以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、以下では図中の同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は原則的に繰返さないものとする。
[実施の形態1]
図1は、本実施の形態に係る燃焼装置を含む給湯装置100の概略構成図である。
図1を参照して、給湯装置100の筺体110内には、燃焼バーナ115と、熱交換器120と、燃焼用ファン125と、コントローラ150と、防雨板135と、図示しない多数の配管およびセンサとが格納されている。筺体110の一面(たとえば前面)には、前板140が設けられ、前板140には、吸気口145と、排気口147とが設けられている。
燃焼バーナ115は、ガス配管(図示せず)から供給されるガスと、燃焼用ファン125から供給される空気との混合気を燃焼する。燃焼バーナ115でのガス燃焼により発生された熱量は、熱交換器120に与えられ、熱交換器120において給湯配管内の湯水の温度上昇に用いられる。燃焼用ファン125には、ファン(図示せず)、及び、当該ファンを回転駆動するファンモータ130が内蔵される。
燃焼用ファン125は、ファンモータ(図示せず)によって回転駆動され、燃焼バーナ115へ燃焼用の空気を供給するためのものである。燃焼用ファン125は、コントローラ150からの指令に基づいて作動し、吸気口145から取り込まれる空気を燃焼バーナ115に向けて供給する。
吸気口145は、燃焼用ファン125の作動時に筺体110内に外気を取り込むために設けられる。燃焼用ファン125の作動に伴って吸気口145から取り込まれた空気は、燃焼用ファン125によって燃焼バーナ115に供給される。例えば、図1に示されるように、コントローラ150は、防雨板135を介して吸気口145の近傍に配設される。排気口147は、燃焼用ファン125の作動時に筺体110外へ空気(又は、燃焼運転による排ガス)を排出するために設けられる。排気口147が設けられることにより、燃焼用ファン125の作動時に図1中に矢印で示されるような空気流が形成される。
コントローラ150には、外部電源(図示せず)から電力が供給され、コントローラ150の内部にて、給湯装置100で用いられる電源(たとえば15V電源)が生成される。生成された電力は、必要に応じて電圧変換されて、燃焼バーナ115、燃焼用ファン125(ファンモータ130)、各種電磁弁、各種センサ、リモコン等の各機器へ供給される。
コントローラ150は、予め記憶された制御プログラムに従って給湯装置100の各種制御を実行する。制御プログラムには、燃焼バーナ115や燃焼用ファン125等の運転に関する各種プログラムが含まれており、これらのプログラムに基づいて燃焼バーナ115や燃焼用ファン125等の制御が実行される。
代表的な機能として、コントローラ150は、給湯装置100からの給湯温度を目標温度に制御するために、加熱前の入水温度及び上記目標温度の温度差(必要昇温量)と、給湯流量との積に従って、燃焼バーナ115での目標発熱量を設定するとともに、当該目標熱量から燃焼バーナ115への燃焼ガス供給量を設定する。さらに、コントローラ150は、燃焼ガス供給量に対して一定の空燃比を維持するための燃焼用空気を供給するように、燃焼用ファン125の回転数を制御する。
例えば、必要な空気量に対応して設定された目標回転数と、燃焼用ファン125に配置された回転数センサ(図示せず)による検出値とが一致するように、コントローラ150からファンモータ130の駆動電圧を可変制御することによって、燃焼用ファン125の回転数が制御される。
この際に、吸気フィルタの目詰まり等による燃焼用ファン125の通気路の閉塞、又は、ファンモータ130の経年劣化等が発生することにより、同一回転数を実現する下で、ファンモータ130の電流(以下、単に「ファン電流」とも称する)が減少する現象がみられることがある。このため、燃焼用ファン125の回転数制御において、ファン電流の検出に基づく監視が重要となる。
本実施の形態では、ファン電流値の検出のためのコントローラ150の構成について主に説明する。なお、以下では、コントローラ150の機能及び内部構成のうち、ファン電流値の検出に係る部分に絞って説明する。
まず、図2を用いて、図1に示されたコントローラ150の比較例に係る構成を説明する。
