JP6996864B2 - エア式荷役物運搬機の無負荷下降安全回路 - Google Patents

エア式荷役物運搬機の無負荷下降安全回路 Download PDF

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本発明は、アクチュエータにエアシリンダを用いた荷役物運搬機で、荷物を把持していない無負荷の作業中において、停電時やエアホース外れ時などのエア源緊急停止時の作業者の安全を確保する下降安全回路に関するものである。
アクチュエータにエアシリンダを用いた荷役物運搬機は、エアのみで制御する方式と、エアを電気で制御する方式がある。近年、マイコンを搭載し、昇降操作をより快適にする方式が増えエアシリンダを電気で制御している。従来、マイコンを搭載したエア式の荷役物運搬機があった(引用文献1)。引用文献1の図6の絞り弁により、通電時と停電時は、制御弁を用いて機械的に急下降を制御しゆっくり着地する。
また、マイコンを使用している引用文献1の荷役物運搬機は、突然、空気供給源からのエアホースが外れた場合では、エアシリンダがロックしてしまう。前記ロックとは、空気がエアシリンダに密閉された状態であり、エアシリンダの特性である「グローブユニットを上下に動かそうとするとバウンドするように上下する」状態になるが、上下動を止めるとグローブユニットは停電時と同じ高さで停止する。そして、グローブユニットに手を挿入しているので、シリンダがロックするとグローブユニットから手を外し辛い位置で停止してしまう時がある。手が届く最上位置で突然停止すると、体勢が悪くグローブユニットから手を外すことができないという不具合があった。
また、引用文献2では、流体圧原動機の作動室を電流遮断または真空低下により動作する作動切換弁を経て絞り機構に接続し、作動流体を少しずつ放出して荷物を低速度で下降着地させるようにしたと記載されている。そして、荷物が無い無負荷時でもゆっくり着地する。これは、停電と同時に作業者の意思に関係なく、強制的にゆっくり着地させている。(「ゆっくり着地する動作」を以後「ソフトランディング」という言葉で説明する)強制のソフトランディングは作業者の意思に反しており、荷物が無く無負荷の時でも操作部を下降させてはいけない作業現場もあった。停電時は、引用文献1と引用文献2のソフトランディングの動作は同様である。
特開2008-247488号公報 特開平09-175799号公報
解決しようとする問題点は、引用文献1のように、エアーホースが突然外れたら、シリンダがロックしてしまうのが問題点である。また、引用文献1・2のように突然の停電時には、作業者の意思とは別に、強制的にソフトランディングするのが問題点である。換言すると、作業者の意思でソフトランディングのタイミングを選択できない点である。
本発明は、無負荷時の停電時やエアホース外れ時などのエア源緊急停止時に、シリンダを位置保持した後に、作業者が意図したタイミングでハンド部をほんの少し下降させようとする動きが、シリンダのシリンダ内圧を上昇させ、その上昇したシリンダ内圧が緩下降バルブを作動させ、前記緩下降バルブの絞り弁からシリンダ内のエアを排気させソフトランディングさせることを最も主要な特徴とする。
本発明のエア式荷役物運搬機の無負荷下降安全回路は、無負荷時のエア源緊急停止時において、作業者がスイッチ操作を特別せず、作業者の意図したタイミングで少し下降させようとする動作によりハンド部をソフトランディングさせことができるという利点がある。また、ハンド部を下降させたくない時は、エア源緊急停止時又はソフトランディングの途中でも、そのまま位置を保持させる事も可能であるという利点がある。
図1は、荷役物運搬機の総体図である。(実施例1) 図2は、ハンド部と作業者と連結具の図である(実施例1) 図3は、ハンド部と作業者と連結具の図である(実施例1) 図4は、停電前の回路の状態である。(実施例1) 図5は、停電直後の回路の状態である。(実施例1) 図6は、停電後のソフトランディング作動中の回路の状態である。(実施例1) 図7は、エアホース外れの直後の回路の状態である。(実施例2)
緩下降バルブを備え、エア源緊急停止時にエアシリンダが位置保持した後に、作業者がハンド部を下降させようとする動きでシリンダのシリンダ内圧を上昇させ、上昇した前記シリンダ内圧が前記緩下降バルブを作動させ、絞り弁からシリンダ内のエアを排気し、安全なソフトランディングを実現した。
図1は、荷役物運搬機の総体図である。荷役物運搬機1は、台座2に旋回台3が取り付けられ、旋回台3には昇降機構4が取り付けられ、昇降機構4には平行リンク式アーム5が取り付けられている。昇降機構4は、アクチュエータ(図示せず)により昇降駆動され、平行リンク式アーム5の先端の昇降部6が上下する。そのアクチュエータは、エアを用いたエアシリンダ(図示せず)である。ハンド部7は昇降部6に連結具8を介して吊られている。連結具8の点線で示してある箇所は、ロープやスリングベルトである。ハンド部7に作業者(図示せず)の手(図示せず)を着接又は挿入させて、手(図示せず)と荷役物9の間にハンド部7が位置している。荷役物9は、箱である。この発明の作用は、荷役物9が無い状態であるが、荷役物運搬機の説明用として荷役物9を記載してある。
図2は、ハンド部と作業者と連結具の図である。ハンド部7は連結具8に吊られている。ハンド部7に作業者10の手11を着接又は挿入させている。作業者10はハンド部7を用いて荷役物9(図示せず)を把持することができる。ハンド部7に圧力センサ(図示せず)が配設され、荷役物9(図示せず)を把持する圧力の一部をセンシングして、その圧力に応じて昇降スピードや昇降する力を制御する。図2は、手11が上端部にあり、作業者10の体勢が悪く、ハンド部7から手11が抜けない状態である。
図3は、ハンド部と作業者と連結具の図である。符号は、図2と同様である。図3は、手11が身体の前にあり、ハンド部7から手11が抜ける状態である。また、図3のハンド部7の上下位置は、荷役物運搬機1の昇降可動範囲のほぼ中央位置であり、ハンド部7の位置より下げようとするとハンド部7は下がる。
図4は、停電前の回路の状態である。エア式のシリンダ12、シリンダ12のピストン13・ロッド14、位置保持バルブ15、バランス制御バルブ16、通電バルブ17、緩下降バルブ18、緩下降切替えバルブ19、緊急停止時エア排出配管20、一次エア源21を有している。緩下降バルブ18はバネ22と絞り弁23を有している。シリンダ12の向きは、図1では図示していないが図1と同じでない。図4では、説明用として、ロッド14が下方向に下がると、図1のハンド部7が下がる構成にしている。回路図の各機器をつなぐ点線は、点線を結ぶ機器に影響を及ぼさないエア圧やエアが遮断された状態を表している。停電前の回路の状態であり、作業者10(図示せず)が無負荷でハンド部7(図示せず)を昇降させることができる。荷役物9(図示せず)を把持して昇降もできるが、荷役物9(図示せず)をバランスさせる制御については省略する。
図5は、停電直後の回路の状態である。構成は、図4と同様である。回路図の各機器をつなぐ点線は、点線を結ぶ機器に影響を及ぼさないエア圧やエアが遮断された状態を表している。停電直後の回路であり、 突然の停電になると、通電バルブ17が働き、位置保持バルブ15、バランス制御バルブ16、緩下降切替えバルブ18が切替わり、シリンダ12が位置保持する。位置保持するとは、例えば図3の状態でハンド部7から手11を抜いても、ハンド部7はそのままの位置を保持するということである。位置保持の時は、シリンダ12のシリンダ内圧が緩下降バルブ18の閾値を超えていないのでバネ22が縮まず緩下降バルブ18が排気側に切替わらないので、ハンド部7はソフトランディングしない。換言すると、バネ22の弾性力よりシリンダ内圧が上回るとバネ22が縮み緩下降バルブ18は排気側に切替わりソフトランディングし、バネ22の弾性力よりシリンダ内圧が下回っているとバネ22が縮まず緩下降バルブ18は排気側に切替わらず位置保持する。
図6は、停電後のソフトランディング作動中の回路の状態である。構成は、図4と同様である。回路図の各機器をつなぐ点線は、点線を結ぶ機器に影響を及ぼさないエア圧やエアが遮断された状態を表している。停電後のソフトランディング作動中の回路であり、停電直後の後、作業者10がハンド部7を意図して下降させると、シリンダ12のピストン13が動き、そのピストン13の動きでシリンダ内圧が上昇し、図5の状態から、バランス制御バルブ16、通電バルブ17、緩下降バルブ18が切替わる。緩下降バルブ18は、バネ22と絞り弁23を有しており、シリンダ内圧が閾値を超えバネ22が縮み緩下降バルブ18は排気側に切替わり、絞り弁23を介してシリンダ12内のエアを排気する。シリンダ12内のエアが排気されると、ハンド部7が下降する。ソフトランディングしているので、ピストン13とピストンロッド14は、図5に比べて下がっている。
