JP7007392B2 - 唾液腺炎の治療におけるボツリヌス神経毒素の改善された使用 - Google Patents

唾液腺炎の治療におけるボツリヌス神経毒素の改善された使用 Download PDF

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Description

本発明は、唾液腺炎または唾液分泌亢進に関連する疾患または状態の治療におけるボツリヌス神経毒素の改善された使用に関する。特に、耳下腺および顎下腺に1.45対1~1.7対1の間の用量比で投与されるボツリヌス神経毒素が開示されている。
流涎は、一般に唾液が唇の縁を越えて溢れる(前部流涎として知られる)、または不注意で咽頭に溢れたり無意識に声門および気管に入る(後部流涎として知られる)症状をもたらす多種多様な臨床状態によって表される。前部流涎は、患者にとって社会的交流に関する障害が大部分であるが、後部流涎は健全な咳反射をする被験者あるいは無意識に静かに呼吸をしている被験者に咳や刺激を引き起こし得る。
流涎という用語は、しばしば臨床状態、使用国、医学の専門分野に応じて医学用語の唾液腺炎、過唾液分泌または流涎症の一般用語で使用される。定義によれば、唾液腺炎は「唇縁を超える唾液の過剰なこぼれ」であり、過唾液分泌は「唾液の過剰な産生」であり、流涎症は「妊婦における過唾液分泌」である。これらの用語および定義は、それらの不明な原因ならびに、基礎的疾患および障害の病理学的メカニズムに関しては一貫して使用されていない。
唾液腺炎の原因は様々であり得、一般に唾液の過剰産生または唾液管理の性能低下、あるいは解剖学的構造もしくは生理学的機能の排除と関連する。もちろん、これらの要因を組み合わせると明確に原因を区別できなくなり、したがって上記の症状の診断の記述子が矛盾して使用される。一部の例では、唾液腺および管、唇、口腔、ならびに歯(口唇閉鎖の欠陥、歯の不正咬合)の解剖学的奇形および変形だけで、口腔と外界との間の局所バイパスを誘導し、生成した唾液の制御不能な流出を可能にする。
奇形、狭窄、瘢痕、瘻孔および迂回は、口腔癌または頭頸部癌、けが、およびそれらの手術の合併症の恒久的な結果として起こり得る。知的障害を持つ患者は、口を永久的に開いている可能性があり、奇形の有無にかかわらず同じ効果を引き起こす。例えば、パーキンソン病、進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症、多系統萎縮症、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、脳性麻痺、脳卒中、外傷性脳損傷(TBI),クロザピン誘発性過唾液分泌、レット症候群、アンジェルマン症候群、てんかん性脳症および脳腫瘍、咽頭喉頭全摘術、喉頭亜全摘出術および声門上喉頭切除術、認知症もしくは知的障害または唾液腺炎もしくは過唾液分泌の他のあらゆる原因から選択される神経学的疾患の患者においては、感覚運動能力の低下、口頭神経筋制御不良、防衛反射の減少、嚥下筋の運動低下、嚥下頻度の減少または嚥下不良もしくは嚥下障害が、生来の唾液腺炎の最も頻繁な原因であるように思われる。嚥下の運動制御の妨害により頻繁に飲みみ込まれない場合、生成された刺激されていないまたは刺激された唾液は口腔内にプールされる。制御されていない口の開きと前傾の頭部の姿勢は、プールされた唾液が患者の唇の縁を越えてあふれやすくなる。
唾液分泌はまた、例えば、唾液腺における唾液核または神経終末の持続的な活性化を引き起こす重い虫歯や歯石、唾液腺の肥大、胃食道逆流などの刺激因子、あるいは副作用として過唾液分泌を誘発する薬物または毒素(例、クロザピン、ベンゾジアゼピン、抗精神病薬)によっても恒久的に増加し得る。
その他の点では健康な個人において唾液の過剰産生だけはある程度まで抑制することができる。唾液管理に障害がある患者では、口の中のプールされた唾液を制御する能力または過剰に分泌された量の唾液を飲み込む能力の上限はより低く、したがってより困難である。
嚥下障害に対する治療法の選択肢は、リハビリ対策(嚥下訓練、口腔運動制御訓練)に焦点を当てているが、パーキンソン病やALSなどの進行性神経疾患患者では、意識のない頻繁な嚥下のメカニズムの訓練または開発はほとんどできない。それゆえ、唾液腺炎の治療は、しばしば唾液産生の減少に集中している。最も初期のアプローチは、口腔内およびその周囲の唾液腺によって産生される唾液の量を制御するムスカリン性コリン作用性神経に対して抑制作用する、周知の抗コリン薬(例えばアトロピン、臭化イプラトロピウム、スコポラミン、グリコピロレート、トロピカミド)を使用した。この症状には、他のいくつかの抗コリン作用薬誘導体も試験され、認可外で使用されている。最近では、グリコピロレートのみが、米国およびEUの小児の流涎の治療に承認されている。
別の治療選択肢はボツリヌス毒素であり、これは筋緊張および治療された筋肉の痙縮、または多汗症を減少させるために筋肉内注射によって患者に投与される。口腔乾燥症は、このような患者での薬の副作用として検出されており、このことが唾液腺のボツリヌス毒素AまたはBを用いた直接的な治療、すなわち主唾液腺の耳下腺および顎下腺にボツリヌス毒素AまたはBを腺内または実質内注入することによって唾液腺を治療することを医者に動機付けた。
クロストリジウムは、ファーミキューテス門に属する嫌気性菌グラム陽性細菌属である。クロストリジウムは約100種からなり、ボツリヌス菌および破傷風菌などの一般的な自由生活細菌および重要な病原体を含む。両種はそれぞれ神経毒、ボツリヌス毒素および破傷風毒素を産生する。これらの神経毒は、神経細胞のカルシウム依存性神経伝達物質分泌の強力な阻害剤であり、人間に知られている最強の毒素の一つである。ヒトにおける致死量は体重1キログラムあたり0.1ng~1ngの間にある。
汚染された食品を介したボツリヌス毒素の経口摂取または創傷におけるボツリヌス毒素の生成は、様々な筋肉の麻痺を特徴とするボツリヌス中毒症を引き起こす場合がある。呼吸筋の麻痺は罹患者に死をもたらす場合がある。
ボツリヌス神経毒素(BoNT)および破傷風神経毒素(TeNT)は両方とも、冒されたニューロンの軸索からのシナプスへの神経伝達物質の放出が阻害される類似の初期生理学的作用機序を介して機能するが、それらは臨床応答において異なる。ボツリヌス神経毒素は末梢神経系の神経筋接合部および他のコリン作動性シナプスに作用して神経伝達物質アセチルコリンの放出を阻害し、それにより弛緩性麻痺を引き起こすが、中枢神経にトランスサイトーシスされる破傷風神経毒は主に中枢神経系で作用し、シナプトブレビンタンパク質を分解することにより、抑制性神経伝達物質GABA(γ-アミノ酪酸)およびグリシンの放出を防止する。結果として生じる脊髄運動ニューロンの過活動は、強縮性攣縮(硬直性麻痺)と呼ばれる、主動筋および拮抗筋組織の全身性収縮を引き起こす。
破傷風神経毒素は1つの免疫学的に異なる型で存在するが、ボツリヌス神経毒素は、BoNT/AからBoNT/Hと命名された7つの異なる免疫原性血清型とさらに亜型を含めて発生することが知られている。ほとんどのボツリヌス菌株は1種類の神経毒を産生するが、複数の神経毒を産生する菌株も記載されている。
ボツリヌス神経毒素および破傷風神経毒素は、相同性の高いアミノ酸配列を有し、類似のドメイン構造を示す。それらの生物学的に活性な形態は、ジスルフィド結合によって連結された2本のペプチド鎖、約50kDaの軽鎖および約100kDaの重鎖を含む。異なるクロストリジウム神経毒素間で長さが変化するリンカーまたはループ領域は、ジスルフィド結合を形成する2つのシステイン残基の間に位置する。このループ領域は、未知のクロストリジウムエンドプロテアーゼによってタンパク質分解的に開裂し生物学的に活性な神経毒が得られる。
