JP6995437B2 - コラーゲン-コンドロイチン硫酸のゲル材料 - Google Patents
コラーゲン-コンドロイチン硫酸のゲル材料 Download PDFInfo
- Publication number
- JP6995437B2 JP6995437B2 JP2017217830A JP2017217830A JP6995437B2 JP 6995437 B2 JP6995437 B2 JP 6995437B2 JP 2017217830 A JP2017217830 A JP 2017217830A JP 2017217830 A JP2017217830 A JP 2017217830A JP 6995437 B2 JP6995437 B2 JP 6995437B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- collagen
- chondroitin sulfate
- gel material
- irradiation
- aqueous solution
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Description
[1]以下の構成成分及びその形態を備えた、コラーゲン-コンドロイチン硫酸のゲル材料。
・構成成分:コラーゲンとコンドロイチン硫酸(ただし、上記構成成分の比率は、質量比として、コラーゲン:コンドロイチン硫酸=5:1~1:3の範囲である)
・構成成分の形態:架橋処理された、線維化コラーゲンとコンドロイチン硫酸との複合体(ただし、上記架橋処理は、水性溶媒の存在下でのγ線照射、電子線照射、UV照射及びプラズマ照射のうちの少なくとも1種の架橋処理であり、上記複合体は、均質な外観を呈するものである)
[2]前記コラーゲン-コンドロイチン硫酸のゲル材料が、その表面の少なくとも一部に、凹形状及び/又は凸形状を有するものである、上記[1]記載のコラーゲン-コンドロイチン硫酸のゲル材料。
[3]前記コラーゲン-コンドロイチン硫酸のゲル材料を細胞培養基材として用いて、マウス線維芽細胞株L929を21日間培養したときに、前記細胞培養基材の平面視面積について、培養前に対する21日間培養後の収縮率が30%以下である、上記[1]又は[2]記載のコラーゲン-コンドロイチン硫酸のゲル材料。
[4]以下の工程を含む、コラーゲン-コンドロイチン硫酸のゲル材料の製造方法。
(1)コラーゲン水溶液又は非線維化コラーゲンからなる固形物と、所定のイオン強度及びpHを有したコンドロイチン硫酸水溶液とを、コラーゲン:コンドロイチン硫酸=5:1~1:3の質量比で混合し、線維化コラーゲンとコンドロイチン硫酸との複合体を形成させ、ゲルを得る第1工程。
(2)第1工程で得られたゲルに対して、水性溶媒の存在下で、γ線照射、電子線照射、UV照射及びプラズマ照射のうちの少なくとも1種の架橋処理を施す第2工程。
[5]上記[1]~[3]のいずれか1項記載のコラーゲン-コンドロイチン硫酸のゲル材料を含む細胞培養基材。
[6]上記[1]~[3]のいずれか1項記載のコラーゲン-コンドロイチン硫酸のゲル材料を用いた医用材料。
なお、本明細書における質量比の範囲の表記法は、例えば上記質量比5:1~1:3で説明すると、5:1~1:3の範囲には、まず整数の質量比4:1、3:1、2:1、1:1及び1:2が含まれ、さらに各整数間のいかなる数値の質量比(例えば、5:1と4:1の間に関しては、4.752:1、4.5:1、4.21:1等)も含まれるものである。
コラーゲンの種類については、その由来する原料を含めて特に制限はない。例えば、哺乳類、魚介類、鳥類、爬虫類等の生物原料由来のコラーゲンが使用され得るが、ヒトと共通のウイルスを有しない魚介類由来のコラーゲンが好適に用いられる。特に、魚類由来のコラーゲンが好適であり、採取部位としては鱗、皮等が挙げられる。鱗は、魚臭の原因となる脂質が少ないことが利点である。また、生体内での存在量が多いI型コラーゲンが好ましく、抗原決定基であるテロペプタイドが除去されたアテロコラーゲンがより好ましい。好適な一態様は、魚類由来のI型アテロコラーゲンであり、さらに好ましくは魚類の鱗由来のI型アテロコラーゲンである。特に、魚類由来のコラーゲンは、哺乳類由来のコラーゲンと比べて、線維化(再フィブリル化)の速度が速いという特性を一般に有するため、本ゲル材料の製造において好都合である。また、製造時の操作の利便性の観点から、魚種の好例は、変性温度が高いオレオクロミス属である。オレオクロミス属の中でも中国から東南アジアにかけて食用として主力に養殖されており、入手が容易であるティラピアが特に好ましい。
コンドロイチン硫酸の種類については、コンドロイチン硫酸A~Eのいずれであっても構わないが、好適にはコンドロイチン硫酸A又はCであり、より好適にはコンドロイチン硫酸Cである。なお、コンドロイチン硫酸は、コンドロイチン硫酸の塩に由来したものであってもよく、そのような塩の好例はナトリウム塩である。
