<遊技機の構造>
図1は前扉を閉めた状態を示すスロットマシンの正面図、図2は前扉を開いた状態を示すスロットマシンの正面図を示す。なお、以下の説明において、上、下、左又は右の方向は、特に断らない限り、スロットマシンに対向している遊技者から見た方向を指すものとする。
図1及び図2中、100はスロットマシンを示すもので、このスロットマシン100は、スロットマシン筐体120と、このスロットマシン筐体120の前面片側にヒンジ等により開閉可能に取り付けられた前扉130とを備えている。前扉130は、それぞれ独立に開閉可能な上扉130Uと下扉130Lとを備えている。
前記前扉130の前面の右上隅には、ゲーム表示部131を設けている。遊技者はゲーム表示部131を通してリールユニット203の3つのリールを見ることができる。
上扉130Uの中央には液晶パネルLCD1を設け、下扉130Lにはほぼその全面にわたって液晶パネルLCD2を設けている。
下扉130Lの上面の右側に、遊技者がメダルを投入するためのメダル投入口132を設け、メダル投入口132の左側には、メダル投入口132から投入され、詰まってしまったメダルをスロットマシン100外に強制的に排出するためのリジェクトボタン133を設けている。メダル投入口132の右側には、7セグメントLEDからなるメイン表示器55を設けている。メイン表示器55は、入賞に係る図柄の組み合わせが有効ラインに沿って表示されたときに遊技者に対して払い出されるメダルの枚数(払出枚数)を表示する払出表示部と、遊技機内に電子的に貯留されているメダルの枚数(クレジット枚数)を表示するクレジット表示部とを含む。
下扉130Lの上面の左側にはゲームを開始するためのスタートスイッチ134を設け、スタートスイッチ134とメダル投入口132の間に、3つのリールのそれぞれに対応して3つのストップスイッチ140を設けている。
下扉130Lの上面左端には精算スイッチ138を設けている。精算スイッチ138は、スロットマシン100に電子的に貯留されたメダル、ベットされたメダルを精算し、メダル払出口よりメダル受皿に排出するためのスイッチである。精算スイッチ138の右側にはベットスイッチBETM、精算スイッチ138の下側にはワンベットスイッチBET1を設けている。ベットスイッチBETM及びワンベットスイッチBET1は、いずれも電子的に貯留されたメダルの個数(クレジット数)から所定の個数を減じてメダルの投入に代えることが可能なスイッチである。ベットスイッチBETMは、一回の操作で所定の上限個数(通常3枚)までメダルの投入に代えることが可能なマックスベット(MAX BET)スイッチである。ワンベットスイッチBET1は、1枚をベットするスイッチである。ベットスイッチBETM及びワンベットスイッチBET1の両方を備えることで、遊技者は、最大規定枚数の3枚をベットするか、最小の1枚をベットするかを容易に選択することができる。
下扉130Lの上面の中央、すなわち、ストップスイッチ140の上、ベットスイッチBETMとメダル投入口132の間には、操作部としてのスイッチ(十字キーユニット)SWを設けている。スイッチSWは、例えばカーソルを上下左右に動かすカーソルキー(スイッチ)や操作の確定ボタン・キャンセルボタンなどを含む。
スロットマシン100の左右端にはそれぞれ電飾DRU、DRL、DLU、DLLを設けている。すなわち、上扉130Uの左端に電飾DLUを設け、右端に電飾DRUを設けるとともに、下扉130Lの左端に電飾DLLを設け、右端に電飾DRLを設けている。電飾DRU、DRL、DLU、DLLは、それぞれその内部に発光装置(LED)を備えている。
スロットマシン筐体120の内部には、図2に示すように、その内底面に固定され、内部に複数のメダルを貯留して、貯留したメダルを下扉130Lの前面下部に設けた払出し口に1枚ずつ払い出すためのホッパ装置121が設置されている。このホッパ装置121の上部には、上方に向けて開口し、内部に多数のメダルを貯留するホッパタンク122を備えている。スロットマシン筐体120の内部には、上扉130Uを閉めたときにゲーム表示部131が来る位置に三個のリールからなるリールユニット203が設置されている。リールユニット203は、外周面に複数種類の図柄が配列されている3つのリール(第1リール~第3リール)を備えている。ゲーム表示部131には開口部が設けられていて、それを通して遊技者が前記リールユニット203の各回転リールの図柄を見ることができるようになっている。ホッパ装置121の左側には電源部205を設けている。
図2に示すように、下扉130Lの背面にはメダル(コイン)セレクタ1が、下扉130L上面のメダル投入口132の下部に取り付けられている。このメダルセレクタ1は、メダル投入口132から投入されたメダルの通過を検出しながら、当該メダルをホッパ装置121に向かって転動させ、外径が所定寸法と違う異径メダルや、鉄又は鉄合金で作製された不正メダルを選別して排除するとともに、1ゲームあたりに投入可能な所定枚数以上のメダルを選別して排除するための装置である。
また、メダルセレクタ1の下側には、図2に示すように、その下部側を覆って下扉130L下部の払出し口に連通する導出路136を設けている。メダルセレクタ1により振り分けられたメダルは、この導出路136を介して払出し口から遊技者に返却される。
スロットマシン筐体120の内部、リールユニット203の下側にはメイン基板10が取り付けられている。メイン基板10には、遊技に関する内部設定(例えば、複数の抽選テーブルのどれを使用するか)を行うための設定変更スイッチSSWを設けている。上扉130Uの背面中央下部にはサブ基板20が取り付けられている。
スロットマシン筐体120の内部の左上隅には低音スピーカSPLを設けるとともに、下扉130Lの下部には標準的な音域をカバーする2つのスピーカSPを設けている。
下扉130Lの背面上部、裏面から見てメダルセレクタ1の右側には、中継基板300を設けている。中継基板300は、メイン基板10とスタートスイッチ134などのスイッチ類やメイン表示器55などの間の接続を中継する基板である。中継基板300において、メイン基板10からの配線がスイッチや表示器などのユニットごとに分配される。
図3はスロットマシン100の機能ブロック図を示す。この図において電源系統についての表示は省略されているが、電源部205は、少なくともメイン基板10、サブ基板20及びサブ基板20に接続されている周辺基板に電流を供給している。
図6は、発明の実施の形態に係る遊技機の電源系統を示している(発明の実施の形態に係る部分のみを示し、他の表示は省略している)。図6については、後に説明を加える。
スロットマシン100は、その主要な処理装置としてメイン基板10とこれからコマンドを受けて動作するサブ基板20とを備える。メイン基板10やサブ基板を含む基板は、外部から接触不能となるようにケース内部に収容され、これら基板を取り外す際に痕跡が残るように封印処理が施されている。具体的には、メイン基板10はカシメによりケースに一体となり取り付けられるとともに、メイン基板10全体を覆う一体のケースによりカバーされている。サブ基板20も同様にケースと一体となりカバーされている。
