JP6992277B2 - 超音波信号処理装置、超音波診断装置、および、超音波信号処理方法 - Google Patents
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Description
一般に、CFM法では血流から得られる情報(以下、「血流情報」と呼ぶ)の画像化を行う。そのため、エコーに含まれる血流情報の成分(以下、「血流成分」と呼ぶ)の抽出処理として、MTI(Moving Target Indiator)フィルタを使用して、エコーから組織の動きや静止している組織から得られる情報の成分(以下、「クラッタ成分」と呼ぶ)を取り除いている。このMTIフィルタとしては、例えば、血流成分とクラッタ成分との平均速度の差を用いたFIRフィルタのほか、入力信号に応じて係数を変化させる適用型のMTIフィルタが使用されている。適用型のMTIフィルタとしては、例えば、相関行列から固有ベクトルを算出し、固有ベクトルからフィルタ行列を生成する方法が知られている(例えば、特許文献1、非特許文献1)。
本開示は、上記課題に鑑みてなされたものであり、クラッタ成分を十分に除去して血流成分を高精度に抽出するMTIフィルタを実現することを目的とする。
発明者は、固有ベクトルを用いた適用型のMTIフィルタを用いる場合、相関行列を計算するための信号をどのように選択するかについて、各種の検討を行った。
固有ベクトルを用いた適用型のMTIフィルタは、血流成分とクラッタ成分との平均速度の差を利用した、FIRフィルタなどの高域通過フィルタに対して以下のような優位点を有している。FIRフィルタなどの高域通過フィルタは、血流成分とクラッタ成分との平均速度の差を利用して、所定のカットオフ周波数より低い周波数の信号を除去する、というフィルタである。このフィルタは、血流成分とクラッタ成分とで、周波数帯域の重複がない場合には有効に機能する。例えば、図6(a)に示すように、血流成分241とクラッタ成分242との周波数帯域が分離している場合には、血流成分241の最低周波数より低く、かつ、クラッタ成分242の最高周波数より高い周波数Δf1をカットオフ周波数とする。このようにすることで、血流成分241はFIRフィルタを通過する一方でクラッタ成分242はFIRフィルタで除去されるため、血流成分241のみを抽出することができる。しかしながら、血流成分とクラッタ成分との間で周波数帯域の重複がある場合、FIRフィルタは有効と言えない。例えば、図6(b)に示すように、血流成分251とクラッタ成分252との周波数帯域が重複している場合を想定する。このとき、血流成分251の最低周波数Δf2よりクラッタ成分252の最高周波数より高い周波数Δf4の方が高いため、周波数がΔf2からΔf4の範囲の帯域に対しては、血流成分251とクラッタ成分252の分離が原理上不可能である。そのため、カットオフ周波数をΔf2以上に設定すると血流成分の一部が失われることとなる一方で、カットオフ周波数をΔf4以下に設定するとクラッタ成分が残存する。特に、周波数がΔf2からΔf3の範囲ではクラッタ成分のパワーが同周波数の血流成分のパワーより強いため、周波数がΔf3以下の血流成分については、FIRフィルタで取り出すことができない。これに対し、固有ベクトルを用いた適用型のMTIフィルタは、クラッタ成分が信号全体に普遍的に存在していることを利用し、相関行列を用いた演算によりクラッタ成分を除去するフィルタを生成するものである。したがって、血流成分とクラッタ成分との間で周波数帯域の重複があっても、クラッタ成分のみを除去することが可能である。すなわち、血流成分とクラッタ成分の周波数帯域が重複しているか否かは、固有ベクトルを用いた適用型のMTIフィルタの性能に影響を与えない。
≪実施の形態1≫
<全体構成>
以下、実施の形態1に係る超音波診断装置100について、図面を参照しながら説明する。
超音波診断装置100は、プローブ101の複数ある振動子101aのうち、送信または受信の際に用いる振動子を各々に選択し、選択された振動子に対する入出力を確保するマルチプレクサ部102、超音波の送信を行うためにプローブ101の各振動子101aに対する高電圧印加のタイミングを制御する送信ビームフォーマ部103と、プローブ101で受信した超音波の反射波に基づき、複数の振動子101aで得られた電気信号を増幅およびA/D変換して受信信号列を生成し、受信信号列に対し受信ビームフォーミングを行って音響線信号を生成する受信ビームフォーマ部104を有する。また、超音波診断装置100は、受信ビームフォーマ部104からの出力信号を周波数解析してカラーフロー情報を生成するCFM処理部105と、受信ビームフォーマ部104からの出力信号に基づいて断層画像(Bモード画像)を生成する断層画像処理部106と、カラーフロー情報をBモード画像に重畳してドプラ画像を生成し表示部108に表示させる画像生成部107と、受信ビームフォーマ部104が生成する受信信号列および/または音響線信号、CFM処理部105が生成するカラーフロー情報、および、断層画像処理部106が生成するBモード画像を保存するデータ処理部と、各要素を制御する制御部110をさらに備える。このうち、マルチプレクサ部102、送信ビームフォーマ部103、受信ビームフォーマ部104、CFM処理部105、断層画像処理部106、画像生成部107は、超音波信号処理回路である、超音波信号処理装置150を構成する。
