JP7001952B1 - 電力制御システムおよび機器 - Google Patents

Abstract

【課題】電路における電力の容量に関する指標とは無関係に機器から電線へ電力を供給させる場合に比べて、電路に適した供給の内容により機器から電線へ電力を供給させる。【解決手段】発電所から供給された電力が機器に受給されるまでに通る電路における電力の容量に関する容量情報を取得する取得手段と、発電所から供給された電力が機器に受給されるまでに通る電線への機器からの電力の供給を、容量情報に基づき制御する制御手段と、を備える電力制御システム。【選択図】図７

Description

本開示は、電力制御システムおよび機器に関する。

特許文献１には、制御ゲイン決定部でｎ次高調波電流成分の変動幅を検出して、その変動幅を系統電圧に影響を及ぼさない範囲に保つように制御ゲインを決定することが記載されている。

特開２００５－２４５１１７号公報

機器から電線へ電力を供給させることがある。ここで、機器から供給された電力が通る電路における電力の容量に関する指標とは無関係に機器から電線へ電力を供給させると、電路に適さない内容による電力の供給がされることがある。
本開示は、電路における電力の容量に関する指標とは無関係に機器から電線へ電力を供給させる場合に比べて、電路に適した供給の内容により機器から電線へ電力を供給させることを目的とする。

本開示の電力制御システムは、発電所から供給された電力が機器に受給されるまでに通る電路における電力の容量に関する容量情報を取得する取得手段と、前記発電所から供給された電力が前記機器に受給されるまでに通る電線への当該機器からの電力の供給を、前記容量情報に基づき制御する制御手段と、を備える電力制御システムである。この場合、電路における電力の容量に関する指標とは無関係に機器から電線へ電力を供給させる場合に比べて、電路に適した供給の内容により機器から電線へ電力を供給させることができる。
ここで、前記制御手段は、前記容量情報に基づき、前記機器から前記電線への電力の供給を制限してもよい。この場合、機器からの電力の供給が制限されない場合に比べて、電路に不具合が生じることを抑制できる。
また、前記機器が電力を供給する能力に関する能力情報を取得する能力情報取得手段をさらに備え、前記制御手段は、前記容量情報および前記能力情報に基づいて前記制御をしてもよい。この場合、機器が電力を供給する能力に関する指標とは無関係に機器から電線へ電力を供給させる場合に比べて、機器に適した供給の内容により、機器から電線へ電力を供給させることができる。
また、前記電路には、第１電路と、当該第１電路よりも電力の受給側に設けられている第２電路とがあり、前記制御手段は、前記第１電路における前記容量に関する第１容量情報、および前記第２電路における当該容量に関する第２容量情報に基づき、前記機器から当該第１電路への電力の供給を制御してもよい。この場合、電路における電力の容量に関する指標とは無関係に電線に電力が供給される場合に比べて、機器からの電力が電線に供給されるまでに通る電路に適した供給の内容により、機器から電線へ電力を供給させることができる。
また、前記制御手段は、前記第１容量情報に関して定められた条件、および前記第２容量情報に関して定められた条件に基づき、前記機器から前記第１電路への電力の供給を制御してもよい。この場合、第１電路における電力の容量に関する指標および第２電路における電力の容量に関する指標に応じた供給の内容により、機器から電線へ電力を供給させることができる。
また、前記第２電路は、前記機器が設けられている施設に設けられ、前記第１容量情報に関して定められた前記条件は、前記第１電路への供給が必要な電力に関して定められ、前記第２容量情報に関して定められた前記条件は、前記機器が電力を供給する能力に関して定められてもよい。この場合、電路における電力の容量に関して無条件で機器から電線へ電力を供給させる場合に比べて、電路および機器に適した供給の内容により、機器から電線へ電力を供給させることができる。
また、前記電路には、第１電路と、当該第１電路とは異なる第２電路とがあり、前記機器には、前記第２電路を介することなく前記第１電路を介して電力を受給することが可能な第１機器と、当該第１電路を介することなく当該第２電路を介して電力を受給することが可能な第２機器とがあり、前記制御手段は、前記第１電路における前記容量に関する第１容量情報、および前記第２電路における当該容量に関する第２容量情報に基づき、前記第１機器による電力の供給と前記第２機器による電力の供給との関係を制御してもよい。この場合、電路における電力の容量に関する指標とは無関係に電力の供給の関係が定められる場合に比べて、電路に適した供給の内容により電力の供給の関係を定めることができる。
また、前記機器が電力を供給する能力に関する能力情報を取得する能力情報取得手段をさらに備え、前記制御手段は、前記第１機器が電力を供給する能力に関する第１能力情報、および前記第２機器が電力を供給する能力に関する第２能力情報に基づき、前記関係を制御してもよい。この場合、機器が電力を供給する能力に関する指標とは無関係に電力の供給の関係が定められる場合に比べて、機器に適した供給の内容により電力の供給の関係を定めることができる。
また、前記第１電路は、前記第１機器が設けられている施設に設けられ、前記第２電路は、前記第２機器が設けられている施設に設けられていてもよい。この場合、電路における電力の容量に関する指標と機器が電力を供給する能力に関する指標とについて適した関係により、電力の供給の関係を定めることができる。
また、前記取得手段は、前記機器よりも電力の受給側に設けられている受給側電路における電力の容量に関する受給側容量情報を取得し、前記制御手段は、前記容量情報および前記受給側容量情報に基づき、前記機器から前記電線への電力の供給を制御してもよい。この場合、受給側電路における電力の容量に関する指標とは無関係に機器から電線へ電力を供給させる場合に比べて、受給側電路に適した供給の内容により機器から電線へ電力を供給させることができる。
また、他の観点から捉えると、本開示の機器は、発電所から供給された電力が機器に受給されるまでに通る電路における電力の容量に関する容量情報を取得する取得手段と、前記発電所から供給された電力が前記機器に受給されるまでに通る電線への電力の供給を、前記容量情報に基づき制御する制御手段と、を備える機器である。この場合、電路における電力の容量に関する指標とは無関係に機器が電線へ電力を供給する場合に比べて、電路に適した供給の内容により機器が電線へ電力を供給することができる。

本実施形態に係る電力制御システムの一例を示した図である。 制御サーバおよび管理サーバのハードウエアの構成を示した図である。 ＨＰＳの機能構成を示した図である。 制御サーバの機能構成を示した図である。 特定電路管理テーブルを示した図である。 ＨＰＳ管理テーブルを示した図である。 調整量算出処理の流れを示したフローチャートである。 変形例としての電力制御システムの全体構成を示した図である。 変形例における特定電路管理テーブルを示した図である。

以下、添付図面を参照して実施の形態について説明する。
図１は、本実施形態に係る電力制御システム１の一例を示した図である。
電力制御システム１は、皮相電力を制御するシステムである。
電力制御システム１には、電力系統１０と、複数の電力消費施設２０と、制御サーバ３０と、管理サーバ４０とが設けられている。

電力系統１０は、電力の需要家に電力を供給するための設備が設けられているシステムである。電力系統１０には、発電所１１、送電線１２、供給側変電所１３、供給側配電線１４、接続電線１４１、自動電圧調整器（ＳＶＲ:Step Voltage Regulator）１５、受給側変電所１６、受給側配電線１７、柱上変圧器１８、および需要家側配電線１９が設けられている。

発電所１１は、発電をする設備である。発電所１１としては、火力発電所、水力発電所、原子力発電所、太陽光発電所、風力発電所、地熱発電所等が挙げられる。もっとも、発電所１１は、上述の通り、発電をする設備であればよく、列挙した例に限定されない。
発電所１１は、電力系統１０に複数設けられている。図示の例では、発電所１１Ａおよび発電所１１Ｂからなる二つの発電所１１が設けられている。なお、発電所１１Ａおよび発電所１１Ｂを特に区別することなく説明する場合、単に発電所１１と称することがある。

送電線１２は、発電所１１に生成された電力を構成する電流が流れる線路である。送電線１２は、発電所１１から供給側変電所１３にわたって設けられている。
送電線１２は、電力系統１０に複数設けられている。図示の例では、送電線１２Ａおよび送電線１２Ｂからなる二つの送電線１２が設けられている。なお、送電線１２Ａおよび送電線１２Ｂを特に区別することなく説明する場合、単に送電線１２と称することがある。

供給側変電所１３は、電圧を変換する設備である。供給側変電所１３は、受給側変電所１６よりも、電力の供給側に設けられている。本実施形態では、電力における最も供給側に位置する設備は、発電所１１である。また、電力における最も受給側に位置する設備は、電力消費施設２０である。
供給側変電所１３は、送電線１２を通じて供給された電圧を変換する。供給側変電所１３としては、５０万Ｖの電圧を１５．４万Ｖに変換する変電所、１５．４万Ｖの電圧を６．６万Ｖに変換する変電所、６．６万Ｖの電圧を２．２万Ｖに変換する変電所等が挙げられる。
供給側変電所１３は、電力系統１０に複数設けられている。図示の例では、供給側変電所１３Ａおよび供給側変電所１３Ｂからなる二つの供給側変電所１３が設けられている。なお、供給側変電所１３Ａおよび供給側変電所１３Ｂを特に区別することなく説明する場合、単に供給側変電所１３と称することがある。

供給側配電線１４は、供給側変電所１３に変換された電圧が印加されて生じる電流が流れる線路である。供給側配電線１４は、供給側変電所１３から受給側変電所１６にわたって設けられている。また、供給側配電線１４は、受給側配電線１７よりも電力の供給側に設けられている。
供給側配電線１４は、電力系統１０に複数設けられている。図示の例では、供給側配電線１４Ａおよび供給側配電線１４Ｂからなる二つの供給側配電線１４が設けられている。供給側配電線１４Ａには、発電所１１Ａに生成された電力を構成する電流が流れる。また、供給側配電線１４Ｂには、発電所１１Ｂに生成された電力を構成する電流が流れる。なお、供給側配電線１４Ａおよび供給側配電線１４Ｂを特に区別することなく説明する場合、単に供給側配電線１４と称することがある。

接続電線１４１は、供給側配電線１４Ａと供給側配電線１４Ｂとを接続する線路である。本実施形態では、発電所１１Ａに生成された電力を構成する電流は、供給側配電線１４Ａおよび接続電線１４１を介して、供給側配電線１４Ｂに流れることが可能である。また、発電所１１Ｂに生成された電力を構成する電流は、供給側配電線１４Ｂおよび接続電線１４１を介して、供給側配電線１４Ａに流れることが可能である。言い換えると、接続電線１４１は、供給側配電線１４Ｂからの電力を供給側配電線１４Ａに供給することが可能であり、また、供給側配電線１４Ａからの電力を供給側配電線１４Ｂに供給することが可能である。

ＳＶＲ１５は、供給側配電線１４に供給される電圧を調整する。より具体的には、ＳＶＲ１５は、供給側配電線１４に供給される電圧を検出する。そして、ＳＶＲ１５は、検出した電圧が予め定められた範囲でない場合に、この電圧が予め定められた範囲に収まるように、電圧を調整する。
ＳＶＲ１５は、電力系統１０に複数設けられている。図示の例では、ＳＶＲ１５ＡおよびＳＶＲ１５Ｂからなる二つのＳＶＲ１５が設けられている。なお、ＳＶＲ１５ＡおよびＳＶＲ１５Ｂを特に区別することなく説明する場合、単にＳＶＲ１５と称することがある。
なお、電力制御システム１には、ＳＶＲ１５の代わりに、無効電力補償装置（ＳＶＣ：Static Var Compensator）が設けられてもよい。ＳＶＣは、供給側配電線１４に供給される電圧を調整する。より具体的には、ＳＶＣは、無効電力を遅れ方向から進み方向まで連続的に調整することで供給側配電線１４における電圧が予め定められた範囲に収まるようにする。また、電力制御システム１には、ＳＶＣ１５およびＳＶＣが何れも設けられてもよい。

受給側変電所１６は、供給側配電線１４を通じて供給された電圧を変換する設備である。受給側変電所１６としては、例えば、供給された電圧を６６００Ｖに変換する変電所等が挙げられる。
受給側変電所１６は、電力系統１０に複数設けられている。図示の例では、受給側変電所１６Ａおよび受給側変電所１６Ｂからなる二つの受給側変電所１６が設けられている。受給側変電所１６Ａは、供給側配電線１４Ａを通じて供給された電圧を変換する。また、受給側変電所１６Ｂは、供給側配電線１４Ｂを通じて供給された電圧を変換する。なお、受給側変電所１６Ａおよび受給側変電所１６Ｂを特に区別することなく説明する場合、単に受給側変電所１６と称することがある。

受給側配電線１７は、受給側変電所１６に変換された電圧が印加されて生じる電流が流れる線路である。受給側配電線１７は、受給側変電所１６から柱上変圧器１８にわたって設けられている。なお、本実施形態では、供給側配電線１４、接続電線１４１および受給側配電線１７を特に区別することなく説明する場合、単に「電線」と称することがある。
受給側配電線１７は、電力系統１０に複数設けられている。図示の例では、受給側配電線１７Ａおよび受給側配電線１７Ｂからなる二つの受給側配電線１７が設けられている。受給側配電線１７Ａには、受給側変電所１６Ａに変換された電圧が印加されて生じる電流が流れる。また、受給側配電線１７Ｂには、受給側変電所１６Ｂに変換された電圧が印加されて生じる電流が流れる。なお、受給側配電線１７Ａおよび受給側配電線１７Ｂを特に区別することなく説明する場合、単に受給側配電線１７と称することがある。

柱上変圧器１８は、受給側配電線１７を通じて供給された電圧を変換する設備である。柱上変圧器１８としては、例えば、６６００Ｖの電圧を２００Ｖに変換する変圧器や、６６００Ｖの電圧を１００Ｖに変換する変圧器等が挙げられる。
柱上変圧器１８は、電力系統１０に複数設けられている。図示の例では、柱上変圧器１８Ａおよび柱上変圧器１８Ｂからなる二つの柱上変圧器１８が設けられている。柱上変圧器１８Ａは、受給側配電線１７Ａを通じて供給された電圧を変換する。また、柱上変圧器１８Ｂは、受給側配電線１７Ｂを通じて供給された電圧を変換する。なお、柱上変圧器１８Ａおよび柱上変圧器１８Ｂを特に区別することなく説明する場合、単に柱上変圧器１８と称することがある。

需要家側配電線１９は、柱上変圧器１８に変換された電圧が印加されて生じる電流が流れる線路である。電力系統１０には、複数の需要家側配電線１９が設けられている。より具体的には、需要家側配電線１９は、電力消費施設２０ごとに設けられている。各需要家側配電線１９は、柱上変圧器１８から電力消費施設２０にわたって設けられている。図示の例では、需要家側配電線１９Ａ乃至需要家側配電線１９Ｄからなる四つの需要家側配電線１９が設けられている。なお、需要家側配電線１９Ａ乃至需要家側配電線１９Ｄを特に区別することなく説明する場合、単に需要家側配電線１９と称することがある。

