以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を、実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状それらの相対配置などは、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものである。すなわち、この発明の範囲を以下の実施の形態に限定する趣旨のものではない。
[実施例1]
本発明の実施例1に係る画像形成装置として、ここでは、4個のプロセスカートリッジが着脱可能なフルカラー電子写真画像形成装置を例示する。しかしながら、電子写真画像形成装置(以下、画像形成装置と称す)に装着するプロセスカートリッジの個数はこれに限定されるものではなく、必要に応じて適宜設定されるものである。例えば、モノクロの画像を形成する画像形成装置の場合には、画像形成装置に装着されるプロセスカートリッジの個数は1個である。また、以下説明する実施例では、画像形成装置の一態様としてプリンタを例示するが、これに限定されるものではない。例えば複写機、ファクシミリ装置等の他の画像形成装置や、或いはこれらの機能を組み合わせた複合機等の他の画像形成装置にも本発明は適用することができる。
図1は、本発明の実施例に係る画像形成装置の外観斜視図であり、図2は、本発明の実施例に係る画像形成装置の断面概略図である。この画像形成装置1は、電子写真プロセスを用いた4色フルカラーレーザプリンタであり、シートSにカラー画像形成を行う。画像形成装置1はプロセスカートリッジ方式であり、画像形成部であるプロセスカートリッジP(以下、カートリッジと称す)を装置本体2に取り外し可能に装着して、シートSにカラー画像を形成するものである。
ここで、画像形成装置1に関して、装置開閉ドア3及びカセットカバー10(記録材としてのシートSを収容する給紙カセットのカバー)を設けた側を正面(前面)、正面と反対側の面を背面(後面)とする。また、画像形成装置1を正面から見て右側を駆動側、左側を非駆動側と称す。
装置本体2には第1のカートリッジPY、第2のカートリッジPM、第3のカートリッジPC、第4のカートリッジPKの4つのカートリッジP(PY・PM・PC・PK)が水平方向に配置されている。第1~第4の各カートリッジP(PY・PM・PC・PK)は、それぞれ同様の電子写真プロセス機構を有しており、現像剤(以下トナーと称す)の色が各々異なるものである。第1~第4のカートリッジP(PY・PM・PC・PK)には装置本体2のカートリッジ駆動伝達部(不図示)から回転駆動力が伝達される。
また、第1~第4の各カートリッジP(PY・PM・PC・PK)には装置本体2から電圧(帯電電圧電圧、現像電圧電圧等)が供給される(不図示)。第1のカートリッジPYは、イエロー(Y)のトナーを収容しており、感光体ドラム30の表面にイエロー色のトナー像を形成する。第2のカートリッジPMは、マゼンタ(M)のトナーを収容してあり、感光体ドラム30の表面にマゼンタ色のトナー像を形成する。第3のカートリッジPCは、シアン(C)のトナーを収容してあり、感光体ドラム30の表面にシアン色のトナー像を形成する。第4のカートリッジPKは、ブラック(K)のトナーを収容しており、感光体ドラム30の表面にブラック色のトナー像を形成する。
第1~第4のカートリッジP(PY・PM・PC・PK)の上方には、露光手段としてのレーザスキャナユニットLSが設けられている。このレーザスキャナユニットLSは、画像情報に対応してレーザ光Zを出力する。そして、レーザ光Zは、カートリッジPの露光窓部を通過して感光体ドラム30の表面を走査露光する。
第1~第4のカートリッジP(PY・PM・PC・PK)の下方には、転写ユニットとしての中間転写ベルトユニット11を設けている。この中間転写ベルトユニット11は、駆動ローラ13・テンションローラ17・アシストローラ15を有し、可撓性を有する転写ベルト12を掛け渡している。転写ベルト12は駆動ローラ13によって矢印C方向に回転駆動させられる。駆動ローラ13には、装置本体2の駆動伝達装置50(後述)から回転駆動力が伝達される。
第1~第4の各カートリッジP(PY・PM・PC・PK)の感光体ドラム30は、その下面が転写ベルト12の上面に接している。その接触部が1次転写部である。転写ベルト12の内側には、感光体ドラム30に対向させて1次転写ローラ16を設けている。駆動ローラ13には転写ベルト12を介して2次転写ローラ14を当接させている。転写ベルト12と2次転写ローラ14の接触部が2次転写部である。中間転写ベルトユニット11の下方には、給送ユニット18を設けている。この給送ユニット18は、シートSを積載して収容した給紙カセット19、シート給送ローラ20を有する。
図2における装置本体2内の左上方には、定着ユニット21と、排出ユニット22を設けている。装置本体2の上面は排出トレイ23としている。シートSは前記定着ユニット21に設けられた定着手段によりトナー像が定着され、前記排出トレイ23へ排出される。
図3は、中間転写ベルトユニット11の一例を示す斜視図である。なお、本図においては転写ベルト12の図示は省略している。駆動ローラ13の一端に、駆動伝達装置50を構成するローラ側カップリング60が設けられる。以下、駆動伝達装置50の詳細について説明する。
