JP7002088B1 - 癒着防止フィルム - Google Patents

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【課題】手術後の癒着防止効果が優れる、癒着防止フィルムを提供する。【解決手段】カルボキシメチルセルロース及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種のアニオン性ポリマーと、キトサン及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種のカチオン性ポリマーとが、ポリイオンコンプレックスを形成している、癒着防止フィルム。厚さが5μm以上500μm以下であることが好ましく、カルボキシメチルセルロースの重量平均分子量が5,000以上50万以下であることが好ましく、カチオン性ポリマーの重量平均分子量が5,000以上50万以下であることが好ましい。【選択図】なし

Description

本発明は、癒着防止フィルムに関する。
手術によって傷ついた正常な組織同士を縫合すると、その組織はくっついて自然に治癒(創傷治癒)する。しかし、手術後の治癒の過程で本来は離れている組織同士がくっつくことがある。癒着(ゆちゃく)とは、炎症により、本来離れているべき組織同士がくっついてしまうことをいう。手術後の癒着は、腹部手術の場合の激しい腹痛、婦人科手術後の不妊、神経外科手術後の身体障害など、術式によって異なる合併症を引き起こすことがある。
開腹手術では、臨床的に問題とされない癒着を含めると90%以上の確率で癒着が生じるとされており、癒着防止目的に癒着防止吸収性バリアが市販されている。
癒着防止吸収性バリアの市販品としては、科研製薬株式会社が販売するセプラフィルム(登録商標)(非特許文献1)、及び、ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社が販売するインターシード(登録商標)(非特許文献2)等がある。セプラフィルム(登録商標)は、原材料としてヒアルロン酸ナトリウム及びカルボキシメチルセルロースを2:1の割合(重量比)で含有する、生体吸収性材料である。インターシード(登録商標)は、酸化再生セルロースを編んだ類白色の布状シートである。
医療用品 04 整形用品、癒着防止吸収性バリア、セプラフィルム(登録商標)、2021年3月改訂、独立行政法人医薬品医療機器総合機構、[令和3年5月24日検索]、インターネット<URL: https://www.info.pmda.go.jp/ygo/pack/480348/20900BZY00790000_A_14_01/> 医療用品 04 整形用品、癒着防止吸収性バリア、インターシード(登録商標)、2018年9月改訂、独立行政法人医薬品医療機器総合機構、[令和3年5月24日検索]、インターネット<URL: https://www.info.pmda.go.jp/ygo/pack/340216/20300BZY01058000_A_07_05/>
癒着防止吸収性バリアの市販品では、何れも手術後の癒着を低減できる。しかし、市販品の癒着防止吸収性バリアを処置しても、まだ、50%程度で癒着が発生してしまう。何れも生体内で代謝されやすい材料であり、手術後に処置されると、短い時間に膨潤し、切口付近にある組織の成長より早く代謝してしまい、バリア効果が減り、癒着が発生したと考えられる。
本発明は、手術後の癒着防止効果が優れる、癒着防止フィルムを提供することを課題とする。
本発明は、以下の態様を有する。
[1] カルボキシメチルセルロース及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種のアニオン性ポリマーと、キトサン及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種のカチオン性ポリマーとを含むポリイオンコンプレックスのナノ粒子から構成され、
前記カチオン性ポリマーの脱アセチル化度は75%以上100%以下であり、
前記アニオン性ポリマーに含まれるアニオン性官能基(-CH -CO 及び-CH -CO H)のモル数と、カチオン性ポリマーに含まれるカチオン性官能基(-NH )のモル数との比が、0.8:1~1.2:1である、癒着防止フィルム。
[2] 厚さが5μm以上500μm以下である、[1]に記載の癒着防止フィルム。
[3] 前記カルボキシメチルセルロースの重量平均分子量が5,000以上50万以下である、[1]又は[2]に記載の癒着防止フィルム。
