以下、図面を参照して、実施形態に係る超音波診断装置、画像処理装置及び画像処理プログラムを説明する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る超音波診断装置1の構成例を示すブロック図である。図1に示すように、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、装置本体100と、超音波プローブ101と、入力装置102と、ディスプレイ103とを備える。超音波プローブ101、入力装置102、及びディスプレイ103は、それぞれ装置本体100に接続される。
超音波プローブ101は、複数の振動素子(圧電振動子)を有する。超音波プローブ101は、被検体Pの体表面に接触され、超音波の送受信(超音波走査)を行う。複数の振動素子は、後述する装置本体100が有する送信回路110から供給される駆動信号に基づいて、超音波を発生させる。発生した超音波は、被検体P内の音響インピーダンスの不整合面で反射され、組織内の散乱体によって散乱された成分等を含む反射波信号(受信エコー)として複数の振動素子にて受信される。超音波プローブ101は、複数の振動素子にて受信した反射波信号を、送信回路110へ送る。
なお、本実施形態では、超音波プローブ101が、マトリクス状(格子状)に配列された複数の振動素子を有する2次元超音波プローブ(「2Dアレイプローブ」とも表記する)である場合を説明するが、これに限定されるものではない。例えば、超音波プローブ101は、所定方向に1次元で配列された複数の振動素子を有する1次元超音波プローブ(「1Dアレイプローブ」とも表記する)であってもよい。
入力装置102は、マウス、キーボード、ボタン、パネルスイッチ、タッチコマンドスクリーン、フットスイッチ、トラックボール、ジョイスティック等を有し、超音波診断装置1の操作者からの各種設定要求を受け付け、装置本体100に対して受け付けた各種設定要求を転送する。
また、例えば、入力装置102は、出力対象の画像を拡大又は縮小して表示するための要求を受け付ける。言い換えると、入力装置102は、ズーム率を調整する指示を受け付ける。また、例えば、入力装置102は、深度を変更するための要求を受け付ける。言い換えると、入力装置102は、深度を変更する指示を受け付ける。
ディスプレイ103は、超音波診断装置1の操作者が入力装置102を用いて各種設定要求を入力するためのGUI(Graphical User Interface)を表示したり、装置本体100において生成された超音波画像データ等を表示したりする。例えば、ディスプレイ103は、液晶ディスプレイやCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ等によって構成される。また、ディスプレイ103のことをモニタと適宜称する。なお、ディスプレイ103は、出力部の一例である。
装置本体100は、超音波プローブ101が受信した反射波信号に基づいて、超音波画像データを生成する装置である。図1に示すように、装置本体100は、例えば、送信回路110と、受信回路120と、Bモード処理回路130と、ドプラ処理回路140と、画像生成回路150と、画像メモリ160と、記憶回路170と、処理回路180とを有する。送信回路110、受信回路120、Bモード処理回路130と、ドプラ処理回路140、画像生成回路150、画像メモリ160、記憶回路170、及び処理回路180は、互いに通信可能に接続される。
送信回路110は、パルサ回路等を有する。パルサ回路は、所定のレート周波数(PRF:Pulse Repetition Frequency)で、送信超音波を形成するためのレートパルスを繰り返し発生し、発生したレートパルスを超音波プローブ101に出力する。
また、送信回路110は、処理回路180による制御を受けて、パルサ回路が出力する駆動信号の振幅の値を出力する。また、送信回路110は、処理回路180による制御を受けて、超音波プローブ101に、超音波プローブ101から送信される超音波に対する遅延量を送信する。
受信回路120は、A/D変換器及び受信ビームフォーマを有する。受信回路120は、超音波プローブ101から出力された反射波信号を受信すると、まず、A/D変換器が、反射波信号をデジタルデータに変換し、受信ビームフォーマが、これらの各チャンネルからのデジタルデータに対し整相加算処理を行って反射波データを生成し、生成した反射波データをBモード処理回路130及びドプラ処理回路140に送信する。
Bモード処理回路130は、受信回路120から出力された反射波データを受信し、受信した反射波データに対して対数増幅、包絡線検波処理等を行って、信号強度が輝度の明るさで表現されるデータ(Bモードデータ)を生成する。
ドプラ処理回路140は、受信回路120から出力された反射波データを受信し、受信した反射波データから速度情報を周波数解析し、ドプラ効果による血流や組織、造影剤エコー成分を抽出し、平均速度、分散、パワー等の移動体情報を多点について抽出したデータ(ドプラデータ)を生成する。
画像生成回路150は、Bモード処理回路130及びドプラ処理回路140が生成したデータから超音波画像データを生成する。画像生成回路150は、Bモード処理回路130が生成したBモードデータから反射波の強度を輝度で表したBモード画像データを生成する。また、画像生成回路150は、ドプラ処理回路140が生成したドプラデータから移動体情報を表すドプラ画像データを生成する。ドプラ画像データは、速度画像データ、分散画像データ、パワー画像データ、又は、これらを組み合わせた画像データである。
ここで、画像生成回路150は、一般的には、超音波走査の走査線信号列を、テレビ等に代表されるビデオフォーマットの走査線信号列に変換(スキャンコンバート)し、表示用の超音波画像データを生成する。具体的には、画像生成回路150は、超音波プローブ101による超音波の走査形態に応じて座標変換を行うことで、表示用の超音波画像データを生成する。また、画像生成回路150は、スキャンコンバート以外に、種々の画像処理として、例えば、スキャンコンバート後の複数の画像フレームを用いて、輝度の平均値画像を再生成する画像処理(平滑化処理)や、画像内で微分フィルタを用いる画像処理(エッジ強調処理)等を行う。また、画像生成回路150は、超音波画像データに、種々のパラメータの文字情報、目盛り、ボディーマーク等を合成する。
画像メモリ160は、画像生成回路150が生成した画像データ(Bモード画像データ、ドプラ画像データ等)を記憶するメモリである。また、画像メモリ160は、Bモード処理回路130及びドプラ処理回路140が生成したデータを記憶することも可能である。画像メモリ160が記憶するBモードデータ及びドプラデータは、例えば、操作者が呼び出すことが可能となっており、画像生成回路150を経由して表示用の超音波画像データとなる。
記憶回路170は、超音波送受信、画像処理及び表示処理などを行うための制御プログラムや、診断情報(例えば、患者ID、医師の所見等)や、診断プロトコルや各種ボディーマーク等の各種データを記憶する。また、記憶回路170は、必要に応じて、画像メモリ160が記憶する画像データの保管等にも使用される。また、記憶回路170が記憶するデータは、図示しない通信インターフェースを介して、外部装置へ転送することができる。