図4は、駆動ローラ13と駆動伝達装置50の構成を示した斜視図である。本実施例における駆動伝達装置50は、駆動ローラ13に設けられるローラ側カップリング60と、軸受け70、駆動源(不図示)側に設けられ駆動源からの駆動力を受けて一体的に回転する駆動入力側カップリング80(後述)とから構成されている。なお、本実施例では、駆動入力側カップリング80が配置された側を、駆動力を伝達する伝達部として、またローラ側カップリング60が配置された側を、駆動力を受ける受け部として、捉えることができる。
ここで、駆動入力側カップリング80は、駆動伝達ギア81、駆動伝達板82、金属製駆動伝達部材(筒状軸)である金属板円筒軸83とから構成される。詳細は後述するが、駆動源からの駆動力は、駆動伝達ギア81、駆動伝達板82、金属板円筒軸83の順に伝達される。なお、駆動源から駆動伝達ギア81までの間には、駆動伝達機構24が設けられている。
詳細は後述するが、ローラ側カップリング60は、金属板円筒軸83と係合するように構成されており、金属板円筒軸83の駆動力がローラ側カップリング60に伝達される。ここで、駆動ローラ13は、円柱状に形成されたシャフト131(軸部材の一例)と、シャフト131の外周面側に筒状に形成され転写ベルト12の内周面に接触配置される接触部132とを備える。そして、ローラ側カップリング60は、シャフト131の一端部側に配置され、駆動源側からの駆動力をシャフト131に対し伝達する。また、本実施例では軸受け70は中間転写ベルトユニット11内の別部材(不図示)内に設けられ、ローラ側カップリング60がシャフト13の軸線方向、接触部132側への移動を規制している。
(金属板円筒軸の作成方法)
ここで、図5~図8を参照して、金属板円筒軸83の製造方法について詳細に説明する。金属板円筒軸83は、金属板に曲げ加工を施して円筒形状に成形することにより製作されるプレス加工成形体である。
図5は、金属板円筒軸83の製造装置の装置構成を示す模式図である。金属板円筒軸83の製造装置は、金属板40を搬送する搬送機構150と、金属板40を抜き加工する抜き加工ステージ100と、曲げ加工する曲げ加工ステージ110、120、130と、部品を切り離すカットを行うカットステージ140と、を備える。コイル状に巻かれた板厚0.4~1.2mm程度の金属板40は、搬送機構150によって巻き戻されて抜き加工ステージ100へ送られる。抜き加工ステージ100は、抜き加工するための雄型と雌型を備える。抜き加工ステージ100では、雄型と雌型によって金属板40をプレスすることにより、金属板40から不要部分を切断、除去し、金属板40を曲げ加工前の所定の形状に成形する。
図6は、抜き加工ステージ100通過後の金属板40の形状を示す模式図である。金属板40は、I字状あるいは横向きのH字状の孔であるカット形状49を等間隔に複数箇所で切り取られる。また実際には、カット形状49には、最終形態の金属板円筒軸83において、駆動力の受け渡しを行う凹溝となる切り欠き部や、貫通穴となる穴が形成されるが、模式図である本図からは省略する。そして、この抜き加工により、金属板40は、金属板円筒軸83となる複数の平板部42がつなぎ部41を介して枠部につながった形状に加工される。金属板40の搬送方向(X方向)における平板部42の両端部であるエッジ部43、44は、平板部42がこの後の曲げ加工によって円筒部に成形されるときに、円筒部の合わせ目部となる部分である。また、つなぎ部41は、平板部42が円筒部に曲げ加工されて枠部から切り離される際に切断される。金属板40は、抜き加工ステージ100により連続的に抜き加工が施されることで、上記形状が搬送方向に複数、等間隔に形成される。
図7を参照して、曲げ加工について説明する。図7は、曲げ加工工程を説明する模式図である。図4に示した曲げ加工ステージ110~130は、金属板40の搬送方向(X方向)に並んで設けられている。
図7(a)は、抜き加工された金属板40の平板部42の一つをY方向から見た断面図である。この平板部42に対して、曲げ加工ステージ110~130によって3回の曲げ加工が段階的に行われる。
図7(b)は、1番目の曲げ加工を示す模式図である。1番目の曲げ加工は、曲げ加工ステージ110で行われる。曲げ加工ステージ110は、雌型111と雄型112を備えている。平板部42は、雌型111と雄型112によって挟まれることにより、エッジ部43、44の端面が下を向くように両側部分が中央部分に対して曲げられる
図7(c)は、2番目の曲げ加工を示す模式図である。2番目の曲げ加工は、曲げ加工ステージ120で行われる。曲げ加工ステージ120は、雌型121と雄型122を備えている。1番目の工程で曲げ加工された平板部42の中央部分を、雌型121と雄型122によって湾曲させる曲げ加工が行われる。
図7(d)は、3番目の曲げ加工を示す模式図である。3番目の曲げ加工は、曲げ加工ステージ130で行われる。曲げ加工ステージ130は、雌型131と雄型132を備えている。2番目の工程で曲げ加工された平板部42は、雌型131と雄型132によって、全体が略円筒形状となるように曲げられるとともに、エッジ部43とエッジ部44とがつなぎ合わせられるように加工される。エッジ部43、44が互いに近接して形成されるつなぎ目部46により、曲げ加工された平板部42は略円筒状につながった形状となる。
