JP2020186971A - 微小物質検出方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】プローブ分子が表面に固定された粒子を反応空間に均一に分布させて、微小物質の検出精度を高めることのできる微小物質検出方法を提供する。【解決手段】常磁性体を含む第一溶液に反磁性粒子22を加えた反磁性粒子含有溶液を検出部1に添加する第一溶液添加工程と、第一溶液添加工程の後、第一溶液よりも常磁性体の濃度が高い第二溶液を検出部1に添加する第二溶液添加工程と、微小物質を含む検体溶液を検出部1に添加する微小物質添加工程と、電極13から出力される電気信号に基づいて微小物質を検出する検出工程と、を備えている。【選択図】図4

Description

本発明は、検出対象となる微小物質と反磁性粒子の表面に固定されたプローブ分子との反応によって発生する電気信号を検知して微小物質を検出する微小物質検出方法に関する。
従来、検体溶液中の生体分子(微小物質の一例)を検出する方法として、電気化学測定方法が用いられている(例えば、特許文献1〜3参照)。この電気化学測定方法として、特許文献1に記載のように生体分子をセンシング部に接触させて電位変化を検出する方法や、特許文献2〜3に記載のように生体分子とプローブ分子との反応によって検体溶液に含まれる酸化還元物質を化学変化させて酸化還元電位を検出する方法が知られている。
特許文献1に記載の微小物質検出方法は、イオン感応性電界効果トランジスタ(ISFET)のセンシング部(イオン感応膜)に凹部を形成すると共にISFETの背面に磁石を配置し、抗体が表面に固定された磁性粒子を該凹部に吸引している。この状態でISFETを検体溶液に浸漬して生体分子を抗体に結合させ、センシング部の電位変化を検出するものである。
特許文献2に記載の微小物質検出方法は、各検知電極が格子状の隔壁で区画された相補型金属酸化物半導体(CMOS)で構成される複数のセンサセルに、生体分子を含む検体溶液とプローブ分子(特定分子とのみ反応する分子)が表面に固定された磁性粒子とを導入し、生体分子とプローブ分子との酵素反応による酸化物と還元物との濃度比を表す酸化還元電位を検知電極で検知するものである。
特許文献3に記載の微小物質検出方法は、各検知電極の周囲に磁性体を配置すると共に検知電極の背面に磁石を配置した相補型金属酸化物半導体(CMOS)で構成される複数のセンサセルに、生体分子を含む検体溶液とプローブ分子が表面に固定された反磁性粒子とを導入して酸化還元電位を検知するものである。この微小物質検出方法は、検知電極の背面に磁石を配置することにより、磁石から発生する磁束を磁性体が配置される検知電極の周囲に流し、検知電極の中央部に形成された磁束密度の低い領域に反磁性粒子を接近させるものである。
特開2014−232032号公報 特開2015−210233号公報 特開2018−40580号公報
しかしながら、特許文献1に記載の微小物質検出方法にあっては、磁性粒子を磁石で強制的に吸引する構成であるため、センシング部の凹部に磁性粒子が密集したり、磁性粒子が凹部からはみ出して無秩序に積層したりするおそれがある。その結果、生体分子が固定された磁性粒子がセンシング部に適切に接触できないおそれがあり、センシング部の検出精度が低下する。これを防止するため、凹部の上面をスクレイプするとの記載もあるが、検出方法が煩雑化してしまう。
特許文献2〜3に記載の微小物質検出方法は、検体溶液に含まれる酸化還元物質を化学変化させて酸化還元電位を検出するので、特許文献1に記載のように生体分子とセンシング部とを接触させなくても良く、検出方法が簡便なものである。一方、格子状の隔壁で囲まれる反応空間に粒子を収容して、生体分子とプローブ分子との酵素反応を行わせる構成上、該反応空間に粒子を均一に収容することが重要となる。
しかしながら、特許文献2には磁性粒子を反応空間に収容する方法が開示されておらず、例えば特許文献1に記載のように単に磁性粒子を磁石で吸引する構成を採用したとしても、上述した理由によって反応空間に磁性粒子を均一に収容することはできない。しかも、反応空間に収容される前に磁性粒子が凝集してしまい、反応空間よりも磁性粒子の凝集体の容積が大きくなって磁性粒子が収容されないおそれがある。その結果、生体分子検出装置の検出精度が低下してしまう。
一方、特許文献3に記載の微小物質検出方法は、各検知電極の周囲に磁性体を配置すると共に検知電極の背面に磁石を配置することにより、検知電極の中央部に形成された磁束密度の低い領域に反磁性粒子を接近させることが可能であるが、全ての反応空間に反磁性粒子を均一に収容する上で改善の余地があった。
そこで、プローブ分子が表面に固定された反磁性粒子を反応空間に均一に分布させて、微小物質の検出精度を高めることのできる微小物質検出方法が望まれている。