メイン基板10は、遊技者の操作を受けて内部抽選を行ったり、回胴の回転・停止やメダルの払い出しなどの処理(遊技処理)を行うためのものである。メイン基板10は、予め設定されたプログラムに従って制御動作を行うCPUと、前記プログラムを記憶する記憶手段であるROMおよび処理結果などを一時的に記憶するRAMを含む。
サブ基板20は、メイン基板10からコマンド信号を受けて内部抽選の結果を報知したり各種演出を行うためのものである。サブ基板20は、前記コマンド信号に応じた予め設定されたプログラムに従って制御動作を行うCPUと、前記プログラムを記憶する記憶手段であるROMおよび処理結果などを一時的に記憶するRAMを含む。コマンドの流れはメイン基板10からサブ基板20への一方向通信のみであり、逆にサブ基板20からメイン基板10へコマンド等が出されることはない。サブ基板20は、演出に用いる乱数を発生する手段を備えている。
以下、メイン基板とサブ基板について詳しく説明する。
<メイン基板>
メイン基板10には、スタートスイッチ134、ストップスイッチ140、精算スイッチ138、ベットスイッチBETM、ワンベットスイッチBET1、リール(回胴)ユニット203、ホッパ駆動部80、ホッパ81及びホッパ81から払い出されたメダルの枚数を数えるためのメダル検出部82(これらは前述のホッパ装置121を構成する)並びにメイン表示器55が接続されている。これらスイッチ類及びセンサ類と表示器類は、ホッパ装置121を除き、中継基板300を経由してメイン基板10に接続されている。
メイン基板10には、さらに、メダルセレクタ1のメダルセンサS1及びS2が接続されている。また、その内部に設定変更スイッチSSWを備えている(メイン基板10の外部に設けられることもある)。
メイン基板10は、その内部に以下の構成(機能)を含んでいる。すなわち、投入受付手段1050、乱数発生手段1100、内部抽選手段1200、回胴制御手段1300、入賞判定手段1400、払出制御手段1500、リプレイ処理手段1600、エラー処理部1700、コマンド送信部10CGである。これらについては後に説明を加える。
メダルセレクタ1には、メダルを計数するためのメダルセンサS1及びS2を設けている。メダルセンサS1及びS2は、メダルセレクタ1に設けられた図示しないメダル通路の下流側(出口近傍)に取り付けられている(メダル通路の上流側はメダル投入口132に連通している)。2つのメダルセンサS1とS2は、メダルの進行方向に沿って所定間隔を空けて並べて設けている。メダルセンサS1、S2は、例えば、互いに対向した発光部と受光部とを有して断面コ字状に形成され、その検出光軸をメダル通路内に上方から臨ませて位置するフォトインタラプタである。各フォトインタラプタにより、途中で阻止されずに送られてきたメダルの通過が検出される。なお、フォトインタラプタを2つ隣接させたのは、メダル枚数を検出するだけでなく、メダルの通過が正常か否かを監視するためである。すなわち、フォトインタラプタを2つ隣接させて設けることにより、メダルの通過速度や通過方向を検出することができ、これによりメダル枚数だけでなく、逆方向に移動する不正行為を感知することができる。
リールユニット203は、3つの回胴40a~40c(第1回胴~第3回胴)と、これらをそれぞれ回転させるステッピングモータ155a~155cと、それらの位置をそれぞれ検出する回胴位置検出器(インデックスセンサ)159a~159cとを備える(なお、ステッピングモータ155a~155cを単にモータ155あるいはモータと記すことがある)。
回胴制御手段1300は、回胴40a~40cそれぞれが1回転する毎にインデックスセンサ159で検出される基準位置信号に基づいて、回胴40の基準位置(図示しないインデックスによって特定されるコマ)からの回転角度を求める(ステッピングモータの回転軸の回転ステップ数をカウントする)ことによって、現在の回胴40の回転状態を監視することができるようになっている。すなわち、メイン基板10は、回胴40の基準位置からの回転角度を求めることにより、ストップスイッチ140の作動時における回胴40の位置を得ることができる。
なお、以下の説明において、任意のひとつ又は複数の回胴を示すときは符号40を使用し、3つの回胴をそれぞれ区別して示すときは符号40a~40cを使用することにする。
ホッパ駆動部80は、ホッパ81の図示しない回転ディスクを回転駆動して、メイン基板10によって指示された払出数のメダルを払い出す動作を行う。遊技機は、メダルを1枚払い出す毎に作動するメダル検出部82を備えており、メイン基板10は、メダル検出部82からの入力信号に基づいてホッパ81から実際に払い出されたメダルの数を管理することができる。
投入受付部(投入受付手段)1050は、メダルセレクタ1のメダルセンサS1とS2の出力を受け、遊技毎にメダルの投入を受け付けて、規定投入数に相当するメダルが投入されたことに基づいて、スタートスイッチ134に対する第1回胴~第3回胴の回転開始操作を許可する処理を行う。なお、スタートスイッチ134の押下操作が、第1回胴~第3回胴の回転を開始させる契機となっているとともに、内部抽選を実行する契機となっている。また、遊技状態に応じて規定投入数を設定してもよく、通常状態およびボーナス成立状態及びボーナス状態では規定投入数を3枚(最大の規定投入枚数)に設定する。なお、通常状態及びボーナス状態ではメダル投入枚数は1枚や2枚であっても遊技可能である。
メダルが投入されると、遊技状態に応じた規定投入数を限度として、投入されたメダルを投入状態に設定する。あるいは、遊技機にメダルがクレジットされた状態で、ベットスイッチBETMが押下されると、遊技状態に応じた規定投入数を限度して、クレジットされたメダルを投入状態に設定する。ワンベットスイッチBET1が押下されると、メダル1枚分を投入状態に設定する。メダルの投入を受け付けるかどうかは、メイン基板10が制御する。スタートスイッチ134が押下され各回胴の回転が開始した時点(遊技開始時点)から3つのストップスイッチ140が押下され各回胴の回転が停止した時点(入賞した場合はメダル払い出しが完了した時点)(遊技終了時点)の間であって、メダルの投入を受け付ける状態になっていないときは(許可されていないときは)、メダルを投入してもメダルセンサS1、S2でカウントされず、そのまま返却される。同様に、メイン基板10は、メダルの投入を受け付ける状態か否かに応じて、ベットスイッチ(BETMとBETM)の有効/無効を制御する。また、前記遊技終了時点から前記遊技開始時点までの間でベットスイッチは有効となるが、これ以外の期間においては(押下が許可されていないときは)、ベットスイッチを押下しても、それは無視される。
メイン基板10は、乱数発生手段1100を内蔵する。乱数発生手段1100は、抽選用の乱数値を発生させる手段である。乱数値は、例えば、インクリメントカウンタ(所定のカウント範囲を循環するように数値をカウントするカウンタ)のカウント値に基づいて発生させることができる。なお本実施形態において「乱数値」には、数学的な意味でランダムに発生する値のみならず、その発生自体は規則的であっても、その取得タイミング等が不規則であるために実質的に乱数として機能しうる値も含まれる。