また、図1に示すように、記憶回路170は、対応情報DB(Data Base)171と、トリガー種別DB172とを備える。対応情報DB171は、出力部の種別と出力サイズとを対応付けた対応情報を記憶する。トリガー種別DB172は、トリガーとなる操作の種別を記憶する。
図2は、第1の実施形態に係る対応情報DB171が記憶する情報の一例を示す図である。図2では、出力部がディスプレイ103等のディスプレイ(モニタ)である場合について説明する。図2に示すように、対応情報DB171は、「モニタID」と「ピクセルサイズ」とを対応付けた対応情報を記憶する。ここで、対応情報DB171が記憶する「モニタID」は、ディスプレイの種別を一意に識別する情報を示す。例えば、「モニタID」には、「0001」、「0002」等の情報が格納される。
また、対応情報DB171が記憶する「ピクセルサイズ」は、対応するディスプレイの1ピクセル当たりのサイズを示す。言い換えると、対応情報DB171が記憶する「ピクセルサイズ」は、対応するディスプレイの出力サイズを示す。例えば、「ピクセルサイズ」には、「0.01cm」、「0.005cm」等の情報が格納される。
一例をあげると、図2に示す対応情報DB171は、「モニタID」が「0001」であるディスプレイの1ピクセル当たりのサイズが「0.01cm」であり、「モニタID」が「0002」であるディスプレイの1ピクセル当たりのサイズが「0.01cm」であることを示す。
なお、対応情報DB171に記憶されている場合について説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、操作者からピクセルサイズに関する情報の入力を受け付けてもよい。或いは、出力部と接続された際に、この出力部からピクセルサイズに関する情報を取得してもよい。
図3は、第1の実施形態に係るトリガー種別DB172が記憶する情報の一例を示す図である。図3に示すように、トリガー種別DB172は、「種別ID」と「操作」とを対応付けた情報を記憶する。ここで、トリガー種別DB172が記憶する「種別ID」は、トリガーの種別を一意に識別する情報を示す。例えば、「種別ID」には、「T1」、「T2」等の情報が格納される。
また、トリガー種別DB172が記憶する「操作」は、トリガーとなる操作の種別を示す。例えば、「操作」には、「穿刺用アプリケーションの選択」や「穿刺用プローブの接続」等の情報が格納される。
一例をあげると、図3に示すトリガー種別DB172は、「種別ID」が「T1」であるトリガーは、穿刺用アプリケーションを選択する操作であり、「種別ID」が「T2」であるトリガーは、穿刺用プローブを接続する操作であることを示す。
処理回路180は、超音波診断装置1の処理全体を制御する。具体的には、処理回路180は、入力装置102を介して操作者から入力された各種設定要求や、記憶回路170から読み込んだ各種制御プログラムおよび各種データに基づき、送信回路110、受信回路120、Bモード処理回路130、ドプラ処理回路140、画像生成回路150等の処理を制御する。また、処理回路180は、画像メモリ160が記憶する超音波画像データをディスプレイ103に表示させる。
また、図1に示すように、処理回路180は、制御機能181を備える。制御機能181は、トリガーの入力を受け付けた場合に、出力対象の画像を出力部に実寸で出力させる。なお、制御機能181の処理については、後述する。
なお、装置本体100に内蔵される送信回路110、受信回路120、Bモード処理回路130、ドプラ処理回路140、画像生成回路150、及び処理回路180は、プロセッサ(CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro-Processing Unit)、集積回路等)のハードウェアにより構成される。
また、各プロセッサが実行する各処理機能は、例えば、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路170に記録されている。つまり、各プロセッサは、各プログラムを記憶回路170から読み出し、実行することで各プログラムに対応する機能を実現する。例えば、図1に示した制御機能181は、処理回路180が制御機能181に対応するプログラムを記憶回路170から読み出し実行することで、実現される機能である。換言すると、制御機能181に対応するプログラムを読み出した状態の処理回路180は、図1の処理回路180内に示された制御機能181を有することとなる。
なお、図1においては、単一の処理回路180にて、制御機能181にて行われる処理機能が実現されるものとして説明するが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより制御機能181を実現するものとしても構わない。
このように構成される超音波診断装置1は、超音波走査によりリアルタイムに生成する超音波画像や過去の超音波走査により生成した超音波画像を表示する。ここで、超音波診断装置1は、超音波画像を表示する場合、例えば、モニタの解像度と画像の拡大率(ズーム率)とに応じたサイズの超音波画像を表示する方法が考えられる。
しかしながら、この方法では、モニタに表示される画像のサイズと、実際の対象物のサイズとが異なる場合がある。このようにサイズ感が異なるため、モニタを参照しながら手技を行う場合に、術者は違和感を覚える可能性がある。例えば、術者が超音波画像を参照しながら穿刺を行う場合、超音波画像での距離感と実際の生体内での距離とが異なる。このため、モニタの解像度と画像の拡大率とに応じたサイズの超音波画像を表示する方法では、術者による手技を充分に支援することができない可能性がある。
また、表示サイズがズーム率などの複数のパラメータにより決定されているため、操作者は、実寸での画像表示を行う際には複数の操作を行う必要があった。更に、操作者は、実寸であることを確認する際には定規などのスケールで画面上の長さを測りながら行う必要があった。すなわち、実寸での画像表示を行うには、操作者にとって煩雑な操作が必要であった。
そこで、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、トリガーの入力を受け付けた場合に、出力対象の画像を出力部に実寸で出力させる画像処理を実行することで、術者等を支援する。例えば、超音波診断装置1は、ディスプレイ103に表示する画像を実寸で表示する。このような画像処理は、処理回路180が制御機能181を実行することによって実現される。
例えば、第1の実施形態に係る制御機能181は、トリガーとなる種別の操作の入力を受け付けた場合に、出力対象の画像を出力部に実寸で出力させる。より具体的には、第1の実施形態に係る制御機能181は、超音波走査時のモード切り替え指示をトリガーとし、出力対象の画像をディスプレイ103に実寸で表示させる。
図4は、第1の実施形態に係る制御機能181による画像処理の手順を示すフローチャートであり、図5から図8は、第1の実施形態を説明するための図である。図4では、制御機能181の動作を説明するフローチャートを示す。ステップS1からステップS6は、制御機能181により実現されるステップである。ステップS1では、制御機能181は、トリガーの入力を受け付けたか否かを判定する。ここで、制御機能181は、図3で説明した、トリガーとなる操作の種別を記憶するトリガー種別DB172を参照して、トリガーとなる種別の操作を受け付けたか否かを判定する。
