JP7005697B1 - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】点火時期を含む内燃機関の運転状態に対するトルク又は熱効率の特性を表すニューラルネットワークを用いた演算回数をできるだけ低減して、内燃機関の各種の制御量を算出することができる内燃機関の制御装置を提供する。【解決手段】運転状態及び点火時期と、内燃機関のトルク又は熱効率である出力情報との関係が予め学習されたニューラルネットワークを用い、現在の運転状態、及びN個の点火時期のそれぞれに対応するN個の出力情報を算出し、N個の点火時期とN個の出力情報との間の関係を近似した近似関数の係数を算出し、係数を用いて、制御用に設定された点火時期に対応する出力情報を算出し、算出した出力情報に基づいて、内燃機関の制御量を算出する内燃機関の制御装置。【選択図】図5

Description

本願は、内燃機関の制御装置に関する。
近年、ドライバ及び各車両システム(ハイブリッド用モータ制御、トランスミッション制御、ブレーキ制御、トラクション制御等)から受信する内燃機関出力の要求値として、車両の制御に直接作用する物理量である内燃機関のトルクを用い、これを内燃機関出力の目標値として内燃機関の制御量である空気量、燃料量、及び点火時期等を決定し、また、実際の内燃機関の運転状態から実トルクを推定して各車両システムへ送信することで協調制御を実現して良好な走行性能を得ることができる内燃機関の制御装置及び制御方法が提案されている。
このような制御方法は一般にトルクベース制御と呼ばれているが、この方式の制御方法においては、内燃機関の運転状態に基づいて実トルクを精度良く算出できることが重要となる。
なお、基本的に共通の制御指標としてトルクを使用するが、近年では更に制御に自由度を持たせるため、点火時期に対するトルク特性、及びそれを計算するためのパラメータ群(最終的に求めたいトルク又はトルク計算の基となる熱効率を構成する特性因子)を同時に共通の制御指標とする場合がある。
通常、内燃機関のトルクを推定するために、前述した点火時期に対するトルク特性を計算するためのパラメータごとに、運転状態に応じて分解を行い、別の特性因子である要素に分けたものを制御装置に予め記憶している。そして記憶したこれらの要素を使用し、運転状態に応じてパラメータを算出してトルクを推定することが多く、特許文献1にも示されている。
ところで、内燃機関の運転状態からトルクを推定する方法としては、上述のようなマップデータを用いた算出方法以外にも、例えば、特許文献2のような、ニューラルネットワーク技術を応用した方法も提案されている。ここでニューラルネットワークとは、脳機能に見られるいくつかの特性を計算機上のシミュレーションによって表現することを目指した数学モデルであり、順伝播型ニューラルネットワーク(FNN:Feedforward Neural Network)に予め入力値に対する出力値を教師データとして学習させておけば、学習した入力値と出力値の関係を模擬する汎用的な近似関数として用いることができる。なお、ニューラルネットワークの学習方法としては、一般的に誤差逆伝播法(バックプロパゲーション法)が知られている。
特許第3225068号 特開平11-351045号公報
近年の燃費向上に向け複雑化する内燃機関制御用の機構に対し、内燃機関制御システムも同様に複雑化しており、適合工数の増大が大きな問題となっている。複雑化する内燃機関制御用の機構の例としては、吸排気VVT(Variable Valve Timing)、可変バルブリフト、可変圧縮比、ターボチャージャ、スワールコントロールバルブ、タンブルコントロールバルブ等が知られている。特許文献1のようなマップデータを用いた制御方法の場合、内燃機関制御用の機構が複雑になると、それだけ多くのマップデータが必要になり、それに伴い、適合工数もまた増大するという課題がある。適合に必要な内燃機関の試験という観点では、近年、市販のMBC(Model Based Calibration)ツールが充実してきている。例えば、DOE(Design of Experiments、実験計画法)に基づいて内燃機関の試験計画を立て、内燃機関の試験設備と連動してデータ採取を行い、その結果から内燃機関の統計的モデルを作成し、このモデルに基づいて制御に用いるマップデータを作成することができるようになっている。
しかしながら、MBCツールによりマップデータが作成できるとはいえ、多くのマップデータを作成するにはそれ相応の工数が必要となるし、内燃機関の機種毎にそのデータを管理することにもまた多くの工数が必要となる。更に、MBCツールの統計的モデルから制御用のマップデータを作成した場合には、考慮できる内燃機関の運転状態のパラメータ数が減るために精度が低下すると考えられるので、このマップデータを用いた制御精度の確認及び微調整にも多くの工数が必要となる。このように、従来のマップ制御ではMBCツール等を導入しても依然として膨大な適合工数が必要となるという課題がある。
また、特許文献2のような順伝播型ニューラルネットワーク(FNN)を用いて内燃機関の運転状態からトルクを推定する方法については、中間層が1層しかない従来の方法では、FNNを近似関数として用いても十分な精度を得ることができないという課題があった。近似精度という観点では、近年、深層学習(ディープラーニング)という手法が知られている。例えば、従来同様のニューラルネットワークを多層化(深層化)することで、近似関数としての精度を大幅に向上できるようになったものである。従来の学習方法では勾配消失問題などにより学習が良好に行えなかったのに対し、近年開発された様々な学習テクニックにより学習が良好に行えるようになった。なお、この深層学習は近年注目されている人工知能(AI)及び機械学習のひとつの方法としても知られている。
そこで、FNNを近似関数として用いて内燃機関の運転状態からトルク又は熱効率を推定するようにすれば、トルク及び熱効率の推定については、MBCツールにより教師データを作成し、それを学習させることで最低限の適合工数で良好に行えると考えられる。更に、MBCツールでも内燃機関の統計モデルを作成する手法のひとつとしてニューラルネットワークが用いられる場合もあるので、MBCツールで作成した内燃機関の統計モデルそのものを用いて内燃機関の運転状態からトルクを推定することもでき、この場合には更に工数を削減することができる。
しかし、このままではトルクを推定するだけであり、内燃機関の制御量である目標点火時期、目標吸入空気量を算出できない。例えば、点火時期又は吸入空気量を少しずつ変化させて、FNN等の関数を用いてトルクを繰り返し算出すれば、目標トルクを実現する目標点火時期又は目標吸入空気量を探索することができる。しかし、FNN等の関数を用いた演算を繰り返し行うと、演算負荷が増大する。特に、システム構成が複雑になり、FNN等の関数が複雑化すると、FNNの演算負荷が大幅に増加する。また、内燃機関の制御量には、複数種類あり、その算出方法も制御量によって様々である。そのため、制御量の種類及び算出方法に対応させるために、FNNの演算回数が増加する。そのため、FNN等の関数を用いた演算回数をできるだけ低減することが望まれる。
そこで、本願は、点火時期を含む内燃機関の運転状態に対するトルク又は熱効率の特性を表すニューラルネットワークを用いた演算回数をできるだけ低減して、内燃機関の各種の制御量を算出することができる内燃機関の制御装置を提供することを目的とする。
本願の内燃機関の制御装置は、
N個の係数算出用の点火時期(Nは、2以上の整数)を設定し、
内燃機関の出力算出用の運転状態及び点火時期と、内燃機関のトルク又は熱効率である出力情報との関係が予め学習されたニューラルネットワークを用い、現在の前記出力算出用の運転状態、及び前記N個の係数算出用の点火時期のそれぞれに対応するN個の前記出力情報を算出する点火対応出力算出部と、
前記N個の係数算出用の点火時期と前記N個の出力情報との間の関係を近似した近似関数の係数を算出する係数算出部と、
前記係数を用いて、制御用に設定された点火時期に対応する前記出力情報を算出し、算出した前記出力情報に基づいて、内燃機関の制御量を算出する制御量算出部と、
前記内燃機関の制御量に基づいて、内燃機関を制御するエンジン制御部と、
を備え
前記制御量算出部は、制御用に設定された基準の点火時期に対応する基準の熱効率を、前記係数を用いて算出し、要求されているトルクを前記基準の熱効率で除算した値に基づいて、内燃機関の目標の吸入空気量を算出するものである。

内燃機関の制御装置によれば、現在の運転条件における、点火時期と出力情報との間の関係を近似した近似関数の係数を一旦算出すれば、係数を用いた処理負荷の小さい演算により、各種の制御用の点火時期に対応する出力情報を算出することができ、出力情報に基づいて、各種の内燃機関の制御量を算出することができる。よって、処理負荷の大きい、ニューラルネットワークを用いた演算を繰り返し行う必要がなく、演算処理負荷を低減することができる。
実施の形態1に係る内燃機関及び制御装置の概略構成図である。 実施の形態1に係る制御装置の概略ブロック図である。 実施の形態1に係る制御装置のハードウェア構成図である。 実施の形態1に係る出力特性のニューラルネットワークを示す図である。 実施の形態1に係るトルクインターフェイス部のブロック図である。 実施の形態1に係る近似関数を説明する図である。 実施の形態2に係るトルクインターフェイス部のブロック図である。 実施の形態2に係る近似関数を説明する図である。
実施の形態1.
