[0023]理解を容易にするため、図面に対して共通な同一の要素を指示するのに、できるだけ、同じ参照番号を使用している。ある実施形態に開示される要素は、特に指示なく、他の実施形態にも便利に利用されるものとする。ここで参照する図面は、特に指示のない限り、正しいスケールで描かれたものではないと理解されたい。また、図面は、表示及び説明を明瞭化するために、しばしば簡単化され且つ細部及び成分が省略される。図面及び討議は、以下の原理を説明するのに役立ち、同じ呼称が同じ要素を示す。
[0024]以下の詳細な説明は、性質上、単なる例示に過ぎず、開示又はその適用及び使用を限定するものではない。更に、前記技術分野、背景、簡単な概要又は以下の詳細な説明に表現され又は暗示された理論によって縛られるものでもない。
[0025]本発明の種々の実施形態は、容量性感知を行うときに基準電圧レールを変調する基準電圧変調器を備えた入力装置を提供する。一実施形態では、基準電圧レールは、タッチ感知領域と一体化された表示スクリーンを備えたパネルを動作するための電力を供給するDC電源に結合される。容量性感知を行う前に、入力装置は、DC電源を基準電圧レールから分離し、そして基準電圧レールを使用して、レール、即ちVDD及びVGNDを変調する。例えば、基準電圧変調器は、レールの電圧を同じ増分で変化させる。即ち、高い基準レール(例えば、VDD)が1V増加した場合には、基準電圧変調器は、低い基準レール(例えば、VGND)も1V増加させる。この例では、基準電圧レール間の電圧差は、レールが変調されるので、一定のままである。ここで使用する、基準電圧レールの分離は、レールを電源から物理的に切断することを要求しない。むしろ、基準電圧レールは、電源に誘導的又は容量的に結合される。
[0026]一実施形態において、基準電圧レールは、入力装置が低電力状態にあるときに変調される(そして容量性感知が行われる)。1つの例では、表示/感知パネル(及びもしあれば、バックライト)がターンオフされ、電力を消費しない。それでも、基準電圧レールを変調することにより、表示/感知パネルの表示及びセンサ電極を使用して、容量性感知を行うことができる。換言すれば、基準電圧レールを変調することにより、パネルの表
示及びセンサ電極に容量性結合される入力オブジェクト(例えば、指)は、キャパシタンス変化を測定することで検出できる。入力オブジェクトが検出されると、入力装置がウェイクアップし、低電力状態からアクティブな状態に切り換わる。
[0027]一実施形態において、基準電圧レールを変調することにより容量性感知を行うときに、表示及びセンサ電極は、1つの容量性ピクセル又は電極として処理される。従って、表示及びセンサ電極からの結果信号を測定することにより、入力装置は、入力オブジェクトがパネルに接近しているかどうか決定するが、入力オブジェクトが接触し又はホバリングしている特定の位置を決定するものではない。むしろ、アクティブな状態になると、入力装置は、感知領域において入力オブジェクトの特定の位置を識別する、より粒状形式の容量性感知技術を遂行する。アクティブな状態において容量性感知を行うとき、入力装置は、基準電圧レールのDC電圧を駆動し、即ちレールは変調されないか、又はレールは変調されるが、電流又は電荷を感知することでそれを行う必要はない。
[0028]図面を参照すれば、図1は、本発明の実施形態による例示的な入力装置100のブロック図である。入力装置100は、電子システム(図示せず)に入力を与えるように構成される。本書で使用する用語「電子システム」(又は「電子デバイス」)は、情報を電気的に処理できるシステムを広く指す。電子システムの幾つかの非限定例は、全てのサイズ及び形状のパーソナルコンピュータ、例えば、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、ネットブックコンピュータ、タブレット、ウェブブラウザ、e-ブックリーダー、及びパーソナルデジタルアシスタント(PDA)を含む。付加的な規範的電子システムは、入力装置100及び個別のジョイスティック又はキースイッチを含む物理的キーボードのような複合入力装置を備えている。更に別の例示的な電子システムは、データ入力装置(リモートコントロール及びマウスを含む)、及びデータ出力装置(表示スクリーン及びプリンタを含む)のような周辺装置を備えている。他の例は、リモートターミナル、キオスク、及びビデオゲームマシン(例えば、ビデオゲームコンソール、ポータブルゲーム機、等)を含む。他の例は、通信装置(スマートホンのような携帯電話機を含む)、及びメディア装置(レコーダ、エディタ、及びプレーヤ、例えば、テレビ、セットトップボックス、音楽プレーヤ、デジタルフォトフレーム、及びデジタルカメラを含む)を包含する。更に、電子システムは、入力装置に対するホスト又はスレーブである。
[0029]入力装置100は、電子システムの物理的な部分として実施することもできるし又は電子システムから物理的に分離することもできる。入力装置100は、次のもの、即ちバス、ネットワーク、及び他のワイヤード又はワイヤレス相互接続部の1つ以上を使用して、電子システムの部分と、適宜、通信する。例えば、I2C、SPI、PS/2、ユニバーサルシリアルバス(USB)、Bluetooth(登録商標)、RF、及びIRDAが含まれる。
[0030]図1において、入力装置100は、感知領域120における1つ以上の入力オブジェクト140により与えられる入力を感知するように構成された近接センサ装置(「タッチパッド」又は「タッチセンサ装置」ともしばしば称される)として示される。規範的入力オブジェクトは、図1に示すように、指及びスタイラスを含む。
[0031]感知領域120は、入力装置100がユーザ入力(例えば、1つ以上の入力オブジェクト140により与えられるユーザ入力)を検出できる入力装置100の上、その周囲、その中及び/又はその付近のスペースを包囲する。特定感知領域のサイズ、形状及び位置は、実施形態ごとに広範に変化する。ある実施形態では、感知領域120は、信号対雑音比が充分正確なオブジェクト検出を妨げるまで、入力装置100の表面から1つ以上の方向にスペースへと延びる。この感知領域120が特定の方向に延びる距離は、種々の実施形態では、1mm未満、数mm、cm又はそれ以上の程度であり、そして使用する感知技術の形式及び望ましい精度で著しく変化する。従って、ある実施形態では、入力装置100の表面と非接触、入力装置100の入力表面(例えば、タッチ表面)と接触、ある量の加えた力又は圧力と結合された入力装置100の入力表面との接触、及び/又はその組み合わせを含む入力が感知される。種々の実施形態では、入力表面は、センサ電極が存在するケーシングの表面、センサ電極に付着されるフェースシート、又は任意のケーシング、等により形成される。ある実施形態では、感知領域120は、入力装置100の入力表面に投影されたときに長方形となる。
[0032]入力装置100は、センサコンポーネント及び感知技術を組み合わせて使用して感知領域120におけるユーザ入力を検出することができる。入力装置100は、ユーザ入力を検出するための1つ以上の感知素子を備えている。多数の非限定例として、入力装置100は、容量性、弾力性、抵抗性、誘導性、磁気、音響、超音波、及び/又は光学的技術を使用する。
[0033]ある実施形態は、一次元、二次元、三次元又はより高次元のスペースに及ぶ画像を与えるように構成される。ある実施形態は、特定の軸又は平面に沿った入力の投影を与えるように構成される。
[0034]入力装置100のある抵抗性実施形態では、柔軟な導電性の第1層が1つ以上のスペーサ素子により導電性の第2層から分離される。動作中に、1つ以上の電圧勾配が層にわたって形成される。柔軟な第1層を押すと、それが充分に偏向されて、層間に電気的接触を生成し、層間の接触点(1つ又は複数)を反映する電圧出力を生じる。これら電圧出力は、位置情報を決定するのに使用される。
[0035]入力装置100のある誘導性実施形態では、1つ以上の感知素子が、共振コイル又は一対のコイルにより誘起されるループ電流をピックアップする。電流の大きさ、位相及び周波数を組み合わせて使用して、位置情報を決定することができる。
[0036]入力装置100のある容量性実施形態では、電圧又は電流が付与されて電界を生成する。近傍の入力オブジェクトは、電界を変化させ、そして電圧、電流、等の変化として検出される検出可能な変化を容量性結合に発生させる。
[0037]ある容量性実施形態は、容量性感知素子のアレイ或いは他の粒状又は不規則パターンを使用して、電界を生成する。ある容量性実施形態では、個別の監視素子がオーミック短絡されて、大きなセンサ電極を形成する。ある容量性実施形態は、均一な抵抗である抵抗性シートを使用する。
[0038]ある容量性実施形態は、センサ電極と入力オブジェクトとの間の容量性結合の変化に基づく「自己キャパシタンス」(又は「絶対的キャパシタンス」)感知方法を使用する。種々の実施形態では、センサ電極付近の入力オブジェクトは、センサ電極付近の電界を変更し、従って、測定される容量性結合を変化させる。ある実施形態では、この絶対的キャパシタンス感知方法は、センサ電極を基準電圧(例えば、システム接地)に対して変調し、そしてセンサ電極と入力オブジェクトとの間の容量性結合を検出することにより、動作する。
[0039]ある容量性実施形態は、センサ電極間の容量性結合の変化に基づく「相互キャパシタンス」(又は「トランスキャパシタンス」)感知方法を使用する。種々の実施形態において、センサ電極付近の入力オブジェクトは、センサ電極間の電界を変更し、従って、測定される容量性結合を変化させる。一実施形態では、トランスキャパシタンス感知方法は、1つ以上の送信器センサ電極(「送信器電極」又は「送信器」でもある)と1つ以上の受信器電極(「受信器電極」又は「受信器」でもある)との間の容量性結合を検出することにより動作する。送信器センサ電極は、送信器信号を送信するために基準電圧(例えば、システム接地)に対して変調される。受信器センサ電極は、結果信号の受信を容易にするために基準信号に対して実質的に一定に保持される。結果信号は、1つ以上の送信器信号、及び/又は1つ以上の環境干渉源(例えば、他の電磁信号)に対応する作用を含む。センサ電極は、専用の送信器又は受信器でもよいし、又は送信及び受信の両方を行うように構成されてもよい。
[0040]図1において、処理システム110は、入力装置100の一部分として示されている。処理システム110は、入力装置100のハードウェアを動作して、感知領域120の入力を検出するように構成される。処理システム110は、1つ以上の集積回路(IC)及び/又は他の回路コンポーネントの一部又は全部を含む。例えば、相互キャパシタンスセンサ装置の処理システムは、送信器センサ電極で信号を送信するように構成された送信器回路、及び/又は受信器センサ電極で信号を受信するように構成された受信器回路を備えている。ある実施形態では、処理システム110は、ファームウェアコード、ソフトウェアコード、等の電子的に読み取り可能なインストラクションも含む。ある実施形態では、処理システム110を構成するコンポーネントは、一緒に、例えば、入力装置100の感知素子の付近に配置される。他の実施形態では、処理システム110のコンポーネントは、入力装置100の感知素子に接近した1つ以上のコンポーネント及びどこかにある1つ以上のコンポーネントとは物理的に個別である。例えば、入力装置100は、デスクトップコンピュータに結合された周辺装置であり、そして処理システム110は、デスクトップコンピュータの中央処理ユニットにおいて実行されるように構成されたソフトウェア、及び中央処理ユニットとは個別の1つ以上のIC(おそらく関連ファームウェアを伴う)を備えている。別の例として、入力装置100は、電話に物理的に一体化されてもよく、そして処理システム110は、電話のメインプロセッサの一部分である回路及びファームウェア備えてもよい。ある実施形態では、処理システム110は、入力装置100を専用に実施するものである。また、他の実施形態では、処理システム110は、表示スクリーンを動作し、触覚アクチュエータを駆動し、等の他の機能も遂行する。
[0041]処理システム110は、処理システム110の異なる機能を取り扱うモジュールのセットとして実施される。各モジュールは、処理システム110の一部分である回路、ファームウェア、ソフトウェア又はその組み合わせを含む。種々の実施形態において、モジュールを異なる組み合わせで使用してもよい。例示的なモジュールは、センサ電極及び表示スクリーンのようなハードウェアを動作するためのハードウェア動作モジュールと、センサ信号及び位置情報のようなデータを処理するためのデータ処理モジュールと、情報をレポートするためのレポートモジュールとを含む。更に別の規範的モジュールは、感知素子を動作して入力を検出するように構成されたセンサ動作モジュールと、モード切り換えジェスチャーのようなジェスチャーを識別するように構成された識別モジュールと、動作モードを切り換えるためのモード切り換えモジュールとを含む。
[0042]ある実施形態では、処理システム110は、感知領域120におけるユーザ入力(又はユーザ入力の欠落)に直接的に応答して、1つ以上のアクションを行わせる。規範的アクションは、切り換え動作モード、及びGUIアクション、例えば、カーソル移動、選択、メニューナビゲーション、及び他の機能を含む。ある実施形態では、処理システム110は、入力(又は入力の欠落)に関する情報を、電子システムのある部分(例えば、処理システム110とは個別の電子システムの中央処理システムが存在すれば、そのような中央処理システム)に与える。ある実施形態では、電子システムのある部分は、処理システム110から受信した情報を処理して、ユーザ入力に作用させ、例えば、モード切り換えアクション及びGUIアクションを含む全アクション範囲を促進させる。
[0043]例えば、ある実施形態では、処理システム110は、入力装置100の感知素子を動作して、感知領域120における入力(又は入力の欠落)を表す電気信号を発生する。処理システム110は、電気信号に対して適当な量の処理を行って、電子システムに与える情報を発生する。例えば、処理システム110は、センサ電極から得たアナログ電気信号をデジタル化する。別の例として、処理システム110は、フィルタリング又は他の信号コンディショニングを遂行する。更に別の例として、処理システム110は、基線を差し引くか、さもなければ、考慮して、情報が電気信号と基線との間の差を反映するようにする。更に別の例として、処理システム110は、位置情報を決定し、入力をコマンドとして確認し、手書きを確認し、等々を行う。
[0044]ここで使用する「位置情報」とは、絶対的位置、相対的位置、速度、加速度及び他の形式の空間的情報を広範囲に包含する。例示的な「ゼロ次元」位置情報は、近/遠、又は接触/非接触情報を含む。例示的な「一次元」位置情報は、軸に沿った位置を含む。例示的な「二次元」位置情報は、平面内の動きを含む。例示的な「三次元」位置情報は、スペースにおける瞬時又は平均速度を含む。更に別の例は、空間的情報の他の表現を含む。例えば、時間に伴う位置、動き又は瞬時速度を追跡する履歴データを含めて、1つ以上の形式の位置情報に関する履歴データも決定され、及び/又は記憶される。
