JP6752325B2 - 内燃機関の制御装置及び制御方法 - Google Patents

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Description

本願は、出力トルクを制御目標として内燃機関を制御する内燃機関の制御装置及び制御方法に関する。
近年、ドライバ及び各車両システム(ハイブリッド用モータ制御、トランスミッション制御、ブレーキ制御、トラクション制御等)から受信する内燃機関出力の要求値として、車両の制御に直接作用する物理量である内燃機関の出力トルクを用い、これを内燃機関出力の目標値として内燃機関の制御量である空気量、燃料量、及び点火時期等を決定し、また、実際の内燃機関の運転状態から実出力トルクを推定して各車両システムへ送信することで協調制御を実現して良好な走行性能を得ることができる内燃機関の制御装置及び制御方法が提案されている。
このような制御方法は一般にトルクベース制御と呼ばれているが、この方式の制御方法においては、内燃機関の運転状態に基づいて実出力トルクを精度良く算出できることが重要となる。これができれば、この逆算により、目標トルクから内燃機関の制御量の目標値(例えば、スロットル開度、EGR開度、点火時期、空燃比等)を算出することができる。
例えば、特許文献1においては、トルクベース制御における目標トルクとして低応答目標トルクと高応答目標トルクという応答性の異なるものがある。低応答目標トルクを実現するように、スロットル制御等の空気量の操作を行い、高応答目標トルクを実現するように、点火時期又は燃料噴射量の操作を行う方法が記載されている。より詳細には、内燃機関の運転状態に対するMBT点火時期、MBTでの熱効率、更にMBTからの遅角量に対するトルクの低減率等を多くのマップデータで記憶しておき、更に、必要に応じてEGR量及び空燃比により補正を行い、これらを組み合わせることで実トルクの算出、及び低応答目標トルクにも高応答目標トルクにも対応できる制御を構成している。
ところで、内燃機関の運転状態から出力トルクを推定する方法としては、上述のようなマップデータを用いた算出方法以外にも、例えば、特許文献2のような、ニューラルネットワーク技術を応用した方法も提案されている。ここでニューラルネットワークとは、脳機能に見られるいくつかの特性を計算機上のシミュレーションによって表現することを目指した数学モデルであり、順伝播型ニューラルネットワーク(FNN:Feedforward Neural Network)に予め入力値に対する出力値を教師データとして学習させておけば、学習した入力値と出力値の関係を模擬する汎用的な近似関数として用いることができる。なお、ニューラルネットワークの学習方法としては、一般的に誤差逆伝播法(バックプロパゲーション法)が知られている。
また、内燃機関の燃費性能及び排出ガス性能を良好にする上では、内燃機関の燃焼状態を計測し、その計測結果をフィードバックさせて制御する方法が有効である。そのためには、内燃機関の燃焼状態を正確に計測することが重要である。内燃機関の燃焼状態は筒内圧を計測することにより正確に計測できることが広く知られている。筒内圧を直接計測するセンサ(以下、筒内圧センサと称す)を用いれば、筒内圧を計測することができる。しかし、筒内圧センサは、高価であり、耐久性の確保が容易でないため、筒内圧センサを用いずに筒内圧を検出する方法も開発されている。例えば、特許文献3には、クランク角センサの出力信号に基づいて、クランク角速度及びクランク角加速度を算出し、クランク角速度及びクランク角加速度に基づいて、燃焼により生じた燃焼ガス圧トルクを算出し、燃焼ガス圧トルクにより筒内圧等の燃焼状態(以下、筒内圧情報)を推定する技術が開示されている。
特許第5644733号公報 特開平11−351045号公報 特許第6190936号公報
吉田元則等「直噴ディーゼル・エンジンにおけるモデルベースキャリブレーションの適用」、マツダ技報、No.24(2006) 岡谷貴之、「機械学習プロフェッショナルシリーズ 深層学習」、講談社、2015
近年の燃費向上に向け複雑化する内燃機関制御用の機構に対し、内燃機関制御システムも同様に複雑化しており、適合工数の増大が大きな問題となっている。複雑化する内燃機関制御用の機構の例としては、吸排気VVT(Variable Valve Timing)、可変バルブリフト、可変圧縮比、ターボチャージャ、スワールコントロールバルブ、タンブルコントロールバルブ等が知られている。特許文献1のようなマップデータを用いた制御方法の場合、内燃機関制御用の機構が複雑になると、それだけ多くのマップデータが必要になり、それに伴い、適合工数もまた増大するという課題がある。適合に必要な内燃機関の試験という観点では、近年、市販のMBC(Model Based Calibration)ツールが充実してきている。例えば、非特許文献1に示されるように、このツールでは、DOE(Design of Experiments、実験計画法)に基づいて内燃機関の試験計画を立て、内燃機関の試験設備と連動してデータ採取を行い、その結果から内燃機関の統計的モデルを作成し、このモデルに基づいて制御に用いるマップデータを作成することができるようになっている。
しかしながら、MBCツールによりマップデータが作成できるとはいえ、多くのマップデータを作成するにはそれ相応の工数が必要となるし、内燃機関の機種毎にそのデータを管理することにもまた多くの工数が必要となる。更に、MBCツールの統計的モデルから制御用のマップデータを作成した場合には、考慮できる内燃機関の運転状態のパラメータ数が減るために精度が低下すると考えられるので、このマップデータを用いた制御精度の確認及び微調整にも多くの工数が必要となる。このように、従来のマップ制御ではMBCツール等を導入しても依然として膨大な適合工数が必要となるという課題がある。
また、特許文献2のような順伝播型ニューラルネットワーク(FNN)を用いて内燃機関の運転状態から出力トルクを推定する方法については、中間層が1層しかない従来の方法では、FNNを近似関数として用いても十分な精度を得ることができないという課題があった。近似精度という観点では、近年、深層学習(ディープラーニング)という手法が知られている。例えば、非特許文献2に示されるように、この方法は従来同様のニューラルネットワークを多層化(深層化)することで近似関数としての精度を大幅に向上できるようになったものである。従来の学習方法では勾配消失問題などにより学習が良好に行えなかったのに対し、近年開発された様々な学習テクニックにより学習が良好に行えるようになった。なお、この深層学習は近年注目されている人工知能(AI)及び機械学習のひとつの方法としても知られている。
そこで、FNNを近似関数として用いて内燃機関の運転状態から出力トルクを推定するようにすれば、出力トルクの推定については、MBCツールにより教師データを作成し、それを学習させることで最低限の適合工数で良好に行えると考えられる。更に、MBCツールでも内燃機関の統計モデルを作成する手法のひとつとしてニューラルネットワークが用いられる場合もあるので、MBCツールで作成した内燃機関の統計モデルそのものを用いて内燃機関の運転状態から出力トルクを推定することもでき、この場合には更に工数を削減することができる。
ところで、内燃機関の燃焼状態を操作する燃焼操作機構の制御値及び点火時期を、MBCツールにより燃費及び排出ガスを考慮して最適値に設定した場合、その設定値は適合に用いた内燃機関の個体には最適値であったとしても、量産の内燃機関に適用した場合には、それぞれの内燃機関に個体ばらつきがあるために必ずしも最適値であるとは言えない。更に、長期間にわたり内燃機関を使用した場合には、デポジットの堆積及び摩耗等による経年変化の影響で、適合に用いた内燃機関においても最適値が変化する場合が考えられる。このような場合には、特許文献3の方法、又は筒内圧センサを用いて筒内圧情報を検出することができれば、これらに基づいて内燃機関の個体に応じた最適な設定値に走行しながら自動適合を行うことができると考えられる。しかしながら、筒内圧情報が検出できるようになった場合において、走行しながら内燃機関の制御機構の制御値及び点火時期の最適値を探索し、それを記憶して制御に用いる方法については、特許文献1から3の何れにも記載されておらず、具体的な方法は開示されていなかった。
そこで、内燃機関の個体差、経年変化等により内燃機関の特性に変動が生じても、最適な燃焼操作機構の制御値又は点火時期を運転中に自動適合を行って、内燃機関を適切に制御できる内燃機関の制御装置及び制御方法が望まれる。
本願の内燃機関の制御装置は、
燃焼室内の圧力である筒内圧及びクランク角度を含む、検出可能な内燃機関の複数の内燃機関の運転状態を検出する運転状態検出部と、
予め設定された単数又は複数の種類である特定種類の運転状態と目標点火時期の基本値との関係が設定された関数である点火時期設定関数を用い、現在の前記特定種類の運転状態に対応する前記目標点火時期の基本値を算出する目標点火時期算出部と、
前記筒内圧の実値及び前記クランク角度の実値に基づいて、1燃焼サイクルあたりの燃料の質量のうち燃焼した質量の比である質量燃焼割合を前記クランク角度毎に算出し、前記質量燃焼割合が50%になる燃焼重心の前記クランク角度が、目標燃焼重心角度に近づくように、最終点火時期を変化させる点火時期のフィードバック制御を行い、前記最終点火時期に基づいて、点火コイルへの通電制御を行う点火制御部と、
前記点火時期のフィードバック制御が行われている場合の同じ運転状態において、前記点火時期設定関数を用いて算出された前記目標点火時期の基本値が、前記点火時期のフィードバック制御により変化された前記最終点火時期に近づくように、前記点火時期設定関数の入出力の関係を規定する設定値を変化させる点火設定学習部と、
を備えたものである。
本願の内燃機関の制御方法は、
燃焼室内の圧力である筒内圧及びクランク角度を含む、検出可能な内燃機関の複数の内燃機関の運転状態を検出する運転状態検出ステップと、
予め設定された単数又は複数の種類である特定種類の運転状態と目標点火時期の基本値との関係が設定された関数である点火時期設定関数を用い、現在の前記特定種類の運転状態に対応する前記目標点火時期の基本値を算出する目標点火時期算出ステップと、
前記筒内圧の実値及び前記クランク角度の実値に基づいて、1燃焼サイクルあたりの燃料の質量のうち燃焼した質量の比である質量燃焼割合を前記クランク角度毎に算出し、前記質量燃焼割合が50%になる燃焼重心の前記クランク角度が、目標燃焼重心角度に近づくように、最終点火時期を変化させる点火時期のフィードバック制御を行い、前記最終点火時期に基づいて、点火コイルへの通電制御を行う点火制御ステップと、
前記点火時期のフィードバック制御が行われている場合の同じ運転状態において、前記点火時期設定関数を用いて算出された前記目標点火時期の基本値が、前記点火時期のフィードバック制御により変化された前記最終点火時期に近づくように、前記点火時期設定関数の入出力の関係を規定する設定値を変化させる点火設定学習ステップと、
を実行するものである。
本願の内燃機関の制御装置及び制御方法によれば、内燃機関の個体差、経年変化により点火時期特性に変動が生じた場合でも、筒内圧の実値に基づいて点火時期をフィードバック制御することにより、燃焼状態が所望の状態になる最適な点火時期が設定される。そして、フィードバック制御により変化された点火時期により点火時期設定関数を学習することにより、変動した点火時期特性に適合した目標点火時期の基本値を設定し、内燃機関を適切に制御できる。
実施の形態1に係る内燃機関及び制御装置の概略構成図である。 実施の形態1に係る制御装置の概略ブロック図である。 実施の形態1に係る制御装置のハードウェア構成図である。 実施の形態1に係るFNNにより構成された点火時期設定関数を示す図である。 実施の形態1に係るFNNにより構成されたトルク特性関数を示す図である。 実施の形態1に係る目標点火時期の算出処理を説明するためのブロック図である。 実施の形態1に係る点火トルク近似曲線を説明するための図である。 実施の形態1に係る目標充填効率の算出処理を説明するためのブロック図である。 実施の形態1に係る吸気トルク近似曲線を説明するための図である。 実施の形態1に係る燃焼制御目標算出部及び燃焼制御部の処理を説明するためのブロック図である。 実施の形態1に係るトルク特性学習部の処理を説明するためのブロック図である。 実施の形態1に係る点火設定学習部の処理を説明するためのブロック図である。 実施の形態1に係る燃焼制御目標学習部の処理を説明するためのブロック図である。 実施の形態1に係る最大トルク吸気位相角の算出を説明するための図である。 実施の形態1に係るマップデータを用いた処理を説明するための図である。 実施の形態1に係る最大トルク排気位相角の算出を説明するための図である。 実施の形態1に係るトルク特性関数、点火時期設定関数、及び燃焼制御目標設定関数の学習処理を説明するためのフローチャートである。
実施の形態1.