つなぎ目部46の態様としては、エッジ部43、44が互いに当接する態様だけでなく、エッジ部43、44が隙間を有して周方向に対向するような態様、すなわち完全には円筒部をつないでいないような態様も含まれる。以上の曲げ加工工程の終了後には、金属板40は、複数の金属板円筒軸83がつなぎ部41によって枠部につなぎあわされている状態となる。そして、金属板円筒軸83が円筒状に成形された後は、カットステージ140において、連結部41が切断され、金属板円筒軸83が最終形態に成形される。
図8は、実施例1における最終形態の金属板円筒軸83を示したものである。上記加工によって製作された金属板円筒軸83は、合わせ目830として軸線方向の一端から他端にかけて周方向に対向または当接する一対の周方向端部を有している。本実施例では、合わせ目830は直線状になっているが、図9に示すように、一方の端部に周方向に凹む凹形状、それに対向するもう他端の部分に周方向に突出する凸形状を設け、この凹形状と凸形状が嵌合する構成としても良い。これにより合わせ目830の両端面同士の軸線方向のズレを抑制することができる。
なお、合わせ目830の端面に設けた凸部形状の突出方向の端面とその側面、及び凹部形状の引っ込み方向の端面とその側面との角度は、曲げ加工の容易性を考慮し、略直角としている。また、それらを鈍角(180°未満)に形成してもよい。すなわち、凸部を、先端に向かうほど軸線方向の幅が狭くなる先細形状とし、凹部を、開口側に向かうほど軸線方向の幅が広くなる(底側に向かくほど軸線方向の幅が狭くなる)口広形状としてもよい。また、この凹形状、凸形状の組み合わせを複数設けたり、一端に凸形状と凹形状を交互に配置したりすることも可能である。
また、金属板円筒軸83は、軸線方向の端部における略環状の端面において軸線方向に凹む切り欠き部として、凹溝831、凹溝832を有している。詳細は後述するが、凹溝831、凹溝832はそれぞれ、ローラ側カップリング60、駆動伝達板82との駆動力受け渡し部となる。
(駆動入力側カップリング)
図10~図13を参照して、駆動入力側カップリング80の構成について説明する。図10は、駆動伝達装置50の構成を本体正面から見た図である。図11は、図10と同方向から見た、金属板円筒軸83の中心を通る駆動側カップリング80の断面図である。図12は、図11のB-B線における断面である。D-D線における断面である。図13は、図11のD-D線における断面である。
前述の通り、駆動入力側カップリング80は、駆動伝達装置50内の駆動源(不図示)側に設けられ、駆動伝達ギア81は駆動伝達機構24より駆動力(回転力)を受け、回転部材である駆動伝達板82を介して、金属板円筒軸83へ駆動力を伝達する。
図11に示すように、駆動伝達ギア81の中心には、軸状の中心突起部812が設けられており、その根元には溝813が設けられている。ここで、図11及び図13に示すように、金属板円筒軸83は、内周部に中心突起部812が挿入されるため、その内周直径は中心突起部812の外周直径よりも大きく構成されている。また、溝813の半径方向外側の内面である内周面813aは、金属板円筒軸83の外周面が嵌合接触するよう構成されている。
また、金属板円筒軸83には、略円形の貫通孔833が設けられている。さらに、金属板円筒軸83には、ストッパー84が金属板円筒軸83と突起部812に設けられた開口部812aを貫通して取り付けられることにより、駆動伝達ギア81と金属板円筒軸83の軸線方向の位置が規制されている。図12は、ストッパー84が、貫通孔833に挿入され、駆動伝達ギア81の中心突起部812と金属板円筒軸83を貫通した状態を示している。本実施例におけるストッパー84は、樹脂材料で成形されており、図12に示すように、金属板円筒軸83の貫通孔833に貫通する軸部841と、金属板円筒軸83の外径に沿うように形成された腕部842からなっている。腕部842は、金属板円筒軸83への取付け時に、金属板円筒軸83の外周に接触し、開くように変形し、取付けが可能となっている。
また、金属板円筒軸83は、溝813の内周面813aに金属板円筒軸83の外周面が嵌合接触して取付けられることにより、駆動伝達ギア81の中心軸と金属板円筒軸83の中心軸を一致させている。これにより、金属板円筒軸83の回転ムラが低減し、精度の良い駆動伝達が可能となる。なお、本実施例では、金属板円筒軸の加工の際に寸法精度の出易い、金属円筒軸83の外周面と溝813の内周面813aを嵌合接触させているが、かかる構成に限定されるものではない。例えば、金属円筒軸83の内周面と中心突起部812の外周面を嵌合接触させることで、駆動伝達ギア81の中心軸と金属板円筒軸83の中心軸を一致させたとしても構わない。
なお、駆動入力側カップリング80の少なくとも一部は、不図示の付勢部材によって駆動ローラ13側向かって付勢されており、駆動入力側カップリング80と連結された金属板円筒軸83がローラ側カップリング60と係合するようになっている。本実施例では、前記不図示の付勢部材は、ストッパー84を駆動ローラ13側に向かって付勢することで、間接的に金属板円筒軸83を付勢している。しかしながら、駆動伝達ギア81を駆動ローラ13側に付勢することで、間接的に金属板円筒軸83を付勢しても良い。また、駆動伝達板82の軸線方向の位置は、金属板円筒軸83がローラ側カップリング60と係合した状態において、規制されている。より具体的には、駆動伝達板82の軸線方向の位置は、金属板円筒軸83をストッパー84と駆動伝達ギア81との間で支持する不図示の規制部材と、駆動伝達ギア81の側面によって規制される。