本発明に係る微小物質検出方法の特徴は、検出対象となる微小物質と反磁性粒子の表面に固定されたプローブ分子との反応によって発生する電気信号を検知する電極と当該電極の周囲に配置される磁性体とを有する検出部と、当該検出部の背面に配置される磁石とを備えた微小物質検出装置を用いた微小物質検出方法であって、常磁性体を含む第一溶液に前記反磁性粒子を加えた反磁性粒子含有溶液を前記検出部に添加する第一溶液添加工程と、前記第一溶液添加工程の後、前記第一溶液よりも前記常磁性体の濃度が高い第二溶液を前記検出部に添加する第二溶液添加工程と、前記微小物質を含む検体溶液を前記検出部に添加する微小物質添加工程と、前記電極から出力される電気信号に基づいて前記微小物質を検出する検出工程と、を備えた点にある。
上記微小物質検出装置のように、電極の周囲に磁性体を配置し、検出部の背面に磁石を配置すれば、磁石から発生する磁束は磁性体が配置される電極の周囲に流れ、電極の中央部に磁束密度の低い領域が形成される。本方法では、常磁性体を含む第一溶液に反磁性粒子を加えた反磁性粒子含有溶液を検出部に添加しているので、反磁性粒子は磁束密度の低い電極の中央部に向かって流動し、次第に電極に接近することとなり、磁束に囲まれた磁束密度の低い領域にトラップされた状態となる。
次いで、本方法のように第一溶液よりも常磁性体の濃度が高い第二溶液を添加すれば、溶液中を浮遊している反磁性粒子には、反磁性粒子の磁化率(マイナス)と常磁性体の磁化率(プラス)との差に基づく上向きの磁力と、反磁性粒子の密度と第二溶液の密度との差に基づく下向きの重力と、が作用する。第二溶液の常磁性体の濃度が高いことから上向きの磁力が大きくなると共に下向きの重力が小さくなり、溶液中を浮遊している反磁性粒子が電極から次第に離れていく。これにより、電極の中央部にトラップされている反磁性粒子と、溶液中に浮遊している反磁性粒子とが明確に区分される。これにより、検出工程において、磁性体に囲まれた電極の中央部に形成される反応空間に反磁性粒子を均一に分布させることが可能となり、微小物質の検出精度を高めることができる。
他の特徴は、前記第二溶液添加工程により浮上した前記反磁性粒子を除去する除去工程をさらに備え、前記除去工程の後に前記微小物質添加工程を実行する点にある。
本方法のように、電極から離れるように浮上した反磁性粒子を除去すれば、電極の中央部(反応空間)にトラップされた反磁性粒子のみとなる。そして、微小物質を含む検体溶液を添加すれば、検体溶液に含まれる微小物質は、反応空間にある反磁性粒子のプローブ分子と反応して、電気信号を確実に検出することができる。
他の特徴は、前記第一溶液と前記第二溶液とが混合されて濃度勾配がなくなった条件下で、前記磁石と前記反磁性粒子との距離が所定の距離にあるとき、前記磁石により前記反磁性粒子に作用する磁力と前記反磁性粒子に作用する重力との合計が重力方向とは反対方向の力となるように前記第一溶液と前記第二溶液との濃度を設定する点にある。
本方法のように第一溶液と第二溶液との濃度勾配がなくなった条件下で、磁石に対して所定の距離にある反磁性粒子に上向きの力を作用させれば、電極の中央部にトラップされる反磁性粒子と、溶液中に浮遊している反磁性粒子とを明確に区分することができる。その結果、プローブ分子が表面に固定された反磁性粒子を反応空間に均一に分布させることができる。
他の特徴は、前記第一溶液と前記第二溶液とが混合されて前記常磁性体の濃度勾配がなくなった混合溶液の濃度は、0.1mоl/L以上0.2mоl/L以下である点にある。
本方法のように混合溶液の濃度を所定値に設定すれば、第一溶液と第二溶液の濃度設定が容易である。この混合溶液の濃度を0.1mоl/L以上に設定すれば、浮遊している反磁性粒子に上向きの力を確実に作用させ、0.2mоl/L以下に設定すれば、電極の中央部にトラップされている反磁性粒子に下向きの力を確実に作用させることができる。
他の特徴は、前記第一溶液及び前記第二溶液は、フェリシアン化カリウムを含む溶液であり、前記磁石はハルバッハ配列磁石である点にある。
本方法のように、第一溶液及び第二溶液をフェリシアン化カリウム溶液とし、ハルバッハ配列磁石のように磁気勾配の大きい磁石を用いれば、電極の中央部にトラップされる反磁性粒子と、溶液中に浮遊している反磁性粒子とを明確に区分することができる。その結果、プローブ分子が表面に固定された反磁性粒子を反応空間に均一に分布させることができる。
微小物質検出装置の概略斜視図である。 微小物質検出装置のセンサセルの概略断面図である。 センサセルでの磁束の流れを示す概略説明図である。 微小物質検出方法を示す概念図である。 磁束密度と磁石からの水平方向距離との関係を示す説明図である。 異なる磁石による磁束密度を示す説明図である。 反磁性粒子に作用する磁力と重力との関係を示す説明図である。 混合溶液の濃度と反磁性粒子に作用する力との関係を示す説明図である。 本実施例における反磁性粒子の配列状態を示す拡大写真である。 比較例における反磁性粒子の配列状態を示す拡大写真である。
以下に、本発明に係る微小物質検出装置を用いた微小物質検出方法の実施形態について、図面に基づいて説明する。本実施形態では、プローブ分子21が固定された反磁性粒子22を用いた酸化還元電位検出型CMOSセンサアレイによって生体分子(微小物質の一例)を検出する一例を説明する。ただし、以下の実施形態に限定されることなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。なお、以下の説明において、重力方向を下、重力方向とは反対方向を上として説明する。