実施の形態1に係る内燃機関の制御装置30(以下、単に制御装置30と称す)について図面を参照して説明する。図1は、本実施の形態に係る内燃機関1の概略構成図であり、図2は、本実施の形態に係る制御装置30のブロック図である。内燃機関1及び制御装置30は、車両に搭載され、内燃機関1は、車両(車輪)の駆動力源となる。
1.内燃機関1の構成
図1に示すように、内燃機関1は、空気と燃料の混合気を燃焼する燃焼室25を備えている。内燃機関1は、燃焼室25に空気を供給する吸気管23と、燃焼室25で燃焼した排気ガスを排出する排気管17とを備えている。燃焼室25は、シリンダ(気筒)とピストンにより構成されている。以下では、燃焼室25を気筒とも称す。内燃機関1は、ガソリンエンジンとされている。内燃機関1は、吸気管23を開閉するスロットルバルブ6を備えている。スロットルバルブ6は、制御装置30により制御される電気モータにより開閉駆動される電子制御式スロットルバルブとされている。スロットルバルブ6には、スロットルバルブ6の開度に応じた電気信号を出力するスロットル開度センサ7が設けられている。
スロットルバルブ6の上流側の吸気管23には、吸気管23に吸入される吸入空気流量に応じた電気信号を出力するエアフローセンサ3と、吸入空気の温度に応じた電気信号を出力する吸入空気温度センサ4と、が設けられている。吸入空気温度センサ4に検出された吸入空気の温度は、外気温に等しいとみなすことができる。
内燃機関1は、排気管17から吸気マニホールド12に排気ガスを還流するEGR流路21と、EGR流路21を開閉するEGRバルブ22と、を有している。吸気マニホールド12は、スロットルバルブ6の下流側の吸気管23の部分である。EGRバルブ22は、制御装置30により制御される電気モータにより開閉駆動される電子制御式EGRバルブとされている。EGRバルブ22には、EGRバルブ22の開度に応じた電気信号を出力するEGR開度センサ27が設けられている。なお、EGRは、排気ガス再循環、すなわち、Exhaust Gas Recirculationの頭文字である。EGRバルブ22を介して排気ガスが再循環するEGRを、外部EGRといい、吸排気バルブのバルブオーバーラップにより燃焼室内に排気ガスが残留するEGRを、内部EGRという。以下、外部EGRを単にEGRと称す。
吸気マニホールド12には、吸気マニホールド12内の気体の圧力であるマニホールド圧に応じた電気信号を出力するマニホールド圧センサ8と、吸気マニホールド12内の気体の温度であるマニホールド温度に応じた電気信号を出力するマニホールド温度センサ9と、が設けられている。
内燃機関1には、燃焼室25に燃料を供給するインジェクタ13が設けられている。インジェクタ13は、燃焼室25内に直接燃料を噴射するように設けられている。インジェクタ13は、吸気マニホールド12の下流側の部分に燃料を噴射するように設けられてもよい。内燃機関1には、大気圧に応じた電気信号を出力する大気圧センサ2が設けられている。
燃焼室25の頂部には、空気と燃料の混合気に点火する点火プラグと、点火プラグに点火エネルギーを供給する点火コイル16と、が設けられている。燃焼室25の頂部には、燃焼室25内の圧力である筒内圧を検出する筒内圧センサ29が設けられている。また、燃焼室25の頂部には、吸気管23から燃焼室25内に吸入される吸入空気量を調節する吸気バルブ14と、燃焼室25から排気管17に排出される排気ガス量を調節する排気バルブ15と、が設けられている。吸気バルブ14には、そのバルブ開閉タイミングを可変にする吸気可変バルブタイミング機構が設けられている。排気バルブ15には、そのバルブ開閉タイミングを可変にする排気可変バルブタイミング機構が設けられている。可変バルブタイミング機構14、15は、電動アクチュエータを有している。内燃機関1のクランク軸には、その回転角に応じた電気信号を出力するクランク角センサ20が設けられている。シリンダブロックにはノックセンサ28が固定されている。
排気管17には、排気ガス中の空気と燃料との比率である空燃比AF(Air/Fuel)に応じた電気信号を出力する空燃比センサ18が設けられている。また、排気管17には、排気ガスを浄化する触媒19が設けられている。
2.制御装置30の構成
次に、制御装置30について説明する。制御装置30は、内燃機関1を制御対象とする制御装置である。図2のブロック図に示すように、制御装置30は、トルク制御部31、トルクインターフェイス部32、及びエンジン制御部33等の制御部を備えている。制御装置30の各制御部31〜33等は、制御装置30が備えた処理回路により実現される。具体的には、制御装置30は、図3に示すように、処理回路として、CPU(Central Processing Unit)等の演算処理装置90(コンピュータ)、演算処理装置90とデータのやり取りをする記憶装置91、演算処理装置90に外部の信号を入力する入力回路92、演算処理装置90から外部に信号を出力する出力回路93、及び通信回路94等を備えている。
演算処理装置90として、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、IC(Integrated Circuit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、各種の論理回路、及び各種の信号処理回路等が備えられてもよい。また、演算処理装置90として、同じ種類のもの又は異なる種類のものが複数備えられ、各処理が分担して実行されてもよい。記憶装置91として、演算処理装置90からデータを読み出し及び書き込みが可能に構成されたRAM(Random Access Memory)、及び演算処理装置90からデータを読み出し可能に構成されたROM(Read Only Memory)等が備えられている。入力回路92は、各種のセンサ及びスイッチが接続され、これらセンサ及びスイッチの出力信号を演算処理装置90に入力するA/D変換器等を備えている。出力回路93は、電気負荷が接続され、これら電気負荷に演算処理装置90から制御信号を出力する駆動回路等を備えている。
通信回路94は、変速機を制御する変速機制御装置95、ハイブリッド車両に設けられたモータの制御を行うモータ制御装置96、ブレーキ制御及びトラクション制御を行うブレーキ・トラクション制御装置97等の外部の制御装置と、通信線を介して接続され、CAN(Controller Area Network)等の通信プロトコルに基づいて有線通信を行う。
そして、制御装置30が備える各制御部31〜33等の各機能は、演算処理装置90が、ROM等の記憶装置91に記憶されたソフトウェア(プログラム)を実行し、記憶装置91、入力回路92、及び出力回路93等の制御装置30の他のハードウェアと協働することにより実現される。なお、各制御部31〜33等が用いる各関数、定数等の設定データは、ソフトウェア(プログラム)の一部として、ROM等の記憶装置91に記憶されている。
本実施の形態では、入力回路92には、大気圧センサ2、エアフローセンサ3、吸入空気温度センサ4、スロットル開度センサ7、マニホールド圧センサ8、マニホールド温度センサ9、空燃比センサ18、クランク角センサ20、アクセル開度センサ26、EGR開度センサ27、ノックセンサ28、及び筒内圧センサ29等が接続されている。出力回路93には、スロットルバルブ6(電気モータ)、インジェクタ13、吸気可変バルブタイミング機構14、排気可変バルブタイミング機構15、点火コイル16、及びEGRバルブ22(電動アクチュエータ)等が接続されている。なお、制御装置30には、図示していない各種のセンサ、スイッチ、及びアクチュエータ等が接続されている。
2−1.トルクベース制御
制御装置30は、目標トルクに基づいて内燃機関1を制御するトルクベース制御を実行する。制御装置30は、上述したように、概略的に、トルク制御部31、トルクインターフェイス部32、及びエンジン制御部33を備えている。トルク制御部31は、目標トルクの演算を行う。トルクインターフェイス部32は、目標トルクに基づいて、内燃機関の制御量の目標値を算出する。エンジン制御部33は、制御量の目標値に基づいて、各種の電気負荷を駆動制御する。
<トルク制御部31>
トルク制御部31は、アクセル開度センサ26により検出された実アクセル開度に基づいて、運転者が内燃機関1に要求している出力トルクであるドライバ要求トルクを算出する。また、トルク制御部31は、アイドリング運転時に回転速度を維持するために必要な出力トルクであるアイドリングトルクを算出する。また、トルク制御部31は、変速機制御装置95、モータ制御装置96、及びブレーキ・トラクション制御装置97等の外部の制御装置から要求されている出力トルクである外部要求トルクを算出する。そして、トルク制御部31は、ドライバ要求トルク、アイドリングトルク、及び外部要求トルクの優先順位を判定して、目標トルクを算出する(このような演算をトルク調停とも言う)。
ここで、目標トルクには、低応答目標トルクTrqtsと、高応答目標トルクTrqtfとがある。低応答目標トルクTrqtsは、点火時期を遅角することを考慮せずに、内燃機関に要求されている出力トルクであり、高応答目標トルクTrqtfは、点火時期を遅角することを含み、内燃機関に要求されている出力トルクである。通常は、低応答目標トルクTrqtsと高応答目標トルクTrqtfとが一致しているが、点火時期の遅角によるトルクダウン要求があった場合に、高応答目標トルクTrqtfが、低応答目標トルクTrqtsよりも低くなる。
トルク制御部31は、主に、ドライバ要求トルクと、定常時のアイドリングトルクとの大きいものに基づいて、低応答目標トルクTrqtsを算出し、外部要求トルクと、負荷変化時のアイドリングトルクとに基づいて、高応答目標トルクTrqtfを算出する。
<トルクインターフェイス部32>
トルクインターフェイス部32は、内燃機関の運転状態に基づいて、目標トルクと充填効率の相互変換、及び目標トルクと点火時期の相互変換を実施し、目標充填効率Ect、及び目標点火時期IGtを算出し、エンジン制御部33に伝達する。また、トルクインターフェイス部32は、内燃機関の運転状態に基づいて、実出力トルクTrqrを算出し、トルク制御部31に伝達する。トルクインターフェイス部32の詳細な処理は、後述する。
<運転状態検出部330>
エンジン制御部33は、内燃機関の運転状態を検出する運転状態検出部330を備えている。運転状態検出部330は、各種のセンサの出力信号等に基づいて各種の運転状態を検出する。具体的には、運転状態検出部330は、大気圧センサ2の出力信号に基づいて実大気圧を検出し、エアフローセンサ3の出力信号に基づいて実吸入空気流量を検出し、吸入空気温度センサ4の出力信号に基づいて実外気温を検出し、スロットル開度センサ7の出力信号に基づいて実スロットル開度を検出し、マニホールド圧センサ8の出力信号に基づいて実マニホールド圧を検出し、マニホールド温度センサ9の出力信号等に基づいて吸気マニホールド12内の気体の温度である実マニホールド温度を検出し、空燃比センサ18の出力信号に基づいて、排気ガスの実空燃比を検出し、アクセル開度センサ26の出力信号に基づいて実アクセル開度を検出し、EGR開度センサ27の出力信号に基づいて実EGR開度を検出する。
運転状態検出部330は、クランク角センサ20の出力信号に基づいてクランク角度θd、クランク角速度(以下、実回転速度Nerと称す)、及びクランク角加速度αdを検出する。運転状態検出部330は、カム角センサ(不図示)のエッジと、クランク角度θdの位相差に基づいて、吸気可変バルブタイミング機構14(以下、吸気VVT14と称す)の実位相角IVTr、及び排気可変バルブタイミング機構15(以下、排気VVT15と称す)の実位相角EVTrを検出する。
運転状態検出部330は、燃焼室25内に吸入された空気量の情報である筒内吸気量情報を検出する。運転状態検出部330は、実吸入空気流量及び実回転速度Ner等に基づいて、筒内吸気量情報として、燃焼室25内に吸入された実吸入空気量[g/stroke]、及び実充填効率Ecr[%]を算出する。例えば、運転状態検出部330は、実吸入空気流量[g/s]に、回転速度Neに応じた行程周期を乗算した値に、吸気マニホールドの遅れを模擬したフィルタ処理を行った値を、実吸入空気量[g/stroke]として算出する。或いは、運転状態検出部330は、マニホールド圧、回転速度Ne等に基づいて実吸入空気量[g/stroke]及び実充填効率Ecr[%]を算出してもよい。
