸、4-メチルビシクロ[2,2,2]-オクト-2-エン-1-カルボン酸、グルコヘプトン酸、4,4’-メチレンビス-3-(ヒドロキシ-2-エン-1-カルボン酸)、ヒドロキシナフトエ酸を含む)が挙げられる。
いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、薬学的に許容される塩基をさらに含む。本明細書で使用されるとき、「薬学的に許容される塩基」は、それらが製剤化される濃度及び様式において非毒性である無機及び有機塩基を含む。例えば、好適な塩基としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アンモニウム、鉄、亜鉛、銅、マンガン、アルミニウムなどの無機塩基形成性金属から形成されるもの、N-メチルグルカミン、モルホリン、ピペリジン、及び有機非毒性塩基(第一級、第二級、及び第三級アミン、置換アミン、環状アミン、及び塩基性イオン交換樹脂、例えば、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、エタノールアミン、2-ジエチルアミノエタノール、トリメタミン、ジシクロヘキシルアミン、リジン、アルギニン、ヒスチジン、カフェイン、プロカイン、ヒドラバミン、コリン、ベタイン、エチレンジアミン、グルコサミン、メチルグルカミン、テオブロミン、プリン、ピペラジン、ピペリジン、N-エチルピペリジン、ポリアミン樹脂などを含む)を含む。特に好ましい有機非毒性塩基は、イソプロピルアミン、ジエチルアミン、エタノールアミン、トリメタミン、ジシクロヘキシルアミン、コリン、及びカフェインである。
本発明で使用することができるさらなる薬学的に許容される酸及び塩基としては、アミノ酸、例えば、ヒスチジン、グリシン、フェニルアラニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、リジン、及びアスパラギンに由来するものが挙げられる。
いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、薬学的に許容される緩衝液または塩、例えば、上記の酸及び塩基の酸及び塩基付加塩の両方に由来するものをさらに含む。具体的な緩衝液及び/または塩としては、ヒスチジン、コハク酸塩、及び酢酸塩が挙げられる。
いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、薬学的に許容される糖をさらに含む。本明細書で使用されるとき、「薬学的に許容される糖」は、Fc含有タンパク質と混合した場合に、貯蔵の際のFc含有タンパク質の化学的及び/または物理的不安定性を著しく妨げるかまたは低減する分子である。製剤を凍結乾燥させ、次いで再構成することを意図する場合、「薬学的に許容される糖類」は、「凍結乾燥保護剤」としても知られ得る。例示的な糖類及びそれらの対応する糖アルコールとしては、グルタミン酸一ナトリウムまたはヒスチジンなどのアミノ酸;ベタインなどのメチルアミン;硫酸マグネシウムなどのリオトロピックな塩;三価またはそれより高い分子量の糖アルコールなどのポリオール、例えばグリセリン、デキストラン、エリスリトール、グリセロール、アラビトール、キシリトール、ソルビトール、及びマンニトール;プロピレングリコール;ポリエチレングリコール;PLURONICS(登録商標);及びそれら組み合わせが挙げられる。さらなる例示的な凍結乾燥保護剤としては、グリセリン及びゼラチン、ならびに糖類のメリビオース、メレジトース、ラフィノース、マンノトリオース、及びスタキオースが挙げられる。還元糖類の例としては、グルコース、マルトース、ラクトース、マルツロース、イソ-マルツロース、及びラクツロースが挙げられる。非還元糖類の例としては、糖アルコール及び他の直鎖多価アルコールから選択されるポリヒドロキシ化合物の非還元グリコシドが挙げられる。好ましい糖アルコールは、モノグリコシド、特にラクトース、マルトース、ラクツロース、及びマルツロースなどの二糖類の還元により得られるそれらの化合物である。グリコシド側基は、グルコシドまたはガラクトシドのいずれかであり得る。糖アルコールのさらなる例は、グルシトール、マルチトール、ラクチトール、及びイソ-マルツロースである。好ましい薬学的に許容される糖類は、非還元糖類のトレハロースまたはスクロースである。薬学的に許容される糖類は、タンパク質がその物理的及び化学的な安定性及び完全性を貯蔵中(例えば再構成及び貯蔵の後)に本質的に保持することを意味する「保護量」(例えば凍結乾燥前)で製剤に添加される。
いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、薬学的に許容される保存剤をさらに含む。本明細書で使用されるとき、「薬学的に許容される保存剤」は、細菌の活性を低減するために本明細書の製剤に添加することができる化合物である。可能性のある保存剤の例としては、オクタデシルジメチルベンジル塩化アンモニウム、塩化ヘキサメトニウム、塩化ベンザルコニウム(アルキル基が長鎖化合物であるアルキルベンジルジメチル塩化アンモニウムの混合物)、及び塩化ベンゼトニウムが挙げられるが、これらに限定されない。他の型の保存剤としては、芳香族アルコール、例えば、フェノール、ブチル、及びベンジルアルコール、アルキルパラベン、例えば、メチルまたはプロピルパラベン、カテコール、レゾルシノール、シクロヘキサノール、3-ペンタノール、及びm-クレゾールが挙げられる。
いくつかの実施形態では、複数のFc含有タンパク質を含む組成物は、細胞培養培地であり、実質的に全てのFc含有タンパク質が、各Fcドメイン上にC末端リジンを有する。いくつかの実施形態では、細胞培養培地は、栄養培地である。栄養培地は、宿主細胞の成長に必要な全ての要素を含有する。いくつかの実施形態では、細胞培養培地は、最小培地である。最小培地は、例えば、一般的にアミノ酸を含まない、宿主細胞の成長が可能な最小栄養素を含有する。いくつかの実施形態では、細胞培養培地は、選択培地である。選択培地は、選択生物の成長を阻害する薬剤を含む。
いくつかの実施形態では、細胞培養培地は、細胞の支持及び/または成長のための細胞培養培地栄養素をさらに含む。いくつかの実施形態では、細胞培養培地栄養素は、例えば、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、炭水化物、金属及び鉱物、例えば、カルシウム、マグネシウム、鉄;微量金属、例えば、リン酸及び硫酸;緩衝液;pH指示薬、例えば、フェノールレッド、ブロモ-クレゾールパープル;ならびに抗菌剤から選択される。
いくつかの実施形態では、細胞培養培地は、宿主細胞をさらに含む。いくつかの実施形態では、培養培地は、実質的に宿主細胞を含まない。
いくつかの実施形態では、本組成物は、細胞溶解液である。いくつかの実施形態では、細胞溶解液は、複数のFc含有タンパク質及び宿主細胞構成成分を含む。いくつかの実施形態では、細胞溶解液は、遠心分離された細胞溶解液である。いくつかの実施形態では、細胞溶解液は、細胞溶解液の沈殿した部分及び細胞溶解液の上清部分を含む。いくつかの実施形態では、細胞溶解液は、細胞溶解液のペレット化された部分及び細胞溶解液の上清部分を含む。
いくつかの実施形態では、本組成物は、タンパク質精製カラムから溶出される。本明細書で使用されるとき、「溶出液」は、タンパク質精製カラムを通過する任意の流体を指す。いくつかの実施形態では、溶出液は、フロースルー流体から単離される流体を含む。いくつかの実施形態では、溶出液は、洗浄流体から単離される流体を含む。いくつかの実施形態では、溶出液は、1つ以上の洗浄流体から単離される流体を含む。いくつかの実施形態では、溶出液は、洗浄流体から単離される流体を含む。
Fc含有タンパク質を濃縮するためのタンパク質精製カラムは、当該技術分野において既知である。以下は、タンパク質精製カラムの例示的な種類である:免疫親和性、プロテインA、プロテインG、イオン交換、逆相、カチオン交換、強カチオン交換、アニオン交換、疎水性、混合様式、ヒドロキシルアパタイト、及びゲル濾過。
いくつかの実施形態では、本組成物は、Fc含有タンパク質のライブラリを含み、複数のFc含有タンパク質のうちの少なくとも2つのFc含有タンパク質は異なる。いくつかの実施形態では、ライブラリは、異なる抗原に結合する少なくとも2つのFc含有タンパク質を含む。いくつかの実施形態では、ライブラリは、異なるエピトープに結合する少なくとも2つのFc含有タンパク質を含む。いくつかの実施形態では、異なるFc含有タンパク質は、異なる容器に収容される。
いくつかの実施形態では、本発明は、少なくとも2、3、4、5、10、30、100、250、500、750、1000、2500、5000、7500、10000、25000、50000、75000、100000、250000、500000、750000、1000000、2500000、5000000、7500000、10000000、または10000000を超える異なるFc含有タンパク質を含むライブラリを提供する。
バッチ
本出願は、本明細書の実施形態に記載される組成物のいずれかの大規模なバッチ(例えば、製造規模での商業用バッチ(複数可))を提供する。
いくつかの実施形態では、バッチは、少なくとも約5g、10g、50g、100g、200g、300g、400g、500g、600g、700g、800g、900g、1,000g、1,500g、2,000g、2,500g、3,000g、3,500g、4,000g、4,500g、または5,000gの複数のFc含有タンパク質を含み、この複数のFc含有タンパク質の各Fc含有タンパク質は、各Fcドメイン上にC末端リジンを有する。いくつかの実施形態では、バッチは、少なくとも約5~5,000g、50~4,000g、または約100~1,000gの複数のFc含有タンパク質を含み、この複数のFc含有タンパク質の各Fc含有タンパク質は、各Fcドメイン上にC末端リジンを有する。
いくつかの実施形態では、バッチは、薬物貯蔵のための形態である。いくつかの実施形態では、バッチは、生成物輸送のための形態である。いくつかの実施形態では、バッチは、それを必要とする個体に投与するための形態である。いくつかの実施形態では、バッチは凍結乾燥される。いくつかの実施形態では、バッチは、薬剤にコンジュゲートされない。いくつかの実施形態では、バッチは、薬剤にコンジュゲートされる。いくつかの実施形態では、バッチは、製剤構成成分をさらに含む。
いくつかの実施形態では、バッチは、細胞培養培地である。いくつかの実施形態では、バッチは、細胞溶解液である。
いくつかの実施形態では、バッチまたはその一部は、容器中に存在する。いくつかの実施形態では、バッチまたはその一部は、バイアル中に存在する。いくつかの実施形態では、バッチまたはその一部は、複数のバイアル中に存在する。いくつかの実施形態では、バッチまたはその一部は、シリンジ中に存在する。
いくつかの実施形態では、バッチまたはその一部は、複数のバイアル中に存在し、各バイアルは、複数のFc含有タンパク質を含み、各Fc含有タンパク質は、各Fcドメイン上にC末端リジンを有する。いくつかの実施形態では、バッチまたはその一部は、複数のバイアル中に存在し、各バイアルは、複数のFc含有タンパク質を含み、各バイアル中の少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の複数のFc含有タンパク質が、各Fcドメイン上にC末端リジンを有する。いくつかの実施形態では、バッチまたはその一部は、複数のバイアル中に存在し、少なくとも約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%のバイアルは、各Fcドメイン上にC末端リジンを含む、少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の複数のFc含有タンパク質を含む。
いくつかの実施形態では、バッチは、単位投与量に分配される。本明細書で使用されるとき、「単位投与量」は、単回単位用量として投与することを意図したFc含有タンパク質の量である。いくつかの実施形態では、単回単位用量は、約1~約500mgのFc含有タンパク質である。いくつかの実施形態では、単位投与量は、容器にパッケージされる。いくつかの実施形態では、単位投与量は、バイアルにパッケージされる。