[微小物質検出装置]
図1には、本実施形態に係る微小物質検出装置Aの概略斜視図が示される。また、図2には、微小物質検出装置AのセンサセルCEの概略断面図が示される。図1に示すように、CMOS集積回路基板10には、制御信号線である複数本のワード線Wおよびビット線Bの各交点に配置された複数のセンサセルCEが、マトリックス状に配置されている。本実施形態のCMOS集積回路基板10は、64×64のセンサセルCEで構成されている。
CMOS集積回路基板10には、電源装置から夫々のセンサセルCEに送信されるパルス信号を制御する制御部11と、センサセルCEから出力される酸化還元電位を演算する演算部12とが接続されている。これら制御部11や演算部12は、各種処理を実行するCPUやメモリを中核としたハードウェア、ソフトウェア、又はハードウェアとソフトウェアとの協働により構成されている。
制御部11は、一定周波数のクロック信号を発生するクロック回路、クロック信号に同期して所定のパルス信号を発生させるパルス信号発生器、および夫々のワード線Wに選択的にパルス信号を出力するデコーダを有している。演算部12は、センサセルCEのビット線Bから出力されたデジタル信号のパルス幅に基づいて酸化還元電位を換算し、検体溶液Kに含まれる生体分子Sの量を演算する(図2も参照)。
図1〜図2に示すように、微小物質検出装置Aは、収容部2と、収容部2の底部に配置される検出部1と、検出部1の背面に配置される磁石3とを備えている。
収容部2は、生体分子Sを含む検体溶液Kとプローブ分子21が表面に固定された反磁性粒子22とを収容可能に構成されている。この収容部2は、検出部1を囲む側壁部23と蓋部材24とを備えており、これら検出部1、側壁部23および蓋部材24で区画される空間に検体溶液Kおよび反磁性粒子22が収容される。側壁部23や蓋部材24は、例えば、ポリジメチルシロキサン(PDMS)などが加硫されたシリコンゴムで構成されている。また、本実施形態の収容部2は、夫々のセンサセルCEを区画するように所定の間隔を保った隔壁25を有している。隔壁25は、エポキシ樹脂であるSU−8などのネガティブフォトレジストで構成されている。なお、隔壁25を省略しても良い。
蓋部材24には、反磁性粒子22を混合した検体溶液Kがシリンジ(不図示)などを用いて収容部2の収容空間に注液される注液口26と、測定後の検体溶液Kを排出させる排出口27とが設けられている。検出部1で生体分子Sの量を検出する直前に注液口26から反磁性粒子22を混合した検体溶液Kを注液し、検出部1で生体分子Sの量を検出する際は注液を停止する。そして、生体分子Sの検出が終了すると、検体溶液Kを排出口27から排出させ、生体分子Sが固定された反磁性粒子22を回収して再利用する。
生体分子Sは、糖、ウイルス、DNA、タンパク質などで構成されている。プローブ分子21は、酸化還元反応を触媒する分子であり、特定の生体分子Sと反応する酵素、ペプチド、抗体などで構成されている。検体溶液Kは、常磁性体を含む溶液で構成されており、常磁性体を含む溶液としてフェリシアン化カリウム、硫酸銅又は塩化マンガンを含む溶液、液体酸素等が挙げられる。また、検体溶液Kは、特定の生体分子Sとプローブ分子21との反応に応じて電子の移動等が行われる酸化還元物質を含む溶液で構成されている。なお、反磁性粒子22は、磁束密度の低い部分に吸着されるビーズであれば特に限定されず、例えばポリスチレン粒子で構成されている。
例えば、プローブ分子21としてHK(ヘキソキナーゼ)、G6PDH(グルコース6リン酸デヒドロゲナーゼ)、Diaphоrase(ディアフォラーゼ)の3種類の酵素を用い、酸化還元物質としてへキサシアノ鉄(III)酸イオンを含む検体溶液K(フェリシアン化カリウムをPBS(リン酸緩衝生理食塩水)に溶解させた溶液)に生体分子Sとしてのグルコースを混合させた場合、ヘキソキナーゼ法(HK法)の反応系によって、へキサシアノ鉄(III)酸イオンがへキサシアノ鉄(II)酸イオンに還元される。つまり、検体溶液Kに含まれる生体分子Sとプローブ分子21との反応によって、酸化物と還元物との濃度比を得ることができる。
検出部1は、生体分子Sとプローブ分子21との反応によって発生した電気信号を検出する。本実施形態では、上述した酵素反応による酸化物と還元物との濃度比を、ネルンストの式を用いて酸化還元電位として検出する。
図2〜図3に示すように、検出部1は、CMOS集積回路基板10と、CMOS集積回路基板10上に成膜された検知電極13(電極の一例)と、検知電極13の周囲に配置されて磁石3からの磁束が流れる磁性体14と、磁性体14を保護する保護膜15とを備えている。また、本実施形態における検出部1は、CMOS集積回路基板10と磁性体14との間に酸化膜16を備えている。