運転状態検出部330は、EGR開度等に基づいて、燃焼室25内に吸入された実排気ガス再循環量である実EGR量[g/stroke]を算出する。例えば、運転状態検出部330は、EGR開度及びマニホールド圧等に基づいて、EGRバルブ22を通過する実EGR流量[g/s]を算出し、実EGR流量に行程周期を乗算した値に、フィルタ処理を行った値を、実EGR量[g/stroke]として算出する。運転状態検出部330は、実吸入空気量に対する実EGR量の比率である実EGR率Regrr[%]を算出する。
運転状態検出部330は、燃焼室25内の圧力である実筒内圧Pcylrを検出する。運転状態検出部330は、筒内圧センサ29の出力信号に基づいて、実筒内圧Pcylrを検出する。或いは、運転状態検出部330は、クランク角センサ20の出力信号に基づいて算出したクランク角度θd及びクランク角加速度αdに基づいて、実筒内圧Pcylrを算出するように構成されもよい。この算出には、特許文献3に記載されている方法が用いられ、後述する。なお、実筒内圧Pcylrを算出するために、特許文献3と同様に、高精度にクランク角度を検出できるクランク角センサが追加で設けられてもよい。
<吸気量制御部331>
エンジン制御部33は、吸入空気量を制御する吸気量制御部331を備えている。吸気量制御部331は、目標充填効率Ectから目標吸入空気量を算出し、目標吸入空気量から目標吸入空気流量を算出する。エンジン制御部33は、目標吸入空気流量を達成するように、実吸入空気流量及び実マニホールド圧に基づいて、目標スロットル開度を算出し、スロットルバルブ6の電気モータを駆動制御する。
<燃焼制御部334>
エンジン制御部33は、燃焼状態を操作する燃焼操作機構を制御する燃焼制御部334を備えている。本実施の形態では、燃焼操作機構は、EGRバルブ22、吸気VVT14、及び排気VVT15とされている。燃焼制御部334は、図10に示すように、後述する燃焼制御目標算出部66から伝達された各燃焼制御状態の目標値に基づいて、各燃焼操作機構を駆動制御する。燃焼制御部334は、目標EGR率Regrtを達成する目標EGR開度を算出し、EGRバルブ22の電動アクチュエータを駆動制御する。燃焼制御部334は、吸気VVT14の目標位相角IVTt(以下、目標吸気位相角IVTtと称す)を達成するように、吸気VVT14の電動アクチュエータを駆動制御する。燃焼制御部334は、排気VVT15の目標位相角EVTt(以下、目標排気位相角EVTtと称す)を達成するように、排気VVT15の電動アクチュエータを駆動制御する。
<燃料制御部332>
エンジン制御部33は、燃料噴射量を制御する燃料制御部332を備えている。燃料制御部332は、実充填効率Ecrに基づいて、目標空燃比を達成するための燃料噴射量を算出し、インジェクタ13を駆動制御する。
<点火制御部333>
エンジン制御部33は、点火コイルへの通電を行う点火制御部333を備えている。点火制御部333は、トルクインターフェイス部32から伝達された目標点火時期IGtに基づいて、最終点火時期SAを決定する。点火制御部333は、ノックセンサ28によりノックが検出されている場合は、ノックが発生しないように、目標点火時期IGtに対して遅角補正を行って、最終点火時期SAを算出する。また、点火制御部333は、失火防止のために遅角限界点火時期IGrtdよりも遅角側に最終点火時期SAが設定されないように、遅角限界点火時期IGrtdにより遅角側の点火時期を制限する遅角制限を行う。そして、点火制御部333は、最終点火時期SAに基づいて、点火コイル16への通電制御を行う。この最終点火時期SAが、実点火時期SAとなる。
点火制御部333は、点火時期のフィードバック制御を行う場合は、実筒内圧Pcylrに基づいて最終点火時期SAを変化させるフィードバック制御を行う。本実施の形態では、点火制御部333は、実筒内圧Pcylr及びクランク角度θdに基づいて、質量燃焼割合MFBを算出する。質量燃焼割合MFBは、1サイクルあたりの燃料の質量のうち、燃焼した質量の比であり、クランク角度θd毎に算出される。質量燃焼割合MFBの算出には、特許文献3に記載されている方法が用いられ、後述する。そして、点火制御部333は、質量燃焼割合MFBが50%になる燃焼重心のクランク角度θdが、目標燃焼重心角度(例えば、上死点後10deg)に近づくように最終点火時期SAを変化させるフィードバック制御を行う。点火制御部333は、ノック遅角補正を行っている場合は、点火時期のフィードバック制御を行わない。
2−2.トルクインターフェイス部32の詳細構成
上述したように、トルクインターフェイス部32は、内燃機関の運転状態に基づいて、目標トルクと充填効率の相互変換、及び目標トルクと点火時期の相互変換を実施し、目標充填効率Ect、及び目標点火時期IGtを算出する。そのために、以下で説明するトルク特性関数及び点火時期設定関数が記憶装置91に記憶されている。
2−2−1.点火時期設定関数
トルクインターフェイス部32は、予め設定された種類の運転状態と目標点火時期の基本値IGbとの関係が予め設定された関数である点火時期設定関数を記憶している。出力トルクが最大になる点火時期であるMBT点火時期IGmbt(MBT:Minimum advance for the Best Torque)でノックが発生しない運転状態では、目標点火時期の基本値IGbは、MBT点火時期IGmbtに設定され、MBT点火時期IGmbtでノックが発生する運転状態では、目標点火時期の基本値IGbは、ノックが生じ始める進角側の限界点火時期であるノック限界点火時期IGknkに設定される。
点火時期設定関数は、充填効率Ecを含む予め設定された種類の運転状態と、目標点火時期の基本値IGbとの関係が予め設定された関数とされている。出力トルクが最大になる点火時期に影響する運転状態は、内燃機関1のシステム構成によって変化する。本実施の形態では、点火時期設定関数は、回転速度Ne、充填効率Ec、吸気位相角IVT、排気位相角EVT、及びEGR率Regrの運転状態と、目標点火時期の基本値IGbとの関係が予め設定された関数とされている。
<ニューラルネットワーク>
内燃機関1のシステム構成が複雑になると、点火時期設定関数は、入力変数の数が多い複雑な関数となる。本実施の形態では、図4に示すように、点火時期設定関数は、順伝播型のニューラルネットワーク(FNN:Feedforward Neural Network)により構成されている。FNNは、階層上に並べられたユニット(ノード、ニューロンとも言う)が隣接する層間で結合した構造を持ち、情報が入力側から出力側に向かって伝播するよう構成されているネットワークである。ユニットで行われる演算は、前層の各ユニットから入力されてくる値に重みを掛け、更にバイアスを加えたものが、そのユニットへの総入力となり、この総入力を活性化関数へ通した後の出力が、ユニットの出力となる。
このようなユニットから構成されるFNNを近似関数として用いるには、FNNのへ入力値とその出力値が所望の関係となるように、各ユニットの重み及びバイアスを調整しておく必要がある。この調整には教師データと呼ばれる入力値と出力値のデータセットを予め多数用意しておき、誤差逆伝播法(バックプロパゲーション法)と呼ばれる方法を適用することにより行われる。このように重み及びバイアスを調整することをニューラルネットワークの学習と言い、良好に学習することができると、FNNは教師データの持つ特徴を記憶した汎用的な関数として用いることができる。
なお、FNNの層の数が多いほど、また層に含まれるユニットの数が多いほど、近似精度が向上すると考えられているが、学習の状況によっては教師データと異なる点では精度が極端に悪化する場合(これを過学習又は過適合という)があり、このような場合には、学習を途中で打ち切って過学習を抑制する、教師データ数を増やす等して必要な近似精度が得られるよう調整を行う必要がある。以上がFNNの概要であるが、FNN及びその学習方法に関しては、前述の非特許文献2でも詳細に説明されている公知の技術であるので、ここではFNNは公知として説明する。
図4に示す例では、FNNの構成として、回転速度Ne、充填効率Ec、吸気位相角IVT、排気位相角EVT、EGR率Regrの5つのパラメータが入力層に入力され、5個のユニットを持つ中間層が3層あり、出力層にて目標点火時期の基本値IGbが出力される構成となっている。なお、この構成は例示的なものであり、これ以外にも吸気温、大気圧、マニホールド温度等の環境条件が入力されるように構成されてもよいし、空燃比AFのような他の内燃機関の運転状態が入力されるように構成されてもよい。また、内燃機関のシステム構成が異なる場合は、そのシステム構成の運転状態(例えば、可変バルブリフト、可変圧縮比等)が入力されるように構成されてもよい。また、中間層に関しても、各層のユニット数及び層数自体を増減させてもよい。これらは、事前に行われるFNNの学習時に、近似精度に応じて調整するべきパラメータである。
更に、ここでは1つのFNNにより直接、目標点火時期の基本値IGbが算出される例を示しているが、MBT点火時期IGmbtの算出用のFNNと、ノック限界点火時期IGknkの算出用のFNNとの2つのFNNが設けられ、それぞれのFNNにより、MBT点火時期IGmbtとノック限界点火時期IGknkとが算出され、これら2つの点火時期の遅角側の点火時期が、目標点火時期の基本値IGbとして算出されるように構成されてもよい。
2−2−2.トルク特性関数
トルクインターフェイス部32は、予め設定された種類の運転状態と出力トルクTrqとの関係が予め設定された関数であるトルク特性関数を記憶している。そして、トルクインターフェイス部32は、トルク特性関数を用いて、目標トルクを実現する制御量の目標値を算出する。
トルク特性関数は、燃焼制御状態を含む予め設定された種類の運転状態と、出力トルクTrqとの関係が予め設定された関数とされている。出力トルクに影響する運転状態は、内燃機関1のシステム構成によって変化する。本実施の形態では、トルク特性関数は、回転速度Ne、充填効率Ec、吸気位相角IVT、排気位相角EVT、EGR率Regr、及び点火時期IGの運転状態と、出力トルクTrqとの関係が予め設定された関数とされている。
内燃機関1のシステム構成が複雑になると、トルク特性関数は、入力変数の数が多い複雑な関数となる。本実施の形態では、図5に示すように、トルク特性関数は、順伝播型のニューラルネットワーク(FNN)により構成されている。
図5に示す例は、FNNの構成として、回転速度Ne、充填効率Ec、吸気位相角IVT、排気位相角EVT、EGR率Regr、点火時期IGの6つのパラメータが入力層に入力され、6個のユニットを持つ中間層が3層あり、出力層にて出力トルクTrqが出力される構成となっている。
なお、この構成は例示的なものであり、これ以外にも吸気温、大気圧、マニホールド温度等の環境条件が入力されるように構成されてもよいし、空燃比AFのような他の内燃機関の運転状態が入力されるように構成されてもよい。また、内燃機関のシステム構成が異なる場合は、そのシステム構成の運転状態(例えば、可変バルブリフト、可変圧縮比等)が入力されるように構成されてもよい。また、中間層に関しても、各層のユニット数及び層数自体を増減させてもよい。これらは、事前に行われるFNNの学習時に、近似精度に応じて調整するべきパラメータである。
更に、ここではFNNにより、直接、出力トルクTrqを算出する例を示しているが、FNNにより図示平均有効圧又は熱効率を算出し、図示平均有効圧に行程容積等を乗算して出力トルクTrqを算出する、又は熱効率に燃料の持つ熱量等を乗算して出力トルクTrqを算出するような構成としてもよい。
2−2−3.実出力トルクTrqrの算出