[0045]ある実施形態では、入力装置100は、処理システム110又は他の処理システムにより動作される付加的な入力コンポーネントで実施される。これらの付加的な入力コンポーネントは、感知領域120における入力のための冗長機能又は他の機能を与える。図1は、入力装置100を使用してアイテムの選択を容易にするために使用できるボタン130を感知領域120付近に示している。他の形式の付加的な入力コンポーネントは、スライダー、ボール、ホイール、スイッチ、等を含む。逆に、ある実施形態では、入力装置100は、他の入力コンポーネントを伴わずに実施されてもよい。
[0046]ある実施形態では、入力装置100は、タッチスクリーンインターフェイスを備え、そして感知領域120は、表示スクリーンのアクティブなエリアの少なくとも一部分に重畳する。例えば、入力装置100は、表示スクリーンの上に横たわる実質的に透明なセンサ電極を備え、そして関連電子システムのためのタッチスクリーンインターフェイスをなす。表示スクリーンは、ユーザに視覚インターフェイスを表示できる任意の形式の動的表示であり、そして任意の形式の発光ダイオード(LED)、有機LED(OLED)、陰極線管(CRT)、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマ、エレクトロルミネセンス(EL)、又は他の表示技術を含む。入力装置100及び表示スクリーンは、物理的素子を共有する。例えば、ある実施形態では、表示及び感知のために幾つかの同じ電気的コンポーネントが使用される。別の例として、表示スクリーンは、処理システム110により部分的に又は完全に動作されてもよい。
[0047]本発明の多数の実施形態を、完全に機能する装置に関して説明するが、本発明のメカニズムは、種々の形態のプログラム製品(例えば、ソフトウェア)として配布できることを理解されたい。例えば、本発明のメカニズムは、電子プロセッサにより読み取り可能な情報保持媒体(例えば、処理システム110により読み取り可能な非一時的なコンピュータ読み取り可能な及び/又は記録可能/書き込み可能な情報保持媒体)上のソフトウェアプログラムとして実施され配布される。更に、本発明の実施形態は、配布を実行するのに使用される媒体の特定形式に関わらず等しく適用される。非一時的な電子的に読み取り可能な媒体は、種々のディスク、メモリスティック、メモリカード、メモリモジュール、等を含む。電子的に読み取り可能な媒体は、フラッシュ、光学的、磁気的、ホログラフ的、又は他のストレージ技術をベースとする。
[0048]図2は、ここに述べる一実施形態により容量性感知を行うために基準電圧レールを変調する入力装置200を示す。この入力装置200は、電源202、ホスト204、処理システム110、バックライト232、及び表示/感知パネル234を備えている。一実施形態において、電源202は、処理システム110、バックライト232及び表示/感知パネル234へ電力を供給する少なくとも2つの基準電圧-VDD及びVGNDを出力するDC電源である。電源202は、バッテリであるか、又は外部電源(例えば、AC又はDC電気的グリッド)にプラグインされる電力コンバータである。ここで使用する低基準電圧(即ち、VGND)は、これが入力装置200の基準電圧であることを示すためにシャーシ接地208とも称される。対照的に、入力装置200の他の電力ドメインは、シャーシ接地208と同じ電圧でもよいし異なる電圧でもよい局部接地基準(例えば、局部接地216)を含む。例えば、以下に述べるように、ある時間周期では、局部接地216がシャーシ接地208と同じ電圧でよいが、他の時間周期では、異なる電圧へ駆動されることにより変調される。
[0049]一実施形態において、ホスト24は、電話コールの発信、データのワイヤレス送信、オペレーティングシステム又はアプリケーションの実行、等の多数の機能を実行する入力装置200の一般的システムを表わす。ホスト204は、更新されたデータフレームを処理システム110に与える表示ソース206を備えている。例えば、表示ソース206は、表示/感知パネル234の表示を更新するために処理システム110へピクセル又はフレームデータを送信するグラフィック処理ユニット(GPU)である。更新された表示データを与えるために、表示ソース206は、全フレームレートにおいて1Gビット/s以上の速度でデータを送信する高速リンク244を経て処理システム110に結合される。例えば、表示ソース206は、高速リンク244を経て表示データを通信するためにDisplayPortTM(例えば、eDP)又はMIPI(登録商標)表示インターフェイスを使用する。このインターフェイスは、単一の対(例えば、差動)又は複線の物理的接続、例えば、3線シグナリング、共有クロック、埋設クロックを伴う複数リンク、3レベルシグナリング、等を含む。
[0050]処理システム110は、スイッチ210、212、タイミングコントローラ220、及び電力管理コントローラ230を備えている。スイッチ210、212は、基準電圧レール211A、211Bを電源202に選択的に結合する。制御信号218を使用して、タイミングコントローラ220は、スイッチ210、212を開閉し、それにより、基準電圧レール211を電源202に電気的に接続し及び切断する。オーミック接続として示されているが、他の実施形態では、基準電圧レール211は、電源202に容量性又は誘導性結合される。いずれにせよ、スイッチ210、212を使用して、基準電圧レール211を電源202から切断する一方、変調信号228を使用して、電圧レールを変調することができる。
[0051]スイッチ210、212が閉じると、電源202がバイパスキャパシタ214を充電する。スイッチ210、212が開くと、バイパスキャパシタ214に蓄積された電荷を使用して、基準電圧レール211に通電し、次いで、これを使用して、入力装置200内の種々のコンポーネント(例えば、電力管理コントローラ230、バックライト232、又はパネル234)に通電する。一実施形態では、タイミングコントローラ220は、制御信号218を使用して、スイッチ210、212を周期的に開閉し、キャパシタ214及びレール211に実質的に一定の平均電圧を維持する。或いはまた、個別の制御素子(例えば、フライバックインダクタ)がキャパシタ214にまたがる電圧を制御する一方、タイミングコントローラ220は、信号228を使用して基準電圧レール211を変調する。
[0052]タイミングコントローラ220は、センサモジュール222、表示モジュール224及び基準電圧変調器226を備えている。センサモジュール222は、表示/感知パネル234に結合され、より詳細には、パネル234のセンサ電極242に直接的に又は変調信号228を通して結合される。センサ電極242を使用して、センサモジュール222は、センサ電極242を含む図1に示す感知領域120において容量性感知を遂行する。上述したように、センサモジュール222は、自己キャパシタンス、相互キャパシタンス、又はそれらの組み合わせを使用して、入力オブジェクトが接触するか又はホバリングする感知領域120の特定位置を識別する。
[0053]表示モジュール224は、パネル234の表示を更新するために表示回路236(例えば、ソースドライバ及びゲート選択ロジック)及び表示電極240(例えば、ソース電極、ゲート電極、共通電極)に結合される。例えば、表示ソース206から受け取る表示データに基づいて、表示モジュール224は、ゲート電極を使用して表示の行を繰り返し通り、そしてソース電極を使用して選択された行の各表示ピクセルを更新する。このように、このように、表示モジュール224は、ホスト204から更新された表示フレームを受け取り、そして表示/感知パネル234の個々のピクセルを適宜に更新(又はリフレッシュ)する。
[0054]基準電圧変調器226は、基準電圧レール211を変調する変調信号228を出力する。一実施形態において、基準電圧変調器226は、電圧レール211を、それが電源202から切断されたときだけ(即ち、スイッチ210、212が開のときだけ)を変調する。そのようにすることで、変調信号228は、基準電圧レール211を、電源202の出力、即ちVDD及びVGNDに対して変調できるようにする。電源202が電気的に切断されていない場合には、基準電圧レール211が変調されるとき、VDD及びVGNDが変調信号228により短絡され、これは、電源202により供給される電力に依存する入力装置200の他のコンポーネントが予想不能に又は不適切に振舞うようにさせ得る。例えば、ホスト204(又は入力装置200の図示されていない他のコンポーネント)が電源202を使用してそのコンポーネントに通電することもある。ホスト204は、非変調の電源で動作するように設計され、従って、変調信号228が電源202から電気的に分離されなかった場合には、信号228は、ホスト204に対して否定的作用を及ぼす。
[0055]一実施形態では、変調信号228は、基準電圧レールの電圧を個別の量的な又は周期的な仕方で増加又は減少することにより基準電圧レールを変調する。一例において、変調信号228は、両電圧レール211A及び211Bにおいて同じ又は同様の電圧変化を生じさせ、レール211間の電圧差が実質的に一定のままであるようにする。例えば、VDDが4Vで、VGNDが0Vの場合には、変調信号は、両レールに1Vの電圧揺動を追加して、電圧レール211Aが5から3Vで変化する一方、電圧レール211Bが-1から1Vの間で変化するようにする。それでも、レール211間の電圧差(即ち、4V)は、同じままである。更に、変調信号228は、周期的信号(例えば、正弦波又は方形波)であるか、又は繰り返し信号を使用して変調が行われない非周期的信号である。一実施形態では、容量性感知測定値は、変調信号228の変調波形に一致するように復調される。
[0056]基準電圧レール211をシャーシ接地に対して変調することにより、処理システム110の観点から、外界、及びシャーシに結合される入力オブジェクトが、変調中の電圧信号を有するかのように見える。即ち、処理システム110内の通電されるシステムに対して、その電圧が安定し、且つ外界の残りが変調し、パネル234の付近にある入力オブジェクト、及びその変調された基準電圧レール211に結合されない入力装置200の他のコンポーネントを含むように見える。基準電圧レール211を変調する1つの効果は、レール211に結合される全てのコンポーネントが変調信号228により変調されることである。従って、表示電極240、表示回路236又は電力管理コントローラ230において個別の変調信号を駆動してそれらの電極を保護する必要はなく、従って、それらが容量性感知に干渉することはない。換言すれば、容量性感知を行うのに使用される電極と、表示パネル234の種々のコンポーネントとの間の電圧差は、変化しない。従って、それら電極及びパネル234のコンポーネントが容量性結合されても、この結合キャパシタンスは、電極に発生される結果信号に影響を及ぼす。更に、標準的コンポーネントを使用することができ、即ち表示回路236及び電力管理コントローラ230は、保護を行うために変更される必要がない。
[0057]電力管理コントローラ230(例えば、1つ以上の電力管理集積回路(PMIC))は、パネル電源231を経て表示/感知パネル234の表示回路236及びバックライト232に通電するための種々の電圧を与える。電力管理コントローラ230は、種々の電圧(例えば、TFTゲート電圧VGH、VHL、ソース電圧、VCOM、等)を供給する複数の異なる電源を備えている。種々の電圧を発生するために、電源は、誘導性ブースト回路又は容量性電荷ポンプを使用して、基準電圧レール211により与えられるDC電圧を、バックライト232又はパネル234の回路により望まれるDC電圧へと変化させるスイッチング電源である。また、電源は、ギガビットシリアルリンクのような低電圧デジタル回路に効率的に通電するバック回路も含む。
[0058]一実施形態では、基準電圧変調器226は、入力装置200が低電力状態にあるときに基準電圧レール211を変調する。LCDディスプレイを伴うスマートホンのような移動装置では、表示システムにより消費される電力のほとんどは、バックライト232、表示モジュール224及び表示回路236により消費される。一例において、バックライト232は、オンすると、1から3Wを消費し、一方、表示モジュール224及び表示回路236は、0.5から1Wを消費する。対照的に、センサモジュール222は、容量性感知を行うときに50から150mWを消費する。従って、低電力状態にあるときに、バックライト232及び表示モジュール224の両方が不作動にされた場合には、電力消費を著しく減少することができる。一実施形態では、バックライト232及び表示モジュール224は、基準電圧レール211が変調される間に通電されない。
[0059]しかしながら、センサ及び表示モジュール222、224が同じ集積回路に配置されたときには、表示制御信号233を使用して表示モジュール224を不作動にし、且つセンサモジュール222及びセンサ制御信号235を使用して容量性感知を依然遂行することは不可能である。この例では、入力装置が、低電力状態からいつウェイクアップすべきか決定(即ち、ユーザの指がいつパネル234に接近するか決定)するのにセンサモジュール222により遂行される容量性感知に依存する場合には、表示モジュール224もアクティブでなければならず、これは、入力装置200が表示モジュール224を不作動にする節電から利益が得られないことを意味する。対照的に、図2に示す入力装置200は、低電力状態にあるときに、分離されたセンサモジュール222に通電せずに容量性感知を遂行することができ、従って、センサモジュール222及び表示モジュール224の両方を不作動にできる節電から利益を得ることができる。従って、低電力状態において、センサモジュール222、表示モジュール224、電力管理コントローラ230、バックライト232、及び表示感知回路236は、各々、不作動にすることができる。
