JP7003138B2 - 少なくとも1つの検体の濃度を決定するための方法及びデバイス - Google Patents

少なくとも1つの検体の濃度を決定するための方法及びデバイス Download PDF

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Description

本発明は、少なくとも1つの検体の濃度を決定するための方法及びデバイスを開示する。本発明による方法及びデバイスは、身体組織又は体液のうちの一方又は両方に存在する少なくとも1つの検体を検出するために使用することができ、詳細には方法及びデバイスは、職業診断の分野及び家庭監視の分野の両方において、ブドウ糖、乳酸塩、トリグリセリド、コレステロール又は他の検体、好ましくは代謝産物であって、全血であることが好ましい血液、血漿、血清、尿、唾液、間質液又は他の体液などの体液中の代謝産物などの1つ又は複数の検体を検出する分野に適用される。しかしながら他の応用分野も可能である。
医療技術及び診断の分野では、体液中の少なくとも1つの検体を検出するための極めて多くのデバイス及び方法が知られている。方法及びデバイスは、身体組織又は体液のうちの一方又は両方に存在する少なくとも1つの検体、詳細にはブドウ糖、乳酸塩、トリグリセリド、コレステロール又は他の検体、好ましくは代謝産物であって、全血であることが好ましい血液、血漿、血清、尿、唾液、間質液又は他の体液などの体液中の代謝産物などの1つ又は複数の検体を検出するために使用され得る。活性化時間、例えば凝固監視のためのトロンビン活性化時間測値を測定するための他のデバイスが知られている。以下では、本発明の範囲を制限することなく、例示的で、かつ、好ましい検体としてブドウ糖の決定が主として参照されている。
検体濃度、例えば血液ブドウ糖の濃度の決定、並びに対応する投薬の決定は、多くの糖尿病患者のための日課の本質的な部分である。便利性を増すために、また、許容可能な程度を超えた日課の制限を回避するために、当分野では、仕事中、レジャー中又は家から離れた他の活動中における血液ブドウ糖濃度の測定などのための携帯型デバイス及び試験要素が知られている。一方、多くの試験デバイスが商用的に入手可能である。試験条片の形態の試験要素の使用に基づく極めて多くの試験デバイス及び試験システムが知られている。複数の試験条片がマガジンによって提供されるアプリケーションが知られており、マガジンから試験条片を自動的に試験デバイスに提供することができる。しかしながら、使用者によって手動で試験デバイスに挿入される単一の試験条片が使用される他のアプリケーションも知られている。その場合、通常、試験条片の端部は、試験デバイスに挿入され、かつ、検体を検出するように適合され、試験条片の反対側の端部は、使用者による試験デバイスへの試験条片の押し込みを可能にし、又は、試験デバイスからの試験条片の除去を可能にするハンドルとして働く。試料を試験要素に適用するために、典型的な試験要素は、毛管試験要素中の毛管開口、又は頂部投入(dosing)システムを有する光学試験条片中のスプライトネット(sprite net)などの少なくとも1つの試料適用サイトを提供する。このタイプの試験条片は、例えば商標名Accu-Chek Acrive(登録商標)で商用的に入手可能である。このような試験要素は、在宅医療アプリケーションに対する代替として、病院アプリケーションなどにおける職業診断に使用することも可能である。
多くの場合、検体を検出するために、1つ又は複数の試験化学的性質(test chemistries)を有する1つ又は複数の試験フィールド(test fields)を備えた試験条片などの試験要素が使用される。試験化学的性質は、検出される検体の存在下で1つ又は複数の検出可能な特性を変化させるように適合される。したがって試験化学的性質の電気化学的に検出可能な特性、及び/又は試験化学的性質の光学的に検出可能な特性は、検体が存在していることの影響によって変化し得る。本発明に使用することができる潜在的試験化学的性質のために、J. HonesらのDiabetes Technology and Therapeutics、Vol. 10、Supplement 1、2008、S-10~S-26を参照することができる。しかしながら本発明には他のタイプの試験化学的性質を使用することも可能である。
一般に、少なくとも1つの検体の検出は、電気化学的バイオセンサを使用することによって実施することができる。電気化学的バイオセンサ、例えば血液試料中のブドウ糖の濃度を決定するための電気化学的バイオセンサは、酵素を使用して検体との特定の反応を提供する。ブドウ糖は、永久的に又は一時的に酵素に拘束される酵素助因子によって特定的に酸化される。永久的に拘束される助因子の場合、電子受容体として、酵素助因子との反応によって還元される第2の酸化還元活性物質が要求される。拡散プロセスにより、還元された物質が電極へ移動され、そこで適切な酸化還元電位を印加することによって再酸化される。伝達された電子は、ブドウ糖濃度のための測度として、結果として得られる電流によって測定することができる。他の例は、活性化時間を測定するための電気化学的バイオセンサであり、試験試料における刺激された生物学的プロセスの特定の状態に到達する。一例は凝固時間バイオセンサ試験条片であり、活性化されたトロンビンが酸化還元標識を人工ペプチド基質から切り離すと、タンパク質分解酵素トロンビンの活性化が検出される。還元された酸化還元標識は、少なくとも2つの電極間に適切な電圧を印加し、かつ、電流滴定応答を監視することによって検出することができる。
電気化学的バイオセンサでは、電流滴定又は電解電量計(voltammetric)測定方法が使用される。しかしながらとりわけ試験される試料が全血である場合、複数の副作用、例えば周囲温度及び湿度のような周囲条件が著しく誤った濃度結果をもたらし得る。温度及び間接的に湿度は、試験ゾーンにおける拡散速度を変化させることがあり、そのために総合反応速度が変動し、また、拡散及び電極プロセスが変化することになる。さらに、試料温度、ヘマトクリットレベルのような血液試料の特性によって測定結果が影響され、あるいは追加インピーダンス測定の場合、試料のイオン強度によっても測定結果が影響され得る。さらに、血液試料は、とりわけ病院の重大な病気の患者からの血液試料が使用される場合、分析検出反応との複雑な干渉の原因になる物質を含有していることがあり、静脈に投薬される医薬品のような干渉物質の濃度は高い濃度に達し得る。これらの血液試料のイオン強度、ヘマトクリット及びタンパク質レベルは、しばしば極端なレベルになり得る。また、製造される試験条片の製造ロット内の製造プロセス公差によって測定結果の精度が同じく制限され得る。例えば試薬コーティング厚さの変動に起因する電極表面の変動及び電極距離の変動が生じ得る。さらに、貯蔵条件下での老化、又は実際の測定の開始に先立つ露出の時間によって試験条片の挙動が変化し得る。さらに、検出プロセス中における試薬溶解、試料蒸発などの総合試験配置及び条件の変化、活性電極表面の変化及び周囲温度変化は、測定結果に影響を及ぼし得る。さらに、いくつかの種類の勾配効果を考慮しなければならない。例えば位相を検出している間に試料温度が変化し、遅い干渉反応のために再活性成分の濃度が変化し、試料投入効果による試料の運動によって拡散層が乱され、溶解、膨化又はディスミキシング(dismixing)効果のために試験時間中に試薬層均質性が変化し、蒸発効果のために試料が部分的に乾燥し、あるいは中間反応生成物が不安定又は揮発性になることがあり得る。さらに、試験条片ベースシステムでは、安定状態状況に達することは決してあり得ない。
商用的に入手可能な試験条片ベース血液ブドウ糖システムは、接続された計器中の温度センサを使用して、変動する周囲温度の効果を修正する。しかしながら試験条片は、計器中の温度センサとは異なる温度を有し得る。さらに、試料温度及び試験時間中に変化する試料温度のような他の効果は考慮されていない。他のシステムは、試験時間中の電流滴定測定曲線の進行を分析するか、あるいは同じ極性又は逆極性の一連の直流(DC)パルスを実現して、特定の干渉効果を修正する。しかしながらDC方法のみを使用することによっては、すべての関連する干渉効果を区別することはできず、したがって詳細には信号レベル及び勾配が検体濃度及び試験試料の他の変動する特性に応じて異なるため、十分な誤差補償は不可能であり得る。他のシステムは、特定の干渉効果及び試料特性に敏感な追加電極を使用して干渉効果を補償する。しかしながら測定結果は、個別の信号雑音の幾何学的誤差総和によって精度が制限され得るため、異なる電極の応答から計算しなければならない。さらに、複数の電極を実現することは試験条片の複雑性を増すことになり、したがって製造コスト及び製造の苦労が増すことになる。
干渉効果は、インピーダンス測定と電流滴定測定の組合せを使用することによって検体濃度に無関係に予測することができる。例えばWO 2011/079938 A2には、電気化学的試験プロセスを使用して、生物学的流体に存在する検体の量を測定するための様々な方法が記載されている。AC試験信号の使用、及び総試験時間が約2.0秒以内、及び/又は臨床的に総システム誤差が小さい試験の実施を含む様々な実施形態が開示されている。
US 2007/0264721 A1は、生物学的流体試料中の医療的に重要な成分の濃度を計算するために、生物学的流体試料によって生成される非線形ファラデー電流応答の線形成分の利用を記述しており、このようなファラデー電流応答は、十分なAC励起電位が試料に印加されると生成される。電流応答は、印加された電位によって試料内の電気化学的プロセスを励起することによって生成される。通常、印加されたAC電位に対する電流応答の線形成分は、医療的に重要な成分の濃度に相関され得る位相角及び/又はアドミタンス情報を含む。また、通常、電流応答の基本線形成分は、開示されるシステム及び方法に同じく利用される。基本線形成分の調波も同じく使用することができる。
EP 1 613 955 B1は、試料中の検体の電気化学的決定のためのバイオセンサシステムを記述している。検体反応物及び少なくとも2つの電極を備えたシステムは、検体反応物と試料を混合して反応液を形成し、それを電極に接触させて、電極に印加されるDC電圧に応答して電極間に流れる検体検出電流を測定するように適合されている。検体検出電流は、反応液中で生じる検体特化反応、及び電極表面を介した電子の伝達を含む電極反応を含む反応シーケンスによる試料中の検体濃度の特性である。システムは、DC電圧源すなわち必要なDC電圧を電極に印加するDC電圧源を備えた電子回路機構、及び検体検出電流対時間の曲線の複数の値を測定し、かつ、評価アルゴリズムによって、測定した値から検体濃度を誘導するための測定及び評価電子工学を備えている。DC電圧は、検体特化反応の間、電極に印加され、それにより検体特化反応及び電極反応が同時に生じ、時間に対して電流が立ち上がるセクションを含む検体検出電流対時間曲線が得られる。検体検出電流は、立上りセクションにおける少なくとも2つの時間点で測定され、前記少なくとも2つの測定によって得られる検体検出電流の値が温度誤差補償のための評価アルゴリズムに使用される。
WO 2014/140173 A1は、流体試料中の検体濃度を測定するための方法を記述している。WO 2014/140173 A1は、このような方法を使用することにより、検体濃度を提供する前に、ヘマトクリット、塩濃度及び/又は温度などの区別することができない変数を修正することができ、及び/又は補償することができることを記述している。測定方法は、少なくとも1つのDCブロックを有する試験シーケンスからの応答情報を使用しており、DCブロックは、少なくとも1つの励起パルス及び少なくとも1つの回復パルスを含み、また、少なくとも1つの回復パルスの間、電極システムの閉回路状態が維持される。励起パルス及び回復パルス中に符号化された情報は、検体濃度に対するヘマトクリット、塩濃度及び/又は温度効果を修正し/補償するためのパルス内-パルス間記述子を構築するために使用される。
WO 2010/040482 A1は、試験計器によって認識される制御及び較正解決法を記述しており、生物学的流体にとっては特徴的ではない制御及び較正解決法の測定されたACアドミタンスに基づいて、計器による正規試験データからの制御及び較正データの分離を許容している。
US 2004/157338 A1は、DC成分及びAC成分を有する励起信号を印加するステップを含む、生物学的流体中の検体を測定する方法を記述している。AC及びDC応答が測定され、修正されたDC応答がAC応答を使用して決定され、また、修正されたDC応答に基づいて検体の濃度が決定される。
上で言及した開発によって達成された利点及び進歩にもかかわらず、いくつかの重要な技術的課題が残されている。インピーダンス測定は、電流滴定測定に対してではなく、インピーダンス測定に対する重大な影響を有し得る追加干渉効果を導入し得る。例えば血液試料の可変イオン強度は、測定結果に対する追加不正確の原因になり得る。さらに、このような方法では、異なる周波数ステップを逐次方式で適用することができ、また、インピーダンス測定の後又は前に電流滴定測定が実施される。その結果として、階段状に実行される試験シーケンスの間に総合試験条件が時間と共に変化する場合、電流滴定測定が過剰補償又は過小補償され得る。例えば試験時間の間に試料温度が変化すると、インピーダンス測定の時間における温度は、電流滴定測定が実行される時間と比較すると異なり得る。したがって温度勾配効果によって追加バイアスが生じ得る。さらに、例えばインピーダンス応答が総試験時間のうちの短い時間インターバルの間にのみ決定される場合、試験時間中の任意の時間における関連する情報は観察され得ない。さらに、いくつかの干渉効果及び勾配を補償しなければならない場合、補償が不十分になり得る。逐次インピーダンス測定及び電流滴定測定を使用することによっては、すべての干渉効果を補償することはできない。例えば非経口的投薬医薬品からの酸化還元活性干渉物質が検出試薬中の使用酸化還元媒介物質と反応する場合、交流インピーダンス応答では観測され得ない高い直流応答バイアスが生じ得る。
したがって本発明の目的は、体液中の少なくとも1つの検体を決定するための方法及びデバイスであって、この種類の知られているデバイス及び方法の欠点を少なくとも部分的に回避し、また、上で言及した課題に少なくとも部分的に対処する方法及びデバイスを提供することである。特定的には、体液中の少なくとも1つの検体の濃度の測定結果の信頼性が改善される。
この問題は、独立請求項の特徴を有する、体液中の少なくとも1つの検体の濃度を決定するための方法及びデバイスによって解決される。孤立した方法で、あるいは何らかの任意の組合せで実現される好ましい実施形態は、従属請求項に挙げられている。
以下で使用されているように、「有する」、「備える」又は「含む」という用語、あるいはそれらの何らかの任意の文法的変化は、非排他的方法で使用されている。したがってこれらの用語は、これらの用語によって導入される特徴以外の他の特徴がこの文脈で説明されている実体に存在しない状況、及び1つ又は複数の他の特徴が存在する状況の両方を意味し得る。例として、「AはBを有する」、「AはBを備える」及び「AはBを含む」という表現は、B以外の他の要素がAに存在しない状況(すなわちAはBのみから排他的になっている状況)、及び要素C、要素CとD、又はさらに他の要素などのB以外の1つ又は複数の他の要素が実体Aに存在する状況の両方を意味し得る。
