JP7007719B2 - 電磁波検出方法及び電磁波検出装置 - Google Patents

電磁波検出方法及び電磁波検出装置 Download PDF

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特許法第30条第2項適用 平成29年12月4日~12月6日 KKRホテル熱海において開催されたシンポジウム テラヘルツ科学の最先端IVで発表
本発明は、電磁波を利用した非破壊検査装置等に用いられる電磁波検出方法及び電磁波検出装置に関する。
電磁波を利用して非破壊的な検査を行う装置や方法が知られている。近年では、X線装置に代わる安全な検査手法として、テラヘルツ(THz)周波数帯の電磁波を用いた電気光学(EO)サンプリング法により非破壊的に検査等を行う技術が開発されている(例えば特許文献1,2参照)。
EOサンプリング法としては、例えば、上記した周波数帯の電磁波の電界が電気光学結晶に誘起する複屈折を、フェムト秒レーザーを光源とするプローブ光によりサンプリング検出するものが知られている。
図7は、EOサンプリング検出を行う電磁波検出装置の一例を示す概略図である。検出対象の電磁波と遅延時間をつけた十分短いレーザーパルス(プローブ光と称する。特に電磁波による変調を受けたあとは検出光と称する)とを同じ直線偏光にし、コリニアに電気光学結晶11に照射する。電気光学結晶11から出射された楕円偏光の検出光は、λ/4波長板12に入射されてその位相が90度シフト (位相バイアス)される。そして、λ/4波長板12から出射された偏光状態の検出光を偏光子(例えばWollaston Prism)13に入射することで、当該偏光を長軸側の縦方向の偏光成分と短軸側の横方向の偏光成分に分離し、それぞれの強度を光検出器14で検出する。
特開2013-174513号公報 特許第3388319号公報
ところで、テロ対策強化などの要求から、空港やイベント会場、会議場など人の集まる施設での手荷物検査や全身検査などでは、高精度かつ正確な透視検査が求められているが、現状において主流となっているX線透視検査では精度、正確性及び画像の鮮明性に限界があり、X線透視検査に代わる新たな技術の速やかな開発と普及が切望されている。
EOサンプリング法は、X線透視検査に代わる新たな電磁波検出技術として注目されているものの、上記した従来の電磁波検出方法及び電磁波検出装置では、高速でスキャンしてマッピングすることが困難で、未だその用途の範囲が限定されているという問題がある。
本発明は、EOサンプリング法の速やかな用途拡大を目的としてなされたもので、簡単かつ安価なコストで従来のEOサンプリング法による電磁波検出の感度を大幅に高めることができ、高速マッピングにも対応が可能な電磁波検出方法及び電磁波検出装置の提供を目的とする。
上記した従来のEOサンプリング法による電磁波検出装置では、λ/4波長板12によって直交する二つの偏光成分に位相差(光路差)を設けて検出光の偏光状態の変更を行っている。λ/4波長板12から出射される検出光は円偏光に近い状態に変換され、偏光子によって分離される縦方向の偏光成分と横方向の偏光成分を差分検出することで電磁波の電界に比例した信号を得ている。
この従来法によるEOサンプリングにおける信号強度(検出光の偏光変調度)σは、前記二方向の偏光成分における円偏光からのずれによる強度差をΔI、前記検出光の総強度をIとすると、σ=ΔI/Iと表すことができるが、この式は電気光学効果によって誘起される位相変化ΔΓ=ΔI/Iに対応している。
具体的には、光検出器で検出される縦方向の偏光成分の光強度をIv、同横方向の偏光成分の光強度をIhとしたとき、信号強度σは(Iv-Ih)/(Iv+Ih)=ΔI/I=ΔΓで表すことができる。電気光学結晶を透過した直後の検出光の縦方向の偏光成分は、横方向の偏光成分よりもかなり大きいが、電気光学効果による信号は主に横方向の偏光成分に含まれている。そこで電気光学結晶を透過した直後の横方向の偏光成分と縦方向の偏光成分の比率を制御することができれば、信号強度σを増大させることができると期待できる。検出光の偏光制御によるEO信号強度σの変化率をαとしたときのEOサンプリングにおける信号強度を表す式を以下に示す。
Figure 0007007719000001
この式から、係数αが1より大きくなるように偏光制御を行えば、信号強度σをα倍に増大できることがわかる。