図1~図6を用い、作用を説明する。図2の状態で、突然の停電になると、図5となり、通電バルブ17が働き、位置保持バルブ15、バランス制御バルブ16、緩下降切替えバルブ18が切替わり、シリンダ12が位置保持する。図2の状態では、ハンド部7から手11が抜けないので、次に、作業者10がハンド部7を下降させようと、ハンド部7を少し下降させると、シリンダ12のピストン13(図5)が図に向って下に動き、そのピストン13の動きでシリンダ12のシリンダ内圧が上昇する。緩下降バルブ18は、バネ22と絞り弁23を有しており、シリンダ内圧が閾値を超えた場合にバネ22が縮み緩下降バルブ18は排気側に切替わり、絞り弁23を介してシリンダ12内のエアを緩やかに排気する。シリンダ12内のエアは絞り弁23を介して緩やかに排出することで、ハンド部7はソフトランディングを行う。排気してソフトランディングの状態が図6である。ハンド部7が図3の状態になったら、作業者10はハンド部7から手11を抜く。これにより、突然の停電でも安全な場所でハンド部7から手11を抜くことができる。また、作業者10がハンド部7を下げるのを止めるとその位置で位置保持する。手11を抜いた時や、ハンド部7を下げるのを止めた時は、図5である。
図7は、エアホース外れの直後の回路の状態である。構成は、図4と同様である。回路図の各機器をつなぐ点線は、点線を結ぶ機器に影響を及ぼさないエア圧やエアが遮断された状態を表している。エアホース外れ(図示せず)の直後の回路であり、突然エアホース(図示せず)が外れると、シリンダ12が位置保持する。次に、作業者10がハンド部7を下降させようと、ハンド部7を少し下降させると、シリンダ12のピストン13が動き、そのピストン13の動きでシリンダ内圧が上昇し緊急停止時エア排出配管20を介して緩下降バルブ18へのシリンダ内圧が上がり、バランス制御バルブ16、通電バルブ17、緩下降バルブ18が切替わる。緩下降バルブ18は、バネ22と絞り弁23を有しており、シリンダ内圧が閾値を超えた場合にバネ22が縮み緩下降バルブ18は排気側に切替わり、絞り弁23を介してシリンダ12内のエアを緩やかに排気する。シリンダ12内のエアは絞り弁23を介して緩やかに排出することで、ソフトランディングを行う。
ハンド部7を用いた荷役物運搬機1だが、ハンド部7の代わりに吸着式やクランプ式などのアタッチメントで荷役物9を把持してた荷役物運搬機でも利用できる。
1 荷役物運搬機
2 台座
3 旋回台
4 昇降機構
5 平行リンク式アーム
6 昇降部
7 ハンド部
8 連結具
9 荷役物
10 作業者
11 手
12 シリンダ
13 ピストン
14 ロッド
15 位置保持バルブ
16 バランス制御バルブ
17 通電バルブ
18 緩下降バルブ
19 緩下降切替えバルブ
20 緊急停止時エア排出配管
21 一次エア源
22 バネ
23 絞り弁

Claims (1)

  1. アクチュエータにエア式のシリンダを用いて、ハンド部で荷役物を把持して荷役物を運搬し、緊急停止時エア排出配管と緩下降バルブを備え、無負荷時にエア源が緊急停止しシリンダが位置保持した後に作業者がハンド部を下降させようとする動きで前記シリンダのシリンダ内圧を上昇させ、上昇した前記シリンダ内圧が前記緊急停止時エア排出配管を経由して前記緩下降バルブを切換え、前記緩下降バルブから前記シリンダ内のエアを排出し、前記ハンド部を下降させる荷役物運搬機において、前記緩下降バルブは、バネと絞り弁を有しており、シリンダ内圧が閾値を超えた場合に前記バネが縮み前記緩下降バルブは排気側に切替わり前記絞り弁から前記シリンダ内のエアを排気させることを特徴とするエア式荷役物運搬機の無負荷下降安全回路。
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