なお、本実施の形態に係る超音波診断装置100は、図1で示した構成の超音波診断装置に限定されない。例えば、マルチプレクサ部102がなく、送信ビームフォーマ部103と受信ビームフォーマ部104とが直接、プローブ101の各振動子101aに接続されていてもよい。また、プローブ101に送信ビームフォーマ部103や受信ビームフォーマ部104、またその一部などが内蔵される構成であってもよい。これは、本実施の形態に係る超音波診断装置100に限られず、後に説明する変形例に係る超音波診断装置でも同様である。
1.送信ビームフォーマ部103
送信ビームフォーマ部103は、マルチプレクサ部102を介してプローブ101と接続され、プローブ101から超音波の送信を行うためにプローブ101に存する複数の振動子101aの全てもしくは一部に当たる送信振動子列からなる送信開口に含まれる複数の振動子の各々に対する高電圧印加のタイミングを制御する。送信ビームフォーマ部103は送信部1031から構成される。
受信ビームフォーマ部104は、プローブ101で受波した超音波の反射波に基づき、複数の振動子101aで得られた電気信号を増幅およびA/D変換してRF信号とし、複数のRF信号を時系列に並べた受信信号列を生成する。また、受信ビームフォーマ部104は、受信信号列に対し受信ビームフォーミングを行って音響線信号を作成する。音響線信号を生成する場合、送信イベントに同期し、着目領域内の各観測点について、観測点からの反射超音波に基づく受信信号を同定し、受信信号ごとに遅延処理を行って加算する。
CFM処理部105は、送信イベントセットのそれぞれで得た受信信号列に基づき、周波数解析を行って、CFM信号を生成する。なお、CFM処理部105は、送信イベントセットのそれぞれで得た音響線信号に基づき、周波数解析を行って、CFM信号を生成してもよい。ここで、ある1つの観測点については、送信イベントごとにRF信号が得られることとなる。以下、これらの1つの観測点に係る複数のRF信号を時系列の信号列として扱い、これを、当該観測点に対するアンサンブルと呼ぶ。CFM信号とは、ある観測点に対する、血流情報を示す信号である。血流情報については後述する。図2(a)は、CFM処理部105の機能ブロック図である。図2(a)に示すように、CFM処理部105は、直交検波部1051、フィルタ処理部1052、速度解析部1053を備える。
直交検波部1051は、送信イベントに同期されて生成される受信信号列のそれぞれに対して直交検波を行い、各観測点における受信信号の位相を示す複素受信信号を生成する回路である。具体的には、各観測点のアンサンブルに含まれるそれぞれのRF信号に対して、以下の処理が行われる。まず、送信超音波と周波数が同一である第1参照信号と、第1参照信号と周波数及び振幅が同一で位相のみ90°異なっている第2参照信号とを生成する。次に、RF信号と第1参照信号を積算し、LPFにより第1参照信号の約2倍の周波数を有する高周波成分を取り除き、第1成分とする。同様に、RF信号と第2参照信号を積算し、LPFにより第2参照信号の約2倍の周波数を有する高周波成分を取り除いて第2成分とする。最後に、第1成分を実部(I成分;In Phase)、第2成分を虚部(Q成分;Quadrature Phase)として、複素受信信号を生成する。
フィルタ処理部1052は、複素受信信号からクラッタ成分を取り除くフィルタ回路である。クラッタ成分とは、組織の動きのうち、画像化の対象としない成分のことであり、具体的には、血管壁、筋肉、臓器などの組織の動きを示す情報である。詳細は後述する。
(3)速度解析部1053
速度解析部1053は、フィルタ処理された後の複素受信信号から、各観測点に対応する血流情報を推定する回路である。速度解析部1053は、各観測点について、当該観測点に対するアンサンブルのそれぞれの信号から位相を推定し、位相の変化速度を算出する。なお、速度解析部1053は、アンサンブルを構成する複数の複素受信信号の間で相関処理を行うことにより、位相の変化速度を推定するとしてもよい。
断層画像処理部106は、受信ビームフォーマ部104が生成した1回の送信イベントに係る音響線信号に対し、包絡線検波、対数圧縮を行い、1フレーム分のBモード画像データを生成する。生成されたBモード画像データは、画像生成部107とデータ格納部109に出力される。