[0060]センサモジュール222が不作動にされたときに低電力状態において容量性感知を行うために、一実施形態では、基準電圧変調器226は、電圧レール211の少なくとも1つを変調することから生じる信号、即ち結果信号を、表示及びセンサ電極240、242から取得するための回路を含む。そのために、基準電圧変調器226は、結果信号を測定するための個別の受信器(図2には示さず)を含む。更に、基準電圧変調器226は、結果信号をサンプリングするためにフィルタ(アナログ又はデジタル)及びアナログ/デジタルコンバータ(ADC)のような他の回路を有する。入力オブジェクト140と表示/感知パネル234との間の結合キャパシタンス246の変化を測定することに基づき、入力装置200は、パネル234付近の又はそれに接触する入力オブジェクトの接近を検出することができる。一実施形態において、結果信号は、表示電極240及びセンサ電極242の両方から同時に取得される。表示及びセンサ電極240、242は、パネル234により基準電圧レール211に結合される。例えば、表示及びセンサ電極240、242は、電力管理コントローラ230に結合され、これは、表示更新のための電力(例えば、ゲートライン電圧、Vcom電圧、ソース電圧)及び容量性感知のための電力(例えば、個々のセンサ電極242に結合された受電装置への電圧)を供給する。次いで、電力管理コントローラ230は、基準電圧レール211を経てその電力を受け取る。従って、表示及びセンサ電極240、242(並びにパネル234の他のコンポーネント)は、基準電圧変調器226と共通の電極ノードに結合される(即ち、変調信号228が電圧レール211Bに結合される同じ電気的ノード)。従って、基準電圧レール211を変調するときに、これは、電力管理コントローラ230の電源を変調し、次いで、パネル234の種々のコンポーネント、例えば、表示及びセンサ電極240、242を変調し、入力装置200がユーザ入力を測定できるようにする。
[0061]基準電圧変調器226は、この共通ノードにも結合されるので、変調器226は、基準電圧レール211を変調するときに、表示及びセンサ電極240、242から結果信号を同時に取得する。換言すれば、基準電圧変調器226は、パネル234の種々の電極から結果信号を異なる時間周期で別々に取得する必要がなく、むしろ、結合された全ての電極から合成結果信号を並列的に取得する。結果信号を同時に取得することにより、パネル234は、単一の大きな容量性ピクセル又は電極として考えられる。入力オブジェクトがパネル234の一部分又は位置に接近するとき、その部分の表示及びセンサ電極240、242は、入力オブジェクトの接近により生じるキャパシタンス(例えば、自己キャパシタンス)の変化を示す結果信号を発生する。従って、一実施形態では、基準電圧変調器226により取得した結果信号を評価することで、入力装置200は、入力オブジェクトがパネル234に接近するかどうか決定することができる。しかしながら、パネルは、(複数の個別の容量性電極又はピクセルではなく)1つの容量性電極であるから、装置200は、入力オブジェクトが位置するパネル234の特定の部分又は位置を識別することができない。
[0062]一実施形態において、基準電圧レール211を変調するときに容量性感知を遂行するために表示及びセンサ電極240、242の両方を使用するのではなく、基準電圧変調器226は、表示電極240のみから又はセンサ電極242のみから結果信号を取得する。基準電圧変調器に結合された電極がパネル234の全領域を実質的にカバーする限り、入力装置200は、パネル234におけるオブジェクトの特定の位置に関わらず、入力オブジェクトを検出することができる。
[0063]入力オブジェクトが検出されると、入力装置200は、低電力状態から、表示更新時間中に変調信号が受信されるアクティブな状態へ切り換わる。例えば、入力装置200は、センサモジュール222を作動して、異なる容量性感知技術を遂行することができる。基準電圧変調器226を使用して遂行される容量性感知とは異なり、この容量性感知技術は、パネル234の感知領域を複数の容量性ピクセルに論理的に分割する。どの容量性ピクセル(1つ又は複数)が、入力オブジェクトにより関連キャパシタンスが変更されたか決定することにより、入力装置は、入力オブジェクトが接触するか又はホバリングするパネル234の特定位置又は領域を決定することができる。上述したように、センサモジュール222は、自己キャパシタンス感知、相互キャパシタンス感知、又はその組み合わせを使用して、感知領域における入力オブジェクトの位置を識別することができる。
[0064]一実施形態において、基準電圧レール211は、電源202から常時分離され(例えば、誘導的に又は容量的に)、従って、上述したように変調される前に電源202から選択的に切断される必要がある。むしろ、処理システム110及び表示/感知パネル234は、これらのコンポーネントのみに通電する、基準電圧レール211に結合された個別の個々の電源(例えば、個別のバッテリ、又は電源に誘導的に結合された充電されたキャパシタ)を有する。従って、基準電圧変調器226は、例えば、通信インターフェイスにおけるレベル変換又は分離が重要である場合に、電圧レール211の変調で入力装置200内の他のコンポーネントに否定的影響を与えないよう保証する必要なく、容量性感知のためにこれらの電圧レール211を変調することができる。
[0065]処理システム110のコンポーネントは、1つ以上の集積回路(チップ)において多数の異なる構成で配置することができる。一実施形態では、センサモジュール222、表示モジュール224、及び基準電圧変調器226は、同じ集積回路上に配置される。一実施形態では、センサモジュール222が、基準電圧変調器226とは異なる集積回路上に配置される。別の実施形態では、センサモジュール222、表示モジュール224、及び基準電圧変調器226は、3つの個別の集積回路に配置される。別の実施形態では、センサモジュール222及び基準電圧変調器226が同じ集積回路上に配置され、一方、表示モジュール224は、個別の集積回路に配置される。更に、一実施形態では、表示モジュールが1つの集積回路上に配置され、一方、センサモジュール222、及び表示回路236の少なくとも一部分(例えば、ソースドライバ、mux又はTFTゲートドライバ)が第2の集積回路に配置され、そして基準電圧変調器226が第3の集積回路に配置される。
[0066]一実施形態では、処理システム110は、電力管理コントローラ230と、タイミングコントローラ220と、ホスト204に結合された高速リンク244とを含む集積回路を備えている。また、集積回路は、表示更新及び容量性感知を遂行するためのソースドライバ及び受信器も含む。更に、この集積回路は、異なる基板に配置されるのではなく、表示/感知パネル234を支持する同じ基板に配置される。共通の基板は、集積回路を表示及びセンサ電極240、242に結合するトレースを含む。
[0067]更に、あるディスプレイ(例えば、LED又はOLED)では、バックライトが必要でない。それでも、上述した基準電圧レール変調技術を使用して、容量性感知が行われる。
[0068]図3は、ここに述べる一実施形態により容量性感知を行うために基準電圧レールを変調する入力装置300を示す。入力装置300は、電源(図示せず)により与えられるレール電圧VDD及びVGNDを制御し及び維持するために電圧レギュレータ315を備えている。一実施形態では、電圧レギュレータ315は、バッテリに置き換えられてもよく、及び/又は電力コントローラ230は、変調された電力ドメイン310を、未変調の電力ドメイン305から分離する。入力装置200と同様に、装置300は、スイッチ210、212(即ち、トランジスタ)を制御するための制御信号330A、330Bを出力するタイミングコントローラ220を備えている。上述したように、基準電圧レール211(VDD_MOD及びVGND_MOD)を変調する前に、タイミングコントローラ220は、スイッチ210、212を開いて、基準電圧レール211を基準電圧VDD及びVGNDから電気的に切断する。
[0069]基準電圧レール211が基準電圧VDD及びVGNDから電気的に分離されるとき、入力装置300は、2つの個別の電力ドメイン、即ち非変調電力ドメイン305及び変調電力ドメイン310を有する。非変調電力ドメイン305は、破線301の左側のコンポーネントを含み、一方、変調電力ドメイン310は、破線301の右側のコンポーネントを含む。非変調電力ドメイン305のコンポーネントは、非変調DC基準電圧VDD及びVGNDを使用して動作し、一方、変調電力ドメイン310のコンポーネントは、基準電圧レール211の変調基準電圧VDD_MOD及びVGND_MODを使用して動作する。上述したように、基準電圧レール211は、基準電圧変調器226により発生される変調信号228によって変調される。例えば、変調信号228は、受信器325の入力電圧であるVDD/2より小さい電圧へと駆動される。一実施形態では、基準電圧変調器は、図示されたようにタイミングコントローラ220上ではなく、電力管理コントローラ230又はソースドライバに配置される。
[0070]図示されたように、タイミングコントローラ220は、非変調電力ドメイン305にある高速データインターフェイス320(例えば、eDP又はMIPI標準インターフェイス)を備えている。従って、タイミングコントローラ220におけるモジュールの少なくとも1つは、非変調電力ドメイン305にあり、一方、モジュールの少なくとも1つは、変調電力ドメイン310にある。図示されていないが、センサモジュール及び表示モジュールも、変調電力ドメイン310にある。更に、基準電圧変調器226は、変調電力ドメイン310にあるものとして示されているが、変調器226が、非変調電力ドメイン305にあるシャーシ接地に対して変調信号228を発生するので、非変調電力ドメイン305にあると考えてもよい。通信モジュールは、更に、変調信号228及び電力ドメイン分離制御330を与える。
[0071]高速データインターフェイス320を非変調電力ドメイン305に残すことにより、タイミングコントローラ220は、ホスト204と直接通信することができる。即ち、データインターフェイス320及びホスト204は、両方とも非変調電力ドメイン305にあるが、データ信号を直接的に送信することができる。対照的に、インターフェイス320が変調電力ドメイン310にあって、変調基準電圧を使用して動作する場合には、インターフェイス320は、コスト、電力、及び設計時間を実質的に増加せずに、ホスト204から受信されるデータ信号を検出及び識別することができない。図示されていないが、タイミングコントローラ220は、高速データインターフェイス320がタイミングコントローラ220内の他のモジュールと通信できるようにするレベルシフタを備えている。例えば、ホスト204から更新表示データを受信すると、高速データインターフェイス320は、変調電力ドメイン310内の表示モジュールに表示データを送信するときにレベルシフタを使用する。
[0072]別の実施形態では、タイミングコントローラ220全体が変調電力ドメイン310にある。ホスト204と通信するために、ホスト204とコントローラ220との間に個別の通信モジュールが通信結合される。例えば、通信モジュールは、タイミングコントローラ220とは個別の集積回路に配置される。通信モジュールは、変調電力ドメイン310のタイミングコントローラ220へデータ信号を送信し且つタイミングコントローラ220から受信したデータ信号を非変調電力ドメイン305のホスト204へ送信できるようにする1つ以上のレベルシフタを備えている。
[0073]基準電圧変調器226は、基準電圧レール211を変調するときにパネル234の表示及びセンサ電極から結果信号を取得する受信器325を備えている。受信器325は、変調信号228により使用される同じ電気的接続を使用して、レール211を変調し、結果信号も取得する。即ち、基準電圧変調器226は、同じポートを使用して変調信号228を送信すると共に、表示/感知パネル234の表示及びセンサ電極から結果信号を取得する。或いはまた、基準電圧変調器226は、表示/感知パネル234のみを使用して信号を受信し、一方、変調信号228は、別のコンポーネント(例えば、ソースドライバ又は電力管理コントローラ230)により基準電極に供給される。
[0074]入力装置300において、電力管理コントローラ230は、リンク340を経てパネル234へ複数の異なるDC電圧を出力する複数の電源335を備えている。種々の電圧を発生するために、電源335は、基準電圧レール211により与えられる電圧(即ち、VDD_MOD及びVGND_MOD)を、パネル234のコンポーネントに要求される電圧、例えば、VGH、VGL、VCOM、等へ切り換えるために誘導性ブースト回路又は容量性電荷ポンプを使用するスイッチング電源である。一実施形態では、基準電圧変調器226は、基準電圧レール211を変調し、電力管理コントローラ230は、電源335を不作動にする(例えば、入力装置は、低電力状態にある)。しかしながら、入力装置300が表示更新又は容量性感知を行うときに、電圧レール211が変調されていないときは、電源335は、パネル234へDC電力を供給するように働く。
[0075]図4は、ここに述べる一実施形態により容量性感知を行うために基準電圧レールを変調する入力装置400を示す。図3の入力装置300とは対照的に、入力装置400は、電圧レール211の少なくとも1つを変調するときに結果信号を取得しない基準電圧変調器410を備えている。図示されたように、基準電圧変調器410は、変調信号228を発生するための送信器415を備え、そして電力管理コントローラ230に配置される。しかしながら、この変調器410には受信器325が配置されない。むしろ、受信器325は、タイミングコントローラ220の変調器410の外部に配置される(が、個別の集積回路のように、処理システム110内のどこにでも配置できる)。従って、この実施形態では、結果信号を取得するのに使用する電気的経路は、変調信号228を駆動するのに使用する電気的経路とは異なる。更に、例えば、キャパシタ405により容量性信号が与えられる場合には、ここに示すように、受信器325と変調レール211との間の直接的なオーミック接触は必要とされない。従って、図3及び4は、電圧レール211のいずれか1つを経て結果信号を取得できることを示す。一実施形態では、受信器325は、変調信号228を表示/感知パネル234の電極に結合するために最もインピーダンスの低い経路にある。一実施形態では、送信器415は、基準電圧レール211への電力管理コントローラの接続を使用して、基準電圧レール211上で変調信号228の駆動も行う。
[0076]図示されたように、受信器325を電圧レール211Aに結合する電気的経路にはキャパシタ405が配置されるが、キャパシタ405は、任意である。受信器325は、表示/感知パネル234に入力オブジェクトが接近したときを決定するために、送信器415が基準電圧レール211を変調するときにキャパシタ405に累積される電荷(又は電圧)を測定する。
[0077]図5は、ここに述べる実施形態による図3に示す基準電圧変調器226の回路図である。この変調器226は、変調信号228を出力する積分器500を備えている。更に、積分器500は受信器として働くので、変調器は、積分器500の出力において表示及びセンサ電極からの結果信号も取得する。積分器500の増幅器の一方の入力は、信号発生器515に結合され、これは、変調信号を出力し、積分器500は、これを使用して、センサ出力からのフィードバックを通して変調信号228を駆動する。例えば、ローパスフィルタのキャパシタ525によって積分機能が遂行され、例えば、リセットスイッチ又は任意の抵抗器520によりオフセットドリフトが補償されるようにする。