TeNTおよびBoNTによる中毒の分子機構はよく似ているように思われる。すなわち、標的神経への進入が重鎖C末端部分の特定の細胞表面受容体への結合によって媒介される。その後、神経毒が受容体媒介エンドサイトーシスによって取り込まれる。そのようにして形成されたエンドソーム内の低いpHが、その後にクロストリジウム神経毒の構造変化を誘導し、これが神経毒をエンドソーム膜中に包埋し、エンドソーム膜を通して細胞質中に移行することを可能にし、細胞質では重鎖と軽鎖を連結するジスルフィド結合が還元される。次いで、軽鎖は、シナプス間隙への神経伝達物質放出の異なる段階、例えば認識、ドッキングおよび神経伝達物質含有小胞と原形質膜との融合に不可欠である、いわゆるSNAREタンパク質を選択的に切断することができる。TeNT、BoNT/B、BoNT/D、BoNT/F、およびBoNT/GはシナプトブレビンまたはVAMP(小胞関連膜タンパク質)のタンパク質分解的切断を誘導し、BoNT/AおよびBoNT/Eは原形質膜関連タンパク質SNAP-25を切断し、BoNT/C1は、内在性原形質膜タンパク質シンタキシンおよびSNAP-25を切断する。
ボツリヌス菌では、ボツリヌス神経毒素は、神経毒成分と非毒性タンパク質とを含むタンパク質複合体として形成される。付属タンパク質は神経毒成分を包埋し、それによって毒性効果に何も加えずに消化管内の消化酵素による分解から神経毒成分が保護される。したがって、ほとんどの血清型のボツリヌス神経毒素は経口毒性である。例えば450kDaまたは900kDaの複合体はボツリヌス菌の培養物から入手可能である。
近年、ボツリヌス神経毒素は、例えばジストニアおよび攣縮の治療における治療薬として使用されており、さらに化粧用途、例えば縮緬皺の処理などに使用されている。ボツリヌス神経毒素複合体を含む調製物は、例えば、Ipsen Ltd(Dysport(登録商標))、Solstice Neurosciences LLC/US Worldmeds LLC(Myobloc(登録商標))またはAllergan Inc.(Botox(登録商標))から市販されている。(いかなる複合タンパク質も含まないボツリヌス神経毒素の高純度の神経毒成分は、例えば、フランクフルトのMerz Pharmaceuticals GmbH(Xeomin(登録商標)、Bocouture(登録商標))から入手可能である。
様々な基礎疾患に起因する唾液腺炎を有する患者におけるボツリヌス神経毒素AおよびBの使用について、先行技術でいくつかの報告がある。例えば、Breheret等。例えば、Breheret et al.(Annales francaises d Oto-rhino-laryngologie et de Pathologie Cervico-faciale,volume 128,Issue 5,2011,pages 266-271)、Barbero et al.(J Neurol.2015 Dec;262(12):2662-7)、Suskind et al.(Laryngoscope.2002 Jan;112(1):73-81)、Porta et al.(J Neurol Neurosurg Psychiatry.2001 Apr;70(4):538-40.)、Narayanaswami et al.(Parkinsonism Relat Disord.2016 Sep;30:73-7)およびCastelnovo et al.(Movement Disorders 2013,Volume 28,Abstract Supplement)は、さまざまな病状の唾液腺炎を治療するために、唾液腺に投与する毒素の量を変えたいくつかの異なるプロトコルによるさまざまな毒素の使用を報告する。唾液腺炎にボツリヌス神経毒素を使用する安全性と有効性に関するデータを提供する多くの研究があるにもかかわらず、使用される毒素の投与量、投与部位および種類が明確に推奨されていない。
発明の目的
本発明の目的の一つは、例えば抗菌作用、凝集、ペリクル形成、消化、味覚、排泄および/または水収支のための潤滑剤として、イオンリザーバとして、緩衝剤として、洗浄剤として被験者において通常に生理的機能を示すが流涎を示さない程度に唾液産生量を抑制し、唾液腺の活性を長期間制限する、唾液腺炎または唾液分泌亢進に関連する疾患または状態の治療のためのボツリヌス神経毒素を提供することである。本発明の別の目的は、ボツリヌス神経毒素による治療に関連した副作用を回避すること、または治療中に頻度、重症度および/または持続期間を少なくとも減少させることである。本発明のさらなる目的として、ボツリヌス神経毒素は、基礎疾患が治療によって冒されないように長期間にわたる有利な治療結果を提供する必要があり、それ故に長期持続療法は、反復注射サイクルによって有効性の減少もしくは安全性を損なうことなく効果的かつ安全に適用される必要がある。
驚くべきことに、ボツリヌス神経毒素は、唾液腺炎または唾液分泌亢進に関連する疾患または状態の治療に使用される場合、これらの1つ以上の目的に対処できることが確認されており、ここで、前記ボツリヌス神経毒素は、各耳下腺および各顎下腺に注射により投与され、そして各耳下腺と各顎下腺に投与されるボツリヌス神経毒素の用量の間の比が1.45対1~1.7対1である。
発明の詳細な説明
本発明は、本発明の以下の詳細な説明およびそれに含まれる実施例を参照することによってより容易に理解され得る。
第一の実施態様では、本発明は、唾液腺炎または唾液分泌亢進に関連する疾患または状態の治療に使用するためのボツリヌス神経毒素に関し、ここで前記ボツリヌス神経毒素は、耳下腺および顎下腺に注射により投与され、各耳下腺と各顎下腺に投与されるボツリヌス神経毒素の用量の間の比が1.45対1~1.7対1である。好ましい実施形態では、本発明のボツリヌス神経毒素は耳下腺および顎下腺に投与され、ここで各耳下腺と各顎下腺に投与されるボツリヌス神経毒素の用量の間の比が1.50対1~1.6対1である。特に好ましい実施形態では、本発明のボツリヌス神経毒素は耳下腺および顎下腺に投与され、各耳下腺と各顎下腺に投与されるボツリヌス神経毒素の用量の間の比が1.50対1である。
さらなる実施形態では、本発明は、患者における唾液腺炎または唾液分泌亢進に関連する疾患または状態の治療する方法に関し、方法は、治療有効量のボツリヌス神経毒素を耳下腺および顎下腺に注射により投与することを含み、ここで各耳下腺と各顎下腺に投与されるボツリヌス神経毒素の用量の間の比が1.45対1~1.7対1である。好ましい実施形態では、本発明の方法は、耳下腺および顎下腺に注射により治療有効量のボツリヌス神経毒素を投与することを含み、ここで各耳下腺と各顎下腺に投与されるボツリヌス神経毒素の用量の間の比が1.50対1~1.6対1である。特に好ましい実施形態では、本発明の方法は、耳下腺および顎下腺に注射により治療有効量のボツリヌス神経毒素を投与することを含み、ここで各耳下腺と各顎下腺に投与されるボツリヌス神経毒素の用量の間の比が1.50対1である。