いくつかの実施形態では、商業用バッチのサイズは、臨床用バッチのサイズの約1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10倍を超えない。本明細書で使用されるとき、「商業用バッチ」は、商業用産生及び/または配給の目的のために完了された1回以上の産生運転中に産生されたFc含有タンパク質の量を指す。本明細書で使用されるとき、「臨床用バッチ」は、臨床試験の目的のために完了された1回以上の産生運転中に産生されたFc含有タンパク質の量を指す。いくつかの実施形態では、商業用バッチのサイズは、臨床用バッチのサイズの10倍を超えない。
いくつかの実施形態では、容器は、本明細書に記載される商業用バッチのアリコートを含み、この商業用バッチは、Fc含有タンパク質を含む組成物を含み、Fc含有タンパク質の各ドメインは、C末端リジンを有する。いくつかの実施形態では、バイアルは、本明細書に記載される商業用バッチのアリコートを含み、この商業用バッチは、Fc含有タンパク質を含む組成物を含み、Fc含有タンパク質の各ドメインは、C末端リジンを有する。いくつかの実施形態では、シリンジは、本明細書に記載される商業用バッチのアリコートを含み、この商業用バッチは、Fc含有タンパク質を含む組成物を含み、Fc含有タンパク質の各ドメインは、C末端リジンを有する。
細胞培養系
本発明は、本明細書の実施形態に記載される任意の宿主細胞を含む細胞培養系を提供する。
いくつかの実施形態では、細胞培養系は、Fc含有タンパク質の産生のための環境で宿主細胞を維持する。いくつかの実施形態では、細胞培養系は、成長のための環境で宿主細胞を維持する。
いくつかの実施形態では、細胞培養系は、種培養物を含む。いくつかの実施形態では、細胞培養系は、接種培養物を含む。いくつかの実施形態では、接種培養は、一次接種培養物である。いくつかの実施形態では、接種培養は、二次接種物である。いくつかの実施形態では、細胞培養系は、産生培養物を含む。
いくつかの実施形態では、細胞培養系は、特定の環境で宿主細胞を維持するための機構を含む。いくつかの実施形態では、特定の環境は、特定の温度である。いくつかの実施形態では、特定の温度は、約15℃~約45℃である。いくつかの実施形態では、特定の温度は、約30℃である。いくつかの実施形態では、特定の環境は、特定のpHである。いくつかの実施形態では、特定の環境は、特定の溶解された酸素濃度である。いくつかの実施形態では、特定の環境は、特定の栄養素レベルである。
いくつかの実施形態では、細胞培養物は、培養培地をさらに含む。いくつかの実施形態では、細胞培養系は、種培養物を含む。いくつかの実施形態では、培養培地は、接種培養物である。いくつかの実施形態では、接種培養培地は、一次接種培養培地である。いくつかの実施形態では、接種培養培地は、二次接種培地である。いくつかの実施形態では、培養培地は、産生培養培地である。
いくつかの実施形態では、培養系は、本明細書の実施形態に記載されるFc含有タンパク質を含む。いくつかの実施形態では、培養系は、本明細書の実施形態に記載される複数のFc含有タンパク質を含む。いくつかの実施形態では、培養系は、本明細書の実施形態に記載されるFc含有タンパク質を含む組成物を含む。
いくつかの実施形態では、培養系は、Fc含有タンパク質を含み、Fc含有タンパク質の各FcドメインはC末端リジンを有する。いくつかの実施形態では、培養系は、複数のFc含有タンパク質を含み、この複数のFc含有タンパク質の各Fc含有タンパク質は、C末端リジンFcドメインを有する。いくつかの実施形態では、培養系は、複数のFc含有タンパク質を含む組成物を含み、この複数のFc含有タンパク質の各Fc含有タンパク質は、各Fcドメイン上にC末端リジンを有する。
CpD発現レベルが低減した宿主細胞の産生方法
本出願は、本明細書の実施形態に記載される任意の宿主細胞の産生方法を提供し、本方法は、宿主細胞のCpD遺伝子を不活性化することを含む。
一般的に、宿主細胞の産生方法は、宿主細胞のCpD遺伝子を不活性化することを含む。いくつかの実施形態では、宿主細胞が低減したCpD発現レベルを有する宿主細胞の産生方法は、siRNA系を使用してCpD遺伝子を不活性化することを含む。いくつかの実施形態では、宿主細胞の産生方法は、長さが約10~200ヌクレオチド、または長さが約10~100ヌクレオチド、または長さが約15~100ヌクレオチド、または長さが約10~60ヌクレオチド、または長さが約15~60ヌクレオチド、または長さが約10~50ヌクレオチド、または長さが約15~50ヌクレオチド、または長さが約10~30ヌクレオチド、または長さが約15~30ヌクレオチドであるsiRNAヌクレオチド配列を含むsiRNA系を使用してCpD遺伝子を不活性化することを含む。いくつかの実施形態では、宿主細胞の産生方法は、長さがおよそ10~25ヌクレオチドであるsiRNAヌクレオチド配列を含むsiRNA系を使用してCpD遺伝子を不活性化することを含む。いくつかの実施形態では、宿主細胞の産生方法は、長さがおよそ15~25ヌクレオチドであるsiRNAヌクレオチド配列を含むsiRNA系を使用してCpD遺伝子を不活性化することを含む。いくつかの実施形態では、宿主細胞の産生方法は、長さが少なくとも約10、少なくとも約15、少なくとも約20、または少なくとも約25ヌクレオチドであるsiRNAヌクレオチド配列を含むsiRNA系を使用してCpD遺伝子を不活性化することを含む。いくつかの実施形態では、宿主細胞の産生方法は、CpD mRNA分子の領域に対して少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または100%相補的であるヌクレオチド配列を含むsiRNA系を使用してCpD遺伝子を不活性化することを含む。いくつかの実施形態では、宿主細胞の産生方法は、CpD pro-mRNA分子の領域に対して少なくとも少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または100%相補的であるsiRNAヌクレオチド配列を含むsiRNA系を使用してCpD遺伝子を不活性化することを含む。いくつかの実施形態では、宿主細胞の産生方法は、2本鎖RNA分子を含むsiRNA系を使用してCpD遺伝子を不活性化することを含む。いくつかの実施形態では、宿主細胞の産生方法は、1本鎖RNA分子を含むsiRNA系を使用してCpD遺伝子を不活性化することを含む。例示的なCpD siRNAヌクレオチド配列は表1に列挙される。
いくつかの実施形態では、宿主細胞の産生方法は、siRNA系を宿主細胞に送達することを含む。いくつかの実施形態では、宿主細胞の産生方法は、siRNA系を宿主細胞に送達することを含み、siRNA系は、siRNAヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、宿主細胞の産生方法は、電気穿孔を使用してsiRNA系を宿主細胞に送達することを含む。いくつかの実施形態では、宿主細胞の産生方法は、トランスフェクション技法を使用してsiRNA系を宿主細胞に送達することを含む。いくつかの実施形態では、宿主細胞の産生方法は、ウイルスを使用してsiRNA系を宿主細胞に送達することを含む。
いくつかの実施形態では、宿主細胞が低減したCpD発現レベルを有する宿主細胞の産生方法は、宿主細胞におけるCpD遺伝子不活性化レベルを決定することをさらに含む。いくつかの実施形態では、CpD遺伝子不活性化レベルの決定は、siRNAヌクレオチド配列を宿主細胞に送達する前にCpD発現レベルを決定することを含む。いくつかの実施形態では、CpD遺伝子不活性化レベルの決定は、siRNAヌクレオチド配列を宿主細胞に送達した後にCpD発現レベルを決定することを含む。いくつかの実施形態では、CpD発現レベルは、RNAレベルで決定される。いくつかの実施形態では、CpD遺伝子不活性化レベルの決定方法は、PCRを使用してCpD発現レベルを決定することを含む。いくつかの実施形態では、CpD発現レベルは、タンパク質レベルで決定される。いくつかの実施形態では、CpD遺伝子不活性化レベルの決定方法は、免疫組織化学を使用してCpD発現レベルを決定することを含む。いくつかの実施形態では、CpD遺伝子不活性化レベルの決定方法は、ウエスタンブロットを使用してCpD発現レベルを決定することを含む。いくつかの実施形態では、CpD遺伝子不活性化レベルの決定方法は、フローサイトメトリーを使用してCpD発現レベルを決定することを含む。いくつかの実施形態では、CpD遺伝子不活性化レベルは、siRNAの送達後のCpD発現レベルを対照値と比較することにより決定される。いくつかの実施形態では、CpD遺伝子不活性化レベルは、siRNAの送達後のCpD発現レベルを野生型値と比較することにより決定される。いくつかの実施形態では、CpD遺伝子不活性化レベルは、siRNAの送達後のCpD発現レベルを、CpD siRNAの送達前のCpD発現レベルと比較することにより決定される。
RNAレベルでのCpDレベルを決定するための例示的なプライマー及びプローブを表2に提供する。
表2.CpDのRNA発現レベルを決定するための例示的なヌクレオチド配列。
いくつかの実施形態では、宿主細胞が低減したCpD発現レベルを有する宿主細胞の産生方法は、shRNA系を使用してCpD遺伝子を不活性化することを含む。いくつかの実施形態では、宿主細胞の産生方法は、長さが約10~200ヌクレオチド、または長さが約10~100ヌクレオチド、または長さが約15~100ヌクレオチド、または長さが約10~60ヌクレオチド、または長さが約15~60ヌクレオチド、または長さが約10~50ヌクレオチド、または長さが約15~50ヌクレオチド、または長さが約10~30ヌクレオチド、または長さが約15~30ヌクレオチドであるshRNAヌクレオチド配列を含むshRNA系を使用してCpD遺伝子を不活性化することを含む。いくつかの実施形態では、宿主細胞の産生方法は、長さがおよそ10~25ヌクレオチドであるshRNAヌクレオチド配列を含むshRNA系を使用してCpD遺伝子を不活性化することを含む。いくつかの実施形態では、宿主細胞の産生方法は、長さがおよそ15~25ヌクレオチドであるshRNAヌクレオチド配列を含むshRNA系を使用してCpD遺伝子を不活性化することを含む。いくつかの実施形態では、宿主細胞の産生方法は、長さが少なくとも約10、少なくとも約15、少なくとも約20、または少なくとも約25ヌクレオチドであるshRNAヌクレオチド配列を含むshRNA系を使用してCpD遺伝子を不活性化することを含む。いくつかの実施形態では、宿主細胞の産生方法は、CpD mRNA分子の領域に対して少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または100%相補的であるヌクレオチド配列を含むshRNA系を使用してCpD遺伝子を不活性化することを含む。いくつかの実施形態では、宿主細胞の産生方法は、CpD pro-mRNA分子の領域に対して少なくとも少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または100%相補的であるshRNAヌクレオチド配列を含むshRNA系を使用してCpD遺伝子を不活性化することを含む。いくつかの実施形態では、宿主細胞の産生方法は、2本鎖RNA分子を含むshRNA系を使用してCpD遺伝子を不活性化することを含む。いくつかの実施形態では、宿主細胞の産生方法は、1本鎖RNA分子を含むshRNA系を使用してCpD遺伝子を不活性化することを含む。例示的なCpD shRNAヌクレオチド配列は表1に列挙される。
いくつかの実施形態では、宿主細胞の産生方法は、shRNA系を宿主細胞に送達することを含む。いくつかの実施形態では、宿主細胞の産生方法は、shRNA系を宿主細胞に送達することを含み、shRNA系は、shRNAヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、宿主細胞の産生方法は、電気穿孔を使用してshRNA系を宿主細胞に送達することを含む。いくつかの実施形態では、宿主細胞の産生方法は、トランスフェクション技法を使用してshRNA系を宿主細胞に送達することを含む。いくつかの実施形態では、宿主細胞の産生方法は、ウイルスを使用してshRNA系を宿主細胞に送達することを含む。