内部抽選手段1200は、遊技者がスタートスイッチ134からのスタート信号に基づいて、役の当否を決定する内部抽選を行う。すなわち、メイン基板10のメモリ(図示せず)に記憶されている抽選テーブル(図示せず)を選択する抽選テーブル選択処理、乱数発生手段1100から得た乱数の当選を判定する乱数判定処理、当選の判定結果で大当たりなどに当選したときにその旨のフラグを設定する抽選フラグ設定処理などを行う。
抽選テーブル選択処理では、図示しない記憶手段(ROM)に格納されている複数の抽選テーブル(図示せず)のうち、いずれの抽選テーブルを用いて内部抽選を行うかを決定する。抽選テーブルでは、複数の乱数値(例えば、0~65535の65536個の乱数値)のそれぞれに対して、リプレイ、小役(ベル、チェリー)、レギュラーボーナス(RB:ボーナス)、およびビッグボーナス(BB:ボーナス)などの各種の役が対応づけられている。また、遊技状態として、通常状態、ボーナス成立状態、およびボーナス状態が設定可能とされ、さらにリプレイの抽選状態として、リプレイ無抽選状態、リプレイ低確率状態、リプレイ高確率状態が設定可能とされる。
抽選テーブル選択処理により、抽選の内容は所定の範囲内で設定可能(当選の確率を高くしたり低くしたりできる)であり、遊技機が設置されるホールなどにおいて店側により設定作業が行われる。この設定作業で使用するスイッチが設定変更スイッチSSWである。
通常の遊技機は、BB,RB、小役等の抽選確率の異なる複数(例えば6つ)の抽選テーブルを予め備える。遊技機の抽選では、それら複数の抽選テーブルの中から1つが設定され、この設定された抽選テーブルに基づいて抽選による当たり/ハズレの判定がなされる。複数の抽選テーブルのうちどれを使用するかに関する設定を変更することを、設定の変更(以下、「設定変更」と記す)と称している。
従来、例えばスロットマシンのような遊技機では、設定値(通常1~6)を変更する場合、遊技機の扉を開け、メイン基板10に設けられた設定変更スイッチSSWのキースイッチに設定変更キーを挿入して当該キースイッチをオンにした状態で遊技機の電源を投入して設定変更可能な状態にし、設定変更スイッチSSWの設定変更ボタン(押ボタン)を1回押下するごとに、7セグメント表示器などに表示される設定値がインクリメントされて1~6までの値を循環的に変化させ、所望する設定値が表示器に表示されたところでスタートスイッチを操作することで、所望する設定値を確定させている。
乱数判定処理では、スタートスイッチ134からのスタート信号に基づいて、遊技毎に乱数発生手段(図示せず)から乱数値(抽選用乱数)を取得し、取得した乱数値について前記抽選テーブルを参照して役に当選したか否かを判定する。
抽選フラグ設定処理では、乱数判定処理の結果に基づいて、当選したと判定された役の抽選フラグを非当選状態(第1のフラグ状態、オフ状態)から当選状態(第2のフラグ状態、オン状態)に設定する。2種類以上の役が重複して当選した場合には、重複して当選した2種類以上の役のそれぞれに対応する抽選フラグが当選状態に設定される。抽選フラグの設定情報は、記憶手段(RAM)に格納される。
入賞するまで次回以降の遊技に当選状態を持ち越し可能な抽選フラグ(持越可能フラグ)と、入賞の如何に関わらず次回以降の遊技に当選状態を持ち越さずに非当選状態にリセットされる抽選フラグ(持越不可フラグ)とが用意されていることがある。この場合、前者の持越可能フラグが対応づけられる役としては、レギュラーボーナス(RB)およびビッグボーナス(BB)があり、それ以外の役(例えば、小役、リプレイ)は後者の持越不可フラグに対応づけられている。すなわち抽選フラグ設定処理では、内部抽選でレギュラーボーナスに当選すると、レギュラーボーナスの抽選フラグの当選状態を、レギュラーボーナスが入賞するまで持ち越す処理を行い、内部抽選でビッグボーナスに当選すると、ビッグボーナスの抽選フラグの当選状態を、ビッグボーナスが入賞するまで持ち越す処理を行う。このときメイン基板10は、内部抽選手段により、レギュラーボーナスやビッグボーナスの抽選フラグの当選状態が持ち越されている遊技でも、レギュラーボーナスおよびビッグボーナス以外の役(小役およびリプレイ)についての当否を決定する内部抽選を行っている。すなわち抽選フラグ設定処理では、レギュラーボーナスの抽選フラグの当選状態が持ち越されている遊技において、内部抽選で小役あるいはリプレイが当選した場合には、既に当選しているレギュラーボーナスの抽選フラグと内部抽選で当選した小役あるいはリプレイの抽選フラグとからなる2種類以上の役に対応する抽選フラグを当選状態に設定し、ビッグボーナスの抽選フラグの当選状態が持ち越されている遊技において、内部抽選で小役あるいはリプレイが当選した場合には、既に当選しているビッグボーナスの抽選フラグと内部抽選で当選した小役あるいはリプレイの抽選フラグとからなる2種類以上の役に対応する抽選フラグを当選状態に設定する。
回胴制御手段1300は、遊技者がスタートスイッチ134の押下操作(回転開始操作)によるスタート信号に基づいて、第1回胴~第3回胴をステッピングモータにより回転駆動して、第1回胴~第3回胴の回転速度が所定速度(約80rpm:1分間あたり約80回転となる回転速度)に達した状態において回転中の回胴にそれぞれ対応する3つのストップスイッチ140の押下操作(停止操作)を許可する制御を行うとともに、ステッピングモータにより回転駆動されている第1回胴~第3回胴を抽選フラグの設定状態(内部抽選の結果)に応じて停止させる制御を行う。
また、回胴制御手段1300は、3つのストップスイッチ140に対する押下操作(停止操作)が許可(有効化)された状態において、遊技者が3つのストップスイッチ140を押下することにより、その回胴停止信号に基づいて、リールユニット203のステッピングモータへの駆動パルス(モータ駆動信号)の供給を停止することにより、第1回胴~第3回胴の各回胴を停止させる制御を行う。
すなわち、回胴制御手段1300は、3つのストップスイッチ140の各ボタンが押下される毎に、第1回胴~第3回胴のうち押下されたボタンに対応する回胴の停止位置を決定して、決定された停止位置で回胴を停止させる制御を行っている。具体的には、記憶手段(ROM)に記憶されている停止制御テーブル(図示せず)を参照して3つのストップスイッチの押下タイミングや押下順序等(停止操作の態様)に応じた第1回胴~第3回胴の停止位置を決定し、決定された停止位置で第1回胴~第3回胴を停止させる制御を行う。