そして、ローラ側カップリング60から金属板円筒軸383を離間する場合には、金属板円筒軸383を、連結されている駆動入力側カップリング80ごと、ローラ側カップリング60から離れる方向へ一定量移動させる。もしくは、金属板円筒軸383と連結されている駆動入力側カップリング80を、ローラ側カップリング60から離れる方向へ一定量移動させることで、離間することができる。
図13に示すように、駆動伝達ギア81の側面部には、ギアのピッチ円中心から一定距離離れた同一円周状に1個もしくは複数個の突起部811が設けられている。突起部811には、駆動伝達ギア81の回転方向C前方側に駆動伝達面811aが設けられる。一方、駆動伝達板82は板状で形状は略手裏剣状に設けられ、円形の最外周面に対して1個もしくは複数個の切欠き821を持つ。切欠き821には、切欠き内回転方向前方側に被駆動伝達面821aが設けられ、駆動伝達ギア81上に設けられた突起部811の駆動伝達面811aと周方向に接するように構成される。駆動伝達面811aおよび被駆動伝達面821aの接触面は、ギアの任意の円周上の点と中心を結んだ線上に位置する。このことで、接触面で与える力の向きを回転方向と一致させることができ、駆動伝達ロスを抑制することが可能となる。
駆動伝達板82の中心部には略円形の穴823を設けており、穴828の内周面から中心方向(径方向内向き)に突出するように1個もしくは複数個の突出部822が設けられる。なお、駆動伝達板82のY方向の位置は、一方向は駆動伝達ギア81側面に突き当たることで規制され、反対方向は、金属板円筒軸83と係合するように設けられた規制部材(不図示)によって規制される。金属板円筒軸83の駆動伝達ギア81側の端部には、凹溝832が設けられているが、図13に示すように、凹溝832の円周方向の幅は、駆動伝達板82内の突出部822の円周方向の幅より大きくなるように構成される。また、金属板円筒軸83の外周直径は、駆動伝達板82中心部に設けられた穴823の直径より小さくなるように構成される。
ここで、駆動伝達ギア81から金属板円筒軸83への駆動伝達の詳細について説明する。まず、駆動伝達ギア81から駆動伝達板82への駆動伝達は、周方向に互いに当接する駆動伝達ギア81の駆動伝達面811aと駆動伝達板82の被駆動伝達面821aの間で行われる。このとき、駆動伝達面811aと被駆動伝達面821aの接触面は駆動伝達ギア81中心から一定の距離をとって設けられることから、軸上でのトルクに対して、ギア中心からの距離に応じて接触面にかかる力を低下させることができる。さらに、駆動伝達面811aおよび被駆動伝達面821aを複数設けることによって、設けた個数に応じて、ギア上の駆動伝達面811a一箇所当たりにかかる負荷を分散させることができる。
図14に示すように、第1部材としての駆動伝達板82から金属板円筒軸83への駆動伝達は、駆動伝達板金82の突出部822と金属板円筒軸83の一方の端部に設けられた凹溝832との接触部で行われる。凹溝832における突出部822との接触部が、本発明における力受け部に対応する。
ここで、駆動伝達板82の突出部822と金属板円筒軸83の凹溝832間の接触部のうち、金属板円筒軸83の合わせ目830から金属板円筒軸83の回転方向Cと反対方向に最も近い接触点を832Aとする。接触点832Aに対応する凹溝832における突出部822との接触部が、本発明における第1力受け部に対応する。凹溝832において、接触点832Aに対応する部分が、前記駆動伝達板82の突出部822から周方向に力を受ける部分であって、該力を受ける方向とは反対方向に合わせ目830から最も近い接触部となる。また、合わせ目830から、金属板円筒軸83の回転方向に最も近い接触点を832Bとする。接触点832Bに対応する凹溝832における突出部322との接触部が、本発明における第2力受け部に対応する。凹溝832において、接触点832Bに対応する部分が、上記力を受ける方向に合わせ目830から最も近い接触部となる。
本実施例では、力受け切り欠き部としての凹溝832を2つ備えている。一方の凹溝832(第1切り欠き部)は、金属板円筒軸83の回転方向C(突出部822から力を受ける方向)とは反対方向において合わせ目830から最も近い位置に設けられている。該一方の凹溝832(第1切り欠き部)における突出部822との接触部が接触点832Aと対応する。また、他方の凹溝832(第2切り欠き部)は、金属板円筒軸83の回転方向C(突出部822から力を受ける方向)において合わせ目830から最も近い位置に設けられている。該他方の凹溝832(第2切り欠き部)における突出部822との接触部が接触点832Bと対応する。他方の凹溝832(第2切り欠き部)は、合わせ目830に対して一方の凹溝832(第1切り欠き部)よりも周方向に遠い位置にある。