実施の形態1に係る内燃機関の制御装置30(以下、単に制御装置30と称す)について図面を参照して説明する。図1は、本実施の形態に係る内燃機関1の概略構成図であり、図2は、本実施の形態に係る制御装置30の概略ブロック図である。内燃機関1及び制御装置30は、車両に搭載され、内燃機関1は、車両(車輪)の駆動力源となる。
1.内燃機関1の構成
図1に示すように、内燃機関1は、空気と燃料の混合気を燃焼する燃焼室25を備えている。内燃機関1は、燃焼室25に空気を供給する吸気管23と、燃焼室25で燃焼した排気ガスを排出する排気管17とを備えている。燃焼室25は、シリンダ(気筒)とピストンにより構成されている。以下では、燃焼室25を気筒とも称す。内燃機関1は、ガソリンエンジンとされている。内燃機関1は、吸気管23を開閉するスロットルバルブ6を備えている。スロットルバルブ6は、制御装置30により制御される電気モータにより開閉駆動される電子制御式スロットルバルブとされている。スロットルバルブ6には、スロットルバルブ6の開度に応じた電気信号を出力するスロットル開度センサ7が設けられている。
スロットルバルブ6の上流側の吸気管23には、吸気管23に吸入される吸入空気流量に応じた電気信号を出力するエアフローセンサ3と、吸入空気の温度に応じた電気信号を出力する吸入空気温度センサ4と、が設けられている。吸入空気温度センサ4に検出された吸入空気の温度は、外気温に等しいとみなすことができる。
内燃機関1は、排気管17から吸気マニホールド12に排気ガスを還流するEGR流路21と、EGR流路21を開閉するEGRバルブ22と、を有している。吸気マニホールド12は、スロットルバルブ6の下流側の吸気管23の部分である。EGRバルブ22は、制御装置30により制御される電気モータにより開閉駆動される電子制御式EGRバルブとされている。EGRバルブ22には、EGRバルブ22の開度に応じた電気信号を出力するEGR開度センサ27が設けられている。なお、EGRは、排気ガス再循環、すなわち、Exhaust Gas Recirculationの頭文字である。EGRバルブ22を介して排気ガスが再循環するEGRを、外部EGRといい、吸排気バルブのバルブオーバーラップにより燃焼室内に排気ガスが残留するEGRを、内部EGRという。以下、外部EGRを単にEGRと称す。
吸気マニホールド12には、吸気マニホールド12内の気体の圧力であるマニホールド圧に応じた電気信号を出力するマニホールド圧センサ8と、吸気マニホールド12内の気体の温度であるマニホールド温度に応じた電気信号を出力するマニホールド温度センサ9と、が設けられている。
内燃機関1には、燃焼室25に燃料を供給するインジェクタ13が設けられている。インジェクタ13は、燃焼室25内に直接燃料を噴射するように設けられている。インジェクタ13は、吸気マニホールド12の下流側の部分に燃料を噴射するように設けられてもよい。内燃機関1には、大気圧に応じた電気信号を出力する大気圧センサ2が設けられている。
燃焼室25の頂部には、空気と燃料の混合気に点火する点火プラグと、点火プラグに点火エネルギーを供給する点火コイル16と、が設けられている。また、燃焼室25の頂部には、吸気管23から燃焼室25内に吸入される吸入空気量を調節する吸気バルブ14と、燃焼室25から排気管17に排出される排気ガス量を調節する排気バルブ15と、が設けられている。吸気バルブ14には、そのバルブ開閉タイミングを可変にする吸気可変バルブタイミング機構が設けられている。排気バルブ15には、そのバルブ開閉タイミングを可変にする排気可変バルブタイミング機構が設けられている。可変バルブタイミング機構14、15は、電動アクチュエータを有している。なお、可変バルブリフト、可変圧縮比、ターボチャージャ、スワールコントロールバルブ、タンブルコントロールバルブ等の機構が設けられてもよい。内燃機関1のクランク軸には、その回転角に応じた電気信号を出力するクランク角センサ20が設けられている。シリンダブロックにはノックセンサ28が固定されている。
排気管17には、排気ガス中の空気と燃料との比率である空燃比AF(Air/Fuel)に応じた電気信号を出力する空燃比センサ18が設けられている。また、排気管17には、排気ガスを浄化する触媒19が設けられている。
2.制御装置30の構成
次に、制御装置30について説明する。制御装置30は、内燃機関1を制御対象とする制御装置である。図2のブロック図に示すように、制御装置30は、トルク制御部31、トルクインターフェイス部32、及びエンジン制御部33等の制御部を備えている。制御装置30の各制御部31~33等は、制御装置30が備えた処理回路により実現される。具体的には、制御装置30は、図3に示すように、処理回路として、CPU(Central Processing Unit)等の演算処理装置90(コンピュータ)、演算処理装置90とデータのやり取りをする記憶装置91、演算処理装置90に外部の信号を入力する入力回路92、演算処理装置90から外部に信号を出力する出力回路93、及び通信回路94等を備えている。
演算処理装置90として、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、IC(Integrated Circuit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、各種の論理回路、及び各種の信号処理回路等が備えられてもよい。また、演算処理装置90として、同じ種類のもの又は異なる種類のものが複数備えられ、各処理が分担して実行されてもよい。記憶装置91として、演算処理装置90からデータを読み出し及び書き込みが可能に構成されたRAM(Random Access Memory)、及び演算処理装置90からデータを読み出し可能に構成されたROM(Read Only Memory)等が備えられている。入力回路92は、各種のセンサ及びスイッチが接続され、これらセンサ及びスイッチの出力信号を演算処理装置90に入力するA/D変換器等を備えている。出力回路93は、電気負荷が接続され、これら電気負荷に演算処理装置90から制御信号を出力する駆動回路等を備えている。
通信回路94は、変速機を制御する変速機制御装置95、ハイブリッド車両に設けられたモータの制御を行うモータ制御装置96、ブレーキ制御及びトラクション制御を行うブレーキ・トラクション制御装置97等の外部の制御装置と、通信線を介して接続され、CAN(Controller Area Network)等の通信プロトコルに基づいて有線通信を行う。
そして、制御装置30が備える各制御部31~33等の各機能は、演算処理装置90が、ROM等の記憶装置91に記憶されたソフトウェア(プログラム)を実行し、記憶装置91、入力回路92、及び出力回路93等の制御装置30の他のハードウェアと協働することにより実現される。なお、各制御部31~33等が用いるニューラルネットワーク、各関数、定数等の設定データは、ソフトウェア(プログラム)の一部として、ROM等の記憶装置91に記憶されている。
