N-グリコシル化は、小胞体(ER)で開始され、そしてその後、ゴルジでプロセシングされる、翻訳後修飾である(Schwarz & Aebi, Current Opinion in Structural Biology 21, 576-582(2011))。このタイプの修飾は、オリゴ糖で構成されている前もって形成されたグリカンをNXTモチーフ(-Asn-X-Ser/Thr-)内に位置するアスパラギン(Asn)側鎖アクセプターに転移させる膜結合型オリゴサッカリルトランスフェラーゼ(OST)複合体により先ず触媒される(Cheung and Reithmeier, Methods 41(4): 451-59 (2007);Helenius and Aebi, Science 291 (5512): 2364-69 (2001))。前もって形成されたグリカンからの糖類の付加または除去は、細胞依存的かつ位置依存的にN-グリコシル化カスケードを厳密に調節する、グリコトランスフェラーゼおよびグリコシダーゼの一群により、それぞれ媒介される。
プログラム死リガンド-1(PD-L1)とプログラム死(PD-1)との細胞外相互作用は、腫瘍関連免疫回避に対して顕著な影響を与える。抗PD-1またはPD-L1抗体を使用する免疫チェックポイント遮断薬の臨床的成功にもかかわらず、PD-L1とPD-1の相互作用の根底にある調節メカニズムは、大部分が依然として不明である。PD-1のN結合型グリコシル化は、PD-L1へのその結合を増進することができ、その結果、T細胞媒介免疫応答が抑制される。したがって、抗glycPD-1抗体は、より一般的なPD-1抗体と比較して増強された阻害効果を示す。
本明細書で使用される場合、別段の指定がない限り、用語「プラグラム死-1」または「PD-1」は、霊長類(例えば、ヒト、カニクイザル(cyno))、イヌおよび齧歯類(例えば、マウスおよびラット)などの哺乳動物を含む、任意の脊椎動物からのPD-1を意味する。別段の指定がない限り、PD-1は、様々なPD-1アイソフォーム、関連PD-1ポリペプチド(そのSNPバリアントを含む)、ならびにPD-1の種々の修飾形態(リン酸化PD-1、グリコシル化PD-1、およびユビキチン化PD-1を含むが、これらに限定されない)も含む。
ヒトPD-1の例示的なアミノ酸配列は、下に提供されるものであり、この配列中、N結合型グリコシル化の部位は、太字かつ下線付きである(N49、N58、N74またはN116)。
MQIPQAPWPV VWAVLQLGWR PGWFLDSPDR PWNPPTFSPA LLVVTEGDNA TFTCSFSNTS ESFVLNWYRM SPSNQTDKLA AFPEDRSQPG QDCRFRVTQL PNGRDFHMSV VRARRNDSGT YLCGAISLAP KAQIKESLRA ELRVTERRAE VPTAHPSPSP RPAGQFQTLV VGVVGGLLGS LVLLVWVLAV ICSRAARGTI GARRTGQPLK EDPSAVPVFS VDYGELDFQW REKTPEPPVP CVPEQTEYAT IVFPSGMGTS SPARRGSADG PRSAQPLRPE DGHCSWPL(配列番号1)
下記の表1に示されているように、4つのN-グリコシル化部位すべてが、PD1の細胞外ドメイン内に位置する。
特定のPD-1アイソフォームまたはバリアントの具体的なグリコシル化部位が、その特定のPD-1アイソフォームまたはバリアントの49、58、74または116位のアミノ酸と異なることもある。
そのような場合には、当業者は、配列アライメントおよび当技術分野における他の一般的知識に基づいて、上に例示したヒトPD-1のN49、N58、N74およびN116に対応する任意の特定のPD-1アイソフォームまたはバリアントのグリコシル化部位を決定することができるだろう。したがって、本明細書で提供されるのは、非グリコシル化PD-1アイソフォームまたはバリアントと比較してPD-1アイソフォームまたはバリアントのグリコシル化形態と選択的に結合する抗体でもある。PD-1アイソフォームまたはバリアントのグリコシル化部位は、上記提供のヒトPD-1配列のN49、N58、N74およびN116の対応する部位であることもある。本明細書で提供されるのは、上記提供の例示的なヒトPD-1配列のN49、N58、N74またはN116位に対応する少なくとも1個のアミノ酸を含む、PD-1アイソフォームまたはバリアントの少なくとも7個(例えば、少なくとも8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20個以上)の連続するアミノ酸の断片を含む、ポリペプチドでもある。
本明細書で使用される場合、別段の指定がない限り、冠詞「1つ(a)」、「1つ(an)」および「その(the)」は、その冠詞の文法上の目的語の1つまたは1つより多くを指す。例として、「1つの抗体(an antibody)」は、1つの抗体または1つより多くの抗体を意味する。
本明細書で使用される場合、別段の指定がない限り、用語「または」は、選択肢のみを意味すると明確に示されている場合または選択肢が相互排他的である場合を除き、「および/または」と同義で使用される。本明細書で使用される場合、別段の指定がない限り、「別の」は、少なくとも第2以上のを意味する。
本明細書で使用される場合、別段の指定がない限り、用語「約」は、ある値が、その値を決定するために用いられるデバイス、方法の誤差の固有変動、または研究対象間に存在する変動を含む値を示す。
本明細書で使用される場合、別段の指定がない限り、用語「抗体」は、特異的分子抗原と結合することができるポリペプチドの免疫グロブリン(または「Ig」)クラス、例えばIgG、IgM、IgA、IgD、IgE、内のB細胞のポリペプチド産物、ならびにその抗原結合断片を有する他の分子を意味する。抗体は、ポリペプチド鎖の2つの同一の対であって、各々の対が、1本の重鎖(約50~70kDa)および1本の軽鎖(約25kDa)を有し、各鎖の各アミノ末端部分が約100~約130個以上のアミノ酸の可変領域を含み、各鎖の各カルボキシ末端部分が定常領域を含む、対からなりうる(Borrebaeck (ed.) (1995) Antibody Engineering, Second Edition, Oxford University Press.;Kuby (1997) Immunology, Third Edition, W. H. Freeman and Company, New Yorkを参照されたい)。ここで、特異的分子抗原は、グリコシル化ヒトPD-1を含む。本明細書で提供される抗体は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、合成抗体、組換えで産生された抗体、二重特異性抗体、多重特異性抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、ラクダ化抗体、キメラ抗体、イントラボディ、抗イディオタイプ(抗Id)抗体を含むが、これらに限定されない。
本明細書で使用される場合、別段の指定がない限り、用語「単離された」は、抗体、抗原結合断片、またはポリヌクレオチドに関して使用される場合、自然界では見られるような少なくとも1つの成分が、言及される分子にないことを意味する。この用語は、その天然の環境では見られるような一部またはすべての他の成分から取り出されている、抗体、抗原結合断片またはポリヌクレオチドを含む。抗体の天然環境の成分としては、例えば、赤血球、白血球、血小板、血漿、タンパク質、核酸、塩および栄養素が挙げられる。交点結合断片のまたはポリペプチドの天然環境の成分としては、例えば、脂質膜、細胞小器官、タンパク質、核酸、塩および栄養素が挙げられる。本発明の抗体、抗原結合断片またはポリヌクレオチドには、それが単離されるもしくは組換えで産生される細胞のこれらの成分または任意の他の成分のすべてが、実質的にないこともあり、または幅広く実質的にないこともある。
本明細書で使用される場合、別段の指定がない限り、用語「モノクローナル抗体」は、単一細胞クローンの産物である、または単一細胞に由来する細胞のハイブリドーマもしくは集団の産物である、抗体を意味する。モノクローナル抗体は、免疫グロブリン遺伝子をコードする重鎖および軽鎖から組換え方法により単一分子免疫グロブリン種を産生するように産生された抗体を意味することを意図したものでもある。モノクローナル抗体調製物中の抗体のアミノ酸配列は、実質的に均一であり、そのような調製物中の抗体の結合活性は、実質的に同じ抗原結合活性を示す。対照的に、ポリクローナル抗体は、特異的抗原に結合する免疫グロブリン分子の組み合わせである集団内の異なるB細胞から得られる。ポリクローナル抗体の各免疫グロブリンは、同じ抗原の異なるエピトープに結合することができる。モノクローナル抗体とポリクローナル抗体の両方を産生する方法は、当技術分野において周知である(Harlow and Lane., Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989)およびBorrebaeck (ed.), Antibody Engineering: A Practical Guide, W. H. Freeman and Co., Publishers, New York, pp. 103-120 (1991))。
本明細書で使用される場合、別段の指定がない限り、用語「ヒト抗体」は、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列に対応する、ヒト可変領域および/もしくはヒト定常領域またはその一部分を有する抗体を意味する。そのようなヒト生殖系列免疫グロブリン配列は、Kabat et al.(1991) Sequences of Proteins of Immunological Interest, Fifth Edition, U.S. Department of Health and Human Services, NIH Publication No. 91-3242に記載されている。ここで、ヒト抗体は、グリコシル化ヒトPD-1と結合し、ヒト生殖系列免疫グロブリン核酸配列の天然起源の体細胞バリアントである核酸配列によってコードされる抗体を含むことができる。
本明細書で使用される場合、別段の指定がない限り、用語「キメラ抗体」は、重鎖および/または軽鎖の一部分が、特定の種に由来するまたは特定の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体の対応する配列と同一または相同であるが、鎖の残部が、別の種に由来するまたは別の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体の対応する配列と同一または相同である抗体はもちろん、所望の生物活性を示すのであればそのような抗体の断片も意味する(米国特許第4,816,567号明細書;およびMorrison et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 81:6851-6855 (1984)を参照されたい)。
本明細書で使用される場合、別段の指定がない限り、用語「ヒト化抗体」は、ヒト免疫グロブリン(例えば、レシピエント抗体)を含むキメラ抗体であって、天然相補鎖決定領域(「CDR」)残基が、所望の特異性、親和性および能力を有するマウス、ラット、ウサギまたは非ヒト霊長類などの非ヒト種(例えば、ドナー抗体)の対応するCDRからの残基によって置換されている、キメラ抗体を意味する。一部の事例では、ヒト免疫グロブリンの1つまたは複数のFR領域残基が、対応する非ヒト残基によって置換されている。さらに、ヒト化抗体は、レシピエント抗体にもドナー抗体にも見つけられない残基を有することがある。これらの修飾は、抗体の性能をさらに洗練するために行われる。ヒト化抗体重鎖および軽鎖は、少なくとも1つまたは複数の可変領域であって、CDRのすべてまたは実質的にすべてが非ヒト免疫グロブリンのものに対応し、FRのすべてまたは実質的にすべてがヒト免疫グロブリン配列のものに対応する可変領域の、実質的にすべてを有することもある。ヒト化抗体は、免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部分、典型的にはヒト免疫グロブリンの少なくとも一部分を有することもある。さらさらなる詳細については、Jones et al., Nature, 321:522-525 (1986);Riechmann et al., Nature, 332:323-329 (1988);and Presta, Curr. Op. Struct. Biol., 2:593-596 (1992);Carter et al., Proc. Natl. Acd. Sci. USA 89:4285-4289 (1992);ならびに米国特許第6,800,738号、同第6,719,971号、同第6,639,055号、同第6,407,213号および同第6,054,297号明細書を参照されたい。
本明細書で使用される場合、別段の指定がない限り、用語「組換え抗体」は、組換え手段により調製、発現、作出または単離される抗体を意味する。組換え抗体は、宿主細胞にトランスフェクトされる組換え発現ベクターを使用して発現される抗体であってもよく、組換え、コンビナトリアル抗体ライブラリーから単離された抗体であってもよく、ヒト免疫グロブリン遺伝子の遺伝子導入および/もしくは染色体導入動物(例えば、マウスもしくはウシ)から単離された抗体(例えば、Taylor, L. D. et al., Nucl. Acids Res. 20:6287-6295(1992)を参照されたい)であってもよく、または免疫グロブリン遺伝子配列の他のDNA配列へのスプライシングを含む任意の他の手段により調製、発現、作出もしくは単離された抗体であってもよい。そのような組換え抗体は、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列に由来するものを含む、可変および定常領域を有しうる(Kabat, E. A. et al.(1991) Sequences of Proteins of Immunological Interest, Fifth Edition, U.S. Department of Health and Human Services, NIH Publication No. 91-3242を参照されたい。組換え抗体は、in vitro変異誘発(または、ヒトIg配列の遺伝子導入動物を使用する場合にはin vivo体細胞変異)を受けることもあり、それ故、組換え抗体のVHおよびVL領域のアミノ酸配列は、ヒト生殖細胞系VHおよびVL配列に由来し、ヒト生殖細胞系VHおよびVL配列と類縁の配列であるが、in vivoでヒト抗体生殖系列レパートリー内に天然に存在しない配列でありうる。
本明細書で使用される場合、別段の指定がない限り、用語「抗原結合断片」および類似の用語は、抗原と免疫特異的に結合し、抗原に対するその特異性および親和性を抗体に付与するアミノ酸配列を含む、抗体の一部分を意味する。抗原結合断片は、抗体の機能性断片と呼ばれることもある。抗原結合断片は、一価であってもよく、二価であってもよく、または多価であってもよい。
抗原結合断片を有する分子としては、例えば、Fd、Fv、Fab、F(ab’)、F(ab)2、F(ab’)2、F(ab)3、F(ab’)3、一本鎖Fv(scFv)、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、または単一ドメイン抗体が挙げられる。scFvは、一価scFvであってもよく、または二価scFvであってもよい。抗原結合断片を有する他の分子としては、例えば、重鎖もしくは軽鎖ポリペプチド、可変領域ポリペプチドまたはCDRポリペプチドあるいはその一部分を挙げることができるが、ただしそのような抗原結合断片が結合活性を保持することを条件とする。そのような抗原結合断片は、例えば、Harlow and Lane, Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, New York (1989);Myers (ed.), Molec. Biology and Biotechnology: A Comprehensive Desk Reference, New York: VCH Publisher, Inc.;Huston et al., Cell Biophysics, 22:189-224 (1993);Pluckthun and Skerra, Meth. Enzymol., 178:497-515 (1989)、およびDay, E.D., Advanced Immunochemistry, Second Ed., Wiley-Liss, Inc., New York, NY (1990)において見つけることができ、それらに記載されている。抗原結合断片は、少なくとも5個の連続するアミノ酸残基、少なくとも10個の連続するアミノ酸残基、少なくとも15個の連続するアミノ酸残基、少なくとも20個の連続するアミノ酸残基、少なくとも25個の連続するアミノ酸残基、少なくとも40個の連続するアミノ酸残基、少なくとも50個の連続するアミノ酸残基、少なくとも60個の連続するアミノ酸残基、少なくとも70個の連続するアミノ酸残基、少なくとも80個の連続するアミノ酸残基、少なくとも90個の連続するアミノ酸残基、少なくとも100個の連続するアミノ酸残基、少なくとも125個の連続するアミノ酸残基、少なくとも150個の連続するアミノ酸残基、少なくとも175個の連続するアミノ酸残基、少なくとも200個の連続するアミノ酸残基、または少なくとも250個の連続するアミノ酸残基のアミノ酸配列を有するポリペプチドでありうる。
抗体の重鎖は、アミノ末端部分が約120~130個以上のアミノ酸の可変領域を含み、カルボキシ末端部分が定常領域を含む、約50~70kDaのポリペプチド鎖を意味する。定常領域は、重鎖定常領域のアミノ酸配列に基づき、アルファ(α)、デルタ(δ)、イプシロン(ε)、ガンマ(γ)およびミュー(μ)と呼ばれる、5つの別個のタイプのうちの1つでありうる。これらの別個の重鎖はサイズが異なり、α、δおよびγは、おおよそ450のアミノ酸を含有するが、μおよびεは、おおよそ550のアミノ酸を含有する。軽鎖と組み合わせられた場合、これらの別個の重鎖タイプは、抗体の公知の5クラス、IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgMをそれぞれ生じ、これには、IgGの4つのサブクラス、すなわちIgG1、IgG2、IgG3およびIgG4が含まれる。重鎖は、ヒト重鎖でありうる。
抗体の軽鎖は、アミノ末端部分が100~110個以上のアミノ酸の可変領域を含み、カルボキシ末端部分が定常領域を含む、約25kDaのポリペプチド鎖を意味する。近似的軽鎖長は、211~217アミノ酸である。定常領域のアミノ酸配列に基づいてカッパ(κ)またはラムダ(λ)と呼ばれる2つの別個のタイプがある。軽鎖アミノ酸配列は、当技術分野において周知である。軽鎖は、ヒト軽鎖でありうる。
抗体の可変ドメインまたは可変領域は、抗体の軽鎖または重鎖の部分であって、軽鎖または重鎖のアミノ末端に一般に位置し、重鎖では約120~130アミノ酸および軽鎖では約100~110アミノ酸の長さを有し、その特定の抗原に対する各々の特定の抗体の結合および特異性に使用される部分を意味する。可変ドメインは、異なる抗体間で配列が広範に異なる。配列の可変性は、CDR内に集中しており、さらに、可変ドメイン内のより小さい可変部分は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれる。軽鎖および重鎖のCDRは、抗体と抗原の相互作用に主として関与する。本明細書で使用されるアミノ酸部分のナンバリングは、Kabat et al.(1991) Sequences of proteins of immunological interest. (U.S. Department of Health and Human Services, Washington, D.C.) 5th ed.におけるような、EUインデックスに準ずる。可変領域は、ヒト可変領域でありうる。
CDRは、免疫グロブリン(Igもしくは抗体)VHβシートフレームワークの非フレームワーク領域内の3つの高頻度可変領域(H1、H2もしくはのH3)のうちの1つ、または抗体VLβシートフレームワークの非フレームワーク領域内の3つの高頻度可変領域(L1、L2もしくはL3)のうちの1つを意味する。したがって、CDRは、フレームワーク領域配列内に散在する可変領域配列である。CDR領域は、当業者に周知であり、例えば、カバットによって抗体可変ドメイン内の最高頻度可変性領域と定義されている(Kabat et al., J. Biol. Chem. 252: 6609-6616 (1977);Kabat, Adv. Prot. Chem. 32:1-75 (1978))。CDR領域配列はまた、コチアによって保存βシートフレームワーク部分がなく、したがって異なる立体構造に適応することができる残基と構造的に定義されている(Chothia and Lesk, J. Mol. Biol. 196:901-917 (1987))。両方の用語法は、当技術分野において十分に認知されている。基準抗体可変ドメイン内のCDRの位置は、非常に多数の構造の比較により決定されている(Al-Lazikani et al., J. Mol. Biol. 273:927-948 (1997);Morea et al., Methods 20:267-279 (2000))。高頻度可変領域内の残基番号は、抗体によって異なるため、基準位置と比較して追加の残基は、基準可変ドメインナンバリングスキームで残基番号の次にa、b、cなどと従来通りにナンバリングされる(Al-Lazikani et al., supra (1997))。そのような命名法は、当業者に周知である。
ImMunoGeneTics(IMGT)Information System(登録商標)という汎用ナンバリングシステムが開発され、広く適用されている(Lafranc et al., 2003, Dev. Comp. Immunol., 27(1):55-77)。IMGTは、ヒトおよび他の脊椎動物の免疫グロブリン(Ig)、T細胞受容体(TR)および主要組織適合複合体(MHC)を専門に扱う統合情報システムである。本明細書では、CDRは、軽鎖または重鎖内のアミノ酸配列と位置の両方の点から言及される。免疫グロブリンVドメインの構造内のCDRの「位置」は、種間で保存され、ループと呼ばれる構造の中に存在するので、構造的特徴に従って可変ドメイン配列をアラインするナンバリングシステムを使用することにより、CDRおよびフレームワーク残基が容易に同定される。この情報は、ある種の免疫グロブリンからのCDR残基を、典型的にはヒト抗体からの、アクセプターフレームワークにグラフトすることおよび置き換えることに使用されうる。さらなるナンバリングシステム(AHon)が、Honegger et al., 2001, J. Mol.Biol., 309: 657-670により開発された。例えばカバットナンバリングおよびIMGT固有ナンバリングシステムを含む、ナンバリングシステム間の対応は、当業者に周知である(例えば、Kabat, Id;Chothia et al., Id;Martin, 2010, Antibody Engineering, Vol. 2, Chapter 3, Springer Verlag;およびLefranc et al., 1999, Nuc.Acids Res., 27:209-212を参照されたい)。
CDR領域配列は、AbMおよびコンタクト方法論によっても定義されている。AbM高頻度可変領域は、カバットCDRとコチア構造ループの折衷案であり、Oxford MolecularのAbM抗体モデリングソフトウェアにより使用される(例えば、Martin, 2010, Antibody Engineering, Vol. 2, Chapter 3, Springer Verlagを参照されたい)。「コンタクト」高頻度可変領域は、入手可能な複合体結晶構造の分析に基づく。これらの高頻度可変領域またはCDRの各々からの残基は、下段にて述べられる。
CDR領域配列の例示的な概要説明は、下記の表2に示されている。基準抗体可変領域内のCDRの位置は、非常に多数の構造の比較により決定されている(Al-Lazikani et al., 1997, J. Mol. Biol., 273:927-948);Morea et al., 2000, Methods, 20:267-279)。高頻度可変領域内の残基番号は、抗体によって異なるため、基準位置と比較して追加の残基は、基準可変領域ナンバリングスキームで残基番号の次にa、b、cなどと従来通りにナンバリングされる(Al-Lazikani et al., Id)。そのような命名法は、当業者に周知である。
1個または複数のCDRを分子に共有結合的にまたは非共有結合的に分子に組み込んで、それをイムノアドヘシンにすることもできる。イムノアドヘシンは、CDRをより大きいポリペプチド鎖の一部として組み込むことができ、CDRを別のポリペプチド鎖と共有結合させることができ、またはCDRを非共有結合的に組み込むことができる。CDRは、目的の特定の抗原とのイムノアドヘシンの結合を可能にする。
本明細書で使用される場合、別段の指定がない限り、用語「結合する」または「結合すること」は、分子間の相互作用を意味する。相互作用は、例えば、水素結合、イオン結合、疎水性相互作用および/またはファンデルワールス相互作用をはじめとする、非共有結合性相互作用であってもよい。抗体とグリコシル化ヒトPD-1などの標的分子の単一のエピトープとの全非共有結合性相互作用の強度が、そのエピトープに対する抗体の親和性である。「結合親和性」は、一般に、分子(例えば、抗体などの結合タンパク質)の単一の結合部位とその結合パートナー(例えば、抗原)との非共有結合性相互作用の合計の強度を意味する。
結合分子X(例えば、抗体)のその結合パートナーY(例えば、抗体の同種抗原)に対する親和性は、一般に、解離定数(Kd)または平衡解離定数(KD)によって一般に表すことができる。低親和性抗体は、一般に、抗原にゆっくりと結合し、容易に解離する傾向があるが、高親和性抗体は、一般に、より迅速に抗原に結合し、より長く結合したままである傾向がある。結合親和性の様々な測定方法が当技術分野において公知であり、それらのうちのいずれを本開示のために使用してもよい。「KD」または「KD値」は、当技術分野において公知のアッセイにより、例えば結合アッセイにより、測定することができる。KDは、例えば、目的の抗体のFabバージョンおよびその抗原を用いて行われる、放射標識抗原結合アッセイ(RIA)で測定することができる(Chen, et al., (1999) J. Mol. Biol. 293:865-881)。KDまたはKD値は、例えば、BIAcore(商標)2000もしくはBIAcore(商標)3000(BIAcore, Inc.、Piscataway、NJ)を使用する、Biacoreによる表面プラズモン共鳴アッセイを使用することにより、または例えば、OctetQK384システム(ForteBio、Menlo Park、CA)を使用するバイオレイヤー干渉法により、測定することもできる。本明細書で使用される場合、別段の指定がない限り、抗体は、第2の分子抗原より高い親和性で第1の分子抗原と結合する場合、第2の分子抗原と比較して第1の分子抗原に「選択的に結合する」ことができると言われる。抗体は、一般に、全く関係の無い抗原とは結合しない。
本明細書で使用される場合、別段の指定がない限り、用語「ポリペプチド」は、本明細書で使用される場合、2~30個の間のアミノ酸(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18、20、25または30個のアミノ酸)を有するオリゴペプチド、およびより長いアミノ酸鎖、例えば、30個より多くのアミノ酸、50個より多くのアミノ酸、100個より多くのアミノ酸、150個より多くのアミノ酸、200個より多くのアミノ酸、300個より多くのアミノ酸、400個より多くのアミノ酸、500個より多くのアミノ酸、または600個より多くのアミノ酸を含む。例えば、組換え発現によりまたは化学合成により、ポリペプチドを産生することができる。本開示のポリペプチドを翻訳後にまたは化学的に修飾(例えば、グリコシル化、カルバミル化、リン酸化、ビオチン化、蛍光色素の結合など)することができる。ポリペプチドを特異的部位でグリコシル化することができる。ポリペプチドは、天然遺伝コードによってコードされない非天然アミノ酸を含むこともある。例えば、ポリペプチドは、メチル化された主鎖構造、ペプトイド主鎖構造(ポリN置換グリシン)、L-アミノ酸、R-アミノ酸などを含むこともある。ポリペプチドは、野生型配列、天然起源のバリアント配列、変異型配列(例えば、点変異、欠失変異)などを含むこともある。
抗glycPD-1抗体
本明細書で提供されるのは、非グリコシル化PD-1と比較してグリコシル化PD-1と選択的に結合する単離された抗体である。PD-1は、ヒトPD-1でありうる。グリコシル化PD-1は、PD-1の特異的N-グリカン構造であってもよく、またはPD-1の糖ペプチドであってもよい。一部の実施形態では、本明細書で提供される抗体は、非グリコシル化PD-1と比較してグリコシル化PD-1と選択的に結合する抗原結合断片である。
一部の実施形態では、本明細書で提供される単離された抗体は、非グリコシル化PD-1と比較して、N49、N58、N74、N116またはそれらの任意の組み合わせにおいてグリコシル化されたヒトPD-1と選択的に結合する。一部の実施形態では、単離された抗体は、N49グリコシル化を有するヒトPD-1と選択的に結合する。一部の実施形態では、単離された抗体は、N58グリコシル化を有するヒトPD-1と選択的に結合する。一部の実施形態では、単離された抗体は、N74グリコシル化を有するヒトPD-1と選択的に結合する。一部の実施形態では、単離された抗体は、N116グリコシル化を有するヒトPD-1と選択的に結合する。一部の実施形態では、単離された抗体は、N49およびN58グリコシル化を有するヒトPD-1と選択的に結合する。一部の実施形態では、単離された抗体は、N49およびN74グリコシル化を有するヒトPD-1と選択的に結合する。一部の実施形態では、単離された抗体は、N49およびN116グリコシル化を有するヒトPD-1と選択的に結合する。一部の実施形態では、単離された抗体は、N58およびN74グリコシル化を有するヒトPD-1と選択的に結合する。一部の実施形態では、単離された抗体は、N58およびN116グリコシル化を有するヒトPD-1と選択的に結合する。一部の実施形態では、単離された抗体は、N74およびN116グリコシル化を有するヒトPD-1と選択的に結合する。一部の実施形態では、単離された抗体は、N49、N58およびN74グリコシル化を有するヒトPD-1と選択的に結合する。一部の実施形態では、単離された抗体は、N49、N58およびN116グリコシル化を有するヒトPD-1と選択的に結合する。一部の実施形態では、単離された抗体は、N49、N74およびN116グリコシル化を有するヒトPD-1と選択的に結合する。一部の実施形態では、単離された抗体は、N58、N74およびN116グリコシル化を有するヒトPD-1と選択的に結合する。一部の実施形態では、単離された抗体は、N49、N58、N74およびN116グリコシル化を有するヒトPD-1と選択的に結合する。
ある特定の態様では、抗glycPD-1抗体は、PD-1と結合し、1つまたは複数のグリコシル化モチーフを遮蔽または隠蔽してそのモチーフと分子の結合または他の相互作用を遮断し、PD-1のそのグリコシル化部位でのグリコシル化を阻止することができる。特定の実施形態では、抗glycPD-1抗体は、N49、N58、N74およびN116のうちの1つまたは複数のグリコシル化部位を遮蔽する。