[4] 前記カチオン性ポリマーの重量平均分子量が5,000以上50万以下である、[1]~[3]のいずれか一項に記載の癒着防止フィルム。
本発明の癒着防止フィルムは、手術後の癒着防止効果が優れる。
図1(A)は、No.6のコントロール群のラットの手術直後の開腹部の写真である。図1(B)は、No.6のコントロール群のラットの手術2週間後の傷口の解剖写真である。図1(C)は、No.6のコントロール群のラットの手術2週間後の肝臓と周囲組織の観察写真である。 図2(A)は、No.45の処置群のラットの手術直後の開腹部の写真である。図2(B)は、No.45の処置群のラットの手術4週間後の傷口の解剖写真である。図2(C)は、No.45の処置群のラットの手術4週間後の肝臓と周囲組織の観察写真である。
≪癒着防止フィルム≫
本実施形態の癒着防止フィルムは、カルボキシメチルセルロース及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種のアニオン性ポリマーと、キトサン及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種のカチオン性ポリマーとが、ポリイオンコンプレックスを形成している。
本実施形態の癒着防止フィルムにおいて、ポリイオンコンプレックスは、アニオン性ポリマーとカチオン性ポリマーとを水溶液中で混合することで静電相互作用により形成される複合体である。ポリイオンコンプレックスは、アニオン性ポリマーとしてカルボキシメチルセルロース及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種を、カチオン性ポリマーとしてキトサン及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種を使用して得られる。
本実施形態に係る癒着防止フィルムに含まれるカルボキシメチルセルロース及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種のアニオン性ポリマーとキトサン及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種のカチオン性ポリマーとの比は、特に限定されるものではないが、例えば、カルボキシメチルセルロースに含まれるアニオン性官能基(-CH-CO 及び-CH-COH)のモル数と、カチオン性ポリマーに含まれるカチオン性官能基(-NH)のモル数との比が、0.8:1~1.2:1となる範囲であることが好ましく、0.9:1~1.1:1となる範囲であることがより好ましく、0.95:1~1.05:1となる範囲であることが更に好ましく、1:1となる範囲であることが更により好ましい。
本実施形態に係る癒着防止フィルムの厚さは、例えば、5μm以上500μm以下であることが好ましく、10μm以上200μm以下であることがより好ましく、15μm以上100μm以下であることがさらに好ましい。手術後の癒着防止のためのバリア効果に優れるフィルムが得られるという観点から、本実施形態に係る癒着防止フィルムの厚さは、5μm以上であることが好ましく、10μm以上であることがより好ましく、15μm以上であることがさらに好ましい。吸収性に優れるフィルムが得られるという観点から、本実施形態に係る癒着防止フィルムの厚さは、500μm以下であることが好ましく、200μm以下であることがより好ましく、100μm以下であることがさらに好ましい。
(カルボキシメチルセルロース及びその塩)
本実施形態に係る癒着防止フィルムは、カルボキシメチルセルロース及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種のアニオン性ポリマーを含む。カルボキシメチルセルロース及びその塩はアニオン性ポリマーである。カルボキシメチルセルロース及びその塩は入手しやすい工業原料であり、経済性に優れる。
カルボキシメチルセルロースの重量平均分子量は、例えば、5,000以上50万以下でよい。液体と接触した場合の寸法安定性に優れると共に、手術後の癒着防止のためのバリア効果に優れるフィルムが得られるという観点から、本実施形態に係るカルボキシメチルセルロースの重量平均分子量は、1万以上40万以下であることが好ましく、5万以上30万以下であることがより好ましく、10万以上20万以下であることが更に好ましい。カルボキシメチルセルロースの重量平均分子量は、例えば、サイズ排除クロマトグラフィーにより測定することができる。