画像生成部107は、断層画像処理部106が生成したBモード断層画像に、CFM処理部105が生成したCFM信号を色調変換して重畳することでカラードプラ画像を生成するための回路である。または、画像生成部107は、断層画像処理部106が生成したBモード断層画像に、CFM処理部105が生成したCFM信号を色調変換して重畳することでパワードプラ画像を生成してもよい。
以下、フィルタ処理部1052について、より詳細に説明する。図2(b)は、フィルタ処理部1052の機能ブロック図である。図2(b)に示すように、フィルタ処理部1052は、複素化部1151、データ選択部1152、共分散算出部1153、固有値算出部1154、フィルタ作成部1155、フィルタ適用部1156、実部虚部分離部1157を備える。
複素化部1151は、直交検波部1051から出力される複素受信信号のそれぞれについて、I成分を実部、Q成分を虚部とする、単一の複素数に変換する回路である。複素化部1151は、複素化された複素受信信号をフィルタ適用部1156とデータ選択部1152に出力する。
データ選択部1152は、適用型MTIフィルタを生成するための信号を選択する回路である。具体的には、データ選択部1152は、フィルタを生成するためのアンサンブルに係る観測点を選択する。本実施の形態においては、Bモード断層画像の輝度を基準として観測点を選択する。
共分散算出部1153は、フィルタを生成するための複数のアンサンブルを示す行列Xから共分散行列を算出する回路である。
共分散行列Σは、以下のように示されるN行N列の対称行列である。
5.フィルタ作成部1155
フィルタ作成部1155は、共分散行列Σの固有値λiと固有ベクトルeiとに基づき、フィルタ行列を作成する回路である。
フィルタ適用部1156は、フィルタ作成部1155が作成したフィルタ行列AEigenを複素化された複素受信信号に適用することで、フィルタ処理を行い、抽出複素受信信号を生成する。
フィルタ適用部1156は、観測点グループ230に含まれる全ての観測点に係るアンサンブルを、以下に示すように行列Yとする。
次に、フィルタ適用部1156は、フィルタ作成部1155が作成したフィルタ行列AEigenを行列Yに適用する。
実部虚部分離部は、抽出複素受信信号のそれぞれについて、実部をフィルタ後のI成分I’として、虚部をフィルタ後のQ成分Q’として分離して出力する。
<動作>
以上の構成からなる超音波診断装置100の動作について説明する。
まず、ステップS10において、関心領域(ROI)の設定を行う。関心領域を設定する方法は、例えば、表示部108に事前に取得したBモード断層画像を表示し、タッチパネル、マウス、トラックボールなどの入力部(図示しない)を通して検査者に関心領域を指定させる。なお、関心領域の設定方法はこの場合に限られず、例えば、Bモード断層画像の全域を関心領域としてもよいし、あるいは、Bモード断層画像の中央部分を含む一定範囲を関心領域としてもよい。また、関心領域を設定する際に、後述するステップS20、S30の動作を行ってもよい。
次に、Bモード断層画像を生成する(ステップS30)。具体的には、ステップS20で取得した受信信号列に対して受信ビームフォーマ部104が整相加算処理を行って音響線信号を生成し、断層画像処理部106は音響線信号に対して包絡線検波、対数圧縮を行い、Bモード断層画像を生成する。生成されたBモード断層画像は、画像生成部107とデータ格納部109に出力される。
次に、複素超音波信号に対し、適応型MTIフィルタ処理を行う(ステップS60)。ここで、ステップS60における、MTIフィルタ処理について、図4を用いて詳細に説明する。図4は、フィルタ処理部1052におけるMTIフィルタ処理を示すフローチャートである。
次に、固有値算出部1154は、共分散行列ΣのN個の固有値λiと、固有値λiのそれぞれに対応する固有ベクトルeiを算出する(ステップS64)。
次に、フィルタ作成部1155は、固有値λiに基づいて、ゲイン行列Gを作成する(ステップS65)。具体的には、固有値λiを絶対値の大きい順に並べ、固有値λiの絶対値が大きいほど対応するゲイン値gが小さくなるようにゲイン値gを定め、ゲイン値gを並べてゲイン行列Gを作成する。
図3に戻って説明を続ける。次に、速度解析部1053は、MTIフィルタ後の抽出複素受信信号から位相変化を検出してCFM信号を生成する(ステップS70)。具体的には、実部虚部分離部1157が行列Y'に含まれるアンサンブル中の各抽出複素受信信号をI成分I’とQ成分Q’との組み合わせに戻した後、速度解析部1053は、各観測点について、I成分I’とQ成分Q’との組み合わせが示す位相がアンサンブル内でどのように変化したかを検出する。速度解析部1053は、位相変化の平均及び分散を検出して、血流速度の平均及び分散を算出する。また、速度解析部1053は、さらに血流速度のパワースペクトルから、血流速度のパワーを算出してもよい。