本実施の形態では、入力回路92には、大気圧センサ2、エアフローセンサ3、吸入空気温度センサ4、スロットル開度センサ7、マニホールド圧センサ8、マニホールド温度センサ9、空燃比センサ18、クランク角センサ20、アクセル開度センサ26、EGR開度センサ27、及びノックセンサ28等が接続されている。出力回路93には、スロットルバルブ6(電気モータ)、インジェクタ13、吸気可変バルブタイミング機構14、排気可変バルブタイミング機構15、点火コイル16、及びEGRバルブ22(電動アクチュエータ)等が接続されている。なお、制御装置30には、図示していない各種のセンサ、スイッチ、及びアクチュエータ等が接続されている。
2-1.トルクベース制御
制御装置30は、目標トルクに基づいて内燃機関1を制御するトルクベース制御を実行する。制御装置30は、上述したように、概略的に、トルク制御部31、トルクインターフェイス部32、及びエンジン制御部33を備えている。トルク制御部31は、目標トルクの演算を行う。トルクインターフェイス部32は、目標トルク等に基づいて、内燃機関の制御量の目標値を算出する。エンジン制御部33は、制御量の目標値に基づいて、各種の電気負荷を駆動制御する。
<トルク制御部31>
トルク制御部31は、アクセル開度センサ26により検出された実アクセル開度に基づいて、運転者が内燃機関1に要求しているトルクであるドライバ要求トルクを算出する。また、トルク制御部31は、アイドリング運転時に回転速度を維持するために必要なトルクであるアイドリングトルクを算出する。また、トルク制御部31は、変速機制御装置95、モータ制御装置96、及びブレーキ・トラクション制御装置97等の外部の制御装置から要求されているトルクである外部要求トルクを算出する。そして、トルク制御部31は、ドライバ要求トルク、アイドリングトルク、及び外部要求トルクの優先順位を判定して、目標トルクを算出する(このような演算をトルク調停とも言う)。
ここで、目標トルクには、低応答目標トルクTrqtsと高応答目標トルクTrqtfとがある。低応答目標トルクTrqtsは、点火時期の遅角を伴わずに内燃機関に要求されているトルクであり、高応答目標トルクTrqtfは、点火時期を遅角することを含み、内燃機関に要求されているトルクである。通常は、低応答目標トルクTrqtsと高応答目標トルクTrqtfとが一致しているが、点火時期の遅角によるトルクダウン要求があった場合に、高応答目標トルクTrqtfが、低応答目標トルクTrqtsよりも低くなる。
トルク制御部31は、主に、ドライバ要求トルクと、定常時のアイドリングトルクとの大きいものに基づいて、低応答目標トルクTrqtsを算出し、外部要求トルクと、負荷変化時のアイドリングトルクとに基づいて、高応答目標トルクTrqtfを算出する。
<トルクインターフェイス部32>
トルクインターフェイス部32は、内燃機関の運転状態に基づいて、目標トルクと充填効率の相互変換、及び目標トルクと点火時期の相互変換を実施し、目標充填効率Ect、及び目標点火時期θigtを算出し、エンジン制御部33に伝達する。また、トルクインターフェイス部32は、内燃機関の運転状態に基づいて、実トルクTrqrを算出し、トルク制御部31に伝達する。トルクインターフェイス部32の詳細な処理は、後述する。
<運転状態検出部330>
エンジン制御部33は、内燃機関の運転状態を検出する運転状態検出部330を備えている。運転状態検出部330は、各種のセンサの出力信号等に基づいて各種の運転状態を検出する。具体的には、運転状態検出部330は、大気圧センサ2の出力信号に基づいて実大気圧を検出し、エアフローセンサ3の出力信号に基づいて実吸入空気流量を検出し、吸入空気温度センサ4の出力信号に基づいて実外気温を検出し、スロットル開度センサ7の出力信号に基づいて実スロットル開度を検出し、マニホールド圧センサ8の出力信号に基づいて実マニホールド圧を検出し、マニホールド温度センサ9の出力信号等に基づいて吸気マニホールド12内の気体の温度である実マニホールド温度を検出し、空燃比センサ18の出力信号に基づいて、排気ガスの実空燃比AFrを検出し、アクセル開度センサ26の出力信号に基づいて実アクセル開度を検出し、EGR開度センサ27の出力信号に基づいて実EGR開度を検出する。
運転状態検出部330は、クランク角センサ20の出力信号に基づいてクランク角度及び実回転速度Nerを検出する。運転状態検出部330は、カム角センサ(不図示)のエッジと、クランク角度の位相差に基づいて、吸気可変バルブタイミング機構14(以下、吸気VVT14と称す)の実位相角IVTr、及び排気可変バルブタイミング機構15(以下、排気VVT15と称す)の実位相角EVTrを検出する。
運転状態検出部330は、燃焼室25内に吸入された空気量の情報である筒内吸気量情報を検出する。運転状態検出部330は、実吸入空気流量及び実回転速度Ner等に基づいて、筒内吸気量情報として、燃焼室25内に吸入された実吸入空気量Qcr[g/stroke]、及び実充填効率Ecr[%]を算出する。例えば、運転状態検出部330は、実吸入空気流量[g/s]に、回転速度Neに応じた行程周期を乗算した値に、吸気マニホールドの遅れを模擬したフィルタ処理を行った値を、実吸入空気量Qcr[g/stroke]として算出する。或いは、運転状態検出部330は、実マニホールド圧、実回転速度Ner等に基づいて実吸入空気量Qcr[g/stroke]及び実充填効率Ecr[%]を算出してもよい。
運転状態検出部330は、EGR開度等に基づいて、燃焼室25内に吸入された実排気ガス再循環量である実EGR量[g/stroke]を算出する。例えば、運転状態検出部330は、EGR開度及びマニホールド圧等に基づいて、EGRバルブ22を通過する実EGR流量[g/s]を算出し、実EGR流量に行程周期を乗算した値に、フィルタ処理を行った値を、実EGR量[g/stroke]として算出する。運転状態検出部330は、実吸入空気量に対する実EGR量の比率である実EGR率Regrr[%]を算出する。
<吸気量制御部331>
エンジン制御部33は、吸入空気量を制御する吸気量制御部331を備えている。吸気量制御部331は、目標充填効率Ectから目標吸入空気量を算出し、目標吸入空気量から目標吸入空気流量を算出する。エンジン制御部33は、目標吸入空気流量を達成するように、実吸入空気流量及び実マニホールド圧に基づいて、目標スロットル開度を算出し、スロットルバルブ6の電気モータを駆動制御する。
吸気量制御部331は、実回転速度Ner及び目標充填効率Ectに基づいて、吸気VVT14の目標位相角IVTt(以下、目標吸気位相角IVTtと称す)を算出し、吸気VVT14の電動アクチュエータを駆動制御する。吸気量制御部331は、実回転速度Ner及び目標充填効率Ectに基づいて、排気VVT15の目標位相角EVTt(以下、目標排気位相角EVTtと称す)を算出し、排気VVT15の電動アクチュエータを駆動制御する。吸気量制御部331は、実回転速度Ner及び目標充填効率Ectに基づいて、目標EGR開度を算出し、EGRバルブ22の電動アクチュエータを駆動制御する。
<燃料制御部332>
エンジン制御部33は、燃料噴射量を制御する燃料制御部332を備えている。燃料制御部332は、実充填効率Ecrに基づいて、目標空燃比AFtを達成するための燃料噴射量を算出し、インジェクタ13を駆動制御する。燃料制御部332は、実回転速度Ner及び目標充填効率Ectに基づいて、目標空燃比AFtを算出する。
<点火制御部333>
エンジン制御部33は、点火コイルへの通電を行う点火制御部333を備えている。点火制御部333は、トルクインターフェイス部32から伝達された目標点火時期θigtに基づいて、最終点火時期θsaを決定する。点火制御部333は、ノックセンサ28によりノックが検出されている場合は、ノックが発生しないように、目標点火時期θigtに対して遅角補正を行って、最終点火時期θsaを算出する。また、点火制御部333は、失火防止のために遅角上限点火時期θrtdよりも遅角側に最終点火時期θsaが設定されないように、遅角上限点火時期θrtdにより遅角側の点火時期を上限制限する遅角制限を行う。そして、点火制御部333は、最終点火時期θsaに基づいて、点火コイル16への通電制御を行う。この最終点火時期θsaが、実点火時期θsaとなる。本実施の形態では、点火時期は、クランク角度で設定されるものとする。
2-2.トルクインターフェイス部32の詳細構成
上述したように、トルクインターフェイス部32は、内燃機関の運転状態に基づいて、トルクと充填効率の相互変換、及びトルクと点火時期の相互変換を実施し、目標充填効率Ect、及び目標点火時期θigtを算出する。図5に示すように、トルクインターフェイス部32は、点火対応出力算出部321、係数算出部322、及び制御量算出部323を備えている。
2-2-1.点火対応出力算出部321
<出力特性のニューラルネットワーク>
トルクインターフェイス部32は、内燃機関の出力算出用の運転状態及び点火時期と、内燃機関のトルク又は熱効率である出力情報(本例では、熱効率η)との関係が予め学習されたニューラルネットワーク(以下、出力特性のニューラルネットワークと称す)を記憶している。
本実施の形態では、図4に示すように、出力特性のニューラルネットワークは、順伝播型のニューラルネットワーク(FNN:Feedforward Neural Network)により構成されている。FNNは、階層上に並べられたユニット(ノード、ニューロンとも言う)が隣接する層間で結合した構造を持ち、情報が入力側から出力側に向かって伝播するよう構成されているネットワークである。ユニットで行われる演算は、前層の各ユニットから入力されてくる値に重みを掛け、更にバイアスを加えたものが、そのユニットへの総入力となり、この総入力を活性化関数へ通した後の出力が、ユニットの出力となる。
このようなユニットから構成されるFNNを近似関数として用いるには、FNNのへ入力値とその出力値が所望の関係となるように、各ユニットの重み及びバイアスを調整しておく必要がある。この調整には教師データと呼ばれる入力値と出力値のデータセットを予め多数用意しておき、誤差逆伝播法(バックプロパゲーション法)と呼ばれる方法を適用することにより行われる。このように重み及びバイアスを調整することをニューラルネットワークの学習と言い、良好に学習することができると、FNNは教師データの持つ特徴を記憶した汎用的な関数として用いることができる。調整及び学習後のFNNの構成、及び各ユニット(ニューロン)の重み及びバイアスは、予め記憶装置91に記憶されている
なお、FNNの層の数が多いほど、また層に含まれるユニットの数が多いほど、近似精度が向上すると考えられているが、学習の状況によっては教師データと異なる点では精度が極端に悪化する場合(これを過学習又は過適合という)があり、このような場合には、学習を途中で打ち切って過学習を抑制する、教師データ数を増やす等して必要な近似精度が得られるよう調整を行う必要がある。以上がFNNの概要であるが、FNN及びその学習方法に関しては、公知の技術であるので、ここではFNNは公知として説明する。
図4に示す例では、FNNの構成として、出力算出用の運転状態及び点火時期θigが入力層に入力され、5個のユニットを持つ中間層が3層あり、出力層にて熱効率ηが出力される構成となっている。
本実施の形態では、出力算出用の運転状態は、回転速度Ne、充填効率Ec、EGR率Regr、及び空燃比AFとされている。出力算出用の運転状態として、水温、吸気温、大気圧、マニホールド温度等の環境条件が用いられてもよいし、吸気位相角IVT、排気位相角EVT、EGRバルブ開度のような他の内燃機関の運転状態が入力されるように構成されてもよい。また、内燃機関のシステム構成が異なる場合は、そのシステム構成の運転状態(例えば、可変バルブリフト、可変圧縮比等)が入力されるように構成されてもよい。また、中間層に関しても、各層のユニット数及び層数自体を増減させてもよい。これらは、事前に行われるFNNの学習時に、近似精度に応じて調整するべきパラメータである。
本実施の形態では、出力情報として、FNNにより熱効率ηが算出される例を示しているが、出力情報として、FNNによりトルクTrqが算出されるように構成されてもよい。熱効率η及びトルクTrqのいずれが算出されても、式(3)等に示すように、熱効率ηとトルクTrqとを、吸入空気量、空燃比、単位質量当たりの燃料の熱量等を用いて相互に変換することができる。なお、熱効率ηは、燃焼室に供給した燃料の熱量の内、トルクに変換される割合である。
<N個の係数算出用の点火時期の設定>
点火対応出力算出部321は、N個の係数算出用の点火時期(Nは、2以上の整数)を設定する。本実施の形態では、点火対応出力算出部321は、N個の係数算出用の点火時期として、内燃機関のトルクが最大になる点火時期である最大トルク点火時期θMBT、及び最大トルク点火時期よりも遅角側の点火時期である遅角側点火時期θsplの2個の係数算出用の点火時期を設定する。
点火対応出力算出部321は、内燃機関のMBT算出用の運転状態と、最大トルク点火時期θMBTとの関係が予め設定されたMBT設定関数を用い、現在のMBT算出用の運転状態に対応する最大トルク点火時期θMBTを算出する。MBT算出用の運転状態は、回転速度Ne、充填効率Ec、EGR率Regr、及び空燃比AF等の運転状態に設定にされる。本実施の形態では、MBT算出用の運転状態は、出力算出用の運転状態と同じに設定されている。
MBT設定関数は、ニューラルネットワークにより構成されてもよいし、複数のマップデータにより構成されてもよい。複数のマップデータにより構成される場合は、点火対応出力算出部321は、回転速度及び充填効率と最大トルク点火時期の基本値との関係が予め設定されたマップデータを用いて、現在の回転速度及び充填効率に対応する最大トルク点火時期の基本値を算出し、EGR率と補正値との関係が予め設定されたマップデータ、及び空燃比と補正値との関係が予め設定されたマップデータを用い、現在のEGR率及び空燃比に対応する補正値を算出し、最大トルク点火時期の基本値を補正値で補正して、最大トルク点火時期θMBTを算出する。
例えば、点火対応出力算出部321は、最大トルク点火時期θMBTに、予め設定された遅角角度Δθrtd(例えば、10度)を加算した角度を、遅角側点火時期θsplに設定する。或いは、点火対応出力算出部321は、後述する遅角上限点火時期θrtdを遅角側点火時期θsplに設定してもよい。
<N個の出力情報の算出>
点火対応出力算出部321は、上述した出力特性のニューラルネットワークを用い、現在の出力算出用の運転状態、及びN個の係数算出用の点火時期のそれぞれに対応するN個の出力情報を算出する。本実施の形態では、点火対応出力算出部321は、出力特性のニューラルネットワークを用い、現在の出力算出用の運転状態、及び2個の係数算出用の点火時期θMBT、θsplのそれぞれに対応する2個の熱効率ηMBT、ηsplを算出する。最大トルク点火時期θMBTに対応する熱効率ηMBTを、MBT熱効率ηMBTと称し、遅角側点火時期θsplに対応する熱効率ηsplを、遅角側熱効率ηsplと称する。
具体的には、点火対応出力算出部321は、現在の出力算出用の運転状態(本例では、実回転速度Ner、実充填効率Ecr、実EGR率Regrr、及び目標空燃比AFt又は実空燃比AFr)及び最大トルク点火時期θMBTを、出力特性のニューラルネットワークに入力し、ニューラルネットワークの各ユニットの算出処理を行い、ニューラルネットワークから出力された熱効率ηを、MBT熱効率ηMBTとして算出する。また、点火対応出力算出部321は、現在の出力算出用の運転状態及び遅角側点火時期θsplを、出力特性のニューラルネットワークに入力し、ニューラルネットワークの各ユニットの算出処理を行い、ニューラルネットワークから出力された熱効率ηを、遅角側熱効率ηsplとして算出する。
なお、点火対応出力算出部321は、現在の出力算出用の運転状態とMBT熱効率ηMBTとの関係が予め設定されたマップデータを用い、現在の出力算出用の運転状態に対応するMBT熱効率ηMBTを算出するように構成されてもよい。この場合は、点火対応出力算出部321は、回転速度及び充填効率とMBT熱効率の基本値との関係が予め設定されたマップデータを用いて、現在の回転速度及び充填効率に対応するMBT熱効率の基本値を算出し、EGR率と補正値との関係が予め設定されたマップデータ、及び空燃比と補正値との関係が予め設定されたマップデータを用い、現在のEGR率及び空燃比に対応する補正値を算出し、MBT熱効率の基本値を補正値で補正して、MBT熱効率ηMBTを算出する。
2-2-2.係数算出部322
係数算出部322は、N個の係数算出用の点火時期とN個の出力情報との間の関係を近似した近似関数の係数(パラメータ)を算出する。本実施の形態では、係数算出部322は、最大トルク点火時期θMBT、及び最大トルク点火時期θMBTに対応するMBT熱効率ηMBTを、2次関数とした近似関数の極値に設定し、遅角側点火時期θspl、及び遅角側点火時期θsplに対応する遅角側熱効率ηsplに基づいて、係数を算出する。
近似関数は、次式及び図6に示す2次関数に設定されている。
η=ηMBT×{1-Ka×(θig-θMBT)} ・・・(1)
ここで、Kaは、2次関数の係数の1つであり、以下、感度係数Kaと称す。また、最大トルク点火時期θMBT、及びMBT熱効率ηMBTも、2次関数の係数である。すなわち、最大トルク点火時期θMBT、MBT熱効率ηMBT、及び感度係数Kaが、式(1)の2次関数の係数とされている。
そして、係数算出部322は、次式を用いて、感度係数Kaを算出する。式(2)は、式(1)に、遅角側点火時期θspl及び遅角側熱効率ηsplを代入して、感度係数Kaについて整理した式である。
Ka=(1-ηspl/ηMBT)/(θspl-θMBT) ・・・(2)
2-2-3.制御量算出部323
制御量算出部323は、係数を用いて、制御用に設定された点火時期に対応する出力情報を算出し、算出した出力情報に基づいて、内燃機関の制御量を算出する。制御量算出部323は、内燃機関の制御量として、内燃機関の目標の吸入空気量(本例では、目標充填効率Ect)、内燃機関の目標点火時期θigt、及び内燃機関のトルクの1つ以上を算出する。
この構成によれば、現在の運転条件における、点火時期と出力情報との間の関係を近似した近似関数の係数を一旦算出すれば、係数を用いた処理負荷の小さい演算により、各種の制御用の点火時期に対応する出力情報を算出することができ、及び出力情報に基づいて、各種の内燃機関の制御量を算出することができる。よって、処理負荷の大きい、出力特性のニューラルネットワークを用いた演算を繰り返し行う必要がなく、演算処理負荷を低減することができる。
2-2-3-1.係数を用いた目標点火時期θigtの算出
制御量算出部323は、制御用に設定された基準の点火時期θigbに対応する基準のトルクTrqbを、係数を用いて算出し、基準のトルクTrqbにトルクの変化量ΔTrqを加算して、目標トルクTrqtを算出し、目標トルクTrqtに対応する目標点火時期θigtを、係数を用いて算出する。
この構成によれば、係数を用いた処理負荷の小さい演算により、基準の点火時期θigbに対応する基準のトルクTrqbを算出することができる。また、係数を用いた処理負荷の小さい演算により、目標トルクTrqtに対応する目標点火時期θigtを算出することができる。特に、この目標トルクTrqtに対応する目標点火時期θigtの算出は、出力特性のニューラルネットワークの逆特性の演算であるので、出力特性のニューラルネットワークを用いて算出しようとすると、点火時期を少しずつ変化させて、出力特性のニューラルネットワークの演算処理を繰り返し行って、目標トルクTrqtに対応する点火時期を探索する必要があり、処理負荷が特に大きくなる。よって、演算処理負荷の低減効果が大きくなる。
<点火時期の遅角によるトルクダウン要求>
点火時期の遅角によるトルクダウン要求があった場合の、目標点火時期θigtについて説明する。なお、高応答目標トルクTrqtfが低応答目標トルクTrqtsに一致しており、点火時期の遅角によるトルクダウン要求がない場合は、制御量算出部323は、基準の点火時期θigbを目標点火時期θigtに設定する。高応答目標トルクTrqtfが低応答目標トルクTrqtsよりも低く、点火時期の遅角によるトルクダウン要求がある場合は、制御量算出部323は、以下で説明する係数を用いた演算により、目標点火時期θigtを設定する。
制御量算出部323は、次式に示すように、係数Ka、θMBT、ηMBTを用いて、基準の点火時期θigbに対応する基準の熱効率ηbを算出し、基準の熱効率ηb、実吸入空気量Qcr、及び目標空燃比AFtに基づいて、基準のトルクTrqbを算出する。
ηb=ηMBT×{1-Ka×(θigb-θMBT)
Trqb=Qcr/AFt×HT×ηb ・・・(3)
ここで、HTは、単位質量当たりの燃料の発熱量であり、燃料の種類に応じて予め設定される。
また、制御量算出部323は、次式に示すように、MBT熱効率ηMBT、実吸入空気量Qcr、及び目標空燃比AFtに基づいて、点火時期が最大トルク点火時期θMBTである場合の、トルクTrqMBT(MBTトルクTrqMBTと称す)を算出する。
TrqMBT=Qcr/AFt×HT×ηMBT ・・・(4)
制御量算出部323は、次式に示すように、低応答目標トルクTrqtsから高応答目標トルクTrqtfを減算して、トルクダウン量ΔTdwnを算出する。そして、制御量算出部323は、感度係数Ka、基準のトルクTrqb、MBTトルクTrqMBT、及びトルクダウン量ΔTdwnに基づいて、目標点火時期θigtを算出する。
Figure 0007005697000002
なお、制御量算出部323は、内燃機関の基準点火時期算出用の運転状態と、基準点火時期θigbとの関係が予め設定された基準点火時期設定関数を用い、現在の基準点火時期算出用の運転状態に対応する基準点火時期θigbを算出する。基準点火時期算出用の運転状態は、回転速度Ne、充填効率Ec、EGR率Regr、及び空燃比AF等の運転状態に設定にされる。本実施の形態では、基準点火時期算出用の運転状態は、出力算出用の運転状態と同じに設定されている。
基準点火時期設定関数は、ニューラルネットワークにより構成されてもよいし、複数のマップデータにより構成されてもよい。複数のマップデータにより構成される場合は、制御量算出部323は、回転速度及び充填効率と基準点火時期の基本値との関係が予め設定されたマップデータを用いて、現在の回転速度及び充填効率に対応する基準点火時期の基本値を算出し、EGR率と補正値との関係が予め設定されたマップデータ、及び空燃比と補正値との関係が予め設定されたマップデータを用い、現在のEGR率及び空燃比に対応する補正値を算出し、基準点火時期の基本値を補正値で補正して、基準点火時期θigbを算出する。
<アイドリング時の目標点火時期>
次に、アイドリング時の目標点火時期θigtの設定について説明する。制御量算出部323は、次式に示すように、係数Ka、θMBT、ηMBTを用いて、アイドリング時の基準の点火時期θigb_idlに対応する基準の熱効率ηbを算出し、基準の熱効率ηb、実吸入空気量Qcr、及び目標空燃比AFtに基づいて、基準のトルクTrqbを算出する。
ηb=ηMBT×{1-Ka×(θigb_idl-θMBT)
Trqb=Qcr/AFt×HT×ηb ・・・(6)
また、制御量算出部323は、次式に示すように、MBT熱効率ηMBTを用いて、点火時期が最大トルク点火時期θMBTである場合の、トルクTrqMBT(MBTトルクTrqMBTと称す)を算出する。
TrqMBT=Qcr/AFt×HT×ηMBT ・・・(7)
制御量算出部323は、各負荷の作動状態、水温等に基づいて、アイドリング時の、基準のトルクTrqbからの加算トルクΔTidlを算出する。負荷には、エアコンディショナーの作動状態、発電機の作動状態等がある。
そして、制御量算出部323は、次式に示すように、感度係数Ka、基準のトルクTrqb、MBTトルクTrqMBT、及び加算トルクΔTidlに基づいて、アイドリング時の目標点火時期θigtを算出する。
Figure 0007005697000003
なお、制御量算出部323は、内燃機関のアイドルリング用の運転状態と、アイドルリング時の基準点火時期θigb_idlとの関係が予め設定されたアイドルリング時の基準点火時期設定関数を用い、現在のアイドルリング用の運転状態に対応するアイドルリング時の基準点火時期θigb_idlを算出する。アイドルリング用の運転状態は、回転速度Ne、充填効率Ec等の運転状態に設定にされる。アイドルリング時の基準点火時期設定関数は、マップデータにより構成されてもよいし、ニューラルネットワークにより構成されてもよい。
2-2-3-2.係数を用いた目標充填効率Ectの算出
制御量算出部323は、制御用に設定された基準の点火時期θigbに対応する基準の熱効率ηbを、係数を用いて算出し、要求されているトルクを基準の熱効率ηbで除算した値に基づいて、内燃機関の目標の吸入空気量(本例では、目標充填効率Ect)を算出する。
この構成によれば、係数を用いた処理負荷の小さい演算により、基準の点火時期θigbに対応する基準の熱効率ηbを算出することができる。
<低応答目標トルクTrqtsに対応する目標充填効率Ectの設定>
制御量算出部323は、次式に示すように、係数Ka、θMBT、ηMBTを用いて、基準の点火時期θigbに対応する基準の熱効率ηbを算出する。
ηb=ηMBT×{1-Ka×(θigb-θMBT)} ・・・(9)
そして、制御量算出部323は、次式に示すように、低応答目標トルクTrqts、基準の熱効率ηb、及び目標空燃比AFtに基づいて、目標充填効率Ectを算出する。
Ect=Trqts/ηb/HT×AFt/(ρ×Vcyl)×100
・・・(10)
ここで、ρは、空気密度であり、Vcylは、燃焼室の容積である。
<アイドリング時の目標充填効率Ectの設定>
制御量算出部323は、次式に示すように、係数Ka、θMBT、ηMBTを用いて、アイドリング時の基準の点火時期θigb_idlに対応する基準の熱効率ηbを算出する。
ηb=ηMBT×{1-Ka×(θigb_idl-θMBT)
・・・(11)
そして、制御量算出部323は、次式に示すように、アイドリング時の要求トルクTrq_idl、駆動系トルクTrqm、基準の熱効率ηb、及び目標空燃比AFtに基づいて、目標充填効率Ectを算出する。
Ect=(Trq_idl+Trqm)/ηb/HT×AFt
/(ρ×Vcyl)×100 ・・・(12)
制御量算出部323は、回転速度Ne等の運転状態に基づいて、アイドリング時の要求トルクTrq_idlを算出する。また、制御量算出部323は、水温、発電機の作動状態等に基づいて、駆動系トルクTrqmを算出する。
<点火時期の遅角時の目標充填効率Ectの設定>
触媒昇温等のために、点火時期の遅角が設定される場合があり、その場合の目標充填効率Ectの設定について説明する。制御量算出部323は、制御用に設定された基準の点火時期θigbに対応する基準のトルクTrqbを、係数を用いて算出し、基準の点火時期θigbから遅角した目標点火時期θigtに対応する遅角後の熱効率ηrtdを、係数を用いて算出し、基準のトルクTrqbを遅角後の熱効率ηrtdで除算した値に基づいて、内燃機関の目標の吸入空気量(本例では、目標充填効率Ect)を算出する。
この構成によれば、係数を用いた処理負荷の小さい演算により、基準の点火時期θigbに対応する基準のトルクTrqb、及び遅角後の目標点火時期θigtに対応する遅角後の熱効率ηrtdを算出することができる。
制御量算出部323は、次式に示すように、係数Ka、θMBT、ηMBTを用いて、基準の点火時期θigbに対応する基準の熱効率ηbを算出し、基準の熱効率ηb、実吸入空気量Qcr、及び目標空燃比AFtに基づいて、基準のトルクTrqbを算出する。
ηb=ηMBT×{1-Ka×(θigb-θMBT)
Trqb=Qcr/AFt×HT×ηb ・・・(13)
制御量算出部323は、次式に示すように、係数Ka、θMBT、ηMBTを用いて、遅角後の目標点火時期θigtに対応する遅角後の熱効率ηrtdを算出する。
θigt=θigb+Δθrtd
ηrtd=ηMBT×{1-Ka×(θigt-θMBT)} ・・・(14)
ここで、Δθrtdは、点火時期の遅角量であり、水温等に基づいて設定される。
そして、制御量算出部323は、次式に示すように、基準のトルクTrqb、遅角後の熱効率ηrtd、及び目標空燃比AFtに基づいて、目標充填効率Ectを算出する。
Ect=Trqb/ηrtd/HT×AFt/(ρ×Vcyl)×100
・・・(15)
なお、遅角時の目標充填効率Ectの設定は、アイドリング時に行われてもよい。この場合は、式(13)の基準の点火時期θigbが、アイドリング時の基準の点火時期θigb_idlに設定される。
2-2-3-3.係数を用いた点火時期によるトルクの操作可能範囲の算出
制御量算出部323は、制御用に設定された基準の点火時期θigbに対応する基準のトルクTrqbを、係数を用いて算出し、制御用に設定された遅角側の上限の点火時期(本例では、上述した遅角上限点火時期θrtd)に対応する遅角側の上限のトルクTrqrtdを算出し、基準のトルクTrqbから遅角側の上限のトルクTrqrtdまでを、点火時期の遅角によるトルクの操作可能範囲として算出する。
この構成によれば、係数を用いた処理負荷の小さい演算により、基準の点火時期θigbに対応する基準のトルクTrqb、及び遅角上限点火時期θrtdに対応する遅角側の上限のトルクTrqrtdを算出し、点火時期の遅角によるトルクの操作可能範囲を算出することができる。
制御量算出部323は、次式に示すように、係数Ka、θMBT、ηMBTを用いて、基準の点火時期θigbに対応する基準の熱効率ηbを算出し、基準の熱効率ηb、実吸入空気量Qcr、及び目標空燃比AFtに基づいて、基準のトルクTrqbを算出する。
ηb=ηMBT×{1-Ka×(θigb-θMBT)
Trqb=Qcr/AFt×HT×ηb ・・・(16)
また、制御量算出部323は、次式に示すように、係数Ka、θMBT、ηMBTを用いて、遅角上限点火時期θrtdに対応する遅角側の上限の熱効率ηrtdを算出し、遅角側の上限の熱効率ηrtd、実吸入空気量Qcr、及び目標空燃比AFtに基づいて、遅角側の上限のトルクTrqrtdを算出する。
ηrtd=ηMBT×{1-Ka×(θrtd-θMBT)
Trqrtd=Qcr/AFt×HT×ηrtd ・・・(17)
制御量算出部323は、算出した基準のトルクTrqbから遅角側の上限のトルクTrqrtdまでの操作可能範囲を、目標トルクの設定に用いたり、外部の制御装置に伝達したりする。
2-2-3-4.係数を用いた実トルクTrqrの算出
制御量算出部323は、最終点火時期θsaに対応する実トルクTrqrを、係数を用いて算出する。なお、ノックの検出による点火時期の遅角補正が行われていない場合は、最終点火時期θsaの代わりに、目標点火時期θigtが用いられもよい。
この構成によれば、係数を用いた処理負荷の小さい演算により、最終点火時期θsaに対応する実トルクTrqrを算出することができる。
制御量算出部323は、次式に示すように、係数Ka、θMBT、ηMBTを用いて、最終点火時期θsaに対応する実熱効率ηrを算出し、実熱効率ηr、実吸入空気量Qcr、及び目標空燃比AFtに基づいて、実トルクTrqrを算出する。
ηr=ηMBT×{1-Ka×(θsa-θMBT)
Trqr=Qcr/AFt×HT×ηr ・・・(18)
2.実施の形態2
次に、実施の形態2に係る制御装置30について説明する。上記の実施の形態1と同様の構成部分は説明を省略する。本実施の形態に係る制御装置30の基本的な構成は実施の形態1と同様であるが、N個の係数算出用の点火時期の設定方法、及び係数の算出方法が、実施の形態1と異なる。図7に、本実施の形態に係るトルクインターフェイス部32のブロック図を示す。
点火対応出力算出部321は、N個の係数算出用の点火時期として、互いに異なる3個の係数算出用の点火時期θspl1、θspl2、θspl3を設定する。
例えば、次式に示すように、点火対応出力算出部321は、第1の係数算出用の点火時期θspl1を、基準の点火時期θigbに設定し、第2の係数算出用の点火時期θspl2を、基準の点火時期θigbよりも第1角度(例えば、5度)だけ遅角側に設定し、第3の係数算出用の点火時期θspl3を、基準の点火時期θigbよりも第2角度(例えば、10度)だけ遅角側に設定する。
θspl1=θigb、θspl2=θigb+5、θspl3=θigb+10
・・・(19)
なお、第3の係数算出用の点火時期θspl3が、遅角上限点火時期θrtdに設定され、第2の係数算出用の点火時期θspl2が、第1係数算出用の点火時期θspl1と第3の係数算出用の点火時期θspl3との中間角度に設定されてもよい。
そして、点火対応出力算出部321は、出力特性のニューラルネットワークを用い、現在の出力算出用の運転状態、及び3個の係数算出用の点火時期θspl1、θspl2、θspl3のそれぞれに対応する3個の熱効率ηspl1、ηspl2、ηspl3を算出する。
具体的には、点火対応出力算出部321は、現在の出力算出用の運転状態(本例では、実回転速度Ner、実充填効率Ecr、実EGR率Regrr、及び目標空燃比AFt又は実空燃比AFr)及び第1の係数算出用の点火時期θspl1を、出力特性のニューラルネットワークに入力し、ニューラルネットワークの算出処理を行い、ニューラルネットワークから出力された熱効率ηを、第1の熱効率ηspl1として算出する。また、点火対応出力算出部321は、現在の出力算出用の運転状態及び第2の係数算出用の点火時期θspl2を、出力特性のニューラルネットワークに入力し、ニューラルネットワークの算出処理を行い、ニューラルネットワークから出力された熱効率ηを、第2の熱効率ηspl2として算出する。点火対応出力算出部321は、現在の出力算出用の運転状態及び第3の係数算出用の点火時期θspl3を、出力特性のニューラルネットワークに入力し、ニューラルネットワークの算出処理を行い、ニューラルネットワークから出力された熱効率ηを、第3の熱効率ηspl3として算出する。
そして、係数算出部322は、3個の係数算出用の点火時期θspl1、θspl2、θspl3と3個の熱効率ηspl1、ηspl2、ηspl3との間の関係を近似した近似関数としての2次関数の係数を算出する。
近似関数は、次式及び図8に示す2次関数に設定されている。
η=A×θig+B×θig+C ・・・(20)
ここで、Aは、2次の項の係数であり、Bは、1次の項の係数であり、Cは、0次の項の係数である。
係数算出部322は、次式を用い、3つの係数A、B、Cを算出する。
Figure 0007005697000004
なお、実施の形態2の3つの係数A、B、Cと実施の形態1の3つの係数θMBT、ηMBT、Kaとの関係は次式となる。
Figure 0007005697000005
よって、実施の形態1の式(3)から式(18)に、式(22)を代入すれば、本実施の形態に係る3つの係数A、B、Cを用いて、制御量を算出することができる。或いは、式(3)から式(18)を、3つの係数A、B、Cに合わせて予め式変形を行っておいてもよい。
なお、Nが、4つ以上の数に設定されてもよく、この場合は、点火時期θigとトルクTrqとの関係が4点以上算出され、最小二乗法等の回帰分析の手法で、3つの係数A、B、Cが算出されてもよい。
本願は、様々な例示的な実施の形態及び実施例が記載されているが、1つ、または複数の実施の形態に記載された様々な特徴、態様、及び機能は特定の実施の形態の適用に限られるのではなく、単独で、または様々な組み合わせで実施の形態に適用可能である。従って、例示されていない無数の変形例が、本願明細書に開示される技術の範囲内において想定される。例えば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合、さらには、少なくとも1つの構成要素を抽出し、他の実施の形態の構成要素と組み合わせる場合が含まれるものとする。
1 内燃機関、30 内燃機関の制御装置、321 点火対応出力算出部、322 係数算出部、323 制御量算出部、33 エンジン制御部

Claims (8)

  1. N個の係数算出用の点火時期(Nは、2以上の整数)を設定し、
    内燃機関の出力算出用の運転状態及び点火時期と、内燃機関のトルク又は熱効率である出力情報との関係が予め学習されたニューラルネットワークを用い、現在の前記出力算出用の運転状態、及び前記N個の係数算出用の点火時期のそれぞれに対応するN個の前記出力情報を算出する点火対応出力算出部と、
    前記N個の係数算出用の点火時期と前記N個の出力情報との間の関係を近似した近似関数の係数を算出する係数算出部と、
    前記係数を用いて、制御用に設定された点火時期に対応する前記出力情報を算出し、算出した前記出力情報に基づいて、内燃機関の制御量を算出する制御量算出部と、
    前記内燃機関の制御量に基づいて、内燃機関を制御するエンジン制御部と、
    を備え
    前記制御量算出部は、制御用に設定された基準の点火時期に対応する基準の熱効率を、前記係数を用いて算出し、要求されているトルクを前記基準の熱効率で除算した値に基づいて、内燃機関の目標の吸入空気量を算出する内燃機関の制御装置。
  2. N個の係数算出用の点火時期(Nは、2以上の整数)を設定し、
    内燃機関の出力算出用の運転状態及び点火時期と、内燃機関のトルク又は熱効率である出力情報との関係が予め学習されたニューラルネットワークを用い、現在の前記出力算出用の運転状態、及び前記N個の係数算出用の点火時期のそれぞれに対応するN個の前記出力情報を算出する点火対応出力算出部と、
    前記N個の係数算出用の点火時期と前記N個の出力情報との間の関係を近似した近似関数の係数を算出する係数算出部と、
    前記係数を用いて、制御用に設定された点火時期に対応する前記出力情報を算出し、算出した前記出力情報に基づいて、内燃機関の制御量を算出する制御量算出部と、
    前記内燃機関の制御量に基づいて、内燃機関を制御するエンジン制御部と、
    を備え、
    前記制御量算出部は、制御用に設定された基準の点火時期に対応する基準のトルクを、前記係数を用いて算出し、前記基準の点火時期から遅角した目標の点火時期に対応する遅角後の熱効率を、前記係数を用いて算出し、前記基準のトルクを前記遅角後の熱効率で除算した値に基づいて、内燃機関の目標の吸入空気量を算出する内燃機関の制御装置。
  3. N個の係数算出用の点火時期(Nは、2以上の整数)を設定し、
    内燃機関の出力算出用の運転状態及び点火時期と、内燃機関のトルク又は熱効率である出力情報との関係が予め学習されたニューラルネットワークを用い、現在の前記出力算出用の運転状態、及び前記N個の係数算出用の点火時期のそれぞれに対応するN個の前記出力情報を算出する点火対応出力算出部と、
    前記N個の係数算出用の点火時期と前記N個の出力情報との間の関係を近似した近似関数の係数を算出する係数算出部と、
    前記係数を用いて、制御用に設定された点火時期に対応する前記出力情報を算出し、算出した前記出力情報に基づいて、内燃機関の制御量を算出する制御量算出部と、
    前記内燃機関の制御量に基づいて、内燃機関を制御するエンジン制御部と、
    を備え、
    前記制御量算出部は、制御用に設定された基準の点火時期に対応する基準のトルクを、前記係数を用いて算出し、制御用に設定された遅角側の上限の点火時期に対応する遅角側の上限のトルクを、前記係数を用いて算出し、前記基準のトルクから前記遅角側の上限のトルクまでを、点火時期の遅角によるトルクの操作可能範囲として算出する内燃機関の制御装置。
  4. 前記制御量算出部は、最終の点火時期に対応するトルクを、前記係数を用いて算出する請求項1からのいずれか一項に記載の内燃機関の制御装置。
  5. 前記点火対応出力算出部は、内燃機関のMBT算出用の運転状態と、内燃機関のトルクが最大になる点火時期である最大トルク点火時期との関係が予め設定されたMBT設定関数を用い、現在の前記MBT算出用の運転状態に対応する前記最大トルク点火時期を算出し、
    前記N個の係数算出用の点火時期として、前記最大トルク点火時期、及び前記最大トルク点火時期よりも遅角側の点火時期である遅角側点火時期の2個の係数算出用の点火時期を設定し、
    前記ニューラルネットワークを用い、現在の前記出力算出用の運転状態、及び前記2個の係数算出用の点火時期のそれぞれに対応する2個の前記出力情報を算出し、
    前記係数算出部は、前記最大トルク点火時期、及び前記最大トルク点火時期に対応する前記出力情報を、2次関数とした前記近似関数の極値に設定し、前記遅角側点火時期、及び前記遅角側点火時期に対応する前記出力情報に基づいて、前記係数を算出する請求項1からのいずれか一項に記載の内燃機関の制御装置。
  6. 前記係数算出部は、前記最大トルク点火時期を、θMBTとし、前記最大トルク点火時期に対応する前記出力情報を、OIMBTとし、前記点火時期を、θigとし、前記出力情報を、OIとし、前記係数の1つである感度係数を、Kaとし、
    前記近似関数を、
    OI=OIMBT×{1-Ka×(θig-θMBT)
    の2次関数に設定し、
    前記遅角側点火時期を、θsplとし、前記遅角側点火時期に対応する前記出力情報を、OIsplとし、前記係数の1つである感度係数を、Kaとし、
    Ka=(1-OIspl/OIMBT)/(θspl-θMBT)
    の算出式を用いて、前記感度係数を算出し、
    前記最大トルク点火時期に対応する前記出力情報、及び前記最大トルク点火時期を、残りの2つの前記係数として算出する請求項に記載の内燃機関の制御装置。
  7. 前記点火対応出力算出部は、前記ニューラルネットワークを用いず、前記出力算出用の運転状態と、前記最大トルク点火時期に対応する前記出力情報との関係が予め設定されたマップデータを用い、現在の前記出力算出用の運転状態に対応する、前記最大トルク点火時期に対応する前記出力情報を算出する請求項又はに記載の内燃機関の制御装置。
  8. 前記点火対応出力算出部は、前記N個の係数算出用の点火時期として、互いに異なる3個の係数算出用の点火時期を設定し、
    前記ニューラルネットワークを用い、現在の前記出力算出用の運転状態、及び前記3個の係数算出用の点火時期のそれぞれに対応する3個の前記出力情報を算出し、
    前記係数算出部は、前記3個の係数算出用の点火時期と記3個の出力情報時期との間の関係を近似した前記近似関数としての2次関数の係数を算出する請求項1からのいずれか一項に記載の内燃機関の制御装置。
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