JP7000839B2 - 金属板および放熱部材用金属板の製造方法 - Google Patents
金属板および放熱部材用金属板の製造方法 Download PDFInfo
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Description
ベーパチャンバーの筐体を製造するための素材として用いられる銅又は銅合金条(コイル)について、接合後に高い接合強度が得られるようにすること,エッチング後の反りを抑制することを目的とした発明として、特許文献1がある。特許文献1における銅又は銅合金条は、表面の最大高さ粗さRzが1.5μm以下、算術平均粗さRaが0.15μm以下、残留応力が50MPa以下であることを特徴とし、表面の最大高さ粗さRzが1.5μm以下、算術平均粗さRaが0.15μm以下であることにより、拡散接合又はろう付け後に高い接合強度が得られ、残留応力が50MPa以下であることにより、エッチング後又はプレス後の部品に生じる反りが抑制され、その結果、エッチング工程又はプレス工程の生産性及び歩留まりが向上し、その後に行われる接合工程に支障が出ないというものである。抑制する反り量の指標としては、圧延方向に対するL反り量が圧延方向長さ500mmあたり30mm以下、かつ幅方向に対するC反り量が反り量dとコイル幅wの比d/wで2/100以下とされている。
ベーパチャンバーの構造例として、金属箔シートを2枚以上積み重ねて接合されていることにより、厚さが0.5mm以下の密閉された容器が形成され、前記金属箔シートは、何れも凹状の蒸気通路とウィック(パイプ内壁の毛細管構造)となる溝が形成された構成であり(特許文献2)、金属箔シートの表面にハーフエッチング加工を施すことで、容器の内面に十分な熱輸送能力を有する微細な蒸気通路とウィックの溝を形成するなど、ハーフエッチング加工による薄肉化を伴う加工が多用されている。
金属材料を用いて、ヒートシンク,ヒートパイプ,ベーパチャンバーなどの放熱部材を連続的に製造する場合には、ロール・トゥ・ロール方式で搬送しながら成形加工する手法が量産の上で効率的である。ハーフエッチングによる薄肉化を伴う各種加工(個片化されるフレーム形状の規定,個片の外周を規定する側壁の形成,蒸気通路やウィックの形成など)を行なう際、長辺・短辺を有する各種矩形のパターンまたは略矩形のパターンを多数形成することがある。以下はエッチングパターンにおいては、矩形パターンを例として記載するが、本発明は矩形パターンに限定されるものではない。
矩形が配列されたエッチングパターン(個片化される矩形フレーム11が例示される)は、矩形の長辺が金属材料10の搬送方向(ロールからの巻き出し方向。同図内に矢印で示す金属材料10の幅方向と直交する方向)に揃っている。
尚、同図では個片化される矩形フレーム11を、5(幅方向)×2(搬送方向)=10枚のセットとして点線で囲っているが、後述する成形加工品の検査サンプルとしてのグルーピング上の取り扱いである。
図2に示すエッチングパターン(矩形フレーム11)にハーフエッチング加工(矩形部が薄肉となる)を施した後、各矩形フレーム11を個片化すると、図3に示す様にハーフエッチング加工面12が凸(山折)となる反りが発生することが経験的に確認されている。図3(a)は矩形フレーム(個片)11の斜視図であり、図3(a)の上側がハーフエッチング加工面12の場合、矩形フレーム(個片)11で確認される反り発生は、図3(b)の方向からの観察に示される様に、図中に矢印で示す反り量でハーフエッチング加工面12が凸(山折)となる反りが発生している。図3での左右方向が矩形フレーム11の長辺方向に該当する。
設計上、考慮していない反り変形が発生することで、2枚の金属板の接合での不都合(隙間,がたつき,接合強度の低下),毛細管現象を向上するための金属繊維の挿入作業性の悪化,蒸気通路やウィックの変形に伴う漏洩など製造時・製造後に及ぼす悪影響は大きい。
厚さ0.3mm以下の金属材料をロール・トゥ・ロール方式で搬送しながら片面にハーフエッチング加工を施す際、平面視で長軸と短軸を有する個片化される矩形フレームに該当するエッチングパターンは、金属材料の搬送方向に直交する幅手方向が個片化される矩形フレームに該当するエッチングパターンの長軸方向となる様に個片化される矩形フレームに該当するエッチングパターンを形成することを特徴とする。
本発明による放熱部材用金属板の製造方法は、