いくつかの実施形態では、宿主細胞が低減したCpD発現レベルを有する宿主細胞の産生方法は、宿主細胞におけるCpD遺伝子不活性化レベルを決定することをさらに含む。いくつかの実施形態では、CpD遺伝子不活性化レベルの決定は、shRNAヌクレオチド配列を宿主細胞に送達する前にCpD発現レベルを決定することを含む。いくつかの実施形態では、CpD遺伝子不活性化レベルの決定は、shRNAヌクレオチド配列を宿主細胞に送達した後にCpD発現レベルを決定することを含む。いくつかの実施形態では、CpD発現レベルは、RNAレベルで決定される。いくつかの実施形態では、CpD遺伝子不活性化レベルの決定方法は、PCRを使用してCpD発現レベルを決定することを含む。いくつかの実施形態では、CpD発現レベルは、タンパク質レベルで決定される。いくつかの実施形態では、CpD遺伝子不活性化レベルの決定方法は、免疫組織化学を使用してCpD発現レベルを決定することを含む。いくつかの実施形態では、CpD遺伝子不活性化レベルの決定方法は、ウエスタンブロットを使用してCpD発現レベルを決定することを含む。いくつかの実施形態では、CpD遺伝子不活性化レベルの決定方法は、フローサイトメトリーを使用してCpD発現レベルを決定することを含む。いくつかの実施形態では、CpD遺伝子不活性化レベルは、shRNAの送達後のCpD発現レベルを対照値と比較することにより決定される。いくつかの実施形態では、CpD遺伝子不活性化レベルは、shRNAの送達後のCpD発現レベルを野生型値と比較することにより決定される。いくつかの実施形態では、CpD遺伝子不活性化レベルは、shRNAの送達後のCpD発現レベルを、CpD shRNAの送達前のCpD発現レベルと比較することにより決定される。
RNAレベルでのCpDレベルを決定するための例示的なプライマー及びプローブを表2に提供する。
遺伝子欠失または遺伝子付加もしくは置換による宿主細胞の産生方法が本出願においてさらに提供される。例えば、方法は、CRISPR、TALEN、ZFN、及びメガヌクレアーゼ系の使用を含むが、これらに限定されない。
一般的に、CRISPR系は、Cas9などのカスパーゼンタンパク質、及び目的とする配列に相補的である、ガイド配列とも称されるヌクレオチド配列を含むRNA配列を含む。カスパーゼ及びRNA配列は、宿主細胞のDNA配列を特定する複合体を形成し、その後、カスパーゼのヌクレアーゼ活性はDNA鎖の切断を可能にする。カスパーゼアイソタイプは、1本鎖DNAまたは2本鎖DNAヌクレアーゼ活性を有する。CRISPR系に使用されるガイドRNA配列の設計及びガイドRNA配列の数は、遺伝子の特定の伸長の除去及び/またはDNA配列の付加を可能にする。
いくつかの実施形態では、宿主細胞が低減したCpD発現レベルを有する宿主細胞の産生方法は、CRISPR系を使用してCpD遺伝子を不活性化することを含む。いくつかの実施形態では、宿主細胞の産生方法は、コードベクターを含むCRISPR系を使用してCpD遺伝子を不活性化することを含む。いくつかの実施形態では、宿主細胞の産生方法は、DNAエンドヌクレアーゼ遺伝子を含むコードベクターを含むCRISPR系を使用してCpD遺伝子を不活性化することを含む。いくつかの実施形態では、宿主細胞の産生方法は、CAS遺伝子を含むコードベクターを含むCRISPR系を使用してCpD遺伝子を不活性化することを含む。いくつかの実施形態では、宿主細胞の産生方法は、CAS9遺伝子を含むコードベクターを含むCRISPR系を使用してCpD遺伝子を不活性化することを含む。いくつかの実施形態では、宿主細胞の産生方法は、CAS9遺伝子をコードするコードベクターを含むCRISPR系を使用してCpD遺伝子を不活性化することを含む。いくつかの実施形態では、宿主細胞の産生方法は、Casタンパク質を含むCRISPR系を使用してCpD遺伝子を不活性化することを含む。いくつかの実施形態では、宿主細胞の産生方法は、Cas9タンパク質を含むCRISPR系を使用してCpD遺伝子を不活性化することを含む。いくつかの実施形態では、宿主細胞の産生方法は、Cas9タンパク質と相互作用することができるRNA分子をコードするコードベクターを含むCRISPR系を使用してCpD遺伝子を不活性化することを含む。いくつかの実施形態では、宿主細胞の産生方法は、ガイドRNA(gRNA)単位を含むRNA分子をコードするコードベクターを含むCRISPR系を使用してCpD遺伝子を不活性化することを含み、gRNA単位は、CpD遺伝子配列の一部に相補的であるヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、宿主細胞の産生方法は、gRNA単位を含むRNA分子を含むCRISPR系を使用してCpD遺伝子を不活性化することを含み、gRNA単位は、CpD遺伝子配列の一部に相補的であるヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、宿主細胞の産生方法は、トランス活性化crRNA(tracrRNA)単位を含むRNA分子をコードするコードベクターを含むCRISPR系を使用してCpD遺伝子を不活性化することを含む。いくつかの実施形態では、宿主細胞の産生方法は、tracrRNA単位を含むRNA分子を含むCRISPR系を使用してCpD遺伝子を不活性化することを含む。いくつかの実施形態では、宿主細胞の産生方法は、gRNA単位及びtracrRNA単位を含むRNA分子をコードするコードベクターを含むCRISPR系を使用してCpD遺伝子を不活性化することを含み、gRNA単位は、遺伝子配列の一部に相補的であるヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、宿主細胞の産生方法は、gRNA単位及びtracrRNA単位を含むRNA分子を含むCRISPR系を使用してCpD遺伝子を不活性化することを含み、gRNA単位は、CpD遺伝子配列の一部に相補的であるヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、宿主細胞の産生方法は、a)gRNA単位を含む第1のRNA分子であって、gRNA単位がCpD遺伝子配列の一部に相補的である第1のヌクレオチド配列を含む、第1のRNA分子、及びb)gRNA単位を含む第2のRNA分子であって、gRNA単位がCpD遺伝子配列の一部に相補的である第2のヌクレオチド配列を含む、第2のRNA分子を含むCRISPR系を使用してCpD遺伝子を不活性化することを含む。いくつかの実施形態では、第1のヌクレオチド配列及び第2のヌクレオチド配列は異なる。いくつかの実施形態では、第1のヌクレオチド配列は、第2のヌクレオチド配列に相補的であるCpD遺伝子の一部の領域とは異なる位置にあるCpD遺伝子配列の一部に相補的である。
gRNA配列に含まれる例示的なCpD標的配列は表3に列挙される。
表3.gRNAに含まれる例示的なCpD標的配列。
いくつかの実施形態では、宿主細胞の産生方法は、CRISPR系を宿主細胞に送達することを含む。いくつかの実施形態では、宿主細胞の産生方法は、送達ベクターを使用してCRISPR系を含むベクターを送達することを含む。いくつかの実施形態では、送達ベクターは、ウイルスベクターである。いくつかの実施形態では、送達ベクターは、レンチウイルスである。いくつかの実施形態では、送達ベクターは、アデノウイルスである。いくつかの実施形態において、ベクターは、プロモータを含む。
一般的に、TALEN系は、1つ以上の制限ヌクレアーゼと、DNA配列の認識及び後続の2本鎖DNA切断を可能にする2つ以上のタンパク質複合体と、を含む。TALEN系のタンパク質複合体は、各々が特定のヌクレオチドを認識するいくつかの転写活性化因子様エフェクタ(TALE)、及び制限ヌクレアーゼのドメインを含む。一般的に、TALEN系は、各々がTALE及び制限ヌクレアーゼのドメインを含む2つのタンパク質複合体が、制限ヌクレアーゼの2つのドメイン(各タンパク質複合体から1つずつ)が活性ヌクレアーゼを形成し、特定のDNA配列を切断することを可能にする様式でDNA配列に個々に結合するように設計される。TALEN系において切断されるタンパク質複合体及び配列の数の設計は、遺伝子の特定の伸長の除去及び/またはDNA配列の付加を可能にする。
いくつかの実施形態では、宿主細胞が低減したCpD発現レベルを有する宿主細胞の産生方法は、TALEN系を使用してCpD遺伝子を不活性化することを含む。いくつかの実施形態では、宿主細胞の産生方法は、第1のTALEN単位を含むTALEN系を使用してCpD遺伝子を不活性化することを含む。いくつかの実施形態では、第1のTALEN単位は、第1のTALEN結合単位を含む。いくつかの実施形態では、第1のTALEN結合単位は、少なくとも1つの転写活性化因子様エフェクタ(TALE)及び第1のヌクレアーゼドメインを含む。いくつかの実施形態では、第1のTALEN結合単位は、少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15のTALE及び第1のヌクレアーゼドメインを含み、このTALEは一緒に連結され、連結されたTALEは、CpDヌクレオチド配列の一部を認識する。いくつかの実施形態では、第1のTALEN結合単位は、少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15のTALE及び第1のヌクレアーゼドメインを含み、このTALEは一緒に連結され、連結されたTALEは、CpDヌクレオチド配列の一部を認識し、連結されたTALEは、第1のヌクレアーゼドメインにさらに連結される。いくつかの実施形態では、第1のTALEN単位は、第2のTALEN結合単位を含む。いくつかの実施形態では、第2のTALEN結合単位は、少なくとも1つの転写活性化因子様エフェクタ(TALE)及び第2のヌクレアーゼドメインを含む。いくつかの実施形態では、第2のTALEN結合単位は、少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15のTALE及び第2のヌクレアーゼドメインを含み、このTALEは一緒に連結され、連結されたTALEは、CpDヌクレオチド配列の一部を認識する。いくつかの実施形態では、第2のTALEN結合単位は、少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15のTALE及び第2のヌクレアーゼドメインを含み、このTALEは一緒に連結され、連結されたTALEは、CpDヌクレオチド配列の一部を認識し、連結されたTALEは、第2のヌクレアーゼドメインにさらに連結される。いくつかの実施形態では、第1のTALEN結合単位及び第2のTALEN結合単位は、CpD遺伝子の異なる配列に結合する。いくつかの実施形態では、第1のヌクレアーゼドメインは、エンドヌクレアーゼのドメインである。いくつかの実施形態では、第1のヌクレアーゼドメインは、制限エンドヌクレアーゼのドメインである。いくつかの実施形態では、第1のヌクレアーゼドメインは、Fok1のドメインである。いくつかの実施形態では、第2のヌクレアーゼドメインは、エンドヌクレアーゼのドメインである。いくつかの実施形態では、第2のヌクレアーゼドメインは、制限エンドヌクレアーゼのドメインである。いくつかの実施形態では、第2のヌクレアーゼドメインは、Fok1のドメインである。いくつかの実施形態では、第1のヌクレアーゼドメイン及び第2のヌクレアーゼドメインは、活性制限エンドヌクレアーゼを含むように会合する。いくつかの実施形態では、第1のヌクレアーゼドメイン及び第2のヌクレアーゼドメインは、活性Fok1酵素を含むように会合する。
