JP6994876B2 - 計測器 - Google Patents

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Description

本発明は、計測器に関する。詳しくは、握力の計測部と長さの計測部が一体となった計測器に関する。
現在急速な高齢化が進行しており、厚生労働白書によると、2025年には75歳以上の後期高齢者が2000万人を超えるとも言われ、平均寿命も延びている。その一方で、『健康寿命』と言われる日常生活において継続的な医療や介護に依存しないで自立した生活がおくれる期間は、男性で約9年、女性で約13年、平均寿命よりも短いと言われている。つまり、男性であれば約9年間、女性であれば約13年間要介護状態にあるということであり、この健康寿命を延ばして平均寿命に近づけることが、高齢化が進む現在において非常に重要な課題となっている。この健康寿命に影響を与えているものに、非特許文献1にあるような、サルコペニアが知られている。このサルコペニアとは、加齢や疾患により、筋肉量が減少することで、握力や下肢筋・体幹筋など全身の筋力低下が起こることを指している。
サルコペニアの評価においては、握力の計測や、下腿の周長(周囲の長さ)の計測が必要となる。このような計測は、従来握力計を用いて計測を行い、またメジャーを用い計測をそれぞれ行う必要がある。従って、二つの計測器が同時に必要な場面において、一方の計測器がみつからなかったり、準備を忘れてしまったり、ということが生じ得ることがある。特に、二つの計測器は、それぞれ単独での使用もあり得るため、一方だけを持ち出してしまい、返却することを忘れてしまうようなことは十分に起こり得ることである。
また、特許文献1にあるように、サルコペニアの評価を行うシステムもあるが、このようなシステムにおいて、従来の握力計やメジャーを用いて計測したものをシステムに入力することは、入力ミスや入力の手間となる。
公益財団法人長寿科学振興財団ホームページ、インターネット(https://www.tyojyu.or.jp/net/byouki/sarcopenia/shindan.html)
特開2013-255786号公報
そこで、サルコペニアのように、握力の計測と、下腿の周長等長さの計測とが必要な場合において、それぞれの計測器を個別に準備する必要がなく、両方の計測が行える計測器を提供することを目的とする。
また、サルコペニアの評価システムのような健康状態等の管理システムにおいて、計測結果の入力ミスや入力の手間を省くことのできる計測器を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の計測器は、握力の計測部と、長さの計測部が一体となったことを特徴とする。
これにより、例えば、サルコペニアの評価に必要な握力の計測と脹脛等の下腿の周長の計測を1台で行うことができる。また、片方の計測器の所持や準備を忘れることがない。また、デジタル表示や通信機能などを備えるときには、表示部、制御部、記憶部、電池などを共通使用することができ、小型で安価な計測器となる。また、握力と下腿の周長では不足する評価の項目(例えば、NILS-LSAによる評価での男女の区別)を入力できるようにすれば、計測器単独でサルコペニアの評価を行うことができる。
また、本発明の計測器においては、前記長さの計測部は、出し入れされる計測用ロープと、計測対象物と当接する当接部と、前記当接部に当接する計測対象物に密着された計測用ロープを固定する固定部と、からなることが好ましい。
このように当接部を計測対象物に当接させた状態で計測することができるので、計測器を保持し易く計測し易い。また、計測中のロープを固定することができるので、計測値を安定させることができる。
また、本発明の計測器においては、前記当接部は、前記ロープの両側にそれぞれ設けられており、半径が異なる円弧面からなることが好ましい。
これにより、太さが異なる計測対象物(例えば脹脛)に対応することができる。
また、本発明の計測器においては、通信機能を備えていることが好ましい。
このように通信機能を備えているので、サーバにデータを送信して、サーバ側で一括管理することができる。また、内部にサルコペニアの疑いの有無を判定する評価手段を備えていなくても、サルコペニア評価システムの計測用端末として使用され、使用者はサーバの評価手段によってサルコペニアの評価を行うことができる。