図2を参照して、コントローラ150は、電源基板200及び制御基板300を含む。電源基板200には、整流回路220、平滑コンデンサ230、電源制御回路240、電流検出部250、パルス生成回路255、及び、信号伝達回路260を含む回路群が搭載される。制御基板300には、マイコン310、不揮発性メモリ315、及び、信号伝達回路330を含む回路群が搭載される。比較例に係る構成では、制御基板300のみにマイコン310が搭載され、電源基板200にはマイコンは搭載されない。
又、電源基板200及び制御基板300の間では、信号伝達回路260,330により、フォトカプラ等による電気的絶縁を伴うアナログ信号(パルス信号)の伝達によって情報が授受される。不揮発性メモリ315の記憶データは、マイコン310によって書換可能であるとともに、給湯装置100の電源遮断時にも保持される。又、マイコン310には、ROM(Read Only Memory)311及びRAM(Random Access Memory)312が内蔵される。ROM311には、マイコン310で実行される制御プログラム及び制御データ等が製造時に予め書き込まれる。ROM311の記憶内容は、マイコン310では書き換えることができず、かつ、マイコン310の電源遮断時にも保持される。一方で、RAM312の記憶データは、マイコン310の電源遮断時には消失する。
整流回路220は、代表的にはダイオードブリッジで構成される。整流回路220は、給湯装置100のコンセント101と電気的に接続された交流電源190(例えば、系統交流電源)から供給された交流電圧を整流する。平滑コンデンサ230は、整流後の電圧を平滑する。電源制御回路240は、平滑コンデンサ230による直流電圧を降圧して、電源電圧Vdc及びファン駆動電圧Vfanを生成する。電源電圧Vdc及びファン駆動電圧Vfanの各々は、信号伝達回路330を経由して伝送された、マイコン310からの制御信号(パルス信号)に従って制御される。例えば、当該パルス信号のデューティ比によって、電源制御回路240内の図示しないトランジスタのオン期間が制御されることによって、電源電圧Vdc及びファン駆動電圧Vfanを制御することができる。マイコン310からは、電源制御回路240以外の回路に対する制御信号がさらに出力される。
ファンモータ130へ供給されるファン駆動電圧Vfanに応じてファン電流が変化することにより、ファンモータ130の発生トルクが変化する。図2中では、ファン回転数制御に係る構成の図示は省略されているが、ファン回転数検出値をマイコン310へ入力することにより、ファン回転数検出値と目標回転数との差分に応じてファンモータ130の発生トルクを増減させるように、ファン駆動電圧Vfanを調整することによって、燃焼用ファン125の回転数を制御することができる。
このような燃焼用ファン125の回転数制御の下で、電流センサを含む電流検出部250は、ファン電流Ifanの検出値Ifを出力する。検出値Ifは、アナログ電圧値である。
パルス生成回路255は、電流検出部250による検出値Ifに応じたデューティ比Dpを有するパルス信号Splsを生成する。図3には、ファン電流値とパルス信号のデューティ比との関係を説明するための波形図が示される。
図3を参照して、パルス生成回路255から出力されるパルス信号Splsは、一定のパルス周期Tcを有する。パルス信号Splsのデューティ比Dpは、パルス周期Tcに対する論理ハイレベル期間Thの比で定義される(Dp=Th/Tc)。
ファン電流Ifan=0のときの検出値Ifに対応して、デューティ比Dpは最小値Dminとなる。ファン電流Ifan>0のとき、Dp>Dminとなる。
ファン電流Ifanの0~Imax(検出最大値)の範囲と、デューティ比Dpの最小値Dmin~最大値Dmaxの範囲とを対応付けるためのデューティ比換算演算が、パルス生成回路255によって実行される。例えば、当該デューティ比換算演算は、パルス生成回路255を構成するアナログ回路中の回路定数(抵抗値、キャパシタンス値、インダクタンス値)に従った一次関数によって実行される。