より具体的には、制御機能181は、超音波走査時のモード切り替え指示として、穿刺針を装着可能な超音波プローブの接続をトリガーとする。或いは、制御機能181は、超音波走査時のモード切り替え指示として、穿刺用アプリケーションの選択をトリガーとする。
或いは、制御機能181は、超音波走査時のモード切り替え指示として、計測用アプリケーションの選択をトリガーとする。例えば、制御機能181は、IMT(Intima-Media Thickness)計測等の計測を行うようなアプリケーションの選択をトリガーとする。また、例えば、制御機能181は、産科や心臓等の計測を伴う可能性がある検査部位のアプリケーションの選択をトリガーとする。
このように、第1の実施形態に係る制御機能181は、超音波走査時のモード切り替え指示を受け付けた場合に、トリガーの入力を受け付けたと判定する。そして、制御機能181は、トリガーの入力を受け付けた場合に、以下で説明するように、超音波走査により生成される音波画像を実寸でディスプレイ103に表示させる画像処理を実行する。
制御機能181は、トリガーの入力を受け付けたと判定しなかった場合(ステップS1、No)、ステップS1の判定処理を繰り返す。一方、制御機能181は、トリガーの入力を受け付けたと判定した場合(ステップS1、Yes)、超音波走査によりリアルタイムに生成された超音波画像を取得する(ステップS2)。
例えば、制御機能181は、図5に示すような、リアルタイムで生成される超音波画像を取得する。図5では、肝臓を描出した超音波画像を図示している。なお、超音波診断装置1では、画像の拡大率に応じた1ピクセル当たりの生体のサイズをデータとして保持している。ここでは、拡大率が等倍であり、1ピクセル当たりの生体のサイズ(生体長換算値)が0.008cmであるものとして説明する。なお、生体長換算値は(距離(x)=速さ(v)×時間(t))において、vとtとを以下の通り算出することで、超音波プローブからの距離(x)が求められる。ここで、vは、生体内の超音波速度を1500(m/s)と仮定し、tは、(超音波の送信から受信までの時間)/2とする。図5に示す例では、超音波画像において出力対象として描出された肝臓の実際の大きさが15cmである場合について説明する。かかる場合、15cmの肝臓の画像は、1875(15cm÷0.008cm/ピクセル)ピクセルでディスプレイ103に表示される。
図4に戻る。ステップS3では、制御機能181は、ディスプレイ種別に応じたピクセルサイズを取得する。例えば、制御機能181は、図2に示す対応情報を記憶回路170の対応情報DB171から取得し、ディスプレイ103のピクセルサイズを取得する。ここで、例えば、取得したピクセルサイズが0.01cmであるものとする。
ステップS4では、制御機能181は、取得したピクセルサイズと、生体長換算値とから実寸表示時のピクセル数を算出する。言い換えると、制御機能181は、トリガーに応じて、出力部の出力サイズから出力対象の画像を実寸で出力する際のピクセル数を算出する。言い換えると、制御機能181は、ディスプレイ103の表示領域に表示可能な画像の範囲を決定する。
ここで、例えば、制御機能181は、取得したピクセルサイズが0.01cmであり、画像において出力対象として描出された肝臓の大きさが15cmであることから、画像を実寸表示するためのピクセル数が、1500(15cm÷0.01cm/ピクセル)ピクセルであると算出する。すなわち、制御機能181は、対応情報を参照して、出力対象の画像を出力部に実寸で出力する際のピクセル数を算出する。
ステップS5では、制御機能181は、算出したピクセル数で取得した超音波画像をディスプレイ103に表示させる。例えば、制御機能181は、図6に示すように、超音波画像を実寸でディスプレイ103に表示させる。このように、制御機能181は、出力対象の画像を算出したピクセル数で出力部に出力させる。
なお、制御機能181は、実寸表示している場合には、実寸表示していることを示す情報を更に表示してもよい。例えば、図7に示すように、制御機能181は、ディスプレイ103の画面左端上部に「実寸表示中」と更に表示させる。すなわち、制御機能181は、出力対象の画像を出力部に実寸で出力中であることを示す情報を更に出力する。
図4に戻る。ステップS6では、制御機能181は、実寸表示の解除を受け付けたか否かを判定する。ここで、トリガーの解除となる操作について説明する。例えば、制御機能181は、ズーム率を調整する指示の選択を受け付けた場合、或いは、深度の変更を受け付けた場合に、トリガーの解除となる操作を受け付けたと判定し、実寸表示を終了する。
ここで言うズーム率を調整する指示とは、画像を拡大又は縮小して表示する指示である。すなわち、実寸表示されている画像の一部を詳細に把握するために拡大して表示したり、実寸表示されている画像の全体像を把握するために縮小して表示したりする指示である。このため、制御機能181は、実寸表示中にズーム率を調整する指示の選択を受け付けた場合には、実寸表示を終了する。
また、ここで言う深度の変更とは、超音波の送受信方向における画像化領域を変更することである。言い換えると、超音波プローブ101に対する深さ方向において、より浅い位置まで画像化するように変更したり、より深い位置まで画像化するように変更したりすることを示す。例えば、図8の左図では、深度が10cmまで画像化する場合を示し、図8の右図では、深度が24cmまで画像化する場合を示す。
浅い位置まで画像化する一例として、図8の右図に示す状態から図8の左図に示す状態に変更した場合、図8の左図に示す超音波画像は、図8の右図に示す破線部分までしか画像化されていない。一方、深い位置まで画像化する一例として、図8の左図に示す状態から図8の右図に示す状態に変更した場合、図8の右図に示す超音波画像は、図8の左図に示す画像化領域を含んだより広い範囲まで画像化される。すなわち、深度の変更によって、超音波の送受信位置を起点とする深さ方向に対して、超音波画像を拡大したり縮小したりする。このため、例えば、実寸表示していても、深度を変更することによって、トリガーの解除となる操作を受け付けたと判定し、実寸表示を終了する。
図4に戻る。制御機能181は、実寸表示の解除を受け付けたと判定しなかった場合(ステップS6、No)、ステップS2に移行して、超音波走査によりリアルタイムに生成された超音波画像を表示する。この結果、超音波走査により新たに生成される超音波画像が実寸表示されることになる。一方、制御機能181は、実寸表示の解除を受け付けたと判定した場合(ステップS6、Yes)、処理を終了する。すなわち、制御機能181は、出力対象の画像を出力部に実寸で出力中にズーム率を調整する指示の選択や深度を変更する指示の選択を受け付けた場合、実寸からズーム率や変更後の深度に応じた寸法に変更して、出力対象の画像を出力部に出力させる。
このように、第1の実施形態に係る超音波診断装置1では、制御機能181は、リアルタイムの超音波走査時におけるモード切り替え指示をトリガーとし、トリガーの入力を受け付けた場合に、出力対象の画像を出力部に実寸で出力させる。