[0078]基準電圧変調器226の機能を一般的に説明すると、積分器500は、基準電圧レールの変調により表示パネルの表示及びセンサ電極を変調するために増幅器がキャパシタ525を通して与えねばならない電荷の量を測定する(結果信号を使用して)。図示されていないが、受信器325は、結果信号を処理するためにフィルタ及びサンプリング回路、例えば、ADCに結合される。更に、図5は、基準電圧変調器226及び受信器の適当な構造の一例だけを示す。一般的に述べると、変調器226は、変調信号228を駆動する任意の形式の送信回路、及び回路のキャパシタンス又はキャパシタンス変化の測定値を受け取るための任意の形式のアナログ回路である。或いはまた、図4に示すように、受信器325は、基準電圧変調器とは個別である。例えば、基準電圧変調器は、変調信号228を駆動する変調器のみを含み、一方、受信器は、処理システムのどこかに配置される(例えば、電力管理コントローラの個別の集積回路、等)。
[0079]図6は、ここに述べる一実施形態により、変調された基準電圧レールを使用して低電力状態から入力装置をウェイクアップするための方法600を示すフローチャートである。ブロック605において、タイミングコントローラは、レールを選択的に切断するか、又は誘導性結合のような間接的結合方法を使用することにより、基準電圧レールを電源から電気的に分離する。例えば、電源は、入力装置の種々のコンポーネントを通電するためのDC電圧出力(例えば、VDD及びVGND)を供給するバッテリである。あるコンポーネントの機能は、電源の出力を変調することにより否定的な影響を受けるので、タイミングコントローラは、基準電圧レールをバッテリから電気的に分離する。或いはまた、入力装置の表示を更新するか、又は基準電圧レールを変調しない容量性感知を遂行するときに、タイミングコントローラは、基準電圧レールを電源に電気的に接続できるようにする。これらの時間周期の間に、電源は、電圧レール上の非変調のDC電圧を直接的に駆動する。ある実施形態では、電圧レールがシャーシ接地に対して変調され、浮動され、又は比較的一定の電圧に保持される間でも、電力が一貫して与えられる(例えば、電圧レールが電源に誘導的に結合される)。
[0080]ブロック610において、入力装置は、低電力状態において入力装置を構成する。一実施形態では、入力装置は、ユーザが入力装置との相互作用に失敗した場合の暗アクティビティの周期を識別した後に低電力状態に入るよう決定する。例えば、ユーザが既定の時間周期内に入力装置の機能(例えば、感知領域にタッチし、電話コールを発信し、ボタンに触れ、等)を使用しない場合には、入力装置が低電力状態へ切り換わる。別の例では、ユーザは、感知領域で既定のジェスチャーを行うか又は特定のボタンを作動することにより、低電力状態に入るように入力装置に命令する。
[0081]低電力状態では、入力装置は、電力を保存するために入力装置の1つ以上のコンポーネント(例えば、電源、PMIC、バックライト、等)を不作動にする。図2に示すように、基準電圧変調器226は、容量性感知を行うための結果信号を取得するので、センサモジュール222、及び表示/感知パネル234内の対応する容量性感知回路(もしあれば)が不作動にされる。同様に、低電力状態が画像を表示する必要がない場合には、表示モジュール224及び表示回路236を不作動にすることができる。更に、入力装置は、電力管理コントローラ230を不作動にしてパネル234への電力供給を停止することにより、表示/感知パネル234のコンポーネントを効果的に不作動にすることができる。更に、電力管理コントローラ230を不作動にすることで、バックライト232がターンオフされる。一実施形態では、低電力状態とは、少なくとも、センサモジュール222、表示モジュール224、電力管理コントローラ230、及び表示/感知パネル234内の全ての通電コンポーネントが不作動にされることを意味する。しかしながら、他の実施形態では、低電力状態において、これらコンポーネントの幾つかが通電されたままとなる。
[0082]ブロック615において、基準電圧変調器は、基準電圧レールを入力装置のシャーシ接地に対して変調する。ブロック620において、電圧レールを変調する間に、受信器は、パネルの表示及びセンサ電極から結果信号を同時に取得する。そのようにするために、受信器は、共通の電気的ノード、例えば、供給電圧においてパネルの表示及びセンサ電極に結合される。結果信号を使用して、受信器(又は入力装置の他のコンポーネント)は、表示及びセンサ電極に対応するキャパシタンス又はキャパシタンス変化を決定する。このキャパシタンス測定値を1つ以上のスレッシュホールドと比較することにより、入力装置は、入力オブジェクトがパネルに接近するときを検出することができる。
[0083]受信器は、基準電圧レールを変調するための信号を発生する基準電圧変調器に一体化されるが、パネル内の表示及び/又はセンサ電極に結合できるところであれば処理システムのどこに受信器が配置されてもよい。例えば、受信器は、タイミングコントローラにおいて基準電圧変調器とは異なる位置に配置されるか、又は全く個別の集積回路に配置される。更に、受信器は、電力管理コントローラに配置されてもよい。一実施形態では、受信器は、その位置に関わらず、変調されている基準電圧レールの一方(又は両方)に結合される。
[0084]ブロック625において、入力装置は、ブロック620で取得した結果信号を評価することにより入力オブジェクトが表示/感知パネルに接近したかどうか決定する。入力オブジェクトが入力装置に接近しない(例えば、パネルに接触しないか又はパネル上でホバリングしない)場合には、方法600は、620へ進み、電圧レールが変調される間に、受信器は再び結果信号を取得する。例えば、低電力状態にあるときは、入力装置は、ある間隔で、基準電圧レールを変調し、そして入力オブジェクトが検出されるまで結果信号を取得する。これらの低電力サイクルのデューティサイクルは、低く、例えば、10msより大きいが、環境変化を追跡するに充分なほど速く、例えば、100秒より速い。
[0085]ブロック625において入力オブジェクトが検出されると、方法600はブロック630へ進み、入力装置はアクティブな状態へと切り換わる。一実施形態において、低電力状態からアクティブな状態へ切り換わると、低電力状態において不作動又は非通電であった少なくとも1つのコンポーネントが作動される。例えば、入力装置は、パネルのセンサモジュール及び容量性感知回路を作動して、容量性感知を行い、パネルにおける入力オブジェクトの特定位置を決定する。それとは別に又はそれに加えて、入力装置は、表示モジュール及び表示回路(及びバックライト)を作動し、画像が表示されるようにする。ある低電力モードでは、基準電圧の変調が要求されず、干渉が検出される又はアクティブなペンの存在を検出する。例えば、鑑賞又はアクティブなペンの検出を遂行するときのデューティサイクルは、ゆっくりである(例えば、100ms未満)。
[0086]一実施形態において、アクティブな状態にあるときに、入力装置のコンポーネントの幾つかは、依然、不作動にされる。例えば、ブロック630において、入力装置は、パネルにおける入力オブジェクトの位置を決定するために容量性感知を行うのに必要なコンポーネントだけを作動させる。表示コンポーネント(例えば、バックライト又は表示モジュール)は、依然、不作動にされる。例えば、アクティブな状態にあるとき、入力装置は、表示コンポーネントを作動する前にブロック625で検出された入力オブジェクトが偽の肯定でないことを保証するためにセンサモジュールを使用する。別の例では、基準電圧変調器は、入力オブジェクトが表示に接近する(例えば、ホバリングする)ときを検出し、次いで、入力装置をブロック630においてアクティブな状態に切り換える。しかしながら、表示コンポーネントを作動する前に、入力装置は、ユーザが入力オブジェクトを使用して既定のウェイクアップジェスチャーを行ったかどうか決定するために、センサモジュールを使用する。従って、方法600には示されていないが、アクティブな状態は、低電力状態より大きな電力を引き出すが、例えば、表示更新と容量性感知の両方が行われる完全にアクティブな状態よりは引き出す電力が少ない中間電力状態である。
[0087]図7は、ここに述べる一実施形態により容量性感知を行うための規範的電極構成を示す。図7は、ある実施形態によりセンサ電極パターンに関連した感知領域において感知を行うように構成されたセンサ電極710より成るセンサ電極パターンの一部分を例示する。図示及び説明を明瞭にするために、図7は、単純な長方形のパターンを示し、種々のコンポーネントを示すものではない。更に、図示されたように、センサ電極710は、第1の複数のセンサ電極720と、第2の複数のセンサ電極730とを含む。
[0088]一実施形態において、センサ電極710は、同じ基板の異なる側に配置される。例えば、第1及び第2の複数のセンサ電極720、730の各々は、基板表面の一方に配置される。他の実施形態では、センサ電極710は、異なる基板に配置される。例えば、第1及び第2の複数のセンサ電極720、730の各々は、互いに接着される個別の基板の表面に配置される。別の実施形態では、センサ電極710は、共通の基板の同じ側又は表面に全部が配置される。一例において、第1の複数のセンサ電極は、第1の複数のセンサ電極が第2の複数のセンサ電極に交差する領域にジャンパを備え、これらジャンパは、第2の複数のセンサ電極から絶縁される。
[0089]第1の複数のセンサ電極720は、第1の方向に延び、そして第2の複数のセンサ電極730は、第2の方向に延びる。第2の方向は、第1の方向と同様でもよいし又は異なってもよい。例えば、第2の方向は、第1の方向と平行でもよいし、垂直でもよいし、又は対角方向でもよい。更に、センサ電極710は、各々、同じサイズ又は形状でもよいし、異なるサイズ及び形状でもよい。一実施形態において、第1の複数のセンサ電極は、第2の複数のセンサ電極より大きくてもよい(表面積が広い)。他の実施形態では、第1及び第2の複数のセンサ電極は、同様のサイズ及び/又は形状でよい。従って、1つ以上のセンサ電極710のサイズ及び/又は形状は、別の1つ以上のセンサ電極710のサイズ及び/又は形状と異なるものでもよい。それでも、センサ電極710は、各々、各基板上で望ましい形状に形成することができる。
[0090]他の実施形態では、1つ以上のセンサ電極710が共通基板の同じ側又は表面に配置され、そして感知領域において互いに分離される。センサ電極720は、マトリクスアレイに配置され、各センサ電極は、マトリクスセンサ電極と称される。マトリクスアレイにおけるセンサ電極710の各センサ電極は、実質的に同様のサイズ及び/又は形状でよい。一実施形態では、センサ電極710のマトリクスアレイの1つ以上のセンサ電極は、サイズ及び形状の少なくとも1つが変化する。マトリクスアレイの各センサ電極が容量性領域のピクセルに対応してもよい。更に、マトリクスアレイの2つ以上のセンサ電極が容量性画像のピクセルに対応してもよい。種々の実施形態において、マトリクスアレイの各センサ電極には、複数の容量性ルートトレースの個別の容量性ルートトレースが結合される。種々の実施形態では、センサ電極710は、センサ電極710の少なくとも2つのセンサ電極間に配置された1つ以上のグリッド電極を含む。このグリッド電極及び少なくとも1つのセンサ電極は、基板の共通の側、共通基板の異なる側、及び/又は異なる基板に配置される。1つ以上の実施形態では、センサ電極710のグリッド電極は、表示装置の電圧電極全体を包囲する。センサ電極710は、基板において電気的に分離されるが、電極は、感知領域の外側、例えば、接続領域において一緒に結合される。一実施形態では、グリッド電極とセンサ電極との間に浮動電極が配置される。1つの特定の実施形態では、浮動電極、グリッド電極及びセンサ電極は、表示装置の共通電極の全体を構成する。
[0091]図1に示す処理システム110は、センサ電極710の絶対的キャパシタンスの変化を決定するためにセンサ電極710の1つ以上のセンサ電極を変調信号(即ち、絶対的容量性感知信号)で駆動するように構成される。ある実施形態では、処理システム110は、センサ電極710の第1電極において送信信号を駆動し、そしてセンサ電極710の第2電極で結果信号を受信するように構成される。送信信号(1つ又は複数)及び絶対的容量性感知信号(1つ又は複数)は、形状、振幅、周波数及び位相の少なくとも1つが同様である。処理システム110は、グリッド電極をシールド信号で駆動して、グリッド電極をシールド及び/又は保護電極として動作するように構成される。更に、処理システム110は、グリッド電極を送信信号で駆動してグリッド電極と1つ以上のセンサ電極との間の容量性結合が決定されるように構成されるか、又は絶対的な容量性感知信号で駆動してグリッド電極の絶対的キャパシタンスが決定されるように構成される。
[0092]ここに使用するシールド信号とは、一定電圧又は変化する電圧信号(保護信号)の一方を有する信号を指す。保護信号は、センサ電極を変調する信号に対して振幅及び位相の少なくとも一方が実質的に同様である。更に、種々の実施形態において、保護信号は、センサ電極を変調する信号より大きな又はそれより小さな振幅を有する。ある実施形態では、保護信号は、センサ電極を変調する信号とは異なる位相を有する。電極を電気的に浮動するとは、浮動により、第2電極が入力装置100の近傍の被駆動センサ電極から容量性結合を経て望ましい保護波形を受信する場合に、一形式の保護と解釈することができる。
[0093]上述したように、前記センサ電極構成のどれでも、センサ電極710は、表示装置の外部又は内部の基板に形成される。例えば、センサ電極710は、入力装置100においてレンズの外面に配置される。他の実施形態では、センサ電極710は、表示装置のカラーフィルタガラスと入力装置のレンズとの間に配置される。他の実施形態では、センサ電極及び/又はグリッド電極の少なくとも一部分は、それらが薄膜トランジスタ基板(TFT基板)と表示装置160のカラーフィルタガラスとの間に入るように配置される。一実施形態では、第1の複数のセンサ電極がTFT基板と表示装置160のカラーフィルタガラスとの間に配置され、そして第2の複数のセンサ電極がカラーフィルタガラスと入力装置100のレンズとの間に配置される。さらに別の実施形態では、全てのセンサ電極710がTFT基板と表示装置のカラーフィルタガラスとの間に配置され、センサ電極は、上述したように、同じ基板上に配置されるか又は異なる基板上に配置される。
[0094]上述したセンサ電極構成のどれでも、センサ電極710は、センサ電極710を送信電極及び受信電極に分割することによるトランスキャパシタンス感知のために、又は絶対的容量性感知のために、或いはその両方の混合のために、入力装置100により動作される。更に、シールド作用を果たすために、センサ電極710又は表示電極(例えば、ソース、ゲート、又は基準(Vcom)電極)の1つ以上が使用される。