トルクインターフェイス部32は、実出力トルクTrqrを算出する実トルク算出部55を備えている。実トルク算出部55は、トルク特性関数を用い、現在の運転状態(本例では、実回転速度Ner、実充填効率Ecr、実吸気位相角IVTr、実排気位相角EVTr、実EGR率Regrr、及び実点火時期SA)に対応する出力トルクである実出力トルクTrqrを算出する。算出された実出力トルクTrqrは、トルク制御部31に伝達される。
2−2−4.目標点火時期IGtの算出
トルクインターフェイス部32は、目標点火時期IGtを算出する目標点火時期算出部51を備えている。本実施の形態では、目標点火時期算出部51は、次式に示すように、高応答目標トルクTrqtfが低応答目標トルクTrqtsに一致しており、点火時期の遅角によるトルクダウン要求がない場合は、現在の運転状態に対応する目標点火時期の基本値IGbを目標点火時期IGtとして算出し、高応答目標トルクTrqtfが低応答目標トルクTrqtsよりも低く、点火時期の遅角によるトルクダウン要求がある場合は、高応答目標トルクTrqtfに対応する目標トルク対応点火時期IGttを目標点火時期IGtとして算出する。
Figure 0006752325
2−2−4−1.目標点火時期の基本値IGbの算出
目標点火時期算出部51は、点火時期設定関数を用い、現在の運転状態(本例では、実回転速度Ner、実充填効率Ecr、実吸気位相角IVTr、実排気位相角EVTr、及び実EGR率Regrr)に対応する目標点火時期の基本値IGbを算出する。
2−2−4−2.目標トルク対応点火時期の算出
目標点火時期算出部51は、目標トルクを実現する目標トルク対応点火時期IGttを算出する。本実施の形態では、目標点火時期算出部51は、点火時期を遅角することを含め、内燃機関に要求されている出力トルクである高応答目標トルクTrqtfを実現する目標トルク対応点火時期IGttを算出するように構成されている。
点火時期IGを少しずつ変化させて、トルク特性関数を用いて出力トルクTrqを繰り返し算出すれば、高応答目標トルクTrqtfを実現する点火時期IGを探索することができる。しかし、トルク特性関数を用いた演算を繰り返し行うと、演算負荷が増大する。特に、システム構成が複雑になり、トルク特性関数が複雑化すると、演算負荷が大幅に増加する。そのため、トルク特性関数を用いた演算回数をできるだけ低減することが望まれる。
そこで、図6に示すように、目標点火時期算出部51は、複数点火トルク算出部52、点火トルク近似曲線算出部53、及び近似曲線点火算出部54を備えている。複数点火トルク算出部52は、トルク特性関数を用い、複数の数に予め設定された点火標本数の点火時期IG1、IG2・・・のそれぞれに対応する点火標本数の出力トルクである点火標本数の点火対応トルクTrqi1、Trqi2・・・を算出する。
点火トルク近似曲線算出部53は、点火標本数の点火時期IG1、IG2・・・と点火標本数の点火対応トルクTrqi1、Trqi2・・・との関係を近似した近似曲線である点火トルク近似曲線を算出する。近似曲線点火算出部54は、点火トルク近似曲線を用い、目標トルク(本例では、高応答目標トルクTrqtf)に対応する点火時期を、目標トルク対応点火時期IGttとして算出する。
この構成によれば、直接、トルク特性関数を用いた演算を繰り返し行って、目標トルクに対応する点火時期を探索するのではなく、点火標本数のトルク特性関数の演算結果に基づいて近似曲線を算出し、近似曲線を用いて、目標トルクに対応する点火時期を算出するので、トルク特性関数を用いた演算を、予め設定された点火標本数まで低減することができる。
<3つの点火標本数の点火時期の設定>
本実施の形態では、点火標本数が、3つに設定されている場合を説明する。すなわち、第1標本の点火時期IG1、第2標本の点火時期IG2、及び第3標本の点火時期IG3のそれぞれについて、トルク特性関数を用いた演算が行われ、第1標本の点火対応トルクTrqi1、第2標本の点火対応トルクTrqi2、及び第3標本の点火対応トルクTrqi3が演算される。
複数点火トルク算出部52は、第1標本の点火時期IG1、第2標本の点火時期IG2、及び第3標本の点火時期IG3を、可燃範囲の中で、互いに異なる値に設定する。例えば、次式に示すように、複数点火トルク算出部52は、第1標本の点火時期IG1を、目標点火時期の基本値IGbに設定し、第3標本の点火時期IG3を、点火時期の遅角側の設定限界である遅角限界点火時期IGrtdに設定し、第2標本の点火時期IG2を、目標点火時期の基本値IGbと遅角限界点火時期IGrtdとの中間値に設定する。
Figure 0006752325
<3つの点火標本数の点火対応トルクの演算>
複数点火トルク算出部52は、トルク特性関数を用い、実回転速度Ner、実充填効率Ecr、実吸気位相角IVTr、実排気位相角EVTr、実EGR率Regrr、及び第1標本の点火時期IG1に対応する出力トルクである第1標本の点火対応トルクTrqi1を算出する。次に、複数点火トルク算出部52は、トルク特性関数を用い、実回転速度Ner、実充填効率Ecr、実吸気位相角IVTr、実排気位相角EVTr、実EGR率Regrr、及び第2標本の点火時期IG2に対応する出力トルクである第2標本の点火対応トルクTrqi2を算出する。そして、複数点火トルク算出部52は、トルク特性関数を用い、実回転速度Ner、実充填効率Ecr、実吸気位相角IVTr、実排気位相角EVTr、実EGR率Regrr、及び第3標本の点火時期IG3に対応する出力トルクである第3標本の点火対応トルクTrqi3を算出する。
<点火トルク近似曲線の演算>
このように設定された、第1標本から第3標本の点火時期IG1、IG2、IG3と、第1標本から第3標本の点火対応トルクTrqi1、Trqi2、Trqi3との関係を図7に示す。一般に、点火時期以外の運転状態が同一であれば、点火時期とトルクとの関係には、2次関数で近似できる関係があると考えられる(特許文献2の段落0032等を参照)。
そこで、本実施の形態では、点火トルク近似曲線は、次式に示すような2次関数に設定されている。点火トルク近似曲線算出部53は、点火標本数の点火時期IG1、IG2・・・及び点火標本数の点火対応トルクTrqi1、Trqi2・・・に基づいて、2次関数とした点火トルク近似曲線の各項の係数A、B、Cを算出する。
Figure 0006752325
この2次関数は、点火時期IGと出力トルクTrqとの関係が3点あれば、それぞれ式(3)に代入して連立方程式を解くことで、3つの係数A、B、Cを算出できる。例えば、点火トルク近似曲線算出部53は、次式を用い、3つの係数A、B、Cを算出する。
Figure 0006752325
なお、点火標本数は、4つ以上の数に予め設定されてもよく、点火時期IGと出力トルクTrqとの関係が4点以上算出され、最小二乗法等の回帰分析の手法で、各項の係数A、B、Cが算出されてもよい。
<点火標本数が2つの場合>
或いは、点火標本数は、2つに予め設定されてもよい。この場合は、次式に示すように、点火トルク近似曲線算出部53は、第1標本の点火時期IG1を、出力トルクが最大になる点火時期であるMBT点火時期IGmbtに設定し、第2標本の点火時期IG2を、点火時期の遅角側の設定限界である遅角限界点火時期IGrtdに設定する。MBT点火時期IGmbtは、点火時期設定関数と同様に、予め設定された種類の運転状態とMBT点火時期IGmbtとの関係が予め設定された関数を用いて算出され、関数は、ニューラルネットワークにより構成される。或いは、上述したように、点火時期設定関数に 、MBT点火時期IGmbtの算出用のFNNと、ノック限界点火時期IGknkの算出用のFNNとの2つのFNNが設けられる場合は、目標点火時期の基本値IGbを算出する際に算出されたMBT点火時期IGmbtが用いられてもよい。
Figure 0006752325
複数点火トルク算出部52は、トルク特性関数を用い、MBT点火時期IGmbtに対応する第1標本の点火対応トルクTrqi1を算出する共に、トルク特性関数を用い、遅角限界点火時期IGrtdに対応する第2標本の点火対応トルクTrqi2を算出する。
そして、点火トルク近似曲線算出部53は、次式に示すように、MBT点火時期IGmbt、及びMBT点火時期IGmbtに対応する第1標本の点火対応トルクTrqi1を、2次関数とした点火トルク近似曲線の極値に設定する。
Figure 0006752325
そして、点火トルク近似曲線算出部53は、次式に示すように、遅角限界点火時期IGrtd、及び遅角限界点火時期IGrtdに対応する第2標本の点火対応トルクTrqi2に基づいて、点火トルク近似曲線の各項の係数A、B、Cを算出する。
Figure 0006752325
<点火トルク近似曲線を用いた目標トルク対応点火時期の演算>
近似曲線点火算出部54は、次式に示すように、2次関数の方程式を解き、各項の係数A、B、Cを用い、高応答目標トルクTrqtfに対応する点火時期を、目標トルク対応点火時期IGttとして算出する。
Figure 0006752325
2−2−5.目標充填効率Ectの算出
トルクインターフェイス部32は、目標充填効率Ectを算出する目標吸気量算出部61を備えている。目標吸気量算出部61は、目標トルクを実現する目標充填効率Ectを算出する。本実施の形態では、目標吸気量算出部61は、点火時期を遅角すること考慮せずに、内燃機関に要求されている出力トルクである低応答目標トルクTrqtsを実現する目標充填効率Ectを算出するように構成されている。
充填効率Ecを少しずつ変化させて、トルク特性関数を用いて出力トルクTrqを繰り返し算出すれば、低応答目標トルクTrqtsを実現する充填効率Ecを探索することができる。この際、充填効率Ecを変化させると、目標点火時期の基本値IGbも変化するため、充填効率Ecを変化させる毎に、点火時期設定関数を用いて目標点火時期の基本値IGbも算出する必要がある。しかし、トルク特性関数を用いた演算、及び点火時期設定関数を用いた演算を繰り返し行うと、演算負荷が増大する。特に、システム構成が複雑になり、トルク特性関数及び点火時期設定関数が複雑化すると、演算負荷が大幅に増加する。そのため、トルク特性関数及び点火時期設定関数を用いた演算回数をできるだけ低減することが望まれる。
そこで、図8に示すように、目標吸気量算出部61は、複数吸気点火算出部62、複数吸気トルク算出部63、吸気トルク近似曲線算出部64、及びトルク吸気量算出部65を備えている。複数吸気点火算出部62は、点火時期設定関数を用い、複数の数に予め設定された吸気標本数の充填効率Ec1、Ec2・・・のそれぞれに対応する吸気標本数の目標点火時期の基本値IGb1、IGb2・・・を算出する。
複数吸気トルク算出部63は、トルク特性関数を用い、吸気標本数の充填効率Ec1、Ec2・・・のそれぞれ、及び吸気標本数の目標点火時期の基本値IGb1、IGb2・・・のそれぞれに対応する吸気標本数の出力トルクである吸気標本数の吸気点火対応トルクTrqe1、Trqe2・・・を算出する。
吸気トルク近似曲線算出部64は、吸気標本数の充填効率Ec1、Ec2・・・と吸気標本数の吸気点火対応トルクTrqe1、Trqe2・・・との関係を近似した近似曲線である吸気トルク近似曲線を算出する。トルク吸気量算出部65は、吸気トルク近似曲線を用い、目標トルク(本例では、低応答目標トルクTrqts)に対応する充填効率を、目標充填効率Ectとして算出する。
この構成によれば、直接、トルク特性関数及び点火時期設定関数を用いた演算を繰り返し行って、目標トルクに対応する充填効率を探索するのではなく、吸気標本数のトルク特性関数及び点火時期設定関数の演算結果に基づいて近似曲線を算出し、近似曲線を用いて、目標トルクに対応する充填効率を算出するので、トルク特性関数及び点火時期設定関数を用いた演算を、予め設定された吸気標本数まで低減することができる。
<3つの吸気標本数の充填効率の設定>
本実施の形態では、吸気標本数が、3つに設定されている場合について説明する。次式に示すように、複数吸気点火算出部62は、実充填効率Ecrを第1標本の充填効率Ec1に設定する。複数吸気点火算出部62は、実出力トルクTrqrに対する低応答目標トルクTrqtsの比を、実充填効率Ecrに乗算した値に応じた値を、目標対応充填効率として算出し、第3標本の充填効率Ec3に設定する。複数吸気点火算出部62は、実充填効率Ecr(Ec1)と目標対応充填効率(Ec3)との中間値を中間充填効率として算出し、第2標本の充填効率Ec2に設定する。