図1Aは、本発明の第1実施形態の計測器が用いられるサルコペニア評価システムの要部の構成を示す概念図であり、図1Bは、本発明の第1実施形態の計測器の要部を示す斜視図である。 第1実施形態の計測器の要部を示す平面図である。 図2に示す計測器の右側面図である。 第1実施形態の計測器の要部の構成を示すブロック図である。 サルコペニア評価方法の1例を示す図である。 第1実施形態の計測器の要部の動作を示すフローチャートである。 第2実施形態の計測器の要部を示す平面図である。 第2実施形態の計測器に取り付けられた付属品を示す平面図である。 図8に示す計測器の右側面図である。
以下、図面を参照にして本発明を実施するための形態を説明するが、以下に示す実施形態は、本発明をここに記載したものに限定することを意図するものではなく、本発明は特許請求の範囲に示した技術思想を逸脱することなく種々の変更を行ったものにも均しく適用し得るものである。なお、この明細書における説明のために用いられた各図面においては、各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各部材毎に縮尺を異ならせて表示しており、必ずしも実際の寸法に比例して表示されているものではない。
[第1実施形態]
まず、本発明の第1実施形態の計測器1が用いられるサルコペニア評価システムSYSについて説明する。図1Aはサルコペニア評価システムSYSの要部の構成を示す概念図である。サルコペニア評価システムSYSはローカルエリアネットワークやインターネットのネットワークNを介して接続されたシステム用サーバSERと1以上の計測器1とで構成されている。
システム用サーバSERは、診察室や診療所などに設置されたパソコンであり、CPUからなる制御・演算部とデータやプログラムなどを記憶するROMやRAM、ハードディスクなどからなる記憶部と、データの入力を行うキーボードやマウス、タッチパネルなどからなる入力部、後述する評価項目画像などを表示するディスプレイからなる表示部、判定結果を表示によって出力するディスプレイや紙によって出力するプリンタなどからなる出力部と、で構成されている。そして、システム用サーバSERは、制御・演算部において記憶部に記憶された各種のプログラムを実行することにより、サルコペニア評価システムSYSを実現する。
次に、図1B~図4を用いて本発明の第1実施形態の計測器1の要部の構成を説明する。図1Bは計測器1の外観を示す斜視図であり、図2は下腿の最大周長Cを計測中の計測器1を示す平面図であり、図3は図2の右側面図であり、図4は計測器1の構成を示すブロック図である。図1Bに示すように、計測器1は、医師や看護婦などが携帯できる小型機器であり、内部に充電式の電池(図示せず)を備えている。
計測器1は、握力の計測部と、長さの計測部が一体となったものである。具体的には、図4のブロック図に示すように、計測器1は、握力計測部10、下腿周長計測部20、制御・演算部30、記憶部40、表示部50、入力部60、通信部70と、で構成される。これらを構成する電気・電子部品は、図1Bに示すように、側面に大きな第1円弧面81と小さな第2円弧面82と切欠き部84を有した天面が非四角形の箱型の筐体80に収容されている。
握力計測部10は、握力を計測するものであり、筐体80の第1円弧面81から延在して設けられた図2に示す不動グリップ11と、摺動可能に保持された可動グリップ12と、図4に示す圧力検出部13を備えている。不動グリップ11と可動グリップ12は、被計測者が握力計測のときに掴むグリップである。圧力検出部13は、例えばデジタル式握力計のようにロードセル(荷重センサ)を備え、可動グリップ12に加えられた被計測者の握力を電気信号に変換して制御・演算部30に出力する。
下腿周長計測部20は、ロープ21で下腿の最大周長Cを計測するものである。下腿周長計測部20は、出し入れされる計測用のロープ21と、計測対象物となる下腿の最大周長Cと当接する当接部である第2円弧面82と、第2円弧面82に当接する下腿の最大周長Cに密着されたロープ21を固定する固定部となる左保持部83と、からなる。より具体的に説明する。