再び図2を参照して、パルス生成回路255から出力されるパルス信号Splsは、信号伝達回路260を経由して制御基板300へ伝送されて、マイコン310へ入力される。マイコン310では、ローパスフィルタ等によってパルス信号Splsの平均電圧(アナログ電圧)を求めることにより、パルス信号Splsのデューティ比Dpを検知することができる。従って、マイコン310では、上記平均電圧のA/D変換値(電圧Van)から、複数ビットのデジタルデータとして、ファン電流値IDfanを検知する。すなわち、マイコン310では、上記電圧Vanとファン電流値IDfanとを対応付けるための換算演算が実行される。当該換算演算についても一次関数に従って実行することができる。換算演算のための一次関数を規定するデータは、不揮発性メモリ315に記憶される。例えば、マイコン310は、ファン電流値IDfanに基づいて、燃焼用ファン125の劣化診断をオンラインで実行することができる。
マイコン310によるファン電流Ifanの検出は、電流検出部250での電流-電圧換算、パルス生成回路255でのデューティ比換算、信号伝達回路260によるパルス信号伝送、及び、マイコン310での換算演算を経て実行される。このため、給湯装置100の個体間で、回路素子の特性ばらつき等に起因してこれらの各要素における換算に差(個体差)が生じると、ファン電流値の検出精度が低下することが懸念される。
従って、給湯装置100の出荷前検査の一環として、電流源(図示せず)から既知の電流値を電流検出部250へ入力した状態で、マイコン310でのファン電流値IDfanと、当該既知の入力電流値とが合致するように、マイコン310での換算演算式を調整することで、上記の個体差を抑制した電流検出が可能となる。例えば、換算演算式として用いられる一次関数を規定する傾き及び切片の値をデフォルト値から補正することで上記調整を実行することができる。このとき、補正後の値は、ROM311に記憶されるデフォルト値とともに、不揮発性メモリ315によって保持することができる。以下では、上述したファン電流検出のための調整を「ファン電流補正」とも称する。
一方で、比較例の構成(図2)によるファン電流補正では、電源基板200での個体差と、制御基板300での個体差とが一体化されて、マイコン310での換算演算式の補正によって吸収される。このため、電源基板200及び制御基板300の一方のみに故障が生じて基板交換が必要となった場合にも、ファン電流補正の観点からは、一体的な調整後の電源基板200及び制御基板300のセット単位での交換が必要となる。従って、実施の形態1では、電源基板200及び制御基板300の一方のみを交換しても、ファン電流をマイコン310で正確に検出するための構成について説明する。
図4は、図1に示されたコントローラの実施の形態1に係る構成を説明するブロック図である。
図4を参照して、実施の形態1に係るコントローラ150は、図2の比較例に対して、電源基板200に搭載されたマイコン210及び不揮発性メモリ215をさらに含む点で異なる。又、図2でのパルス生成回路255の配置が省略されて、マイコン210のパルス生成機能によってパルス信号Splsが生成される。
マイコン210にも、ROM311及びRAM312と同様の、ROM211及びRAM212が内蔵される。又、不揮発性メモリ315と同様に、不揮発性メモリ215の記憶データは、マイコン210によって書換可能であるとともに、給湯装置100の電源遮断時にも保持される。
図4の構成例においては、信号伝達回路260及び330によって、電源基板200のマイコン210及び制御基板300のマイコン310の間で、パルス信号の伝送により情報を授受することができる。例えば、マイコン310が設定した燃焼用ファン125の目標回転数がマイコン210に伝送されて、マイコン210では、目標回転数に対する回転数検出値の誤差に応じてファン駆動電圧Vfanを調整するように、電源制御回路240の制御信号を生成することができる。
一方で、ファン電流Ifanについては、マイコン210を経由してマイコン310で検知することにより、マイコン310において、図2でも説明した燃焼用ファン125の劣化診断を、他の機器の劣化診断とともに総合的に実行することができる。
図5には、実施の形態1に係るコントローラ150におけるファン電流値補正を説明するためのブロック図が示される。
図5を参照して、マイコン210は、A/D変換部213、電流換算部214、及び、パルス生成部216を有する。