さらなる態様では、本発明は一般に、唾液腺炎または唾液分泌亢進に関連する疾患または状態を治療するためのボツリヌス毒素に関する。本発明の特定の実施形態では、唾液腺炎または唾液分泌亢進に関連する疾患または状態は、例えば、パーキンソン病、進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症、多系統萎縮症、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、脳性麻痺、脳卒中、外傷性脳損傷(TBI),クロザピン誘発性過唾液分泌、レット症候群、アンジェルマン症候群、てんかん性脳症、脳腫瘍、咽頭喉頭全摘術、喉頭亜全摘出術および声門上喉頭切除術、認知症もしくは知的障害(例えば、全体的発達遅延、重度学習障害)、または唾液腺炎もしくは過唾液分泌の他のあらゆる原因と関連する。本発明による唾液腺炎または唾液分泌亢進に関連する疾患又は状態はまた、ダウン症候群、スミス-レムリ-オピッツ症候群、メビウス症候群、MEGDEL症候群、ベックウィズ-ヴィーデマン症候群、舌のリンパ管奇形、フォックス・チャバニー・マリー症候群、染色体異常および17q21欠失様遺伝性疾患、家族性自律神経失調症、22番部分トリソミー、Aicardi症候群、SMA1型、GM1-ガングリオシドーシスまたはアペール症候群、ウィルソン病、水頭症様先天性脳奇形、小頭症、橋小脳形成不全、後頭蓋窩腫瘍、神経セロイドリポフスチン症、バッテン病、異染性脳白質変性症、多発性関節拘縮、脳症、脳回欠損または脳回肥厚、脊髄損傷様脳損傷、低酸素性虚血性脳症、先天性トキソプラズマ症、先天性サイトメガロウイルス感染症、髄膜後脳瘤またはヘルペス後脳炎、口腔統合運動障害様神経運動障害、核上性麻痺、弁蓋部症候群、ミオパチー、乳児けいれん、筋強直性ジストロフィー、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、神経線維腫症1型またはミトコンドリア病、胎児性アルコール症候群、自閉症または若年性ギランバレー症候群でもあり得る。
本発明の特定の実施形態では、唾液腺炎または唾液分泌亢進に関連する疾患又は状態は脳卒中に関連し、特に唾液腺炎または唾液分泌亢進に関連する疾患又は状態は脳卒中後(post stroke)に発生する。
本発明の好ましい実施形態では、唾液腺炎または唾液分泌亢進に関連する疾患又は状態は、例えば外傷性脳損傷(TBI)、脳卒中後、パーキンソン病または非定型パーキンソン症候群(進行性核上性麻痺[PSP]、多系統萎縮症[MSA]、大脳皮質基底核変性症[CBD])に関連する。本発明の別の好ましい実施形態では、唾液腺炎または唾液分泌亢進に関連する疾患または状態は、持続期間が少なくとも3ヵ月、唾液腺炎重症度がドローリング重症度サブスケールで少なくとも2スコアポイント、ドローリング頻度がサブスケールで少なくとも2スコアポイント、ならびにドローリング重症度および頻度スケールが少なくとも6スコアポイントの慢性唾液腺炎を伴う外傷性脳損傷(TBI)、脳卒中後、パーキンソン病または非定型パーキンソニズム(進行性核上性麻痺[PSP]、多系統萎縮症[MSA]、大脳皮質基底核変性症[CBD])である。本発明の別の好ましい実施形態では、唾液腺炎または唾液分泌亢進に関連する疾患または状態は、少なくとも0.3g/分の非刺激時の唾液流量を有する慢性唾液腺炎を伴う外傷性脳損傷(TBI)、脳卒中後、パーキンソン病または非定型パーキンソニズム(進行性核上性麻痺PSP、多系統萎縮症MSA、大脳皮質基底核変性症CBD)である。
本発明は、更なる実施形態において、唾液腺炎または唾液分泌亢進に関連する疾患または状態の治療に使用するボツリヌス神経毒素および薬剤的に許容できる担体を含む医薬組成物に関し、ここで前記ボツリヌス神経毒素は各耳下腺および各顎下腺に注射により投与され、各耳下腺と各顎下腺に投与されるボツリヌス神経毒素の用量の間の比が1.45対1~1.7対1である。
本発明の一実施形態によれば、ボツリヌス神経毒素は70U~110Uの総用量で耳下腺および顎下腺に投与される。好ましい実施形態では、耳下腺および顎下腺に投与されるボツリヌス神経毒素の総用量は75U~100Uである。
本発明の一実施形態によれば、ボツリヌス神経毒素は75Uの総用量で耳下腺および顎下腺に投与される。代替の実施形態では、耳下腺および顎下腺に投与されるボツリヌス神経毒素の総用量は100Uである。
一般に、ボツリヌス神経毒素は、本発明に従って、0.5~2.35U/Kg体重の総用量で耳下腺および顎下腺に投与することができる。特に好ましい実施形態では、ボツリヌス神経毒素は、1~1.25U/Kg体重の総用量で耳下腺および顎下腺に投与される。低体重のためボツリヌス毒素は一般に投与表8に示したように小児に投与される。別の実施形態では、最大2.5U/kgの総投与量が小児の耳下腺および顎下腺に投与される。
本発明のさらなる態様によれば、ボツリヌス神経毒素は、45~55U/mLの範囲のボツリヌス神経毒素濃度を有する水性組成物で投与される。本発明の好ましい実施形態では、ボツリヌス神経毒素は50U/mLのボツリヌス神経毒素濃度を有する水性組成物として投与される。特定の好ましい実施形態では、100Uバイアルの内容物が合計2.0mLの生理食塩水で再構成され、耳下腺および顎下腺に投与される体積が、以下の通りである。
- 耳下腺:各側に0.6ml、
- 顎下腺:各側に0.4ml。
数回の連続治療サイクルが想定される場合、かりに以前の治療サイクルでは口腔乾燥症または嚥下障害が生じる場合は注入量を減らすことができる。このような副作用のさらなる発生を回避するために、注入者の裁量で減量することを勧める。減量したボツリヌス神経毒素の投与が想定される場合、耳下腺および顎下腺に投与される注入量は以下の通りである。
- 耳下腺:各側に0.45ml、
- 顎下腺:各側に0.3ml。
生物学的活性は一般にマウス単位(U)で表される。本明細書中で使用される場合、1Uは腹腔内注射後に特定のマウス集団の50%を致死させるボツリヌス神経毒素の神経毒成分の量(すなわちマウスi.p.LD50)である。ボツリヌス神経毒素の生物学的活性を測定するための別の特に有用な方法は、例えばWO2009/114748,WO2013/049508またはWO2014/207109に開示されているような細胞ベースのアッセイである。そのような細胞ベースのアッセイで得られた活性結果は、マウスi.p.LD50アッセイで得られた活性値に対応する。市販のインコボツリヌス毒素A(複合タンパク質を含まないボツリヌス毒素血清型A、Xeomin(登録商標)、Merz Pharmaceuticals GmbH)またはオナボツリヌス毒素A(複合タンパク質を含むボツリヌス毒素血清型A、Botox(登録商標)、Allergan Inc.)などのボツリヌス血清型A製剤について得られた活性結果は当業者に公知の変換率を用いて他の毒素の値に変換することができる。例えば、アボボツリヌス毒素A(複合タンパク質を含むボツリヌス毒素血清型A、Dysport(登録商標)、Ipsen Biopharm Limited)の必要な用量は、インコボツリヌス毒素Aまたはオナボツリヌス毒素Aの投与量に2.5~5の係数を掛けることによって決定できる。リマボツリヌス毒素B(ボツリヌス毒素血清型B、Myobloc(登録商標)、Solstice Neurosciences/US WorldMeds LLC)の投与量は、インコボツリヌス毒素Aまたはオナボツリヌス毒素Aの投与量に20~40の係数を掛けることによって計算できる。
本発明のさらなる実施形態において、ボツリヌス神経毒素は、注射部位あたり0.3~0.5mLの容量で顎下腺に投与され、注射部位あたり0.5~0.7mLの容量で耳下腺に投与される。本発明の特に好ましい実施形態において、ボツリヌス神経毒素は、注射部位あたり0.4mLの容量で顎下腺に投与され、注射部位あたり0.6mLの容量で耳下腺に投与される。
本発明のさらなる実施形態では、ボツリヌス神経毒素は患者の両側にある各顎下腺の一箇所に注入される。注射は、腺の解剖学的範囲に応じて腺の幾何学的中心に行う。