一部の実施形態では、本明細書で提供される抗体は、PD-1の1つまたは複数のグリコシル化モチーフと選択的に結合する。一部の実施形態では、抗体は、グリコシル化モチーフを含む糖ペプチドおよびその隣接ペプチドと選択的に結合する。一部の実施形態では、抗体は、非グリコシル化PD-1に対して示されるKdの少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%または90%未満のKdでグリコシル化PD-1と選択的に結合する。ある特定の実施形態では、抗原結合断片は、非グリコシル化PD-1に対して示されるKdの50%未満のKdでグリコシル化PD-1と結合する。一部の実施形態では、抗体は、非グリコシル化PD-1に対して示されるKdの少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、40%、50%未満のKdでグリコシル化PD-1と結合する。さらなる態様では、抗体は、非グリコシル化PD-1に対して示されるKdの少なくとも10倍少ないKdでグリコシル化PD-1と結合する。
提供されるのは、グリコシル化PD-1に優先的に結合するモノクローナル抗体、特に、本明細書に記載のSTM418およびSTM432である。また、提供されるのは、STM418およびSTM432のヒト化およびキメラ形態、ならびにSTM418およびSTM432と結合について競合する抗体である。STM418およびSTM432の重鎖および軽鎖可変ドメインは、下記の表3に提供されている。
特定の態様で提供されるのは、配列番号3および5のアミノ酸配列をそれぞれ有する重鎖および軽鎖可変ドメイン(シグナル配列を一切有さない成熟VHおよびVL領域アミノ酸配列)有する抗glycPD-1モノクローナル抗体STM418、およびその抗原結合部分、ならびにそのヒト化およびキメラ形態である。本明細書で提供されるのは、PD-1との結合についてSTM418 MAbと競合する、および/またはSTM418と同じエピトープと結合する、抗glycPD-1抗体である。
提供されるのは、モノクローナル核酸(DNA)であり、STM418の重鎖および軽鎖可変(V)ドメインの対応するアミノ酸配列は、下記の表3に示されている。配列番号2および3は、STM418 VHドメインの核酸配列およびアミノ酸配列であり、配列番号4および5は、STM418カッパVLドメインの成熟形態の核酸配列およびアミノ酸配列である。表4は、STM418のコチア、AbM、カバットおよびコンタクト重鎖および軽鎖VドメインCDRを提供するものである。
グリコシル化PD-1上のSTM418のエピトープは、下記の通りであると決定されており、PD-1位置は配列番号1の場合と同様であり、抗原-抗体架橋実験により決定された接触残基が下線を引くことにより示されている:
34PPTFSPALLVV44…49NATFTCSFSNT59…104RDFHMSVVRARRNDSGTYLCG124
(配列番号1のアミノ酸34~44、49~59および104~124)。したがって、提供されるのは、配列番号1のグリコシル化PD-1配列のアミノ酸34~44、49~59および104~124の領域を有し、特に、配列番号1のT36、S38、T51、T53、S55、S109、R115、S118およびY121位のうちの1つまたは複数に接触点がある、エピトープに結合する抗体である。特定の実施形態において、提供されるのは、グリコシル化PD-1に選択的に結合し、配列番号1の36、38、51、53、55、109、115、118および121位のすべてとの結合接触点を有する、抗体である。
ある実施形態では、グリコシル化PD-1に特異的かつ優先的に結合する抗glycPD-1抗体は、配列番号3のアミノ酸配列を有するVHドメイン、および/または配列番号5のアミノ酸配列を有するVLドメインを含む。ある実施形態では、抗glycPD-1抗体は、グリコシル化PD-1との特異的結合について、配列番号3のVHドメインおよび配列番号5のVLドメインを含む抗体と競合する。他の実施形態では、抗glycPD-1抗体は、配列番号3のアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一であるVHドメイン、および/または配列番号5のアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一であるVLドメインを含む。これらの抗glycPD-1抗体は、キメラ抗体であってもよく、例えばヒトIgG1、IgG2、IgG3またはIgG4からのヒト定常ドメインを含んでいてもよい。
ある実施形態では、グリコシル化PD-1に特異的かつ優先的に結合する抗glycPD-1抗体は、配列番号6、配列番号7および配列番号8のアミノ酸配列をそれぞれ有するコチアCDR1~3を含むVHドメインを含むか、配列番号9、配列番号10および配列番号8のアミノ酸配列をそれぞれ有するAbM CDR1~3を含むVHドメインを含むか、配列番号11、配列番号12および配列番号8のアミノ酸配列をそれぞれ有するカバットCDR1~3を含むVHドメインを含むか、もしくは配列番号13、配列番号14および配列番号15のアミノ酸配列をそれぞれ有するコンタクトCDR1~3を含むVHドメインを含むか、またはそれらの組み合わせを含む。ある実施形態では、抗glycPD-1抗体は、配列番号6、配列番号7および配列番号8のアミノ酸配列をそれぞれ有するコチアCDR1~3を含むVHドメインを含むか、配列番号9、配列番号10および配列番号8のアミノ酸配列をそれぞれ有するAbM CDR1~3を含むVHドメインを含むか、配列番号11、配列番号12および配列番号8のアミノ酸配列をそれぞれ有するカバットCDR1~3を含むVHドメインを含むか、もしくは配列番号13、配列番号14および配列番号15のアミノ酸配列をそれぞれ有するコンタクトCDR1~3を含むVHドメインを含むか、またはそれらの組み合わせを含む抗体と、グリコシル化PD-1との特異的結合について競合する。ある実施形態では、グリコシル化PD-1に特異的かつ優先的に結合する抗glycPD-1抗体は、配列番号16、配列番号17および配列番号18のアミノ酸配列をそれぞれ有するコチア、AbMもしくはカバットCDR1~3を含むCDR1~3を含むVLドメインを含むか、または配列番号19、配列番号20および配列番号21のアミノ酸配列をそれぞれ有するコンタクトCDR1~3を含むVLドメインを含むか、あるいはそれらの組み合わせを含む。ある実施形態では、抗glycPD-1抗体は、配列番号16、配列番号17および配列番号18のアミノ酸配列をそれぞれ有するコチア、AbMもしくはカバットCDR1~3を含むVLドメインを含むか、または配列番号19、配列番号20および配列番号21のアミノ酸配列をそれぞれ有するコンタクトCDR1~3を含むVLドメインを含むか、あるいはそれらの組み合わせを含む抗体と、グリコシル化PD-1との特異的結合について競合する。ある実施形態では、抗glycPD-1抗体は、配列番号6、配列番号7および配列番号8のアミノ酸配列をそれぞれ有するコチアCDR1~3を含むVHドメインを含むか、配列番号9、配列番号10および配列番号8のアミノ酸配列をそれぞれ有するAbM CDR1~3を含むVHドメインを含むか、配列番号11、配列番号12および配列番号8のアミノ酸配列をそれぞれ有するカバットCDR1~3を含むVHドメインを含むか、または配列番号13、配列番号14および配列番号15のアミノ酸配列をそれぞれ有するコンタクトCDR1~3を含むVHドメインを含み、かつ配列番号16、配列番号17および配列番号18のアミノ酸配列をそれぞれ有するコチア、AbMもしくはカバットCDR1~3を含むVLドメインを含むか、または配列番号19、配列番号20および配列番号21のアミノ酸配列をそれぞれ有するコンタクトCDR1~3を含むVLドメインを含む、抗体を含むか、あるいはその抗体と結合について競合する。好ましくは、VHおよびVLドメインは、CDRの同じクラスを有する、すなわち、両方とも、コチア、AbM、カバットまたはコンタクトCDRを有する
他の実施形態では、抗glycPD-1抗体は、配列番号6、配列番号7および配列番号8のアミノ酸配列をそれぞれ有するCDRのうちの、または配列番号9、配列番号10および配列番号8のアミノ酸配列をそれぞれ有するCDRのうちの、または配列番号11、配列番号12および配列番号8のアミノ酸配列をそれぞれ有するCDRのうちの、または配列番号13、配列番号14および配列番号15のアミノ酸配列をそれぞれ有するCDRのうちの1、2または3つのCDRに1、2、3、4または5つのアミノ酸置換があるアミノ酸配列を有するCDR H1、H2およびH3を含む、VHドメインを有する。抗glycPD-1抗体は、配列番号16、配列番号17および配列番号18のアミノ酸配列をそれぞれ有する1、2もしくは3つのCDRまたは配列番号19、配列番号20および配列番号21のアミノ酸配列をそれぞれ有する1、2もしくは3つのCDRに1、2、3、4または5つのアミノ酸置換があるアミノ酸配列を有する、CDR L1、L2およびL3を含むVLドメインを有しうる。抗glycPD-1抗体は、VHドメインとVLドメインの両方のCDRにアミノ酸置換があってもよい。一部の実施形態では、アミノ酸置換は、保存的置換である。
好ましくは、上述の抗体は、ヒトフレームワーク領域を有し、すなわち、STM418のヒト化形態、および任意選択的に、例えばヒトIgG1、IgG2、IgG3またはIgG4からのヒト定常ドメインを含む。
結合親和性または他のパラメーターを向上させるためにヒト化抗体のCDRおよび/またはフレームワーク領域において1つまたは複数のアミノ酸置換を行ってもよいことは、当業者には理解されるであろう。実施形態では、抗glycPD-1抗体は、グリコシル化PD-1との特異的結合について、上記VHおよびVLドメインならびにCDRを内部に含む抗体と競合する。実施形態では、抗glycPD-1抗体は、非グリコシル化PD-1との該抗体の結合により示されるKdの半分未満のKdでグリコシル化PD-1と結合する。ある実施形態では、抗glycPD-1抗体は、非グリコシル化PD-1に対して示されるKdの少なくとも5倍少ないKdでグリコシル化PD-1タンパク質と結合する。ある実施形態では、抗glycPD-1抗体は、非グリコシル化PD-1タンパク質との該抗体の結合により示されるKdの少なくとも10倍少ないKdでグリコシル化PD-1タンパク質と結合する。ある実施形態では、実施例2に記載の細胞フローサイトメトリー結合アッセイにおいて、抗体は、WT PD-1を発現する細胞との結合であって、非グリコシル化PD-1を発現する細胞との結合についてのMFIより5倍、10倍、20倍、30倍、50倍、70倍、または100倍大きいMFIとして表される結合を示す。ある実施形態では、抗体は、蛍光標識またはマーカーにより直接または間接的に検出可能である。ある実施形態では、抗体は、蛍光標識またはマーカー、例えば、FITCで直接標識されている。ある実施形態では、グリコシル化PD-1に対するSTM418 MAbまたはそのキメラもしくはヒト化形態の結合親和性は、5~20nMまたは5~10nM(下限値と上限値を含む)である。ある実施形態では、抗体は、PD-1とPD-L1の相互作用を阻害し、特に、エフェクターT細胞により発現されるグリコシル化PD-1と腫瘍細胞により発現されるPD-L1の相互作用を阻害する。
別の態様で提供されるのは、グリコシル化PD-1に特異的に結合する、配列番号23および25のアミノ酸配列をそれぞれ有する重鎖および軽鎖可変ドメイン(成熟VHおよびVL領域アミノ酸配列)を有する抗glycPD-1モノクローナル抗体STM432、およびその抗原結合部分、ならびにそのヒト化およびキメラ形態である。配列番号22および24であるSTM432 MAbの重鎖および軽鎖可変(V)ドメインをそれぞれコードする核酸配列は、下記の表3に示されている。また、表5に示されているのは、STM432のコチア、AbM、カバットおよびコンタクト重鎖および軽鎖VドメインCDRである。
STM432は、配列91DCRFRVTQLPNGRDFHM107…123CGAISLAPKAQI134(配列番号1のPD-1アミノ酸配列のアミノ酸D91~M107およびC123~I134)に対応する、グリコシル化PD-1上のエピトープに結合すると決定されている。MAB STM432により認識されるエピトープを含む、すなわち、PD-1に結合したmAbによる接触を受ける、本明細書で示されるアミノ酸残基R95、R103、S127およびK131には、下線が引かれている。したがって、提供されるのは、本明細書で定義される通りのSTM432エピトープに結合する抗glycPD-1抗体である。また、本明細書で提供されるのは、グリコシル化PD-1との結合についてSTM432 MAbと競合する、および/またはSTM432と同じエピトープと結合する、抗glycPD-1抗体である。
ある実施形態では、グリコシル化PD-1に特異的かつ優先的に結合する抗抗glycPD-1抗体は、配列番号23のアミノ酸配列を有するVHドメイン、および/または配列番号25のアミノ酸配列を有するVLドメインを含む。ある実施形態では、抗glycPD-1抗体は、グリコシル化PD-1との特異的結合について、配列番号23のVHドメインおよび配列番号25のVLドメインを含む抗体と競合する。ある実施形態では、グリコシル化PD-1に特異的かつ優先的に結合する抗glycPD-1抗体は、配列番号23のアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一であるVHドメイン、および/または配列番号25のアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一であるVLドメインを含む。これらの抗glycPD-1抗体は、キメラ抗体であってもよく、例えばヒトIgG1、IgG2、IgG3またはIgG4からのヒト定常ドメインを含んでいてもよい。
ある実施形態では、グリコシル化PD-1に特異的かつ優先的に結合する抗glycPD-1抗体は、配列番号26、配列番号27および配列番号28のアミノ酸配列をそれぞれ有するコチアCDR1~3、配列番号29、配列番号30および配列番号28のアミノ酸配列をそれぞれ有するAbM CDR1~3、配列番号31、配列番号32および配列番号28のアミノ酸配列をそれぞれ有するカバットCDR1~3、もしくは配列番号33、配列番号34および配列番号35のアミノ酸配列をそれぞれ有するコンタクトCDR1~3、またはそれらの組み合わせを含む、VHドメインを含む。ある実施形態では、抗glycPD-1抗体は、配列番号26、配列番号27および配列番号28のアミノ酸配列をそれぞれ有するコチアCDR1~3、配列番号29、配列番号30および配列番号28のアミノ酸配列をそれぞれ有するAbM CDR1~3、配列番号31、配列番号32および配列番号28のアミノ酸配列をそれぞれ有するカバットCDR1~3、もしくは配列番号33、配列番号34および配列番号35のアミノ酸配列をそれぞれ有するコンタクトCDR1~3、またはそれらの組み合わせを含むVHドメインを含む抗体と、グリコシル化PD-1との特異的結合について競合する。ある実施形態では、グリコシル化PD-1に特異的かつ優先的に結合する抗glycPD-1抗体は、配列番号36、配列番号37および配列番号38のアミノ酸配列をそれぞれ有するコチア、AbMおよびカバットCDR1~3を含むCDR1~3、もしくは配列番号39、配列番号40および配列番号41のアミノ酸配列を有するコンタクトCDR1~3、またはそれらの組み合わせを含む、VLドメインを含む。ある実施形態では、抗glycPD-1抗体は、配列番号36、配列番号37および配列番号38のアミノ酸配列をそれぞれ有するコチア、AbMもしくはカバットCDR1~3、または配列番号39、配列番号40および配列番号41のアミノ酸配列を有するコンタクトCDR1~3、あるいはそれらの組み合わせを含むVLドメインを含む抗体と、グリコシル化PD-1との特異的結合について競合する。ある実施形態では、グリコシル化PD-1に特異的かつ優先的に結合する抗glycPD-1抗体は、配列番号26、配列番号27および配列番号28のアミノ酸配列をそれぞれ有するコチアCDR1~3、配列番号29、配列番号30および配列番号28のアミノ酸配列をそれぞれ有するAbM CDR1~3、配列番号31、配列番号32および配列番号28のアミノ酸配列をそれぞれ有するカバットCDR1~3を、または配列番号33、配列番号34および配列番号35のアミノ酸配列をそれぞれ有するコンタクトCDR1~3を含むVHドメインを含み、かつ配列番号36、配列番号7および配列番号38のアミノ酸配列をそれぞれ有するコチア、AbMもしくはカバットCDR1~3、または配列番号39、配列番号40および配列番号41のアミノ酸配列を有するコンタクトCDR1~3を含むVLドメインを含む、抗体を含むか、あるいはその抗体と結合について競合する。好ましくは、VHおよびVLドメインは、CDRの同じクラスを有する、すなわち、両方とも、コチア、AbM、カバットまたはコンタクトCDRを有する。
ある特定の実施形態で提供されるのは、配列番号26、配列番号27および配列番号28のアミノ酸配列をそれぞれ、配列番号29、配列番号30および配列番号28のアミノ酸配列をそれぞれ、または配列番号31、配列番号32および配列番号28のアミノ酸配列をそれぞれ、または配列番号33、配列番号34および配列番号35のアミノ酸配列をそれぞれ有する1、2または3つのCDRに1、2、3、4または5つのアミノ酸置換があるアミノ酸配列を有するCDR H1、H2およびH3を含むVHドメインをする抗glycPD-1抗体である。抗glycPD-1抗体は、配列番号36、配列番号37および配列番号38のアミノ酸配列をそれぞれまたは配列番号39、配列番号40および配列番号41のアミノ酸配列をそれぞれ有する1、2または3つのCDRに1、2、3、4または5つのアミノ酸置換があるアミノ酸配列を有する、CDR L1、L2およびL3を含むVLドメインも有しうる。抗glycPD-1抗体は、VHドメインとVLドメインの両方のCDRにアミノ酸置換があってもよい。一部の実施形態では、アミノ酸置換は、保存的置換である。
実施形態では、抗glycPD-1抗体は、グリコシル化PD-1との特異的結合について、上記VHおよびVLドメインならびにCDRを内部に含む抗体と競合する。好ましくは、これらの抗体は、ヒトフレームワーク領域を有し、すなわち、STM432のヒト化形態、および任意選択的に、例えばヒトIgG1、IgG2、IgG3またはIgG4からのヒト定常ドメインを含む。結合親和性または他のパラメーターを向上させるためにヒト化抗体のCDRまたはフレームワーク領域において1つまたは複数のアミノ酸置換を行ってもよいことは、当業者には理解されるであろう。実施形態では、抗glycPD-1抗体は、非グリコシル化PD-1に対して示されるKdの半分未満のKdでグリコシル化PD-1と結合する。実施形態では、抗glycPD-1抗体は、非グリコシル化PD-1に対して示されるKdの半分未満のKdでグリコシル化PD-1と結合する。ある実施形態では、抗glycPD-1抗体は、非グリコシル化PD-1との該抗体の結合により示されるKdの少なくとも5倍少ないKdでグリコシル化PD-1タンパク質と結合する。ある実施形態では、抗glycPD-1抗体は、非グリコシル化PD-1タンパク質との該抗体の結合により示されるKdの少なくとも10倍少ないKdでグリコシル化PD-1タンパク質と結合する。ある実施形態では、実施例2に記載の細胞フローサイトメトリー結合アッセイにおいて、抗体は、WT PD-1を発現する細胞との結合であって、非グリコシル化PD-1を発現する細胞との結合についてのMFIより5倍、10倍、20倍、30倍、40倍、または50倍大きいMFIとして表される結合を示す。ある実施形態では、抗体は、蛍光標識またはマーカーにより直接または間接的に検出可能である。ある実施形態では、抗体は、蛍光標識またはマーカー、例えば、FITCで直接標識されている。ある実施形態では、グリコシル化PD-1に対するSTM432 MAbあるいはその結合ドメインまたはヒト化もしくはキメラ形態の結合親和性は、5~20nMまたは5~10nM(下限値と上限値を含む)である。ある実施形態では、抗体は、PD-1とPD-1の相互作用を阻害し、特に、エフェクターT細胞により発現されるグリコシル化PD-1と腫瘍細胞により発現されるPD-1、特にグリコシル化PD-1、の相互作用を阻害する。
ある実施形態では、抗体は、PD-1とPD-1の相互作用を阻害し、特に、エフェクターT細胞により発現されるグリコシル化PD-1と腫瘍細胞により発現されるPD-L1の相互作用を阻害する。
さらに別の実施形態は、配列番号2もしくは22と少なくとも90~98%同一であるヌクレオチド配列を含む抗glycPD-1 VHドメインをコードする、および/または配列番号4もしくは24とそれぞれ少なくとも90~98%同一であるヌクレオチド配列を含む抗glycPD-1抗体VLドメインをコードする、単離された核酸分子を提供する。実施形態では、VHおよび/またはVLドメインをコードするヌクレオチド配列は、配列番号2もしくは22または配列番号4もしくは24とそれぞれ90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上同一である。
下記の表3は、STM418およびSTM432の重鎖および軽鎖可変ドメインのヌクレオチド配列およびアミノ酸配列を提供するものである。
下記の表4および5で提供されるのは、コチア、AbM、カバットおよびコンタクトCDRによる、STM418およびSTM432抗体のCDR配列である。したがって、提供されるのは、ヒトフレームワーク領域に付け足された下記表4および5のCDRを含む非グリコシル化PD-1と比較してグリコシル化PD-1に優先的に結合する、STM418およびSTM432のヒト化形態である。
一部の実施形態では、本明細書で提供される抗glycPD-1抗体は、IgG、IgM、IgA、IgDまたはIgEであってもよい。抗glycPD-1抗体はまた、キメラ抗体、親和成熟抗体、ヒト化抗体、またはヒト抗体であってもよい。抗glycPD-1抗体はまた、ラクダ化抗体、イントラボディ、抗イディオタイプ(抗Id)抗体であってもよい。一部の実施形態では、抗glycPD-1抗体は、ポリクローナル抗体であってもよく、またはモノクローナル抗体であってもよい。
一部の実施形態では、本明細書で提供される抗体は、非グリコシル化PD-1と比較してグリコシル化PD-1と選択的に結合する抗原結合断片である。抗原結合断片は、Fd、Fv、Fab、F(ab’)、F(ab)2、F(ab’)2、F(ab)3、F(ab’)3、一本鎖Fv(scFv)、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、または単一ドメイン抗体であってもよい。scFvは、一価scFvであってもよく、または二価scFvであってもよい。
公知の手段により、および本明細書に記載の通り、グリコシル化PD-1、そのそれぞれのエピトープのうちの1つもしくは複数、または前述のもののいずれかのコンジュゲートに特異的である、ポリクローナルまたはモノクローナル抗体、抗原結合断片、ならびに結合ドメインおよびCDR(上述のもののいずれかについての操作形態を含む)を、そのような抗原またはエピトープが天然源から単離されたものであるか、または天然化合物の合成誘導体もしくはバリアントであるかを問わず、作出することができる。
鳥類および哺乳動物を含む、任意の動物源から、抗体を産生することができる。一部の実施形態では、抗体は、ヒツジ、ネズミ(マウスおよびラット)、ウサギ、ヤギ、モルモット、ラクダ、ウマまたはニワトリである。加えて、より新しい技術により、ヒトコンビナトリアル抗体ライブラリーからのヒト抗体の開発およびスクリーニングが可能である。例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれている米国特許第6,946,546号に記載されているように、バクテリオファージ抗体発現技術により動物の免疫処置の非存在下で特異的抗体を産生することが可能である。これらの技術は、Marks et al., Bio/Technol., 10:779-783(1992);Stemmer, Nature, 370:389-391(1994);Gram et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 89:3576-3580 (1992);Barbas et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 91:3809-3813(1994);およびSchier et al., Gene, 169(2):147-155(1996)にさらに記載されており、これらの参照文献は、それら全体が参照により本明細書に組み込まれている。
様々な動物種においてポリクローナル抗体を産生する方法、ならびにヒト化、キメラおよび完全ヒトをはじめとする様々なタイプのモノクローナル抗体を産生する方法も、当技術分野において周知である。例えば、次の米国特許は、そのような方法の実施可能な記述を提供しており、参照により本明細書に組み込まれている:米国特許第3,817,837号、同第3,850,752号、同第3,939,350号、同第3,996,345号、同第4,196,265号、同第4,275,149号、同第4,277,437号、同第4,366,241号、同第4,469,797号、同第4,472,509号、同第4,606,855号、同第4,703,003号、同第4,742,159号、同第4,767,720号、同第4,816,567号、同第4,867,973号、同第4,938,948号、同第4,946,778号、同第5,021,236号、同第5,164,296号、同第5,196,066号、同第5,223,409号、同第5,403,484号、同第5,420,253号、同第5,565,332号、同第5,571,698号、同第5,627,052号、同第5,656,434号、同第5,770,376号、同第5,789,208号、同第5,821,337号、同第5,844,091号、同第5,858,657号、同第5,861,155号、同第5,871,907号、同第5,969,108号、同第6,054,297号、同第6,165,464号、同第6,365,157号、同第6,406,867号、同第6,709,659号、同第6,709,873号、同第6,753,407号、同第6,814,965号、同第6,849,259号、同第6,861,572号、同第6,875,434号、同第6,891,024号、同第7,407,659号、および同第8,178,098号明細書(これらの米国特許は、それら全体が参照により本明細書に組み込まれている)。
一部の実施形態では、抗glycPD-1抗体は、モノクローナル抗体でありうる。一部の実施形態では、抗glycPD-1抗体は、ポリクローナル抗体でありうる。動物にグリコシル化PD-1ポリペプチドなどの抗原を接種して、グリコシル化PD-1ポリペプチドに特異的な抗体を産生することができる。多くの場合、抗体は、免疫応答を増強するために別の分子に結合またはコンジュゲートされる。コンジュゲートは、動物において免疫応答を惹起するために使用される抗原に結合された、いずれのペプチド、ポリペプチド、タンパク質または非タンパク質性物質であってもよい。抗原接種に応答して動物において産生される抗体は、様々な個々の抗体産生Bリンパ球から作製される様々な同一でない分子(ポリクローナル抗体)を有する。動物におけるポリクローナル抗体産生のための妥当な条件を考えれば、動物の血清中の抗体の大部分は、その動物に免疫を付与した抗原性化合物上の集団エピトープを認識する。
この特異性をアフィニティー精製によって目的の抗原またはエピトープを認識する抗体のみを選択するように増強することができる。モノクローナル抗体(MAb)を生成する方法は、ポリクローナル抗体を調製する方法と同じように開始することができる。一部の実施形態では、マウスおよびラットなどの齧歯類がモノクローナル抗体の生成に使用される。一部の実施形態では、ウサギ、ヒツジまたはカエル細胞がモノクローナル抗体の生成に使用される。ラットの使用は周知であり、ある特定の利点をもたらすことができる。マウス(例えば、BALB/cマウス)は、日常的に使用されており、一般に、高いパーセンテージの安定した融合体をもたらす。
ハイブリドーマ技術は、グリコシル化PD-1ポリペプチドで前もって免疫を付与したマウスからの単一Bリンパ球と不死メラノーマ細部(通常はマウスメラノーマ)の融合を含む。この技術は、不特定の世代数にわたって単一抗体産生細胞を増殖させる方法をもたらし、したがって、同じ抗原またはエピトープ特異性を有する構造的に同じ抗体(モノクローナル抗体)の無限の量を産生することができる。
抗glycPD-1抗体は、ポリペプチドの産生に有用な当技術分野において公知の任意の方法、例えば、in vitro合成、組換えDNA産生などによって産生することができる。ヒト化抗体を組換えDNA技術によって産生することができる。本明細書に記載の抗体は、組換え免疫グロブリン発現技術を使用して産生することもできる。ヒト化抗体をはじめとする免疫グロブリン分子の組換え産生は、米国特許第4,816,397号明細書(Bossら)、米国特許第6,331,415号および同第4,816,567号明細書(両方ともCabillyら)、英国特許出願公開第2,188,638号明細書(Winterら)、英国特許出願公開第2,209,757号明細書に記載されており、これらの参照文献は、それら全体が参照により本明細書に組み込まれている。ヒト化免疫グロブリンをはじめとする免疫グロブリンの組換え発現のための技術もまた、Goeddel et al., Gene Expression Technology Methods in Enzymology Vol. 185 Academic Press (1991)、およびBorreback, Antibody Engineering, W. H. Freeman (1992)において見つけることができ、これらの参照文献は、それら全体が参照により本明細書に組み込まれている。組換え抗体の生成、設計および発現に関する追加情報は、Mayforth, Designing Antibodies, Academic Press, San Diego (1993)において見つけることができる。
外来抗体の可変領域をそのまま残してモノクローナル抗体の軽鎖および重鎖定常ドメインをヒト由来の類似ドメインで置換する方法が開発された。あるいは、完全ヒトモノクローナル抗体は、ヒト免疫グロブリン遺伝子の遺伝子導入マウスまたはラットにおいて産生される。齧歯動物アミノ酸配列とヒトアミノ酸配列の両方を有する抗体可変ドメインを組換えで構築することにより、モノクローナル抗体の可変ドメインをよりヒトの形態に変換する方法も開発された。ヒト化モノクローナル抗体の場合、高頻度可変CDRのみが非ヒト(例えば、マウス、ラット、ニワトリ、ラマ)モノクローナル抗体に由来し、フレームワーク領域はヒトアミノ酸配列に由来する。齧歯動物に特有である抗体のアミノ酸配列を、ヒト抗体の対応する位置に見られるアミノ酸配列で置換することにより治療目的使用中の有害免疫反応の尤度が低下されることになると考えられる。抗体を産生するハイブリドーマまたは他の細胞もまた、ハイブリドーマにより産生される抗体の結合特異性を変えることもまたは変えないこともある遺伝子変異または他の変化を受けることがある。