いくつかの実施形態では、宿主細胞の産生方法は、第2のTALEN単位をさらに含むTALEN系を使用してCpD遺伝子を不活性化することを含む。いくつかの実施形態では、第2のTALEN単位は、第3のTALEN結合単位を含む。いくつかの実施形態では、第3のTALEN結合単位は、少なくとも1つの転写活性化因子様エフェクタ(TALE)及び第3のヌクレアーゼドメインを含む。いくつかの実施形態では、第3のTALEN結合単位は、少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15のTALE及び第3のヌクレアーゼドメインを含み、このTALEは一緒に連結され、連結されたTALEは、CpDヌクレオチド配列の一部を認識する。いくつかの実施形態では、第3のTALEN結合単位は、少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15のTALE及び第3のヌクレアーゼドメインを含み、このTALEは一緒に連結され、連結されたTALEは、CpDヌクレオチド配列の一部を認識し、連結されたTALEは、第3のヌクレアーゼドメインにさらに連結される。いくつかの実施形態では、第2のTALEN単位は、第4のTALEN結合単位をさらに含む。いくつかの実施形態では、第4のTALEN結合単位は、少なくとも1つの転写活性化因子様エフェクタ(TALE)及び第4のヌクレアーゼドメインを含む。いくつかの実施形態では、第4のTALEN結合単位は、少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15のTALE及び第4のヌクレアーゼドメインを含み、このTALEは一緒に連結され、連結されたTALEは、CpDヌクレオチド配列の一部を認識する。いくつかの実施形態では、第4のTALEN結合単位は、少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15のTALE及び第4のヌクレアーゼドメインを含み、このTALEは一緒に連結され、連結されたTALEは、CpDヌクレオチド配列の一部を認識し、連結されたTALEは、第4のヌクレアーゼドメインにさらに連結される。いくつかの実施形態では、第3のTALEN結合単位及び第4のTALEN結合単位は、CpD遺伝子の異なる配列に結合する。いくつかの実施形態では、第3のヌクレアーゼドメインは、エンドヌクレアーゼのドメインである。いくつかの実施形態では、第3のヌクレアーゼドメインは、制限エンドヌクレアーゼのドメインである。いくつかの実施形態では、第3のヌクレアーゼドメインは、Fok1のドメインである。いくつかの実施形態では、第4のヌクレアーゼドメインは、エンドヌクレアーゼのドメインである。いくつかの実施形態では、第4のヌクレアーゼドメインは、制限エンドヌクレアーゼのドメインである。いくつかの実施形態では、第4のヌクレアーゼドメインは、Fok1のドメインである。いくつかの実施形態では、第3のヌクレアーゼドメイン及び第4のヌクレアーゼドメインは、活性制限エンドヌクレアーゼを含むように会合する。いくつかの実施形態では、第3のヌクレアーゼドメイン及び第4のヌクレアーゼドメインは、活性Fok1酵素を含むように会合する。
いくつかの実施形態では、宿主細胞が低減したCpD発現レベルを有する宿主細胞の産生方法は、TALEN系を使用してCpD遺伝子を不活性化することを含み、このTALEN系は、第1のTALEN単位、及びCpD遺伝子配列の異なる重複しない部分に結合する第2のTALEN単位を含む。
いくつかの実施形態では、宿主細胞が低減したCpD発現レベルを有する宿主細胞の産生方法は、TALEN系を使用してCpD遺伝子を不活性化することを含み、このTALEN系は、第1のTALEN単位をコードするコードベクターを含む。いくつかの実施形態では、宿主細胞が低減したCpD発現レベルを有する宿主細胞の産生方法は、TALEN系を使用してCpD遺伝子を不活性化することを含み、このTALEN系は、第1のTALEN単位をコードするコードベクターを含み、このTALEN系は、第2のTALEN単位をコードするコードベクターを含む。いくつかの実施形態では、宿主細胞が低減したCpD発現レベルを有する宿主細胞の産生方法は、TALEN系を使用してCpD遺伝子を不活性化することを含み、このTALEN系は、第1のTALEN単位をコードするコードベクターを含み、TALEN系は、第1のTALEN単位及び第2のTALEN単位をコードするコードベクターを含む。
いくつかの実施形態では、宿主細胞が低減したCpD発現レベルを有する宿主細胞の産生方法は、TALEN系を使用してCpD遺伝子を不活性化することを含み、このTALEN系は、第1のTALEN単位を含む。いくつかの実施形態では、宿主細胞が低減したCpD発現レベルを有する宿主細胞の産生方法は、TALEN系を使用してCpD遺伝子を不活性化することを含み、このTALEN系は、第2のTALEN単位を含む。いくつかの実施形態では、宿主細胞が低減したCpD発現レベルを有する宿主細胞の産生方法は、TALEN系を使用してCpD遺伝子を不活性化することを含み、このTALEN系は、第1のTALEN単位及び第2のTALEN単位を含む。
いくつかの実施形態では、第1のTALEN結合単位は、連結されたTALE群を含み、このTALE群は、ヌクレオチド配列を認識する。いくつかの実施形態では、ヌクレオチド配列は、CpD遺伝子の一部を含む配列である。いくつかの実施形態では、ヌクレオチド配列は、CpD遺伝子プロモータの一部を含む配列である。いくつかの実施形態では、ヌクレオチド配列は、CpD遺伝子に隣接する配列の一部を含む配列である。いくつかの実施形態では、配列は、CpD遺伝子の一部に対して少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または100%相同である。いくつかの実施形態では、配列は、CpD遺伝子プロモータの一部に対して少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または100%相同である。いくつかの実施形態では、配列は、CpD遺伝子に隣接する配列の一部に対して少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または100%相同である。
いくつかの実施形態では、宿主細胞の産生方法は、TALEN系を宿主細胞に送達することを含む。いくつかの実施形態では、宿主細胞の産生方法は、送達ベクターを使用してTALEN系を含むベクターを送達することを含む。いくつかの実施形態では、送達ベクターは、ウイルスベクターである。いくつかの実施形態では、送達ベクターは、レンチウイルスである。いくつかの実施形態では、送達ベクターは、アデノウイルスである。
一般的に、ZFN系は、1つ以上の制限ヌクレアーゼと、DNA配列の認識及び後続の2本鎖DNA切断を可能にする2つ以上のタンパク質複合体と、を含む。ZFN系のタンパク質複合体は、各々が特定のヌクレオチドコドンを認識するいくつかの亜鉛フィンガ、及び制限ヌクレアーゼのドメインを含む。一般的に、ZFN系は、各々が亜鉛フィンガ及び制限ヌクレアーゼのドメインを含む2つのタンパク質複合体が、制限ヌクレアーゼの2つのドメイン(各タンパク質複合体から1つずつ)が活性ヌクレアーゼを形成し、特定のDNA配列を切断することを可能にする様式でDNA配列に個々に結合するように設計される。ZFN系において切断されるタンパク質複合体及び配列の数の設計は、遺伝子の特定の伸長の除去及び/またはDNA配列の付加を可能にする。
いくつかの実施形態では、宿主細胞が低減したCpD発現レベルを有する宿主細胞の産生方法は、ZFN系を使用してCpD遺伝子を不活性化することを含む。いくつかの実施形態では、宿主細胞の産生方法は、第1のZFN単位を含むZFN系を使用してCpD遺伝子を不活性化することを含む。いくつかの実施形態では、第1のZFN単位は、第1のZFN結合単位を含む。いくつかの実施形態では、第1のZFN結合単位は、少なくとも1つの亜鉛フィンガ及び第1のヌクレアーゼドメインを含む。いくつかの実施形態では、第1のZFN結合単位は、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、または10の亜鉛フィンガ及び第1のヌクレアーゼドメインを含み、この亜鉛フィンガは一緒に連結され、連結された亜鉛フィンガは、CpDヌクレオチド配列の一部を認識する。いくつかの実施形態では、第1のZFN結合単位は、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、または10の亜鉛フィンガ及び第1のヌクレアーゼドメインを含み、この亜鉛フィンガは一緒に連結され、連結された亜鉛フィンガは、CpDヌクレオチド配列の一部を認識し、連結された亜鉛フィンガは、第1のヌクレアーゼドメインにさらに連結される。いくつかの実施形態では、第1のZFN単位は、第2のZFN結合単位をさらに含む。いくつかの実施形態では、第2のZFN結合単位は、少なくとも1つの亜鉛フィンガ及び第2のヌクレアーゼドメインを含む。いくつかの実施形態では、第2のZFN結合単位は、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、または10の亜鉛フィンガ及び第2のヌクレアーゼドメインを含み、この亜鉛フィンガは一緒に連結され、連結された亜鉛フィンガは、CpDヌクレオチド配列の一部を認識する。いくつかの実施形態では、第2のZFN結合単位は、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、または10の亜鉛フィンガ及び第2のヌクレアーゼドメインを含み、この亜鉛フィンガは一緒に連結され、連結された亜鉛フィンガは、CpDヌクレオチド配列の一部を認識し、連結された亜鉛フィンガは、第2のヌクレアーゼドメインにさらに連結される。いくつかの実施形態では、第1のZFN結合単位及び第2のZFN結合単位は、CpD遺伝子の異なる配列に結合する。いくつかの実施形態では、第1のヌクレアーゼドメインは、エンドヌクレアーゼのドメインである。いくつかの実施形態では、第1のヌクレアーゼドメインは、制限エンドヌクレアーゼのドメインである。いくつかの実施形態では、第1のヌクレアーゼドメインは、Fok1のドメインである。いくつかの実施形態では、第2のヌクレアーゼドメインは、エンドヌクレアーゼのドメインである。いくつかの実施形態では、第2のヌクレアーゼドメインは、制限エンドヌクレアーゼのドメインである。いくつかの実施形態では、第2のヌクレアーゼドメインは、Fok1のドメインである。いくつかの実施形態では、第1のヌクレアーゼドメイン及び第2のヌクレアーゼドメインは、活性制限エンドヌクレアーゼを含むように会合する。いくつかの実施形態では、第1のヌクレアーゼドメイン及び第2のヌクレアーゼドメインは、活性Fok1酵素を含むように会合する。
いくつかの実施形態では、宿主細胞の産生方法は、第2のZFN単位をさらに含むZFN系を使用してCpD遺伝子を不活性化することを含む。いくつかの実施形態では、第2のZFN単位は、第3のZFN結合単位を含む。いくつかの実施形態では、第3のZFN結合単位は、少なくとも1つの亜鉛フィンガ及び第3のヌクレアーゼドメインを含む。いくつかの実施形態では、第3のZFN結合単位は、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、または10の亜鉛フィンガ及び第3のヌクレアーゼドメインを含み、この亜鉛フィンガは一緒に連結され、連結された亜鉛フィンガは、CpDヌクレオチド配列の一部を認識する。いくつかの実施形態では、第3のZFN結合単位は、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、または10の亜鉛フィンガ及び第3のヌクレアーゼドメインを含み、この亜鉛フィンガは一緒に連結され、連結された亜鉛フィンガは、CpDヌクレオチド配列の一部を認識し、連結された亜鉛フィンガは、第3のヌクレアーゼドメインにさらに連結される。いくつかの実施形態では、第2のZFN単位は、第4のZFN結合単位をさらに含む。いくつかの実施形態では、第4のZFN結合単位は、少なくとも1つの亜鉛フィンガ及び第4のヌクレアーゼドメインを含む。いくつかの実施形態では、第4のZFN結合単位は、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、または10の亜鉛フィンガ及び第4のヌクレアーゼドメインを含み、この亜鉛フィンガは一緒に連結され、連結された亜鉛フィンガは、CpDヌクレオチド配列の一部を認識する。いくつかの実施形態では、第4のZFN結合単位は、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、または10の亜鉛フィンガ及び第4のヌクレアーゼドメインを含み、この亜鉛フィンガは一緒に連結され、連結された亜鉛フィンガは、CpDヌクレオチド配列の一部を認識し、連結された亜鉛フィンガは、第4のヌクレアーゼドメインにさらに連結される。いくつかの実施形態では、第3のZFN結合単位及び第4のZFN結合単位は、CpD遺伝子の異なる配列に結合する。いくつかの実施形態では、第3のヌクレアーゼドメインは、エンドヌクレアーゼのドメインである。いくつかの実施形態では、第3のヌクレアーゼドメインは、制限エンドヌクレアーゼのドメインである。いくつかの実施形態では、第3のヌクレアーゼドメインは、Fok1のドメインである。いくつかの実施形態では、第4のヌクレアーゼドメインは、エンドヌクレアーゼのドメインである。いくつかの実施形態では、第4のヌクレアーゼドメインは、制限エンドヌクレアーゼのドメインである。いくつかの実施形態では、第4のヌクレアーゼドメインは、Fok1のドメインである。いくつかの実施形態では、第3のヌクレアーゼドメイン及び第4のヌクレアーゼドメインは、活性制限エンドヌクレアーゼを含むように会合する。いくつかの実施形態では、第3のヌクレアーゼドメイン及び第4のヌクレアーゼドメインは、活性Fok1酵素を含むように会合する。