厚さ0.3mm以下の金属板を2枚以上積み重ねて接合し、内部が密封された容器状空間を具備するシート形状の放熱部材を構成する金属板の製造方法であって、容器状空間の内壁に形成されるハーフエッチング加工による長軸と短軸を有する個片化される矩形フレームに該当するエッチングパターンは、ロール・トゥ・ロール方式での金属板の搬送に伴うエッチング加工時に、金属材料の搬送方向に直交する幅手方向が個片化される矩形フレームに該当するエッチングパターンの長軸方向となっていることを特徴とする。
図1は、ロールからの金属材料の搬送方向とエッチングパターン(長尺形状(=長辺と短辺を有する形状)の配置)との関係を示す説明図である。
長尺形状が配列されたエッチングパターン(個片化される長尺状フレーム11が例示される)は、長尺形状の長辺が金属材料10の搬送方向(ロールからの巻き出し方向)に直交している。
即ち、金属材料10の搬送方向に直交する幅手方向(図1内に矢印で示す)が長尺形状の長辺方向となる様にエッチングパターンが配置され、図2とは配置が直交関係にある。
尚、図1においても個片化される矩形フレーム11を、2(幅方向)×5(搬送方向)=10枚のセットとして点線で囲っているが、後述する成形加工品の検査サンプルとしてのグルーピング上の取り扱いである。
銅材ロール(神戸製鋼社製):厚さ0.300mm,幅535mm
エッチング単位パターンに関して、銅材ロール上でそれぞれ図2(従来技術),図1(
本発明)に示す様に、縦横(長軸方向)を揃えて配置(金属材料に成膜したドライフィルムレジストに、マスク露光~現像)した。
銅材ロールからシートサイズ(623mm×535mm)に断裁後、長尺状の金属材料を112.5mm×247.4mm(個片1枚サイズ)に断裁した。
図2,図1のハーフエッチング加工が施されたフレーム形状の金属板について、水平な金属定盤上に搭載し、図3,図4に示される反り量(金属定盤からの隙間の最大値)をゲージ挿入により計測した。反り量は金属板(サンプル)の短手,および長手方向共に各サンプルの四辺(a地点,b地点,c地点,d地点)について行なった。(図5参照)
図5に示すa-c方向が矩形フレーム11の長辺方向にあたり、b-d方向が矩形フレーム11の短辺方向にあたる。b地点,d地点における反り量が矩形フレーム11の長辺が弧となる曲率に該当し、a地点,c地点における反り量が矩形フレーム11の短辺が弧となる曲率に該当する。
結果を表1に示す。
個片化された長尺状金属板(サンプル)の短辺(a地点とc地点)での反り発生は、0.00(反りなし)であるが、長辺(b地点とd地点の間)での反り発生は平均値では0.37(b地点),0.39(d地点)であった。また、バラツキを示す3σは0.679(b地点),0.767(d地点)であった。
個片化された長尺状金属板(サンプル)の短辺(a地点とc地点)での反り発生は、0.00(反りなし)であるが、長辺(b地点とd地点の間)での反り発生は平均値では0.91(b地点),0.90(d地点)であった。また、バラツキを示す3σは0.685(b地点),0.767(d地点)であった。
低減する効果を有することが確認された。
また、表2,3共に、搬送方向終了側(個片No.が大)で反り量が大きくなる傾向があり、更に長いウエブから多数のサンプル個片によるデータ取りした場合、反り量のバラツキ(σ値)は一層大きくなる傾向が予想される。
Claims (2)
- 厚さ0.3mm以下の金属材料をロール・トゥ・ロール方式で搬送しながら片面にハーフエッチング加工を施す際、平面視で長軸と短軸を有する個片化される矩形フレームに該当するエッチングパターンは、金属材料の搬送方向に直交する幅手方向が個片化される矩形フレームに該当するエッチングパターンの長軸方向となる様に個片化される矩形フレームに該当するエッチングパターンを形成することを特徴とする金属板の製造方法。
- 厚さ0.3mm以下の金属板を2枚以上積み重ねて接合し、内部が密封された容器状空間を具備するシート形状の放熱部材を構成する金属板の製造方法であって、
容器状空間の内壁に形成されるハーフエッチング加工による長軸と短軸を有する個片化される矩形フレームに該当するエッチングパターンは、ロール・トゥ・ロール方式での金属材料の搬送を伴うハーフエッチング加工時に、金属材料の搬送方向に直交する幅手方向が個片化される矩形フレームに該当するエッチングパターンの長軸方向となっていることを特徴とする放熱部材用金属板の製造方法。
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