CMOS集積回路基板10は公知であるので詳細な説明は省略するが、NMOSFETおよびPMOSFETで構成され、制御部11によってパルス信号がセンサセルCEに加えられ、NMOSFETがオン状態となったときにデジタル信号が出力される。このセンサセルCEから出力されたデジタル信号のパルス幅に基づいて、検体溶液Kに含まれる生体分子Sの量を検出するものである。
CMOS集積回路基板10の配線17はアルミニウムで構成されており、イオン化傾向が大きいため検体溶液Kに露出させると腐食してしまう。そこで、本実施形態では、配線17に接続される検知電極13として、イオン化傾向の小さな金属(例えば、金や白金)を用いている。また、CMOS集積回路基板10の配線17や絶縁層と金で構成される検知電極13との密着性を確保するため、CMOS集積回路基板10と検知電極13との間にクロムなどの金属を介在させている。
ところで、酸化還元反応に起因する検体溶液Kと検知電極13との間でリーク電流が流れたり、チオール基を有する生体分子Sであれば検知電極13に化学吸着されて再利用できないおそれがある。そこで、本実施形態では、露出した検知電極13を保護する自己組織化単分子膜18として、11−FET(11−Ferrоcenyl−1−Undecanethiоl)などのフェロセン誘導体を検知電極13の表面に被覆(修飾)している。これによって、繰り返し検出部1を使用した場合でも、安定して酸化還元電位を検出することができる。
磁性体14は、鉄、コバルト、ニッケルやガドリニウムなどの強磁性体材料を含んでいる。また、CMOS集積回路基板10と磁性体14との間に配置される酸化膜16は、検知電極13と磁性体14とを絶縁する二酸化ケイ素などの絶縁膜で構成されている。本実施形態では、磁性体14と酸化膜16との間に密着性を促進させるためにチタンなどの密着促進材料19を配置している(図3参照)。詳細は後述するが、CMOS集積回路基板10の上に検知電極13を成膜してパターニング加工し、酸化膜16、密着促進材料19、磁性体14の順番で成膜した後にパターニング加工を施している。その結果、検知電極13の中央が露出されると共に、検知電極13の周囲が酸化膜16、密着促進材料19、磁性体14の順番で覆われることとなる。このとき、磁性体14の間隔Lは、反磁性粒子22の粒径D(例えば30μm)以下に設定されるのが好ましい(図3参照)。ここで、磁性体14の間隔Lとは、磁性体14の中央に孔部が形成されるようにパターニング加工した場合における該孔部の直径のことである。
保護膜15は、磁性体14のイオンが検体溶液Kに溶出しないように保護する樹脂などで構成されている。本実施形態では、保護膜15をポリイミド樹脂で構成しているが、酸化還元反応に悪影響を及ぼさない保護材料であれば特に限定されない。詳細は後述するが、磁性体14および検知電極13の上に保護膜15を成膜し、パターニング加工を施している。その結果、検知電極13の中央が露出されると共に、磁性体14の上面および内周側が保護膜15で覆われることとなる。これによって、保護膜15と検知電極13とで囲まれる領域に溝部20が形成されることとなる。この溝部20の深さは、反磁性粒子22の粒径D(例えば30μm程度)に比べて十分に小さい、例えば所定値(例えば5μm程度)に設定されている。なお、溝部20の深さは、反磁性粒子22と検知電極13との距離が、生体分子Sやプローブ分子21の種類に応じて予め定められた一定値となるように設定されるのが好ましい。
検出部1の背面に配置される磁石3は、外部に磁場を形成するものであれば特に限定されず、永久磁石、電磁石、超電導磁石などで構成されており、ハルバッハ配列磁石のように磁束密度の大きい磁石が好ましい。図3の一点鎖線で示すように、磁石3から発生する磁束は磁性体14が配置される検知電極13の周囲に流れ、収容部2に収容された検体溶液Kの中で、検知電極13の露出した部位に磁束密度の低い領域を形成するように磁束の流れが形成される。その結果、反磁性粒子22は、この磁束の流れに反発するように流動し、次第に検知電極13に接近することとなる。このように、磁石3で磁性ビーズを強制的に吸引するものではなく、磁束の流れに沿って次第に反磁性粒子22を反発移動させるので、検知電極13に対向する位置に反磁性粒子22を均一に移動させることができる。その結果、生体分子Sと反磁性粒子22に固定されたプローブ分子21とが適正に反応するので、検出部1によって電気信号を確実に検出することができる。
また、上述したように保護膜15と検知電極13とで囲まれる領域に溝部20を形成しているので、検知電極13の周囲にある磁性体14に磁束が集中し、溝部20には磁束密度が極めて低い空間が形成される。その結果、反磁性粒子22を検知電極13により接近させることが可能となるので、生体分子Sの検出精度を高めることができる。
しかも、磁性体14の間隔Lを反磁性粒子22の粒径D以下に設定すれば、複数の反磁性粒子22が凝集して検知電極13に接近することが防止される。その結果、反磁性粒子22を均一に分布させて生体分子Sの検出精度をより高めることができる。
[微小物質検出装置の製造方法]
