JP6999158B2 - 分析方法 - Google Patents
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Description
抗体、第2生体分子が抗原である抗原-抗体反応を挙げることができる。また、他の例としては、酵素タンパク質とその基質、ホルモンや神経伝達物質等のシグナル物質とその受容体等のような組み合わせで代表される特定の受容体(レセプター)と特異的に結合するリガンド、特定のDNA-DNA、特定のDNA-RNA等がある。本明細書の実施の形態では、第1生体分子として抗体,第2生体分子として抗原を例にして、以下説明するが、本発明はこれに限定する趣旨ではない。
、TAPSという)から選択される少なくとも1つを用いることがより好ましい。
濃度40mMのクエン酸50mLを70℃に加熱し、この水溶液が0.2mMとなるように調製した塩化金酸を加え、10分間激しく攪拌して赤紫色の金コロイドを作製した。その後、遠心分離と蒸留水での洗浄を3回繰り返し、加熱炉で焼成することにより金ナノ粒子を作製した。なお、金ナノ粒子は上記クエン酸還元法により作製したもの以外に、市販の15nm(SIGMA-ALDRICH社製)、市販の5nm、15nm、30nm、50nm、80nm、及び100nm(いずれも田中貴金属製)を用いた。
トリスヒドロキシメチルアミノメタン(Tris)溶液は、所定のpHとなるように、蒸留水、塩酸(場合によって水酸化ナトリウム)の量により調製した。表1に、濃度1MのTris溶液1Lの構成を示す。
常温固体のルミノール(Wako社製)17.716mgを0.1M-NaOHに溶解し、濃度10mMルミノールを作製した。その後、1mLずつ分注し、-20℃で冷凍保存した。電気化学発光確認時には、上記で冷凍した10mM-ルミノールを解凍後、200mM-Tris緩衝液、もしくは200mL-borate緩衝液で希釈し、0.2mM-ルミノールに調整後、発光試薬として用いた。
印可電圧は、0~700mVの間を50mVずつ線形的に上げていくlinear sweep voltammetry(LSV)という方法を用いた。また、電気化学発光測定時はpH8に揃え、発光は500msecに1回毎に光検出器でカウントした。
蛍光試薬キットの指示通りに20U/ml-HRP stock solutionを200μL、Amplite red stock soltuionを50μL、アッセイバッファーを4.75mL混合し、蛍光用試薬を作製した。96ウェルのプレートリーダーに濃度56mg/Lの金ナノ粒子(SIGMA-ALDRICH社製)を25μLと、濃度1mM、10mMのTris、Tricine、TAPS、PBSを25μLずつ加えた。その後、上記のサンプルに蛍光試薬(AmpliteTM Fluorimetric Hydrogen Peroxide Assay Kit *Red Fluorescene*、-(-),ABD社製)を50μL加え、蛍光測定器で測定を行う。測定条件は、540nmの光をあて、590nmの光を測定するものである。一つの条件に対して3サンプルずつ用意し、測定を行った。
金ナノ粒子分散液500μLをTrisなどの溶媒500μLに加えた後、数分待機し、金ナノ粒子から活性酸素種を生成させた。その後、この金ナノ粒子サンプル100μLに濃度0.2mMのルミノール100μLを加え、電極上に20μL滴下し、電気化学発光測定を行った。1サンプルにつき3回ずつ測定を行いECL(Electrochemiluminescence)グラフが得られ、得られたグラフのピーク値をプロットし、解析した。
(a)金ナノ粒子表面の抗体固定
濃度40mg/Lの金ナノ粒子(粒径15nm)分散液10mLに、濃度1mg/mLのIgA抗体(Human IgA antibody、Goat polyclonal Antigen、Affinity Purufied、BET社製)100μLを加えて1日放置し、遠心分離後、濃度200mMのPBS(pH7.4)で3回洗浄した。その後、1.5mLに濃縮して4℃に保存することによりIgA抗体を固定した。なお、遠心分離条件は、15000rpm、30分である。
(b)磁性粒子の抗体固定
濃度20mg/mLの磁性粒子(粒径180nm±30nm、NHSビーズ:多摩川精機製)の分散液250μLに、濃度1mg/mLのIgA抗体250μLと濃度200mMのPBS(pH7.4)250μLを加えて1日放置し、遠心分離後、濃度200mMのPBS(pH7.4)で3回洗浄し、1.5mLに濃縮した。なお、遠心分離条件は、12000rpm、10分である。続いて、1Mのアミノエタノール200μLを加え一晩放置した後、遠心分離後、濃度200mMのPBS(pH7.4)で3回洗浄し、3mLに希釈して4℃に保存してIgA抗体を固定した。なお、遠心分離条件は、12000rpm、10分である。
(金ナノ粒子の濃度に伴う電気化学発光強度への影響)