いくつかの実施形態では、宿主細胞が低減したCpD発現レベルを有する宿主細胞の産生方法は、ZFN系を使用してCpD遺伝子を不活性化することを含み、このZFN系は、第1のZFN単位、及びCpD遺伝子遺伝子配列の異なる重複しない部分に結合する第2のTALEN単位を含む。
いくつかの実施形態では、宿主細胞が低減したCpD発現レベルを有する宿主細胞の産生方法は、ZFN系を使用してCpD遺伝子を不活性化することを含み、このZFN系は、第1のZFN単位をコードするコードベクターを含む。いくつかの実施形態では、宿主細胞が低減したCpD発現レベルを有する宿主細胞の産生方法は、ZFN系を使用してCpD遺伝子を不活性化することを含み、このZFN系は、第1のZFN単位をコードするコードベクターを含み、このZFN系は、第2のZFN単位をコードするコードベクターを含む。いくつかの実施形態では、宿主細胞が低減したCpD発現レベルを有する宿主細胞の産生方法は、ZFN系を使用してCpD遺伝子を不活性化することを含み、このZFN系は、第1のZFN単位をコードするコードベクターを含み、ZFN系は、第1のZFN単位及び第2のZFN単位をコードするコードベクターを含む。
いくつかの実施形態では、宿主細胞が低減したCpD発現レベルを有する宿主細胞の産生方法は、ZFN系を使用してCpD遺伝子を不活性化することを含み、このZFN系は、第1のZFN単位を含む。いくつかの実施形態では、宿主細胞が低減したCpD発現レベルを有する宿主細胞の産生方法は、ZFN系を使用してCpD遺伝子を不活性化することを含み、このZFN系は、第2のZFN単位を含む。いくつかの実施形態では、宿主細胞が低減したCpD発現レベルを有する宿主細胞の産生方法は、ZFN系を使用してCpD遺伝子を不活性化することを含み、このZFN系は、第1のZFN単位及び第2のZFN単位を含む。
いくつかの実施形態では、第1のZFN結合単位は、連結された亜鉛フィンガ群を含み、この亜鉛フィンガ群は、ヌクレオチド配列を認識する。いくつかの実施形態では、ヌクレオチド配列は、CpD遺伝子の一部を含む配列である。いくつかの実施形態では、ヌクレオチド配列は、CpD遺伝子プロモータの一部を含む配列である。いくつかの実施形態では、ヌクレオチド配列は、CpD遺伝子に隣接する配列の一部を含む配列である。いくつかの実施形態では、配列は、CpD遺伝子の一部に対して少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または100%相同である。いくつかの実施形態では、配列は、CpD遺伝子プロモータの一部に対して少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または100%相同である。いくつかの実施形態では、配列は、CpD遺伝子に隣接する配列の一部に対して少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または100%相同である。
いくつかの実施形態では、宿主細胞の産生方法は、ZFN系を宿主細胞に送達することを含む。いくつかの実施形態では、宿主細胞の産生方法は、送達ベクターを使用してZFN系を含むベクターを送達することを含む。いくつかの実施形態では、送達ベクターは、ウイルスベクターである。いくつかの実施形態では、送達ベクターは、レンチウイルスである。いくつかの実施形態では、送達ベクターは、アデノウイルスである。
一般的に、メガヌクレアーゼ系は、DNA配列の認識及び後続の2本鎖DNA切断を可能にする1つ以上のメガヌクレアーゼを含む。
いくつかの実施形態では、宿主細胞が低減したCpD発現レベルを有する宿主細胞の産生方法は、メガヌクレアーゼ系を使用してCpD遺伝子を不活性化することを含む。いくつかの実施形態では、メガヌクレアーゼは、長さが約8~約35ヌクレオチド塩基対であるDNA認識配列を有する。いくつかの実施形態では、メガヌクレアーゼは、長さが約12~約30ヌクレオチド塩基対であるDNA認識配列を有する。いくつかの実施形態では、DNA認識配列は、CpD遺伝子の一部を含む配列である。いくつかの実施形態では、DNA認識配列は、CpD遺伝子プロモータの一部を含む配列である。いくつかの実施形態では、DNA認識配列は、CpD遺伝子に隣接する配列の一部を含む配列である。
いくつかの実施形態では、宿主細胞の産生方法は、メガヌクレアーゼ系を宿主細胞に送達することを含む。いくつかの実施形態では、宿主細胞の産生方法は、送達ベクターを使用してメガヌクレアーゼ系を含むベクターを送達することを含む。いくつかの実施形態では、送達ベクターは、ウイルスベクターである。いくつかの実施形態では、送達ベクターは、レンチウイルスである。いくつかの実施形態では、送達ベクターは、アデノウイルスである。
いくつかの実施形態では、宿主細胞が低減したCpD発現レベルを有する宿主細胞の産生方法は、遺伝子欠失または遺伝子付加もしくは置換など、CpD遺伝子不活性化レベルを決定することをさらに含む。いくつかの実施形態では、宿主細胞の産生方法は、CpD遺伝子不活性化レベルを決定することを含み、CpD遺伝子欠失が検出される。いくつかの実施形態では、宿主細胞の産生方法は、CpD遺伝子不活性化レベルを決定することを含み、CpD遺伝子付加または置換が検出される。いくつかの実施形態では、宿主細胞の産生方法は、CpD遺伝子不活性化レベルを決定することを含み、CpD発現レベルが、宿主細胞において遺伝子を不活性化する前に決定される。いくつかの実施形態では、宿主細胞の産生方法は、CpD遺伝子不活性化レベルを決定することを含み、CpD発現レベルが、CRISPR系を使用して宿主細胞におけるCpD遺伝子を不活性化した後に決定される。いくつかの実施形態では、宿主細胞の産生方法は、CpD遺伝子不活性化レベルを決定することを含み、CpD発現レベルが、TALEN系を使用して宿主細胞におけるCpD遺伝子を不活性化した後に決定される。いくつかの実施形態では、宿主細胞の産生方法は、CpD遺伝子不活性化レベルを決定することを含み、CpD発現レベルが、ZFN系を使用して宿主細胞におけるCpD遺伝子を不活性化した後に決定される。いくつかの実施形態では、宿主細胞の産生方法は、CpD遺伝子不活性化レベルを決定することを含み、CpD発現レベルが、メガヌクレアーゼ系を使用して宿主細胞におけるCpD遺伝子を不活性化した後に決定される。
いくつかの実施形態では、CpD発現レベルは、DNAレベルで決定される。いくつかの実施形態では、CpD発現レベルは、RNAレベルで決定される。いくつかの実施形態では、宿主細胞の産生方法は、PCRを使用してCpD発現レベルを決定することを含む。いくつかの実施形態では、宿主細胞の産生方法は、PCRを使用してCpD発現レベルを決定することを含み、変異型配列が検出される。いくつかの実施形態では、宿主細胞の産生方法は、qPCRを使用してCpD発現レベルを決定することを含む。いくつかの実施形態では、宿主細胞の産生方法は、qPCRを使用してCpD発現レベルを決定することを含む。
いくつかの実施形態では、CpD発現レベルは、タンパク質レベルで決定される。いくつかの実施形態では、宿主細胞の産生方法は、免疫組織化学を使用してCpD発現レベルを決定することを含む。いくつかの実施形態では、宿主細胞の産生方法は、ウエスタンブロットを使用してCpD発現レベルを決定することを含む。いくつかの実施形態では、宿主細胞の産生方法は、フローサイトメトリーを使用してCpD発現レベルを決定することを含む。
いくつかの実施形態では、CpD遺伝子不活性化レベルは、CpD遺伝子不活性化後のCpD発現レベルを対照値と比較することにより決定される。いくつかの実施形態では、CpD遺伝子不活性化レベルは、CpD遺伝子不活性化後のCpD発現レベルを、CpD遺伝子不活性化前のCpD発現レベルと比較することにより決定される。
CpD発現を決定することを含む、Fc含有タンパク質の発現の適切性に関して宿主細胞を評価する方法も提供され、低減されたCpD発現レベルは適切性の指標である。
Fc含有タンパク質の作製方法
本出願は、本明細書の実施形態に記載されるFc含有タンパク質の作製方法を提供する。
いくつかの実施形態では、Fc含有タンパク質の作製方法は、a)宿主細胞を培養することと、b)宿主細胞によって発現されたFc含有タンパク質を得ることと、を含む。
いくつかの実施形態では、Fc含有タンパク質の作製方法は、a)Fc含有タンパク質をコードする核酸を含む発現ベクターで宿主細胞を形質転換することと、b)宿主細胞を培養することと、c)宿主細胞によって発現されたFc含有タンパク質を得ることと、を含む。
発現ベクターを使用した宿主細胞の形質転換方法は、当該技術分野において周知である。例えば、Kim et al.,Anal Bioanal Chem,397,2010を参照されたい。宿主細胞のトランスフェクト方法には、トランスフェクション、感染、リン酸カルシウム共沈降、電気穿孔、微量注入、リポフェクション、DEAE-デキストラン媒介トランスフェクション、または他の既知の技法を含むが、これらに限定されない。選択される方法は、部分的に、使用される宿主細胞の種類に応じて決まる。これらの方法及び他の好適な方法は、当業者に周知である。
本明細書に記載される少なくとも1つのFc含有タンパク質を含むプラスミド、発現ベクター、転写、または発現カセットの形態の発現系及び構築物も提供される。ある特定の実施形態では、本明細書に提供されるプラスミド、発現ベクター、転写、または発現カセットは、少なくとも1つのFc含有タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含む。
いくつかの実施形態では、宿主細胞に使用される発現ベクターは、プラスミドの維持、ならびに外因性ヌクレオチド配列のクローニング及び発現のための配列を含有する。ある特定の実施形態では、集合的に「隣接配列」とも称されるかかる配列は、典型的には、以下のヌクレオチド配列のうちの1つ以上を含む:プロモータ、1つ以上のエンハンサー配列、複製起点、転写終止配列、ドナー及びアクセプタースプライス部位を含有する完全なイントロン配列、ポリペプチド分泌のためのリーダー配列をコードする配列、リボソーム結合部位、ポリアデニル化配列、発現されるFc含有タンパク質をコードする核酸を挿入するためのポリリンカー領域、ならびに選択可能マーカー要素。これらの配列の各々は以下に論じられる。
隣接配列は、相同(すなわち、宿主細胞と同じ種及び/または株から)、異種(すなわち、宿主細胞種または株以外の種から)、ハイブリッド(すなわち、2つ以上の源からの隣接配列の組み合わせ)、合成、または天然であり得る。そのため、隣接配列源は、任意の真核生物、任意の脊椎もしくは無脊椎生物、または任意の植物であり得るが、但し、隣接配列は、宿主細胞機構において機能的であり、それによって活性化され得ることを条件とする。
本発明のベクターにおいて有用な隣接配列は、当該技術分野において周知のいくつかの方法のいずれかによって得ることができる。典型的には、本明細書において有用な隣接配列は、マッピング及び/または制限エンドヌクレアーゼ消化により以前に特定されており、したがって、適切な制限エンドヌクレアーゼを使用して、適切な組織源から単離され得る。場合によっては、隣接配列の完全なヌクレオチド配列が既知である場合がある。ここで、隣接配列は、核酸合成またはクローニングに関して本明細書に記載される方法を使用して合成され得る。
隣接配列の全てまたは一部のみが既知であるかに関わらず、それは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を使用して、かつ/またはオリゴヌクレオチド及び/もしくは同じまたは別の種からの隣接配列断片などの好適なプローブでゲノムライブラリをスクリーニングすることにより得ることができる。隣接配列が不明の場合、隣接配列を含有するDNAの断片が、例えば、コード配列またはさらには別の遺伝子(複数可)を含有し得るDNAのより大きな片から単離され得る。単離は、適切なDNA断片を産生するための制限エンドヌクレアーゼ消化、続いてアガロースゲル精製Qiagen(登録商標)カラムクロマトグラフィー(Chatsworth,CA)、または当業者に既知の他の方法を使用して単離することにより達成される。この目的を達成するための好適な酵素の選択は、当業者には容易に明らかであろう。
複製起点は、典型的には、商業的に購入された部分発現ベクターであり、起点は、宿主細胞におけるベクターの増幅を補助する。選択したベクターが複製起点部位を含有しない場合、既知の配列に基づいて化学合成され、ベクター内にライゲートされ得る。例えば、種々のウイルス起源(例えば、SV40、ポリオーマ、アデノウイルス、水疱性口内炎ウイルス(VSV)、またはHPVもしくはBPVなどのパピローマウイルス)が、哺乳類細胞におけるベクターのクローニングに有用である。一般的に、複製起点構成成分は、哺乳動物発現ベクターに必要とされない(例えば、SV40起源は、ウイルス初期プロモータも含有するという理由だけで使用されることが多い)。