さらに、特徴又は要素が一度又は二度以上出現し得ることを示す「少なくとも1つの」、「1つ又は複数の」という用語又は同様の表現は、それぞれの特徴又は要素を導入する際に、典型的には一度だけ使用されることに留意されたい。以下では、ほとんどの場合、それぞれの特徴又は要素を参照する場合、「少なくとも1つの」又は「1つ又は複数の」という表現は、それぞれの特徴又は要素が一度又は二度以上出現し得るにもかかわらず繰り返されることはない。
さらに、以下で使用されているように、「好ましくは」、「より好ましくは」、「詳細には」、「より詳細には」、「特定的には」、「より特定的には」という用語又は同様の用語は、代替可能性を制限しない任意選択の特徴に関連して使用されている。したがってこれらの用語によって導入される特徴は任意選択の特徴であり、特許請求の範囲を制限することは全く意図されていない。本発明は、当業者には認識されるように、代替特徴を使用することによって実施され得る。同様に、「本発明の実施形態に」又は同様の表現によって導入される特徴には、本発明の代替実施形態に関する一切の制限、本発明の範囲に関する一切の制限、及びこのような方法で導入された特徴と本発明の他の任意選択の特徴又は非任意選択の特徴とを組み合わせる可能性に関する一切の制限がない任意選択の特徴であることが意図されている。
本発明の第1の態様では、体液中の少なくとも1つの検体の濃度を決定するための方法が開示される。方法は、独立請求項の中に与えられており、また、以下に挙げられている方法ステップを含む。方法ステップは所与の順序で実施することができる。しかしながら他の順序の方法ステップも可能である。さらに、方法ステップのうちの1つ又は複数は、同時に、及び/又は時間重畳方式で実施することができる。さらに、方法ステップのうちの1つ又は複数は繰り返し実施することができる。さらに、以下では挙げられていない追加方法ステップを提供することも可能である。
方法は以下のステップを含む。
- 少なくとも1つの信号発生ステップであって、少なくとも1つの励起電圧信号が少なくとも1つの信号発生器デバイスによって生成され、励起電圧信号は、少なくとも1つのポリフレキュエント(poly frequent)交流(AC)電圧及び少なくとも1つの直流(DC)電圧プロファイルを含み、ポリフレキュエントAC電圧は少なくとも2つの周波数を含む、少なくとも1つの信号発生ステップ
- 少なくとも1つの信号印加ステップであって、励起電圧信号が少なくとも2つの測定電極に印加されるステップ
- 少なくとも1つの測定ステップであって、測定電極を使用することによって応答が測定されるステップ
- 少なくとも1つの評価ステップであって、周波数毎のAC電流応答及びDC電流応答が少なくとも1つの評価デバイスによって応答から評価され、また、周波数毎に少なくとも1つの位相情報及び少なくとも1つのインピーダンス情報が評価デバイスによってAC電流応答から評価されるステップ
- 少なくとも1つの決定ステップであって、少なくとも1つの所定の関係を使用することにより、検体の濃度がDC電流応答から、また、位相情報及びインピーダンス情報のうちの一方又は両方から決定されるステップ。
本明細書において使用されているように、「体液」という用語は、一般に、典型的には使用者又は患者の身体又は身体組織中に存在する流体、及び/又は使用者又は患者の身体によって生成され得る流体を意味している。詳細には、体液は体液の試料であってもよい。身体組織のための例として、間質性組織を挙げることができる。したがって例として、体液は、血液及び間質液からなるグループから選択することができる。例えば体液は全血であってもよい。しかしながら追加又は別法として、唾液、涙液、尿又は他の体液などの1つ又は複数の他のタイプの体液を使用することも可能である。一般に任意のタイプの体液を使用することができる。
詳細には、少なくとも1つの検体の濃度は、体液の試料中で決定することができる。本明細書において使用されているように、「試料」という用語は、分析、試験又は調査のために採取された任意の物質又は物質の組合せを意味し得る。試料は、同様であることが意図され、また、量がより多いことを表す限られた量の何かであってもよい。しかしながら試料は全標本を含むことも同じく可能である。試料は、固体試料、液体試料又は気体試料、あるいはこれらの組合せであってもよい。特定的には試料は流体試料であってもよく、すなわち全面的にあるいは部分的に液体状態にあり、及び/又は気体状態にある試料であってもよい。試料の量は、場合によってはその体積、質量又はサイズの形であることが望ましい。しかしながら他の寸法も可能である。試料は、1つの物質又は1つの複合物のみを含むことができる。別法としては、試料は、いくつかの物質又は複合物を含むことも可能である。
本明細書においてさらに使用されているように、「検体」という用語は、体液中に存在し得る、また、その濃度が使用者又は患者にとって重要であり得る任意の要素、構成要素又は複合物を意味し得る。好ましくは検体は、少なくとも1つの代謝産物などの患者の代謝の一部であってもよい任意の化学物質又は化学化合物であってもよく、あるいはそれらを含むことができる。例として、少なくとも1つの検体は、ブドウ糖、コレステロール、トリグリセリド及び乳酸塩からなるグループから選択することができる。しかしながら追加又は別法として、他のタイプの検体を使用することも可能であり、及び/又は検体の任意の組合せを決定することも可能である。
本発明において一般に使用されているように、「使用者」及び「患者」という用語は、人間又は動物を意味することができ、その人間又は動物がそれぞれ健康な状態にあるか、あるいは1つ又は複数の疾病を患っている可能性があるかどうかには無関係である。例として、患者は、糖尿病を患っている人間又は動物であってもよい。しかしながら追加又は別法として、本発明は、他のタイプの使用者又は患者に適用することも可能である。
「体液中の少なくとも1つの検体の濃度を決定する」という用語は、一般に、少なくとも1つの検体の定量的検出を意味している。決定の結果として、決定の結果を特性化する少なくとも1つの測定信号及び/又は少なくとも1つの測定値などの少なくとも1つの信号を生成し、及び/又は提供することができる。信号は、特定的には、少なくとも1つの電圧及び/又は少なくとも1つの電流などの少なくとも1つの電子信号であってもよく、あるいはそのような少なくとも1つの電子信号を含むことができる。少なくとも1つの信号は、少なくとも1つのアナログ信号であってもよく、あるいはそのようなアナログ信号を含むことも可能であり、及び/又は少なくとも1つのデジタル信号であってもよく、あるいはそのようなデジタル信号を含むことも可能である。
本明細書において使用されているように、「少なくとも1つの励起電圧信号」という用語は、一般に、例えば少なくとも2つの電極を使用することによって体液に印加することができる少なくとも1つの任意の電圧信号を意味している。励起電圧信号は、少なくとも1つの試験シーケンス、例えば時間シーケンスの間、印加することができる。励起電圧信号は、少なくとも1つのポリフレキュエントAC電圧及び少なくとも1つのDC電圧プロファイルを含む。
本明細書において使用されているように、AC励起として同じく表される「AC電圧」という用語は、周期信号波形、例えば正弦波形又は三角波形を有する交番電圧を意味している。本明細書において使用されているように、「ポリフレキュエント」という用語は、一般に、少なくとも第1の周波数及び少なくとも1つの第2の周波数を含む少なくとも1つのAC電圧を意味しており、第1及び第2の周波数は異なっている。ポリフレキュエントAC電圧は少なくとも2つの周波数を含む。AC電圧は、正弦波形又は三角波形を有することができる。他の波形も可能である。例えばAC電圧は、異なる周波数を有する少なくとも2つのAC正弦波を含むことができる。AC電圧は、異なる周波数を有する少なくとも2つのAC正弦波を含むことができ、2つのAC信号は重畳される。ポリフレキュエントAC電圧は、3つ、4つ又はもっと多くの周波数を含むことができる。周波数は500Hz~20kHzの範囲であってもよい。ポリフレキュエントAC電圧は、4つの重畳した周波数、例えば1kHz、2kHz、10kHz及び20kHzを含むことができる。
AC電圧は、ファラデー電流応答が生成されないような大きさすなわち振幅を有することができる。例えばAC電圧の大きさは30mV rms(二乗平均平方根)未満であってもよい。
本明細書において使用されているように、「DC電圧プロファイル」という用語は、一般に、時間プロファイルを有する任意のDC電圧を意味している。本明細書において使用されているように、「DC電圧」という用語は、本質的定数電圧の連続する位相及び/又は傾斜セクションを有する直流電圧を意味している。このような位相又は傾斜セクションの時間スパンは1/10秒より長くすることができる。本明細書において使用されているように、「本質的定数」は、一般に、増加率が最大1V/sまでの傾斜を有するDC電圧プロファイルを意味している。DC電圧プロファイルは時間プロファイルを含むことができる。本明細書において使用されているように、「時間プロファイル」という用語は、測定サイクル又は試験サイクル、測定インターバル又は試験インターバル、測定シーケンス又は試験シーケンス、全すなわち総測定時間又は試験時間のうちの1つ又は複数の間のDC電圧の変化を意味している。DC電圧は、連続的に又は階段状に変化し、及び/又は変動し得る。例えばDC電圧は、少なくとも1つのステップシーケンスを含むことができる。例えばDC電圧プロファイルは、少なくとも2つの電圧ステップを含むことができる。例えばDC電圧プロファイルは、3つ、4つ又は5つの電圧ステップを含むことができる。さらに多くの電圧ステップも可能である。DC電圧プロファイルのステップは、分析反応と様々な干渉反応の間の差別を許容するように選択することができる。DC電圧は矩形波形を有することができる。他の波形も可能である。
DC電圧プロファイルは、電解電量計電圧プロファイル、電流滴定電圧プロファイルからなるグループから選択することができる。
DC電圧プロファイルとして、電解電量計方法、例えばサイクリック電解電量計又は差動パルス電解電量計のあらゆる種類の電解電量計プロファイルを使用することができる。例えばサイクリック電解電量計では、例えば動作電極と対電極又は基準電極の間に印加されるDC電圧は、時間に対して直線的に傾斜させることができる。サイクリック電解電量計の一実施形態では、DC電圧プロファイルは、例えば開始値から第1の折返し点までステップでDC電圧を高くし、引き続いて第1の折返し点から第2の折返し点までDC電圧を低くし、また、引き続いて第2の折返し点から開始値までDC電圧を高くするステップを含むことができる。サイクリック電解電量計又は差動パルス電解電量計のような電解電量計方法を使用することにより、電気媒介物質又は測定電極と反応する酸化還元活性物質の干渉効果を少なくとも部分的に補償するために使用することができる情報を得ることができる。電解電量計を使用することにより、分析検出を示すために使用される酸化還元媒介物質と比較すると異なる電位で干渉物質が還元又は酸化される。電解電量計方法によれば、干渉効果を識別し、かつ、補償するために使用することができる情報を得ることができる。特定的には、サイクリック電解電量計及び差動パルス電解電量計のような電解電量計方法によれば、血液中の物質の影響を補償することができ、これは、基質系統又は酵素系統に対する競争において酸化還元媒介物質を還元し、また、試験結果を正にバイアスさせることになり得る。例えば電圧プロファイルは、このような干渉、例えば異なる極性を有するDC測値を差別するように構成された少なくとも1つのシーケンスを含むことができる。このシーケンスの間の同時インピーダンス測定を使用して、試料の温度及び/又は濡れた試薬層の粘性による影響を補償することができる。
DC電圧プロファイルは電流滴定電圧プロファイルであってもよく、あるいは電流滴定電圧プロファイルを含むことも可能である。電流滴定電圧プロファイルは、異なる電圧ステップ、例えば異なる電圧の一連の電流滴定ステップを含むことができる。DC電圧プロファイルは、少なくとも2つの異なる電圧ステップを含む少なくとも1つの電流滴定DC電圧ステップシーケンスであってもよく、あるいはそのような少なくとも1つの電流滴定DC電圧ステップシーケンスを含むことができる。例えばDC電圧プロファイルは3つの電圧ステップを含むことができ、第1の電圧ステップではDC電圧は500mVに達し、第2の電圧ステップではDC電圧は200mVに達し、また、第3の電圧ステップではDC電圧は-400mVに達する。しかしながら他の電圧ステップも可能である。電流滴定応答の時間プロファイルからの情報を使用することにより、干渉物質を有する酸化還元媒介物質の、及び/又は実際の検出反応と比較すると異なる反応速度の、及び/又は電極と直接干渉する試料中の物質の不要な副反応のうちの1つ又は複数を補償することができる。さらに、電流滴定応答の時間プロファイルを使用することにより、貯蔵時間又は主試験要素梱包の開放と実際の測定との間の露出時間による老化効果を補償することができる。老化効果は、検出試薬中の特定の作因としての酵素のアクティビティの損失によって生じ得る。別の老化効果又は露出時間効果は、ブランク電流すなわち信号損失を大きくする原因になり得る媒介物質劣化であり得る。電流滴定応答時間プロファイルを使用することにより、老化効果及び/又は老化効果の影響を決定することができる。電流滴定応答時間プロファイルを使用することにより、酸化還元活性干渉物質、酵素アクティビティ損失又は酸化還元媒介物質劣化及び周囲温度効果によってもたらされるバイアスのほとんどを補償することができる。詳細には、電流滴定応答時間進行を使用した干渉物質の効果及び/又は温度効果の補償は、競合する反応の反応速度が著しく異なる場合、また、インピーダンス測定が同時に実施される場合、すなわち反応が完了した後にのみではなく、反応の展開中、詳細には化学反応に先行する間に実施される場合に可能であり得る。
本明細書においてさらに使用されているように、「信号発生器デバイス」という用語は、一般に、電圧信号を発生するように構成されるデバイス、例えば電圧源を意味している。信号発生器デバイスは、少なくとも1つのAC電圧源及び少なくとも1つのDC電圧源を備えることができる。信号発生器デバイスは、少なくとも1つのポリフレキュエントAC電圧を発生するように適合され得る。例えば信号発生器は、それぞれ異なる周波数を有する複数のAC電圧信号を発生するように、また、その複数のAC信号を重ね合わせるように適合され得る。信号発生器デバイスは、少なくとも1つのDCプロファイルを生成するように適合され得る。
AC電圧及びDCプロファイルは、重畳して励起電圧信号を形成することができる。信号発生器デバイスは、AC電圧及びDCプロファイルを体液に同時に印加するように適合され得る。信号発生器デバイスは、重畳したポリフレキュエントAC電圧及びDCプロファイルを含む励起電圧信号を体液に印加するように適合され得る。ポリフレキュエントAC電圧及びDCプロファイルは、時間をオフセットさせることなく、及び/又は時間を遅延させることなく測定電極に印加することができる。
信号発生器デバイスは測定電子工学の一部であってもよく、及び/又は測定電子工学に接続することができる。信号発生器は、評価デバイスなどの測定電子工学の一部であってもよく、あるいは個別のデバイスとして設計することも可能である。