図2に示すように、本実施形態における微小物質検出装置Aの製造方法は、CMOS集積回路基板10の上に検知電極13を成膜してパターニング加工する工程と、検知電極13の上に酸化膜16を成膜する工程と、酸化膜16の上に磁性体14を成膜する工程と、酸化膜16および磁性体14をパターニング加工する工程と、磁性体14および検知電極13の上に保護膜15を成膜してパターニング加工する工程と、を備えている。
CMOS集積回路基板10の上に検知電極13を成膜する工程は、スパッタリングや蒸着等によってクロム(例えば膜厚50nm),金(例えば膜厚350nm)の順に成膜する。次いで、検知電極13をパターニング加工する工程では、例えば感光性エポキシ樹脂などのレジストを塗布して光を照射するフォトリソグラフィ技術を用いて所定のパターンが形成し、不要な部分をイオンミリング法などによってエッチング処理する。
次に、検知電極13の上に酸化膜16を成膜する工程は、スパッタリングや蒸着等によって、酸化膜16としての二酸化ケイ素(例えば膜厚1μm)を金で構成される検知電極13の上に成膜する。同様に、酸化膜16の上に磁性体14を成膜する工程は、スパッタリングや蒸着等によって、密着促進材料19としてのチタン(例えば膜厚50nm),磁性体14としての鉄(例えば膜厚0.5μm)の順に二酸化ケイ素で構成される酸化膜16の上に成膜する。次いで、酸化膜16および磁性体14をパターニング加工する工程では、上述したフォトリソグラフィ技術を用いて、検知電極13の周囲を酸化膜16および磁性体14が覆うと共に検知電極13の中央が露出するようにパターンが形成され、不要な部分をイオンミリング法などによってエッチング処理する。
次に、磁性体14および検知電極13の上に保護膜15を成膜してパターニング加工する工程は、鉄で構成される磁性体14と金で構成される検知電極13との上にポリイミド樹脂(例えば膜厚3μm)を塗布して成膜し、不要な部分をイオンミリング法などによってエッチング処理する。その結果、保護膜15は、磁性体14の内周側を覆うと共に検知電極13の中央が露出することとなり、保護膜15と検知電極13とで囲まれる領域に溝部20が形成される。そして、この保護膜15の上に、例えばSU−8などのネガティブフォトレジストを塗布し、光を照射するフォトリソグラフィ技術を用いて隔壁25(例えば50μm)を形成する。その結果、プローブ分子21が表面に固定された反磁性粒子22が、隔壁25、保護膜15、および検知電極13で囲まれた収容部2に収容可能となる。そして、11−FETのフェロセン誘導体をエタノールに溶解させた溶液を検知電極13の上に滴下して固定化させた後に洗浄して、検知電極13の上に11−FETを修飾させる。
[微小物質検出方法]
図4に示すように、本実施形態に係る微小物質検出方法は、第一の検体溶液K(常磁性体を含む第一溶液の一例)に反磁性粒子22を加えた反磁性粒子含有溶液を検出部1に添加する第一溶液添加工程と、第一溶液添加工程の後、第一の検体溶液Kよりも常磁性体の濃度が高い第二の検体溶液K(常磁性体を含む第二溶液の一例)を検出部1に添加する第二溶液添加工程と、第二溶液添加工程により浮上した反磁性粒子22を第三の検体溶液Kを用いて除去する除去工程と、除去工程の後、生体分子Sを含む第四の検体溶液K(検体溶液の一例)を添加する微小物質添加工程と、検知電極13から出力される電気信号に基づいて生体分子Sを検出する検出工程と、を備えている。
まず、微小物質検出方法における検出原理を説明する。図5には、隔壁25の高さを30μmとし、保護膜15の高さを3μmとし、磁石3にハルバッハ配列磁石を用いた微小物質検出装置Aにおける磁束分布のシミュレーション結果が示される。同図は、磁性体14の間隔L=15μm,30μm,45μmとした3パターンにおいて、任意に選択した一対の磁性体14間の中心を原点としたときの水平方向距離X(μm)を横軸とし、磁束密度(T)を縦軸としている。同図に示すように、保護膜15の表面からの高さ方向の距離が、3μm(破線),18μm(一点鎖線),33μm(実線)と離れるほど、磁束密度の低い領域と高い領域との差がなくなることが理解される。また、検知電極13に近い領域(3μm(破線))において、図3の一点鎖線で示すように、磁石3から発生する磁束は磁性体14が配置される検知電極13の周囲に流れ、収容部2に収容された検体溶液Kの中で、検知電極13の露出した部位に磁束密度の低い領域を形成するように磁束の流れが形成されることが理解される。その結果、反磁性粒子22を検知電極13に接近させ、隔壁25間にトラップすることが可能となる。
図6には、磁石3に用いられるハルバッハ配列磁石とネオジム磁石との磁石表面からの距離(mm)と磁束密度(T)との関係を示している。同図から理解されるように、ハルバッハ配列磁石は、磁石表面から遠ざかるほど急峻に磁束密度が低下していることから磁気勾配が大きい。つまり、磁石3から遠ざかるほど反磁性粒子22に作用する磁場の力(磁力)が低下する。図7には、反磁性粒子22に作用する重力と磁力との関係(磁気アルキメデスの原理)が示されている。反磁性粒子22の体積磁化率Xはマイナスであり、常磁性体を含む検体溶液Kの体積磁化率Xはプラスであるので、反磁性粒子22には上向きの磁力が作用し、下向きの重力が作用する。つまり、ハルバッハ配列磁石の場合、磁石3から遠ざかるほど反磁性粒子22に作用する磁力が低下するので、磁力と重力とが均衡する磁石3と反磁性粒子22との距離が存在することとなる。その結果、検知電極13に接近して隔壁25間にトラップされた反磁性粒子22以外の浮遊している反磁性粒子22を所定の位置で滞留させることができる。