濃度が0.56mg/L、5.6mg/L、56mg/Lの各金ナノ粒子の分散液500μLに、それぞれ200mM-Tris(pH8)を500μL加え、Trisを加えた時間から0分後、15分後、30分後の金ナノ粒子サンプル100μLを濃度0.2mM-ルミノール100μLと混合し、電気化学発光測定を行った。なお、金ナノ粒子は、15nmの金ナノ粒子(SIGMA-ALDRICH社製)を用いた。
(Tris溶媒濃度に伴う電気化学発光強度への影響)
濃度56mg/Lの金ナノ粒子の分散液500μLに、0.01mM-Tris、0.1mM-Tris、1mM-Tris、10mM-Trisを500μLそれぞれ加えた後(Trisは全てpH8を使用)、Trisを加えた時間から0分後、30分後、60分後の金ナノ粒子サンプル100μLを濃度0.2mM-ルミノール100μLと混合し、電気化学発光測定を行った。なお、金ナノ粒子は、15nmの金ナノ粒子(SIGMA-ALDRICH社製)を用いた。
わかった。
(金ナノ粒子の溶媒種に伴う電気化学発光強度への影響1)
Trisと類似の構造を持つ溶媒を2種用いて、金ナノ粒子から活性酸素種が生成されるかどうか検討した。なお、Trisと類似の構造を持つ溶媒は、ヒドロキシ基のみを有する1,1,1-トリスエタン、アミノ基のみを有する2-アミノ-2メチルプロパンを用いた。[化15]に1,1,1-トリスエタン、[化16]に2-アミノ-2メチルプロパンの溶媒構造図を示す。金ナノ粒子は、15nmの金ナノ粒子(SIGMA-ALDRICH社製)を用いた。まず、濃度56mg/Lの金ナノ粒子の分散液500μLに、1mMのTris、1mMの1,1,1-トリスエタン、1mMの2-アミノ-2メチルプロパンをそれぞれ加えた後、Tris等を加えた時間から0分後、15分後、30分後の金ナノ粒子サンプル100μLを濃度0.2mM-ルミノール100μLと混合し、電気化学発光測定を行った。なお、比較実験として、アミノ基を有する化合物とヒドロキシ基を有する化合物を混合した溶媒を使用した場合の効果を確認するため、1mMの1,1,1-トリスエタンと1mMの2-アミノ-2メチルプロパンを混合した溶媒について、上記と同様の方法で電気化学発光測定を行った。
(金ナノ粒子の溶媒種に伴う電気化学発光強度への影響2)
アミノ基とヒドロキシ基の構造が金ナノ粒子からの活性酸素種生成に関連していることをさらに調べるために上記の構造を有するTris、Tricine、TAPSと、上記の構造を有さないPBS(Phosphate buffered saline)、borate、KClの6種類の溶媒で検討した。この6種類は緩衝液として一般的に用いられるものである。なお、金ナノ粒子には15nm金ナノ粒子(SIGMA-ALDRICH社製)を用いた。
(金ナノ粒子の溶媒種に伴う電気化学発光強度への影響3)
アミノ基とヒドロキシ基の構造が金ナノ粒子からの活性酸素種生成に関連していることをさらに調べるために、Trisと類似する構造を有する7種類の溶媒について検討した。この7種類は、[化6]の2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール(以下、AMPという)、[化7]の2-アミノ-2メチル-1,3-プロパンジオール(以下、AMPDという)、[化13]のトリエタノールアミン(以下、TEAという)、[化11]のビス-トリスメタン、[化12]のビス-トリスプロパン、[化8]の4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルフォン酸(以下、HEPESという)、[化10]の及び4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンプロパンスルフォン酸(以下、HEPPSという)である。
(溶媒のpHの違いに伴う電気化学発光強度への影響)
金ナノ粒子から生成される活性酸素種量についてのTris溶媒のpH依存性を調べた。なお、金ナノ粒子には30nm金ナノ粒子(田中貴金属製)を用いた。
(金ナノ粒子の粒子径に伴う電気化学発光強度への影響)
金ナノ粒子の粒径と発光強度の関係を調べた。なお、金ナノ粒子は5nm、15nm、30nm、50nm、80nm、100nm(田中貴金属製)を用いた。
(溶存酸素による電気化学発光強度への影響)
金ナノ粒子からの活性酸素種生成における溶存酸素の影響について調べるために窒素置換を行いながら測定した。なお、金ナノ粒子は15nm(田中貴金属製)を用いた。
(金ナノ粒子表面状態による電気化学発光強度への影響)
金ナノ粒子の表面をBSA(Bovine Serum Albumin:ウシ血清アルブミン)でブロッキングすることにより、金ナノ粒子表面状態による電気化学発光強度への影響を調べた。なお、金ナノ粒子はクエン酸還元法によって作製したものを用いた。