[0095]第1の複数のセンサ電極720と第2の複数のセンサ電極730との間の局部的容量性結合のエリアは、容量性ピクセルを形成する。第1の複数のセンサ電極720と第2の複数のセンサ電極730との間の容量性結合は、第1の複数のセンサ電極720及び第2の複数のセンサ電極730に関連した感知領域における入力オブジェクトの接近性及び動きと共に変化する。更に、第1の複数のセンサ電極720と入力オブジェクトとの間、及び/又は第2の複数のセンサ電極730と入力オブジェクトとの間の局部的キャパシタンスのエリアも、容量性ピクセルを形成する。従って、第1の複数のセンサ電極720及び/又は第2の複数のセンサ電極730の絶対的キャパシタンスは、第1の複数のセンサ電極720及び第2の複数のセンサ電極730に関連した感知領域における入力オブジェクトの接近性及び動きと共に変化する。
[0096]ある実施形態では、センサパターンを「スキャン」して、それらの容量性結合を決定する。即ち、一実施形態では、第1の複数のセンサ電極720が、例えば、図2のセンサモジュール222により送信信号を送信するように駆動される。送信器は、一度に1つの送信電極が送信を行うか、又は複数の送信電極が同時に送信を行うように、動作される。複数の送信電極が同時に送信を行う場合には、それら複数の送信電極が同じ送信信号を送信して実際上大きな送信電極を効果的に形成してもよいし、又はそれらの複数の送信電極が異なる送信信号を送信してもよい。例えば、複数の送信電極は、それらの合成作用を第2の複数のセンサ電極の結果信号に及ぼすことのできる1つ以上のコードスキームに従って異なる送信信号を送信してもよい。
[0097]受信センサ電極は、結果信号を取得するため単独で又は複数で動作される。結果信号は、容量性ピクセルにおける容量性結合の測定値を決定するために使用される。また、受信電極は、信号を受信するために少数の容量性測定入力へとスケーリングされてもよい(例えば、マルチプレクサにより)。
[0098]他の実施形態では、センサパターンをスキャニングすることは、1つ以上のセンサ電極で結果信号を受信する間に第1及び/又は第2の複数のセンサ電極の1つ以上のセンサ電極を絶対的感知信号で駆動することを含む。センサ電極は、一度に1つの第2電極が駆動され及び受信されるか、又は複数のセンサ電極が同時に駆動され及び受信されるように、駆動され及び受信される。結果信号は、容量性ピクセルにおける又は各センサ電極に沿った容量性結合の測定値を決定するのに使用される。
[0099]容量性ピクセルからの測定値のセットが「容量性フレーム」を形成する。容量性フレームは、ピクセルにおける容量性結合を表す「容量性画像」及び/又は容量性結合を表すか又は各センサ電極に沿った「容量性プロフィール」を含む。複数の容量性フレームは、複数の時間周期にわたって取得され、そしてそれらの間の差を使用して、感知領域における入力に関する情報を導出する。例えば、次々の時間周期にわたって取得される次々の容量性フレームは、感知領域に入る、感知領域から出る及び感知領域内にある1つ以上の入力オブジェクトの動きを追跡するのに使用される。
[00100]センサ装置のバックグランドキャパシタンスは、感知領域に入力オブジェクトがないことに関連した容量性フレームである。バックグランドキャパシタンスは、環境及び動作状態と共に変化し、種々の仕方で推定される。例えば、ある実施形態では、感知領域に入力オブジェクトがないと決定されたときに「基線フレーム」を取り上げ、この基線フレームをそれらバックグランドキャパシタンスの推定値として使用する。
[00101]容量性フレームは、より効率的な処理のためにセンサ装置のバックグランドキャパシタンスに対して調整することができる。ある実施形態では、これは、容量性ピクセルにおける容量性結合の測定を「基線処理」して「基線化容量性フレーム」を発生することにより行われる。即ち、ある実施形態では、キャパシタンスフレームを形成する測定値を「基線フレーム」の適当な「基線値」と比較し、そしてその基線画像からの変化を決定する。これら基線画像は、プロフィール感知又はアクティブに変調されるアクティブペンのために上述した低電力モードでも使用される。
干渉及びアクティブペン検出
[00102]図8は、ここに述べる一実施形態によりアクティブな入力オブジェクトからノイズ(又は干渉)信号又は通信信号を検出する入力装置800を示す。入力装置800は、図3の入力装置300と同様の構造を有し、実際に、個々の入力装置は、図3で述べた基準電圧変調、並びに干渉及びアクティブ入力オブジェクト検出を行うことができる。しかしながら、他の実施形態では、入力装置は、これら機能の1つしか実行しないように構成される。一実施形態では、アクティブなオブジェクトは、シャーシ接地に対して、既知の又は構成可能な周波数、デューティサイクル、時間エンコーディング、等でアクティブに変調される。
[00103]入力装置800のタイミングコントローラ805は、低基準電圧レール211Bに結合された中央受信器810を備えている。図3の受信器325と同様に、中央受信器810は、電力管理コントローラ230の電源を経て表示/感知パネル234の表示及び感知電極に結合される。一実施形態では、中央受信器810は、電圧レール211がパネル234にも直結されるので、表示/感知パネル234内の幾つかのコンポーネントに直結されるが、コントローラ230の電源を経てパネル234内の他のコンポーネントに間接的に結合される。いずれにせよ、全ての電極(及びおそらくパネル234の他のコンポーネント)は、中央受信器819と共に共通の電気的ノードに結合され、従って、パネル234は、単一の容量性ピクセルとして機能する。
[00104]しかしながら、中央受信器810は、パネル234内の全ての表示及びセンサ電極に結合される必要はなく、むしろ、表示電極のみ又はセンサ電極のみに結合することができる。しかしながら、中央受信器810(例えば、単一ソースドライバ)に結合される電極の数を制限することにより、パネル234における感知領域のサイズ(又は容量性ピクセルの感度)を減少して、パネルを横切る電極がスキャンされてもパネルの一部分が測定されるようにする。
[00105]図3に示す実施形態とは異なり、アクティブな入力オブジェクト(例えば、ワイヤレス送信器を有するスタイラス又はペン)から干渉又は通信信号を検出するために、入力装置800は、基準電圧レール211を変調しない。むしろ、レール211は、シャーシ接地に対して非変調のDC電圧を保持する。しかしながら、図3と同様に、タイミングコントローラ805は、干渉又は通信信号を検出する前に電圧レール211を電源電圧VDD及びVGNDから電気的に切断する。信号330A、330Bを使用して、タイミングコントローラ805は、スイッチ210、212を開き、電圧レール211を電源電圧から切断する。或いはまた、基準電圧レール211は、電源電圧に誘導的に結合され、この場合、レール211は、常に、これら電圧から分離される。
[00106]ノイズ源又はアクティブな入力オブジェクトがパネル234上の電極に接近する場合には、ノイズ源により発生される干渉信号又は入力オブジェクトにより発生されるデジタル通信信号が、パネル234内の表示及びセンサ電極に結果信号を発生し、これは、次いで、中央受信器810により取得される。結果信号を処理することにより、入力装置800は、干渉信号を識別し、そしてそれを補償する。入力装置800が干渉信号を補償するためにとるアクションの幾つかの非限定例は、異なる感知周波数へ切り換え、報告される入力オブジェクトの数を制限し、接近検出又はグローブ検出のような幾つかの特徴の使用を停止し、タッチ位置を検出する前に平均化されるフレーム数を増加し、干渉発生時に検出される新たな入力オブジェクトを無視し、センサモジュールが、入力オブジェクトが感知領域を去ったと報告することを防止し、又は容量性フレームレートを変化させることを含む。
[00107]結果信号がアクティブな入力オブジェクトにより生じた場合には、入力装置800は、デジタル信号をデコードし、そしてそれに対応するアクションを遂行する。アクティブな入力オブジェクトがワイヤレス送信器を使用して通信信号を送信する場合には、パネル234上の表示及びセンサ電極は、信号を受信するためのアンテナとして働く。従って、ノイズ源もアクティブな入力オブジェクトも、パネル234の電極に結果信号を発生するためにパネル234に接触する必要がなく、例えば、入力オブジェクトは、パネル234上でホバリングしてもよい。
[00108]更に、表示/感知パネル234は、パネル234の各センサ電極に各々結合される複数の局部受信器815を備えている。容量性感知を行うときに、局部受信器815は、各センサ電極からの結果信号を測定し、これは、入力オブジェクトが接触するか又はホバリングするパネル234内の特定位置を識別するのに使用できる。一実施形態では、局部受信器815は、受信器810と同様の機能を遂行し、即ち両受信器810、815は、キャパシタンスを測定する。一実施形態では、中央受信器810を使用して、アクティブな入力オブジェクトからの干渉信号又は通信信号を検出するのではなく、入力装置は、パネル234上の局部受信器815により受信される全ての結果信号を合成することができる。しかしながら、干渉信号及び通信信号の検出には、より多くの電力を必要とするか、又は受信器810を使用して容量性感知を行うだけに要求される回路より複雑又は高価である回路を必要とする。従って、局部受信器815を使用して、干渉又は通信信号を検出する場合には、変調信号を使用して容量性感知だけを遂行するのに使用される局部受信器815より高価なものとなる。従って、高価な複数の受信器815を有するのではなく、入力装置800は、干渉及び通信信号の検出に使用できる1つの中央受信器810を使用するだけでよい。中央受信器810は、広いダイナミックレンジ、高速なADCを有し、及び/又は局部受信器815より雑音余裕度が大きく、その結果、局部受信器815は、中央受信器810より製造費用が安くなる。従って、一実施形態では、アクティブな入力オブジェクトからの干渉及び通信信号を識別できる数十又は数百の或いは高価な局部受信器815を有するのではなく、入力装置800は、1つの受信器、即ち中央受信器810のみを有する。局部受信器815は、干渉又は通信信号を検出するのに使用されないので、それが考えられる場合より安価となる。
[00109]一実施形態では、干渉又は通信信号は、表示が更新される間に測定される。即ち、タイミングコントローラは、中央受信器810が上述したように信号を取得する間に表示/感知パネル234においてピクセルをアクティブに更新する表示モジュールを備えている。電力管理コントローラ230及びパネル234が電源電圧VDD及びVGNDから選択的に切断(又は分離)されても、バイパスキャパシタ214に蓄積された電荷を使用して、電圧レール211に通電し、表示更新を行うことができる。キャパシタ214にまたがる電荷がスレッシュホールドまで降下すると、タイミングコントローラ805は、電圧レール211及びキャパシタを電源電圧VDD及びVGNDに再接続するか、さもなければ、電源電圧をレール211に結合させる(例えば、誘導的に結合させる)。更に、中央受信器810は、電圧レール211が電源電圧VDD及びVGNDにオーミック結合されたときに干渉又は通信信号の測定を停止する。しかしながら、キャパシタ214(例えば、15から150マイクロファラッド)は、ノイズにより発生される干渉信号又はアクティブなペン又はスタイラスにより与えられる通信信号を中央受信器810が識別できるに充分な時間中、電力管理コントローラ230及びパネル234に通電するに充分な電荷を蓄積する。
[00110]図9は、ここに述べる一実施形態によりノイズ又は通信信号を識別するために結果信号を取得する中央受信器810の回路図である。この中央受信器810は、積分器500と同様に、表示及びセンサ電極から結果信号を取得するための積分器900を備えている。積分器900は、フィードバック信号が測定されるときにフィードバックキャパシタ915及び任意の抵抗器920を伴うローパスフィルタとして実施され、そして1つのレール211における基準電圧を制御する。図示されたように、積分器900における増幅器の1つの入力は、VGND(例えば、シャーシ接地又はVDD/2)に結合される。一実施形態では、中央受信器810は、ノイズ源又はアクティブなペンとシャーシ接地との間の最低インピーダンス経路である。従って、ノイズ源によって発生される干渉信号又は入力オブジェクトによって発生される通信信号により生じる結果信号は、中央受信器810を通して流れ、従って、入力装置の別のコンポーネントを通して流れるのではなく中央受信器810により測定される。換言すれば、電圧レールを電源から選択的に切断し又は分離することにより、中央受信器810は、ノイズ源及びアクティブな入力オブジェクトとシャーシ接地との間の最低のインピーダンス経路となり、従って、ノイズ源及びアクティブな入力オブジェクトにより発生される結果信号は、主として、中央受信器810及び積分器900に流れ、ここで、信号を測定することができる。
[00111]しかしながら、積分器900は、中央受信器810の機能を遂行するのに適した一形式の回路に過ぎない。一般的に述べると、中央受信器810は、キャパシタンスを測定するアナログ回路である。例えば、中央受信器810は、蓄積した電荷又はキャパシタ925にまたがる電圧を測定する回路を含むか、又は中央受信器810に流れる電流を使用してキャパシタンスを測定する回路を備えている。
[00112]図10は、ここに述べる一実施形態により容量性感知を使用してノイズ又は通信信号を識別するための方法1000のフローチャートである。ブロック1005において、入力装置は、基準電圧レールを電源から分離する。例えば、スイッチが基準電圧レールを電源から選択的に切断するか、又はレールが誘導性結合により電源から永久的に分離される。一実施形態では、容量性感知信号を受信したときに切断される基準電圧レールにより通電される入力装置のコンポーネントに対して一時的な電力を与えるためにレール間にキャパシタ(例えば、図8に示すバイパスキャパシタ214)が接続される。例えば、電圧レールが電源から分離される間に表示更新及び容量性感知が行われる。
[00113]ブロック1010において、中央受信器は、(電源を通して)シャーシ接地に結合されると共に、表示/感知パネルの1つ以上の表示及び/又はセンサ電極にも結合される。更に、中央受信器は、電極と接地との間に低インピーダンス経路を与える。従って、ノイズ源がパネルの電極に容量性結合されるか、又はアクティブな入力装置からの通信信号が電極に受け取られると、中央受信器を通して流れる電流ループが形成される。
[00114]ブロック1015において、中央受信器は、表示電極及びセンサ電極からの結果信号を同時に取得する。例えば、表示電極、センサ電極及び中央受信器が共通の電気的ノードに結合されて、表示電極及びセンサ電極に発生した結果信号の組み合わせが受信器を通して流れてシャーシ接地に到達するようにする。