転写終止配列は、典型的には、ポリペプチドコード領域の末端の3’に位置し、転写を終結するように機能する。配列はライブラリから容易にクローニングされるか、またはさらにはベクターの一部として商業的に購入されるが、本明細書に記載されるものなど、核酸合成の方法を使用して容易に合成することもできる。
選択可能マーカー遺伝子は、選択培養培地中で成長した宿主細胞の生存及び成長に必要なタンパク質をコードする。典型的な選択マーカー遺伝子は、(a)抗生物質もしくは他の毒素への耐性を付与するか、(b)細胞の栄養要求性欠損を補完するか、または(c)複合培地もしくは既知組成培地から利用できない重要な栄養素を供給するタンパク質をコードする。具体的な選択可能マーカーは、カナマイシン耐性遺伝子、アンピシリン耐性遺伝子、及びテトラサイクリン耐性遺伝子である。有利に、ネオマイシン耐性遺伝子も真核宿主細胞における選択に使用され得る。
他の選択可能遺伝子が、発現される遺伝子を増幅するために使用され得る。増幅は、成長または細胞生存に重要なタンパク質の産生に必要とされる遺伝子が組換え細胞の連続した世代の染色体内にタンデムで繰り返されるプロセスである。哺乳類細胞に好適な選択可能マーカーの例としては、ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)及びプロモータのないチルニジンキナーゼ遺伝子が挙げられる。哺乳類細胞形質転換体が、形質転換体のみがベクターに存在する選択可能遺伝子により生存するように一意的に適合される選択圧下に置かれる。選択圧は、培地中の選択薬剤の濃度が連続的に増加する条件下で形質転換された細胞を培養し、それにより、選択可能遺伝子、及び抗体軽鎖または重鎖などの別の遺伝子をコードするDNAの両方の増幅をもたらすことにより課される。結果として、増加したポリペプチド量が増幅したDNAから合成される。
リボソーム結合部位は、通常、mRNAの翻訳開始に必要であり、例えば、コザック配列を特徴とする。この要素は、典型的には、発現されるポリペプチドのプロモータの3’及びコード配列の5’に位置する。ある特定の実施形態では、1つ以上のコード領域が、内部のリボソーム結合部位(IRES)に作動可能に連結され得、単一RNA転写物からの2つのオープンリーディングフレームの翻訳を可能にする。
本発明の発現及びクローニングベクターは、典型的には、宿主生物により認識され、かつポリペプチドをコードする分子に作動可能に連結されるプロモータを含有する。プロモータは、構造遺伝子の転写を制御する構造遺伝子の開始コドン(一般的に、約100~1000bp内)の上流(すなわち、5’)に位置する非転写配列である。プロモータは、従来、2つのクラス、すなわち誘導プロモータ及び構成プロモータのうちの1つに分類される。誘導プロモータは、培養条件のある変化、例えば、栄養素の存在もしくは不在、または温度の変化に応答してそれらの制御下でDNAから増加したレベルの転写を開始する。一方、構成プロモータは、それらが作動可能に連結される遺伝子を一律に転写し、すなわち遺伝子発現に対してほとんどまたは全く制御がない。様々な潜在的宿主細胞によって認識される多数のプロモータが周知である。好適なプロモータは、制限酵素消化により源のDNAからプロモータを除去し、所望のプロモータ配列をベクターに挿入することにより、例えば、重鎖または軽鎖をコードするDNAに作動可能に連結される。
酵母宿主と共に使用するのに好適なプロモータも当該技術分野において周知である。酵母エンハンサーは、酵母プロモータと共に有利に使用される。哺乳類宿主細胞と共に使用するのに好適なプロモータは周知であり、ポリオーマウイルス、鶏痘ウイルス、アデノウイルス(アデノウイルス2など)、ウシパピローマウイルス、トリ肉腫ウイルス、サイトメガロウイルス、レトロウイルス、B型肝炎ウイルス、及び最も好ましくはサルウイルス40(SV40)などのウイルスのゲノムから得られるものを含むが、これらに限定されない。他の好適な哺乳類プロモータには、異種哺乳類プロモータ、例えば、熱ショックプロモータ及びアクチンプロモータが含まれる。
目的のものであり得る追加のプロモータには、SV40初期プロモータ(Benoist and Chambon,1981,Nature 290:304-310)、CMVプロモータ(Thomsen et al.,1984,Proc.Natl.Acad.U.S.A.81:659-663)、ラウス肉腫ウイルスの3’の長い末端リピートに含有されるプロモータ(Yamamoto et al.,1980,Cell 22:787-797)、ヘルペスチミジンキナーゼプロモータ(Wagner et al.,1981,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.78:1444-1445)、メタロチオニン遺伝子からのプロモータ及び調節配列、Prinster et al.,1982,Nature 296:39-42、またはtacプロモータ(DeBoer et al.,1983,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.80:21-25)が含まれるが、これらに限定されない。組織特異性を呈し、トランスジェニック動物に利用されている以下の動物転写制御領域も目的のものである:膵臓腺房細胞において活性であるエラスターゼI遺伝子制御領域(Swift et al.,1984 Cell 38:639-646、Omitz et al.,1986,Cold Spring Harbor Symp.Quant.Biol.50:399-409、MacDonald,1987,Hepatology 7:425-515)、膵臓β細胞において活性であるインスリン遺伝子制御領域(Hanahan,1985,Nature 315:115-122)、リンパ球細胞において活性である免疫グロブリン遺伝子制御領域(Grosschedl et al.,1984,Cell 38:647-658、Adames et al.,1985,Nature 318:533-538、Alexander et al.,1987,Mol.Cell.Biol.7:1436-1444)、精巣、乳房、リンパ球、及びマスト細胞において活性であるマウス乳房腫瘍ウイルス制御領域(Leder et al.,1986,Cell 45:485-495)、肝臓において活性であるアルブミン遺伝子制御領域(Pinkert et al.,1987,Genes and Devel.1:268-276)、肝臓において活性であるアルファ-フェタタンパク質遺伝子制御領域(Krumlauf et al.,1985,Mol.Cell.Biol.5:1639-1648、Hammer et al.,1987,Science 253:53-58)、肝臓において活性であるアルファ-1アンチトリプシン遺伝子制御領域(Kelsey et al.,1987,Genes and Devel.1:161-171)、骨髄細胞において活性であるベータ-グロビン遺伝子制御領域(Mogram et al.,1985,Nature 315:338-340、Kollias et al.,1986,Cell 46:89-94)、脳の乏突起膠細胞において活性であるミエリン塩基性タンパク質遺伝子制御領域(Readhead et al.,1987,Cell 48:703-712)、骨格筋において活性であるミオシン軽鎖-2遺伝子制御領域(Sani,1985,Nature 314:283-286)、及び視床下部において活性である性腺刺激放出ホルモン遺伝子制御領域(Mason et al.1986,Science 234:1372-1378)。
エンハンサー配列は、ベクターに挿入されて、高等真核生物による本発明の軽鎖または重鎖をコードするDNAの転写を増加させることができる。エンハンサーは、転写を増加させるようにプロモータに作用する、通常長さが約10~300bpのDNAのシス作用要素である。エンハンサーは、比較的、配向及び位置に依存し、転写単位の5’及び3’の両方の位置で見出される。哺乳類遺伝子から利用可能ないくつかのエンハンサー配列が知られている(例えば、グロビン、エラスターゼ、アルブミン、アルファ胎児タンパク質、及びインスリン遺伝子)。しかし、典型的には、ウイルスからのエンハンサーが使用される。当該技術分野において既知であるSV40エンハンサー、サイトメガロウイルス初期プロモータエンハンサー、ポリオーマエンハンサー、及びアデノウイルスエンハンサーは、真核プロモータの活性化のための例示的な増強要素である。エンハンサーは、コード配列の5’または3’のいずれかのベクターに位置し得るが、典型的には、プロモータから部位5’に位置する。適切な天然または異種シグナル配列(リーダー配列またはシグナルペプチド)をコードする配列は、抗体の細胞外分泌を促進するために、発現ベクターに組み込まれ得る。シグナルペプチドまたはリーダーの選択は、抗体が産生される宿主細胞の種類に依存し、天然のシグナル配列を異種シグナル配列に置き換えることができる。哺乳類宿主細胞において機能的であるシグナルペプチドの例としては、以下が含まれる:米国特許第4,965,195号に記載されるインターロイキン-7(IL-7)のシグナル配列、Cosman et al.,1984,Nature 312:768に記載されるインターロイキン-2受容体のシグナル配列、欧州特許第0367 566号に記載されるインターロイキン-4受容体シグナルペプチド、米国特許第4,968,607に記載されるI型インターロイキン-I受容体シグナルペプチド、欧州特許第0 460 846号に記載されるII型インターロイキン-I受容体シグナルペプチド。
ベクターは、ベクターが宿主細胞ゲノムに統合されるとき、発現を容易にする1つ以上の要素を含有し得る。例としては、EASE要素(Aldrich et al.2003 Biotechnol Prog.19:1433-38)及マトリックス付着領域(MAR)が挙げられる。MARは、クロマチンの構造機構を媒介し、統合されたベクターを「位置」作用から隔離し得る。したがって、MARは、ベクターを使用して安定したトランスフェクタントを創出するときに特に有用である。例えば、米国特許第6,239,328号、同第7,326,567号、同第6,177,612号、同第6,388,066号、同第6,245,974号、同第7,259,010号、同第6,037,525号、同第7,422,874号、同第7,129,062号など、いくつかの天然及び合成MAR含有核酸が当該技術分野において既知である。
本発明により提供される発現ベクターは、市販のベクターなどの開始ベクターから構築され得る。かかるベクターは、所望の隣接配列の全てを含有しても、含有しなくてもよい。本明細書に記載される隣接配列のうちの1つ以上が既にベクターに存在していない場合、それらを個々に得、ベクターにライゲートすることができる。隣接配列の各々を得るために使用される方法は、当業者に周知である。
ベクターが構築され、Fc含有タンパク質配列をコードする核酸分子がベクターの適切な部位に挿入された後、完成したベクターは、増幅及び/またはポリペプチド発現のために好適な宿主細胞に挿入され得る。
Fc含有タンパク質をコードする核酸を含むベクターの作製方法は、当該技術分野において周知である。例えば、米国特許第7,923,221号を参照されたい。
Fc含有タンパク質、ならびに所望のコード及び制御配列を含む好適なベクターの構築は、標準的なライゲーション技法を用いる。単離されたプラスミドまたはDNA断片が、所望の形態に切断、調整、及びライゲートされて、必要とされるプラスミドを形成する。用いられる方法は、DNA源または意図される宿主に依存しない。
いくつかの実施形態では、Fc含有タンパク質の作製方法は、宿主細胞に導入するためのポリヌクレオチドの最適な比率を決定することをさらに含む。いくつかの実施形態では、Fc含有タンパク質の収率を決定するために質量分析が使用され、比率はFc含有タンパク質の収率を最大にするように調節される。いくつかの実施形態では、Fc含有タンパク質の収率を決定するために二重抗原ELISAが使用され、比率はFc含有タンパク質の収率を最大にするように調節される。