カルボキシメチルセルロースの塩としては、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩であることが好ましい。ナトリウムの置換度としては、例えば0.60~0.95であり得る。ここで、置換度とは、モノマー単位当たりナトリウムカルボキシメチル基(CHCOONa)で置換されたヒドロキシル基の数をいう。
(キトサン及びその塩)
本実施形態に係る癒着防止フィルムは、キトサン及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種のカチオン性ポリマーを含む。キトサン及びその塩(以下、まとめて「カチオン性ポリマー」と記載することがある。)としては、特に制限されるものではなく、例えば、カニ、エビ等の甲殻類の外骨格から得られるキチンを脱アセチル化して得たものを利用することができる。キトサンの塩としては、例えば、塩酸塩、酢酸塩、ギ酸塩、クエン酸塩等の形態が挙げられる。キトサン及びその塩はカチオン性ポリマーである。キトサン及びその塩は入手しやすい工業原料であり、経済性に優れる。
前記カチオン性ポリマーの重量平均分子量は、例えば、5,000以上50万以下でよい。液体と接触した場合の寸法安定性に優れると共に、手術後の癒着防止のためのバリア効果に優れるフィルムが得られるという観点から、本実施形態に係るカチオン性ポリマーの重量平均分子量は、1万以上40万以下であることが好ましく、5万以上30万以下であることがより好ましく、10万以上20万以下であることが更に好ましい。カチオン性ポリマーの重量平均分子量は、例えば、サイズ排除クロマトグラフィーにより測定することができる。
前記カチオン性ポリマーの脱アセチル化度は、例えば、60%以上100%以下でよい。液体と接触した場合の寸法安定性に優れると共に、手術後の癒着防止のためのバリア効果に優れるフィルムが得られるという観点から、本実施形態に係るカチオン性ポリマーの脱アセチル化度は、75%以上100%以下であることが好ましく、80%以上98%以下であることがより好ましく、85%以上95%以下であることが更に好ましい。カチオン性ポリマーの脱アセチル化度は、例えば、NMR測定、赤外吸収スペクトル測定により、-NH基と-NHCOCH基の比率を算出することにより、求めることができる。
<癒着防止フィルムの製造方法>
本実施形態の癒着防止フィルムは、カルボキシメチルセルロース及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種のアニオン性ポリマーと、キトサン及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種のカチオン性ポリマーとを混合して、前記アニオン性ポリマーと前記カチオン性ポリマーとを含むポリイオンコンプレックスを形成し、このポリイオンコンプレックスをフィルムに成形することにより製造することができる。
前記アニオン性ポリマーと前記カチオン性ポリマーとを混合する方法は、特に限定されるものではないが、均質なポリイオンコンプレックスが得られるという観点から、それぞれの溶液を調製し、両溶液を混合する方法が好ましい。溶液を調製する際に用いる溶媒としては、水が好ましく、蒸留水又は超純水がより好ましい。溶媒としては、必要に応じて、緩衝液を用いてもよく、酢酸、アルコール等の有機溶媒を添加してもよい。
アニオン性ポリマー溶液における、カルボキシメチルセルロース及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種のアニオン性ポリマーの濃度は特に限定されるものではないが、例えば、0.1mg/mL以上200.0mg/mL以下の範囲とすることができる。混合の操作性を向上させる観点からは、アニオン性ポリマーの濃度は、0.5mg/mL以上50.0mg/mL以下の範囲であることが好ましい。
カチオン性ポリマー溶液における、キトサン及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種のカチオン性ポリマーの濃度は特に限定されるものではないが、例えば、0.1mg/mL以上200.0mg/mL以下の範囲とすることができる。混合の操作性を向上させる観点からは、アニオン性ポリマーの濃度は、0.5mg/mL以上50.0mg/mL以下の範囲であることが好ましい。
前記アニオン性ポリマーと前記カチオン性ポリマーとを混合する温度条件は、特に限定されるものではないが、例えば、0~100℃であることが好ましく、4~80℃であることがより好ましい。
前記アニオン性ポリマーと前記カチオン性ポリマーとを混合する際には、カルボキシメチルセルロースに含まれるアニオン性官能基のモル数と、カチオン性ポリマーに含まれるカチオン性官能基のモル数との比が、上述した範囲内となるように、使用するアニオン性ポリマー溶液及びカチオン性ポリマー溶液の割合を決定することが好ましい。また、例えば、アニオン性ポリマー溶液及びカチオン性ポリマー溶液のいずれか一方の溶液に対し、他方の溶液をゲル形成が飽和するまで滴下することで、カルボキシメチルセルロースに含まれるアニオン性官能基のモル数と、カチオン性ポリマーに含まれるカチオン性官能基のモル数との比が、約1:1となるようにすることもできる。
前記アニオン性ポリマーと前記カチオン性ポリマーとを混合した後、超音波処理を行うことが好ましい。これにより、ポリイオンコンプレックスの収率を向上させることができる。
ポリイオンコンプレックスをフィルムに成形する方法は、特に限定されるものではないが、ポリイオンコンプレックスの分散液を塗布し乾燥する方法、ポリイオンコンプレックスを加熱加圧する方法が挙げられる。
ポリイオンコンプレックスの分散液を塗布し乾燥してフィルムに成形する場合、前記アニオン性ポリマーと前記カチオン性ポリマーとを含むポリイオンコンプレックスの分散液を、支持体上に塗布する。支持体としては、限定されないが、テフロン(登録商標)のフィルムが好ましい。ロールコーター、ナイフコーター、ロールナイフコーター、エアナイフコーター、ダイコーター、バーコーター、グラビアコーター、カーテンコーター等の塗工機によって塗布することができる。
以下、具体的実施例により、本発明についてさらに詳しく説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施例に何ら限定されるものではない。
<原料>
キトサン(フレーク状、重量平均分子量(Mw):約100,000、脱アセチル化度90.2%、以下、「CHI」という。)、及び、木材パルプに由来するカルボキシメチルセルロースナトリウム塩(重量平均分子量(Mw):約135,000、以下、「CMC」という。)は、ナカライテスク株式会社から購入した。
<癒着防止フィルムの製造>
[実施例1]
1.0mg/mLのCMC水溶液、及び、0.1%(Vol/Vol)の酢酸水溶液中の1.0mg/mLのCHI溶液を調製した。
次に、両者が同じ体積ずつになるよう、1.0mg/mLのCMC水溶液に1.0mg/mLのCHI溶液を滴下し、25℃、15min、700rpmで撹拌し、懸濁液を調製した。
懸濁液を5000rpm、10minの条件で遠心分離し、凝集したコンプレックスゲル体を廃棄し、上清を、再度、15000rpm、30minの条件で遠心分離した。
上清を廃棄し、ポリイオンコンプレックス(PIC)のナノ粒子が得られた。体積が遠心分離前の懸濁液に対して1/80になるように、得られたナノ粒子に純水を加え、超音波処理を行い、濃縮分散液を調製した。
テフロン(登録商標)のフィルム上に、500μLの濃縮分散液を塗布し、37℃で充分乾燥させ、厚さが約45μm(45μm±5μm)、直径が約20mmの円形の、実施例1の癒着防止フィルムを作製した。
[比較例1]
10mg/mLのCMC水溶液を調製した。テフロン(登録商標)のフィルム上に、2mLのCMC水溶液を塗布し、37℃で充分乾燥させ、厚さが約100μm、直径が約20mmの円形の、比較例1のCMCフィルムを作製した。
[比較例2]
0.1%(Vol/Vol)の酢酸水溶液中の10mg/mLのCHI溶液を調製した。テフロン(登録商標)のフィルム上に、2mLをスポット、乾燥した。さらに2mLスポットし、乾燥、繰り返して3回を行った。厚さが約100μm、直径が約20mmの円形の、比較例2のCHIフィルムを作製した。
<生理食塩水での崩壊速さ測定>
実施例1、比較例1及び比較例2のフィルムを、それぞれ、生理食塩水に浸し、1日後、2日後、3日後にそれぞれ、フィルムが崩壊するか否かの評価を行った。実施例1のフィルムは、3日後もフィルムの形状を残していたが、比較例1及び比較例2のフィルムは、何れも、1時間以内に崩壊していた。
実施例1のフィルムは、CMC及びCHIがポリイオンコンプレックスを形成していることにより、比較例1のCMCフィルム、比較例2のCHIフィルムよりも、生理食塩水中での形状維持安定性に優れていることが示された。これはイオンコンプレックス内のイオン結合により溶液中の膨潤速度が大幅に遅らせ、即ち体内での代謝スビードが単純のCMCフィルムやキトサンフィルムより代謝が大分遅くなると推測でき、手術後のための癒着防止フィルムとして用いたときには、優れた癒着防止効果を奏すると期待できる。
<癒着防止の評価実験>
体重180~200gの12匹のラットを1週間飼育した後、体重に応じて6匹のコントロール群と6匹の処置群にランダムに分け、手術前に12時間の絶食と水処理を行った後、次に示す胃手術を行った。
10%トリクロロアセトアルデヒド一水和物を用いて、0.35ml/100gでラットを麻酔し、皮膚と腹膜を切断し、胃に5mmの小さな切り込みを入れた。胃の傷口を3針縫合し、コントロール群は未処置のまま、処置群は胃の傷口に実施例1の癒着防止フィルムを置き、腹部と皮膚を縫合した。ペニシリン(20,000U/kg)を、術後3日間連続して筋肉内注射した。
手術2週間後及び手術4週間後にラットを解剖し、ラットの胃癒着を観察し、次の基準で採点した。
(採点基準)
0点:腹膜との癒着がなく、肝臓自身の癒着がなく、肝臓と周囲組織の癒着がなく、胃と肝臓や小腸の癒着がない。
1点:腹膜との癒着がなく、肝臓自身の癒着がなく、肝臓と周囲組織の癒着がなく、胃と肝臓や小腸の癒着が1カ所且つ長さ:1mm未満である。
2点:腹膜との癒着がなく、肝臓自身の癒着がなく、肝臓と周囲組織の癒着がなく、胃と肝臓や小腸の癒着が2か所、又は、長さ:1mm以上である。
3点:腹膜との癒着がなく、肝臓自身の癒着がなく、肝臓と周囲組織の癒着があり、胃と肝臓や小腸の癒着が1カ所且つ長さ:1mm未満である。
4点:腹膜との癒着がなく、肝臓自身の癒着がなく、肝臓と周囲組織の癒着があり、胃と肝臓や小腸の癒着が2か所、又は、長さ:1mm以上である。
5点:腹膜との癒着がなく、肝臓自身の癒着があり、肝臓と周囲組織の癒着があり、胃と肝臓や小腸の癒着が2か所、又は、長さ:1mm以上である。
また、それぞれの採点結果に対して、順位和検定法により順位スコアを付与した。実験結果を表1及び表2に示す。
Figure 0007002088000001
Figure 0007002088000002
図1(A)は、No.6のコントロール群のラットの手術直後の開腹部の写真である。図1(B)は、No.6のコントロール群のラットの手術2週間後の傷口の解剖写真である。図1(C)は、No.6のコントロール群のラットの手術2週間後の肝臓と周囲組織の観察写真である。
図2(A)は、No.45の処置群のラットの手術直後の開腹部の写真である。図2(B)は、No.45の処置群のラットの手術4週間後の傷口の解剖写真である。図2(C)は、No.45の処置群のラットの手術4週間後の肝臓と周囲組織の観察写真である。
コントロール群のラットにおいて、手術の4週間後は2週間後より癒着が低減した。これはラット自身の自己治癒力だと考えられる。
処置群のラットにおいて、コントロール群のラットと比べて、2週間後に癒着低減の効果が観察され、4週間後も2/3に癒着がなく、1/3に癒着が生じても、軽い程度の癒着であった。
順位和検定法により順位スコアの平均値は、コントロール群のラットで8.75であったのに対して、実施例1の癒着防止フィルムを用いた処置群のラットでは、4.25であった。実施例1の癒着防止フィルムにおいて、有意に優れた癒着防止効果が認められた。
本発明の癒着防止フィルムは、適切な代謝性を備え、優れた癒着防止効果があるので、婦人科手術、一般腹部手術、心血管手術、整形外科手術、神経外科手術、再建手術、泌尿器外科手術等の手術後の癒着防止のための癒着防止吸収性バリアとして利用することができる。

Claims (4)

  1. カルボキシメチルセルロース及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種のアニオン性ポリマーと、キトサン及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種のカチオン性ポリマーとを含むポリイオンコンプレックスのナノ粒子から構成され
    前記カチオン性ポリマーの脱アセチル化度は75%以上100%以下であり、
    前記アニオン性ポリマーに含まれるアニオン性官能基(-CH -CO 及び-CH -CO H)のモル数と、カチオン性ポリマーに含まれるカチオン性官能基(-NH )のモル数との比が、0.8:1~1.2:1である、癒着防止フィルム。
  2. 厚さが5μm以上500μm以下である、請求項1に記載の癒着防止フィルム。
  3. 前記カルボキシメチルセルロースの重量平均分子量が5,000以上50万以下である、請求項1又は2に記載の癒着防止フィルム。
  4. 前記カチオン性ポリマーの重量平均分子量が5,000以上50万以下である、請求項1~3のいずれか一項に記載の癒着防止フィルム。
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