Figure 0006752325
ここで、「実出力トルクTrqr<低応答目標トルクTrqts」の場合には、調整係数Keは、1.2〜1.5程度の値に設定され、「実出力トルクTrqr>低応答目標トルクTrqts」の場合には、調整係数Keは0.7〜0.9程度の値に設定される。
<3つの吸気標本数の点火時期以外の制御量の目標値の演算>
充填効率Ecが変化すれば、目標点火時期の基本値IGbだけでなく、他の内燃機関の制御量の最適値も変化し、制御量の変化が出力トルクTrqに影響する。本実施の形態では、複数吸気点火算出部62は、吸気標本数の充填効率Ec1、Ec2、Ec3のそれぞれに対応する、点火時期以外の内燃機関の制御量の目標値(本例では、目標吸気位相角IVTt、目標排気位相角EVTt、目標EGR率Regrt)を算出し、点火時期設定関数を用いた演算に用いるように構成されている。
具体的には、複数吸気点火算出部62は、後述する吸気位相角目標設定関数を用い、実回転速度Ner、及び吸気標本数の充填効率Ec1、Ec2、Ec3のそれぞれに対応する吸気標本数の目標吸気位相角IVTt1、IVTt2、IVTt3を算出する。複数吸気点火算出部62は、後述する排気位相角目標設定関数を用い、実回転速度Ner、及び吸気標本数の充填効率Ec1、Ec2、Ec3のそれぞれに対応する吸気標本数の目標排気位相角EVTt1、EVTt2、EVTt3を算出する。複数吸気点火算出部62は、後述するEGR率目標設定関数を用い、実回転速度Ner、及び吸気標本数の充填効率Ec1、Ec2、Ec3のそれぞれに対応する吸気標本数の目標EGR率Regrt1、Regrt2、Regrt3を算出する。
<3つの吸気標本数の目標点火時期の基本値の演算>
複数吸気点火算出部62は、点火時期設定関数を用い、実回転速度Ner、第1標本の充填効率Ec1、第1標本の目標吸気位相角IVTt1、第1標本の目標排気位相角EVTt1、及び第1標本の目標EGR率Regrt1に対応する第1標本の目標点火時期の基本値IGb1を算出する。次に、複数吸気点火算出部62は、点火時期設定関数を用い、実回転速度Ner、第2標本の充填効率Ec2、第2標本の目標吸気位相角IVTt2、第2標本の目標排気位相角EVTt2、及び第2標本の目標EGR率Regrt2に対応する第2標本の目標点火時期の基本値IGb2を算出する。そして、複数吸気点火算出部62は、点火時期設定関数を用い、実回転速度Ner、第3標本の充填効率Ec3、第3標本の目標吸気位相角IVTt3、第3標本の目標排気位相角EVTt3、及び第3標本の目標EGR率Regrt3に対応する第3標本の目標点火時期の基本値IGb3を算出する。
<3つの吸気標本数の吸気点火対応トルクの演算>
複数吸気トルク算出部63は、トルク特性関数を用い、実回転速度Ner、第1標本の充填効率Ec1、第1標本の目標吸気位相角IVTt1、第1標本の目標排気位相角EVTt1、第1標本の目標EGR率Regrt1、及び第1標本の目標点火時期の基本値IGb1に対応する第1標本の吸気点火対応トルクTrqe1を算出する。次に、複数吸気トルク算出部63は、トルク特性関数を用い、実回転速度Ner、第2標本の充填効率Ec2、第2標本の目標吸気位相角IVTt2、第2標本の目標排気位相角EVTt2、第2標本の目標EGR率Regrt2、及び第2標本の目標点火時期の基本値IGb2に対応する第2標本の吸気点火対応トルクTrqe2を算出する。そして、複数吸気トルク算出部63は、トルク特性関数を用い、実回転速度Ner、第3標本の充填効率Ec3、第3標本の目標吸気位相角IVTt3、第3標本の目標排気位相角EVTt3、第3標本の目標EGR率Regrt3、及び第3標本の目標点火時期の基本値IGb3に対応する第3標本の吸気点火対応トルクTrqe3を算出する。
<吸気トルク近似曲線の演算>
以上のように演算された、第1標本から第3標本の充填効率Ec1、Ec2、Ec3と、第1標本から第3標本の吸気点火対応トルクTrqe1、Trqe2、Trqe3との関係を図9に示す。一般に、充填効率と出力トルクとの関係は、熱効率が一定であれば比例する。しかし、点火時期、VVT位相角、及びEGR率が変化すれば熱効率も変化するので、厳密には比例関係にないと考えられる。そのため、2次関数で近似すると近似精度を高められる。
そこで、本実施の形態では、吸気トルク近似曲線は、次式に示すような2次関数に設定されている。吸気トルク近似曲線算出部64は、吸気標本数の充填効率Ec1、Ec2・・・及び吸気標本数の吸気点火対応トルクTrqe1、Trqe2・・・に基づいて、2次関数とした吸気トルク近似曲線の各項の係数P、Q、Rを算出する。
Figure 0006752325
この2次関数は、充填効率Ecと出力トルクTrqとの関係が3点あれば、それぞれ式(10)に代入して連立方程式を解くことで、3つの係数P、Q、Rを算出できる。例えば、吸気トルク近似曲線算出部64は、次式を用い、3つの係数P、Q、Rを算出する。
Figure 0006752325
なお、吸気標本数は、4つ以上の数に予め設定されてもよく、充填効率Ecと出力トルクTrqとの関係が4点以上算出され、最小二乗法等の回帰分析の手法で、各項の係数P、Q、Rが算出されるようにされてもよい。
<吸気トルク近似曲線を用いた目標充填効率の演算>
トルク吸気量算出部65は、次式に示すように、2次関数の方程式を解き、各項の係数P、Q、Rを用い、低応答目標トルクTrqtsに対応する充填効率を、目標充填効率Ectとして算出する。
Figure 0006752325
2−2−6.燃焼制御状態の目標値の算出
トルクインターフェイス部32は、燃焼操作機構の制御状態である燃焼制御状態の目標値を算出する燃焼制御目標算出部66を備えている。図10に示すように、燃焼制御目標算出部66は、予め設定された種類の運転状態と、燃焼制御状態の目標値との関係が設定された関数である燃焼制御目標設定関数を用い、燃焼制御状態の目標値を算出する。本実施の形態では、燃焼制御状態の目標値として、目標EGR率Regrt、目標吸気位相角IVTt、目標排気位相角EVTtが算出され、燃焼制御目標設定関数として、EGR率目標設定関数、吸気位相角目標設定関数、及び排気位相角目標設定関数が用いられる。
燃焼制御目標算出部66は、回転速度Ne及び充填効率Ecと、目標EGR率Regrtとの関係が予め設定された関数であるEGR率目標設定関数を用い、実回転速度Ner及び目標充填効率Ectに対応する目標EGR率Regrtを算出する。本実施の形態では、EGR率目標設定関数は、マップデータにより構成されている。なお、EGR率目標設定関数は、ニューラルネットワークにより構成されてもよい。
燃焼制御目標算出部66は、回転速度Ne及び充填効率Ecと、目標吸気位相角IVTtとの関係が予め設定された関数である吸気位相角目標設定関数を用い、実回転速度Ner及び目標充填効率Ectに対応する目標吸気位相角IVTtを算出する。本実施の形態では、E吸気位相角目標設定関数は、マップデータにより構成されている。なお、吸気位相角目標設定関数は、ニューラルネットワークにより構成されてもよい。
燃焼制御目標算出部66は、回転速度Ne及び充填効率Ecと目標排気位相角EVTtとの関係が予め設定された関数である排気位相角目標設定関数を用い、実回転速度Ner及び目標充填効率Ectに対応する目標排気位相角EVTtを算出する。本実施の形態では、排気位相角目標設定関数は、マップデータにより構成されている。なお、排気位相角目標設定関数は、ニューラルネットワークにより構成されてもよい。
2−3.各関数の学習
2−3−1.トルク特性関数の学習
以上のようにトルク特性関数を用いて、実出力トルクTrqr、目標点火時期IGt、及び目標充填効率Ectが算出されている。しかし、内燃機関の個体差、経年変化によりトルク特性に変動が生じると、これらの算出精度が悪化する。そこで、トルクインターフェイス部32は、トルク特性関数を学習するトルク特性学習部67を備えている。図11に示すように、トルク特性学習部67は、実筒内圧Pcylrに基づいて出力トルクTrqcy(以下、筒内圧出力トルクTrqcyと称す)を算出し、トルク特性関数を用いて算出された実出力トルクTrqrが、実筒内圧Pcylrに基づいて算出された筒内圧出力トルクTrqcyに近づくように、トルク特性関数の設定値を変化させる。
<筒内圧出力トルクの算出>
トルク特性学習部67は、上述した運転状態検出部330により検出された実筒内圧Pcylr、及びクランク角度θdに基づいて、筒内圧出力トルクTrqcyを算出する。具体的には、トルク特性学習部67は、クランク角度θdに基づいて燃焼室25の容積Vを算出し、次式に示すように、実筒内圧Pcylrと容積VとのP−V線図が描く面積を算出し、面積を行程容積Vcで除算して図示平均有効圧IMEPを算出する。そして、トルク特性学習部67は、図示平均有効圧IMEPに基づいて、筒内圧出力トルクTrqcyを算出する。ここで、4πは、4サイクルエンジンの場合の係数である。
Figure 0006752325
<教師信号の設定>
トルク特性学習部67は、実出力トルクTrqrを算出する際に用いた、実回転速度Ner、実充填効率Ecr、実吸気位相角IVTr、実排気位相角EVTr、実EGR率Regrr、及び実点火時期SA(最終点火時期SA)等の運転状態の実値を、入力値の教師信号に設定し、その運転状態において算出された筒内圧出力トルクTrqcyを出力値の教師信号に設定する。そして、トルク特性学習部67は、入力値及び出力値の教師信号を用い、誤差逆伝播法(バックプロパゲーション法)等の学習方法により、トルク特性関数のFNNの各ユニットの重み及びバイアスを変更する。
通常の適合時は、予め計測しておいた値から作成した多くの教師データ(入力値と出力値のデータセット)を用いて、パソコン等により各ユニットの重み及びバイアスの調整が行われる。一方、走行中のある運転状態に基づいて作成したひとつの教師データを用いて、その場で学習を行うようにすれば、制御装置30の演算処理能力により、各ユニットの重み及びバイアスの学習を行うことができ、更に、時々刻々と変化する運転状態毎に作成された教師データを順次学習して行けば、広い範囲の運転ポイントを網羅する学習結果を得ることができ、その学習値を用いて制御を行えば自動適合が実現できる。FNNの学習方法は、特許文献2等に開示されている公知の方法を用いることができる。なお、複数個の教師データ(例えば、数十個)を保持しておき、複数個の教師データを用いて繰り返しFNNの学習を行ってもよい。
トルク特性関数のFNNの出力が、図示平均有効圧IMEPである場合は、実筒内圧Pcylrに基づいて算出された図示平均有効圧IMEPが、出力値の教師信号に設定されればよい。
なお、入力値として用いられる実吸気位相角IVTr、実排気位相角EVTr、実EGR率Regrr、及び実点火時期SAは、過渡状態では目標値から逸脱し、多少変動している。その変動時の状態も含めて学習するようにすれば、それぞれの目標値周辺の運転ポイントにおいても学習が進行することになる。この変動の範囲が狭い場合には、それぞれの目標値に摂動(パータベーション)を与えて、積極的に目標値周辺の運転ポイントにおいて学習を行うようにしてもよい。但し、摂動の範囲は燃費及び排ガスに影響を与えない範囲で行うとよい。
2−3−2.点火時期設定関数の学習
また、点火時期設定関数を用いて、目標点火時期IGt、及び目標充填効率Ectが算出されている。しかし、内燃機関の個体差、経年変化により点火時期特性に変動が生じると、これらの算出精度が悪化する。そこで、トルクインターフェイス部32は、点火設定学習部68を備えている。図12に示すように、点火設定学習部68は、点火時期のフィードバック制御が行われている場合は、目標点火時期算出部51により点火時期設定関数を用いて算出された目標点火時期の基本値IGbが、点火制御部333において点火時期のフィードバック制御により算出された最終点火時期SA(実点火時期SA)に近づくように、点火時期設定関数の設定値を変化させる。また、点火設定学習部68は、ノック遅角補正が行われている場合は、目標点火時期算出部51により点火時期設定関数を用いて算出された目標点火時期の基本値IGbが、点火制御部333においてノック遅角補正により算出された最終点火時期SAに応じた点火時期(例えば、最終点火時期SAから1deg又は2deg程度遅角側に設定した点火時期)に近づくように、点火時期設定関数の設定値を変化させる。