図2、図3に示すように、ロープ21は、糸であり、例えば巻尺のように渦巻スプリングを備えたプーリによって、筐体80の出口85から繰り出された部分を自動的に筐体80内に引き込まれるようになっている。そして、ロープ21の先端が筐体80内に引き込まれないように、ストッパーとしての把手22が、ロープ21の先端に固着されている。この把手22は、ロープ21を引き出すために掴まれる把手でもある。なお、本発明のロープ21は糸に限定するものではなく、例えば帯のようなものでもよい。
そして、図1B~図3に示すように、ロープ21の出口85は、不動グリップ11が延在する第1円弧面81とは逆側の筐体80の側面の第1平面86に設けられている。第2円弧面82は、図2から見て出口85が設けられる第1平面86の左側に隣接している。第2円弧面82は、下腿の最大周長Cの計測時に下腿と当接されて計測器1を安定させるための左当接部として機能する。
第2円弧面82の第1平面86とは逆側の第2平面87に、把手22が保持される左保持部83が設けられている。図2に示すように出口85から繰り出されたロープ21は、第2円弧面82に当接された下腿の最大周長Cを周って、その先端の把手22が左保持部83に保持される。
図3に示すように、把手22は、一端にロープ21が固着される円筒形のシャフト221と、シャフト221の他端に設けられシャフト221よりも太い円筒形のヘッド222と、ヘッド222に設けられた貫通孔内で揺動自在に保持されるリング223と、からなる。
左保持部83には、図1B、図3に示すように四角柱の形状表面から内部にかけてロープ21が通ることのできる幅の切欠き831が形成されており、また、把手22のシャフト221が嵌入される穴832が形成されている。そして、この穴832は、左保持部83を貫通せず、途中まで形成され切欠き831に連通して形成されている。
そして、使用者がリング223を指で持ってロープ21を下腿の最大周長Cに回して、左保持部83の切欠き831にロープ21を通し、把手22のシャフト221を穴832に嵌入させることで、ロープ21が左保持部83により固定されることになる。
なお、下腿の最大周長Cの長さを計測する際に、ロープ21を下腿の最大周長Cに沿ってまわしてから左保持部83でロープ21を固定してもよい。或は、予めロープ21を長く繰り出して左保持部83で保持することで、ロープ21で大きな輪を作り、その輪に脚を通して下腿の最大周長Cの長さを計測してもよい。このときに、渦巻スプリングなどによる引き込みを一時的に止めるストッパーを設ければ、このロープ21で輪を作る作業がさらに容易となる。
図4に示す下腿周長計測部20の伸長検出部23は、例えばデジタル式巻尺のようにロータリーエンコーダを備えてプーリの回転を電気信号に変換し制御・演算部30に出力する。これにより、制御・演算部30は、ロープ21が出口85から引き出された長さを知ることができる。
なお、図2に示すように、出口85から引き出されたロープ21の長さは、下腿の最大周長Cの長さと厳密には等しくはない。そこで、下腿の最大周長Cが第2円弧面82と当接している長さの補正と、ロープ21が下腿の最大周長Cに密着していない部分の補正が必要となる。これらの補正は、補正値を記憶部40に記憶させることでこの補正を行うことができる。具体的には、例えば、予め周長が異なる数種類の下腿型のゲージを使用して、下腿周長計測部20で測定した実際の測定値との差を補正値として得ておき、その補正値を利用することができる。そして、本実施形態のような計測器1は、上記のような補正機能を備えておくことでより正確な計測を行うことが可能となる。
制御・演算部30は、例えば不揮発性で書き換え可能なEEPROMからなり、記憶部40のプログラム41によって起動し、各部を制御してサルコペニア評価の動作を行う。記憶部40は、プログラム41とデータ42を記憶する。プログラム41は、制御・演算部30が制御・演算の動作を行うためのソフトウエアであり、制御・演算部30が起動するためのアプリケーションソフトや、各部を制御するためのドライバや、サルコペニアを評価するためのアプリケーションソフトなどがある。データ42は、制御・演算部30が制御・演算の動作を行うのに必要なデータであり、握力計測部10や下腿周長計測部20や入力部60から入力されたデータや、通信部70からダウンロードされたデータや、制御・演算部30から入力された評価結果のデータなどがある。
表示部50は、タッチパネル付き液晶表示器51を備え、制御・演算部30の動作に必要な表示、例えば入力要求の文字、握力の計測結果、下腿の最大周長の計測結果、サルコペニア評価結果などを表示する。入力部60は、図1B、図2の2点鎖線で囲まれた電源スイッチを含む複数のプッシュスイッチ61と、表示部50のタッチパネル付き液晶表示器51のタッチパネルからなり、電源のON/OFFやサルコペニア評価に必要な入力操作を行う。
携帯可能な計測器1の通信部70は、計測器1に通信機能を付与するためのものである。通信部70は、制御・演算部30の制御により、例えば無線親機を介してネットワークNと無線接続し、ネットワークNに接続されたシステム用サーバSERへデータのアップロードやダウンロードを行う。
計測器1は、このような構成により、握力の計測や下腿の最大周長の計測やその他サルコペニア評価に必要な入力を行って、サルコペニアを評価し、これらのデータをシステム用サーバSERへアップロードすることができる。
現在、サルコペニアの評価方法については複数の方法が提唱されている。例えば、非特許文献1に記されているように、ヨーロッパのワーキンググループEWGSOPによる方法や、アジアのワーキンググループAWGSによる方法や、日本のワーキンググループである国立長寿医療研究センター・老化に関する長期縦断疫学研究(NILS-LSA)による方法が知られている。ヨーロッパ人とアジア人、日本人以外のアジア人と日本人では体格や身体機能や生活習慣の違いがあるために、それぞれの人に応じた方法でサルコペニアを評価するのが好ましい。
本実施形態のサルコペニアの評価方法の例として、NILS-LSAによる方法を説明する。なお、本発明の計測器1のサルコペニアの評価方法はNILS-LSAによる方法に限定するものではない。
図5はNILS-LSAによるサルコペニアの評価方法を示す図である。図5に示すようにこの評価は、65歳以上の男女に対して行われる。第1項目(Q1)として「普通の歩行速度が1m/秒未満、もしくは握力が男性で25kg未満、女性で20kg未満か」という項目がある。第1項目(Q1)がNoであればサルコペニアでなく、正常と評価される。第1項目(Q1)がYesであれば、第2項目として、「BMIが18.5未満か」という項目がある。BMIは、WHOで定めた肥満判定の国際基準で、(体重(kg)÷(身長(m)×身長(m))で計算される。この第2項目(Q2)がNoであれば、まだサルコペニアでなく、Yesであれば、サルコペニアと評価される。この判定方法によると、65歳以上に日本人について、男女の性別と握力の計測と下腿の周長の計測でサルコペニアを判定することができる。
図6は計測器1の制御・演算部30のサルコペニア評価の動作を示すフローチャートである。制御・演算部30は、握力の閾値として変数FSを、握力の計測値として変数Fを、下腿の周長の計測値として変数Lを設定する(ステップS1)。制御・演算部30は、タッチパネル付き液晶表示器51に男性であるか女性であるかの入力を求める表示をさせ、それがタッチパネルで入力される(ステップ2)。男性であれば(ステップS3のYes)、変数FSを25にし(ステップS4)、男性でなければ(ステップS3のNo)、変数FSを20にする(ステップS5)。
そして、制御・演算部30は、タッチパネル付き液晶表示器51に握力の計測を求める表示をさせ、それが計測され、その値を変数Fとする(ステップ6)。この計測では、被計測者の握力値が握力計測部10の圧力検出部13によって検出されて制御・演算部30に自動的に入力されと共にタッチパネル付き液晶表示器51に表示される。従って、使用者は、握力値をわざわざ手入力する必要がない。
制御・演算部30は、計測された握力(変数F)がその閾値(変数FS)未満であれば(ステップS7のYes)、下腿の周長の計測処理であるステップS8に進む。制御・演算部30は、計測された握力が閾値未満でなければ(ステップS7のNo)、非サルコペニアと評価して、その旨をタッチパネル付き液晶表示器51に表示させ(ステップS11)、そしてステップS12へ進んで得られたデータと評価結果をシステム用サーバSERへアップロードする。
制御・演算部30は、ステップS8では、タッチパネル付き液晶表示器51に下腿の最大周長周長の計測を求める表示をさせ、下腿の最大周長が計測されることで、その値を変数Lとする。この計測では、被計測者の周長値が下腿周長計測部20の伸長検出部23によって検出されて制御・演算部30に自動的に入力されと共にタッチパネル付き液晶表示器51に表示される。従って、使用者は周長値を手入力する必要がない。制御・演算部30は、計測された下腿の最大周長(変数L)が30cm未満であれば(ステップS9のYes)、サルコペニアと評価して、その旨をタッチパネル付き液晶表示器51に表示させ(ステップS10)、ステップS12へ進んで得られたデータと判定結果をシステム用サーバSERへアップロードする。ステップS9で計測された下腿の最大周長(変数L)が30cm未満でなければ(ステップS9のNo)、非サルコペニアと判定して、その旨をタッチパネル付き液晶表示器51に表示させ(ステップS11)、ステップS12へ進んで得られたデータと評価結果をシステム用サーバSERへアップロードする。
上述のように本実施形態の計測器1は、NILS-LSAによるサルコペニア評価に必要な全ての計測である握力計測部10と下腿周長計測部20が一体になっているので、サルコペニアの評価に必要な握力の計測と下腿の最大周長の計測を1台で行うことができる。また、計測器1によって、サルコペニアの計測の際、片方の計測器の所持を忘れるというようなことを防ぐことができる。また、制御・演算部30、記憶部40、表示部50、入力部60、通信部70を共通使用できるので、握力の計測部と長さの計測部を別体にした場合と比較して、安価で小型となる。また、男女の選択を入力等、入力部60による入力を行うこともできるようにしているので、システム用サーバと通信しなくても、計測器1単独でサルコペニアを評価することができる。
なお、計測器1は、サルコペニア評価に不足なデータをシステム用サーバSERからダウンロードして、サルコペニアを評価することも可能である。また、計測器1は、過去のデータをシステム用サーバSERからダウンロードして表示したり、記憶部40から読み出して表示したりすることもできる。また、計測器1が内部にサルコペニアの疑いの有無を判定する評価手段を備えていなくても、計測器1をサルコペニア評価システムの計測用端末として利用することで、使用者はシステム用サーバSERの評価手段によってサルコペニアの評価を行うことができる。
また、計測器1は、個人毎に測定した握力値と下腿の周長とを、個人が特定できるデータとして記憶部40に複数人記憶しておき、システム用サーバSERにまとめてデータを送信することもできる。その際、個人毎の特定は、例えば、測定機1にNFC(Near Field Communication)機能を持たせ、事前に用意された個人毎のICタグを読み込んで個人を特定したり、測定機1にバーコードリーダー機能を持たせ、事前に用意された個人毎のバーコードを読み込んで個人を特定したりすることで、簡単に実現することができる。
また、本実施形態では下腿周長計測部20を、ロープ21と、下腿と当接する第2円弧面82と、下腿の最大周長Cに密着されたロープ21を固定する左保持部83と、で構成していたが、必ずしもこのような構成に限定されるわけではない。例えば、計測器1は、下腿周長計測部20を一般的なメジャーのように単に目盛が振られた帯で構成することもできる。
また、本実施形態では下腿の最大周長Cの計測時に下腿と当接される左当接部は、第2円弧面82として円弧状となっているが、円弧状に限定するものではない。例えば、左当接部の形状が、下腿の脹脛等、測定対象の形状にあわせて変形するようにしておくこともできる。このように、計測器1は、測定対象の形状にあわせて左当接部の形状を変形できるようにしておくことで、より精度の高い測定を行うことが可能となる。
[第2実施形態]
次に、図7~図9を用いて、第2実施形態の計測器1Aを説明する。第2実施形態の計測器1Aにおいては、第1実施形態の計測器1と構成が同一の部分については同一の参照符号を付与してその詳細な説明は省略し、構成が異なる同一名の部分については参照符号に添え字「A」を付す。
第2実施形態の計測器1Aは、第1実施形態の計測器1に、第3円弧面88である右当接部88と、付属の部品となる左上補助当接部82U、左下補助当接部82D、右上補助当接部88U、右下補助当接部88Dと、を追加したものである。
図7は付属の部品である左上補助当接部82U等を取り付ける前の平面図であり、図8は付属の左上補助当接部82U等を取り付けた状態の平面図であり、図9は図8の右側面図である。
第1実施形態の計測器1は図2でロープ21の出口85の左側のみに左当接部82(第2円弧面82)と左保持部83を備えた構成となっていた。一方、図7に示すように、第2実施形態の計測器1Aは、右側にも第3円弧面88と右保持部89を設けた構成となっている。
第3円弧面88は、計測のときに下腿が当接する右当接部として機能する。そして、このときにロープ21の把手22が右保持部89に保持される。左当接部である第2円弧面82と右当接部である第3円弧面88は、円弧の半径が異なる。たとえば、第2円弧面82の半径は50mmで、第3円弧面88の半径は80mmである。これにより、下腿の最大周長Cが異なる被計測者に対応することができる。
図8、図9に示すように、第2実施形態の計測器1Aは、付属品としてネジBで筐体80に取り付けられる左上補助当接部82U、左下補助当接部82D、右上補助当接部88U、右下補助当接部88Dを備える。左上補助当接部82Uは、左当接部82の当接範囲を上方に拡張し、左下補助当接部82Dは、下方に拡張する。同様に、右上補助当接部88Uは、右当接部88の当接範囲を上方に拡張し、右下補助当接部88Dは、下方に拡張する。左上補助当接部82U、左下補助当接部82D、右上補助当接部88U、右下補助当接部88Dは、図8、図9に示すように、下腿の最大周長Cに合わせて水平方向と上下方向に適度に湾曲している。このようにして、第2実施形態の計測器1Aは、下腿を保持し易くなっている。これにより、より正確な計測ができる。
なお、上述の実施形態の計測器1は、NILS-LSAによるサルコペニアの評価に用いられたが、本発明の計測器1は他のAWGSやEWGSOPによるサルコペニアの評価に用いられてもよい。また、計測器1は、サルコペニアの評価以外にも他の人体に関する評価において用いることもできる。また、計測器1は、診療所やスポーツジム等において、握力と腹囲の計測等にも用いることもできる。さらに、本発明の計測器1は、握力の計測あるいは下腿の周長の計測の一方だけを使用することもできる。また、システム用サーバSERからのダウンロードや記憶部40からの読み取りによって、過去のデータを検索することもできる。
なお、上記実施形態で説明したサルコペニア評価システムSYSでは、計測器1により握力値や、脹脛等の周長値がわかるとともに、システム用サーバSERや計測器1での入力により、年齢、性別、地域、運動履歴、食事の傾向等、莫大な量の情報を得ることができる。このような莫大な情報や、専門家による改善指導等の知識情報を用いて人工知能による解析を行うことで、サルコペニア評価システムSYSは、より効果的な指導プランを個人毎に提供することもできる。また、サルコペニア評価システムSYSは、利用を続けることで情報がどんどん蓄積されていくため、蓄積された情報を利用して人工知能による新たな指導プランを作成することも可能となる。また、サルコペニア評価システムSYSは、人工知能による分析を行うことで、蓄積された莫大な情報の中から健康寿命に好影響を与える食事や運動について解明することが期待できる。従って、その分析結果に基づいて、若年時からの健康に関する注意喚起、指導を行うことで健康寿命をのばすこともできる。
SYS:サルコペニア評価システム
SER:システム用サーバ
1:計測器
10:握力計測部
20:下腿周長計測部
21:ロープ
70:通信部
80:筐体
82:第2円弧面
83:左保持部
85:出口
88:第3円弧面
89:右保持部
C:下腿の最大周長

Claims (3)

  1. 握力の計測部と、長さの計測部が一体となった計測器であって、
    前記握力の計測部は、
    前記計測器を構成する筐体と、
    前記筐体に備わった不動グリップと可動グリップと圧力検出部と、
    で構成され、
    前記長さの計測部は、
    前記筐体に設けられた出口から出し入れされる計測用ロープと、
    前記筐体に設けられ、計測対象となる人体の所定部位と当接する当接部と、
    前記筐体に設けられ、前記当接部に当接する前記人体の所定部位に密着された前記計測用ロープの先端を固定する固定部と、
    で構成されていることを特徴とする計測器。
  2. 前記当接部は、前記計測用ロープが出し入れされる前記筐体の前記出口の両側にそれぞれ設けられており、半径が異なる円弧面からなることを特徴とする請求項1に記載の計測器。
  3. 通信機能を備えていることを特徴とする請求項1に記載の計測器。
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