コラーゲンとコンドロイチン硫酸の比率は、質量比として、コラーゲン:コンドロイチン硫酸=5:1~1:3の範囲である。本ゲル材料は収縮し難いという特性を有するが、とりわけ本ゲル材料を細胞培養基材として用いたときの収縮抑制の観点から、上記比率は、好ましくは3:1~1:3の範囲であり、より好ましくは2:1~1:2の範囲であり、さらに好ましくは1.85:1~1:1.85の範囲であり、さらにより好ましくは1.75:1~1:1.75の範囲である。また、1.75:1~1:1.5、1.75:1~1:1.25、1.75:1~1:1、1.5:1~1:1.75、1.5:1~1:1.5、1.5:1~1:1.25、1.5:1~1:1、1.25:1~1:1.75、1.25:1~1:1.5、1.25:1~1:1.25、1.25:1~1:1、1:1~1:1.75、1:1~1:1.5、1:1~1:1.25の範囲等も好ましい範囲である。
本ゲル材料は、コラーゲンとコンドロイチン硫酸の存在形態として、線維化コラーゲンとコンドロイチン硫酸との複合体であって架橋処理されたもの(以下「架橋複合体」と称する)を備えるものである。ここでの架橋処理は、水性溶媒の存在下でのγ線照射、電子線照射、UV照射及びプラズマ照射のうちの少なくとも1種の架橋処理である。以下、これらの架橋を総称するときは「照射架橋」という。なお、本ゲル材料は、架橋複合体以外の形態の存在も許容するものであり、具体例として、線維化コラーゲンが単独で照射架橋されたもの等が挙げられる。
ここで、架橋複合体を特定するにあたって、架橋処理の規定を設けた理由を説明する。コラーゲンの架橋法として、物理的架橋法と化学的架橋法が知られている。物理的架橋法の代表例として、照射架橋と熱脱水架橋があり、化学的架橋法の代表例として、水溶性化学架橋剤又は気化能を有する化学架橋剤による架橋がある。以下、架橋法を問わず、架橋されたコラーゲンを「架橋体」と称する。
架橋処理に適用する水性溶媒としては、水を含んでおり、架橋複合体が得られる限りにおいて限定されるものではなく、例えば、水、生理食塩水、緩衝液、緩衝生理食塩水、酸性塩水溶液、中性塩水溶液、アルカリ性塩水溶液等が挙げられ、これらに有機溶媒を添加した混合溶媒でもよい。好適な水性溶媒として、緩衝液及び緩衝生理食塩水を例示でき、具体例は、リン酸緩衝液、トリス緩衝液、HEPES緩衝液、酢酸緩衝液、炭酸緩衝液、クエン酸緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、D-PBS、トリス緩衝生理食塩水、HEPES緩衝生理食塩水等である。
照射架橋は、γ線照射、電子線照射、UV照射及びプラズマ照射のうちの1種だけを実施してもよいし、2種以上を組み合わせて実施してもよい。また、1種の照射架橋を2回以上実施してもよい。照射架橋を例えば2回実施するときは、1回目で低架橋度、2回目で高架橋度が得られるように設定することが好ましい。また、2種以上を組み合わせて実施するときは、基本的には架橋度が低い照射法の後に架橋度が高い照射法を実施することが好ましく、例えば、UV照射後にγ線照射する組合せである。好適には、透過力が高く、均一に架橋させることができるγ線照射によって照射架橋を1回で行う方法である。特に、γ線照射による架橋処理では、照射線量を適宜設定することによって、架橋複合体の架橋度を高めることができ、よって高強度な本ゲル材料を得ることもできる。γ線照射では、線量率が固定の線源を用い、照射時間等の条件を適宜設定することにより、所定の照射線量を簡便に得ることができる。例えば、コバルト60線源を用いる場合、照射線量5~75kGyで架橋処理を行うことができる。照射線量として、好ましくは5~50kGyであり、より好ましくは10~50kGyであり、さらに好ましくは15~30kGyである。さらに、照射条件を適宜設定すれば架橋処理と同時に滅菌処理を行うことができる。そのため、架橋処理中及び架橋処理後の密封状態を保つようにすることで、滅菌済み製品として、そのまま市場に流通させることも可能である。
架橋複合体の構成要素は、フィブリルである。架橋複合体がフィブリルで構成されていることは、例えば、倍率5,000倍の走査電子顕微鏡による観察によって確認することができる。なお、線維化コラーゲンが有するD周期の確認は、線維化コラーゲン単独が照射架橋されたものであっても容易とは言えないため、架橋複合体においてはより困難と言える。
架橋複合体において、コラーゲンとコンドロイチン硫酸がどのように複合化しているかについては定かではない。走査電子顕微鏡(倍率5,000倍)で観察すると、線維化コラーゲン単独系と架橋複合体とでは、その構成するフィブリルの形状が明確に相違することが見て取れる。線維化コラーゲン単独系では、個々のフィブリルの形状に違いがほとんどなく均質性が高いが、架橋複合体ではフィブリルが集合化した部分やフィブリルが太くなった部分等の存在が確認できたりする。また、複合化していることの根拠となる一助は、架橋複合体を肉眼観察したときに、表面が均質なこと、即ち、表面にまだらな部分や凝集塊が見られることなく一様な外観を呈することである。