底面50mm四方×高さ20mmで構成されるハルバッハ配列磁石の上に透明容器を配置し、該透明容器に反磁性粒子22を含む濃度調整したフェリシアン化カリウム溶液を注入し、反磁性粒子22の挙動を観察した。フェリシアン化カリウム溶液の濃度を、0mol/L、0.02mol/L、0.04mol/L、0.08mol/L、0.12mol/L、0.16mol/Lの6種類に調製した。ハルバッハ配列磁石を配置しない場合は全ての濃度において反磁性粒子22がすぐに沈降し、ハルバッハ配列磁石を配置した場合でも、0mol/L、0.02mol/L、0.04mol/Lの低濃度のフェリシアン化カリウム溶液は反磁性粒子22がすぐに沈降した。一方、ハルバッハ配列磁石を配置した場合において、0.08mol/Lの中濃度のフェリシアン化カリウム溶液は、溶液中に反磁性粒子22が浮遊しており、0.12mol/L、0.16mol/Lの高濃度のフェリシアン化カリウム溶液は、反磁性粒子22が液面近くまで浮上した。これらにより、検体溶液Kの濃度を高めることにより、反磁性粒子22に作用する磁力が重力を上回り、反磁性粒子22が浮上することが理解できる。
図4に戻り、第一溶液添加工程では、図1〜図2に示す排出口27を閉じた微小物質検出装置Aの注液口26から第一の検体溶液Kに反磁性粒子22を混合した反磁性粒子含有溶液を注液することにより、収容部2の収容空間には、常磁性体を含む第一の検体溶液K(例えば、フェリシアン化カリウム溶液)と反磁性粒子22とが収容される。つまり、検出部1に第一の検体溶液Kに反磁性粒子22を加えた反磁性粒子含有溶液が添加され、磁石3及び磁性体14により検知電極13の露出した部位に磁束密度の低い領域が形成されるため、反磁性粒子22が検知電極13に接近し、隔壁25間にトラップされる。このとき、第一の検体溶液Kの濃度は、反磁性粒子22に作用する上向きの磁力よりも下向きの重力の方が大きくなるように、低く調整することが好ましい。具体的には、図8に示すように、第一の検体溶液Kの濃度を0.10mol/L未満とすることで、反磁性粒子22が検知電極13に向かって円滑に移動する。また、第一の検体溶液Kの濃度は、反磁性粒子22が検体溶液K中で移動できるように、下向きの重力が大きくなり過ぎない程度に低く調整することが好ましい。具体的には、図8に示すように、第一の検体溶液Kの濃度を0.01mol/L以上とすることで、反磁性粒子22が検体溶液K中で円滑に移動する。
第二溶液添加工程では、第一溶液添加工程の後、排出口27を閉じた微小物質検出装置Aの注液口26から第一の検体溶液Kよりも濃度が高い常磁性体を含む第二の検体溶液K(例えば、フェリシアン化カリウム溶液)を注液し、収容部2の収容空間には、常磁性体を含む第一の検体溶液K及び第二の検体溶液Kと反磁性粒子22とが収容される。つまり、検出部1には、第一の検体溶液K及び反磁性粒子22に加えて第二の検体溶液Kが添加され、添加直後には反磁性粒子22に作用する大きな上向きの磁力により、隔壁25間にトラップされていない反磁性粒子22が浮上する。このとき、第二の検体溶液Kの濃度は、隔壁25間にトラップされていない反磁性粒子22に作用する下向きの重力よりも上向きの磁力が大きくなるように、高く調整することが好ましい。具体的には、図8に示すように、第二の検体溶液Kの濃度を0.10mol/L以上とすることで、反磁性粒子22が円滑に浮上する。また、第二の検体溶液Kの濃度は、反磁性粒子22が検体溶液K中で浮遊できるように、上向きの磁力が大きくなり過ぎない程度に高く調整することが好ましい。具体的には、図8に示すように、第一の検体溶液Kの濃度を0.2mol/L以下とすることで、反磁性粒子22が検体溶液K中に円滑に浮遊する。
さらに、第一の検体溶液Kと第二の検体溶液Kとが混合されて常磁性体の濃度勾配がない状態となったとき、隔壁25間にトラップされている反磁性粒子22は検知電極13に接近した状態が維持され、隔壁25間にトラップされていない反磁性粒子22が浮遊する。このとき、第一の検体溶液Kと第二の検体溶液Kとが混合されて常磁性体の濃度勾配がなくなった混合溶液の濃度は、隔壁25間にトラップされている反磁性粒子22に作用する上向きの磁力よりも下向きの重力の方が大きくなり、隔壁25間にトラップされていない反磁性粒子22に作用する下向きの重力よりも上向きの磁力の方が大きくなるように調整することが好ましい。つまり、第一の検体溶液Kと第二の検体溶液Kとが混合されて常磁性体の濃度勾配がなくなった条件下で、磁石3と反磁性粒子22との距離が所定の距離(例えば、隔壁25の外部として磁石3の表面から50μm)にあるとき、磁石3により反磁性粒子22に作用する磁力と反磁性粒子22に作用する重力との合計が重力方向とは反対方向の力となるように第一の検体溶液Kと第二の検体溶液Kとの濃度を予め設定しておく。具体的には、図8に示すように、第一の検体溶液K及び第二の検体溶液Kの混合溶液の濃度を0.10mol/L以上0.2mol/L以下とすることで、隔壁25間にトラップされている反磁性粒子22が検知電極13の近傍に位置し、隔壁25間にトラップされていない反磁性粒子22が円滑に浮遊する。