励起電圧信号は、少なくとも1つの信号印加ステップで少なくとも2つの測定電極に印加される。本明細書において使用されているように、「測定電極」という用語は、一般に、例えば少なくとも1つの試験要素の電極を意味しており、これらの電極は体液と接触し、また、電気的又は電気化学的に検体を決定するように適合される。方法は試料適用ステップを含むことができ、体液の試料が測定電極と接触する。例えば試料適用ステップでは、試料適用開口及び毛管通路を有する試験要素を使用することができる。したがって体液の試料を試料適用開口に加えることができ、また、毛管通路によって体液の試料を測定電極へ輸送することができる。別法としては、試料適用ステップでは、例えば互いに対向する電極を有する試験要素を使用して試料を電極と直接接触させることができる。
本明細書において使用されているように、「電極」という用語は、一般に、電気的又は電気化学的に検体を検出するように構成され、あるいは電気的又は電気化学的に検体を検出するために使用することができる任意の要素を意味し得る。少なくとも2つの測定電極は、電気化学的反応が1つ又は複数の動作電極などの電極のうちの1つ又は複数で生じ得るように具体化することができる。したがって電極は、酸化反応及び/又は還元反応が電極のうちの1つ又は複数で生じ得るように具体化することができる。電気化学的検出反応は、動作電極の静電電位などの1つ又は複数の電極電位を、対電極又は基準電極などの1つ又は複数の他の電極の静電電位と比較することによって検出することができる。一般に、電流滴定測定及び/又は電解電量計測定のうちの1つ又は複数に対して2つ以上の測定電極を使用することができる。
少なくとも2つの電極は少なくとも1つの動作電極を備えることができる。本明細書において使用されているように、「動作電極」という用語は、体液中の少なくとも1つの検体を検出するために少なくとも1つの電気化学的検出反応を実施するように適合されるか、あるいはそのために使用することができる電極を意味している。動作電極は、検出される検体に対して敏感な少なくとも1つの試験化学薬品を有することができ、あるいはこのような試験化学薬品と接触させることができる。少なくとも1つの試験化学薬品は、少なくとも1つの体液と接触させることができる少なくとも1つの試験化学薬品表面を形成することができる。少なくとも2つの電極は、少なくとも1つの対電極をさらに備えることができる。本明細書において使用されているように、「対電極」という用語は、少なくとも1つの電気化学的逆反応を実施するように適合され、また、動作電極における検出反応によって要求される電流の流れを平衡させるように適合された電極を意味している。追加又は別法として、少なくとも2つの電極は、少なくとも1つの基準電極をさらに備えることも可能である。基準電極は、安定した、よく知られている電極電位を有することができる。基準電極の電極電位は、場合によっては高度に安定していることが好ましい。対電極及び基準電極は、共通電極又は2つの個別の電極のうちの1つであってもよい。
少なくとも1つの測定ステップで、測定電極を使用することによって応答が測定される。応答は異なる測定時間点で測定することができる。応答は、連続的に測定することができ、あるいは選択可能及び/又は調整可能な測定時間点で測定することができる。時間に対する応答は、選択可能及び/又は調整可能な時間単位を使用することによって測定することができる。例えば応答は、10分の1秒毎に測定することができ、もっと頻繁に測定することも可能である。本明細書において使用されているように、「応答」という用語は、一般に、印加された励起電圧信号に応答して、少なくとも2つの測定電極によって生成される応答信号を意味している。応答は電流応答であってもよい。応答は複数の信号を含むことができる。応答はAC及びDC応答を含むことができる。本明細書において使用されているように、「測定」という用語は、一般に、応答、例えば電流信号の定量的及び/又は定性的決定を意味している。本明細書において使用されているように、「測定時間点」は、一般に、時間における任意の点及び/又は任意の時間期間、詳細には、検体の濃度を決定している間、すなわち応答が決定される測定サイクル又は試験サイクル、測定インターバル又は試験インターバル、測定シーケンス又は試験シーケンス、全すなわち総測定時間又は試験時間のうちの1つ又は複数の間の時間インターバルを意味している。測定時間点は、試験シーケンスの間の異なる時間点における点、例えばDCプロファイルの異なる励起電圧における点であってもよい。
方法は少なくとも1つの評価ステップを含み、周波数毎のAC電流応答及びDC電流応答が少なくとも1つの評価デバイスによって応答から評価され、また、周波数毎に少なくとも1つの位相情報及び少なくとも1つのインピーダンス情報が評価デバイスによってAC電流応答から評価される。
本明細書において使用されているように、「評価デバイス」という用語は、一般に、データから情報の少なくとも1つのアイテムを誘導するように構成される任意のデバイスを意味している。評価デバイスは、体液中の検体の存在及び/又は濃度に関する情報の少なくとも1つのアイテム又は体液のパラメータを少なくとも1つの信号から誘導するように構成することができる。評価デバイスは応答を評価するように構成することができる。例として、評価デバイスは、1つ又は複数の特定用途向け集積回路(ASIC)、及び/又は1つ又は複数のコンピュータ、好ましくは1つ又は複数のマイクロコンピュータ及び/又はマイクロコントローラなどの1つ又は複数のデータ処理デバイスなどの1つ又は複数の集積回路であってもよく、あるいはこのような集積回路を備えることができる。1つ又は複数の変換器及び/又は1つ又は複数のフィルタなどの、電極信号を受け取り、及び/又は前処理するための1つ又は複数のデバイスなどの1つ又は複数の処理デバイス及び/又はデータ収集デバイスなどの追加構成要素を備えることも可能である。さらに、評価デバイスは1つ又は複数のデータ記憶デバイスを備えることも可能である。さらに、上で概要を示したように、評価デバイスは、1つ又は複数の無線インタフェース及び/又は1つ又は複数の結線インタフェースなどの1つ又は複数のインタフェースを備えることができる。評価デバイスは、血液ブドウ糖計器、例えば試験条片ベース計器、インスリンポンプ、マイクロプロセッサ、セルラーフォン、スマートフォン、パーソナルデジタルアシスタント、パーソナルコンピュータ又はコンピュータサーバを備えることができる。
評価デバイスは、応答をAC電流応答の周波数及び対応するDC電流応答毎に位相情報及びインピーダンス、すなわち虚成分及び実成分情報に分割し、及び/又は分離するように適合され得る。方法は、評価デバイスによってアドミタンスの少なくとも1つの実部分及び虚部分をAC電流応答から周波数毎に評価するステップを含むことができる。詳細には、評価デバイスは、アドミタンスの少なくとも1つの実部分及び虚部分をAC電流応答から周波数毎に評価するように適合され得る。「インピーダンス」又は「インピーダンス情報」という用語は、複素インピーダンス及び/又はアドミタンス情報を意味している。一般に、複素インピーダンスZは、励起電圧を印加する場合における電流に対する回路の妨害を意味しており、Z=R+iXとして記述することができ、実部分Rはオーム抵抗であり、また、虚部分Xはリアクタンスである。DC励起電圧のみを印加する場合、インピーダンスは実部分のみを含み、一方、重畳したAC励起電圧を印加する場合、虚部分をさらに含む。極形式では、複素インピーダンスは、位相角及び大きさによって記述することができる。したがって「位相情報」という用語は、一般に、位相角に関する情報を意味している。アドミタンスはインピーダンスの逆である。アドミタンスY及びインピーダンスZは、互いに
Figure 0007003138000001
に変換することができる。アドミタンスは複素数であり、位相角及び大きさによって極形式で記述することができる。本明細書において使用されているように、「AC電流応答」及び「DC電流応答」という用語は、一般に、応答のAC及びDC部すなわち部分を意味している。AC電流応答及びDC電流応答は、周波数範囲に関して分離することができる。評価デバイスは、電流応答部を所定の周波数範囲に関してAC又はDCとして分類するように適合され得る。評価デバイスは、少なくとも1つの電子フィルタ、例えば応答を約100Hzと500Hzの間でAC電流応答及び対応するDC電流応答に分離するように適合された2方向アナログ電子フィルタを備えることができる。評価デバイスは、応答を遅いDC電流応答及び速く変化するAC電流応答に分離するように適合され得る。例えば評価デバイスは、周波数に応じて応答信号を増幅するように適合された少なくとも1つのトランスインピーダンス増幅器を備えることができる。引き続いてクロスオーバによって応答信号を分離することができる。500Hzを超える、詳細には500Hzから20kHzまでの周波数範囲のAC電流応答は周期的に評価することができ、また、増加率が1V/s未満のDC電流応答は、時間の進行に応じて評価される。100Hz未満では、応答はDC電流応答として分類することができ、また、500Hz超では、応答はAC電流応答として分類することができる。評価ステップでは、少なくとも1つの2方向アナログ電子フィルタを使用してAC電流応答及びDC電流応答を分離することができ、2方向アナログ電子フィルタは、信号を約100Hzと500Hzの間で分割し、100Hz未満では、応答はDCとして分析され、また、500Hz超では、応答はACとして分析される。評価デバイスは少なくとも1つの周波数分析器を備えることができる。したがってDC電流応答及びAC電流応答を同時に決定することができ、詳細には1つの応答として決定することができる。したがって時間をオフセットさせることなく、及び/又は時間を遅延させることなくDC電流応答及びAC電流応答を決定し、及び/又は測定することができる。
方法は少なくとも1つの決定ステップを含み、少なくとも1つの所定の関係を使用することにより、検体の濃度がDC電流応答から、また、位相情報及びインピーダンス情報のうちの一方又は両方から決定される。検体の濃度は、評価デバイスによって決定することができ、例えば評価デバイスの少なくとも1つの計算デバイスによって決定することができる。
決定ステップでは、検体の濃度は、干渉効果及び製造公差を考慮して決定することができる。干渉効果は、周囲条件、詳細には温度及び湿度、試料特性、詳細には試料温度、ヘマトクリットレベル、タンパク質レベル、イオン強度からなるグループから選択することができる。異なる周波数を有するAC電圧及びDC電圧プロファイルからなる励起電圧信号を印加することにより、すべての関連する干渉効果及び条片製造公差を考慮して、例えば試験条片ベース検体濃度又は全血試料における試料特性測値から最良の可能性能を得ることが可能であり得る。位相情報及び/又はDC電流応答と相俟ったAC電流応答の個々の周波数の少なくとも1つのインピーダンス情報により、すべてのこれらの効果に対する区別可能な情報を得ることができる。例えば2つ以上の周波数からの情報により、温度及びヘマトクリットのような異なる干渉効果の間を区別することができる。とりわけ印加されたDC電圧プロファイルからの情報又は電流滴定時間進行情報が含まれている場合、進行中の試験時間の間の試験条件の変化によるあらゆる種類の勾配効果による制限は、後で濃度計算に含められる、電圧プロファイル又は時間トレースの個々のDC時間点と同時にインピーダンス測定から情報を獲得することによって回避することができる。
電解電量計方法のようなDCプロファイル及び/又は電流滴定応答のプロファイルの使用を含む知られている方法は、インピーダンス測定からの情報を考慮せず、また、この情報を決定していない。しかしながらこれらの知られている方法の限界は、必要な測定時間の間、試料温度、試料試薬粘性及び/又は進行中の毛管充填などのあらゆる種類の勾配効果が生じ得るために試験要素電気化学的セルの特性が一定ではないことであり得る。さらに、測定される時間プロファイル又は電圧プロファイルは、試験される試料がとりわけ血液試料である場合、その試験される試料の特定の特性に依存し得る。これらの特性は、例えば試料と混合される検出試薬中の活性成分の拡散に対する重大な影響を有するヘマトクリット含有量であってもよい。他の特性は、タンパク質含有量、脂質含有量又はイオン強度に依存する血液試料、例えば重大な病気の患者からの血液試料の導電率に対する影響を有し得る。さらに、このような方法は、変動する周囲温度及び試料温度、電気化学的セル幾何構造に対する影響を有するプロセス公差、試薬層厚さ及び試料投入効果の効果を予測することができない。これらの効果は、複数の周波数が印加され、また、周波数毎に応答が分析される場合、測定電極間でACインピーダンス測定を実施することによって予測することができる。ポリフレキュエントAC電圧及びDCプロファイルを印加し、かつ、DC電流応答と同時にAC電流応答の個々の周波数からインピーダンス情報を決定することにより、同じ時間点におけるDC測値を修正するために必要なすべての情報を得ることができ、したがって総試験時間の間、勾配効果を考慮することができる。この方法によれば、関連する効果に対する区別可能な情報を含む測定信号を得ることができる。本発明による方法によれば、すべての関連する干渉効果及び条片製造公差の考慮を許容することにより、最良の可能性能、例えば試験要素、例えば試験条片をベースとする検体濃度の精度、又は全血における試料特性測定の精度を達成することができる。
本明細書において使用されているように、「検体の濃度の決定」という用語は、一般に、検体の濃度の定量的及び/又は定性的決定を意味している。本明細書において使用されているように、「所定の関係」という用語は、検体の濃度とDC電流応答、位相情報及びインピーダンス情報の間の知られている、又は決定可能な関係を意味している。この関係は、実験的、分析的さもなければ半実験的に決定することができ、又はこれらによる決定が可能である。この関係は、少なくとも1つの較正曲線、較正曲線の少なくとも1つのセット、少なくとも1つの関数又は言及されている可能性の組合せを含むことができる。1つ又は複数の較正曲線は、例えば一組の値及びその関連する関数値の形態で、例えばデータ記憶デバイス及び/又は表に記憶することができる。しかしながら別法又は追加として、少なくとも1つの較正曲線は、例えばパラメータ化された形態及び/又は関数方程式として記憶することも同じく可能である。様々な可能性が考えられ、また、組み合わせることも可能である。所定の関係は、少なくとも1つのルックアップテーブルの形態、及び/又は少なくとも1つの数学的数式の形態で提供することができる。所定の関係は、例えば評価デバイスの記憶装置に保存及び/又は記憶することができる。方法は、検体の濃度とDC電流応答、位相情報及びインピーダンス情報の所定の関係を決定するステップを含むことができる。
評価デバイスは所定の関係を決定するように適合され得る。評価デバイスは、例えば評価デバイスのデータ記憶装置及び/又はルックアップテーブルに記憶することができる数学的関数及び重み付け係数を提供するように適合され得る。方法は、所定の関係が決定される少なくとも1つの訓練ステップを含むことができる。所定の関係、詳細には所定の関係の重み付け係数は、少なくとも1つの訓練データセットに対する多変数分析、多重線形主成分分析、ニューロンネット、移動メッシュ、最小絶対収縮及び選択演算子(lasso)方法、ブーストランダムフォレスト及びブートストラッピングからなるグループから選択される数学的方法によって選択され、決定され、また、検証されたうちの1つ又は複数であってもよい。訓練データセットは、共分散研究を実施することによって収集することができる。訓練データセットは、例えば均質に製造された試験要素を使用して、及び/又は選択された試験シーケンスを測定デバイスの接続された電子回路機構、例えば計器に適用することにより、適切な数の反復測値を含むことができる。訓練データセットを得るために、基準方法、例えばブドウ糖濃度の場合であればヘキソキナーゼ方法を使用して個々の試験試料の検体濃度を決定することができる。訓練データセットを得るために、検体の関連する濃度範囲全体にわたって、試験の組合せ及び試験試料毎に十分な反復量で、関連する結合干渉効果の個々の組合せを試験することができる。例えば血液試料中のブドウ糖濃度を決定する場合、主要な干渉効果は、周囲温度、ヘマトクリットレベル、イオン強度、血漿濃度、脂質濃度又は投薬された干渉物質、とりわけ抗酸化剤であり得る。体系を持たない互いに対向する電極を有する試験要素の場合、充填が十分な個別の検出電極を備えていなくてもよく、毛管の充填レベルは、訓練データセット生成のために試験することができる。別の干渉効果は、主試験要素パッケージ中の貯蔵時間、あるいは測定を実行する前に試験要素がパッケージから取り出される際の試験要素、例えば試験条片の環境条件及び露出時間の影響であろう。試験要素がこれらの影響に対して十分に頑丈ではない場合、訓練データセットを得る際に、同じくこれらの要因を考慮することができる。
一実施形態では、所定の関係は、
Figure 0007003138000002
であってもよく、上式でbGは検体の決定される濃度であり、iは時間点の数を表し、i、n、f及びmは自然整数であり、mは周波数の数を表し、a、b、cは重み付け係数であり、Ymiは、時間点における異なる周波数におけるAC応答からのアドミタンス値であり、Pmiは、時間点における異なる周波数におけるAC応答からの位相角値であり、また、DCは、選択されたDC応答時間点におけるDC応答値である。この所定の関係は、共面電極を有する試験要素のために使用することができ、電極は、測定セル内に互いに隣り合わせで配置される。重み付け係数a、b、cは、例えば評価デバイスの記憶装置に保存及び/又は記憶することができる。重み付け係数a、b、cは、少なくとも1つの訓練データセットに対する多変数分析、多重線形主成分分析、ニューロンネット、移動メッシュ、最小絶対収縮及び選択演算子方法、ブーストランダムフォレスト及びブートストラッピングからなるグループから選択される数学的方法によって選択され、決定され、また、検証されたうちの1つ又は複数であってもよい。
一実施形態では、所定の関係は、
Figure 0007003138000003
であってもよく、上式でbGは検体の決定される濃度であり、iは測定時間点の数を表し、i、n、f及びmは自然整数であり、mは周波数の数を表し、a及びbは重み付け係数であり、Y(imag)mi及びY(real)miは、時間点における異なる周波数におけるAC応答からのアドミタンス値の実部及び虚部であり、また、DCは、選択されたDC応答時間点におけるDC応答値である。この所定の関係は、互いに対向する電極を有する試験要素のために使用することができる。この所定の関係は、場合によっては、詳細には互いに対向する電極を有する試験要素のために有利であり、電極は、DC信号とAC信号の間のすべての関連する効果の良好な相関を許容するため、測定セルの互いに反対側の面に配置される。詳細には、所定の関係は、
Figure 0007003138000004
であってもよく、上式でbGは検体の決定される濃度であり、i及びjは測定時間点の数を表し、i、j及びnは自然整数であり、a、b及びcは重み付け係数であり、Y及びYは、時間点i及びjにおける異なる周波数におけるAC応答からのアドミタンス値の実部又は虚部のいずれかである。DC、DCは、選択されたDC応答時間点におけるDC応答値である。
一実施形態では、所定の関係は、
Figure 0007003138000005
であってもよく、上式でbGは検体の決定される濃度であり、i及びjは測定時間点の数を表し、i、j、n、f、m及びlは自然整数であり、m及びlは周波数の数を表し、a、b及びc、dは重み付け係数であり、Y(imag)mi、Y(real)mi、Y(imag)mj及びY(real)mjは、時間点i及びjにおける異なる周波数におけるAC応答からのアドミタンス値の実部及び虚部であり、また、DC、DCjは、選択されたDC応答時間点におけるDC応答値である。この所定の関係は、互いに対向する電極を有する試験要素のために使用することができる。
重み付け係数は移動メッシュ方法によって決定することができる。別法としてはニューロンネット又は多変数回帰方法あるいはこれらの方法の組合せを使用することも可能である。他の数学的方法、例えば最小絶対収縮及び選択演算子方法を使用して関連する可観測量(observables)を識別し、かつ、選択して、それにより独立した収集検証データセットに対して使用された訓練データから見出されたモデルの複雑性を低減し、かつ、可搬性を改善するために総数を少なくすることも可能である。
上で概要を示したように、励起電圧信号は、少なくとも1つの試験シーケンスの間、印加することができる。本明細書において使用されているように、「試験シーケンス」という用語は、一般に、励起電圧信号が印加される任意の時間期間を意味している。AC電流応答及びDC電流応答は、少なくとも1つの試験シーケンスの間、測定時間点で連続的及び/又は非連続的に決定することができる。
方法は少なくとも1つの選択ステップをさらに含むことができ、この選択ステップで、測定時間点から少なくとも1つのDC時間点が選択される。測定時間点から、分析結果を決定するために使用されるDC時間点を選択することができる。この選択ステップで、測定時間点から多数のDC時間点を選択することができる。例えば少なくとも1つの試験シーケンスの間、及び/又は試験シーケンス中の励起電圧信号の少なくとも1つの電圧ステップの間、3個、4個、5個、6個、10個さらには12個のDC時間点を選択することができる。もっと多くの数のDC時間点も可能であり得る。追加又は別法として、個々のDC時間点を時間回帰から誘導される係数に置き換えることも可能であり得る。DC時間点は、DC応答電流が決定ステップで使用される時間点であってもよい。
AC応答の測定は、異なる測定時間点で実施することができる。詳細には、アドミタンス値及び位相角値は、異なる測定時間点に対して決定することができる。AC応答は、全試験シーケンスの少なくとも1つの測定時間インターバルの間に測定することができる。測定時間インターバルでは、分析結果を計算するためにAC応答を積分することができる。例えば測定時間インターバルでは、分析結果を計算するために少なくとも1つの測定ベクトルを積分することができる。測定時間インターバル及び/又は測定ベクトルは、電流応答の時間展開に関して選択することができる。追加又は別法として、分析結果を計算するために少なくとも2つの異なる測定時間点又は少なくとも1つの測定時間インターバルを選択することができる。
DC時間点におけるDC応答値は、様々な干渉効果の差別を許容する時間点などの特定の品質条件を満たすことができる。
励起電圧信号は測定電極に印加することができ、また、応答が測定され、かつ、評価され、また、その時間点におけるAC電流応答の周波数及び対応するDC応答毎に位相情報及びインピーダンス情報に分割される。多数のDC時間点に対して同時に獲得されたDC応答値は、全試験シーケンスからピックアップすることができ、記憶することができ、また、測定後、濃度を計算するために使用することができる。方法は少なくとも1つの記憶ステップを含むことができ、この記憶ステップで、試験シーケンスの適切な数の時間点に対するDC電流応答が例えば少なくとも1つのルックアップテーブルに記憶される。DC電流応答は、評価デバイスによって例えば少なくとも1つのデータ記憶デバイス及び/又は評価デバイスのデータキャリアに記憶することができる。選択されるDC時間点の数及び/又はDC時間点の選択は、時間点の品質、プロファイル形状及び/又は特性などのDCプロファイル、試験シーケンスの長さ又は継続期間、期待される干渉、検体反応の時間展開、検体反応の動力学のうちの1つ又は複数に依存し得る。例えばDC時間点は、特定の期間、例えば試験シーケンスにわたって一様に間隔を隔てることができ、あるいは変動するインターバルで互いに間隔を隔てることができる。DC時間点は、少なくとも個々のDC電圧ステップで1つのDC時間点が選択されるように選択することができる。例えば3つのDC電圧ステップの場合、電圧ステップ毎に少なくとも4つのDC時間点を選択することができる。
方法は少なくとも1つの較正ステップを含むことができる。例えば方法はロット較正ステップを含むことができ、試験要素セル定数に対する影響を有する試験要素製造公差によって生成される干渉効果を少なくするために、測定された応答をスケールし直すことができる。試験要素セル定数、例えば毛管高さ及び幅、試薬厚さに対する影響を有する試験要素製造公差によって生成される干渉効果は、測定応答をスケールし直すことによって少なくすることができる。測定応答は、調整された血液試料を使用した試験測定に基づいて、特定的に選択されたマスタロットを使用して獲得された等価データに対してスケールし直すことができる。スケールのし直しは、測定された応答、すなわち可観測量に対して直接的に適用することができる。スケーリングファクタは、較正される試験要素を使用して決定される分析結果と、知られている試験要素、すなわち知られている特性を有する試験要素を使用して決定される分析結果との比率であってもよく、あるいはこのような比率から決定することができる。追加又は別法として、所定の関係の数学的表現の各々をスケールし直すことも可能である。例えばスケーリングファクタは、較正される試験要素に対する数学的表現の各々と、知られている試験要素を使用して決定される対応する数学的表現の各々との比率であってもよく、あるいはこのような比率から決定することができる。測定により、条片ロットを個々の試験要素から直接識別することができ、それにより較正データ不整合を回避することができる。この決定ステップでは、較正ステップからの情報を使用することによって検体の濃度を決定することができる。
方法は、血液凝固時間に対するインジケータとして、トロンビン活性化のような活性化時間を決定するステップをさらに含むことができる。試験要素は、動作電極及び少なくとも1つの対-基準電極を覆う試薬を含むことができ、適切なDC電圧が印加されると電流滴定電流応答を許容する。試薬は、凝固開始試薬、及びリンクされた酸化還元標識を有するペプチド基質を含むことができる。試験要素に投入された血液試料中の凝固反応の終了時に、タンパク質分解酵素トロンビンを活性化させることができ、また、酸化還元標識をペプチド基質から分割する。適切なDC電圧が測定電極間に印加されると、酸化還元標識遮断の開始を検出することができる。血液試料による試薬の溶解から酸化還元標識分割までの時間は活性化時間であり得る。例えば評価デバイスに記憶することができる所定の閾値を超えると、活性化時間を検出することができる。電流応答は、血液ヘマトクリットレベル及び温度に依存し得る。試験要素は、温度感度を補償するために、サーモスタットによって例えば37℃に制御することができる。ACインピーダンスを使用して、閾値を交差する時間及び残留温度変動に影響を及ぼす変動するヘマトクリットレベルの効果を修正することができる。知られている方法、例えば試料の凝固特性に依存して、ある時間にインピーダンスを測定し、また、別の時間にDC閾値超えを測定する逐次測定では、あらゆる種類の勾配効果のために修正性能が制限され得る。これらの効果は、例えば周囲温度変動、試料蒸発及び乾燥又は試薬動揺であり得る。一方、本発明による方法では、複雑なインピーダンス測定を使用して、閾値を交差する正しい時間点で、また、同じく、他の有用なDC応答情報、例えば背景電流修正あるいはフェールセーフ測値が収集される時間点で、常にDC応答を修正することができるよう、ポリフレキュエントAC及びDCプロファイルが同時に印加される。
方法は温度較正を含むことができる。温度較正は、温度、詳細には溶解した試薬中の温度が、測定時間中、許容されたリミット及び/又は所定のリミット内であるかどうかの決定を含むことができる。温度較正は、基準温度に対するすべての関連する試料タイプを有する、測定された試験要素からのポリフレキュエントインピーダンスAC応答の較正を含むことができる。この方法ステップは人工気候室で実施することができる。温度較正により、総測定時間の間、温度が連続的に許容範囲内であるかどうかを決定し、かつ、温度による効果を補償し、及び/又はエラーメッセージ又は警告を発行することができる。本明細書において使用されているように、「許容範囲」という用語は、所望の及び/又は選択された測定値からの許容測値偏差を意味している。例えば許容範囲は、温度に応じた所望の及び/又は選択された活性化時間からの許容測値偏差であってもよい。許容範囲は、決定及び/又は選択することができる。許容可能範囲のリミットは、例えばフェールセーフリミットとして、例えば評価デバイスの分析デバイスのメモリに記憶することができる。
方法は、少なくとも1つのフェールセーフステップをさらに含むことができる。同時ポリフレキュエントAC及びDCプロファイル励起からの応答を使用して少なくとも1つのフェールセーフステップを実施することができ、フェールセーフステップは、検体濃度すなわち測定された結果が所定のリミット内で有効であるかどうかの決定を含むことができる。例えば所定のリミットは、すべての決定された分析結果の99%に対して、+/-7mg/dl(100mg/dl未満のブドウ糖濃度の場合)と+/-10パーセント(100mg/dlを超えるブドウ糖濃度の場合)の間であってもよい。フェールセーフステップは、検体濃度が所定のリミット内ではない場合、エラーメッセージの発行及び/又は表示を含むことができる。詳細には、フェールセーフステップは、検体濃度が所定のリミット、例えば+/-15mg/dl/20%を超えている場合、分析結果の発行及び/又は表示の防止、及びエラーメッセージの発行及び/又は表示を含むことができる。方法は、故障モード、例えば試験要素が仕様外であり、又は試料及び試験条件が要求された範囲外であり、あるいは使用者による処理の誤りであるかどうかを決定するステップを含むことができる。所定の関係は、関連する故障モードを考慮して決定することができる。例えばそれぞれの数学的関数及び重み付け係数並びに訓練データセットは、関連する故障モードに関して決定及び/又は選択することができる。フェールセーフステップは、例えば評価デバイスの測定エンジン電子工学内への、例えば決定された所定の関係及び決定された検体濃度の記憶を含むことができる。フェールセーフステップは、測定データ一致性検査を許容することができる。フェールセーフステップは、警告及び/又はエラーメッセージの表示を含むことができる。フェールセーフステップは、少なくとも1つの識別子、例えば「実際の」分析結果、すなわち所定のリミット内の分析結果から所定のリミット外の分析結果を区別するのに適した訓練データセットからの数式の決定を含むことができる。訓練データセットは、不正確な試験要素又は不良試験要素を含むことができる。さらに、フェールセーフステップは、特定の故障事例を識別し、及び/又は特定の故障事例を明確に区別するのに適した試験値の決定を含むことができる。実際の分析結果に対応する試験値は、所定の試験値範囲内に存在し、及び/又は小さい散乱を示し得る。試験値は、少なくとも1つの測定値、複数の測定値の組合せ、例えば積、比率、差のうちの1つ又は複数であってもよい。フェールセーフステップは、少なくとも1つの決定ツリー行列の使用をさらに含むことができる。例えば分析結果は、例えばA及びBとして表される2つの測定値の比率が所定の第1のリミットより大きく、かつ、所定の第2のリミットより小さい場合、また、それと同時に、Cとして表される第3の測定値からDとして表される第4の測定値の3倍を引いた値が第3の所定のリミットより小さい場合、不良と見なすことができる。