図14は、接触点832A、832Bを通り、図13と同方向から見た、金属板円筒軸83と駆動伝達板金82の部分断面図である。図14は、金属板円筒軸83と駆動伝達板金82の駆動伝達点である接触点832A、832Bと、金属板円筒軸83合わせ目830の位置関係を示している。図14において、金属板円筒軸の中心(回転中心)を点O、合わせ目830と金属板円筒軸83の内周面との交点を点P、断面図上の接触点832A、832Bをそれぞれ点A2、B2とする。なお、本実施例における金属板円筒軸83は、金属板に抜き加工を施した後、曲げ加工を行うことにより円筒状に加工する。そのため、凹溝831、832の端面や貫通孔833の端面、合わせ目830における金属板の両端部等が、金属板円筒軸83の軸に垂直な平面において、金属板円筒軸83の内周から外周に向かって、開くように傾く傾向にある。そのため、金属板円筒軸83と駆動伝達板金82との接触点は金属板円筒軸83の内周面の円周上となっている。
ここで、図14に示すように、金属板円筒軸83の接触点832Aから合わせ目830へ金属板円筒軸83の回転方向Cに結び、金属板円筒軸83の回転中心Oを中心とする仮想円弧(第1仮想円弧)の中心角(第1中心角)を∠A2OPとする。また、金属板円筒軸83の接触点832Bから合わせ目830へ金属板円筒軸83の回転方向Cとは反対方向に結び、金属板円筒軸83の回転中心Oを中心とする仮想円弧(第2仮想円弧)の中心角(第2中心角)を∠B2OPとする。本実施例では、第1仮想円弧の第1中心角が第2仮想円弧の第2中心角よりも小さくなるように、各凹溝832と合わせ目830とを、金属板円筒軸83を軸線方向に見たときに周方向において異なる位置に設けている。つまり、図14において、∠A2OP<∠B2OPとなるように、各駆動受け部(力受け部)、つまりは駆動伝達板金82との接触部となる凹溝832が配置されている。以下、上記のように金属板円筒軸83の合わせ目830と駆動受け部点832A、832Bの位置関係を設定する理由を説明する。
図15は、凹溝832と合わせ目830の配置について、本実施例の配置と比較例の配置とを比較して示す模式図である。図15(A)は、∠A2OP<∠B2OPとなるように駆動受け部を配置した場合(本実施例)の金属板円筒軸83の模式図(軸線方向に見た図)である。図15(B)は、∠A2OP>∠B2OPとなるように駆動受け部を配置した場合(比較例1)の金属板円筒軸83の模式図である。図15(C)は、合わせ目830上に凹溝832を設けた(軸線方向に見て周方向に互いに重なる位置に設けた)場合(比較例2)の金属板円筒軸83の模式図である。
金属円筒軸83が駆動力を伝達され、接触点A2、B2に力がかかると、(C)の配置では、合わせ目830が開く方向に力がかかってしまう。(B)の配置では、合わせ目830が開く方向、及び、合わせ目830が半径方向にずれる方向に力が作用し、軸の捩れが増大してしまう可能性がある。それに対し、(A)の配置は合わせ目830を閉じる方向に力がかかるため、合わせ目が開くことがない。また(A)は、(B)同様に金属板円筒軸83の半径方向にずれる方向にも力がかかるが、合わせ目部830で金属板端部同士が接触することにより、合わせ目830が閉じる方向にかかった力が、合わせ目830部の金属板端部同士を押しつける力となる。これにより、合わせ目830の金属板端部間の摩擦力が上がり、金属板円筒軸83の半径方向のずれを抑制できる。
よって、本実施例では、合わせ目830が開きにくく、金属板円筒軸83の半径方向のずれも生じにくい(A)の構成をとっている。そして、このように凹溝832を配置することにより、金属板円筒軸83の合わせ目830の開きやずれを防ぎ、金属円筒軸83の捩れ強度が低下することを防いでいる。なお、本実施例では、∠A2OPが鋭角となり、∠B2OPが鈍角となる構成となっているが、かかる構成に限定されるものではない。例えば∠B2OPは略直角となるような構成でも、上記効果が得られる場合には、適宜採用してよい。
また、合わせ目830における金属板端部の金属板円筒軸83の軸線方向のずれについては、図9のように、合わせ目部830に凹形状と凸形状を設け、凸形状と凹形状を嵌合させることによって、抑制することができる。
(駆動伝達側カップリング)
図16を参照して、ローラ側カップリング60について説明を行う。図16は、ローラ側カップリング60について説明するための模式的斜視図である。本実施例におけるローラ側カップリング60は、シャフト131に形成された貫通孔131bに挿入されるピン61、シャフト131に取り付けられる樹脂製のカバー部材62を備える。また、本図では不図示であるが軸受け70を備える(図4参照)。カバー部材62は、略二重円環状に形成されており、外環部621(第2環状部)と、内環部622(第1環状部)、外環部と内環部を接続するベース部623(連結部)とを備えている。内環部622には、内環の中心に対して対向する位置の2か所にピン61と回転方向に係合可能な係合部として凹溝622aが形成されている。
ここで、受け渡し部材、挿入部材の一例としてのピン61は、円柱状に形成されており、シャフト131に形成された貫通孔131bに非圧入状態で挿入されるとともに両端部がシャフト131の外周面から突出した状態で配置される。突出したピン61の両端部は、樹脂カバー部材62によって規制され、樹脂カバー部材62は、ピン61の貫通孔内のスラスト方向への移動も規制している。
図17にローラ側カップリング60が金属板円筒軸83と係合する様子を示す。ピン61は金属板円筒軸83と係合するように構成されている。金属板円筒軸83に設けられた切り欠き部としての2か所の凹溝831がピン61を咥えるように配置され、金属板円筒軸83から第2部材としてのピン61へ駆動が伝達される。このため、ピン61の外径は凹溝831の幅よりも小さくなるように構成されている。そして、駆動が伝達され、シャフト131の貫通孔131bに挿入されたピン61が回転することにより、シャフト131、つまりは駆動ローラ13が回転する。