具体的に本発明の電磁波検出方法は、請求項1に記載するように、プローブ光を電磁波によって変調し、EOサンプリング法を利用して異なる二つの偏光成分の検出光を検出する電磁波検出方法において、前記検出光の偏光状態を表す偏光状態式の一部に係数βを挿入することで、前記検出光の信号強度が1/β(β<1)倍となる前記偏光状態式の構成部分を求め、当該構成部分に相当する前記偏光成分をβ倍に変換するように偏光制御を行うとともに、前記プローブ光に含まれる直交二方向の偏光成分のうち、長軸側の偏光成分を角度θだけ傾けて減衰させ、電気光学結晶を通過した前記検出光の和周波発生(SFG)成分および差周波発生(DFG)成分を含んだ短軸側の偏光成分について、前記検出光の信号強度が1/β(β=sinθ/cosθ)倍となるように偏光制御を行う構成としてある。
前記偏光制御は、例えば請求項に記載するように光学フィルタを用いて行うことができる。
前記係数βの値を小さくするほど信号強度を増強することができる。しかし、前記係数βの値が小さすぎるとノイズが大きくなって却って検出精度を低下させることから、請求項に示すように、検出光の電界振幅をE0としたときの前記検出光の強度(|E0|β)がノイズ強度よりも大きい範囲内で前記係数βの値を決定するとよい。
上記の本発明の電磁波検出方法を利用した電磁波検出装置は、請求項4に記載するように、プローブ光を電磁波によって変調し、EOサンプリング法を利用して異なる二つの偏光成分の検出光を検出する請求項1~3のいずれかに記載の電磁波検出方法を用いた電磁波検出装置であって、前記プローブ光に含まれる直交二方向の偏光成分のうち、長軸方向の偏光成分を角度θだけ傾ける第一の光学フィルタを、電気光学結晶の前に配置し、前記電気光学結晶から出射された前記検出光の偏光成分のうち前記長軸方向の偏光成分をカットする第二の光学フィルタを前記電気光学結晶の後に配置し、前記第二の光学フィルタを通過した前記検出光に含まれる偏光成分を、前記検出光の和周波発生(SFG)成分および差周波発生(DFG)成分と干渉させて変調させる構成としてある。
なお、本発明において用語「減衰」には、長軸側の偏光成分を完全に除去(カット)する場合も含まれる。
本発明は上記のように構成されているので、検出光の直交する二方向の偏光成分のうちの一方について、当該偏光成分を相対的に減衰等させる制御を行うだけで感度を高めることができる。また、偏光制御手段として光学フィルタを用いることができ、既存の電磁波検出装置に市販の光学フィルタを挿入するだけで電磁波検出の感度を高めることができる。さらに、SN比との関係で減衰率には一定の制限があるものの、感度を飛躍的に高めることができるため電磁波検出信号の高速マッピングも可能になり、空港やイベント会場、会議場など人の集まる施設での手荷物や入場者の全身の透視検査など、適用範囲を広範に拡げることが可能になる。
以下、本発明の電磁波測定方法の好適な実施形態を詳細に説明する。
[本発明の原理]
電気光学結晶11(図7参照)に電磁波(THz波)とプローブ光(通常100fs程度の幅を持つ可視、近赤外域のパルス光)が入射すると、電磁波による電界が電気光学結晶中に非等方的な屈折率変化(複屈折)Δnを誘起する。このとき、電気光学結晶11中の伝搬距離をL、電気光学結晶11から出射される検出光の波長をλとすると、位相差ΔΓは、以下の式で表される。
Figure 0007007719000002
この位相差ΔΓは通常は非常に小さく、電気光学結晶11から出射される検出光はごくわずかに楕円偏光(長軸は垂直方向)となるが、直線偏光に近い偏光状態である。この状態の検出光が1/4λ板を透過すると、検出光はほぼ円偏光となる。
ここで、縦方向の偏光成分の強度をIv、横方向の偏光成分の強度をIh、偏光を分離する前の検出光の強度をIとすると、それぞれは以下の式で与えられる。
Figure 0007007719000003
Figure 0007007719000004
なお式3および式4において、最終項のΔΓ/2は、ΔΓが十分に小さいために、sinΔΓ/2を近似したものである。円偏光からのずれΔIは、縦偏光と横偏光の強度IvとIhの差Iv-Ihで与えられ、式3および式4を用いると
Figure 0007007719000005
すなわち、
Figure 0007007719000006
を得る。このことから、EOサンプリングの信号強度は、電磁波によって複屈折が誘起された結果生じる、直交する(この場合+/-45度)偏光成分間の位相差ΔΓに比例し、検出光のπ/2の位相バイアス後の円偏光からのずれに対応していることがわかる。