本発明のさらなる実施形態では、ボツリヌス神経毒素は患者の両側にある各耳下腺の一箇所に注入される。注射は、腺の解剖学的範囲に応じて腺の幾何学的中心に行う。
好ましい実施形態では、総用量のボツリヌス神経毒素が各顎下腺の1箇所および各耳下腺の1箇所に注入される。
本発明の一実施形態は、唾液腺炎または唾液分泌亢進に関連する疾患または状態の治療に使用するためのボツリヌス神経毒素に関し、ここで前記ボツリヌス神経毒素は耳下腺および顎下腺に注射により投与され、各耳下腺と各顎下腺に投与される神経毒素の用量の間の比が1.45対1~1.7対1であり、唾液腺炎または唾液分泌亢進に関連する疾患または状態の治療は脳卒中に関連し、そしてボツリヌス神経毒素の総投与量100Uが各顎下腺の1箇所および各耳下腺の1箇所に注入される。
本発明の一実施形態は、唾液腺炎または唾液分泌亢進に関連する疾患または状態の治療に使用するためのボツリヌス神経毒素に関し、ここで前記ボツリヌス神経毒素は耳下腺および顎下腺に注射により投与され、各耳下腺と各顎下腺に投与される神経毒素の用量の間の比が1.5~1であり、唾液腺炎または唾液分泌亢進に関連する疾患または状態は脳卒中に関連し、そしてボツリヌス神経毒素の総投与量100Uが各顎下腺の1箇所および各耳下腺の1箇所に、特にそれぞれ腺の幾何学的中心に注入される。
本発明の特定の実施形態では、ボツリヌス神経毒素は超音波ガイドを使用しないで耳下腺および顎下腺に注入される。この場合、腺内の標的部位は、当業者には周知であるように解剖学的ランドマーク方位を用いて決定される。耳下腺は、外耳道の下方かつ前方に位置し、下顎枝の後方かつ側頭骨の乳様突起の前方に位置する。腺は表面的に見たときにおおよそ楔形であり、横断面で見たときにも楔形である。耳下腺は簡単に触診することができる。耳下腺の触知可能なランドマークを見つけるためには、人は下顎前枝と胸鎖乳突筋の間を触診する必要がある。各耳の前方に触診を開始し、頬領域、次に下顎骨角の下方に移動する。解剖学的ランドマークを用いて耳下腺の表面の境界が触診され、ボツリヌス神経毒素が耳下腺の中央に注入される。注射は、腺本体の上半分または下半分に行うことができる。単一の注入地点を選択する必要がある。同じ手順が被験者の反対側にも適用される。顎下腺は、以下の解剖学的構造の隣にある下顎弓の下の口の底の下にある。顎二腹筋の上位にあり、それぞれの顎下腺は顎舌骨筋によって分離された浅葉と深葉に分割されている。浅葉は腺の大部分を構成し、顎舌骨筋がその下を走る。深葉はより小さな部分である。顎下腺は必ずしも容易に触知できるわけではないが、その解剖学的位置は明確に定義されている。注射は、ごくまれにではあるが、排泄管に沿って行われる。顎下腺は、下顎の下の位置に2本の指で腺を固定して注入される。針は、下顎骨に対して70~90度の角度で上から前へ口床の方向に挿入されるであろう(Holsinger 2005,Holsinger 2005,Anatomy,Function,and Evaluation of the Salivary Glands(唾液腺の解剖学、機能、および評価))。
他の実施形態では、ボツリヌス神経毒素は、超音波ガイドを使用して耳下腺および顎下腺に注入される。当業者は、腺の体内の標的領域のサイズおよび位置を完全に決定するために超音波画像化技術を適用することをよく知っている。例えば、7.5MHzを超える高周波線形変換器を使用して、腺を識別して視覚化することができる[Howlett,High resolution ultrasound assessment of the parotid gland(2003)British Journal of Radiology 76,271-277(耳下腺の高解像度超音波評価(2003)、英国ジャーナル・オブ・ラジオロジー76、271~277)]。
一般に、ボツリヌス神経毒素は耳下腺および顎下腺に複数回注入されることが想定されている。特定の実施形態では、本発明によるボツリヌス神経毒素は連続周期治療で投与される。本発明によれば、治療周期は2回のボツリヌス神経毒素投与間の時間間隔であり、すなわち治療周期は1回のボツリヌス神経毒素投与と次のボツリヌス神経毒素が注射によって投与されるまでの追跡期間からなる。ボツリヌス神経毒素は、好ましくは少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも4回、少なくとも5回、少なくとも6回、少なくとも7回または少なくとも8回の治療サイクルで投与される。一実施形態では、ボツリヌス神経毒素は2~6回の治療周期、特に4回の治療周期で投与される。
耳下腺および顎下腺へのボツリヌス神経毒素の2回連続投与の間の時間間隔は、10~20週または12~20週の間で変わり得る。別の実施形態では、耳下腺および顎下腺へのボツリヌス神経毒素の2回連続投与の間の時間間隔は、6~10週間の間で変わり得る。好ましい実施形態では、耳下腺および顎下腺へのボツリヌス神経毒素の2回の連続投与の間の時間間隔は、12~18週間、または14~18週間で変わる。最も好ましい実施形態では、時間間隔は15、16または17週、特に16週である。
本発明の一実施形態では、耳下腺および顎下腺へのボツリヌス神経毒素のすべての連続投与の間の時間間隔は同じままである。
本発明の一実施形態において、ボツリヌス神経毒素は、少なくとも4回連続の治療周期で耳下腺および顎下腺に注入され、ボツリヌス神経毒素の連続投与間の時間間隔は16週間である。
一般に、当業者に公知の唾液腺炎または唾液分泌亢進に関連する疾患又は状態の治療のためのボツリヌス毒素の有効性を決定するためのいくつかの方法がある。唾液腺炎の治療もしくは唾液分泌亢進と関連する疾患または状態の治療のためのボツリヌス毒素の有効性を決定するための測定値および尺度は、例えば、非刺激唾液流量(uSFR)、変化スケールの平均全体的印象(GICS)、ドローリング重症度および頻度スケール(DSFS)、パーキンソン病の修正Radboud Oral Motor Inventory(mROMP)、修正教師のドローリングスケール(mTDS)、ドローリング衝撃スケール(DIS)、ドローリング指数(DQ)、ドローリング評価スケール(DRS)および/またはUPDRSドローリングスケールの決定から選択することができる。
特定の実施形態では、唾液腺炎の治療もしくは唾液分泌亢進と関連する疾患または状態の治療のためのボツリヌス毒素の有効性を決定するために、これらの測定値および尺度の少なくとも2つを組み合わせることができる。
本発明の一実施形態では、、唾液腺炎の治療もしくは唾液分泌亢進と関連する疾患または状態の治療のためのボツリヌス毒素は、ベースライン唾液産生、すなわち非刺激唾液流量(uSFR)が0.1~1.6g/分の患者に使用される。好ましい実施形態では、唾液腺炎の治療もしくは唾液分泌亢進と関連する疾患または状態の治療のためのボツリヌス毒素は、ベースライン唾液産生、すなわち非刺激唾液流量(uSFR)が0.3g/分を超える患者に使用される。別の実施形態では、唾液腺炎の治療もしくは唾液分泌亢進と関連する疾患または状態の治療のためのボツリヌス毒素は、ベースラインでドローリング重症度および頻度スケール(DSFS)合計スコア≧6、重症度サブスコア≧2および頻度サブスコア≧2をもつ患者に使用される。一般に、uSFRおよびDSFSスコアの決定は当業者に周知である。本発明によれば、uSFRは、4つの収集用の吸収性綿棒を用いて5分間収集した唾液の重量によって決定される。唾液の収集は、口腔に吸着材料(例えば、4本のデンタルロール、Salivette(登録商標)またはSalimetrics Oral Swabs(登録商標))を5分間入れることによって行われる。吸着材料は閉じられた口腔から唾液を吸着し、収集した唾液量よる吸着材料の増加量は、口腔内に入れる前と後の吸着材料の重さを測定することにより決定される。30分の休止後に5分間の唾液生成量の収集および測定を繰り返すことにより、第2の値が得られる。両方の平均値が測定結果の信頼性を保証する(測定値の個体内変動を減少による)(Jongerius PH,van Limbeek J,Rotteveel JJ.Assessment of salivary flow rate(唾液流量の評価):biologic variation and measure error(生物学的変化と測定誤差).Laryngoscope.2004;114(10):1801-4)。