モノクローナル抗体および他の抗体ならびに組換えDNA技術を使用して、元の抗体の抗原またはエピトープ特異性を保持する、すなわち分子が結合ドメインを有する、他の抗体またはキメラ分子を産生することにより、操作抗体を作出することができる。そのような技術は、抗体の免疫グロブリン可変領域またはCDRをコードするDNAを、異なる抗体のフレームワーク領域、定常領域、または定量領域+フレームワーク領域の遺伝物質に導入することを含む。例えば、参照により本明細書に組み込まれている米国特許第5,091,513号および同第6,881,557号明細書を参照されたい。
ある特定の実施形態では、抗glycPD-1抗体は、ヒト抗体である。ヒト抗体は、ヒト免疫グロブリン配列に由来する抗体ライブラリーを使用する上記のファージディスプレイ方法をはじめとする当技術分野において公知の様々な方法によって作製することができる(例えば、米国特許第4,444,887号および同第4,716,111号明細書、ならびに国際公開第98/46645号、同第98/50433号、同第98/24893号、同第98/16654号、同第96/34096号、同第96/33735号および同第91/10741号パンフレットを参照されたい)。ヒト抗体は、機能性内因性免疫グロブリンを発現する能力がないがヒト免疫グロブリン遺伝子を発現することができる遺伝子導入マウスを使用して、産生することができる。例えば、ヒト重鎖および軽鎖免疫グロブリン遺伝子複合体を、マウス胚性幹細胞に、ランダムにまたは相同組換えにより導入することができる。あるいは、ヒト可変領域、定常領域および多様性領域を、ヒト重鎖および軽鎖遺伝子に加えてマウス胚性幹細胞に導入することができる。マウス重鎖および軽鎖免疫グロブリン遺伝子は、相同組換えによるヒト免疫グロブリン座位の導入で、別々にまたは同時に非機能性にすることができる。特に、JH領域のホモ接合型欠失は、内因性抗体産生を防止する。修飾された胚性幹細胞は、キメラマウスを産生するために増殖され、胚盤胞にマイクロインジェクトされる。その後、それらのキメラマウスは、ヒト抗体を発現するホモ接合子孫を産生するために飼育される。それらの遺伝子導入マウスに、選択された抗原、例えば、グリコシル化PD-1ポリペプチドのすべてまたは一部分を用いて、従来の方法論を使用して免疫が付与される。抗原に対するモノクローナル抗体は、従来のハイブリドーマ技術を使用して、免疫付与された遺伝子導入マウスから得ることができる(例えば、米国特許第5,916,771号明細書を参照されたい)。遺伝子導入マウスにより保有されるヒト免疫グロブリン導入遺伝子は、B細胞分化中に再編成し、その後、クラススイッチおよび体細胞変異を受ける。したがって、そのような技術を使用して、治療に有用なIgG、IgA、IgMおよびIgE抗体を産生することができる。このヒト抗体産生技術の大要については、Lonberg and Huszar(1995, Int. Rev. Immunol.13:65-93;これは、その全体が参照により本明細書に組み込まれている)を参照されたい。ヒト抗体およびヒトモノクローナル抗体のこの産生技術ならびにそのような抗体を産生するためのプロトコールの詳細な論述については、例えば、国際公開第98/24893号、同第96/34096号および同第96/33735号パンフレット、ならびに米国特許第5,413,923号、同第5,625,126号、同第5,633,425号、同第5,569,825号、同第5,661,016号、同第5,545,806号、同第5,814,318号および同第5,939,598号明細書を参照されたく、これらの参照文献は、それら全体が参照により本明細書に組み込まれている。加えて、Abgenix,Inc.(Freemont、Calif.)およびMedarex(Princeton、N.J.)などの会社は、上記の技術に類似した技術を使用して、選択された抗原に対するヒト抗体を提供する業務に従事することができる。
一実施形態では、抗体は、キメラ抗体、例えば、異種非ヒト、ヒトまたはヒト化配列(例えば、フレームワークおよび/または定常ドメイン配列)にグラフトされた非ヒトドナーからの抗原結合配列を含む抗体である。一実施形態では、非ヒトドナーは、ラットである。一実施形態では、抗原結合配列は、合成のものであり、例えば、変異誘発(例えば、ヒトファージライブラリーのファージディスプレイスクリーニングなど)によって得られる。一実施形態では、本明細書で提供されるキメラ抗体は、マウスV領域およびヒトC領域を有する。一実施形態では、マウス軽鎖V領域は、ヒトカッパ軽鎖に融合されている。一実施形態では、マウス重鎖V領域は、ヒトIgG1 C領域に融合されている。
キメラ抗体の産生方法は、当技術分野において公知である。例えば、Morrison, Science 229:1202 (1985);Oi et al., BioTechniques 4:214 (1986);Gillies et al., J. Immunol. Methods 125:191-202(1989);ならびに米国特許第6,311,415号、同第5,807,715号、同第4,816,567号および同第4,816,397号明細書を参照されたく、これらの参照文献のすべては、それら全体が参照により本明細書に組み込まれている。非ヒト種からの1つまたは複数のCDRとヒト免疫グロブリン分子からのフレームワーク領域とを含むキメラ抗体は、当技術分野において公知の様々な技術を使用して産生することができ、そのような技術には、例えば、CDRグラフティング(欧州特許第239,400号明細書、国際公開第91/09967号パンフレット、ならびに米国特許第5,225,539号、同第5,530,101号および同第5,585,089号明細書)、ベニアリングまたはリサーフェーシング(欧州特許第592,106号、同第519,596明細書;Padlan, Molecular Immunology 28(4/5):489-498 (1991);Studnicka et al., Protein Engineering 7:805 (1994);およびRoguska et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91:969 (1994))、および鎖シャフリング(米国特許第5,565,332号明細書)が含まれ、参照文献は、それら全体が参照により本明細書に組み込まれている。
組換えキメラ抗glycPD-1抗体の例示的な産生方法は、a)マウス抗glycPD-1モノクローナル抗体のCDRおよび可変領域が、ヒト免疫グロブリンに由来するFc領域に融合されている、抗体重鎖をコードし、発現する発現ベクターを従来の分子生物学方法により構築し、それによってキメラ抗体重鎖発現用のベクターを産生するステップ、b)マウス抗glycPD-1モノクローナル抗体の抗体軽鎖をコードし、発現する発現ベクターを従来の分子生物学方法により構築し、それによってキメラ抗体軽鎖発現用のベクターを産生するステップ、c)従来の分子生物学方法により発現ベクターを宿主細胞に移入して、キメラ抗体発現用のトランスフェクトされた細胞を産生するステップ、およびd)トランスフェクトされた細胞を従来の細胞培養技術により培養して、キメラ抗体を産生するステップを含みうる。
組換えヒト化抗glycPD-1抗体の例示的な産生方法は、a)CDRとドナー抗体結合特異性を保持するために必要とされる可変領域フレームワークの最小部分とがマウス抗glycPD-1モノクローナル抗体などの非ヒト免疫グロブリンに由来し、抗体の残部がヒト免疫グロブリンに由来する、抗体重鎖をコードし、発現する発現ベクターを従来の分子生物学方法により構築し、それによってヒト化抗体重鎖発現用のベクターを産生するステップ、b)CDRとドナー抗体結合特異性を保持するために必要とされる可変領域フレームワークの最小部分とがマウス抗glycPD-1モノクローナル抗体などの非ヒト免疫グロブリンに由来し、抗体の残部がヒト免疫グロブリンに由来する、抗体重軽鎖をコードし、発現する発現ベクターを従来の分子生物学方法により構築し、それによってヒト化抗体軽鎖発現用のベクターを産生するステップ、c)従来の分子生物学方法により発現ベクターを宿主細胞に移入して、ヒト化抗体発現用のトランスフェクトされた細胞を産生するステップ、およびd)トランスフェクトされた細胞を従来の細胞培養技術により培養して、ヒト化抗体を産生するステップを含みうる。
どちらかの例示的方法に関しても、重鎖および軽鎖-コード配列を除いてだが、異なる選択マーカーを含有することができる、そのような発現ベクターをコトランスフェクトすることができる宿主細胞は、好ましくは同じものである。この手順は、重鎖および軽鎖ポリペプチドの同等の発現をもたらす。あるいは、重鎖ポリペプチドと軽鎖ポリペプチドの両方をコードする単一のベクターを使用してもよい。重鎖および軽鎖のコード配列は、cDNAもしくはゲノムDNAまたは両方を含むことができる。組換え抗体を発現するために使用される宿主細胞は、細菌細胞、例えば大腸菌(Escherichia coli)、またはより好ましくは真核細胞(例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞もしくはHEK-293細胞)の、どちらであってもよい。発現ベクターの選択は、宿主細胞の選択に依存し、選択された宿主細胞において所望の発現および調節特性を有するように選択することができる。使用することができる他の細胞株には、CHO-K1、NSO、およびPER.C6(Crucell、Leiden、Netherlands)が含まれるが、これらに限定されない。さらに、宿主細胞を選択するとき、種特異的なコドン使用頻度の偏りを考慮に入れ、タンパク質発現を増進するように、コドン使用頻度を最適化することができる。例えば、CHO細胞発現のために、抗体をコードするDNAは、モンゴルキヌゲネズミ(Cricetulus griseus)(チャイニーズハムスター卵巣細胞が由来する)により優先的に使用されるコドンを組み入れることができる。コドン最適化方法を用いて、所望の宿主細胞による発現向上を助長することができる(例えば、Wohlgemuth et al., Philos. Trans.R. Soc. Lond. B Biol. Sci. 366(1580):2979-2986 (2011);Jestin et al., J. Mol.Evol.69(5):452-457 (2009);Bollenbach et al., Genome Res.17(4):401-404(2007);Kurland et al., Prog. Nucleic Acid Res. Mol. Biol. 31:191-219 (1984);Grosjean et al., Gene 18(3): 199-209(1982)を参照されたい)。
一実施形態では、抗体は、VHHドメイン配列またはナノボディ(商標)として公知である、軽鎖を欠くラクダ化抗体、好ましくは重鎖ラクダ化抗体、に由来する免疫グロブリン単一可変ドメインである。ナノボディ(商標)(Nb)は、天然起源の一本鎖抗体の最小機能断片または単一可変ドメイン(VHH)であり、当業者には公知である。それらは、ラクダ科動物に見られる重鎖のみ抗体に由来する(Hamers-Casterman et al., Nature 363: 446-448 (1993);Desmyter et al., Nat. Struct. Biol., 803-811 (1996))。「ラクダ科動物」の科では、軽鎖ポリペプチド鎖を欠く免疫グロブリンが見いだされる。「ラクダ科動物」は、旧世界ラクダ科動物(フタコブラクダ(Camelus bactrianus)およびヒトコブラクダ(Camelus dromedarius))および新世界ラクダ科動物(例えば、アルパカ(Lama paccos)、ラマ(Lama glama)、グアナコ(Lama guanicoe)およびビクーニャ(Lama vicugna)を含む。単一可変ドメイン重鎖抗体は、本明細書ではナノボディ(商標)またはVHH抗体と表記される。Nbの小さいサイズおよび特有の生物物理学的特性は、まれなまたは隠れたエピトープの認識について、およびタンパク質標的の空洞または活性部位への結合について、従来の抗体断片より優れている。さらに、Nbを多重特異性および多価抗体として設計することができ、レポーター分子に結合させることができ、またはヒト化することができる。Nbは、安定しており、胃腸系を生き延び、またNbを容易に製造することができる。
異なる特異性の2つの抗原結合部位を一体化して単一の構築物にするので、二重特異性抗体には、優れた特異性を有する2つの個別の抗原を一緒にする能力があり、したがって、治療剤として大きな可能性がある。二重特異性抗体は、そもそも、各々が異なる免疫グロブリンを産生する能力がある2つのハイブリドーマを融合させることによって作製することができる。完全免疫グロブリン中に存在するFc部分を含めずに2つのscFv抗体断片を連結させることによって、二重特異性抗体を産生することもできる。そのような構築物中の各scFvユニットは、合成ポリペプチドリンカーによって互いに連結された重鎖(VH)および軽鎖(VL)抗体鎖の各々からの1つの可変ドメインから構成されうるものであり、合成ポリペプチドリンカーは、耐タンパク質分解性を最大に維持しながら最小に免疫原性であるように遺伝子操作されていることが多い。2つのscFvユニットを架橋する短い(通常は10アミノ酸未満)ポリペプチドスペーサーの導入をはじめとするいくつかの技術によりそれぞれのscFvユニットを連結することによって二重特異性一本鎖抗体を作出することができる。したがって、結果として得られる二重特異性一本鎖抗体は、それぞれのscFvユニット内のVHおよびVLドメインが、これら2つのドメイン間の分子内会合を可能にするのに十分な長さのポリペプチドリンカーによって離隔されており、そのようにして形成されたscFvユニットが、例えば一方のscFvユニットのVHドメインと他方のscFvユニットのVL間の望ましくない会合を防止するのに十分な短さで保たれたポリペプチドスペーサーによって互いに近接して繋留されている、単一ポリペプチド鎖上に異なる特異性の2つのVH/VL対を含有する種である。
抗原結合断片の例としては、限定ではないが、(i)VL、VH、CLおよびCH1ドメインからなるFab断片、(ii)VHおよびCH1ドメインからなる「Fd」断片、(iii)単一抗体のVLおよびVHドメインからなる「Fv」断片、(iv)VHドメインからなる「dAb」断片、(v)単離されたCDR領域、(vi)2つの連結されたFb断片を含む二価断片である、F(ab’)2断片、(vii)VHドメインおよびVLドメインが、これら2つのドメインが会合して結合ドメインを形成することを可能にするペプチドリンカーによって連結されている、一本鎖Fv分子(「scFv」)、(viii)二重特異性一本鎖Fv二量体(米国特許第5,091,513号明細書)、および(ix)遺伝子融合により構築されたダイアボディ、多価または多重特異性断片(米国特許出願公開第2005/0214860号明細書)が挙げられる。Fv、scFv、またはダイアボディ分子は、VHおよびVLドメインを連結するジスルフィド架橋の組み込みによって安定させることができる。CH3ドメインに連結されたscFvを有するミニボディも作製することができる(Hu et al., Cancer Res., 56:3055-3061 (1996))。
実施形態では抗体様結合ペプチド模倣物も企図されている。Liu et al., Cell Mol. Biol., 49:209-216(2003)には、切り詰められた抗体(pared-down antibodies)として作用するペプチドであり、より長い血清半減期および扱いやすい合成方法といったある特定の利点を有する、「抗体様結合ペプチド模倣物」(ABiP)が記載されている。
グリコシル化PD-1ポリペプチド
またさらなる実施形態では、ヒトPD-1のN49、N58、N74またはN116位に対応する少なくとも1個のアミノ酸を含むヒトPD-1の少なくとも7個(例えば、少なくとも8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20個以上)の連続するアミノ酸の断片を含むポリペプチドを含む組成物であって、ヒトPD-1のN49、N58、N74またはN116位に対応する前記アミノ酸の少なくとも1個がグリコシル化されており、ポリペプチドが、薬学的に許容される担体に配合されている、組成物が提供される。
一部の実施形態では、本明細書で提供されるのは、ヒトPD-1のN49、N58、N74またはN116位に対応する少なくとも1個のアミノ酸を有するヒトPD-1の少なくとも7個の連続するアミノ酸のポリペプチドであって、ヒトPD-1のN49、N58、N74またはN116位に対応する前記アミノ酸の少なくとも1個がグリコシル化されている、ポリペプチドである。一部の実施形態では、ポリペプチドは、グリコシル化されているN49位に対応するアミノ酸を有するヒトPD-1の少なくとも7個の連続するアミノ酸を有する。一部の実施形態では、ポリペプチドは、グリコシル化されているN58位に対応するアミノ酸を有するヒトPD-1の少なくとも7個の連続するアミノ酸を有する。一部の実施形態では、ポリペプチドは、グリコシル化されているN74位に対応するアミノ酸を有するヒトPD-1の少なくとも7個の連続するアミノ酸を有する。一部の実施形態では、ポリペプチドは、グリコシル化されているN116位に対応するアミノ酸を有するヒトPD-1の少なくとも7個の連続するアミノ酸を有する。
例えば、ポリペプチドは、N49がグリコシル化されている、ヒトPD-1のアミノ酸44~50個の断片でありうる。別の例では、ポリペプチドは、N74がグリコシル化されている、ヒトPD-1のアミノ酸70~80個の断片でありうる。さらに別の例では、ポリペプチドは、N58およびN74がグリコシル化されている、ヒトPD-1のアミノ酸50~80個の断片でありうる。本明細書で企図されるポリペプチドが、ヒトPD-1のN49、N58、N74またはN116位に対応する少なくとも1個のアミノ酸を含むヒトPD-1の少なくとも7個の連続するアミノ酸を有する任意のおよびすべてのポリペプチドであって、ヒトPD-1のN49、N58、N74またはN116位に対応する前記アミノ酸の少なくとも1個がグリコシル化されている、ポリペプチドであることは、当業者には理解されるであろう。
一部の実施形態では、ポリペプチドは、ヒトPD-1の少なくとも8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20個の連続するアミノ酸を有する。一部の実施形態では、ポリペプチドは、ヒトPD-1の少なくとも25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、または270、280個の連続するアミノ酸を有する。一部の実施形態では、本明細書で提供されるのは、本明細書で提供される少なくとも2個のポリペプチドを有する組成物である。少なくとも2個のポリペプチドは、別々の分子であることもあり、または1個の分子として連結されていることもある。一部の実施形態では、組成物は、少なくとも3個のポリペプチド、少なくとも4個のポリペプチド、または少なくとも5個のポリペプチドを有する。一部の実施形態では、組成物は、2個のポリペプチド、3個のポリペプチド、4個のポリペプチド、または5個のポリペプチドを有する。
一部の実施形態では、本明細書で提供されるポリペプチドは、非天然アミノ酸を含む。一部の実施形態では、非天然アミノ酸は、メチル化された主鎖を有するペプチドを産生するためにα-アミノ基がメチル化される。一部の実施形態では、非天然アミノ酸は、R-アミノ酸である。一部の実施形態では、非天然アミノ酸は、色素(例えば、蛍光色素)またはアフィニティータグを含むことができる。一部の実施形態では、本明細書で提供されるポリペプチドは、化学修飾を含む。化学修飾は、例えば、ビオチン、蛍光色素での化学修飾を含む。非天然アミノ酸をポリペプチドに導入する方法およびポリペプチドを化学的に修飾する方法が当技術分野において周知であることは、当業者には分かるであろう。
一部の実施形態では、実施形態のポリペプチドは、免疫原性ポリペプチド(例えば、キーホールリンペットヘモシアニン、KLH)に融合またはコンジュゲートされている。ある特定の態様では、ポリペプチドは、CまたはN末端にCys残基をさらに含む。例えば、一部の態様では、ポリペプチドは、Cys残基においてジスルフィド結合により免疫原性ポリペプチドにコンジュゲートされている。
またさらなる実施形態では、ヒトPD-1のN49、N58、N74またはN116位に対応する少なくとも1個のアミノ酸を含むヒトPD-1の少なくとも7個の連続するアミノ酸の断片を含むポリペプチドを有する免疫原性組成物であって、ヒトPD-1のN49、N58、N74またはN116位に対応する前記アミノ酸の少なくとも1個がグリコシル化されており、ポリペプチドが、薬学的に許容される担体に配合されている、免疫原性組成物が本明細書で提供される。一部の態様では、免疫原性組成物は、アジュバント、例えば、ミョウバンまたはフロイントアジュバントをさらに含む。
一部の実施形態では、抗体を作製する方法であって、動物にポリペプチドを投与するステップおよび動物から抗体を単離するステップを含み、ポリペプチドが、ヒトPD-1のN49、N58、N74またはN116位に対応する少なくとも1個のアミノ酸を有するヒトPD-1の少なくとも7個の連続するアミノ酸の断片を有し、ヒトPD-1のN49、N58、N74またはN116位に対応する前記アミノ酸の少なくとも1個がグリコシル化されている、方法が、提供される。動物は、マウス、ラット、ウサギまたはヒトでありうる。ある特定の態様では、方法は、抗体のCDRを同定するステップ、およびCDRを包囲する配列をヒト化して、ヒト化抗体を産生するステップをさらに含む。なおさらなる実施形態では、方法は、ヒト化抗体を組換え発現させるステップを含む。したがって、さらなる実施形態では、上述の方法によって産生された、単離された抗体が提供される。したがって、一部の実施形態では、本明細書で提供されるのは、非グリコシル化PD-1と比較して実施形態のポリペプチド(例えば、ヒトPD-1のN49、N58、N74またはN116位に対応する少なくとも1個のアミノ酸を含むヒトPD-1の少なくとも7個の連続するアミノ酸の断片を含むポリペプチドであって、ヒトPD-1のN49、N58、N74またはN116位に対応する前記アミノ酸の少なくとも1個がグリコシル化されている、ポリペプチド)と選択的に結合する、単離された抗体である。
本明細書で提供されるポリペプチドは、当技術分野において公知の任意の方法によって調製することができる。例えば、ポリペプチドは、化学合成または組換え産生により調製することができる。組換えポリペプチドの例示的な発現および精製方法は、例えば、Scopes R. K., Protein Purification - Principles and Practice, Springer Advanced Texts in Chemistry, 3rd Edition (1994);Simpson R.J. et al., Basic Methods in Protein Purification and Analysis: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1stEdition (2008);Green M. R. and Sambrook J., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, 4stEdition (2012);Jensen K. J. et al., Peptide Synthesis and Applications (Methods in Molecular Biology), Humana Press, 2ndEdition (2013)において見つけることができる。ポリペプチドの化学合成は、当技術分野において周知の方法論を使用することにより果たすことができる(Kelley and Winkler, 1990, In: Genetic Engineering Principles and Methods, Setlow J. K, ed., Plenum Press, N.Y., Vol. 12, pp 1-19;Stewart et al., 1984, J. M. Young, J. D., Solid Phase Peptide Synthesis, Pierce Chemical Co., Rockford, Ill;Marglin and Merrifield, Ann. Rev. Biochem, 39:841-866, at 862 (1970).Merrifield, R. B., 1963, J. Am. Chern. Soc. 85:2149-2154;Chemical Approaches to the Synthesis of Peptides and Proteins, Williams et al., Eds., 1997, CRC Press, Boca Raton Fla.;Solid Phase Peptide Synthesis: A Practical Approach, Atherton & Sheppard, Eds., 1989, IRL Press, Oxford, Englandを参照されたく、また米国特許第4,105,603号、同第3,972,859号、同第3,842,067号および同第3,862,925号明細書も参照されたい)。
修飾および誘導体
グリコシル化PD-1に対する抗体は、動物種、モノクローナル細胞株または他の抗体源を問わず、グリコシル化PD-1の効果を中和または相殺する能力を有することができる。ある特定の動物種は、治療用抗体の生成にあまり好ましくないこともある。なぜなら、それらは、抗体のFc部分による補体系の活性化に起因してアレルギー反応を引き起こす可能性がより高くなることがあるからである。しかし、全抗体を酵素的に消化して、Fc(補体結合)断片に、および結合ドメインまたはCDRを有する抗体断片にすることができる。Fc部分の除去は、抗体断片が望ましくない免疫応答を惹起することになる尤度を低下させ、それ故、Fcのない抗体を予防的または治療的処置に使用することができる。上記の通り、抗体をキメラ抗体、部分的または完全ヒト抗体になるように構築して、他の種において産生されたまたは他の種からの配列を有する抗体を動物に投与した結果として生じる有害な免疫学的帰結を低減または排除することもできる。
所望の特性を示すバリアントについてスクリーニングすることにより、抗glycPD-1抗体の結合特性をさらに改善することができる。例えば、そのような改善は、当技術分野において公知のファージディスプレイ方法を使用して行うことができる。ファージディスプレイ方法では、機能性抗体ドメインが、それらをコードするポリヌクレオチド配列を担持するファージ粒子の表面に提示される。特定の実施形態では、そのようなファージを用いて、レパートリーまたはコンビナトリアル抗体ライブラリー(例えば、ヒトまたはマウス)から発現される抗原結合断片、例えば、FabおよびFvまたはジスルフィド結合により安定化されたFvを提示することができる。目的の抗原に結合する抗原結合断片を発現するファージは、抗原を用いて、例えば、標識された抗原、または固体表面もしくはビーズに結合もしくは捕捉された抗原を使用して、選択または同定することができる。これらの方法に使用されるファージは、典型的に、fdおよびM13をはじめとする繊維状ファージである。抗原結合断片は、ファージ遺伝子IIIタンパク質またはファージ遺伝子VIIIタンパク質のどちらかとの組換え融合タンパク質として発現される。本明細書に記載の抗体またはポリペプチドを作製するために使用することができるファージディスプレイ方法の例としては、Brinkman et al., J Immunol Methods, 182:41-50 (1995);Ames et al., J. Immunol. Methods, 184:177-186 (1995);Kettleborough et al., Eur. J. Immunol., 24:952-958(1994);Persic et al., Gene, 187:9-18 (1997);Burton et al., Adv. Immunol. 57:191-280 (1994);PCT公開公報国際公開第92/001047号、同第90/02809号、同第91/10737号、同第92/01047号、同第92/18619号、同第93/11236号、同第95/15982号、同第95/20401号パンフレット;ならびに米国特許第5,698,426号、同第5,223,409号、同第5,403,484号、同第5,580,717号、同第5,427,908号、同第5,750,753号、同第5,821,047号、同第5,571,698号、同第5,427,908号、同第5,516,637号、同第5,780,225号、同第5,658,727号、同第5,733,743号および同第5,969,108号明細書において開示されているものが挙げられ、これらの参照文献のすべては、それら全体が参照により本明細書に組み込まれている。
上記参照文献に記載されているように、ファージ選択後、ファージから抗体コード領域を単離し、例えば下段にて詳細に説明されるように、それらを使用して、全抗体(ヒト化抗体を含む)または任意の他の所望の断片を生成すること、および哺乳動物細胞、昆虫細胞、植物細胞、酵母および細菌をはじめとする任意の所望の宿主において発現させることができる。例えば、Fab、Fab’およびF(ab’)2断片を組換えで産生する技術も、PCT公開公報国際公開第92/22324号パンフレット;Mullinax, R. L. et al., BioTechniques, 12(6):864-869 (1992);およびSawai et al., Am. J. Reprod. Immunol. 34:26-34 (1995);およびBetter, M. et al. Science 240:1041-1043(1988)に記載されているものなどの、当技術分野において公知の方法を使用して用いることができ、参照文献のすべては、それら全体が参照により本明細書に組み込まれている。一本鎖Fvおよび抗体を産生するために使用することができる技術の例としては、米国特許第4,946,778号および同第5,258,498号明細書;Huston, J. S. et al., Methods in Enzymology 203:46-88(1991);Shu, L. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. (USA) 90:7995-7999;ならびにSkerra. A. et al., Science 240:1038-1040 (1988)に記載されているものなどが挙げられ、参照文献のすべては、それら全体が参照により本明細書に組み込まれている。
ファージディスプレイ技術を使用して、本明細書に記載の抗glycPD-1抗体の親和性を増加させることができる。この技術は、本明細書に記載のコンビナトリアル方法に使用することができるだろう高親和性抗体を得るのに使用することができる。親和性成熟と呼ばれるこの技術は、そのような受容体もしくはリガンド(もしくはそれらの細胞外ドメイン)またはそれらの抗原結合断片を使用して変異誘発またはCDRウォーキングおよび再選択を用いて、最初の抗体または親抗体と比較したときにより高い親和性で抗原と結合する抗体を同定する(例えば、Glaser, S. M. et al., J. Immunol. 149:3903-3913(1992)を参照されたい)。単一ヌクレオチドではなくコドン全体の変異誘発は、アミノ酸変異のセミランダム化レパートリーをもたらす。バリアントクローンのプールからなるライブラリーであって、クローンの各々が、単一CDRの単一アミノ酸変化の点で異なり、各CDR残基について可能な各アミノ酸置換を示すバリアントを含有する、ライブラリーを構築することができる。抗原に対する結合親和性が増した変異体を、固定化された変異体を標識された抗原と接触させることによりスクリーニングすることができる。当技術分野において公知の任意のスクリーニング方法を使用して、抗原に対する親和力が増した変異抗体を同定することができる(例えば、ELISA)(例えば、Wu, H. et al., Proc. Natl. Acad. Sci.(USA) 95(11):6037-6042(1998);Yelton, D. E. et al., J. Immunol. 155:1994-2004 (1995)を参照されたい)。軽鎖をランダム化するCDRウォーキングを使用することもできる。(Schier et al., J. Mol. Biol. 263:551-567(1996)を参照されたい)。