EOサンプリングの信号強度を高めるには、式6の分母のIを減衰させればよい。ただし、Iを減衰させればΔIも減衰することになる。そのため、ΔIの減衰率をIの減衰率よりも小さくして、EOサンプリングの信号強度ΔI/Iを効率よく増強させる必要がある。
そこで本発明の発明者は、電気光学結晶から射出された直後の検出光を減衰させたあとの検出光強度をI′= β2とすることとした。すなわち、検出光の振幅をβ倍(検出光強度でβ2倍)に減衰させるようにする。このようにすると、ΔIも減衰するが、その減衰率をsとし、減衰後のΔIをΔI′とすると、ΔI′=sΔIと表され、このときのEOサンプリングの信号強度を表す式6は
Figure 0007007719000007
と書き換えることができる。ここでα=s/β2とすると、α>1であれば信号強度は増強されることになる。この条件を満たすためにはs>β2(0≦β<1)であればよく、このとき分母Iを減衰させても分子ΔIは分母Iほどには減衰しないことになる。
このように検出光の偏光状態を制御することで、上記の式7を導出することができれば、EOサンプリングの信号強度を高めることができることになる。
この予測に基づき、電気光学結晶を透過した直後の検出光の偏光状態をどのように制御すれば、すなわち、偏光状態式のどの部分に係数βを挿入すれば式7のような結果を得ることができるかを求める。
電気光学結晶を透過した直後の検出光の偏光状態の式は、複屈折の長軸,短軸の方向がそれぞれ+45度、-45度であり、それぞれの位相差が+ΔΓ/2、-ΔΓ/2となることから、振幅をEとして以下の式で表すことができる。
Figure 0007007719000008
なお、式8において添え字は偏光成分の方向を示していて、添え字0は縦方向を、添え字90は横方向を示している。この式8から時間因子(exp(-iωt))を省略して書き換えると、
Figure 0007007719000009
となる。この式9では、縦方向の振幅がEcos(ΔΓ/2)、横方向の振幅が
90sin (ΔΓ/2)で、後者の位相が90度遅れて振動する楕円偏光であることを示している。
ここで今、式9の楕円偏光成分のうち、一方の構成部分(以下の例では長軸側である縦方向の偏光成分(添え字0の偏光成分))に係数βを挿入してみる。係数βの挿入により式9は以下のように書き換えることができる。

Figure 0007007719000010
ここでe+45とe-45は縦(鉛直)方向からそれぞれ+45度、-45度傾いた方向の単位ベクトルでeとe90の間には以下の関係がある。
Figure 0007007719000011
式10にπ/2の位相バイアスを加え、-45度の偏光成分の位相を90度ずらすと、
Figure 0007007719000012
よって、
Figure 0007007719000013
Figure 0007007719000014
Figure 0007007719000015
となる。これより、ΔIの減衰率s=βとなることが分かる。検出光の強度はI=E から、
Figure 0007007719000016
となるので、EOサンプリング信号は、
Figure 0007007719000017
となる。
この式16は、EOサンプリングの信号強度を高めるための式7と比較するとα=1/βであることが分かる。このことから、電気光学結晶から出射された楕円偏光の検出光の偏光状態を表す偏光状態式のうち、一方の偏光成分を表す構成部分に係数βを挿入すれば、EOサンプリング信号の強度を増強できることがわかる。
ここで、EOサンプリング信号の強度を増強するには、係数βを1より小さく(β<1)する必要がある。すなわち式10の例に従えば、係数βを挿入する構成部分に相当するのは長軸側である縦方向の偏光成分であるから、縦方向の偏光成分を減衰させることで、EOサンプリング信号の強度を増強することができる。増強できる大きさは式7及び式15から1/β倍である。
なお、係数βを小さくすればするほど式15においてΔΓ/βの値は大きくなるが、実際には係数βを一定以下に小さくすると光強度が小さくなりすぎて、ノイズ成分が相対的に大きくなる。光学フィルタ等で減衰させたあとの検出光の強度|E β|がノイズ強度より小さくなるとSN比が劣化するので、電磁波照射部から出射された直後の検出光の強度、周波数、電気光学結晶の特性、λ/4波長板及び光学フィルタ等の性能などを総合的に勘案した上で、係数βの値を適切に選択する必要がある。