ここで停止制御テーブルでは、ストップスイッチ140の作動時点における第1回胴~第3回胴の位置(押下検出位置)と、第1回胴~第3回胴の実際の停止位置(または押下検出位置からの滑りコマ数)との対応関係が設定されている。滑りコマ数とは、回胴停止時にゲーム表示部から視認できる特定の図柄を基準位置としたときのストップスイッチ140の操作から対応する回胴の回転停止までの間に当該基準位置を通過する図柄の数をいう。回胴制御手段1300は、各ストップスイッチ140の操作から190ms以内という条件下で各回胴を停止させるため、滑りコマ数は0以上4以下の範囲内となっている(ただし、80回転/分、図柄数=21個の条件において)。抽選フラグの設定状態に応じて、第1回胴~第3回胴の停止位置を定めるための停止制御テーブルが用意されることもある。
前述のように、回胴制御手段1300は、回胴が1回転する毎にインデックスセンサ159で検出される基準位置信号に基づいて、回胴の基準位置(リールインデックスによって検出されるコマ)からの回転角度(ステップモータの回転軸の回転ステップ数)を求めることによって、現在の回胴の回転状態を監視することができるようになっている。すなわち、メイン基板10は、ストップスイッチ140の作動時における回胴の位置を、回胴の基準位置からの回転角度を求めることにより得ることができる。
回胴制御手段1300は、いわゆる引き込み処理と蹴飛ばし処理とを回胴を停止させる制御として行っている。引き込み処理とは、抽選フラグが当選状態に設定された役に対応する図柄が有効な入賞判定ライン上に停止するように(当選した役を入賞させることができるように)回胴を停止させる制御処理である。一方蹴飛ばし処理とは、抽選フラグが非当選状態に設定された役に対応する図柄が有効な入賞判定ライン上に停止しないように(当選していない役を入賞させることができないように)回胴を停止させる制御処理である。すなわち本実施形態の遊技機では、上記引き込み処理及び蹴飛ばし処理を実現させるべく、抽選フラグの設定状態、ストップスイッチ140の押下タイミング、押下順序、既に停止している回胴の停止位置(表示図柄の種類)などに応じて各回胴の停止位置が変化するように停止制御テーブルが設定されている。このように、メイン基板10は、抽選フラグが当選状態に設定された役の図柄を入賞の形態で停止可能にし、一方で抽選フラグが非当選状態に設定された役の図柄が入賞の形態で停止しないように第1回胴~第3回胴を停止させる制御を行っている。
本実施形態の遊技機では、第1回胴~第3回胴が、ストップスイッチ140が押下された時点から190ms以内に、押下されたストップスイッチに対応する回転中の回胴を停止させる制御状態に設定されている。すなわち回転している各回胴の停止位置を決めるための停止制御テーブルでは、ストップスイッチ140の押下時点から各回胴が停止するまでに要するコマ数が0コマ~4コマの範囲(所定の引き込み範囲)で設定されている。
入賞判定手段1400は、第1回胴~第3回胴の停止態様に基づいて、役が入賞したか否かを判定する処理を行う。具体的には、記憶手段(ROM)に記憶されている入賞判定テーブルを参照しながら、第1回胴~第3回胴の全てが停止した時点で入賞判定ライン上に表示されている図柄組合せが、予め定められた役の入賞の形態であるか否かを判定する。
入賞判定手段1400は、その判定結果に基づいて、入賞時処理を実行する。入賞時処理としては、例えば、小役が入賞した場合にはホッパ81を駆動してメダルの払出制御処理が行われるか、あるいはクレジットが増加され(規定の最大枚数例えば50枚まで増加され、それを超えた分だけ実際にメダル払い出される)、リプレイが入賞した場合にはリプレイ処理が行われ、ビッグボーナスやレギュラーボーナスが入賞した場合には遊技状態を移行させる遊技状態移行制御処理が行われる。
払出制御手段1500は、遊技結果に応じたメダルの払い出しに関する払出制御処理を行う。具体的には、小役が入賞した場合に、役毎に予め定められている配当に基づいて遊技におけるメダルの払出数を決定し、決定された払出数に相当するメダルを、ホッパ駆動部80でホッパ81を駆動して払い出させる。この際に、ホッパ81に内蔵される図示しないモータに電流が流れることになる。
メダルのクレジット(内部貯留)が許可されている場合には、ホッパ81によって実際にメダルの払い出しを行う代わりに、記憶手段(RAM)のクレジット記憶領域(図示省略)に記憶されているクレジット数(クレジットされたメダルの数)に対して払出数を加算するクレジット加算処理を行って仮想的にメダルを払い出す処理を行う。
リプレイ処理手段1600は、リプレイが入賞した場合に、次回の遊技に関して遊技者の所有するメダルの投入を要さずに前回の遊技と同じ準備状態に設定するリプレイ処理(再遊技処理)を行う。リプレイが入賞した場合には、遊技者の手持ちのメダル(クレジットメダルを含む)を使わずに前回の遊技と同じ規定投入数のメダルが自動的に投入状態に設定される自動投入処理が行われ、遊技機が前回の遊技と同じ入賞判定ラインを有効化した状態で次回の遊技における回転開始操作(遊技者によるスタートスイッチ134の押下操作)を待機する状態に設定される。
リプレイ処理手段1600は、所定条件下で内部抽選におけるリプレイの当選確率を変動させる制御を行うことがある。例えば、ストップスイッチ140の操作によって回胴を停止させた際に所定の出目が表示されるとリプレイの当選確率が変動する。リプレイの抽選状態として、リプレイが内部抽選の対象から除外されるリプレイ無抽選状態、リプレイの当選確率が約1/7.3に設定されるリプレイ低確率状態、およびリプレイの当選確率が約1/2に設定されるリプレイ高確率状態という複数種類の抽選状態を設定可能とされている。
エラー処理部1700は、図示しない扉開閉検知センサ、メダルセンサS1及びS2及びメダル検出部82の出力に基づき遊技機のエラー判定を行い、エラーと判定したときにその旨を報知するとともに、遊技機を所定の状態(例えば、操作を受け付けない状態)にする。
リールユニット203は、3つの回胴40a~40cを備えるが、3つの回胴40a~40cそれぞれにひとつづつステッピングモータ155a~155cが取り付けられている。ステッピングモータ155は、回転子(ロータ)として歯車状の鉄心あるいは永久磁石を備え、固定子(ステータ)として複数の巻線(コイル)を備え、電流を流す巻線を切り替えることによって回転動作させるものである。すなわち、固定子の巻線に電流を流して磁力を発生させ、回転子を引きつけることで回転するものである。回転軸を指定された角度で停止させることが可能なことから、スロットマシンの回胴の回転駆動に使用されている。複数の巻線がひとつの相を構成する。相の数として、例えば、2つ(2相)、4つ(4相)、5つ(5相)のものもある。
スロットマシンの回胴40a~40cの駆動に関して、例えば、4相の基本ステップ角度1.43度のステッピングモータを使用し、パルスの出力方法として1-2相励磁を採用している。
10CGは、サブ基板20へ送るコマンドを送信するコマンド送信部である。このコマンドには、当選役の情報に関するコマンド、メダル投入枚数やクレジット枚数(貯留枚数)の情報に関するコマンドなどがある。コマンド送信部10CGは、具体的には、メイン基板10に搭載されたROMに予め書き込まれたプログラムをCPUが実行することで実現される。コマンド送信については、後に説明を加える。
<サブ基板>