例えば、制御機能181は、穿刺針を装着可能な超音波プローブの接続をトリガーとし、超音波走査により生成される超音波画像を実寸でディスプレイ103に表示させる。或いは、制御機能181は、穿刺用アプリケーションの選択をトリガーとし、超音波走査により生成される超音波画像を実寸でディスプレイ103に表示させる。或いは、制御機能181は、計測用アプリケーションの選択をトリガーとし、超音波走査により生成される超音波画像を実寸でディスプレイ103に表示させる。これにより、ディスプレイ103に表示される画像のサイズと実際の対象物のサイズとが一致する。
ここで、例えば、従来の技術では、表示サイズが深度やズーム率などの複数のパラメータにより決定されているため、実寸での画像表示を行う際には複数の操作を行う必要があった。また、実寸であることを確認する際には定規などのスケールで画面上の長さを測りながら行う必要があり、非常に面倒であるという問題があった。一方、第1の実施形態では、実寸での画像表示を行う際に複数の操作を行わなくても、トリガーの入力を契機として、対象物の画像がディスプレイ103に実寸表示される。これにより、第1の実施形態によれば、操作性を向上させることができる。更に、操作者は、モニタを参照しながら手技を行う場合に、ディスプレイ103に表示される画像のサイズと実際の対象物のサイズとが一致するので、違和感を覚えることなく手技を行うことができる。
なお、制御機能181は、超音波走査時のモード切り替え指示として、出力対象の画像を拡大又は縮小して表示する指示の受け付けをトリガーとしてもよい。言い換えると、制御機能181は、ズーム率を調整する指示の受け付けをトリガーとしてもよい。例えば、制御機能181は、入力装置102が有するズーム率を調整する指示を受け付けるボタンの押下をトリガーとする。すなわち、通常ではズーム率を調整する指示の受け付けに用いられるボタンが、出力対象の画像を出力部に実寸で出力させる画像処理のトリガーとして用いられる。そして、制御機能181は、超音波走査により生成される超音波画像を実寸でディスプレイ103に表示させる。なお、制御機能181は、ズーム率を調整する指示の受け付けをトリガーとして超音波画像を実寸表示している場合に、再度ズーム率を調整する指示を受け付けた場合には、トリガーの解除となる操作を受け付けたと判定し、実寸表示を終了する。
また、制御機能181は、入力装置102が有するズーム率を調整する指示を受け付けるボタンの押下を受け付けて、画像を拡大又は縮小させている最中に画像が実寸域になった場合に、出力対象の画像を実寸で表示中であることを示す情報を更に出力してもよい。そして、制御機能181は、出力対象の画像を実寸で表示中に、更にズーム率を調整する指示を受け付けた場合に、トリガーの解除となる操作を受け付けたと判定し、実寸表示を終了する。
また、制御機能181は、入力装置102が実寸表示の指示を受け付けるボタンを有する場合には、この実寸表示の指示を受け付けるボタンの押下をトリガーとし、超音波画像をディスプレイ103に実寸表示してもよい。
(第1の実施形態の第1の変形例)
ところで、上述した第1の実施形態では、制御機能181は、術者が超音波画像を参照しながら穿刺を行う場合等、リアルタイムの超音波走査時におけるモード切り替え指示をトリガーとした。以下では、リアルタイムの超音波走査時におけるモード切り替え指示の別例として、超音波走査時に操作者によって参照される参照画像を表示する指示をトリガーとする場合について説明する。
超音波検査は、術者の経験を要する手技である。例えば、熟練した術者であれば、所望の検査部位に超音波プローブ101を当接してスキャンするまで時間を要さないが、経験の浅い術者にとっては、所望の検査部位に超音波プローブ101を正しく当接できているかを確認することが困難な場合がある。
このため、所望の角度でスキャンできているかを確認するために、検査対象とする組織についてお手本となる画像を教材画像として参照しながら、超音波走査を行うように術者を支援する場合がある。そこで、第1の実施形態の第1の変形例では、このような教材画像を参照しながら超音波走査を行う際に、教材画像とリアルタイムに生成される超音波画像とを実寸表示する場合について説明する。
第1の実施形態の第1の変形例に係る制御機能181は、超音波走査時に操作者によって参照される参照画像を表示する指示をトリガーとし、参照画像と超音波走査により生成される超音波画像とを実寸でディスプレイ103に表示させる。例えば、第1の実施形態の第1の変形例に係る制御機能181は、教材画像を参照画像として表示する指示をトリガーとする。
図9は、第1の実施形態の第1の変形例に係る制御機能181による画像処理の手順を示すフローチャートであり、図10は、第1の実施形態の第1の変形例を説明するための図である。図9では、制御機能181の動作を説明するフローチャートを示す。ステップS11からステップS17は、制御機能181により実現されるステップである。ステップS11では、制御機能181は、トリガーの入力を受け付けたか否かを判定する。ここで、制御機能181は、図3で説明した、トリガーとなる操作の種別を記憶するトリガー種別DB172を参照して、トリガーとなる種別の操作を受け付けたか否かを判定する。
より具体的には、制御機能181は、教材画像を取得する操作をトリガーとする。なお、かかる場合、トリガー種別DB172には、トリガーとなる操作として、教材画像の取得が記憶されているものとする。
制御機能181は、トリガーの入力を受け付けたと判定しなかった場合(ステップS11、No)、ステップS11の判定処理を繰り返す。一方、制御機能181は、トリガーの入力を受け付けたと判定した場合(ステップS11、Yes)、教材画像を取得する(ステップS12)。例えば、制御機能181は、画像メモリ160から教材画像を取得する。なお、教材画像には生体長換算が例えば付帯情報として記憶されている。
ステップS13では、制御機能181は、図4に示すステップS2と同様にして、超音波走査によりリアルタイムに生成された超音波画像を取得する。ステップS14では、制御機能181は、図4に示すステップS3と同様にして、ディスプレイ種別に応じたピクセルサイズを取得する。ステップS15では、制御機能181は、図4に示すステップS4と同様にして、取得したピクセルサイズと、生体長換算値とから実寸表示時のピクセル数を算出する。
ステップS16では、制御機能181は、算出したピクセル数で取得した教材画像と超音波画像とをディスプレイ103に表示させる。図10の左側の画像は教材画像を示し、図10の右側の画像はリアルタイムに生成される超音波画像を示す。例えば、操作者は、図10の左側の教材画像と、図10の右側のリアルタイムに生成される超音波画像とが実寸表示されるので、教材画像と超音波画像とを見比べることで、所望の角度でスキャンできているかを確認することが可能になる。
図9に戻る。ステップS17では、制御機能181は、図4に示すステップS6と同様にして、実寸表示の解除を受け付けたか否かを判定する。制御機能181は、実寸表示の解除を受け付けたと判定しなかった場合(ステップS17、No)、ステップS13に移行して、超音波走査によりリアルタイムに生成された超音波画像を表示する。この結果、超音波走査により新たに生成される超音波画像が実寸表示されることになる。一方、制御機能181は、実寸表示の解除を受け付けたと判定した場合(ステップS17、Yes)、処理を終了する。
上述したように、第1の実施形態の第1の変形例では、例えば、ズーム率の調整などの複数の操作を行わなくても、教材画像と、リアルタイムに生成される超音波画像とが実寸表示される。これにより、操作者は、煩雑な操作を行うことなく、実寸で表示された教材画像とリアルタイムに生成される超音波画像とを観察することが可能になる。この結果、操作者は、教材画像と超音波画像とを見比べることで、所望の角度でスキャンできているかを確認することが可能になる。
なお、上述した第1の実施形態の第1の変形例では、教材画像を取得する操作をトリガーとする場合について説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、上述した第1の実施形態の第1の変形例は、複数の教材画像を用いて各教材画像に対応する断面の超音波走査を所定の順序で行う場合にも適用可能である。かかる場合、スキャンプロトコルの選択をトリガーとしてもよい。より具体的には、操作者が操作しやすいように、スキャンモードや条件、スキャンの順序及びスキャンに対応する教材画像が予めスキャンプロトコルとして登録される。そして、このスキャンプロトコルでは、登録したスキャンの順序で自動的にスキャンモードや条件、教材画像を切り替える。制御機能181は、このスキャンプロトコルの選択をトリガーとし、教材画像と超音波画像とをディスプレイ103に実寸表示させる。
(第1の実施形態の第2の変形例)
第1の実施形態の第2の変形例では、超音波走査時のモード切り替え指示の別例として、超音波走査時に操作者によって参照される参照画像を表示する指示をトリガーとする場合の別例について説明する。例えば、超音波走査時に、超音波走査における検査部位と同一の検査部位を撮影した画像であって、他の医用画像診断装置により生成された画像を参照画像として用いて、リアルタイムに生成される超音波画像と位置合わせを行う場合がある。そこで、第1の実施形態の第2の変形例では、参照画像と超音波画像とを実寸表示する場合について説明する。
まず、第1の実施形態の第2の変形例に係る超音波診断装置の構成について説明する。なお、第1の実施形態の第2の変形例に係る超音波診断装置において、図1に示す第1の実施形態に係る超音波診断装置と同様の構成については、同一の符号を付与し、詳細な説明を省略する。
図11は、第1の実施形態の第2の変形例に係る超音波診断装置1aの構成例を示すブロック図である。図11に示すように、第1の実施形態の第2の変形例に係る超音波診断装置1aは、装置本体100aと、超音波プローブ101と、入力装置102と、ディスプレイ103と、位置センサ104と、トランスミッタ105とを有する。超音波プローブ101、入力装置102、ディスプレイ103、及びトランスミッタ105は、装置本体100aと通信可能に接続される。
位置センサ104及びトランスミッタ105は、超音波プローブ101の位置情報を取得するための装置(位置検出システム)である。例えば、位置センサ104は、超音波プローブ101に取り付けられる磁気センサである。また、例えば、トランスミッタ105は、任意の位置に配置され、自装置を中心として外側に向かって磁場を形成する装置である。
位置センサ104は、トランスミッタ105によって形成された3次元の磁場を検出する。そして、位置センサ104は、検出した磁場の情報に基づいて、トランスミッタ105を原点とする空間における自装置の位置(座標)及び方向(角度)を算出し、算出した位置及び方向を後述する処理回路180に送信する。処理回路180に送信された位置センサ104の3次元的な位置情報(位置及び方向)は、超音波プローブ101の位置情報、或いは超音波プローブ101により走査される走査範囲の位置情報に適宜変換されて利用される。例えば、位置センサ104の位置情報は、位置センサ104と超音波プローブ101との位置関係により超音波プローブ101の位置情報に変換される。また、超音波プローブ101の位置情報は、超音波プローブ101と走査範囲との位置関係により走査範囲の位置情報に変換される。なお、走査範囲の位置情報は、走査範囲と走査線上のサンプル点との位置関係により、各画素位置にも変換可能である。つまり、位置センサ104の3次元的な位置情報は、超音波プローブ101により撮像される超音波画像データの各画素位置に変換可能である。
なお、本実施形態は、上記の位置検出システム以外のシステムにより、超音波プローブ101の位置情報を取得する場合であっても適用可能である。例えば、本実施形態は、ジャイロセンサや加速度センサ等を用いて、超音波プローブ101の位置情報を取得する場合であっても良い。
装置本体100aは、図11に示すように、送信回路110と、受信回路120と、Bモード処理回路130と、ドプラ処理回路140と、画像生成回路150と、画像メモリ160と、記憶回路170と、処理回路180と、通信インターフェース190とを有する。送信回路110、受信回路120、Bモード処理回路130、ドプラ処理回路140、画像生成回路150、画像メモリ160、記憶回路170、処理回路180、及び通信インターフェース190は、互いに通信可能に接続される。また、装置本体100aは、ネットワーク5に接続される。
通信インターフェース190は、ネットワーク5を経由して院内の各種の装置と通信を行うためのインターフェースである。通信インターフェース190により、処理回路180は、外部装置と通信を行う。例えば、処理回路180は、超音波診断装置1以外の医用画像診断装置により撮像された医用画像データ(X線CT(Computed Tomography)画像データやMRI(Magnetic Resonance Imaging)画像データ等)をネットワーク5経由で受信する。そして、処理回路180は、受信した医用画像データを、自装置が撮像した超音波画像データとともにディスプレイ103に表示させる。なお、表示される医用画像データは、画像生成回路150により画像処理(レンダリング処理)された画像であってもよい。また、超音波画像データとともに表示される医用画像データは、CD-ROM、MO、DVD等の記憶媒体を介して取得される場合であっても良い。
第1の実施形態の第2の変形例に係る制御機能181は、超音波走査時に操作者によって参照される参照画像を表示する指示をトリガーとし、参照画像と超音波走査により生成される超音波画像とを実寸でディスプレイ103に表示させる。例えば、第1の実施形態の第2の変形例に係る制御機能181は、他の医用画像診断装置により生成された画像を参照画像として表示する指示をトリガーとする。ここで、他の医用画像診断装置により生成された画像は3次元画像である。そして、第1の実施形態の第2の変形例に係る制御機能181は、超音波走査により生成された画像と3次元画像データとを位置合わせして実寸で表示する。
続いて、第1の実施形態の第2の変形例に係る制御機能181による画像処理の手順について説明する。図12は、第1の実施形態の第2の変形例に係る制御機能181による画像処理の手順を示すフローチャートであり、図13は、第1の実施形態の第2の変形例を説明するための図である。
図12では、制御機能181の動作を説明するフローチャートを示す。ステップS21からステップS29は、制御機能181により実現されるステップである。ステップS21では、制御機能181は、トリガーの入力を受け付けたか否かを判定する。ここで、制御機能181は、図3で説明した、トリガーとなる操作の種別を記憶するトリガー種別DB172を参照して、トリガーとなる種別の操作を受け付けたか否かを判定する。
より具体的には、制御機能181は、参照画像を取得する操作をトリガーとする。なお、かかる場合、トリガー種別DB172には、トリガーとなる操作として、参照画像の取得が記憶されているものとする。
制御機能181は、トリガーの入力を受け付けたと判定しなかった場合(ステップS21、No)、ステップS21の判定処理を繰り返す。一方、制御機能181は、トリガーの入力を受け付けたと判定した場合(ステップS21、Yes)、参照画像を取得する(ステップS22)。例えば、制御機能181は、X線CT装置やMRI装置によって生成された3次元の医用画像データを参照画像として画像メモリ160から取得する。なお、参照画像には生体長換算が例えば付帯情報として記憶されている。
ステップS23では、制御機能181は、図4に示すステップS2と同様にして、超音波走査によりリアルタイムに生成された超音波画像を取得する。ステップS24では、制御機能181は、超音波プローブ101の位置情報を取得する。例えば、制御機能181は、位置センサ104の3次元的な位置情報を位置センサ104から取得する。そして、制御機能181は、位置センサ104から取得した位置センサ104の3次元的な位置情報、及び、位置センサ104と超音波プローブ101との位置関係により超音波プローブ101の位置情報を取得する。
ステップS25では、制御機能181は、図4に示すステップS3と同様にして、ディスプレイ種別に応じたピクセルサイズを取得する。ステップS26では、制御機能181は、図4に示すステップS4と同様にして、取得したピクセルサイズと、生体長換算値とから実寸表示時のピクセル数を算出する。
ステップS27では、制御機能181は、位置情報に対応する参照画像の断面を特定する。例えば、制御機能181は、位置センサ104から取得した超音波プローブ101の3次元的な位置情報から、超音波プローブ101の走査断面と同一断面をX線CTボリュームデータで特定し、更に、特定した断面内で、超音波プローブ101の走査により生成された超音波画像データの各座標に対応する座標を算出する。
ステップS28では、制御機能181は、算出したピクセル数で、取得した超音波画像と、特定した参照画像の断面とをディスプレイ103に表示させる。図13の左側の画像は参照画像を示し、図13の右側の画像はリアルタイムに生成される超音波画像を示す。例えば、操作者は、図13の左側の参照画像を参照しながら超音波走査を行う場合に、図13の右側のリアルタイムに生成される超音波画像と図13の左側の参照画像とが実寸表示されるので、参照画像と超音波画像の位置設定時に、体表上で動かすべきプローブの移動距離が掴みやすくなる。
図12に戻る。ステップS29では、制御機能181は、図4に示すステップS6と同様にして、実寸表示の解除を受け付けたか否かを判定する。制御機能181は、実寸表示の解除を受け付けたと判定しなかった場合(ステップS29、No)、ステップS23に移行して、超音波走査によりリアルタイムに生成された超音波画像を表示する。この結果、超音波走査により新たに生成される超音波画像が実寸表示されることになる。一方、制御機能181は、実寸表示の解除を受け付けたと判定した場合(ステップS29、Yes)、処理を終了する。
上述したように、第1の実施形態の第2の変形例では、例えば、ズーム率の調整などの複数の操作を行わなくても、参照画像と、リアルタイムに生成される超音波画像とが実寸表示される。これにより、操作者は、煩雑な操作を行うことなく、実寸で表示された参照画像と、リアルタイムに生成される超音波画像とを観察することが可能になる。この結果、操作者は、位置設定時に、体表上で動かすべきプローブの移動距離が掴みやすくなる。
(第2の実施形態)
上述した第1の実施形態では、リアルタイムに生成される超音波画像を実寸表示する際に、モードの切り替えをトリガーとする場合について説明した。ところで、例えば、術前のシミュレーション時にも超音波画像を実寸表示することで、より正確に手術前の判断を行うことが可能になる。そこで、第2の実施形態では、過去に生成された超音波画像を実寸表示する場合について説明する。
第2の実施形態に係る超音波診断装置の構成例は、制御機能181の一部の機能が異なる点を除いて、図1に示す第1の実施形態に係る超音波診断装置と同様である。第2の実施形態に係る制御機能181は、過去画像の表示の受け付けをトリガーとし、過去画像をディスプレイ103に実寸で表示させる。
図14は、第2の実施形態に係る制御機能181による画像処理の手順を示すフローチャートであり、図15は、第2の実施形態を説明するための図である。図14では、制御機能181の動作を説明するフローチャートを示す。ステップS31からステップS36は、制御機能181により実現されるステップである。
ステップS31では、制御機能181は、トリガーの入力を受け付けたか否かを判定する。ここで、制御機能181は、図3で説明した、トリガーとなる操作の種別を記憶するトリガー種別DB172を参照して、トリガーとなる種別の操作を受け付けたか否かを判定する。
より具体的には、制御機能181は、術前シミュレーション時における過去画像を表示する指示をトリガーとする。なお、かかる場合、トリガー種別DB172には、トリガーとなる操作として、術前シミュレーション時における過去画像を表示する指示が記憶されているものとする。
制御機能181は、トリガーの入力を受け付けたと判定しなかった場合(ステップS31、No)、ステップS31の判定処理を繰り返す。一方、制御機能181は、トリガーの入力を受け付けたと判定した場合(ステップS31、Yes)、過去の超音波画像を取得する(ステップS32)。例えば、制御機能181は、術前シミュレーション時における過去画像を画像メモリ160から取得する。
ステップS33では、制御機能181は、図4に示すステップS3と同様にして、ディスプレイ種別に応じたピクセルサイズを取得する。ステップS34では、制御機能181は、図4に示すステップS4と同様にして、取得したピクセルサイズと、生体長換算値とから実寸表示時のピクセル数を算出する。
ステップS35では、制御機能181は、算出したピクセル数で、取得した過去の超音波画像をディスプレイ103に表示させる。図15では、損傷した心臓弁を、人工弁に取り替える弁置換術の術前シミュレーション時に表示される過去画像の一例を示す。図15の左側の3枚の画像は異なる位置の短軸断層像を示し、図15の中央の画像は、心尖部四腔像を示し、図15の右側の画像は、長軸断層像を示す。また、図15に示す短軸断層像、心尖部四腔像及び長軸断層像は、実寸表示されている。
ここで、例えば、操作者は、置換予定の実物の人工弁を画面上に実寸表示された短軸断層像の僧帽弁にあてがうことで、手術で使用予定の人工弁の形状が適切か否かを判断することが可能になる。
図14に戻る。ステップS36では、制御機能181は、図4に示すステップS6と同様にして、実寸表示の解除を受け付けたか否かを判定する。制御機能181は、実寸表示の解除を受け付けたと判定しなかった場合(ステップS36、No)、ステップS36の判定処理を繰り返す。一方、制御機能181は、実寸表示の解除を受け付けたと判定した場合(ステップS36、Yes)、処理を終了する。