点火設定学習部68は、点火時期のフィードバック制御が行われている場合は、目標点火時期の基本値IGbを算出する際に用いた、実回転速度Ner、実充填効率Ecr、実吸気位相角IVTr、実排気位相角EVTr、及び実EGR率Regrr等の運転状態の実値を、入力値の教師信号に設定し、その運転状態において、点火時期のフィードバック制御により算出された最終点火時期SAを出力値の教師信号に設定する。
点火設定学習部68は、ノック遅角補正が行われている場合は、目標点火時期の基本値IGbを算出する際に用いた、実回転速度Ner、実充填効率Ecr、実吸気位相角IVTr、実排気位相角EVTr、及び実EGR率Regrr等の運転状態の実値を、入力値の教師信号に設定し、その運転状態において、ノック遅角補正により算出された最終点火時期SAに応じた点火時期を、出力値の教師信号に設定する。そして、点火設定学習部68は、入力値及び出力値の教師信号を用い、誤差逆伝播法(バックプロパゲーション法)等の学習方法により、点火時期設定関数のFNNの各ユニットの重み及びバイアスを変更する。
なお、上述したように、点火時期設定関数が、MBT点火時期IGmbtの算出用のFNNと、ノック限界点火時期IGknkの算出用のFNNとの2つのFNNから構成されている場合は、点火設定学習部68は、MBT点火時期算出用のFNNから出力されたMBT点火時期IGmbtが、点火時期のフィードバック制御により算出された最終点火時期SAに近づくように、MBT点火時期算出用のFNNの設定値を変化させ、ノック限界点火時期算出用のFNNから出力されたノック限界点火時期IGknkが、ノック遅角補正により算出された最終点火時期SAに応じた点火時期に近づくように、ノック限界点火時期算出用のFNNの設定値を変化させてもよい。
2−3−3.燃焼制御目標設定関数の学習
内燃機関の個体差、経年変化によりトルク特性に変動が生じると、出力トルクが最大になる燃焼制御状態の目標値も変化し得る。そこで、トルク特性の変動を学習したトルク特性関数を用いれば、出力トルクが最大になる燃焼制御状態の目標値を探索することができる。そこで、トルクインターフェイス部32は、燃焼制御目標学習部69を備えている。燃焼制御目標学習部69は、燃焼制御状態の目標値の算出に用いられる、燃焼制御目標設定関数を学習する。
燃焼制御目標学習部69は、トルク特性関数を用い、複数の燃焼制御状態のそれぞれに対応する複数の出力トルクを算出する。そして、燃焼制御目標学習部69は、複数の燃焼制御状態及び複数の出力トルクに基づいて、複数の燃焼制御状態の範囲内で出力トルクが最大になる燃焼制御状態である最大トルク燃焼制御状態を算出する。燃焼制御目標学習部69は、燃焼制御目標設定関数を用いて算出される燃焼制御状態の目標値が、最大トルク燃焼制御状態に近づくように、燃焼制御目標設定関数の設定値を変化させる。
この構成によれば、トルク特性の変動を学習したトルク特性関数を用い、燃焼制御状態を摂動させて、複数の出力トルクを算出することにより、出力トルクが最大になる最大トルク燃焼制御状態を探索することができる。そして、最大トルク燃焼制御状態により燃焼制御目標設定関数を学習することにより、変動したトルク特性に適合した燃焼制御状態の目標値を設定できる。
本実施の形態では、複数の燃焼制御状態は、燃焼制御状態の実値の前後の範囲に設定されている。また、燃焼制御状態の目標値として、目標吸気位相角IVTt、目標排気位相角EVTt、目標EGR率Regrtが算出され、制御目標設定関数として、吸気位相角目標設定関数、排気位相角目標設定関数、及びEGR率目標設定関数が用いられており、以下でそれぞれについて説明する。
2−3−3−1.吸気位相角目標設定関数
まず、吸気位相角目標設定関数の学習について説明する。図13に示すように、燃焼制御目標学習部69は、トルク特性関数を用い、実回転速度Ner、実充填効率Ecr、実排気位相角EVTr、実EGR率Regrr、及び実点火時期SA、並びに実吸気位相角IVTrの前後の範囲に設定した複数の吸気位相角(本例では、3つの吸気位相角IVTa、IVTb、IVTc)のそれぞれに対応する複数の出力トルク(本例では、3つの出力トルクTrqa、Trqb、Trqc)を算出する。そして、燃焼制御目標学習部69は、複数の吸気位相角及び複数の出力トルクに基づいて、複数の吸気位相角の範囲内(複数の吸気位相角の最小値以上、複数の吸気位相角の最大値以下の範囲内)で、出力トルクが最大になる吸気位相角である最大トルク吸気位相角IVTmxを算出する。燃焼制御目標学習部69は、吸気位相角目標設定関数を用いて算出された目標吸気位相角IVTtが、最大トルク吸気位相角IVTmxに近づくように、吸気位相角目標設定関数の設定値を変化させる。
本実施の形態では、次式に示すように、燃焼制御目標学習部69は、第2の吸気位相角IVTbを、実吸気位相角IVTrに設定し、第1の吸気位相角IVTaを、実吸気位相角IVTrから、予め設定された摂動位相角Δθを減算した位相角に設定し、第3の吸気位相角IVTcを、実吸気位相角IVTrに摂動位相角Δθを加算した位相角に設定する。摂動位相角Δθは、1degから3deg程度に設定される。
Figure 0006752325
燃焼制御目標学習部69は、トルク特性関数を用い、実回転速度Ner、実充填効率Ecr、実排気位相角EVTr、実EGR率Regrr、実点火時期SA、及び第1の吸気位相角IVTaに対応する第1の出力トルクTrqaを算出する。燃焼制御目標学習部69は、トルク特性関数を用い、実回転速度Ner、実充填効率Ecr、実排気位相角EVTr、実EGR率Regrr、実点火時期SA、及び第3の吸気位相角IVTcに対応する第3の出力トルクTrqcを算出する。そして、燃焼制御目標学習部69は、トルク特性関数を用い、実回転速度Ner、実充填効率Ecr、実排気位相角EVTr、実EGR率Regrr、実点火時期SA、及び第2の吸気位相角IVTbに対応する第2の出力トルクTrqbを算出する。第2の出力トルクTrqbとして、実トルク算出部55により算出された実出力トルクTrqrが用いられてもよい。
ここでは、第1及び第3の出力トルクTrqa、Trqcの算出に、実点火時期SAが用いられているが、吸気位相角が変化すると最適な点火時期が変化する。そこで、燃焼制御目標学習部69は、点火時期設定関数を用い、第1の吸気位相角IVTaに対応する目標点火時期の基本値IGbを算出し、この点火時期を実点火時期SAの代わりに用いて、第1の出力トルクTrqaを算出し、また、点火時期設定関数を用い、第3の吸気位相角IVTcに対応する目標点火時期の基本値IGbを算出し、この点火時期を実点火時期SAの代わりに用いて、第3の出力トルクTrqcを算出してもよい。
図14に示すように、燃焼制御目標学習部69は、3つの吸気位相角IVTa、IVTb、IVTc、及び3つの出力トルクTrqa、Trqb、Trqcに基づいて、3つの吸気位相角IVTa、IVTb、IVTcの範囲内(本例では、IVTa以上、IVTc以下の範囲内)で、出力トルクが最大になる最大トルク吸気位相角IVTmxを算出する。図14に示す例では、第2の吸気位相角IVTbと第3の吸気位相角IVTcとの間の位相角で、出力トルクが最大になると判定し、第2の吸気位相角IVTbと第3の吸気位相角IVTcとの中間値が、最大トルク吸気位相角IVTmxとして算出される。或いは、燃焼制御目標学習部69は、3つの運転ポイントから2次関数等の近似曲線を算出し、近似曲線を用いて最大トルク吸気位相角IVTmxを算出してもよい。或いは、燃焼制御目標学習部69は、3つの出力トルクTrqa、Trqb、Trqcの内の最大値を判定し、最大値に対応する吸気位相角を、最大トルク吸気位相角IVTmxとして算出してもよい。
<マップデータの学習>
本実施の形態では、吸気位相角目標設定関数が、マップデータとされている場合について説明する。図15にマップデータの一部の模式図を示すように、第1のマップ軸に回転速度Neが設定され、第2のマップ軸に充填効率Ecが設定されている。燃焼制御目標学習部69は、実回転速度Ner及び目標充填効率Ectを入力点として設定すると、入力点を取り囲む4つのマップ軸の格子点を検索する。なお、最大トルク吸気位相角IVTmxの算出には実充填効率Ecrが用いられるため、これに合わせるために、目標充填効率Ectの代わりに実充填効率Ecrが入力値に設定されてもよい。そして、燃焼制御目標学習部69は、4つの格子点のそれぞれに設定された目標吸気位相角IVTt1、IVTt2、IVTt3、IVTt4をマップデータから読み出す。燃焼制御目標学習部69は、4つの格子点の目標吸気位相角IVTt1、IVTt2、IVTt3、IVTt4を補間して、入力点に対応する目標吸気位相角IVTtを算出する。燃焼制御目標学習部69が吸気位相角目標設定関数を用いて目標吸気位相角IVTtを算出する代わりに、燃焼制御目標算出部66の算出結果が用いられてもよい。
例えば、第1の格子点(Ne1、Ec1)の目標吸気位相角IVTt1と第2の格子点(Ne2、Ec1)の目標吸気位相角IVTt2とを、第1の格子点の回転速度Ne1及び第2の格子点の回転速度Ne2に対する実回転速度Nerの比率で補完して、Ner、Ec1の点の目標吸気位相角IVTt12が算出される。また、第3の格子点(Ne1、Ec2)の目標吸気位相角IVTt3と第4の格子点(Ne2、Ec2)の目標吸気位相角IVTt4とを、第3の格子点の回転速度Ne1及び第4の格子点の回転速度Ne2に対する実回転速度Nerの比率で補完して、Ner、Ec2の点の目標吸気位相角IVTt34が算出される。そして、Ner、Ec1の点の目標吸気位相角IVTt12と、Ner、Ec2の点の目標吸気位相角IVTt34とを、第1及び第2の格子点の充填効率Ec1及び第3及び第4の格子点の充填効率Ec2に対する目標充填効率Ectの比率で補完して、Ner、Ectの入力点の最終的な目標吸気位相角IVTtが算出される。
燃焼制御目標学習部69は、マップデータを用いて算出された目標吸気位相角IVTtが、最大トルク吸気位相角IVTmxに近づくように、入力点を取り囲む4つの格子点に設定された目標吸気位相角IVTt1、IVTt2、IVTt3、IVTt4のマップデータを変更する。例えば、燃焼制御目標学習部69は、次式に示すように、最大トルク吸気位相角IVTmxからマップデータにより算出された目標吸気位相角IVTtを減算した偏差ΔIVTを算出し、偏差ΔIVTに反映係数Krfを乗算した値を、4つの格子点に設定された目標吸気位相角IVTt1、IVTt2、IVTt3、IVTt4に加算して、4つの格子点のマップデータを更新する。反映係数Krfは、例えば、0.01〜0.1程度の値に設定される。
Figure 0006752325
この学習を走行中のある運転状態に基づいて作成したひとつの学習用データを用いて、その場で学習を行うようにすれば、制御装置30の演算処理能力により、対応する格子点のマップデータの学習を行うことができ、更に、時々刻々と変化する運転状態毎に作成された学習用データを順次学習して行けば、広い範囲の運転ポイントを網羅する学習結果を得ることができ、その学習値を用いて制御を行えば自動適合が実現できる。
なお、複数個の学習用データ(例えば、数十個)を保持しておき、複数個の学習用データを用いて繰り返しマップデータの学習を行ってもよい。また、式(15)において、偏差ΔIVTに一律の反映係数Krfを乗算したが、入力点と各格子点の位置関係に応じて、各格子点の反映係数Krfを変化させてもよい。また、目標吸気位相角IVTtの初期値が設定されたマップデータを直接更新するのではなく、学習対象のマップデータとマップ軸及び格子点が同じ学習用のマップデータ(初期値はゼロ)を設け、学習は学習用のマップデータを更新して行い、初期値が設定されたマップデータの出力値と学習値用のマップデータの出力値との合計値を目標吸気位相角IVTtとして算出するように構成されてもよい。
2−3−3−2.排気位相角目標設定関数
次に、排気位相角目標設定関数の学習について説明する。図13に示すように、燃焼制御目標学習部69は、トルク特性関数を用い、実回転速度Ner、実充填効率Ecr、実吸気位相角IVTr、実EGR率Regrr、及び実点火時期SA、並びに実排気位相角EVTrの前後の範囲に設定した複数の排気位相角(本例では、3つの排気位相角EVTa、EVTb、EVTc)のそれぞれに対応する複数の出力トルク(本例では、3つの出力トルクTrqa、Trqb、Trqc)を算出する。そして、燃焼制御目標学習部69は、複数の排気位相角及び複数の出力トルクに基づいて、複数の排気位相角の範囲内で、出力トルクが最大になる排気位相角である最大トルク排気位相角EVTmxを算出する。燃焼制御目標学習部69は、排気位相角目標設定関数を用いて算出された目標排気位相角EVTtが、最大トルク排気位相角EVTmxに近づくように、排気位相角目標設定関数の設定値を変化させる。
本実施の形態では、次式に示すように、燃焼制御目標学習部69は、第2の排気位相角EVTbを、実排気位相角EVTrに設定し、第1の排気位相角EVTaを、実排気位相角EVTrから、予め設定された摂動位相角Δθを減算した位相角に設定し、第3の排気位相角EVTcを、実排気位相角EVTrに摂動位相角Δθを加算した位相角に設定する。摂動位相角Δθは、1degから3deg程度に設定される。
Figure 0006752325
燃焼制御目標学習部69は、トルク特性関数を用い、実回転速度Ner、実充填効率Ecr、実吸気位相角IVTr、実EGR率Regrr、実点火時期SA、及び第1の排気位相角EVTaに対応する第1の出力トルクTrqaを算出する。燃焼制御目標学習部69は、トルク特性関数を用い、実回転速度Ner、実充填効率Ecr、実吸気位相角IVTr、実EGR率Regrr、実点火時期SA、及び第3の排気位相角EVTcに対応する第3の出力トルクTrqcを算出する。そして、燃焼制御目標学習部69は、トルク特性関数を用い、実回転速度Ner、実充填効率Ecr、実吸気位相角IVTr、実EGR率Regrr、実点火時期SA、及び第2の排気位相角EVTbに対応する第2の出力トルクTrqbを算出する。第2の出力トルクTrqbとして、実トルク算出部55により算出された実出力トルクTrqrが用いられてもよい。
ここでは、第1及び第3の出力トルクTrqa、Trqcの算出に、実点火時期SAが用いられているが、上述したように、第1の排気位相角EVTaに対応する目標点火時期の基本値IGb、及び第3の排気位相角EVTcに対応する目標点火時期の基本値IGbが用いられてもよい。
図16に示すように、燃焼制御目標学習部69は、3つの排気位相角EVTa、EVTb、EVTc、及び3つの出力トルクTrqa、Trqb、Trqcに基づいて、3つの排気位相角EVTa、EVTb、EVTcの範囲内(本例では、EVTa以上、EVTc以下の範囲内)で、出力トルクが最大になる最大トルク排気位相角EVTmxを算出する。図16に示す例では、第1の排気位相角EVTaが、最大トルク排気位相角EVTmxとして算出される。或いは、燃焼制御目標学習部69は、3つの運転ポイントから2次関数等の近似曲線を算出し、近似曲線を用いて最大トルク排気位相角EVTmxを算出してもよい。或いは、燃焼制御目標学習部69は、3つの出力トルクTrqa、Trqb、Trqcの内の最大値を判定し、最大値に対応する排気位相角を、最大トルク排気位相角EVTmxとして算出してもよい。
排気位相角目標設定関数も、マップデータとされているが、マップデータの学習方法は、上述した吸気位相角目標設定関数と同様であるので、説明を省略する。
2−3−3−3.EGR率目標設定関数
次に、EGR率目標設定関数の学習について説明する。図13に示すように、燃焼制御目標学習部69は、トルク特性関数を用い、実回転速度Ner、実充填効率Ecr、実吸気位相角IVTr、実排気位相角EVTr、及び実点火時期SA、並びに実EGR率Regrrの前後の範囲に設定した複数のEGR率(本例では、3つのEGR率Regra、Regrb、Regrc)のそれぞれに対応する複数の出力トルク(本例では、3つの出力トルクTrqa、Trqb、Trqc)を算出する。そして、燃焼制御目標学習部69は、複数のEGR率及び複数の出力トルクに基づいて、複数のEGR率の範囲内で、出力トルクが最大になるEGR率である最大トルクEGR率Regrmxを算出する。燃焼制御目標学習部69は、EGR率目標設定関数を用いて算出された目標EGR率Regrtが、最大トルクEGR率Regrmxに近づくように、EGR率目標設定関数の設定値を変化させる。
本実施の形態では、次式に示すように、燃焼制御目標学習部69は、第2のEGR率Regrbを、実EGR率Regrrに設定し、第1のEGR率Regraを、実EGR率Regrrから、予め設定された摂動率ΔRを減算したEGR率に設定し、第3のEGR率Regrcを、実EGR率Regrrに摂動率ΔRを加算したEGR率に設定する。摂動率ΔRは、1%から3%程度に設定される。
Figure 0006752325
燃焼制御目標学習部69は、トルク特性関数を用い、実回転速度Ner、実充填効率Ecr、実吸気位相角IVTr、実排気位相角EVTr、実点火時期SA、及び第1のEGR率Regraに対応する第1の出力トルクTrqaを算出する。燃焼制御目標学習部69は、トルク特性関数を用い、実回転速度Ner、実充填効率Ecr、実吸気位相角IVTr、実排気位相角EVTr、実点火時期SA、及び第3のEGR率Regrcに対応する第3の出力トルクTrqcを算出する。そして、燃焼制御目標学習部69は、トルク特性関数を用い、実回転速度Ner、実充填効率Ecr、実吸気位相角IVTr、実排気位相角EVTr、実点火時期SA、及び第2のEGR率Regrbに対応する第2の出力トルクTrqbを算出する。第2の出力トルクTrqbとして、実トルク算出部55により算出された実出力トルクTrqrが用いられてもよい。
ここでは、第1及び第3の出力トルクTrqa、Trqcの算出に、実点火時期SAが用いられているが、上述したように、第1のEGR率Regraに対応する目標点火時期の基本値IGb、及び第3のEGR率Regrcに対応する目標点火時期の基本値IGbが用いられてもよい。
燃焼制御目標学習部69は、3つのEGR率Regra、Regrb、Regrc、及び3つの出力トルクTrqa、Trqb、Trqcに基づいて、3つのEGR率Regra、Regrb、Regrcの範囲内で、出力トルクが最大になる最大トルクEGR率Regrmxを算出する。燃焼制御目標学習部69は、3つの運転ポイントから2次関数等の近似曲線を算出し、近似曲線を用いて最大トルクEGR率Regrmxを算出してもよい。或いは、燃焼制御目標学習部69は、3つの出力トルクTrqa、Trqb、Trqcの内の最大値を判定し、最大値に対応するEGR率を、最大トルクEGR率Regrmxとして算出してもよい。
EGR率目標設定関数も、マップデータとされているが、マップデータの学習方法は、上述した吸気位相角目標設定関数と同様であるので、説明を省略する。
<燃焼期間のフィードバック制御値による学習>
EGR率を増加させると燃焼が緩慢になり、燃焼期間が長くなることが知られている。そこで、燃焼制御部334は、実筒内圧Pcylrから算出された質量燃焼割合MFBが、予め設定された割合範囲(例えば、10〜90%)になるクランク角度の間隔が、目標角度間隔に近づくように目標EGR率Regrtを変化させるフィードバック制御を行うように構成されてもよい。この場合に、燃焼制御目標学習部69は、実際の角度間隔が目標角度間隔に一致している時の目標EGR率Regrt又は実EGR率Regrrを、最大トルクEGR率Regrmxに設定し、EGR率目標設定関数を用いて算出された目標EGR率Regrtが、最大トルクEGR率Regrmxに近づくように、EGR率目標設定関数の設定値を変化せてもよい。
目標角度間隔は、予め設定されてもよいが、EGR率が大きくなり燃焼期間が長くなり過ぎると燃焼変動COVが大きくなるので、目標角度間隔は、燃焼変動率COVの大きさに応じて設定されてもよい。燃焼変動率COVは、図示平均有効圧IMEPの標準偏差を平均値で除算して算出される。
以上のように、燃焼期間のフィードバック制御値を用いる方法と、学習が行われたトルク特性関数を用いる方法との2通りの方法があるが、いずれかの方法が用いられてもよいし、両方の方法が用いられてもよい。両方の方法が用いられる場合は、燃費向上を優先させるために、トルク特性関数を用いる方法により算出した最大トルクEGR率Regrmxを、燃焼期間のフィードバック制御時のEGR率により上限制限した値を、EGR率目標設定関数の学習に用いるようにしてもよい。
2−4.クランク角情報による実筒内圧の検出
運転状態検出部330は、内燃機関1のピストン、コンロッド及びクランクを含むクランク軸の回転系の運動方程式を用い、クランク角度θd及びクランク角加速度αdに基づいて、燃焼により生じた燃焼ガス圧トルクTbを算出し、燃焼ガス圧トルクTb及びクランク角度θdに基づいて燃焼している気筒bの筒内圧Pcylbを推定する。
内燃機関1のピストン、コンロッド及びクランクを含むクランク軸の回転系の運動方程式は、次式で表せる。
Figure 0006752325
ここで、Iは、クランク軸の慣性モーメントであり、Pcyljは、j番目気筒の筒内圧であり、Spは、ピストンの頂面の投影面積であり、mpは、ピストンの質量であり、αpjは、j番目気筒のピストンの加速度であり、Rjは、j番目気筒のピストンに生じた力を、クランク軸回りのトルクに変換する変換係数であり、Texは、フリクション、補機負荷、及び走行抵抗等の外部からクランク軸に伝達される外部負荷トルクである。Lは、気筒数であり、本実施の形態ではL=3である。また、rは、クランクの半径であり、θdjは、j番目気筒のピストンの上死点を基準にしたクランク角度であり、φjは、j番目気筒のコンロッドの角度であり、クランク長さとコンロッド長さの比であるコンロッド比とクランク角度θdjとに基づいて求まる。
運転状態検出部330は、各気筒jのクランク角度θdjに応じて変化するコンロッド及びクランクの幾何学的関係、並びにクランク角加速度αdに基づいて、各気筒jのピストンの加速度αpjを算出する。また、運転状態検出部330は、各気筒jのクランク角度θdjに基づいて、各気筒jの変換係数Rjを算出する。
燃焼が行われる圧縮行程の後半及び膨張行程以外の筒内圧Pcyljは、吸気マニホールド12内の圧力、大気圧、クランク角度θdjに応じた圧力となる。運転状態検出部330は、吸気マニホールド12内の圧力、大気圧、クランク角度θdjに基づいて、吸気行程、圧縮行程(後半を除く)又は排気行程となっている各未燃焼気筒jの筒内圧Pcylubjを推定する。b番目気筒が圧縮行程の後半及び膨張行程であり、燃焼が行われている場合は、式(18)を次式のように変形することができる。ここで、Pcylbは、燃焼気筒bの筒内圧であり、Pcylubjは、各未燃焼気筒j(j≠b)の筒内圧である。
Figure 0006752325
燃焼気筒bのピストンが上死点である場合は、式(19)の右辺の第一項がゼロになるので、式(19)を外部負荷トルクTexについて整理すると、次式のようになる。外部負荷トルクTexは、1サイクルの間、大きく変動しないため、上死点で推定した一定値であると仮定する。
Figure 0006752325
運転状態検出部330は、式(20)を用い、燃焼気筒bのピストンが上死点である場合の、各未燃焼気筒jの筒内圧Pcylubj、ピストンの加速度αpj、及び変換係数Rj、並びにクランク角加速度αdに基づいて外部負荷トルクTexを推定する。
式(19)を、燃焼によりクランク軸に生じた燃焼ガス圧トルクTbに相当する「Pcylb・Sp・Rb」について整理すると次式を得る。
Figure 0006752325
運転状態検出部330は、式(21)に示すクランク軸の回転系の運動方程式を用い、クランク角度θd及びクランク角加速度αdに基づいて、燃焼ガス圧トルクTbを推定する。この際、運転状態検出部330は、上記のように、燃焼気筒bのピストンの加速度αpb及び変換係数Rb、並びに各未燃焼気筒jの筒内圧Pcylubj、ピストンの加速度αpj及び変換係数Rj、並びに外部負荷トルクTexを算出する。
そして、運転状態検出部330は、次式に示すように、燃焼ガス圧トルクTbを、ピストンの投影面積Sp、及び燃焼気筒bの変換係数Rbで除算して、燃焼気筒bの筒内圧Pcylbを算出し、実筒内圧Pcylrに設定する。
Figure 0006752325
2−5.質量燃焼割合の算出
点火制御部333は、次式を用い、単位クランク角度当たりの熱発生率dQ/dθを算出する。ここで、κは、比熱比であり、Vbは、燃焼気筒bのシリンダ容積である。点火制御部333は、燃焼気筒bのクランク角度θdb及びコンロッド及びクランクの幾何学的関係に基づいて、シリンダ容積Vb及び単位クランク角度当たりのシリンダ容積変化率dVb/dθを算出する。
Figure 0006752325
点火制御部333は、次式を用い、熱発生率dQ/dθを燃焼開始角度θ0からクランク角度θdbまで積分した瞬時積分値を、燃焼角度区間全体に亘って熱発生率dQ/dθを積分した全積分値Q0で除算して、各クランク角度θdbの質量燃焼割合MFBを算出する。
Figure 0006752325
2−6.フローチャート
トルク特性関数、点火時期設定関数、及び燃焼制御目標設定関数の学習に係る制御装置30の概略的な処理の手順(内燃機関1の制御方法)について、図17に示すフローチャートに基づいて説明する。図17のフローチャートの処理は、演算処理装置90が記憶装置91に記憶されたソフトウェア(プログラム)を実行することにより、例えば所定の演算周期毎に繰り返し実行される。
ステップS01で、運転状態検出部330は、上述したように、実回転速度Ner、実充填効率Ecr、実吸気位相角IVTr、実排気位相角EVTr、実EGR率Regrr、及び実筒内圧Pcylr等の各種の運転状態を検出する運転状態検出処理を実行する。ステップS02で、トルク制御部31は、上述したように、目標トルク(本例では、低応答目標トルクTrqts、高応答目標トルクTrqtf)を演算する目標トルク算出処理を実行する。ステップS03で、実トルク算出部55は、上述したように、トルク特性関数を用い、現在の運転状態に対応する実出力トルクTrqrを算出する実トルク算出処理を実行する。
ステップS04で、目標点火時期算出部51は、上述したように、点火時期設定関数を用い、現在の運転状態に対応する目標点火時期の基本値IGbを算出する基本点火時期算出処理を実行する。ステップS05で、目標点火時期算出部51は、上述したように、トルク特性関数を用い、目標トルク(本例では、高応答目標トルクTrqtf)に対応する目標トルク対応点火時期IGttを算出する目標トルク対応点火時期算出処理を実行する。そして、ステップS06で、目標点火時期算出部51は、点火時期の遅角によるトルクダウン要求がない場合は、ステップS04で算出された目標点火時期の基本値IGbを目標点火時期IGtとして算出し、点火時期の遅角によるトルクダウン要求がある場合は、ステップS05で算出された目標トルク対応点火時期IGttを目標点火時期IGtとして算出する目標点火時期選択処理を実行する。
ステップS07で、目標吸気量算出部61は、上述したように、点火時期設定関数及びトルク特性関数を用い、目標充填効率Ectを算出する目標吸気量算出処理を実行する。ステップS08で、燃焼制御目標算出部66は、上述したように、燃焼制御目標設定関数を用い、燃焼制御状態の目標値(本例では、目標EGR率Regrt、目標吸気位相角IVTt、及び目標排気位相角EVTt)を算出する燃焼制御目標算出処理を実行する。
ステップS09で、点火制御部333は、上述したように、目標点火時期IGtに基づいて、最終点火時期SAを決定し、最終点火時期SAに基づいて、点火コイル16への通電制御を行う点火制御処理を実行する。この際、点火制御部333は、上述したように、点火時期のフィードバック制御を行う場合は、実筒内圧Pcylrに基づいて最終点火時期SAを変化させる点火時期のフィードバック制御を行い、ノックが発生している場合は、ノック遅角補正を行って、最終点火時期SAを算出する。
ステップS10で、吸気量制御部331は、上述したように、目標充填効率Ectに基づいて、筒内に吸入される空気量を制御する吸気量制御処理を実行する。ステップS11で、燃焼制御部334は、上述したように、燃焼制御状態の目標値に基づいて燃焼操作機構を制御する燃焼制御処理を実行する。
ステップS12で、トルク特性学習部67は、上述したように、実筒内圧Pcylrに基づいて筒内圧出力トルクTrqcyを算出し、ステップS03でトルク特性関数を用いて算出された実出力トルクTrqrが、筒内圧出力トルクTrqcyに近づくように、トルク特性関数の設定値を変化させるトルク特性学習処理を実行する。
ステップS13で、燃焼制御目標学習部69は、上述したように、トルク特性関数を用い、複数の燃焼制御状態のそれぞれに対応する複数の出力トルクを算出し、複数の燃焼制御状態及び複数の出力トルクに基づいて、複数の燃焼制御状態の範囲内で出力トルクが最大になる最大トルク燃焼制御状態を算出し、燃焼制御目標設定関数を用いて算出される燃焼制御状態の目標値が、最大トルク燃焼制御状態に近づくように、燃焼制御目標設定関数の設定値を変化させる燃焼制御目標学習処理を実行する。
ステップS14で、点火設定学習部68は、上述したように、ステップS04で点火時期設定関数を用いて算出された目標点火時期の基本値IGbが、実筒内圧Pcylrに基づく点火時期のフィードバック制御により変化された点火時期に近づくように、点火時期設定関数の設定値を変化させる点火設定学習処理を実行する。
〔その他の実施の形態〕
最後に、本願のその他の実施の形態について説明する。なお、以下に説明する各実施の形態の構成は、それぞれ単独で適用されるものに限られず、矛盾が生じない限り、他の実施の形態の構成と組み合わせて適用することも可能である。
(1)上記の実施の形態1においては、トルク特性関数、点火時期設定関数がニューラルネットワークにより構成されている場合を例に説明した。しかし、本願の実施の形態はこれに限定されない。すなわち、トルク特性関数及び点火時期設定関数の一方又は双方が、マップデータ及び近似曲線等の他の関数により構成されてもよい。
(2)上記の実施の形態1においては、EGR率目標設定関数、吸気位相角目標設定関数、及び排気位相角目標設定関数等の燃焼制御目標設定関数が、マップデータにより構成されている場合を例に説明した。しかし、本願の実施の形態はこれに限定されない。すなわち、各燃焼制御目標設定関数は、ニューラルネットワーク等の他の関数により構成されてもよい。
(3)上記の実施の形態1においては、燃焼操作機構は、吸気VVT14、排気VVT15、及びEGRバルブ22とされ、燃焼制御状態の目標値として、目標吸気位相角IVTt、目標排気位相角EVTt、目標EGR率Regrtが算出され、制御目標設定関数として、吸気位相角目標設定関数、排気位相角目標設定関数、及びEGR率目標設定関数が用いられている場合を例に説明した。しかし、本願の実施の形態はこれに限定されない。すなわち、燃焼操作機構は、内燃機関のシステム構成により変更され、可変バルブリフト機構、可変圧縮比機構、ターボチャージャ、スワールコントロールバルブ、及びタンブルコントロールバルブ等とされてもよく、燃焼制御状態の目標値は、目標バルブリフト量、目標圧縮比、目標過給圧、目標スワールコントロールバルブ開度、及び目標タンブルコントロールバルブ開度等とされてもよく、制御目標設定関数は、各目標値を設定する関数とされてもよい。
(4)上記の実施の形態1においては、内燃機関1は、ガソリンエンジンとされている場合を例として説明した。しかし、本願の実施の形態はこれに限定されない。すなわち、内燃機関1は、HCCI燃焼(Homogeneous-Charge Compression Ignition Combustion)を行うエンジン等の各種の内燃機関とされてもよい。
本開示は、例示的な実施の形態が記載されているが、実施の形態に記載された様々な特徴、態様、及び機能は特定の実施の形態の適用に限られるのではなく、単独で、または様々な組み合わせで実施の形態に適用可能である。従って、例示されていない無数の変形例が、本願明細書に開示される技術の範囲内において想定される。例えば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合が含まれるものとする。
1 内燃機関、25 燃焼室、30 内燃機関の制御装置、330 運転状態検出部、333 点火制御部、334 燃焼制御部、51 目標点火時期算出部、55 実トルク算出部、66 燃焼制御目標算出部、67 トルク特性学習部、68 点火設定学習部、69 燃焼制御目標学習部

Claims (4)

  1. 燃焼室内の圧力である筒内圧及びクランク角度を含む、検出可能な内燃機関の複数の内燃機関の運転状態を検出する運転状態検出部と、
    予め設定された単数又は複数の種類である特定種類の運転状態と目標点火時期の基本値との関係が設定された関数である点火時期設定関数を用い、現在の前記特定種類の運転状態に対応する前記目標点火時期の基本値を算出する目標点火時期算出部と、
    前記筒内圧の実値及び前記クランク角度の実値に基づいて、1燃焼サイクルあたりの燃料の質量のうち燃焼した質量の比である質量燃焼割合を前記クランク角度毎に算出し、前記質量燃焼割合が50%になる燃焼重心の前記クランク角度が、目標燃焼重心角度に近づくように、最終点火時期を変化させる点火時期のフィードバック制御を行い、前記最終点火時期に基づいて、点火コイルへの通電制御を行う点火制御部と、
    前記点火時期のフィードバック制御が行われている場合の同じ運転状態において、前記点火時期設定関数を用いて算出された前記目標点火時期の基本値が、前記点火時期のフィードバック制御により変化された前記最終点火時期に近づくように、前記点火時期設定関数の入出力の関係を規定する設定値を変化させる点火設定学習部と、
    を備えた内燃機関の制御装置。
  2. 前記点火時期設定関数は、ニューロンとしてのユニットの複数を有するニューラルネットワークにより構成されており、
    前記点火設定学習部は、前記点火時期設定関数の設定値として、前記ニューラルネットワークの入出力の関係を規定する前記ユニットの重み及びバイアスの設定値を変化させる請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
  3. 前記点火制御部は、前記点火時期のフィードバック制御を行わない場合は、前記目標点火時期の基本値に基づいて、前記最終点火時期を算出する請求項1又は2に記載の内燃機関の制御装置。
  4. 燃焼室内の圧力である筒内圧及びクランク角度を含む、検出可能な内燃機関の複数の内燃機関の運転状態を検出する運転状態検出ステップと、
    予め設定された単数又は複数の種類である特定種類の運転状態と目標点火時期の基本値との関係が設定された関数である点火時期設定関数を用い、現在の前記特定種類の運転状態に対応する前記目標点火時期の基本値を算出する目標点火時期算出ステップと、
    前記筒内圧の実値及び前記クランク角度の実値に基づいて、1燃焼サイクルあたりの燃料の質量のうち燃焼した質量の比である質量燃焼割合を前記クランク角度毎に算出し、前記質量燃焼割合が50%になる燃焼重心の前記クランク角度が、目標燃焼重心角度に近づくように、最終点火時期を変化させる点火時期のフィードバック制御を行い、前記最終点火時期に基づいて、点火コイルへの通電制御を行う点火制御ステップと、
    前記点火時期のフィードバック制御が行われている場合の同じ運転状態において、前記点火時期設定関数を用いて算出された前記目標点火時期の基本値が、前記点火時期のフィードバック制御により変化された前記最終点火時期に近づくように、前記点火時期設定関数の入出力の関係を規定する設定値を変化させる点火設定学習ステップと、
    を実行する内燃機関の制御方法。
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