本発明は、さらに、コンピュータプログラムであって、コンピュータ又はコンピュータネットワーク上で実行されると、本明細書において包含される実施形態のうちの1つ又は複数において、本発明による方法を実施するためのコンピュータ実行可能命令を含むコンピュータプログラムを開示し、かつ、提案する。特定的には、コンピュータプログラムはコンピュータ可読データキャリア上に記憶することができる。したがってコンピュータ又はコンピュータネットワークを使用することによって、好ましくはコンピュータプログラムを使用することによって、特定的には上で示した1つ、2つ以上、さらにはすべての方法ステップを実施することができる。
本発明は、さらに、コンピュータプログラム製品であって、プログラムがコンピュータ又はコンピュータネットワーク上で実行されると、本明細書において包含される実施形態のうちの1つ又は複数において、本発明による方法を実施するためのプログラムコード手段を有するコンピュータプログラム製品を開示し、かつ、提案する。特定的には、プログラムコード手段はコンピュータ可読データキャリア上に記憶することができる。
さらに、本発明は、その上にデータ構造を記憶したデータキャリアを開示し、かつ、提案し、データ構造は、コンピュータ又はコンピュータネットワークのワーキングメモリ又は主メモリなどのコンピュータ又はコンピュータネットワークにロードした後、本明細書において開示される実施形態のうちの1つ又は複数による方法を実行することができる。
本発明は、さらに、プログラムがコンピュータ又はコンピュータネットワーク上で実行されると、本明細書において開示される実施形態のうちの1つ又は複数による方法を実施するためのプログラムコード手段を機械可読キャリア上に記憶したコンピュータプログラム製品を提案し、かつ、開示する。本明細書において使用されているように、コンピュータプログラム製品は、取引き可能な製品としてのプログラムを意味している。製品は、通常、ペーパーフォーマットなどの任意のフォーマットで存在し、あるいはコンピュータ可読データキャリア上に存在し得る。特定的には、コンピュータプログラム製品は、データネットワークを介して分配することができる。
最後に、本発明は、コンピュータシステム又はコンピュータネットワークによる読取りが可能な、本明細書において開示される実施形態のうちの1つ又は複数による方法を実施するための命令を含む変調データ信号を提案し、かつ、開示する。
好ましくは、本発明のコンピュータ実現態様を参照すると、本明細書において開示される実施形態のうちの1つ又は複数による方法の方法ステップのうちの1つ又は複数、さらにはすべての方法ステップは、コンピュータ又はコンピュータネットワークを使用することによって実施することができる。したがって、通常、データの準備及び/又は操作を含むすべての方法ステップは、コンピュータ又はコンピュータネットワークを使用することによって実施することができる。通常、これらの方法ステップは、典型的には試料及び/又は実際の測定を実施する特定の態様の提供などの手仕事を必要とする方法ステップを除くすべての方法ステップを含むことができる。
特定的には、本発明は、さらに、
- この説明の中で記述されている実施形態のうちの1つによる方法を実施するように適合される少なくとも1つのプロセッサを備えるコンピュータ又はコンピュータネットワーク
- コンピュータロード可能データ構造であって、コンピュータ上で実行されている間、この説明の中で記述されている実施形態のうちの1つによる方法を実施するように適合されるコンピュータロード可能データ構造
- コンピュータプログラムであって、コンピュータ上で実行されている間、この説明の中で記述されている実施形態のうちの1つによる方法を実施するように適合されるコンピュータプログラム
- コンピュータプログラムであって、コンピュータプログラムがコンピュータ上又はコンピュータネットワーク上で実行されている間、この説明の中で記述されている実施形態のうちの1つによる方法を実施するためのプログラム手段を含むコンピュータプログラム
- 前記実施形態によるプログラム手段を含むコンピュータプログラムであって、プログラム手段がコンピュータによる読取りが可能な記憶媒体上に記憶される、コンピュータプログラム
- 記憶媒体であって、データ構造が記憶媒体上に記憶され、データ構造が、コンピュータ又はコンピュータネットワークの主記憶装置及び/又は作業用記憶領域にロードされた後、この説明の中で記述されている実施形態のうちの1つによる方法を実施するように適合される、記憶媒体
- プログラムコード手段を有するコンピュータプログラム製品であって、プログラムコード手段がコンピュータ上又はコンピュータネットワーク上で実行されると、この説明の中で記述されている実施形態のうちの1つによる方法を実施するためにプログラムコード手段を記憶することができ、あるいはプログラムコード手段が記憶媒体上に記憶される、コンピュータプログラム製品
を開示する。
本発明の他の態様では、体液中の少なくとも1つの検体の濃度を決定するための分析デバイスが開示される。分析デバイスは、
- 少なくとも1つの励起電圧信号を発生するように適合された少なくとも1つの信号発生器デバイスであって、励起電圧信号は、少なくとも1つのポリフレキュエント交流(AC)電圧及び少なくとも1つの直流(DC)電圧プロファイルを含み、ポリフレキュエントAC電圧は少なくとも2つの周波数を含む、少なくとも1つの信号発生器デバイスと、
- 応答を受け取るように適合される少なくとも1つの測定ユニットと、
- 周波数毎のAC電流応答及びDC電流応答を応答から評価するように適合された少なくとも1つの評価デバイスであって、周波数毎に少なくとも1つの位相情報及び少なくとも1つのインピーダンス情報をAC電流応答から評価するように適合される評価デバイスと
を備え、評価デバイスは、少なくとも1つの所定の関係を使用することにより、DC電流応答から、また、位相情報及びインピーダンス情報のうちの一方又は両方から検体の濃度を決定するように適合される。
分析デバイスの特徴の定義及び分析デバイスの任意選択の詳細については、上で開示された方法あるいは以下でさらに詳細に開示される方法の実施形態のうちの1つ又は複数を参照することができる。
「測定ユニット」という用語は、一般に、少なくとも1つの信号、詳細には応答を検出するように構成することができる任意のデバイス、好ましくは電子デバイスを意味し得る。測定ユニットは、少なくとも2つの異なる測定時間点における応答を受け取るように適合され得る。
信号発生器は、励起電圧信号を少なくとも1つの試験要素の少なくとも2つの測定電極に印加するように適合され得る。分析デバイスは、試験要素とは独立して取り扱うことができ、また、少なくとも1つの応答を検出することなどによって分析を実施するために試験要素と相互作用するように適合され得る。したがって「分析デバイス」という用語は、測定デバイス、分析デバイス、計器又は試験デバイスと呼ばれることもしばしばあり得る。
分析デバイスは、本発明による方法の実施形態のうちの1つ又は複数による、体液中の少なくとも1つの検体の濃度を決定するための方法を実施するように適合され得る。
本発明の他の態様では、体液中の少なくとも1つの検体の濃度を決定するための試験要素分析システムが開示される。試験要素分析システムは、
- 本発明による分析デバイスの実施形態のうちの1つ又は複数による少なくとも1つの分析デバイスと、
- 検体の特性である少なくとも1つの変化を実施することができる少なくとも1つの測定ゾーンを有する少なくとも1つの試験要素であって、少なくとも2つの測定電極を備える試験要素と
を備える。
試験要素分析システムの特徴の定義及び試験要素分析システムの任意選択の詳細については、上で開示された、あるいは以下でさらに詳細に開示される方法及び分析デバイスの実施形態のうちの1つ又は複数を参照することができる。特定的には、分析デバイスの実施形態のうちの1つ又は複数による分析デバイスを参照した特徴を有する試験要素分析システムを具体化することができる。
本明細書においてさらに使用されているように、「システム」という用語は、全体を形成している任意のセットの相互作用構成要素部分又は相互依存構成要素部分を意味している。特定的には、構成要素は、少なくとも1つの共通機能を果たすために互いに相互作用することができる。少なくとも2つの構成要素は、独立して取り扱うことができ、あるいは結合することができるか、又は接続可能である。したがって「試験要素分析システム」という用語は、一般に、任意の試験要素と相互作用することによって少なくとも1つの分析検出、特定的には試料の少なくとも1つの検体の少なくとも1つの分析検出を実施するために相互作用することができる少なくとも2つの要素又は構成要素のグループを意味している。試験要素分析システムは、一般に、分析システム、分析キット、センサシステム又は測定システムと呼ぶことも可能である。
「試験要素」という用語は、一般に、試料中の検体を検出することができ、あるいは試料のパラメータを決定することができる任意のデバイスを意味し得る。試験要素は、特定的には条片形の試験要素であってもよい。本明細書において使用されているように、「条片形」という用語は、細長い形及び厚さを有する要素を意味しており、横方向の寸法における要素の延長は、要素の厚さを超えており、例えば少なくとも2倍、好ましくは少なくとも5倍、より好ましくは少なくとも10倍であり、最も好ましくは少なくとも20倍、さらには少なくとも30倍である。したがって試験要素は、試験条片と呼ぶことも可能である。
試験要素は、少なくとも1つの構成要素、又は検体が試験化学的性質などの試料中に存在している場合、少なくとも1つの検出可能特性を変化させる少なくとも1つの試薬を備えることができる。試験化学薬品とも呼ばれる「試験化学的性質」という用語は、検体が存在している場合に、少なくとも1つの検出可能特性を変化させるように適合された任意の物質又は物質の組成を意味し得る。通常、この特性は、色変化及び/又は免除的(remissive)特性の変化などの電気化学的に検出可能な特性及び/又は光学的に検出可能な特性から選択することができる。特定的には、試験化学的性質は、試験要素に適用される体液の試料中に検体が存在している場合にのみ特性を変化させ、一方、検体が存在していない場合は変化が生じない高度に選択的な試験化学的性質であってもよい。より好ましくは、特性の程度又は変化は、検体の定量的検出を許容するために、体液中の検体の濃度に依存し得る。
特定的には、試験要素は、体液の成分の凝固を活性化させるように構成された少なくとも1つの試薬を備えることができる。試薬は、トロンボプラスチン及びペプチド基質の再活性成分を含むことができる。したがって試薬が試料に露出される場合、トロンボプラスチンは凝固を活性化させ、また、トロンビンが生成され得る。トロンビンはペプチド基質を分割することができ、また、電気化学的信号を生成することができる。電気化学的信号は、その発生時間に関して評価することができる。しかしながら他の試薬及び/また測定原理も可能である。
本明細書において使用されているように、「電気化学的検出」という用語は、電気化学的検出反応などの電気化学的手段によって検体の電気化学的に検出可能な特性の検出を意味している。したがって例えば電気化学的検出反応は、動作電極の電位などの1つ又は複数の電極電位を、対電極又は基準電極などの1つ又は複数の他の電極の電位と比較することによって検出することができる。検出は検体特化であってもよい。検出は、定性的及び/又は定量的検出であってもよい。
試験要素は、検体又はパラメータの特性である少なくとも1つの変化を実施することができる少なくとも1つの測定ゾーンを有することができる。本明細書においてさらに使用されているように、「測定ゾーン」という用語は、対象の任意の領域又は区域を意味することができ、任意の測定、特定的には分析測定が実施される。特定的には、上で説明した試験化学的性質は、この測定ゾーン内、詳細には測定ゾーンの表面に配置することができる。試験要素は電気化学的試験要素であってもよい。
「電気化学的試験要素」という用語は、少なくとも1つの電気化学的検出を実施するように構成された任意の試験要素を意味し得る。本明細書において使用されているように、「電気化学的検出」という用語は、電気化学的検出反応などの、少なくとも1つの任意の検体の電気化学的に検出可能な特性の検出を意味している。したがって例えば電気化学的検出反応は、動作電極の静電電位などの1つ又は複数の電極電位を、対電極又は基準電極などの1つ又は複数の他の電極の静電電位と比較することによって検出することができる。検出は検体特化であってもよい。検出は、定性的及び/又は定量的検出であってもよい。
試験要素は、試料を受け取るように構成された少なくとも1つの毛管を備えることができる。「毛管」という用語は、一般に、小さい管などの任意の小さくて細長いボイド体積を意味している。通常、毛管は、ミリメートル又はサブミリメートル範囲の寸法を含むことができる。一般に、流動媒体は、毛管作用によって毛管を通って移動することができ、流動媒体は、流動媒体と、流動媒体と対向する毛管の表面との間の分子間力により、重力のような外部の力の助けを必要とすることなく、毛管の細い空間に流入することができる。例えば試験要素は、少なくとも1つの互いに対向する電極構成を有することができる。試験要素は、3つの面に少なくとも1つの毛管開口を有することができる。対向する電極表面は、試料が吸収され、かつ、試薬コーティングを介して広がるよう、吸収剤試薬層でコーティングすることができる。対向する電極表面は、液体層を使用することによって導電接続することができる。
分析デバイスは試験要素ホルダーを備えることができる。「試験要素ホルダー」という用語は、一般に、任意の試験要素を受け取り、あるいは保持するように構成される任意の対象を意味し得る。特定的には試験要素は、少なくとも1つの方向の試験要素の運動を少なくともかなりの程度まで抑制することができるよう、試験要素ホルダー内の特定の位置の上に配置することができる。したがって試験要素の測定ゾーンは、測定ユニットに対して所定の位置に配置することができる。試験要素は、特定的には、試験要素ホルダー中に可逆的に置かれるように構成することができる。したがって試験要素は、さらなる面倒なしに試験要素ホルダーから取り外すことができる。依然として他の実施形態も可能である。試験要素は、少なくとも部分的に試験要素ホルダー内に受け取ることができる。「受け取られる」という用語は、一般に、別の要素のレセプタクル又は開口中に完全に、あるいは少なくとも部分的に配置又は挿入される際の対象の状態を意味し得る。したがって対象の一部は他の要素の外側に配置することができる。例示的には、試験要素ホルダーは、試験要素を受け取るように構成された少なくとも1つのレセプタクルを備えることができる。したがってレセプタクルは、試験要素に対して相補的に形状化することができる。したがってレセプタクル及び試験要素は、フォームフィット接続を確立するように構成することができる。試験要素ホルダーは、試験要素と試験要素ホルダーの間の電気接触を許容する少なくとも1つの接触要素を備えることができる。
提案される方法、分析デバイス及び試験要素分析システムは、知られているデバイス及び方法に優る多くの利点を提供する。詳細には、提案される方法、分析デバイス及び試験要素分析システムによれば、干渉効果及び製造公差を考慮して検体の濃度を決定することができる。異なる周波数を有するAC電圧及びDC電圧プロファイルからなる励起電圧信号を印加することにより、すべての関連する干渉効果及び条片製造公差を考慮して、例えば試験条片ベース検体濃度又は全血試料における試料特性測値から最良の可能性能を得ることが可能であり得る。位相情報及び/又はDC電流応答と相俟ったAC電流応答の個々の周波数の少なくとも1つのインピーダンス情報により、干渉効果及び製造公差に対する区別可能な情報を得ることができる。
本発明の結論を要約すると、以下の実施形態が好ましい。
実施形態1:体液中の少なくとも1つの検体の濃度を決定するための方法であって、方法は以下のステップを含む。
- 少なくとも1つの信号発生ステップであって、少なくとも1つの励起電圧信号が少なくとも1つの信号発生器デバイスによって生成され、励起電圧信号は、少なくとも1つのポリフレキュエント交流(AC)電圧及び少なくとも1つの直流(DC)電圧プロファイルを含み、ポリフレキュエントAC電圧は少なくとも2つの周波数を含む、少なくとも1つの信号発生ステップ
- 少なくとも1つの信号印加ステップであって、励起電圧信号が少なくとも2つの測定電極に印加されるステップ
- 少なくとも1つの測定ステップであって、測定電極を使用することによって応答が測定されるステップ
- 少なくとも1つの評価ステップであって、周波数毎のAC電流応答及びDC電流応答が少なくとも1つの評価デバイスによって応答から評価され、また、周波数毎に少なくとも1つの位相情報及び少なくとも1つのインピーダンス情報が評価デバイスによってAC電流応答から評価されるステップ
- 少なくとも1つの決定ステップであって、少なくとも1つの所定の関係を使用することにより、検体の濃度がDC電流応答から、また、位相情報及びインピーダンス情報のうちの一方又は両方から決定されるステップ。
実施形態2:AC電圧及びDCプロファイルが重畳されて励起電圧信号を形成する、前記実施形態による方法。
実施形態3:所定の関係が、
Figure 0007003138000006
であり、上式でbGは決定される検体濃度であり、iは測定時間点の数を表し、i、n、f及びmは自然整数であり、mは周波数の数を表し、a、b、cは重み付け係数であり、Ymjは、時間点における異なる周波数におけるAC応答からのアドミタンス値であり、Pmjは、時間点における異なる周波数におけるAC応答からの位相角値であり、また、DCは、選択されたDC応答時間点におけるDC応答値である、前記実施形態による方法。
実施形態4:所定の関係が、
Figure 0007003138000007
であり、上式でbGは決定される検体濃度であり、iは測定時間点の数を表し、i、n、f及びmは自然整数であり、mは周波数の数を表し、a及びbは重み付け係数であり、Y(imag)mi及びY(real)miは、時間点における異なる周波数におけるAC応答からのアドミタンス値の実部及び虚部であり、また、DCは、選択されたDC応答時間点におけるDC応答値である、実施形態1による方法。
実施形態5:所定の関係が、
Figure 0007003138000008
であり、上式でbGは検体の決定される濃度であり、i及びjは測定時間点の数を表し、i、j及びnは自然整数であり、a、b及びcは重み付け係数であり、Y及びYは、時間点i及びjにおける異なる周波数におけるAC応答からのアドミタンス値の実部又は虚部のいずれかであり、DC、DCは、選択されたDC応答時間点におけるDC応答値である、前記実施形態による方法。
実施形態6:所定の関係が、
Figure 0007003138000009
であり、上式でbGは検体の決定される濃度であり、i及びjは測定時間点の数を表し、i、j、n、f、m及びlは自然整数であり、m及びlは周波数の数を表し、a、b及びcは重み付け係数であり、Y(imag)mi、Y(real)mi、Y(imag)mj及びY(real)mjは、時間点i及びjにおける異なる周波数におけるAC応答からのアドミタンス値の実部及び虚部であり、また、DC、DCjは、選択されたDC応答時間点におけるDC応答値である、2つの前記実施形態のうちのいずれか1つによる方法。
実施形態7:周波数毎にアドミタンスの少なくとも1つの実部及び虚部が評価デバイスによってAC電流応答から評価される、前記実施形態のうちのいずれか1つによる方法。
実施形態8:方法が、検体の濃度とDC電流応答、位相情報及びインピーダンス情報の間の所定の関係を決定するステップを含む、前記実施形態のうちのいずれか1つによる方法。
実施形態9:決定ステップで、干渉効果及び製造公差を考慮して検体の濃度が決定される、前記実施形態のうちのいずれか1つによる方法。
実施形態10:干渉効果が、周囲条件、詳細には温度及び湿度、試料特性、詳細には試料温度、ヘマトクリットレベル、タンパク質レベル及びイオン強度からなるグループから選択される、前記実施形態による方法。
実施形態11:体液が全血である、前記実施形態のうちのいずれか1つによる方法。
実施形態12:検体がブドウ糖である、前記実施形態のうちのいずれか1つによる方法。
実施形態13:ポリフレキュエントAC電圧が少なくとも3つの周波数を含む、前記実施形態のうちのいずれか1つによる方法。
実施形態14:AC電圧が30mV rms未満の大きさを有する、前記実施形態のうちのいずれか1つによる方法。
実施形態15:方法が少なくとも1つの選択ステップをさらに含み、選択ステップで、測定時間点から少なくとも1つのDC時間点が選択され、DC時間点が、DC応答電流が決定ステップに使用される時間点である、前記実施形態のうちのいずれか1つによる方法。
実施形態16:DC時間点が特定の品質条件を満たす、前記実施形態による方法。
実施形態17:DC電圧プロファイルが時間プロファイルを含む、前記実施形態のうちのいずれか1つによる方法。
実施形態18:DC電圧プロファイルが、電解電量計電圧プロファイル、電流滴定電圧プロファイルからなるグループから選択される、前記実施形態のうちのいずれか1つによる方法。
実施形態19:少なくとも1つの試験シーケンスの間、励起電圧信号が印加される、前記実施形態のうちのいずれか1つによる方法。
実施形態20:方法が少なくとも1つの記憶ステップを含み、記憶ステップで、試験シーケンスの適切な数の時間点に対するDC電流応答が記憶される、前記実施形態による方法。
実施形態21:方法が少なくとも1つの較正ステップを含む、前記実施形態のうちのいずれか1つによる方法。
実施形態22:方法が少なくとも1つのロット較正ステップをさらに含み、測定された応答をスケールし直すことができる、前記実施形態による方法。
実施形態23:決定ステップで、較正ステップからの情報を使用することによって検体の濃度が決定される、2つの前記実施形態のうちのいずれか1つによる方法。
実施形態24:評価ステップで、少なくとも1つの2方向アナログ電子フィルタを使用してAC電流応答及びDC電流応答が分離され、2方向アナログ電子フィルタは、信号を約100Hzと500Hzの間で分割し、100Hz未満では、応答はDCとして分析され、また、500Hz超では、応答はACとして分析される、前記実施形態のうちのいずれか1つによる方法。
実施形態25:所定の関係が、少なくとも1つの訓練データセットに対する多変数分析、ニューロンネット、移動メッシュ、最小絶対収縮及び選択演算子方法、ブーストランダムフォレスト及びブートストラッピングからなるグループから選択される数学的方法によって選択され、決定され、また、検証されたうちの1つ又は複数である、前記実施形態のうちのいずれか1つによる方法。
実施形態26:方法が活性化時間を決定するステップを含む、前記実施形態のうちのいずれか1つによる方法。
実施形態27:方法が温度較正を含み、温度較正が、測定時間の間、温度が許容及び/又は所定のリミット内であるかどうかを決定することを含む、前記実施形態のうちのいずれか1つによる方法。
実施形態28:方法が少なくとも1つのフェールセーフステップを含み、フェールセーフステップが、検体濃度が所定のリミット内で有効であるかどうかを決定するステップを含む、前記実施形態のうちのいずれか1つによる方法。
実施形態29:方法が試料適用ステップを含み、体液の試料が測定電極と接触する、前記実施形態のうちのいずれか1つによる方法。
実施形態30:コンピュータプログラムであって、コンピュータ又はコンピュータネットワーク上で実行されると、前記実施形態のうちのいずれかによる、体液中の少なくとも1つの検体の濃度を決定するための方法を実施するためのコンピュータ実行可能命令を含むコンピュータプログラム。
実施形態31:前記実施形態のうちのいずれかによる、体液中の少なくとも1つの検体の濃度を決定するための方法を実施するためのコンピュータ実行可能命令を有するコンピュータ可読媒体であって、計算デバイスがコンピュータによって提供される、コンピュータ可読媒体。
実施形態32:プログラムがコンピュータ又はコンピュータネットワーク上で実行されると、前記実施形態のうちのいずれかによる、体液中の少なくとも1つの検体の濃度を決定するための方法を実施するためのプログラムコード手段を機械可読キャリア上に記憶したコンピュータプログラム製品。
実施形態33:体液中の少なくとも1つの検体の濃度を決定するための分析デバイスであって、
- 少なくとも1つの励起電圧信号を発生するように適合された少なくとも1つの信号発生器デバイスであって、励起電圧信号は、少なくとも1つのポリフレキュエント交流(AC)電圧及び少なくとも1つの直流(DC)電圧プロファイルを含み、ポリフレキュエントAC電圧は少なくとも2つの周波数を含む、少なくとも1つの信号発生器デバイスと、
- 応答を受け取るように適合される少なくとも1つの測定ユニットと、
- 周波数毎のAC電流応答及びDC電流応答を応答から評価するように適合された少なくとも1つの評価デバイスであって、周波数毎に少なくとも1つの位相情報及び少なくとも1つのインピーダンス情報をAC電流応答から評価するように適合される評価デバイスと
を備え、評価デバイスは、少なくとも1つの所定の関係を使用することにより、DC電流応答から、また、位相情報及びインピーダンス情報のうちの一方又は両方から検体の濃度を決定するように適合される、分析デバイス。
実施形態34:信号発生器が、励起電圧信号を少なくとも1つの試験要素の少なくとも2つの測定電極に印加するように適合される、前記実施形態による分析デバイス。
実施形態35:分析デバイスが、方法を参照した前記実施形態のうちのいずれかによる、体液中の少なくとも1つの検体の濃度を決定するための方法を実施するように適合される、2つの前記実施形態のうちのいずれか1つによる分析デバイス。
実施形態36:体液中の少なくとも1つの検体の濃度を決定するための試験要素分析システムであって、
- 分析デバイスを参照した前記実施形態のうちのいずれかによる少なくとも1つの分析デバイスと、
- 検体の特性である少なくとも1つの変化を実施することができる少なくとも1つの測定ゾーンを有する少なくとも1つの試験要素であって、少なくとも2つの測定電極を備える試験要素と
を備える試験要素分析システム。
実施形態37:試験要素が電気化学的試験要素である、前記実施形態による試験要素分析システム。
実施形態38:試験要素が体液の試料を受け取るように構成された少なくとも1つの毛管を備える、試験要素分析システムを参照した前記実施形態のうちのいずれか1つによる試験要素分析システム。
実施形態39:分析デバイスが試験要素を配置するための少なくとも1つの試験要素ホルダーを備える、試験要素分析システムを参照した前記実施形態のうちのいずれか1つによる試験要素分析システム。
本発明の他の任意選択の特徴及び実施形態は、好ましくは従属請求項に関連して、好ましい実施形態についての以下の説明の中でより詳細に開示される。図において、それぞれの任意選択の特徴は、当業者には認識されるように、孤立した方法並びに何らかの任意の可能な組合せで実現することができる。本発明の範囲は、これらの好ましい実施形態によっては制限されない。実施形態は、図には概略的に描写されている。図においては、これらの図の中の全く同じ参照番号は、全く同じ要素又は機能的に匹敵し得る要素を表している。
本発明による方法の実施形態を示す図である。 試験要素分析システムの実施形態を示す図である。 分析デバイスの例示的実施形態を示す図である。 ポリフレキュエントAC電圧の組成の実施形態を示すグラフである。 電流滴定電圧プロファイルをDCプロファイル及びDC応答として使用した励起電圧信号の時間に対する展開を示すグラフである。 DC応答の傾きの時間に対する展開を示すグラフである。 DC時間点の選択の例を示すグラフである。 互いに対向する電極試験要素に対する実験結果を示すグラフである。 DCパルスと重畳され、また、ポリフレキュエントAC電圧と補足的に重畳されたサイクリック電解電量計の組合せを使用した励起電圧信号の例を示すグラフである。 DCパルスと重畳され、また、ポリフレキュエントAC電圧と補足的に重畳されたサイクリック電解電量計の組合せを使用した励起電圧信号の例を示すグラフである。 図9及び10の励起信号に対するブドウ糖試験条片の実験結果を示すグラフである。 図9及び10の励起信号に対するブドウ糖試験条片の実験結果を示すグラフである。 図9及び10の励起信号に対するブドウ糖試験条片の実験結果を示すグラフである。
図1には、体液中の少なくとも1つの検体の濃度を決定するための方法の例示的実施形態の概要図が示されている。方法は少なくとも1つの信号発生ステップ110を含む。信号発生ステップ110では、少なくとも1つの信号発生器デバイス112によって少なくとも1つの励起電圧信号が生成され得る。励起電圧信号は、少なくとも1つのポリフレキュエント交流(AC)電圧及び少なくとも1つの直流(DC)電圧プロファイルを含む。
ポリフレキュエントAC電圧は少なくとも2つの周波数を含む。AC電圧は正弦波形を有することができる。他の波形も可能である。例えばAC電圧は、異なる周波数を有する少なくとも2つのAC正弦波を含むことができる。AC電圧は、異なる周波数を有する少なくとも2つのAC正弦波を含むことができ、2つのAC信号は重畳される。ポリフレキュエントAC電圧は、3つ、4つ又はもっと多くの周波数を含むことができる。周波数は、500Hzから20kHzの範囲であってもよい。図4には、ポリフレキュエントAC電圧の組成の概略実施形態が示されている。ポリフレキュエントAC電圧は、4つの重畳した周波数、例えば1kHz(参照番号114で示されている)、2kHz(参照番号116で示されている)、10kHz(参照番号118で示されている)及び20kHz(参照番号120で示されている)を含むことができる。信号発生器デバイス112は、少なくとも1つのAC電圧源122及び少なくとも1つのDC電圧源124を備えることができる。信号発生器デバイス112は、少なくとも1つのポリフレキュエントAC電圧を生成するように適合され得る。例えば信号発生器112は、それぞれ異なる周波数を有する複数のAC電圧信号114、116、118、120を発生し、かつ、これらの複数のAC信号を重ね合わせるように適合され得る。重ね合わされた信号は、図4に参照番号126で示されている。AC電圧、詳細には重ね合わされた信号は、ファラデー電流応答が生成されないような大きさすなわち振幅を有することができる。例えば図4に示されている実施形態では、AC電圧信号114、116、118、120の各々は、10mV rms以下の大きさを有することができ、また、AC電圧126の大きさは30mV rms未満であってもよい。
信号発生器デバイス112は、少なくとも1つのDCプロファイルを生成するように適合され得る。DC電圧プロファイルは時間プロファイルを含むことができる。DC電圧は、測定時間の間、連続的にあるいは階段状に変化させることができ、及び/又は変動させることができる。例えばDC電圧は少なくとも1つのステップシーケンスを含むことができる。例えばDC電圧プロファイルは少なくとも2つの電圧ステップを含むことができる。例えばDC電圧プロファイルは、3つ、4つ又は5つの電圧ステップを含むことができる。さらに多くの電圧ステップも可能である。DC電圧プロファイルのステップは、分析反応と様々な干渉反応の間の差別を許容するように選択することができる。DC電圧は矩形波形を有することができる。他の波形も可能である。DC電圧プロファイルは、電解電量計電圧プロファイル、電流滴定電圧プロファイルからなるグループから選択することができる。
AC電圧及びDCプロファイルは重畳することができる。信号発生器デバイス112は、AC電圧及びDCプロファイルを同時に体液に印加するように適合され得る。信号発生器デバイス112は、重畳されたポリフレキュエントAC電圧及びDCプロファイルを含む励起電圧信号を体液に印加するように適合され得る。信号発生器デバイス112は測定電子工学の一部であってもよく、及び/又は例えば少なくとも1つの評価デバイス128の測定電子工学に接続することができる。信号発生器112は、評価デバイス128の一部であってもよく、あるいは個別のデバイスとして設計することも可能である。
方法は少なくとも1つの信号印加ステップ130をさらに含み、励起電圧信号が少なくとも2つの測定電極132に印加される。方法は少なくとも1つの測定ステップ134を含む。測定ステップ134で応答が測定される。応答は、測定電極132を使用することによって少なくとも2つの異なる測定時間点で測定することができる。方法は少なくとも1つの評価ステップ136を含み、周波数毎のAC電流応答及びDC電流応答が少なくとも1つの評価デバイス128によって応答から評価され、また、周波数毎に少なくとも1つの位相情報及び少なくとも1つのインピーダンス情報が評価デバイス128によってAC電流応答から評価される。方法は少なくとも1つの決定ステップ138を含み、少なくとも1つの所定の関係を使用することにより、検体の濃度がDC電流応答から、また、位相情報及びインピーダンス情報のうちの一方又は両方から決定される。
図2には、試験要素分析システム140の実施形態が描写されている。試験要素分析システム140は、少なくとも1つの分析デバイス142、及び検体の特性である少なくとも1つの変化を実施することができる少なくとも1つの測定ゾーン146を有する少なくとも1つの試験要素144を備えており、試験要素144は少なくとも2つの測定電極132を備えている。試験要素144は試験条片であってもよい。試験要素144は、体液を加えるための少なくとも1つの試料開口148を備えることができる。分析デバイスは少なくとも1つの試験要素ホルダー150を備えることができる。試験要素144は分析デバイス142中に挿入することができる。試験要素144は、少なくとも2つの測定電極132に電気接続される少なくとも2つの電気コンタクト152を備えることができる。分析デバイス142は、詳細には電気コンタクト152に接触させることによって試験要素144を電気接触させるように適合され得る。
図3には、分析デバイス142の例示的実施形態が極めて概略的に示されている。分析デバイス142は、少なくとも1つの励起電圧信号を発生するように適合された少なくとも1つの信号発生器デバイス112を備えており、励起電圧信号は、少なくとも1つのポリフレキュエント交流(AC)電圧及び少なくとも1つの直流(DC)電圧プロファイルを含み、ポリフレキュエントAC電圧は少なくとも2つの周波数を含む。分析デバイス142は少なくとも1つの測定ユニット154を備えており、測定ユニット154は、詳細には少なくとも2つの異なる測定時間点で応答を受け取るように適合される。分析デバイス142は少なくとも1つの評価デバイス128を備えている。測定ユニット145は評価ユニット128の一部であってもよい。
評価デバイス128は、周波数毎のAC電流応答及びDC電流応答を応答から評価するように適合される。評価デバイス128は、周波数毎に少なくとも1つの位相情報及び少なくとも1つのインピーダンス情報をAC電流応答から評価するように適合される。評価デバイス128は、少なくとも1つの所定の関係を使用することにより、DC電流応答から、また、位相情報及びインピーダンス情報のうちの一方又は両方から検体の濃度を決定するように適合される。
図5は、電流滴定電圧プロファイルをDCプロファイル及びDC応答として使用した励起電圧信号の時間に対する展開を示したものである。本発明による方法を使用して、ブドウ糖試験条片を使用したブドウ糖測定に対する干渉物質であるアスコルビン酸の高い濃度によってもたらされるバイアスを補償することができる。アスコルビン酸は、ブドウ糖脱水素酵素及びブドウ糖に対する競争において、検出試薬中の酸化還元媒介物質を還元し、また、試験結果を正にバイアスさせることになり得る。図5には、mV単位の励起電圧Uex対秒単位の時間tが描写されている。実線は励起電圧信号を示している。励起信号は、ボックス156の中に拡大して描写されているポリフレキュエントAC電圧を含む。図5では、励起電圧信号は、分析反応と様々な干渉反応の間の差別を許容するために3つのDC電圧ステップを含む。励起電圧信号は、2つの測定電極132の間に印加することができ、一方の電極は、ブドウ糖濃度を測定するための試薬で覆うことができ、また、もう一方の電極は、対-基準電極として銀/銀-塩化物層で覆われている。例えば試験要素144は、共面電極として配置された2つの測定電極132を備えることができる。
さらに、図5には、同じブドウ糖濃度を有するアスコルビン酸の3つのレベルの3つの試料、すなわちそれぞれ0mg/dlアスコルビン酸(菱形で示されている)、30mg/dlアスコルビン酸(正方形で示されている)及び100mg/dlアスコルビン酸(三角形で示されている)に対するμΑ単位の応答I対時間が示されている。ブドウ糖のみを含有する試料の応答をブドウ糖及びアスコルビン酸を含有する試料と比較すると、競合する反応の反応速度が異なるため、応答時間プロファイルが異なり得る。例えば試料が投入された後の初期の試験時間、例えば測定の最初の2秒以内では相違が見られる。典型的な干渉物質としてのアスコルビン酸は、DC応答の正のバイアスの原因になり得る。最初の2秒以内の応答信号のごく最初の部分では、アスコルビン酸との酸化還元媒介物質反応、及びブドウ糖酵素系統との反応の速度が異なるため、傾きが異なり得る。以下では、応答信号のごく最初の部分の間に決定されたDC応答は、初期DC時間点で表される。反応がほぼ終了する後の方の時間点では、差別は不可能であり得る。以下では、応答信号の後の方の時間点の間に決定されたDC応答は、後の方のDC時間点で表される。図6は、図5に示されている試料に対する、DC応答のμΑ/s単位の傾きdl/dtの時間に対する展開を示したものである。検体濃度の決定は、アスコルビン酸干渉を補償することができるよう、所定の関係を使用することによる、初期DC時間点及び後の方のDC時間点の重み付けを含むことができる。
血液試料のヘマトクリットレベル又は周囲温度が異なるか、あるいは条片が老化すると、図5及び6に示されている例と比較して、反応速度とDC応答の大きさの関係が変化し得る。このような干渉効果は、DC時間点の各々に対して、同じ時間点におけるポリフレキュエントインピーダンス測定から対応する結果を決定することによって補償することができる。検体濃度は、所定の関係を使用することにより、DC電流応答から、また、位相情報及びインピーダンス情報のうちの一方又は両方から決定される。観察された個々のDC応答時間点に対して、同時4周波数AC励起によるAC電流応答を4つのアドミタンス及び4つの位相角として決定することができる。
共面電極配置を有する試験要素の場合、所定の関係は、
Figure 0007003138000010
であってもよく、上式でbGは決定される検体濃度であり、iは測定時間点の数を表し、i、n、f及びmは自然整数であり、mは周波数の数を表し、a、b、cは重み付け係数であり、Ymは、時間点における異なる周波数におけるAC応答からのアドミタンス値であり、Pmは、時間点における異なる周波数におけるAC応答からの位相角値であり、また、DCは、選択されたDC応答時間点におけるDC応答値である。
電極は、互いに対向する構成で配置することも可能であり、活性電極表面は周囲の層を隔離することによって画定される。試験要素は、液体試料を輸送し、また、測定セルを画定する毛管を有することができる。十分な充填レベルを検出するために、毛管通路に沿った測定電極に後続する個別の電極がしばしば実現され、それにより完全な測定電極カバレージが検証される。体系を持たない互いに対向する電極の場合、活性電極表面は試料充填レベルに依存し得る。この効果は、特定の所定の関係を使用することによって補償することができる。例えば互いに対向する電極配置を有する試験要素の場合、所定の関係は、
Figure 0007003138000011
であってもよく、上式でbGは決定される検体濃度であり、iは測定時間点の数を表し、i、n、f及びmは自然整数であり、mは周波数の数を表し、a及びbは重み付け係数であり、Y(imag)mi及びY(real)miは、時間点における異なる周波数におけるAC応答からのアドミタンス値の実部及び虚部であり、また、DCは、選択されたDC応答時間点におけるDC応答値である。詳細には、所定の関係は、
Figure 0007003138000012
であってもよく、上式でbGは検体の決定される濃度であり、i及びjは測定時間点の数を表し、i、j及びnは自然整数であり、a、b及びcは重み付け係数であり、Y及びYは、時間点i及びjにおける異なる周波数におけるAC応答からのアドミタンス値の実部又は虚部のいずれかであり、DC、DCは、選択されたDC応答時間点におけるDC応答値である。
一実施形態では、所定の関係は、
Figure 0007003138000013
であってもよく、上式でbGは検体の決定される濃度であり、i及びjは測定時間点の数を表し、i、j、n、f、m及びlは自然整数であり、m及びlは周波数の数を表し、a、b及びcは重み付け係数であり、Y(imag)mi、Y(real)mi、Y(imag)mj及びY(real)mjは、時間点i及びjにおける異なる周波数におけるAC応答からのアドミタンス値の実部及び虚部であり、また、DC、DCjは、選択されたDC応答時間点におけるDC応答値である。この所定の関係は、互いに対向する電極を有する試験要素のために使用することができる。
方法は少なくとも1つの選択ステップをさらに含むことができ、この選択ステップで、測定時間点から少なくとも1つのDC時間点が選択される。この選択ステップで、測定時間点から多数のDC時間点を選択することができる。例えば少なくとも1つの試験シーケンスの間、及び/又は試験シーケンス中の励起電圧信号の少なくとも1つの電圧ステップの間、3個、4個、5個、6個、10個さらには12個のDC時間点を選択することができる。もっと多くの数のDC時間点も可能であり得る。DC時間点は、DC応答電流が決定ステップで使用される時間点であってもよい。DC時間点は、基準ブドウ糖値及び様々な干渉効果との良好な相関などの特定の品質条件を満たすことができる。図7は、図5に関連して説明した100mg/dlアスコルビン酸試料(三角形で示されている)及び励起プロファイルに対するDC時間点の選択の例を示したものである。図7では、DC1からDC12で示されている12個のDC時間点が選択されている。DC電圧ステップ毎に4つのDC時間点が選択され、個々のDC電圧ステップの開始時に2つのDC時間点が選択され、また、個々のDC電圧ステップ中のもっと後の時間点で2つのDC時間点が選択される。選択されたDC時間点の各々に対して、DC応答値を決定し、及び/又は記憶することができる。同じ時間点すなわちDC時間点で、重畳された周波数の各々に対するAC応答値を決定することができる。検体濃度は、上で説明した、干渉効果の影響が著しく低減された所定の関係を使用することにより、DC応答値及び同時に決定されたAC応答値から決定し、及び/又は計算することができる。
評価デバイス128は所定の関係を決定するように適合され得る。評価デバイス128は、例えば評価デバイス128のデータ記憶装置及び/又はルックアップテーブルに記憶することができる数学的関数及び重み付け係数を提供するように適合され得る。方法は、所定の関係を決定することができる少なくとも1つの訓練ステップを含むことができる。所定の関係、詳細には所定の関係の重み付け係数は、少なくとも1つの訓練データセットに対する多変数分析、ニューロンネット、移動メッシュ、最小絶対収縮及び選択演算子方法、ブーストランダムフォレスト及びブートストラッピングからなるグループから選択される数学的方法によって選択され、決定され、また、検証されたうちの1つ又は複数であってもよい。訓練データセットは、共分散研究を実施することによって収集することができる。訓練データセットは、例えば均質に製造された試験要素を使用して、選択された試験シーケンスを測定デバイスの接続された電子回路機構、例えば計器に適用することにより、適切な数の反復測値を含むことができる。訓練データセットを得るために、基準方法、例えばブドウ糖濃度の場合であればヘキソキナーゼ方法を使用して個々の試験試料の検体濃度を決定することができる。訓練データセットを得るために、検体の関連する濃度範囲全体にわたって、試験の組合せ及び試験試料毎に十分な反復量で、関連する結合干渉効果の個々の組合せを試験することができる。例えば血液試料中のブドウ糖濃度を決定する場合、主要な干渉効果は、周囲温度、ヘマトクリットレベル、イオン強度、血漿濃度、脂質濃度又は投薬された干渉物質、とりわけ抗酸化剤であり得る。体系を持たない互いに対向する電極を有する試験要素の場合、充填が十分な個別の検出電極を備えていなくてもよく、毛管の充填レベルは、訓練データセット生成のために試験することができる。別の干渉効果は、主試験要素パッケージ中の貯蔵時間、あるいは測定を実行する前に試験要素がパッケージから取り出される際の試験要素、例えば試験条片の環境条件及び露出時間の影響であろう。試験要素がこれらの影響に対して十分に頑丈ではない場合、訓練データセットを得る際に、同じくこれらの要因を考慮することができる。
所定の関係、詳細には重み付け係数を決定して、必要な性能を有する濃度測定結果を得ることができる。ブドウ糖濃度を決定する例の場合、それは、すべての関連する試料物質及び試験条件を使用して試験される場合、測値のうちの95%を超える測値の濃度の相違が、使用される基準方法から+/-10%又は10mg/dl以下であることを意味している。例えば無作為発振ステップサイズを使用した移動メッシュ方法を使用して重み付け係数を決定することができる。訓練ステップは、目的関数の極小が決定される最適化を含むことができる。目的関数として、MSD(平均二乗偏差)と等価の基準方法に対する正規化誤差を使用することができる。
Figure 0007003138000014
上式でNEは正規化誤差である。
Gref<100mg/dlの場合、NE=bG-Grefであり、あるいは
Gref>100mg/dlの場合、NE=(bG-Gref)/Gref*100
であり、上式でbGは決定されたブドウ糖濃度であり、また、Grefはブドウ糖基準値である。