宿主細胞の培養方法は、当業者に周知である。例えば、Li et al.,MAbs,2,2010を参照されたい。本明細書の実施形態の所望のFc含有タンパク質を産生するために使用される宿主細胞は、様々な培地中で培養され得る。Ham’s F10(Sigma)、最小必須培地((MEM)、(Sigma)、RPMI-1640(Sigma)、及びダルベッコ改変イーグル培地((DMEM)、Sigma)などの市販の培地が、宿主細胞の培養に好適である。加えて、Ham et al.,Meth Enz,58,1979、Barnes et al.,Anal Biochem,102,1980、米国特許第4,767,704号、同第4,657,866号、同第4,927,762号、同第4,560,655号、または同第5,122,469号、国際特許出願第WO90/03430号もしくは同第WO87/00195号、または米国特許再発行第30,985号に記載の培地のいずれも、宿主細胞の培養培地として使用され得る。これらの培地のいずれも、必要に応じて、ホルモン及び/または他の成長因子(インスリン、トランスフェリン、または上皮成長因子など)、塩(塩化ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、及びリン酸塩など)、緩衝液(HEPESなど)、ヌクレオチド(アデノシン及びチミジンなど)、抗生物質(GENTAMYCIN(商標)薬など)、微量元素(マイクロモル範囲の最終濃度で通常存在する無機化合物と定義される)、ならびにグルコースまたは同等のエネルギー源で補充され得る。任意の他の必要な補充物もまた、当業者には既知であろう適切な濃度で含まれ得る。温度、pHなどの培養条件は、発現のために選択された宿主細胞に以前に使用されているものであり、当業者には明らかであろう。
一般的に、Fc含有タンパク質の産生は、大規模(商業規模)で行われる。商業規模の産生に好適な宿主細胞集団を得るために、当業者は、宿主細胞集団を拡大するための段階的アプローチを使用する有用性を認識するだろう。例えば、プロセスは、宿主細胞集団の増加を可能にするために、シードトレインなどの小規模で所望の宿主細胞を成長させることを伴う。宿主細胞集団をさらに増加させるために、方法は、一般的に、シードトレインを使用して、接種タンクなどのより大きな培養タンクを接種することを伴った。しばしば、接種トレインなどのサイズを増加させる一連の接種タンクが、宿主細胞集団を拡大するために使用される。このプロセスは、産生培養において培養のための好適な宿主細胞集団を提供する。いくつかの実施形態では、産生培養は、1000Lの培養タンクである。
いくつかの実施形態では、Fc含有タンパク質の作製方法は、バッチ投入方法を使用して宿主細胞を培養することを含む。いくつかの実施形態では、Fc含有タンパク質の作製方法は、連続投入方法を使用して宿主細胞を培養することを含む。いくつかの実施形態では、Fc含有タンパク質の作製方法は、バッチ投入方法及び連続投入方法を含む投入方法を使用して宿主細胞を培養することを含む。
Fc含有タンパク質を得るための方法は、当該技術分野において周知である。例えば、Huse et al.,J Biochem Bioph Meth,51,2002を参照されたい。Fc含有タンパク質は、細胞内で産生されるか、または培地内に直接分泌され得る。Fc含有タンパク質が細胞内で産生される場合、最初のステップとして、微粒子残屑(宿主細胞または溶解断片のいずれか)が、例えば、遠心分離または限外濾過により除去される。Fc含有タンパク質が培地内に分泌される場合、かかる発現系からの上清は一般的に、市販のタンパク質濃縮フィルタ、例えば、AmiconまたはMillipore Pellicon限外濾過ユニットを使用して、まず濃縮される。いくつかの実施形態では、タンパク質分解を阻害するためのプロテアーゼ阻害剤が前述のステップのうちのいずれかに含まれてもよく、二次的な不純物の成長を阻止するための抗生物質が含まれてもよい。
細胞から調製された組成物は、例えば、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析、及び親和性クロマトグラフィーを使用して精製することができ、親和性クロマトグラフィーが好ましい精製技法である。親和性リガンドとしてのタンパク質Aの適切性は、Fc含有タンパク質に存在する任意の免疫グロブリンFcドメインの種及びアイソタイプに依存する。タンパク質Aは、1、2、または4本の重鎖を含有するヒト免疫グロブリンに基づくFc含有タンパク質を精製するために使用され得る(例えば、Lindmark et al.,J Immunol Meth,62,1983を参照されたい)。タンパク質Gは、全てのマウスアイソタイプ及びヒト3に推奨される(例えば、Guss et al.,EMBO,5,1986を参照されたい)。親和性リガンドが結合するマトリックスは、多くの場合アガロースであるが、他のマトリックスも利用可能である。孔制御ガラスまたはポリ(スチレン-ジビニル)ベンゼンなどの機械的に安定したマトリックスは、アガロースで達成可能なものよりも速い流速、及び短い処理時間を可能にする。タンパク質精製のための他の技法、例えば、イオン交換カラム上での分別、エタノール沈殿、逆相HPLC、シリカ上でのクロマトグラフィー、ヘパリン上でのクロマトグラフィー、アニオンまたはカチオン交換樹脂(ポリアスパラギン酸カラムなど)上でのSEPHAROSE(商標)クロマトグラフィー、クロマトフォーカシング、SDS-PAGE、及び硫酸アンモニウム沈殿も、回収されるFc含有タンパク質に応じて利用可能である。
いくつかの実施形態では、Fc含有タンパク質の精製方法は、フィルタを使用することを含む。いくつかの実施形態では、フィルタは、透析濾過系である。いくつかの実施形態では、フィルタは、限外濾過系である。いくつかの実施形態では、フィルタは、ウイルス濾過系である。いくつかの実施形態では、Fc含有タンパク質の精製は、一連の濾過ステップを使用することを含む。いくつかの実施形態では、一連の濾過ステップは、以下のうちの少なくとも1つから選択される:透析濾過、限外濾過、及びウイルス濾過。
いくつかの実施形態では、Fc含有タンパク質の精製方法は、濾過、タンパク質A精製、カチオン交換精製、強カチオン交換精製、アニオン交換精製、逆相精製、及び多様式精製から選択される一連のタンパク質精製技法を使用することを含む。
C末端リジンの存在の決定方法も、本出願において提供される。いくつかの実施形態では、C末端リジンの存在の決定方法は、画像化キャピラリー等電点電気泳動などの等電点電気泳動を使用することを含む。いくつかの実施形態では、C末端リジンの存在の決定方法は、質量分析を使用することを含む。
治療方法
本出願は、本明細書の実施形態に記載される薬学的組成物を個体に投与することを含む、治療を必要とする個体における疾患の治療方法を提供する。
いくつかの実施形態では、複数のFc含有タンパク質の有効量がそれを必要とする個体に投与され、この複数のFc含有タンパク質の実質的に全てが、各Fcドメイン上にC末端リジンを有する。
本明細書に記載される薬学的組成物は、非経口(静脈内、動脈内、腹腔内、肺内を含む)、経口、吸入、小胞内、筋肉内、気管内、皮下、眼内、クモ膜下腔内、または経皮などの種々の経路を介して投与され得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される薬学的組成物は、非経口投与され得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される薬学的組成物は、静脈内投与され得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される薬学的組成物は、皮下投与され得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される薬学的組成物は、局在投与され得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される薬学的組成物は、局所投与され得る。
本明細書の方法により治療され得る疾患は、Fc含有タンパク質で治療され得る任意の疾患である。いくつかの実施形態では、疾患は、癌である。いくつかの実施形態では、疾患は、自己免疫疾患である。いくつかの実施形態では、疾患は、感染である。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される薬学的組成物は、別の投与モダリティまたは治療と併せて使用される。
当業者は、いくつかの実施形態が本発明の範囲及び趣旨内で可能であることを認識するだろう。本発明は、ここで、以下の非限定的な実施例を参照することにより、より詳細に記載される。以下の実施例は本発明をさらに例示説明するが、当然のことながら、その範囲を制限するものとして決して解釈されるべきではない。
実施例1:
カルボキシペプチダーゼDは、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞においてC末端リジン切断に関与する
方法:
細胞株Aは、DUXB-11系DHFR欠損DP12宿主に由来する社内で開発された抗体産生(IgG1)細胞株である。Hu et al.,Biotechnol Prog,29,2013、Urlaub et al.,Proc Natl Acad Sci,77,1980を参照されたい。細胞株Bは、CHOK1宿主に由来する社内で開発された抗体産生(IgG1)細胞株である。Hu et al.,Biotechnol Prog,29,2013を参照されたい。150rpm、37℃、及び5%CO2の125ml振盪フラスコ容器中の独自のDMEM/F12系培地中でCHO細胞を培養した。3~4日毎に3×105/mLの播種密度で細胞を継代した。
RNeasy 96キット(Cat# 74181,Qiagen,Valencia,CA)を使用して全RNAを単離し、DNase消化(Cat# 79254,RNase free DNase kit,Qiagen,Valencia,CA)で処理して、単離したRNA試料に存在し得るいかなる残存DNAも除去した。製造元の指示に従い、一般的なqRT-PCRマスター混合物(Cat# 4309169,Applied Biosystems,Foster City,CA)を使用して、Taqmanを行った。異なるカルボキシペプチダーゼの発現レベルは、ハウスキーピング遺伝子β-2-ミクログロブリン(β2m)に正規化された。
Taqman分析に使用されたプライマー及びプローブ配列は以下の通りであった:
CpD順方向プライマー:CCC ACA CAT TAC AAA TCT TAC CA(配列番号1);
CpD逆方向プライマー:GAG ATT TCG AGG GAC CAA AT(配列番号2);
CpDプローブ:TTG GGA CAG AGT GCT GAG TAT CGT CA(配列番号3);
CpN順方向プライマー:GTG GGA TCA ATC ACG ATG TC(配列番号4);
CpN逆方向プライマー:CCT TGG CAG TGA CAA TGT AAG TA(配列番号5);
CpNプローブ:ACA TGG GGA TTA CTT CCG TCT GCT G(配列番号6);
CpM順方向プライマー:AAC TTG GAG AGT ACT ACC TGC TTC T(配列番号7);
CpM逆方向プライマー:TCA TGC CCA GGG ACT GTA(配列番8);
CpMプローブ:ATT GAT CAC GTA GGA CCC TGG CAA A(配列番号9);
CpB順方向プライマー:TGA ATG CGC TGG TGA AAG G(配列番号10);
CpB逆方向プライマー:TCC TGG GCC ATA TGT GTA CTT G(配列番号11);
CpBプローブ:CGG TCA AGG AAC TTG CCT CTC TGC A(配列番号12);
CpE順方向プライマー:TGG CTA CCT GGC AAT AAC AA(配列番号13);
CpE逆方向プライマー:CGA CTC CAG CTC AAA GTC AA(配列番号14);
CpEプローブ:AAG TGG CAG TTC CTT TCA AGC CTG C(配列番号15);
β-ミクログロブリン順方向プライマー:TCC TCT CAG TGG TCT GCT TGG(配列番号16);
β-ミクログロブリン逆方向プライマー:TGG CGT GTG TAG ACT TGC ACT T(配列番号17);
β-ミクログロブリンプローブ:TGC CAT CCA GCG TCC CCC A(配列番号18)。
全てのプライマー及びプローブは、Genentech(Redwood City,CA)で合成及び精製された。