以下、この原理に基づく本発明の好適な実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の電磁波検出装置の具体的な装置構成を示す概略図、図2はその主要部の詳細を説明する概略図である。
図1に示すように、この実施形態の電磁波検出装置は、プローブ光を射出するフェムト秒レーザー装置24とプローブ光の偏光状態を制御する光学系23とを備えたプローブ光照射部と、プローブ光を射出するフェムト秒レーザー装置21(通常24と同一)とエミッタ22とを備えた、30GHzより大きく30THzより小さい周波数の電磁波を照射する電磁波照射部を有する。前記プローブ光照射部から照射されたプローブ光及び電磁波照射部から照射された電磁波(例えばTHz光)は、反射鏡25、凹面鏡27a、凹面鏡27bを経て光変調手段である電気光学結晶11に入射される。
なお、電気光学結晶11に入射される電磁波は、前記プローブ光照射部から照射されたプローブ光と電磁波照射部から照射されたTHz波などの電磁波とが結合されたものである。また電気光学結晶中で電気光学効果による変調をうけ、電気光学結晶11から出射されたプローブ光を、変調前のものと区別するため「検出光」と称するものとする。
上記の式10に基づき、図2に示すように、入射された電磁波を楕円偏光の検出光として出射する電気光学結晶11の直後であって、λ/4波長板12の手前に、前記楕円偏光のうち長軸側の偏光成分を減衰させる偏光制御手段としての光学フィルタ15を配置する。この光学フィルタ15は、長軸側の偏光成分(この実施形態では縦方向の偏光成分)を係数βだけ減衰させ、これと直交する短軸側の偏光成分についてはそのまま透過させるものである。
この光学フィルタ15を利用して、長軸側の偏光成分の振幅を例えば1/10(係数β=1/10)に減衰させると、式16にしたがって光検出器14で検出されるEOサンプリングの信号の強度は約10倍に増強されることになる。
但し、係数βを小さくしすぎるとプロ―プ光の強度が小さくなりすぎて、ノイズ成分が相対的に大きくなる。すなわち、縦方向の偏光成分を減衰したあとの電磁波の強度|Eβがノイズ強度より小さくなるとSN比が劣化するので、|Eβがノイズ強度以下にならないように係数βを選択するのが好ましい。係数βは1/100~50/100を目安とすることができる。
[実験1]
本発明の効果を実証するべく、本発明の発明者は電気光学結晶11として厚さ1mmの(001)面カットZnTe結晶を用い、周波数帯30GHz~4THz、検出光の強度減衰率β=5%(β=0.22)として図1の装置で実験を行った。その結果を図3のグラフに示す。
図3(a)は信号強度のプローブ光の遅延時間を変化させたときの変位、すなわちTHz波の時間波形を示すグラフ、(b)はそれをフーリエ変換した信号強度と周波数との関係、すなわちパワースペクトルを示すグラフである。
図3(a)(b)のグラフでは、光学フィルタ15を設ける前を破線で、設けた後を実線で表している。図3(a)のグラフから、信号強度は光学フィルタ15を設ける前後で約2.5倍に増強されていることがわかる(なお、理論から期待される増強率は約4.5倍である)。また、図3(b)のグラフから、実験を行った周波数帯の全範囲で信号の増強が確認できた。
実験で用いた電磁波の周波数帯は30GHz~4THzの範囲であるが、本発明は30THz程度の周波数までは好適に適用することができる。
[他の実施形態]
本発明は、ヘテロダインEOサンプリング検出系にも同様に適用が可能である。
ヘテロダインEOサンプリング法は、THz波等の電磁波とプローブ光の電気光学結晶11内での非線形相互作用により生じた和周波発生(SFG)光および差周波発生(DFG)光が、もとのプローブ光と光波干渉することで検出光の強度変調を直接的に検出する手法である。
ヘテロダインEOサンプリングで、電磁波照射部から照射された電磁波はプローブ光照射部から照射されたプローブ光に対して非共軸に電気光学結晶11に入射し、波数ベクトルの位相整合条件の違いから、和周波発生(SFG)光と差周波発生(DFG)光が、検出光(電気光学結晶11から出射され光検出器14で検出される電磁波を「検出光」と記載する)の中心軸に対して互いに反対方向に電気光学結晶11から出射される。またSFG光とDFG光の位相は反転しており、もとのプローブ光との干渉による強度変調は、互いに極性が反転する。この性質を利用して、SFG光とDFG光のヘテロダインEOサンプリングによる検出光の変調を検出器14で検出する。
電気光学結晶11に入射させるプローブ光は縦偏光からわずかに偏光方向に傾け(傾斜させる角度θとしては0.5~5°程度が目安である)、縦方向の偏光成分Ecosθ(主たる偏光成分)とごく小さな横方向の偏光成分Esinθを持たせるようにする。
ここで、入射検出光の振幅をE0,その強度をI0=| E0|2,電磁波(THz光)とプローブ光の相互作用で発生するSFG光およびDFG光の振幅をESFG/DFGとすると、ヘテロダインEOサンプリング信号は次の式であらわされる。
Figure 0007007719000018
式17において、noptはEO結晶の検出光に対する屈折率,rijはEO係数,ωoptは電磁波の角周波数,Lは相互作用長(EO結晶の厚さ),ETHzは電磁波の振幅,Im[g(ΔkL)]は位相不整合因子である。
この実施形態では、式17の右辺の分母にsinθ、分子にcosθを挿入する。これは電気光学結晶に入射するプローブ光を縦偏光からθだけ傾けたことにより、分母のSFG光およびDFG光と干渉するプローブ光の横偏光振幅がcosθ倍、SFG光およびDFG光の振幅がsinθ倍されることに対応する。この結果、式17は、
Figure 0007007719000019
となり、この式18の右辺を、β=sinθ/cosθとして書き換えると、
Figure 0007007719000020
となる。この式19は、先の実施形態の式16と同じ形となり、プローブ光の偏光制御に対応した係数βを挿入する前と後では、EOサンプリング信号の強度が1/β(β<1)倍だけ増強されることになる。
図4は、本発明の第二の実施形態にかかる電磁波検出装置の具体的な装置構成を示す概略図、図5は図4の装置の主要部の詳細を説明する概略図である。
この実施形態のヘテロダインEOサンプリング検出系では、プローブ光をわずかな角度θだけ傾ける光学フィルタ(例えばλ/2波長板)16を、電気光学結晶11の前に配置する。そして、電気光学結晶11から出射された検出光の偏光成分のうち縦方向の偏光成分をカットする光学フィルタ15を電気光学結晶11の直後に配置する。これにより残った横方向の偏光成分は、SFG光およびDFG光と干渉して変調される。
ヘテロダインEOサンプリングにおいては、偏光制御により検出光の縦偏光からの傾きθを小さくすればするほど、1/βの値が大きくなり、信号の増倍率は上がることになる。
しかし、θを小さくしすぎると縦偏光成分をカットされたあとのプロ―プ光強度が小さくなりすぎて、相対的にノイズ成分が大きくなる。したがって、縦方向の偏光成分をカットしたあとの検出光の強度|Eβ(ただしcosθ≒1のときβ≒sinθであるから、この式は|Esinθと等価)がノイズ強度より小さくなると、SN比が劣化するので、θは、 横方向の偏光成分の強度|Esinθがノイズ強度と同程度になる値以下には小さくしないことが好ましい。
[実験2]
この第二の実施形態について、実験1と同様に実験を行った。θを2.8°及びθ=0.87°とし、周波数帯30GHz~4THzとして、図4の装置で実験を行った。その結果を図6のグラフに示す。
図6(a)は信号強度のプローブ光の遅延時間を変化させたときの変位、すなわちTHz波の時間波形を示すグラフ、(b)はそれをフーリエ変換した信号強度と周波数との関係、すなわちパワースペクトルを示すグラフである。
図6(a)(b)のグラフでは、光学フィルタ15を設ける前を破線で、設けた後を実線(θ=2.8°)及び一点鎖線(θ=0.87°)で表している。
図6(a)のグラフから、信号強度は光学フィルタ15を設ける前後でそれぞれ約20倍(θ=2.8°)及び66倍(θ=0.87°)に増強されていることがわかる。また、図6(b)のグラフから、実験を行った周波数帯の全範囲で信号の増強が確認できた。
しかし、θ=0.87°(一点鎖線)の場合はSN比が劣化し、実用的な結果は得られなかった。
本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記の説明に限定されるものではない。
例えば、上記の説明で偏光制御手段の一例として光学フィルタ15を挙げたが、同様の作用を奏するのであれば他の手段を用いてもよい。
また、検出光の偏光状態を示す偏光状態式(例えば式10)においては、一つの構成部分に係数βを挿入し、他の構成部分には係数「1」を挿入していると解釈することができる。すなわち、係数βは他の構成部分の係数との関係で相対的なものであり、他の構成部分に1以外の係数(τ,τ・・・)を挿入することも可能である。例えば、上記の実施形態に従えば、式12の偏光状態式において短軸側の構成部分に係数τ(>1)を挿入して横方向の偏光成分を増幅すれば、相対的に長軸側の縦方向の偏光成分が減衰されることになり、式17と同じ結果を得ることができる。このように、他の構成部分に別の係数τ,τ・・・を挿入する場合は、これら係数τ,τ・・・との関係で相対的にβ<1となる係数τ,τ・・・及び係数βを選択すればよい。
本発明の電磁波検出装置及び電磁波検出方法は、ミリ波帯やギガヘルツ波帯の周波数帯でも適用が可能であるが、特に周波数30GHz~30THz(波長10mm~10μm)のテラヘルツ波帯での適用が好ましく、原理的には30THzを越える周波数帯の電磁波検出にも適用が可能である。
また、本発明の電磁波検出装置及び電磁波検出方法は、各種センシング装置やイメージング装置などに適用が可能である。
本発明の電磁波検出装置の具体的な装置構成を示す概略図である。 図1の装置の主要部の詳細を説明する概略図である。 第一の実施形態の電磁波検出装置の効果を説明するグラフで、図3(a)は信号強度のプローブ光の遅延時間を変化させたときの変位、すなわちTHz波の時間波形を示すグラフ、(b)はそれをフーリエ変換した信号強度と周波数との関係、すなわちパワースペクトルを示すグラフである。 本発明の第二の実施形態にかかる電磁波検出装置の具体的な装置構成を示す概略図である。 図4の装置の主要部の詳細を説明する概略図である。 第二の実施形態の電磁波検出装置の効果を説明するグラフで、図6(a)は信号強度のプローブ光の遅延時間を変化させたときの変位、すなわちTHz波の時間波形を示すグラフ、(b)はそれをフーリエ変換した信号強度と周波数との関係、すなわちパワースペクトルを示すグラフである。 本発明の従来例にかかり、EOサンプリング検出を行う電磁波検出装置の一例を示す概略図である。
11 電気光学結晶
12 λ/4波長板
13 偏光子
14 光検出器
15 光学フィルタ
16 光学フィルタ(λ/2波長板)
21 フェムト秒レーザー装置
22 エミッタ
23 レンズ
24 フェムト秒レーザー装置
25 反射鏡

Claims (4)

  1. プローブ光を電磁波によって変調し、EOサンプリング法を利用して異なる二つの偏光成分の検出光を検出する電磁波検出方法において、
    前記検出光の偏光状態を表す偏光状態式の一部に係数βを挿入することで、前記検出光の信号強度が1/β(β<1)倍となる前記偏光状態式の構成部分を求め、
    当該構成部分に相当する前記偏光成分をβ倍に変換するように偏光制御を行うとともに、
    前記プローブ光に含まれる直交二方向の偏光成分のうち、長軸側の偏光成分を角度θだけ傾けて減衰させ、電気光学結晶を通過した前記検出光の和周波発生(SFG)成分および差周波発生(DFG)成分を含んだ短軸側の偏光成分について、前記検出光の信号強度が1/β(β=sinθ/cosθ)倍となるように偏光制御を行うこと、
    を特徴とする電磁波検出方法。
  2. 前記偏光制御を、光学フィルタを透過させることによって行うことを特徴とする請求項1に記載の電磁波検出方法。
  3. 前記βの値が、前記検出光の電界振幅をEとしたときの前記検出光の強度(|Eβ)がノイズ強度よりも大きいことを特徴とする請求項1又は2に記載の電磁波検出方法。
  4. プローブ光を電磁波によって変調し、EOサンプリング法を利用して異なる二つの偏光成分の検出光を検出する請求項1~3のいずれかに記載の電磁波検出方法を用いた電磁波検出装置であって、
    前記プローブ光に含まれる直交二方向の偏光成分のうち、長軸方向の偏光成分を角度θだけ傾ける第一の光学フィルタを、電気光学結晶の前に配置し、
    前記電気光学結晶から出射された前記検出光の偏光成分のうち前記長軸方向の偏光成分をカットする第二の光学フィルタを前記電気光学結晶の後に配置し、
    前記第二の光学フィルタを通過した前記検出光に含まれる偏光成分を、前記検出光の和周波発生(SFG)成分および差周波発生(DFG)成分と干渉させて変調させること、
    を特徴とする電磁波検出装置。
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