最後に、ドプラ画像を表示する(ステップS90)。具体的には、画像生成部107は、ステップS80で生成したカラードプラ画像を、ステップS30で生成されたBモード断層画像に重畳し、表示部108に表示させる。
上記構成により、適用型MTIフィルタであるフィルタ行列AEigenは、血流が存在していない可能性が十分に高いフィルタ元領域に基づいて作成される。そのため、クラッタ成分はフィルタ領域内の第2観測点から取得されたアンサンブルに共通して含まれる一方、血流成分はフィルタ領域内の第2観測点から取得されたアンサンブルに含まれない。したがって、適用型MTIフィルタであるフィルタ行列AEigenは、クラッタ成分を高精度に取り除くフィルタである一方で、血流成分に対しては影響を与える可能性が十分に低い。これにより、高精度のMTIフィルタが実現でき、クラッタ成分を確実に取り除きつつ、血流成分を高精度に発見することが可能となる。
実施の形態1では、関心領域に含まれる観測点のうち、Bモード断層画像における輝度が所定の閾値以上である観測点のみを含むように、フィルタ元領域を設定した。しかしながら、フィルタ元領域は血流成分を含む観測点を含まなければよく、その選択の方法は以下のような手法であってもよい。
以下、変形例に係る超音波診断装置におけるMTIフィルタ処理を、図7を用いて説明する。図7は、変形例に係るMTIフィルタ処理を示すフローチャートである。なお、図4と同じ動作については同じステップ番号を付し、説明を省略する。
データ選択部は、過去の血流情報に基づいて、関心領域内の観測点Pjから、フィルタ元領域に含まれる第2観測点Qiを抽出する(ステップS161)。まず、データ選択部は、データ格納部から、関心領域に係るCFM信号を取得する。このCFM信号は、処理に係るフレームより前のフレームに係るCFM信号である。データ選択部は、CFM信号から、関心領域に含まれる観測点のそれぞれの平均速度の大きさを取得する。そして、データ選択部は、関心領域に含まれる観測点から、過去の平均速度の大きさが所定の閾値以下である観測点を第2観測点として選択する。すなわち、読み出されたCFM信号に係るカラードプラ画像またはパワードプラ画像において、彩色がなされない領域をフィルタ元領域であるとして抽出する。これは、過去に血流成分が観測されていない観測点は血流が存在しない点であると考えられ、第2観測点として好適であるからである。なお、データ選択部は、CFM信号から、関心領域に含まれる観測点のそれぞれの血流のパワーを取得し、血流のパワーの大きさが所定の閾値以下である観測点を第2観測点として選択してもよい。
<まとめ>
上記構成により、適用型MTIフィルタであるフィルタ行列AEigenは、血流が観測されたことがないフィルタ元領域に基づいて作成される。そのため、血流成分はフィルタ領域内の第2観測点から取得されたアンサンブルに含まれない。これにより、高精度のMTIフィルタが実現でき、クラッタ成分を確実に取り除きつつ、血流成分を高精度に発見することが可能となる。
実施の形態1では、関心領域から1つのフィルタ元領域を抽出してフィルタ行列を1つ生成し、関心領域内のすべての観測点Pjに係る複素音響線信号にフィルタを適用し、フィルタ後の抽出複素音響線信号を用いて血流情報を算出するとした。
これに対し、本実施の形態では、関心領域を複数のサブ関心領域に分割し、サブ関心領域ごとにMTIフィルタと血流情報の算出を行うことを特徴とする。
実施の形態2に係る超音波診断装置は、CFM処理部105に替えてCFM処理部205を備えることに特徴があり、それ以外の構成は実施の形態1に係る超音波診断装置100と同様である。
以下、CFM処理部205について詳細に説明する。
CFM処理部205は、関心領域を複数のサブ関心領域に分割し、それぞれのサブ関心領域において、送信イベントセットのそれぞれで得た受信信号列に基づき、周波数解析を行って、部分CFM信号を生成する。そして、CFM処理部205は、部分CFM信号を合成することにより、関心領域全体に係るCFM信号を生成する。図8はCFM処理部205の機能ブロック図である。なお、図2と同じ構成については同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。CFM処理部205は、直交検波部1051、領域分割部2051、P個(Pは2以上の整数)のフィルタ処理部1052-kと速度解析部1053-kとの組み合わせ(kは1以上P以下の整数)、速度合成部2052を備える。
領域分割部2051は、関心領域を、P個のサブ関心領域に分割する。図9(a)は、関心領域を9個のサブ関心領域に分割する場合(P=9)の模式図である。ここでは、関心領域211を、x方向に3分割し、y方向に3分割することにより、9個のサブ関心領域Rab(a、bはいずれも1以上3以下の整数)に分割する。
領域分割部2051は、第1のサブ関心領域内のすべての観測点Pjに対応する複素受信信号列(I1,Q1)をフィルタ処理部1052-1に、第2のサブ関心領域内のすべての観測点Pjに対応する複素受信信号列(I2,Q2)をフィルタ処理部1052-2に、…、P番目のサブ関心領域内のすべての観測点Pjに対応する複素受信信号列(IP,QP)をフィルタ処理部1052-Pに、それぞれ出力する。また、領域分割部2051は、各サブ関心領域の範囲を示す情報を、速度合成部2052に出力する。
フィルタ処理部1052-kは、k番目のサブ関心領域からフィルタ元領域を抽出してフィルタを作成し、k番目のサブ関心領域内のすべての複素受信信号列(Ik,Qk)にフィルタを適用して抽出複素受信信号列(I’k,Q’k)を生成する。具体的な動作は、サブ関心領域を関心領域とみなす以外、実施の形態1に係るフィルタ処理部1052と同様であるので説明を省略する。
速度解析部1053-kは、対応するフィルタ処理部1052-kが出力したk番目のサブ関心領域内の観測点Pjに係る抽出複素受信信号列(I’k,Q’k)から、各観測点に対応する血流情報を算出する。具体的な動作は、サブ関心領域を関心領域とみなす以外、実施の形態1に係る速度解析部1053と同様であるので説明を省略する。
速度合成部2052は、P個の速度解析部1053-kが算出した血流情報に基づいて、関心領域内のすべての観測点Pjに対応する血流情報を算出する。
サブ関心領域が相互に重複していない、すなわち、関心領域内のすべての観測点Pjがいずれか1つのサブ関心領域に属している場合、当該観測点Pjに対する血流情報は、当該1つのサブ関心領域の血流情報を算出した速度解析部1053-kのみから得られることとなる。したがって、速度合成部2052は、全ての速度解析部1053-kから得た血流情報を、関心領域内のすべての観測点Pjに対応する血流情報として出力する。
以下、実施の形態2に係る超音波診断装置の動作を、図10を用いて説明する。図10は、実施の形態2に係る超音波診断装置の動作を示すフローチャートである。なお、図3と同じ動作については同じステップ番号を付し、説明を省略する。
関心領域(ROI)の設定(ステップS10)から直交検波(ステップS10)までの動作は、実施の形態1と同じであるので説明を省略する。
以下の動作(ステップS80、ステップS90)については実施の形態1と同様であるので、説明を省略する。
上記構成により、サブ関心領域の単位で適用型MTIフィルタと速度算出が行われるので、サブ関心領域の面積を小さくすることができる。そのため、サブ関心領域内における観測点ごとのクラッタ成分のバラつきを小さくすることができ、共通性をより向上させることができる。したがって、クラッタ成分の除去性能をさらに向上させるとともに、血流成分への影響をさらに小さくすることができる。
図11~13を用いて、実施の形態に係るMTIフィルタ(以下、「本MTIフィルタ」と表記する)、および、FIRフィルタ、従来型MTIフィルタのそれぞれによるフィルタ結果を説明する。なお、FIRフィルタは、いわゆる広域通過フィルタである。また、ここでいう従来型MTIフィルタとは、関心領域内の観測点Pjを全てフィルタ元領域に含まれる第2観測点Qiとして用いる、固有ベクトルを用いる適用型MTIフィルタを指す。すなわち、血流成分を含むアンサンブルを用いてフィルタ行列AEigenを生成している点で、本MTIフィルタとは異なる。
(1)実施の形態1、2および変形例では、直交検波によって得られた複素受信信号または複素音響線信号について、I成分を実部、Q成分を虚部とした複素数として、MTIフィルタを実施した。しかしながら、例えば、I成分とQ成分をそれぞれ独立にMTIフィルタを実施する、としてもよい。この場合、例えば、CMF処理部は、フィルタ処理部1052に替えて、複素化部と虚部実部分離部とを備えないフィルタ処理部1052を2つ備え、I成分について一方のフィルタ処理部で実数を成分とする行列XIに基づいてフィルタを作成して実数を成分とする行列YIに対してフィルタを適用、Q成分について他方のフィルタ処理部で実数を成分とする行列XQに基づいてフィルタを作成して実数を成分とする行列YQに対してフィルタを適用、とすることで、MTIフィルタを実施することができる。なお、この場合において、2つのフィルタ処理部は、同一の領域をフィルタ元領域としてよい。
また、フィルタ元領域に含まれる第2観測点Qiに係る観測点から得られるアンサンブルは、血流成分を含んでいてもよい。関心領域に含まれるがフィルタ元領域に含まれない観測点Pj(すなわち、データ選択部により第2観測点Qiとして選択されない観測点Pj)に係るアンサンブルに含まれる血流成分が、第2観測点Qiに係る観測点から得られるアンサンブルに含まれる血流成分より多ければよい。これにより、関心領域全体をフィルタ元領域としてフィルタ行列を生成する場合と比較して、フィルタ行列により取り除かれる血流成分が小さくなるため、従来型の適用型MTIフィルタよりフィルタ性能が向上する。
例えば、本発明は、マイクロプロセッサとメモリを備えたコンピュータシステムであって、上記メモリは、上記コンピュータプログラムを記憶しており、上記マイクロプロセッサは、上記コンピュータプログラムにしたがって動作するとしてもよい。例えば、本発明の超音波診断装置の診断方法のコンピュータプログラムを有しており、このプログラムに従って動作する(又は接続された各部位に動作を指示する)コンピュータシステムであってもよい。
また、各実施の形態に係る、超音波診断装置の機能の一部又は全てを、CPU等のプロセッサがプログラムを実行することにより実現してもよい。上記超音波診断装置のMTIフィルタや、速度解析を実施させるプログラムが記録された非一時的なコンピュータ読み取り可能な記録媒体であってもよい。プログラムや信号を記録媒体に記録して移送することにより、プログラムを独立した他のコンピュータシステムにより実施するとしてもよい、また、上記プログラムは、インターネット等の伝送媒体を介して流通させることができるのは言うまでもない。
また、ブロック図における機能ブロックの分割は一例であり、複数の機能ブロックを一つの機能ブロックとして実現したり、一つの機能ブロックを複数に分割したり、一部の機能を他の機能ブロックに移してもよい。また、類似する機能を有する複数の機能ブロックの機能を単一のハードウェア又はソフトウェアが並列又は時分割に処理してもよい。
また、超音波診断装置には、プローブ及び表示部が外部から接続される構成としたが、これらは、超音波診断装置内に一体的に具備されている構成としてもよい。
さらに、本実施の形態に対して当業者が思いつく範囲内の変更を施した各種変形例も本発明に含まれる。
(1)実施の形態に係る超音波信号処理装置は、超音波プローブに列設された複数の振動子を駆動して被検体に対する超音波送受信を実行して血流情報を算出する超音波信号処理装置であって、前記複数の振動子を介し、被検体中の少なくとも解析対象範囲を示す関心領域に対して検出波を複数回送信する送信部と、前記検出波のそれぞれに対し、前記複数の振動子にて時系列に受信された被検体からの反射超音波に基づいて受信信号列を生成する受信部と、前記検出波のそれぞれに対応する前記受信信号列を直交検波して複素信号列を生成する直交検波部と、前記関心領域のうちフィルタ元領域を特定し、前記フィルタ元領域に含まれる複数の観測点のそれぞれに係る時系列の複素信号列を用いて、行列演算を行うことでフィルタを形成し、前記複素信号列に対して前記フィルタを用いてフィルタ処理を行い抽出複素信号列を生成するフィルタ処理部と、前記抽出複素信号列から前記観測点それぞれの血流情報を検出する速度検出部とを備え、前記フィルタ元領域に含まれる血流情報は、前記関心領域に含まれる血流情報より少ないことを特徴とする。
(3)また、上記(1)の超音波信号処理装置は、前記フィルタ元領域に含まれる観測点における血流情報は、前記関心領域に含まれ前記フィルタ元領域に含まれない観測点の血流情報と比べ、血流に起因する成分のパワーが少ない、としてもよい。
(4)また、上記(1)~(3)の超音波信号処理装置は、前記速度検出部が算出した前記関心領域内の複数の観測点に係る速度を保持する血流情報保持部をさらに備え、前記フィルタ処理部は、前記血流情報保持部が保持している前記関心領域内の複数の位置に係る速度に基づいて、前記フィルタ元領域を特定する、としてもよい。
(5)また、上記(4)の超音波信号処理装置は、前記フィルタ処理部は、前記血流情報保持部が保持している速度の平均が所定の閾値以下である前記関心領域内の複数の観測点のみを含むように、前記フィルタ元領域を特定する、としてもよい。
(6)また、上記(1)~(3)の超音波信号処理装置は、前記関心領域を少なくとも含む対象領域に対して検出波を前記送信部に送信させ、前記受信部が反射超音波に基づいて生成した受信信号列に対して整相加算を行って音響線信号を生成する整相加算部をさらに備え、前記フィルタ処理部は、前記関心領域に係る音響線信号に基づいて、前記フィルタ元領域を特定する、としてもよい。
(7)また、上記(6)の超音波信号処理装置は、前記フィルタ処理部は、音響線信号の振幅の絶対値が所定の閾値以上である前記関心領域内の観測点のみを含むように、前記フィルタ元領域を特定する、としてもよい。
上記構成により、血流領域は超音波反射率が低くBモード画像上で輝度が低い、という特性に基づいて、血流成分の少ない観測点を第2観測点として特定することができる。
(10)また、上記(1)~(9)の超音波信号処理装置は、前記関心領域を複数のサブ関心領域に分割する領域分割部をさらに備え、前記フィルタ処理部は、前記サブ関心領域のそれぞれに対してフィルタ元領域を特定し、前記複数のフィルタ元領域のそれぞれに対して、フィルタ元領域に含まれる複数の観測点のそれぞれに係る時系列の複素信号列を用いて行列演算を行うことでフィルタを形成し、前記サブ関心領域のそれぞれに対する複素信号列に対して前記サブ関心領域に対応するフィルタを用いてフィルタ処理を行うことで、抽出複素信号列を生成し、前記速度検出部は、前記複数のサブ関心領域のそれぞれにおいて、サブ関心領域に対応する抽出複素信号列から観測点それぞれの血流情報を検出し、前記領域分割部は、前記速度検出部が検出した観測点それぞれの血流情報を用いて、前記関心領域内の観測点それぞれの血流情報を検出する、としてもよい。
(11)また、上記(10)の超音波信号処理装置は、1の観測点に係る複数の血流情報を合成する速度合成部をさらに備え、前記領域分割部は、2つの異なるサブ関心領域のいずれにも含まれる観測点が存在するように前記関心領域を複数のサブ関心領域に分割する、としてもよい。
(12)また、上記(1)~(11)の超音波信号処理装置は、前記フィルタ処理部は、前記複素信号列のうち実部データのみを用いて行列演算を行うことで実部フィルタを形成し、前記複素信号列の実部データに対して前記実部フィルタを用いてフィルタ処理を行って抽出実部信号列を生成し、前記複素信号列のうち虚部データのみを用いて行列演算を行うことで虚部フィルタを形成し、前記複素信号列の虚部データに対して前記虚部フィルタを用いてフィルタ処理を行って抽出虚部信号列を生成し、前記抽出実部信号列と前記抽出虚部信号列とから抽出複素信号列を生成する、としてもよい。
(13)また、実施の形態に係る超音波診断装置は、上記(1)~(12)の超音波信号処理装置を備える、としてもよい。
このようにすることで、上記の特徴を備えた超音波診断装置を実現できる。
101 プローブ
101a 振動子
102 マルチプレクサ部
103 送信ビームフォーマ部
1031 送信部
104 受信ビームフォーマ部
105、205 CFM処理部
1051 直交検波部
1052 フィルタ処理部
1151 複素化部
1152 データ選択部
1153 共分散算出部
1154 固有値算出部
1155 フィルタ作成部
1156 フィルタ適用部
1157 実部虚部分離部
2051 領域分割部
2052 速度合成部
1053 速度解析部
106 断層画像処理部
107 画像生成部
108 表示部
109 データ格納部
110 制御部
150 超音波信号処理装置
1000 超音波診断システム
Claims (14)
- 超音波プローブに列設された複数の振動子を駆動して被検体に対する超音波送受信を実行して血流情報を算出する超音波信号処理装置であって、
前記複数の振動子を介し、被検体中の少なくとも解析対象範囲を示す関心領域に対して検出波を複数回送信する送信部と、
前記検出波のそれぞれに対し、前記複数の振動子にて時系列に受信された被検体からの反射超音波に基づいて受信信号列を生成する受信部と、
前記検出波のそれぞれに対応する前記受信信号列を直交検波して複素信号列を生成する直交検波部と、
前記関心領域のうちフィルタ元領域を特定し、前記フィルタ元領域に含まれる複数の観測点のそれぞれに係る時系列の複素信号列を用いて、行列演算を行うことでフィルタを形成し、前記関心領域に含まれる複数の観測点のそれぞれに係る時系列の複素信号列に対して前記フィルタを用いてフィルタ処理を行い抽出複素信号列を生成するフィルタ処理部と、
前記抽出複素信号列から前記関心領域に含まれる複数の観測点それぞれの血流情報を検出する速度検出部と
を備え、
前記フィルタ元領域に含まれる観測点における血流情報は、前記関心領域に含まれるが前記フィルタ元領域に含まれない観測点における血流情報より少ない
ことを特徴とする超音波信号処理装置。 - 前記フィルタ元領域に含まれる観測点における血流情報は、前記関心領域に含まれ前記フィルタ元領域に含まれない観測点の血流情報と比べ、血流に起因する速度情報が少ない
ことを特徴とする請求項1に記載の超音波信号処理装置。 - 前記フィルタ元領域に含まれる観測点における血流情報は、前記関心領域に含まれ前記フィルタ元領域に含まれない観測点の血流情報と比べ、血流に起因する成分のパワーが少ない
ことを特徴とする請求項1に記載の超音波信号処理装置。 - 前記速度検出部が算出した前記関心領域内の複数の観測点に係る血流情報を保持する血流情報保持部をさらに備え、
前記フィルタ処理部は、前記血流情報保持部が保持している前記関心領域内の複数の位置に係る速度に基づいて、前記フィルタ元領域を特定する
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の超音波信号処理装置。 - 前記フィルタ処理部は、前記血流情報保持部が保持している血流情報が所定の閾値以下である前記関心領域内の複数の観測点のみを含むように、前記フィルタ元領域を特定する
ことを特徴とする請求項4に記載の超音波信号処理装置。 - 前記関心領域を少なくとも含む対象領域に対して検出波を前記送信部に送信させ、前記受信部が反射超音波に基づいて生成した受信信号列に対して整相加算を行って音響線信号を生成する整相加算部をさらに備え、
前記フィルタ処理部は、前記関心領域に係る音響線信号に基づいて、前記フィルタ元領域を特定する
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の超音波信号処理装置。 - 前記フィルタ処理部は、音響線信号の振幅の絶対値が所定の閾値以上である前記関心領域内の観測点のみを含むように、前記フィルタ元領域を特定する
ことを特徴とする請求項6に記載の超音波信号処理装置。 - 前記音響線信号に基づいてBモード画像を生成するBモード画像生成部をさらに備え、
前記フィルタ処理部は、Bモード画像における輝度値が所定の閾値以上である前記関心領域内の観測点のみを含むように、前記フィルタ元領域を特定する
ことを特徴とする請求項6に記載の超音波信号処理装置。 - 前記フィルタ処理部は、
前記フィルタ元領域に含まれる複数の観測点のそれぞれに係る時系列の複素信号列から、共分散行列と相関行列とのうち一方を生成してその固有値と固有ベクトルを算出し、所定の順序に並べた固有値に基づいてゲイン行列を生成し、
前記ゲイン行列と、固有ベクトルを対応する固有値の前記所定の順序に並べた行列とからフィルタ行列を作成する
ことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の超音波信号処理装置。 - 1の観測点に係る複数の血流情報を合成する速度合成部と、前記関心領域を複数のサブ関心領域に分割する領域分割部をさらに備え、
前記フィルタ処理部は、前記サブ関心領域のそれぞれに対してフィルタ元領域を特定し、前記複数のフィルタ元領域のそれぞれに対して、フィルタ元領域に含まれる複数の観測点のそれぞれに係る時系列の複素信号列を用いて行列演算を行うことでフィルタを形成し、前記サブ関心領域のそれぞれに対する複素信号列に対して前記サブ関心領域に対応するフィルタを用いてフィルタ処理を行うことで、抽出複素信号列を生成し、
前記速度検出部は、前記複数のサブ関心領域のそれぞれにおいて、サブ関心領域に対応する抽出複素信号列から観測点それぞれの血流情報を検出し、
前記速度合成部は、前記速度検出部が検出した観測点それぞれの血流情報を用いて、前記関心領域内の観測点それぞれの血流情報を検出する
ことを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の超音波信号処理装置。 - 前記領域分割部は、2つの異なるサブ関心領域のいずれにも含まれる観測点が存在するように前記関心領域を複数のサブ関心領域に分割する
ことを特徴とする請求項10に記載の超音波信号処理装置。 - 前記フィルタ処理部は、前記フィルタ元領域に含まれる複数の観測点のそれぞれに係る時系列の複素信号列のうち実部データのみを用いて行列演算を行うことで実部フィルタを形成し、前記関心領域に含まれる複数の観測点のそれぞれに係る時系列の複素信号列の実部データに対して前記実部フィルタを用いてフィルタ処理を行って抽出実部信号列を生成し、前記フィルタ元領域に含まれる複数の観測点のそれぞれに係る時系列の複素信号列のうち虚部データのみを用いて行列演算を行うことで虚部フィルタを形成し、前記関心領域に含まれる複数の観測点のそれぞれに係る時系列の複素信号列の虚部データに対して前記虚部フィルタを用いてフィルタ処理を行って抽出虚部信号列を生成し、前記抽出実部信号列と前記抽出虚部信号列とから抽出複素信号列を生成する
ことを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の超音波信号処理装置。 - 前記超音波プローブが接続可能に構成された、
請求項1から12のいずれか1項に記載の超音波信号処理装置を備える超音波診断装置。 - 超音波プローブに列設された複数の振動子を駆動して被検体に対する超音波送受信を実行して血流情報を算出する超音波信号処理方法であって、
前記複数の振動子を介し、被検体中の少なくとも解析対象範囲を示す関心領域に対して検出波を複数回送信し、
前記検出波のそれぞれに対し、前記複数の振動子にて時系列に受信された被検体からの反射超音波に基づいて受信信号列を生成し、
前記検出波のそれぞれに対応する前記受信信号列を直交検波して複素信号列を生成し、
前記関心領域のうちフィルタ元領域を特定し、前記フィルタ元領域に含まれる複数の観測点のそれぞれに係る時系列の複素信号列を用いて、行列演算を行うことでフィルタを形成し、前記関心領域に含まれる複数の観測点のそれぞれに係る時系列の複素信号列に対して前記フィルタを用いてフィルタ処理を行い抽出複素信号列を生成し、
前記抽出複素信号列の位相の時間変化に基づいて前記関心領域に含まれる複数の観測点それぞれの速度を検出する処理を含み、
前記フィルタ元領域に含まれる観測点における血流情報は、前記関心領域に含まれるが前記フィルタ元領域に含まれない観測点における血流情報より少ない
ことを特徴とする超音波信号処理方法。
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