本ゲル材料の形状は、特に制限されることはなく、例えば、膜状、立方体状、直方体状、円柱状等の各種形状が挙げられる。また、本ゲル材料は、その表面の少なくとも一部に凹形状及び/又は凸形状(以下「パターン形状」と称する)を有したものであっても構わない。パターン形状の存在箇所は、本ゲル材料の表面の一部であっても全体であってもよい。パターン形状は、架橋複合体の表面の少なくとも一部に備わっていてもよい。パターン形状の個数は、1個であっても複数個であってもよい。複数個のパターン形状を有する場合、それらが規則的なパターンで配列されたものでもよいし、不規則なパターンで配列されたものでもよい。パターン形状の種類や大きさは、特に制限されることはなく、平面視形状として多角形(正方形、長方形、三角形等)、円、楕円等が例示でき、断面視形状として、半円、長方形、三角形、台形等が例示できる。
本ゲル材料は、これを細胞培養基材として供したときに収縮し難い物性を有するものである。本ゲル材料の好適な一形態は、本ゲル材料を細胞培養基材として用いて、マウス線維芽細胞株L929を21日間培養したときに、細胞培養基材の平面視面積について、培養前に対する21日間培養後の収縮率が30%以下であるものである。なお、「21日間培養」とは、細胞培養播種日を0日目とし、その翌日を1日目としたときに、21日目まで培養することを意味する。また、後掲の実施例における細胞培養試験では、本ゲル材料として、パターン形状を有したものを供試しているが、パターン形状の有無は上記収縮率の評価試験に実質的には影響を及ぼさない。
本ゲル材料の製造方法は、以下の第1~2工程を含むものである。
(1)コラーゲン水溶液又は非線維化コラーゲンからなる固形物と、所定のイオン強度及びpHを有したコンドロイチン硫酸水溶液とを、コラーゲン:コンドロイチン硫酸(質量比)=5:1~1:3の範囲で混合し、線維化コラーゲンとコンドロイチン硫酸との複合体を形成させ、ゲルを得る第1工程。
(2)第1工程で得られたゲルに対して、水性溶媒の存在下で、γ線照射、電子線照射、UV照射及びプラズマ照射のうちの少なくとも1種の架橋処理を施す第2工程。
なお、製造方法に関する以下の説明では、「コラーゲン水溶液又は非線維化コラーゲンからなる固形物」を「原料A」と称し、「所定のイオン強度及びpHを有したコンドロイチン硫酸水溶液」を「原料B」と称す。
原料Aにおけるコラーゲンの種類については、前記「(コラーゲン)」のとおりである。なお、コンドロイチン硫酸の存在下ではコラーゲンの線維化が遅くなることがあるので、この点からも魚類由来のコラーゲンの方が哺乳類由来のコラーゲンよりも有利と言える。
なお、数値範囲に関する「数値1~数値2」という本明細書における表記は、数値1を下限値とし数値2を上限値とする、両端の数値1及び数値2を含む数値範囲を意味し、「数値1以上数値2以下」と同義である。
原料Bに用いるコンドロイチン硫酸の種類については、前記「(コンドロイチン硫酸)」のとおりである。ここで、原料Bにおける「所定のイオン強度及びpH」とは、原料Aと原料Bとを混合して得られる混合液(以下「混合液C」という)において、コラーゲンの線維化を引き起こし、これによって線維化コラーゲンとコンドロイチン硫酸との複合体を形成させ、ゲルが得られるように設定したイオン強度及びpHのことである。一般に、コンドロイチン硫酸水溶液を含有せずに所定のイオン強度及びpHを有した水溶液を用いたときにおいて、コラーゲンの線維化は液の白濁化によって確認することができるが、原料Bを用いたときでも同様に混合液Cの白濁によってコラーゲンの線維化を確認することができる。このときに、前記メカニズムで推測したように、コラーゲン分子が会合し再フィブリル化するときにコンドロイチン硫酸がそれに巻き込まれることによって、線維化コラーゲンとコンドロイチン硫酸との複合体が形成されると考えられる。なお、コラーゲンの線維化を促進させるために所定の温度に設定することが必要なときは、適宜温度設定することが好ましい。温度設定は、コラーゲンの変性温度未満に設定することが好ましく、必要に応じて加温してもよい。また、所定の温度で所定の時間保持することも好ましい態様である。
コラーゲンとコンドロイチン硫酸との混合比は、質量比として、5:1~1:3の範囲である。好ましくは3:1~1:3の範囲であり、より好ましくは2:1~1:2の範囲であり、さらに好ましくは1.85:1~1:1.85の範囲であり、さらにより好ましくは1.75:1~1:1.75の範囲である。また、1.75:1~1:1.5、1.75:1~1:1.25、1.75:1~1:1、1.5:1~1:1.75、1.5:1~1:1.5、1.5:1~1:1.25、1.5:1~1:1、1.25:1~1:1.75、1.25:1~1:1.5、1.25:1~1:1.25、1.25:1~1:1、1:1~1:1.75、1:1~1:1.5、1:1~1:1.25の範囲等も好ましい範囲である。