上述したように、第2の実施形態では、制御機能181は、術前シミュレーション時における過去画像を表示する指示をトリガーとし、過去画像をディスプレイ103に実寸で表示させる。すなわち、第2の実施形態によれば、ズーム率の調整などの複数の操作を行わなくても、過去画像が実寸で表示される。これにより、操作者は、煩雑な操作を行うことなく、実寸で表示された過去画像を観察することが可能になる。この結果、例えば、操作者は、手術で使用予定の人工弁の形状が適切か判断しやすくなる。すなわち、第2の実施形態によれば、操作者は、より正確に手術前のシミュレーションを容易に行うことが可能になる。
なお、上述した第2の実施形態では、人工弁の実物を手で持って、画面に表示された例えば僧帽弁にあてがうシチュエーションを想定した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、画面上に人工弁のアイコンを実寸表示してもよい。そして、操作者は、この実寸表示された人工弁のアイコンを僧帽弁のところへ移動させて、手術で使用予定の人工弁の形状が適切か判断してもよい。
(第2の実施形態の変形例)
上述した第2の実施形態では、術前のシミュレーション時に超音波画像を実寸表示する場合について説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、今まで取得した胎児の超音波画像を並べて実寸で表示してもよい。すなわち、第2の実施形態の変形例に係る制御機能181は、過去画像として週令の異なる胎児の画像データを表示する指示をトリガーとする。図16は、第2の実施形態の変形例を説明するための図である。
図16では、今まで取得した周令の異なる4つの超音波画像を表示する場合について説明する。例えば、図16に示すように、制御機能181は、ディスプレイ103の表示領域を4つに分割し、左上に第12週の超音波画像、右上に第14週の超音波画像、左下に第18週の超音波画像、右下に第20週の超音波画像を実寸で表示する。すなわち、操作者は、煩雑な操作を行うことなく、実寸で表示された各週の超音波画像を観察することが可能になる。この結果、胎児の母子等の利用者は、各週数での胎児の成長度を容易に把握することができる。
(第3の実施形態)
第1の実施形態では、リアルタイムに生成される超音波画像を実寸表示する場合について説明し、第2の実施形態では、過去に生成された超音波画像を実寸表示する場合について説明した。ところで、実際の超音波画像の大きさが大きい場合には、超音波画像の全体を実寸で表示することが難しくなる。この一方で、操作者は、超音波画像全体ではなく、一部の領域のみを観察したい場合がある。このような場合には、操作者が観察したい領域のみを抜き出してもよいものである。
そこで、第3の実施形態では、超音波画像において関心領域を設定する操作をトリガーとする場合について説明する。なお、第3の実施形態に係る超音波診断装置の構成例は、制御機能181の一部の機能が異なる点を除いて、図1に示す第1の実施形態に係る超音波診断装置と同様である。第3の実施形態に係る制御機能181は、ディスプレイ103に表示中の出力対象の画像における関心領域の設定をトリガーとし、関心領域をディスプレイ103に実寸で表示させる。
図17は、第3の実施形態に係る制御機能181による画像処理の手順を示すフローチャートであり、図18及び図19は、第3の実施形態を説明するための図である。図17では、制御機能181の動作を説明するフローチャートを示す。ステップS41からステップS46は、制御機能181により実現されるステップである。
ステップS41では、制御機能181は、超音波画像を表示する。ここで、制御機能181は、リアルタイムに生成される超音波画像をディスプレイ103に表示してもよいし、過去に生成された超音波画像をディスプレイ103に表示してもよい。例えば、制御機能181は、図18に示すように、超音波画像をディスプレイ103に表示する。図18では、リアルタイムに生成される超音波画像の一例を示す。
図17に戻る。ステップS42では、制御機能181は、トリガーの入力を受け付けたか否かを判定する。ここで、制御機能181は、図3で説明した、トリガーとなる操作の種別を記憶するトリガー種別DB172を参照して、トリガーとなる種別の操作を受け付けたか否かを判定する。
より具体的には、制御機能181は、関心領域を設定する操作をトリガーとする。なお、かかる場合、トリガー種別DB172には、トリガーとなる操作として、関心領域の設定が記憶されているものとする。
制御機能181は、トリガーの入力を受け付けたと判定しなかった場合(ステップS42、No)、ステップS42の判定処理を繰り返す。一方、制御機能181は、トリガーの入力を受け付けたと判定した場合(ステップS42、Yes)、図4に示すステップS3と同様にして、ディスプレイ種別に応じたピクセルサイズを取得する(ステップS43)。なお、図18では、関心領域として図18中に示すROIの選択を受け付けた場合を示す。
ステップS44では、制御機能181は、図4に示すステップS4と同様にして、取得したピクセルサイズと、生体長換算値とから実寸表示時のピクセル数を算出する。ステップS45では、制御機能181は、算出したピクセル数で、取得した超音波画像をディスプレイ103に表示させる。例えば、制御機能181は、図19に示すように、超音波画像をディスプレイ103に実寸表示させる。
図17に戻る。ステップS46では、制御機能181は、図4に示すステップS6と同様にして、実寸表示の解除を受け付けたか否かを判定する。制御機能181は、実寸表示の解除を受け付けたと判定しなかった場合(ステップS46、No)、ステップS46の判定処理を繰り返す。一方、制御機能181は、実寸表示の解除を受け付けたと判定した場合(ステップS46、Yes)、処理を終了する。
上述したように、第3の実施形態では、ディスプレイ103に表示中の出力対象の画像における関心領域の設定をトリガーとし、関心領域をディスプレイ103に実寸で表示させる。これにより、第3の実施形態では、例えば、超音波画像全体の大きさが大きく実寸表示が難しい場合にも、ズーム率の調整などの複数の操作を行うことなく、観察したい部分のみを実寸で抜き出して表示する。この結果、操作者は、超音波画像全体の大きさが大きい場合でも、煩雑な操作を行うことなく、実寸で表示された観察したい部分を観察することができる。
(第4の実施形態)
第4の実施形態では、超音波診断装置に接続される外部装置の出力部に画像を出力する場合について説明する。なお、第4の実施形態に係る超音波診断装置の構成例は、制御機能181の一部の機能が異なる点を除いて、図1に示す第1の実施形態に係る超音波診断装置と同様である。
第4の実施形態に係る制御機能181は、超音波診断装置への外部装置の出力部の接続をトリガーとする。例えば、外部装置の出力部が、超音波診断装置に接続される外部モニタである場合に、第4の実施形態に係る制御機能181は、超音波診断装置が外部モニタに接続された場合に、出力対象の画像を外部モニタに実寸で表示させる。また、第4の実施形態に係る制御機能181は、更に、超音波診断装置が有するディスプレイ103に出力対象の画像を実寸で表示させる。
図20は、第4の実施形態に係る制御機能181による画像処理の手順を示すフローチャートである。図20では、制御機能181の動作を説明するフローチャートを示す。ステップS51からステップS56は、制御機能181により実現されるステップである。
ステップS51では、制御機能181は、超音波画像を表示する。ここで、制御機能181は、リアルタイムに生成される超音波画像をディスプレイ103に表示してもよいし、過去に生成された超音波画像をディスプレイ103に表示してもよい。