[00115]一実施形態では、中央受信器は、図6で述べた低電力状態にあるときに、表示及びセンサモジュールが不作動になると、結果信号を取得する。第1の時間周期の間に、入力装置は、基準電圧レールが変調されない間に結果信号を取得して、干渉信号又は通信信号を識別する。第2の時間周期の間に、入力装置は、基準電圧レールが図6で述べたように変調される間に結果信号を取得する。更に、第1の時間周期の間に干渉信号が検出された場合には、入力装置は、ノイズ源からの有害な干渉を回避するため、第2の時間周期の間に電圧レールを変調するのに使用される変調信号を変化させる。しかしながら、上述したように、方法1000は、それ自体で行うこともできるし、又は入力装置がアクティブな又は高電力の状態にあるときには表示更新と並列的に行うこともできる。
[00116]ブロック1020において、入力装置は、取得した結果信号に基づいてアクティブな入力装置からの干渉信号及び通信信号の少なくとも1つを識別する。干渉信号が識別されると、入力装置は、例えば、容量性感知を行うときに干渉信号の範囲外の変調信号へ切り換わることにより信号を補償する。通信信号が受信される場合には、入力装置は、信号を処理して、アクティブな入力オブジェクトに関する情報を決定する。例えば、通信信号は、表示/感知パネルに対する入力オブジェクトの現在傾斜、入力オブジェクトがパネルに接触する位置に表示されるべき特定のカラー又はマーキング、或いは入力装置とのペアリングを試みる入力オブジェクト又は他のオブジェクト(例えば、Bluetooth接続)のIDを識別する。別の実施例では、通信信号は、入力オブジェクトのボタンがユーザにより押されたことを入力装置に指示し、これは、入力装置の特定の機能、例えば、低電力状態への切り換え、低電力状態からのウェイクアップ、特定のアプリケーションの開放、入力オブジェクトを使用して表示になされるマーキングの見掛けの変更、等に対応する。
[00117]一実施形態では、通信信号が受信される場合に、入力装置は、容量性フレームの数に対して、入力オブジェクトを検出するのに使用される検出フレームの数を増加する。それとは別に又はそれに加えて、入力装置は、粗いサーチ(センサ電極のグループを使用する感知)を実行した後に、その粗いサーチの間に入力オブジェクトの位置が検出されると、粒度の高いサーチ(局部受信器を使用して各センサ電極を個々に感知する)を実行することにより、感知領域における入力オブジェクトの位置をサーチする。
低接地質量の影響の軽減
[00118]図11は、ここに述べる一実施形態により入力装置と環境との間の種々のキャパシタンスを示す。図示されたように、システム1100は、入力装置1105、入力オブジェクト1110、及びアース接地点1115を備え、これらは容量性結合される。入力装置1105は、容量性感知を行うために前記表示/感知パネルに感知領域1120を備えている。一実施形態では、感知領域1120と入力オブジェクト1110との間のキャパシタンス(CT)の変化を測定することにより、入力装置1105は、入力オブジェクト1110が感知領域1120に接触するか又はホバリングするかを決定する。ある実施例では、入力装置1105は、入力オブジェクト1110が相互作用する感知領域内の特定の位置を決定する。
[00119]しかしながら、容量性感知を行うときには、入力装置1105により測定される結果信号が、CTに加えて、システム1100の他のキャパシタンスによる影響も受け得る。例えば、入力オブジェクト1110は、入力装置1105のシャーシに容量性結合され、これは、CBCで表される。更に、入力オブジェクト1110及び入力装置1105のシャーシは、両方とも、典型的に、CIG及びCBGで各々表されたように、アース接地点1115に容量性結合される。キャパシタンスCBC、CBG及びCIGは、ここでは、接地状態1125と称される。典型的に、入力装置1105は、装置1105の環境が変化するにつれて変化する接地状態1125のキャパシタンスを制御することができない。例えば、入力オブジェクト1110とシャーシとの間のキャパシタンスCBCは、ユーザが入力装置1105を保持しているか又は装置1105がテーブルに置かれているかに基づいて変化する。更に、更に、入力オブジェクト1110とアース接地点1115との間のキャパシタンスCIGは、ユーザが地上に立っているか又は航空機内にいる場合には変化する。入力装置1105は、環境における入力装置1105及び入力オブジェクト1110の位置を測定するメカニズムを有しておらず、従って、接地状態1125のキャパシタンスがCTを測定するための入力装置1105の能力に影響するかどうか正確に決定することはできない。
[00120]感知領域1120と入力装置1105との間のキャパシタンスCTは、典型的に、図11に示す最小キャパシタンスであるから、入力オブジェクト1105で受信される信号の量を左右する。というのは、それが限定インピーダンスだからである。しかしながら、接地状態1125のキャパシタンスは、環境における入力装置1105又は入力オブジェクト1110の位置が変化するときに減少するので、これらキャパシタンスは、CTを正確に監視するための入力装置1105の能力を低下させる。例えば、CTと直列の接地状態1125の合成キャパシタンスがCTと同じ値(例えば、1から10pF)を有する場合には、CTに貢献し得る入力装置で受信される信号が半分になる。例えば、入力装置1105がユーザの膝に置かれた場合には、キャパシタンスCBGがほぼ50pFとなり、従って、入力装置1105により測定される信号への影響は少ない。しかしながら、入力装置1105がアース接地点1115に接触してテーブルに置かれた場合には、キャパシタンスCBGがほぼ5pFとなる。キャパシタンスCT及びCBGは、ここで、ほぼ同じであるから、CT(即ち、入力装置1105が監視を試みるキャパシタンス)に貢献し得る入力装置1105により取得される結果信号への作用がほぼ半分になる。接地状態1125のキャパシタンスが、入力装置1105により測定される結果信号に著しい作用を及ぼす構成は、ここでは、低接地質量(Low Groud Mass:LGM)状態と称される。
[00121]LGM状態が存在する場合に、入力装置1105は、接地状態1125のキャパシタンスが大きいことを仮定して、結果信号を、タッチ又はホバー事象の検出に使用されるスレッシュホールドと比較し、この場合、入力装置1105は、タッチ/ホバー事象の低い容量性変化を検出し損なうことがある。LGM状態中にタッチ/ホバー事象を正確に検出するために、入力装置1105は、LGMとは独立して又はホスト制御モード(例えば、バッテリが充電中)に基づいてスレッシュホールドを低く調整できるが、上述したように、入力装置1105、入力オブジェクト1110、及びアース接地点115の構成を検出すると、LGM状態が困難又は不可能になる。むしろ、ここに述べる実施形態では、上述したように、基準電圧レールを変調することにより環境の全キャパシタンス(接地状態1125の変化を含む)を表す結果信号が中央受信器で測定される。この全キャパシタンスは、感知領域1120の個々のセンサ電極に接続された局部受信器によりなされる測定に相関される。一実施形態において、局部受信器により取得される結果信号は、中央受信器により取得される結果信号を使用して正規化され、そしてそのようにすることで、局部キャパシタンス測定値に対する接地状態1125のキャパシタンスの作用を打ち消す(又は軽減する)ことができる。別の実施形態では、中央受信器の測定値と局部受信器の測定値との結合に基づいて推定されるLGMを考慮するようにスレッシュホールドが調整される。
[00122]図12は、ここに述べる一実施形態により容量性感知を行うために基準電圧レールを変調する入力装置1200を示す。図3及び4に示された入力装置と同様に、入力装置1200は、基準電圧変調器226を使用して容量性感知を行うために基準電圧レール211を変調する。一実施形態では、タイミングコントローラ220がスイッチ210、212を開放し、基準電圧レール211が電源電圧VDD及びVGNDから切断されるようにする。上述したように、電源電圧を切断することは、変調信号228が、電力のためにVDD及びVGNDに依存する入力装置1200(図示せず)の他のコンポーネントに悪影響を及ぼすのを防止する。
[00123]基準電圧変調器226は、基準電圧レール211を変調することにより発生される結果信号を取得する中央受信器1205を備えている。即ち、変調信号228がアクティブである間に、中央受信器1205は、パネル234の表示及び/又はセンサ電極240、242からの結果信号を測定する。一般的に、中央受信器1205が基準電圧レール211に結合されるので、受信器1205は、電圧レール211に(直接的又は間接的に)電気的に接続されたパネル234のコンポーネントから結果信号を取得する。図11を参照すれば、一実施形態において、中央受信器1205により測定される結果信号は、キャパシタンスCT、及び接地状態1125のキャパシタンス、即ちCBC、CIG及びCBGにより影響を受ける。更に、中央受信器1205は、基準電圧レール211Bに結合されて示されているが、他の実施形態では、受信器1205は、上部電圧レール211A又は他の電源335に結合される。更に、中央受信器1205は、コントローラ220に配置される必要はなく、電力管理コントローラ230と同じ集積回路又は個別の集積回路に配置することもできる。
[00124]入力装置1200は、表示/感知パネル234に配置された局部受信器1210も備えている。一実施形態では、局部受信器1210は、各々、パネル234に対応する局部キャパシタンス値を測定するためにセンサ電極の1つだけに結合される。即ち、表示/感知パネル234の全キャパシタンスによって影響される中央受信器1205により取得される結果信号とは異なり、局部受信器1210により測定される結果信号は、パネル234のサブ部分に対する局部キャパシタンスにより影響される。パネル234のサブ部分の形状及びサイズは、局部受信器1210に結合されたセンサ電極242の形状及びサイズに直接依存する。一実施形態では、局部受信器1210は、複数のセンサ電極242に結合される。それにも関わらず、局部受信器1210は、パネル234により画成される感知領域の一部分のみに対するキャパシタンス値を測定し、中央受信器1205のようにパネル234に対する全キャパシタンス値を測定するのではない。
[00125]入力装置1200は、局部受信器1210で結果信号を測定するのとは異なる(非重畳)時間周期に中央受信器1205で結果信号を測定するが、一実施形態では、中央及び局部受信器1205、1210は、結果信号を並列的に測定する(例えば、同じ局部受信器1205及び中央受信器1210の両方において同時に測定する)。換言すれば、変調信号228を使用して基準電圧レール211を変調するときに、中央受信器1205及び局部受信器1210の両方が結果信号を取得することができる。中央受信器1205により測定される結果信号は、全てのセンサ電極242(及びパネル234内の他のコンポーネント、例えば、表示電極240)により発生される結果信号を含むが、各局部受信器1210により取得される結果信号は、センサ電極242の1つのみ又はそのサブセット及び/又はそれらのスレッシュホールドで発生される。また、ユーザ入力及びLGM状態は、これらの測定に対してゆっくり変化すると仮定する。このように、重畳する時間になされた測定でも、LGM状態を推定するように合成される。
[00126]中央及び局部受信器1205、1210により測定される結果信号は、異なるが、測定値は、図11に示した接地状態1125のキャパシタンスにより等しく影響を受ける。即ち、全キャパシタンスを測定するとき及び局部キャパシタンスを測定するとき、入力オブジェクト1110及びアース接地点1115に対して入力装置1105の構成に変化がないと仮定すれば、それらの測定に対する接地状態1125は、本質的に同じである。この関係に基づき、図12の入力装置1200は、中央受信器1205で受信される結果信号により表される全キャパシタンスを使用して、局部受信器1210で受信される結果信号を正規化し、局部キャパシタンス測定値に対する接地状態の作用を軽減又は除去することができる。
[00127]図13は、ここに述べる一実施形態によりLGM状態の作用を軽減するための方法1300のフローチャートである。ブロック1305において、タイミングコントローラは、選択的切断を行うか又は誘導性結合のような間接的結合技術を使用することにより、DC電源(即ち、電源電圧VDD及びVGND)から基準電圧レールを電気的に分離する。図12を参照すれば、タイミングコントローラ220は、ゲート電圧を使用して、スイッチ210、212を不作動にし、それにより、基準電圧レール211をDC電源から切断する。
[00128]ブロック1310において、基準電圧変調器は、基準電圧レールの少なくとも1つを変調する信号を発生する。一実施形態では、変調は、シャーシ接地(例えば、VGND)に対して遂行される。従って、基準電圧レールに接続されない入力装置のコンポーネントの観点に対して、変調される基準電圧レールに接続されるコンポーネントが変調される。しかしながら、基準電圧レールに接続されるコンポーネントの観点に対して、入力装置の他のコンポーネント及び入力オブジェクトは、変調されるように見える。
[00129]ブロック1315において、中央受信器は、複数のセンサ電極から結果信号を取得する。センサ電極は、表示/感知パネルの感知領域を確立するので、センサ電極から結果信号を取得することにより、中央受信器は、ブロック1320において、結果信号からパネルの一般的な容量性測定値を導出する。一実施形態では、一般的な容量性測定値は、結果信号により生じる入力装置の電流である。或いはまた、一般的な容量性測定値は、中央受信器にADCを使用して結果信号から導出されるデジタル信号でもよい。一実施形態では、一般的な容量性測定値は、表示/感知パネルにおいて全てのセンサ電極に発生される結果信号により生じ、そしてパネルの全キャパシタンスを表す。更に、中央受信器は、パネルの表示電極及び他の回路から結果信号を取得し、一般的な容量性測定値を導出する。図14は、一般的な容量性測定値を中央受信器により得ることのできる例示的なシステムを示す。
[00130]図14は、ここに述べる一実施形態により入力装置1105と環境1405との間の種々のキャパシタンスを示す。一実施形態では、環境1405は、入力装置1105に接近する周囲エリアを含む。例えば、環境1405は、入力装置1105に接触するオブジェクト、例えば、装置1105が載せられるテーブル、又は装置1105を保持するユーザの手と、入力装置1105に容量性結合されるが装置1105に接触しないオブジェクト、例えば、指やスタイラスのような入力オブジェクト1110と、を含む。一実施形態では、環境1405は、アース接地点を含む。
[00131]図14に示すように、入力装置1105の異なるコンポーネントが環境1405のオブジェクトに容量性結合される。例えば、環境は、バックプレートシャーシ1410に容量性結合され(例えば、C1)そして表示/感知パネル234に容量性結合される(C2)。これらキャパシタンスの値は、環境における入力装置1105の位置及び環境条件(例えば、湿度)に基づいて変化する。例えば、C1及びC2の値は、入力装置1105がテーブルに載せられるとき・対・それがユーザにより保持されるときで変化する。キャパシタンスC1及びC2は、入力装置1105の接地状態を少なくとも一部分定義する。上述したように、これらのキャパシタンスが、入力オブジェクト1110と電流コンベヤ1420との間のキャパシタンスCTと同様の値を有する場合には、LGM状態が発生し得る。