図18に示すように、金属板円筒軸83から第2部材としてのピン61への駆動伝達は、金属板円筒軸83の凹溝831とピン61との接触部で行われる。凹溝831におけるピン61との接触部が、本発明における、第2部材を駆動させる際に第2部材から反力を受ける部分としての力受け部に対応し、かつ第1部材から受けた駆動力を第2部材に作用させる力作用部にも対応する。
ここで、金属板円筒軸83の凹溝832間の接触部のうち、金属板円筒軸83の合わせ目830から金属板円筒軸83の回転方向Cと反対方向(ピン61から反力を受ける方向)に最も近い接触点を831Aとする。接触点831Aに対応する凹溝831におけるピン61との接触部が、本発明における第2力受け部であり第2力作用部に対応する。凹溝831において、接触点831Aに対応する部分が、ピン61から周方向に反力を受ける部分であって、該反力を受ける方向に合わせ目830から最も近い接触部となる。また、合わせ目830から、金属板円筒軸83の回転方向C(ピン61から反力を受ける方向とは反対方向)に最も近い接触点を831Bとする。接触点831Bに対応する凹溝831におけるピン61との接触部が、本発明における第1力受け部であり第1力作用部に対応する。凹溝831において、接触点831Bに対応する部分が、ピン61から周方向に反力を受ける部分であって、該反力を受ける方向とは反対方向に合わせ目830から最も近い接触部となる。
本実施例では、力作用切り欠き部としての凹溝831を2つ備えている。一方の凹溝831(第1切り欠き部)は、金属板円筒軸83の回転方向C(ピン61に力を作用させる方向、ピン61から反力を受ける方向とは反対方向)において合わせ目830から最も近い位置に設けられている。該一方の凹溝381(第1切り欠き部)におけるピン61との接触部が接触点831Bと対応する。また、他方の凹溝831(第2切り欠き部)は、金属板円筒軸83の回転方向C(ピン61に力を作用させる方向)とは反対方向(ピン61から反力を受ける方向)において合わせ目830から最も近い位置に設けられている。該他方の凹溝831(第2切り欠き部)におけるピン61との接触部が接触点831Aと対応する。他方の凹溝831(第2切り欠き部)は、合わせ目830に対して一方の凹溝831(第1切り欠き部)よりも周方向に遠い位置にある。
図18は、シャフト131と樹脂カバー62、金属板円筒軸83の位置関係を示すとともに、金属板円筒軸83とピン61の駆動伝達点である接触点831A、831Bと、合わせ目830の位置関係を示す模式的断面図である。図18は、金属板円筒軸83の軸線方向で凹溝831が設けられた端部側から見た場合の、金属板円筒軸83の接触点831A、831Bを通る断面である。図18において、金属板円筒軸の回転方向をC、断面図18上の金属板円筒軸の中心(回転中心)を点O、合わせ目830の中心線と金属板円筒軸83の内周面の円周との交点を点P、接触点831A、831Bをそれぞれ点A1、B1とする。本実施例においては、図18に示す通り、樹脂カバー部材62の内環部622内周面はシャフト131に摺動可能に接触しており、外環部621には、金属板円筒軸830と勘合接触するように複数のリブ624aが設けられている。これによりシャフト131の中心軸と金属板円筒軸の中心軸を一致させている。なお、内環部622の外周面は金属板円筒軸の外周面の直径よりも、小さく構成されている。また、前述のとおり、金属板円筒軸83は、凹溝831、832の端面や合わせ目830における金属板の両端部等が、金属板円筒軸83の軸に垂直な平面において、金属板円筒軸83の内周から外周に向かって、開くように傾く傾向にある。そのため、金属板円筒軸83とピン61との接触点は金属板円筒軸83の内周面の円周上となっている。
ここで、図18に示すように、金属板円筒軸83の接触点831Aから合わせ目830へ金属板円筒軸83の回転方向Cに結び、金属板円筒軸83の回転中心Oを中心とする仮想円弧(第2仮想円弧)の中心角(第2中心角)を∠A1OPとする。また、金属板円筒軸83の接触点831Bから合わせ目830へ金属板円筒軸83の回転方向Cとは反対方向に結び、金属板円筒軸83の回転中心Oを中心とする仮想円弧(第1仮想円弧)の中心角(第1中心角)を∠B1OPとする。本実施例では、第1仮想円弧の第1中心角が第2仮想円弧の第2中心角よりも小さくなるように、各凹溝831と合わせ面830とを、金属板円筒軸83を軸線方向に見たときに周方向において異なる位置に設けている。つまり、図18において、∠A1OP>∠B1OPとなるように、各駆動伝達部(力作用部であり力受け部)、つまりはピン61との接触部となる凹溝831が配置されている。
図19は、凹溝831と合わせ目830の配置について、本実施例の配置と比較例の配置とを比較して示す模式図である。図19(A)は、∠A1OP>∠B1OPとなるように駆動伝達部を配置した場合(本実施例)の金属板円筒軸83の模式図(軸線方向に見た図)である。図19(B)は、∠A1OP<∠B1OPとなるように駆動伝達部を配置した場合(比較例3)の金属板円筒軸83の模式図である。図19(C)は、合わせ目830上に凹溝831を設けた(周方向に互いに重なる位置に設けた)場合(比較例4)の金属板円筒軸83の模式図である。