水性溶媒の種類は、前記「(架橋複合体:水性溶媒)」で説明したとおりである。少なくとも架橋処理が完了するまでは、コンドロイチン硫酸と複合化した線維化コラーゲンが脱線維化せずに、そのまま保たれるものを使用することが好ましいが、比較的脱線維化し易い水性溶媒を用いたとしても、水性溶媒との接触後速やかに架橋処理すればよい。
本ゲル材料の製造方法には、表面にパターン形状を有するものを製造するためのプロセスも包含される。当該プロセスとして、例えば、(i)第2工程後に得られたゲル材料に対して切削等によりパターン形状を付与する方法、(ii)第1工程においてパターン形状が付けられたゲルを第2工程における架橋処理によってパターン形状を固定化させる方法、等が挙げられる。
本ゲル材料には、使用目的に応じてその他構成要素を有してもよい。その他構成要素が含有成分であるときの例として、フィブリン、トロンビン、ゼラチン、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、アルギン酸等が挙げられる。
本ゲル材料の好適な用途として、細胞培養用基材が挙げられる。その他好適な用途として、医用材料、例えば、移植用材料、再生医療用の足場材料等が挙げられる。
ティラピアの鱗から製造された多木化学(株)製「セルキャンパス FD-08G」(凍結乾燥品)の所定量をpH3のHCl溶液に溶解して、コラーゲン濃度の異なる以下の各種水溶液Aを調製した。
・水溶液A1:コラーゲン濃度1.6質量%
・水溶液A2:コラーゲン濃度2.2質量%
・水溶液A3:コラーゲン濃度3.3質量%
10倍濃度PBSをベース水溶液とし、これに所定量のコンドロイチン硫酸(生化学工業(株)製「コンドロイチン硫酸ナトリウム ND-K」)を溶解して、コンドロイチン硫酸濃度の異なる以下の各種水溶液Bを調製した。
・水溶液B1:コンドロイチン硫酸濃度11質量%
・水溶液B2:コンドロイチン硫酸濃度22質量%
水溶液Aとして水溶液A1を、水溶液Bとして水溶液B2を用いた。水溶液Aと水溶液Bとを質量比で9:1の割合で混合し(コラーゲン:コンドロイチン硫酸(質量比)=1:1.53)、得られた混合液をシリコンモールド(φ20mm、高さ2.5mm)に0.78mL注入した後25℃で12時間以上保持し、ゲルを得た。次に、このゲルを1倍濃度PBS中に浸漬し、25kGyのγ線照射を行い、架橋と同時に滅菌を行い、平面視円形の平膜状のゲル材料を得た。
水溶液Aとして水溶液A2を、水溶液Bとして水溶液B2を用いた。水溶液Aと水溶液Bとを質量比で9:1の割合で混合し(コラーゲン:コンドロイチン硫酸(質量比)=1:1.11)、得られた混合液をシリコンモールド(φ20mm、高さ2.5mm)に0.78mL注入した。注入後、メッシュパターンを付与させるために、ナイロンメッシュ(スペクトラムラボラトリーズ(株)製 目開き300μm、厚み200μm)を混合液上に配した。これを25℃で12時間以上保持し、ゲルを得た。次に、このゲルをナイロンメッシュを付けたまま1倍濃度PBS中に浸漬し、25kGyのγ線照射を行った。その後、ナイロンメッシュを取り外して、表面に凹凸パターンを有し平面視円形の平膜状のゲル材料を得た。なお、肉眼でも表面の凹凸パターンを確認できた。
水溶液Aとして水溶液A3を用いた以外は、実施例1と同様にして(混合液のコラーゲン:コンドロイチン硫酸(質量比)=1.35:1)、平面視円形の平膜状のゲル材料を得た。
水溶液Aとして水溶液A2を用い、水溶液Bとして水溶液B1を用いた以外は、実施例1と同様にして(混合液のコラーゲン:コンドロイチン硫酸(質量比)=1.80:1)、平面視円形の平膜状のゲル材料を得た。
水溶液Aとして水溶液A3を用い、水溶液Bとして水溶液B1を用いた以外は、実施例1と同様にして(混合液のコラーゲン:コンドロイチン硫酸(質量比)=2.70:1)、平面視円形の平膜状のゲル材料を得た。
水溶液Aとして水溶液A2を用い、水溶液Bの代わりに10倍濃度PBSを用いた以外は、実施例2と同様にして、表面に凹凸パターンを有し平面視円形の平膜状のゲル材料を得た。
1倍濃度PBSにコンドロイチン硫酸濃度が22質量%となるように溶解させたコンドロイチン硫酸水溶液に対し、25kGyのγ線照射を行ったが、ゲル化せずに水溶液状のままであった。このことから、コンドロイチン硫酸にはγ線による照射架橋がかからないと判断した。