[00132]環境1405と入力オブジェクト1110との間のキャパシタンスC3は、入力装置1105の接地状態にも影響を及ぼす。キャパシタンスC3は、アース接地点に対する入力オブジェクトの位置に基づいて変化する。例えば、C3の値は、ユーザ(入力オブジェクト1110を保持している)が、地上に直接立っているのではなく、絶縁性の表面上に立っているときには小さい。キャパシタンスC1及びC2と同様に、環境1405における入力オブジェクト1110及びオブジェクトの相対的な位置は、キャパシタンスC3を変化させ、そしてLGM状態を生じさせ、Cを測定するための入力装置1105の能力に否定的な影響を及ぼす。
[00133]また、図14は、バックプレートシャーシ1410(これはシャーシ接地点に結合される)と、入力装置1105の接地状態の一部分である入力オブジェクトとの間のキャパシタンスCHCも含んでいる。例えば、入力装置1105がラップトップでありそして入力オブジェクト1110がユーザである場合には、キャパシタンスCHCは、入力装置1105がユーザの膝に載せられているかテーブルに載せられているかに基づき変化する。更に、図14は、入力オブジェクト1110と表示/感知パネル234との間に結合キャパシタンスCPも含んでいる。電流コンベヤ1420(及びそのコンベヤ1420に結合された対応センサ電極)に容量性結合されるのに加えて、入力オブジェクト1110は、表示電極、他のセンサ電極、ソースドライバ、ゲートライン選択ロジック、等のパネル234内の他のコンポーネントに結合される。一実施形態では、キャパシタンスCPは、入力オブジェクト1110とパネル234内の種々のコンポーネントとの間の全キャパシタンスを表す。
[00134]中央受信器1205は、この実施形態では、表示/感知パネル234の表示及び/又はセンサ電極(並びに他の回路)から結果信号を取得する積分器として示されている。取得した信号は、図14の種々のキャパシタンスによる影響を受け、従って、基準電圧レールを変調するときに取得した信号を処理することにより、中央受信器は、図13のブロック1320に述べる一般的な容量性感知測定値を導出することができる。図示されていないが、中央受信器1205は、取得した信号を処理して一般的な容量性感知測定値を導出するために復調器、フィルタ、バッファ及び/又はADCを含む。電流コンベヤ1420及び中央受信器の積分器1205は、上述した積分器500及び積分器900と同様のプロセスを果たすことに注意されたい。更に、積分器500、900が個別タイミング感知のためにリセットスイッチを合体したように、積分器1205も、積分キャパシタンスCFBのためのリセットスイッチと共に示されているが、連続的時間感知のために抵抗器520のようなローパスフィルタ抵抗を合体してもよい。更に、電流コンベヤ1420は、積分器1205の電圧基準への容量性感知電流のレベルシフトを遂行しそして積分器1205の有効なダイナミックレンジを広げるのに使用されてもよい。同じ機能を遂行するために積分器500、900に同様の電流コンベヤが含まれてもよい。或いはまた、積分器1205のダイナミックレンジが充分な場合には、電流コンベヤ1420は不要となる。表示/感知パネル234及び入力オブジェクトからの(例えば、分離された局部受信器電源を通しての)電流は、基準Vrefが変調される間に積分器1205へ直接引き回される。
[00135]結果信号を取得するときの積分器1205の出力電圧(VOUT)は、次のように表される。
[00136]キャパシタンスCBは、バックグランドキャパシタンスを表し、CT=CF+CBである。変調電源(VMOD)を通して表示/感知パネル234からバックプレートシャーシ1410へ流れる電流は、次のように表される。
[00137]図13へ戻ると、ブロック1325において、入力装置は、各センサ電極から局部容量性感知測定値を決定する。即ち、中央受信器のように複数の電極(例えば、センサ電極のグループ、又は表示及びセンサの両電極)から結果信号を取得するのではなく、入力装置は、各局部受信器を使用して、1つのセンサ電極から結果信号を取得する。結果信号を処理することにより、各局部受信器は、局部受信器が結合されるセンサ電極を含む感知領域の一部分に対する局部キャパシタンス値を表す局部容量性感知測定値を決定することができる。従って、中央受信器により導出される一般的な容量性感知測定値とは異なり、局部容量性感知測定値は、表示/感知パネルにおける感知信号のサブ部分に対するキャパシタンスを表す。しかしながら、一般的キャパシタンス測定値と局部キャパシタンス測定値との間のこの差にも関わらず、両測定値は、入力装置の接地状態の影響を等しく受ける。即ち、図14を参照すれば、キャパシタンスC1、C2、C3、CHC及びCPは、局部キャパシタンス測定値及び一般的キャパシタンス測定値に同じ作用を及ぼす。従って、キャパシタンスC1、C2、C3、CHC及びCPの値が変化する場合には、局部キャパシタンス測定値及び一般的キャパシタンス測定値が対応的に変化する。
[00138]一実施形態では、局部受信器は、中央受信器が結果信号を取得するのと並列的に結果信号を取得する。換言すれば、入力装置が基準電圧レールを変調する間に、局部及び中央の両受信器が結果信号を測定する。更に、局部及び中央受信器は、結果信号を並列的に処理して、局部容量性感知測定値及び一般的容量性感知測定値を導出してもよいが、これは、要求されない。局部及び一般的受信器において結果信号を同時に取得する1つの利点は、接地状態が同じである(例えば、同時に測定される)ことである。異なる時間に結果信号が取得された場合は、その環境における入力装置の位置が変化し、それにより、接地状態を変化させる。上述したように、接地状態が同じである場合に、一般的及び局部の両受信器において結果信号を取得するときに、信号を相関させることにより、入力装置は、局部容量性測定値から接地状態の作用を除去することができる。しかしながら、局部及び中央受信器が結果信号を並列的に取得しない場合でも、局部受信器が結果信号を測定するときと、中央受信器が結果信号を測定するときとの間の接地状態のゆっくりとした変化(容量性測定が行われる速度に対する)は小さいものであり、従って、入力装置が信号を依然相関させて接地状態の影響を軽減又は除去することができる。
[00139]図14の回路図を一例として使用して、電流コンベヤ1420においてCTを通してタッチを検出するために測定される電流は、次のように表される。
[00140]表示/感知パネル234とバックプレートシャーシ1410との間の式2の電流I1は、式3の電流I2と高度に相関している。例えば、これら電流の各々は、キャパシタンスCHP及びC1に依存する。環境1405における入力装置1105の構成が変化するときには、キャパシタンスCHP及びC1がLGMを生じさせる。
[00141]図13に戻ると、ブロック1330において、入力装置は、中央受信器により取得された結果信号を使用して局部受信器により取得された結果信号に接地状態が及ぼす作用を軽減する。一実施形態では、中央受信器により測定された結果信号(又はそこから導出される一般的な容量性測定値)は、局部受信器により取得された結果信号(又はそこから導出された局部容量性測定値)を正規化するのに使用される。例えば、式3の電流I2(例えば、局部容量性感知測定値)は、式2の電流I1(例えば、一般的容量性感知測定値)で除算することにより正規化することができる。
[00142]図4に示す正規化電流は、電流I1及びI2における依存性に対して接地状態を形成するキャパシタンスに対する依存性が小さく、その結果、正規化電流は、キャパシタンスCHC及びC1に強く相関されない。換言すれば、キャパシタンスCHC及びC1の値の変化は、非正規化電流I1及びI2の変化と比較したときに正規化電流に対して小さな変化しか生じない(又は変化なし)。
[00143]図15は、ここに述べる一実施形態によりLGM状態の作用を軽減する結果を示すチャート1500である。より詳細には、上部プロット1505は、中央受信器により取得した結果信号を使用して正規化された補正局部受信器信号を示し、一方、下部プロット1510は、非補正信号を示す。図示されたように、上部プロット1505は、下部プロット1510より、入力オブジェクト1110とバックプレートシャーシ1410との間の容量性結合(即ち、CHC)の変化、及びバックプレートシャーシ1410と環境1405との間の容量性結合(即ち、C1)の変化を受け難い。従って、接地状態キャパシタンスCHC及びC1の値の変化は、プロット1510における非正規化容量性感知信号より、プロット1505における正規化容量性感知信号への影響の方が少ない。
[00144]一般的な容量性感知測定値を使用して局部容量性感知測定値を正規化する別の高価は、正規化信号がVMODに依存しないことである。従って、基準電圧レールを変調するのに使用される電圧に結合されるノイズは、打ち消される。更に、局部及び一般的容量性測定値を正規化することは、接地状態を生じさせるオブジェクトにより導入されるノイズも軽減させる。例えば、図14を参照すれば、結合キャパシタンスC1、C2、C3、CHC及びCPを経て入力装置1105へ導入されるノイズは、局部受信器及び中央受信器により取得される結果信号を相関させることによって打ち消される。従って、入力装置を外部オブジェクトに結合する接地状態キャパシタンスにより導入されるノイズ信号を除去することができる。
[00145]第1グループの規範的実施形態を以下に説明する。
第1の例において、入力装置は、
複数のセンサ電極と、
処理システムと、
を備え、その処理システムは、
容量性感知のために複数のセンサ電極を動作するよう構成されたセンサモジュール、
処理システムの基準電圧レールを変調するように構成された基準電圧変調器、及び
基準電圧レールを変調する間に入力オブジェクトを検出するためにセンサ電極から結果信号を同時に取得するように構成された受信器、
を含むものである。
例1の入力装置の第2の例において、各センサ電極は、表示装置の少なくとも1つの共通電極を含む。
例2の入力装置の第3の例において、複数のセンサ電極は、同じ層にセンサ電極のマトリクスとして配置される。
例3の入力装置の第4の例において、同じ層のセンサ電極の少なくとも2つの間に少なくとも1つのグリッド電極が配置される。
例2の入力装置の第5の例において、入力装置は、更に、複数の受信器電極を含み、そして複数のセンサ電極は、複数の送信器電極を含む。
例1の入力装置の第6の例において、入力装置は、更に、ディスプレイを備え、そしてセンサ電極は、ディスプレイの外部にある。
例1の入力装置の第7の例において、センサモジュールは、集積回路内に配置され、そして基準電圧変調器の少なくとも一部分は、集積回路の外部にある。
例1の入力装置の第8の例において、処理システムは、更に、表示スクリーンのピクセルを更新するよう構成された表示モジュールを備え、この表示モジュールは、第1の集積回路内に配置され、センサモジュールの少なくとも一部分は、第2の集積回路内に配置され、そして基準電圧変調器の少なくとも一部分は、第1及び第2の集積回路の外部に配置される。
例1の入力装置の第9の例において、処理システムは、更に、表示スクリーンのピクセルを更新するように構成された表示モジュールを備え、この表示モジュールは、第1の集積回路内に配置され、そしてセンサモジュール及び基準電圧変調器の少なくとも一部分は第2の集積回路内に配置される。
例1の入力装置の第10の例において、処理システムは、更に、表示スクリーンのピクセルを更新するように構成された表示モジュールを備え、この表示モジュールは、集積回路内に配置され、そして基準電圧変調器の少なくとも一部分は、集積回路の外部にある。
例1の入力装置の第11の例において、処理システムは、更に、
表示スクリーンのピクセルを更新するよう構成された表示モジュールを備え、この表示モジュールは、タイミングコントローラとして構成され、そして第1の集積回路内に配置され、
表示モジュールから受信した信号に基づきピクセルを更新するように構成されるソースドライバを備え、ソースドライバ及びセンサモジュールは、第2の集積回路内に配置され、そして基準電圧変調器の少なくとも一部分は、第1及び第2の集積回路の外部に配置される。
例1の入力装置の第12の例において、基準電圧変調器及び受信器は、同じ集積回路内に配置され、そして受信器は、基準電圧レールを変調するように構成される。
例1の入力装置の第13の例において、基準電圧変調器は、基準電圧レールを変調するために変調信号を発生する送信器を備えている。
例1の入力装置の第14の例において、処理システムは、更に、基準電圧レールを使用して表示スクリーンのピクセルを更新するように構成された表示モジュールを備え、ピクセルを更新するとき、基準電圧レールは、非変調のDC電圧に保持される。
例14の入力装置の第15の例において、入力装置は、更に、基準電圧レールを使用して複数の電力レールを形成するように構成された電力管理コントローラを備え、その電力管理コントローラは、基準電圧変調器が基準電圧レールを変調するときに低電力状態となり、そして表示モジュールがピクセルを更新するときにアクティブな状態となる。
例1の入力装置の第16の例において、入力装置は、更に、複数の表示電極を備え、そして受信器は、基準電圧レールを変調する間に容量性感知を遂行するために表示電極及び感知電極の両方から結果信号を同時に取得するように構成される。
例1の入力装置の第17の例において、入力装置は、更に、表示スクリーン及びバックライトを含む表示パネルを備え、基準電圧変調器は、バックライト及び表示パネルがターンオフされたときに基準電圧レールを変調するように構成される。
例1の入力装置の第18の例において、電圧レールを変調する前に、処理システムは、基準電圧レールを少なくとも1つのDC電源から電気的に切断するように構成される。
例18の入力装置の第19の例において、入力装置は、更に、
表示ソースと、
表示パネルと、
基準電圧変調器として同じ集積回路上に配置された高速データインターフェイスと、
を備え、そのデータインターフェイスは、表示ソースと通信して表示データを受信しそして表示スクリーンを更新するように構成され、そしてその高速データインターフェイスは、基準電圧レールがDC電源から電気的に切断されたときにDC電源に結合されたままである電源レールを含む非変調電圧ドメインの一部分である。
第20の例において、処理システムは、
容量性感知のため複数のセンサ電極を駆動するように構成されたセンサモジュールと、
処理システムの基準電圧レールを変調するように構成された基準電圧変調器と、
を備え、電圧レールを変調する前に、処理システムは、基準電圧レールを少なくとも1つのDC電源から電気的に切断するように構成され、そして