サブ基板20には、液晶パネルLCD1及びLCD2、LED202B、202U及び202L、スピーカSP、低音スピーカSPL、ソレノイドSN、モータMU及びML、センサSENU及びSENL、スイッチSWが接続されている。LED202B、202L、202Uは、データを取得し保持するラッチと電飾であるLEDを内蔵している(LEDは基板の外部に設けられることもある)。これらの構成要素は、サブ基板20により制御されるものであり、映像、光、音響、可動体の動作により演出を行う出力装置、あるいは、可動体の動作を検知するための入力装置または遊技者による操作を受け付ける入力装置である。
図示は省略しているが、機種固有ブロックBB及び下扉ブロックBLには、液晶パネルLCD2を制御するためのビデオコントローラ(VDC)、スピーカSP、スピーカSPを駆動して音響を発生させるためのサウンドコントローラ、ソレノイドSN、モータMU及びMLを駆動するための駆動回路(図示しない)を内蔵している。
上述した液晶パネルなどの構成要素は、低音スピーカSPLを除き、スロットマシン筐体120に内蔵される機種固有ブロックBB、上扉130Uに対応して設けられる上扉ブロックBU、下扉130Lに対応して設けられる下扉ブロックBLの3つのいずれかに区別されて設けられる。
図3の例では、機種固有ブロックBBはソレノイドSN、スピーカSP及びLED202Bを含み、上扉ブロックBUは、液晶パネルLCD1、LED202U、モータMU及びこれによる可動体の動作を検知するセンサSENUを含み、下扉ブロックBLは、液晶パネルLCD2、スピーカSP、LED202L、モータML、モータMLによる可動体の動作を検知するセンサSENL、カーソルキーなどのスイッチSWを含む。なお、液晶パネルLCD2全体がモータMLにより若干前後に移動可能に構成され、液晶パネルLCD2が前に出た状態で遊技者がこれを押すという操作が可能な場合がある。この場合、下扉ブロックBLのスイッチSWは液晶パネルLCD2の押下を検知するスイッチを含む。
発明の実施の形態では、機種固有ブロックBB自体が可動する、あるいは少なくとも可動体を含む。例えば、図4に示すように、図示しない駆動系により機種固有ブロックBBが上下する。図4の例では、機種固有ブロックBBが上の位置にあるとき(実線)に比べ、下の位置にあるとき(点線)にはFFC(W100)は大きく撓んでいる。このため、サブ基板20との接続には、動きに伴い柔軟に変形する可撓性を有するワイヤハーネスであるFFC(Flexible Flat Cable)W100が使用される。FFCについては後にさらに説明を加える。
<メイン基板からサブ基板へのコマンド伝送>
サブ基板20はメイン基板10からコマンドをうけ、これに従って演出等の処理を行う。コマンドの流れはメイン基板10からサブ基板20への一方向通信のみであり、逆にサブ基板20からメイン基板10へコマンド等が出されることはない。
サブ基板20は、メイン基板10からのコマンドに従い、例えば、予め定められた画面を液晶パネルLCD1、LCD2に表示させるためのコマンド(表示コマンド、描画コマンド)を発生させる。例えば、アニメーションなどにより演出を行う際には、多数のコマンドを連続的に次々と送信する。
図3において、20CRは、メイン基板10から受けたコマンドを受信するコマンド受信部である。コマンド受信部20CRは、具体的には、サブ基板20に搭載されたROMに予め書き込まれたプログラムをCPUが実行することで実現される。
コマンド受信部20CRは、メイン基板10から受けたコマンドを受信する。例えば、シリアルデータとして受けたコマンドを直列-並列変換器(シフトレジスタ)に入力し、一定のデータ(例えば8ビット)ごとに出力する。この出力されたデータがコマンドとしてサブ基板20のCPUに渡され、解釈・実行される。
次に、メイン基板10における遊技処理について図5を参照して説明を加える。
一般的に、遊技機において、メダルの投入(クレジットの投入)に始まり、払い出しが終了するまで(又はクレジット数の増加が終了するまで)が一遊技である。一遊技が終了するまでは次回の遊技に進めないという決まりがある。
先ず、規定枚数のメダルが投入されることでスタートスイッチ134が有効になり、図5の処理が開始される。
ステップS1において、スタートスイッチ134が操作されることにより、スタートスイッチ134がONとなる。そして、次のステップS2に進む。
ステップS2において、メイン基板10により抽選処理が行われる。そして、次のステップS3に進む。
ステップS3において、第1リール~第3リールの回転が開始する。そして、次のステップS4に進む。
ステップS4において、ストップスイッチ140が操作されることにより、ストップスイッチ140がONとなる。そして、次のステップS5に進む。
ステップS5において、第1リール~第3リールのうち押下されたストップスイッチ140に対応するリールについて回転停止処理が行われる。そして、次のステップS6に進む。
ステップS6において、三個のリールに対応するストップスイッチ140の操作が行われたか否かが判定される。そして、三個のリールに対応する3つのストップスイッチ140すべての操作が行われたと判定された場合、次のステップS7に進む。
ステップS7において、抽選フラグ成立中に当該抽選フラグに対応する図柄組合せが有効入賞ライン上に揃ったか否か、すなわち、入賞が確定したか否かが判定される。そして、入賞が確定したと判定された場合、次のステップS8に進む。なお、入賞が確定しなかったときは、抽選フラグが成立していてもメダルの払い出しは行われない。
ステップS8において、入賞判定ライン上に揃った図柄組合せに相当するメダルが払い出される。
メダルの投入からステップS8の実行完了までが、一遊技である。ステップS8の待機処理が終了すると、処理はフローチャートの最初に戻る。言い換えれば、次の遊技が可能な状態になる(次遊技へ移行する)。
上述の遊技機は、上扉ブロックBU、下扉ブロックBLのように複数のブロックに分離され、それぞれ独立に組み込みあるいは取り外しできるようになっている(分離筐体)。一部のブロック、例えば、下扉ブロックBLを組み込んでいない状態での製造、出荷、設置が行われることもある。
次に、発明の実施の形態に係る遊技機の電源系統について説明を加える。
図6は、この遊技機の電源系統図である。
205は、少なくともメイン基板10、サブ基板20及びサブ基板20に接続されている周辺基板に電流を供給する電源部である。
2051は、遊技機に接続される交流電源(AC入力)を受けてこれを整流する整流部である。なお、外部から交流電源ではなく、直流電源を受ける場合には整流部2051は不要である。すなわち、遊技機の外部からの電力供給は交流・直流いずれでもよい。
2052は、整流された電源を24Vの滑らかな直流に変換するAC-DCコンバータである。
2052aは、過電流保護回路である。これは、定格又は上限値を超える電流を出力したとき、あるいは上限値を超える電流が整流部2051から入力されたときに出力を遮断あるいは低減する(過電流検出リミッタ機能)。図6では、過電流保護回路2052aは、整流部2051の出力、すなわち全波整流直後の電源経路に設けられているが、AC-DCコンバータ2052が、過電流保護回路2052aを内蔵するようにしてもよい。