マイコン210において、A/D変換部213には、電流検出部250による検出値Ifが入力される。A/D変換部213は、検出値IfをA/D変換したデジタル値Df1を出力する。電流換算部214は、第1の変換特性LN1に従って、デジタル値Df1を、複数ビットのデジタルデータであるデジタル電流値IfD1に換算する。検出値Ifは「第1のアナログ電圧」に対応し、デジタル値Df1は「第1のデジタル値」に対応し、デジタル電流値IfD1は「第1のデジタル電流値」に対応する。
パルス生成部216は、デジタル電流値IfD1に従って図3と同様のパルス信号Splsを生成する。すなわち、パルス生成部216は、第2の変換特性LN2に従って、デジタル電流値IfD1をデューティ比Dpに換算する。パルス信号Splsは、信号伝達回路260を経由して、制御基板300のマイコン310へ入力される。第1の変換特性LN1及び第2の変換特性LN2は、図6及び図7に示されるように、線形の一次関数を用いることができる。
図6を参照して、第1の変換特性LN1は、デジタル値Df1をデジタル電流値IfD1に換算する一次関数で示される。例えば、製造時には、当該一次関数の傾き及び切片のデフォルト値がROM211に保持される。図6中の第1の変換特性LN1♯は、当該デフォルト値に従う一次関数を示している。
第1の変換特性LN1については、工場出荷前に検査ライン等で、電源基板200の個体間ばらつきを解消するための補正処理が実行される。具体的には、(i)電流検出部250に対する入力電流がゼロ(Ifan=0)の状態でのデジタル電流値IfD1と、(ii)図示しない電流源から既知の電流値を入力した状態(Ifan=Ic)でのデジタル電流値IfD1とを用いて、一次関数の傾き及び切片を求めることで、個体差を調整した第1の変換特性LN1を求めることができる。
このように、電源基板200単体、又は、電源基板200が搭載された給湯装置100について、工場出荷時には調整処理後の第1の変換特性LN1を示す情報が、不揮発性メモリ215に保持された状態となる。これにより、マイコン210のデジタル電流値IfD1については、オフラインにて、電源基板200の個体差を解消してファン電流Ifanを正確に検知可能な状態とすることができる。
図7を参照して、第2の変換特性LN2も、第1の変換特性LN1(図6)と同様に、デジタル電流値IfD1を、最小値Dmin~最大値Dmaxの範囲内でデューティ比Dpに換算する一次関数で示される。例えば、当該一次関数の傾き及び切片のデフォルト値がROM211に保持される。図7中の第2の変換特性LN2♯は、当該デフォルト値に従う一次関数を示している。第2の変換特性LN2の補正処理は、後述する試運転時に実行される。
再び図5を参照して、マイコン310は、ローパスフィルタ313、A/D変換部314、及び、電流換算部316を有する。
ローパスフィルタ313は、電源基板200(マイコン210)から伝送されたパルス信号Splsの平均電圧に相当するアナログ電圧Vanを生成する。A/D変換部314は、アナログ電圧VanをA/D変換したデジタル値Df2を出力する。電流換算部316は、第3の変換特性LN3に従って、デジタル値Df2をデジタル電流値IfD2に換算する。このように、アナログ電圧Vanは「第2のアナログ電圧」に対応し、デジタル値Df2は「第2のデジタル値」に対応する。又、デジタル電流値IfD2は、デジタル電流値IfD1と同様の複数ビットのデジタルデータであり「第2のデジタル電流値」に対応する。デジタル電流値IfD2は、マイコン310が検知するファン電流値IDfanに相当する。
第3の変換特性LN3として、図8に示されるように、第1の変換特性LN1及び第2の変換特性LN2と同様に、一次関数を用いることができる。第3の変換特性LN3は、制御基板300単体の試験、及び、電源基板200及び制御基板300を搭載した給湯装置100に対する試験によって、工場出荷前に予め調整される。
実施の形態1に係るコントローラ150の構成では、燃焼用ファン125(ファンモータ130)を一定回転数で作動させる試運転によって、第2の変換特性LN2の補正を伴うファン電流補正が実行される。当該試運転は、給湯装置100の据付工事後に実行することも可能である。通信ユニット400は、マイコン210及びマイコン310の間でデジタルデータを通信するように構成される。