電圧レールを変調する間に入力オブジェクトを検出するためにセンサ電極を使用して結果信号を取得するように構成された受信器、
を備えている。
第21の例において、第20の例の処理システムは、更に、基準電圧レールを使用して表示スクリーンのピクセルを更新するように構成された表示モジュールを備え、ピクセルを更新するとき、基準電圧レールは、非変調DC電圧に保持される。
第22の例において、第21の例の処理システムでは、表示モジュールは、ピクセルを更新するために複数の表示電極に結合するよう構成され、そして受信器は、基準電圧レールを変調する間に容量性感知を遂行するために表示電極及び感知電極の両方から結果信号を同時に取得するように構成される。
第23の例において、第20の例の処理システムは、更に、表示スクリーンのピクセルを更新するように構成された表示モジュールを備え、そして表示モジュールは、センサモジュールの少なくとも一部分に沿って集積回路に配置される。
第24の例において、第20の例の処理システムは、更に、表示スクリーンのピクセルを更新するように構成された表示モジュールを備え、この表示モジュールは、第1の集積回路内に配置され、そしてセンサモジュール及び基準電圧変調器の少なくとも一部分は、第2の集積回路内に配置される。
第25の例において、第20の例の処理システムは、更に、表示スクリーンのピクセルを更新するように構成された表示モジュールを備え、この表示モジュールは、第1の集積回路内に配置され、そしてセンサモジュールの少なくとも一部分は、第2の集積回路内に配置され、基準電圧変調器の少なくとも一部分は、第1及び第2の集積回路の外部に配置される。
第26の例において、第20の例の処理システムは、更に、表示スクリーンのピクセルを更新するように構成された表示モジュールを備え、この表示モジュールは、集積回路内に配置され、そして基準電圧変調器の少なくとも一部分は、その集積回路の外部にある。
第27の例において、第20の例の処理システムは、更に、
表示スクリーンのピクセルを更新するよう構成された表示モジュールを備え、この表示モジュールは、タイミングコントローラとして構成され、そして第1の集積回路内に配置され、
表示モジュールから受信した信号に基づきピクセルを更新するように構成されたソースドライバを備え、このソースドライバ及びセンサモジュールは、第2の集積回路内に配置され、そして基準電圧変調器の少なくとも一部分は、第1及び第2の集積回路の外部に配置される。
第28の例において、第20の例の処理システムは、電圧レールを変調する前に、基準電圧レールを少なくとも1つのDC電源から電気的に切断するように構成される。
第29の例において、入力装置は、
表示装置の少なくとも1つの共通電極を各々含む複数のセンサ電極を備え、そのセンサ電極は、共通平面上のマトリクスアレイに配置され、
処理システムを更に備え、該処理システムは、
容量性感知のために複数のセンサ電極を動作するよう構成されたセンサモジュール、
処理システムの基準電圧レールを変調するように構成された基準電圧変調器、及び
電圧レールを変調する間に入力オブジェクトを検出するためにセンサ電極を使用して結果信号を取得するように構成された受信器、
を含むものである。
第30の例において、第29の例の入力装置では、電圧レールを変調する前に、処理システムは、基準電圧レールを少なくとも1つのDC電源から電気的に切断するよう構成され、処理システムは、更に、基準電圧レールを使用して表示スクリーンのピクセルを更新するように構成された表示モジュールを備え、そしてピクセルを更新するとき、基準電圧レールは、非変調のDC電圧に保持される。
第31の例において、方法は、
入力装置の複数のセンサ電極上で容量性感知信号を駆動し、
少なくとも1つのDC電源から基準電圧レールを電気的に切断し、
基準電圧レールを電気的に切断した後に、基準電圧レールを変調し、
電圧レールを変調する間に入力オブジェクトを検出するためにセンサ電極を使用して結果信号を取得する、
ことを含む。
[00146]第2グループの規範的実施形態を以下に説明する。
第1の例において、入力装置は、
複数の表示電極と、
複数のセンサ電極と、
処理システムと、
を備え、その処理システムは、
第1の時間周期中に基準電圧レールを変調するように構成された基準電圧変調器を備え、更に、処理システムは、
第1の時間周期と非重畳の第2の時間周期中に処理システムの表示電極及び基準電圧レールを使用して表示を更新し、基準電圧レールは、第1の時間周期中に非変調の一定電圧に保持され、
第1の時間周期中に複数のセンサ電極から結果信号を取得する、
ように構成される。
第2の例において、第1の例の入力装置は、容量性結合の基準電圧レールを含む。
第3の例において、第1の例の入力装置は、更に、複数のセンサ電極に結合されたソースドライバを備え、このソースドライバは、容量性感知のためにセンサ電極に容量性感知信号を駆動するように構成され、その容量性感知信号は、変調された基準電圧レールから導出される。
例3の入力装置の第4の例において、ソースセンサ電極は、変調された基準電圧レールから導出された容量性感知信号により駆動されるときに少なくとも1つの干渉信号から保護される。
第5の例において、第3の例の入力装置は、更に、
表示を更新するためのゲート電極と、
表示を更新するためのソース電極と、
備え、センサ電極で容量性感知信号を駆動するときに、ゲート電極が浮動され、そしてソース電極が保護される。
第6の例において、第1の例の入力装置は、更に、表示を更新するときに非変調の基準電圧レールを受け取ってその基準電圧レールを、ディスプレイを含む表示パネルの表示回路に通電するための電源電圧に変換するように構成された電力管理コントローラを備えている。
第6の例の入力装置の第7の例では、電力管理コントローラは、基準電圧変調器が基準電圧レールを変調するときに低電力状態になり、そして表示モジュールがピクセルを更新するときにアクティブな状態となる。
第4の例の入力装置の第8の例では、受信器は、容量性感知を遂行するために表示電極及び感知電極の両方から結果信号を同時に取得するように構成される。
第9の例において、第1の例の入力装置は、更に、バックライトを備え、基準電圧変調器は、バックライト及び表示がターンオフされる間に基準電圧レールを変調するように構成される。
第10の例において、第1の例の入力装置は、更に、
表示ソースと、
表示パネルと、
基準電圧変調器と同じ集積回路上に配置された高速データインターフェイスと、
を備え、データインターフェイスは、表示ソースと通信して、表示更新のための表示データを受信するように構成され、高速データインターフェイスは、基準電圧レールが基準電圧変調器により変調されるときに非変調のままである電源電圧レールを含む非変調電圧ドメインの一部分である。
第11の例において、処理システムは、
第1の時間周期中に基準電圧レールを変調するように構成された基準電圧変調器と、
第1の時間周期中に複数のセンサ電極のための結果信号を取得するように構成された受信器と、
第1の時間周期と重畳しない第2の時間周期中に複数の表示電極及び基準電圧レールを使用して表示を更新するよう構成された表示モジュールと、
を備え、基準電圧レールは、第2の時間周期中に非変調のDC電圧に保持される。
第11の例の処理システムの第12の例では、基準電圧レールが容量性結合される。
第11の例の処理システムの第13の例では、処理システムは、更に、表示を更新するときに非変調の基準電圧レールを受け取ってその基準電圧レールを、ディスプレイを含む表示パネルの表示回路に通電するための電源電圧に変換するように構成された電力管理コントローラを備えている。
第13の例の処理システムの第14の例では、電力管理コントローラは、基準電圧変調器が基準電圧レールを変調するときに低電力状態になり、そして表示モジュールがピクセルを更新するときにアクティブな状態となる。
第11の例の処理システムの第15の例では、受信器は、容量性感知を遂行するために表示電極及び感知電極の両方から結果信号を同時に取得するように構成される。
第11の例の処理システムの第16の例では、処理システムは、バックライト及び表示がターンオフされる間に基準電圧レールを変調するように構成される。
第17の例において、第11の例の処理システムは、更に、基準電圧変調器と同じ集積回路上に配置された高速データインターフェイスを備え、該データインターフェイスは、表示ソースと通信して、表示更新のための表示データを受信するように構成され、高速データインターフェイスは、基準電圧レールが基準電圧変調器により変調されるときに非変調のままである電源電圧レールを含む非変調電圧ドメインの一部分である。
第18の例において、方法は、
第1の時間周期中に基準電圧レール及び複数の表示電極を使用して入力装置のディスプレイのピクセルを更新し、基準電圧レールは、第1の時間周期中に非変調のDC電圧に保持され、
第1の時間周期と重畳しない第2の時間周期中に基準電圧レールを変調し、
基準電圧レールの変調に基づき複数のセンサ電極から結果信号を取得する、
ことを含む。
第19の例において、第18の例の方法は、入力装置が第2の時間周期中に低電力状態にあり、結果信号に基づいて入力オブジェクトを検出した後に、
入力装置を低電力状態からアクティブな状態へ切り換え、
基準電圧レールの変調を中止する、
ことを含む。
第20の例において、第18の例の方法は、更に、基準電圧レールを変調する前に、DC電源を基準電圧レールから電気的に切断することを含む。
結果信号を取得する第18の例の方法の第21の例は、表示電極及びセンサ電極から同時に各結果信号を受信することを含み、各結果信号は、容量性感知を遂行するのに使用される。
[00147]第3グループの規範的実施形態を以下に説明する。
第1の例において、入力装置は、
複数のセンサ電極と、
処理システムと、
を備え、その処理システムは、
複数の電源へ電力を供給するのに使用される基準電圧を変調するよう構成された基準電圧変調器、
基準電圧が変調されるときに複数のセンサ電極から同時に第1の結果信号を取得するように構成された中央受信器、及び
センサ電極の少なくとも1つに各々結合された複数の局部受信器、
を備え、その局部受信器は、センサ電極から第2の結果信号を取得するように構成され、そして処理システムは、第1の結果信号を使用して、接地状態が第2の結果信号に及ぼす作用を軽減するように構成される。
第2の例において、第1の例の入力装置は、更に、基準電圧が変調される間にDC電源から基準電圧を切断するように構成されたコントローラを備えている。
第3の例において、第1の例の入力装置は、更に、複数のセンサ電極、複数の局部受信器及び複数の表示電極を含む表示/感知パネルを備え、センサ電極の各々は、局部受信器の1つのみに結合される。
第1の例の入力装置の第4の例において、局部受信器で第2の結果信号を取得することは、基準電圧が変調されるときに中央受信器で第1の結果信号を取得するのと並列的に行われる。
第1の例の入力装置の第5の例では、中央受信器は、基準電圧が変調される間に複数の表示電極から第3の結果信号を取得するように構成され、そして処理システムは、第3の結果信号を使用して第2の結果信号に及ぼす接地状態の作用を軽減するよう構成される。
第1の例の入力装置の第6の例では、接地状態は、(i)入力装置と相互作用する入力オブジェクトとアース接地点との間の第1の容量性結合、及び(ii)入力装置とアース接地点との間の第2の容量性結合、の少なくとも一方である。
第1の例の入力装置の第7の例では、処理システムは、更に、表示スクリーンのピクセルを更新するように構成された表示モジュールを備え、この表示モジュール及び局部受信器は、共通の集積回路内に配置される。
第1の例の入力装置の第8の例では、処理システムは、更に、表示スクリーンのピクセルを更新するように構成された表示モジュールを備え、この表示モジュールは、第1の集積回路内に配置され、そして局部受信器の少なくとも一部分は、第2の集積回路内に配置される。
第1の例の入力装置の第9の例では、複数のセンサ電極は、マトリクスアレイに配置される。
第10の例では、処理システムは、
複数の電源に電力を供給するのに使用される基準電圧を変調するように構成された基準電圧変調器と、
基準電圧が変調されるとき複数のセンサ電極から第1の結果信号を同時に取得するように構成された中央受信器と、
複数のセンサ電極から第2の結果信号を取得するよう構成された複数の局部受信器と、
を備え、更に、処理システムは、第1の結果信号を使用して、第2の結果信号に接地状態が及ぼす作用を軽減するように構成される。
第11の例では、第10の例の処理システムは、更に、基準電圧が変調される間にDC電源から基準電圧を切断するように構成される。
第10の例の処理システムの第12の例では、電源を含む電力管理コントローラを更に備え、電源は、ディスプレイに電力を供給するように構成される。
第10の例の処理システムの第13の例では、局部受信器で第2の結果信号を取得することは、基準電圧が変調されるときに中央受信器で第1の結果信号を取得することと並列的に行われる。
第10の例の処理システムの第14の例では、中央受信器は、基準電圧が変調される間に複数の表示電極から第3の結果信号を取得するように構成され、そして処理システムは、第3の結果信号を使用して、第2の結果信号に接地状態が及ぼす作用を軽減するように構成される。
第10の例の処理システムの第15の例では、接地状態は、(i)処理システムを収容するシャーシと相互作用する入力オブジェクトとアース接地点との間の第1の容量性結合、及び(ii)シャーシとアース接地点との間の第2の容量性結合、の少なくとも一方である。
第16の例において、方法は、
複数の電源に電力を供給するのに使用される基準電圧を変調し、
基準電圧を変調する間に、中央受信器において複数のセンサ電極から第1の結果信号を同時に取得し、
複数の局部受信器においてセンサ電極から第2の結果信号を取得し、
第1の結果信号を使用して第2の結果信号に接地状態が及ぼす作用を軽減する、
ことを含む。
第17の例において、第16の例の方法は、更に、基準電圧が変調される間にDC電源から基準電圧を電気的に分離することを含む。
第16の例の方法の第18の例において、第1の結果信号は、複数の局部受信器において第2の結果信号を取得するのと並列して、中央受信器において取得される。
第16の例の方法の第19の例において、更に、
基準電圧を変調する間に中央受信器において複数の表示電極から第3の結果信号を同時に取得し、
第3の結果信号を使用して第2の結果信号に接地状態が及ぼす作用を軽減する、
ことを含む。
[00148]従って、ここに述べる実施形態及び実施例は、本発明技術及びその特定の用途に基づき実施形態を最良に説明するためのものであり、従って、当業者であれば、本発明技術を利用することができよう。しかしながら、当業者であれば、以上の説明及び実施例は、例示のためのもので、単なる例に過ぎないことが認識されよう。以上の説明は、余すところのないものではなく、また、この開示を、ここに示す正確な形態に限定するものでもない。
[00149]以上に鑑み、本開示の範囲は、特許請求の範囲によって決定される。