ステップS52では、制御機能181は、トリガーの入力を受け付けたか否かを判定する。ここで、制御機能181は、図3で説明した、トリガーとなる操作の種別を記憶するトリガー種別DB172を参照して、トリガーとなる種別の操作を受け付けたか否かを判定する。
より具体的には、制御機能181は、外部へ超音波画像を出力する操作をトリガーとする。なお、かかる場合、トリガー種別DB172には、トリガーとなる操作として、外部へ超音波画像を出力する操作が記憶されているものとする。
制御機能181は、トリガーの入力を受け付けたと判定しなかった場合(ステップS52、No)、ステップS52の判定処理を繰り返す。一方、制御機能181は、トリガーの入力を受け付けたと判定した場合(ステップS52、Yes)、図4に示すステップS3と同様にして、ディスプレイ種別に応じたピクセルサイズを取得する(ステップS53)。かかる場合、対応情報DB171には、外部装置の出力部を一意に識別する情報と、この外部装置の出力部の1ピクセル当たりのサイズを示す情報とが対応付けて記憶されている。ステップS54では、制御機能181は、図4に示すステップS4と同様にして、取得したピクセルサイズと、生体長換算値とから実寸表示時のピクセル数を算出する。
ステップS55では、制御機能181は、算出したピクセル数で、取得した超音波画像を外部に出力させる。例えば、制御機能181は、超音波診断装置に接続される外部モニタに出力対象の画像を実寸で表示させる。
ステップS56では、制御機能181は、図4に示すステップS6と同様にして、実寸表示の解除を受け付けたか否かを判定する。制御機能181は、実寸表示の解除を受け付けたと判定しなかった場合(ステップS56、No)、ステップS56の判定処理を繰り返す。一方、制御機能181は、実寸表示の解除を受け付けたと判定した場合(ステップS56、Yes)、処理を終了する。
上述したように、第4の実施形態では、超音波診断装置への外部装置の出力部の接続をトリガーとし、ズーム率の調整などの複数の操作を行わなくても、外部装置の出力部に出力対象の画像を実寸で出力させる。これにより、第4の実施形態によれば、例えば、操作者は、煩雑な操作を行うことなく、患者への説明時に、実寸で表示された画像を用いて、感覚的にわかりやすい説明を行うことが可能になる。例えば、セカンドコンソールなどの外部モニタに実寸で超音波画像を表示した場合、操作者は、当該部位にあてがいながら患者に説明でき、病変部の大きさや位置を正しく知らせることができる。
なお、上述した第4の実施形態では、外部装置の出力部として、超音波診断装置に接続される外部モニタである場合について説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、制御機能181は、実寸サイズでデータを印刷してもよい。
より具体的には、外部装置の出力部が、超音波診断装置に接続されるプリンタである場合、制御機能181は、プリンタへの印刷の指示を受け付けた場合に、出力対象の画像をプリンタに実寸で印刷させる。これにより、例えば、操作者は、煩雑な操作を行うことなく、実寸で印刷された出力対象の画像を取得することが可能になる。この結果、操作者は、人工弁の実物がなくても、人工弁のCAD(Computer-Aided Design)データ等の正確なサイズ情報から人工弁を実寸印刷することで人工弁の画像の印刷物を得ることが可能になる。そして、操作者は、人工弁の画像の印刷物を見ながら、ディスプレイ103に実寸表示されている僧帽弁が描出された超音波画像で手術のシミュレーションを行うことが可能となる。
また、胎児の超音波画像を実寸印刷することで、例えば胎児の母親に実寸大の胎児の画像を印刷して記念品として提供することが可能となる。一例をあげると、胎児の母親へのサービスで胎児の顔をプリントする場合に、実寸で胎児の顔を印刷することで、胎児の母親の満足度を上げることが可能になる。
(その他の実施形態)
実施形態は、上述した実施形態に限られるものではない。
例えば、上述した第1の実施形態から第4の実施形態に記載した内容を適宜組み合わせてもよい。例えば、制御機能181は、少なくとも、超音波走査時のモード切り替え指示、過去画像の表示の受け付け、及び、モニタに表示中の出力対象の画像における関心領域の設定のいずれか1つをトリガーとし、出力対象の画像をモニタに実寸で表示させる。
ここで、例えば、制御機能181は、超音波走査時のモード切り替え指示をトリガーとする場合、少なくとも、穿刺針を装着可能な超音波プローブの接続、穿刺用アプリケーションの選択、計測用アプリケーションの選択、出力対象の画像を拡大又は縮小して表示する指示の受け付け、及び、超音波走査時に操作者によって参照される参照画像を表示する指示のいずれか1つをトリガーとする。また、制御機能181は、超音波走査時に操作者によって参照される参照画像を表示する指示をトリガーとする場合、少なくとも、教材画像を参照画像として表示する指示、及び、他の医用画像診断装置により生成された画像を参照画像として表示する指示のいずれか1つをトリガーとする。
また、例えば、制御機能181は、過去画像の表示の受け付けをトリガーとする場合、少なくとも、術前シミュレーション時における過去画像を表示する指示、及び、過去画像として週令の異なる胎児の画像データを表示する指示のいずれか1つをトリガーとする。
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは記憶回路に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、記憶回路にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、図1における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
上記の実施形態の説明において、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。さらに、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPUおよび当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、或いは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
また、上記の実施形態で説明した画像処理方法は、予め用意された画像処理プログラムをパーソナルコンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行することによって実現することができる。この画像処理プログラムは、インターネット等のネットワークを介して配布することができる。また、この画像処理プログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD-ROM、MO、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することもできる。
以上説明した少なくとも一つの実施形態によれば、操作性を向上することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。