ランダム変異誘発をファージディスプレイ方法と協調して使用して、改善されたCDRおよび/または可変領域を同定することができる。あるいは、ファージディスプレイ技術を使用して、定方向変異誘発(例えば、親和性成熟または「CDRウォーキング」)によりCDR親和性を増加させる(または減少させる)ことができる。この技術は、標的抗原またはその抗原性断片を使用して、最初の抗体または親抗体と比較したときにより高い(またはより低い)親和性で抗原と結合するCDRを有する抗体を同定する(例えば、Glaser, S. M. et al., J. Immunol. 149:3903-3913(1992)を参照されたい)。
そのような親和性成熟を果たす方法は、例えば、Krause, J. C. et al., MBio.2(1) pii: e00345-10. doi: 10.1128/mBio. 00345-10(2011);Kuan, C. T. et al., Int. J. Cancer 10.1002/ijc.25645;Hackel, B. J. et al., J. Mol. Biol. 401(1):84-96(2010);Montgomery, D. L. et al., MAbs 1(5):462-474(2009);Gustchina, E. et al., Virology 393(1):112-119 (2009);Finlay, W. J. et al., J. Mol. Biol. 388(3):541-558 (2009);Bostrom, J. et al., Methods Mol. Biol. 525:353-376 (2009);Steidl, S. et al., Mol. Immunol. 46(1):135-144 (2008);およびBarderas, R. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. (USA) 105(26):9029-9034 (2008)に記載されており、参照文献のすべては、それら全体が参照により本明細書に組み込まれている。
本明細書で提供されるのは、「親」(または野生型)分子と比較して1、2、3、4、5つ以上のアミノ酸置換、付加、欠失または修飾を有する、抗glycPD-1抗体またはグリコシル化PD-1ポリペプチドの誘導体でもある。そのようなアミノ酸置換または付加は、天然起源の(すなわち、DNAによりコードされている)アミノ酸残基または非天然起源のアミノ酸残基を導入することができる。そのようなアミノ酸を、グリコシル化すること(例えば、そのようなアミノ酸は、変化したマンノース、2-N-アセチルグルコサミン、ガラクトース、フコース、グルコース、シアル酸、5-N-アセチルノイラミン酸、5-グリコールノイラミン酸などの含有量を有すること)、アセチル化すること、PEG化すること、リン酸化すること、アミド化すること、公知の保護/ブロッキング基、タンパク質分解性切断により誘導体化すること、細胞リガンドまたは他のタンパク質に連結させることなどができる。一部の実施形態では、炭水化物修飾変化により、次のうちの1つまたは複数が調節される:抗体の可溶化、抗体の細胞内輸送および分泌の助長、抗体構築の促進、立体構造の完全性、ならびに抗体媒介エフェクター機能。一部の実施形態では、炭水化物修飾変化により、炭水化物修飾を欠く抗体と比較して抗体媒介エフェクター機能が増強される。抗体媒介エフェクター機能を変化させることになる炭水化物修飾は、当技術分野において周知である(例えば、Shields, R. L. et al., J. Biol. Chem. 277(30): 26733-26740 (2002);Davies J. et al. Biotechnology & Bioengineering 74(4): 288-294(2001)を参照されたく、参照文献のすべては、それら全体が参照により本明細書に組み込まれている)。炭水化物含有量を変化させる方法は、当業者に公知であり、例えば、Wallick, S. C. et al., J. Exp. Med.168(3): 1099-1109(1988);Tao, M. H. et al., J. Immunol. 143(8): 2595-2601 (1989);Routledge, E. G. et al., Transplantation 60(8):847-53 (1995);Elliott, S. et al., Nature Biotechnol. 21:414-21(2003);Shields, R. L. et al., J. Biol. Chem. 277(30): 26733-26740(2002)を参照されたく、参照文献のすべては、それら全体が参照により本明細書に組み込まれている。
置換バリアントは、あるアミノ酸の別のアミノ酸との交換を、本明細書で提供される抗体またはポリペプチド内の1つまたは複数の部位に含むことができ、抗体またはポリペプチドの1つまたは複数の特性を、他の機能または特性の喪失のあるまたはない状態で調節するように置換バリアントを設計することができる。置換は、保存的であってもよく、すなわち、あるアミノ酸を同様の形状および電荷の別のアミノ酸で置き換える。保存的置換は、当技術分野において周知であり、例えば、アラニンのセリンへの、アルギニンのリジンへの、アスパラギンのグルタミンまたはヒスチジンへの、アスパルテートのグルタミンへの、システインのセリンへの、グルタミンのアスパラギンへの、グルタメートのアスパルテートへの、グリシンのプロリンへの、ヒスチジンのアスパラギンまたはグルタミンへの、イソロイシンのロイシンまたはバリンへの、ロイシンのバリンまたはイソロイシンへの、リジンのアルギニンへの、メチオニンのロイシンまたはイソロイシンへの、フェニルアラニンのチロシン、ロイシンまたはメチオニンへの、セリンのトレオニンへの、トレオニンのセリンへの、トリプトファンのチロシンへの、チロシンのトリプトファンまたはフェニルアラニンへの、およびバリンのイソロイシンまたはロイシンへの変化を含む。あるいは、置換は、非保存的であってもよく、したがって、ポリペプチドの機能または活性に影響を与える。非保存的変化は、残基の化学的に類似していないものでの置換、例えば、極性または荷電アミノ酸での非極性または非荷電アミノ酸での置換、また逆に非極性または非荷電アミノ酸の極性または荷電アミノ酸での置換を、典型的に含む。
一部の実施形態では、ヒト化抗体は、誘導体抗体である。そのようなヒト化抗体は、1つまたは複数の非ヒトCDRにアミノ酸残基置換、欠失または付加を含む。ヒト化抗体誘導体は、非誘導体ヒト化抗体と比較したとき、実質的に同じ結合を有することもあり、より良好な結合を有することもあり、またはより不良な結合を有することもある。一部の実施形態では、CDRの1、2、3、4または5個のアミノ酸残基は、変異、例えば、置換、欠失または付加されている。
一部の実施形態では、ポリペプチドは、誘導体ポリペプチドである。そのようなポリペプチドは、野生型ヒトPD-1と比較してアミノ酸残基置換、欠失または付加を含む。誘導体ポリペプチドは、非誘導体ポリペプチドと比較して抗glycPD-1抗体との実質的に同じ結合を有することもあり、より良好な結合を有することもあり、またはより不良な結合を有することもある。一部の実施形態では、ヒトPD-1の1、2、3、4または5個のアミノ酸残基は、変異、例えば、置換、欠失または付加されている。
本明細書に記載の抗体またはポリペプチドは、当業者に公知の技術を使用して化学修飾により修飾することができ、そのような技術としては、特異的な化学的切断、アセチル化、製剤化、ツニカマイシンの代謝合成などが挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態では、誘導体ポリペプチドまたは誘導体抗体は、親ポリペプチドまたは抗体と同様または同一の機能を有する。別の実施形態では、誘導体ポリペプチドまたは誘導体抗体は、親ポリペプチドまたは親抗体と比較して活性変化を示す。例えば、誘導体抗体(またはその断片)は、親抗体より強くそのエピトープと結合することができ、または親抗体より耐タンパク質分解性が大きいこともある。
誘導体化抗体における置換、付加または欠失は、該抗体のFc領域におけるものであることがあり、その結果、1つまたは複数のFcγRに対する該抗体の結合親和性を修飾するのに役立つことがある。1つまたは複数のFcγRとの結合修飾を伴う抗体の修飾方法は、当技術分野において公知であり、例えば、PCT公開番号国際公開第04/029207号、同第04/029092号、同第04/028564号、同第99/58572号、同第99/51642号、同第98/23289号、同第89/07142号、同第88/07089号,パンフレット、ならびに米国特許第5,843,597号および同第5,642,821号を参照されたく、これらの参照文献のすべては、それら全体が参照により本明細書に組み込まれている。一部の実施形態では、抗体または他の分子は、活性化FcγR、例えば、FcγRIIIAに対する親和性の変化を示すことができる。好ましくは、そのような修飾は、Fc媒介エフェクター機能の変化も有する。Fc媒介エフェクター機能を変化させる修飾は当技術分野において公知である(例えば、米国特許第6,194,551号明細書および国際公開第00/42072号パンフレットを参照されたい)。一部の実施形態では、Fc領域の修飾は、抗体媒介エフェクター機能の変化、他のFc受容体(例えば、Fc活性化受容体)との結合の変化、抗体依存性細胞介在性細胞傷害(ADCC)活性の変化、C1q結合活性の変化、補体依存性細胞傷害活性(CDC)の変化、食細胞活性、またはこれらの任意の組み合わせを有する抗体をもたらす。
誘導体抗体またはポリペプチドは、哺乳動物、好ましくは、ヒトにおける親分子または親抗体の半減期(例えば、血清半減期)の変化を有することもできる。一部の実施形態では、そのような変化は、15日より長い、好ましくは、20日より長い、25日より長い、30日より長い、35日より長い、40日より長い、45日より長い、2カ月より長い、3カ月より長い、4カ月より長い、または5カ月より長い半減期をもたらす。哺乳動物、好ましくは、ヒトにおけるヒト化抗体またはポリペプチドの半減期増加は、哺乳動物における同抗体またはポリペプチドのより高い血清力価をもたらし、したがって、前記抗体もしくはポリペプチドの投与頻度を低減させ、および/または投与される前記抗体もしくはポリペプチドの濃度を低下させる。in vivo半減期が増加した抗体またはポリペプチドは、当業者に公知の技術によって生成することができる。例えば、in vivo半減期が増加した抗体またはポリペプチドは、FcドメインとFcRn受容体間の相互作用に関与すると同定されたアミノ酸残基を修飾する(例えば、置換する、欠失させる、または付加させる)ことにより生成することができる。本明細書に記載のヒト化抗体を、生物学的半減期を増加させるように操作することができる(例えば、米国特許第第6,277,375号明細書を参照されたい)。例えば、本明細書に記載のヒト化抗体のFcヒンジドメインを、in vivoまたは血清半減期増加を有するように操作することができる。
in vivo半減期が増加された本明細書に記載の抗体またはポリペプチドは、前記抗体またはポリペプチドポリマー分子、例えば高分子量ポリエチレングリコール(PEG)への結合により生成することができる。PEGを抗体またはポリペプチドに、多官能性リンカーを用いて、または用いずに、前記分子もしくは抗体のN末端もしくはC末端へのPEGの部位特異的コンジュゲーションによって、またはリジン残基上に存在するイプシロンアミノ基を介して、結合させることができる。生物学的活性の損失をほとんどもたらさない直鎖状または分岐ポリマー誘導体化を使用することができる。コンジュゲーションの程度をSDS-PAGEおよび質量分析によって厳密にモニターして、PEG分子と抗体の適切なコンジュゲーションを保証することができる。未反応PEGは、例えばサイズ排除またはイオン交換クロマトグラフィーによって、抗体-PEGコンジュゲートから分離することができる。
本明細書に記載の抗体またはポリペプチドをDavisらによって記載された方法およびカップリング剤(例えば、米国特許第4,179,337号明細書を参照されたい)によって修飾して、実質的に免疫原性応答なしに哺乳動物循環系に注射することができる組成物を得ることもできる。Fc部分の除去は、抗体断片が望ましくない免疫応答を惹起することになる尤度を低下させることができ、それ故、Fcのない抗体を予防的または治療的処置に使用することができる。上記の通り、抗体をキメラ抗体、部分的または完全ヒト抗体になるように構築して、他の種において産生されたまたは他の種からの配列を有する抗体を動物に投与した結果として生じる有害な免疫学的帰結を低減または排除することもできる。
融合体およびコンジュゲート
本明細書で提供される抗glycPD-1抗体またはグリコシル化PD-1ポリペプチドを、他のタンパク質との融合タンパク質として発現させることもでき、または別の部分に化学的にコンジュゲートすることもできる。
一部の実施形態では、本明細書で提供されるのは、Fc部分を有する抗体またはポリペプチドであって、Fc部分が、アイソタイプもしくはサブクラスによって様々でありえ、キメラもしくはハイブリッドであってもよく、ならびに/または例えば、エフェクター機能、半減期の制御、組織到達性を向上させるように、安定性などの生物物理学的特性を増大させるように、および産生効率を向上させる(およびより安価にする)ように、修飾することができる、抗体またはポリペプチドである。開示される融合タンパク質の構築に有用な多くの修飾およびそれらを行う方法は当技術分野において公知であり、例えば、Mueller, J. P. et al., Mol. Immun. 34(6):441-452 (1997)、Swann, P. G., Curr. Opin. Immun. 20:493-499 (2008)、およびPresta, L. G., Curr. Opin. Immun. 20:460-470 (2008)を参照されたい。一部の実施形態では、Fc領域は、天然IgG1、IgG2またはIgG4 Fc領域である。一部の実施形態では、Fc領域は、ハイブリッドであり、例えば、IgG2/IgG4 Fc定常領域を有するキメラFc領域である。Fc領域の修飾体は、Fcガンマ受容体および補体への結合を防止するように修飾されたIgG4、1つまたは複数のFcガンマ受容体への結合を改善するように修飾されたIgG1、エフェクター機能(アミノ酸変化)を最小にするように修飾されたIgG1、グリカンが(典型的には発現宿主を変えることにより)変化した/ないIgG1、およびFcRnへのpH依存性結合が変化したIgG1を含むが、これらに限定されない。Fc領域は、ヒンジ領域全体を含むこともあり、またはヒンジ領域全体未満を含むこともある。
別の実施形態は、IgG2~4ハイブリッドおよびIgG4変異体であって、それらの半減期を増加させるFcRへの結合が低減されたハイブリッドおよび変異体を含む。代表的なIG2~4ハイブリッドおよびIgG4変異体は、Angal et al., Molec. Immunol. 30(1):105-108 (1993);Mueller et al., Mol. Immun. 34(6):441-452 (1997);および米国特許第6,982,323号明細書に記載されており、これらの参照文献は、それら全体が参照により本明細書に組み込まれている。一部の実施形態では、IgG1および/またはIgG2ドメインが欠失されており、例えば、Angalらは、セリン241がプロリンで置換されたIgG1およびIgG2を記載している。
一部の実施形態では、本明細書で提供されるのは、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、少なくとも90または少なくとも100個のアミノ酸を有する融合タンパク質またはポリペプチドである。
一部の実施形態では、本明細書で提供されるのは、連結している、または共有結合している、または少なくとも1つの部分との複合体になっている、抗glycPD-1抗体またはグリコシル化PD-1ポリペプチドである。そのような部分は、これらに限定されないが、診断または治療剤としての分子の効力を増加させるものでありうる。一部の実施形態では、部分は、イメージ剤、毒素、治療用酵素、抗生物質、放射標識ヌクレオチドなどでありうる。
一部の実施形態では、部分は、酵素、ホルモン、細胞表面受容体、毒素(例えば、アブリン、リシンA、緑膿菌外毒素(すなわち、PE-40)、ジフテリア毒素、リシン、ゲロニン、もしくはヤマゴボウ抗ウイルスタンパク質)、タンパク質(例えば、腫瘍壊死因子、インターフェロン(例えば、αインターフェロン、βインターフェロン)、神経成長因子、血小板由来増殖因子、組織プラスミノーゲンアクチベーター、もしくはアポトーシス剤(例えば、腫瘍壊死因子α、腫瘍壊死因子β))、生物学的応答修飾物質(例えば、リンホカイン(例えば、インターロイキン1’「IL-1」)、インターロイキン2(「IL-2」)、インターロイキン6(「IL-6」)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(「GM-CSF」)、顆粒球コロニー刺激因子(「G-CSF」)、もしくはマクロファージコロニー刺激因子(「M-CSF」))、もしくは成長因子(例えば、成長ホルモン(「GH」))など)、細胞毒(例えば、細胞傷害性薬剤もしくは細胞破壊剤、例えば、パクリタキソール、サイトカラシンB、グラミシジンD、臭化エチジウム、エメチン、マイトマイシン、エトポシド、テノポシド、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルヒチン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ジヒドロキシアントラシンジオン、ミトキサントロン、ミトラマイシン、アクチノマイシンD、1-デヒドロテストステロン、グルココルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロール、モノメチルオーリスタチンF(MMAF)、モノメチルオーリスタチンE(MMAE、例えばベドチン)およびピューロマイシンならびにそれらの類似体もしくは同族体)、代謝拮抗薬(例えば、メトトレキサート、6-メルカプトプリン、6-チオグアニン、シタラビン、5-フルオロウラシル、ダカルバジン)、アルキル化剤(例えば、メクロレタミン、チオテパ、クロラムブシル、メルファラン、BiCNU(登録商標)(カルムスチン;BSNU)およびロムスチン(CCNU)、シクロホスファミド、ブスルファン、ジブロモマンニトール、ストレプトゾシン、マイトマイシンC、および037
薬剤(例えば、ダウノルビシン(旧名ダウノマイシン)およびドキソルビシン)、抗生物質(例えば、ダクチノマイシン(旧名アクチノマイシン)、ブレオマイシン、ミトラマイシン、およびアントラマイシン(AMC))、または抗有糸分裂剤(例えば、ビンクリスチンおよびビンブラスチン)でありうる。
そのような治療用部分を抗体にコンジュゲートする技術は周知である。例えば、Amon et al., “Monoclonal Antibodies For Immunotargeting Of Drugs In Cancer Therapy”, in MONOCLONAL ANTIBODIES AND CANCER THERAPY, Reisfeld et al.(eds.), 1985, pp. 243-56, Alan R. Liss, Inc.);Hellstrom et al., “Antibodies For Drug Delivery”, in CONTROLLED DRUG DELIVERY (2nd Ed.), Robinson et al.(eds.), 1987, pp. 623-53, Marcel Dekker, Inc.);Thorpe, “Antibody Carriers Of Cytotoxic Agents In Cancer Therapy: A Review”, in MONOCLONAL ANTIBODIES '84: BIOLOGICAL AND CLINICAL APPLICATIONS, Pinchera et al.(eds.), 1985, pp. 475-506);“Analysis, Results, And Future Prospective Of The Therapeutic Use Of Radiolabeled Antibody In Cancer Therapy”, in MONOCLONAL ANTIBODIES FOR CANCER DETECTION AND THERAPY, Baldwin et al.(eds.), 1985, pp. 303-16, Academic Press;Thorpe et al., Immunol. Rev. 62:119-158 (1982);Carter et al., Cancer J. 14(3):154-169 (2008);Alley et al., Curr. Opin. Chem. Biol. 14(4):529-537 (2010);Carter et al., Amer. Assoc. Cancer Res. Educ. Book. 2005(1):147-154 (2005);Carter et al., Cancer J. 14(3):154-169(2008);Chari, Acc. Chem Res. 41(1):98-107 (2008);Doronina et al., Nat. Biotechnol. 21(7):778-784(2003);Ducry et al., Bioconjug Chem.21(1):5-13(2010);Senter, Curr. Opin. Chem. Biol. 13(3):235-244 (2009);およびTeicher, Curr Cancer Drug Targets. 9(8):982-1004 (2009)を参照されたい。オーリスタチンE)(MMAE)、例えばベドチン;またはそれらの組み合わせ。
好ましい実施形態では、抗体は、エチオピアの低木メイテヌス・オバツス(Maytenus ovatus)の樹皮から最初に単離されたベンゾアンサマクロライドであるメイタンシンにコンジュゲートされている。この細胞傷害性薬剤およびその誘導体(例えば、メイタンシノイド)は、ビンカアルカロイド部位付近のチューブリンと結合する。それらは、微小管の末端に位置するチューブリンに対して高い親和性を有し、微小管全体にわたって分布している部位に対してより低い親和性を有すると考えられている。微小管動態の抑制は、細胞を細胞周期のG2/M期で停止させ、最終的にはアポトーシスにより細胞死をもたらす。(Oroudjev et al., Mol. Cancer Ther., 10L2700-2713 (2010))。2つのメイタンシン誘導体(チオール含有メイタンシノイド)として、不可逆的リンカーおよび可逆的リンカーと組み合わせて広範に使用されているDM1およびDM4(ImmunoGen,Inc.、Waltham、MA)が挙げられる。詳細には、チオエーテルリンカーで抗体に結合されたDM1は、「エムタンシン」と呼ばれ、SPPリンカーで抗体に結合されたDM1は、「メルタンシン」と呼ばれる。SPDBリンカーで結合されたDM4は、「ラブタンシン」と呼ばれ、sSPDBリンカーで結合されたDM4は、「ソラブタンシン」と呼ばれる。(ImmunoGen,Inc.、Waltham、MA)。ある実施形態では、抗glycPD-1抗体-ADCは、チューブリン作用メイタンシノイドペイロードDM1を含む。ある実施形態では、抗glycPD-1抗体-ADCは、チューブリン作用メイタンシノイドペイロードDM4を含む。ある実施形態では、抗glycPD-1抗体-ADCは、DNA作用ペイロード、例えば、DGN462(ImmunoGen,Inc.、Waltham、MA)を含む。ある実施形態では、抗glycPD-1抗体-ADCの抗glycPD-1抗体成分は、STM418のキメラもしくはヒト化形態、またはその結合部分である。ある実施形態では、抗glycPD-1抗体-ADCの抗glycPD-1抗体成分は、STM432のキメラもしくはヒト化形態、またはその結合部分である。
特定の実施形態では、抗glycPD-1抗体にコンジュゲートされる細胞傷害性薬剤は、MMAE(モノメチルオーリスタチンE(またはデスメチル-オーリスタチンE))であり、該MMAEは、その抗有糸分裂活性が、チューブリンの重合を阻止することにより細胞分裂を阻害することを含む、高毒性の抗腫瘍剤である。国際一般名ベドチンは、MMAE-抗体コンジュゲートにおける抗体へのその結合構造を加えたMMAEを意味する。より特定の実施形態では、ADCは、STM418(キメラもしくはヒト化形態)-MMAE、またはSTM432(キメラもしくはヒト化形態)-MMAEである。
いくつかの化学的リンカーが公知であり、細胞傷害性薬物またはDNA作用薬ペイロードを抗体にコンジュゲートしてADCを産生するために使用される。抗glycPD-1抗体、特に、本明細書に記載されているようなそれらの標的に結合後にそれらの標的を内在化する抗glycPD-1抗体を含むADCを産生するための単独でのまたは組み合わせでの使用に採用される、ある特定のリンカーとしては、SMCC(4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサンカルボン酸N-ヒドロキシスクシンイミドエステル);SPDB(3-(2-ピリジルジチオ)酪酸N-スクシンイミジル);SPP(4-(2-ピリジルジチオ)ペンタン酸N-スクシンイミジル);スルホ-SPDBまたはsSPDB(4-(2-(ピリジルチオ)-2-スルホブタン酸N-スクシンイミジル);チオエーテルリンカー4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボン酸スクシンイミジル(MCC);およびvc(バリン-シトルリンジペプチドリンカー)が挙げられる。例として、操作リンカー(例えば、SMCC、SPDB、S-SPDB)、(Immunogen,Inc.)は、ADCの腫瘍への結合前には安定しているように、そしてその後、ACDががん細胞に内在化された時点でペイロードの効力を最適化するように、設計されている。カテプリン切断性リンカーである、ジペプチドvcリンカーなどの他のリンカーを使用して、ドラスタチン10に由来する有糸分裂阻害剤であるオーリスタチン、例えば、モノメチルオーリスタチンE(MMAE)、例えばベドチンなどの、細胞傷害性薬剤に、抗体をコンジュゲートしてもよい。細胞毒を抗体に、1個より多くの毒素分子が各抗体分子に結合されるように、例えば1抗体当り平均で2、3、4、5、6、7または8個の毒素分子が存在しうるように、コンジュゲートしてもよい。
特定の実施形態では、MMAEは、バリン-シトルリン-p-アミノベンジルオキシカルボニル-MMAEに結合されているマレイミドカプロイル(MC)結合基(Mc-vc-PAB-MMAE)によって、抗体システインに間接的に連結される。「MC-vc-PAB-MMAE」直鎖状構造では、「MC」は、マレイミドおよびカプロン酸からなり、抗体に通常はH鎖上のシステイン基を介して結合する部分である。順番に、「MC」は、「vc」リンカーに結合しており、この「vc」リンカーは、バリン(Val)およびシトルリン(Cit)からなり、腫瘍またはがん細胞内部のカテプシンにより切断されるカテプリン切断性リンカーである。「vc」は、スペーサー「PAB」、すなわち、パラアミノ安息香酸に結合しており、そのPABにMMAE細胞毒が連結されている。MC-vc-PAB-MMAC ADCは、カテプシンBなどのプロテアーゼにより切断されると膜透過性の遊離MMAEを放出する。ある実施形態では、抗体へのリンカーは、細胞外液中では安定しているが、ADCが腫瘍またはがん細胞に入り、かくてMMAEまたは他の毒薬の抗有糸分裂メカニズムを活性化した時点で、カテプシンにより切断される。別の実施形態では、モノメチルオーリスタチンF、(MMAF)は、マレイミドカプロイル(MC-MMAF)により抗体システインに連結される。MC-vc-PAB-MMAE ADCとは対照的に、MC-MMAF ADCは、MCC-DM1 ADCと同様に切断不能であり、細胞に内在化され、細胞内で分解されて、細胞内で活性薬物としてのシステイン-MC-MMAFを放出しなければならない。
ある実施形態では、細胞傷害性ペイロードは、細胞へのADCの内在化後にリソソーム内に放出される。リソソーム内で、リソソーム酵素が、ADCの抗体成分を消化する。リソソーム分解後、薬物(および薬物-リンカー)ペイロードは、細胞質に放出され、そこで薬物は細胞内の標的に結合し、最終的には細胞死を引き起こす。最適には、放出されるペイロードは、十分に活性であり、リンカーがまだ付いている。ADCに結合された標的がリソソームへの輸送不良をもたらす他の実施形態では、標的細胞の外部では安定しているが、細胞の内部に入ると抗体成分からペイロードを切断するリンカーが、細胞内で、しかしリソソームの外部でペイロードを放出するための代替法になる。他の実施形態では、リンカーは、細胞外液中では安定しているが、ADCが腫瘍またはがん細胞に入り、かくて毒薬の抗有糸分裂または他の細胞傷害メカニズムを活性化した時点で、カテプシンにより切断される。他の実施形態では、切断性リンカーの作用により放出されたペイロードは、隣接がん細胞に入り、バイスタンダー効果によりそれらを殺滅し、かくてADCの標的化および腫瘍殺滅活性を増大させることができる。
一部の実施形態では、本明細書に記載の抗体およびポリペプチドを、精製を助長するためにペプチドなどのマーカーにコンジュゲートすることができる。一部の実施形態では、マーカーは、ヘキサヒスチジンペプチド(配列番号42)、インフルエンザヘマグルチニンタンパク質に由来するエピトープに対応するヘマグルチニン「HA」タグ(Wilson, I. A. et al., Cell, 37:767-778 (1984))、または「flag」タグ(Knappik, A. et al., Biotechniques 17(4):754-761 (1994))である。
一部の実施形態では、部分は、アッセイで検出することができるイメージ剤でありうる。そのようなイメージ剤は、酵素、補欠分子族、放射標識、非放射性常磁性金属イオン、ハプテン、蛍光標識、リン光分子、化学発光分子、クロモフォア、発光分子、生物発光分子、光親和性分子、着色粒子またはリガンド、例えばビオチンでありうる。
一部の実施形態では、酵素には、これらに限定されないが、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、ベータガラクトシダーゼ、またはアセチルコリンエステラーゼが含まれ;補欠分子族複合体には、これらに限定されないが、ストレプトアビジン/ビオチンおよびアビジン/ビオチンが含まれ;蛍光物質には、これらに限定されないが、ウンベリフェロン、フルオレセイン、イソチオシアン酸フルオレセイン、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、ダンシルクロリドまたはフィコエリトリンが含まれ;発光物質は、例えば、これに限定されないが、ルミノールであり;生物発光物質には、これらに限定されないが、ルシフェラーゼ、ルシフェリン、およびエクオリンが含まれ;放射性物質には、これらに限定されないが、ビスマス(213Bi)、炭素(14C)、クロム(51Cr)、コバルト(57Co)、フッ素(18F)、ガドリニウム(153Gd、159Gd)、ガリウム(68Ga、67Ga)、ゲルマニウム(68Ge)、ホルミウム(166Ho)、インジウム(115In、113In、112In、111In)、ヨウ素(131I、125I、123I、121I)、ランタン(140La)、ルテニウム(177Lu)、マンガン(54Mn)、モリブデン(99Mo)、パラジウム(103Pd)、リン(32P)、プラセオジム(142Pr)、プロメチウム(149Pm)、レニウム(186Re、188Re)、ロジウム(105Rh)、ルテニウム(97Ru)、サマリウム(153Sm)、スカンジウム(47Sc)、セレン(75Se)、ストロンチウム(85Sr)、硫黄(35S)、テクネチウム(99Tc)、タリウム(201Ti)、スズ(113Sn、117Sn)、トリチウム(3H)、キセノン(133Xe)、イッテルビウム(169Yb、175Yb)、イットリウム(90Y)、亜鉛(65Zn);様々なポジトロン放出断層撮影を使用するポジトロン放出物質、および常磁性金属イオンが含まれる。
当技術分野において公知の技術を使用して、イメージ剤を本明細書で提供される抗体またはポリペプチドに直接、または介在物(例えば、当技術分野において公知のリンカーなど)によって間接的に、コンジュゲートすることができる。例えば、診断剤として使用するために本明細書に記載の抗体および他の分子にコンジュゲートすることができる金属イオンについては米国特許第4,741,900号明細書を参照されたい。一部のコンジュゲーション方法は、例えば、抗体に結合されたジエチレントリアミン四酢酸無水物(DTPA)、エチレントリアミン四酢酸、N-クロロ-p-トルエンスルホンアミドおよび/またはテトラクロロ-3-6α-ジフェニルグリコウリル-3などの有機キレート剤を用いる、金属キレート錯体の使用を含む。モノクローナル抗体をグルタルアルデヒドまたは過ヨウ素酸塩などのカップリング剤の存在下で酵素と反応させることもできる。フルオレセインマーカーを有するコンジュゲートは、これらのカップリング剤の存在下で、またはイソチオシアン塩との反応により、調製することができる。
一部の実施形態では、本明細書に記載の抗体またはポリペプチドは、Segalにより米国特許第4,676,980号明細書に記載されたように二次抗体にコンジュゲートして抗体ヘテロコンジュゲートを形成することができる。そのようなヘテロコンジュゲート抗体を、さらにハプテン(例えば、フルオレセイン)に、または細胞マーカー(例えば、4-1-BB、B7-H4、CD4、CD8、CD14、CD25、CD27、CD40、CD68、CD163、CTLA4、GITR、LAG-3、OX40、TIM3、TIM4、TLR2、LIGHT、ICOS、B7-H3、B7-H7、B7-H7CR、CD70、CD47)に、またはサイトカイン(例えば、IL-7、IL-15、IL-12、IL-4 TGF-beta、IL-10、IL-17、IFNγ、Flt3、BLys)に、またはケモカイン(例えば、CCL21)に結合させることができる。
一部の実施形態では、本明細書に記載の抗glycPD-1抗体またはグリコシル化PD-1ポリペプチドを固体支持体に結合させることもでき、これは、標的抗原のイムノアッセイもしくは精製に、または支持体に固定化された標的抗原に本明細書に記載の抗体または抗原結合断片への結合によって結合することができる他の分子のイムノアッセイもしくは精製に、有用でありうる。そのような固体支持体としては、ガラス、セルロース、ポリアクリルアミド、ナイロン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニルまたはポリプロピレンが挙げられるが、これらに限定されない。
タンパク質精製
タンパク質精製技術は、当業者に周知である。これらの技術は、あるレベルでの、細胞、組織または器官の均質化およびペプチド画分と非ペプチド画分への粗分画を含む。目的タンパク質またはポリペプチドは、別段の指定がない限り、クロマトグラフィー技術および電気泳動技術を使用してさらに精製して部分または完全精製(または均一になるまでの精製)を果たすことができる。純粋なペプチドの調製に特に適した分析方法は、イオン交換クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、ポリアクリルアミドゲル電気泳動、アフィニティークロマトグラフィー、イムノアフィニティークロマトグラフィー、および等電点電気泳動である。特に効率的なペプチド精製方法は、高速液体クロマトグラフィー(fast-performance liquid chromatography)(FPLC)またはさらには高速液体クロマトグラフィー(high-performance liquid chromatography)(HPLC)である。当技術分野において一般に公知であるように、様々な精製ステップを行う順序を変えることができる、またはある特定のステップを省いてもよく、結果的に、それでもなお、実質的に精製されたポリペプチドの調製に好適な方法となると考えられる。
精製されたポリペプチドは、他の成分から単離可能な組成物であって、ポリペプチドがその天然に得ることができる状態と比較して任意の程度に精製されている組成物への言及を意図したものである。したがって、単離されたまたは精製されたポリペプチドは、それが天然に存在する環境から分離されたポリペプチドも意味する。一般に、「精製された」は、分画に付されて様々な他の成分が除去されたポリペプチド組成物であって、述べられているその生物活性を実質的に保持する組成物を意味することになる。用語「実質的に精製された」が使用される場合、この表記は、ポリペプチドが、組成物の主要成分を形成する、例えば、組成物のタンパク質の約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%以上を構成する、組成物を意味することになる。
ポリペプチドの精製度を定量するための様々な方法は、本開示に鑑みて、当業者には公知である。これらは、例えば、活性画分の比活性度を決定すること、またはSDS/PAGE分析により画分中のポリペプチドの量を評価することを含む。画分の純度の好ましい評価方法は、画分の比活性度を計算すること、それを初期抽出物の比活性度と比較すること、そしてそのようにして、「精製倍率の数値」により評価されるそれらに関する純度を計算することである。活性の量を表すために使用される実際の単位は、精製を追跡するために選択される特定のアッセイ技術、および発現されるポリペプチドが検出可能な活性を示すか否かに、もちろん、依存することになる。
ポリペプチドが常にその最も精製された状態で提供されるという一般要件はない。実際、ある特定の実施形態では実質的精製度の低い生成物に有用性がありうると考えられる。部分精製は、より少ない精製ステップを組み合わせて使用することにより、または異なる形の同じ一般精製スキームを利用することにより、果たすことができる。例えば、HPLC装置を用いて行われる陽イオン交換カラムクロマトグラフィーが、低圧クロマトグラフィーシステムを用いる同じ技術より高い精製「倍率」を一般にもたらすことになることは、理解される。より低い相対精製度を示す方法は、タンパク質産物の総回収率の点で、または発現されるタンパク質の活性を意味する点で有利でありうる。
アフィニティークロマトグラフィーは、単離される物質と、それが特異的に結合することができる分子との間の特異的親和性に依存するクロマトグラフィー手順である。これは、受容体-リガンド型の相互作用である。カラム材料は、結合パートナーの一方の不溶性マトリックスへの共有結合的カップリングにより合成される。それ故、カラム材料は、溶液から物質を特異的に吸着することができる。溶離は、条件を、結合が起こらない条件(例えば、変化したpH、イオン強度、温度など)に変えることによって起こる。マトリックスは、分子をいかなる有意な程度にも吸着しない物質であって、広範な化学的、物理学的および温度安定性を有する物質であるべきである。リガンドを、その結合特性に影響を与えないような方法でカップリングすべきである。リガンドはまた、比較的強い結合を提供すべきである。試料またはリガンドを破壊することなく物質を溶出することが可能であるべきである。
サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)は、溶液中の分子がそれらのサイズ、より専門的な用語では、それらの流体力学的体積に基づいて分離される、クロマトグラフィーの方法である。これは、通常、大分子または高分子複合体、例えばタンパク質および工業用ポリマーに適用される。典型的には、カラムを通して試料を輸送するために水溶液が使用される場合、この技術は、有機溶媒が移動相として使用される場合に使用されるゲル浸透クロマトグラフィーという名に対して、ゲル濾過クロマトグラフィーと称される。SECの基礎をなす原理は、異なるサイズの粒子が異なる速度で固定相を通って溶出(濾過)することになるということである。この結果、サイズに基づいて粒子の溶液が分離されることになる。粒子すべてが同時にまたはほぼ同時に負荷される限り、同じサイズの粒子は、一緒に溶出するはずである。
高速液体クロマトグラフィー(または高圧液体クロマトグラフィー、HPLC)は、化合物を分離、同定および定量するために生化学および分析化学で頻繁に使用されるカラムクロマトグラフィーの一形態である。HPLCは、クロマトグラフィー充填材料(固定相)を保持するカラム、そのカラムを通って移動相を移動させるポンプ、および分子の滞留時間を示す検出器を用いる。滞留時間は、固定相と分析すべき分子と使用される溶媒との間の相互作用によって変わる。
本明細書で提供されるのは、PD-1グリコシル化、N結合型グリコシル化またはN-グリコシル化を評価する方法であって、PD-1含有試料と実施形態の抗体(例えば、非グリコシル化PD-1と比較してグリコシル化PD-1と選択的に結合する抗体)を接触させるステップを含む方法である。一部の態様では、この方法は、in vitro方法である。ある特定の態様では、試料は、細胞試料である。
核酸
本開示は、本明細書に記載の任意の抗glycPD-1抗体またはグリコシル化PD-1ポリペプチドをコードする核酸分子(DNAまたはRNA)も企図している。本明細書で提供されるのは、そのような核酸分子を伝達または複製することができるベクター分子(例えば、プラスミド)でもある。核酸は、一本鎖であってもよく、二本鎖であってもよく、一本鎖部分と二本鎖部分の両方を含有してもよい。
医薬調製物
抗体を含有する医薬組成物の臨床応用に着手する場合、所期の用途に適した医薬組成物または治療用組成物を調製するのが一般に有利である。一般に、医薬組成物は、本明細書に記載の抗glycPD-1抗体またはグリコシル化PD-1ポリペプチドの有効量を有することができ、またはそれを薬学的に許容される担体に溶解もしくは分散されたさらなる薬剤と共に有することができる。
本明細書で提供されるのは、本明細書に記載の抗glycPD-1抗体またはグリコシル化PD-1ポリペプチドを有する組成物でもある。一部の実施形態では、組成物は、抗体またはポリペプチドを少なくとも0.1重量%有することができる。一部の実施形態では、組成物は、少なくとも0.5重量%、1重量%、2重量%、3重量%、4重量%、5重量%、6重量%、7重量%、8重量%、9重量%、10重量%、15重量%、20重量%、25重量%、30重量%、35重量%、40重量%、45重量%、50重量%、55重量%、60重量%、65重量%、70重量%、75重量%、80重量%、85重量%、90重量%以上の抗glycPD-1抗体またはグリコシル化PD-1ポリペプチドを有することができる。他の実施形態では、例えば、抗glycPD-1またはグリコシル化PD-1ポリペプチドは、組成物の重量の約2%~約75%の間、約25%~約60%の間、約30%~約50%の間、またはその中の任意の範囲を構成することができる。好適な投薬量が、投与される任意の化合物単位用量で得られるように、各治療有用組成物中の活性化合物の量を調製することができる。溶解度、バイオアベイラビリティ、生物学的半減期、投与経路、製品の有効期間、および他の薬理学的考慮事項などの因子が、そのような医薬製剤を調製する技術分野の当業者によって熟考され、しかるが故に、様々な投薬量および処置レジメンが望ましいものでありうる。
組成物は、抗glycPD-1抗体またはグリコシル化PD-1ポリペプチドを活性成分として有し、薬学的に許容される担体も有する、医薬組成物でありうる。医薬組成物は、1つまたは複数のさらなる活性成分をさらに含むことができる。薬学的に許容される担体は、動物での使用、さらに特にヒトでの使用が、連邦もしくは州政府の監督官庁によって承認された担体、または米国薬局方、欧州薬局方もしくは他の一般に認知されている薬局方に記載されている担体でありうる。
本明細書で使用される場合、別段の指定がない限り、用語「担体」は、治療剤と共に投与される、希釈剤、アジュバント(例えば、フロイントアジュバント(完全もしくは不完全))、賦形剤、安定剤またはビヒクルを意味する。「薬学的に許容される担体」は、用いられる投薬量および濃度でそれに曝露される細胞または哺乳動物にとって非毒性である担体であり、該担体は、滅菌液、例えば、水、油(石油、動物、植物または合成起源のもの、例えば、ピーナッツ油、ダイズ油、鉱油、ゴマ油などを含む)でありうる。薬学的に許容される分子実体または組成物は、ヒトなどの動物に必要に応じて投与されたとき、有害反応、アレルギー反応または他の望ましくない反応を生じさせない。抗体またはさらなる活性成分を有する医薬組成物の調製は、参照により本明細書に組み込まれているRemington's Pharmaceutical Sciences, 18th Ed., 1990によって例示されているので、本明細書に鑑みて、当業者には公知である。さらに、動物(例えば、ヒト)への投与のために、調製物が、FDA Office of Biological Standardsにより要求されるような無菌性、発熱性、一般安全性および純度基準を満たすべきであることは理解されるであろう。
組成物は、1ml当り約0.001mgおよび約10mgの抗体またはポリペプチド総量を含むと考えられる。したがって、組成物中の抗体またはポリペプチドの濃度は、約0.001、0.010、0.050、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、10.0mg/ml以上(またはこれらの中から導き出すことができる任意の範囲)でありうる。このうち、約、少なくとも約、または最大で約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99または100%が、抗glycPD-1抗体またはグリコシル化PD-1ポリペプチドでありうる。
本明細書に記載の抗体または他のポリペプチドを活性成分として有する医薬組成物の調製は、参照により本明細書に組み込まれているRemington's Pharmaceutical Sciences, 18th Ed., 1990によって例示されているので、本明細書に鑑みて、当業者には公知である。さらに、動物(ヒトを含む)への投与のために、調製物が、FDA Office of Biological Standardsにより要求されるような無菌性、発熱性、一般安全性および純度基準を満たすべきであることは理解される。
薬学的に許容される担体は、液体、半固体、すなわちペースト、または固体担体を含む。担体または希釈剤の例としては、脂肪、油、水、生理食塩水、脂質、リポソーム、樹脂、結合剤、充填剤など、またはそれらの組み合わせが挙げられる。薬学的に許容される担体は、水性溶媒(例えば、水、アルコール溶液/水溶液、エタノール、生理食塩水、非経口ビヒクル、例えば塩化ナトリウム、リンゲルデキストロースなど)、非水性溶媒(例えば、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油、および注射用有機エステル、例えばオレイン酸エチル)、分散媒、コーティング剤(例えば、レシチン)、界面活性剤、抗酸化剤、保存剤(例えば、抗菌または抗真菌剤、抗酸化剤、キレート剤、不活性ガス、パラベン(例えば、メチルパラベン、プロピルパラベン)、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサール)、等張剤(例えば、糖、塩化ナトリウム)、吸収遅延剤(例えば、モノステアリン酸アルミニウム、ゼラチン)、塩、薬物、薬物安定剤(例えば、緩衝剤、アミノ酸、例えばグリシンおよびリシン、炭水化物、例えばデキストロース、マンノース、ガラクトース、フルクトース、ラクトース、スクロース、マルトース、ソルビトール、マンニトールなど)、ゲル、結合剤、賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、甘味剤、着香剤、色素、補充液および栄養補給剤、当業者に公知であろう同様の物質およびそれらの組み合わせを含みうる。任意の従来の媒体、薬剤、希釈剤または担体が、レシピエントに対してまたはその中に含まれている組成物の治療有効性に対して有害である場合を除き、本方法を実施する際に使用するための投与可能な組成物におけるその使用は、適切である。医薬組成物中の様々な成分のpHおよび正確な濃度は、周知のパラメーターに従って調整される。本開示のある特定の態様に従って、任意の適便かつ実用的な方法で、すなわち、溶解、懸濁、乳化、混合、カプセル化、吸収、粉砕などによって、組成物を担体と併せることができる。そのような手順は、当業者にとって日常的なものである。
一部の実施形態では、薬学的に許容される担体は、pH緩衝水溶液でありうる。例としては、緩衝液、例えば、リン酸、クエン酸および他の有機酸;アスコルビン酸をはじめとする抗酸化剤;低分子量(例えば、約10個未満のアミノ酸残基)のポリペプチド;タンパク質、例えば、血清アルブミン、ゼラチンもしくは免疫グロブリン;親水性ポリマー、例えば、ポリビニルピロリドン;アミノ酸、例えば、グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニンもしくはリジン;グルコース、マンノースもしくはデキストリンをはじめとする、単糖類、二糖類および他の炭水化物;キレート剤、例えば、EDTA;糖アルコール、例えば、マンニトールもしくはソルビトール;塩形成性対イオン、例えば、ナトリウム;ならびに/または非イオン性界面活性剤、例えば、TWEEN(商標)、ポリエチレングリコール(PEG)およびPLURONICS(商標)が挙げられる。
一部の実施形態では、薬学的に許容される担体は、滅菌液、例えば、水および油(石油、動物、植物または合成起源のもの、例えば、ピーナッツ油、ダイズ油、鉱油などを含む)でありうる。水は、特に医薬組成物が静脈内投与されるときの、担体でありうる。生理食塩水、ならびにデキストロースおよびグリセロール水溶液も、特に注射用溶液に、液体担体として用いることができる。適する医薬賦形剤としては、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、米、小麦粉、白亜、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、タルク、塩化ナトリウム、脱脂粉乳、グリセロール、プロピレングリコール、水、エタノール、ポリソルベート-80などが挙げられる。組成物は、少量の湿潤もしくは乳化剤、またはpH緩衝剤も含有しうる。これらの組成物は、溶液、懸濁液、エマルジョン、錠剤、ピル、カプセル、粉末、徐放性製剤などの形態をとることができる。
本開示のある特定の実施形態は、それが、固体形態で投与されることになるのか、液体形態で投与されることになるのか、またはエアロゾル形態で投与されることになるのか、およびそれが、注射などの投与経路のために無菌である必要があるのかに依存して、異なるタイプの担体を有しうる。組成物を静脈内、皮内、経皮、髄腔内、動脈内、腹腔内、鼻腔内、膣内、直腸内、筋肉内、皮下、粘膜、経口、局部、局所、吸入(例えば、エアロゾル吸入)による、注射による、注入による、持続注入による、標的細胞を直接浸す局所的な灌流による、カテーテルによる、洗浄による、脂質組成物(例えば、リポソーム)での、または当業者に公知であろう他の方法または前述のものの任意の組み合わせによる投与用に製剤化することができる(例えば、参照により本明細書に組み込まれているRemington’s Pharmaceutical Sciences, 18th Ed., 1990を参照されたい)。典型的に、そのような組成物を溶液または懸濁液のどちらかとして調製することができ、注射前に液体を添加することにより溶液または懸濁液を調製するための使用に好適な固体形態を調製することもでき、調製物を乳化させることもできる。
抗glycPD-1抗体またはグリコシル化PD-1ポリペプチドを遊離塩基、中性または塩形態の組成物に製剤化することができる。薬学的に許容される塩には、酸付加塩、例えば、タンパク質性組成物の遊離アミノ基とで形成される酸付加塩、あるいは例えば塩酸もしくはリン酸などの無機酸とで、または酢酸、シュウ酸、酒石酸もしくはマンデル酸のような有機酸とで形成される酸付加塩が含まれる。遊離カルボキシル基とで形成される塩を、例えばナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウムもしくは水酸化第二鉄などの無機塩基から誘導することもでき、またはイソプロピルアミン、トリメチルアミン、2-エチルアミノエタノール、ヒスチジンもしくはプロカインのような有機塩基から誘導することもできる。
さらなる実施形態では、本明細書で提供されるのは、脂質を有する医薬組成物である。脂質は、特徴として水に不溶性であり、有機溶媒で抽出可能である、物質の一類である。例としては、長鎖脂肪族炭化水素およびそれらの誘導体を含有する化合物が挙げられる。脂質は、天然起源であることもあり、または合成である(すなわち、人間により設計もしくは製造される)こともある。脂質は、生物学的物質である。生物学的脂質は当技術分野において周知であり、例えば、中性脂肪、リン脂質、ホスホグリセリド、ステロイド、テルペン、リゾ脂質、スフィンゴ糖脂質、糖脂質、スルファチド、エーテル結合およびエステル結合脂肪酸を有する脂質、重合性脂質、ならびにそれらの組み合わせを含む。当業者に脂質として理解される、本明細書に具体的に記載のもの以外の化合物も、使用することができる。
当業者は、脂質ビヒクル中に組成物を分散させるために用いることができる技術範囲を熟知しているであろう。例えば、抗体またはポリペプチドを、脂質を含有する溶液に分散させることができ、脂質と共に溶解することができ、脂質を用いて乳化させることができ、脂質と混合することができ、脂質と併せることができ、脂質と共有結合させることができ、脂質に懸濁物として含めることができ、ミセルもしくはリポソームに含めるもしくはそれらと複合体化することができ、または当業者に公知の任意の手段により脂質もしくは脂質構造と別様に会合させることができる。分散の結果として、リポソームが形成されることもあり、またはされないこともある。
一般に、組成物の成分は、別々にまたは混合して単位剤形で、例えば、活性薬剤の量を示すアンプルまたはサッシェなどの密封容器内の凍結乾燥ドライパウダーまたは無水濃縮物として供給される。組成物が吸入によって投与されることになる場合、医薬品グレードの滅菌水または食塩水が入っている吸入ボトルで組成物を投薬することができる。組成物が注射によって投与される場合、投与前に成分を混合することができるように注射用滅菌水または食塩水用のアンプルを提供することができる。
好適な投薬量が、投与される任意の化合物単位用量で得られるように、各治療有用組成物中の活性成分の量を調製することができる。溶解度、バイオアベイラビリティ、生物学的半減期、投与経路、製品の有効期間、および他の薬理学的考慮事項などの因子は、そのような医薬製剤を調製する技術分野の当業者によって熟考されうるものであり、しかるが故に、様々な投薬量および処置レジメンが望ましいものでありうる。
単位用量または投薬量は、その投与、すなわち、適切な経路および処置レジメン、に関連して上で論じた望ましい応答を生じさせるように計算された医薬組成物の所定量を各単位が含有する、対象における使用に好適な物理的に個別の単位を意味する。投与される量は、処置の数と単位用量の両方によるが、所望される効果に依存する。患者または対象に投与される本実施形態の組成物の実際の投薬量は、身体的および生理学的要因、例えば、対象の体重、年齢、健康状態および性別、処置される疾患の型、疾患浸透度、過去のまたは同時に行われる治療的介入、患者の特発性疾患、投与経路、ならびに特定の治療用物質の作用強度、安定性および毒性によって決定されうる。他の非限定的例では、用量は、1投与につき約1マイクログラム/kg/体重から、約5マイクログラム/kg/体重から、約10マイクログラム/kg/体重から、約50マイクログラム/kg/体重から、約100マイクログラム/kg/体重から、約200マイクログラム/kg/体重から、約350マイクログラム/kg/体重から、約500マイクログラム/kg/体重から、約1ミリグラム/kg/体重から、約5ミリグラム/kg/体重から、約10ミリグラム/kg/体重から、約50ミリグラム/kg/体重から、約100ミリグラム/kg/体重から、約200ミリグラム/kg/体重から、約350ミリグラム/kg/体重から、約500ミリグラム/kg/体重から、約1000ミリグラム/kg/体重以上まで、およびこれらの中から導き出すことができる任意の範囲を有しうる。ここに列挙した数値から導き出すことができる範囲の非限定的例では、上記の数値に基づいて約5ミリグラム/kg/体重から約100ミリグラム/kg/体重、約5マイクログラム/kg/体重から約500ミリグラム/kg/体重などの範囲を投与することができる。いずれにせよ、投与を担当する実施者が、個々の対象のための組成物中の活性成分の濃度および適切な用量を決定する。
当業者には理解されるであろうが、本明細書に記載の組成物は、治療用調製物の特定性質により限定されない。例えば、そのような組成物を、生理学的に許容される液体、ゲルまたは固体担体、希釈剤および賦形剤を伴う製剤で提供することができる。これらの治療用調製物を、家畜に関するものなどの獣医学的使用のために、および他の治療剤と同様のヒトにおける臨床使用のために、哺乳動物に投与することができる。一般に、治療効力に必要な投薬量は、投与の使用および方法のタイプ、ならびに個々の対象についての特化された要件によって変わる。ヒト患者をはじめとする動物患者に投与される組成物の実際の投薬量は、身体的および生理学的要因、例えば、体重、状態の重症度、処置される疾患の型、過去のまたは同時に行われる治療的介入、患者の特発性疾患により、および投与経路に基づいて決定されうる。投薬量および投与経路に依存して、好ましい投薬量および/または有効量の投与の数は、対象の応答によって変わりうる。いずれにせよ、投与を担当する実施者が、個々の対象のための組成物中の活性成分の濃度および適切な用量を決定する。
疾患の処置
本明細書で使用される場合、別段の指定がない限り、用語「対象」は、処置、観察および/または実験の対象である動物を意味する。「動物」は、脊椎動物および非脊椎動物、例えば、魚類、甲殻類、鳥類、および特に哺乳動物を含む。「哺乳動物」は、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、イヌ、ネコ、ヒツジ、ヤギ、ウシ、ウマ、霊長目、例えばサル、チンパンジー、類人猿およびヒトを含むが、これらに限定されない。一部の実施形態では、対象はヒトである。
本明細書で使用される場合、別段の指定がない限り、用語「がん」または「がん性(の)」は、無秩序な細胞増殖を概して特徴とする哺乳動物における生理学的状態を意味する。がんの例としては、血液がんおよび固形腫瘍が挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書で使用される場合、別段の指定がない限り、用語「処置する」、「処置すること」または「処置」は、対象に治療剤を投与もしくは適用すること、または疾患もしくは康に関係する状態に対する治療的恩恵を得ることを目的とした手技もしくはモダリティを対象に対して行うことを意味する。例えば、処置は、治療有効量の抗glycPD-1抗体を対象に投与することを含みうる。がん患者に関して使用される場合、用語「処置する」、「処置すること」または「処置」は、がんの重症度を低下させる可能性がある、またはがんの悪化を遅延させるもしくは緩徐化する可能性がある行為であって、(a)がんの増殖を阻害する、がんの増殖速度を低下させる、発生を阻止する、がん浸潤性を低下させる、またはがんの転移を予防する行為、および(b)がんの退縮を生じさせる、がんの存在に関連する1つもしくは複数の症状を遅らせるもしくは最小にする、またはがん患者の生存期間を延長する行為を意味する。
本明細書で使用される場合、別段の指定がない限り、用語「治療有効量」は、所与の疾患、障害もしくは状態および/またはそれらに関連する症状の重症度および/または継続期間を低減および/または改善するのに十分である、薬剤(例えば、本明細書に記載の抗体もしくはポリペプチドまたは本明細書に記載の任意の他の薬剤)の量を意味する。治療剤をはじめとする薬剤の治療有効量は、(i)所与の疾患、障害もしくは状態の進行もしくは悪化の低減もしくは改善、(ii)所与の疾患、障害もしくは状態の再発、発生もしくは発病の低減もしくは改善、および/または(iii)別の療法(例えば、本明細書に記載の抗体の投与以外の療法)の予防もしくは治療効果の改善もしくは増強に必要な量でありうる。本開示の物質/分子/薬剤(例えば、抗glycPD-1抗体またはグリコシル化PD-1ポリペプチド)の治療有効量は、個体の病状、年齢、性別および体重、ならびに個体において所望の応答を惹起するその物質/分子/薬剤の能力などの因子によって変わりうる。治療有効量は、物質/分子/薬剤のいかなる毒性または有害効果よりも治療有益効果のほうが上回る量を包含する。
本明細書で使用される場合、別段の指定がない限り、用語「投与する」または「投与」は、粘膜、皮内、静脈内、筋肉内送達および/または本明細書に記載のもしくは当技術分野において公知の任意の他の物理的送達方法などによって、体外に存在する物質を患者に注射または別様に物理的に送達する行為を意味する。疾患、障害もしくは状態またはその症状が処置されることになる場合、物質の投与は、概して疾患、障害もしくは状態の発病またはその症状の発症後に行われる。疾病、障害もしくは状態またはその症状が予防されることになる場合、物質の投与は、概して疾患、障害もしくは状態の発病またはその症状の発症前に行われる。
本明細書で提供されるのは、抗glycPD-1抗体およびグリコシル化PD-1ポリペプチドの治療目的使用でもある。これらの抗体またはポリペプチドを使用して、PD-1/PD-L1シグナル伝達の活性を調節することができる。これらの抗体またはポリペプチドを使用して、T細胞活性化または増殖におけるPD-1の抑制活性を阻害することにより疾患を処置することもできる。したがって、本明細書で提供されるのは、PD-1シグナル伝達を阻害または遮断することによる対象の免疫系の上方調節におけるそのような抗体またはポリペプチドの使用である。一部の実施形態では、本明細書で提供されるのは、PD-1がPD-L1に結合するのを阻止するための抗体またはポリペプチドの使用である。
一部の実施形態では、本明細書で提供されるのは、がんの処置における抗glycPD-1抗体およびグリコシル化PD-1ポリペプチドの治療目的使用でもある。免疫系の上方調節は、がんの処置に特に望ましく、それ故、本明細書で提供されるのは、がん処置方法でもある。がんは、細胞の異常な無制御増殖の結果として生じる新生物または腫瘍を意味する。がんは、原発がんであることもあり、または転移がんであることもある。特定の実施形態では、がん細胞は、PD-L1に対して陽性である。
ある特定の態様では、本実施形態のポリペプチドまたは抗体(例えば、グリコシル化PD-1ポリペプチド、またはグリコシル化PD-1と結合する抗体)を、がんを処置するために投与することができる。特定の実施形態では、抗glycPD-1抗体は、STM418またはSTM432のキメラまたはヒト化形態である。本処置方法が有用であるがんには任意の悪性細胞型、例えば、固形腫瘍または血液腫瘍において見いだされるものが含まれる。例示的な固形腫瘍としては、膵臓、結腸、盲腸、胃、脳、頭部、頸部、卵巣、腎臓、喉頭、肉腫、肺、膀胱、メラノーマ、前立腺および乳房からなる群から選択される器官の腫瘍を挙げることができるが、これらに限定されない。例示的血液腫瘍としては、骨髄の腫瘍、TまたはB細胞悪性腫瘍、白血病、リンパ腫、芽細胞腫、骨髄腫などが挙げられる。本明細書で提供される方法を使用して処置することができるがんのさらなる例としては、癌腫、リンパ腫、芽細胞腫、肉腫、白血病、扁平上皮がん、肺がん(小細胞肺がん、非小細胞肺がん、肺腺癌、および肺扁平上皮癌を含む)、腹膜がん、肝細胞がん、胃がん(gastricまたはstomach cancer)(胃腸がんおよび胃腸間質がんを含む)、膵臓がん、膠芽腫、子宮頸がん、卵巣がん、肝臓がん、膀胱がん、乳がん、結腸がん、結腸直腸がん、子宮内膜または子宮癌、唾液腺癌、腎臓または腎がん、前立腺がん、外陰がん、甲状腺がん、様々な型の頭頸部がん、メラノーマ、表在拡大型メラノーマ、悪性黒子由来メラノーマ、末端黒子型メラノーマ、結節性メラノーマ、ならびにB細胞リンパ腫(低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL);小リンパ球性(SL)NHL;中悪性度/濾胞性NHL;中悪性度びまん性NHL;高悪性度免疫芽球性NHL;高悪性度リンパ芽球性NHL;高悪性度小型非切れ込み核細胞性NHL;巨大腫瘤病変性NHL;マントル細胞リンパ腫;AIDS関連リンパ腫;およびワルデンストレーム高ガンマグロブリン血症を含む)、急性リンパ芽球性白血病(CLL)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、ヘアリー細胞白血病、多発性骨髄腫、急性骨髄性白血病(AML)および骨髄芽球性白血病が挙げられるが、これらに限定されない。
がんは、具体的には以下の組織学的型のものであるが、これらに限定されない:悪性新生物;癌腫;未分化癌;巨大紡錘細胞癌;小細胞癌;乳頭癌;扁平上皮癌;リンパ上皮癌;基底細胞癌;石灰化上皮癌;移行上皮癌;乳頭移行上皮癌;腺癌;悪性ガストリノーマ;胆管細胞癌;肝細胞癌;肝細胞癌と胆管細胞癌の混合型;索状腺癌;腺様嚢胞癌;腺腫性ポリープ内腺癌;腺腫、家族性大腸腺腫症;固形癌;悪性カルチノイド腫瘍;細気管支・肺胞性腺癌;乳頭状腺癌;嫌色素性癌;好酸性癌;好酸性腺癌;好塩基性癌;明細胞腺癌;顆粒細胞癌;濾胞状腺癌;乳頭状・濾胞状腺癌;非被包性硬化性癌;副腎皮質癌;類内膜癌;皮膚付属器癌;アポクリン腺癌;皮脂腺癌;耳道腺癌;粘表皮癌;嚢胞腺癌;乳頭状嚢腺癌;乳頭状漿液嚢胞腺癌;粘液性嚢胞腺癌;粘液性腺癌;印環細胞癌;浸潤性乳管癌;髄様癌;小葉癌;炎症性癌;乳房パジェット病;腺房細胞癌;腺扁平上皮癌;扁平上皮化生を伴う腺癌;悪性胸腺腫;悪性卵巣間質性腫瘍;悪性莢膜細胞腫;悪性顆粒膜細胞腫;悪性アンドロブラストーマ;セルトリ細胞癌;悪性ライディッヒ細胞腫;悪性脂質細胞腫;悪性傍神経節腫;悪性乳房外傍神経節腫;褐色細胞腫;血管球血管肉腫;悪性メラノーマ;無色素性メラノーマ;表在拡大型メラノーマ;巨大色素性母斑における悪性メラノーマ;類上皮細胞メラノーマ;悪性青色母斑;肉腫;線維肉腫;悪性線維性組織球腫;粘液肉腫;脂肪肉腫;平滑筋肉腫;横紋筋肉腫;胎児性横紋筋肉腫;胞巣状横紋筋肉腫;間質肉腫;悪性混合腫瘍;ミュラー管混合腫瘍;腎芽腫;肝芽腫;癌肉腫;悪性間葉腫;悪性ブレンナー腫瘍;悪性葉状腫瘍;滑膜肉腫;悪性中皮腫;未分化胚細胞腫;胎児性癌;悪性奇形腫;悪性卵巣甲状腺腫;絨毛癌;悪性中腎腫;血管肉腫;悪性血管内皮腫;カポジ肉腫;悪性血管周皮腫;リンパ管肉腫;骨肉腫;傍骨性骨肉腫;軟骨肉腫;悪性軟骨芽細胞腫;間葉性軟骨肉腫;骨巨細胞腫;ユーイング肉腫;悪性歯原性腫瘍;エナメル上皮歯牙肉腫;悪性エナメル上皮腫;エナメル上皮線維肉腫;悪性松果体腫;脊索腫;悪性神経膠腫;上衣腫;星細胞腫;原形質性星細胞腫;原線維性星細胞腫;星状芽細胞腫;膠芽腫;乏突起神経膠腫;乏突起神経膠芽細胞腫;原始神経外胚葉性(primitive neuroectodermal);小脳肉腫;神経節芽細胞腫;神経芽腫;網膜芽細胞腫;嗅神経原性腫瘍;悪性髄膜腫;神経線維肉腫;悪性神経鞘腫;悪性顆粒細胞腫瘍;悪性リンパ腫;ホジキン病;ホジキン側肉芽腫;小リンパ球性悪性リンパ腫;大細胞びまん性悪性リンパ腫;濾胞性悪性リンパ腫;菌状息肉症;他の特定される非ホジキンリンパ腫;悪性組織球増殖症;多発性骨髄腫;マスト細胞肉腫;免疫増殖性小腸疾患;白血病;リンパ性白血病;形質細胞白血病;赤白血病;リンパ肉腫細胞白血病;骨髄性白血病;好塩基球性白血病;好酸球性白血病;単球性白血病;マスト細胞白血病;巨核芽球性白血病;骨髄肉腫;およびヘアリー細胞白血病。
一部の実施形態では、本明細書で提供される抗体またはポリペプチドは、乳がん、肺がん、頭頸部がん、前立腺がん、食道がん、気管がん、皮膚がん、脳がん、肝臓がん、膀胱がん、胃がん、膵臓がん、卵巣がん、子宮がん、子宮頸がん、精巣がん、結腸がん、直腸がんまたは皮膚がんであるがんを処置するために使用することができる。
ポリペプチドおよび抗体は、本明細書では、様々なモダリティで抗腫瘍剤として使用することができる。特定の実施形態では、本明細書で提供されるのは、ポリペプチドまたは抗体を抗腫瘍剤として使用する方法であり、したがって、腫瘍細胞の集団を治療有効量のポリペプチドまたは抗体と、腫瘍細胞増殖を阻害するのに十分な期間にわたって接触させることを含む。
リポソーム、微粒子、マイクロカプセルへの封入、抗体または融合タンパク質を発現することができる組換え細胞、受容体媒介エンドサイトーシス(例えば、Wu and Wu, 1987, J. Biol. Chem. 262:4429-4432を参照されたい)、レトロウイルスまたは他のベクターの一部としての核酸の構築などのような、様々な送達系も公知であり、抗glycPD-1抗体、もしくはグリコシル化PD-1ポリペプチドの関連分子、または関連医薬組成物を投与するためにそれらを使用することができる。
本明細書で提供の投与方法は、非経口投与(例えば、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内および皮下)、硬膜外、および粘膜(例えば、鼻腔内および経口経路)によるような注射を含むが、これらに限定されない。一部の実施形態では、本明細書で提供される抗体、他の分子、または医薬組成物は、筋肉内、静脈内、皮下、静脈内、腹腔内、経口、筋肉内、皮下、腔内、経皮、または皮膚投与される。組成物を、任意の適便な経路によって、例えば、注入またはボーラス注射によって、上皮内層または粘膜皮膚内層(例えば、経口粘膜、直腸および腸粘膜など)による吸収によって投与することができ、または他の生物活性薬剤と一緒に投与することができる。投与は、全身的であることもあり、または局所的であることもある。加えて、肺内投与も、例えば、吸入器またはネブライザー、およびエアロゾル化剤を含有する製剤を使用することにより用いることができる。例えば、米国特許第6,019,968号、同第5,985,20号、同第5,985,309号、同第5,934,272号、同第5,874,064号、同第5,855,913号、同第5,290,540号および同第4,880,078号明細書、ならびにPCT公開番号国際公開第92/19244号、同第97/32572号、同第97/44013号、同第98/31346号および同第99/66903号パンフレットを参照されたく、これらの参照文献のすべては、それら全体が参照により本明細書に組み込まれている。一部の実施形態では、本明細書で提供される抗体、他の分子、または医薬組成物は、処置を必要とする領域に局所投与され、これは、例えば、局所注入により、注射により、または埋込物によって果たすことができ、前記埋込物は、サイラスティック膜などの膜、または繊維を含む、多孔質、無孔質またはゼラチン質材料のものである。一部の実施形態では、本明細書に記載のように抗体または他の分子を投与する場合、抗体または他の分子が吸着しない材料を使用するように注意が払われる。
一部の実施形態では、本明細書で提供される抗体またはポリペプチドは、標的化送達のためにリポソームに入っている形で製剤化される。リポソームは、水性相を封入する、同心円状に整列したリン脂質二重層で構成されている小胞である。リポソームは、様々なタイプの脂質、リン脂質および/または界面活性剤を概して有する。リポソームの成分は、生体膜の脂質配列に類似した、二重層立体配置で配列されている。リポソームは、一部はそれらの生体適合性、低い免疫原性および低い毒性のため、有用な送達ビヒクルでありうる。リポソームの調製方法は、当技術分野において公知であり、本明細書で提供される。例えば、Epstein et al., 1985, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 82: 3688;Hwang et al., 1980 Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 77: 4030-4;米国特許第4,485,045号および同第4,544,545号を参照されたく、これらの参照文献のすべては、それら全体が参照により本明細書に組み込まれている。
本明細書で提供されるのは、米国特許第5,013,556号明細書において開示されているものなどの、血清半減期が延長された、すなわち循環時間が向上した、リポソームの調製方法でもある。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法において使用されるリポソームは、循環から急速に排除されない、すなわち、単核食細胞系(MPS)に取り込まれない。本明細書で提供されるのは、当業者に公知の一般的な方法を使用して調製される、立体的に安定化されたリポソームでもある。立体的に安定化されたリポソームは、リポソームと血清タンパク質の望ましくない反応を低減させ、血清成分によるオプソニン作用を低減させ、MPSによる認識を低減させる、嵩高く非常に柔軟な親水性部分を有する脂質成分を含有することができる。立体的に安定化されたリポソームは、ポリエチレングリコールを使用して調製することができる。リポソームの調製および立体的に安定化されたリポソームについては、例えば、Bendas et al., 2001 BioDrugs, 15(4): 215-224;Allen et al., 1987 FEBS Lett. 223: 42-6;Klibanov et al., 1990 FEBS Lett., 268: 235-7;Blum et al., 1990, Biochim.Biophys.Acta., 1029: 91-7;Torchilin et al., 1996, J. Liposome Res.6: 99-116;Litzinger et al., 1994, Biochim. Biophys. Acta, 1190: 99-107;Maruyama et al., 1991, Chem. Pharm. Bull., 39: 1620-2;Klibanov et al., 1991, Biochim Biophys Acta, 1062;142-8;Allen et al., 1994, Adv. Drug Deliv. Rev, 13: 285-309を参照されたく、これらの参照文献は、それら全体が参照により本明細書に組み込まれている。
本明細書で提供されるのは、特定器官標的化に適応するリポソームでもあり、例えば米国特許第4,544,545明細書を参照されたく、または特異的細胞標的化に適応するリポソームでもあり、例えば米国特許出願公開第2005/0074403号明細書を参照されたく、これらの参照文献は、それら全体が参照により本明細書に組み込まれている。本明細書で提供される組成物および方法における使用に特に有用なリポソームは、ホスファチジルコリン、コレステロールおよびPEG誘導体化ホスファチジルエタノールアミン(PEG-PE)を含む脂質組成物を用いて逆相蒸発方法により生成することができる。リポソームを被定義孔径のフィルターに通して押し出して、所望の直径を有するリポソームを生じさせることができる。一部の実施形態では、以前に記載された方法を使用して、抗原結合断片、例えばF(ab’)、を有する分子をリポソームにコンジュゲートすることができる。例えば、Martin et al., 1982, J. Biol. Chem. 257: 286-288を参照されたく、この参照文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。
本明細書に記載のヒト化またはキメラ抗体をイムノリポソームとして製剤化することもできる。イムノリポソームは、抗体またはその断片がリポソーム表面に共有結合的にまたは非共有結合的に連結されている、リポソーム組成物を意味する。抗体をリポソーム表面に連結させる化学は当技術分野において公知であり、例えば、米国特許第6,787,153号明細書;Allen et al., 1995, Stealth Liposomes, Boca Rotan: CRC Press, 233-44;Hansen et al., 1995, Biochim. Biophys. Acta, 1239: 133-144を参照されたく、これらの参照文献は、それら全体が参照により本明細書に組み込まれている。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法および組成物において使用するためのイムノリポソームは、さらに立体的に安定化される。一部の実施形態では、本明細書に記載のヒト化抗体は、リポソームの脂質二重層内に安定的に定着する疎水性アンカーに共有結合的にまたは非共有結合的に連結される。疎水性アンカーの例としては、リン脂質、例えば、ホスファチジルエタノールアミン(PE)、ホスファチジルイノシトール(PI)が挙げられるが、これらに限定されない。抗体と疎水性アンカー間の共有結合性連結を達成するために、当技術分野における公知生化学的戦略のいずれを使用してもよく、例えば、J. Thomas August ed., 1997, Gene Therapy: Advances in Pharmacology, Volume 40, Academic Press, San Diego, Calif., p. 399-435を参照されたく、この参照文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。例えば、抗体分子上の官能基は、リポソーム会合疎水性アンカー上の活性基と反応することができ、例えば、抗体のリジン側鎖のアミノ基を、水溶性カルボジイミドで活性化されたリポソーム会合N-グルタリル-ホスファチジルエタノールアミンにカップリングさせてもよく、または還元抗体のチオール基を、ピリジルチオプロピオニルホスファチジルエタノールアミンなどのチオール反応性アンカーによってリポソームにカップリングさせることができる。例えば、Dietrich et al., 1996, Biochemistry, 35: 1100-1105;Loughrey et al., 1987, Biochim. Biophys. Acta, 901: 157-160;Martin et al., 1982, J. Biol. Chem.257: 286-288;Martin et al., 1981, Biochemistry, 20: 4429-38を参照されたく、これらの参照文献は、それら全体が参照により本明細書に組み込まれている。抗グリコシル化PD-1抗体を有するイムノリポソーム製剤は、標的細胞、すなわち抗体が結合する受容体を含む細胞、の細胞質に活性成分を送達するので、治療剤として特に有用である。一部の実施形態では、イムノリポソームは、血中半減期増加を有することができ、特に、標的細胞を該標的細胞の細胞質に内在化することによって治療剤の損失またはリソソーム内経路による分解を回避することができる。
本明細書で提供されるイムノリポソーム組成物は、1つもしくは複数の小胞形成脂質と、本発明の抗体もしくは他の分子またはその断片もしくは誘導体と、任意選択的に親水性ポリマーとを有することができる。小胞形成脂質は、アシル基および極性ヘッド基などの、2本の炭化水素鎖を有する脂質でありうる。小胞形成脂質の例としては、リン脂質、例えば、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジン酸、ホスファチジルイノシトール、スフィンゴミエリン、および糖脂質、例えばセレブロシド、ガングリオシドが挙げられる。本明細書で提供される製剤において有用なさらなる脂質は当業者に公知であり、本明細書に包含される。一部の実施形態では、イムノリポソーム組成物は、該リポソームの血清半減期を増加させる親水性ポリマー、例えば、ポリエチレングリコール、およびガングリオシドGM1をさらに含む。親水性ポリマーをリポソームにコンジュゲートする方法は当技術分野において周知であり、本明細書に包含される。さらなる例示的イムノリポソームおよびそれらの調製方法は、例えば、米国特許出願公開第2003/0044407号明細書;PCT公開番号国際公開第97/38731号パンフレット;Vingerhoeads et al., 1994, Immunomethods, 4: 259-72;Maruyama, 2000, Biol.Pharm.Bull.23(7): 791-799;Abra et al., 2002, Journal of Liposome Research, 12(1&2): 1-3;Park, 2002, Bioscience Reports, 22(2): 267-281;Bendas et al., 2001 BioDrugs, 14(4): 215-224, J. Thomas August ed., 1997, Gene Therapy: Advances in Pharmacology, Volume 40, Academic Press, San Diego, Calif., p. 399-435を参照されたく、これらの参照文献のすべては、それら全体が参照により本明細書に組み込まれている。
本明細書で提供されるのは、がん患者を処置する方法であって、抗glycPD-1抗体の単位用量を患者に投与することによる方法でもある。本明細書で提供されるのは、がん患者を処置する方法であって、グリコシル化PD-1ポリペプチドの単位用量を患者に投与することによる方法でもある。単位用量は、各々の単位が、必要希釈剤、すなわち担体またはビヒクルと共同して望ましい治療効果を生じさせるように計算された活性物質の所定量を含有する、対象への単位投薬量として好適な物理的に個別の単位を意味する。
抗体、ポリペプチドまたは組成物は、投与製剤に適合する様式で、かつ治療有効量で投与される。投与される量は、処置されることになる対象、活性成分を利用する対象の系の能力、および所望される治療効果の程度に依存する。投与する必要がある活性成分の正確な量は、実施者の判断に依存し、個々の対象各々に特有である。しかし、全身適用に好適な投薬量範囲が本明細書で開示され、そのような範囲は投与経路に依存する。初回投与および追加投与に好適なレジメンも企図され、典型的には、初回投与、続いての1時間またはそれ超の間隔での後続注射または他の投与による反復投与によるレジメンを含む。例示的な複数回投与が本明細書に記載され、そのような投与は、ポリペプチドまたは抗体の高い血清および組織中レベルを継続的に維持するのに有用である。あるいは、in vivo治療用に指定された範囲で血中濃度を維持するのに十分な持続静注が企図される。
治療有効量は、所望の効果を達成するように計算された所定量である。一般に、投薬量は、患者の年齢、患者の状態、患者の性別および患者の疾患の程度によって変わることになり、当業者は投薬量を決定することができる。何らかの合併症が生じた場合、個々の医師が投薬量を調整することができる。
一部の実施形態では、本明細書で提供される抗体、ポリペプチドまたは医薬組成物は、アンプルまたはサッシェなどの密封容器に包装される。一実施形態では、本明細書で提供される抗体、ポリペプチドまたは医薬組成物は、密封容器内の滅菌凍結乾燥ドライパウダーまたは無水濃縮物として供給され、例えば、対象への投与のために水または食塩水で適切な濃度に再構成されうる。一部の実施形態では、本明細書で提供される抗体、ポリペプチドまたは医薬組成物は、密封容器内の無菌凍結乾燥粉末として少なくとも5mg、より好ましくは少なくとも10mg、少なくとも15mg、少なくとも25mg、少なくとも35mg、少なくとも45mg、少なくとも50mg、または少なくとも75mgの単位投薬量で供給される。本明細書で提供される凍結乾燥抗体、ポリペプチドまたは医薬組成物を元の容器内で2~8℃の間で保管すべきであり、再構成したら12時間以内に、好ましくは6時間以内、5時間以内、3時間以内または1時間以内に投与すべきである。代替実施形態では、本明細書で提供される抗体、ポリペプチドまたは医薬組成物は、該抗体、ポリペプチドまたは医薬組成物の量および濃度を示す密封容器内の液体形態で供給される。一部の実施形態では、本明細書で提供される抗体、ポリペプチドまたは医薬組成物の液体形態は、密封容器内に少なくとも1mg/ml、より好ましくは少なくとも2.5mg/ml、少なくとも5mg/ml、少なくとも8mg/ml、少なくとも10mg/ml、少なくとも15mg/ml、少なくとも25mg/ml、少なくとも50mg/ml、少なくとも100mg/ml、少なくとも150mg/ml、少なくとも200mg/mlで供給される。
製剤に用いられることになる正確な用量もまた投与経路および状態の重症度に依存することになり、実施者の判断および各患者の状況に応じてそのような用量を決定すべきである。有効用量は、in vitroまたは動物モデル試験系から得られる用量反応曲線から推定することができる。抗glycPD-1抗体またはグリコシル化PD-1ポリペプチドについて、患者に投与される投薬量は、典型的には、患者の体重当りで0.01mg/kg~100mg/kgである。一部の実施形態では、患者に投与される投薬量は、患者の体重当りで0.01mg/kg~20mg/kgの間、0.01mg/kg~10mg/kgの間、0.01mg/kg~5mg/kgの間、0.01~2mg/kgの間、0.01~1mg/kgの間、0.01mg/kg~0.75mg/kgの間、0.01mg/kg~0.5mg/kgの間、0.01mg/kg~0.25mg/kg、0.01~0.15mg/kg、0.01~0.10mg/kg、0.01~0.05mg/kg、または0.01~0.025mg/kgである。特に、患者に投与される投薬量は、0.2mg/kg、0.3mg/kg、1mg/kg、3mg/kg、6mg/kgまたは10mg/kgでありうる。0.01mg/kgほども低い用量が適切な薬力学的効果を示すと予測される。0.10~1mg/kgの用量レベルが最も適切であると予測される。より高い用量(例えば、1~30mg/kg)も有効であると予想されうる。一般に、ヒト抗体は、異種ポリペプチドに対する免疫応答のため他の種からの抗体より長い体内での半減期を有する。したがって、ヒト抗体のより低い投薬量およびより少ない投薬頻度を実施することができる。さらに、本明細書で提供される抗体またはポリペプチドの投薬量および投与頻度を、例えば脂質修飾などの修飾により抗体の取り込みおよび組織透過性を増進することによって低減させることができる。
さらに別の実施形態では、組成物を制御放出または徐放系で送達することができる。当業者に公知の任意の技術を使用して、本明細書で提供される1つまたは複数の抗体、分子または医薬組成物を有する徐放性製剤を生成することができる。例えば、米国特許第4,526,938号明細書;PCT公開公報国際公開第91/05548号パンフレット;PCT公開公報国際公開第96/20698号パンフレット;Ning et al., Radiotherapy & Oncology 39:179-189 (1996);Song et al., PDA Journal of Pharmaceutical Science & Technology 50:372-397 (1995);Cleek et al., Pro. Int'l. Symp. Control. Rel. Bioact. Mater. 24:853-854 (1997);およびLam et al., Proc. Int'l. Symp. Control Rel. Bioact. Mater. 24:759-760(1997)を参照されたく、参照文献のすべては、それら全体が参照により本明細書に組み込まれている。一実施形態では、制御放出系でポンプを使用することもある(Langer, supra;Sefton, 1987, CRC Crit. Ref Biomed. Eng. 14:20;Buchwald et al., 1980, Surgery 88:507;およびSaudek et al., 1989, N. Engl. J. Med. 321:574を参照されたい)。別の実施形態では、高分子材料を使用して、抗体またはポリペプチドの制御放出を達成することができる(例えば、Medical Applications of Controlled Release, Langer and Wise (eds.), CRC Pres., Boca Raton, Fla.(1974);Controlled Drug Bioavailability, Drug Product Design and Performance, Smolen and Ball (eds.), Wiley, New York (1984);Ranger and Peppas, 1983, J., Macromol. Sci. Rev. Macromol. Chem. 23:61を参照されたい;Levy et al., 1985, Science 228:190;During et al., 1989, Ann. Neurol. 25:351;Howard et al., 1989, J. Neurosurg. 7 1:105);米国特許第5,679,377号明細書;米国特許第5,916,597号明細書;米国特許第5,912,015号明細書;米国特許第5,989,463号明細書;米国特許第5,128,326号明細書;PCT公開番号国際公開第99/15154号パンフレット;およびPCT公開番号国際公開第99/20253号パンフレットも参照されたい)。参照文献のすべては、それら全体が参照により本明細書に組み込まれている。
徐放性製剤において使用することができるポリマーの例としては、ポリ(メタクリル酸ヒドロキシエチル)、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(エチレン-co-酢酸ビニル)、ポリ(メタクリル酸)、ポリグリコリド(PLG)、ポリ無水物、ポリ(N-ビニルピロリドン)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリアクリルアミド、ポリ(エチレングリコール)、ポリラクチド(PLA)、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)(PLGA)、およびポリオルトエステルが挙げられるが、これらに限定されない。さらに別の実施形態では、制御放出系を治療標的(例えば、肺)に近接して配置することができ、したがって全身用量のほんの一部しか必要としない(例えば、Goodson, in Medical Applications of Controlled Release, supra, vol. 2, pp. 115-138 (1984)を参照されたい)。別の実施形態では、制御放出埋込物として有用なポリマー組成物が、その全体が参照により本明細書に組み込まれているDunn et al.(例えば、米国特許5,945,155号明細書を参照されたい)に従って使用される。ポリマー系からの生物活性材料の生体内原位置での制御放出の治療効果に基づいて、一般に、埋め込みは、治療的処置を必要とする患者の体内のどこで行ってもよい。
別の実施形態では、非ポリマー性持続送達系が使用され、それによって対象の体内の非ポリマー性埋込物が薬物送達系として使用される。体内に埋め込むと、埋込物の有機溶媒が、組成物から周囲の組織液に消散、分散または浸出することになり、非ポリマー性材料は、徐々に凝固または沈殿して固体、ミクロ多孔質マトリックスになる(例えば、米国特許第5,888,533号明細書を参照されたい)。制御放出系は、Langerによる総説(1990, Science 249:1527-1533)でも論じされている。当業者に公知の任意の技術を使用して、本明細書で提供される1つまたは複数の治療剤を含む徐放性製剤を生成することができる。例えば、米国特許第4,526,938号明細書;国際公開第91/05548号および同第96/20698号パンフレット;Ning et al., 1996, Radiotherapy & Oncology 39:179-189;Song et al., 1995, PDA Journal of Pharmaceutical Science & Technology 50:372-397;Cleek et al., 1997, Pro. Int'l. Symp. Control. Rel. Bioact. Mater. 24:853-854;およびLam et al., 1997, Proc. Int'l. Symp. Control Rel. Bioact. Mater. 24:759-760を参照されたく、参照文献のすべては、それら全体が参照により本明細書に組み込まれている。
本明細書で提供されるのは、組成物が、本明細書で提供される抗体またはポリペプチドをコードする核酸を有する実施形態であって、適切な核酸発現ベクターの一部としてその組成物を構築し、その組成物が細胞内に存在することになるようにすることによって(米国特許第4,980,286号を参照されたい)、または直接注射によって、またはマクロパーティクルボンバードメント(例えば、遺伝子銃;微粒子銃、Dupont)の使用によって、または脂質もしくは細胞表面受容体もしくはトランスフェクト剤でコーティングして、または核に侵入することが公知であるホメオボックス様ペプチドに結合している状態のその組成物を投与すること(例えば、Joliot et al., 1991, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:1864-1868を参照されたい)によって、核酸をin vivoで投与してそのコードされた抗体またはポリペプチドの発現を促進することができる、実施形態でもある。あるいは、核酸を細胞内に導入し、例えば相同組換えにより宿主細胞DNA内に組み込むことができる。