本発明のさらなる実施形態では、100Uのボツリヌス神経毒素の投与は、投与後4週間以内にベースラインと比較してuSFRを少なくとも25%減少させる。好ましい実施形態では、100Uボツリヌス神経毒素の投与は、注射後4週間以内にベースラインと比較してuSFRを少なくとも30%(中央値)減少させる。本発明の別の実施形態では、100Uのボツリヌス神経毒素の投与は、投与後8週間以内にベースラインと比較してuSFRを少なくとも22%(中央値)減少させる。好ましい実施形態では、100Uボツリヌス神経毒素の投与は、注射後8週間以内にベースラインと比較してuSFRを少なくとも28%(中央値)減少させる。
本発明のさらなる実施形態において、100Uのボツリヌス神経毒素の投与は、投与後4週間以内に患者によって評価された変化スケールの全体的印象(GICS)スコアをベースラインのドローリングと比較して7ポイントのリッカート様尺度で少なくとも+0.90スコアポイント改善する。好ましい実施形態では、100Uのボツリヌス神経毒素の投与は、注射後4週間以内にベースラインのドローリングと比較して少なくとも+1.00スコアポイントの変化スケールの全体的印象(GICS)の改善を示す。本発明の別の実施形態では、100Uのボツリヌス神経毒素の投与は、投与後8週間以内にベースラインのドローリングと比較して、変化スケールの全体的印象(GICS)によって測定されたドローリングを少なくとも+1.00スコアポイント改善する。好ましい実施形態では、100Uのボツリヌス神経毒素の投与は、注射後12週間以内にベースラインと比較して、変化スケールの全体的印象(GICS)によって測定されたドローリングを少なくとも+0.90のスコアポイントを改善する。変化スケールの全体的印象(GICS)は、「唾液腺への最後の注射の直前と比較して、治療結果として現在どのように機能しているかの全体的印象はどうですか?」という質問に対して「-3の非常に悪い」から「+3の非常に改善した」までの範囲の尺度で答えるリッカート様尺度を用いて決定される(Likert,Rensis(1932).”A Technique for the Measurement of Attitudes”.Archives of Psychology.140:1-55))。
本発明のさらなる実施形態では、100Uのボツリヌス神経毒素の投与は、投与後4週間以内にベースラインと比較して平均ドローリング重症度および頻度スケール(DSFS)合計スコアを少なくとも0.90スコアポイント減少させる。好ましい実施形態では、100Uのボツリヌス神経毒素を投与は、注射後4週間以内にベースラインと比較して平均ドローリング重症度および頻度スケール(DSFS)合計スコアが少なくとも1.20スコアポイント減少させる。本発明の別の実施形態では、100Uのボツリヌス神経毒素の投与は、投与後8週間以内にベースラインと比較して平均ドローリング重症度および頻度スケール(DSFS)合計スコアを少なくとも1.50スコアポイント減少させる。ドローリング重症度および頻度スケール(DSFS)は2つのサブスケール、「ドローリング頻度」の4ポイントのリッカート尺度、および「ドローリング重症度」の5ポイントのリッカート尺度を用いて決定される。DSFSは、2つのサブスケールの合計スコアである。評価は、「この1週間」の時間周期を指す。最高予想スコアは9である(Thomas-Stonell N,Greenberg J.Three treatment approaches and clinical factors in the reduction of drooling.3つの治療法および流涎の軽減での臨床的要因。Dysphagia.1988;3(2):73-8.)。
流涎の重症度
1 乾燥(流涎なし)
2 軽度(唇がぬれる)
3 中度(唇と下顎がぬれる)
4 重度(流涎が衣類をぬらすまで拡大)
5 重篤(手、受け皿および物体がぬれる)

流涎の頻度
1 なし
2 時折(毎日ではない)
3 頻繁(日常の一部)
4 常時
本発明のさらなる実施形態において、100Uのボツリヌス神経毒素の投与は、投与後4週間以内にベースラインと比較してパーキンソン病の平均修正Radboud Oral Motor Inventory(mROMP)の唾液制御領域合計スコアを少なくとも3.50スコアポイント減少させる。好ましい実施形態では、100Uのボツリヌス神経毒素の投与は、注射後4週間以内に、ベースラインと比較してパーキンソン病の平均修正Radboud Oral Motor Inventory(mROMP)の唾液制御領域合計スコアを少なくとも4.60スコアポイント減少させる。本発明の別の実施形態では、100Uのボツリヌス神経毒素の投与は、投与後8週間以内にベースラインと比較してパーキンソン病の修正Radboud Oral Motor Inventory(mROMP)の唾液制御領域合計スコアを少なくとも5.5ポイント減少させる。好ましい実施形態では、100Uのボツリヌス神経毒素の投与は、注射後8週間以内にベースラインと比較してパーキンソン病の修正Radboud Oral Motor Inventory(mROMP)の唾液制御領域合計スコアを少なくとも6.50スコアポイント減少させる。パーキンソン病の修正Radboud Oral Motor Inventory(mROMP)は、スピーチ、嚥下および唾液制御領域における5ポイントのリッカート尺度のオランダ23項目アンケートであるオリジナルROMPインベントリ[Kalf 2011,Arch.Phys.Med.Rehabil.]によって決定される。ROMPは、米国英語への言語的適応期間で患者へのインタビューから生じる表現の小さな変更を実装するように修正(mROMP)された。mROMPは現在、明確に区別できる応答選択と回収期間が最近7日間の24項目を有する。
本発明の一態様では、ボツリヌス神経毒素はボツリヌス神経毒素複合体である。例えば450kDaまたは900kDaとの複合体はボツリヌス菌の培養物から入手可能である。本発明によるボツリヌス菌神経毒複合体は、神経毒成分と非毒性タンパク質とを含む。付属タンパク質は神経毒成分を包埋し、それによって毒性効果に何も加えずに消化管内の消化酵素による分解から神経毒成分が保護される。
本発明の別の態様では、ボツリヌス神経毒素はボツリヌス神経毒素複合体の神経毒成分である。一般に神経毒成分は150kDaの分子量を有する。神経毒成分は、ボツリヌス菌神経毒複合体の他のいかなるタンパク質成分も含まない。