金属板円筒軸83がピン61に駆動力を伝達する際、金属板円筒軸83は、駆動伝達部点A1、B1で、金属板円筒軸83がピン61に加えた力の反力を受ける。金属円筒軸83が駆動力を伝達し、接触点A1、B1に力がかかると、(C)の配置では、合わせ目830が開く方向に力がかかってしまう。(B)の配置では、合わせ目830が開く方向、及び、合わせ目830が半径方向にずれる方向に力が作用し、軸の捩れが増大してしまう可能性がある。それに対し、(A)の配置は合わせ目830を閉じる方向に力がかかる為、合わせ目が開くことがない。また、(A)は、(B)同様に金属板円筒軸83の半径方向にずれる方向にも力がかかるが、合わせ目部830で金属板端部同士が接触することにより、合わせ目830が閉じる方向にかかった力が、合わせ目830部の金属板端部同士を押しつける力となる。これにより、合わせ目830の金属板端部間の摩擦力が上がることによって、金属板円筒軸83の半径方向のずれを抑制できる。
よって、本実施例では、合わせ目830が開きにくく、金属板円筒軸83の半径方向のずれも生じにくい(A)の構成をとっている。そして、このように凹溝831を配置することにより、金属板円筒軸83の合わせ目830の開きやずれを防ぎ、金属円筒軸83の捩れ強度が低下することを防いでいる。なお、本実施例では、∠B1OPが鋭角となり、∠A1OPが鈍角となる構成となっているが、かかる構成に限定されるものではない。例えば∠A1OPは略直角となるような構成でも、上記効果が得られる場合には、適宜採用してよい。
以上より、金属製駆動伝達部材である金属板円筒軸83において、金属板端部の合わせ目830と駆動入力側の駆動受け部及び駆動伝達側の駆動伝達部の位置関係を本実施例のように構成することで、金属板円筒軸83の捩れ強度の低下を防ぐことができる。よって、金属板を円筒状に成形した中空構造の円筒軸であっても、加工上特別な配慮が必要な形状を設けたり、合わせ目830に溶接や接着を施したりする必要が無く、安価で、加工性の良い、駆動伝達精度が高い駆動伝達機構を提供できる。
次に、本発明の特徴部分を図20~図27を用いて、説明する。本実施例では、図8で説明した金属板円筒軸83に規制部として切り込み部3834を設けた金属板円筒軸383を金属板円筒軸として採用する。尚、図20~図27の説明においては、金属板円筒軸83を金属板円筒軸383に変更する以外は、図1~図19で説明した構成と同様であり、同様の構成に関しては説明を省略する。
図20は、切り込み部3834を設けた金属板円筒軸383の形状を示す図である。図21は金属板円筒軸383と駆動入力側カップリング80が連結した状態を示す図である。図20、21に示すとおり、本実施例では、規制部は、金属板円筒軸383の切り欠き部3832の一部に設けられ、切り欠き部3832の一部から周方向に切り込んだ形状である切り込み部3834である。金属板円筒軸383に設けられた切り込み部3834内に、駆動伝達板金82に設けられた突出部822が嵌るようになっており、金属板円筒軸383に対する駆動伝達板金82の軸線方向の位置を規制している。そして、切り込み部3834に設けられた駆動受け部である突き当たり3834aが、突出部822と接触可能である。
駆動ローラ13は、転写ベルト12を回転駆動させる際に、軸線方向に繰り返し移動する場合がある。駆動ローラ13が軸線方向に繰り返し移動すると、その繰り返し移動に追従して金属板円筒軸83も軸線方向に移動してしまう。その場合において、金属板円筒軸83の構成では、金属板円筒軸83が軸線方向に繰り返し移動した場合に、金属板円筒軸83の832Aが突出部822との摺擦を繰り返し、金属板円筒軸83と突出部822が削れ、駆動が不安定になる可能性がある。
しかしながら、切り込み部3834を備える金属板円筒軸383では、突出部822の移動を切り込み部3834内で収めることが可能になる。即ち、駆動板金82と金属板円筒軸383の接触部の軸線方向の移動量を、切り込み部3834の軸線方向の幅と、駆動伝達板金82の板厚の差以内に抑えることができる。その結果、接触部の削れを抑えることで、安定した駆動を行うことが可能である。
また、駆動伝達ギア81が回転方向Cと逆方向に回転する場合がある。駆動伝達ギア81が回転方向Cと逆方向に回転する場合は、イレギュラーな動作時に発生する。また、金属板円筒軸383をローラ側カップリング60から離間する際に、金属板円筒軸383と連結された駆動入力側カップリング80をローラ側カップリング60から離れる方向へ移動させる過程などで発生する。その場合において、突出部822が切り込み部3834から外れる方向に力が加わった場合でも、突出部822が切り込み部3834から外れない構成になっている。この外れ防止構成について、図22~図28を用いて説明する。
図22は、図13に対応する図であり、駆動伝達ギア81から金属板円筒軸383に駆動が伝達される状態を示す図である。より詳しくは、図22は、駆動伝達ギア81の駆動伝達面811aと駆動伝達板金82の被駆動伝達面821aが接触し、駆動伝達板金82の突出部822が金属板円筒軸383の切り込み部3834に嵌り、駆動受け部3834aと接触した状態を示している。
図23は、図12に対応する図であり、図23の状態における駆動伝達ギア81、金属板円筒軸383、ストッパー84の関係を示している。図23に示す通り、ストッパー84の軸部841は、駆動ギア81の中心突起部812に設けられた開口部312aを通過することで、金属板円筒軸383に設けられた2つの貫通穴3833を貫通している。