治療有効量の本明細書で提供される抗体、ポリペプチドまたは医薬組成物での対象の処置は、単一処置を含むこともあり、または一連の処置を含むこともある。本明細書で提供される抗体、ポリペプチドまたは医薬組成物を全身投与または局所投与して、疾患を処置することができ、例えば、局所進行または転移がんを有するがん患者において腫瘍細胞の増殖を阻害するまたはがん細胞を殺滅することができると考えられる。それらを静脈内、髄腔内および/または腹腔内投与してもよい。それらを単独で投与してもよく、または抗増殖薬と組み合わせて投与してもよい。一実施形態では、それらは、外科手術または他の手技の前に患者のがんの負荷を低減させるために投与される。あるいは、任意の残存するがん(例えば、外科手術により除去することができなかったがん)が確実に生存しないようにするために、それらを外科手術後に投与してもよい。一部の実施形態では、それらを原発癌の退縮後に投与して転移を予防することができる。
併用処置
ある特定の実施形態では、実施形態の組成物および方法は、グリコシル化PD-1ポリペプチドのまたはグリコシル化PD-1と選択的に結合する抗体の投与を、第2のまたはさらなる療法との組み合わせで含む。そのような療法をPD-1またはグリコシル化PD-1に関連する任意の疾患の処置の際に適用することができる。例えば、疾患は、がんでありえ、第2の療法は、抗がんまたは過剰増殖抑制療法である。
併用療法を含む方法および組成物は、治療もしくは保護効果を増強し、および/または別の抗がんもしくは過剰増殖抑制療法の治療効果を増大させる。治療および予防方法ならびに治療用および予防用組成物を、がん細胞の殺滅および/または細胞の過剰増殖の阻害などの、所望の効果を達成するのに有効な総計量で、提供することができる。これらの方法は、ポリペプチドまたは抗体および第2の療法の投与を含みうる。第2の療法は、直接的な細胞障害効果を有することもあり、または有さないこともある。例えば、第2の療法は、直接的な細胞障害効果を有さずに免疫系を上方調節する薬剤でありうる。組織、腫瘍または細胞を、1つもしくは複数の薬剤(例えば、抗体もしくは抗がん剤)を含む1つもしくは複数の組成物もしくは薬理学的製剤に曝露してもよく、または組織、腫瘍および/もしくは細胞を曝露することに関しては、1つの組成物が1)ポリペプチドもしくは抗体、2)抗がん剤、または3)ポリペプチドもしくは抗体と抗がん剤の両方を提供する、2つ以上の別個の組成物もしくは製剤を用いるものであってもよい。また、そのような併用療法を化学療法、放射線治療、外科的療法または免疫療法と共に使用できることも企図される。
細胞に適用される場合の用語「接触した」および「曝露された」は、治療用ポリペプチドまたは抗体および化学療法剤または放射線治療剤が標的細胞に送達されるかまたはそれらと標的細胞とがすぐ近位に配置されるプロセスを記述するために本明細書では使用される。例えば、細胞殺滅を達成するために、両方の薬剤は、細胞を殺滅するのに有効なまたは細胞が分裂するのを防止するのに有効な総計量で細胞に送達される。
抗glycPD-1抗体またはグリコシル化PD-1ポリペプチドを、第2のまたはさらなる抗がん処置の前に、その間に、その後に、またはそれに対して様々な組み合わせで投与することができる。投与は、同時に~数分~数日~数週間にわたる間隔でありうる。抗体またはポリペプチドが患者に抗がん剤とは別に提供される実施形態では、一般に、2つの化合物が患者に対して有利な複合効果をなお発揮することができるような有意な期間が各送達時と送達時の間に確実に終了しないようにすることになる。そのような場合、抗glycPD-1抗体またはグリコシル化PD-1ポリペプチドおよび第2の療法を互いに約12~24または72時間以内に、より詳細には互いに約6~12時間以内に患者に施すことができると考えられる。一部の状況では、それぞれの投与間に数日(2、3、4、5、6または7)~数週間(1、2、3、4、5、6、7または8)が経過する、処置の期間を、有意に延長することができる。
特定の実施形態では、抗glycPD-1抗体は、がんの処置のために1つまたは複数の他の抗PD-1抗体と組み合わせて患者に投与され、これは、ペムブロリズマブ、ニボルマブまたはピディリズマブと組み合わせでの投与を含む。他の実施形態では、抗glycPD-1抗体は、がんの処置のために1つまたは複数の抗PD-L1抗体と組み合わせて患者に投与される。特定の実施形態では、抗glycPD-1抗体は、アテゾリズマブ、デュルバルマブまたはアベルマブと組み合わせて投与される。他の実施形態では、抗glycPD-1抗体は、1つまたは複数の抗CTLA-4抗体と組み合わせて投与され、特定の実施形態では、抗CLTA-4抗体は、イピリムマブである。他の実施形態では、抗glycPD-1抗体は、PD-1、PD-L1またはCTLA-4の活性を阻害する薬剤、例えば、Fcドメインに融合したPD-1、PD-L1またはCTLA-4タンパク質の細胞外受容体またはリガンド結合部分を有するイムノアドヘシンと共に投与される。
特定の実施形態では、抗glycPD-1抗体は、非グリコシル化PD-L1と比較してグリコシル化PD-L1に優先的に結合する抗体と組み合わせて投与される。特に、抗glycPD-1抗体を、非グリコシル化PD-L1と比較してグリコシル化PD-L1に優先的に結合する抗PD-L1抗体STM004またはSTM115のキメラまたはヒト化形態と組み合わせて投与してもよく、それらの重鎖および軽鎖可変ドメインのアミノ酸配列(およびコードヌクレオチド配列)は、2016年10月6日に発行された、発明の名称が「Antibodies Specific To Glycosylated PD-L1 And Methods Of Use Thereof」であるPCT公開公報国際公開第2016/160792号パンフレットにおいて開示されており、参照文献は、参照により本明細書に組み込まれている。抗glycPD-1抗体を、非グリコシル化PD-L1と比較してグリコシル化PD-L1に優先的に結合する抗PD-L1抗体STM073またはSTM108のキメラまたはヒト化形態と組み合わせて投与してもよく、それらの重鎖および軽鎖可変ドメインのアミノ酸配列(およびコードヌクレオチド配列)は、2016年3月29日に発行された、発明の名称が「Dual Function Antibodies Specific To Glycosylated PD-L1 And Methods Of Use Thereof」である米国特許仮出願第62/314,652号明細書において開示されており、参照文献は、参照により本明細書に組み込まれている。
ある特定の実施形態では、処置過程は、1~90日以上(このそのような範囲は、介在する日を含む)続きうる。ある薬剤を1日目~90日目(このそのような範囲は、介在する日を含む)の任意の日またはそれらの任意の組み合わせに与えることができ、別の薬剤は、1日目~90日目(このそのような範囲は、介在する日を含む)の任意の日またはそれらの任意の組み合わせに与えられると考えられる。1日(24時間の期間)のうちに、患者に1回または複数回の薬剤投与を施すことができる。さらに、処置過程後、抗がん処置が投与されない期間があると考えられる。この期間は、患者の状態、例えば彼らの予後、強さ、健康状態などに依存して、1~7日、および/または1~5週間、および/または1~12カ月以上(このそのような範囲は、介在する日を含む)続きうる。これらの処置サイクルを必要に応じて反復することができる。
様々な組み合わせを用いることができる。下に列挙するのは、抗glycPD-1抗体またはグリコシル化PD-1ポリペプチドを「A」とし、第2の抗がん療法を「B」とした、処置に関する一部の例である:
A/B/A B/A/B B/B/A A/A/B A/B/B B/A/A A/B/B/B B/A/B/B B/B/B/A B/B/A/B A/A/B/B A/B/A/B A/B/B/A B/B/A/A B/A/B/A B/A/A/B A/A/A/B B/A/A/A A/B/A/A A/A/B/A
第2の療法との組み合わせでの、本明細書で提供される任意の抗体、ポリペプチドまたは医薬組成物の患者への投与は、もしあれば第2の療法の毒性を考慮に入れて、そのような第2の療法の投与についての一般的プロトコールに従うことになる。したがって、一部の実施形態には、併用療法に起因する毒性をモニターするステップがある。
化学療法
広範な化学療法剤を本実施形態に従って第2の療法として使用することができる。化学療法薬は、がんの処置の際に投与される化合物または組成物でありうる。これらの薬剤または薬物は、細胞内でのそれらの活性モードによって、例えば、それらが細胞周期に影響を与えるかどうか、およびそれらが細胞周期にどの期で影響を与えるのかによって、カテゴリー分けすることができる。あるいは、薬剤を、DNAを直接架橋させるその能力、DNAに挿入するその能力、または核酸合成に影響を与えることにより染色体および有糸分裂異常を誘導するその能力に基づいて特性解析することができる。
化学療法剤の例としては、アルキル化剤、例えば、チオテパおよびシクロホスファミド;アルキルスルホン酸系、例えば、ブスルファン、インプロスルファンおよびピポスルファン;アジリジン系、例えば、ベンゾデパ、カルボコン、メツレドパおよびウレドパ;エチレンイミン系およびメチロールメラミン系(アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホラミド、トリエチレンチオホスホラミドおよびトリメチロールメラミンを含む);アセトゲニン系(特に、ブラタシンおよびブラタシノン);カンプトテシン(合成類似体トポテカンを含む);ブリオスタチン;カリスタチン;CC-1065(そのアドゼレシン、カルゼレシンおよびビゼレシン合成類似体を含む);クリプトフィシン系(特に、クリプトフィシン1およびクリプトフィシン8);ドラスタチン;デュオカルマイシン(合成類似体KW-2189およびCB1-TM1を含む);エリュテロビン;パンクラチスタチン;サルコジクチン;スポンギスタチン;ナイトロジェンマスタード系、例えば、クロラムブシル、クロルナファジン、クロロホスファミド、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシド塩酸塩、メルファラン、ノベムビチン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロホスファミド、およびウラシルマスタード;ニトロソウレア系、例えば、カルムスチン、クロロゾトシン、ホテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、およびラニムスチン;抗生物質、例えば、エンジイン抗生物質(例えば、カリケアマイシン、特に、カリケアマイシンガンマ1IおよびカリケアマイシンオメガI1);ダイネマイシン(ダイネマイシンAを含む);ビスホスホネート系、例えば、クロンドロネート;エスペラミシン;ならびにネオカルジノスタチンクロモフォアおよび関連色素タンパク質エンジイン抗生物質クロモフォア、アクラシノマイシン類、アクチノマイシン、アントラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カラビシン(carabicin)、カルミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン類、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ドキソルビシン(モルホリノードキソルビシン、シアノモルホリノ-ドキソルビシン、2-ピロリノ-ドキソルビシンおよびデオキシドキソルビシンを含む)、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシン類、例えばマイトマイシンC、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン(potfiromycin)、ピューロマイシン、クエラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、およびゾルビシン;代謝拮抗薬、例えば、メトトレキサートおよび5-フルオロウラシル(5-FU);葉酸類似体、例えば、デノプテリン、プテロプテリンおよびトリメトレキサート;プリン類似体、例えば、フルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリン、およびチオグアニン;ピリミジン類似体、例えば、アンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、およびフロクスウリジン;アンドロゲン系、例えば、カルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、およびテストラクトン;副腎皮質ホルモン合成阻害薬(anti-adrenals)、例えば、ミトタンおよびトリロスタン;葉酸補充薬、例えば、フォリン酸;アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;エニルウラシル;アムサクリン;ベストラブシル;ビスアントレン;エダトレキサート;デフォファミン(defofamine);デメコルシン;ジアジクオン;エフロニチン;酢酸エリプチニウム;エポチロン;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシ尿素;レンチナン;ロニダミン;メイタンシノイド系、例えば、メイタンシンおよびアンサマイトシン;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダモール;ニトラクリン;ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ロソキサントロン;ポドフィリン酸;2-エチルヒドラジン;プロカルバジン;PSK多糖類複合体;ラゾキサン;リゾキシン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジコン;2,2’,2”-トリクロロトリエチルアミン;トリコテセン類(特に、T-2トキシン、ベルカリンA、ロリジンAおよびアングイジン);ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン(gacytosine);アラビノシド(「Ara-C」);シクロホスファミド;タキソイド系、例えば、パクリタキセルおよびドセタキセル;ゲムシタビン;6-チオグアニン;メルカプトプリン;白金配位錯体、例えば、シスプラチン、オキサリプラチン、およびカルボプラチン;ビンブラスチン;白金;エトポシド(VP-16);イホスファミド;ミトキサントロン;ビンクリスチン;ビノレルビン;ノバントロン;テニポシド;エダトレキサート;ダウノマイシン;アミノプテリン;ゼローダ;イバンドロネート;イリノテカン(例えば、CPT-11);トポイソメラーゼ阻害剤RFS 2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイド系、例えば、レチノイン酸;カペシタビン;カルボプラチン、プロカルバジン、プリカマイシン、ゲムシタビン、ナベルビン、ファルネシルプロテイントランスフェラーゼ阻害剤、トランス白金、ならびに上記のもののいずれかの薬学的に許容される塩、酸または誘導体が挙げられる。
放射線治療
本明細書に記載の方法および組成物と組み合わせて使用することができるもう1つの従来の抗がん療法は、放射線治療、すなわち放射線療法である。放射線治療は、γ線、X線、および/または腫瘍細胞への放射性同位元素の直接送達の使用を含む。DNA損傷因子の他の形態、例えば、マイクロ波、プロトンビーム照射(米国特許第5,760,395号および同第4,870,287号明細書;これらの参照文献のすべては、それら全体が参照により本明細書に組み込まれている)、およびUV照射も考えられる。これらの因子のすべてが、DNAに対して、DNAの前駆体に対して、DNAの複製および修復に対して、ならびに染色体の構築および維持に対して広範な障害をもたらすことは、ほぼ確実である。
腫瘍微小環境は、腫瘍に浸潤し、免疫応答を抑制する骨髄系由来サプレッサー細胞および調節性T細胞の存在のため、本質的に阻害性である。加えて、ある特定の阻害性分子のT細胞および抗原提示細胞(APC)上で発現は、有効な免疫応答を制限しうる。放射線は、腫瘍細胞アポトーシス、老化、オートファジーの誘導により抗腫瘍効果を媒介し、状況によっては、より有効な免疫応答を刺激することができる。
アブスコパル効果は、原発性腫瘍に対する標的化照射が、照射領域内にない遠位部位で抗腫瘍応答を誘導する、生理学的プロセスである。アブスコパル効果の原因となるメカニズムは、免疫介在性であり、T細胞に対する腫瘍抗原の提示増進、ならびに局所性および全身性免疫応答を刺激するサイトカインおよび炎症誘発因子の放出を含むと考えられる。アブスコパル効果は、放射線処置を受ける原発性腫瘍か遠位に位置する腫瘍に影響を与えるので、アブスコパル効果を誘発することができる薬剤は、体内の二次的部位に広がってしまうと処置がより困難になることが多い転移性腫瘍の処置に特に有利であろう。
本明細書に記載の抗glycPD-1抗体またはグリコシル化PD-1ポリペプチドは、局所性および全身性免疫応答を刺激することができる。一部の実施形態では、治療有効量の本明細書に記載の抗体、ポリペプチドまたは医薬組成物は、放射線治療の前に、それと同時に、またはその後に投与されて、相乗的アブスコパル効果を達成する。
一部の実施形態では、宿主における腫瘍を照射に対して有効に増感させる、治療有効量の本明細書に記載の抗体、ポリペプチドまたは医薬組成物が、投与される。照射は、電離放射線、特に、ガンマ線照射でありうる。一部の実施形態では、ガンマ線は、線型加速器によって、または放射性核種によって放射される。放射性核種による腫瘍の照射は、外部照射であることもあり、または内部照射であることもある。
一部の実施形態では、本明細書に記載の抗体、ポリペプチドまたは医薬組成物の投与は、腫瘍に対する照射前1カ月までに、特に、10日または1週間までに開始する。加えて、腫瘍の照射は分割され、本明細書に記載の抗体、ポリペプチドまたは医薬組成物の投与は、最初の照射セッションから最後の照射セッションまでの間、維持される。
照射は、X線照射であってもよい。X線の線量範囲は、長期間(3~4週間)にわたって50~200レントゲンの1日線量から、2000~6000レントゲンの単一線量まで、多岐にわたる。放射性同位元素についての投与量範囲は、広範囲変動し、同位元素の半減期、放射される放射線の強度およびタイプ、ならびに新生物細胞による取り込み量に依存する。
免疫療法
免疫療法を本実施形態の方法と組み合わせてまたは共に使用することができることは、当業者には理解されるであろう。がん処置に関して、免疫療法薬は、一般に、がん細胞を標的にして破壊するための免疫エフェクター細胞および分子の使用に一般に依存する。リツキシマブ(RITUXAN(登録商標))は、そのような一例である。例えばイピリムマブ、ペムブロリズマブ、ニボルマブおよびアテゾリズマブなどの、チェックポイント阻害剤が、他の例である。免疫エフェクターは、例えば、腫瘍細胞の表面の何らかのマーカーに対して特異的な抗体でありうる。抗体は、単独で治療のエフェクターとして働くこともあり、または細胞殺滅を実際にもたらすために他の細胞を動員することもある。抗体は、薬物または毒素(例えば、化学療法薬、放射性核種、リシンA鎖、コレラ毒素、百日咳毒素)にコンジュゲートされ、単に標的化剤として働くこともある。あるいは、エフェクターは、腫瘍細胞標的と直接的にかまたは間接的に相互作用する表面分子を保有するリンパ球でありうる。様々なエフェクター細胞が、細胞傷害性T細胞およびNK細胞を含む。
免疫療法の一態様では、腫瘍細胞は、標的化に適している、すなわち、大多数の他の細胞上に存在しない、何らかのマーカーを有する。多くの腫瘍マーカーが存在し、これらのいずれもが本実施形態との関連での標的化に好適でありうる。一般的な腫瘍マーカーとしては、CD20、癌胎児抗原、チロシナーゼ(p97)、gp68、TAG-72、HMFG、シアリルルイス抗原、MucA、MucB、PLAP、ラミニン受容体、erbB、およびp155が挙げられる。免疫療法の代替態様は、抗がん効果を免疫刺激効果と組み合わせることである。免疫刺激分子も存在し、それらには、サイトカイン、例えばIL-2、IL-4、IL-12、GM-CSF、ガンマIFN、ケモカイン、例えばMIP-1、MCP-1、IL-8、および増殖因子、例えばFLT3リガンドが含まれる。
現在研究中であるかまたは使用されている免疫治療薬の例は、免疫アジュバント、例えば、ウシ型結核菌(Mycobacterium bovis)、熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)、ジニトロクロロベンゼン、および芳香族化合物(米国特許第5,801,005号および同第5,739,169号明細書;Hui and Hashimoto, Infect Immun., 66(11):5329-36(1998);Christodoulides et al., Microbiology, 66(11):5329-36(1998));サイトカイン療法、例えば、インターフェロンα、βおよびγ、IL-1、GM-CSF、ならびにTNF(Bukowski et al., Clin Cancer Res., 4(10):2337-47 (1998);Davidson et al., J Immunother., 21(5):389-98(1998);Hellstrand et al., Acta Oncol. 37(4):347-53(1998));遺伝子療法、例えば、TNF、IL-1、IL-2、およびp-53(Qin et al., Proc Natl Acad Sci U S A, 95(24):14411-6(1998);Austin-Ward and Villaseca, Rev Med Chil, 126(7):838-45 (1998);米国特許第5,830,880号および同第5,846,945号明細書);ならびにモノクローナル抗体、例えば、抗PD1、抗PDL1、抗CD20、抗ガングリオシドGM2、および抗p185(Topalian et al., The New England journal of medicine, 366:2443-2454 (2012);Brahmer et al., The New England journal of medicine 366:2455-2465 (2012);Hollander, Front Immunol (2012): 3:3. doi: 10.3389/fimmu. 2012. 00003;Hanibuchi et al., Int J Cancer, 78(4):480-5(1998);米国特許第5,824,311号明細書)であり、参照文献のすべては、それら全体が参照により本明細書に組み込まれている。抗glycPD-1抗体またはグリコシル化PD-1ポリペプチドの使用を含む本明細書に記載の療法と共に1つまたは複数の抗がん療法を用いることができると考えられる。
外科手術
がんを有する人物のおおよそ60%は、予防的、診断的または病期診断、根治的、および姑息手術を含む、何らかのタイプの外科手術を受けることになる。根治手術は、がん組織のすべてまたは一部が物理的に除去、切除および/または破壊される摘除を含み、本実施形態の処置、化学療法、放射線治療、ホルモン療法、遺伝子療法、免疫療法および/または代替療法などの、他の療法と共に使用されることもある。腫瘍摘除は、腫瘍の少なくとも一部の物理的除去を意味する。腫瘍摘除に加えて、外科手術による処置は、レーザー手術、凍結手術、電気手術、および顕微鏡下手術(モース術)を含む。
がん細胞、組織または腫瘍の一部またはすべてを切除すると、体内に空洞が形成されうる。処置は、その領域に対する灌流、直接注射または局所適用とさらなる抗がん療法によって果たすことができる。そのような処置を、例えば、1、2、3、4、5、6もしくは7日ごとに、または1、2、3、4および5週間ごとに、または1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11もしくは12カ月ごとに繰り返すことができる。これらの処置も様々な投薬量のものでありうる。
他の薬剤
処置の治療効力を向上させるために他の薬剤を本実施形態のある特定の態様と組み合わせて使用することができることが考えられる。これらのさらなる薬剤には、細胞表面受容体およびギャップ結合の上方調節をもたらす薬剤、細胞分裂阻害剤および分化剤、細胞接着阻害剤、アポトーシス誘導物質に対する過剰増殖性細胞の感受性を増大させる薬剤、または他の生物学的薬剤が含まれる。ギャップ結合の数を増加させることによる細胞内シグナル伝達の増加は、隣接する過剰増殖性細胞集団に対する過剰増殖抑制効果を増大させることができる。他の実施形態では、処置の過剰増殖抑制効力を向上させるために細胞分裂阻害剤および分化剤を本実施形態のある特定の態様と組み合わせて使用することができる。細胞接着阻害剤は、本実施形態の効力を向上させると考えられる。細胞接着阻害剤の例は、接着斑キナーゼ(FAK)阻害剤およびロバスタチンである。治療効力を向上させるために、抗体c225などの、アポトーシスに対する過剰増殖性細胞の感受性を増大させる他の薬剤を、本実施形態のある特定の態様と組み合わせて使用することができる。
キットおよび診断薬
本明細書における様々な態様で提供されるのは、治療剤を含有するキットならびに/または他の治療および送達剤である。一部の実施形態では、本明細書で提供される治療を準備および/または投与するためのキットが企図される。キットは、本明細書で提供される医薬組成物のいずれかを含有する1つまたは複数の密封バイアルを含むことができる。キットは、例えば、少なくとも抗glycPD-1抗体またはグリコシル化PD-1ポリペプチド、ならびに本明細書で提供される成分を調製、製剤化および/もしくは投与するためのまたは本明細書で提供される方法の1つもしくは複数のステップを行うための試薬を含むことができる。
一部の実施形態では、キットは、抗glycPD-1抗体および少なくとも1つの補助的試薬を含むことができる。一部の実施形態では、キットは、グリコシル化PD-1ポリペプチドおよび少なくとも1つの補助的試薬を含むことができる。
一部の実施形態では、キットは、第2の抗がん剤をさらに含む。第2の抗がん剤は、化学療法剤、免疫療法剤、ホルモン療法剤、またはサイトカインでありうる。
一部の実施形態では、キットは、キットの成分と反応しない容器である好適な容器手段、例えば、エッペンドルフチューブ、アッセイプレート、注射器、ビンまたはチューブも含むことができる。容器は、プラスチックまたはガラスなどの滅菌可能な材料から製造されたものでありうる。
キットは、本明細書に記載の方法の手順ステップの概要を示す指示シートであって、本明細書に記載の手順と実質的に同じ手順または当業者に公知の手順に準拠するものとなる指示シートをさらに含むことができる。指示情報は、コンピューターを使用して実行すると、治療有効量の本明細書で提供される抗体またはポリペプチドを送達する現実のまたは仮想の手順を表示させる、機械可読の指示を収録しているコンピューター可読媒体でのものであってもよい。キットは、医薬品または生物学的製剤の製造、使用または販売を監督する政府機関によって指示された形式での注意書きであって、ヒトへの投与のための製造、使用または販売についての機関による承認を表す注意書きも含むことができる。
[実施例]
当然のことながら、本明細書に記載の様々な実施形態の性質および主旨を実質的に変えない変更形態も企図されることが理解される。したがって、以下の実施例は、説明のためのものであり、決して限定的でない。
材料および方法
細胞培養、安定発現株、およびトランスフェクション細胞は、アメリカ合衆国細胞培養系統保存機関(ATCC)から入手した。10%ウシ胎仔血清(FBS)を補充したDMEM/F12またはRPMI1640培地でこれらの細胞を増殖させた。ピューロマイシン(InvivoGen、San Diego、CA、USA)を使用して、HEK293T細胞におけるPD-I安定発現株を選択した。一過性トランスフェクションのために、SNリポソーム(Hu, M. C. et al., 2004, Cell, 117:225-237)、リポフェクタミン(商標)2000およびリポフェクタミンLTX(Life Technologies、Carlsbad、CA、USA)を使用して、PD-IをコードするDNAなどのDNAを細胞に一過性にトランスフェクトした。
レンチウイルス感染を使用する安定細胞の生成。PD-1遺伝子をOrigene(rockville、MD、USA)から購入し、公知の分子生物学技術を使用して、pCDHレンチウイルス発現ベクターにクローニングしてPD-1-Flag発現細胞株を樹立した。pCDHI PD-1-Flag発現ベクターを鋳型として使用して、部位特異的変異誘発によりPD-1-Flag NQ変異体N49Q、N58Q、N74Q、N116Qおよび4NQ(N49Q/N58Q/N79Q/N116Q)を生じさせた。酵素消化およびDNAシークエンシングを使用して、すべての構築物を確認した。PD-1を発現する安定細胞を生成するために、リポフェクタミンLTXトランスフェクション試薬を用いてプラスミドを293T細胞にトランスフェクトした。トランスフェクションの24時間後、培地を交換し、その後、24時間間隔で培地を採取した。レンチウイルスを含有する採取した培地を遠心分離して細胞残屑を除去し、0.45μmフィルターに通して濾過した。感染の12時間前に細胞を集密度50%で播種し、培地を、レンチウイルスを含有する培地と交換した。24時間感染させた後、培地を新鮮培地と交換し、1μg/mlのピューロマイシン(InvivoGen)を用いて感染細胞を選択した。
免疫ブロット分析、免疫細胞化学的検査および免疫沈降。免疫ブロット分析は、以前に記載されたように行った(Lim et al., 2008, Gastroenterology, 135:2I 28-40;およびLee et al., 2007, Cell, 130:440-455)。画像取得およびバンド強度の定量は、Bio-Rad ChemiDocイメージングシステム(Bio-Rad、Hercules、CA、USA)を使用して行った。免疫細胞化学的検査のために、細胞を室温で15分間、4%パラホルムアルデヒドで固定し、5分間、5%Triton X-100中で透過処理し、その後、一次抗体を使用して染色した。使用した二次抗体は、抗マウスAlexaFluor 488もしく594色素コンジュゲートおよび/または抗ウサギAlexaFluor 488もしく594色素コンジュゲート(Life Technologies)であった。核を4’,6-ジアミノ-2-フェニルインドール(DAPIブルー)(Life Technologies)で染色した。マウント後、マルチフォトン共焦点レーザー走査顕微鏡(Nikon A1+、Melville、NY、USA)を使用して細胞を可視化した。
フローサイトメトリー。PD-1野生型および変異型タンパク質または対照ベクターを過剰発現する細胞をトリプシン処理により単離し、Cell Staining Buffer(CBS)(BioLegend、San Diego、CA、US)中に細胞2×106個/mLで収集した。50μLの細胞を96ウェル丸底プレートに小分けし、それに50μLの一次抗体20μg/mLを添加し、その後、穏やかに混合し、4℃で、暗所で、1時間インキュベートした。細胞をCSBで洗浄し、抗マウスIgG-PEコンジュゲート(10μg/mL)とDAPI(1:100)と共に30分間、21℃暗所でインキュベートした。細胞を洗浄し、Guava EasyCyte HT(Millipore Darmstadt、DE)またはFACS Celesta(Becton Dickinson、Franklin Lakes、NJ、US)フローサイトメーターを使用してデータを取った。