また、電力系統１０には、複数の電力センサ１０Ｓが設けられている。電力センサ１０Ｓは、供給側配電線１４に接続されている。より具体的には、電力センサ１０Ｓは、供給側配電線１４のうちのＳＶＲ１５よりも電力の供給側の部分に接続されている。また、電力センサ１０Ｓは、接続電線１４１に接続されている。また、電力センサ１０Ｓは、それぞれ、受給側変電所１６の各々に接続されている。また、電力センサ１０Ｓは、それぞれ、受給側配電線１７の各々に接続されている。

電力センサ１０Ｓは、接続されている電線における皮相電力に関するパラメータを検出する。皮相電力に関するパラメータとは、皮相電力に影響を及ぼすパラメータである。皮相電力に関するパラメータとしては、例えば、皮相電力、無効電力、高調波電圧、電流、力率、予め定められた期間における皮相電力量や無効電力量等が挙げられる。皮相電力に関するパラメータとしての電流には、高調波電流が含まれる。また、高調波電圧や高調波電流としては、特定の次数の高調波電圧や高調波電流であってもよい。特定の次数としては、例えば、第５次の高調波が挙げられる。また、皮相電力に関するパラメータとしては、例えば、電流の総合高調波歪み率（ＴＨＤ：Total Harmonic Distortion）や電圧のＴＨＤ等が挙げられる。ここで、電流のＴＨＤは、下記式（１）から算出される。また、電圧のＴＨＤは、下記式（２）から算出される。

上記式（１）において、Ｉ_１は基本波電流である。また、Ｉ_ｎはｎ次高調波電流である。
上記式（２）において、Ｖ_１は基本波電圧である。また、Ｖ_ｎはｎ次高調波電圧である。
電力センサ１０Ｓは、例えば、予め定められた時間ごとに、皮相電力に関する上記のパラメータを検出する。なお、皮相電力に関するパラメータを、以下では、電力情報と称することがある。電力情報としては、皮相電力に関するパラメータが示された情報が挙げられる。また、電力情報は、電流の波形が示された情報であってもよい。また、予め定められた時間としては、何れの時間でもよいが、例えば、６０秒である。また、電力センサ１０Ｓによって電力情報が検出される対象の設備は、電力センサ１０Ｓが接続されている設備のうちの、電線である。電力センサ１０Ｓは、電力情報を検出すると、検出した電力情報を、検出の対象である電線を識別する電線識別情報とともに、管理サーバ４０へ送信する。

また、本実施形態の電力センサ１０Ｓは、接続されている設備における電力、電力量若しくは所定時間における電力量を検出する。なお、電力、電力量および所定時間における電力量を特に区別することなく説明する場合、単に「電力」と総称することがある。また、設備における電力とは、設備を通っている電力である。設備における電力が示された情報を、以下では、設備電力情報と称することがある。電力センサ１０Ｓによって設備電力情報が検出される対象の設備は、電力センサ１０Ｓが接続されている全ての設備である。
電力センサ１０Ｓは、例えば、予め定められた時間ごとに、接続されている設備に係る設備電力情報を検出する。予め定められた時間としては、何れの時間でもよいが、例えば、６０秒である。電力センサ１０Ｓは、設備電力情報を検出すると、検出した設備電力情報を、検出の対象である設備を識別する設備識別情報とともに、管理サーバ４０へ送信する。

なお、電力系統１０に設けられる発電所１１、送電線１２、供給側変電所１３、柱上変圧器１８および需要家側配電線１９の数は、図示の例に限定されない。電力系統１０に設けられる発電所１１、送電線１２、供給側変電所１３、柱上変圧器１８および需要家側配電線１９の数は、図示の例よりも多くてもよいし、図示の例よりも少なくてもよい。また、発電所１１、送電線１２、供給側変電所１３、柱上変圧器１８および需要家側配電線１９のうちの対象の設備の数が図示の例よりも少ないことには、対象の設備が設けられないことも含まれる。一例を挙げると、発電所１１に生成された電力が、受給側配電線１７を介する一方で、柱上変圧器１８および需要家側配電線１９を介することなく、電力消費施設２０に供給されてもよい。
また、供給側配電線１４、受給側変電所１６、受給側配電線１７の数は、図示の例に限定されない。電力系統１０には、図示した数よりも多くの供給側配電線１４、受給側変電所１６、受給側配電線１７が設けられてもよい。また、供給側配電線１４ごとに電力センサ１０Ｓが設けられてもよいし、受給側変電所１６ごとに電力センサ１０Ｓが設けられてもよいし、受給側配電線１７ごとに電力センサ１０Ｓが設けられてもよい。
また、電力センサ１０Ｓが検出する電力情報は、皮相電力に関する一種類のパラメータに限定されない。電力センサ１０Ｓは、上述したパラメータのうちの複数種類のパラメータを検出してもよい。そして、検出した複数種類の各々のパラメータが示された電力情報を管理サーバ４０へ送信してもよい。また、検出の対象になるパラメータの種類ごとに電力センサ１０Ｓが設けられてもよい。

電力消費施設２０は、需要家側配電線１９を通じて発電所１１から供給された電力を受給して消費する施設である。各電力消費施設２０は、受電設備２０１と、施設内電線２０２と、施設電力センサ２０Ｓとを備える。
受電設備２０１は、電力系統１０から供給された電力を受給する。また、受電設備２０１は、受給した電力における電圧を、電力消費施設２０内の設備にて用いられる電圧に変換する。受電設備２０１としては、配電盤や分電盤等が挙げられる。
施設内電線２０２は、受電設備２０１に受給された電力を構成する電流が流れる線路である。施設内電線２０２は、受電設備２０１から、電力消費施設２０内にて電力を消費する各機器にわたって設けられている。

施設電力センサ２０Ｓは、例えば、予め定められた時間ごとに、受電設備２０１における電力が示された情報である設備電力情報を検出する。予め定められた時間としては、何れの時間でもよいが、例えば、６０秒である。施設電力センサ２０Ｓは、設備電力情報を検出すると、検出した設備電力情報を、検出の対象である受電設備２０１を識別する設備識別情報とともに、制御サーバ３０へ送信する。

また、各電力消費施設２０には、複数のヒートポンプシステム（ＨＰＳ：Heat Pump System）２１と、負荷２２とが設けられている。
機器の一例としてのＨＰＳ２１は、電力系統１０から受給した電力を用いて、温度や湿度を調整する。ＨＰＳ２１による調整の対象としては、電力消費施設２０内の空間の温度や湿度が挙げられる。また、ＨＰＳ２１による調整の対象としては、電力消費施設２０に設けられている液体の温度が挙げられる。

また、本実施形態のＨＰＳ２１は、電流を供給することができる。ＨＰＳ２１は、電流を供給することで、このＨＰＳ２１における皮相電力に関する上記のパラメータを調整する。さらに、ＨＰＳ２１は、電線に電流を供給することができる。ＨＰＳ２１は、電線に電流を供給することで、この電線における皮相電力に関する上記のパラメータを調整する。

電線における皮相電力に関するパラメータのＨＰＳ２１による調整の手法の一例を説明する。電線に特定の次数の高調波電流が生じている場合において、ＨＰＳ２１が、この特定の次数の高調波電流を打ち消す位相の電流を電線に供給することにより、電線における特定の次数の高調波電流を低減する。
電線における皮相電力に関するパラメータのＨＰＳ２１による調整の手法の他の一例を説明する。電線に無効電力が生じている場合において、ＨＰＳ２１が電線に電流を供給することにより、電線における無効電力を減少させる。また、電線における無効電力の減少に伴い、電線における力率が向上する。
このように、本実施形態では、ＨＰＳ２１を用いて電線における皮相電力に関するパラメータを調整する。また、ＨＰＳ２１は、電線の調整と同様の手法により、ＨＰＳ２１における皮相電力に関するパラメータを調整する。ここで、皮相電力に関するパラメータが変化することに伴い、皮相電力も変化する。そのため、皮相電力に関する上記の各パラメータの調整は、広義には、皮相電力の調整として捉えられる。以下では、調整の対象としての皮相電力に関する各パラメータを、「皮相電力」と総称することがある。

ＨＰＳ２１としては、温度や湿度を調整するシステム等が挙げられる。より具体的には、ＨＰＳ２１としては、例えば、空気調和装置、内部の温度を調和するショーケース、冷蔵機、冷凍機、給湯器等、ＨＶＡＣ（Heating Ventilation and Air Conditioning）システムに用いられる機器が挙げられる。
ＨＰＳ２１は、制御サーバ３０から電線における皮相電力の調整の指示をされると、受けた指示に応じて電線に電力を供給する。より具体的には、ＨＰＳ２１は、電力を構成する電流を電線に供給することで、この電線における皮相電力を調整する。皮相電力を調整するとは、有効電力および無効電力の一方または両方を調整することである。言い換えると、皮相電力を調整するとは、有効電力および無効電力の少なくとも一方を調整することである。また、皮相電力の調整の指示とは、有効電力および無効電力の一方または両方の調整を指示することである。言い換えると皮相電力の調整の指示とは、有効電力および無効電力の少なくとも一方の調整を指示することである。

本実施形態では、発電所１１から供給された電力は、送電線１２、供給側変電所１３、供給側配電線１４、受給側変電所１６、受給側配電線１７、柱上変圧器１８、需要家側配電線１９、受電設備２０１、および施設内電線２０２を介して、ＨＰＳ２１に受給される。そのため、送電線１２、供給側変電所１３、供給側配電線１４、受給側変電所１６、受給側配電線１７、柱上変圧器１８、需要家側配電線１９、受電設備２０１、および施設内電線２０２は、発電所１１から供給された電力がＨＰＳ２１に受給されるまでに通る電路として捉えられる。
負荷２２は、需要家側配電線１９を通じて発電所１１から供給された電力を受給して消費する。

また、本実施形態では、電力消費施設２０に、ＨＰＳセンサ２１Ｓが設けられている。ＨＰＳセンサ２１Ｓは、ＨＰＳ２１ごとに設けられている。ＨＰＳセンサ２１Ｓは、ＨＰＳ２１から供給されている電力を検出する。
ＨＰＳセンサ２１Ｓは、例えば、予め定められた時間ごとに、ＨＰＳ２１から供給されている電力を検出する。予め定められた時間としては、何れの時間でもよいが、例えば、６０秒である。また、ＨＰＳ２１から供給されている電力が示された情報を、以下では、ＨＰＳ供給情報と称することがある。ＨＰＳセンサ２１Ｓは、ＨＰＳ供給情報を検出すると、検出したＨＰＳ供給情報を、検出の対象であるＨＰＳ２１を識別するＨＰＳ識別情報とともに、制御サーバ３０へ送信する。

なお、図示の例では、需要家側配電線１９ごとに一つの電力消費施設２０が設けられているが、これに限定されない。需要家側配電線１９ごとに、複数の電力消費施設２０が設けられても良い。また、電力消費施設２０に設けられるＨＰＳ２１の数や負荷２２の数は、図示の例に限定されない。電力消費施設２０には、図示した数よりも多くのＨＰＳ２１や負荷２２が設けられてもよい。また、ＨＰＳ２１や負荷２２が設けられていない電力消費施設２０が設けられてもよい。また、電力消費施設２０には、ＨＰＳ２１とは異なる機器が設けられてもよい。

制御サーバ３０は、ＨＰＳ２１の動作を制御するサーバ装置である。より具体的には、制御サーバ３０は、電線における皮相電力を調整するためのＨＰＳ２１の動作を制御する。制御サーバ３０は、管理サーバ４０から電力情報を取得する。また、制御サーバ３０は、電力情報を取得すると、取得した電力情報に基づいて、電線における皮相電力を調整するか否かを決定する。そして、電線における皮相電力を調整すると決定した場合に、調整の対象である電線における皮相電力を、ＨＰＳ２１に調整させる。なお、皮相電力を調整する対象として制御サーバ３０に決定された電線を、以下では、調整対象電線と称することがある。

また、本実施形態では、制御サーバ３０は、ＨＰＳ２１から供給された電力が調整対象電線に供給されるまでに通る電路に通すことができる電力に基づいて、調整対象電線における皮相電力のＨＰＳ２１による調整を制御する。より具体的には、制御サーバ３０は、電路に通すことができる最大の電力を超える電力が電路を通らないように、調整対象電線における皮相電力のＨＰＳ２１による調整を制御する。

管理サーバ４０は、電力系統１０を管理するサーバ装置である。管理サーバ４０は、電力センサ１０Ｓから電力情報や設備電力情報を取得する。管理サーバ４０は、電力情報を取得すると、取得した電力情報を、この電力情報の対象である電線を識別する電線識別情報とともに、制御サーバ３０へ送信する。また、管理サーバ４０は、設備電力情報を取得すると、取得した設備電力情報を、この設備電力情報の対象である設備を識別する設備識別情報とともに、制御サーバ３０へ送信する。

管理サーバ４０や制御サーバ３０は、例えば、コンピュータにより実現される。管理サーバ４０や制御サーバ３０は、単一のコンピュータにより構成しても良いし、複数のコンピュータによる分散処理により実現しても良い。また、管理サーバ４０や制御サーバ３０は、クラウドコンピューティングにより提供される仮想的なハードウエア上にて実現しても良い。なお、以下では、制御サーバ３０および管理サーバ４０を特に区別することなく説明する場合、単に「サーバ」と称することがある。

本実施形態では、制御サーバ３０と、各電力消費施設２０に設けられている各機器および管理サーバ４０とは、ネットワーク（不図示）を介して接続されている。また、管理サーバ４０と、電力系統１０に設けられている各設備や各機器とは、ネットワーク（不図示）を介して接続されている。これらのネットワークは、データの送受信が可能であれば良い。また、データの送受信に用いられる通信回線は、有線であっても無線であっても良いし、電力線通信（ＰＬＣ:Power Line Communication）であっても良い。また、複数のネットワークや通信回線を介して通信先に接続される構成であっても良い。

また、制御サーバ３０や管理サーバ４０の数は、図示の例に限定されない。電力制御システム１には、二つ以上の制御サーバ３０や二つ以上の管理サーバ４０が設けられても良い。また、制御サーバ３０は、電力消費施設２０ごとに設けられても良い。

図２は、制御サーバ３０および管理サーバ４０のハードウエアの構成を示した図である。
サーバには、ＣＰＵ３１、ＲＯＭ（Read Only Memory）３２、ＲＡＭ（Random Access Memory）３３が設けられている。また、サーバには、ハードディスク装置などにより構成され、情報を記憶する記憶装置３５が設けられている。さらに、サーバには、外部との通信を行う通信装置３４（通信Ｉ／Ｆ）が設けられている。
この他、サーバには、キーボード、マウス等の情報の入力に用いられる入力用装置、液晶ディスプレイ等の表示装置が設けられている。