実施の形態1に係るコントローラ150では、通信ユニット400は、少なくともファン電流補正時において、マイコン310からマイコン210へ、デジタル電流値IfD2を伝送する機能を有すればよい。従って、通信ユニット400は、試運転時にのみ、作業者によってマイコン210及び310の外部端子(ピン又はコネクタ等)間に一時的に外部接続されてもよい。或いは、コントローラ150において、電源基板200及び制御基板300上に、デジタルデータの通信回路を搭載することによって、通信ユニット400が常時形成されてもよい。
このように、実施の形態1の構成では、試運転時に、通信ユニット400によって、マイコン310でのデジタル電流値IfD2を、マイコン210にフィードバックすることができる。
図9は、実施の形態1に係る燃焼装置の試運転モードにおけるファン電流値補正のための制御処理を説明するフローチャートである。図9に示される制御処理は、マイコン210により実行することができる。
図9を参照して、マイコン210は、試運転開始が指示されると(S100のYES判定時)、ステップS110以下の試運転モードの処理を起動する。例えば、試運転の開始指示は、作業者によって手動入力される。試運転開始が指示されないとき(S100のNO判定時)には、ステップS110以降の処理は起動されない。
マイコン210は、ステップS110により、ファンモータ130が停止しているか否かを判定する。例えば、ファンモータ130に設けられた回転数センサの検出値に基づき、ファン回転数がゼロのときにステップS110はYES判定とされる。ファンモータ130が停止状態でない場合(S110のNO判定時)には、マイコン210は、ファンモータ130を停止する制御指令を生成するとともに(S120)、ステップS110による判定を繰り返し実行する。
マイコン210は、ファンモータ130の停止が確認されると(S110のYES判定時)、ステップS130により、ファン電流Ifan=0のときの電流検出部250の検出値に基づくデジタル値Df1をデジタル電流値IfD1に換算する。ステップS130による処理は、電源基板200の個体差を調整済の第1の変換特性LN1を用いて、電流換算部214により実行される。
マイコン210は、ステップS140により、ステップS130で求められたデジタル電流値IfD1と、デューティ比Dpの最小値Dminとを対応付けるように、第2の変換特性LN2(補正後)の切片を求めることができる。
マイコン210は、ステップS150により、ファンモータ130を予め定められたテスト回転数Ntstで駆動するように電源制御回路240(図4)を制御する。そして、ファンモータ130の回転数検出値がテスト回転数Ntstで安定した状態となると、ステップS160により、このときの電流検出部250の検出値に基づくデジタル値Df1をデジタル電流値IfD1に換算する。ステップS160による処理についても、第1の変換特性LN1を用いて、図5の電流換算部214により実行される。
マイコン210は、ステップS170により、ステップS160で得られたデジタル電流値IfD1を、現在(補正前)の第2の変換特性LN2に従って、パルス信号Splsのデューティ比Dpに換算する。さらに、ステップS180では、ステップS170で求められたデューティ比Dpを有するパルス信号Splsが生成される。ステップS160,S170による処理は、図5のパルス生成部216により実行される。
パルス信号Splsは信号伝達回路260を経由してマイコン310に入力される。図5で説明したように、マイコン310では、パルス信号Splsのデューティ比Dpに基づくデジタル電流値IfD2が生成される。
マイコン210は、ステップS190により、通信ユニット400を経由して、マイコン310でのデジタル電流値IfD2を受信する。これにより、マイコン210では、テスト回転数Ntstにおける同一のファン電流に基づいて算出された、デジタル電流値IfD1及びIfD2が揃うことになる。
マイコン210は、ステップS200により、ステップS160で算出されたデジタル電流値IfD1と、マイコン310でのデジタル電流値IfD2とが等しいか否かを判定する。
マイコン210は、IfD1≠IfD2のとき(S200のNO判定時)には、ステップS230によるタイムアウト判定を実行する。ステップS230は、ステップS150によるファンモータ130の駆動開始から、予め定められた制限時間が経過するとYES判定とされる(タイムアウト検出)。一方で、制限時間が経過するまでは、ステップS230はNO判定とされる。