PD-L1とPD-1(PD-L1/PD-1)の相互作用アッセイ。PD-1タンパク質とPD-L1タンパク質の相互作用を測定するために、PD-1発現細胞を4%パラホルムアルデヒド中、室温で15分間固定し、その後、組換えヒトPD-L1-Fcキメラタンパク質(R&D Systems)と共に1時間インキュベートした。使用した二次抗体は、抗ヒトAlexa Fluor 488色素コンジュゲート(Life Technologies)であった。その後、Alexa Fluor 488色素の蛍光強度をリアルタイム顕微鏡IncuCyte(Essen BioScience、Ann Arbor、Michigan、USA)を使用してモニターした。
KD決定およびOctetによるビニング。ハイスループットKDスクリーニングのために、抗体リガンドを20nM溶液によりセンサーに投入した。1mg/mlのウシ血清アルブミンを含有するPBS(アッセイ緩衝液)でベースラインを確立し、アッセイ緩衝液中の単一濃度の分析物にセンサーを沈めることにより会合ステップを行った。新たなアッセイ緩衝液中で解離を行い、モニターした。すべての実験は、1,000rpmで振盪しながらセンサーを用いて行った。ForteBioのデータ分析ソフトウェアを使用して、1:1結合モデルにデータをフィッシングして、会合速度および解離速度を抽出した。kd/ka比を使用してKDを計算した。典型的エピトープビニングアッセイでは、抗原PD-1-His(10nM)を二次抗体(10nM)と共に1時間、室温でプレインキュベートした。対照抗体(20nM)をAMCセンサー(ForteBio)に投入し、センサー上の残りのFc結合部位を全マウスIgG抗体(Jackson ImmunoResearch)でブロックした。プレインキュベートした抗原-二次抗体混合物にセンサーを曝露した。ForteBio’s Data Analysis Software 7.0を使用して生データを処理し、抗体対を競合結合について評価した。二次抗体によるさらなる結合は、占有されていないエピトープ(非競合物)を示し、その一方で結合なしは、エピトープブロッキング(競合物)を示す。
PD-1のグリコシル化分析。PD-1タンパク質のグリコシル化を確認するために、酵素PNGase F、Endo H、0-グリコシダーゼ(New England BioLabs、Ipswich、MA、USA)を製造業者による説明通りに用いて細胞溶解物を処置した。
統計解析。棒グラフのデータは、未処置または対照群に対する平均倍率変化と3回の独立した実験の標準偏差を表す。SPSS(バージョン20、SPSS、Chicago、IL)を使用して統計解析を行った。スピアマンの相関およびマン・ホイットニー検定を使用して、タンパク質発現とBLBCサブセットとの相関関係を解析した。実験データについてはスチューデントt検定を行った。AP値<0.05を統計的に有意と見なした。
グリコシル化PD-1はPD-L1と結合する。
N49、N58、N79およびN116にグリコシル化を有する野生型PD-1を発現する293T細胞を用いて、およびグリコシル化を阻止するためにこれらの位置のすべてにおけるアスパラギンがグルタミンで置換されている変異型PD-1を発現する293T細胞を用いて、PD-1/PD-L1結合アッセイで、PD-L1への結合におけるPD-1のグリコシル化の役割を試験した。したがって、変異型4NQは、N49Q/N58Q/N79Q/N116Qである。細胞を蛍光標識PD-L1-Fc融合タンパク質と共にインキュベートした。IncuCyte(商標)Zoomを製造業者の指示に従って用いて、リガンドおよび受容体結合を1時間ごとに定量した。図1Aは、野生型、すなわちグリコシル化されている、PD-1を発現する細胞がPD-L1-Fc融合タンパク質により緑色に染色されることを示す。その一方で、図1Bは、標識PD-L1-Fc融合体が、グリコシル化されていない4NQ変異型PD-1を発現する細胞と結合しないことを示す。図1Cは、野生型、グリコシル化PD-1発現細胞および4NQ変異型、非グリコシル化PD-1発現細胞に関する緑色染色レベルを24時間にわたって示すグラフである。野生型、グリコシル化PD-1発現細胞へのPD-L1-Fcの結合は、24時間にわたって増加するが、4NQ、非グリコシル化変異型PD-1発現細胞へのPD-L1-Fc結合は、ほとんどない。この実験は、PD-L1が、非グリコシル化PD-1と結合するよりはるかに大きい親和性でグリコシル化PD-1と結合することを実証する。
グリコシル化がPD-1-PD-L1会合に必要であるかどうかを判定するために、共免疫沈降およびウェスタンブロット分析を行って、PD-1 WTまたは4NQ発現293T細胞におけるPD-1とPD-L1の相互作用を評価した。PD-1 WTおよび4NQ発現293T細胞の溶解物をPD-L1/Fc癒合タンパク質と共にまたはなしでインキュベートし、その後、PD-1タンパク質を抗Flag樹脂で免疫沈降し、PD-L1/Fcを検出するために抗ヒトIgG-HRP、およびPD-1タンパク質を検出するために抗Flag抗体を用いてウェスタンブロットにより分析した。図1Dに示されているように、PD-L1/Fcを野生型と共にインキュベートするとPD-LへのPD-L1結合が(最上列に抗hIgG-HRP抗体により検出された通り)観察されるが、PD-L1/Fcを非グリコシル化4NQ PD-1変異体と共にインキュベートすると観察されない。抗FLAG抗体は、野生型および4NQ PD-1タンパク質と対照としてのPD-L1/Fcの両方を検出した。結果は、グリコシル化がPD-L1とPD-1の会合に必要であることを裏付ける。
抗PD-1抗体の産生
標準的プロトコールによる、ヒトPD-1で免疫されたBALB/cマウス((n=6)(Antibody Solutions, Inc.、Sunnyvale、CA、USA)から単離された脾細胞とSP2/0マウス骨髄腫細胞の融合により、グリコシル化ヒトPD-1に対して生成されたモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを得た。融合前に、FACS分析を使用してヒト化マウスからの血清をPD-1免疫原への結合について検証した。モノクローナル抗体(MAb)産生ハイブリドーマを生成した。抗体を産生するハイブリドーマを再び特異性について試験した。
このために、100を超える候補MAB産生ハイブリドーマを選択し、ADCF培地で増殖させ、それらのモノクローナル抗体含有上清を濃縮および精製した。非グリコシル化PD-1と比較してグリコシル化PD-1への優先的結合についてそれらの候補モノクローナル抗体をスクリーニングした。PD-1 WT(完全にグリコシル化されたもの)を過剰発現するT293細胞にビオチンタグを付け、その後、それらの細胞を、完全非グリコシル化PD-1を過剰発現するT293細胞と混合した。混合された細胞をPD-1に対する一次抗体と共にインキュベートし、FITCとコンジュゲートした二次抗体でさらに洗浄した。洗浄後、蛍光強度(MFI)を測定して、膜に結合したグリコシル化または非グリコシル化PD-1への抗体の相対結合を評価した。グリコシル化PD-1に関して非グリコシル化pD-1より有意に高いMFIを示す抗体を抗glycPD-1抗体として同定した。
生細胞イメージングアッセイ、Incucyte(商標)(Essen Bioscience)を使用して、精製MAbを、PD-L1とPD-1間の相互作用(PD-L1/PD-1結合相互作用)を中和または阻害するそれらの能力について試験した。このアッセイのために、PD-1を発現する293T細胞を抗ヒトPD-1抗体と共に、および蛍光標識PD-L1-Fc融合タンパク質と共にインキュベートした。Incycyte(商標)Zoomを製造業者の指示に従って用いて、リガンドおよび受容体結合を1時間ごとに定量した。
非グリコシル化PD-1と比較してグリコシル化PD-1と優先的に結合する2つの抗glycPD-1抗体、STM413およびSTM432を同定した。これらのモノクローナル抗体の重鎖および軽鎖可変ドメインの配列を表3に提供する。BIACORE(登録商標)アッセイを使用して、これらの抗体をグリコシル化PD-1に対する結合動態について特性解析した。結果を下の表6に提供する。
抗体-抗原架橋とグリコシル化PD-1ペプチド断片に関する高質量MALDI分析を使用して、グリコシル化PD-1上のSTM418エピトープを決定した。抗体のエピトープは、配列番号1の36、38、51、53、55、109、115、118および121位の抗体-抗原架橋実験により同定された結合接触点に下線が引かれている、下記の配列番号1のアミノ酸34~44、49~59および104~124のグリコシル化PD-1の領域であると決定した:
34PPTESPALLVV44…49NATFTCSFSNT59…104RDFHMSVVRARRNDSGTYLCG124
(配列番号1のアミノ酸34~44、49~59および104~124)。
抗体-抗原架橋と高質量MALDI分析を使用して、グリコシル化PD-1上のSTM432エピトープを決定した。ヒトPD-1配列におけるエピトープを以下の通り決定した。
91DCRERVTQLPNGRDFHM107--------------123CGAISLAPKAQI134
(配列番号1のアミノ酸91~107および123~134)。エピトープは、配列番号1におけるPD-1のアミノ酸配列のD91位からM107位そしてその後C123からI134に広がる。下線を引かれている位置R95、R103、S127およびK131は、PD-1抗体への架橋を示した位置である。
モノクローナル抗体STM418およびSTM432を、グリコシル化野生型および変異型PD-1-Fc(変異型PD-1タンパク質は、アスパラギン(N)のグルタミン(Q)の変異によって1つまたは複数のグリコシル化部位が除去されている)、ならびにPNGase Fで処置してグリコシル化を酵素的に除去した野生型P-1への結合について、ウェスタンブロット分析により試験した。各々0.5μgのPD-1-Fcタンパク質(野生型おならびに変異型N49Q、N58QおよびN74Q)およびPNGase F処置野生型PD-1をウェスタンブロット分析により分析し、STM418およびSTM432でプロービングし、ヤギ抗マウス二次抗体で検出した。図2は、STM418が、グリコシル化野生型PD-1、ならびに49および58位のグリコシル化部位が変異型である(すなわち、74および116位でグリコシル化されている)PD-1と結合するが、74位に変異型グリコシル化部位を有するPD-1とも、PNGase Fでの処置により脱グリコシル化された野生型PD-1とも結合しないことを示す。STM432は、野生型グリコシル化PD-1、および58位に変異型グリコシル化部位を有するPD-1と結合するが、49または74位のいずれかに変異型グリコシル化部位を有するPD-1とも、PNGase Fでの処置により脱グリコシル化された野生型PD-1とも結合しない。
フローサイトメトリーを使用して、野生型PD-1、変異型PD-1タンパク質を発現する293T細胞または対照293T細胞への抗glycPD-1抗体の結合をアッセイした。野生型PD-1、N49Q PD-1、N58Q PD-1、N74Q PD-1、N116Q PD-1、および4NQ PD-1(49、58、74および116位における置換であるNからQへの変異)を発現する293T細胞、ならびにPD-1を発現しない対照293T細胞への、STM418およびSTM432の結合をアッセイした。図3Aおよび3Bは、抗glycPD-1抗体または対照および蛍光標識二次抗体とのインキュベーション後の細胞のフローサイトメトリーの結果であって、MFI、すなわち測定蛍光強度、として測定された結果を表す。図3Cは、対照マウスIgGのインキュベーションからの結果を示す。野生型および変異型PD-1タンパク質を発現する細胞ならびに対照細胞への抗glycPD-1抗体および対照抗体の結合についてのMFIを下の表7に提示する。データは、STM418が、非グリコシル化4NQ変異型PD-1との結合についてのMFIより約128倍大きいMFIで野生型、グリコシル化PD-1と結合すること、およびSTM432が、非グリコシル化4NQ変異型PD-1との結合についてのMFIより約43倍大きいMFIで野生型、グリコシル化PD-1と結合することを示す。
抗glycPD-1抗体中和活性
PD-1タンパク質とPD-L1タンパク質の相互作用の抗体による阻害を測定するために、
PD-1を発現する293T細胞を96ウェルプレートに播種し、STM418またはSTM432抗体、組換えヒトPD-L1-Fcタンパク質および抗ヒト-Fc Alexa Fluor 488色素コンジュゲート(Life Technologies、Carlsbad、CA、US)と共にインキュベートした。緑色蛍光をIncuCyte(商標)Zoomデバイスにより2時間ごとに測定し、IncuCyte(商標)Zoomソフトウェア(Essen BioScience、Ann Arbor、MI、USA)により定量した。図4Aは、0.03μg/ml~4.0μg/mlの抗glycPD-1抗体濃度の存在下でのPD-L1-FcのPD-1発現細胞への結合を18時間にわたって示す。STM418は、PD-1発現細胞へのPD-L1-Fc結合を濃度依存的に阻害する。図4Bは、0.132μg/mlのEC50を計算するための、PD-1-PD-L1結合の活性パーセントに対するSTM418の濃度のプロットである。図5Aは、0.03μg/ml~4.0μg/mlの抗glycPD-1抗体STM432濃度の存在下でのPD-L1-FcのPD-1発現細胞への結合を18時間にわたって示す。STM432は、PD-1発現細胞へのPD-L1-Fc結合を濃度依存的に阻害する。図5Bは、0.110μg/mlのEC50を計算するための、PD-1-PD-L1結合の活性パーセントに対するSTM432の濃度のプロットである。
T細胞殺滅に対する抗glycPD-1抗体の効果
T細胞の存在下でのがん細胞に対する抗glycPD-1抗体の効果をアッセイするために、磁気αCD3単離抗体キットによりヒトPBMCからT細胞を単離し、その後、αCD3抗体 100ng/mLおよびIL-2 10ng/mLとの72時間のインキュベーションにより活性化した。10μg/mL SMT418、STM432抗体または対照としてのmIgG1アイソタイプと共にRPMI 1640培地が入っている96ウェルプレートに前もって播種した、NucLight Red Lentivirus試薬(Essen BioScience、Ann Arbor、MI、USA)で標識されたBT549がん細胞に、それらの活性化したT細胞を添加した。Incucyte Zoom(Essen Biosciences)を使用して、Incucyte Zoom 2016ソフトウェアにより計算される赤色核画像数(増殖)によって、経時的にがん細胞のT細胞殺滅を検出した。図6は、対照マウスIgGアイソタイプと共にインキュベートした活性化T細胞の存在下でのがん細胞と比較して、活性化T細胞およびSTM418またはSTM432抗体のどちらかの存在下でのがん細胞についての増殖の低減を、90時間にわたって示す。
抗体ヒト化
上に示したように、例えばヒト疾患のin vivo処置における使用を含む、ある特定の目的のためには、マウスモノクローナル抗体のヒト化誘導体を用いるほうが好ましい。そのようなヒト化抗体を形成するために、マウスモノクローナル抗体のフレームワーク配列(「親」配列)を、先ず、一連の「アクセプター」ヒト抗体のフレームワーク配列とアラインして、フレームワーク配列の差を同定する。親とアクセプター間で適合しないフレームワーク残基を置換することにより、ヒト化を果たす。バーニアゾーン、VH/VL鎖間界面、またはCDR基準クラス決定位置におけるものなどの、潜在的に重要な位置での置換を、予想される逆変異について分析した(Foote, J. et al., J. Molec. Biol. 224: 487-499 (1992)を参照されたい)。
保存ドメインデータベース(COD)(Marchler-Bauer, et al.(2011) Nucleic Acids Res. 39:D225-D229)を使用して、各アミノ酸鎖のドメインの内容および各ドメインの近似的境界を決定することができる。可変ドメイン境界は、いくつかの一般に使用されている定義(Kabat, E. A. et al.(1991) “Sequences of Proteins of Immunological Interest,” Fifth Edition.NIH Publication No. 91-3242;Chothia, C. et al., J. Mol. Biol. 196:901-917 (1987);Honegger, A. et al., J. Molec. Biol. 309(3):657-670 (2001))に従って、CDRの境界と共に正確に決定することができる。
MAFFT(Katoh, K. et al., Nucleic Acids Res. 30: 3059-3066 (2002))を使用してマウスおよびヒト生殖系列配列への親配列の複数のアライメントを生成し、各アライメントのエントリーを、親配列との配列同一性に従って順序づける。100%配列同一性をクラスタリングし、冗長エントリーを排除することにより、参照セットを縮小して一意的な配列セットにする。
最適なアクセプターフレームワーク選択は、両方の鎖のフレームワークにわたってのアクセプターに対する総合親抗体配列同一性に基づくが、VH/VL鎖間界面を構成する位置は特に興味深い。加えて、CDRのうちの5個について定義された基準構造(Chothia, C. et al., J. Mol. Biol. 196:901-917 (1987);Martin, A. C. et al., J. Molec. Biol 263:800-815 (1996);Al-Laziniki, B. et al., J. Molec. Biol. 273:927-948(1997))の個別のセットに関係するCDRループ長およびCDR位置を生殖系列と比較して、両方が同じ界面残基を有し、かつ類似のCDRループ立体構造を支持することが分かっている生殖系列フレームワークがどれであるのかを決定する。
ヒト生殖系列への親抗体の配列アライメントに基づいて、最も厳密に適合するエントリーを同定する。好ましいヒト生殖系列の選択は、要求される基準に基づく:(1)フレームワークにわたっての配列同一性、(2)同一のまたは匹敵する鎖間界面残基、(3)親CDRの基準立体構造を有する支持ループ、(4)重鎖生殖系列と軽鎖生殖系列の組み合わせが、発現される抗体において見いだされる、および(5)除去されなければならないN-グリコシル化部位の存在。
ヒト化抗体のFv領域の構造モデルを生成する。FRおよびCDRの候補構造鋳型断片、ならびに完全Fvを、標的とのそれらの配列同一性、およびオングストローム(Å)での、分解能などの、鋳型構造の定性的結晶学的基準に基づいて、スコアづけし、ランクづけし、抗体データベースから選択する。
構造的にFR鋳型にCDRをアラインするために、CDRの両側の5個の残基をCDR鋳型に含める。重複セグメントに基づいて断片のアライメントを生成し、構造配列アライメントを生成する。テンプレート断片をそのアライメントと共にMODELLER(SalI, A. et al.;J. Molec. Biol. 234:779-815(1993))によって処理した。このプロトコールは、アラインされた構造鋳型のセットに由来する立体構造の制約を生じる。この制約を充足する構造のアンサンブルを共役勾配および模擬アニーリング最適手順によって作出する。タンパク質構造スコアおよび立体構造制約充足から導出されるエネルギースコアに基づいて、このアンサンブルからモデル構造を選択するそのモデルを点検し、側鎖最適化アルゴリズムを使用して標的と鋳型間で異なった位置の側鎖を最適化し、エネルギーを最小にする。一式の可視化および計算ツールを使用して、CDR立体構造多様性、局所充填および表面分析を評価して、1つまたは複数の好ましいモデルを選択する。
親抗体の構造モデルを構築し、不良な原子充填、結合長、結合角または二面角の歪みなどの欠陥について点検する。これらの欠陥は、抗体の構造安定性に関する潜在的問題点を示しうる。このモデリングプロトコールは、そのような欠陥を最小にしようとするものである。ヒト化Fvの初期構造モデルは、安全な置換(すなわち、結合親和性または安定性に影響を与えるはずがない置換)および注意を要する置換(すなわち、位置置換が行われるが、その位置が結合親和性にとって重要であることもある)すべてを含んでいる。結合親和性低下または安定性低下のリスクに関連すると考えられる位置での置換が変更されない。鋳型の検索および選択を親鋳型検索とは別に行って、厳密に適合する親のバリアントモデルではなく良好な独立型モデルを作出する。可能性のある置換の評価を行うときに、モデルがアップデートされて、好ましい置換および逆変異の効果を反映する。
本出願を通して様々な刊行物を参照してきた。これらの刊行物の開示、それら全体が、本開示が関係する技術分野の現状をより十分に説明するために参照によって本明細書により本出願に組み入れられている。ある特定の実施形態の例を本明細書で提供するが、様々な変更および修飾を加えることができることは当業者には理解されるであろう。そのような修飾形態も添付の特許請求の範囲内に入ることを意図している。
本発明は次の実施態様を含む。
[1]
非グリコシル化PD-1と比較してグリコシル化PD-1と選択的に結合する単離されたモノクローナル抗体。
[2]
非グリコシル化PD-1と比較して、N49、N58、N74、N116位またはその任意の組み合わせでグリコシル化されたPD-1と選択的に結合する、上記[1]に記載の単離された抗体。
[3]
非グリコシル化PD-1に対して示されるK
d
の10倍少ないK
d
でグリコシル化PD-1と結合する、上記[1]または[2]に記載の単離された抗体。
[4]
蛍光標識により直接または間接的に検出可能であり、細胞フローサイトメトリーアッセイで非グリコシル化PD-1を発現する細胞への抗体結合により示されるMFIより10倍~50倍高い測定蛍光強度(MFI)でグリコシル化PD-1を発現する細胞と優先的に結合する、上記[1]~[3]のいずれかに記載の単離された抗体。
[5]
PD-1のN49、N58、N74およびN116のうちの1カ所または複数カ所でのグリコシル化を遮蔽する、上記[1]~[4]のいずれかに記載の単離された抗体。
[6]
配列番号1のアミノ酸34~44、49~59、および104~124を含みかつ配列番号1の36、38、51、53、55、109、115、118および121位のアミノ酸で接触するグリコシル化PD-1のエピトープと、または配列番号1のアミノ酸91~107および123~134を含みかつ配列番号1の95、103、127および131位のアミノ酸で接触するグリコシル化PD-L1のエピトープと特異的に結合する、上記[1]~[5]のいずれかに記載の単離された抗体。
[7]
グリコシル化PD-1との特異的結合についてMAb STM418またはMAb STM432と競合または交差競合する、上記[1]~[6]のいずれかに記載の単離された抗体。
[8]
V
H
ドメインが、配列番号3のアミノ酸配列を有し、V
L
が、配列番号5のアミノ酸配列を有する、上記[1]~[5]のいずれかに記載の単離された抗体。
[9]
V
H
ドメインが、配列番号23のアミノ酸配列を有し、V
L
ドメインが、配列番号25のアミノ酸配列を有する、上記[1]~[5]のいずれかに記載の単離された抗体。
[10]
V
H
ドメインが、配列番号3または配列番号23のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を有する、上記[1]~[5]のいずれかに記載の単離された抗体。
[11]
V
L
ドメインが、配列番号5または配列番号25のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を有する、上記[1]~[5]または[10]のいずれかに記載の単離された抗体。
[12]
配列番号6のアミノ酸配列を有するCDR H1と、配列番号7のアミノ酸配列を有するCDR H2と、配列番号8のアミノ酸配列を有するCDR H3とを含むV
H
ドメイン;または配列番号9のアミノ酸配列を有するCDR H1と、配列番号10のアミノ酸配列を有するCDR H2と、配列番号8のアミノ酸配列を有するCDR H3とを含むV
H
ドメイン;または配列番号11のアミノ酸配列を有するCDR H1と、配列番号12のアミノ酸配列を有するCDR H2と、配列番号8のアミノ酸配列を有するCDR H3とを含むV
H
ドメイン;または配列番号13のアミノ酸配列を有するCDR H1と、配列番号14のアミノ酸配列を有するCDR H2と、配列番号15のアミノ酸配列を有するCDR H3とを含むV
H
ドメインを有する、上記[1]~[5]のいずれかに記載の単離された抗体。
[13]
配列番号16のアミノ酸配列を有するCDR L1と、配列番号17のアミノ酸配列を有するCDR L2と、配列番号18のアミノ酸配列を有するCDR L3とを含むV
L
ドメイン;または配列番号19のアミノ酸配列を有するCDR L1と、配列番号20のアミノ酸配列を有するCDR L2と、配列番号21のアミノ酸配列を有するCDR L3とを含むV
L
ドメインを有する、上記[1]~[5]または[12]のいずれかに記載の単離された抗体。
[14]
配列番号26のアミノ酸配列を有するCDR H1と、配列番号27のアミノ酸配列を有するCDR H2と、配列番号28のアミノ酸配列を有するCDR H3とを含むV
H
ドメイン;または配列番号29のアミノ酸配列を有するCDR H1と、配列番号30のアミノ酸配列を有するCDR H2と、配列番号28のアミノ酸配列を有するCDR H3とを含むV
H
ドメイン;または配列番号31のアミノ酸配列を有するCDR H1と、配列番号32のアミノ酸配列を有するCDR H2と、配列番号28のアミノ酸配列を有するCDR H3とを含むV
H
ドメイン;または配列番号33のアミノ酸配列を有するCDR H1と、配列番号34のアミノ酸配列を有するCDR H2と、配列番号55のアミノ酸配列を有するCDR H3とを含むV
H
ドメインを有する、上記[1]~[5]または[13]のいずれかに記載の単離された抗体。
[15]
配列番号36のアミノ酸配列を有するCDR L1と、配列番号37のアミノ酸配列を有するCDR L2と、配列番号38のアミノ酸配列を有するCDR L3とを含むV
L
ドメイン;または配列番号39のアミノ酸配列を有するCDR L1と、配列番号40のアミノ酸配列を有するCDR L2と、配列番号41のアミノ酸配列を有するCDR L3とを含むV
L
ドメインを有する、上記[1]~[5]または[14]のいずれかに記載の単離された抗体。
[16]
配列番号6、配列番号7および配列番号8のアミノ酸配列をそれぞれ有する、または配列番号9、配列番号10および配列番号8のアミノ酸配列をそれぞれ有する、または配列番号11、配列番号12および配列番号8のアミノ酸配列をそれぞれ有する、または配列番号13、配列番号14および配列番号15のアミノ酸配列をそれぞれ有する、1、2または3つのCDRに1、2、3、4または5つのアミノ酸置換があるアミノ酸配列を有する、CDR H1、H2およびH3を含むV
H
ドメインを有する、上記[1]~[5]のいずれかに記載の単離された抗体。
[17]
配列番号16、配列番号17および配列番号18のアミノ酸配列をそれぞれ有する、または配列番号19、配列番号20および配列番号21のアミノ酸配列をそれぞれ有する、1、2または3つのCDRに1、2、3、4または5つのアミノ酸置換があるアミノ酸配列を有する、CDR L1、L2およびL3を含むV
L
ドメインを有する、上記[1]~[5]または[16]のいずれかに記載の単離された抗体。
[18]
配列番号26、配列番号27および配列番号28のアミノ酸配列をそれぞれ有する、または配列番号29、配列番号30および配列番号28のアミノ酸配列をそれぞれ有する、または配列番号31、配列番号32および配列番号28のアミノ酸配列をそれぞれ有する、または配列番号33、配列番号34および配列番号35のアミノ酸配列をそれぞれ有する、1、2または3つのCDRに1、2、3、4または5つのアミノ酸置換があるアミノ酸配列を有する、CDR H1、H2およびH3を含むV
H
ドメインを有する、上記[1]~[5]または[17]のいずれかに記載の単離された抗体。
[19]
配列番号36、配列番号37および配列番号38のアミノ酸配列をそれぞれ有する、または配列番号39、配列番号40および配列番号41のアミノ酸配列をそれぞれ有する、1、2または3つのCDRに1、2、3、4または5つのアミノ酸置換があるアミノ酸配列を有する、CDR L1、L2およびL3を含むV
L
ドメインを有する、上記[1]~[5]または[18]のいずれかに記載の単離された抗体。
[20]
ヒトフレームワーク領域を有する、上記[12]~[19]のいずれかに記載の単離された抗体。
[21]
1、2、3、4、5または6つのアミノ酸置換がある重鎖または軽鎖ヒトフレームワーク領域を有する、上記[20]に記載の単離された抗体。
[22]
ヒト定常ドメインを含む、上記[1]~[21]のいずれかに記載の単離された抗体。
[23]
IgG、IgM、IgAまたはそれらの抗原結合断片である、上記[1]~[22]のいずれかに記載の単離された抗体。
[24]
Fab’、F(ab’)2、F(ab’)3、一価scFv、二価scFv、または単一ドメイン抗体である、上記[1]~[22]のいずれかに記載の単離された抗体。
[25]
ヒト抗体またはヒト化抗体である、上記[1]~[5]のいずれかに記載の単離された抗体。
[26]
イメージング剤、化学療法剤、毒素または放射性核種とコンジュゲートされている、上記[1]~[25]のいずれかに記載の単離された抗体。
[27]
薬学的に許容される担体中に上記[1]~[26]のいずれかに記載の単離された抗体を含む組成物。
[28]
がんを有する対象を処置する方法であって、薬学的に許容される組成物中の有効量の上記[1]~[26]のいずれかに記載の単離された抗体を前記対象に投与することを含む方法。
[29]
前記がんが、乳がん、肺がん、頭頸部がん、前立腺がん、食道がん、気管がん、皮膚がん、脳がん、肝臓がん、膀胱がん、胃がん、膵臓がん、卵巣がん、子宮がん、子宮頸がん、精巣がん、結腸がん、直腸がんまたは皮膚がんである、上記[28]に記載の方法。
[30]
前記単離された抗体が、静脈内、皮内、腫瘍内、筋肉内、腹腔内、皮下または局所投与される、上記[29]に記載の方法。
[31]
少なくとも第2の抗がん療法を前記対象に施すことをさらに含む、上記[28]~[30]のいずれかに記載の方法。
[32]
前記第2の抗がん療法が、外科手術療法、化学療法、放射線療法、凍結療法、ホルモン療法、免疫療法またはサイトカイン療法である、上記[31]に記載の方法。
[33]
前記第2の抗がん療法が、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体、または抗CTLA-4抗体である、上記[31]に記載の方法。
[34]
前記第2の抗がん療法が、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、ピディリズマブ、アテゾリズマブ、デュルバルマブ、アベルマブまたはイピリムマブである、上記[33]に記載の方法。
[35]
前記第2の抗がん療法が、非グリコシル化PD-L1と比較してグリコシル化PD-L1と優先的に結合する抗PD-L1抗体である、上記[33]に記載の方法。
[36]
前記第2の抗がん療法が、抗グリコシル化PD-L1モノクローナル抗体、STM004、STM073、STM108またはSTM115のヒト化またはキメラ化抗体である、上記[35]に記載の方法。
[37]
PD-1グリコシル化を評価する方法であって、PD-1含有試料を上記[1]に記載の抗体と接触させることを含む方法。
[38]
in vitro方法としてさらに定義される、上記[37]に記載の方法。
[39]
前記試料が、細胞試料である、上記[39]に記載の方法。