ウエスタンブロット分析が、CHO細胞における相対的カルボキシペプチダーゼDタンパク質発現レベルを決定するために行われた。細胞質タンパク質であるβ-アクチンを試料充填対照として使用した。細胞ペレットを回収し、1x細胞溶解緩衝液(Cat# 9803,Cell Signaling Technology,Danvers,MA)に溶解した。溶解された上清の全タンパク質をBradfordアッセイ(Cat# 1856210,Thermo Scientific,Rockford,IL)で定量化し、還元SDS-PAGEゲル上に充填する前に、3分間95℃で加熱した。エレクトロブロットにより、分離したタンパク質をニトロセルロース膜に移した。次に、移した膜を、CpDタンパク質発現を検出するためのカルボキシペプチダーゼDに対するウサギポリクローナル抗体(Cat# SAB2700486,Sigma,Saint Louis,MO)、及び等しい試料充填の充填対照としてのβ-アクチンに対するマウス抗体(Cat# A2228,Sigma,Saint Louis,MO)と共にインキュベートした。
低分子干渉RNA(DSIR)プログラム(http://www.biomedcentral.com)のデザイナーを使用して、CpD及びCpN特異的低分子干渉RNA(siRNA)配列を設計した:
CpD siRNA標的配列:GGAAGAGAACTGCTACTAA(配列番号19);
CpN siRNA標的配列:GAATGGTGCTTGATGAGAA(配列番号20)。
上記のsiRNA配列を合成し、pSilencer 3.1-H1ベクター(Cat# AM5766,Ambion,Austin,TX)に個々にクローニングしてsiRNA発現構築物を作製した。一過性のトランスフェクションにおいて、製造元の推奨に従いリポフェクタミン2000 CD(Invitrogen,Carlsbad,CA)を使用して、各構築物を抗体発現細胞株A及び抗体発現細胞株Bに導入した。トランスフェクションの24時間後に、細胞ペレットを回収して、Taqmanにより各カルボキシペプチダーゼmRNAの発現を評価した。加えて、画像化キャピラリー等電点電気泳動(IcIEF)による電荷変異型生成物品質分析のために、細胞培養液(CCF)を回収し、Amicon Ultra-15(30,000 MWCO,Millipore,Bedford,MA)により濃縮した。
フルオロカーボンコーティングされたキャピラリーカートリッジ(100μm×5cm)を備えるiCE280分析器(ProteinSimple)を使用して、電荷変異型分布を評価した。両性電解質溶液は、0.35%のメチルセルロース(MC)、1.34%の3~10両性電解質担体、1.34%の6.7~7.7両性電解質担体、pIマーカー(pI 6.61及びpI 9.22)、ならびに精製水中10mMのL-アルギニン遊離塩基の混合物からなった。陽極液は80mMリン酸であり、陰極液は100mM水酸化ナトリウムであり、両方とも0.1%MC中である。試料を希釈し、両性電解質溶液と混合し、次に、1500Vの電位を1分間、続いて3000Vの電位を8分間導入することにより電気泳動した。電気泳動した電荷変異型の画像は、キャピラリーを通して電荷結合素子デジタルカメラのレンズに280nmの紫外線を通過させることにより得た。重鎖C末端Lys残基を除去するために、1:100(w/w)の酵素:基質比で、希釈ステップでカルボキシペプチダーゼBを各試料に添加し、続いて37℃で20分間インキュベートした。
下の次のガイドRNA(gRNA)配列を、それぞれ、CpDエキソン2及びエキソン21上に位置するように設計した:
エキソン2のCpDガイドRNA1配列(gRNA1):GAA GAC GAG ACT TTC AAA GAC GG(配列番号21);
エキソン21のCpDガイドRNA2配列(gRNA2):TCA GTT AGG TGG CTT AGG TTC GG(配列番号22)。
カスパーゼ9(Cas9)と共に同時にトランスフェクトされたとき、gRNA配列は、大半の注釈付けされたCpD遺伝子座を包含する約46kbの欠失を可能にすると予想される。
個々のgRNAをクローニングし、pLKO.5ベクター(Cat# SHC-201,Sigma,St.Louis,MO)のヒトU6プロモータの制御下で転写した。2つのgRNA及びCas9構築物を、等モル比で同時にトランスフェクトした。トランスフェクションの72時間後に、限界希釈により細胞を384ウェルプレートに播種した。3週間後、コロニーを選び取り、96ウェルプレートに移し、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によりスクリーニングした。CpDノックアウト(約46kb欠失)及び野生型対立遺伝子をスクリーニングするためのPCRプライマーは以下の通りであった:
CpDノックアウト対立遺伝子の順方向プライマー:AGT TCA TTT ATG AAA GAT CCT GTG G(配列番号23);
CpDノックアウト対立遺伝子の逆方向プライマー:GGA AAG GAG TCC TTC AGT GAA CAC(配列番号24);
CpD野生型対立遺伝子の順方向プライマー:CCA GTT CTG CTG TTA CAC TTT GAG(配列番号25);
CpD野生型対立遺伝子の逆方向プライマー:AAT GTT TCC TCT TTC CTG GAC CTT(配列番号26);
希釈したタンパク質試料(1mg/mL)を、1:1の比率で20mg/mLのTCEP溶液と混合し、60℃で10分間インキュベートして抗体を還元し、それを軽鎖と重鎖に解離した。次に、ナノ-チップLC-ESI源と結合されたAgilent 6210飛行時間質量分析を使用して、液体クロマトグラフィーエレクトロスプレーイオン化質量分析(LC-ESI-MS)により各試料を分析した。簡潔に、約5ngのタンパク質試料を、脱塩のための40nLのトラップカラム及び400nL/分での分離のための43mm×75μmの寸法の等価分析カラムZorbax 300SB-C8(5μm,Agilent Technologies,Santa Clara,CA)を有するカスタムチップ上に注入した。Lu et al.,Mabs,5,2013を参照されたい。移動相Aは水中0.1%ギ酸であり、移動相Bはアセトニトリル中0.1%ギ酸であった。MSデータが抽出され、Agilent MassHunter Quantitative Analysis Workstation Software B.04.00を使用してデコンボリューションされた。C末端リジンの割合を推定するために、C末端リジンを伴う、または伴わない抗体重鎖に対応するデコンボリューションされた質量の強度が使用された。
流加産生を、独自の化学既知組成培地において、浸透フラスコ容器で行われ、3、7、及び10日目にボーラス投入された。37℃から35℃への温度変更が3日目に行われた。14日目の力価は、UV検出を伴うタンパク質A親和性クロマトグラフィーを使用して決定された。
結果:
qPCR分析が、各宿主(細胞株A及び細胞株B)からのDUXB-11系DHFR欠損DP12、DHFR陽性CHOK1宿主、ならびに抗体産生細胞株における可能な内因性カルボキシペプチダーゼのmRNAレベルを測定するために行われた。細胞株AはDHFR欠損DP12宿主に由来し、細胞株BはDHFR陽性CHOK1宿主に由来した。
CpD、CpN、CpM、CpB、及びCpEの5つのカルボキシペプチダーゼがqPCRによるmRNA発現分析用に選択された。CpDは、両CHO宿主及びそれらのそれぞれの抗体発現株において、最も高いmRNAレベルを有した(図1A及び図1B)。CpD及びCpN mRNAレベルは、細胞株A及び細胞株Bにおいて、CpM、CpE、及びCpBのレベルよりも高かった(図1B)。
siRNA媒介ノックダウン(例えば、Rao et al.,Adv Drug Deliv Rev,61,2009を参照されたい)実験が、2つの最も豊富なカルボキシペプチダーゼ、つまりCpD及びCpNを有する2つの抗体産生細胞株を使用して行われた。各細胞株は、それぞれ、CpD(CpDi構築物)またはCpN(CpNi構築物)を特異的に標的とするsiRNA構築物で一過的にトランスフェクトされた。スクランブルされたベクター対照構築物も、陰性対照としてトランスフェクトされた。図2Aに示されるように、CpD mRNAレベルは、細胞株Aにおいて39%、そして細胞株Bにおいて28%ノックダウンされた。類似する結果がCpNi構築物によるCpN mRNA阻害に関して観察され、CpN mRNAレベルは細胞株Aにおいて43%、そして細胞株Bにおいて35%低減された、(図2B)。
細胞培養における抗体上に存在するC末端リジンの百分率が計算された。細胞培養における抗体上に存在するC末端リジンの百分率を計算するために、CpB処理を伴う、または伴わないCpDi及びCpNiトランスフェクトされた細胞株からの上清を、タンパク質A親和性クロマトグラフィーで精製し、画像化キャピラリー等電点電気泳動(IcIEF)で分析した。CpB処理された試料と未処理の試料との間の差分値は、無傷C末端リジンを有する抗体の百分率を表す。CpD mRNAがおよそ30~40%ノックダウンされたとき、大幅に増加したC末端リジンレベルが両細胞株において観察された(図2A及び図3)。最小のC末端リジンレベル変化が、スクランブルされたRNAi構築物(陰性対照)、またはCpN mRNAをおよそ40%までノックダウンしたCpNi構築物のいずれかでトランスフェクトされた2つの細胞株において観察された(図2B及び図3)。これらの結果は、CpD mRNAレベルの低減がC末端リジンレベルの増加をもたらした一方で、CpN mRNAレベルの変化は2つの試験した抗体産生株においてC末端リジンに対して作用がないことを示した。
CRISPR技術を使用したノックアウト実験(例えば、He et al.,Biotechnol Bioeng,2014、Jinek et al.,Elife,2,2013を参照されたい)が行われた。CHO CpDのコード領域配列の大半を含む、NCBIデータベースにおける既知のCHOK1 CpDゲノム配列は、およそ55kbである。図4Aに図示されるように、2つのガイドRNA配列は、チャイニーズハムスターCpD遺伝子のエキソン2及び21を同時に標的とするように設計され、これは2つのエキソン間の46kb配列を削除することを目的とする。2つのgRNA構築物及びCas9エンドヌクレアーゼ構築物を抗体発現細胞株Bに同時にトランスフェクトしたとき、Cas9エンドヌクレアーゼは、gRNAに相補的である特定のDNA配列を切断する。この切断は、2本鎖DNAの破壊、及び標的遺伝子の発現を消失させることができる欠失または挿入による後の非相同末端結合(NHEJ)DNA修復をもたらす。gRNA配列に隣接し、かつその上流のPCRプライマーを使用して、CpDノックアウト細胞は、2つのgRNA間の介在配列が図4Bに図示されるように削除されるとき、およそ600塩基対のPCR生成物をもたらすはずである。合計180のクローンがCpD配列の欠失に関してスクリーニングされ、PCR生成物のサイズ及び配列分析に基づいて、両CpD対立遺伝子が削除された2つのクローンを得、CpD mRNA及びタンパク質発現分析に使用した(データ示さず)。図5Aに示されるように、CpD mRNAは、2つのCpD KOクローンにおいて、qPCR分析により検出不可能であった。さらに、抗CpD抗体を使用するウエスタンブロット分析は、図5Bに示されるように、およそ180kDaの分子量を有するタンパク質が2つのCpD KOクローンにおいて不在であったが、CpD WTクローンにおいては存在したことを示した。
CpD KO及びWTクローンを、生産性及び生成物品質特性に関して評価した。2つのKO及び2つのWTクローンの間で、明らかな相違は、統合された生細胞数細胞(IVCC)、特定生産性(Qp)、及び力価において観察されず(図6)、CHO細胞におけるCpD発現の不在が、流加振盪フラスコ産生アッセイにより評価されたとき、細胞生産性及び成長に影響を与えなかったことを示す。重要なことには、C末端リジンレベルが還元された抗体の質量分析に基づく分析により測定され、およそ4~6%のC末端リジンが2つのWTクローンで観察された一方で、100%のC末端リジンが2つのKOクローンにおいて存在したことを示す(図7)。したがって、CpDがCHO細胞における抗体重鎖のC末端リジンの除去に関与する唯一のカルボキシペプチダーゼであることが示された。同じ結果がIcIEFアッセイによっても観察された(データ示さず)。他の生成物品質特性及び細胞培養代謝物プロファイルは、CpD KOとWTクローンとの間で同等であった(データ示さず)。