マイコン210は、タイムアウトの非検知時(S230のNO判定時)には、ステップS240により、デジタル電流値IfD2がIfD1に近付くように、第2の変換特性LN2の傾きを補正するとともに、処理をステップS150に戻す。ステップS150~S190により、ステップS240による補正後の第2の変換特性LN2に従って、マイコン210から出力されるパルス信号Splsのデューティ比Dpが変化すると、マイコン310でのデジタル電流値IfD2も、補正後の第2の変換特性LN2を反映したものに修正される。
マイコン210は、補正後の第2の変換特性LN2(S240)の下で、ステップS200により、IfD1=IfD2が成立するか否かを判定する。マイコン210は、ステップS200がYES判定とされると、そのときの第2の変換特性LN2(IfD1→Dp)を示す情報を不揮発性メモリ215に記憶する。これにより、ファン電流補正が完了するので、さらに、ステップS220により、ファンモータ130を停止することにより、試運転モードが終了される。
このように、試運転モードでのファン電流補正によって、給湯装置100において、電源基板200及び制御基板300の個体差を吸収してIfD1=IfD2が成立するように補正された第2の変換特性LN2を、不揮発性メモリ215によって保持することができる。すなわち、補正後の第2の変換特性LN2は、マイコン210の電源が遮断されても保持される。
タイムアウトが検知されるまでの間(S230のNO判定時)、IfD1=IfD2が成立するまで、第2の変換特性LN2の補正のための処理(S150~S200,S240)は繰り返し実行される。
デジタル電流値IfD1=IfD2が成立しないままタイムアウトが検知されると(S230のYES判定時)、マイコン210は、ステップS250により、エラーを報知するとともに、ステップS220によりファンモータ130を停止して、試運転モードを終了する。
実施の形態1に係る燃焼装置によれば、電源基板200の故障時には、第1の変換特性LN1を調整済の新たな電源基板200との交換後、交換後の電源基板200と非交換の制御基板300との間を通信ユニット400で接続した状態で、図9で説明した試運転モードが実行される。試運転モードでは、上述のように、デジタル電流値IfD2がデジタル電流値IfD1と一致するように、デューティ比換算のための第2の変換特性LN2(IfD1→Dp)を補正することにより、図5でのパルス生成部216から電流換算部316までの間で生じる、電源基板200及び制御基板300の個体差による誤差を一体的に吸収することができる。
すなわち、制御基板300の故障時においても、新たな制御基板300との交換後、交換後の制御基板300と非交換の電源基板200との間を通信ユニット400で接続した状態で、図9で説明した試運転モードが実行される。これにより、第2の変換特性LN2の補正によって、制御基板300の個体差による誤差についても、図5でのパルス生成部216から電流換算部316までの間で生じる誤差に含めて一体的に吸収することができる。
このように、実施の形態1に係る燃焼装置によれば、電源基板200及び制御基板300のそれぞれにマイコン210及び310が搭載された構成において、一方の基板のみを交換しても、通信ユニット400によるデジタル電流値IfD2のフィードバックを伴う試運転を実行することにより、制御基板300のマイコン310が検知するファン電流値IDfan(デジタル電流値IfD2)に、交換した基板の個体差による誤差が生じることを防止できる。すなわち、電源基板200及び制御基板300の一方のみを交換した場合にも、マイコン210及び310の両方でファン電流を正確に検知することができる。
[実施の形態2]
実施の形態1では試運転モードの起動によるオフラインでのファン電流補正を説明したが、実施の形態2では、オンラインで自動的に実行されるファン電流補正について説明する。
図10は、図1に示されたコントローラの実施の形態2に係る構成を説明するブロック図である。
図10を参照して、実施の形態2に係るコントローラ150は、実施の形態1(図4)と比較して、電源基板200及び制御基板300に通信回路270及び370が搭載される点で異なる。さらに、電源基板200では、ファン電流補正後の第2の変換特性LN2の情報を記憶するための不揮発性メモリ215の配置を省略することができる。