の濃度が大きいほど電気化学発光強度の値の上昇が小さくなり、金ナノ粒子の表面を覆うと電気化学発光強度の値が下がることが確認された。この結果から、金ナノ粒子の表面で活性酸素種が生成されていることが示唆された。
(ペルオキシダーゼを用いた蛍光法による活性酸素種の検出)
電気化学発光法以外の活性酸素種の検出方法として、蛍光法を用いて確認した。図15に各溶媒における金ナノ粒子からの活性酸素種生成に伴う蛍光強度の値を示す。図15に示すように、Tris、Tricine、TAPSと金ナノ粒子の混合液において、蛍光強度値の増加が確認され、ルミノールを用いた電気化学発光法による結果と同様であった。この結果より、活性酸素種の検出としてルミノールを用いた電気化学発光法と同様に、ペルオキシダーゼを用いた蛍光法が有用であることがわかった。
(抗原抗体反応における金ナノ粒子の活性酸素種の検出)
抗体固定した磁性粒子(NHSビーズ、多摩川精機製)90μLに抗原(Secretory Immunoglobulin A、Human Colostrum、ART社製)を濃度が0ng/mL、1ng/mL、10ng/mL、100ng/mL、1μg/mL、10μg/mLをそれぞれ10μL加え、室温で1時間インキュベートした。次に、磁性粒子を磁石で集めて200mMのPBS(pH7.4)で2回洗浄した後、抗体固定後の金ナノ粒子を200μL加えた。続いて、磁性粒子、抗原、金ナノ粒子を磁石で集めて200mMのPBS(pH7.4)で2回洗浄した後、200mMのTris(pH12)を200μL加え、15分放置した。次に、Trisを加えた後のサンプル100μLにルミノール100μLを加え、このうち20μLを電極に滴下して電気化学発光測定を行った。
(EM-CCDカメラによる発光測定)
電気化学発光強度の測定について、光増幅器(フォトマルチプライヤーチューブ)の代わりにEM-CCDカメラを用いて測定を行い、測定方法の違いによる影響を検討した。実施例1と同様の方法で、濃度10μg/mLの抗原で抗原抗体反応を行った後のサンプルからの発光をEM-CCDカメラによって測定した。その結果、金ナノ粒子の存在する部分でのみ発光が確認された。この結果より、EM-CCDカメラによる発光測定も有効であることが確認され、この技術を生体イメージング等の検査技術にも応用可能なことが示唆された。
2 抗体
3 抗原
4 磁石
5 金ナノ粒子
6 溶液
7 過酸化水素
8 ルミノール
9 印刷電極
Claims (11)
- 生体分子を定量的に検出する方法であって、
表面に第1の生体分子が形成されている金ナノ粒子と、第2の生体分子と、アミノ基およびヒドロキシ基を有する化合物とを含む溶液を準備する第1ステップと、ここで、前記第2の生体分子は、前記第1の生体分子と特異的結合をするものであり且つ定量的に検出すべきものであり、
前記溶液中で発生する活性酸素種を検出することにより、前記第2の生体分子を定量的に検出する第2ステップと、を含むことを特徴とする方法。 - 前記第1の生体分子が抗体であり、前記第2の生体分子が抗原である請求項1に記載の方法。
- 前記抗原が、反応容器に固定されている請求項2に記載の方法。
- 一部の金ナノ粒子が前記抗原に結合されており、他の一部の金ナノ粒子が前記抗原に結合されておらず、
前記第1ステップと前記第2ステップとの間に、前記抗原に結合されていない金ナノ粒子を除去するステップを含む請求項2または3に記載の方法。 - 前記化合物が、トリスヒドロキシメチルアミノメタン、トリ(ヒドロキシメチル)メチルグリシン、及びトリス(ヒドロキシメチル)メチル-3-アミノプロパンスルフォン酸から選択される少なくとも1つである請求項1~4のいずれかに記載の方法。
- 前記溶液に対する前記化合物の濃度が1mM以上である請求項1~5のいずれかに記載の方法。
- 前記溶液のpH濃度が8以上である請求項1~6のいずれかに記載の方法。
- 前記金ナノ粒子の粒径が1nm以上である請求項1~7のいずれかに記載の方法。
- 前記第2ステップがルミノールを用いた電気化学発光法により行う請求項1~8のいずれかに記載の方法。
- 前記第2ステップがペルオキシダーゼを用いた蛍光法により行う請求項1~9のいずれかに記載の方法。
- 水溶液中、金ナノ粒子にアミノ基及びヒドロキシ基を有する化合物を混合することを特徴とする活性酸素種の製造方法。
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LI, H. et al,Polydimethylsiloxane Microfluidic Chemiluminescence Immunodevice with the Signal Amplification Strategy for Sensitive Detection of Human Immunoglobulin G,Talanta,2016年10月09日,Vol.147,p.430-436 |
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