除去工程では、第一の検体溶液K及び第二の検体溶液Kの混合溶液の濃度と同程度の第三の検体溶液K(例えば、フェリシアン化カリウム溶液)を、排出口27を開口した微小物質検出装置Aの注液口26から注液する。その結果、第二溶液添加工程により隔壁25間の外部に浮遊している反磁性粒子22が、排出口27から排出される。その結果、収容部2の収容空間には、隔壁25間にトラップされていない反磁性粒子22が除去され、隔壁25間にトラップされている反磁性粒子22が残存する。
微小物質添加工程では、微小物質検出装置Aの排出口27を閉じた状態で、生体分子Sを含む第四の検体溶液K(例えば、フェリシアン化カリウム溶液)を、注液口26から注液する。この第四の検体溶液Kの濃度は、特に限定されないが第三の検体溶液Kと同程度の濃度が好ましい。そして、検出工程では、生体分子Sと反磁性粒子22のプローブ分子21との反応によって発生した電気信号が検出部1から出力され、制御部11が、デジタル信号のパルス幅に基づいて酸化還元電位を換算し、検体溶液Kに含まれる生体分子Sの量を演算する。
上述した微小物質検出方法では、常磁性体を含む第一の検体溶液Kに反磁性粒子22を加えた反磁性粒子含有溶液を検出部1に添加しているので、反磁性粒子22には、常磁性体の磁化率と反磁性粒子22の磁化率との差に基づく上向きの磁力が磁石3から離れるほど小さくなり、該磁力に比べて反磁性粒子22の密度と第一の検体溶液Kの密度との差に基づく下向きの重力の方が大きくなるため、反磁性粒子22は検知電極13に近付いた状態となっている。換言すると、反磁性粒子22は磁束密度の低い検知電極13の中央部に向かって流動し、次第に検知電極13に接近することとなり、磁束に囲まれた磁束密度の低い領域にトラップされた状態となっている。
また、第一の検体溶液Kよりも常磁性体の濃度が高い第二の検体溶液Kを添加すれば、検知電極13の中央部にトラップされた反磁性粒子22以外の第一の検体溶液K内を浮遊している反磁性粒子22には、第二の検体溶液Kの常磁性体の濃度が高いことから上向きの磁力が大きくなると共に下向きの重力が小さくなり、電極から次第に離れていく。これにより、検知電極13の中央部にトラップされている反磁性粒子22と、溶液中に浮遊している反磁性粒子22とを明確に区分することができる。その結果、検出工程において、磁性体14に囲まれた検知電極13の中央部に形成される反応空間に反磁性粒子22を均一に分布させることが可能となり、生体分子S(微小物質)の検出精度を高めることができる。
さらに、除去工程において、検知電極13から離れるように浮上した反磁性粒子22を除去すれば、検知電極13の中央部(反応空間)にトラップされた反磁性粒子22のみとなる。そして、生体分子Sを含む第四の検体溶液Kを添加すれば、検体溶液Kに含まれる生体分子Sは、反応空間にある反磁性粒子22のプローブ分子21と反応して、電気信号を確実に検出することができる。
[実施例]
続いて、図9〜図10を用いて、上述した微小物質検出方法により、反磁性粒子22が均一に分布するか否かを検証する。
本実施例では、図2〜図3に示すように、ケイ素基板に二酸化ケイ素の酸化膜16を1μmの膜厚で成膜し、その酸化膜16の上に膜厚50nmのチタン(密着促進材料19)、膜厚0.5μmの鉄(磁性体14)の順でスパッタリングによって成膜した。そして、フォトリソグラフィ技術によって、密着促進材料19および磁性体14の層に間隔L=30μmの直径を有するホール部分が構築される所定のパターンを形成し、イオンミリング法によってエッチング処理した後にレジストを除去した。次いで、ポリイミド樹脂で構成される膜厚3μmの保護膜15を、磁性体14および酸化膜16の上に塗布し、平面視において、磁性体14が存在しないホール部分を形成した。次いで、保護膜15の上にSU−8を塗布し、フォトリソグラフィ技術を用いて高さ30μmの隔壁25を形成し、隔壁25間のホール径が50μmとなるようにイオンミリング法によってSU−8のエッチング処理を施して検出部1を作製した。そして、検出部1の背面にハルバッハ配列磁石(磁束密度1.15T)で構成される磁石3(底面50mm四方×高さ20mm)を配置して、本実施例に係る微小物質検出装置Aを用意した。なお、比較例として、隔壁25及び磁石3のない微小物質検出装置も用意した。
本実施例では、まず、濃度0.04mol/Lのフェリシアン化カリウムを5μLの純水に溶解させた検体溶液Kを10μL調製し、検出部1に滴下した。次いで、第一溶液添加工程として、蛍光ポリスチレン微粒子(平均粒子径25±2.5μm)の反磁性粒子22を含む濃度0.04mol/Lのフェリシアン化カリウム溶液(第一の検体溶液K)を30μL調製し、検出部1に滴下した。次いで、第二溶液添加工程として、濃度0.20mol/Lのフェリシアン化カリウム溶液(第二の検体溶液K)を20μL調製し、検出部1に滴下した。次いで、除去工程として、マイクロピペットを用いて濃度0.10mol/Lのフェリシアン化カリウム溶液(第三の検体溶液K)を流入させて、浮遊している蛍光ポリスチレン微粒子を除去した。本実施例において、除去工程まで終了したときの検出部1における拡大写真が図9に示される。本実施例では、ホール部分(隔壁25間において露出した検知電極13に対向する位置)に反磁性粒子22が均一に収容されていることが検証された。
一方、図10に示す比較例では、本実施例における第二溶液添加工程及び除去工程を省略しており、ほとんどの反磁性粒子22がホール部分に分布せずに、特定の領域に凝集し、一部積層していた。これらから、本実施形態における微小物質検出方法は、第一溶液添加工程及び第二溶液添加工程を含むことにより、ホール部分に反磁性粒子22が均一に分布させることができる点が検証された。
[その他の実施形態]
(1)上述した実施形態では、第一溶液添加工程,第二溶液添加工程及び除去工程の後に、生体分子Sを含む第四の検体溶液Kを添加したが、第一溶液添加工程又は第二溶液添加工程と同時に生体分子Sを添加しても良く、生体分子Sを添加するタイミングは特に限定されない。また、除去工程を省略しても良い。
(2)上述した実施形態における第一の検体溶液Kから第四の検体溶液Kは、同一の種類の検体溶液Kであっても良いし、異なる種類の検体溶液Kであっても良い。
(3)上述した実施形態における微小物質検出方法で検出される微小物質として生体分子Sを例示したが、該微小物質検出方法は、細菌ウイルスや汚染化学物質等の微小物質の検出に用いることができる。
(4)上述した実施形態では、検知電極13の中央を露出させたが、検知電極13の中央から端部に向かって偏倚した表面の一部を露出させても良い。また、保護膜15と検知電極13とで囲まれる領域に溝部20を形成せずに、保護膜15で覆っても良い。
(5)上述した実施形態では、酵素反応による酸化物と還元物との濃度比を酸化還元電位として検出したが、例えば、検知電極13の上にイオン感応膜を修飾させ、界面電荷量の変化を電位変化として検出しても良い。この場合、生体分子Sとイオン感応膜との反応による検体溶液KのpH変化量を界面電荷量の変化として検出する。また、検知電極13に生体分子Sを直接付着させて電荷を検出しても良い。これらの場合でも、本実施形態のように、検知電極13の周囲に磁石3からの磁束が流れる磁性体14を配置し、生体分子Sを補足する抗体などが表面に固定された反磁性粒子22を用いれば、検知電極13に対向する位置に反磁性粒子22が均一に移動するので、生体分子Sの検出精度を高めることができる。
(6)センサセルCEは整列させずに不規則に配置しても良いし、センサセルCEを64×64ではなく、128×128で配列するなど、検出対象に応じて形状、配置を変更しても良い。
本発明は、生体分子等の微小物質を検出する微小物質検出方法に利用可能である。
1 検出部
3 磁石
13 検知電極(電極)
14 磁性体
21 プローブ分子
22 反磁性粒子
A 微小物質検出装置
K 検体溶液(第一溶液、第二溶液)
S 生体分子(微小物質)

Claims (5)

  1. 検出対象となる微小物質と反磁性粒子の表面に固定されたプローブ分子との反応によって発生する電気信号を検知する電極と当該電極の周囲に配置される磁性体とを有する検出部と、当該検出部の背面に配置される磁石とを備えた微小物質検出装置を用いた微小物質検出方法であって、
    常磁性体を含む第一溶液に前記反磁性粒子を加えた反磁性粒子含有溶液を前記検出部に添加する第一溶液添加工程と、
    前記第一溶液添加工程の後、前記第一溶液よりも前記常磁性体の濃度が高い第二溶液を前記検出部に添加する第二溶液添加工程と、
    前記微小物質を含む検体溶液を前記検出部に添加する微小物質添加工程と、
    前記電極から出力される電気信号に基づいて前記微小物質を検出する検出工程と、を備えた微小物質検出方法。
  2. 前記第二溶液添加工程により浮上した前記反磁性粒子を除去する除去工程をさらに備え、
    前記除去工程の後に前記微小物質添加工程を実行する請求項1に記載の微小物質検出方法。
  3. 前記第一溶液と前記第二溶液とが混合されて前記常磁性体の濃度勾配がなくなった条件下で、前記磁石と前記反磁性粒子との距離が所定の距離にあるとき、前記磁石により前記反磁性粒子に作用する磁力と前記反磁性粒子に作用する重力との合計が重力方向とは反対方向の力となるように前記第一溶液と前記第二溶液との濃度を設定する請求項1又は2に記載の微小物質検出方法。
  4. 前記第一溶液と前記第二溶液とが混合されて濃度勾配がなくなった混合溶液の濃度は、0.1mоl/L以上0.2mоl/L以下である請求項3に記載の微小物質検出方法。
  5. 前記第一溶液及び前記第二溶液は、フェリシアン化カリウムを含む溶液であり、前記磁石はハルバッハ配列磁石である請求項1〜4の何れか一項に記載の微小物質検出方法。
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