マイコン210において、電源基板200の個体差を調整済の第1の変換特性LN1を示す情報は、工場出荷前にROM211に書き込まれる。また、第2の変換特性LN2のデフォルト値についても、工場出荷前にROM211に書き込まれる。
実施の形態2に係るコントローラ150では、通信回路270及び370によって、マイコン210及び310の間でデジタルデータを伝送する経路が常時確保されるので、デジタル電流値IfD2の伝送を伴うファン電流補正を自動的に起動することができる。コントローラ150のその他の部分の構成は、実施の形態1(図4)と同様であるので詳細な説明は繰り返さない。
図11は、実施の形態2に係る燃焼装置におけるファン電流補正の制御処理を説明するフローチャートである。
図11を参照して、マイコン210は、ステップS300により、ファン電流補正モードの開始条件が成立したか否かを判定する。ファン電流補正モードの開始条件は、マイコン210の電源投入時において、少なくとも成立する。すなわち、電源投入時におけるマイコン210の初期化処理の一環として、ファン電流補正モードが実行される。
さらに、電源投入後において、燃焼バーナ115による燃焼動作開始前の、いわゆるプリパージ運転においても、ファン電流補正モードの開始条件を成立させることができる。なお、ファン電流補正モードの開始条件は、プリパージ運転毎に成立させてもよく、或いは、ファン電流補正モードの前回実行時から所定期間が経過した際のプリパージ運転時に限定して成立させてもよい。
マイコン210は、ファン電流補正モードの開始条件成立時(S300のYES判定時)には、ステップS310により、電源投入時であるかどうかを判定する。上述の初期化処理の一環としてファン電流補正モードが実行されるときには、ステップS310がYES判定とされる一方で、電源投入後のプリパージ運転に伴ってファン電流補正モードが実行されるときには、ステップS310はNO判定とされる。
マイコン210は、電源投入時(S310のYES判定時)には、ステップS400Aにより、図12に示されたフローチャートに従ってファン電流補正を実行する。この場合には、マイコン210のRAM212の記憶内容が電源遮断によって消失されるため、これまでにファン電流補正によって第2の変換特性LN2が補正されていても、その補正後の第2の変換特性LN2を示すデータは失われている。
図12を参照して、マイコン210は、図9のステップS110~S140と同等のステップS410~S440により、ファンモータ130停止時(Ifan=0)のときの電流検出部250の出力とデューティ比の最小値Dminとを対応付けるように、デューティ比換算のための第2の変換特性LN2を示す一次関数の切片を決定する。
さらに、マイコン210は、図9のステップS150~S190と同様のステップS450~S490により、ファンモータ130がテスト回転数Ntstで駆動される下でのデジタル電流値IfD1(マイコン210)及びデジタル電流値IfD2(マイコン310)を取得する。この際に、電源遮断により、前回のファン電流補正モードで補正された第2の変換特性LN2のデータ(傾き)は消失しているので、ROM311に記憶されたデフォルト値に従って、第2の変換特性LN2(補正前)は規定される。
マイコン210は、ステップS495により、デジタル電流値IfD1及びIfD2の差分(|IfD1-IfD2|)が限界値Tlimよりも大きいか否かを判定する。|IfD1-IfD2|>Tlim(S495のYES判定時)のとき、すなわち、デフォルト値を用いた第2の変換特性LN2に従うと、マイコン210及び310の間でのファン電流の認識値の差が過大となるときには、マイコン210は、ステップS550により燃焼用ファン125の異常を検知してエラーを報知する。さらに、マイコン210は、ステップS555により燃焼バーナ115の作動(燃焼動作)を禁止するとともに、ステップS520により、ファンモータ130の停止指令を生成してファン電流補正モードを終了する。
一方で、マイコン210は、|IfD1-IfD2|≦Tlimである場合(S495のNO判定時)には、燃焼用ファン125の異常を検知することなく、図6のステップS200,S210,S230,S240と同等のステップS500,S510,S530,S540により、デジタル電流値IfD2(マイコン310)がデジタル電流値IfD1(マイコン210)に近付くように、第2の変換特性LN2の傾きを補正する。IfD1=IfD2となるまでステップS450~S490を継続的に実行することにより、実施の形態1と同様に、第2の変換特性LN2を補正することができる。
このように、電源投入時のファン電流補正では、ファンモータ130の停止時、及び、ファンモータ130のテスト回転数Ntstでの駆動時のそれぞれにおけるデジタル電流値IfD1を基準として等価的に一次関数上の2点を定める態様で、第2の変換特性LN2を求めることができる。補正後の第2の変換特性LN2を示すデータ(一次関数の切片及び傾き)は、マイコン210のRAM212に記憶される。
再び図11を参照して、マイコン210は、プリパージ運転に伴うファン電流補正では(S310のNO判定時)には、ステップS400Bにより、図13に示されたフローチャートに従ってファン電流補正を実行する。ステップS400Bが実行されるタイミングでは、電源投入時のファン電流補正(図12)によって決定された第2の変換特性LN2のデータが、RAM212によって保持されている。
図13を参照して、マイコン210は、ステップS405により、オンライン時におけるファンモータ130に係るエラー検知を一旦無効にした上で、ステップS450以降の処理によるファン電流補正を実行する。具体的には、マイコン210は、図12と同様のステップS450~S540により、ファンモータ130のテスト回転数Ntstでの駆動時におけるデジタル電流値IfD1を基準とすることで、第2の変換特性LN2(一次関数)の傾きを補正する。第2の変換特性LN2(一次関数)の切片を示す情報については、電源投入時のファン電流補正にて図11のステップS440で求めた値を用いることができるからである。
マイコン210は、図12と同様のステップS495により、補正前の第2の変換特性LN2を用いたときに、デジタル電流値IfD1及びIfD2の差が限界値Tlimよりも大きい場合(S495のYES判定時)には、エラー報知(S550)とともに、燃焼バーナ115による燃焼を禁止する(S555)。
一方で、マイコン210は、エラー報知されない場合には、ステップS600により、ステップS405で無効にしたファンエラー検知を有効に戻した上で、ファンモータ130を停止させて(S520)、ファン電流補正を終了する。この場合には、燃焼バーナ115による燃焼動作は許可される。
このように、実施の形態2に従うコントローラの構成によれば、電源基板200及び制御基板300上に搭載された通信回路270,370を用いて、電源投入時にファン電流補正を自動的に実行することができる。この結果、マイコン210に対応させて不揮発性メモリ215を配置しなくても、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
さらに、プリパージ運転時にファン電流補正を併せて実行することで、第2の変換特性LN2の補正頻度を高めて、ファン電流Ifanの検出精度を向上することができるとともに、ファンモータ130(燃焼用ファン125)の異常診断頻度を高めることができる。
上記の実施の形態1および2に従う燃焼装置において、燃焼バーナ115はこの発明における「燃焼機構」の一実施例に対応する。燃焼バーナ115としては、ガスバーナに代えて、たとえばオイルバーナとすることもできる。また、本発明に係る給湯装置は、必ずしも給湯用として構成されていなくてもよく、たとえば暖房用などの給湯装置として構成されることもできる。
さらに、実施の形態1および2に従う燃焼装置において、電源基板200は「第1の基板」の一実施例に対応し、マイコン210は「第1のマイクロコンピュータ」の一実施例に対応し、制御基板300は「第2の基板」の一実施例に対応し、マイコン310は「第2のマイクロコンピュータ」の一実施例に対応する。又、実施の形態1では、通信ユニット400によって「信号伝達経路」が形成されるとともに、実施の形態2では、通信回路270,370によって「信号伝達経路」が形成される。
なお、実施の形態1及び2では、ファン電流値が異常監視に用いられる例を説明したが、ファン電流値がファンモータ130の回転数制御に直接用いられる場合にも、同様の構成によって、マイコン210及び310の両方で正確に検知されたファン電流値を用いて、ファンモータ130の制御を行なうことが可能である。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。