図8は、ブドウ糖酵素-酸化還元-媒介物質試薬を動作電極としての金表面に有し、また、銀/銀-塩化物対-基準電極を有する、互いに対向する電極試験要素に対する実験結果を示したものである。基準方法に対する計算されたブドウ糖結果の正規化誤差が示されている。実験のために、それぞれ0から70%のヘマトクリットレベルに調整された3つのブドウ糖レベルの血液試料が、12℃、23℃及び40℃の周囲温度で試験されている。3つのブドウ糖レベルにおける最大100mg/dlアスコルビン酸までの高濃度でスパイクされた血液試料に対する結果が同じく含まれている。AC情報を使用しない電流滴定DC測値は十字で描写されている。本発明による方法を使用した、例えば同時ポリフレキュエントAC及び3ステップDCの応答を使用した検体濃度に対する正規化誤差は菱形で描写されており、示されている訓練データセットに対して、+/-5%又はmg/dlの範囲内で100%である。
図9及び10は、DCパルスと重畳され、また、ポリフレキュエントAC電圧と補足的に重畳されたサイクリック電解電量計の組合せを使用した、mV単位の励起電圧信号Uex対時間の例を示したものである。図9は、サイクリック電解電量計を使用したDCプロファイルを示したものである。DC電圧は矩形波形を有している。ベース電圧すなわち0mVにおける開始値が示されている。DC電圧プロファイルは、例えば開始値から第1の折返し点までステップでDC電圧を高くし、引き続いて第1の折返し点から第2の折返し点までDC電圧を低くし、また、引き続いて第2の折返し点から開始値までDC電圧を高くするステップを含むことができる。図10は、DC電圧プロファイル及びポリフレキュエントAC電圧を含む励起電圧信号を示したものである。励起電圧信号の組成を視覚化するために、励起電圧信号のある領域(円)が拡大されている。大きいボックスの中にポリフレキュエントAC電圧が示されている。ダッシュ線の大きい円の中に励起電圧信号が実線で描写されている。参考として、重畳した、対応する応答すなわち電流応答がダッシュ線で示されている。DC値は、ベース電圧が第1の折返し点までステップで高くなり、第2の折返し点まで低くなり、また、開始電圧まで戻る個々の矩形DCパルスからの高いパルス相及び低いパルス相の終わりから選択することができる。電圧変化範囲及び方向は、使用される酸化還元媒介物質、及び試験試料中で生じ得る関連する酸化還元活性干渉物質に対して調整することができる。通常、試験条片ベースシステムの場合、試験時間中、反応ゾーンとして同じく表される測定ゾーンは、溶解した試薬層、試料温度勾配及び/又は投入効果のために安定した状態の状況にはない。これらの効果は、関連するDC応答と相俟ったポリフレキュエントAC応答からの情報を使用することによって補償することができる。ポリフレキュエントAC励起と重畳した個々の矩形DCパルスから、2つのDC値及び関連するアドミタンス値並びに位相値を重畳した周波数から選択することができる。
図9及び10に示されている例の場合、上で説明した所定の関係を使用して分析結果すなわち検体濃度を決定することができる。重み付け係数は移動メッシュ方法を使用して決定することができる。別法としては、ニューロンネット又は多変数回帰方法あるいはこれらの方法の組合せを使用することも可能である。決定の複雑性を低減し、また、独立して収集された検証データセットに対して使用された訓練データから見出された所定の関係の可搬性を改善するために、他の数学的方法(例えば最小絶対収縮及び選択演算子方法)を使用して関連する可観側量を識別し、かつ、選択することができ、また、それらの総数を少なくすることができる。
図11から13には、図9及び10の励起信号に対するブドウ糖試験条片の実験結果が示されている。試験要素は、試験試料を受け取るための毛管を有することができ、また、明確な構造を有する金電極を毛管の底部に有することができ、これらの金電極はいずれも乾燥した同じ検出試薬で覆われている。電極は全く同じであってもよく、また、検出試薬は、陽極電極反応及び陰極電極反応をサポートすることができる。対電極及び動作電極は、電極のうちの1つに分析反応を極性生成することによって画定することができる。図11は、決定された検体濃度すなわちブドウ糖値の正規化誤差NE対基準方法を示したものである。所与のアルゴリズムモデルのための係数を誘導するために使用された訓練データセットにはすべての関連する試験条件及び試料タイプが含まれている。訓練データセットに対して、NEのうちの99%を超えるNEが+/-8%(mg/dl)以内であることが分かる。図12は、検体濃度を決定するための電流滴定測定のDC応答(十字)の使用と比較した、ポリフレキュエントAC及びDCプロファイル情報を同時に使用するための正規化誤差(菱形)を示したものである。電流滴定測定のDC応答を使用した決定は、ポリフレキュエントAC及びDCプロファイル情報を同時に使用した決定と比較すると、より大きい散乱挙動しか示していない。示されているデータの場合、ヘマトクリットレベルが0から70%、ナトリウムレベルが110から190mmol/l、臭化カリウム濃度が最大450mg/ml、また、アスコルビン酸及びグルタチオンレベルが最大100mg/dlの操作された血液試料が、12℃と40℃の間の周囲温度で使用されている。試験要素は、保護パッケージから取り出された直後に、熱帯周囲条件で96時間までの露出時間で試験された。訓練データセットは、上で説明した試験条件及び試料タイプのあらゆる種類の組合せを含む。
図13は、検証データセットに対する正規化誤差を示したものである。検証データセットは、重み付け係数を誘導するために使用されなかった測定データを含む。図13の場合、検体濃度を決定するために、所定の関係、詳細には訓練データセットを使用して決定された数学モデル及び重み付け係数が検証データセットに対して使用されている。この場合も、正規化誤差のうちの96%を超える正規化誤差が+/-8%(mg/dl)以内である。
110 信号発生ステップ
112 信号発生器デバイス
114 AC電圧信号
116 AC電圧信号
118 AC電圧信号
120 AC電圧信号
122 AC電圧源
124 DC電圧源
126 AC電圧
128 評価デバイス
130 信号印加ステップ
132 測定電極
134 測定ステップ
136 評価ステップ
138 決定ステップ
140 試験要素分析システム
142 分析デバイス
144 試験要素
146 測定ゾーン
148 試料開口
150 試験要素ホルダー
152 電気コンタクト
154 測定ユニット
156 ボックス

Claims (18)

  1. 体液中の少なくとも1つの検体の濃度を決定するための方法であって、
    少なくとも1つの信号発生ステップ(110)であって、少なくとも1つの励起電圧信号が少なくとも1つの信号発生器デバイス(112)によって生成され、前記励起電圧信号が少なくとも1つのポリフレキュエント交流(AC)電圧及び少なくとも1つの直流(DC)電圧プロファイルを含み、前記ポリフレキュエントAC電圧が少なくとも2つの周波数を含み、前記少なくとも2つの周波数のうちの第1の周波数と第2の周波数とは異なる、ステップ(110)と、
    少なくとも1つの信号印加ステップ(130)であって、前記励起電圧信号が少なくとも2つの測定電極(132)に印加される、ステップ(130)と、
    少なくとも1つの測定ステップ(134)であって、前記測定電極(132)を使用することによって応答が測定される、ステップ(134)と、
    少なくとも1つの評価ステップ(136)であって、周波数毎のAC電流応答及びDC電流応答が少なくとも1つの評価デバイス(128)によって前記応答から評価され、周波数毎に少なくとも1つの位相情報及び少なくとも1つのインピーダンス情報が前記評価デバイス(128)によって前記AC電流応答から評価される、ステップ(136)と、
    少なくとも1つの決定ステップ(140)であって、前記検体の濃度と前記DC電流応答との間、前記位相情報と前記インピーダンス情報との間の、知られている又は決定可能な関係である少なくとも1つの所定の関係を使用することにより、前記検体の前記濃度が、前記DC電流応答から並びに前記位相情報及びインピーダンス情報のうちの一方又は両方から決定される、ステップ(140)と
    を含む方法。
  2. 前記AC電圧及びDCプロファイルが重畳されて前記励起電圧信号を形成する、請求項1に記載の方法。
  3. 前記所定の関係が、
    Figure 0007003138000015
    であり、bGは前記決定される検体濃度であり、iは測定時間点の数を表し、i、n、f及びmは自然整数であり、mは周波数の数を表し、ai、bi、ciは重み付け係数であり、Ymiは、時間点における異なる周波数におけるAC応答からのアドミタンス値であり、Pmiは、時間点における異なる周波数におけるAC応答からの位相角値であり、また、DCiは、選択されたDC応答時間点におけるDC応答値である、請求項1又は2のいずれか1項に記載の方法。
  4. 前記所定の関係が、
    Figure 0007003138000016
    であり、bGは前記決定される検体濃度であり、iは測定時間点の数を表し、i、n、f及びmは自然整数であり、mは周波数の数を表し、aiは重み付け係数であり、Y(imag)mi及びY(real)miは、時間点における異なる周波数におけるAC応答からのアドミタンス値の実部及び虚部であり、また、DCiは、選択されたDC応答時間点におけるDC応答値である、請求項1に記載の方法。
  5. 前記所定の関係が、
    Figure 0007003138000017
    であり、bGは前記検体の前記決定される濃度であり、i及びjは測定時間点の数を表し、i、j及びnは自然整数であり、ai及びbiは重み付け係数であり、Yi及びYjは、時間点i及びjにおける異なる周波数におけるAC応答からのアドミタンス値の実部又は虚部のいずれかであり、DCi、DCjは、選択されたDC応答時間点におけるDC応答値である、請求項4に記載の方法。
  6. 前記所定の関係が、
    Figure 0007003138000018
    であり、bGは前記検体の前記決定される濃度であり、i及びjは測定時間点の数を表し、i、j、n、f、m及びlは自然整数であり、m及びlは周波数の数を表し、ai、bi及びciは重み付け係数であり、Y(imag)mi、Y(real)mi、Y(imag)mj及びY(real)liは、時間点i及びjにおける異なる周波数におけるAC応答からのアドミタンス値の実部及び虚部であり、また、DCi、DCjは、選択されたDC応答時間点におけるDC応答値である、請求項4又は5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 前記方法が、前記検体の前記濃度と前記DC電流応答、前記位相情報及びインピーダンス情報の間の所定の関係を決定するステップを含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記決定ステップで、干渉効果及び製造公差を考慮して前記検体の前記濃度が決定される、請求項1から7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 前記AC電圧が30mV rms未満の大きさを有する、請求項1から8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 前記方法が少なくとも1つの選択ステップをさらに含み、前記選択ステップで、前記測定時間点から少なくとも1つのDC時間点が選択され、前記DC時間点が、前記DC応答電流が前記決定ステップに使用される時間点である、請求項からのいずれか1項に記載の方法。
  11. 前記DC電圧プロファイルが時間プロファイルを含み、DC電圧プロファイルが、電解電量計電圧プロファイル、電流滴定電圧プロファイルからなるグループから選択される、請求項1から10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 前記評価ステップで、少なくとも1つの2方向アナログ電子フィルタを使用して前記AC電流応答及び前記DC電流応答が分離され、前記2方向アナログ電子フィルタが前記信号を約100Hzと500Hzの間で分割し、100Hz未満では、前記応答はDCとして分析され、また、500Hz超では、前記応答はACとして分析される、請求項1から11のいずれか1項に記載の方法。
  13. 前記所定の関係が、少なくとも1つの訓練データセットに対する多変数分析、多重線形主成分分析、ニューロンネット、移動メッシュ、最小絶対収縮及び選択演算子方法、ブーストランダムフォレスト及びブートストラッピングからなるグループから選択される数学的方法によって選択され、決定され、また、検証されたうちの1つ又は複数である、請求項1から12のいずれか1項に記載の方法。
  14. 前記方法が少なくとも1つのフェールセーフステップを含み、前記フェールセーフステップが、前記検体濃度が所定のリミット内で有効であるかどうかを決定するステップを含む、請求項1から13のいずれか1項に記載の方法。
  15. 前記方法が試料適用ステップを含み、体液の試料が前記測定電極と接触する、請求項1から14のいずれか1項に記載の方法。
  16. 体液中の少なくとも1つの検体の濃度を決定するための分析デバイス(142)であって、
    少なくとも1つの励起電圧信号を発生するように適合された少なくとも1つの信号発生器デバイス(112)であって、前記励起電圧信号が少なくとも1つのポリフレキュエント交流(AC)電圧及び少なくとも1つの直流(DC)電圧プロファイルを含み、前記ポリフレキュエントAC電圧が少なくとも2つの周波数を含み、前記少なくとも2つの周波数のうちの第1の周波数と第2の周波数とは異なる、少なくとも1つの信号発生器デバイス(112)と、
    応答を受け取るように適合される少なくとも1つの測定ユニット(154)と、
    周波数毎のAC電流応答及びDC電流応答を前記応答から評価するように適合された少なくとも1つの評価デバイス(128)であって、周波数毎に少なくとも1つの位相情報及び少なくとも1つのインピーダンス情報を前記AC電流応答から評価するように適合される、評価デバイス(128)と
    を備え、前記評価デバイス(128)が、前記検体の濃度と前記DC電流応答との間、前記位相情報と前記インピーダンス情報との間の、知られている又は決定可能な関係である少なくとも1つの所定の関係を使用することにより、前記DC電流応答から並びに前記位相情報及びインピーダンス情報のうちの一方又は両方から前記検体の濃度を決定するように適合される、分析デバイス(142)。
  17. 前記信号発生器デバイス(112)が、前記励起電圧信号を少なくとも1つの試験要素(144)の少なくとも2つの測定電極(132)に印加するように適合される、請求項16に記載の分析デバイス(142)。
  18. 体液中の少なくとも1つの検体の濃度を決定するための試験要素分析システム(140)であって、
    請求項16又は17に記載の少なくとも1つの分析デバイス(142)と、
    前記検体の特性である少なくとも1つの変化を実施することができる少なくとも1つの測定ゾーン(146)を有する少なくとも1つの試験要素(144)であって、少なくとも2つの測定電極(132)を備える、試験要素(144)と
    を備える試験要素分析システム(140)。
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