水溶液Aとして、水溶液A2を用いた。水溶液A2にコンドロイチン硫酸をコラーゲン:コンドロイチン硫酸(質量比)=1:1.11となるように添加し混合した。この混合液と10倍濃度PBSとを質量比で9:1の割合で混合し、得られた混合液をシリコンモールド(φ20mm、高さ2.5mm)に0.78mL注入した。これを25℃で12時間以上保持し、ゲルを得た。次に、このゲルを1倍濃度PBS中に浸漬し、25kGyのγ線照射を行うことにより、平面視円形の平膜状のゲル材料を得た。当該ゲル材料は、白色の凝集塊が点在するなど全体的にまだらな外観を呈するものであり、均質なものではなかった。
実施例2及び比較例1の各ゲル材料を走査型電子顕微鏡(日本電子(株)製「JSM-6010LA」)で観察した。図3は実施例2、図4は比較例1のゲル材料のSEM像であり、いずれも倍率5,000倍である。図3と図4から、フィブリルの形状に明確な相違が認められる。図4では、フィブリルの形状の均質性が高いが、図3では、フィブリルが集合化した部分や太くなった部分が確認できるものであった。ちなみに、実施例1~5で得られたゲル材料は、肉眼観察において、いずれもその表面は、実施例2における表面の凹凸パターンの部分も含めて、まだらな部分や凝集塊が存在することなく一様な外観を呈するものであり、よって均質なものであった。
細胞培養基材として、実施例2と比較例1で得られた各ゲル材料を供試した。また、培地として、DMEM+10%FBSを用いた。12wellプレートのwell内に各ゲル材料を設置し、マウス線維芽細胞株L929を1.0×106cells/mL含有した細胞懸濁液100μLと培地100μLを滴下した。2時間静置後、培地を1000μL添加し、通常の細胞培養方法に従って21日間細胞培養を行った。
Claims (6)
- 以下の構成成分及びその形態を備えた、コラーゲン-コンドロイチン硫酸のゲル材料。
・構成成分:コラーゲンとコンドロイチン硫酸
ただし、上記構成成分の比率は、質量比として、コラーゲン:コンドロイチン硫酸=5:1~1:3の範囲である。
・構成成分の形態:架橋処理された、線維化コラーゲンとコンドロイチン硫酸との複合体
ただし、上記架橋処理は、水性溶媒の存在下でのγ線照射、電子線照射、UV照射及びプラズマ照射のうちの少なくとも1種の架橋処理であり、上記複合体は、均質な外観を呈するものである。 - 前記コラーゲン-コンドロイチン硫酸のゲル材料が、その表面の少なくとも一部に、凹形状及び/又は凸形状を有するものである、請求項1記載のコラーゲン-コンドロイチン硫酸のゲル材料。
- 前記コラーゲン-コンドロイチン硫酸のゲル材料を細胞培養基材として用いて、マウス線維芽細胞株L929を21日間培養したときに、
前記細胞培養基材の平面視面積について、培養前に対する21日間培養後の収縮率が30%以下である、
請求項1又は2記載のコラーゲン-コンドロイチン硫酸のゲル材料。 - 以下の工程を含む、コラーゲン-コンドロイチン硫酸のゲル材料の製造方法。
(1)コラーゲン水溶液又は非線維化コラーゲンからなる固形物と、所定のイオン強度及びpHを有したコンドロイチン硫酸水溶液とを、コラーゲン:コンドロイチン硫酸(質量比)=5:1~1:3の範囲で混合し、得られる混合液においてコラーゲンの線維化を引き起こし、これによって線維化コラーゲンとコンドロイチン硫酸との複合体を形成させ、ゲルを得る第1工程。ただし、上記所定のイオン強度及びpHとは、上記混合液におけるイオン強度が0.1~1.2の範囲内となり、且つ、pHが6~9の範囲内となるように設計したものである。
(2)第1工程で得られたゲルに対して、水性溶媒の存在下で、γ線照射、電子線照射、UV照射及びプラズマ照射のうちの少なくとも1種の架橋処理を施す第2工程。 - 請求項1~3のいずれか1項記載のコラーゲン-コンドロイチン硫酸のゲル材料を含む細胞培養基材。
- 請求項1~3のいずれか1項記載のコラーゲン-コンドロイチン硫酸のゲル材料を用いた医用材料。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017217830A JP6995437B2 (ja) | 2017-11-10 | 2017-11-10 | コラーゲン-コンドロイチン硫酸のゲル材料 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017217830A JP6995437B2 (ja) | 2017-11-10 | 2017-11-10 | コラーゲン-コンドロイチン硫酸のゲル材料 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2019089716A JP2019089716A (ja) | 2019-06-13 |
JP6995437B2 true JP6995437B2 (ja) | 2022-02-04 |
Family
ID=66837160