一方、図24には、図22の状態から、駆動伝達ギア81と駆動伝達板金82を金属板円筒軸383に対し、回転方向Cと逆方向に回転させ、駆動伝達板金82の突出部822が切り込み部3834からちょうど抜ける瞬間の状態を示す。言い換えれば、突出部822の端部が切り込み部3834の開口端部3834bに差し掛かった状態を示す。また、図25には、図24の状態における駆動伝達ギア81、金属板円筒軸383、及び、ストッパー84の軸部841の挿入した場合の挿入軌跡841tの関係を示す。
図25に示すとおり、金属板円筒軸383に設けられた2つの貫通穴3833の軸線方向にストッパー84の軸部841の挿入を挿入した場合の、軸部841挿入軌跡上には、駆動伝達ギア81の突起部812があることが分かる。よって、駆動伝達板金82の突出部822が切り込み部3834から抜ける状態では、片方の貫通穴3833からもう一方の貫通穴3833に向けてストッパー84の軸部841を挿入しようとしても、駆動ギア81の突起部812と干渉する。よって、軸部841を2つの貫通穴3833に貫通させることはできない。
このように、駆動伝達板金82の突出部822が駆動受け部3834aと接触した状態においては、ストッパー84の軸部841を2つの貫通穴3833に貫通させることが出来る。しかしながら、突出部822が、切り込み部3834aから外れた状態では、ストッパー84の軸部841を2つの貫通穴3833に貫通させることはできす、ストッパー84が組み付かない位置に、貫通穴3833を配置している。これにより、組み立て時に、突出部822が切り込み形状内に嵌っていない状態でストッパー84が組み付けられることを防ぐ。
すなわち、一度ストッパー84を正しく組み付ければ、イレギュラーな動作があった場合に突出部822が切り込み形状8384から外れることを防ぐことが可能である。またローラ側カップリング60から金属板円筒軸383を離間する過程で、駆動伝達板金82の突出部822が切り込み形状8384から外れる方向に力が加わった場合においても、突出部822が切り込み形状8384から外れることを防ぐことが可能である。
また、駆動伝達板82の軸線方向の位置は、金属板円筒軸83がローラ側カップリング60と係合した状態において、規制されている。より詳細には、本体に取り付けられ、金属板円筒軸83を、ストッパー84と駆動伝達ギア81との間で支持する不図示の規制部材と、駆動伝達ギア81の側面によって規制される。しかしながら、金属板円筒軸383がローラ側カップリング60から離間された状態では、前記付図示の規制部材と駆動伝達板82との距離も広がる為、その限りではない。しかし、このように突出部822が切り込み形状8384から外れずに保持されることで、駆動伝達ギア81と駆動伝達板金82の相対位置が保持される。そのため、駆動伝達板金82が駆動伝達ギア81に設けられた1個もしくは複数個の突起部811を乗り上げ、脱落することを防ぐことができる。
また、本実施例の金属板円筒軸383は、図20に示す通り、切り込み部3834を設けたとこによってできる細い腕形状部分3835も、他の円筒部と同中心、同半径となるよう成形されている。しかし、図26に示すように、腕形状部3835を、図7に示した曲げ工程であえて丸めず、円筒部外周の略接線上に延ばしても良い。これにより、細く短い腕形状部を他の円筒部と同等に丸める為の特別な配慮が不要になり、加工を容易にすることが可能である。
また、駆動伝達ギア81に設けられた溝813の内周面813aと金属板円筒軸383の外周を嵌合接触させて中心軸を一致させる場合には、内周面813aの一部に凹部を設け、腕形状部3835と干渉しないようにする必要がある。図27は、金属板383の腕形状部3835を円筒部外周の略接線上に延ばした場合を示す。図27は、駆動伝達ギア81と金属板円筒軸383を示す断面であり、腕形状部3835を通り、駆動伝達ギア81に平行な断面である。
本実施例では、金属板円筒軸383の外周を複数のリブ状の内周面813aと嵌合接触させることで、凹部813b形成している。腕形状部3835を避ける為の凹部813bは、図27に示すように、駆動伝達ギア81が回転し、駆動伝達板金82から金属板円筒軸383へ駆動が伝達される状態になる。駆動伝達板金82の突出部822が金属板円筒軸383の切り込み部3834に嵌り、駆動受け部3834aと接触した状態において、腕形状部3835と内周面813aが干渉を避ける必要がある。そのために、駆動伝達ギア81に駆動伝達板金82を組み付けた後、駆動伝達ギア81に設けられた溝813aに金属板円筒軸383を挿入する。その後、駆動伝達板金82の突出部822が切り込み部3834内に入るよう回転させて組むまでの間に、腕形状部3835が通過する軌跡全域を避けるように設けても良い。
以上より、金属板円筒軸383に切り込み部3834を設け、駆動伝達板金82の突出部822を嵌め込んで駆動することにより、金属板円筒軸383と駆動伝達板金82の摺擦による削れの発生を抑え、安定した駆動を行うことが可能となる。
また、イレギュラーな動作等により本来の回転方向と逆の方向に力が加わった場合においても、駆動伝達板金82が切り込み部3834から外れることが無く、正しい構成で駆動を伝達することが可能となる。