本発明によるボツリヌス神経毒素は血清型A(BoNT/A)、ボツリヌス神経毒素血清型B(BoNT/B)、ボツリヌス神経毒素血清型C1(BoNT/C1)、ボツリヌス神経毒素血清型D(BoNT/D)、ボツリヌス神経毒素血清型E(BoNT/E)、ボツリヌス神経毒素血清型F(BoNT/F)またはボツリヌス神経毒素血清型G(BoNT/G)を含む異なる血清型の群から選択される。ボツリヌス神経毒素、特にその軽鎖および重鎖は上記のボツリヌス神経毒素の抗原的に異なる血清型の1つから誘導することができる。一態様では、前記ボツリヌス神経毒素の軽鎖および重鎖は、BoNT/A、BoNT/B、BoNT/C1、BoNT/D、BoNT/E、BoNT/F、またはBoNT/Gからなる群から選択されるボツリヌス神経毒素の軽鎖および重鎖である。別の態様において、本発明の前記ボツリヌス神経毒素をコードするポリヌクレオチドは、配列番号1(BoNT/A)、配列番号3(BoNT/B)、配列番号5(BoNT/C1)、配列番号7(BoNT/D)、配列番号9(BoNT/E)、配列番号11(BoNT/F)、または配列番号13(BoNT/G)で示される核酸配列を含む。さらに、一態様では、配列番号2(BoNT/A)、配列番号4(BoNT/B)、配列番号6(BoNT/C1)、配列番号8(BoNT/D)、配列番号10(BoNT/E)、配列番号12(BoNT/F)、または配列番号14(BoNT/G)のいずれか1つに示されるようなアミノ酸配列をコードする核酸配列を含むポリヌクレオチドが包含される。さらに、本発明の手段および方法の一態様において、配列番号2(BoNT/A)、配列番号4(BoNT/B)、配列番号6(BoNT/C1)、配列番号8(BoNT/D)、配列番号10(BoNT/E)、配列番号12(BoNT/F)、および配列番号14(BoNT/G)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなるボツリヌス神経毒素が包含される。
別の態様では、本発明のボツリヌス神経毒素をコードする前記ポリヌクレオチドは、1つ以上のヌクレオチド置換、欠失、および/または付加を含む前述のポリヌクレオチドの変異体であり、これが、さらに別の態様では、1つ以上のアミノ酸置換、欠失および/または付加をもつポリヌクレオチドをもたらし得る。さらに、本発明の変異体ポリヌクレオチドは、別の態様において、配列番号1、3、5、7、9、11または13のいずれか1つに示される核酸配列と少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%同一である核酸配列変異体、もしくは配列番号2、4、6、8、10、12、または14のいずれか1つに示されるアミノ酸配列と少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%同一であるアミノ酸配列をコードする核酸配列変異体を含む。本明細書で使用される「同一の」という用語は、2つの核酸配列間または2つのアミノ酸配列間の同一アミノ酸の数を決定することによって特徴付けられる配列同一性を指し、ここで配列は最高次一致が得られるように整列される。同一性は、例えばBLASTP、BLASTNまたはFASTAなどのコンピュータプログラムに体系化されている公開された技術または方法を使用して計算することができる(Altschul 1990,J Mol Biol 215,403)。同一性パーセント値は、一態様においては、アミノ酸配列全体にわたって計算される。種々のアルゴリズムに基づく一連のプログラムは、異なる配列を比較するために当業者に利用可能である。この文脈では、NeedlemanとWunschまたはSmithとWatermanのアルゴリズムが特に信頼できる結果をもたらす。配列アラインメントを実施するために、GCGソフトウェアパケット(Genetics Computer Group 1991,575 Science Drive,米国ウィスコンシン州マディソン、米国53711)の一部であるプログラムPileUp(Higgins 1989、CABIOS 5、151)またはプログラムGap and BestFit(Needleman 1970、J Mol Biol 48;443;Smith 1981、Adv Appl Math 2、482)を使用し得る。本発明の別の態様において、パーセント(%)で上述した配列同一性値は、以下の設定で全配列領域にわたってプログラムGAPを使用して決定される:ギャップ重み:50、長さ重み:3、平均一致:10.000および平均不一致:0.000、特に指定のない限り、これは常に配列アライメントの標準設定として使用される。一態様において、前述の各変異型ポリヌクレオチドは、それぞれのボツリヌス神経毒素、すなわちBoNT/A、BoNT/B、BoNT/C1、BoNT /D、BoNT/E、BoNT/FまたはBoNT/Gの生物学的特性の1つ以上、および別の態様においてはすべてを保持するポリペプチドをコードする。未処理の前駆体がいくつかの生物学的機能を発揮するかまたは部分的に活性であり得ると考えられるとしても、完全な生物学的活性はタンパク質分解活性化後にのみ維持されることを当業者は理解するであろう。本明細書で使用される「生物学的特性」は、(a)受容体結合、(b)内在化、(c)エンドソーム膜横断移動、および/または(d)シナプス小胞膜融合に関与するタンパク質の細胞内タンパク質分解切断を指す。生物学的活性を評価するためのインビボアッセイには、Pearce et al.(Pearce 1994,Toxicol.Appl.Pharmacol.128:69-77)、Dressler et al.(Dressler 2005,Mov.Disord.20:1617-1619,Keller 2006,Neuroscience 139:629-637)に記載されているマウスLD 50アッセイおよびエクスビボマウス片側横隔膜アッセイ、またはWO2009/114748,WO2014/207109もしくはWO2013/049508に記載されている細胞ベースのアッセイが含まれる。生物学的活性は一般にマウス単位(U)で表される。本明細書で使用される場合、1Uは腹腔内注射後に特定のマウス集団の50%を致死させるボツリヌス神経毒素の神経毒成分の量、すなわちマウスi.p.LD50である。さらなる態様では、変異体ポリヌクレオチドは、例えば、酵素認識が改善される切断部位を含んだり、あるいは受容体結合または上述で特定した他の任意の特性を改善し得るなどの生物学的特性が改善または変更されたボツリヌス神経毒素をコードすることができる。ボツリヌス神経毒素の生物学的活性を測定するための特に有用な方法は、例えばWO2009/114748、WO2013/049508またはWO2014/207109に開示されているような細胞ベースのアッセイである。
理論に縛られることなく、特に、複合体形成タンパク質を含まないボツリヌス神経毒素、すなわちボツリヌス神経毒素の神経毒成分がボツリヌス菌神経毒複合体の他のいかなるタンパク質成分も含まない製剤(インコボツリヌス毒素A Xeomin(登録商標))は、複合体形成タンパク質を含有する他のボツリヌス神経毒素(オナボツリヌス毒素 A、ボトックス(登録商標)、アボボトリヌス毒素A、,Dysport(登録商標)、リマボツリヌス毒素B、Myobloc(登録商標)、もしくは他の複合体形成タンパク質含有物)と比較して、唾液腺と唾液管の細胞内構造を破壊することなく、コリン作動性神経伝達の臨床的に可逆的、機能的不活性化を可能にすることが想定されている。ボツリヌス菌神経毒素複合体のタンパク質成分を一切含まないボツリヌス神経毒素の神経毒成分の使用は、ボツリヌス毒素注入後に切除した子供の顎下唾液腺で記述されているように、腺房細胞に物理的損傷を誘発しない[Mosseri 2016,Otolaryngology-Head and Neck Surgery 耳鼻咽喉学-頭頸部手術]。
一般に、ボツリヌス神経毒素による神経終末の遮断は不可逆的であるが、新しい神経終末が芽生えて新しいつながりを生むため臨床効果は一時的である。複合タンパク質は、治療用の生物学的不活性化合物と見なされており、一般に痙縮、ジストニア、多汗症、頭痛、鬱病、排尿筋痙攣の治療用の筋肉内注射もしくは眉間のしわの線やしわ等の美容適応に使用されるボツリヌス神経毒素の有効性に影響を及ぼさないと考えられている。