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2017217830A Active JP6995437B2 (ja) | 2017-11-10 | 2017-11-10 | コラーゲン-コンドロイチン硫酸のゲル材料 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6995437B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN110607273A (zh) * | 2019-09-19 | 2019-12-24 | 上海长征医院 | 一种小鼠胚胎成纤维细胞伽马射线辐照后可长期传代细胞株及其构建方法 |
Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007512038A (ja) | 2003-10-28 | 2007-05-17 | ケンブリッジ・エンタープライズ・リミテッド | リン酸カルシウム材料、コラーゲンおよびグリコサミノグリカンを含む複合生体材料 |
CN101138654A (zh) | 2007-10-19 | 2008-03-12 | 中国人民解放军第四军医大学 | 含有外周血干细胞的组织工程皮肤及其制备方法 |
JP2014507135A (ja) | 2011-01-19 | 2014-03-27 | セウォン セロンテック カンパニー リミテッド | 放射線架橋化されたコラーゲンゲル及びその製造方法と使用方法 |
JP2019037303A (ja) | 2017-08-22 | 2019-03-14 | 多木化学株式会社 | コラーゲン管状体 |
-
2017
- 2017-11-10 JP JP2017217830A patent/JP6995437B2/ja active Active
Patent Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007512038A (ja) | 2003-10-28 | 2007-05-17 | ケンブリッジ・エンタープライズ・リミテッド | リン酸カルシウム材料、コラーゲンおよびグリコサミノグリカンを含む複合生体材料 |
CN101138654A (zh) | 2007-10-19 | 2008-03-12 | 中国人民解放军第四军医大学 | 含有外周血干细胞的组织工程皮肤及其制备方法 |
JP2014507135A (ja) | 2011-01-19 | 2014-03-27 | セウォン セロンテック カンパニー リミテッド | 放射線架橋化されたコラーゲンゲル及びその製造方法と使用方法 |
JP2019037303A (ja) | 2017-08-22 | 2019-03-14 | 多木化学株式会社 | コラーゲン管状体 |
Non-Patent Citations (3)
Title |
---|
RANIERI J. M. et al.,Novel Physically Cross-Linked Collagen Hydrogel for Cardiovascular Tissue Regeneration.,Canadian Journal of Cardiology,2013年,Vol.29 No.10 Suppl.1,pp.S201, Abstract Number: 286 |
REBECCA A. et al.,Novel Biomaterials to Prevent Innervation: Implications to Reduce Painful Disc Degeneration.,Journal of Orthopaedic Research,2016年,Vol.34 Suppl.1,Abstract Number: 0873 |
河上 貴宏 他,うろこコラーゲンゲルを用いた注入型軟骨材料の開発,日本再生医療学会雑誌,2017年02月01日,Vol.16 Suppl 2017,p.265, O-03-1 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2019089716A (ja) | 2019-06-13 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
Campiglio et al. | Cross-linking strategies for electrospun gelatin scaffolds | |
Sionkowska et al. | Modification of collagen and chitosan mixtures by the addition of tannic acid | |
Subhedar et al. | Nanocellulose in biomedical and biosensing applications: A review | |
Rahman et al. | Preparation and characterization of porous scaffold composite films by blending chitosan and gelatin solutions for skin tissue engineering | |