2053は、AC-DCコンバータ2052が出力する24Vの電源を12Vに変換するDC-DCコンバータである。変換する電圧が異なることもある(例えば5Vに変換する)。DC-DCコンバータ2053は、予め定められた設定電流値に基づき動作する過電流保護回路2053aを内蔵している。過電流保護回路2053aは、DC-DCコンバータ2053の制御方式(PWM制御)を利用したものである。例えば、特定端子間の電位差が設定値以上(異常状態)になると、一旦出力電圧をOFFし、一定時間後ソフトスタートしゆるやかに電圧値を上昇させるようなものである。その後も出力電流の監視を行い、状況が改善されるまで上記対応を繰り返し異常な電流の供給を防止する。
2054は、入力側のACラインに設けられた異常電圧入力保護回路である。
図6の電源部205は、ひとつ以上の電源、AC-DCコンバータ2052とDC-DCコンバータ2053を備えている。
PB1-1~PB1-3は、電源部205から供給される電流(図6の例ではDC-DCコンバータ2053から供給される電流)を消費する第1回路部材である。図6の例では、PB1-1は上可動体電飾基板であり、PB1-2は右電飾基板であり、PB1-3は左電飾基板である。この例では、第1回路部材PB1-1~PB1-3はそれぞれLEDなどの発光素子を備えている。図6の第1回路部材PB1-1~PB1-3は、例えば図3のLED202Uに相当する。第1回路部材PB1-1~PB1-3は、データを取得し保持するラッチ(図示せず)と電飾であるLEDを内蔵しているが、これらはいずれも電流を消費する。またLED以外の例として、モータ等の電流を消費する部材も適宜搭載もしくは接続される。第1回路部材PB1-1~PB1-3は、サブ基板20により制御される。なお、図6において、制御のための信号系統の表示は省略している。
PB2は、少なくともひとつの電源部(図6の例ではDC-DCコンバータ2053)と少なくともひとつの第1回路部材(図6の例では上可動体電飾基板PB1-1)の間に設けられ、少なくとも電流を通過させる第2回路部材である。図6の例では、PB2は、上可動体電飾基板PB1-1への接続を中継する上可動体接続基板である。上可動体接続基板PB2はその内部で電流の一部を消費してもよい。
F1は、上可動体接続基板PB2に設けられ、所定の電流値で上可動体電飾基板PB1-1への電流を遮断する過電流保護手段(ヒューズ、ポリスイッチなど)である。過電流保護手段F1は、電流の流れを基準として、電源部(図6の例ではDC-DCコンバータ2053)の下流側であり、かつ、FFC(Flexible Flat Cable)などの抵抗成分が大きな高抵抗電線の上流側に設けられている。
W1は、DC-DCコンバータ2053の出力に接続されたワイヤハーネスW1である。
W2~W4は、ワイヤハーネスW1から分岐される電線(ワイヤハーネス)である。ワイヤハーネスW2は上可動体接続基板PB2に接続され、ワイヤハーネスW3は右電飾基板PB1-2に接続され、ワイヤハーネスW4は左電飾基板PB1-3に接続される。
W100は、上可動体電飾基板PB1-1を上可動体接続基板PB2に接続する電線(ワイヤハーネス)である。上可動体電飾基板PB1-1は可動体に設けられ可動するので、これに接続されるワイヤハーネスは動きに伴い柔軟に変形する可撓性が求められる。このためFFC(Flexible Flat Cable)が使用される。もっとも、本発明の実施の形態は可撓性に関係なく、高抵抗電線を使用する場合に適用できるので、W100は、FFC(Flexible Flat Cable)を含む、ワイヤハーネスW1~W4よりも抵抗成分が大きな高抵抗電線と言うことができる。便宜上、以下の説明では、「高抵抗電線」のことを単に「FFC」と記載する。図6において、FFCは太線で示している(図7も同様)。
可動役物(可動体)の電飾に限らずその発光のためには、その信号や電源を接続するためのワイヤハーネス(電線)が必要である。可動体のワイヤハーネスは、上述のように可動要素の動きに伴い柔軟に変形する可撓性が求められるのでFFC(Flexible Flat Cable)が使用されるが、FFCは可動役物以外にも扉の開閉の影響を受ける演出デバイスやその他の基板との接続に使用されることもある。
なお、以下の説明において具体的な基板名に代えて、第1回路部材、第2回路部材という表現を用いることにする。
DC-DCコンバータ2053の過電流保護回路2053aは、予め定められた設定電流値に基づき動作する。例えば3Aであるとする(図6のI=3Aはこのことを示す)。この場合、DC-DCコンバータ2053は最大3Aまで電流を供給する。それ以上になると電流の供給を停止する。
第1回路部材PB1-1~PB1-3はそれぞれ最大1Aの電流を消費するものとする(図6のI1=1A、I2=1A、I3=1Aはこのことを示す)。この場合、3つ全部が最大の電流を消費したとしてもそれらの合計は3Aであるので、過電流保護回路2053aは動作せず、電流は供給され続ける。通常の使用状態であればこのように問題は生じない。
ここで説明の便宜上、第2回路部材PB2の過電流保護手段F1がないものとする(この状態は、図7の第1回路部材PB1-Iと第2回路部材PB2-Hの系統に相当する)。
ワイヤハーネスW2又は第2回路部材PB2でショート等の不具合が生じると閾値3Aを超える電流が流れ、電流保護回路2053aが動作する。
しかし、FFC(W100)を含む、これよりも下流の回路要素(FFC(W100)、第1回路部材PB1-1)でショート等の不具合が生じても、FFC(W100)の抵抗成分がワイヤハーネスW2と比べ大きいために、異常が生じた時でも電流が閾値に到達しない。電流保護回路2053aが動作せず、FFC(W100)に発熱、変形等の不具合が生じる可能性がある。FFCと一般的な電線が直列に接続されて同じ電流が流れる場合、一般的な電線よりもFFCにおける発熱量のほうが大きくなる。したがって、下流の回路要素(FFC(W100)、第1回路部材PB1-1)でショート等の不具合が生じたときに発熱が問題となるのはFFC(W100)である。
上述のように、FFCを用いていない場合には下流の回路要素でショート等の不具合が生じると電流保護回路2053aが動作するが、これに対し、FFCがある場合には電流保護回路2053aが動作することなく電流が流れ続けることがある。要するに、発熱のプロセスと電流保護回路2053aの動作のプロセスがマッチングしていない。下流の回路要素(FFC(W100)、第1回路部材PB1-1)でショート等の不具合が生じたときにも電流保護回路2053aが動作するように設定すると、結果として電源部205の容量を小さくすることになる。電源容量を小さくすることは遊技機の機能を制限することになるから、このようなやり方は採用できない。
そこで、図6では、FFC(W100)の直近上流側の第2回路部材PB2に過電流保護手段F1を設けることで、上記問題の対策を行っている。過電流保護手段F1は、上記不具合を抑制できるように、過電流保護回路2053aに対する設定電流値よりも小さな電流値で作動するように設定されているので、異常が生じたが電流が電流保護回路2053aの閾値に到達しないときでも電流保護回路2053aの閾値より小さい電流で動作することとなる。過電流保護手段F1の閾値を超えると過電流保護手段F1は動作し、FFC(W100)の電流を遮断することができる。
過電流保護手段F1の保護機能が作動することとなる設定電流は、過電流保護回路2053aの保護機能が作動することとなる、正常動作時に流れる最大の電流値(3A)より大きい値として設定される過電流保護設定電流より小さい値、かつ、第1回路部材PB1が異常と判断される閾値よりも大きい値(3Aより小さい値、1Aより大きい値)に設定されている。
図7は、変形例を示す。図7では、スペースの都合上、電源部205の表示を省略している。
PB1-C~PB1-K’は、図6のPB1-1~PB1-3と同様の第1回路部材である。
PB2-B~PB2-J’は、図6のPB2と同様の第2回路部材である。
PB3は、電源部205と第2回路部材PB2-B~PB2-J’の間に設けられ、電源部205の電流を分岐する第3回路部材(中継基板)である。
W5及びW6は、図6のW3やW4と同様のワイヤハーネスである。
W101~W110は、図6のW100と同様のFFCである。
F2~F7は、図6のF1と同様の過電流保護手段である。
第1回路部材PB1-Cと第2回路部材PB2-Bは、いずれもFFC(W101、W102)で接続されているので、より上流にあるFFC(W101)の上流側の第3回路部材PB3に過電流保護手段F2を設けている。過電流保護手段F2の設定電流は上記のように定められているので、FFC(W101)またはこれよりも下流で異常が生じたときは、過電流保護手段F2が動作する。この例は、最上流に過電流保護手段F2を設けているので、ひとつの過電流保護手段でそれ以降のFFCの発熱による不具合を防止できて効率が良い。
第1回路部材PB1-Eと第2回路部材PB2-Dは、いずれもFFC(W103、W104)で接続されているが、第2回路部材PB2-Dに過電流保護手段F3を設けている。過電流保護手段F3の設定電流は上記のように定められているので、FFC(W104)またはこれよりも下流で異常が生じたときは、過電流保護手段F3が動作する。この例は、中間位置(第2回路部材PB2-D)に過電流保護手段F3を設けている。上流側は、図6の過電流保護回路2052a、2053aにより保護されるので、過電流保護手段F3の作動頻度(例えばヒューズの溶断確率)を下げることができ、保守が容易になる。
第1回路部材PB1-Gと第2回路部材PB2-Fは、いずれもFFC(W105、W106)で接続されているが、第2回路部材PB2-Fに過電流保護手段F5を設けているとともに、第3回路部材PB3に過電流保護手段F4を設けている。このように複数位置に設けると、過電流保護手段の作動電流(例えばヒューズの溶断電流)を細かく設定でき、ひとつの場合と比べてさまざまな状況に対応できるようになる。
例えば、過電流保護手段F5の作動閾値を0.5A、過電流保護手段F4の作動閾値を1Aとすれば第1回路部材PB1が1A未満で0.5Aを超える過電流が発生した場合は、過電流保護手段F5が作動し、第1回路部材PB1が0.5A未満であるが、第1回路部材PB1と第2回路部材PB2の合計電流が1Aを超えると、過電流保護手段F4が作動する等のように細かな対応が可能となる。
第1回路部材PB1-Kと第2回路部材PB2-Jの間はFFC(W109)で接続されているが、第2回路部材PB2-Jと第3回路部材PB3の間はワイヤハーネスW5で接続されている。上流側の第3回路部材PB3に過電流保護手段F6を設けている。これよりも下流で異常が生じたときは、上記例と同様に過電流保護手段F6が動作する。
第1回路部材PB1-K’と第2回路部材PB2-J’の間はFFC(W110)で接続されているが、第2回路部材PB2-J’と第3回路部材PB3の間はワイヤハーネスW6で接続されている。上流側の第2回路部材PB2-J’に過電流保護手段F7を設けている。これよりも下流で異常が生じたときは、上記例と同様に過電流保護手段F7が動作する。
通常のワイヤハーネスW5、W6が使用されている場合、過電流保護手段は第2回路部材PB2-J、J’又は第3回路部材PB3のどちらかに設ければよい。
W100等のFFCは複数の電源線を含むことがある(W1等のワイヤハーネスも同様)。それら複数の電源線を通して複数の電圧の電流が供給されることがある。例えば、図8に示すように、FFCが24V線、12V線、5V線の3種類の電源線を含むことがある。図8は第2回路部材の内部回路の一部を示し、右側のコネクタにFFCが接続される。電源24V、12V、5Vは電源部205から供給される。Z11~Z13は、過大電圧を抑圧するためのバリスタである。
前述の通り、FFCは発熱することがあるが、その程度が電圧により多少異なる。例えば、24V線と12V線は発熱量が大きく短時間で断線するか、あるいは24V線と12V線は電圧値が大きいため閾値に達しやすく、上流過電流保護回路2053aで遮断する。これにより発熱対策が可能である。このことは、図示しないが-12V線についてもあてはまり、極性によらずその絶対値の大きさによる。これに対し、5V線は低電圧(電圧の絶対値が小さい)のため断線、あるいは上流過電流保護回路2053aの動作に至らずに発熱が継続することがあり得る。長時間の発熱を避けるために、低電圧である5V線(最大電圧である24V線よりも電圧の絶対値がより低い電源線)に過電流保護手段を設けることが好ましいと考えられる(12V線に設けるようにしてもよい)。図8では点線で囲んだように、5V線に過電流保護手段F7を設けている。
<パチンコ機への適用>
以上の説明においてスロットマシンを例に取り説明を加えたが、この発明の実施の形態はパチンコ機のような他の遊技機についても適用できる。
パチンコ機(弾球遊技機)について図9、図10及び図11を参照して簡単に説明を加える。パチンコ機は、主要部材として外枠50、本体部材51、開口枠扉52を備える。開口枠扉52は、その開口部にガラス製又は樹脂製からなる透明板部材が設けられ、開口部周辺に電飾(図示なし)、スピーカ52b、球受皿53などが取り付けられている。
遊技盤10Bは、本体部材51の空間部に臨むように、本体部材51に所定の固定部材を用いて着脱自在に装着されている。遊技盤10Bの盤面11は、誘導レール12と、誘導レール12で区画された略円形の遊技領域を落下した遊技球を外部へ導く排出口(アウト口)13を備える矩形の盤面である。排出口13の内部にはアウト球センサ13Sが設けられている(図11)。
図10に示すように、盤面11は、演出用表示ランプやLCD(液晶表示装置)などの可変表示部をひとつ又は複数有する可変表示装置(センター役物)30a、スルーチャッカー30b、普通入賞装置(図示なし)、始動入賞口を有するスタートチャッカー(始動入賞装置)30d、大入賞口を有するアタッカー30c、30eを備える。30b、30c、30d、30eの内部には球通過検出器20b、20c、20d、20eが設けられている。