複合タンパク質は、ボツリヌス菌に由来するクロストリジウムタンパク質の名残である。これらのタンパク質はボツリヌス神経毒素タンパク質複合体の神経毒成分と一緒に産生され、それらは攻撃的な環境(例えば胃の酸性条件)における毒素の保護において基本的な役割を果たし、そしてそれらは腸の上皮バリアを通して毒素の内部移行を助ける。複合体形成タンパク質は、血球凝集素および非血球凝集素からなり、ボツリヌス毒素タンパク質複合体の非毒性タンパク質と見なされる。血球凝集素(HA)は、E-カドヘリンを直接結合することによって腸の上皮細胞間バリアを破壊することが記載されている[Fujinaga 2009,Toxicon[Sugawara et al 2010 J.Cell Biol.,[Lee 2014,Science]。唾液腺分泌上皮において、挿入された管上皮および横紋管上皮は、腸上皮と同様の外胚葉生殖系列から発生する。唾液腺の密着結合に特に興味深いのは、唾液腺の発達、組織の組織化、および細胞の分化に役割を果たすカドヘリンファミリーのメンバーである。上皮(E)- カドヘリンは、上皮組織における主要な細胞間接着分子であり、上皮表現型の最上の形成体と見なされている[Davies 2006,Developmental Cell]。初期の形態形成では、E-カドヘリンとβ-カテニンは唾液腺リモデリングに関与している可能性が高いが、細胞分化の間、それらは安定した細胞間接触を形成し、唾液細胞極性の確立と維持においてRho GTPアーゼと協力し得る [Baker 2010,Journal of Biomedicine and Biotechnology]。E-カドヘリンのような独特の細胞間構造は、腸および唾液腺においても上皮細胞の分極で基本的な役割を果たす。したがって、E-カドヘリンとボツリヌス毒素の複合体形成タンパク質との干渉は、唾液腺の通常の生物学的活性を妨害する。例えば、XuおよびShanは、BoNT/A Prosigne(登録商標)Hengli(登録商標)(中国、甘粛省、Lanzhou Biochemical Co.)のラット顎下腺への投与後(すなわち、複合体形成タンパク質をもつボツリヌス神経毒素)、腺細胞膜上のアクアポリン(AQP5)がダウンレギュレートされるが、これは除神経の二次的影響とすることができることを示した(Xuらの歯科研究の2015ジャーナル、シャンら2013口腔科学の国際ジャーナル)。
ボツリヌス神経毒素を含む医薬製剤を調製するために、神経毒は、当技術分野で公知の所望の用途目的に応じて種々の技術によって処方することができる。例えば、(生物学的に活性な)ボツリヌス神経毒素は、医薬組成物として1つ以上の薬剤的に許容できる担体と組み合わせて使用することができる。薬剤的に許容できる担体(複数)は、他の製剤成分と相溶性であり、そしてそのレシピエントに有害ではないという意味で許容されなければならない。使用される医薬担体は、固体、ゲル、または液体を含み得る。固体担体の例は、ラクトース、白土、スクロース、タルク、ゼラチン、寒天、ペクチン、アカシアゴム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸などである。液体担体の例は、グリセロール、リン酸緩衝食塩水、水、エマルジョン、様々な種類の湿潤剤などである。適切な担体は、上記のものおよび当技術分野で周知の他のものを含み、例えばペンシルベニア州イーストンのマックパブリッシングカンパニーのレミントンの薬学を参照されたい。一態様では、医薬組成物は、投与前に希釈剤に溶解することができる。希釈剤もボツリヌス神経毒生成物の生物学的活性に影響を与えないように選択される。そのような希釈剤の例は蒸留水または生理食塩水である。さらに、医薬組成物または製剤はまた、他の担体または非毒性、非治療的、非免疫原性安定剤などを含み得る。したがって、製剤化ボツリヌス神経毒生成物は、一態様では液体または凍結乾燥形態で存在することができる。一態様では、それは、グリセロール、タンパク質安定剤(HSA)、またはポリビニルピロリドン(PVP)、ヒアルロン酸または遊離アミノ酸などの非タンパク質安定剤と一緒に存在することができる。一態様では、適切な非タンパク質安定剤は、WO2005/007185またはWO2006/020208に開示されている。本発明によるボツリヌス神経毒素を含むHSA安定化製剤に適した製剤は、例えば、米国特許第8,398,998号明細書に開示されている。製剤化されたボツリヌス神経毒生成物は、治療上有効な用量で様々な疾患または障害のヒトまたは動物の治療に、あるいは美容目的に使用することができる。
一般手順:臨床試験は、4回の連続注射の後にそれぞれ16週間の観察期間が続く、すなわち4回の連続治療サイクルで行った。各治療サイクルの終わりに、次サイクルに入るための適格性について被験者を調べた。最初の治療サイクル(主期間[MP])は、プラセボと比較して、NT201(すなわち、複合体形成タンパク質を含まないボツリヌス毒素血清型A、インコボツリヌス毒素A)の2つの異なる用量レベル(75Uおよび100U)で行われた。被験者は、2:2:1(75U:100U:プラセボ)の比でそれぞれの治療にランダム化した。インコボツリヌス毒素Aを50U/mLの濃度に生理食塩水中で再構成し、100U用量群は患者に各耳下腺に30Uの毒素を、そして各顎下腺に20Uの毒素を投与し、75 U用量群は患者に各耳下腺に22.5Uの毒素を、そして各顎下腺に15Uの毒素をそれぞれ投与した。両方の用量群において、それぞれの耳下腺および顎下腺に割り当てられた総用量をそれぞれの腺の1つの部位に注入した。MPの後に3回の連続治療サイクルの投与量盲検下の延長期間が続き、ここでは被験者がMPと同じ方法で75Uまたは100U NT201のいずれかの投与を受けた。MP中にプラセボを受けた被験者は、1:1にランダム化して延長期間に75Uまたは100U NT 201の投与を受けたので、全体の投与量ランダム化比は1:1であった。試験のMP結果は、75Uおよび100U投与量は共に臨床的関連性の治療効果に達することを示している。それらを以下に要約する。
実施例1:プラセボ対照主期間(uSFR)の結果
全体として、慢性の厄介な唾液腺炎を有する184人の被験者を試験のMP中に治療した。この試験は、2つの共一次有効性評価項目を有した。共一次有効性評価項目の1つは4週目のベースラインからの非刺激唾液流量(uSFR)の変化であった(経時的平均変化は表1を参照)。すべての時点で、uSFRは両方のNT201処置群で有意に減少し、その効果は図1に示すようにNT201 100U用量群でより顕著であった。4週目では、プラセボを上回る統計的に有意な優位性がNT201 100U群で示された(p=0.004)。NT201 75Uの平均uSFR値(表1)は、8週目および12週目に0.05未満のp値に達した(p値:それぞれ0.022と0.019)。NT201 100UおよびNT201 75Uの両群で観察された治療効果は臨床的関連性と見なすことができる。
Figure 0007007392000001
実施例2:プラセボ対照主期間(GICS)の結果
他の共一次有効性評価項目は、4週目に変化スケールの全体的印象(GICS)により測定された被験者の全体的機能的スケールの改善であった。GICSは7ポイントのリッカート尺度で、「唾液腺への最後の注射の直前と比較して、治療結果として現在どのように機能しているかの全体的印象はどうですか?」の質問に被験者が答えることで完結し、どちらの用量群も改善に達した。プラセボを上回る100U処置群が有利な統計的有意差は4週目で見られた(p=0.002、表2、図2)。75U群は4週目にプラセボと比較して数値的に良好な結果を示したが、その差は統計的有意差を間もなく失った(p=0.055)。それにもかかわらず、図2に提示したように0.05未満のp値は、両群では8週目と12週目、100Uの用量群で16週目に達した。
Figure 0007007392000002
実施例3:プラセボ対照主期間(GICS)の結果
流涎に関して臨床的に有意な改善と考えられているGICS評価項目の前定義効果基準はスルールで少なくとも1点の改善(最小改善)であった。全ての処置群についてのレスポンダー解析の結果を表3および図3に示す。
Figure 0007007392000003
プラセボ群の奏効率は、主期間を通じて、両NT 201処置群の奏効率より低かった。奏効率は28.6%(8週目)から2週目の48.6%まで変化した。2つのNT201群において、最大の被験者のGICS奏効率は、8週目にNT201 75U群で68.1%およびNT 201 100U群で76.4%に達した。本発明者らは、これらの奏効率をNT 201 75Uおよび100U用量群の両方の臨床的に有意な証拠と考える。
実施例4:プラセボ対照主期間(DSFS)の結果
主観的評価項目のドローリング重症度および頻度スケール(DSFS)も評価した。DSFSは、2つのサブスケール、すなわちドローリング頻度の4ポイントのリッカート尺度および流唾重症度の5ポイントのリッカート尺度からなる。DSFSの記述統計は、プラセボ群では臨床的に関連した改善が見られなかったのに対し、両NT 201処置群では関連した唾液腺炎症の改善を示した。表4および図4に示したように、ベースラインからの経時の平均合計スコア変化は8週目に100U処置群で-1.89の最大改善、次が12週目に75U処置群で-1.76の改善が続いた。混合モデル反復測度解析(MMRM)による治療比較から、4、8、および12週目でプラセボと比較したときに両NT 201群の0.05未満のp値が明らかである。
Figure 0007007392000004
実施例5:プラセボ対照主期間(mROMP)の結果
最後に、パーキンソン病の修正Radboud Oral Motor Inventory(mROMP)は、5ポイントのリッカート尺度の9項目の質問表を含むドローリングサブスケールを用いて評価した。両方のNT 201処置群は、表5および図5に示したプラセボ群と比較して、mROMPドローリングで優れた有効性を示した。ベースラインからの経時的平均変化は、8週目に100U処置群で-6.58、12週目に75U処置群で-6.77の最大改善に達する。本発明者らは、両方の用量群で見られた治療効果はプラセボの効果より優れており、NT201効果は全ての測定間で一貫し、また観察全体で安定し、両用量の適切な臨床的関連性が確認されると結論した。
Figure 0007007392000005
実施例6:プラセボ対照主期間(mROMP)の結果のサブグループ解析
病因によるサブグループ解析は、NT201 100U群における脳卒中後の唾液腺炎を有する被験者がパーキンソン病または非定型パーキンソニズムに関連する唾液腺炎を有する被験者よりuSFRの平均減少がより大きいことを示した(表6)。
Figure 0007007392000006
実施例7:16週間の間隔による3回の連続治療サイクルにおける効力
16週間の間隔による3回の連続治療サイクルにおける有効性は、さらに唾液腺炎改善の証拠を提供した。2回目の注射後の全観察時間点についての試験ベースラインからのuSFR変化、および各注射(1回目の注射後16、32および48週)からそれぞれの評価時点(1回目の注射後20、36および52週)までの変化、ならびに各サイクルにおけるサイクルの終了/試験の終了訪問(1回目の注射後32、48および64週)までの変化も評価した。
プラセボ対照群以外の延長期間(EP)のサイクルベースラインにおけるuSFRの要約統計量を表7に示す。(MPでプラセボ群に無作為化した被験者は、EPではランダム化比が1:1で75Uまたは100U用量群に同じ設定内でランダム化した。MPでの75Uまたは100U用量群の被験者をEPでもそれらの用量で維持した。)両方のNT201処置群におけるEPでの平均uSFRは、サイクル2のベースラインが最も高く、サイクル4のベースラインが最も低かった。さらに、各サイクルベースラインでの平均uSFRは、NT201 75U群がNT201 100 U群よりもわずかに高かった。GICS、DSFS、およびmROMPを延長期間にわたりNT201 100UおよびNT201 75Uを解析したときに、同様の唾液腺炎症の改善が観察された。
Figure 0007007392000007
Figure 0007007392000008

Claims (13)

  1. ボツリヌス神経毒素を含有する唾液腺炎または唾液分泌亢進の治療剤であって、前記治療剤は耳下腺および顎下腺に注射により投与され、ここで各耳下腺と各顎下腺に投与される前記ボツリヌス神経毒素の用量の間の比が1.45対1~1.7対1であり、前記治療剤は10週間~20週間の時間間隔で少なくとも2回投与され、前記ボツリヌス神経毒素はボツリヌス毒素血清型Aであり、前記ボツリヌス神経毒素の総用量は70U~110Uであり、水性組成物の形態にある、治療剤
  2. 射部位あたり0.3~0.5mLで顎下腺に投与され、注射部位あたり0.5~0.7mLで耳下腺に投与される、請求項1に記載の治療剤
  3. 顎下腺の1箇所および/または各耳下腺の1箇所に注入される、請求項1又は2に記載の治療剤
  4. 音波ガイダンスを使用してまたは超音波ガイダンスを使用せずに耳下腺および顎下腺に注入される、請求項1~のいずれか一項に記載の治療剤
  5. なくとも3回、または少なくとも4回の治療サイクルで耳下腺および顎下腺に投与される、請求項1~のいずれかに一項に記載の治療剤
  6. 前記時間間隔は12~20週間である、請求項1~5のいずれか一項に記載の治療剤
  7. 前記時間間隔は14~18週間である、請求項に記載の治療剤
  8. 前記時間間隔は15、16又は17週間である、請求項に記載の治療剤
  9. 前記ボツリヌス神経毒素はボツリヌス神経毒素複合体である、請求項1~のいずれかに一項に記載の治療剤
  10. 前記ボツリヌス神経毒素は、ボツリヌス神経毒素複合体の神経毒素成分であり、ここで前記神経毒素成分は、ボツリヌス菌神経毒素複合体の他のいかなるタンパク質成分も含まない、請求項1~のいずれかに一項に記載の治療剤
  11. 前記唾液腺炎または唾液分泌亢進が、パーキンソン病、進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症、多系統萎縮症、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、脳性麻痺、脳卒中、外傷性脳損傷(TBI)、クロザピン誘発性過唾液分泌、レット症候群、アンジェルマン症候群、てんかん性脳症および脳腫瘍、咽頭喉頭全摘術、喉頭亜全摘出術および声門上喉頭切除術、認知症もしくは知的障害により引き起こされる、請求項1~10のいずれかに一項に記載の治療剤
  12. 前記唾液腺炎または唾液分泌亢進が脳卒中により引き起こされる、請求項11に記載の治療剤
  13. 5~55U/mLの範囲のボツリヌス神経毒素濃度を有する、請求項1~12のいずれか1項に記載の治療剤
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