Teixeira et al. | Recent advances in fiber–hydrogel composites for wound healing and drug delivery systems | |
CN102973984B (zh) | 一种复合材料多孔支架的制备方法与应用 | |
JP2015529268A5 (ja) | ||
JP7319915B2 (ja) | 3d印刷可能バイオゲルおよび使用方法 | |
JP5633880B2 (ja) | コラーゲン成形体及びその製造方法 | |
JP6399653B2 (ja) | コラーゲンファイバーの製造方法 | |
Lee et al. | The efficacy of electron beam irradiated bacterial cellulose membranes as compared with collagen membranes on guided bone regeneration in peri-implant bone defects | |
CN104800886A (zh) | 一种明胶水凝胶心肌仿生支架及其制备方法 | |
Piątkowski et al. | Chitosan/aminoacid hydrogels with antimicrobial and bioactive properties as new scaffolds for human mesenchymal stem cells culture applicable in wound healing. | |
Yang et al. | Performance modification of chitosan membranes induced by gamma irradiation | |
JP6995437B2 (ja) | コラーゲン-コンドロイチン硫酸のゲル材料 | |
CN101856515B (zh) | 以壳聚糖和贝壳粉末为原料制备人工骨的方法 | |
Gelli et al. | Cross-linked porous gelatin microparticles with tunable shape, size, and porosity | |
CN103007342A (zh) | 生物可降解医用磷酸三钙/γ-聚谷氨酸复合材料及其制备方法 | |
CN103893821B (zh) | 一种仿生复合补片及其制备方法和用途 | |
Kang et al. | In situ crosslinkable collagen-based hydrogels for 3D printing of dermis-mimetic constructs | |
Giordano-Kelhoffer et al. | A novel chitosan composite biomaterial with drug eluting capacity for maxillary bone regeneration | |
KR20100082763A (ko) | 콜라겐을 함유하는 세포 운반체 | |
JP6730044B2 (ja) | 表面加工コラーゲン成形体 | |
Jing et al. | Unidirectional nanopore dehydration induces an anisotropic polyvinyl alcohol hydrogel membrane with enhanced mechanical properties | |
Seyama et al. | Three-dimensional culture of epidermal cells on ordered cellulose scaffolds |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20200616 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20210730 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20210831 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20211214 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20211214 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 6995437 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |