JP6993693B2 - 豚丹毒菌プロリン合成関連遺伝子欠損株とその利用 - Google Patents

豚丹毒菌プロリン合成関連遺伝子欠損株とその利用 Download PDF

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NPMD NITE P-02769 NPMD NITE P-02770 NPMD NITE P-02771 NPMD NITE P-02772 NPMD NITE P-02773
本発明は豚丹毒菌プロリン合成関連遺伝子欠損株に関する。詳しくは、本発明は、豚丹毒菌プロリン合成関連遺伝子欠損株ならびに動物の感染予防用ワクチンとしての使用に関する。
豚丹毒は豚丹毒菌(エリシペロスリクス・ルシオパシエ菌 Erysipelothrix rhusiopathiae)の感染によって起こる人畜共通感染症である。前記豚丹毒菌は、豚、イノシシのほか、ヒトを含む哺乳類、鳥類に感染することが確認されている。中でも、名称のとおり、豚の疾病を引き起こす細菌として有名で、豚丹毒は世界中の養豚地帯で発生している。豚丹毒の経過は甚急性で致死率も高く、慢性経過をとった場合は関節炎を惹起し、保菌豚となることがある。出荷豚がと畜検査で陽性となった場合、その個体は全廃棄となり経済損失は極めて大きい。また、豚丹毒菌がヒトに感染した場合、敗血症や関節炎を発症させることも知られており、豚丹毒菌は、家畜衛生のみならず、公衆衛生面からも重要な細菌と位置づけられている。
前記豚丹毒の予防にはワクチンが有効で、現在、豚丹毒菌小金井65-0.15株が使用されている。この株はアクリフラビンを含む培地で継代を重ねることで得られた弱毒株であるが、この弱毒化の機構は不明である。
一方、食肉検査所において、豚丹毒として廃棄される豚の関節からは、豚丹毒菌小金井65-0.15株が分離される事例が多く報告されている。本発明者らが解析したところ、このワクチンを利用する農場にて豚団毒を発症した株から分離された株の65%(101/155株)は小金井6-0.15株であり、そのうち4株はマーカーとされるアクリフラビン耐性を消失していた(非特許文献1)。また、豚丹毒菌小金井65-0.15株の弱毒化の機構は、前記のとおり不明であるため、強毒株復帰への懸念がある。事実、本発明者らは、野外臨床分離菌の解析を基に、豚丹毒菌小金井65-0.15株の強毒化に関わると考えられる病原性復帰変異が起こることを明らかにしている(非特許文献2、3)。
したがって、豚丹毒菌小金井65-0.15株にかわる、より安全なワクチン用株が求められている。
白岩ら、J. Vet Med Sci, vol79(4) 2017, 669-701 下地ら、「豚丹毒菌生ワクチン Koganei 65-0.15株の弱毒化機構の解析」、第157回日本獣医学会抄録 379頁 小川ら、「豚丹毒菌生ワクチン Koganei 65-0.15株の強毒化に関わる遺伝子の同定」、第88回日本細菌学会総会抄録、173頁)
本発明は、非ヒト動物における豚丹毒菌の感染を効果的に防御でき、しかも安全性の高い新規な豚丹毒菌、および該豚丹毒菌を用いたワクチン組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、長年、豚丹毒菌の感染と発病機構について研究をしているが、豚丹毒菌の発育に必要なプロリンの合成経路に関連する3遺伝子(proA、proB、proC)を欠損させることで、弱毒化した安全な株を新たに作製することに成功し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の要旨は、
〔1〕グルタミン酸からプロリンを合成する経路に関連する酵素または1-ピロリン-3-ヒドロキシ-5-カルボキシレートからプロリンを合成する経路に関連する酵素をコードするプロリン合成関連遺伝子が遺伝子破壊されていることにより、前記遺伝子の機能が低下または欠損されており、
前記プロリン合成関連遺伝子がproA、proBおよびproCからなる群より選ばれる1つ以上であることを特徴とする豚丹毒菌プロリン合成関連遺伝子欠損株、
〔2〕前記プロリン合成関連遺伝子をコードする塩基配列を構成する少なくとも1つ以上の塩基が置換または欠失している前記〔1〕に記載の豚丹毒菌プロリン合成関連遺伝子欠損株、
〔3〕豚丹毒菌プロリン合成関連遺伝子欠損株が、豚丹毒菌藤沢株(Erysipelothrix rhusiopathiae Fujisawa)の変異株であるERproA株(NITE P-02769)、ERproB株(NITE P-02770)、ERproC株(NITE P-02771)、ERproAB株(NITE P-02772)またはERproABC株(NITE P-02773)である前記〔1〕または〔2〕に記載の豚丹毒菌プロリン合成関連遺伝子欠損株、
〔4〕非ヒトの動物における豚丹毒菌に関連する疾患の治療または予防に使用するためのワクチン組成物であって、
前記〔1〕~〔3〕のいずれかに記載の豚丹毒菌プロリン合成関連遺伝子欠損株を含むことを特徴とするワクチン組成物、
〔5〕非ヒトの動物における疾患の治療または予防のための医薬組成物を製造するための、前記〔1〕~〔3〕のいずれかに記載の豚丹毒菌プロリン合成関連遺伝子欠損株の使用、
〔6〕前記豚丹毒菌プロリン合成関連遺伝子欠損株がワクチンベクターである前記〔5〕に記載の豚丹毒菌プロリン合成関連遺伝子欠損株の使用、
〔7〕前記豚丹毒菌プロリン合成関連遺伝子欠損株が、豚丹毒菌以外の外来異種抗原を発現するよう形質転換されている前記〔5〕に記載の豚丹毒菌プロリン合成関連遺伝子欠損株の使用
に関する。
本発明の豚丹毒菌プロリン合成関連遺伝子欠損株は、その弱毒化の機構が明らかであり、しかもPCR法等で野外株と容易に識別できる遺伝子マーカーを持つことから、安全性に優れたワクチン用株として使用することができる。
また、外来異種抗原を発現させたワクチンベクターとしても使用することが可能である。
本発明の豚丹毒菌プロリン合成関連遺伝子欠損株(以下、本発明の豚丹毒菌という)は、グルタミン酸からプロリンを合成する経路に関連する酵素または1-ピロリン-3-ヒドロキシ-5-カルボキシレートからプロリンを合成する経路に関連する酵素をコードするプロリン合成関連遺伝子が遺伝子破壊されていることにより、前記遺伝子の機能が低下または欠損されていることを特徴とする豚丹毒菌である。
豚丹毒菌においてはグルタミン酸およびプロリン代謝経路は公知であり、例えば、KEGGKyoto Encyclopedia of Genes and Genomes)パスウェイマップに記載されている。
そして、前記グルタミン酸からプロリンを合成する経路に関連する酵素について、前記1-ピロリン-3-ヒドロキシ-5-カルボキシレートからプロリンを合成する経路に関連する酵素としては、グルタメート5-キナーゼ(glutamate 5-kinase)(EC2.7.2.11)、グルタメート-5-セミアルデヒドデヒドロゲナーゼ(glutamate-5-semialdehyde dehydrogenase)(EC1.2.1.41)などが挙げられている。
前記1-ピロリン-3-ヒドロキシ-5-カルボキシレートからプロリンを合成する経路に関連する酵素としては、プロリンオキシダーゼピロリン-5-カルボキシレートレダクターゼ(pyrroline-5-carboxylate reductase)(EC1.5.1.2)などが挙げられる。
前記酵素をコードするゲノムDNAについても公知であり、例えば、豚丹毒菌藤沢株(Erysipelothrix rhusiopathiae str. Fujisawa)のゲノムDNAにコードされている。
例えば、グルタメート5-キナーゼの遺伝子については、例えば、生命システム情報統合データベースであるKEGGにおいて、「K00931」としてエントリーされており、その遺伝子については「proB」として公知の塩基配列を指す。
グルタメート-5-セミアルデヒドデヒドロゲナーゼの遺伝子については、KEGGにおいて、「K00147」としてエントリーされており、その遺伝子については「proA」として公知の塩基配列を指す。
プロリンオキシダーゼピロリン-5-カルボキシレートレダクターゼの遺伝子については、KEGGにおいて、「K00286」エントリーされており、その遺伝子については「proC」として公知の塩基配列を指す。
本発明の豚丹毒菌は、親株となる豚丹毒菌において、プロリン合成関連遺伝子であるproA、proB、proCのいずれか1つ以上の遺伝子が欠損していることによって、菌体内におけるproA、proB、proCの発現能が、低下または完全に失活している形質転換株をいう。
本発明の豚丹毒菌としては、前記proA、proB、proCのいずれか1つの遺伝子が欠損している株、前記proAおよびproBの遺伝子が欠損している株、前記proAおよびproCの遺伝子が欠損している株、前記proBおよびproCの遺伝子が欠損している株、前記proA、proBおよびproCの遺伝子がすべて欠損している株が含まれる。
前記親株として用いる豚丹毒菌は、例えば、農場、食肉検査所などの野外より分離された豚丹毒菌および市販されている豚丹毒菌のいずれでもよいが、特に限定はない。
前記proA、proBまたはproCの機能を欠損させる方法としては、遺伝子組換法による遺伝子破壊、突然変異法による機能欠損の誘導などが挙げられる。例えば、操作性がよく、proA、proBまたはproCの機能を欠損させる効率がよい観点から、インフレーム・デリーション法を用いて、proA、proBまたはproCをコードしている塩基配列の上下流域の遺伝子をproA、proBまたはproCを除去した形で繋ぎ合わせたり、proA、proBまたはproCをコードしている塩基配列の一部を除いて繋ぎ合わせたりして、得られた遺伝子断片を豚丹毒菌の菌体内に導入して、前記豚丹毒菌が有する染色体と前記遺伝子断片とをホモロガス・リコンビネーションで置き換える方法などが挙げられる。
なお、前記インフレーム・デリーション法、豚丹毒菌の菌体内に外来遺伝子を導入する方法、豚丹毒菌の菌体内で染色体と外来遺伝子とをホモロガス・リコンビネーションさせる方法などについては、公知の方法に従えばよい。
前記遺伝子組換法による遺伝子破壊には、公知の方法を用いることができる。例えば、proA、proBまたはproCをコードする塩基配列の断片もしくはその上流・下流の領域とマーカー遺伝子とを組み合わせたDNA断片をベクターに組み込み、プロトプラスト-PEG法やエレクトロポレーション法などによってベクターを親株の豚丹毒菌に取り込ませ、相同組換えによって当該DNA断片を親株の豚丹毒菌のゲノム中に導入する方法などを挙げられる。DNA断片を親株の豚丹毒菌細胞中に取り込ませる他の方法としては、パーティクルガン法、アグロバクテリウム法、マイクロインジェクション法などが挙げられる。
遺伝子組換法によって所期の遺伝子が豚丹毒菌に導入されたことを確認する方法としては、公知の方法を用いることができる。例えば、PCR法、サザンハイブリダイゼーション法等を用いて、目的とする遺伝子座がマーカーによって置換されていることを確認する必要がある。また、所期の遺伝子を導入する際に、親株として栄養要求性の突然変異株を、マーカー遺伝子として当該栄養要求性を補償するような機能を持つ遺伝子を用い、形質転換後に栄養要求性培地上で正常に生育した株を選抜する方法なども挙げられる。
また、前記変異導入法としては、公知の処理方法を用いることができ、紫外線、イオンビーム、放射線等を照射させる物理的方法、エチルメタンスルホネート、N-メチル-N’-ニトロ-N-ニトロソグアニジン、亜硝酸、アクリジン色素等の変異剤を用いる化学的方法がある。特に好ましくは、イオンビーム、紫外線を照射させる方法を挙げることができる。
前記のような遺伝子破壊法、または変異導入法によってproA、proBまたはproCの機能が低下または欠損されている株をスクリーニングする方法としては、選抜した候補株からゲノムDNAを抽出し、シークエンス解析で確認する方法などを挙げることができる。他の方法としては、コロニーハイブリダイゼーション法等を利用することができる。
前記proA、proBまたはproCの遺伝子が欠損していることの確認は、シークエンス等の公知の方法で行うことができる。具体的には、本発明においてproA、proBまたはproCをコードする塩基配列を構成する少なくとも1つ以上の塩基が置換または欠失していれば酵素活性を失活しているとする。置換または欠失されている塩基の数については、特に限定はない。
前記のようにして得られる本発明の豚丹毒菌は、公知の遺伝子であるproA、proB、proCのいずれかの機能を欠損させるという弱毒化の機構が明らかであり、また遺伝子マーカーとして前記proA、proB、proCを用い、PCR法等でproA、proB、proCの全てが増幅されるか否かで、野外株と容易に識別できることから、安全性に優れたワクチンとして使用することができる。
なお、PCT法などでproA、proB、proCを増幅する手法については、使用する装置のマニュアルに従って行えばよく、特に限定はない。
本発明の豚丹毒菌は、非ヒトの動物における豚丹毒菌に関連する疾患の治療または予防に使用するためのワクチン組成物に使用することができる。
前記ワクチン組成物では、本発明の豚丹毒菌を生ワクチンとして使用する。
本発明のワクチン組成物は、非ヒトの動物に投与することを目的とする。非ヒトの動物としては、ブタ、イノシシのほか、ニワトリ、七面鳥、イルカなどが挙げられるが特に限定はない。
本発明のワクチン組成物の非ヒトの動物への投与は、例えば、皮下、皮内、鼻腔内的、経気管支的又は経口的に当業者に公知の方法により行いうる。
また、前記ワクチン組成物は、本発明の豚丹毒菌と、溶媒とを含んでいればよい。
前記溶媒としては、水、生理食塩水、溶解液、グリコール、ポリグリコール、プロピレングリコール、ポリグリコールエーテル、DMSO、各種液体培地などが挙げられる。
また、必要に応じて、ラクトース、グルタメート、油性物質(鉱油、植物油、動物油)またはワックスを含んでもよい。
また、経口投与については、マンニトール、ラクトース、スターチ、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、滑石、セルロース、グルコース、スクロースおよび炭酸マグネシウムのような固体担体を用いてもよい。
前記成分の含有量としては、特に限定はない。
本発明のワクチン組成物の投与量は、非ヒトの動物の体重や齢、投与方法、使用目的等により変動するが、当業者であれば適当な投与量を適宜選択することが可能である。
本発明のワクチン組成物による作用には、豚丹毒菌種の感染経験の無い動物への予防的な投与によって、感染症の発症を阻害する作用が含まれる。
また、本発明の豚丹毒菌は、前記ワクチン組成物に加えて、治療または予防目的の疾患に対する有効成分を含有することで豚丹毒菌だけでなく、他の疾患の治療または予防するための医薬組成物を作製することができる。
前記有効成分としては、本発明の豚丹毒菌に悪影響を与えるものでなければよく、特に限定はない。
また、本発明の豚丹毒菌には、豚丹毒菌以外の外来異種抗原などを組み込んで発現させることでワクチンベクターとして使用することもできる。
前記外来異種抗原を本発明の豚丹毒菌で発現させる手段としては、例えば、特開2002-119285号公報に記載の方法に準じて、所望の外来異種抗原をコードする遺伝子を豚丹毒菌のSpaA.1遺伝子の中央部に挟むようにして設計したキメラ遺伝子を作製し、このキメラ遺伝子を本発明の豚丹毒菌に形質転換する方法が挙げられる。
前記外来異種抗原としては、例えば、マイコプラズマ・ハイオニューモニエのP97抗原
などが挙げられるが、特に限定はない。
以上のようにして得られる本発明の豚丹毒菌は、常法の培養手段を用いることで、低コストで簡易に増殖させることができる。また、本発明の豚丹毒菌は非ヒトの動物に投与されると、前記動物体内の各部に定着し、その各部に導入された各種感染防御抗原を投与することができる。
さらに、本発明の豚丹毒菌は、生きている限り、定着している前記動物体内に感染防御抗原を供給し続けることが可能であるため、一度、豚丹毒菌を投与すれば所望の効果が奏される。
以下、実施例において本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
(実施例1)豚丹毒菌プロリン合成関連遺伝子欠損株ERproA株(NITE P-02769)の作製
proAをコードする塩基配列の上下流域の遺伝子を、インフレーム・デリーション法によって、proA遺伝子の31番目から1203番目の塩基(1173bp)を欠損させた形でつなぎ合わせ、得られた遺伝子断片を豚丹毒菌の菌体内にエレクトロポレーション法を用いて導入することにより、豚丹毒菌の染色体とその遺伝子断片がホモロガス・リコンビネーションで置き換わった株を作製した。
インフレーム・デリーション法は、具体的には、Appl Environ Microbiol. 2004, 70(11):6887-6891 に記載の手順に基づいておこなった。
なお、遺伝子断片は、proAの上下流域の断片をそれぞれPCR法により増幅し、それらを結合させた形の遺伝子断片をさらにテンプレートとしてPCRを行うことにより得た。なお、PCRの条件は、添付のマニュアルに従った。
豚丹毒菌としては、豚丹毒菌Fujisawa株を用いた。
また、前記遺伝子断片がホモロガス・リコンビネーションで置き換わった株の確認は、proAの上下流に設計したプライマーを用いてPCRを行い、その遺伝子断片の配列をシークエンスにより確認することで行った。
得られたERproA株について、シークエンスにより遺伝子配列を確認したところ、親株であるFujisawa株ではproAを有していたのに対して、ERproA株では、proAの当該領域が欠損していることを確認した。
したがって、ERproA株は、proAが遺伝子破壊されていることにより、この遺伝子の機能が欠損されている豚丹毒菌であることがわかった。
なお、前記シークエンスには、Applied Biosystems 社製「3130xl Genetic Analyzer」を用いた。
なお、豚丹毒菌(エリシペロスリクス・ルシオパシエ)である前記ERproA株は、本件出願人が、2018年8月23日付けにて独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許微生物センターに寄託し、受託番号「NITE P-02769」が付されている。
(実施例2)豚丹毒菌プロリン合成関連遺伝子欠損株ERproB株(NITE P-02770)の作製
proBをコードする塩基配列の上下流域の遺伝子を、インフレーム・デリーション法によって、proB遺伝子の31番目から822番目の塩基(792bp)を欠損させた形でつなぎ合わせ、得られた遺伝子断片を豚丹毒菌の菌体内にエレクトロポレーション法を用いて導入することにより、豚丹毒菌の染色体とその遺伝子断片がホモロガス・リコンビネーションで置き換わった株を作製した。
作製手法については、proBを標的とした以外は実施例1と同様の手順で行ったため、詳細は省略する。
なお、豚丹毒菌(エリシペロスリクス・ルシオパシエ)である前記ERproB株は、本件出願人が、2018年8月23日付けにて独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許微生物センターに寄託し、受託番号「NITE P-02770」が付されている。
(実施例3)豚丹毒菌プロリン合成関連遺伝子欠損株ERproC株(NITE P-02771)の作製
proCをコードする塩基配列の上下流域の遺伝子を、インフレーム・デリーション法によって、proC遺伝子の31番目から744番目の塩基(714bp)を欠損させた形でつなぎ合わせ、得られた遺伝子断片を豚丹毒菌の菌体内にエレクトロポレーション法を用いて導入することにより、豚丹毒菌の染色体とその遺伝子断片がホモロガス・リコンビネーションで置き換わった株を作製した。
作製手法については、proCを標的とした以外は実施例1と同様の手順で行ったため、詳細は省略する。
なお、豚丹毒菌(エリシペロスリクス・ルシオパシエ)である前記ERproC株は、本件出願人が、2018年8月23日付けにて独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許微生物センターに寄託し、受託番号「NITE P-02771」が付されている。
(実施例4)豚丹毒菌プロリン合成関連遺伝子欠損株ERproAB株(NITE P-02772)の作製
proAおよびproBをコードするそれぞれの塩基配列の上下流域の遺伝子を、インフレーム・デリーション法によって、proBの31番目からproAの1203番目の塩基まで、計2012bpを除去した形でつなぎ合わせ、得られた遺伝子断片を豚丹毒菌の菌体内にエレクトロポレーション法を用いて導入することにより、豚丹毒菌の染色体とその遺伝子断片がホモロガス・リコンビネーションで置き換わった株を作製した。
作製手法については、proA、proBを標的とした実施例1、2と同様の手順で行ったため、詳細は省略する。
なお、豚丹毒菌(エリシペロスリクス・ルシオパシエ)である前記ERproAB株は、本件出願人が、2018年8月23日付けにて独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許微生物センターに寄託し、受託番号「NITE P-02772」が付されている。
(実施例5)豚丹毒菌プロリン合成関連遺伝子欠損株ERproABC株(NITE P-02773)の作製
proA、proBおよびproCをコードするそれぞれの塩基配列の上下流域の遺伝子を、インフレーム・デリーション法によって、proBの31番目からproAの1203番目の塩基までの計2012bpおよびproC遺伝子の31番目から744番目の塩基(714bp)を欠損させた形の遺伝子断片を豚丹毒菌の菌体内にエレクトロポレーション法を用いて導入することにより、豚丹毒菌の染色体とその遺伝子断片がホモロガス・リコンビネーションで置き換わった株を作製した。
作製手法については、proA、proB、proCを標的とした実施例1、2、3と同様の手順で行ったため、詳細は省略する。
なお、豚丹毒菌(エリシペロスリクス・ルシオパシエ)である前記ERproABC株は、本件出願人が、2018年8月23日付けにて独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許微生物センターに寄託し、受託番号「NITE P-02773」が付されている。
(試験例1)安全性試験
実施例1~5で得られたERproA株、ERproB株、ERproC株、ERproAB株、ERproABC株をそれぞれ、2~5匹のマウスに1×10CFUの量に調整して皮下接種した。その結果を表1に示す。
Figure 0006993693000001
表1に示す結果より、ERproA株、ERproB株、ERproC株、ERproABC株を接種したマウスはすべて生残していた。
また、ERproAB株を接種したマウスも5匹中3匹は生残していた。
(試験例2)防御試験(ワクチン試験)
試験例1で生残したERproA株、ERproB株、ERproC株、ERproAB株、ERproABC株を接種したマウスに、10CFU菌量の豚丹毒菌強毒株で攻撃した。その結果を表1に示す。なお、豚丹毒菌強毒株としては、豚丹毒菌Fujisawa株を用いた。
表1に示す結果より、ERproA株、ERproB株、ERproAB株、ERproABC株を接種したマウスはすべて生残した。
また、ERproC株を接種したマウスも2匹中1匹は生残した。
以上の結果から、ERproA株、ERproB株、ERproC株、ERproAB株、ERproABC株は、安全性および防御誘導能に優れた株であることがわかる。
NITE P-02769、NITE P-02770、NITE P-02771、NITE P-02772、NITE P-02773

Claims (7)

  1. グルタミン酸からプロリンを合成する経路に関連する酵素または1-ピロリン-3-ヒドロキシ-5-カルボキシレートからプロリンを合成する経路に関連する酵素をコードするプロリン合成関連遺伝子が遺伝子破壊されていることにより、前記遺伝子の機能が低下または欠損されており、
    前記プロリン合成関連遺伝子がproA、proBおよびproCからなる群より選ばれる1つ以上であることを特徴とする豚丹毒菌プロリン合成関連遺伝子欠損株。
  2. 前記プロリン合成関連遺伝子をコードする塩基配列を構成する少なくとも1つ以上の塩基が置換または欠失している請求項1に記載の豚丹毒菌プロリン合成関連遺伝子欠損株
  3. 豚丹毒菌プロリン合成関連遺伝子欠損株が、豚丹毒菌藤沢株(Erysipelothrix rhusiopathiae Fujisawa)の変異株であるERproA株(NITE P-02769)、ERproB株(NITE P-02770)、ERproC株(NITE P-02771)、ERproAB株(NITE P-02772)またはERproABC株(NITE P-02773)である請求項1または2に記載の豚丹毒菌プロリン合成関連遺伝子欠損株。
  4. 非ヒトの動物における豚丹毒菌に関連する疾患の治療または予防に使用するためのワクチン組成物であって、
    請求項1~のいずれかに記載の豚丹毒菌プロリン合成関連遺伝子欠損株を含むことを特徴とするワクチン組成物。
  5. 非ヒトの動物における疾患の治療または予防のための医薬組成物を製造するための、請求項1~のいずれかに記載の豚丹毒菌プロリン合成関連遺伝子欠損株の使用。
  6. 前記豚丹毒菌プロリン合成関連遺伝子欠損株がワクチンベクターである請求項5に記載の豚丹毒菌プロリン合成関連遺伝子欠損株の使用。
  7. 前記豚丹毒菌プロリン合成関連遺伝子欠損株が、豚丹毒菌以外の外来異種抗原を発現するよう形質転換されている請求項5に記載の豚丹毒菌プロリン合成関連遺伝子欠損株の使用。
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