ＲＯＭ３２、記憶装置３５は、ＣＰＵ３１により実行されるプログラムを記憶する。ＣＰＵ３１は、ＲＯＭ３２や記憶装置３５に記憶されているプログラムを読み出し、ＲＡＭ３３を作業エリアにしてプログラムを実行する。
ＣＰＵ３１により、ＲＯＭ３２や記憶装置３５に格納されたプログラムが実行されることで、後述する各機能部が実現される。

ここで、ＣＰＵ３１によって実行されるプログラムは、磁気記録媒体（磁気テープ、磁気ディスクなど）、光記録媒体（光ディスクなど）、光磁気記録媒体、半導体メモリなどのコンピュータが読取可能な記録媒体に記憶した状態で、サーバへ提供できる。また、ＣＰＵ３１によって実行されるプログラムは、インターネットなどの通信手段を用いて、サーバへ提供しても良い。

図３は、ＨＰＳ２１の機能構成を示した図である。
ＨＰＳ２１には、調整部２１１と、電力変換装置２１２と、受電経路２１３と、アクティブフィルタ（ＡＦ：Active Filter）２１４とが設けられている。
調整部２１１は、温度や湿度を調整する。調整部２１１には、受給した電力を用いて動作するモータ（不図示）が設けられている。また、調整部２１１には、熱交換器（不図示）が設けられており、この熱交換器を通じて、電力消費施設２０内の空気や液体が熱交換される。

電力変換装置２１２は、インバータ（不図示）およびコンバータ（不図示）を有する。電力変換装置２１２は、電力系統１０から受電した電力を、インバータおよびコンバータを用いて、特定の電圧および特定の周波数からなる電力に変換する。特定の電圧および特定の周波数とは、調整部２１１に設けられているモータの動作に必要な電圧および周波数である。電力変換装置２１２は、変換した電力を、調整部２１１に供給する。
受電経路２１３は、ＨＰＳ２１において電力変換装置２１２が受ける電力が通る経路である。

ＡＦ２１４は、電力変換装置２１２の受電経路２１３に対して、電力変換装置２１２と電気的に並列して接続されている。ＡＦ２１４は、電力変換装置２１２の受電経路２１３に電流を供給することで、この受電経路２１３における皮相電力を調整する。
また、ＡＦ２１４は、電線に電流を供給することで、この電線における皮相電力を調整する。
なお、本実施形態では、ＨＰＳセンサ２１Ｓ（図１参照）に検出される対象の電力は、ＡＦ２１４から供給されている電力である。

また、図３ではＨＰＳ２１の機能構成を示したが、電線における皮相電力の調整に用いられる機器は、ＨＰＳ２１に限定されない。
電線における皮相電力の調整に用いられる機器は、電線に電流を供給できる機器であればよい。電線に電流を供給できる機器としては、電力変換装置を有する機器等が挙げられる。より具体的には、電線に電流を供給できる機器としては、インバータおよびコンバータの少なくとも一方が設けられている電力変換装置を有する機器等が挙げられる。また、電力変換装置を有する機器としては、電気自動車や蓄電池等が挙げられる。また、電力変換装置を有する機器としては、太陽光発電システムや風力発電システム等の再生可能エネルギーを生成するシステム等が挙げられる。

図４は、制御サーバ３０の機能構成を示した図である。
制御サーバ３０には、取得部３０１と、記憶部３０２と、余裕量算出部３０３と、決定部３０４と、必要量算出部３０５と、抽出部３０６と、可能量算出部３０７と、調整量算出部３０８と、送信部３０９とが設けられている。

取得手段の一例としての取得部３０１は、制御サーバ３０に送信された情報や制御サーバ３０に入力された情報を取得する。一例を挙げると、取得部３０１は、管理サーバ４０から制御サーバ３０に送信された電力情報を取得する。また、取得部３０１は、管理サーバ４０や施設電力センサ２０Ｓから送信された設備電力情報を取得する。また、取得部３０１は、ＨＰＳセンサ２１Ｓから送信されたＨＰＳ供給情報を取得する。
また、取得部３０１は、ＨＰＳ２１が電力を供給する能力に関する情報を、各ＨＰＳ２１から取得する。ＨＰＳ２１が電力を供給する能力に関する情報を、以下では、能力情報と称することがある。そのため、取得部３０１は、能力情報を取得する能力情報取得手段としても捉えられる。また、本実施形態では、能力情報は、ＨＰＳ２１のＡＦ２１４が供給できる最大の電力が示された情報である。また、電力制御システム１のユーザが各ＨＰＳ２１に係る能力情報を制御サーバ３０に入力することにより、各ＨＰＳ２１に係る能力情報が取得部３０１に取得されてもよい。

また、本実施形態の取得部３０１は、予め定められた電路における電力の容量に関する情報を取得する。電路における電力の容量とは、電路において短絡や発火が発生することなく電路に通すことができる最大の電力である。言い換えると、電路における電力の容量は、電路に通すことができる電力の許容値である。また、本実施形態では、予め定められた電路は、電線、受給側変電所１６、および受電設備２０１である。予め定められた電路としての電線、受給側変電所１６、および受電設備２０１を、以下では、特定電路と称することがある。また、電路における電力の容量に関する情報を、以下では、容量情報と称することがある。本実施形態では、容量情報は、電路における電力の容量が示された情報である。また、本実施形態では、電力制御システム１のユーザが、各特定電路に係る容量情報を制御サーバ３０に入力することにより、各特定電路に係る容量情報が取得部３０１に取得される。取得部３０１に取得された情報は、記憶部３０２に記憶される。
記憶部３０２は、情報を記憶する。記憶部３０２に記憶される情報については、後に詳述する。

余裕量算出部３０３は、特定電路における電力の容量までの余裕としての電力を算出する。特定電路における電力の容量までの余裕としての電力を、以下では、余裕量と称することがある。余裕量算出部３０３は、特定電路における電力の容量から、特定電路を通っている電力を減算した値を、余裕量として算出する。ここで、特定電路における電力の容量は、容量情報から特定される。また、特定電路を通っている電力は、最新の設備電力情報から特定される。
余裕量算出部３０３は、予め定められた時間ごとに、余裕量を算出する。予め定められた時間は、何れの時間であってもよいが、例えば、６０秒である。また、余裕量算出部３０３は、特定電路ごとに、余裕量を算出する。余裕量算出部３０３は、余裕量を算出すると、算出した余裕量を記憶部３０２に記憶させる。

決定部３０４は、ＨＰＳ２１に調整させる対象の電線を決定する。決定部３０４は、取得部３０１に取得された電力情報に基づいて、この電力情報に係る電線における皮相電力を調整する必要があるか否かを決定する。

必要量算出部３０５は、調整対象電線における皮相電力を改善するために調整対象電線に供給することが必要な電力を算出する。調整対象電線における皮相電力を改善するために調整対象電線に供給することが必要な電力を、以下では、調整必要量と称することがある。必要量算出部３０５は、調整対象電線に係る電力情報に基づいて、調整必要量を算出する。

抽出部３０６は、調整対象電線における皮相電力の調整に用いるＨＰＳ２１の候補を抽出する。抽出部３０６は、電力制御システム１に設けられているＨＰＳ２１のうちの、調整対象電線を通じて電力を受給するＨＰＳ２１を、この調整対象電線の調整に用いるＨＰＳ２１の候補として抽出する。

可能量算出部３０７は、電線における皮相電力を調整するためにＨＰＳ２１のＡＦ２１４が供給できる電力を算出する。電線における皮相電力を調整するためにＨＰＳ２１のＡＦ２１４が供給できる電力を、以下では、調整可能量と称することがある。可能量算出部３０７は、ＨＰＳ２１のＡＦ２１４が供給できる最大の電力から、ＨＰＳ２１から供給されている電力を減算した値を、調整可能量として算出する。ここで、ＨＰＳ２１のＡＦ２１４が供給できる最大の電力は、能力情報から特定される。また、ＨＰＳ２１から供給されている電力は、最新のＨＰＳ供給情報から特定される。
可能量算出部３０７は、予め定められた時間ごとに、調整可能量を算出する。予め定められた時間は、何れの時間であってもよいが、例えば、６０秒である。また、可能量算出部３０７は、ＨＰＳ２１ごとに、調整可能量を算出する。可能量算出部３０７は、調整可能量を算出すると、算出した調整可能量を記憶部３０２に記憶させる。

制御手段の一例としての調整量算出部３０８は、調整対象電線を調整するために調整対象電線に供給する電力を算出する。調整対象電線を調整するために調整対象電線に供給する電力を、以下では、調整量と称することがある。
調整量算出部３０８は、ＨＰＳ２１から調整対象電線に供給される電力が通る電路に係る余裕量に基づいて、調整量を算出する。ＨＰＳ２１から調整対象電線に供給される電力が通る電路を、以下では、通過電路と称することがある。調整量算出部３０８は、より具体的には、通過電路に係る余裕量と、調整必要量との関係に基づいて、調整量を算出する。また、調整量算出部３０８は、ＨＰＳ２１に係る調整可能量に基づいて、調整量を算出する。より具体的には、調整量算出部３０８は、調整可能量と調整必要量との関係、および、調整可能量と通過電路に係る余裕量との関係に基づいて、調整量を算出する。

また、調整量算出部３０８は、算出した調整量に基づいて、調整対象電線を調整するためにＨＰＳ２１のＡＦ２１４から供給させる電力を算出する。なお、調整対象電線を調整するためにＨＰＳ２１のＡＦ２１４から供給させる電力を、以下では、供給量と称することがある。

送信部３０９は、調整量算出部３０８に算出された供給量が示された情報を、各ＨＰＳ２１へ送信する。より具体的には、送信部３０９は、供給量が示された情報を、この供給量による電力の供給先である調整対象電線を識別する電線識別情報とともに、この供給量による電力を供給する対象のＨＰＳ２１へ送信する。

図５は、特定電路管理テーブルを示した図である。特定電路管理テーブルは、特定電路を管理するためのテーブルである。特定電路管理テーブルは、制御サーバ３０の記憶部３０２に記憶されている。
特定電路管理テーブルでは、「特定電路」に、設備識別情報が示されている。「特定電路」に示された「１４」は、特定電路が供給側配電線１４であることを意味する。また、「１４」とともに付された「Ａ」および「Ｂ」は、それぞれ、供給側配電線１４Ａおよび供給側配電線１４Ｂのうちの何れであるかを識別するための情報である。また、「特定電路」に示された「１６」は、特定電路が受給側変電所１６であることを意味する。また、「１６」とともに付された「Ａ」および「Ｂ」は、それぞれ、受給側変電所１６Ａおよび受給側変電所１６Ｂのうちの何れであるかを識別するための情報である。また、「特定電路」に示された「１７」は、特定電路が受給側配電線１７であることを意味する。また、「１７」とともに付された「Ａ」および「Ｂ」は、それぞれ、受給側配電線１７Ａおよび受給側配電線１７Ｂのうちの何れであるかを識別するための情報である。また、「特定電路」に示された「１４１」は、特定電路が接続電線１４１であることを意味する。また、「特定電路」に示された「２０１」は、特定電路が受電設備２０１であることを意味する。また、「２０１」とともに付された「Ａ」乃至「Ｄ」は、複数の受電設備２０１のうちの何れであるかを識別するための情報である。

また、特定電路管理テーブルでは、「供給側」に、設備識別情報が示されている。「供給側」に示された設備識別情報は、この「供給側」に関連付けられた「特定電路」よりも発電所１１からの電力の供給側に配置されている特定電路に係る設備識別情報である。
「供給側」の一例を説明する。「１６Ａ」の「特定電路」の「供給側」には、供給側配電線１４Ａである「１４Ａ」および接続電線１４１である「１４１」が関連付けられている。また、「１６Ｂ」の「特定電路」の「供給側」には、供給側配電線１４Ｂである「１４Ｂ」および接続電線１４１である「１４１」が関連付けられている。また、「１４１」の「特定電路」の「供給側」には、供給側配電線１４Ａである「１４Ａ」および供給側配電線１４Ｂである「１４Ｂ」が関連付けられている。また、「１４Ａ」および「１４Ｂ」の「特定電路」の「供給側」には、特定電路が関連付けられていない。

また、特定電路管理テーブルでは、「容量」に、「特定電路」に係る容量情報が示されている。
本実施形態では、電力制御システム１のユーザが、「特定電路」、「供給側」および「容量」を、制御サーバ３０に入力する。制御サーバ３０の取得部３０１は、「特定電路」、「供給側」および「容量」を取得すると、取得した「特定電路」、「供給側」および「容量」を、特定電路管理テーブルに書き込む。

また、特定電路管理テーブルでは、「余裕量」に、余裕量算出部３０３に算出された余裕量が示されている。余裕量算出部３０３は、特定電路に係る最新の余裕量を算出するたびに、算出した最新の余裕量を、対象の「特定電路」に関連付けられた「余裕量」に上書きする。

また、特定電路管理テーブルでは、「電力情報」に、電力センサ１０Ｓに検出された最新の電力情報が示されている。取得部３０１は、最新の電力情報を取得するたびに、取得した最新の電力情報を、対象の「特定電路」に関連付けられた「電力情報」に上書きする。

また、特定電路管理テーブルでは、「閾値」に、「特定電路」における皮相電力について設定された閾値が示されている。この「閾値」は、「特定電路」における皮相電力の調整が必要であるか否かについての決定部３０４の判定に用いられる閾値である。「閾値」には、「特定電路」における皮相電力の調整が不要と決定部３０４に判定される「電力情報」の上限値が設定されてもよいし、上限値を上回る値が設定されてもよい。また、「閾値」には、「特定電路」における皮相電力の調整が不要と決定部３０４に判定される「電力情報」の下限値が設定されてもよいし、下限値を下回る値が設定されても良い。また、「閾値」には、「特定電路」における皮相電力の調整が不要と決定部３０４に判定される「電力情報」の値の範囲が設定されても良い。また、「閾値」には、「特定電路」における皮相電力の調整が必要と決定部３０４に判定される「電力情報」の値の範囲が設定されても良い。また、「閾値」には、皮相電力に関する上記のパラメータごとの閾値が設定されても良い。
なお、「電力情報」および「閾値」が書き込まれる対象の「特定電路」は、特定電路のうちの電線である。

特定電路管理テーブルの内容について、一例を説明する。「特定電路」の「１７Ａ」から特定される受給側配電線１７Ａは、「供給側」として「１６Ａ」が関連付けられ、「容量」として「１００」が関連付けられ、「余裕量」として「５０」が関連付けられ、「電力情報」として「Ｐ３」が関連付けられ、「閾値」として「Ｔ３」が関連付けられている。

図６は、ＨＰＳ管理テーブルを示した図である。ＨＰＳ管理テーブルは、ＨＰＳ２１を管理するためのテーブルである。ＨＰＳ管理テーブルは、制御サーバ３０の記憶部３０２に記憶されている。
ＨＰＳ管理テーブルでは、「ＨＰＳ」に、ＨＰＳ識別情報が示されている。「ＨＰＳ」の「２１」とともに付された「Ａ」乃至「Ｌ」は、それぞれ、複数のＨＰＳ２１のうちの何れであるかを識別するための情報である。

また、ＨＰＳ管理テーブルでは、「経由電路」に、設備識別情報が示されている。「経由電路」に示された設備識別情報は、発電所１１から供給された電力が「ＨＰＳ」に受給されるまでに経由する電路に係る設備識別情報である。また、「経由電路」には、「受給側配電線」および「受電設備」が示されている。「受給側配電線」の「１７」とともに付された「Ａ」および「Ｂ」は、それぞれ、受給側配電線１７Ａおよび受給側配電線１７Ｂのうちの何れであるかを識別するための情報である。また、「受電設備」の「２０１」とともに付された「Ａ」乃至「Ｄ」は、それぞれ、複数の受電設備２０１のうちの何れであるかを識別するための情報である。
電力制御システム１のユーザは、ＨＰＳ２１ごとに、「ＨＰＳ」と、「経由電線」の「受給側配電線」および「受電設備」とを、制御サーバ３０に入力する。取得部３０１は、取得した「ＨＰＳ」と、「経由電線」の「受給側配電線」および「受電設備」とを、ＨＰＳ管理テーブルに書き込む。

また、ＨＰＳ管理テーブルでは、「調整可能量」に、「ＨＰＳ」について可能量算出部３０７に算出された調整可能量が示されている。可能量算出部３０７は、ＨＰＳ２１に係る最新の調整可能量を算出するたびに、算出した最新の調整可能量を、対象の「ＨＰＳ」に関連付けられた「調整可能量」に上書きする。

ＨＰＳ管理テーブルの内容について、一例を説明する。「２１Ａ」から特定される「ＨＰＳ」には、「経由電線」として「１７Ａ」の「受給側配電線」および「２０１Ａ」の「受電設備」が関連付けられ、「調整可能量」として「１０」が関連付けられている。

図７は、調整量算出処理の流れを示したフローチャートである。調整量算出処理は、制御サーバ３０が調整量を算出する処理である。本実施形態では、管理サーバ４０から制御サーバ３０に最新の電力情報が送信されると、調整量算出処理が開始される。

決定部３０４は、電線における皮相電力の調整が必要であるか否かを判定する（ステップ（以下、「Ｓ」と称する）１０１）。決定部３０４は、特定電路管理テーブル（図５参照）を参照する。そして、特定電路管理テーブルにおいて判定の対象としての電線に係る「特定電路」に関連付けられた最新の「電力情報」と、この「特定電路」に関連付けられた「閾値」との比較により、電線における皮相電力の調整が必要であるか否かを判定する。
電線における皮相電力の調整が必要ではないと決定部３０４に判定された場合（Ｓ１０１にてＮＯ）、調整量算出処理が終了する。この場合、電線における皮相電力のＨＰＳ２１による調整はされない。

一方、電線における皮相電力の調整が必要であると決定部３０４に判定された場合（Ｓ１０１にてＹＥＳ）、次のステップに進む。この場合、決定部３０４は、ステップ１０１において判定の対象になった電線を、皮相電力を調整する対象の電線に決定する。
必要量算出部３０５は、調整対象電線についての調整必要量を算出する（Ｓ１０２）。
必要量算出部３０５が調整必要量を算出する手法の一例を説明する。必要量算出部３０５は、電線管理テーブル（図５参照）において、調整対象電線に係る「特定電路」に関連付けられた「電力情報」から特定されるパラメータと、この「特定電路」に関連付けられた「閾値」との差が大きいほど、調整必要量を大きく算出する。

抽出部３０６は、調整対象電線における皮相電力の調整に用いるＨＰＳ２１の候補を抽出する（Ｓ１０３）。抽出部３０６は、ＨＰＳ管理テーブル（図６参照）の「経由電路」にて調整対象電線に係る設備識別情報が関連付けられている「ＨＰＳ」を、調整に用いるＨＰＳ２１の候補として抽出する。なお、調整対象電線が、供給側配電線１４Ａ、供給側配電線１４Ｂ、および接続電線１４１の何れかである場合、抽出部３０６は、「２１Ａ」乃至「２１Ｌ」のＨＰＳ２１を、何れも、調整対象電線における皮相電力の調整に用いる候補として抽出してもよい。

調整量算出部３０８は、調整条件に基づいて調整対象電線についての調整量を決定するとともに、ＨＰＳ２１についての供給量を決定する（Ｓ１０４）。調整条件は、調整量算出部３０８による調整量の算出について定められた条件である。調整条件は、通過電路に不具合が生じることを抑制する観点、および、ＨＰＳ２１に不具合が生じることを抑制する観点から定められている。本実施形態では、調整条件として、三つの条件が定められている。

調整条件としての一つ目の条件を説明する。一つ目の条件は、調整量条件である。調整量条件は、調整対象電線についての調整量と、調整必要量との関係について定められている。より具体的には、調整量条件は、調整対象電線についての調整量を、調整必要量に近付けることである。
調整対象電線についての調整量が調整必要量に近いほど、調整対象電線における皮相電力の改善の程度が向上する。そのため、調整対象電線における皮相電力の改善の程度を向上させる観点から、調整対象電線についての調整量を調整必要量に近付けることが、調整条件の一つとして定められている。

調整条件としての二つ目の条件を説明する。二つ目の条件は、余裕量条件である。余裕量条件は、通過電路に係る余裕量について定められている。より具体的には、通過電路を通る電力をこの通過電路に係る余裕量以下にすることが、余裕量条件として定められている。
通過電路に係る余裕量よりも大きい電力が通過電路を通る場合、この通過電路における電力の容量よりも大きい電力が通過電路を通ることになり、通過電路に不具合が生じるおそれがある。そのため、通過電路に不具合が生じることを抑制する観点から、通過電路を通る電力を通過電路に係る余裕量以下にすることが、調整条件の一つとして定められている。
なお、通過電路として複数の電路が存在する場合、通過電路ごとに余裕量条件が定められている。

調整条件としての三つ目の条件を説明する。三つ目の条件は、供給量条件である。供給量条件は、ＨＰＳ２１に係る供給量について定められている。より具体的には、ＨＰＳ２１に係る供給量を、このＨＰＳ２１についての調整可能量以下にすることが、供給量条件として定められている。
ＨＰＳ２１に係る供給量を調整可能量よりも大きくすると、ＡＦ２１４が供給できる電力よりも大きい電力をＡＦ２１４から供給させようとすることになり、この場合、ＨＰＳ２１に生じる負荷が大きくなり、ＨＰＳ２１に不具合が生じるおそれがある。そのため、ＨＰＳ２１に不具合が生じることを抑制する観点から、ＨＰＳ２１に係る供給量を調整可能量以下にすることが、調整条件の一つとして定められている。
なお、調整対象電線における皮相電力の調整に用いられるＨＰＳ２１が複数存在する場合、ＨＰＳ２１ごとに供給量条件が定められている。

調整量算出部３０８は、特定電路管理テーブル（図５参照）における「特定電路」と「供給側」との関係や、ＨＰＳ管理テーブル（図６参照）における「ＨＰＳ」と「経由電線」との関係から、通過電路を特定する。そして、特定した各通過電路や、抽出部３０６に抽出されたＨＰＳ２１についての調整条件を満たすように、調整量および供給量を決定する。

次に、調整量算出処理（図７参照）の具体例を説明する。
以下では、調整対象電線が受給側配電線１７Ａであり、調整必要量が「６０」であり、調整対象電線における皮相電力の調整に用いる候補として抽出部３０６に抽出されたＨＰＳ２１が、「２１Ａ」乃至「２１Ｆ」（図６参照）の六つのＨＰＳ２１であるものとする。
決定部３０４は、受給側配電線１７Ａにおける皮相電力の調整が必要であると判定する（Ｓ１０１にてＹＥＳ）。また、必要量算出部３０５は、調整必要量を「６０」と算出する（Ｓ１０２）。さらに、抽出部３０６は、「２１Ａ」乃至「２１Ｆ」の六つのＨＰＳ２１を抽出する（Ｓ１０３）。

調整量算出部３０８は、受給側配電線１７Ａについての調整量およびＨＰＳ２１についての供給量を算出する（Ｓ１０４）。
ここで、「２１Ａ」乃至「２１Ｃ」の三つのＨＰＳ２１の「調整可能量」（図６参照）の合計値は、「１０＋１０＋１０＝３０」である。また、「２１Ａ」乃至「２１Ｃ」のＨＰＳ２１が設けられている電力消費施設２０の受電設備２０１である「２０１Ａ」（図６参照）に係る「余裕量」（図５参照）は、「３０」である。そのため、「２１Ａ」乃至「２１Ｃ」のＨＰＳ２１の調整可能量の合計値である「３０」が「２０１Ａ」の受電設備２０１を通る場合であっても、この受電設備２０１についての余裕量条件を満たす。
また、「２１Ｄ」乃至「２１Ｆ」の三つのＨＰＳ２１の「調整可能量」の合計値は、「１０＋１０＋２０＝４０」である。また、「２１Ｄ」乃至「２１Ｆ」のＨＰＳ２１が設けられている電力消費施設２０の受電設備２０１である「２０１Ｂ」（図６参照）に係る「余裕量」（図５参照）は、「３０」である。この場合、「２０１Ｂ」の受電設備２０１の余裕量条件を満たすため、「２０１Ｂ」の受電設備２０１に通すことができる電力は、「２１Ｄ」乃至「２１Ｆ」のＨＰＳ２１の調整可能量の合計値よりも小さい「３０」になる。

「２０１Ａ」の受電設備２０１を通ることができる電力、および「２０１Ｂ」の受電設備２０１を通ることができる電力の合計値は、「３０＋３０＝６０」である。一方、受給側配電線１７Ａに係る余裕量は、「５０」である。この場合、調整量算出部３０８は、受給側配電線１７Ａに係る余裕量条件を満たすため、受給側配電線１７Ａに供給される電力を「５０」に決定する。言い換えると、調整量算出部３０８は、受給側配電線１７Ａについての調整量を、受給側配電線１７Ａについての調整必要量である「６０」よりも少ない「５０」に決定する。また、調整量算出部３０８は、決定した調整量からなる電力を供給するための供給量を決定する。この例では、調整量算出部３０８は、「２１Ａ」乃至「２１Ｅ」の五つのＨＰＳ２１の供給量を、何れも「１０」に決定する。

制御サーバ３０の送信部３０９は、調整に用いられるＨＰＳ２１に対して、調整対象電線における皮相電力の調整を指示する。この場合に、送信部３０９は、調整量算出部３０８に決定された供給量が示された供給量情報、電力の供給先である電線を識別する電線識別情報を送信する。
ＨＰＳ２１は、送信部３０９から、調整対象電線における皮相電力の調整の指示を受けるとともに、供給量情報および電線識別情報を取得する。この場合、ＨＰＳ２１は、電線識別情報から特定される調整対象電線に対して、供給量情報から特定される電力の供給に必要な電流を供給する。

なお、上述した例では、「２１Ｆ」のＨＰＳ２１が調整対象電線における皮相電力の調整に用いられないことを説明したが、これに限定されない。調整量算出部３０８は、抽出部３０６に抽出された全てのＨＰＳ２１が調整に用いられるように、各ＨＰＳ２１についての供給量を決定してもよい。また、調整量算出部３０８は、抽出部３０６に抽出されたＨＰＳ２１のうちの、調整可能量が大きいＨＰＳ２１から優先的に調整に用いられるように、ＨＰＳ２１についての供給量を決定してもよい。

以上の通り、本実施形態では、余裕量算出部３０３は、容量情報に基づいて、通過電路に係る余裕量を算出する。そして、調整量算出部３０８は、通過電路に係る余裕量に基づいて、調整量を算出する。言い換えると、調整量算出部３０８は、調整対象電線における皮相電力のＨＰＳ２１による調整を、容量情報に基づき制御する。なお、この場合において、調整量算出部３０８が制御する対象のＨＰＳ２１は、一のＨＰＳ２１であってもよいし、複数のＨＰＳ２１であってもよい。
この場合、通過電路における容量情報を踏まえた調整の内容により、調整対象電線における皮相電力がＨＰＳ２１に調整される。そのため、通過電路における電力の容量に関する指標とは無関係に調整対象電線における皮相電力をＨＰＳ２１に調整させる場合に比べて、通過電路に適した調整の内容により調整対象電線における皮相電力をＨＰＳ２１に調整させることができる。

また、本実施形態では、余裕量算出部３０３は、容量情報に基づいて、通過電路に係る余裕量を算出する。そして、調整量算出部３０８は、通過電路に係る余裕量に基づいて、調整対象電線についての調整必要量よりも小さい調整量に決定する。言い換えると、調整量算出部３０８は、容量情報に基づき、調整対象電線における皮相電力のＨＰＳ２１による調整を制限する。
ＨＰＳ２１による調整が制限されないと、通過電路に係る余裕量よりも大きい電力が通過電路を通ることがあり、この場合、通過電路に不具合が生じやすくなる。そこで、本実施形態では、ＨＰＳ２１による調整を制限することで、ＨＰＳ２１による調整が制限されない場合に比べて、通過電路に不具合が生じることを抑制している。

また、本実施形態では、可能量算出部３０７は、能力情報に基づいて、ＨＰＳ２１に係る調整可能量を算出する。そして、調整量算出部３０８は、余裕量および調整可能量に基づいて、調整対象電線についての調整量を決定する。言い換えると、調整量算出部３０８は、容量情報および能力情報に基づいて調整対象電線における皮相電力のＨＰＳ２１による調整を制御する。
この場合、ＨＰＳ２１に係る能力情報を踏まえた調整の内容により、調整対象電線における皮相電力がＨＰＳ２１に調整される。そのため、ＨＰＳ２１による調整の能力に関する指標とは無関係に調整対象電線における皮相電力をＨＰＳ２１に調整させる場合に比べて、ＨＰＳ２１に適した調整の内容により、調整対象電線における皮相電力をＨＰＳ２１に調整させることができる。

次に、調整量算出処理の他の具体例を説明する。
以下では、調整対象電線が供給側配電線１４Ａであり、調整必要量が「６０」であり、調整対象電線における皮相電力の調整に用いる候補として抽出部３０６に抽出されたＨＰＳ２１が、「２１Ａ」乃至「２１Ｆ」（図６参照）の六つのＨＰＳ２１であるものとする。
決定部３０４は、供給側配電線１４Ａにおける皮相電力の調整が必要であると判定する（Ｓ１０１にてＹＥＳ）。また、必要量算出部３０５は、調整必要量を「６０」と算出する（Ｓ１０２）。さらに、抽出部３０６は、「２１Ａ」乃至「２１Ｆ」の六つのＨＰＳ２１を抽出する（Ｓ１０３）。

調整量算出部３０８は、供給側配電線１４Ａについての調整量およびＨＰＳ２１についての供給量を算出する（Ｓ１０４）。
ここで、「２０１Ａ」（図５参照）の受電設備２０１を通ることができる電力、および「２０１Ｂ」の受電設備２０１を通ることができる電力の合計値は、両者の「余裕量」から、「３０＋３０＝６０」である。また、供給側配電線１４Ａに係る「余裕量」は「１２０」であり、供給側配電線１４Ａに「６０」の電力が供給される場合であっても、供給側配電線１４Ａについての余裕量条件を満たす。また、受給側変電所１６Ａに係る余裕量は「６０」であり、受給側変電所１６Ａを「６０」の電力が通る場合であっても、受給側変電所１６Ａについての余裕量条件を満たす。一方で、受給側配電線１７Ａに係る余裕量は、「５０」である。この場合、調整量算出部３０８は、受給側配電線１７Ａについての余裕量条件を満たすため、受給側配電線１７Ａを通る電力を「５０」に決定する。言い換えると、調整量算出部３０８は、供給側配電線１４Ａについての調整量を、調整必要量よりも小さい「５０」に決定する。また、調整量算出部３０８は、決定した調整量からなる電力を供給するための供給量を決定する。この例では、調整量算出部３０８は、「２１Ａ」乃至「２１Ｅ」の五つのＨＰＳ２１の供給量を、何れも「１０」に決定する。
このようにして、調整量および供給量が定められる。

以上の通り、本実施形態では、通過電路には、第１電路と、第１電路よりも電力の受給側に設けられている第２電路とがある。第１電路は、例えば、供給側配電線１４Ａである。また、第２電路は、例えば、受給側配電線１７Ａである。そして、調整量算出部３０８は、第１電路に係る容量情報、および第２電路に係る容量情報に基づき、第１電路における皮相電力のＨＰＳ２１による調整を制御する。
この場合、ＨＰＳ２１からの電力が調整対象電線に供給されるまでに通る電路における容量情報を踏まえた調整の内容により、調整対象電線における皮相電力がＨＰＳ２１に調整される。そのため、通過電路における電力の容量に関する指標とは無関係に調整対象電線が調整される場合に比べて、ＨＰＳ２１からの電力が調整対象電線に供給されるまでに通る電路に適した調整の内容により、調整対象電線における皮相電力をＨＰＳ２１に調整させることができる。

また、本実施形態では、第１電路に係る容量情報に基づいて算出された余裕量、および、第２電路に係る容量情報に基づいて算出された余裕量について、それぞれ、余裕量条件が定められている。そして、調整量算出部３０８は、それぞれの余裕量条件に基づいて調整量を決定する。言い換えると、調整量算出部３０８は、第１電路に係る容量情報に関して定められた条件、および第２電路に係る容量情報に関して定められた条件に基づき、第１電路における皮相電力のＨＰＳ２１による調整を制御する。
この場合、第１電路における電力の容量に関する指標および第２電路における電力の容量に関する指標に応じた調整の内容により、調整対象電線における皮相電力をＨＰＳ２１に調整させることができる。

次に、調整量算出処理の他の具体例を説明する。
以下では、調整対象電線が受給側配電線１７Ａであり、調整必要量が「４０」であり、調整対象電線における皮相電力の調整に用いる候補として抽出部３０６に抽出されたＨＰＳ２１が、「２１Ａ」乃至「２１Ｃ」（図６参照）の三つのＨＰＳ２１であるものとする。
決定部３０４は、受給側配電線１７Ａにおける皮相電力の調整が必要であると判定する（Ｓ１０１にてＹＥＳ）。また、必要量算出部３０５は、調整必要量を「４０」と算出する（Ｓ１０２）。さらに、抽出部３０６は、「２１Ａ」乃至「２１Ｃ」の三つのＨＰＳ２１を抽出する（Ｓ１０３）。

調整量算出部３０８は、受給側配電線１７Ａについての調整量およびＨＰＳ２１についての供給量を算出する（Ｓ１０４）。
ここで、受給側配電線１７Ａに係る「余裕量」は「５０」（図５参照）であるため、調整必要量である「４０」が受給側配電線１７Ａに供給される場合であっても、受給側配電線１７Ａについての余裕量条件を満たす。一方で、「２１Ａ」乃至「２１Ｃ」（図６参照）の三つのＨＰＳ２１についての調整可能量の合計値は、「１０＋１０＋１０＝３０」である。この場合、調整量算出部３０８は、三つのＨＰＳ２１についての可能量条件を満たすために、受給側配電線１７Ａについての調整量を、調整必要量よりも小さい「３０」に決定する。また、調整量算出部３０８は、決定した調整量からなる電力を供給するための供給量を決定する。この例では、調整量算出部３０８は、「２１Ａ」乃至「２１Ｃ」の三つのＨＰＳ２１の供給量を、何れも「１０」に決定する。
このようにして、調整量および供給量が定められる。

以上の通り、本実施形態では、可能量算出部３０７は、能力情報に基づいて調整可能量を算出する。また、調整量算出部３０８は、調整可能量に基づいて、調整必要量よりも小さい調整量に決定する。言い換えると、調整量算出部３０８は、能力情報に基づいて、調整対象電線における皮相電力のＨＰＳ２１による調整を制限する。

次に、調整量算出処理の他の具体例を説明する。
以下では、調整対象電線が受給側配電線１７Ｂであり、調整必要量が「８０」であり、調整対象電線における皮相電力の調整に用いる候補として抽出部３０６に抽出されたＨＰＳ２１が、「２１Ｇ」乃至「２１Ｌ」（図６参照）の六つのＨＰＳ２１であるものとする。
決定部３０４は、受給側配電線１７Ｂにおける皮相電力の調整が必要であると判定する（Ｓ１０１にてＹＥＳ）。また、必要量算出部３０５は、調整必要量を「８０」と算出する（Ｓ１０２）。さらに、抽出部３０６は、「２１Ｇ」乃至「２１Ｌ」の六つのＨＰＳ２１を抽出する（Ｓ１０３）。

調整量算出部３０８は、受給側配電線１７Ｂについての調整量およびＨＰＳ２１についての供給量を算出する（Ｓ１０４）。
ここで、受給側配電線１７Ｂに係る「余裕量」は「８０」（図５参照）であるため、調整必要量である「８０」が受給側配電線１７Ｂに供給される場合であっても、受給側配電線１７Ｂについての余裕量条件を満たす。また、「２１Ｇ」乃至「２１Ｌ」（図６参照）の六つのＨＰＳ２１についての調整可能量の合計値は、「１０＋２０＋２０＋１０＋１０＋１０＝８０」である。そのため、六つのＨＰＳ２１から供給させる電力の合計値を調整必要量にする場合であっても、六つのＨＰＳ２１についての可能量条件を満たす。

また、「２１Ｊ」乃至「２１Ｌ」のＨＰＳ２１が設けられている電力消費施設２０の受電設備２０１である「２０１Ｄ」（図６参照）に係る「余裕量」（図５参照）は、「３０」である。そのため、「２１Ｊ」乃至「２１Ｌ」のＨＰＳ２１の調整可能量の合計値である「３０」が「２０１Ｄ」の受電設備２０１を通る場合であっても、この受電設備２０１についての余裕量条件を満たす。
一方で、「２１Ｇ」乃至「２１Ｉ」のＨＰＳ２１が設けられている電力消費施設２０の受電設備２０１である「２０１Ｃ」（図６参照）に係る「余裕量」（図５参照）は、「４０」である。そのため、「２１Ｇ」乃至「２１Ｉ」のＨＰＳ２１の調整可能量の合計値である「５０」が「２０１Ｃ」の受電設備２０１を通る場合、この受電設備２０１についての余裕量条件を満たさない。この場合、調整量算出部３０８は、「２０１Ｃ」の受電設備２０１についての余裕量条件を満たすために、受給側配電線１７Ｂについての調整量を、調整必要量よりも小さい「７０」に決定する。また、調整量算出部３０８は、決定した調整量からなる電力を供給するための供給量を決定する。この例では、調整量算出部３０８は、「２１Ｇ」、「２１Ｈ」、「２１Ｉ」、「２１Ｊ」、「２１Ｋ」、「２１Ｌ」のＨＰＳ２１の供給量を、それぞれ、「１０」、「２０」、「１０」、「１０」、「１０」、「１０」に決定する。
このようにして、調整量および供給量が定められる。

以上の通り、本実施形態では、通過電路には、第１電路と、第１電路よりも電力の受給側に設けられている第２電路とがある。ここで、第１電路は、例えば、受給側配電線１７Ｂである。また、第２電路は、例えば、受電設備２０１である。そして、調整量算出部３０８は、第１電路に係る容量情報、および第２電路に係る容量情報に基づき、第１電路における皮相電力のＨＰＳ２１による調整を制御する。
この場合であっても、通過電路における電力の容量に関する指標とは無関係に調整対象電線が調整される場合に比べて、ＨＰＳ２１からの電力が調整対象電線に供給されるまでに通る電路に適した調整の内容により、調整対象電線における皮相電力をＨＰＳ２１に調整させることができる。

また、本実施形態では、第１電路に係る容量情報に基づいて算出された余裕量、および、第２電路に係る容量情報に基づいて算出された余裕量について、それぞれ、余裕量条件が定められている。そして、調整量算出部３０８は、それぞれの余裕量条件に基づいて調整量を決定する。言い換えると、調整量算出部３０８は、第１電路に係る容量情報に関して定められた条件、および第２電路に係る容量情報に関して定められた条件に基づき、第１電路における皮相電力のＨＰＳ２１による調整を制御する。
また、第２電路は、ＨＰＳ２１が設けられている電力消費施設２０に設けられている。

特に、上述した例においては、受給側配電線１７Ｂに供給され得る電力の最大値が調整必要量であるところ、受給側配電線１７Ｂに係る余裕量が調整必要量以上である。この場合、受給側配電線１７Ｂに調整可能量からなる電力が供給される場合であっても、受給側配電線１７Ｂについての余裕量条件が満たされる。そのため、受給側配電線１７Ｂについての余裕量条件は、受給側配電線１７Ｂに係る余裕量と調整必要量との関係に関する条件としても捉えられる。また、「２０１Ｃ」（図５参照）の受電設備２０１を通り得る電力の最大値は、この受電設備２０１に設けられている各ＨＰＳ２１に係る調整可能量の合計値であるところ、受電設備２０１に係る余裕量が調整可能量の合計値未満である。この場合、調整可能量の合計値が受電設備２０１を通る場合、受電設備２０１についての余裕量条件が満たされない。そのため、受電設備２０１についての余裕量条件は、受電設備２０１に係る余裕量と調整可能量との関係に関する条件としても捉えられる。言い換えると、第１電路に係る容量情報に関して定められた条件は、第１電路における皮相電力の調整に必要な電力に関して定められている。また、第２電路に係る容量情報に関して定められた条件は、ＨＰＳ２１による調整の能力に関して定められている。

この場合、通過電路における電力の容量に関して無条件で調整対象電線における皮相電力をＨＰＳ２１に調整させる場合に比べて、通過電路およびＨＰＳ２１に適した調整の内容により、調整対象電線における皮相電力をＨＰＳ２１に調整させることができる。

次に、調整量算出処理の他の具体例を説明する。
以下では、調整対象電線が供給側配電線１４Ａであり、調整必要量が「５０」であり、調整対象電線における皮相電力の調整に用いる候補として抽出部３０６に抽出されたＨＰＳ２１が、「２１Ａ」乃至「２１Ｌ」（図６参照）の十二のＨＰＳ２１であるものとする。なお、「２１Ｇ」乃至「２１Ｌ」のＨＰＳ２１を用いて供給側配電線１４Ａにおける皮相電力が調整される場合、ＨＰＳ２１から供給された電力は、受給側配電線１７Ｂ、受給側変電所１６Ｂ、供給側配電線１４Ｂ、および接続電線１４１を介して、供給側配電線１４Ａに供給されるものとする。
決定部３０４は、供給側配電線１４Ａにおける皮相電力の調整が必要であると判定する（Ｓ１０１にてＹＥＳ）。また、必要量算出部３０５は、調整必要量を「５０」と算出する（Ｓ１０２）。さらに、抽出部３０６は、「２１Ａ」乃至「２１Ｌ」の十二のＨＰＳ２１を抽出する（Ｓ１０３）。

調整量算出部３０８は、供給側配電線１４Ａについての調整量およびＨＰＳ２１についての供給量を算出する（Ｓ１０４）。
ここで、供給側配電線１４Ａ、供給側配電線１４Ｂ、接続電線１４１、受給側変電所１６Ａ、受給側変電所１６Ｂ、受給側配電線１７Ａ、および受給側配電線１７Ｂの何れの「余裕量」（図５参照）も、調整必要量以上である。そのため、調整必要量からなる電力が、電力系統１０における何れの通過電路を通る場合であっても、各通過電路についての余裕量条件を満たす。

また、「２１Ａ」乃至「２１Ｃ」のＨＰＳ２１から供給される電力が通る「２０１Ａ」の受電設備２０１に係る「余裕量」、および「２１Ｄ」乃至「２１Ｆ」のＨＰＳ２１から供給される電力が通る「２０１Ｂ」の受電設備２０１に係る「余裕量」の合計値は、「３０＋３０＝６０」である。この合計値は調整必要量よりも大きいため、「２０１Ａ」の受電設備２０１および「２０１Ｂ」の受電設備２０１を通る電力の合計値が調整必要量である場合であっても、「２０１Ａ」の受電設備２０１および「２０１Ｂ」の受電設備２０１についての余裕量条件を満たす。さらに、「２１Ａ」乃至「２１Ｆ」の六つのＨＰＳ２１についての調整可能量（図６参照）の合計値は、調整必要量よりも大きい。そのため、「２１Ａ」乃至「２１Ｆ」の六つのＨＰＳ２１を用いて調整必要量からなる電力を供給する場合であっても、この六つのＨＰＳ２１についての可能量条件を満たす。

また、「２１Ｇ」乃至「２１Ｉ」のＨＰＳ２１から供給される電力が通る「２０１Ｃ」の受電設備２０１に係る「余裕量」、および「２１Ｊ」乃至「２１Ｌ」のＨＰＳ２１から供給される電力が通る「２０１Ｄ」の受電設備２０１に係る「余裕量」の合計値は、「４０＋３０＝７０」である。この合計値は調整必要量よりも大きいため、「２０１Ｃ」の受電設備２０１および「２０１Ｄ」の受電設備２０１を通る電力の合計値が調整必要量である場合であっても、「２０１Ｃ」の受電設備２０１および「２０１Ｄ」の受電設備２０１についての余裕量条件を満たす。さらに、「２１Ｇ」乃至「２１Ｌ」の六つのＨＰＳ２１についての調整可能量（図６参照）の合計値は、調整必要量よりも大きい。そのため、「２１Ｇ」乃至「２１Ｌ」の六つのＨＰＳ２１を用いて調整必要量からなる電力を供給する場合であっても、この六つのＨＰＳ２１についての可能量条件を満たす。

この場合、調整量算出部３０８は、供給側配電線１４Ａについての調整量を、調整必要量である「５０」に決定する。また、調整量算出部３０８は、決定した調整量からなる電力を供給するための供給量を決定する。この例では、調整量算出部３０８は、「２１Ａ」乃至「２１Ｅ」の五つのＨＰＳ２１の供給量を、何れも「１０」に決定する。
上述した例においては、「２１Ａ」乃至「２１Ｆ」のＨＰＳ２１を用いる場合、および「２１Ｇ」乃至「２１Ｌ」のＨＰＳ２１を用いる場合の何れであっても、調整対象電線に調整必要量からなる電力を供給することができる。一方で、「２１Ａ」乃至「２１Ｆ」のＨＰＳ２１は、「２１Ｇ」乃至「２１Ｌ」のＨＰＳ２１に比べて、供給側配電線１４Ａとの間に位置する通過電路の数が少ない分だけ、供給側配電線１４Ａにおける皮相電力を調整しやすい。そこで、本実施形態では、供給側配電線１４Ａにおける皮相電力の調整において、調整量算出部３０８は、「２１Ｇ」乃至「２１Ｌ」のＨＰＳ２１を用いることなく、「２１Ａ」乃至「２１Ｅ」のＨＰＳ２１を用いる。

なお、上述した例において、供給側配電線１４Ａについての調整必要量が「６０」であった場合には、受給側配電線１７Ａに係る余裕量が「５０」であるため、「２１Ａ」乃至「２１Ｆ」のＨＰＳ２１を用いても、調整対象電線に調整必要量からなる電力を供給できない。一方で、「２１Ｇ」乃至「２１Ｌ」のＨＰＳ２１を用いる場合には、調整対象電線に調整必要量からなる電力を供給することができる。この場合、調整量算出部３０８は、調整対象電線の調整に、「２１Ａ」乃至「２１Ｆ」のＨＰＳ２１を用いることなく、「２１Ｇ」乃至「２１Ｌ」のＨＰＳ２１を用いることを決定してもよい。この決定は、複数のＨＰＳ２１に係る能力情報に基づき、複数のＨＰＳ２１による調整の関係を制御することの一例である。

次に、調整量算出処理の他の具体例を説明する。
以下では、調整対象電線が供給側配電線１４Ａであり、調整必要量が「１２０」であり、調整対象電線における皮相電力の調整に用いる候補として抽出部３０６に抽出されたＨＰＳ２１が、「２１Ａ」乃至「２１Ｌ」（図６参照）の十二のＨＰＳ２１であるものとする。
決定部３０４は、供給側配電線１４Ａにおける皮相電力の調整が必要であると判定する（Ｓ１０１にてＹＥＳ）。また、必要量算出部３０５は、調整必要量を「１２０」と算出する（Ｓ１０２）。さらに、抽出部３０６は、「２１Ａ」乃至「２１Ｌ」の十二のＨＰＳ２１を抽出する（Ｓ１０３）。

調整量算出部３０８は、供給側配電線１４Ａについての調整量およびＨＰＳ２１についての供給量を算出する（Ｓ１０４）。
まず、「２１Ａ」乃至「２１Ｆ」の六つのＨＰＳ２１を用いて供給側配電線１４Ａにおける皮相電力を調整する場合について説明する。「２１Ａ」乃至「２１Ｆ」のＨＰＳ２１が供給側配電線１４Ａにおける皮相電力を調整する場合、ＨＰＳ２１から供給された電力は、受給側配電線１７Ａ、受給側変電所１６Ａ、および供給側配電線１４Ａを通る。ここで、受給側配電線１７Ａ、受給側変電所１６Ａ、および供給側配電線１４Ａに係る各「余裕量」のうちの、最も小さい「余裕量」は、受給側配電線１７Ａに係る「余裕量」としての「５０」（図５参照）である。また、「２１Ａ」乃至「２１Ｆ」の六つのＨＰＳ２１についての調整可能量の合計値は、「５０」よりも大きい。さらに、「２０１Ａ」の受電設備２０１に係る「余裕量」および「２０１Ｂ」の受電設備２０１に係る余裕量（図５参照）の合計値は、「５０」よりも大きい。そのため、調整条件を満たす範囲で、「２１Ａ」乃至「２１Ｆ」のＨＰＳ２１が供給側配電線１４Ａに供給できる最大の電力は「５０」である。

次に、「２１Ｇ」乃至「２１Ｌ」の六つのＨＰＳ２１を用いて供給側配電線１４Ａにおける皮相電力を調整する場合について説明する。「２１Ｇ」乃至「２１Ｌ」のＨＰＳ２１が供給側配電線１４Ａにおける皮相電力を調整する場合、ＨＰＳ２１から供給された電力は、受給側配電線１７Ｂ、受給側変電所１６Ｂ、供給側配電線１４Ｂ、接続電線１４１、および供給側配電線１４Ａを通る。ここで、受給側配電線１７Ｂ、受給側変電所１６Ｂ、供給側配電線１４Ｂ、接続電線１４１、および供給側配電線１４Ａに係る各「余裕量」のうちの、最も小さい「余裕量」は、接続電線１４１に係る「余裕量」としての「６０」（図５参照）である。また、「２１Ｇ」乃至「２１Ｌ」の六つのＨＰＳ２１についての調整可能量の合計値は、「６０」よりも大きい。さらに、「２０１Ｃ」の受電設備２０１に係る余裕量および「２０１Ｄ」の受電設備２０１に係る余裕量の合計値は、「６０」よりも大きい。そのため、調整条件を満たす範囲で、「２１Ｇ」乃至「２１Ｌ」のＨＰＳ２１が供給側配電線１４Ａに供給できる最大の電力は「６０」である。

この場合、調整量算出部３０８は、調整条件を満たす範囲で、「２１Ａ」乃至「２１Ｆ」のＨＰＳ２１が供給側配電線１４Ａに供給できる最大の電力と、「２１Ｇ」乃至「２１Ｌ」のＨＰＳ２１が供給側配電線１４Ａに供給できる最大の電力との合計値を、調整量に決定する。より具体的には、調整量算出部３０８は、合計値である「５０＋６０＝１１０」を、供給側配電線１４Ａについての調整量に決定する。また、調整量算出部３０８は、決定した調整量からなる電力を供給するための供給量を決定する。この例では、調整量算出部３０８は、「２１Ａ」乃至「２１Ｅ」の五つのＨＰＳ２１の供給量を、何れも「１０」に決定する。また、調整量算出部３０８は、「２１Ｇ」乃至「２１Ｌ」の六つのＨＰＳ２１の供給量を、何れも「１０」に決定する。

以上の通り、本実施形態では、通過電路には、第１電路と、第１電路とは異なる第２電路とがある。ここで、第１電路としては、供給側配電線１４Ａ、受給側変電所１６Ａ、受給側配電線１７Ａ、「２０１Ａ」や「２０１Ｂ」（図６参照）の受電設備２０１等が挙げられる。また、第２電路としては、供給側配電線１４Ｂ、受給側変電所１６Ｂ、受給側配電線１７Ｂ、「２０１Ｃ」や「２０１Ｄ」の受電設備２０１等が挙げられる。また、ＨＰＳ２１には、第２電路を介することなく第１電路を介して電力を受給することが可能な「２１Ａ」乃至「２１Ｆ」（図６参照）等のＨＰＳ２１と、第１電路を介することなく第２電路を介して電力を受給することが可能な「２１Ｇ」乃至「２１Ｌ」等のＨＰＳ２１とがある。そして、調整量算出部３０８は、第１電路に係る容量情報、および第２電路に係る容量情報に基づき、「２１Ａ」乃至「２１Ｆ」等のＨＰＳ２１による調整と「２１Ｇ」乃至「２１Ｌ」等のＨＰＳ２１による調整との関係を制御する。なお、この場合において、調整量算出部３０８による制御の対象になるＨＰＳ２１は、「２１Ａ」乃至「２１Ｆ」のＨＰＳ２１のうちの一のＨＰＳ２１であってもよいし、複数のＨＰＳ２１であってもよい。また、調整量算出部３０８による制御の対象になるＨＰＳ２１は、「２１Ｇ」乃至「２１Ｌ」のＨＰＳ２１のうちの一のＨＰＳ２１であってもよいし、複数のＨＰＳ２１であってもよい。
この場合、第１電路に係る容量情報および第２電路に係る容量情報を踏まえて、「２１Ａ」乃至「２１Ｆ」等のＨＰＳ２１による調整と「２１Ｇ」乃至「２１Ｌ」等のＨＰＳ２１による調整との関係が定められる。そのため、通過電路における電力の容量に関する指標とは無関係に調整の関係が定められる場合に比べて、通過電路に適した内容により調整の関係を定めることができる。

また、本実施形態では、調整量算出部３０８は、「２１Ａ」乃至「２１Ｆ」等のＨＰＳ２１に係る能力情報、および「２１Ｇ」乃至「２１Ｌ」等のＨＰＳ２１に係る能力情報に基づき、「２１Ａ」乃至「２１Ｆ」等のＨＰＳ２１による調整と「２１Ｇ」乃至「２１Ｌ」等のＨＰＳ２１による調整との関係を制御する。
この場合、ＨＰＳ２１に係る能力情報を踏まえて、「２１Ａ」乃至「２１Ｆ」等のＨＰＳ２１による調整と「２１Ｇ」乃至「２１Ｌ」等のＨＰＳ２１による調整との関係が定められる。そのため、ＨＰＳ２１による調整の能力に関する指標とは無関係に調整の関係が定められる場合に比べて、ＨＰＳ２１に適した調整の内容により調整の関係を定めることができる。

特に、本実施形態では、第１電路は、「２１Ａ」乃至「２１Ｆ」等のＨＰＳ２１が設けられている電力消費施設２０に設けられている。また、第２電路は、「２１Ｇ」乃至「２１Ｌ」等のＨＰＳ２１が設けられている電力消費施設２０に設けられている。ここで、第１電路としては、「２０１Ａ」や「２０１Ｂ」（図６参照）の受電設備２０１等が挙げられる。また、第２電路としては、「２０１Ｃ」や「２０１Ｄ」の受電設備２０１等が挙げられる。
この場合、第１電路における電力の容量に関する指標と「２１Ａ」乃至「２１Ｆ」等のＨＰＳ２１に係る調整の能力に関する指標との関係、および、第２電路における電力の容量に関する指標と「２１Ｇ」乃至「２１Ｌ」等のＨＰＳ２１に係る調整の能力に関する指標との関係を踏まえて、「２１Ａ」乃至「２１Ｆ」等のＨＰＳ２１による調整と「２１Ｇ」乃至「２１Ｌ」等のＨＰＳ２１による調整との関係が定められる。そのため、通過電路における電力の容量に関する指標とＨＰＳ２１による調整の能力に関する指標とについて適した関係により、調整の関係を定めることができる。

＜変形例＞
次に、電力制御システム１の変形例について説明する。
本実施形態では、制御サーバ３０が、発電所１１から供給された電力がＨＰＳ２１に受給されるまでに通る電路に係る容量情報に基づいて、ＨＰＳ２１の供給量を決定することを説明した。ここで、制御サーバ３０が用いる容量情報の対象である電路は、発電所１１から供給された電力がＨＰＳ２１に受給されるまでに通る電路に限定されない。

図８は、変形例としての電力制御システム１の全体構成を示した図である。なお、変形例において、上述した構成と同一の構成については、説明を省略する。
図８に示す電力制御システム１においては、電力消費施設２０が、受給側配電線１７に接続されている。より具体的には、受給側配電線１７Ａと、受給側配電線１７Ｂとに、それぞれ二つの電力消費施設２０が接続されている。この場合に、各電力消費施設２０は、発電所１１から供給された電力を、受給側配電線１７を介する一方で、需要家側配電線１９を介することなく、受給する。

また、図８に示す電力制御システム１においては、需要家側配電線１９ごとに電力センサ１０Ｓが設けられている。電力センサ１０Ｓは、それぞれ、需要家側配電線１９の各々に接続されている。
また、図８に示す電力制御システム１においては、需要家側配電線１９ごとに受給側機器２３が設けられている。受給側機器２３は、発電所１１から供給された電力を需要家側配電線１９を介して受給する機器である。受給側機器２３は、それぞれ、需要家側配電線１９の各々に接続されている。受給側機器２３としては、太陽光発電システムや風力発電システム等の再生可能エネルギーを生成するシステムが挙げられる。

変形例においては、需要家側配電線１９は、ＨＰＳ２１よりも電力の受給側に設けられている。なお、変形例では、電力における最も受給側に位置する設備は、受給側機器２３である。
また、変形例においては、制御サーバ３０は、需要家側配電線１９を対象の電路とする容量情報を取得する。そして、制御サーバ３０は、発電所１１から供給された電力がＨＰＳ２１に受給されるまでに通る電路を対象とする容量情報、および、需要家側配電線１９を対象とする容量情報に基づいて、ＨＰＳ２１の供給量を決定する。

付言すると、調整対象電線における皮相電力がＨＰＳ２１に調整される場合に、ＨＰＳ２１からの電力が、ＨＰＳ２１から調整対象電線までの電線に供給されるのみならず、このＨＰＳ２１よりも電力の受給側に設けられている電線にも供給されることがある。この場合に、ＨＰＳ２１よりも電力の受給側に設けられている電路における電力の容量とは無関係にＨＰＳ２１から電力が供給されると、ＨＰＳ２１よりも電力の受給側に設けられている電路に適さない内容により調整対象電線の調整がされることがある。
そこで、制御サーバ３０は、発電所１１から供給された電力がＨＰＳ２１に受給されるまでに通る電路を対象とする容量情報のみならず、需要家側配電線１９を対象とする容量情報も踏まえて、ＨＰＳ２１の供給量を決定する。
なお、需要家側配電線１９は、ＨＰＳ２１よりも電力の受給側に設けられている受給側電路として捉えられる。また、需要家側配電線１９も、広義には、特定電路として捉えられる。また、需要家側配電線１９を対象の電路とする容量情報は、受給側容量情報として捉えられる。受給側容量情報は、需要家側配電線１９における電力の容量に関する情報である。

需要家側配電線１９に接続されている電力センサ１０Ｓは、接続されている需要家側配電線１９に係る電力情報および設備電力情報を、この需要家側配電線１９を識別する設備識別情報とともに、管理サーバ４０へ送信する。
また、管理サーバ４０は、受信した電力情報、設備電力情報、および設備識別情報を、制御サーバ３０へ送信する。
また、電力制御システム１のユーザは、需要家側配電線１９についての受給側容量情報を、制御サーバ３０に入力する。
制御サーバ３０の余裕量算出部３０３は、需要家側配電線１９について取得した設備電力情報および受給側容量情報から、この需要家側配電線１９の余裕量を算出する。

図９は、変形例における特定電路管理テーブルを示した図である。
特定電路管理テーブルの「特定電路」に示された「１９」は、特定電路が需要家側配電線１９であることを意味する。また、「１９」とともに付された「Ａ」乃至「Ｄ」は、図８に示された需要家側配電線１９Ａ乃至需要家側配電線１９Ｄのうちの何れであるかを識別するための情報である。
また、特定電路管理テーブルにおいて、「１９Ａ」および「１９Ｂ」の「特定電路」の「供給側」には、受給側配電線１７Ａである「１７Ａ」が関連付けられている。また、「１９Ｃ」および「１９Ｄ」の「特定電路」の「供給側」には、受給側配電線１７Ｂである「１７Ｂ」が関連付けられている。

変形例における特定電路管理テーブルの内容について、一例を説明する。「特定電路」の「１９Ａ」から特定される需要家側配電線１９Ａは、「供給側」として「１７Ａ」が関連付けられ、「容量」として「９０」が関連付けられ、「余裕量」として「４０」が関連付けられ、「電力情報」として「Ｐ１４」が関連付けられ、「閾値」として「Ｔ１４」が関連付けられている。

変形例においても、制御サーバ３０は、調整量算出処理（図７参照）において、調整量条件と、余裕量条件と、供給量条件とからなる調整条件に基づいて、調整対象電線についての調整量およびＨＰＳ２１の供給量を決定する（図７のＳ１０４参照）。この場合に、変形例では、通過電路を通る電力をこの通過電路に係る余裕量以下にすることのみならず、さらにもう一つの条件が、余裕量条件として定められている。より具体的には、特定の需要家側配電線１９を通る電力をこの特定の需要家側配電線１９に係る余裕量以下にすることが、余裕量条件におけるもう一つの条件として定められている。また、特定の需要家側配電線１９とは、発電所１１から供給された電力を調整対象電線を介して受給する需要家側配電線１９である。

次に、変形例における調整量算出処理（図７参照）の具体例を説明する。
以下では、調整対象電線が受給側配電線１７Ａであり、調整必要量が「５０」であり、調整対象電線における皮相電力の調整に用いる候補として抽出部３０６に抽出されたＨＰＳ２１が、「２１Ａ」乃至「２１Ｆ」（図６参照）の六つのＨＰＳ２１であるものとする。また、需要家側配電線１９における皮相電力を改善するためにこの需要家側配電線１９Ａに供給することが必要な電力が「４０」であるものとする。

決定部３０４は、受給側配電線１７Ａにおける皮相電力の調整が必要であると判定する（Ｓ１０１にてＹＥＳ）。また、必要量算出部３０５は、調整必要量を「５０」と算出する（Ｓ１０２）。さらに、抽出部３０６は、「２１Ａ」乃至「２１Ｆ」の六つのＨＰＳ２１を抽出する（Ｓ１０３）。

調整量算出部３０８は、調整条件に基づいて、受給側配電線１７Ａについての調整量およびＨＰＳ２１についての供給量を算出する（Ｓ１０４）。
ここで、「２１Ａ」乃至「２１Ｃ」の三つのＨＰＳ２１の「調整可能量」（図６参照）の合計値は、「１０＋１０＋１０＝３０」である。また、「２１Ａ」乃至「２１Ｃ」のＨＰＳ２１が設けられている電力消費施設２０の受電設備２０１である「２０１Ａ」（図６参照）に係る「余裕量」（図９参照）は、「３０」である。そのため、「２１Ａ」乃至「２１Ｃ」のＨＰＳ２１の調整可能量の合計値である「３０」が「２０１Ａ」の受電設備２０１を通る場合であっても、この受電設備２０１についての余裕量条件を満たす。
また、「２１Ｄ」乃至「２１Ｆ」の三つのＨＰＳ２１の「調整可能量」の合計値は、「１０＋１０＋２０＝４０」である。また、「２１Ｄ」乃至「２１Ｆ」のＨＰＳ２１が設けられている電力消費施設２０の受電設備２０１である「２０１Ｂ」（図６参照）に係る「余裕量」（図９参照）は、「３０」である。この場合、「２０１Ｂ」の受電設備２０１の余裕量条件を満たすため、「２０１Ｂ」の受電設備２０１に通すことができる電力は、「２１Ｄ」乃至「２１Ｆ」のＨＰＳ２１の調整可能量の合計値よりも小さい「３０」になる。

「２０１Ａ」の受電設備２０１を通ることができる電力、および「２０１Ｂ」の受電設備２０１を通ることができる電力の合計値は、「３０＋３０＝６０」である。一方、受給側配電線１７Ａに係る余裕量は、「５０」である。そのため、受給側配電線１７Ａに係る余裕量条件を満たす電力は、「５０」である。
また、発電所１１から供給された電力を、調整対象電線である受給側配電線１７Ａを介して受給する需要家側配電線１９は、需要家側配電線１９Ａおよび需要家側配電線１９Ｂである。ここで、需要家側配電線１９Ａに係る余裕量は、「４０」であり、需要家側配電線１９Ｂに係る余裕量は、「５０」である（図９参照）。そのため、需要家側配電線１９Ａに係る余裕量条件および需要家側配電線１９Ｂに係る余裕量条件を満たす電力は、「４０」である。

そして、この場合、調整量算出部３０８は、受給側配電線１７Ａに係る余裕量条件、需要家側配電線１９Ａに係る余裕量条件、および需要家側配電線１９Ｂに係る余裕量条件を満たすため、受給側配電線１７Ａに供給させる電力を「４０」に決定する。言い換えると、調整量算出部３０８は、受給側配電線１７Ａについての調整量を、受給側配電線１７Ａについての調整必要量である「６０」や、受給側配電線１７Ａに係る余裕量や需要家側配電線１９Ｂに係る余裕量である「５０」よりも少ない「４０」に決定する。また、調整量算出部３０８は、決定した調整量からなる電力を供給するための供給量を決定する。この例では、調整量算出部３０８は、「２１Ａ」乃至「２１Ｄ」の四つのＨＰＳ２１の供給量を、何れも「１０」に決定する。

制御サーバ３０の送信部３０９は、調整に用いられるＨＰＳ２１に対して、調整対象電線における皮相電力の調整を指示する。この場合に、送信部３０９は、調整量算出部３０８に決定された供給量が示された供給量情報、電力の供給先である電線を識別する電線識別情報を送信する。
ＨＰＳ２１は、送信部３０９から、調整対象電線における皮相電力の調整の指示を受けるとともに、供給量情報および電線識別情報を取得する。この場合、ＨＰＳ２１は、電線識別情報から特定される調整対象電線に対して、供給量情報から特定される電力の供給に必要な電流を供給する。

以上の通り、本実施形態では、制御サーバ３０の取得部３０１は、需要家側配電線１９における電力の容量に関する受給側容量情報を取得する。そして、調整量算出部３０８は、容量情報および受給側容量情報に基づき、ＨＰＳ２１から調整対象電線への電力の供給を制御する。
この場合、需要家側配電線１９における受給側容量情報を踏まえた内容により、調整対象電線における皮相電力がＨＰＳ２１に調整される。そのため、需要家側配電線１９における電力の容量に関する指標とは無関係に調整対象電線における皮相電力をＨＰＳ２１に調整させる場合に比べて、需要家側配電線１９に適した内容により調整対象電線における皮相電力をＨＰＳ２１に調整させることができる。

また、上述した例においては、調整対象電線のみならず、需要家側配電線１９においても、皮相電力を改善するために電力を供給することが必要になっている。この場合に、ＨＰＳ２１が調整対象電線へ電力を供給すると、ＨＰＳ２１からの電力は、調整対象電線のみならず、需要家側配電線１９にも供給される。そのため、調整対象電線における皮相電力のみならず、需要家側配電線１９における皮相電力も改善される。
特に、図８に示した例では、需要家側配電線１９には、太陽光発電システム等の受給側機器２３が接続されており、この受給側機器２３が稼働すると、需要家側配電線１９における電力が変動しやすくなる。この場合であっても、ＨＰＳ２１からの電力が調整対象電線のみならず需要家側配電線１９にも供給されることで、需要家側配電線１９における電力の変動が抑制される。

なお、本実施形態では、制御サーバ３０が調整対象電線における皮相電力をＨＰＳ２１に改善させることを説明したが、これに限定されない。
調整対象電線と需要家側配電線１９とで位相が異なっている場合には、ＨＰＳ２１が電力を供給した場合に、調整対象電線および需要家側配電線１９のうちの何れか一方における電力が増加し、他方における電力が減少することがある。より具体的には、需要家側配電線１９における有効電流とは同位相であって調整対象電線における有効電流とは逆位相である有効電流がＨＰＳ２１から供給されると、需要家側配電線１９における有効電力が増加する一方で、調整対象電線における有効電力が減少する。また、需要家側配電線１９における無効電流とは逆位相であって調整対象電線における無効電流とは同位相である無効電流がＨＰＳ２１から供給されると、需要家側配電線１９における無効電力が減少する一方で、調整対象電線における無効電力が増加する。

このように、ＨＰＳ２１が電力を供給することにより、調整対象電線における有効電力が減少する場合や、調整対象電線における無効電力が増加する場合には、調整対象電線の力率が低下するため、調整対象電線における皮相電力が改善されていない。この場合であっても、需要家側配電線１９における有効電力の増加や、需要家側配電線１９における無効電力の減少により、需要家側配電線１９の力率が向上して、需要家側配電線１９における皮相電力が改善されればよい。言い換えると、制御サーバ３０は、発電所１１から供給された電力がＨＰＳ２１に受給されるまでに通る電線へのＨＰＳ２１からの電力の供給を制御すればよく、この電線における皮相電力を調整しなくてもよい。

また、需要家側配電線１９における有効電流および調整対象電線における有効電流と同位相である有効電流がＨＰＳ２１から供給されると、需要家側配電線１９における有効電力および調整対象電線における有効電力が何れも増加する。また、需要家側配電線１９における無効電流および調整対象電線における無効電流と逆位相である無効電流がＨＰＳ２１から供給されると、需要家側配電線１９における無効電力および調整対象電線における無効電力がともに減少する。
このように、ＨＰＳ２１が電力を供給することにより、調整対象電線における有効電力および需要家側配電線１９における有効電力が増加する場合や、調整対象電線における無効電力および需要家側配電線１９における無効電力が減少する場合がある。この場合には、調整対象電線の力率および需要家側配電線１９の力率がともに向上するため、調整対象電線における皮相電力および需要家側配電線１９における皮相電力が何れも改善されている。

なお、本開示では、容量情報は、電路における電力の容量が示された情報であることを説明したが、これに限定されない。
容量情報は、電路における電力の容量が特定される情報であればよく、電路における電力の容量が示された情報でなくてもよい。また、容量情報は、余裕量が示された情報であってもよいし、余裕量が特定される情報であってもよい。言い換えると、容量情報は、電路における電力の容量に関する情報であれば、何れの情報であってもよい。

また、本開示では、能力情報は、ＨＰＳ２１のＡＦ２１４が供給できる最大の電力が示された情報であることを説明したが、これに限定されない。
能力情報は、ＡＦ２１４が供給できる最大の電力が特定される情報であればよく、ＡＦ２１４が供給できる最大の電力が示された情報でなくてもよい。また、能力情報は、調整可能量が示された情報であってもよいし、調整可能量が特定される情報であってもよい。言い換えると、能力情報は、ＨＰＳ２１が電力を供給する能力に関する情報であれば、何れの情報であってもよい。

また、本開示では、調整量算出部３０８は、複数のＨＰＳ２１による調整の関係を制御することを説明した。ここで、複数のＨＰＳ２１による調整の関係の制御は、複数のＨＰＳ２１のうちの、調整対象電線における皮相電力の調整に用いるＨＰＳ２１と、調整に用いないＨＰＳ２１とを調整量算出部３０８が決定する制御であってもよい。また、複数のＨＰＳ２１による調整の関係の制御は、複数のＨＰＳ２１の各々の供給量を調整量算出部３０８が決定する制御であってもよい。また、複数のＨＰＳ２１による調整の関係の制御は、複数のＨＰＳ２１の各々の供給量の大小関係を調整量算出部３０８が決定する制御であってもよい。

また、本開示では、制御サーバ３０の調整量算出部３０８が、調整対象電線における皮相電力のＨＰＳ２１による調整を制限することを説明した。ここで、調整対象電線における皮相電力のＨＰＳ２１による調整を制限することには、調整対象電線における皮相電力の改善に必要な電力よりも小さい電力をＨＰＳ２１に供給させることが含まれる。言い換えると、調整対象電線における皮相電力のＨＰＳ２１による調整を制限することは、必要量算出部３０５に算出された結果に比べて調整量を制限することに限定されない。また、調整対象電線における皮相電力のＨＰＳ２１による調整を制限することには、調整対象電線における皮相電力をＨＰＳ２１に調整させないことも含まれる。
また、調整対象電線における皮相電力のＨＰＳ２１による調整を制限することには、調整対象電線における皮相電力のＨＰＳ２１による調整の時間を制限することも含まれる。時間の制限の一例としては、調整対象電線における皮相電力のＨＰＳ２１による調整を制限する場合、制限しない場合に比べて、調整対象電線における皮相電力のＨＰＳ２１による調整の時間を遅らせることが挙げられる。また、時間の制限の他の一例としては、調整対象電線における皮相電力のＨＰＳ２１による調整を制限する場合、制限しない場合に比べて、調整対象電線における皮相電力のＨＰＳ２１による調整の時間の長さを短くすることが挙げられる。言い換えると、調整対象電線における皮相電力のＨＰＳ２１による調整を制限することには、調整対象電線についての調整量を制限することのみならず、調整対象電線における皮相電力のＨＰＳ２１による調整を何れかの態様により制限することが含まれる。

また、本開示では、制御サーバ３０が、調整対象電線を決定し、また、調整必要量を算出しているが、これに限定されない。
管理サーバ４０が、調整対象電線を決定し、また、調整必要量を算出してもよい。より具体的には、管理サーバ４０が、電力センサ１０Ｓから電力情報を取得し、取得した電力情報に基づいて、調整対象電線を決定してもよい。また、管理サーバ４０が、電力情報に基づいて、調整対象電線についての調整必要量を算出してもよい。そして、管理サーバ４０は、算出した調整必要量を示す情報と、調整対象電線を識別する電線識別情報とを含む情報を、電線における皮相電力に関する電力情報として、制御サーバ３０に送信してもよい。

また、本開示では、電力制御システム１に管理サーバ４０および制御サーバ３０が設けられていることを説明したが、これに限定されない。電力制御システム１に設けられる一のサーバが、管理サーバ４０および制御サーバ３０の機能を有してもよい。そして、この一のサーバが、調整対象電線、調整必要量、余裕量、調整可能量を決定してもよい。また、この一のサーバが、供給量および調整量を決定し、調整対象電線における皮相電力の調整をＨＰＳ２１に指示してもよい。

また、本開示では、制御サーバ３０が、調整対象電線における皮相電力の調整をＨＰＳ２１に指示することを説明したが、これに限定されない。制御サーバ３０とは異なる他のサーバが、調整対象電線における皮相電力の調整の指示を制御サーバ３０から受け、受けた指示をＨＰＳ２１に送ってもよい。

また、本開示では、ＨＰＳ２１による皮相電力の調整の対象になる電線が、供給側配電線１４および受給側配電線１７であることを説明したが、これに限定されない。
ＨＰＳ２１による皮相電力の調整の対象になる電線は、送電線１２や、需要家側配電線１９であってもよい。

また、本開示では、調整量算出部３０８は、供給側配電線１４、受給側変電所１６、受給側配電線１７、受電設備２０１の各々に係る余裕量に基づいて、調整対象電線における皮相電力のＨＰＳ２１による調整を制御することを説明した。ここで、調整量算出部３０８がＨＰＳ２１による調整を制御する場合において、余裕量が考慮される対象の電路は、上記の電路に限定されない。
電力センサ１０Ｓが、送電線１２、供給側変電所１３、柱上変圧器１８、および需要家側配電線１９の各々に係る容量情報を検出してもよい。また、施設電力センサ２０Ｓが、電力消費施設２０の施設内電線２０２に係る容量情報を検出してもよい。また、余裕量算出部３０３は、電力センサ１０Ｓや施設電力センサ２０Ｓに検出された容量情報に基づいて、送電線１２、供給側変電所１３、柱上変圧器１８、需要家側配電線１９、および施設内電線２０２の各々に係る余裕量を算出してもよい。そして、調整量算出部３０８は、供給側変電所１３、柱上変圧器１８、需要家側配電線１９、および施設内電線２０２の各々に係る余裕量に基づいて、調整対象電線における皮相電力のＨＰＳ２１による調整を制御してもよい。

また、本開示では、容量、余裕量、調整必要量、調整可能量、調整量、供給量等のパラメータが電力である例を説明したが、これに限定されない。各パラメータは、皮相電力に関して上述した何れかのパラメータであればよい。

また、本開示では、制御サーバ３０が、ＨＰＳ２１を制御する構成としたが、これに限定されない。
例えば、ＨＰＳ２１が制御サーバ３０の機能を有してもよい。言い換えると、ＨＰＳ２１に、各種の機能を実現するためのＣＰＵ３１（図２参照）、ＲＯＭ３２、ＲＡＭ３３、通信装置３４、記憶装置３５が設けられてもよい。また、このＨＰＳ２１が、制御サーバ３０の取得部３０１、記憶部３０２、余裕量算出部３０３、決定部３０４、必要量算出部３０５、抽出部３０６、可能量算出部３０７、調整量算出部３０８、送信部３０９等の機能を備えてもよい。そして、ＨＰＳ２１が、電力情報を取得し、取得した電力情報に基づいて、調整対象電線を決定してもよい。また、ＨＰＳ２１が、容量情報を取得し、取得した容量情報に基づいて、余裕量を算出してもよい。また、ＨＰＳ２１が、能力情報に基づいて、調整可能量を算出してもよい。そして、ＨＰＳ２１が、通過電路の各々に係る余裕量、および調整可能量に基づいて、調整対象電線における皮相電力の調整を制御してもよい。また、ＨＰＳ２１が、調整対象電線における皮相電力の調整を制限してもよい。

ここで、上記にて説明した実施形態は、以下のように捉えることができる。
本実施形態の電力制御システム１の調整量算出部３０８は、発電所１１から供給された電力がＨＰＳ２１に受給されるまでに通る調整対象電線へのＨＰＳ２１からの電力の供給を、容量情報に基づき制御する。
この場合、通過電路における容量情報を踏まえた調整の内容により、ＨＰＳ２１から調整対象電線に電力が供給される。そのため、通過電路における電力の容量に関する指標とは無関係にＨＰＳ２１から調整対象電線へ電力を供給させる場合に比べて、通過電路に適した内容によりＨＰＳ２１から調整対象電線へ電力を供給させることができる。

また、本実施形態の調整量算出部３０８は、容量情報に基づき、ＨＰＳ２１から調整対象電線への電力の供給を制限する。
この場合、ＨＰＳ２１からの電力の供給が制限されない場合に比べて、通過電路に不具合が生じることを抑制できる。

また、本実施形態の調整量算出部３０８は、容量情報および能力情報に基づいて制御をする。
この場合、ＨＰＳ２１に係る能力情報を踏まえた内容により、ＨＰＳ２１から調整対象電線へ電力が供給される。そのため、ＨＰＳ２１が電力を供給する能力に関する指標とは無関係にＨＰＳ２１が調整対象電線へ電力を供給する場合に比べて、ＨＰＳ２１に適した供給の内容により、ＨＰＳ２１が調整対象電線へ電力を供給することができる。

また、本実施形態では、電路には、第１電路と、第１電路よりも電力の受給側に設けられている第２電路とがある。そして、調整量算出部３０８は、第１電路における容量に関する第１容量情報、および第２電路における容量に関する第２容量情報に基づき、ＨＰＳ２１から第１電路への電力の供給を制御する。
この場合、ＨＰＳ２１からの電力が調整対象電線に供給されるまでに通る電路における容量情報を踏まえた内容により、ＨＰＳ２１から調整対象電線へ電力が供給される。そのため、通過電路における電力の容量に関する指標とは無関係に調整対象電線に電力が供給される場合に比べて、ＨＰＳ２１からの電力が調整対象電線に供給されるまでに通る電路に適した内容により、ＨＰＳ２１から調整対象電線へ電力を供給させることができる。

また、調整量算出部３０８は、第１容量情報に関して定められた条件、および第２容量情報に関して定められた条件に基づき、ＨＰＳ２１から第１電路への電力の供給を制御する。
この場合、第１電路における電力の容量に関する指標および第２電路における電力の容量に関する指標に応じた内容により、ＨＰＳ２１から調整対象電線へ電力を供給させることができる。

また、第２電路は、ＨＰＳ２１が設けられている電力消費施設２０に設けられている。また、第１容量情報に関して定められた条件は、第１電路への供給が必要な電力に関して定められている。また、第２容量情報に関して定められた条件は、ＨＰＳ２１が電力を供給する能力に関して定められる。
この場合、通過電路における電力の容量に関して無条件でＨＰＳ２１から調整対象電線へ電力を供給させる場合に比べて、通過電路およびＨＰＳ２１に適した内容により、ＨＰＳ２１から調整対象電線へ電力を供給させることができる。

また、本実施形態では、電路には、第１電路と、第１電路とは異なる第２電路とがある。また、ＨＰＳ２１には、第２電路を介することなく第１電路を介して電力を受給することが可能な第１機器と、第１電路を介することなく第２電路を介して電力を受給することが可能な第２機器とがある。そして、調整量算出部３０８は、第１電路における容量に関する第１容量情報、および第２電路における容量に関する第２容量情報に基づき、第１機器による電力の供給と第２機器による電力の供給との関係を制御する。
この場合、第１容量情報および第２容量情報を踏まえて、第１機器による電力の供給と第２機器による電力の供給との関係が定められる。そのため、通過電路における電力の容量に関する指標とは無関係に電力の供給の関係が定められる場合に比べて、通過電路に適した内容により電力の供給の関係を定めることができる。

また、本実施形態では、調整量算出部３０８は、第１機器が電力を供給する能力に関する第１能力情報、および第２機器が電力を供給する能力に関する第２能力情報に基づき、関係を制御する。
この場合、ＨＰＳ２１に係る能力情報を踏まえて、第１機器による電力の供給と第２機器による電力の供給との関係が定められる。そのため、ＨＰＳ２１による調整の能力に関する指標とは無関係に電力の供給の関係が定められる場合に比べて、ＨＰＳ２１に適したの内容により電力の供給の関係を定めることができる。

また、本実施形態では、第１電路は、第１機器が設けられている電力消費施設２０に設けられ、第２電路は、第２機器が設けられている電力消費施設２０に設けられている。
この場合、第１電路における電力の容量に関する指標と第１機器による電力の供給の能力に関する指標との関係、および、第２電路における電力の容量に関する指標と第２機器による電力の供給の能力に関する指標との関係を踏まえて、第１機器による電力の供給と第２機器による電力の供給との関係が定められる。そのため、通過電路における電力の容量に関する指標とＨＰＳ２１による電力の供給の能力に関する指標とについて適した関係により、電力の供給の関係を定めることができる。

また、本実施形態では、取得部３０１は、ＨＰＳ２１よりも電力の受給側に設けられている需要家側配電線１９における電力の容量に関する受給側容量情報を取得する。そして、調整量算出部３０８は、容量情報および受給側容量情報に基づき、ＨＰＳ２１から調整対象電線への電力の供給を制御する。
この場合、需要家側配電線１９における容量情報を踏まえた内容により、ＨＰＳ２１から調整対象電線へ電力が供給される。そのため、需要家側配電線１９における電力の容量に関する指標とは無関係にＨＰＳ２１から調整対象電線へ電力が供給される場合に比べて、需要家側配電線１９に適した内容によりＨＰＳ２１から調整対象電線へ電力を供給させることができる。

また、他の観点から捉えると、本実施形態のＨＰＳ２１は、発電所１１から供給された電力がＨＰＳ２１に受給されるまでに通る調整対象電線への電力の供給を、容量情報に基づき制御する。
この場合であっても、通過電路における容量情報を踏まえた内容により、ＨＰＳ２１から調整対象電線へ電力が供給される。そのため、通過電路における電力の容量に関する指標とは無関係にＨＰＳ２１から調整対象電線へ電力を供給させる場合に比べて、通過電路に適した内容によりＨＰＳ２１から調整対象電線へ電力を供給させることができる。

また、上記で説明した各構成は、上記の実施形態に限られるものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で変更できる。言い換えると、特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解される。
上記にて説明した構成に限らず、上記にて説明した各構成の一部を省略したり、上記にて説明した各構成に対して他の機能を付加したりしても良い。

１…電力制御システム、１０…電力系統、１０Ｓ…電力センサ、１１…発電所、１４…供給側配電線、１６…受給側変電所、１７…受給側配電線、２０…電力消費施設、２１…ＨＰＳ、３０…制御サーバ、４０…管理サーバ、２０１…受電設備

Claims (11)

1. 発電所から供給された電力が機器に受給されるまでに通る電路における電力の容量に関する容量情報を取得する取得手段と、
   前記発電所から供給された電力が前記機器に受給されるまでに通る電線への当該機器からの電力の供給を、前記容量情報に基づき制御する制御手段と、
   を備える電力制御システム。
2. 前記制御手段は、前記容量情報に基づき、前記機器から前記電線への電力の供給を制限することを特徴とする請求項１記載の電力制御システム。
3. 前記機器が電力を供給する能力に関する能力情報を取得する能力情報取得手段をさらに備え、
   前記制御手段は、前記容量情報および前記能力情報に基づいて前記制御をすることを特徴とする請求項１記載の電力制御システム。
4. 前記電路には、第１電路と、当該第１電路よりも電力の受給側に設けられている第２電路とがあり、
   前記制御手段は、前記第１電路における前記容量に関する第１容量情報、および前記第２電路における当該容量に関する第２容量情報に基づき、前記機器から当該第１電路への電力の供給を制御することを特徴とする請求項１記載の電力制御システム。
5. 前記制御手段は、前記第１容量情報に関して定められた条件、および前記第２容量情報に関して定められた条件に基づき、前記機器から前記第１電路への電力の供給を制御することを特徴とする請求項４記載の電力制御システム。
6. 前記第２電路は、前記機器が設けられている施設に設けられ、
   前記第１容量情報に関して定められた前記条件は、前記第１電路への供給が必要な電力に関して定められ、
   前記第２容量情報に関して定められた前記条件は、前記機器が電力を供給する能力に関して定められることを特徴とする請求項５記載の電力制御システム。
7. 前記電路には、第１電路と、当該第１電路とは異なる第２電路とがあり、
   前記機器には、前記第２電路を介することなく前記第１電路を介して電力を受給することが可能な第１機器と、当該第１電路を介することなく当該第２電路を介して電力を受給することが可能な第２機器とがあり、
   前記制御手段は、前記第１電路における前記容量に関する第１容量情報、および前記第２電路における当該容量に関する第２容量情報に基づき、前記第１機器による電力の供給と前記第２機器による電力の供給との関係を制御することを特徴とする請求項１記載の電力制御システム。
8. 前記機器が電力を供給する能力に関する能力情報を取得する能力情報取得手段をさらに備え、
   前記制御手段は、前記第１機器が電力を供給する能力に関する第１能力情報、および前記第２機器が電力を供給する能力に関する第２能力情報に基づき、前記関係を制御することを特徴とする請求項７記載の電力制御システム。
9. 前記第１電路は、前記第１機器が設けられている施設に設けられ、
   前記第２電路は、前記第２機器が設けられている施設に設けられていることを特徴とする請求項７記載の電力制御システム。
10. 前記取得手段は、前記機器よりも電力の受給側に設けられている受給側電路における電力の容量に関する受給側容量情報を取得し、
    前記制御手段は、前記容量情報および前記受給側容量情報に基づき、前記機器から前記電線への電力の供給を制御することを特徴とする請求項１記載の電力制御システム。
11. 発電所から供給された電力が機器に受給されるまでに通る電路における電力の容量に関する容量情報を取得する取得手段と、
    前記発電所から供給された電力が前記機器に受給されるまでに通る電線への電力の供給を、前記容量情報に基づき制御する制御手段と、
    を備える機器。

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