盤面11には、入賞装置30、図示しない釘や風車などの障害物とともに、興趣を高めるための様々なデザインの装飾部材が設けられている。
図15は本発明の実施の形態に係る遊技機の機能ブロック図である。
主制御装置(メイン基板)101及び副制御装置(サブ基板)200は、図示しないが、CPUを中心に構成され、ROM、RAM、I/O等を備えている。そして、CPUがROMに記憶されたプログラムを読み込むことで、以下に説明するように動作する。
100は、遊技に係る処理を行う主制御装置である。主制御装置101は、電気的な遊技制御の処理を行い主要な処理情報を生成する。主制御装置101は、遊技領域を移動(流下)して入賞装置30b~30dを通過した入賞球をそれぞれ検出する球通過検出器20b~20dの信号を入力とし、入賞装置30b~30dの入賞球通過に応じた抽選・判定を行う。
1110は、スタートチャッカー(始動入賞口)30dを遊技球が通過したこと(正確にはその内部に設けられたセンサ20dで検知されたこと)が検出されたことに基づいて乱数を取得する乱数取得部である。乱数取得部1110は、カウンタを含むハード乱数発生器1120及びプログラムにより動作するソフト乱数発生器1130のいずれか又は両方を備える。
1210は、乱数取得部1110により取得された乱数にもとづいて、特別図柄表示装置119に図柄を変動表示させる図柄変動制御部である。
1310は、特別遊技制御部である。特別遊技制御部1310は、乱数取得部1110により取得された乱数が当選乱数(大当たり)であることを条件に、特別図柄表示装置119に予め設定された賞態様を構成する図柄を停止表示させた後、遊技者に有利な特別遊技を行わせる。
1410は、確率変動遊技制御部である。確率変動遊技制御部1410は、特別遊技制御部1310による特別遊技の終了後、乱数取得部1110により当選乱数を取得する可能性を増加させる確率変動遊技を行わせる。変動表示した図柄は、所定時間後に乱数取得部1110により取得された乱数に基づきはずれ又は大当たりの図柄で停止表示する。
1510は、特別図柄表示装置119に図柄を変動表示させている間に遊技球がスタートチャッカー(始動入賞装置)30dを通過した場合に、所定個数を限度としてその遊技球が通過したことに基づき抽出された乱数を記憶し、図柄の変動表示が終了した後に記憶した乱数に基づき図柄の変動表示を行うことを可能にする保留処理部である。
1610は、先読み処理部である。先読み処理部1610は、各保留球について、それらが大当りに係るものであるか否かを判定する。始動入賞の乱数抽出のタイミングで保留球の記憶内容である乱数を仮判定し(先読みし)、その結果を副制御装置200へ送っている。
110aは、遊技利益として入賞装置30c~30eと普通入賞装置(図示なし)の遊技球入賞に応じた及び/又はこれによる抽選・判定の結果に応じた所定数の遊技球を払出すための払出制御装置である。
110bは、払出制御装置110aを制御するための払出制御基板である。
141は、遊技者から視認できるように遊技機の盤面に設けられた状態表示装置である。状態表示装置141は、ラウンド数を表示するラウンド数表示部150と保留数を表示する保留数表示部160を含む。保留数表示部160は、遊技盤に配置され、図柄の変動表示中に保留球を表示するものである。
119は、状態表示装置141に設けられた表示装置(例えば7セグメント表示器など)である特別図柄表示装置である。
130は、状態表示装置141に設けられた表示装置(例えば7セグメント表示器など)である普通図柄表示装置である。
200は、主制御装置101にて生成した処理情報を得ることにより、可動体の駆動、光の点滅・音響の発生などの演出を含む所定の出力態様処理をさせる制御を行う副制御装置である。
2100は、画像表示装置210を制御して演出に係る画像、遊技状態に係る画像、現在の遊技状態の表示や、エラー表示、保留表示等を行う演出図柄制御部である。なお、特別図柄表示装置119の変動中は、特別図柄表示装置119に同期して変動表示から変動停止を行う。
2200は、遊技盤10Bに設けられた可動体220を制御する役物駆動部である。
2300は、遊技盤10B、可変表示装置30aあるいは遊技機筐体などに設けられたランプ・電飾230などを点灯制御するためのランプ制御部である。
2400は、音発生装置240を制御する音制御部である。
2500は、先読み処理部1610からの判定結果に基づき先読み関する演出を行う先読み演出処理部である。例えば、画像表示装置210の当たりに相当する保留球に対応する表示(保留球表示の発光色など)を他のものと異ならせることにより、当該保留球が当たりの可能性が高いことを示唆する、あるいは当たりであることを報知する。
2600は、リアルタイムクロック2700の出力(時刻信号)に基づき主制御装置101の遊技状態とは関係のない演出である特定演出に関する処理を行う特定演出処理部である。例えば、毎正時あるいは予め定められた時刻に、遊技状態とは独立して所定の楽曲が流されるとともに、そのビデオ映像が画像表示装置210に表示される。
2700は、時刻信号を出力するリアルタイムクロックである。
210は、液晶表示装置(LCD)などの画像表示装置である。
220は、可動体である。可動体220は、例えば、通常状態とこれと異なる状態の2つを相互に行き来するものである。可動体とは、例えば、平板状、円柱状、円盤状、凹凸を有する歯車状、等のものである。なお、図示しないが可動体220を駆動するための動力部を備える。
可動体220の動きに対応できるように、役物駆動部2200との接続には、動きに伴い柔軟に変形する可撓性を有するワイヤハーネスであるFFC(W100)が使用される。
画像表示装置210及び可動体220は、可変表示装置(センター役物)30aに設けられている。
230は、発光素子を含むランプ・電飾である。
発明の実施の形態では、ランプ・電飾230自体が可動する、あるいは少なくとも可動するように構成されている。例えば、図12に示すように、図示しない駆動系によりランプ・電飾230が回動する。図12の例では、ランプ・電飾230が水平位置にあるとき(実線)はFFC(W100)は大きく撓んでいるが、左に45度回転した位置にあるとき(点線)にはFFC(W100)はその動きに追従して延びている。ランプ制御部2300との接続には、動きに伴い柔軟に変形する可撓性を有するワイヤハーネスであるFFC(W100)が使用される。
240は、音発生装置である。音発生装置240は、スピーカ52bと、副制御装置200の音制御部2400からの信号に基づきスピーカ52bの駆動信号を生成するサウンドプロセッサ(図示せず)を含んでいる。
図7及び図9の電源系統は、図11の可動体220及びランプ・電飾230の電源系統に適用することができる。
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。